CCAアムロがISの世界に行ったら?な作品
誰も書いてないみたいなので書いてみようかと
注意
・初心者です
・独自設定入ります
・書き溜めはないです
のんびり雑談交えながら進めていきたいです
宜しくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462709222
大人が子供の世界に割り込むとは・・・
アクシズが緑のオーロラに乗っかって遠くに漂っていく。
それに張り付く白い機体と赤いボールの様なものも一緒だ。
アムロ「暖かい...これが人の可能性なんだね、ララア...」
アムロ「僕もシャアもこの光をもっと早くから出せていれば、道を間違えなかったのかな...?」
白い機体の中に乗る男性、アムロ・レイは自らの死を悟っているようだった。
白い機体ことνガンダムは関節が既に限界を迎えていて、何を弄ってもびくともしない。
ノズルのガスも使い尽くしており、アポジモーターさえも吹かすことが出来ない。
しかし、突然緑色の暖かい光が強くなる。
次の瞬間には、アクシズの近くに漂っていたνガンダムと赤いボールの様なものは消えていた。
>>2
実はそこで悩んでます。思考停止してサイコフレームのパワーで小さくなってもらいましょうかね
光が交錯し、自らが浮いているのか立っているのかすら分からぬ空間にアムロは居た。
目の前では数多の白鳥が飛び交い、場所が場所ならとても綺麗に思えただろう。
アムロ「ララア、そこにいるのかい?」
飛び交う白鳥に語りかける。そこにララアがいることを信じて。
ララア「私はずっとここに居たわ。貴方と大佐の中で、ずっとずっと」
白鳥が褐色の少女となり、声を発した。
アムロ「僕とシャアは分かり合うことが出来なかった」
アムロ「いくら連邦が腐りきっていても、武力で解決するのは間違っているのに」
ララア「私は貴方達の中でしか生きられない。だから、何も言えないわ」
アムロ「じゃあ俺に、シャアが地球を核の冬にすることを黙って見てろって言うのか!」
ララアの俺にもシャアにも優しくするような、お見通しといった態度が気に食わない。
聞きたいのはそんな曖昧な事ではない。
アムロ「シャアが、勝手な幻想を抱かなければエゥーゴでどうにか出来た筈なんだ!」
ララア「でも、貴方は宇宙(そら)には上がれなかった」
アムロ「ッ...だが、アイツが早とちりさえしなければハマーンが出てくることも無かった」
ララアは哀しげな眼をして、こっちを見つめてくるだけだ。
言いたいことは分かる「どうしてお互い否定しあうことしか出来ないの?」と問い掛けてきている。
アムロ「俺は...僕には...まだ分からないんだ...」
アムロ「だから、僕は...」
ララア「それは貴方が見つけるのよ、大佐と一緒に」
ララア「貴方なら、それが出来るから」
一方的にララアが言い終えると、どんどんと遠くなっていく。
自分が引っ張られているのか、ララアが遠のいていくのか、どっちなのかは分からない。
視界が朦朧としてくる。
自分の体を見れば手が歪み、足が歪み、自分の体が自分で無いような気さえする。
アムロ「光が、広がって...」
意識が途切れた。
???「おい、どこから侵入してきた?答えろ。生憎と容赦はせんぞ」
意識が、感覚がハッキリとしてくるが頭痛がヒドイ。
眼を開ければ、気の強そうな黒髪の女性が此方を鋭い目で見据えていた。
アムロ「生きて...いるのか...?」
???「聞いているのか!どこから侵入してきた!」
次の瞬間には首筋にカタナが突き付けられていた。
生きていることに驚いてしまって、反応するどころでは無かった。
アムロ「分かった、投降する。意識を失っていてどのように入ったかは分からない」
余りに胡散臭い回答ではあるがこれが真実。
黒髪の女性は此方を見定めるかのように眼を覗き込み、嘘が無いと悟ったのかカタナを降ろしてくれた。
???(投降などという言葉が出てくるということは、この身なりで軍人か?)
???「拘束させてもらうが、悪く思うな」
アムロ「ああ、分かってるさ。意図せずとはいえ侵入しちまった俺が悪いからな」
両手を手錠で拘束され、付いてくるよう言われる。
木が生い茂っていたが、それを抜ければ大きな建物が建っていた。
どうやら、何処かの研究施設かどこかに侵入してしまったようだ。
連邦直属の施設なら、身の保証は確保されるだろう。
アムロ(地球に落ちたのか...νガンダムとアクシズ、シャアと色々と気になることがある)
アムロ(しかし、余り喋りすぎるのは危険だな。モルモットにされたら堪ったもんじゃない)
黒髪の女性と共に施設に入り、部屋に入れられる。
強引に座らせられると机を挟むようにして目の前に黒髪の女性が座った。
???「再度聞かせてもらう。どうやって此処、IS学園に侵入したのだ?」
アムロ「IS学園?」
これから、自分でも思ってもみない程に厄介事に巻き込まれる原因となった学園...
