神様「勇者を決めるらしいです」(122)

神様「魔王が復活するとの預言が出ました」

神様「このまま放置しては世界は滅びてしまうでしょう」

神様「魔王を倒すことができるのは勇者のみ。しかし、未だ勇者となる者はおらず」

神様「勇者の遺産……それを五つ全て集めた者が勇者になれるのですが、遺産の行方は知れず」

神様「全てが未だ霧の中。けれどここに、一つの希望が現れました」

神様「そう、あなたのことです。勇者の遺産、その一つである――を持った少年」

↓1 主人公が所持している遺産
   力、技、速、魔、心、から一つを選択

神様「心の遺産を持った少年」

神様「心とは勇者に必要な強さ」

神様「過酷な戦いの中を勇気と優しさを持ち、進んでいくための力」

神様「そんなあなたには、――の能力が宿っているはずです」

1 異性に好かれる
2 心を読む
3 人ならざるものと心を通わせる
4 あらゆる異常への耐性
5 他者の強化
6 回復魔法
7 その他(>>1ジャッジが入りま)

↓1、2 遺産の能力を一つ選択。安価二つで合計二つの能力。その他の選択肢は能力を記載してください


【多分分かりにくいなぁと思いながら投稿いたしました。説明してくれた人が言っていた通りどす】


神様「異性に好かれる、人ならざるものと心を通わせる能力……遺産を手に入れたときあなたは、これらの能力を得ました」

神様「戦う力はどの程度か分かりませんが……勇者を目指すのならば役立つ力でしょう」

神様「誰もが憧れる能力です」

神様「まあ能力で人やなにかのの好意を勝ち取るのは空しくもあるのですが……そんなことも言ってられないでしょう」

神様「さぁ、少年。遺産を継いだ勇者候補。あなたのお名前は? 外見は……」

口調
1「アヤだ」
2「アヤだよ」
3「……アヤ」

 ↓1 一つ選択


外見
1 それなりに美形な平均的少年
2 どう見ても小柄な女の子。服装も女の子
3 大人びた見た目の人畜無害そうな優男さん

 ↓2 一つ選択

1


アヤ「……アヤ」

神様「ほうほう、大人しげな男の子ですね。若干不思議な雰囲気が……能力も人柄によるのでしょうか」

神様「さて、アヤ様。あなたはこれから勇者となるための戦いに巻き込まれるのでしょう」

アヤ「そうなの?」

神様「ええ。なんか……戦って……」

神様「勇者を決めるらしいです」

アヤ「なぜ疑問文……なのかと」

神様「人間サイドの話題なので。神様基本係わらずなので。魔王も正直、神様はどうにもできません」

神様「たまたま偶然あなたを見つけたので、夢にて声をかけさせていただきました」

アヤ「頼りない……」

神様「はっは、そう言わず。あなたが遺産を継ぐこと、手に入れる能力、それらを事前に知れたのですから」

神様「……さ、ということでこれから頑張ってください。詳細は後々語られるでしょう」

アヤ「大雑把すぎるよね」

神様「神とはそういうものです。では、さようなら!」

アヤ「ちょ待て――」



アヤ「!」ガバッ

???「ひえっ!?」

 すっとんきょうな夢。そこに現れた神と名乗るノリの軽い人物。それを追おうと手を伸ばした俺は、ベッドの上にいた。
 ……夢だとか言っていたのは本当だったらしい。
 拍子抜けした気持ちで、俺は奇妙な声を上げた人物を見た。

 ↓1 新登場キャラの詳細
    妹でも、幼馴染みでも男でも。見た目や職なども指定可。書けないものは無理せず吟味いたします

【書いていない時は>>1のノリで独断か、安価かで進行しま】


ルイン「あぁびっくりした……。もう、なにいきなり飛び起きてるのさ」

 さもここにいるのが当たり前のように、悪びれなく言ってくるのは幼馴染みのルイン。
 彼女――いや、彼は男だ。
 黒髪長髪。さらさらとした綺麗な髪で、黒ローブから見える身体のラインは細く、華奢。白く綺麗な肌を服の色が際立たせる。
 くりくりとした青い目。小さな顔。顔立ちは少女のように可愛らしい。それはまぁ、近所の女の子なんて相手にならないくらいに。残念だが。
 と、見た目が一見可憐な魔女っぽいのだが、断じて性別は男性。
 だから俺の部屋に入って、椅子の上で読書していても何ら不思議はないのだ。
 ……みたいなことを話すと、大体知人には嫉妬される。ルイン、男なのに。


ルイン「あーやー?」

アヤ「……ごめん。変な夢を見たから」

ルイン「変な夢?」

 復唱するルインへ首肯。俺はのんびりと先程見た夢のことを語った。
 夢だというのに内容をはっきり覚えていて、それなのにどこか曖昧で、語りながら俺はその夢がおかしなことを改めて痛感した。

ルイン「……え? アヤが遺産を手にいれて勇者候補に?」

アヤ「うん。確かにそう言った」

ルイン「あはは、アヤもそういう夢見るんだね。もっと控え目な夢見てるんだと思った」

 どうやら彼はこの夢を普通の夢と思っているらしい。
 自分では普通ではないと思っているのだが……そんなこと誰にも分からないか。証拠もないし。
 そもそも勇者の遺産云々も聞いたことがない話なのだ。

アヤ「夢まで控え目だとバランスがとれない。……さて」

 夢より現実のこと。俺はベッドから降り立ち上がる。

ルイン「あ、行く? お仕事」

アヤ「ん。休むわけにはいかない」

ルイン「オーケー。それじゃ、下で待ってるよ」

アヤ「うん、すぐ行くから」

ルイン「慌てないで忘れ物しないように来るんだよ?」

 母親のようなことを言い微笑み、黒髪をかきあげて床に立つ彼。相変わらずな美少女っぷりで去っていく。

アヤ「……」

 いいにおいがしたな、なんて真顔で考えながら俺は身支度を開始した。


 田舎の村でできる仕事なんてものは数が少ない。その上儲けも少なくて、大概は贅沢できない程度の儲け。
 俺の仕事もその例に含まれる、スローライフ的なワークであった。

アヤ「……よし」

 村を出て、立ち入り禁止の柵を堂々と越えて森へ。そこで出てきたモンスターや野生動物を仕留める。
 一連の流れを終え、俺は仕留めた獲物を見る。後はこれから使えそうなものを取り、村へ帰るだけ。
 簡単に言えば俺の仕事は、人外相手の盗賊のようなものだ。もう何度なにかの命を奪ってきたか、俺にも分からない。
 ……これのどこがスローライフ的なのだ。

ルイン「おー、今回もうまくいったね」

アヤ「……ん」コクリ

 葉からもれる木漏れ日で、キラキラと眩しい森の中。のほほんとした口調とともにルインがやってくる。その手には杖。そして大きめの袋。獲物を入れている物だ。
 彼のにおいに混ざって、若干獣臭いにおいがした。


ルイン「僕らもだいぶ慣れてきたのかな。大抵の相手なら苦戦しないよね」

アヤ「うん。俺も結構強くなった」

ルイン「ほんと。今も昔も頼りない見た目なのに」

 ルインにはっきり言われ、俺は苦笑する。自分の身体を見下ろして見てみると、確かに強そうとは思えなかった。
 平均身長、体重のなよなよした優男。自分の意見は言わず、遠くから眺めてそう。優柔不断そう。なんて、よく言われる。
 実際その印象は間違っておらず、俺は自分の意見など滅多に言わないのだが。
 うーん、でもなぁ……わりといけてる顔をしてなくもないような……そんな意見一つもなかったけどね。

ルイン「でも剣さばきは中々だよね。魔法も幅広いし……器用貧乏?」

アヤ「……できれば普通の器用に」

ルイン「あっはは。万能ではあるけど特徴ないからねー。地味なんだよね」

アヤ「怒るよ」

ルイン「じょーだんじょーだん。さ、解体しよう?」

 可愛く言われては仕方ない。俺は頷いて、倒したモンスターの解体をはじめた。猪型ではあるけれどそのモンスターは異様なほど大きい。そして牙もでかい。足はガッチリと太く、普通の猪とは別物だ。


アヤ「……最近、物騒」

ルイン「だね。聖域の名前が泣いちゃうよ」

アヤ「……」

 聖域。俺らが仕事をしているこの場所は村でも特別なところ。許可された人間しか入ることができず、その審査も厳しい。
 なんでもここは神の一人が奉られている由緒正しい場所らしい。
 その場所に現れた不浄……つまりはモンスターや凶暴化した動物を始末するのが俺達の仕事なのだが、どうも最近は勝手が違った。
 モンスターは目に見えて禍々しく、凶暴化した動物の暴れっぷりは更に強くなっている。
 ここにいるモンスター、動物の特性を知る人物や強い人ではないと、入った直後に大変なことになるだろう。
 もはや聖域ではなく、ダンジョンである。

ルイン「もしかして、夢の通り魔王が関係してたり」

アヤ「……」

ルイン「なんてね。こいつは中々大きいし、今日の仕事はこれでおしまいかな?」

アヤ「そうだね。暴れてるモンスターもいなそうだし」


 あらかた解体を終え、持っていた水で手と道具を洗い、立ち上がる。
 時刻は……二時間ほど経過、くらいだろうか。感覚だから正確じゃないけど。

ルイン「んじゃ、帰って売っ払ってゆっくりしよう!」

アヤ「……?」

 伸びをして、踵を返すルイン。彼へ何気なく視線を向け、俺はふと違和感を覚えた。
 なにか、見られているような……そんな気配が。
 人を見れば逃げるか襲うか。そのニ択敷かないモンスターや動物からは感じない、奇妙な気配。
 知らないふりもできるけど、俺らの仕事はここを守ることも含まれている。……声をかけねば。

アヤ「……誰?」

ルイン「え?」

 足を止めたルインが俺へと振り向き、杖を構える。と同時に俺の視線の先、気配を感じていた場所の木の後ろから誰かがふっと姿を現した。
 その人は――

1 見るからに怪しい、抜き身の武器をもった大人な女性
2 気味悪い笑顔を浮かべた、場に似合わない小さな女の子
3 森では浮いているきちっとした服装の、眼鏡をかけた女性

