アーバンレジェンド (264)
1979年......
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463211157
日本中を恐怖のどん底に陥れた恐ろしい殺人鬼がいた
その名は........
小学生「友達の家で遊んでたら遅くなっちゃった、早く帰らないと」タッタッタ
???「ねえ坊や.............」
小学生「!?」ビクッ!!
???「私綺麗?」
小学生(なんだこの人.........変な人だな........マスクしてるのに顔が綺麗かなんてわからないよ........適当な事言って早く帰っちゃお!)
小学生「き......綺麗です.........」
???「これでも?」ハラ.......
小学生「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ザシュッッッッ!!!!
口 裂 け 女 . . . . . .
その都市伝説は1979年の冬ごろから語られるようになった
夜道を歩いているとマスクをした女性が立っており
「私綺麗?」と問いかけてくる
「綺麗」と答えればマスクを外し「これでも?」と耳元までバックリと裂けた口を露出させ、鎌で口を切り裂かれて殺される
「綺麗じゃない」と答えても鎌で口を切り裂かれ、殺されるという
口裂け女の都市伝説はあまりの恐怖にやがて社会問題まで発展し、集団登校やパトカー出動騒動まで巻き起こす事になる
しかし、口裂け女の都市伝説は 1979年の8月頃から急速に沈静化していき、やがて人々からその恐怖は風化していった
そして、口裂け女の都市伝説の終結からおよそ30年後........
2010年 東京のとある高校.........
女子生徒A「ヒカルー!!ねえヒカルー!!」
女子生徒B「私たちと一緒に帰ろうよー」
女子生徒C「今日ノリカちゃん家でお誕生日会するんだけどヒカルも一緒に行こー?」
「俺はいいよ、そーいうのメンドくさいから」
女子生徒たち「ええ〜ショックゥ〜!!」「でもそういう所がヒカルらしくてかっこいい〜」「バイバイヒカル!また明日ねー!」キャイキャイ
ヒカル「............」
ヒカル「ハァー..........」
月風 煜(ヒカル)
17歳
東京に住む高校生、成績は常にトップな上、運動神経も抜群で 所属している剣道部では何度も全国大会優勝を飾っている完璧超人高校生
親友「くっそ〜!!どうしてお前ばっかり女子からモテんだよ!!半分ぐらい俺によこせ!!」
幼馴染「にしても また女の子にあんな冷たい態度とって!ほんとアンタってそーいうとこ昔から変わんないんだから!!」
ヒカル「..........なんだお前らか、レイラ、ノム.......また騒がしい奴らが出てきたな」ハァ-.......
野村 忍
http://livedoor.blogimg.jp/sk910312/imgs/c/9/c9579001.jpg
社交的で明るい女好きのチャラ男、ヒカルとは小学校からの親友
愛媛レイラ
http://livedoor.blogimg.jp/sk910312/imgs/4/e/4eb3d94c.jpg
少し気が強い女の子、幼稚園の頃からのヒカルの幼馴染でヒカルに想いをよせているが本人は全力で否定する
レイラ「ほら、ブツクサ言ってないで早く帰るよ!」
ノム「どーせ帰る方向同じだし家も近所なんだからよー!」
ヒカル「1人で帰るからいいよ、自分のペースで歩きたいし、話ながら歩くのメンドくさいし」
レイラ「まぁたそんな事言う!!いいからとっとと立つ!!」グイッ
ヒカル「わかったわかった、一緒に帰るから服を引っ張るなよ」ハァ-.......
ノム、レイラ「............」ニコッ!
通学路......
レイラ「あ!あそこ最近できたクレープ屋さんなんだよ!よってこーよ!」タッタッ
ノム「いいねぇー!!クレープ屋=女子の宝庫だからなぁ、ヒカル、お前も行くぞ!!」グイッ
ヒカル「やれやれ........」フゥ-......
無愛想な高校生、月風 煜と幼馴染の愛媛レイラ、そして親友の野村 忍(ノム)
この三人は小学校の頃からずっと一緒にいる
こんな風に、レイラとノムに引っ張られながら通学路を歩いて帰る事は ヒカルにとっていつもどおりの何気ない日常
小学校の頃からずっと続く何気ない日常
しかしもうすぐで そんな日常から、一気に非日常へと引きずり込まれる時が来るという事を三人はまだ知らなかった
ある日の朝........
ヒカル「ファ〜........」ググ......
テレビ『続いて次のニュースです、昨日午後7時頃、東京都〜区の住宅街で殺人事件が起こりました』
ヒカル「ん............?」
テレビ『被害者の遺体は口元を・まで刃物のような物で裂かれており、このように遺体の口元が裂かれた状態で相次いで発見された殺人事件は一週間前の一件目の事件発生から、これで7件目となっています、警察は一週間前と同様、同一犯の犯行と見て犯人の行方を追っています』
ヒカル「.........これで7人目か..........被害者の遺体の口が裂かれている殺人事件...............どこかで聞いた事があるような話だな.........」
ヒカル「ま、俺の気にする事じゃないな」
学校
レイラ「ねぇヒカル!」
ヒカル「朝からテンション高いなレイラ」
レイラ「昨日のニュース見た?昨日で犠牲者が7人目の殺人事件!」
ヒカル「見たけどそれがどうした?」
レイラ「あのさ、やっぱこの東京で一週で7件も殺人事件が起こったとなればいくらなんでも物騒だから...........私が一緒に手を繋いで帰ってあげる!!///」
ヒカル「.............」
レイラ「ほ......ほらッ!!ヒカルってだいたいいつも1人で行動したがるから私が側についていてあげないと心配というかなんというか........////」アタフタ!!
ヒカル「.............」ハァ-......
ヒカル「わかった、一緒に帰るよ、お前ドジだから1人にしたらすぐ殺されそうだし」
レイラ「な.......!!誰がドジよ誰が!!私はアンタの事を心配して......別に殺人犯が怖いとかアンタと手を繋いで帰りたいとかそーいうんじゃなくて.......!!///」アタフタ!!
ヒカル「はいはい わかった、しっかり頼みますよ、俺のボディーガード」
レイラ「す........素直でよろしい!!///」
ヒカル「.............」ハァ-.......
そしてその日の放課後......
レイラ「すっかり遅くなっちゃった、真っ暗だから怖いなー」テクテク
ヒカル「お前がパフェが食いたいだのクレープが食いたいだの言って寄り道ばっかりするからだろ」テクテク
レイラ「しょうがないでしょ!私甘い物大好きなんだもん」
ヒカル「........やっぱりお前みたいなガキんちょを1人にするのは心配すぎるな」
レイラ「だ.......誰がガキんちょだ誰が!!アンタ私と同い年でしょーが!!」
ヒカル「..........ほんと騒がしい奴だな..........」ハァ-.......
「ねえ」
女「................」
ヒカル「..............」
レイラ「..........あの.......何か?」
ヒカル(レイラ、無視しよう.......この女、よくわからないが何かヤバい........)ヒソヒソ.....
レイラ(初対面なのにそんな事したらあの女の人に失礼だよ!それに道を尋ねたいだけかもしれないし.......!)ヒソヒソ......
女「ねえ」
レイラ「は、はい!」ビクッ!!
ヒカル「.............」
女「私 きれい?」
レイラ「.............!?」
ヒカル(まさかこれは...........!!)
ヒカル「レイラ、行こう」グイッ
レイラ「え!?ちょっと待ってよヒカル!どうしたの!?」
ヒカル「いいから早く!」
レイラ「う........うん......」タタッ
女「...........」バッッッッ!!!!
ヒカル「!!」
レイラ「!!」
女「私 きれい?」
ヒカル「...............!!」
レイラ「...............!!」ギュッ......
女「私 きれい?」
レイラ「..............」ガクガク......
ヒカル(くそ、答えるまで通せんぼって事か.........!)
女「私 きれい?」
レイラ「綺麗........です.........」ガクガク....
ヒカル(バカッ!!)
女「...............」
レイラ「マスクしてて........よくわからないけど........きっと.......綺麗だと思います.........」ガクガク.....
ヒカル(ヤバい!!!!)グイッ!!
「これでも?」ハラ......
レイラ「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
ヒカル(そんな馬鹿な!!!!口裂け女が実在するなんて!!!!)
口裂け女「綺麗になりたいか!?なら私と同じにしてやる!!」ガシッ!!!!
レイラ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
ヒカル「レイラッッッッ!!!!」
口裂け女「ケヘヘヘヘヘヘヘヘ!!!!」シャキンッッッッ!!!!
レイラ「助けて!!!!助けてぇッッッッ!!!!」ジタバタ!!
ヒカル(くそ!!こうなれば一か八かだ.........あの方法が本当に通用するかわからないが.........迷っている時間はない!!やるしかない!!)
レイラ「ヒカル!!!!助けて!!!!助けてぇッッッッ!!!!」ジタバタ!!
ヒカル「 ポ マ ー ド ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
口裂け女「!!」ピタッ
レイラ「..............!!」ハァ......ハァ.......
ヒカル(動きが止まった......!?.......よしっ!!)
ヒカル「ポマード!!!!ポマード!!!!ポマード!!!!」
口裂け女「う..........うぅ.........」バッ!!
レイラ「キャッ!!」ドサッ!!
口裂け女「うぅ.........ぐ..........」ヨロ....ヨロ......
シィン.........
レイラ「..............!!」ガクガク......
ヒカル「..............」フゥ-........
ヒカル「.........なんとか追っ払えたみたいだな..........」
レイラ「うぅ......グズッ..........」ジワァ.......
ギュッ!!
レイラ「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!」ポロ ポロ
ヒカル「レイラ.........」
ヒカル(やっぱり この一週間で相次いで起こった7件の殺人事件........ひょっとして全ては口裂け女による犯行なのか........?
でも何故?何の目的で.........?何故あくまで都市伝説程度のはずの口裂け女が実在するするのか........口裂け女に扮した人間の仕業なのか.........?どちらにしろ、殺人鬼がこの東京内にいるという事実は変わらない.........)
ヒカル(口裂け女、もとい殺人鬼を倒してこの東京の平和を守ろうなんてそんな大それた事は考える必要はない..........でも..........)
レイラ「グスッ.......グスッ.......」ギュゥ.......
ヒカル(レイラやノム.........俺と関わりのある人間.........俺の身内だけは守ってみせる..............必ず...........)
そして翌日 通学路にて
ノム「よっ!!ヒカル!!」ダッ!!
ヒカル「ノム........」
ノム「なんだよヒカルー、朝っぱらからそんなナンパに失敗したみたいな顔してー!!」
ヒカル「俺はそんな顔はしてない、お前は週に3回ぐらいしてるけど」
ノム「かぁー!!相変わらず涼しい顔して毒吐くねー!!でもマジでなんか思いつめたみたいな顔してたぞ!?大丈夫かよ?」
ヒカル(ノム........)
ヒカル「大丈夫、別になにもないよ、ありがとう」
ノム「ヒ.......ヒヒヒヒヒヒカルがおおおお......お礼を.........!!」
ヒカル「俺だって心配してもらったら礼ぐらい言うさ、そんな事よりも早く行こう」テクテク
ノム「お.......おう」テクテク
ヒカル(確かにノムの言う通り.........少し思いつめてたのかもな..........俺が気張らなくても殺人鬼は近いうちに警察が捕まえてくれるだろう........)テクテク
学校........
女子生徒たち「おはよーヒカル!!」「ヒカルー!」「こっち向いてよヒカル〜」「ねぇヒカルってば〜」
ヒカル「.........朝からメンドくさい、どいてくれ」スッ.....
女子生徒たち「「ギャーッッッッ!!!!朝からヒカルのイケボが聞けたーーー!!!!///」」
ヒカル「...........ホント メンドくさいな..........ん.........?」
レイラ「...............」ザッ.....
ヒカル「レイラ..........」
レイラ「おはよ.........」
ヒカル「..............」
体育館裏..........
レイラ「ごめんね、ヒカル.......誰にも聞かれちゃいけないと思って........」
ヒカル「わかってるよ、昨日の事だろ..........?」
レイラ「うん.......あのね........昨日あんな事があって........私.......外に出るのが怖くなったの.........今日はたまたまパパに送ってもらったからよかったけど.........その........ヒカル.......帰りだけ.........帰りだけでもいいから私と一緒に.........」
ヒカル「頼まれなくたって一緒に帰るつもりだったよ」
レイラ「え............!!」
ヒカル「昨日あんな事があったのにお前を一人で帰すわけにはいかない、これからは帰りだけじゃなく、朝も一緒に学校に行こう、今まで俺が面倒くさそうな素振りや突き放すような態度ばかりとってたから頼まないと一緒に帰れないと思ったんだろ?」
レイラ「..............!!」
ヒカル「.........ごめん.........」
レイラ「ヒカル...........」
ヒカル「とにかく、今日から登下校は常に一緒だ、いいか?これからは絶対に寄り道したり、俺より先に学校に行ったり家に帰ったりするなよ?」
レイラ「..............!!」パァ-!!
レイラ「うん!!///」ニコッ!!
そして放課後 通学路.........
ヒカル「.............」テクテク
レイラ「.............」ギュッ.....
ヒカル(やっぱり........昨日の事があってからすっかり怯えてしまってる.........当たり前だ、誰だってあんな体験してしまえば怖いに決まっている)
ヒカル「レイラ」
レイラ「ヒカル.........?」
ヒカル「大丈夫、もうお前にあんな怖い思いをさせたりしない、何があってもお前は必ず守る.........だから安心しろ」
レイラ「............!!」
レイラ「ありがとう..........///」
「ねえ」
レイラ「!!」ビクッ!!
ヒカル「.............!!」
口裂け女「私 きれい?」
レイラ「あ........ああ........」ガクガク
ヒカル(レイラ.......)ボソ....
レイラ「..............!」
ヒカル(いいか、俺の側から離れるなよ)ヒソヒソ......
レイラ(ん..........///)ギュッ......
口裂け女「私 きれい?」
ヒカル(慌てる事はない..........口裂け女に有効なあの呪文の効果なら昨日で実証済みだ!!)スゥ......
ヒカル「 ポ マ ー ド ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
口裂け女「..............」シィン......
ヒカル(効いたか..........!?効いたのならそのまま逃げてくれるはず...........!!)
レイラ「..............!」ギュッ...!!
口裂け女「私 きれい?」
え..............!?
ヒカル「...............!!」
レイラ「...............!!」
口裂け女「私 きれい?」
なんで.............!?
ヒカル「ポマード.........」
ヒカル「ポマード!!ポマード!!ポマード!!」
口裂け「私 きれい?」
ヒカル「................!!」ハァ....ハァ.....
なんで効かないんだ..........!?
口裂け女「私 きれい?」
レイラ「グスッ.....グスッ......」ギュッ.....
ヒカル(何故効かないのかはわからないが.........効かないという事はよくわかった............)
口裂け女「私 きれい?」
ヒカル(効かないとなれば.........取る行動は一つだ............!!)スゥ.......
ヒカル「ブスだ」
口裂け女「...............」
ヒカル「聞こえなかったのか?ブスだと言ったんだ、お前レベルのブスは生まれて初めて見る、心底吐き気を催す醜さだ、二度とその醜い顔を俺たちの前に晒すな」
レイラ(ヒ.......ヒカル.........!!)ガクガク.....
口裂け女「な"ん"だとッッッッ!!!!」シャキンッッッッ!!!!
レイラ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
ヒカル(よし!!ここまでは順調だ!!相手を挑発してマスクを外させ、武器であるハサミを取り出させる!!そして相手がハサミを取り出した瞬間.........!!)シュル.......
バシィッッッッッ!!!!
口裂け女「ぐぅ........!!」
ハサミ「」ガシャンッッ!!!!
ヒカル(竹刀袋から素早く竹刀を抜き、小手打ちで相手の武器を叩き落とす!!)
ヒカル(そして!!相手が武器を失って怯んだ瞬間!!)バッッッッ!!!!