『IS学園』に来てしまった俺の、最初の一日だ。
凄い書いた気でいるのに大したことない文量に驚き。
SSって思っていたより大変なんですね。
今日は一先ず区切りがいいので終わりにします。
明日も九時から十時位まで書くことになりそうです。
期待
一応言うけど「ララァ」だったはず
SS書いてみて、色々とレス付くことがこれだけ嬉しいことと気付きました。
頑張っていきます。
これが完結したらリディとかの書かれていないキャラのも書いてみたいですね。
>>22
散々ララアとか書いてて、実際はララァでした...
うう...皆様脳内補完しといてください、お願いします。
アムロ「IS学園?」
???「知らないとは言わせないぞ。いくら情勢に疎くてもIS<インフィニット・ストラトス>は知っているだろう?」
IS、無限の成層圏などという大層な名前の着いた何かだ。
そもそもMSがあるというのに成層圏如きで何を騒ぐ理由があろう。
しかし情勢に疎くても知っていると断言される程には有名なモノなのだろう。
アムロ「すまないが、俺の記憶には無い」
アムロ「というよりも、自分の名前くらいしか覚えていることが無いんだ」
???「はあ...此処に来てよくそのようなな白々しいことを言ってくるとは...」
???「呆れてものも言えんな」
流石に白々しいことこの上ない。
しかし、何としてでも情報を引き出さなくてはならない。
サイコフレームの共振によってまだ何が起こったかはわかってはいない。
俺からアクシズ等の事を話して根掘り葉掘り聞かれるよりは聞きに徹する方が良いだろう。
???「自分の名前位は分かるといったな。名は何だ?」
アムロ「俺はアムロ、アムロ・レイだ」
???「アムロ・レイ、か。当然だが聞いたことのない名だな」
アムロ(俺の名を知らないということは...)
アムロ(やはり別世界なのかもしれないな)
不思議と焦りはしなかった。
死を確信していたからだろうか。ある程度達観した冷静な考えを持つことが出来た。
???「私の名は織斑千冬だ。此処、IS学園で教師を務めている」
千冬「お前のことを百歩譲って信用してやる。資料を持ってきてやるから、ここで大人しくしていろ」
そう言ってから多少の苛立ちを含んだ足取りで、織斑千冬と名乗った女性は部屋を出ていった。
アムロ(これからどうしたものか...)
このまま拘束れたままだとして、何れは警察機関に捕まるはずだ。
俺の身分を証明する物は全くといって無く捕まったら最後、一生牢屋生活になるだろう。
アムロ(しかしあの女性から何かを感じたが...一体何の感覚だったんだ?)
もしも、俺に一年戦争時の鋭い感覚があったのなら理解できよう。
しかし他者を受け入れて先に進むというのは、大人ではしがらみに囚われて難しくなっていく。
そういった意味で俺のニュータイプとしての能力は確実に低下している。
アムロ(それよりもこの世界での身の振り方を考える方が先決だな)
考えても答えの出ない考えは生産性が皆無だ。
この状況ではそんな無駄な思考よりも現実的な俺の課題を考えていくことの方が得策だ。
アムロ(まず俺の戸籍情報が無いことをどう言い訳するかだな)
アムロ(素直に異世界の住人だと言ったら十中八九、精神病棟に世話を任されちまう)
アムロ(だが、ハッキリと言わない限りは...)