 ↓1 詳細は記載してもしなくても

 見るからに怪しい、抜き身の武器を持った大人な女性。右頬に何かの……模様? のようなものが見える。
 見たことのない人だ。さながら盗賊や暗殺者だろうか。黒っぽい上下の服。身軽さを重視しているのか露出が多く、怪しいというよりは妖しい雰囲気である。
 顔立ちは美人なお姉さんといった感じ。スタイルが抜群なのもあって、村の女性からは感じたこともない色気というものをこれでもかと漂わせている。
 死のにおいも、なのだが。

女性「……」

 なにも言わず、短刀の刃先は下げたままこちらへとゆっくり歩く女性。
 こちらの問いに答える気配はない。

ルイン「……ア、アヤ。どうする?」

アヤ「どうすると言われても」

ルイン「いやいや、何そんな冷静にしてるの!? ってか、早く武器抜きなって」

アヤ(忘れてた……)スチャ

ルイン「……大丈夫なのかなぁ」


 つい見慣れない人物を観察するのに夢中になってしまったが、今は危険な場面。気を引き締めねば。

アヤ「……止まって武器をしまって。戦う意思を見せなければ、こっちはなにもしない」

女性「……。見逃しても報告はするでしょう?」

 てっきり無視されると思ったけど、意外にも女性は答えた。こちらの言葉に一拍置いて、静かに問いかける。
 まるで刃物のように鋭く、冷たさを感じる喋り方。それまでうっすらと感じていた殺気も、急に明確に。

ルイン「……っ」ゴクリ

 本能めいた動物とはまったく種類が異なる危険。ルインもそれを感じているのだろう。ここで少しでも言葉を間違えれば、戦いは避けられない。
 ここは、慎重に……。

アヤ「そりゃ、する」

ルイン「アヤ!?」

 すごく驚かれた。正直に言ったのに。

アヤ「ここに女性放置は危ないでしょ。悪い人だとしても」

ルイン「僕たまにアヤが何考えてるのかわからなくなるなぁ……」

女性「……」スチャ

 女性が構える。そしてゆっくりと刃先をまた下へ。……多分、これが彼女の構えなのだろう。そして武器をわざわざ上げて構えをとったのは……やるということ。その意思表示。
 侵入した人らしからぬ正々堂々さ。ひょっとしたら悪い人ではないのでは、なんて思えてしまう。


女性「……」

 でも、戦うのならば抵抗しなくては。
 予告からわずかの間を空けて走り出す女性。瞬間的に加速し、ルインへと迫る。

アヤ「……」

 そうはさせない。
 すかさず魔法を詠唱。氷の初級魔法を彼女の少し前の地面へと放つ。土へ当たったそれは綺麗な音を立てて、氷柱を横並びに何本か形成。足止めくらいにはなるはず。
 ――と、思ったがどうやらそれは女性に効果がなかったらしい。
 氷の魔法に目をほんの少し大きく開いた女性。彼女は足を止め、そして飛ぶ。綺麗なフォームで一回転。ルインの向こう側、背後に着地するという化物じみた身体能力を発揮した。

ルイン「な……っ」

女性「っ……!」

 目の前を遮られ、そこから敵が飛び出し、背後へ。俺はサポートしたつもりだったが、結果的にルインは不意をつかれる形になってしまった。
 ルインは反応して見せるけれど、彼は魔法主体の戦闘スタイル。あそこまで接近されると戦いにならない。
 ――だから、

アヤ「っと」

 ここは俺の出番。
 女性には目もくれず、真っ先にルインへと向かっていたお陰でなんとか対処できた。振られる短刀を防ぎ、力任せに押しやると剣を薙ぐ。
 タイミングはばっちりなはずなのに、あっさり避けられてしまった。

アヤ「……大丈夫?」

ルイン「だ、大丈夫。すごい冷や汗かいたけど」

アヤ「そか 」

 短く返答。剣を構え直し女性を見る。
 ……勝てない、かも。
 一回武器をかわして感じたのは戦い方の差。あっちは人間――知恵のある生き物に。こっちは野生の生き物、本能で動く物に合わせて戦っている。
 力任せに戦ってるだけじゃ、さっきみたいに避けられそうな気が。

アヤ「……逃げる?」

ルイン「いや無理でしょ。すごい速いよ?」

 だよね。
 自分でも無理だと思ってた。

ルイン「こうなったら戦うしかない。殺されても。そうでしょ?」

アヤ「まぁ、そうだけど……」

 そうだけど、そう震えてる足を見ると……ね。幼馴染みとしては。

アヤ「……交渉しよう」

 だからこう出るしかない。
 あくまでも報告するのは、今後も聖域に忍び入る可能性があるから。悪さをする可能性があるから。
 もし女性の目的が悪いことじゃなくて、今回きりで果たされるのならばそれを達成してあげればいい。
 あくまでも、相手が引かないつもりで尚且つこっちの命が危ないときの苦肉の策ではあるのだが。ぶっちゃけルールギリギリ。村の人が知ったら、聖域に入る資格を剥奪させられかねない。

女性「交渉?」

アヤ「うん。交渉。ここに今後入らないなら、俺らは報告もしない。その約束をしてくれるなら、俺もあなたに協力する。……どう?」

ルイン「ちょ、アヤ。それって――」

アヤ「いいから。任せて」

 彼の頭の上に手を置き、女性へと向き直る。この交渉にのってくれるならば、なんとかなるんだけど……。

女性「……そう。それが本当なら約束はできると思うわ」

 僕らはホッと息を吐いた。目的がなにかは分からないけど、俺たちにできることなら助かるのだ。ほぼ死ぬしかない状況よりはましだ。

アヤ「それで、あなたは何故ここへ?」

女性「……勇者」

 今日、何度か口にしたことのある単語に、俺らはぴくっと反応する。
 ……なんとなく、嫌な予感がしてきた。


女性「勇者の遺産。それを手に入れるのが私の目的」

二人(わ、わぁー……)

 詰んだ。俺たちはそう思ったに違いない。
 おかしな夢、それを見た途端現れる勇者の遺産を狙う女性。
 そして俺は勇者の遺産を手に入れるはずの人物で……。

アヤ(こ、殺される……)

 導かれる結論は一つである。


『一度落ちま』


 どちらにせよ殺される。それがわかっていても人間、やはり希望を持ちたいもの。俺らは女性が遺産を手に入れられるようにするしかない。

ルイン「こ、この先に聖域の中でも特別な神殿があるから……」

女性「……そう」

 ということで、俺達は女性を連れて森を進んでいた。聖域での仕事に就く時に教えてもらった、特別な場所へ向かって。

ルイン「あぁ……もうこれ生きてても大火傷だよ」

アヤ「でも死ぬよりはまし」

ルイン「それはそうだけど……用が済んだ途端に殺されるような」

アヤ「……それはないと思う」

 ちらりと女性を見やり、俺は答えた。


アヤ「『見逃しても』なんてこと、殺すことしか考えてない人間は多分言わない」

アヤ「返答にもいつも最低限時間かけていたし、冷静な人だと思う」

ルイン「それが冷徹じゃないといいんだけど」

アヤ「あくまで可能性の話だから」

ルイン「そこはせめて大丈夫だとか言ってほしいんだけど?」

 ルインがじとっとした視線を向けてくる。
 あくまでも予想の範疇だけど、あの女性はそれほど悪人でもないと思えてきた。
 威圧的な態度はとらないし、脅したりもしない。その上今、案内させているのに武器を取り上げたりもしなかった。
 どちらかといえばお人好しなレベルにも思えるくらい。

アヤ「大丈夫だと思う。おかしなことしなければ、きっと」

ルイン「だといいけど。……あ、着いた」

 ルインが前を見る。歩くこと数分。それほど距離もなく、あっさりと目的地に着いた。

 植物の蔦に覆われた石造りの神殿。屋根や壁がほとんど壊れた中、むき出しの祭壇のみがしっかりとした形を残した、年季を感じさせる場所。おんぼろだけど神秘さを感じさせる不思議なスポットである。

女性「ここが? ……何もなさそうね」

 そう、壊れているだけで何もない場所。祭壇以外ほぼまっ平らで、何かが隠れる場所もなし。人が人ならばここに遺産を探しに連れてこられたら不審に思うだろう。だがこの女性はちっともそんな様子を見せはしない。平然と呟いて、祭壇へと歩き出した。

アヤ「……」

ルイン「あ、こらアヤ。どこに行くつもりなの」

 俺も祭壇に。自然と歩き出すが、手を掴まれ止められる。俺の隣にはルインが。なにやら慌てているのに様子だ。

アヤ「どこに、って……祭壇」

ルイン「祭壇じゃなくて、逃げない? 今なら逃げられそうだよ?」

アヤ「え? あー……」

 確かに、今女性の注意はそっちに向いている。俺たちとの距離も開いている。逃げるならば今だろう。
 でも……なんでだろう。
 祭壇を見つめたまま、俺は自分でも知らない内に呟いた。

アヤ「祭壇に呼ばれてる気が……」

ルイン「ちょ!? それまずい! 今日はやめよう? 覚醒もうちょっとタンマ!」

 遺産獲得がイコール殺して強奪になりかねない今日この頃。俺の行動は危険だと察したのだろう。ルインが腕を掴む手の力を強めた。


アヤ「……でも、逃げるのは村の人を巻き込むかも――」

 しれない。そう言おうとして、その台詞は途中で遮られる。

女性「っ、あぁっ!?」

 女性の悲鳴、何かがぶつかる大きな音に。

ルイン「え!?」

 慌ててそちらへ顔を向け、俺たちは驚愕する。
 祭壇近くで倒れている女性。そのすぐ近くに見たこともないモンスターがいた。
 俺たちの身長をゆうに超す巨体。四足歩行の爬虫類……? とげとげとした鱗に包まれた大きな尻尾に、鋭い牙が並ぶ口。モンスターと何度も対峙した俺でさえ怯んでしまう、異質な姿。一目で見て分かる強さ。
 やつは女性を一瞥すると俺達を威嚇するように口を開き、唸る。

ルイン「なにあれ!?」

アヤ「分からない。でも……」

 俺が狙われてるような気がする。
 やつの目からどす黒い憎しみみたいなものを感じた。

アヤ「やるしか、なさそう」

ルイン「足が速かったらなぁ……」

 あの女性がやられるほどのモンスター。不意打ちかもしれないけど、俺達は勝てるのだろうか。
 俺らが戦闘準備をする。直後に威嚇していたモンスターが動き出した。四本の足で壁や屋根の残骸の上を器用に走るモンスター。女性ほどの速さはないが、あの巨体からは信じられない速度だ。