口裂け女「!!!!」
ヒカル「メェェェェェェェンッッッッ!!!!」
バ シ ィ ッ ッ ッ ッ ! ! ! !
口裂け女「が.........か..........!!」ドサッ.........!!
ヒカル「..............」ニッ
一気に面を打ち込む!!!!
口裂け女「」
レイラ「死んでる........の.........?」
ヒカル「手加減せずに打ち込んだが生きてはいる」
レイラ「やっぱヒカルつよ..........」
ヒカル「とにかく、すぐに警察を呼んでこいつを刑務所送りにしてもらおう、こいつを放っておいたらまた犠牲者が増えるばかりだからな」
レイラ「う.......うん.........」
ヒカル(...........だが少し気になるな.........あまりにもあっけなさすぎる..........それに、口裂け女の武器はハサミではなく『鎌』だと聞いた事があるが.........まぁいい、いずれにせよ これで口裂け女による殺人事件はなくなるだろう..........)
この時ヒカルは、これで全ては終わり、平和な日常に戻れると思っていた
だが、東京中を震撼させるような『恐怖』はまだ終わってはいなかった......
翌日.........
ヒカル「ファ〜.........一昨日から口裂け女の事で神経をすり減らしていたからよく眠れた」
ヒカル「ま、もう今日からは神経をすり減らすような生活をしないで済むけどな」
テレビ『続いて次のニュースです』
ヒカル「ん..........?」
『8日前から東京都内で相次いで起こっている被害者の遺体が口元を切り裂かれた状態で発見される猟奇殺人事件の件数が昨日で8件目となりました』
ヒカル「え.............!?」
どうしてだ...........確かに昨日、口裂け女は警察に逮捕されたはずだ..........!!
あいつが警察に身柄を拘束されて連行されるのを俺とレイラは確かに見たはずだ..........!!
なのに.........どうして..........!!
終わったかのように思われた猟奇殺人事件は以前と変わらず起こり続けている
これにより、ヒカルたちの通う学校を含む、東京都内全ての学校が学級閉鎖になる事態となった
そして 学級閉鎖1日目の昼頃........
電話越しのレイラ『私ね.....あれから怖くて窓から外を見る事もできないの........』
ヒカル「.............」
レイラ『ヒカル........私.......どうすればいいの.........?』
ヒカル「..........大丈夫、きっと学級閉鎖中に警察が..........」
レイラ『捕まえてもどんどん人が殺されていってるでしょッッッッ!!!!』
ヒカル「............!!」
レイラ『ご........ごめん........ごめんね.........』
ヒカル「レイラ........お前ここ最近ずっと眠れてなくて疲れてるだろ、ベッドで少し横になった方がいい.........」
レイラ『うん.........そうするよ........心配かけてごめんね........ありがとう、またね』ピッ
ヒカル「................」ピッ
ヒカル(あいつ.........かなりキてるな........このままだと俺の身の回りの人間が殺されるのは時間の問題だ..........どうすれば............)
ピンポーン!
ヒカル「........誰だ........こんな時に.........」
ヒカル「はい........」ガチャ.....
老人「.............」
男「............」
ヒカル「すみません、どちら様ですか?今 両親は海外に出張に行ってまして........」
老人「私の名は『バンビ』」
ヒカル「...............」ギィィィ......
老人「あああああああ!!!!ちょっと待ってちょっと待って!!!!閉めないで閉めないで!!!!」グググ......
男「いきなりそう名乗れば誰でも閉めますよ、失礼だけど月風 煜君」
ヒカル「なんで俺の名前を.........!?」
男「そんな事はどうでもいいよ、『口裂け女』の事について話があるんだけど、少しだけでも自分達の話を聞いてくれないかな?」
ヒカル「...............!!」
家の中にて.........
老人「コホン........では、改めて自己紹介しよう私の名は『バンビ』
皆からは『バンビ先生』と呼ばれておるから、そう呼んでくれたまえ!」
ヒカル「またメンドくさそうなのが..........」
男「申し遅れてすまなかったな、自分は青海 海、こちらのバンビ先生からは色々とお世話になってね、先生と一緒に君の家に同行したと言う訳さ」
バンビ
http://livedoor.blogimg.jp/sk910312/imgs/e/e/ee344571.jpg
本名不明の老人、皆からはバンビ先生と呼ばれているらしい
青海 海(カイ)
http://livedoor.blogimg.jp/sk910312/imgs/6/3/63d5d254.jpg
ヒカルたちの高校の卒業生で大学1年生、礼儀正しい常識人で、何かしらの恩があるバンビの事を非常に尊敬している
ヒカル「ご丁寧な自己紹介どーも」
バンビ「本当につれない態度なこって」
ヒカル「それよりも..........わざわざ俺に口裂け女の話を持ちかけてきた理由と、そして今回の口裂け女の件でについてあなたたちが知っている事を話して欲しい」
バンビ「.........急かさずとも、私たちはそれを話すために君を訪ねて来たのだからな」
ヒカル「................」
バンビ「いきなり 質問を質問で返すようで申し訳ないが、口裂け女を倒したのは月風 煜君...........君だと言う事を風の噂で聞いたのだが、本当かね?」
ヒカル「........あれが本当に都市伝説で噂される口裂け女だったのかどうかは知らないが、それらしい女を倒して警察に引き渡したのは確かだ」
バンビ「そうか.........やはり君か.......剣道の全国大会で優勝をさらっているという情報を聞いて元々 信憑性はあったが.........確信に変わった、間違いなく君は口裂け女と対峙し 見事に打ち勝っている」
ヒカル「...............」
バンビ「だが.........」
ヒカル「...............?」
バンビ「君が倒した口裂け女と思わしき女は、口裂け女であって 口裂け女ではない」
ヒカル「.........何を言っているんだ........?あれは口裂け女じゃないとでも言うのか..........?」
バンビ「君が奴と対峙した際、何かしらの違和感を感じなかったか..........?」
ヒカル「...........いくつかは感じた.........俺が都市伝説として聞いた口裂け女は 赤いコートを着ていて、鎌で人の口を切り裂くと聞いた.........だが、あの時俺たちの前に立ちはだかった口裂け女は白いコートに巨大なハサミを使用していた........」
バンビ「ほぉ........初めて未知の恐怖に遭遇したにも関わらず、そこまで冷静に観察していたとは..........なんと聡明な男よ........そこまで知っているのなら話が早い.........」
カイ「.................」
バンビ「単刀直入に言おう、君が倒して警察に引き渡した女は 口裂け女の『長女』だったのだ」
ヒカル「長女............!?」
バンビ「実は口裂け女は三姉妹で姉が二人いる、ハサミを凶器とする長女、斧を凶器とする次女、そして 鎌を凶器とし、都市伝説として語られ、人々を恐怖に陥れた三姉妹の中で最も凶悪とされる三女!!この三姉妹の次女と三女が今、東京内のどこかで殺戮の限りを尽くしているッッッッ!!!!」
ヒカル「................!!」
バンビ「今からおよそ30年前の1979年........口裂け女が日本に出現した時の事だ.........私の息子は口裂け女の三女によって殺された」
カイ「................」
ヒカル「................!!」
バンビ「だから、口裂け女が蘇った2010年現在!!私は息子の仇を討つため 口裂け女を殺す『有志』を探し始めた!!そして君が口裂け女の長女を倒したという情報が入ったため、私は君に口裂け女討伐の依頼をしに来たのだ!!!!」
ヒカル「..............!!」
カイ「俺は口裂け女とは直接的な私怨はないが、恩義あるバンビ先生のため、俺は先生に同行したんだ」
カイ「君も口裂け女に私怨はないと思うし、勝手を承知の上で俺からお願いだ、どうか口裂け女の長女を倒したというその力を 俺たちに貸してくれ!!」
ヒカル「..............」
ヒカル「.........確かに俺は口裂け女に対して私怨はない.......赤の他人の息子の仇打ちだの、恩義だの、俺からしたらどーでもいいしメンドくさいだけだ」
バンビ「.............」
カイ「.............」
ヒカル「........だが.........」
バンビ「..............!」
カイ「...............!」
ヒカル「この東京には、俺の大切な人が沢山いる.........うるさい奴も、騒がしい奴も、鬱陶しい奴も...........全てが俺にとって大切な人で、日常なんだ」
ヒカル「だから、その大切な人たちを、日常を守るため『だけ』に、俺は口裂け女を倒す、そしてまたメンドくさくて煩わしい奴らに囲まれる.......そんな日常を取り戻す」
バンビ「ヒカル君.........!」
カイ「ありがとう........!」
そして.........東京都内の公園にて.........
バンビ「さて......君の加入により、口裂け女を殺す有志は私も含めて『四人』になったな」
ヒカル「四人?」
カイ「バンビ先生と俺、そして君、さらにもう一人、俺たちの依頼を引き受けてくれた子がいてね、今 その子をこの待ち合わせ場所の公園で待っているんだ」
ヒカル「..............」
バンビ「その子の名は『赤土 陸』と言ってな、君と同い年の少年だよ」
ヒカル(赤土.......どこかで聞いた事がある名前だが..........俺たちの学校にはいないな.........別の学校か.........)
バンビ「リクはな、今回の連続殺人事件で口裂け女の三女によって妹を殺されているのだよ」
ヒカル「.............!!思い出した.........ニュースで報道されていた二件目の被害者の女の子.........確か名前は『赤土 千里』だった........!!」
バンビ「そう........そして私たちは三日前、リクの家を訪れた........心苦しかったが、リクにその時遭遇した口裂け女の目撃情報を証言してもらったよ」
三日前、リクの家.......
リク「.............」
バンビ「リク君......こんな時に申し訳ないが.......思い出したくもない光景だと思うが.........その時何が起こったのかを私たちに話してみてくれないか..........?」
リク「.........あの時、俺と千里はお互い偶然下校中に会ったから、一緒に家に帰っていたんだ.........」
リク「俺たちの通学路はしばらく歩くと人気のない道に入るんだ、俺たちはいつも通り、その人気のない道を歩いていた..........するとだ.........」
バンビ「.............!」
リク「ハァッ......ハァッ......」ガクガク.....
カイ「だ.....大丈夫か.....?」
リク「電柱の横に.......あいつが.......立っていたんだ........忘れもしない、赤いコートにマスク.......女なのに信じられない程の長身..........そしてそいつはその見た目に合わない透き通るような綺麗な声で俺たちにこう尋ねたんだ........!!」ガクガク....
「私 綺麗?」って
バンビ「.............!!」
カイ「...............!!」
リク「俺は『口裂け女』の都市伝説を知っていた、だから俺は今の状況をとてつもなく危険に感じた、俺は妹を連れて逃げようとした!!でも妹は『口裂け女』の都市伝説を知らなかった!!妹は無邪気に答えたよ..........!!」
リク「『綺麗』って.........」
リク「するとそいつはマスクを外してその恐ろしい顔を俺たちに晒したんだ.......!!
耳元まで.....ハァッ......裂けた......ハァッ......その口をををを!!ヒィッ!!ヒィィィィィッッッッ!!!!」ガクガク
カイ「待て!!もういい!!もう喋らなくてもいい!!」
リク「そして次の瞬間.......そいつは巨大な鎌を取り出して........妹に掴みかかったんだ.........!!あいつの姿を見たのはそこまでだった............!!」ハァ...ハァ......
バンビ「.............!!」
リク「俺は.......恐ろしさのあまり.......妹を置いて逃げたんだよォ.......必死で俺に助けを求める妹の悲鳴を聞きながらぁ!!!!妹の断末魔の悲鳴を聞きながら.........俺は逃げたんだよォ!!!!死に物狂いで!!!!妹を犠牲にして!!!!俺は逃げ延びたんだよォ!!!!う"わ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」ポロ ポロ
バンビ「...............!!」
カイ「................!!」
ー ー ー ー
ー ー ー
ー ー
ー
ヒカル「...............!!」
バンビ「私らはリクを責める事はできなかった........誰だって、未知の恐怖に遭遇すれば怖いに決まっているし、生き延びるために何かを犠牲にだってし得る..........それに本当に悪は口裂け女なのだからな...........私はそうリクに言い聞かせて宥めた後.........リクにこう言った」
バンビ「『口裂け女が憎くないか?』........と...........」
ヒカル「.............」
バンビ「それを聞いたリクは私にこう答えたよ...........」
リク『憎いか?だって..........?愚問だぜ!!!!憎いに決まってる!!殺してやりたいぐらいにな!!!!』
バンビ『変な事を聞いてすまなかった..........』
リク『でも........妹を殺した口裂け女以上に憎いのは 必死に俺に助けを求めていた妹を見捨てた俺自身だよ.........妹じゃなくて........俺が死ねばよかったんだ.......』
バンビ『いいや、君は死ぬべきではない、君は何も悪くないんだ、本当に悪いのは口裂け女で、死ぬべきなのも口裂け女だ..........昔、私の息子も口裂け女に殺されてね..........私は口裂け女を殺すための【有志】を探しているんだ.........』
リク『..............!!』
バンビ『口裂け女を殺したいのだろう?だったら私たちに着いていけば、口裂け女に遭遇する確率も、殺す事ができる確率も大幅に上がる...........君のその口裂け女を殺したいと言う【執念】で........我々に協力してくれないか.........?』
リク『................』
リク『断る理由がないね.........わかった、俺はアンタらに着いて行くよ........』
バンビ『リク君...........』
リク『絶対に妹を殺した口裂け女をぶっ殺して仇をとってやる!!!!そんでもって自分が犠牲にしてしまった妹の分、俺は一生懸命生きてやるんだ!!!!』
バンビ「こうして、リクは私たちの依頼を引き受けてくれた.........」
ヒカル「...............」
バンビ「しかし、口裂け女と言う本物の化け物相手にたった四人というのはなぁ.........せめて後一人でもいれば.........」
カイ「そうですね.........」
「うぉぉぉーーーーい!!ヒッカルゥーーー!!」
バンビ、カイ「!!??」
ヒカル「.......この声は........」
ノム「何してんだよーヒカルー!!これからカラオケにナンパしに行こーぜッ!!」
ヒカル「メンドくさい奴が来た.........」ハァ-......
ノム「あれ?ヒカルー、この人たちは?こんちゃっス!」
カイ「こ........こんにちは.......」
バンビ「何だ.......いきなり出てきてこの元気さは.........」
ノム「ヒカルー 何してたんだよォ、何回ラインしても既読すらつかねーからさぁ」
ヒカル「ノム、悪いが今日はお前と遊ぶ気分じゃない、早く家に帰れよ」
ノム「なんだよいきなりー!!そんなにツンツンしてたら女の子にモテないぞ♪」
ヒカル「.............」
カイ(う.......うざい........)
バンビ「ヒカル、こうなれば彼に事情を説明して納得してもらい、帰ってもらおう..........」
ヒカル「わかった..........」ハァ-.......
ー ー ー
ー ー
ー
ヒカル「............という訳だ」
ノム「ほーん、つまりお前とそこにいるじーさんたちともう一人の俺らのタメの奴で口裂け女を退治しに行くって訳か..........」
カイ「にわかには信じられない話かもしれないけど全部事実だ」
ノム「ふーん........」
ヒカル「これでわかっただろ?だから早く家に帰...........」
ノム「やだね!」ドン !