しかし思考が混濁していく。
自分でも気付かなかったが、マトモに考えることも出来ないほどに体は疲弊していたのだ。
最初こそ睡眠欲に抗っていたものの結局睡魔に負け、眠りに落ちた。
千冬「おい、大丈夫か?」
アムロ「ン...」
少しずつ意識が覚醒していく。
すぐ目の前には女性の顔があり、少し驚いたが表情には出さず姿勢を正す。
千冬「この状況で眠れるとは...余程精神が図太いのだな」
アムロ「誉め言葉として受け取っておくよ」
織斑千冬から発せられた皮肉を軽くあしらうと少しムッとしていたが資料をこちらに差し出してきた。
教師と言うだけあって、しっかりとした物を持ってきてくれた。
千冬「これが資料だ。ISについてやIS学園のこと、多少の世間の風潮が記してある」
千冬「記憶喪失のお前にも分かりやすい物を選んできてやった」
アムロ「感謝するよ。監視を付けるのは構わないが、拘束を解いてくれないか?」
アムロ「これじゃ自分の手で資料を捲ることすら出来ない」
言いながら、しっかりと拘束された両手を掲げる。
女性は少し考えてから、先程まで寝ていたことも踏まえてか両手の拘束は解いてくれた。
千冬「監視は私一人だけで充分だ。怪しい素振りがあったら首が胴体から離れると思え」
教師として疑問に思える事を堂々と言われたが、元々俺は侵入者という立場なのだ。
これだけしてもらっているだけ破格の待遇と云えよう。
アムロ「では遠慮なく資料を読ませてもらうよ」
そこにはマルチフォームスーツという一種のパワードスーツの兵器、ISの事から書いてあった。
基本的に女性にしか扱えないことから、恐らく機密に触れない程度でISの事が詳しく書かれている。
それから読み進め、IS学園の事や女尊男卑の社会的風潮など一頻りの情報を手に入れることができた。
アムロ「資料は全て読ませてもらった。感謝する」
アムロ「だが、俺は侵入者のはずだ。何故ここまでの厚待遇を?」
千冬「感...だな。何故だか悪いやつではないように思えた。信用があるかどうかを別にしてな」
アムロ「質問させて欲しいのだが、いいか?」
千冬「まあ、良いだろう。しかし答えられない質問には答えないようにさせてもらう」
アムロ「構わないさ。答えてくれるだけマシだよ」
少し息を吐いてから落ち着く。
アムロ「ISを動かせる一部の例外というのはどういうことだ?男性でもISとやらは扱えるのか?」
千冬「それに関してか...良いだろう、答えてやる」
千冬「身内話になってしまうが、私の愚弟が動かしてしまったのだよ」
千冬「女性にしか起動できない筈のISをな」
どうやら、例外中の例外といったところだ。
資料に書いてあった通り基本的には女性にしか起動できない様だ。
実物のISというのに興味が沸いたが、これ以上の詮索は危険だろう。
大人しく自分の措置がどうなるかを待つとしよう。
千冬「...」
千冬「お前、ISを見てみないか?」
アムロ「むしろお願いしたい位だが、何故だ?」
千冬「お前なら動かせる...そんな気がしてな。気になったら試してみたくなるだろう?」
アムロ「気持ちは分からなくは無いが...」
千冬「まあ、ある程度なら私が話を通しておく。ダメ元で触れてみるだけしてみればいい」
アムロ「そこまで言うのなら遠慮なくやらせてもらおう」
この後も多少のやり取りを交わしながら立ち上がった女性に付いていく。
先程は困惑していて気付かなかったが俺とそんなに背が変わらない。
俺も大きい方では無いが、女性にしては大きい方なのだろう。
等と考えながら歩いていると、格納庫に着いた。
アムロ「これが...IS......」
競技用という割には兵器らしさが感じられる武骨なデザインの機体だ。
こんな搭乗者が丸見えとなる形でありながら現代兵器を凌駕する堅牢な防御力を誇るのだというのだから恐ろしい。
さすがにMSのビームを防ぐことは出来なさそうだが、ザク程度なら破壊しかねないポテンシャルを秘めていそうだ。
千冬「触れるだけで起動するか否かは決まる。気を軽く持てよ」
アムロ「この程度で気負うほど柔なタマじゃ無いさ。触れるだけだろう?」
千冬「その触れるだけで人生が変わるかもしれないんだ。もっと緊張してもいいだろう?」
軽口を叩いたものの、動かせなかったら晴れて犯罪者となる。
起動したらしたでこれから大変なことになるだろう。
アムロ「よし。触れるだけなら...」
アムロ「ッ!!」
ISに触れた途端、光が広がり次の瞬間にはISを纏ってしまっていた。
アムロ「嘘でも夢でも無いみたいだな。こんな手の込んだドッキリはやらないだろう?」