ルイン「うわ、きもちわる……」

アヤ「ルイン、サポート」

ルイン「分かってる!」

 力強く答えたルインが詠唱をはじめる。ええと、魔力から察するに炎の魔法かな。なら、これだ。

アヤ「怖いけど……」

 ボソッと呟いて俺はモンスターへ肉薄。するとやはり、モンスターは俺に狙いをすませた。何でか分からないけれど、ルインが狙われないなら有り難い。
 まず一撃。走りながらモンスターの頭へと剣を振り下ろし、すれ違うようにやつの横へ。
 できるだけ隙をなくした様子見の攻撃。当然威力は低いのだが、モンスターは怯む様子すら見せない。それどころか口を開き、噛みつこうとしてくる。
 俺を簡単に飲み込めるであろう大きな口が開く。ギザギザと鋭利な歯。荒々しい息。想像よりも動きが早く、俺のすぐ横で勢いよく口が閉じる。……ゾッとした。


アヤ「……」

 やっぱり一筋縄ではいかなそうだ。剣の攻撃がほぼ通ってないし。逆にこっちの手がすごく痺れた。

アヤ(ルインは……)

 こうなると気にかかるのがルイン。でも今はモンスターに遮られて様子を見ることができない。
 早く何らかの魔法を発動してもらいたいものだが……無理は言えない。

アヤ「ちっ……」

 攻撃が通用しないと戦うことなんてままならない。噛みつきを避け、剣を振る。時間稼ぎを繰り返していたけれど、ついにモンスターの攻撃を受けてしまう。
 爪によるひっかき。噛みつきとは違う攻撃に戸惑い、ついかすってしまった。
 ほんのちょっと触ったくらいのはずなのに服を裂き、肩に傷が。思ったよりも深い。衝撃もなにもなしでここまですっぱり切れるなんて、切れ味が恐ろしい。
 くそ、自分の力のなさを思い知らされる。強くなっただなんて、調子に乗っていたことも。
 まだまだ俺は弱くて、俺より強いやつなんて山ほどいるのに。

ルイン「お待たせ! いっくよー!」

 肩を押さえ、魔物と睨み合っているとルインの声が聞こえた。直後、凄まじい爆発音。爆風で目も開けられず、頭を守るように腕を前に。下を向いて目を閉じる。
 通りで詠唱が長いと思った。威力がいつもの魔法より数倍は高い。
 でも、これなら――

ルイン「アヤ! 逃げて!」

 疑問に思う時間もない。ルインの悲鳴みたいな声が聞こえたと思った時には、俺の身体はすっ飛んでいた。

アヤ「げほっ……あ、っ」

 何が。背中に感じる痛みに呻き、咳き込みながら目を開く。どうやら俺は祭壇にぶつかったらしい。ちょっと高い位置にいる。
 ……で、俺がさっきまでいた場所にはモンスター。ぴんぴんしている。ちっちゃいクレーターができている威力なのに。

アヤ「いやいや……強すぎ」

 実力云々より種族とかの差があるような。

アヤ「っ、いたた……」

 痛む身体を無理矢理立たせ、そばに落ちていた剣を拾う。剣は無理、魔法も無理となれば……どうすれば。

アヤ「ルイン!」

ルイン「今のところ大丈夫! な、なんとかしないと!」

ルイン「――って、アヤ! 傷!」

アヤ「……あ」

 言われ、気づく。右の額から頬に流れる血に。遅れてやってくる痛み、立ちくらみに膝をつく。

アヤ「……まずい、かも」

 血を拭ってもまたすぐ流れてくる。敵は健在、前衛の俺は負傷。死の危機がすぐ近くまでやってきていた。
 かすむ視界に焦燥感が頭を支配する。早くなんとかしないと。そればかりが思い浮かび、まともな思考ができなかった。こんな状態で勝てるはずがないのに。

アヤ(勝たないと、みんな……)

 立ち上がろうとしてよろけ、尻餅。またすぐ立とうと、祭壇へ手を付けた――その時だった。

???「……」

 眩しい光がすぐ間近、祭壇から放たれる。何故か俺はそれを目を閉じずに見ることができた。
 そして、そこに誰かいることもわかった。 どんな人物なのかも、うっすらと段々――

 主人公のパートナーについて安価で色々。選択肢を選んでください


スタイル
1 セクシーな
2 つつましやかな
3 平均的な

 ↓1

種族
1 狐みたいな耳と尻尾をはやした
2 妖しい悪魔みたいな
3 猫みたいな耳と尻尾をはやした

 ↓2

性格
1 色気のある笑みを浮かべる女性
2 感情がないような冷たい目をした女性
3 人懐っこそうな明るい表情をした女性

 ↓3

で、プラスアルファ
 ↓4~5辺りで希望があれば記載
    それまでに決まったキャラの容姿や性格に詳細をプラス可


 俺と同年齢ほどか。低めの身長に控えめなスタイル。スラッとした身体が着ている……なんだろう、確か東にこんな服を着ている国があったような。
 そう、着物。着物によく似合っている。
 狐みたいな耳に尻尾、獣人に見られる特徴がうかがえた。ふんわりとした耳、尻尾と同じ色の薄茶色の髪は彼女の膝よりも長く、とても美しい。
 切り揃えられた前髪から見える顔はこれまで見たことがないくらい綺麗で、創られたかのように一切欠点がない。
 愛嬌のある大きな目、笑みを浮かべる口。可愛らしく人懐っこい印象で、尚且つ美しく儚さすら感じる――桁違いな美女。ルインで可愛いだとか綺麗だとか慣れていた気がしていたけれど、そんなのも通用しない。
 彼女の周りに浮かぶ綺麗な色の珠もまた神秘的で美しく、こんな状況なのに俺はぼんやりと彼女を見ていた。

アヤ「……ミコ」

ミコ「……はい」

 何故か、俺は彼女の名前を知っていた。
 口から出た彼女の名前に、ミコは笑みを消し真面目な顔に。大人しく、けれどキリッと芯が強そうな表情で、彼女は静かに言う。

ミコ「アヤさん。私はあなたの従者。遺産を継ぐ資格のあるあなたへ、私の力をお借しします」

ミコ「私の力、勇者となるため役立ててください」

アヤ「……うん」

ミコ「……。え? あ、あの、質問とかその辺りのことは?」

 何も聞かずに首を縦に振ると、ミコが……大和撫子? 的な雰囲気からパッと変わり、あたふたと慌てはじめる。
 ……なんだろう、一気に親近感が。


アヤ「大丈夫。魔王を倒すのが勇者、勇者になるために遺産を集める、遺産の能力が手に入るってことは分かってるから」

ミコ「あ……そうなんですか? 博識ですね、アヤさん」

ミコ「……では、これをお受け取りください」

アヤ「……」コクリ

 言われたまま彼女に差し出された物を受け取る。懐中時計、だろう。金属製のそれを受け取ると俺の身体に力がみなぎるのを感じた。
 これが心の遺産。勇者になる資格を持つ者が手に入れる物。
 今なら、誰かに負ける気がしない。

アヤ「気だけだけど……」フラッ

ミコ「アヤさん!? だ、だだ大丈夫ですか!?」

 力を手にいれたのかもしれない。でも身体は絶賛負傷中で。動けない。

アヤ「……無理。死にそう」

ミコ「あはは……分かりました。ここは私にお任せください」

 苦笑から真面目な表情に。珠の色をかすかに変えて、ミコは前に出た。


ルイン「アヤ! ――あれ誰!?」

 それから同時に、ルインが驚いたように叫んだ。光が出てるときはなにも言わなかったのに……まさか時間が止まってたとか? モンスターも全然位置が変わってないし。

ミコ「魔物、とりわけ強そうな魔物と戦うとき、まずは弱点を探るべきです」

 恐怖を感じさせない真っ直ぐな口調で彼女は言い、モンスターへと向かう。祭壇に着地し走り、やはりルインを無視して彼女へと向かってきたモンスターへと接近。近づききると彼女は小声でなにかを唱えた。
 刹那、モンスターの下からわきあがる風。こちらまで音が聞こえてくる強力な旋風に持ち上げられ、モンスターが浮き上がる。その下へ移動し、ミコは彼女の周囲を漂う珠へ指をかざした。

ミコ「邪を祓う刃……」

 するとそこから片刃の剣が現れる。女性の短刀を長くしたかのようなその武器を、彼女は触れずに指先で操り――モンスターの腹へと振った。
 浮いた刃物を操る珍妙な技。あれだけ攻撃を通すのに苦戦したというのに、モンスターはあっさりと両断されてしまう。
 腹部、というよりは晒されていない身体の下部が弱点だった、ということか。
 もしそうだとしても、すごい威力だ。魔法も含めて。

ミコ「……これで終わりですね」

 頭から尻尾へ綺麗に二つへ裂けた魔物は地面へと落ち、それをかわして俺の方へと戻ってきたミコは涼しげに言う。
 そして、褒めろと言わんばかりの期待を込めた目を俺に向け――

ミコ「ああっ! 怪我!」

 俺の状態を思い出したのか、慌て出した。俺のすぐそばにしゃがみ、おろおろとする彼女。そんなミコの後ろから、見慣れたやつが顔を出した。

ルイン「任せて。治療するから」

ミコ「お、お願いしますぅ。ご主人様が死んだら、私……」

ルイン「任せてって。とりあえず離れて。ね?」

ミコ「は、はい……」

 後ろに下がるミコを確認し、ルインが魔法を唱える。緑色の優しい光に当たり、段々と身体の痛みが和らぐのが分かった。彼の魔法にお世話になることは少なくはないけれど、これほどまで効果を実感するのは初めてだろう。