ヒカル「..............」
バンビ「.............」
カイ「..............」
ノム「俺も行くよ!なんか面白そーだし!家にいても暇なだけだしな!」ケラケラ
ヒカル「バカッ!!遊びじゃないんだ!!もし俺たちについてきたらお前が口裂け女に殺されるかもしれないんだぞ!!」
ノム「ヒカルが声張り上げるなんて珍しいな...........そんな事わかってるよ、ふざけてる場合じゃない、東京中が今どんなにヤバい状況なのかぐらい、バカな俺でもわかるよ」
ヒカル「..........わかってるんなら尚更帰れ、俺はお前に死んでほしくないんだよ」
ノム「そんなの俺だって同じさ、俺だってお前に死んで欲しくねーよ、だから俺はお前についていくんだよ
俺がお前を守るためにな」
ヒカル「..............!」
ノム「俺は全力でお前を守るからさ、お前は全力で俺を守ってくれよ、俺ら小学校からの『親友』だろ?」
ヒカル「ノム............」
バンビ「..........決まりだな」ニッ
カイ「ええ........適当そうに見えて、心根はしっかりとしている........彼ならきっと心強い味方になってくれるでしょう」
バンビ「それはそうと、リクはまだ来ないのか.........」
カイ「もうそろそろ来てもいい頃ですけどね..........」
リク「おーい!!バンビさーん!!カイさーん!!」
バンビ「おぉ!噂をすればリク!!グッドタイミングだ!!」
赤土 陸(リク)
http://livedoor.blogimg.jp/sk910312/imgs/8/4/84576cad.jpg
妹を殺した口裂け女を殺すため、バンビの依頼を引き受けた
ノムに負けず劣らずチャラい
リク「あれ?なんか人が増えてないか?」
バンビ「この子らは君と同い年の月風 煜と野村 忍だ、訳あって口裂け女討伐に加わってくれたのだ」
リク「へー、そっかぁ!よろしく!」
ノム「よろー!」ヘラヘラ
カイ「ところでリク、随分遅かったけど何してたんだ?」
リク「あぁーごめんさい!ちょっと新しくできたばっかのクレープ屋の女の店員が可愛かったから口説いてたんスよ」ケラケラ
ノム「おぉぉぉー!!あのクレープ屋の店員だろぉ!?メッチャ可愛くね!?」
リク「お!!ひょっとしてお前もあの子口説いたヤツー!?ライン教えてもらおうと思ったけど彼氏いたよなー!!」
ノム「それそれ!!結局はあの子もただのビッチだったわ!」
ノム、リク「ギャハハハハハwwwww」
バンビ、カイ「................」
ヒカル「またメンドくさそーな奴が来たな..........」ハァ.......
バンビ「何はともあれ、これで口裂け女を殺す『有志』は五人揃った
自分の大切な人の仇を討つため、はたまた自分の大切な人を守るため........動機は様々だが、我々の目標はたった一つ、『口裂け女』を殺す事のみ、皆で力を合わせて口裂け女を殺そう!」
ノム「ねーねー!!」
バンビ「ん?どうしたノム?」
ノム「俺さ!この五人のチーム名的なヤツ考えたんだけど言っていいかな?」
リク「おぉー!!言ってみ言ってみ!!」パァ-!!
ノム「.........コホン!」ワクワク
「アーバンヒーローズ!!」
全員「..............!!」
カイ「アーバン........?」
ヒカル「ヒーローズ.........」ゲンナリ....
ノム「東京、つまり『都市』を守る『英雄』たちだから、英語で『アーバンヒーローズ』!!どうよー!!かっけぇだろ!!」
リク「かっけぇぇぇぇ!!いいんじゃねぇのかアーバンヒーローズ!!カッコよすぎるだろ!!」
ノム「よっしゃぁ!!アーバンヒーローズ!!出動だぁッッッッ!!!!」
ノム、リク「オォーーーーーッッッッ!!!!」
バンビ「.........ちょっといいかも」ワクワク
カイ「........そうですか........?」
ヒカル「恥ずかしい.........俺までこいつらと一括りにされるのか..........」
そして..........とある山奥の別荘にて.......
全員「...............!!」
ノム「何だ.....ここ......?」
バンビ「ここは私の別荘だ、今日から君達には一週間、この学級閉鎖の期間を利用して口裂け女と戦う力を身につけるための『特訓合宿』を行ってもらう、ここなら山奥だから君達を鍛えるのにはもってこいだ」
全員「特訓........!?」
バンビ「口裂け女のような化け物中の化け物に対抗する力を君達はたった一週間のうちに身につけなければならない、よって特訓はかなり厳しいものになるが『やりたくない』は通用しない、返事は『はい』のみだ、特訓に耐える力がなければ君達は口裂け女に殺される事になるのだからな」
全員「...............!!」
バンビ「 何 を ボ ケ ッ と し て い る ! ! ! ! と っ と と 運 動 し や す い 服 装 に 着 替 え ん か ぁ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
カイ「はい!!すみません!!バンビ先生!!」
ノム、リク「はぃぃぃぃぃぃ!!!!」
ヒカル(メンドくさい事になってきたな...............)
こうして、アーバンヒーローズの面々は
バンビの元で対口裂け女戦のための特訓を開始するのだった
特訓その一、逃走力(短距離)
バンビ「えー、まず全員の走力を試すために100メートル走をやってもらったが」
ヒカル 12秒19
ノム 11秒74
カイ 13秒25
リク 14秒43
バンビ「このタイムだと口裂け女の12秒フラットから逃れられる可能性があるのはサッカー部所属で走力が鍛えられているノムだけとなる、リクに至っては一番に餌食にされるタイム.......17歳のくせに煙草など吸っているからだ」
リク「んな事言ったって、タバコ吸っててこのタイムだべ?まーまー凄くね?」ゼェ-......ゼェ-.......
バンビ「まぁ.......とにもかくにも......全員 今のままのタイムではやはり心もとない.......これからは午前7時から午前9時までの2時間.........」
バサッ.......
バンビ「全員 この専用パラシュートを身につけた状態で100メートルを12秒フラットで走れるようになってもらう」
全員「..............!!」
リク「えぇ〜!!無理だろこんなのつけて12秒フラットなんてよ〜」
ノム「ドラゴンボールじゃあるまいしさ〜」
バンビ「 い い か ら つ べ こ べ 言 わ ず に さ っ さ と 走 り 込 ま ん か ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」カッッッッ!!!!
ノム、リク「ヒィィィィィ!!!!」ダダッ!!!!
特訓その二、逃走力(長距離)
全員がマスクをつけた状態で山の麓から別荘のある頂上まで駆け上る
マスクをつけて山を走って登る事により、山の酸素の薄い高地トレーニング+マスクによる負荷により、心肺機能と持久力を同時に高める事ができる特訓
カイ「ゼェ.....ハァ......きつい......ゼェ.....死ぬ......ゼェ.....でもこれも.....ハァ.....先生のためだ........」タッタッタッ
ノム「カイさんも......ゼェ......よーやるよ.....ハァ.......あの........ゼェ......じいさん.......ハァ.......口裂け女と戦う前に......ゼェ......俺らを殺す気じゃねーか?」タッタッタッ
リク「おい見ろよ......ハァ.....ヒカルの奴....ゼェ......めっちゃ涼しい顔して走ってねーか?」タッタッタッ
ヒカル「ハァ.......ハァ........」タッタッタッ
ノム「なぁ〜にwwwこいつはいっつもこうなんだよ!ゼェ....ゼェ.....ポーカーフェイス気取ってっけど.....ゼェ.....ゼェ.....本当は今にもうんこ漏らしそうなぐらいキツイんだよwww」タッタッタ
リク「なるほどぉ......ゼェ......実はマスクの下は........ゼェ.......ブルドッグみたいに鼻水ダラダラで......ゼェ......涎ベタベタかもなwww」タッタッタ
ノム、リク「ギャハハハハハハハハハハwwww」タッタッタ
ノム、リク「オェェッッゲホッ!!ゴホッ!!だずげで!!笑っだらむぜだァッッ!!!!ゲホッッゲホッッゲホォォッッッッ!!!!」
カイ(バカなのかこいつらは.........)タッタッタッ
昼食.........
バンビ「よぉし!!いっぱい走り込んだ後は食事にしよう!!しっかり食べて午後からの特訓に備えなさい!!今日のメニューは私特製のお肉たっぷりスタミナカレーだぞぉ!!」
ノム、リク「うひょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!うまそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!いただきまぁす!!!!」ガツガツガツ!!!!
カイ「当たり前さ、バンビ先生の作るご飯は最高に美味しいんだ!!先生 いただきますッッッッ!!!!」バクバクッッッッ!!!!
ヒカル「いただきます.......」パク...
ヒカル(美味い.........!本当に美味い.........それに、何だかとても優しい味だ.........親が子供たちに愛情を込めて作った料理みたいだ........!)パクパク
ノム、リク「うまぃぃぃぃぃ!!!!幸せだぁぁぁぁぁ!!!!」バクバクバクバク!!!!
カイ「先生の作ってくれるカレーはやっぱり美味い!!!!」ガツガツガツ!!!!
ヒカル「〜♪」パクパク
バンビ「これこれ、そんなに慌てて食べなくてもまだまだおかわりは沢山あるからどんどん食べなさい」
全員「「おかわりッ!!」」サッ!!
バンビ「おやおや」ニコッ
特訓その三、攻撃回避
バンビ「さぁ!!午後からはいよいよ戦闘向けの特訓を開始する!!私の攻撃を避けられないようじゃ口裂け女の攻撃は絶対に避けられないぞ!!」シュッ!! シュッ!!
バコンッ!!
カイ「ぐっ........!!」ヨロ.....
バンビ「カイ!!もし今くらったのがプラスチックバットではなく、口裂け女の武器だったらお前は死んでいたぞ!!!!もっと集中せんと口裂け女に殺されるぞッッッッ!!!!」
カイ「はいッ!!」
バンビ「よし次ぃッッッッ!!!!」
特訓その四、攻撃
バンビ「口裂け女の弱点は『ポマード』の他にはべっこう飴!!!!素早くべっこう飴を取り出して投げつけ!!不意をついて口裂け女に一撃を加えるんだッッ!!」
ノム(飴を投げて......!!)ポイッ!!
ノム(相手が飴に夢中になっているスキに一撃を加えるッッッッ!!!!)ドガッッッッ!!!!
バンビ「ノムッ!!飴を投げてからサンドバッグに攻撃を打ち込むまでが遅すぎる、全ての動作を1秒以内に抑えないと通用せんぞッッッッ!!!!」
ノム「うすッッ!!」
特訓その五、戦闘シミュレーション&フォーメーション
口裂け女との戦闘を想定し、それぞれの配置を話し合いながら決め、そして迅速且つ円滑に決められた配置につけるように何度もリハーサルを行う特訓
バンビ「そこでヒカルが口裂け女の背後に回り込んで攻撃を打ち込む!!」
ヒカル「ハァ......ハァ......!!」バッ!!
バンビ「そうそうそんな感じだ!!この時リクはもっと右だッッッッ!!!!」
リク「オスッッ!!」ハァ.....ハァ.....!!
バンビ(この子らは覚え込みが早い........ひょっとして、この分なら......本当にやれるかもしれない........!!)
そして........
全員「ゼェ........ゼェ........」グッタリ.....
バンビ「よし!!今日の特訓はこれで終わりだ!!以上5つの特訓をあと6日間こなしてもらうのでそのつもりで!!」
リク「マジかよ.........」ゼェ....ゼェ......
ノム「これをあと6日間も.........学校の部活よりも何百倍もキツイじゃねーかよ.........」ゼェ......ゼェ.......
カイ「リク......ノム.......文句を言うな........先生の言う通りやってれば.......間違えはないんだから........」ゼェ.....ゼェ......
ヒカル「...............」ハァ......ハァ.......
夜..........寝室にて
カイ「ムニャ.........」ス-.....ス-.....
リク「..............」ス-....ス-.....
ノム「グォォォォォォ!!スピィィィィィィ!!」zZZ
ヒカル(..............)ムク......
ベランダにて..........
ヒカル「..............」
この前、俺はかろうじで口裂け女の長女を倒す事ができた........だが、あれは偶然上手く不意を突くことができたからだ........
ひょっとして次女や三女には同じ手は通用しないかもしれない.........
本当に俺たちみたいな子供が........口裂け女を倒せるのだろうか............
「ヒカル」
ヒカル「リク............!」
リク「こんな所にいたのかよ、なに黄昏てたんだよ?お前もノムのイビキがうるさくて寝れなかったヤツか」ケラケラ
ヒカル「.........それもあるけど、ちょっと気分転換に外の空気を吸おうと思ってな」
リク「ふぅーん..........なぁ、ヒカル」
ヒカル「ん?」
リク「ヒカルはさ、何で口裂け女を殺そうと思ったのよ?」
ヒカル「..........そうだな.........」
ー ー ー
ー ー
ー
リク「そっかぁ、自分の身の回りの人たちを守るため.......かぁ........」
ヒカル「ああ、ノムも含めてな」
リク「ヒカルさぁ、何で俺が口裂け女を殺そうとしてるか理由知りたい?」
ヒカル「........その事ならバンビさんたちから聞いたよ、その.......気の毒だったな.........」
リク「俺さ、今スゲー後悔してるんだ、妹の事 もっと大切にしてれば、もっと気にかけてやればよかったって..........妹を殺されて妹の大切さがよくわかったよ」
ヒカル「.............」
リク「その大切さに気づいた所でもう妹は戻ってこない、死んだ人間が帰ってくる事はないんだから」
ヒカル「.............」
リク「でもさ、ヒカル!お前はまだ大切な人は殺されていないんだからさ!絶対に守ってやれよ!いなくなって俺みたいに後で後悔するような奴になるなよ!」ニカッ!
ヒカル「.........リク...........ありがとう.........」
リク「ところでさーヒカルちゃぁん?」
ヒカル「?」
リク「お前が言ってた彼女のレイラって子可愛いの!?どうよ!!どうよ!!」ワクワク!
ヒカル「勝手に彼女にするなよ.......ただ幼稚園の頃からずっと一緒にいたってだけだよ、あいつは可愛いと言うより心配になるんだよ、あまりにもガキ臭すぎてな」
リク「写メ見せてみ写メ!!」バッ!!
ヒカル「あ、おい人の携帯勝手にいじんなよ」
ギャ-ギャ-ワ-ワ-!!ハハハハ!!
それからも、アーバンヒーローズの面々は厳しい特訓に明け暮れる毎日を過ごしていた
初めは死にかける程辛い思いをした特訓だったが、合宿開始から4日を過ぎる頃には四人はこの厳しい特訓に適応していき、体力的にも精神的にも格段に成長していった
だが、アーバンヒーローズの面々がこうして特訓をしている間にも
口裂け女達は東京内で犠牲者を増やし続けており、合宿5日目を過ぎる頃には犠牲者の数は14人となっていた
この報道を聞いた四人はいても立ってもいられなくなり、口裂け女を止めに行きたいとバンビに志願するがバンビは
「まだ機は熟していない、今の実力のまま口裂け女に挑んでも全員が返り討ちにあって殺される、東京に住む人々には申し訳ないが、今はグッと堪えて特訓し、必ず口裂け女を倒せるほどの力を身につける事が、より多くの人々を救う事になる」
と四人を叱咤する
誰もバンビの言葉に異議を唱える者はいなかった
バンビの言うとおり、多くの人々を救いたければ、自分たちが強くなって口裂け女の息の根を止めるしかない と誰もが考えを改め、そして特訓に励むのであった
そして合宿5日目..........
バンビ「こりゃあすごい!!パラシュートを外した状態であれば全員100メートル走のタイムが11秒台になってるぞ!!」
ヒカル 11秒42
ノム 11秒03
カイ 11秒55
リク 11秒89
バンビ「しかも1日の特訓のカリキュラムを終えて疲労しきった状態でこのタイム!!口裂け女から逃げ切るには申し分ないタイムだ!!」
リク「どうよぉ!!俺だってやりゃあできるんだぜぇ!!」ドヤァ
カイ「本当に皆すごい成長だよ、リクに至ってはあのタイムからここまでよく縮めたもんだ」
リク「ヘッヘッヘ!!」
バンビ「これで今日の特訓は終了だ!!この合宿も残すところ後2日となった!!明日からは仕上げとして今まで以上にビシバシ鍛えるからそのつもりで!!」
全員「「はい!!!!」」
そしてその日の晩...........