千冬「こんな物を大金叩いて作る程金は余っていない」
千冬「何にせよ、これからIS学園の預かりの身になるな」
どうやら、身の安全は保証されたようだがマスコミに追われるのは勘弁して欲しい。
アムロ「ISを脱ぎたいのだが...どうするんだ?」
千冬「脱皮か何かをイメージしてみろ。簡単だ」
脱皮というのは少しアレな表現だったが解除することができた。
千冬「一先ず部屋に戻ろう。そこから此れからのレイの待遇を決める」
アムロ「ISを動かした途端に随分と距離が縮まったな」
千冬「第一、私の方が歳上だ。当然だろう?」
どうやら誤解があるようだ。
童顔だとは言われるが、この女性よりも年下ということはあるまい。
だがとりあえずは先程の部屋に戻ってから話をするとしよう。
部屋につけば、早速言わんばかりに千冬が口を開く。
千冬「レイは見たところ、16そこらだろう?IS学園の生徒として入学した方がいいと思うが、どうだ?」
アムロ「冗談はよしてくれ。いくら童顔と言ったって高校生というのは無茶がある」
千冬「その身なりで成人だと言い張る方が無理がある。ほら、そこに鏡があるから自分を見てみろ」
言われた通り見てみると、そこには俺であって俺でない青年がいた。
身は引き締まっているが大体一年戦争辺りにまで若くなっているということになる。
アムロ「はあ...つまりは、俺の侵入を不問にする代わりにIS学園に入学しろと?」
千冬「平たく言えばそうなる。よって、これからは私は教師でお前は一生徒だ」
千冬「今後その様な口を利いたら容赦せんぞ?」
アムロ「...分かった、いや分かりました」
アムロ「これからよろしく頼みますよ、織斑先生」
千冬「まあ、それくらいなら許してやらんこともない」
これからの生活を考えると今からも胃が痛くなってくる。
俺以外には男が一人しかおらず、クラスが同じとも限らない。
しかし、戦争で奪われてしまった学校生活をこの機会に再度体験してみるのもいいかもしれない。
これからの不安と共にそうも思っていた。
今日はこれまでです。
ここまでテンプレです、と言っても信じられそうな位のテンプレですいません。
いや、ホントに自分の構想を文章にするのは難しいですね。
脳波コントロールできれば一日で完結させれるんですけど...世の中は甘くない。
明日もこんな感じになるかと思います。
千冬「さて、私はこれからレイの入学についてを上と掛け合ってくる」
千冬「先程の資料にも書いてあっただろうが、学園についての資料を渡しておく」
アムロ「あの資料の情報で充分だと思うのだが...?」
千冬「言葉遣いを気を付けろ。こちらに書いてある本校の規則が役に立つと思ってな」
千冬「帰ってきたら寝泊まり出来る部屋を教えるが...恐らく面倒な奴が居座ってると思うが気にしないでやってくれ」
アムロ「いや、そう言われても...はあ、言うだけ言って行っちまうとは...」
俺の言葉を態度で一蹴しながら、織斑先生は部屋から出ていってしまった。
面倒な奴、と釘を刺すということはかなり大変な者なのだろう。
確かにこの部屋から出て、帰ってきてから背後から視線を感じ続けている。
アムロ(「面倒な奴」と言われた理由が分かったよ)
アムロ(「そういう奴ら」か...監視されるのは慣れているが、興味も混ざった純粋な視線は辛いな...)
チラッと背後にいる気配に目を走らせてから、内心でため息をつく。
数年間の軟禁によって監視の目があるのは慣れているものの、無邪気さを孕んだ視線というのはむず痒い。
アムロ(しかし、気にしすぎてしまえば相手の思う壺だな)
監視者は敢えて俺に気付かれるようにしているはずだ。
ここで集中力を切らしてそっちに気をとられれば、入ってくる内容も頭に入らない。
頭の外に追いやって素直に資料を読むのが吉だ。
それから何十分経過しただろうか。
新たに渡された資料も粗方目を通し、うつらうつらしていたところで織斑先生が帰ってきた。
千冬「喜べ、レイ。お前のIS学園の入学が決まった」
千冬「規則にも書いてあっただろうが、ここは外部からの影響は一切無いと言っても過言ではない」
千冬「しかし世間はレイを放っておくことはすまい」
アムロ「要は、俺の親戚が世界中に溢れかえるということか」
アムロ「当然俺は自分の家族なんて覚えていない。そういうのは全部嘘だと思ってくれれば」
千冬「察しが早くて助かる。明日にはお前の存在が世界中に知れ渡るだろう」
千冬「それだけ危険性を理解していれば、大丈夫だろうな」
千冬「それとだな...レイの専用機の事についてだ」
アムロ「俺はぽっと出のダークホースだろう?そんなに都合よく提供してくれる企業があるんですか?」