ルイン「これでよし。完治まではいかないけど、血は流れないでしょ」

アヤ「……ありがとう。だいぶ楽になった」

ミコ「良かった……」

アヤ「ミコもありがとう」

ミコ「は、はいっ」

 嬉しそうに頷くミコ。無性に頭を撫でたくなるが、今俺の手は血だらけ。止めておこう。

ルイン「……それで、どうなってるのさ?」

 俺とミコを交互に見やり、ルインは呆れ顔で問いかける。

アヤ「彼女、遺産を持つ者の従者……パートナーみたいなもの、らしい」

ルイン「……え?」

ミコ「はい。説明役兼、サポート役、勇者候補様の手となり足となる者です」

ルイン「勇者候補って……まさか遺産手に入れちゃったの!?」

 叫ぶルイン。なにをそんなに慌てて……

アヤ「あ、そうだった」

 思い出す。何故彼がこんなに慌てているのかをすぐ理解した。
 ああ、そうだ。

女性「遺産を持つ者……従者……そう、お前が手に入れたのね」

 横から聞こえる声。見ればそこには、倒れていた女性が立っていた。怪我もとくに無く、いたって健康そうな彼女。
 ……まずい、よね。

アヤ「あ、あの……」

女性「……!」

 身体を起こし、声をかける。すると何故だろう、女性が後退りした。

アヤ「……?」

ルイン「……アヤ。まさかだけど……」

 疑問を抱く俺へルインが耳打ち。ゴニョゴニョと説明され、なるほど納得。

アヤ「とりあえず、村で話し合いを……」

女性「っ、うう……え、ええ……」

 何故か。自分でも分からないのだろう。戸惑っている様子の女性は、渋々首を縦に振る。

ルイン「やっぱり……」

 ルインの予想は的中。夢で見た遺産の能力……異性に好かれる能力は発動中らしい。なんだこの能力……男のロマンか。

ルイン「さ、アヤ。助かったんだし、さっさと家に戻ろう? この人と話し合いもしなきゃだし」

アヤ「あ、うん。そうだね」

ルイン「それに今後のことも……決めないと」

ミコ「勇者関連ですね」


 田舎で暮らしていたと思ったら、いきなり勇者候補に……。我ながら、落差の激しい人生だ。
 まだじんわりと痛む頭を振り、俺はポケットに入れた懐中時計に触れる。
 勇者になるとかならないだとか、そんなことはまだ実感がわかない。
 けれども、ここにいるルインを、女性を守ることができた。今はそれがただ嬉しかった。


今回はここまで。

それと、一人一人安価で決めるのは大変そうなので各遺産の勇者候補、パートナーの見た目、過去や能力など設定を募集します。
 なければ安価か私が勝手に決めるかで。

 男性でも女性でもいいですが、攻略対象は女性のみ(ルインは対象……に入るかと)。比率は女性多めに。
 力、技、速、魔の候補とパートナー、合計八人を募集で、遺産などが被ったらミックスするか、どちらかを選びます。
 種族は今回のミコさんのような感じで、人に耳や尻尾がある辺りのレベルのものまでで。
 パートナーは訳あって、過去などの設定は候補と出会ってからのお話で。
 アヤやルイン、女性と面識があったりしてもオーケーです。

では、簡単なものですが

名前……
性別……
種族……
年齢(見た目のでも可)……
遺産……
容姿……
性格……
設定(キャラの過去や面識、その他の項目に書けないことまとめて)……

 みたいな感じでお願いします

名前:風歌

性別:女性

種族:人族

年齢:20歳(くらい)

遺産:速

容姿:金髪のロングポニーテール、背は小さめ

性格:態度は普段は気だるそうな雰囲気を出しているが結構ビシッとするときは決める人。姉御肌

設定:アヤの昔の知り合い、村に居るときは姉のように接していた。
現在は街の自警団団長。
武器は投げナイフとナイフを仕込んだ手甲、格闘タイプ
遺産や勇者に関しては
『遺産持ちや勇者が何人いてもいいじゃん、誰かに任せるなんて真っ平ごめんだね』
という『協力はするが渡しはしない』スタンス。

これまでの三人、全部大丈夫です。
ちなみにですがアヤやルインは16~17程度。
それと、遺産の欄にパートナーの場合はパートナーと記載をしていただけると有り難いですー。

パートナーのテンプレって無いのかな?

名前:チハヤ
性別:女性
種族:人狼
パートナー遺産:速
見た目年齢:18
容姿:黒い毛並みの狼耳と尻尾を持つ。ショートヘアの活発そうな美少女
性格:猪突猛進で喧嘩っぱやい、主人には忠実
設定:爪や牙で噛みつく系統の肉弾戦が得意、戦いにおいては意外と狡猾な面も


みたいな?

パートナーさんは勇者候補と同じテンプレで大丈夫です。注意というか、前に書いた過去などのことを守ってくれれば

 そして村に戻ってきた次第である。

アヤ「……」

 命からがら、まだ痛む身体を頑張って動かして聖域から抜け出して村へ。誰にも見られないように、わざわざ村の入り口まで経由して中へ。
 聖域から人を連れ出した、なんて思われては厄介なことになるだけ。こうするのが最善なはず。

アヤ「……なのに」

 全てうまく行き、聖域から抜け出したのだが、俺は頭を悩ませていた。

村人「お。おお、アヤ。どこに行ってたんだ?」

村人B「なぁ、その美人お二人さんは誰だ?」

村人C「ついに恋人か? ったく、ルインと揃って二人ともおせーんだからよ」

村人D「なに、アヤの恋人なのか? 二人?」

 わらわらとどこからともなく現れるおじさんおばさん方。若い俺が女の子を連れているのはよっぽど面白いことらしい。
 まあ二人とも絶世の美女とも言える女性。注目されるのは分からなくもないが。

アヤ「……」

ルイン「こーら。アヤ困ってるでしょ。この人たちはただの知り合い! さあ帰った帰った! アヤ怪我してるんだから」

村人「なに、怪我してるのか」

村人B「なよなよしてるのに無言で頑張るからな――」

ルイン「ああもう、ほら、しっしっ」

 強引にルインが人払い。みんなニヤニヤと笑いながら去っていった。……まったく、田舎のいいところと悪いところを同時に感じるよ。

ミコ「賑やかなところですね」

女性「……それで、どこに向かうの?」

アヤ「……俺か、ルインの家」

ルイン「そしてこの静かなメンバーよ……」

 穏やかに微笑むミコ、戸惑いもなくなり呆れ顔の女性、そして俺。
 村人たちがいなくなり、鳥の囀ずりがよく聞こえるようになった。ルイン以外静かだからだろう。

ルイン「んじゃ、アヤの家にしよう。話しやすいから」

 全員頷いて賛同。ルインは再びげんなりとした。

 家や店があること以外ほぼ森と変わらない村を進みアヤの家、俺の家へとやって来た。

ミコ「ここがアヤさんの……」スンスン

アヤ「においはかがないでね」

女性「……」ソワソワ

ルイン「アヤと女性陣ー。テーブルの席にどうぞー」

 リビング。両親は出掛けていていないようなので、広々としたそこを使うことに。円形のテーブルに椅子を並べ、みんなで着席。

アヤ「……それじゃあまずは」

女性「遺産のことでいいわ。……私も知りたいことだから」

ミコ「では私ですね」

 ミコが着物を軽く直し、咳払い。笑顔を浮かべる。

ミコ「勇者になるべく、他の四つの遺産すべてを手に入れる……それがアヤさん、あなたのすべきことです」

ミコ「ただ強要するつもりはありません。しかし戦いには巻き込まれるでしょう。戦う戦わないに係わらず今後のためにも、何かしらの先手はうつべきでしょう」

ミコ「ということで、後はアヤさんにお任せします」

ルイン「曖昧だよねー……今でも信じられないんだけど」

 キラキラと眩しい笑顔で、結局のところ新情報はなし。夢の中で遺産の数は言っていたし……集めることも分かっている。その遺産も誰かが持っているのだろう。で、それを奪い合うために戦いが生じるかもしれないと。
 ……命を助けてもらってなんだけど、本当大変なことになってしまった。


女性「……なるほど。遺産の話は本当ということね」

 俺たちにはなんてことのない話。けれど女性には何か思うところがあるらしい。
 顎に指を当てて何かを考えはじめる女性。彼女はしばらくそのまま思考すると、下を向いたままボソリと呟いた。

クロエ「クロエ。私の名前よ」

ルイン「え? あ、うん。ご丁寧に」

クロエ「私も彼に同行することにするから」

ルイン「そう、これまた丁寧な――え!?」

 てっきり殺してでも奪い取ってみせるだとか、そんな展開になると思っていたのに。まさか俺に同行すると決めるとは。
 多分ルインも同じ思考に至ったのだろう。すっとんきょうな声を上げた彼女を、クロエは鋭い目つきで睨む。

クロエ「なに? 文句があるなら実力行使に出てもいいのよ」

アヤ「悪さしない、聖域に入らないなら、歓迎するよ」

ルイン「アヤもあっさりと……同行ってあれだよ? 家に住み着くってことだよ? ミコも含めてさ」

アヤ「……ルイン、頼っても」

ルイン「イヤ」

 きっぱり断られてしまった。
 そういえばそうだ。俺はまだ村から出るわけにもいかないし、ミコはここに住まわせないといけない。クロエが俺に同行するのを許すと言うのなら、勿論彼女の面倒も。
 簡単に女の子二人を住ますわけにはいかないのだ。


クロエ「家……候補者を探さないのね。いいけど」

ミコ「アヤさんがここにいると言うならここで」

ルイン「……これどうすんのさ?」

アヤ「……考えておく」

 勇者のことはまだ分からない。
 勇者になって魔王を倒さないといけないんだろうけど、俺は果たしてそんなことができる器なのか。
 色々、考えを整理する時間が欲しかった。

ルイン「……そ。いきなりは困るだろうしね。じゃあ頑張って両親に話つけてね」

アヤ「……」

 今は二人をどう家に招こうか頭が一杯だけど……勇者になる素質を持った人間として、最低限の責任くらいは果たそうと思う。


会話
1 ミコ
2 クロエ

 ↓1

 すごく不審に思われただろうけど、フウカに泊めるよう頼まれたのだと言ったら快く両親は頷いてくれた。
 知り合いパワーは流石である。家族の俺より村人さんの信頼が高い辺り、自分の評価が無性に気になるのだが。

アヤ「さて、と……」

 落ち着かない気持ちで俺は息を吐いた。
 勇者候補になった日の夜。
 ミコとクロエは俺の部屋へ。ミコをベッドに、俺とクロエは敷き布団で。つまり三人で同じ部屋で寝ることになった。
 不健全なかおりしかしないが、なにも起こることはないだろう。
 俺がなにかするつもりなんてないし。