カイ「ごちそうさまでした!!」
ノム「ふぃー食った食ったぁ」ゲプッ
リク「やっぱバンビさん料理上手いわー、食後のデザートも充実してたしさー」
バンビ「ハッハッハ!経験というものだよ、伊達に歳はとってないからなぁ、所でだ諸君」
全員「?」
バンビ「風呂に入り終わったらパジャマではなく私服に着替えてくれ、少しばかり外に出て欲しい」
ノム「げ〜!!食後の特訓かよ〜!!」
リク「いや、ひょっとして五日間頑張ったご褒美にキャバクラに連れてってくれるのかもしんねーぜ!」ワクワク
バンビ「いやいや、ちょっと散歩にでも行こうかと思ってな」
カイ「散歩.........?」
全員「...............?」
バンビ「まぁまぁ、とにかく風呂に入り終わったら支度してでかけよう!皆に見て欲しい物があるからな」ニコッ!
ノム、リク「うわ〜、なんかその笑顔が怖ぇぇ〜!!」
ヒカル「................」
風呂上がり、山道にて........
全員「..............」ザッ ザッ ザッ......
ノム「お〜いバンビさん、まだ歩くのかよ〜」ブ-ブ-!!
リク「まだ着かないのかよ〜」ブ-ブ-!!
バンビ「後もう少しで着くぞ〜」ザッザッ
リク「後もう少しってさっきから300回ぐらい言ってるじゃん」ザッザッ
バンビ「本当に後もう少しだよ、これしきの事で音をあげるとは二人ともだらしないぞ〜?」ザッザッ
カイ「しかしバンビ先生、確かにもう1時間程歩いてますが バンビ先生が自分達にお見せしたい物がある場所にはまだたどり着かないのでしょうか..........?」ザッザッ
ノム、リク「俺もう歩けねーよー!!!!」「誰かおんぶしてくれー!!!!」ブーブー!!
ヒカル「やれやれ、うるさい.........」ハァ........
バンビ「お!あそこに光が見えるだろう?あそこから森を抜ければ到着だ!!」
リク「よっしゃ!!おっさきー!!」ダッ!!
ノム「あ!リク!!抜け駆けしやがって!!」ダッ!!
カイ「元気だなー、あいつらは」ニコニコ
ヒカル「ガキじゃあるまいし........」
リク「よっしゃあ!!一番乗りゴールッッ!!」ハァ ハァ
ノム「くっそー!!リクに負けたぁ!!」ハァ ハァ
リク、ノム「................!!」
リク、ノム「すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
カイ「二人とも凄いリアクションだな、一体そっちに何があるんだい?」タッタッ
リク「いいからいいから!!カイさんも早くこっち来てみてくださいよ!!スゲーッスよ!!」バァ-!!
ノム「ほら!!ヒカルもボサッとしてねーで早くこっち来いよ!!」パァ-!!
ヒカル「騒がしいな、何がそんなに凄いんだよ」タッタッ
ノム「空ッ!!空ッ!!」クイクイッ!!
カイ「空..........?」スッ....
ヒカル「..............」スッ.....
ヒカル「.............!」
カイ「おぉ.........!」
ノム「どうよ!?スゲくね!?スゲくね!?」キラキラ!!
リク「なんでお前が得意げなんだよw」ビシッ!!
ノム「あてw」
ヒカル「........綺麗だな.........」
カイ「ああ......東京内でこんなにも星が綺麗に見える場所があるなんてな........先生が自分達にお見せしたかったものとはこれのことなんですね.......!」
バンビ「その通り、この合宿中にどうしても君達にこの星空を見て欲しかったのだ、この山の周りには住宅街や工場がなく、空気の透明度が高くて星空が綺麗に見えるし、山のここの部分だけは木が生えておらず、ただの平地だから木に遮られる事なく空が見えるのだよ」ニコッ!
全員「...............」ウットリ.....
バンビ「ところで、来週の日曜日にこの山の近くで冬季花火大会があるのを知っているか?」
全員「.............?」
バンビ「ここは丁度いい位置で花火を見る事ができる特等席みたいなものでな、私の毎年の楽しみの一つなのだよ........だから..........口裂け女を倒して東京に平和が戻ったら...........」
バンビ「その時は、またここに来よう、そして、みんなで花火見ような」ニコッ!
カイ「先生...........そうですね、きっとまた、みんなでここに戻ってきましょう!」ニコツ!
ノム「ああ、絶対みんなで花火見るんだ!」ニッ!!
リク「そして帰り道は花火大会に来た女の子にナンパするんだ!」グッ!
ノム「ちょwおまw」ビシッ!
リク「へへw」
ヒカル「...............」フッ.....
何年ぶりだろう..........こうやって、馬鹿みたいに騒がしくて鬱陶しい奴らと星空を見て、心が躍って............
「また、みんなでこの星空を見たい」って思う事ができたのは.........
きっと、こいつらと一緒にいたからこんな気持ちになれたんだろうな.........
ヒカル「なあ........みんな.........」
全員「..............?」
ヒカル「ありがとうな」ニコッ
全員「...............!」
ノム「........なぁに急にかしこまってんだよヒカルwwwお前らしくもねーわwww」バンバン!
ヒカル「う.......うるさいな......俺にだってそーいう時はあるんだよ///」
リク「お前笑ったらなかなか可愛いじゃんかよ!」ケラケラ
カイ「ヒカル、なんだか会った時より表情が豊かになってきたな」ニッ
ヒカル「............///」
ノム「まぁとにかくだな...........」
ノム「絶対に口裂け女をぶっ倒して、みんなで花火見にここに戻ってこようぜ!!」
全員「「オォーーーッッッッ!!!!」」
バンビ「..............」ニッコリ
こうして、アーバンヒーローズの面々が大切な約束を交わし合った夜は明ける..........
そして、特訓合宿最終日..........
ノム「で............!!」
全員「できたぁ!!!!」「対口裂け女用フォーメーション!!完成だぁ!!!!」
バンビ「うんうん!みんなここまでよく頑張ってくれた!よく耐えてくれた!君達はこの一週間で口裂け女に対抗できる程の『力』を身につけた!!」
全員「...............!」
バンビ「厳しい事も、無理難題も沢山君達に課してきた..........だが、君達は誰も諦めることなく私についてきてくれた、ありがとう!!そして!!一週間お疲れ様!!以上で対口裂け女戦の特訓は終了だ!!今日はしっかりと休んで明日に備えるように!!」
全員「「はいッッ!!ありがとうございましたッッ!!」」
こうして、アーバンヒーローズの一週間に渡る辛く厳しい特訓は終了した
ヒカル、ノム、リク、カイの四人は、明日の口裂け女との戦いに備えて 死んだように眠りについていた
カイ「先生....ムニャ....俺は必ずやります...」
リク「.............」スピ-.....スピ-......
ノム「グォォォォォォ!!!!ギリギリギリ!!!!ガォォォォォ!!!!」
ヒカル「.............」
その頃..........
刑務官「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ドシャァッッッッ!!!!
長女「ケヘへ...........」ユラ......
刑務官2「そ.......そこを動くな!!『マスクの女』!!う......動いたら撃つぞぉッッ!!」ガクガク.....
長女「ケヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!!!」バッ!!
刑務官「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ザシュッッッッ!!!!
『囚人ナンバー666!!通称【マスクの女】が刑務官二人を殺害して所内から脱走!!近隣の者は警戒すると同時に注意されたし!!!!』
翌朝...........
テレビ「昨日午後22時頃、東京都〜区の刑務所で殺人犯の女が刑務官二人を殺害し、脱走しました、近隣の住民の..........」
全員「...............!!」
バンビ「遂に.......やりおった.....!!」
カイ「つまり 今東京では三人の口裂け女が徘徊していると言う事か......!!」
ヒカル「俺のせいだ........!!」
全員「..............!?」
ヒカル「あの時俺が殺していなかったからだ.........!!」ダッ!!
ノム「おい待てよヒカル!!俺も行くよ!!」ダッ!!
バンビ「待つんだ二人とも!!!!」
ヒカル「!!」
ノム「なんだよバンビさん!!なんで止めんだよ!!」
バンビ「冷静になるんだ ヒカル、ノム、今行った所で口裂け女はまだ出現しない、口裂け女が動き出すのは夕暮れ時........つまり17時頃だと.......私は教えなかったか?」
ヒカル「そうでした..........取り乱してすみません........」
ノム「すんません...........」
バンビ「いいか!我々の作戦決行は今日の17時!!私の見立てが正しければ奴らは必ず『あの場所』に向かうはずだ!!我々は奴らが『あの場所』に足を踏み入れた瞬間!!そこを一気に叩く!!各々が一週間練習したシミュレーション通りに動いてくれ!!いいな!!」
全員「はいッッッッ!!!!」
そして夕暮れの五時頃.........とある病院の外...........
長女「..............」チャキン......
「やはりここに来たか、口裂け女長女」
長女「!!」
バンビ「お前は必ずここに来ると思っていたぞ..........!さあ、今のうちに念仏でも唱えるんだな」
四人「...............」ザッ......!!
長女「................!!」
ノム「ひぇぇ〜!!やっぱ怖ぇよぉ〜!!来なきゃよかったぁ〜!!」ガクガクガク
リク「お前せっかく四人かっこよく登場したのに台無しじゃねぇかー」ブ-ブ-!!
カイ「そうだぞノム、ここまで来たらもう後戻りはできないぞ」
ヒカル「............しかし、口裂け女長女は必ずこの病院に来るってバンビさんの読みは見事に当たっていたな」
長女「................」シャキン!!
バンビ「相手が武器であるハサミを構えたぞ!!それぞれ特訓した通りに動くんだ!!作戦開始!!」
全員「「はいッッ!!」」ダッッッッ!!!!
長女「!!」
バンビ(まずは四人全員バラバラの方向に散り、口裂け女を錯乱させる!!皆素晴らしい逃げ足だ!!特訓した成果が出ているぞ!!)
長女「...............!!」
バンビ「どうした?誰も追いかけないのか?」
バンビ「それとも私を殺すか?」
長女「................!!」
バラバラバラーーー!!!!
長女「!!」
バンビ(次に物陰からのべっこう飴、遠くに逃げたと思わせて近くに身を潜め、四方から口裂け女の好物であるべっこう飴を投げつける.........これにより口裂け女をさらに錯乱させる..........!!)
カイ(うまく行ったようだ......!!)
ヒカル(............)フゥ-.......
ノム(うめぇ〜)ペロペロ
リク(うめぇ〜)ガリゴリ
バンビ(そして仕上げだ!!口裂け女が飴に気を取られているスキに.......!!)クイッ!!
全員「よっしゃあッッッッ!!」バッッッッ!!!!
長女「!!!!」
バシィッッッッ!!!!ドガッッッッ!!!!ゴンッッッッ!!!!ボカッッッッ!!!!
長女「がぁ...........!!」ドサ.........
バンビ「全員で一斉に攻撃をしかける、数多くの人を殺め続けたお前に卑怯な手を使う事など躊躇いはせん」
長女「か.........あが.........」ヒク....ヒク......
バンビ「................」
リク「バンビさん!死なねー程度に攻撃したからこいつはまだ生きてるっスよ!!」
ノム「記念すべき1人目!!サクッと決めちゃってくださいよバンビさん!!」
バンビ「............ああ.......」チャキン......
カイ「..............」
バンビ「永遠に冷める事のない夢に落ちるがいい」スッ.........
ザシュッッッッ!!!!
ヒカル「..............!」
バンビが口裂け女の長女にナイフで止めを刺す瞬間、ヒカルにはバンビが「すまない」と呟いているように見えた
長女「」シュゥゥゥ.......
ノム「口裂け女の体が灰になっていくぞ!!」
バンビ「口裂け女は本来いるべきはずでない存在が実体化したもの、死ぬと同時に肉体は形を保てなくなり 消え失せるのだろう.......」
リク「やったぁ!!口裂け女の長女は死んだんだ!!」
バンビ「.............さぁ、次は次女だ、奴がこれから出現するであろう場所も大方見当はついている」
リク「よし行こうぜ!!早くしないとまた新たな犠牲者が出るぜ!!」
カイ「...............」
ヒカル「..............」
とある工場の裏.........
DQN「ケッ!!あの糞社員 俺より年下のくせに俺を散々こき使いやがってよー」ペッ!!
DQN2「お前がシャブきめて車運転してババア引き殺さなきゃよかった話じゃんwww」
DQN「それなwwwでもたかが老いぼれのババア引いて逃げたぐらいで前科者にして会社クビにするとかマジ訳わかんねーわ、あぁーシャブ吸わねーとやってらんねーわ」スパァ-
DQN2「はいでたー すぐヤクに逃げるやつーwww」
DQN「ケケケケwww」
DQN2「...........ん?」
女「..............」
DQN2「なんだこの女.......いつの間に俺らの近くにいたんだ........?」
DQN「ねぇお姉さんさー今日暇?俺らと遊ばね?」
女「ねえ、私 キレイ?」
DQN「ああキレーキレーwwwキレーだからそのマスク取ってキレーな顔俺らに見せてよオネーサァンwww」
女「...............」
DQN「おい何か喋れや、シカトぶっこいてっと犯すぞコラ!!」
DQN2「お.........おい.......なんかこの女ヤバくね?」
DQN「あ?何がヤバいん..........」
女「これでも?」ハラ........
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
ドシャァッッッッ!!!!
全員「.............!!」ザッ!!
バンビ「見つけたぞ!!口裂け女次女!!」
次女「!!」
DQN2「ひ.......ひぇぇぇぇ......!!」ジョボボボロ........
DQN「」
バンビ「遅かったか........!!」
次女「..............!!」バッ!!
リク「あ!!逃げた!!」
カイ「逃亡とは意外だ!!」
バンビ「すぐに奴を追うんだ!!」
全員「「了解!!」」ババッッッッ!!!!
カイ「待てぇぇッッッッ!!!!」ダダッ!!
次女「.............!!」ダダッ!!
ノム「あいつ思ったより足速くねーぞ!?」ダダッ!!
リク「逃がすかよ!!」ダダッ!!
ヒカル「........何かおかしくないか......?」ダダッ!!
全員「..............?」ダダッ!!
ヒカル「まるで あいつから俺たちを人目につかない場所に誘い込んでるような.......」ダダッ!!
全員「.............!!」ダダッ!!
次女「..............」ピタ......
全員「!!」ザッ!!
リク「止まったな........」
カイ「この空き地なら確かに人目につかずに戦えるな........」
次女「................」ス.........
リク「斧.........!!」
カイ「あれがあいつの武器か!!」
ノム「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」ガクガク
次女「...............」グァッ!!!!
カイ「来るぞ!!!!」
ズガァッッッッ!!!!
土管「」ガシャァ!!
ノム「ひ.........ひぇぇぇッッ!!嘘だろぉ!!」
カイ「斧で土管を粉々に.........!!」
ズガァッッッッ!!!!ゴシャァッッッッ!!!!ガシャァッッッッ!!!!
カイ「逃げろぉッッッッ!!!!こんなのを一発でもくらったら即死だぞ!!!!」ダダッ!!!!
ノム「洒落にならん洒落にならん!!!!」ダダッ!!!!
リク「こんなの無理ゲーじゃねぇかよォ!!!!」ダダッ!!!!
ズガァッッッッ!!!!ガシャァッッッッ!!!!バゴォッッッッ!!!!ドゴォッッッッ!!!!
ノム「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あいつ完全に長女の上位互換じゃねぇかよォ!!!!」ダダッ!!
カイ「100メートルは13秒って所か!!でもスピードがない分パワーに特化してるみたいだ!!」ダダッ!!
リク「んな呑気に解説なんかしてる場合スかぁ!!!!」ダダッ!!
ノム「そうだ!!!!べっこう飴!!!!べっこう飴をあいつに投げつければいいんじゃないか!!!!」ダダッ!!
リク「おおそうだった!!!!テンパッててすっかり忘れてた!!!!」ダダッ!!
ノム「よっしゃ行くぞ!!!!」ダダッ!!