千冬「無いだろうな。あったとしても新製品のテストか、ISを用いてバイタルデータを解析するかだ」
千冬「そんな危険な事は生徒にはさせん。人道的な観点からも許されることではない」
アムロ「しばらくは訓練機を使うことになるんですね」
千冬「そうだ。しかし、半年程もあれば安全な専用機が配備されるはずだ。それまでの辛抱だな」
アムロ「欲を言えば身の安全は確保したいから、とっとと配備されてほしいが...」
アムロ「されてもモルモット扱いか。色々と大変なんだな」
千冬「そこまで理解できていて、大人をからかうんじゃない」
そこまで話してから、少し息を吐く。
眠気が抜けきっていないこともあって、まだ少し頭の回転が鈍い。
アムロ「本題の俺の部屋については?」
千冬「入学式までの数日間は上級生との相部屋となる。スパイではないから安心しろ」
千冬(むしろ完全無欠にスパイ過ぎて警戒する必要が無い、というのが正しいのだがな)
千冬「入学式までには正式な部屋割りを決めておくから覚えておけ」
アムロ「ありがとうございます。俺もへまを踏むことが無いように気を付けますよ」
千冬「話も纏まったことだ。早速だが部屋に案内してやろう」
千冬「拘束されながら寝るほどだ。余程疲れているんだろ?」
アムロ「ン、それもそうだな。遠慮なく案内されますよ」
案内されるとなった途端、背後の視線が消えたが何があるのだろう。
ともかく、織斑先生に案内されるまま校内を歩いていた。
部屋の前まで着くと、鍵を手渡してもらった。
千冬「さて、これから私はお前のことで仕事に追われることになる」
千冬「色々とあるだろうが、めげずに頑張ることだな」
アムロ「お手数お掛けします。新体験ばかりだろうが、心を平常に保って頑張るよ」
千冬(今までの会話だけで判断するのもアホらしいが、レイは大人の余裕に満ちているな)
千冬(もう少し大人である私に頼ってもいいのにな...)
千冬「では、私は行くぞ」
アムロ「あんまり大事にならないようにお願いしますよ」
千冬「はは、善処するよ」
そう言うなり、悠々ともと来た道を歩いていった。
さて、こっからは俺一人だ。
部屋のなかに気配を感じる。女子の部屋に入る前には声を掛けておいた方がいい。
アムロ「すいません、数日間一緒になる者だが...入っていいだろうか?」
???「どうぞ~、入りなさい」
女子の声が聞こえてから、鍵を差し込みドアを開けた。
ドアを開けて入ってみれば、すぐ奥に見えるベッドに半裸の女子が一人。
半裸といってもバスタオルを身に付けているだけで、ほぼ全裸といっても差し支えない。
青髪の女子「お帰りなさ~い、アムロくーん♪」
青髪の女子「わたしにしますか?やっぱりわたしにする?それとも、わ・た・し?」
確かにこれは面倒な事になるに違いない。
しかしからかってみるのもありかもしれない。
アムロ「じゃあ、遠慮なく君を堪能させて戴くよ」
俺が何故か元々着ていたティターンズの制服に似た服の上着を脱ぎ、ネクタイをほどきながら近付いていく。
青髪の女子「!」
アムロ「自分で言ったのに恥ずかしがるなって」
青髪の女子「で、でも私...は、初めてだし...」
アムロ「気にしなくていいよ。俺が優しくしてあげるから」
青髪の女子「う、うう...」
顔を真っ赤にして照れているが、どこまでが本当なのかは分からない。
からかうのもこの辺にして、先程監視していた理由を聞き出さなくては。
アムロ「冗談だよ」
アムロ「それで、要件はなんだい?」
青髪の女子「貴方、アムロ・レイがどれだけ驚異となりうるかの確認よ」
アムロ「確かに要件を聞いたのは俺だが、そう簡単に話していいものなのか?」
青髪の女子「だって、私が見てたの気付いてたでしょ?」
青髪の女子「本気じゃなかったけど、見付からない自信はあったのになあ...」
青髪の女子「だから隠しても無駄だって思ったのよ」
アムロ(スパイじゃないというのは嘘じゃないか。全く安心出来ないぞ)
アムロ「俺の名前だけ知られるというのも抵抗がある。良ければ君の名前も教えてほしいな」
青髪の女子「私?私は、生徒会会長で学園最強と謳われる...」
どこからともなく取り出した扇子を開くと、ソコには「歓迎」の二文字が。
青髪の女子「更識楯無よ」
更識「これからよろしくね、アムロくん。貴方を歓迎するわ」
今日はここまでです。
どうでもいいことですが、体調崩しててヤバイです。明日は書き込めないかもです。
νは登場しますが、予定ではまだまだお預けです。
個人的には昔のHi-νのデザインが好きなんですけど、皆さんはどうですか?