アヤ「したらまず殺されるし……」

 なんて、ボソッと呟いて寝返りをうつ。
 息をするだけで女の子のいい香りがしてくる。なにもしないつもりなのに妙に意識してしまう。

クロエ「アヤ」

アヤ「っ……クロエ?」

 急に呼ばれびくっと身体を跳ねさせる。もう一度寝返りをうち、身体の向きを変えれば、俺の隣の布団で寝ているクロエと目が合った。
 横向きに寝る彼女。大きく露出している胸元が強調され、谷間へ藍色の髪がさらりと 流れている。
 思わずごくりと唾を飲んだ。

アヤ「どうしたの?」

クロエ「……何故、私をこうも受け入れるの?」

クロエ「今ここにいる私自身にも驚いているけれど……アヤ。お前は素性も何も知らない私を、襲いかかりすらした私を迷いもしないで、何故……」

 クロエは俺を見つめ、そんなことを静かに言う。
 なんでほぼ見ず知らずの不審者を家に住まわせて、一緒の部屋で寝たりしているのか、ということだろうか。

アヤ「……」

 それは……

1「最初に言ったと思うけど?」
2「悪い人じゃなさそうだから」 
3「何か事情がありそうだから」

 ↓1

 『正解選択肢。能力補正も加えて……』

アヤ「悪い人じゃなさそうだから」

 女性を一人で放っておけない。そうは思ったけど、彼女を信じたのはそう感じたからだ。なんてことはない直感。根拠のない信頼。ただそれだけ。

クロエ「……そう。おかしな奴とは思っていたけれど、まさかそこまでとは」

 クロエはくすっと、鼻で笑う感じだけれど確かに微笑んだ。

クロエ「ただ、これからのために言っておくわ。そんなお人好しだと、苦労するわよ」

アヤ「……それでも、間違ってないと思う」

クロエ「お前をただ利用しているだけかもしれないのに?」

 すっと、クロエが俺の布団へと入ってくる。彼女の女性らしい香りがすぐ間近に。柔らかそうな身体が、手に触れる距離に。心臓がばくばくと鳴る。

アヤ「クロエ……?」

クロエ「……どう? 触ってみたくはない? 私に」

 試すような視線。何か代価でも求められそうな意味深な問い。まるで経験のない初めてのことに俺は……

1彼女を押し倒す
2狼狽える
3抵抗する

 ↓1

眠くなったので落ちま

安価はここから↓1で


キャラの方はまだまだ募集してますので、是非ともー

【正解です。好感度上昇】

 抵抗した。
 彼女に触れたいのは事実だ。でも、こういう時に触るのはなんか違うような気がしたのだ。夢見がちなだけなのかもしれないけれど。

アヤ「……やめよう?」

クロエ「……チィッ」

アヤ「舌打ちも。女の子なんだから、気軽にボディータッチは避けるべき」

クロエ「ええ、分かったわ。……弱味を握ろうと思ったのに」

アヤ(堂々と公言する……)

クロエ「……ま、こんな感じで騙そうとする人間もいるから気を付けることね。無欲そうだから大丈夫だと思うけど」

 ほんのりと赤くなりつつ、彼女は言って自分の布団へと戻る。ふぅ……惜しいことをした気がするけど、これでいい。うん、これでいい……悔しくない。

アヤ「無欲……触りたいとは思ってたけど。でも、女の子だし――」

クロエ「……女の子」

クロエ「私、歳上よね? 女の子呼びはどうなの?」

 じっと、こちらを見るクロエ。少し恥ずかしがってる感じだ。

アヤ「女性とかレディーの方が良かった?」

クロエ「……言葉を変えるわ。お前を襲撃したり、圧倒したり、そんな私のことをか弱い女性扱いはどうなの?」

アヤ「強くても女の子だよね。護りたいって思うのはだめ?」

 たとえどんなに強くても、性別に変わりはない。なら男である俺が護るべきだと考えるのは、自然なことだと思うのだ。

クロエ「それは力がある人が言えることよ」

アヤ「だから普段は言わないけど。思うだけで」

クロエ「……変わってるわよね、本当に」

 ため息。呆れたような顔をして、でも彼女はその後微笑んだ。
 自分に力がないことは分かった。その上で自分よりも強い女性を護りたいとでしゃばる。それは無謀、足手まといというもの。……そう分かっていても、俺は思うことをやめられない。
 多分、彼女の言うように変わってるのだろう。そう、あの日からずっと俺は――

 現在の好感度(10でマックス)
 ルイン 3
 ミコ 不明
 クロエ 3

 翌朝。
 両親にからかわれながら朝食を終え、俺らは各々自由に過ごすことにした。
 クロエはどこかに行ってしまったし、俺はのんびり休んでいようかと思っていたのだが……。

ミコ「……」

 ミコを忘れていた。
 黙りだけれど俺についてくる彼女。俺が自室のベッドに座って読書をしていても、ちょっと横に離れた位置にちょこんと座っている。
 ……俺はご主人様なのかもしれないけど、ここまで一緒にいる必要もないような気がする。
 彼女も彼女がしたいことをするべきだと思うけれど……

ミコ「……」ジーッ

 そう思って彼女の方を見ると、目が合ってしまう。何か言いたげにしているけれど、どうしたのだろうか。


 台詞安価 アヤかミコの台詞を記載
      (エロゲ、修羅場、病み……たらしでもハーレムでも。いきなり殺すみたいなこと以外なら許容範囲)


1 アヤの台詞
2 ミコの台詞

 ↓1

【そういえばですが、キャラ募集の説明に書いた攻略対象のキャラには、R-18的なお話もあるかもなので、その辺りご注意ください】

ミコ「あ、あの……」

 なにを言うべきか頭を悩ませていると、以外にも先にミコが口を開いた。若干緊張した様子でおずおずと、彼女は言う。

ミコ「アヤさんさえよければ……私と性行為をしてほしいのです」

 俺は多分、時間が止まったかのように硬直したと思う。ミコのような美少女から、不意打ちで性行為を求められる。幾度と無く妄想したような展開だが、実際に遭遇するとただ驚きでしかない。

ミコ「ご主人様のお役に立てれば私は嬉しいですし、幸せです」

ミコ「それに……その、アヤさんの精をいただければ私はより力を発揮することができます」

 彼女は……その、淫魔とかサキュバスとかなのだろうか。力を更に発揮できるメカニズムがよく分からないけど、魔力的なこと、なのだろう。多分。

ミコ「……いかが、でしょうか? アヤさんのお役に立ちたいのです」

 微かに赤みがかった頬。裏などなさそうで、クロエの時と違い好意と善意しか感じられない。
 もし本当に彼女が力を更に発揮できるのならば、これからの戦いが有利になるのは間違いない。
 でも、相手はほぼ初対面の女の子……。役に立ちたいとは言ってくれているけれど、どうしようか。

 ↓1 頷くか、断るか選択

アヤ「……うん、ミコがいいなら」コクリ

 自分の力に不安がある。ミコが強い力を持てるなら……可能な限り協力するべきだ。
 ……というのは建前なのかもしれない。クロエから続き綺麗な女性からの誘い。理世というものが働いているのかは、自分でも定かではない。

ミコ「本当ですかっ? 良かった……私、ちょっとは魅力的……でしょうか?」

アヤ「……充分、魅力的」

ミコ「……嬉しいです」

 控えめに言って、ミコは俺のすぐ横へ移動。ぽすっと俺の鎖骨辺りに頭を寄りかからせ、抱きついてくる。
 間近で俺を見つめる整った顔立ち。身体に感じる感触。服の上からなのに心地よい感覚が伝わり、温もりを感じる。

アヤ「……」

 おそるおそる手を彼女の身体に。彼女を抱き締め、頬を撫でる。ミコは気持ち良さそうに目を細めて頬擦りし、笑みをもらした。

ミコ「可愛がってください、アヤさん」

アヤ「っ……」

 間近で囁かれ、生唾をのむ。
 ……かわいい。俺は身体を少し彼女へと乗り出すと、唇を重ねる。うっすらとピンク色をした、未知の柔らかさを持つ彼女の唇。
 その感触に驚きつつ、一度離して再度キス。


ミコ「ん、ふ……」

 色のある吐息をもらす彼女の頭を撫で、啄むように短い口づけを繰り返す。
 これだけでも夢中になってしまいそうなほど幸福な感覚。でも情欲は収まらない。彼女に触れるたび、もっと欲しくなってしまう。

アヤ「ん……」

 彼女が息をもらすのを見計らい、舌を口内へ。ミコが目を見張り、俺の服を掴んでいる手に力がかかる。けれど抵抗はない。俺は謝るつもりで頭をゆっくりと撫で、彼女の舌を舐めるように絡める。
 ただのキスとは違う、彼女を自分のまま貪るような快楽。歯を、唇を撫で彼女の舌を吸い、飽くことなく彼女を堪能する。
 二人きりの自室に小さな水音と、くぐもった声が響く。

ミコ「ふぁ……あ、う」

 敏感に反応し、ぞくぞくと身体を震わせるミコ。最初は彼女からも何かをしようと、舌を動かしたりもしていたのだが今はさるがまま。舌を差し出し、だらしない顔を晒してしまっている。
 キスもそうだが頭を撫でられるのもいいらしい。手が頭に触れ、動く時に背中が微妙に反っていた。
 互いの唾液が口の端から流れるのも気にせず、俺は彼女を求めた。

ミコ「っ、はぁ……っ、アヤ、さ……」

 弱々しく胸を叩かれ、愛撫を止める。
 彼女は荒い呼吸を繰り返しながら俺の懐へ顔を埋め、チラッと顔を少し離してこちらを見た。


ミコ「……上手、ですね」

 潤んだ目はまだ快感に蕩けていて、呼吸は未だ整わず、赤らめた顔で肩をさせ……色っぽく彼女は上目遣いに俺を見つめる。

ミコ「蕩けちゃいそうです」

 俺が蕩けちゃいそうです。

ミコ「……アヤさん、服を脱いでいただけますか?」

アヤ「……うん」

 迷わず頷き、服を脱ぐ。人前で、それも身体が反応している状態で服を脱ぐことに恥ずかしさはあったが、それよりも先を急く気持ちの方が強かった。

ミコ「アヤさんの……大きい、のでしょうか?」ジーッ

 だがこうも凝視されると恥ずかしいものだ。

アヤ「さ、さぁ? 他の人のは見たことない」

 大きくなっている男性のものを見る機会があったら、色々危険だと思う。

ミコ「……でも、固くなって辛そうですね」

ミコ「少し、待ってください……」

 そう言って、俺から離れると着物をゆるめはじめるミコ。彼女は時折恥ずかしそうに胸を露出させ、下、秘部を一瞬露にさせ指で隠す。
 完全には脱がずにあくまではだけさせただけ。裸よりもいけないことをしている気がしてしまう。