リク「せぇーのッッッッ!!!!」ダダッ!!
ノム リク「食らいやがれ!!!!」バラバラッッッッ!!!!
次女「.............」ダダダッ!!!!
リク「嘘だろ!!全然見向きもしねぇぞ!!!!」ダダッ!!
ノム「うわぁぁぁぁぁ!!!!ポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマード!!!!」
ド ガ シ ャ ァ ッ ッ ッ ッ ! ! ! !
全員「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ダダダダッッッッ!!!!
リク「やばい......ゼェ.....ハァ.....もうそろそろ息が........」ドタドタ.........
ノム「リクッッッッ!!!!」ダダッ!!!!
カイ「リクッ!!諦めるな!!走れ!!追いつかれるぞ!!」
リク「もう無理....ゼェ.....もう....ハァ.....限界........」ヘナヘナ.......
次女「............」グワァッ!!
ノム、カイ「リクッッッッ!!!!」
ヒカル「くっ........!!」ダッ!!
ノム「ヒカルッ!!」
カイ「ヒカル......あいつと戦う気か......!!無謀だ.......!!」
ヒカル「リクッ!!」バッッ!!
次女「!!」ピタ......
リク「ヒカルゥ......!!」
ヒカル「来い口裂け女、俺が相手だ」ザッ.....
次女「..............」スッ..........
カイ「ヒカル.......何か勝算があるのか.......?」
ノム「いくらヒカルでも竹刀だけで斧を持った化け物を倒そうなんて無茶だ.......!!」
ヒカル「.............」ス.......
剣道には3本勝負があるが、本来ならばそれはありえない........お互いに剣を交えたのならば勝負は一度きり.........そして勝負は一瞬だ
ならば............
ヒカル「メェェェンッッッッ!!!!」バッッッッ!!!!
余計な探り合いや駆け引きは不要!!一太刀目から勝負を決めに行く!!
バキッッッッ!!!!
ヒカル「!!」
ノム「な.......斧で竹刀をへし折られた!!」
カイ「まずい!!もうヒカルには武器がない!!逃げろヒカルッッッッ!!!!」
ヒカル「...........」シュバッッッッ!!
次女「!!」
ノム「ヒカルの奴!!ナイフを隠し持ってたのか!!」
ガキィッッッッ!!!!ガシッ!!
ヒカル「!!」
長女「...............!!」グッ.....
カイ「でもダメだ!!ナイフも斧で防がれた上にナイフを持っている手を掴まれた!!」
ノム「ヒカルゥゥゥゥッッッッ!!!!」
パンッッ!!!!
全員「!!!!」
次女「うあ...........!!」ドサァッッ!!
ノム「これは.........!!」
カイ「足払いだ!!!!」
ヒカルはこの瞬間を狙っていた
一撃目の面打ちはフェイク、竹刀を折られる事もヒカルにとって計算のうち!!
相手の武器を破壊し、僅かに油断を見せた口裂け女次女にすかさずナイフで攻撃を加える!!
これも二重のフェイクであり、油断していた口裂け女にとってナイフの登場は想定外であり、両手でガードしてしまった事により 口裂け女は両腕を塞いでしまった上に足元への集中を怠ってしまった
ヒカルはその一瞬の隙をついて足払いで口裂け女の足を払い、倒す事に成功した!!
ヒカル「.............」チャキン........
次女「............!!」
カイ「すごい.......斧を奪い取って、斧とナイフを口裂け女の首に突きつけている........!!勝負あったな........」
ノム「口裂け女も化け物だけどヒカルも大概は化け物だわな..........」
リク「ヒカルくぅぅぅぅん!!!!カッコいいよぉぉぉぉ!!!!」キャー!!
バンビ「なんと......もう勝負がついていたのか.......!!」ハァ....ハア.....
カイ「先生!」
リク「バンビさんもう歳なんスから無理して走んない方がいいっスよー!」
次女「..............」
ヒカル「これで終わりだ........命乞いをしたいならしてみろ.........」チャキ......
次女「いいえ.........」
全員「.............!!」
ヒカル「..............」
次女「命乞いなんてするつもりはないわ、私はここにいちゃいけない存在って事...........わかってるもの...........でも.........」
次女「私を殺す前に 話を聞いて欲しいの、私達 三姉妹の話を...........」
全員「..............!!」
ヒカル「わかった.......話してくれ......」スッ.......
ノム「おいヒカル!!なんでそいつから離れるんだよ!!」
リク「まさかお前そいつを助けてやるんじゃ........!!」
ヒカル「いや こいつは殺すさ、話を聞いた後でな........もうこいつには抵抗の意思はもうないし、それに.........なんとなくこいつには少しだけ人の『心』があるような気がするからな...........」
バンビ「..............」
カイ「..............」
ヒカル「さあ、話してくれ.........お前たち三姉妹の事を.........」
次女「ええ.........」
次女「私達 三姉妹は元々人間だったの........昔は父と母と私達三人で暮らしていた..........」
全員「...............」
次女「でもね、私の姉が整形手術に失敗した事で自殺してしまった事を境に、私達は立て続けに死を迎えた.........私は交通事故でトラックに轢かれて死んだ...........そして妹は姉と私を一気に二人も失った苦しみで自殺してしまった............」
バンビ「..............」
次女「私達三姉妹の口が裂けてしまった元々の理由はね..........姉は整形手術の失敗.........私は轢き逃げ...........そして妹は姉二人を失った苦しみから自分の口を切り裂いた事なの............」
ヒカル「じゃあ、長女は医者を恨みながら死んでいき.......お前は轢き逃げ犯を恨みながら死んでいった結果、妖怪化して恨みの対象である者を殺していたと言う事か..........」
次女「ええ、姉が医者ばかりを、私が轢き逃げの逮捕歴がある人物をね..........でも何故か姉はあなたたちを襲ったみたいだけど.........」
全員「...............!!」
リク「じゃあ.........三女は.......三女の恨みの対象は何なんだってんだよ!!!!何で俺の妹は殺されなきゃならなかったんだよ!!!!」
ノム「リク.........」
次女「妹は.........私の妹は 二人の姉の命を奪ったこの世の全てを恨んで死に、妖怪化した...........」
全員「................!!」
リク「それってまさか............!!」
次女「あの子の恨みの対象はこの世に生きる全ての人.........生きている限り 悪人も善人も 無差別に殺していく.........」
全員「................!!」
次女「元々、口裂け女として人を殺し始めたのは三女であるあの子だけ........あの子ひとりだけが人を殺し続けていた..........私達は........あの子ひとりだけを悪人にしたくなかった..........だから私達も..........人を殺して悪になった.........どうしてもあの子をひとりにしたくなかった..........」
全員「................!!」
次女「私達は取り返しのつかない事をした.........多くの人を殺して..........多くの人を悲しませた............でも、もう私達ですらあの子を止める事はできなかった..........」
次女「だから私は 未だに暴走するあの子に.........口裂け女に立ち向かえる程の力がある人を探した.........そしてあなたたちと出会って..........あなたたちと戦った...........」
ヒカル「俺たちに........口裂け女を止めれる程の実力があるかどうかを試したと言う事か............」
全員「................」
次女「.........勝手な事だって.........わかってる.........でも.........でもお願い..........」
次女「あの子を殺して..........あの子を助けて...........!」ポロ ポロ........
全員「...............!!」
次女「もう........あの子が恨みに縛られて暴走する姿を見たくないの..........お願い..........あなたたちならきっと.........」ポロ ポロ........
リク「ざけんなよ..........」ワナワナ......
ノム「リク..........」
リク「ざけんじゃねぇよッッッッ!!!!お前らの都合で散々人を殺しておいていざお前らが困ったら助けてくれだと!!??人おちょくるのも大概にしやがれッッッッ!!!!」
ヒカル「..............」
リク「妹を.........妹を返せよ.........返してくれよぉ.........」ポロ ポロ.....
次女「ごめんなさい........ごめんなさい............」ポロ ポロ.......
バンビ「...............」
次女「でもお願い........あの子を.........」ポロ ポロ......
次女「あの子を助けてぇ!!」ポロ ポロ
ザシュッッッッ!!!!
全員「 ! ! ! ! 」
次女「あ........かは........」ドサッ........
突然の出来事に、四人は一瞬何が起こったか理解できなかった
口裂け女次女が突然背中から血を流して倒れた
だが、その時 四人が注目していたのは背中から大量の血を流して倒れている口裂け女次女ではなく
その後ろにある『恐怖』だった
ノム「あ...........うあ........!!」ガクガクガク......
ヒカル「..............!!」
カイ「あ........ああ..........」ザッ......
リク「..............!!」
バンビ「遂に..........現れたか.........!!」
バンビ「 口 裂 け 女 ァ ッ ッ ッ ッ ! ! ! !」
口裂け女「..............」
次女「う"........あ"あ".......」シュゥゥゥ.......
口裂け女「.............」
全員「...............!!」
ヒカル「..............!!」ハァ....ハァ.....
何だ.....!?この今まで感じた事のないようなとてつもない『恐怖』は.........!!長女と次女の恐怖とは比較にならない.........
額から.......掌から.........全身から汗が溢れてくる............鳥肌が立って、寒気が止まらない............!!
この場から..........この場から逃げ出したくなるが..........蛇に睨まれたみたいに体が硬直して動かない..........
これが.........口裂け女..........
これが.........本当の恐怖.......!!
リク「................」フルフル.......
赤いコートに巨大な鎌..............そして、長身の悍ましい風貌.........忘れはしねぇ.........
あいつが...........あいつが妹を.........
千里を殺した口裂け女だ..........
許せねぇよなぁ...........あいつだけは......あいつだけは........!!
絶 対 許 さ ね ぇ ッ ッ ッ ッ ! ! ! !
リク「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」ダッッッッ!!!!
全員「リクッッッッ!!!!」
ノム「待て!!!!リク!!!!やめろぉぉぉッッッッ!!!!」
『お兄ちゃーん!』
千里を...........千里を殺した罪..........!!
リク「しんで償いやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッ!!!!」バッッッッ!!!!
口裂け女「................」
リク「うおぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」グワァッッッッ!!!!
全員「リクゥゥゥゥゥゥゥゥッッッッ!!!!」
スパン
次の瞬間、その場にいた全員が目撃した光景は、リクの頭部が大量の血飛沫とともに宙を舞う瞬間だった
リクの首「」ゴロ......
全員「................!!!!」
ノム「う........うあ.......うぅ.......!!」ガクガク.........
ノム「オェェッッ!!ゲホッ!!ゴホッ!!」ビチャビチャビチャ!!
カイ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!リクッッッッ!!!!リクッッッッ!!!!」
バンビ「...............!!」
ヒカル「リ.........ク...........?」
リクの首「」ドクドク.....
ヒカル「嘘.......だろ...........?」
『この子らは君と同い年の月風 煜と野村 忍だ、訳あって口裂け女討伐に加わってくれたのだ』
『へー、そっかぁ!よろしく!』
ヒカル「..............」
『バンビさんのメシうめぇよォ!!』
『汚いな、喋りながら食べるなよ......』
ヒカル「............!!」
『ヒカルくーん?なぁに風呂にタオルなんか巻いてるのかなぁ〜?脱げ脱げー!!チン長チェーックッッ!!』
『うわッッ!!バカやめろッッ!!』
『で.......でけぇ.........参りました.........』
ヒカル「........うああ........」ワナワナ.....
『妹を殺されて妹の大切さがよくわかったよ』
『死んだ人間が帰ってくる事はないんだから 』
『でもさ、ヒカル!お前はまだ大切な人は殺されていないんだからさ!』
ヒカル「あ........あああ.......!!」ポロ ポロ........
『絶対に守ってやれよ!』
ヒカル「 う あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁッ ッ ッ ッ 」
全員「!!!!」
ノム「ヒカル.......!!」
ヒカル「殺してやる..........イタズラに人の命を奪った事を後悔しろ..........」ゴゴゴゴ........
口裂け女「...............」
ヒカル「地獄でなァッッッッ!!!!」ダッッッッ!!!!
バンビ「よせッッ!!!!ヒカル!!!!リクの二の舞になるだけだッッッッ!!!!やめろぉぉぉぉッッッッ!!!!」
ヒカル「バラバラにしてやる!!!!口裂け女ァッッッッ!!!!」グワァッッッッ!!!!
口裂け女「...............」ス.........
ヒカル「!!!!」バッッッッ!!!!
口裂け女が鎌を構えた瞬間、ヒカルは本能的に体を後ろに退けた
バキャァッッッッ!!!!
ヒカル「.............!!!!」
カイ「一振りでナイフがバラバラに割れた..........!!」
ヒカル「..............!!」ゾ.....
危なかった........もしも後 数センチ前に踏み込んでいたら 俺も首を刎ね落とされる所だった............!!
口裂け女「ケケケケケケケケ!!!!」ドヒュンッッッッ!!!!
ヒカル「来る...........!!!!」
スッ!!
ヒカル「え..........!!」
通り抜けた.........!?あの方角は.........!!
ヒカル「ノムッッッッ!!!!危ないッッッッ!!!!」ダッッッッ!!!!
ノム「あ.............」ガクガク.....
口裂け女「ケケケケケケケケケケケケケケケケ!!!!」バッッッッ!!!!
ヒカル「くそ........!!間に合わない......!!!!」ダダダッ!!!!
口裂け女「オホホホホホホホホ!!!!」グワァッッッッ!!!!
ノム「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
ヒカル「ノムッッッッ!!!!」
ガシィッッッッ!!!!
ノム「.................!!」
カイ「ぐ.........うぉぉ........!!」グググ.......
ノム「カ.......カイさん!!!!」
口裂け女「邪魔をするなぁッッッッ!!!!」ズバァッッッッ!!!!
ノム「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」ドサァ!!
バンビ「カイッッッッ!!!!」
ノム「うわぁぁぁぁぁぁぁぁカイさんッッッッ!!!!」
ヒカル「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッ!!!!」
ザクッッッッ!!!!
口裂け女「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」ドシャァッッッッ!!!!
バンビ「あれは........次女が残していった斧.........!!く........!!カイが囮になった事により、一撃を加える事ができたとは.......なんという皮肉...........!!」
口裂け「ぐあ........あがぁ........」ボタボタ.........
口裂け「ぐぅ............!!」ダダッッッッ!!!!
ヒカル「口裂け女が........逃げていく.........」ハァ.....ハァ.......
ノム「カイさん!!!!カイさん!!!!」
ヒカル「!!」
ノム「口が........口が裂けてるよ!!うわぁぁぁぁぁ!!」ポロ ポロ
カイ「ぐ........がぁ..........」ドクドク......
バンビ「すぐに救急車を呼ぶんだ!!カイはまだ助かる!!!!」
ノム「リクは...........」
バンビ「................!!」
ノム「リクはどうなるんだよ!?リクはもう助からないのかよ!!」ポロ ポロ
バンビ「............」
ノム「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ポロ ポロ
ヒカル「.............」
『死んだ人間が帰ってくる事はないんだから』
ヒカル「..............」ポロ ポロ......
『絶対に守ってやれよ!』
ヒカル「守れなかった...........ごめん.........リク.........グスッ.......ごめんよ......ヒグッ.......」ポロ ポロ
それからすぐに 救急車が到着し、カイは救急車で病院に搬送された
しかし、リクは頭部が切断されていた事により 社会死と判断され、病院に搬送される事はなかった..........
変わり果てたリクの遺体を見ながらヒカルとノムは涙を流し続けた
不幸中の幸いにも、カイの命に別状はなく、バッサリと裂かれた口は噛み合わせに違和感が残るが縫合が可能だと言う事だった
そしてそれから東京では口裂け女による連続殺人事件はパッタリと起きなくなった
そして........リクの葬儀終了後........
「赤土さん........子供さんを2人も亡くしてしまうなんて...........本当に気の毒だわ.......」「リッくん、あんなに元気で明るくていい子だったのにね..........」
ヒカル「..............」
ノム「.............」
「ヒカル、ノム」ザッ......