更識「ま、今日は疲れてるだろうしゆっくり休んでね」
アムロ「全くだよ。軽くシャワーを使わせてもらってから寝るとする」
アムロ「だが...着替えはどうすればいいんだ?」
更識「大丈夫、大丈夫。出たときにはあるようにしておくから」
アムロ「......。そうか、その点は任せるよ」
何故サイズ等を知っているのかと懐疑の視線を向けたが、目があった所で逸らされる。
溜め息を吐いてから、バスルームの方へと歩いていった。
温かいシャワーを浴びて、意外とかいていた汗を洗い流していく。
シャンプーやボディソープを使わないのは宇宙艦に馴れてしまった影響だ。
安全だということが理解できていても、感覚がそれを許さない。
アムロ「こういう時位はゆっくりしていいだろうに...」
アムロ「考える時間を持つのが怖いのか...?」
アムロ(シャアのことも、ララァのことも考えることが多すぎて逃避してるのか...)
俺が考える事を避けようと避けなかろうと、洗い終わったのなら素直に出るとしよう。
洗剤を使っていないだけで、しっかりと体は洗ったつもりだ。
出てみれば、そこにはバスタオルを手に持った水着姿の更識楯無が。
顔で出るの早くない?と俺に問い掛けてきている。
アムロ「これでもしっかり洗ったよ。早くバスタオルをくれ」
女性に見せるのを喜ばしく思えない部分をしっかりと隠しながらバスタオルを受けとる。
戸を閉めて、天然パーマがかかった髪の毛から首へ次は体、と下に降りていく感じでしっかりと拭いていく。
更識「え、ええと...着替え、置いといたからね」
アムロ「ン、ありがとう」
声色から少し照れているのが伺える更識に返事をしてから、バスルームから外に出る。
服は、部屋着として着れる寒色系の長袖の服だった。センスがマトモで良かった。
アムロ「サイズは丁度よかったよ。測った通りだったかい?」
更識「なんで分かったのかは気になるけど、似合うしサイズも合うなら良かったわ」
アムロ「俺も疲れているから深い詮索はしないが...」
アムロ「自分の周りをコソコソとされるのは嫌いだな」
更識「どうせコソコソやってもバレるんだし、次から堂々とやるわ」
アムロ「そういうことでは無いんだが...」
いっそここまで開き直られれば、苦言を漏らすことすらアホらしくなってくる。
もっと聞いていきたいところだが本当に疲れが出ている。
素直に眠らせていただくとしよう。
アムロ「明日聞かせてもらうからな。今日は申し訳ないが寝る」
更識「同じベッドで?」
アムロ「構わないが、可愛がってやれないぞ?」
更識「あらそう。じゃあ、おやすみなさい」
少し耐性が付いてきたのか冗談を軽くいなしてくるようになってきた。
更識(なんでこの子はこんなに余裕綽々なのかは気になるけど...)
更識(本当に眠そうだし、素直に寝かせてあげよ)
奥の方のベッドの中へと入ると直ぐに意識が飛ぶように寝てしまった。
どこかの宇宙空間。ビームが飛び交い、直撃したモビルスーツは火球へと化す。
戦場だ。しかし可笑しいことに戦っているMSは全て旧式のものだ。
ここは、夢だ。
何故か自覚できる。
戦いの光景を傍観者として見ているような気分。好ましくはない。
周りを見回せば、そこには黄色のMSとスリムな形をした背中にウイングの付いたMSが斬りあいをしていた。
あれは、ジ・OとZガンダムだ。
隠し腕の間合いに入らぬように注意を払いながらZは戦い、ジ・Oは余裕が感じられるほど堂々と戦っている。
アムロ(カミーユ...カミーユ・ビダンが、Zに乗っている...!)
ニュータイプとしての勘が、夢といえど正確に搭乗者を察知する。
Zのライフルが斬られ、Zは後退する。このままでは不利。そう思っていた。
しかしZが、輝き出す。人の心の力を具現化するようにハッキリと光が溢れる。
ジ・Oは動きが鈍くなっている。それを見てから、Zが動き出す。
腕部のグレネードランチャーを発射し、ジ・Oはそれを何とか防ぐ。
爆煙で見えなくなっているところに突撃し、近接戦闘へと持ち込む。
サーベル同士がスパークを発しながらつばぜり合いをし、Zが押し始める。
アムロ(これは...グリプス戦役...まさか!)