ミコ「……えっと、ではアヤさん」

 僅かに膨らんだ胸に、綺麗な色をした突起。すらっとした綺麗な身体。芸術的ともいえる彼女の身体に俺は見とれてしまっていた。
 見つめる俺の視線に一度は恥ずかしそうにする彼女だが、意を決した様子で俺を見つめ返すと、割れ目を隠していた指を離し、

ミコ「中に……ください」

 脚を開いてみせた。恥じらった表情に反し、大胆に開かれた脚。秘部は既に準備ができているようで割れ目から蜜が滴り、ひくひくと震えている。

アヤ「っ……いくよ」

 そんな光景を見て、我を忘れなかっただけでも上出来だろう。俺は頷くとすぐに彼女の秘所へ自身の先端をあてがい、挿入した。

ミコ「あっ、ぁ……」

 ぬるぬるとした、温かい中の感触。思わず俺もミコと同じように声をもらしてしまう。
 俺のものを押し返してしまうのではとすら思ってしまう、強い締め付け。彼女の腰を掴み、俺はゆっくりと奥へと進める。

ミコ「いっ、ぁ……アヤさん、が中に――っ」

 一度、何かに引っ掛かったがすんなりと男性器は奥に到達。音を立てて押し出された愛液の中に、血が混ざっているのが見えた。
 今すぐ動き出したい気持ちを抑え、俺は彼女へ問いかける。


アヤ「……大丈夫だった?」

ミコ「は、はぃ……少し、痛かったですけど、っ」

ミコ「今は、っあ――気持ち、よくて」

 ……初めてなのに、もう彼女は感じはじめているようだ。有り難いことだけれど、無理はしていないだろうか。
 ちょっと心配になり、俺は軽く腰を引いてみる。

ミコ「あっ……」

 するとミコがクラッときてしまいそうな、甘い声を出す。うっとりと、なんていうか……エロい声が。
 心配ない……かな。演技だとしたら、女の子怖い。

アヤ「……動くね」

 とはいえ、俺には余裕がない。短く宣言し、俺はそのまま動きはじめる。

ミコ「ふぁっ! ぁ、っ! これ、おっき……っ!」

 最初はゆっくりと。吸い付くように絡まる中の感触に、すぐ達してしまわぬように腰を動かす。
 ミコはそれだけでも今までより大きな反応を見せた。喘ぎ、動きで与えられる快感に声が途切れ、しゃっくりのように息をもらす。
 快楽に乱れる彼女の姿も美しく、俺の嗜虐心を煽る。

アヤ「ミコ、かわいいよ……っ」

 普段ならば口にしないことも自然と口から出てしまう。彼女の腰から手を離し、上へ覆い被さるように姿勢を変える。上から下へ、奥を突くように徐々にペースを早めていく。
 小さかった粘着質な愛液の水音が、耳にはっきり入るほど大きくなる。


ミコ「アヤ、さん……っ! ふぁ、私、おかしく――っ」

 泣くようなミコの声。開いていた脚を閉じ、俺の腰を固定すると彼女は俺を強く抱き締めた。

ミコ「ひぁっ、な、中に……アヤさんの、ください!」

アヤ「うん、いくよ、ミコ……っ」

 身体を密着させ、お互いを求めるように抱き締め合う。最後に彼女の奥を突くと同時に俺は絶頂に達し、彼女の中へと白濁を注いだ。

ミコ「ぁ、んあぁっ! あ、出て、ます……」

 彼女も俺とほぼ同時に果てたようだ。一際大きな嬌声を上げ、ぐっと俺を強く抱き締める。そして少しすると脱力。ぐったりとベッドへ身体を横たわらせた。

アヤ「……っ、ふぅ」

 その間、俺は自分でも信じられないほど長く、大量に射精をし……彼女の中から溢れるほど出して、ようやく止まる。
 女の子の中に出す。そのとてつもない快感に身体を震わせ、中から自身を抜く。


アヤ「……すごかった」

 直後の感想としてはそれ。あまりにも現実からかけ離れすぎていて、頭が働かない。
 ただ、目の前で秘部から白濁を溢れさせ、ぼんやりとしているミコ、彼女を見るといくらでもできそうだから不思議なものだ。


1 このまま眠ろうか
2 「……足りないです」

↓1 どっちか選択。ミコさんのエロへの積極性が変化します


ミコ「……足りないです」

 彼女のことを考えて、一休みしておこうかなと、そんなことを思った矢先、小さな声が聞こえた。
 疑問を持つよりも早く、俺は誰かに押し倒される。ベッドを背に仰向けの体勢で、自然と俺を押し倒した人物が目に入った。

ミコ「アヤさんの、固いの……っ、もっと、欲しいです……」

 発情しきっただらしのない表情。舌を出しながらはっ、はっ、と短い呼吸をし、彼女は身体をすりすりとこすり擦りつけてくる。
 愛液か精液か、どろっとした感触が太ももに。
 初めての快感でスイッチが入ってしまったのだろうか。普段のおしとやかさは感じられない。

ミコ「入れますね、アヤさん……」

 返事も聞かず、俺が戸惑っている内に彼女は身体を起こし、俺の上へ跨がる。そして、躊躇なく俺のものを中へと挿入しはじめた。

ミコ「大丈夫、ですよね。こんなに、固っ、あ……ぅ!」

 ずぷっ、と勢いよく挿入されたと同時に、愛液と精液が音を立てて押し出される。
 狭い膣内。ミコが自ら与えてくる刺激。自分で動くのとはまったく違う快楽に、腰が浮いてしまう。

ミコ「はぁ、これ……奥に……んっ」

 快感へ酔いしれるように、ゆっくりと腰を上下しはじめるミコ。時折奥へぐりぐりと先端を押し当て、自分で胸を揉み、俺の上で淫らに乱れる。

ミコ「アヤさん……」

 動きは早めず、じっくり味わうようにして高まっていくミコ。彼女は俺の名前を囁くと、夢見心地な状態でふにゃっとした笑みを浮かべ、身体を前に倒した。

ミコ「今度は私が、可愛がらせてもらいますね……」

 そして、口づけ。
 腰をゆっくり動かしながら、俺の口内へと舌を入れてくる。その間、彼女の手は俺の胸板へ。くすぐるみたいに撫でたり、突起を弄ったり、俺の反応を見てあれこれと触り方を変えてくる。

ミコ「ん、ぷぁ……っ、ちゅ」

 声と音を響かせて、まるで彼女と一つに溶け合うように重なり合う。
 ……いや、溶け合うというよりは貪られていると言った方が正しいのかもしれない。男性器に唇に、胸に、上から下までされるがままで、一向に抵抗する気力がわかない。あっという間に俺は二度目の射精をしてしまった。

ミコ「ぁ……またいっぱい……嬉しいです」

 うっとりと、自分のお腹に手を当てて微笑むミコ。けれど彼女は俺の上から離れず、

ミコ「もう一回……ください」

 入れたまま、再度動きはじめた。
 結局それから四回ほど彼女の中に注ぎ、満足したらしいミコはぐっすりと眠りはじめた。……やっぱり彼女はサキュバスなんじゃないかと、そう思わざるを得ない。

【ミコの好感度が上がり、合計5。今後ミコはR-18な安価に寛大になります】
【一度落ち】


 ミコに徹底的に搾られて数時間。身体を洗い流して、部屋でのんびりしているとルインがやって来た。

ルイン「それで、様子見に来たけど……」

ルイン「クロエを自由に行動させるし、監視しないし……自分はミコとイチャイチャ?」

ルイン「勇者候補が何してるのさ」

 で、早速説教をされてしまった。
 事情をちょこっと話しただけなのに。これでミコと何度もしてしまったことを話したら、どんなリアクションをされることか。

アヤ「……ごめんなさい」

ミコ「ルインさん、アヤさんはクロエさんのことを信頼しています。ここは彼女のことを信じてみましょう?」

 謝る僕。それと僕からちょっと離れた位置に座るミコ。ルインが部屋に入るまでは僕の膝の上に乗って、首筋を舐めたりキスしたり、頭を撫でるのを要求したりと好き放題だったのだけれど、今はすっかり猫かぶりモードである。


ルイン「と言ってもね……アヤは力を手に入れちゃったわけだし、気を引き締めてもらわないと。クロエの信用はまぁ、分かるけどさ。でも初対面だし」

アヤ「……力」

 いまいち実感はない。一日経った今でも、遺産というものがどういう力を発揮してくれるのかはさっぱりで。

アヤ「……俺の力って、能力以外には?」

ミコ「心の遺産は内なる強さを高めるもの……基本的な身体能力の底上げと、魔力の向上がされているはずです」

ルイン「おお、すごいんだね」

ミコ「他の遺産には及ばない上昇幅ですが」

アヤ「ショックッ」

ルイン「まぁ全然変わってないしねぇ。村の女性方は見る目が変わってたけど」

アヤ「平均年齢高めの女性方」

ミコ「あはは……。ご主人様は継承前も素敵でしたよ」

ルイン「……で、さ」

 ミコと俺を怪しむように見た後、ルインは真面目な顔をする。何を言おうとしているのかは大体察しがついた。


ルイン「アヤ、どうするの? 遺産手に入れて、勇者候補になって――このまま村にいるわけにもいかないでしょ?」

アヤ「……そうだね」

 勇者候補。その肩書きは立派だけど、周りの人間からしたらただの傍迷惑。本来なら今すぐにでも大切な人たちの傍を離れるべきなのだろう。

アヤ「……」

 だから、決めないといけない。
 でもその決断の前に……聞かないといけないことがある。

アヤ「……ねぇ、ミコ」

ミコ「はい、アヤさん」

アヤ「魔王を放っておくと、どうなるの?」

 魔王を倒さないとどうなるのか。世界が滅びる、だけではなくはっきりとした説明が聞きたかった。

ミコ「……世界が滅びます。そして、昨日遭遇したような魔物――並の人間ではとても敵わない強力な異形のものたちが各地を襲撃するでしょう」

ミコ「勇者候補を優先して、勇者候補がいなければ手当たり次第に人を襲って」

アヤ「……そか」

 昨日出会った異形。モンスターとも違う、大きな力を持ったなにか。
 昨日、俺を狙っていたように見えたのは間違いないではなかったらしい。
 あれが他の誰かを襲いはじめる……考えたくもない。