二人「バンビさん..........」
バンビ「................」
とある公園..........
ヒカル「.........そうですか.......カイさんも順調に回復していっているのか........」
バンビ「うむ.....後もう少しで退院できると言う事だよ.........」
ノム「カイさん.........俺のせいで.........」
バンビ「いいや、ノムは何も悪くなんてない.........こうなったのは..........君達をこの件に巻き込んだ、私の責任だ..........」
ヒカル、ノム「...............」
バンビ「私が君達をこの件に巻き込みさえしなければリクは殺されず、カイは負傷する事もなく、君達がこんなに辛い思いをせずに済んだんだ..........だから........」
バンビ「だから..........ここまで来たら、もうこれ以上君達に嘘をつき続ける訳にはいかない..........君達には本当の事を話さなくてはならない...........」
ヒカル「..............!!」
ノム「本当の........事........?」
バンビ「最初........私は君達にこう話したな........『30年前に殺された息子の仇を討つために口裂け女を殺す』と.......」
ヒカル、ノム「................」
バンビ「だが、本当は私に息子などいない、息子の仇を討つために口裂け女を殺すなど、嘘だったのだ.............」
ヒカル、ノム「え.............!!」
バンビ「私には三人の娘がいた、長女の鹿島 幸子、次女の鹿島 雪枝、そして三女の名は..........」
バンビ「鹿島 麗子...........君達を襲った末、リクを殺し、カイを負傷させた口裂け女の本名だ」
ヒカル「!!」
ノム「じゃあ........まさか........!!」
バンビ「そう...........」
バンビ「私の名は鹿島 光三..........三人の口裂け女の父親だ」
ヒカル、ノム「................!!」
一人の老人はポツリポツリと語り始めた.........
妖怪 『口裂け女』 誕生の秘密と忌まわしい過去の記憶を.........
これは、今からおよそ30年前の話......
『鹿島』という名字の家族がいて、父親と母親、そして三人姉妹の子供達と暮らしていた
この三姉妹は仲が良い事で近所でも有名であり、ごく普通の女の子たちだった
ある一つの事を除いて...........
実は長女は醜形障害を患っており
「なんで自分を醜く産んだ、なんで美人に産んでくれなかった」
と泣きながら母親を責め立てていた
それを見兼ねた父親は整形に定評のある医者を探し、長女に整形手術を受けさせる事にする
長女は大喜びで手術を受けに行った
手術を受けて美しくなれば、きっと長女は変われる.........父親はそう思い込んでいた
しかし手術後、長女の口は耳元までパックリと裂けており、美しさとは程遠い醜い顔になってしまっていた
鏡を見た長女は前よりももっと醜くなってしまった自分の顔に絶望し、自ら命を絶ってしまった
父親は医者を訴えようとしたが、手術を受けさせる前に 同意書にサインを書いてしまっていたため 「施術後、様々なリスクを負う可能性がある事を理解する」という誓約に同意したという事になってしまっており、訴える事もできず、泣き寝入りするしかなかった
突然の姉の死に、次女と三女は悲しんだ
しかし、悲しみはこれだけでは終わらなかった
次女が交通事故で命を落とした
目撃者の証言によると、犯人の乗っていた大型トラックが信号を無視して横断歩道を歩いていた次女を轢き、そのまま逃げ去っていった
そして、次女は全身を強く打って即死しており、次女の遺体は口が耳元までパックリと裂けていたと言う
追い打ちをかけるかのように立て続けに大好きな姉たちを失った三女は精神を病み、発狂して自分の口を刃物で引き裂き、自ら命を絶った
この世の全てを恨みながら........
これらの三姉妹の死は全て1978年に起こった出来事だった
三人の娘を失った父親はそれからというもの、自暴自棄になってしまい、酒に溺れては妻に暴力を振るうようになってしまった
妻はそんな夫に嫌気がさし、家を出て行った
いよいよ一人になってしまい、父親はますます荒んだ生活を送り続けるようになっていた
そして それから1年後、身の毛のよだつような悍ましい事件が起こる
1979年 春.......死者13名、負傷者52名の連続殺傷事件が発生する
死者13名の遺体は口が耳元まで裂けた状態で発見された
まるで、三姉妹の死に際と同じように............
この事件の内容を知った父親の脳裏を「まさか娘たちが.........!!」と言う考えが過ぎった
ひょっとして、娘たちはこの世への未練が強すぎるあまりに成仏する事が出来ていないのかもしれない..........この世に対する恨みを晴らしているのかもしれない.........
父親はそんな事を考えていた
しかし、1979年の夏を境に事件は沈静化する
これにより、父親は「娘たちはきっとこの世の未練の呪縛から解き放たれ、無事に成仏する事ができたんだ、娘たちもあの世で幸せにやっている.......自分も娘たちと同じようにもう一度新しい人生を幸せに歩むため頑張ろう」と考え、心を入れ替える事にした
そして、死に物狂いで勉強した末、上京し、身寄りのない子供達のための託児所を開き、子供達に読み書きなどの勉強を教えるようになった
子供達からは父親の苗字である「鹿島」の「鹿」の字からなぞり、バンビ先生と呼ばれるようになり、子供達からも近所の人々からも親しまれながら幸せな毎日を過ごしていた
しかし、25年後の2010年、東京で連続殺人事件が発生する、被害者の遺体は25年前の時とおなじように口が耳元まで切り裂かれていた
この時、父親は確信した
「娘たちはまだこの世の未練に縛られて成仏できていなかった」
そして父親は考えた
「このまま放っておけば娘たちはいつまでもこの世の未練の呪縛に囚われたままだ」
「こうなれば 娘たちを殺すしかない.........殺す事でしか.........娘たちを未練の呪縛から救い出す方法はない」
こうして父親は、娘たちの凶行を止めるべく、娘たちを殺しに向かう決心をした
その時に、幼少の頃に先生である父親に育てられた生徒のうちの一人の青年が事情を知り、同行を志願する
その青年は高校を卒業し、先生である父親の元を離れて自立しても、定期的に託児所に顔を出しては子供達の面倒を見ていた
その青年の名は青水 海
青年は誰よりも先生である父親に育ててもらった恩を感じており、誰よりも尊敬していた
青年は「この託児所の子供達は自分からすれば弟や妹のような存在、そしてあなたは自分にとって本当の父親のような存在............だから、弟や妹を........父親を.........家族を守るために..........自分もついていく」
と強い決意を父親に向ける
こうして 二人は東京で暴走する妖怪と化した三姉妹を殺すため、確実に三姉妹を殺す事ができる程の実力を持つ『有志』たちを探しに行った...........
ー ー ー ー
ー ー ー
ー ー
ー
ヒカル、ノム「..............!!」
バンビ「これで.........真実は全て話した...........」
口裂け女を倒すために特訓していた時も、口裂け女と戦っている時にも感じていた二つの疑問........
なぜバンビが口裂け女を殺そうとしていたか...........
そして、なぜ口裂け女たちの出現する場所を意図も簡単に突き止める事ができたのか...........
真実を聞いた瞬間、二人は全てを理解した
ノム「.............!!」
そうだったのか.........カイさんは.........全てを知っていた..........でも、俺らには真実を伏せていた..........
バンビさんも、カイさんも、きっともし真実を語ってしまえば俺らが口裂け女たちに同情してしまい、口裂け女を殺せなくなるからだ..........
ヒカル「.............!!」
あの時.......バンビさんが長女に止めを刺す直前に『すまない』と呟いたのはただ単に命を奪う事を謝っただけじゃなく..........自分の娘達を化け物にしてしまった後悔と自責の念から出た言葉だったんだ.........
バンビ「全ての元凶は私だ.........娘たちがああなってしまったのは私のせいなんだ..........だから.........これは私一人の問題だった..........だのに........私は本当なら無関係な君達を巻き込み、挙げ句の果てにはリクを死なせてしまった.............」
バンビ「君達をこの件に巻き込んでしまった事.........悔やんでも悔やみきれない...........本当に........すまなかった...........!!」
ヒカル、ノム「..............!!」
バンビ「もう二度と.........君達の前に姿を現したりはしないよ..........今までありがとう...........さようなら.........」ザッ..........
ヒカルたちは..........何も言う事ができなかった..........一方的に別れを告げて去っていくバンビをただ見ている事しかできなかった...........
「さようなら」
この一言だけで
一緒に頑張ってきた事や
一緒に笑いあった事
一緒に星空を見上げた事
一緒に戦ってきた事
今まで一緒に過ごした思い出が全て消えていくような気がした
それから三日が経った..........
口裂け女が出現しなくなった事により、東京内の学校は再び門を開く事になった..........
ヒカル「おはよ、レイラ」
レイラ「あ、ヒカル!おはよ!」
ヒカル「学級閉鎖初日以来連絡がなかったけど、あれからもう大丈夫なのか?」
レイラ「うん、私ならもう大丈夫だよ!心配してくれてありがと!」
ヒカル「そっか、よかった」ニコッ
レイラ「...........!!///」ドキッ!!
わ.......笑った........ヒカルが笑うの........久しぶりに見たかも..........!
女子生徒たち「ヒカルおはよー!!」「学級閉鎖中寂しかったよ〜」「ヒカルに会いたかった〜!!」キャイ キャイ
ヒカル「ああ、おはよ」
女子生徒たち「キャーッッ!!ヒカルがおはよって言ってくれたーッッ!!///」「無視しないで返事してくれたーッッ!!///」キャ- キャ-!!
レイラ「..............!」
なんだかヒカル........ちょっと会わないうちに丸くなったな........どことなく前より優しい顔になってるし..........
クールなヒカルもカッコよくて好きだけど.........今のヒカルの方が私はもっと好きかな........
放課後..........
レイラ「ねぇヒカル!!」
ヒカル「ん?」
レイラ「今日もまた一緒に帰ろ!またあそこのクレープ屋さんによって行こーよ!!今日は金曜日だからクレープが安くなってるんだよー!」
ヒカル「............ごめんレイラ、今日は部活が遅くまでありそうなんだ、待たせるのは悪いし 夜道は暗くて危ないから先に帰っててくれないか?」
レイラ「..............」
レイラ「うん わかった!ヒカル部活忙しいもんね!無理言ってごめん!バイバイ!」タッタッ
ヒカル「レイラ」
レイラ「..............?」ピタ......
ヒカル「来週の月曜日の放課後........お前を連れて行きたい場所があるんだけど...........一緒に来てくれるか?」
レイラ「...............!!///」パァ-!!
レイラ「うん!行く行く!行きたい!絶対連れてってね!約束だよ!///」
ヒカル「.............ああ、約束だ........絶対に連れてくよ.........」
レイラ「約束忘れちゃダメだよー!!じゃあまた来週ねー!バイバーイ!」タッタッタ!
ヒカル「..........絶対にな........」
ノム「ヒカル..........」ザッ.....
ヒカル「.........ああ、行こうか........」
とある工場の裏
バンビ「...............」ザッ......
「バンビさん」
バンビ「..............!!」
ノム「やっぱりここにいると思ったっスよ」
バンビ「ノム、ヒカル........何故ここに........!」
ヒカル「ここはリクが死んだ場所.........きっとバンビさんがお供え物の花瓶の水や花を定期的に換えに来てると思ってね」
ノム「バンビさん.......一体ひとりでどこに行こうとしてたんだよ?」
バンビ「もう.......君達には関係のない事だ.........早く家に帰りなさい.......」ザッ.....
ノム「寝ぼけた事言ってんじゃねえッッッッ!!!!」
バンビ「.............!!」
ノム「アンタは俺らに本当の事を話せば口裂け女に同情してしまう なんて思ってたかもしんねーけどさ!!」
ノム「俺らはあいつに同情なんてしてねぇしあいつの事を1ミリも可哀想とも思ってねぇ!!こちとら仲間殺されてブチギレてんだ!!それを無関係だァ!?関係大アリなんだよッッッッ!!!!」
バンビ「ノム.............!!」
ヒカル「それにバンビさん、俺たち皆で約束しましたよね?」
ヒカル「『口裂け女を倒して、皆で花火を見に行こう』って」
バンビ「............!!」
ヒカル「『さようなら』のたった一言だけで、皆で交わした約束も、皆と過ごした思い出も終わらせはしない.........絶対に口裂け女を倒して、皆で花火を見に行こうよ!」
バンビ「..............!!」
ノム「それにさ、俺らバンビさんに恩があるしな、バンビさんのおかげで俺らこんなに強くなれたし、一週間も美味い飯食わせてもらったし、俺らバンビさんに恩返しがしたいんだよ!もう一人で抱え込まないでさ、もっと俺らを信じてよ!」ニッ!
バンビ「..............!!」ブワァ.....
バンビ「年を取って.......涙腺が緩くなったのかな.........」グスッ.......
ヒカル、ノム「..............!」
バンビ「ありがとう.........ありがとう........」ポロ ポロ......
ヒカル、ノム「.............」ニッ.....
そして翌日..........
バンビ「カイ!退院おめでとう!」ニコッ!
カイ「ご心配おかけしました!」ペコッ!
ヒカル「もう調子の方は大丈夫なんですか?」
カイ「ああ、少しばかり喋り辛く、食事もし辛いがこの通り、もう大丈夫だ!」
ノム「カイさん.........その.........本当にすみませんでした!!」
カイ「..........?何を謝ってるんだノム........?」
ノム「俺のせいで.........カイさんがこんな事になってしまって.......」
カイ「おいおいやめてくれよ、全然ノムは悪くないんだから気負いする事ないさ!」
ノム「はい.........」
バンビ「カイ.......復帰早々で申し訳ないが...........君の力を再び我々に貸してくれないか..........?」
カイ「頼まれなくても、自分はそのつもりです!あなたと施設の弟分、妹分.......大切な家族を守るためについて来たんですから...........!」
バンビ「........ありがとう........カイ.......!」
ノム「しかしリベンジしに行くと言っても、口裂け女は逃げていったし......東京では口裂け女による事件は無くなってるしよー、現状 口裂け女がどこにいるのかわからねー状態だぜ?どうやって探し出すんだ?」
バンビ「その事についてだが、これはあくまで口裂け女の親たる私の勘なのだが...........口裂け女はもう東京内にはいない」
全員「..............!!」
ヒカル「ひょっとして........この前 俺が振り下ろした斧によって負った傷の療養をするために東京外に出て..........どこかで静かに息を潜めているという事か..........それなら 口裂け女による殺人事件が起こっていない事にも合点がいく.........」
バンビ「..........流石に頭の回転が速いな、ヒカル..........そう、恐らく口裂け女は君から受けた傷を癒すために何もせず、ジッと回復を待っているんだ..........」
カイ「しかし、一体どこで.........?」
バンビ「口裂け女がジッと息を潜める場所...........その場所に私は心当たりがある..........」
全員「..............!」
バンビ「岐阜県のY町.........今は廃屋となっているが、昔は私と妻、そして人間だった頃の口裂け女たちと暮らしていた家............私の家だった場所..........そこに口裂け女はいる..........!!」
全員「............!!」
ヒカル「岐阜県か........だいぶ遠いな.......」
カイ「だが........そこに口裂け女がいるのなら.........!」
ノム「早く行こうぜ!岐阜県に!!」
バンビ「ああ.......すぐに出発だ......!!行こうか!!」
全員「..............」ザッ!!
い ざ リ ベ ン ジ へ ! ! ! !
そして午後7時30頃.........岐阜県 Y町.........
全員「...............!」ザッ......
バンビ「着いたぞ.......ここが私の家だった場所だ.........!」
ヒカル「ここが........人間だった頃の口裂け女達が暮らしていた家........」
カイ「Y町の一部であるゴーストタウンの中でも特にこの家は異彩を放っている........」
ノム「とても人が住んでたとは思えねぇ程不気味だな..........」
全員「.............!」ゴク......
あの化け物が潜んでいるかもしれない場所........