Zの蹴りがジ・Oに入り、ジ・Oは距離を取らざるを得なくなる。
Zが、更に力強く輝く。しかし、暖かさは無く他人を否定するだけの哀しい光。
何故か動けなくなっているジ・Oに、Zは変形し突撃した。
先端に付いているシールドが、容赦なくジ・Oのコクピットに突き刺さる。
ジ・Oが最期に発した光に籠められた、憎悪や憤怒。
それは、Zに乗っていた少年だけでなく、アムロにも襲い掛かった。
アムロ(こ...の...光が...カミーユを...)
苦しい。息が出来ないほどに胸が圧迫される感覚。
痛い。頭が割れているのではないかという程の激痛。
目には光しか見えない。それは、絶望のビジョン。
人類が最期に体験する、『蝶』の光景。
心が...壊れていく......。
深く深くに自分の意識が沈んでいく。
しかし、何かに揺すられる感覚がして何とか帰ってくることができた。
更識「やっと起きた!だ、大丈夫!?」
深い深い深呼吸をする。
生きていることを確かめるために。
更識「とてもうなされてたから、どうしていいか分からなくて...」
アムロ(この感覚によって...カミーユは壊れ、シャアは絶望したのか...)
アムロ(だが、これを乗り越えて行かなくては...俺もシャアもララァから逃れられない)
アムロ「嫌な夢を見た。だが、もう大丈夫だ」
アムロ「また寝るから、安心して寝てくれ」
更識「分かったわ。でも、ある程度相談には乗れるから...明日言えたら言ってね」
本当に心配してくれたのだろう。
語気や表情からそれが伺える。
しかし、感謝をのべる前に意識はまた落ちてしまっていた。
今日はここまでです。
カミーユが最後に食らった、シロッコの精神攻撃をアムロが夢で体験した形になります。
蝶云々はUCの精神旅行であった完全なる無に至るまでを見せ付けられる感じです。
この出来事に関しては後々触れていきたいと思っています。
早朝に目が覚める。
いや、朝ですら無いかもしれない。陽はまだ昇っていない。
アムロ(.........。あれが、人の心の光)
アムロ(暖かさなんてものは無かった。冷たくて、ただ人を否定するような...)
アムロ(アクシズを押し返す時に感じた光は...嘘だったのか...?)
アムロ(悔しいが、シャアが人類に絶望した理由が解った気がする)
アムロ(だが、奴はやり方を間違えたんだ。それだけはハッキリとしている)
冷水で顔を洗い、意識が覚醒へと向かいクリアになった頭でそう考える。
あの光は、能力が落ちた俺でもあそこまで苦しくなる憎悪だ。
あれをバイオセンサーをフルに作動させ、俺やシャアなんかよりもよっぽど優れたNTであるカミーユが耐えきれるわけがない。
もしも俺が宇宙を、ララァを恐れていなかったら...助けられたかもしれない。
だが、戦場に『もしも』はいらない。
俺が情けなかったから、何も出来なかった。ただ、それだけだ。
椅子に座って水を飲みながら、センチになっている自分を宥める。
穏やかに寝ている更識の寝顔を見て、自嘲の笑みを浮かべる。
アムロ(俺も人を騙して、道化に身を堕とした)
アムロ(これではシャアのクェスへの対応を...否定出来やしない)
しかし今は過去の思い出に浸っている場合ではない。
これからのことをしっかりと見据えていかなくては、企業や国家に良いように使われるだけだ。
アムロ(それにしても、『IS』か。女尊男卑となると肩身は狭くなる)
アムロ(入学式まで後数日。そんな短い期間で大きなバックやコネは作れない)
アムロ(卒業後は大変なことになりそうだな)
良くてテストパイロット、大抵の場合はモルモットだろう。
アムロ(この部屋だって、監視の目があちこちに光っている)
アムロ(安心なんて出来やしない)
酒でも飲んで、気を紛らわせたい。しかしこんな未明から酒を飲むのもバカらしい。
第一、この世界ではまだ俺は未成年だった。
アムロ(やる事はないが、かといって目は覚めちまった。困ったな)
無駄に時間を浪費するのは惜しいが、やることが全くといって無いのだ。
外に出たところで織斑先生以外と鉢合わせたら不味い。
それに、校舎内の地理すらマトモに持ち合わせていないので迷いに行くようなものだ。
アムロ(しばらくはこうして、ゆっくりとしておくか)
思えば、フィフス・ルナの落下阻止辺りからずっと働き詰めであった。
こうしてゆっくりと過ごすのも、たまにはいいかもしれない。
どれくらい時間が経っただろうか。
寝てるのか起きてるのか少し曖昧だったが、更識が起きてきたので思考は中止された。
アムロ「ン、起きたか。夜中は迷惑をかけたな」
更識「あらあら、随分と早いのね。大人だから起きるのも早いの?」
アムロ「悪夢を見ちまったせいか、寝付けなくてな」
更識(そう簡単にはボロは出さないか...)