アヤ「それなら、俺の答えは……」

 今も昨日も俺のしたいことは変わらない。
 誰かを守る。そのために俺は――

1「遺産を集める」
2「勇者候補を集める」

 ↓1 どれか一つ選択
    心の遺産を選択した影響で皆殺しルートは無し


 ミコに徹底的に搾られて数時間。身体を洗い流して、部屋でのんびりしているとルインがやって来た。

ルイン「それで、様子見に来たけど……」

ルイン「クロエを自由に行動させるし、監視しないし……自分はミコとイチャイチャ?」

ルイン「勇者候補が何してるのさ」

 で、早速説教をされてしまった。
 事情をちょこっと話しただけなのに。これでミコと何度もしてしまったことを話したら、どんなリアクションをされることか。

アヤ「……ごめんなさい」

ミコ「ルインさん、アヤさんはクロエさんのことを信頼しています。ここは彼女のことを信じてみましょう?」

 謝る僕。それと僕からちょっと離れた位置に座るミコ。ルインが部屋に入るまでは僕の膝の上に乗って、首筋を舐めたりキスしたり、頭を撫でるのを要求したりと好き放題だったのだけれど、今はすっかり猫かぶりモードである。

ミス。重複したところ投稿してしまいました
申し訳ない

アヤ「勇者候補を集める」

 俺なりに考えた末の結論。はっきり口にすると、部屋に沈黙が広がった。
 魔王を倒すために勇者が必要。勇者になれるのは遺産を集めた一人だけ。ならばもしかしたら、遺産の力を持った候補を集めれば、争わずともなんとかなるのかもしれない。
 楽観的な考えだ。そんな、行き当たりばったりとも言える選択をしたのは、争いたくないただその一心のみ。
 魔王を倒すために勇者候補同士で争ってどうなるというのだ。
 力を持っているならば、力を持っていない人たちのために戦うべきだろう。
 争うべきは、モンスター、魔王。
 決して同じ心を持った生き物同士ではない。

ルイン「……そ。アヤらしいね」

 一分ほど、たっぷりと間を空けてルインは肩を竦めた。俺が考えていることなどお見通しなのだろう。呆れた様子で俺を見ると、彼は苦笑する。

ルイン「なら僕も付き合うよ。勇者と魔王、世界の命運を親友と見届けるさ」

アヤ「……ありがとう」

 おそらく、一筋縄ではいかない道だろう。一人目の候補者に問答無用で襲われたり、最悪殺されたりする可能性もある。
 馬鹿な俺でも分かる。だからルインもそれは承知の上なのだろう。けれど彼は俺についてきてくれることを選んだ。
 心から感謝をし、目を合わせて頷き合う。相も変わらず、頼もしい幼馴染みだ。

ルイン「というわけなんだけど、それはミコ的にどうなの?」

ミコ「え?」

 話を振られ、ミコはきょとんとした顔で首を傾げる。黙っていたのは驚いたからではないらしい。

アヤ「候補者を集めて結託することについて。どう思う?」

ミコ「あ、なるほど。私はアヤさんに従います。この世に生まれた時から、私はアヤさんと一心同体。離れません」

 ……なんだろう。嬉しいことのはずなのに彼女の熱っぽい視線が恥ずかしい。

ルイン「……ねぇ、アヤ。ミコとなにかあったでしょ?」

アヤ「……」プイッ

ルイン「だんまり……これからが不安だよ、まったく」

ミコ「――ですが」

 いつもの調子でふざける俺ら。その横で不意にミコが口を開く。


ミコ「気を付けてください。勇者が決まらなかった場合、この世界に何が起こるのか、私にすら分からないことなのですから」

 勇者候補が勇者になる。
 勇者だけが魔王を倒せる。
 つまり俺が選ぼうとしている道は、魔王への唯一の対抗策を潰そうとしているわけで。世界のことを思うのなら、遺産を集めるのが一番手っ取り早いのだろう。
 ……自分が選んだ道にはしっかりと責任を持たねば。もうただの子供じゃない。俺は世界の中心の一人で、大きすぎる影響力を持っているのだ。

アヤ「……わかった。ミコ、これからも一緒に。力を貸して」

ミコ「はい、任せてください」

 にっこりと笑うミコ。そして、ルイン。
 俺には頼もしい仲間がいる。だからきっと、どんな道でも大丈夫。うまくいくはずだ。
 俺は疑うことなく、そう思った。





アヤ「……ふぅ」

 これからのことは決まった。
 村を出て、勇者候補を探して集める。集めて何をしようかはあまり考えていないけれど……魔王をどうにかしなくては。

アヤ「……とりあえず、できることから」

 ミコは村のお店を見てくると出掛けたし、ルインも一度家に戻った。
 しばらくはまた、自由な時間ができたということだ。

アヤ「……どうしようかな」

 何をしようか。


 1クロエを探す
 2ミコを探す
 3ルインを探す

 ↓1

アヤ「……」

 なんとなくミコを探しに来た俺は、村の店が集まる一角にやってきた。
 仕事の成果を買い取ってもらったりといつもお世話になっている雑貨屋。様々な野菜や肉を取り扱う食材屋さん。大工兼家具屋さん。
 まぁ田舎の割にはそれなりにお店はある。生活に困らないくらいには。
 中でも、雑貨屋の利便性はすごく高くて――

雑貨屋「ミコちゃん来てくれてよかったよ。アヤは全然女っ気がなかったから。可愛い男の子が近くにいたから、ずっと心配でさぁ」

ミコ「可愛い男の子? ルインさんのことですか?」

雑貨屋「そうそう。そっちの気があるのかとばっかり」

 ――だから店長の人柄の厄介さが身に染みてわかってしまうのだ。
 店先。その美しさで羨望と好奇の視線……だけではないだろうが、ほぼほぼその場にいる全ての人間の眼差しを集めるミコ。
 そんな彼女の前にいるのが、雑貨屋の店長。お髭がナイスな中年のおっちゃんである。
 彼のことだからナンパではないだろうけど、俺の名誉が著しく低下しそうなのは見てられない。

アヤ「……こら」

 きわめていつも通りに俺は雑貨屋の前へと歩いていく。ちりちりと視線の多さを感じつつ。

雑貨屋「お、アヤ。来たか。ミコちゃん一人にしちゃダメでしょ。村のやつら放ってかないぜ?」

アヤ「それはまぁ、そうだけど。でも変な話はやめてほしい」

雑貨屋「変な話? あぁ、ごめんごめん。ついはしゃいでね。羽目を外しすぎたかな」

アヤ「……ほどほどに、おっちゃん」

雑貨屋「ほいほい。じゃ、俺は仕事するか。お二人さん、冷やかしでもゆっくりしてってねー」

 軽い調子で言って、おっちゃんは店の中へと。カウンターに入り、手をひらひらと振る。こちらをからかうような笑みを浮かべて。……なんか、ミコとの関係を誤解されてるよね。誤解じゃないといえば、そうなんだけど……どういうリアクションをすればいいのやら。

ミコ「アヤさんも雑貨屋さんにご用ですか?」

アヤ「……いや、ミコを探しに来た。ちょっと気になって」

ミコ「そうですか……ありがとうございます」ニッコリ

 くっ、眩しい……っ。

アヤ「う、うん。……お店、見ようか?」

 隣に立ち、俺を上目遣いに見つめるミコ。どぎまぎするのを感じ、俺は店へと視線を移した。

1旅の必需品を揃えてもらおう
2ミコに何か買ってあげよう(詳細指定可)
3何か台詞(アヤでもミコでも、ルインでもクロエでも)

 ↓1

アヤ「旅の用意をしてもらおうかな……」

ミコ「それはいいですね。では、店長さんに」

 頷いて、店の中に。横へと並んでカウンターの前に向かう。

雑貨屋「お、どうした? なにか入り用?」

アヤ「……うん。旅をしたくて。でも、初めてだから何を用意すればいいのか」

雑貨屋「……? それならそこのミコちゃんに聞けばいいじゃないか。この村へ来たんだろう?」

アヤ「……」

 そ、そういえばそんな設定だった。まずい、矛盾はできるだけ避けなくては。

アヤ「あ、あまりこの子に頼りきりは……」

雑貨屋「ははーん、そういうこと。わかった。手を貸したげる」

 ほほえましいものでも見るように、おっちゃんは笑う。頼もしくはあるが、また何か誤解された気が。

雑貨屋「金は昨日の素材でたっぷりだろうし……どうする? 最低限か、ちょっと贅沢か、長旅でも安心安全セットか……」

アヤ「中くらいで、四人分。日数は隣の街に行けるくらいで」

雑貨屋「まあ妥当だね。わかった、ちょっと待ってな」

 指でばっちりとサインを作り、おっちゃんはカウンターから出ていく。後は任せていいだろう。

ミコ「旅……そういえばどこに向かうつもりなのですか?」

アヤ「どこに行くのにも、隣の街を経由しないとだから、まずそこ」

ミコ「なるほど。そうなのですか」

 多分、ルインもそのルートを選択するだろう。この村、その街以外には山とか川とか、無人の場所が彼方に続くだけだから。未踏の地もいいところだ。

アヤ「……緊張する。旅なんて初めてだから」

ミコ「そうですね……。でも、皆さんがいるから大丈夫ですよ」

アヤ「うん」

 ……旅に出てしまえば、余程のトラブルがなければ大丈夫なのだろう。でも問題はむしろ出るまでで……聖域のお仕事、どうしようかな。代わりは……ううむ。

雑貨屋「おう、用意してきたぜ」

 早い。リュックを二つほど抱えて戻ってきた彼は、カウンターにそれを置く。結構大きい。

雑貨屋「そのまま食べられる食糧に、簡単な調理器具。ルインがいるから発火の魔石類は省いておいた。それと屋根だけの簡単なテントと、シート。毛布は寒くも暑くもないから薄めで用意しておいたぞ。後はこの辺りの地図。それと……」