そう思った瞬間、逃げたしたくなる気持ちに負けそうになった........
だけど
バンビ「行こう、全てを終わらせに」
全員「.............」コクン!
逃げる訳には行かない、あの化け物が動き出す前に、あの化け物に殺された仲間の無念を晴らすために
前に進むしかない!!
ガララー........バタン..........
全員「..............」ススッ.........
ノム(鍵はかかってなかったのか.......)ヒソヒソ.....
ヒカル(思ったより中は綺麗だな.......外観はかなり老朽化して荒れていたが.......)ヒソヒソ......
バンビ(30年ぶりにここを訪れたが当時と何も変わらない..........懐かしい感覚だ.............だが感傷に浸っている場合ではないな............)ヒソヒソ.......
バンビ(この家のどこに口裂け女が潜んでいるかわからない.........気をつけながら探索してくれ)ヒソヒソ.......
全員(はい.........!!)ヒソヒソ......
一階 居間..........
ノム(家具や小物がそのまま置いてあるな..........)ヒソヒソ
カイ(このテーブル.......やはり30年前の物だけにボロボロだ..........床も所々傷が入ってる........)ヒソヒソ
バンビ(床の傷は昔、娘たちが死んでから酒を飲むようになった私が妻にビール瓶を投げつけたりして出来たものだ.........妻にあの時の事を謝りたい..........)ヒソヒソ
カイ(先生............)
ヒカル(ん........これは......?)スッ.....
ヒカル(この写真........若い男の人と女の人..........それに3人の女の子.........家族写真か........若い頃のバンビさんとその奥さんと........口裂け女たちだ.......皆......凄く楽しそうな笑顔だ.......)
一階 洗面、脱衣所 風呂場
バンビ(........ここにいそうなものだと思ったが........いなかったか...........)
ノム(この辺すげぇカビ臭ぇ!!30年前の水場だから当然っちゃ当然か..........)
カイ(この洗面台........血が滲んでいますね..........)
バンビ(........ここは長女が自分の顔に絶望して鏡を割った後に手首を切って自らの命を絶った場所...........何故かこの血は洗っても洗っても取れなかった..........まるで彼女の怨念がこの洗面台に染み付いているかのように.........)
全員「...............!」ゾッ.......
1階 客間...........
ノム(台所もトイレもここも.......一階は隅々まで探したけど結局口裂け女はいなかったな.........)ヒソヒソ
カイ(という事は口裂け女は二階に.........?)ヒソヒソ
ノム(それか実は最初からここにはいなかったとか.........?)ヒソヒソ
バンビ(いや、ひょっとして二階に潜んでいる可能性があるかもしれない..........二階に上がってみよう..........)ヒソヒソ
階段前..........
ズ ォ ォ ォ ォ ォ .........
全員「..............」
カイ(この階段........先が真っ暗でよくわからないが..........とてつもなく嫌な雰囲気が漂っている..........)ヒソヒソ.......
ノム(なんか.........マジでこの先にいそうな気がする..........心して進まなきゃな......よし、ヒカル行け......!!)ヒソヒソ.......
ヒカル(.........はいはい、行けばいいんだろ........)ギシッ.......
ドタドタドタドタドタドタドタドタ!!!!
全員「 ! ! ! ! 」ビクゥッッッッ!!!!
シィン.........
全員「...............!!!!」
ノム(おいおいおいおい!!今上から物凄い足音聞こえたよなぁぁぁ〜!!何なんだよもぉ〜!!)ビクビク
バンビ(..........きっとネズミの足音か何かだろう..........)ヒソヒソ......
ノム(ネズミがあんなでけぇ足音立てるかよォ!!もうやだぁぁ!!マジで泣きそうなんだけど)シクシク......
ヒカル(いや もう泣いてるじゃないか.......)ヒソヒソ.......
ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ..........
全員「...............!!」
バンビ(..........とにかく.......二階に上がろう........いいな?ここからは口裂け女が潜んでいる可能性が特に高くなる........警戒して進んでいこう........)ヒソヒソ.......
カイ、ヒカル(はい.......!!)ヒソヒソ......
ノム(ひぃぃ〜ん!!)グスッ....グスッ....
二階 廊下...........
全員「.............」ギシ......
バンビ(二階には長女の部屋、次女の部屋、三女の部屋........全部で三つの部屋がある........私と妻は一階の客間で寝ていたからな.........)ヒソヒソ.......
カイ(.........この三つの部屋の中のどれかに口裂け女がいるかもしれないという事ですね........)ヒソヒソ.....
ノム(そ、そそ..........その中でも........や........やっぱり三女の部屋が一番........)ヒソヒソ......
バンビ(ああ........奴がいる可能性が一番高い.........だから、三女の部屋は後回しにし、先に長女と次女の部屋を見てみよう.........どちらの部屋を見ても奴に遭遇しなかった場合は.......全員で三女の部屋に突入する.......いいな?)ヒソヒソ.....
全員(はい.......!!)ヒソヒソ......
長女の部屋の前.........
バンビ(まずは.......長女の部屋からだ........いいか?奴がどの部屋にいてもおかしくないし、もしかすると.........長女が復活していたりする可能性もなきにしもあらずだ..........常に身構えて、いつでも迎え撃てるように準備しておいてくれ.......)ヒソヒソ......
全員「.............」ゴクッ......
カイ(先生、ここは自分が開けます.......)ズイ......
バンビ(すまない.........気をつけて開けてくれ.........)ヒソヒソ.....
カイ(はい........では、開けます........)グッ......
全員「..............!!」グッ........
ガチャッ..........
全員「...............!!」
シィン.........
カイ(.......何も........いない.........)フゥ-......
ノム(ホント心臓に悪いぜ........寿命が縮んだ気がするよ.........)ドキドキ......
ヒカル(..........これで確率は2分の1になったか..........)ヒソヒソ........
全員「..............!!」ゴクッ......
バンビ(次は........次女の部屋を見てみよう............)ヒソヒソ........
次女の部屋の前...........
バンビ(...........ここが次女の部屋だ........)ヒソヒソ......
カイ(もしもここに口裂け女がいなかったら..........)ヒソヒソ.....
バンビ(口裂け女は自分の部屋にいるという事になる...........)ヒソヒソ.....
ノム(じゃあ........ここは俺が開けるよ.......)スッ......
バンビ(いいのか、ノム?)ヒソヒソ.....
ノム(三女の部屋を開けるよりはまだマシだからな..........)ビクビク
ヒカル(それなら三女の部屋は俺が開けるよ..........)ヒソヒソ......
ノム(じゃあ.........開けるぞ..........?)ヒソヒソ........
ノム(神様仏様........どうか口裂け女がいませんように..........!!)ドキドキ........
ガチャ..........
シィン.........
全員「...............!!」
ノム(うぉぉぉぉぉぉ!!セェェェェフ!!)ドキドキ!!
カイ(だが、安心できるのも束の間だ.........)
ヒカル(ここにも口裂け女がいなかったという事は...........)
ノム「...............!!」
あの部屋の中に..........!!
全員「..............!!」
ノム(か....確実にいるって事かよ........!!)ヒソヒソ.....
カイ(だが、これで奴の居場所がハッキリしたから...........俺たちがやる事はただ一つになった.........)ヒソヒソ......
バンビ(うむ、部屋を開けた瞬間、全員で一気に奇襲を仕掛ける.........単独では口裂け女を倒すのは不可能と、特訓の時に教えたな..........?)ヒソヒソ......
全員「..............」コクン......
バンビ(勝負は一瞬だ、一瞬のうちに奴を殺さなければもう奴を殺す事はでき.............)
ポロロン♪
全員「 ! ! ! ! 」
突然、三女の部屋の中からピアノの美しい音色が響き渡った
その美しい音色に、その場にいた全員は聞き入るどころか、心臓が破裂しそうな程の恐怖に襲われた
〜〜〜♪〜〜・・〜〜〜♪♪・〜♪〜〜〜♪
ヒカル「ドビュッシーの『月の光』........!!」
〜〜♪♪♪〜〜・〜〜〜・・・♪〜〜〜・♪
バンビ「バ......バカな!!!!確かにこの曲は奴が大好きだった曲.......!!!!だが、この家にはピアノなんてないし買い与えた憶えもない!!!!なのに何で!!!!」
〜〜・・〜〜〜♪・♪♪♪〜〜〜♪・〜〜〜
ノム「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!もういやだッッッッ!!!!もういやだぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」
〜〜・・・〜〜〜・♪♪〜〜・♪〜〜♪
カイ「叫ぶなッッッッ!!!!不安を煽るなァッッッッ!!!!」
〜〜〜♪・〜〜〜♪♪〜〜〜〜・♪〜〜・
ヒカル「............!!」
〜〜・〜・〜〜〜♪♪〜・〜〜・〜♪♪〜
これで..........確実にそこにいる事がわかった..........!!
〜・〜〜〜♪♪〜〜・♪・〜〜〜・♪〜〜
いつもなら........いつもならこの曲が流れたら、心が癒されて安らぐような気持ちになるのに..........
〜〜・〜〜〜♪♪・〜〜〜・〜〜〜・♪
古びた廃屋の中でこの美しい曲が流れる異様な状況に余計に恐怖が掻き立てられる.........!!
〜〜〜♪♪・〜〜・♪♪〜〜〜・・〜〜♪♪
でも......怖がるな..........リクの仇を討つんだ.........!!大切な人達を守るんだ........!!開けるしかない..........!!
〜〜〜・・♪〜〜♪〜・〜〜〜♪・〜〜♪
開けるしかないんだ!!!!
ヒカル「 そ こ か ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」バァンッッッッ!!!!
全員「 ! ! ! ! 」
シィン..........
ヒカル「何も........いない...........」
カイ「音が止んだ...........」
バンビ「どこにもいなかっただと...........?じゃあ今聴いたピアノの音は一体...........!?」
ノム「ひょっとして..........恐怖が極まって全員で幻聴でも聴いたんじゃないのか..........?そうだよな.........そうなんだよな..........?」
ヒカル「部屋を見渡したところ........ピアノもないし、隠れられるような場所もない..........」
バンビ「.........とにかく一旦ここを出よう.........少し頭を冷やしてからもう一度出直すんだ..........」
カイ「そうですね..........今の焦った心理状態では........口裂け女に出くわしたところでまともな判断ができそうにない........」
ノム「...........な......なぁ〜んだ!バンビさんの勘違いかよぉ〜!わざわざ岐阜まで来たのに、とんだ骨折り損だったなぁ〜!」
ノム「さて、とっとと帰ってゆっくり休..............」
ノム「え..............?」
ノム「 ヒ カ ル ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 危 な い ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
ド ン ッ ! !
ヒカル「うわッッッッ!!!!」ドサッ!!
スパンッッッッ!!!!
全員「 ! ! ! ! 」
ヒカル「..............!!!!」
ノムの右腕「」ボトッ........
ノム「 ぎ ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」ドバァッ!!
全員「 ノ ム ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
ノム「うあ.......あぁ........!!」ドクドク....
ヒカル「ノムッ!!何で.......!!何でだよ!!」ガバッ!!
口裂け女「...............」スッ........
カイ「ヒカルッッ!!ノムッッ!!後ろだッッッッ!!!!危なぁいッッッッ!!!!」
ヒカル「..............!!」
口裂け女「オホホホホホホホホ!!!!」グワァッ!!
終わった............!!
バンビ「 や め ろ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ッ ッ ッ ッ! ! ! ! 」バッ!!
カイ「先生ぇッッッッ!!!!」
口裂け女「!!」ピタッ!!
シィン.......
全員「...............!」
ノム「ハァ.......ハァ.....」ドクドク.....
ヒカル「口裂け女の..........動きが止まった.........」
バンビ「.............!」
口裂け女「うぐぅ........ぐぁ.......」ズキン.....ズキン.......
ヒカル「ひょっとして.......バンビさんが自分の父親だという事を.......元は自分が人間だったという事を思い出しているのか........?」
口裂け女「うぐぅ........うぅ......!!」ズキン!ズキン!
グサッッッッ!!!!
口裂け女「 ぎ ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」ビチャビチャビチャ!!
バンビ「カイ........!!」
ヒカル「口裂け女の右目をナイフで........!!」
口裂け女「ぐぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」ブンブンブンブン!!
カイ「苦しんでいるスキを突かせてもらった!!苦し紛れに鎌を振り回しているが潰れた右目の痛みで俺たちの事は見えていない!!今の内にノムを連れて逃げよう!!」
ヒカル「はい!! ノム......もう少しの辛抱だからな.........左腕で俺の肩に掴まれるか.......?」
ノム「ぐぅ.........うぐ........」ガシ.......
口裂け女「ぐぉ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」ブォン!!ブォン!!ブォン!!
バンビ「まずい!!視力が少しずつ戻ってきているぞ!!」
カイ「早く!!早くここから逃げよう!!」
ヒカル「はい!!ノム.......すまない、少し乱暴になるが、我慢してくれ.......!!」ダッ
ノム「うぅ.......くっ.......!!」ダッ
バンビ「なんとか脱出できたな.........」ハァ.....ハァ........
全員「..............」ハァ.....ハァ........
バンビ「ここは人気のないゴーストタウンだが、もし我々が逃げる過程でゴーストタウンから出てしまったら口裂け女もゴーストタウンから出てしまい、岐阜中が大パニックになってしまう.........だから、逃げるのは終わりにして ここで一気にカタをつける事にする」
全員「..............!」グッ......
バンビ「今から全員でバラバラに散り、各々がこの家の近辺に身を潜めて様子を伺い、もし口裂け女が自分の隠れている場所に近づいてきたらすかさず奇襲をかける、その際ヒカルはノムを頼む」
ヒカル「はい.....!」
「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」
全員「!!!!」
カイ「かなり荒ぶっているな.......!!」
バンビ「もうそろそろ来るぞ......!!よし!ではそれぞれ散ってくれ!」
カイ「はい!」バッ!!
ヒカル「よし、ノム........行こうか......!」ガシッ......
ノム「あ........ああ.........」ググ.......
カイ「..............」ガサ......
よし、うまい具合に隠れられたな..........ここなら誰がどこに隠れたのかがわかる........
バンビ「..............」グッ......
.........先生も隠れられたな...........俺が草の茂みで先生が他の廃屋の陰...........しかしヒカルとノムはどこに隠れたのだろうか.........?
ヒカルとノムは..........
ヒカル(切断面を心臓より高い位置に持ち上げ........右腕の付け根に布を巻きつけて縛り........)キュッ!
ノム「..............!!」ズキッ!!
ヒカル(結び目に棒を差し込み、ゆっくりと回転させながら締め付ける)ギュゥゥゥゥ.....!!
ノム(うぐ........ぐぁ........!!)ググ......
ヒカル(これでしばらく安静にしてれば問題ないはずだ.........)ヒソヒソ.......
ノム(すまねぇな.......ヒカル........足手まといになってしまってさ.........)ヒソヒソ.....
ヒカル(何でお前が謝るんだ、足手まといになってしまって謝るのは俺の方だ.........本当にごめん........俺を庇ったばっかりにお前が..........でもどうして........何であんな無茶な事をしたんだよ........)ヒソヒソ.......
ノム(言っただろ.......お前を守るためについていくって........それに........カイさんは自分を犠牲にしてまで俺を守ってくれたし.......リクは恐れを投げ打って口裂け女に立ち向かい..........お前は口裂け女に傷を負わせた..........俺だって.........いつまでもビビってばっかりだったら.........一生懸命戦ってきた皆に申し訳ないしさ...........)ニコッ.......
ヒカル(ノム..........)
ノム(........おい.........ヒカル......これ 何だ........?)ヒソヒソ.....
ヒカル(..........これは..........!!)スッ......
口裂け女「ハァー........!ハァー......!」チャキン....
カイ(来たか..........鬼の形相で血眼になって俺たちの事を探しているな...........)ゴクッ..........
口裂け女「.............」ニヤ.......
カイ(笑み..........どう言うことだ.........?)