雑貨屋「簡単な防音の結界と、シートを。あ、これはおっちゃんのおまけだ。二人で使い――」

アヤ「おいコラおっちゃん」

雑貨屋「えー? なに? アヤくんなに考えてたの?」

 このおっちゃんは……。

雑貨屋「使うかもしれないでしょ。アヤくんも男の子だもの」

アヤ「余計なお世話……」

雑貨屋「姿は見えるから隠れるように」

アヤ「……」

雑貨屋「無言のプレッシャーが怖いから、これくらいにしておくか。ま、とっといて。お得意様へのサービスだ」

ミコ「……? アヤさん、よかったですねっ」

アヤ「あ、ああ、うん……」

雑貨屋「おっちゃん、セクハラと受け取られなくて安心したぜ」

アヤ「あんたもう黙ってろ」

 激しめのツッコミをし、カウンター上に置かれている紙に書かれた合計金額の分だけ支払う。ちょうど所持金の半分か。良心的な価格だ。


アヤ「……お世話になった」

雑貨屋「気にするな。お得意様の頼みとあっちゃ断るわけにもいかないからね」

雑貨屋「けどさ、どうするの? アヤくんが村から出るには許可が要るだろう?」

アヤ「……うん」

雑貨屋「そうか、事情があるんだろうな」

アヤ「やむにやまれない事情が。あとで村長さんのところへ行く」

雑貨屋「本気の決意らしいな」

 こくりと頷く。世界のために村を出る。これはもう決心したこと。そのためにも、ちゃんと話をつけて俺はこの村にきっちり筋を通さねば。

雑貨屋「応援するよ。外を知るのはいいことだ」

アヤ「ありがとう、おっちゃん。あ、ルインが来たら用意はもう俺がしたって言っといて」

 気が重いけど、これから世界の命運に係わるのだ。勇気を出さなくては。
 リュックを左右の腕に。おっちゃんに別れの挨拶をし、俺はミコとともに雑貨屋を後に。それからお店を見て回り、家へと戻った。

ルイン「……はぁ、気が重い」

アヤ「まぁ、仕方ないこと。頑張ろう?」

ルイン「そうは言うけどさぁ……長年お世話になってるし、仕事就いて1年近くだし、申し訳ないっていうか」

 買い物から帰り、夕方。俺はルインに話をつけ、村長の家へと向かった。

ミコ「大きいお家ですね」

 何故かついてきたミコと一緒に。
 クロエは俺の家でお留守番させといた。

アヤ「……気合い入れていこう」

ルイン「気合いが入らないんだよねぇ、アヤが言うと」

 外に出るため、聖域を守るという仕事を誰かに託すため、村長と話をすることは避けられない。
 いつか行かないといけないならば、俺が旅に出ようとしている話が伝わる前に行くのがいいだろう。

ルイン「……ま、仕方ないか。今までお世話になったしね」

ミコ「私も助力させていただきますね」

ルイン「いや、ルインはできるだけ静かに……っていうか、なんでついてきてるのさ」

アヤ「私のせいとミコが聞かなかったから」

ルイン「……そか。ありがとね、ミコ」

ミコ「いえ。お礼なんてそんな」

ルイン「あぁ……いい子だよね。癒されるよ」

アヤ「俺もいい子」

ルイン「うっさい」

 なんやかんやふざけつつ、村長の家の中へ。いつものようにドアを軽くノックしてから入っていく。

アヤ「村長?」

村長「……ん? なんだ、お前たち――」

 村長の家。玄関から真っ直ぐ、壁もなく繋がっている一室の床に座った老人が顔を上げ、固まった。
 どうしたのだろう。ついにそんな歳に……などと不謹慎なことを考えていると、彼の視線がミコに向いていることに気づく。

村長「……そうか、もうそんな時期か」

 しわくちゃな顔で、けれどはっきりと驚きを窺えるほど目を見開き、村長は一人頷く。

村長「旅、か? 勇者候補よ」

三人『!』

 再び穏やかさを取り戻した際に言い放たれた村長の言葉。急な言葉に俺らは驚かされた。

村長「そうか……」

 クロエのことを除き、それまでの経緯を語った俺達。村長はなにか合点がいったらしく、特に質問もなく受け入れた。

ルイン「……村長、聖域って勇者関連の場所だったり? 色々知ってるみたいだけどさ」

村長「ああ。普段は隠しているがな。あの聖域は勇者の遺産を封印したと言われる、由緒正しい――言葉通りの聖域だ」

アヤ「……そうなんだ」

村長「うむ。勇者の力にもっとも近い――心の遺産。先代の勇者が眠ったのもあそこだと言われている」

村長「そんな場所の遺産をまさかアヤが継ぐとはな。取り柄も少ない地味な子が」

アヤ「泣くぞ村長」

ルイン「ま、まあまあ。なら、僕らが旅に出ようとするのも許してくれるよね?」

村長「ああ。遺産がなくなったのならばモンスターも大人しくなるだろう。野性の動物なら、私でも狩れる」

ミコ「よかったですね、アヤさん、ルインさん」

アヤ「うん。……そういえば、なんでミコを見て勇者候補だと?」

村長「魔力がそこらの人間や獣人と違うからの。聖域と同じ雰囲気がある」

 ……ふむ。言われてみれば、確かにそんな気が。

村長「魔力の量、質も恐ろしいほどだ。流石は勇者候補の従者」

ミコ「あ、いえ、それは多分アヤさんに……」

アヤ「ミコ」

 何を言おうとしているかは分かったため、慌てて制止。
 そ、そうか、見る人が見れば分かるくらいのパワーアップはされているのか。気を付けなければ。

村長「……ということだ。世界がかかった話、私は止めはしない。旅に出るならば両親や友人に挨拶をしていくことだな」

ルイン「……あっさりしてるなぁ」

村長「田舎だからの。融通がきくものだ」

村長「求めるのは土産くらいだ」

アヤ「はは……分かった。楽しみにしてて」

村長「ああ。問題を片付けて、無事帰ってこい」

 そういうことか。ふっと笑い、俺は頷く。

アヤ「任せて。みんなとどうにかしてくるから」

 改めて、俺らは子供で、誰かの世話になっているのだと感じた。でもこれからは自分達でなんとかしなければならない。
 不安でもあり、そして同時にわくわくする気持ちもあった。
 これから、どうなるのだろうか。


アヤ「……」

 さて、両親にも話はつけたし、ルインの方も問題はないらしい。クロエとミコは言わずもがなで、旅立ちは明日になった。
 それで、夜になったのだが……。

ミコ「アヤさん、よかったら私と……」

クロエ「ミコと? 昨日と一緒でいいと思うけれど」

 なんか、妙なにらみ合いが発生していた。
 ミコは多分、俺と寝たいのだろう。クロエは何も考えてないというか、昨日から変わる理由が分からなかったり、単に俺がベッドで眠るのが気に要らないのかもしれない。

 ……どうしようかしら。


1ミコと一緒に
2昨日と同じ
3ミコとクロエを交代

 ↓1

アヤ「ミコと一緒に」

 ミコイズエンジェル。
 それは俺が得た結論の一つで。脅しをかけてきそうなクロエといると、どうなるか……怖い。彼女に手を出してしまいそうな自分がいるから、尚更。

ミコ「アヤさんっ」パアァ

クロエ「……わかったわ」

 断言する俺へ、嬉しそうにするミコと、渋々といった様子で頷くクロエ。
 クロエも自分がしたことは分かっているのだろう。怪しまれるということもおそらくは。

クロエ「最近、仲良さそうだものね」

 ……クロエってやっぱりいい人だよね。何度か修羅場をくぐってそうな顔をしていて、思考が村人寄りだもの。

アヤ「……ごめんね」

クロエ「別に。布団でも寝られるからいいわよ」

 肩を竦め、敷いてあった布団を二つ寄せてそこへ広々と寝るクロエ。特に不満はなさそうだ。

ミコ「そ、それではアヤさん、どうぞ」

アヤ「……うん。お邪魔します」

 何度か寝た関係。でも緊張感は消えず、ミコが毛布を持ち上げる中へと俺はドキドキしながら入る。
 一人用のベッドにミコと二人で。すぐ近くにミコの身体が、顔が。すごくいい匂いがする。

アヤ「……おやすみ、ミコ」

ミコ「はい、おやすみなさい」

 頭を撫で、仰向けに寝る。するとミコが俺の腕を動かし、横向きに俺へと抱きつき腕を枕にするような体勢に変える。

ミコ「……落ち着くにおいです」

 モフモフの耳がすぐ近くに。胸元からスンスンとミコのにおいを嗅ぐ音が聞こえてきた。
 正直、俺はすごく落ち着かないです。
 あれだけしたのに、まだこんなこと思うなんて俺はどれだけケダモノなのか。

アヤ(ミコは普通に寝るみたいだし、手は出せないよね。寝よう、頑張って)

 動かしたくなる手を抑え、俺は目を閉じる。
 隣の床にはクロエが寝ているのだ。手は出せまい。
 悶々とする気持ちで俺は、徐々に眠りへと落ちていき――


1 朝、布団の中でもぞもぞと……
2 夜中に目が覚め、ミコをこっそりと
3 健全に朝を迎える

 ↓1

sageてました
安価はここから↓1で

 健全に朝を迎えた。

アヤ「……」

 いつもの習慣で目が覚め、あくびをもらしながら左右を見る。女の子が俺の隣で、ちょっと離れた布団の中ですやすやと眠っている。
 女の子らしいいいにおいがして辛いです。

ミコ「……ぁ。アヤさん、おはようございます」

 さあどうしようかと悩んでいると、俺に抱きついたまま眠っていた彼女が起きた。目をこすり、すりすりと俺の胸板へ頬擦りするとにっこり笑う。

ミコ「旅立ちの朝ですね。そろそろ起きる時間ですか?」

アヤ「……うん」

 俺が頷くとミコはすぐに離れ、ベッドにちょこんと座る。そしてクロエをチラッと見た。


アヤ「彼女も起こさないとね」

 居候、というか今は仲間になっているわけだし、自分が面倒を見なければ。……なんてことを言えば多分、睨まれるんだろうけど。

アヤ「さてと……」

 今日から旅立ち。
 故郷を出るのはこれが初めてだ。何事もなく平和に街へと行ければいいのだが。

アヤ「……油断しないようにしておこう」

 世界の命運を握る勇者候補として、そこらの魔物やならず者にやられないようには気を付けたいものだ。


 ↓1 移動の際の会話イベント、その対象(ミコ、ルイン、クロエから一人選択)

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