口裂け女「ククク........」ザッ ザッ ザッ......
カイ(まさか.......誰かが見つかったのか........!?あの方向は先生がいる場所じゃない...........と言う事は..........ヒカルとノムを見つけて殺しに行くつもりだ!!)
口裂け女「ククク..........」ザッザッザッ.....
バンビ(なんと不運な........口裂け女がノムの腕から滴った血の跡を辿っていく............その血の跡が途切れている場所は...........!!)
口裂け女「..............」ピタ........
バンビ(私の家の縁側の下..........!!なぜ........なぜあんな所に隠れたんだ........!!このままだとヒカルとノムは口裂け女に縁側から引きずり出されて殺されてしまう........どうすれば........!!)
口裂け女「クククク...........」チャキン....
口裂け女「キェェェェェェェッッッッ!!!!」グイッ!!!!
バンビ(ヒカル!!!!ノム!!!!)
ノムの右腕「」ピチャ......ピチャ........
口裂け女「 ! ! ! ! 」
バンビ「!!!!」
ノム「!!!!」
あれは.........さっき切断されたノムの右腕!!!!
>>220 ノム「!!!!」ってなってるけどノムじゃなくてカイでした
※訂正
カイ(じゃあ一体 ヒカルとノムはどこに........!!)キョロ キョロ!
バァンッッッッ!!!!
口裂け女「 ! ! ! ! 」
カイ「ヒカル!!!!」
バンビ「なんと!!蔵の中に隠れていたのか!!!!」
ヒカル「これで終わりだ!!!!」バッッッッ!!!!
グ サ ッ ッ ッ ッ ! ! ! !
口裂け女「 ぐ が ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」ドバァッッッッ!!!!
バンビ「あれは.........!!蔵の中にあった居合用の日本刀.........!!縁側に隠れたと思わせて実は蔵の中に身を潜め、武器を確保し、口裂け女がノムの右腕に気を取られた瞬間にそのスキを突くとは........!!」
ノム「へ.........へへ.......これで俺もちょっとは役に.......立てたかな.........」ググ......
口裂け女「ぐごぁ"........!!」ボトボト.......
ヒカル(背中を突き刺したぐらいでこいつが死ぬとは思えない!!もう一太刀あびせて............!!)バッ!!
口裂け女「ぐぉ"あ"え"あ"ぁ"ぁ"ァ"ァ"ぐごぉ"ぉオぉぉぉぉッッッッ!!!!」チャキンッ!!
ヒカル「 ! ! ! ! 」バッッッッ!!!!
やばいッッッッ!!!!
ズバァッッッッ!!!!
ヒカル「かは..........!!」ビチャビチャ.....
全員「ヒカル!!!!」
ヒカル「ぐぁ............」ドサ........
口裂け女「ハァー........ハァー.......」
ヒカル「ゲホッ.............」ビチャ.....
咄嗟に体を仰け反らせて即死は免れたが.............胸を深く切り込まれたせいで.........肋骨に何本か日々が入ってしまっている.........
口裂け女「ハァー........ハァー.......!!」チャキン.........
早く立って.........逃げなければ..........殺されるのに...........体が動かない..........これで........今度こそ本当に終わったな..........
口裂け女「キェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"!!!!」グワァッッッッ!!!!
ノム「ヒ"カ"ル"ゥ"ッッッッ!!!!」
カイ「ヒカルッッッッ!!!!」
ごめん..........リク...........俺...........お前の事も..........お前との約束も.........守れなかったな..........
さよなら...........ノム........カイさん.......バンビさん..........
レイラ...........
>>225 日々じゃなくてヒビ
※訂正
「 待 て ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 麗 子 ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
口裂け女「.............!!」ピタ.......
ヒカル「バンビ.........さん.........?」ドクドク.......
バンビ「...............」ザッ.......
やはり........これは私と娘だけの問題だ..........もうこれ以上誰かを傷つけたり死なせたりする訳にはいかない...........これ以上 この子らを巻き込む訳にはいかない!!
カイ「先生!!何を........!!」
ノム「................!」ゼェ......ゼェ.......
バンビ「麗子!!私の声を憶えていないのか!?私だ!!お前の父親の光三だァッッッッ!!!!」
口裂け「...............!!」ズキ.........
バンビ「もう........もうこんな事はやめてくれ!!もうこれ以上この世の未練に縛られるのはやめてくれぇッッッッ!!!!お願いだから.........お願いだから成仏してくれぇ..........!!」ポロ ポロ......
口裂け女「うぐぅ..........!!」ズキ.....ズキ.......
カイ「先生!!危ない!!そいつから離れてください!!もうそいつはあなたの娘でもなんでもない!!多くの人を殺し続けた殺人鬼!!妖怪なんです!!あなたが父親だった事など憶えていないし、あなたの声ももう届かない!!!!」
ズキン.......
思イ出セナイ.............
ズキン.....ズキン........
思イ出ソウトスレバスルホド頭ガ痛クナル............
ズキン......ズキン.......ズキン.......
痛イ...........
ズキン........ズキン..........ズキン.........
痛イヨ..........
ズキン!!ズキン!!ズキン!!ズキン!!ズキン!!ズキン!!ズキン!!
痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ
ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!ズキンッッッッ!!!!
口裂け女「 う" が ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" !!!!!!!!!!!!」
ザシュッッッッ!!!!
バンビ「あ........が.........」ビチャビチャ......
ドサッ........!!
全員「..............!!!!」
カイ「 先 生 ぇ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! う わ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! ! 」ポロ ポロ
口裂け女「殺ス......ハァ.......殺シテ.......コノ頭ノ痛ミヲ......ハァ.....消ス..........」ズキン...ズキン.....
ヒカル「................!!」ゼェ.....ゼェ......
何を........するつもりだよ........
口裂け女「ゼェ.......ゼェ.........」ザッ ザッ......
バンビ「う.........ぐ.........」ドクドク.......
もう...........その人は動けなくなっているんだぞ..........
口裂け女「ハァ.......ハァ........」チャキン......
バンビ「ぐ.........あ.........」ドクドク......
その人は..........お前の本当の父親なんだぞ...........
口裂け女「死ネ..........死ネ..........」スッ...........
やめろ............やめろよ...........!!
口裂け女「死ネ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ッッッッ!!!!」グワァッッッッ!!!!
ヒカル「 や め ろ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ー ー ー ー ー ー ー ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! 」
「麗子............べっこう飴...........食べようか............」
口裂け女「...............!!」
全員「..............!!」
バンビ「ゼェ.........ゼェ.........」スッ.......
そう言うと 老人は血まみれの手で ゆっくり.........ゆっくりと.........ポケットから一個の飴を取り出した
口裂け女「...............!!」
『麗子、べっこう飴食べようか』
『うん!』
口裂け女「あぁ..........」フルフル.....
『麗子ー!今日の運動会 徒競走で一等賞だったな!ホラ ご褒美に 麗子の大好きなべっこう飴だぞー』
『わーい!!』
口裂け女「あぁぁ.........!!」ポロ ポロ......
『パパだーいすき!!』
『私も麗子が大好きだ!』
口裂け女「あぁぁぁぁぁ!!」ポロ ポロ
.............コ
........イコ
『麗子』
女は膝から崩れ落ち、涙を流して空を仰ぎ見ていた
血の付いた飴を握り締めながら.........
そして次の瞬間、鈍い音がすると同時に女の頭部が血を撒き散らしながら宙を舞った
口裂け女「」ドシャァッ!!
カイ「.............!!」
ノム「ヒカル.......!!」
ヒカル「ゼェ-.........ゼェ-...........」ググ......
バンビ「それで..........いい..........」ニコッ.......
バンビ「ゲホッッ!!ゲホッッ!!」ビチャ!!ビチャ!!
全員「!!!!」
カイ「先生ッッッッ!!!!」ガバッ!!
ヒカル、ノム「バンビさん.......!!」ググ.......
カイ「先生!!大丈夫です!!今から病院に運べばまだ間に合います!!だから.........!!」
バンビ「カイ........もういい........」ドクドク........
カイ「絶対に........!!絶対に助かりますから........だから........だから諦めないで!!」
バンビ「カイ.......もういいんだよ.........無理に私を..........元気付けようとしてくれなくても...........本当はもう私が助からない事ぐらい.........わかっているのだろう...........?」ドクドク.......
カイ「わ"がり"ま"ぜん"!!!!」ポロ ポロ.......
バンビ「じゃあ........どうして........泣いているのかな..........?」ドクドク........
カイ「グズッ.........ヒグッ........」ポロ ポロ......
バンビ「カイ........ありがとうよ........最後の最後まで私の身を.........案じてくれて........元気付けてくれて............ありがとう.........」ドクドク........
バンビ「だけど........もうすぐで自分は死ぬんだという事は.........私自身が一番よくわかっているよ..........」ドクドク.......
カイ「ぐぅ........うぐぅ.......!!」ポロ ポロ.......
ヒカル、ノム「..............」
恩師の死を確信し、悲しみの表情を浮かべる生徒たちに見守られながら老人は 最後の力を振り絞り 首のない娘の遺体を抱き寄せた
バンビ「寂しかったろうなぁ...........ごめんよ..........だけど........私もすぐにお前たちのところへ行くよ.........私がそっちに着いて.........もしもまたお前たちに出会えたなら...........またあの頃みたいに..........一緒にいような..............」ギュッ......
全員「................」
バンビ「娘も.........最後には私や........私と過ごしてくれた事を思い出してくれたよ...........」
全員「...............」
バンビ「ヒカル........」
ヒカル「はい.............」
バンビ「カイ.........」
カイ「.........は"い".........」グズッ.....ヒグッ......
バンビ「ノム...........」
ノム「は......はい........」ポロ ポロ.......
バンビ「そして..........リク...........娘たちを救う事ができたのは..........まぎれもなく............君達のおかげだよ.........君達と過ごした時間.........本当に楽しかったよ.............」
「ありがとう.............」
全員「.............!!」ポロ ポロ.......
それっきり、老人は二度と目を覚まさなかった
この世の何よりも幸せに満ち溢れた優しい笑顔で、首の無い娘の遺体を抱きしめながら、自分の生徒たちに見守られながら
老人は静かに息を引き取った
こうして 東京で起こった 口裂け女による凶悪連続殺人事件は幕を閉じた
それから数日後の夜.........
レイラ「ちょっとヒカル!ノム!一体どこまで行くのよ!もう私歩き疲れてきたんだけど!」ザッ ザッ
ノム「まぁまぁレイラよ!いいから歩いてみって!」ザッ ザッ
ヒカル「後もう少しで着くぞ」ザッ ザッ
レイラ「後もう少しってもうそれ300回ぐらい聞いたよ!」ザッ ザッ
レイラ「.........もうっ......!」ザッ ザッ
『来週の月曜日の放課後........お前を連れて行きたい場所があるんだけど...........一緒に来てくれるか?』
レイラ(...........私を連れて行きたい場所って.........ヒカル言ってたけど........何を思ってヒカルはこんな山奥まで私を連れて来たのかな........)ザッ ザッ
そして..........
ノム「よっしゃ!!この森を抜ければすんげーモンが見れるぞ!!ダッシュダーッシュ!!」グイッ!!
ヒカル「よし 走るか!ほらレイラ、早く行こうよ!」グイッ!!
レイラ「えぇ!?ちょっと二人とも〜!急にどうしたの!?早いよ〜!」タタッ!
レイラ(ヒカルがこんなにはしゃぐなんて.......そんなに良いものがあるのかな?でも久しぶりだなぁ こんな風に三人で手を繋いで走るの...........子供の頃は私たち三人で毎日はしゃいで走り回ってたなぁ..........なんだか子供の頃に戻った気分)タッタッ!
そして........
ノム「はいとーちゃく!!」
ヒカル「さあレイラ、空を見て」
レイラ「空...........?」スッ.......
レイラ「........綺麗........!」
ノム「だろだろ!スゲーだろ!」キラキラ!
ヒカル「.........だから何でお前が得意げなんだよ」
カイ「ヒカル、ノム、お待たせ」ザッ......
ヒカル「カイさん......!」
ノム「あ、カイさん 遅いっスよー!」
カイ「ごめんごめん、おや、その娘は?」
ヒカル「小さい頃から俺たちとずっと一緒にいた愛媛 レイラです」
カイ「ああこの娘が!俺は青水 海、君達が通っている学校の卒業生なんだ、よろしくね」
レイラ「はじめまして、よろしくお願いします!」ペコ!
ノム「ほらほらカイさん、堅苦しい自己紹介なんて抜きにして、もうそろそろアレ 始まるッスよ!」
カイさん「そうだな、もうそろそろ始まるな」ニコッ
レイラ(? 何が始まるんだろう........?)
ヒューーーーーーー
ドォン!!!!
レイラ「..............!!」
ヒュルルルル- ドォン!! ドォン!! ドォン!!
カイ「お!始まった始まった!」
ノム「おぉー!!たーまやぁー!!」
ヒュルルルル- ドォン!! ドォン!! ドォン!!
レイラ「わぁ........すごく綺麗......」
ヒカル「どうだ、レイラ?お前にこの花火を見せたかったから、ここまでお前に来てもらったんだ」
レイラ「でも.......何で私にこの花火を見て欲しかったの?」
ヒカル「.......さぁな」ニッ
レイラ「...........変なヒカル!」プイ!
ヒカル「...............」スッ......
何でレイラにこの花火を見て欲しかったのか..........それはレイラやノムやカイさん........
ノム「やべぇやべぇー!!今の花火クソでけぇ!!」ギャーギャー!!
レイラ「ちょ!ノムうっさい!!」キー!!
カイ「せっかくノスタルジックな気分に浸ってたのに」
うるさくて、騒がしくて、鬱陶しくて........でも俺と一緒にいてくれる.........そんな人たちと一緒に花火を見たかったから..........それに.........
『絶対に口裂け女をぶっ倒して、みんなで花火見にここに戻ってこようぜ!!』
みんなで約束したもんな
ヒカル「............」
『おい!ちょっとべんきょうができてスポーツができるからっていばるな!!』
『月風?いいよ あいつはさそわなくても、どーせあいつが勝つからつまんねーもん!』
『はいはいモテモテでしゅねー!しゅごいしゅごーい!しゅごいからずーっと女子とあそんでればぁー?』
『お前笑わないで?ムカつくからさー』
『見て見て、あいつまた一人で給食食べてるよーwwちょうしにのってたからバチが当たったんだww』
『やーいやーい!ボッチ!ボッチ!』
俺は.........このままずっとひとりぼっちなのかなって思ってた..........
小さい頃から一緒にいるノムやレイラだって........心の底では俺の事を嫌っているのかもしれない..........ずっとそんな事ばっかり思ってた..........
友達なんかいらない........どうせ自分から離れていくから........だから 一人の方が落ち着く、一人の方がいいんだって ずっと自分に言い聞かせてきた
そんな事ばっかり思っているうちに、出会う人との付き合い方がわからなくなってきて、誰かの優しさに触れるたびにその人の優しさを疑って........突き放して悲しませるような事ばっかり言うようになってた
そしていつの日か俺は心の底から笑うという事ができなくなっていた
でも..........今は違う
ノム「おいヒカル、なぁに黄昏てんだよ!?」
カイ「ボーッとしてて花火を見逃すのはもったいないぞ?せっかくの特等席なのに」
レイラ「ほらほらヒカル!早くこっちに来て!私たちと一緒に花火見よ?」
ヒカル「ああ!今行くよ!」ニコッ!
バンビさん、リク..........
俺、心から笑えるようになったよ
東京の街は今日も忙しく歩き回る人々で埋まっている
だが、その平穏の裏には少年たちの戦いがあったと言う事を人々は事実としてではなく、「連続殺人鬼に立ち向かった者がいた」という「都市伝説」でしか知らない
だが、「少年たちによって一つの都市伝説が終末を迎えた」という「事実」は永遠に消えることはない
アーバンレジェンド
完
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