更識「私はシャワーを浴びるけど...覗きたい?」
アムロ「ハァ...断固辞退しておくよ」
更識「そんな露骨に嫌がらなくてもいいじゃない」
この少女、中々危険なようだ。
さらっと鎌をかけてきたりするところは感服する。
少し茶目っ気が強い所を除けばだが。
アムロ(この子と一緒にいれば、入学式まで暇なことは無さそうだ)
アムロ(ただし、安心も出来ない...か)
更識「本当に覗きに来ないなんて...お姉さんそんなに魅力無い?」
アムロ「魅力があるのと襲うのは意味が違うだろう?」
更識「へえ...じゃあアタックを続けていればいずれは襲ってくれるのね」
アムロ「今すぐ襲ってもいいが、更識の心の準備が出来ていないだろ」
更識「ムキになんなくたっていいじゃない」
アムロ「からかいが過ぎるからさ」
三十路手前の大人が現役女子高生に言うには少し大人気が無いのも確かだ。
しかし、ベルトーチカもここまでストレートに意思表現はしてこなかったので少し新鮮なタイプだ。
容姿は抜群なのに、何処か底が見えないのも警戒すべきところにある。
色気に惑わされないのは幸運だろう。更識の本質だけを捉えられる。
更識「アムロくん、今日のことだけど...」
更識「私とデートしない?アムロくんだって日用品無いと困るでしょ?」
アムロ「それもそうだな...お願いしていいか?」
更識「もっちろん!朝ごはんを食べ終わったら準備しましょう」
更識「先生方にバレないようにね...♪」
渡りに船な提案だったが、最後の一言で一気に不安に駆られる。
大丈夫だろうか。
すいません、眠くて限界です。
いくらなんでも、進行と投下遅すぎですよね。
書き溜めとかもしてみて、もっとスムーズに進められるように努力してみます。
アムロ「これで本当にバレないのか?」
楯無「大丈夫、大丈夫。お姉さんがなんとかしちゃうから♪」
アムロ「そうかい...先行きが不安になってくるよ」
楯無「うふふ、私はこれから楽しみ~。ちゃんとリードしてね」
アムロ「無茶言え。俺の方がリードしてもらいたい気分だよ」
楯無「男なのに情けな~い」
アムロ「言ってろ。そうあい経験も未だなのに大人振るな」
楯無「別に私はアムロくんとでもいいのよ~?」
アムロ「分かったよ。俺が悪かった」
本当に大丈夫なのか不安で仕方ない。
織斑先生は怒らせたらとんでもない事になりそうだが...
更識が手をうっていると信じよう。
楯無「電車乗って~、色々して~。ふふーん、楽しみ~」
アムロ(悪い子では無いんだろうけどな...)
アムロ(あっちもこっちも監視だらけじゃそういう気分にもなれないか)
斜め後ろ辺りにいる気配と、前方にいる気配に対して眼だけを動かして確認する。
露骨に監視してくる連邦のやり方よりはマシだが、数年振りとなるとこれも中々に辛い。
楯無「眼を泳がせちゃって、どうしたの?私の余りの可愛さに直視できない?」
アムロ「自分で言うか。まあ、そんなところかな」
楯無(あちゃ~、バレるの速いな。結構優秀なハズなんだけど)
楯無「あ、そろそろ駅だよ。お金は私が出すね」
アムロ「ヒモにでもなった気分だ。情けないばかりだよ」
楯無「この分はツケとくから、今度返してね」
アムロ「分かってるさ。俺もそこまで不甲斐なくは無い」
ベルトーチカやチェーンとも付き合っていたわけだ。
女性経験はそれなりだと自負出来る。
とはいえ、女子高生相手となると気が引ける。ロリコンでもあるまいし。
楯無「ま、そんな事気にせず楽しもうね!」
アムロ「俺は自分の物を買いに来ただけなんだがな」
楯無「お金出すのはだーれだ?」
アムロ「はいはい、俺も楽しませるように努力するよ」
なんてやり取りをしながら電車に乗り込む。
やたら更識が俺と手を繋ぎたがるが拒否している。
面倒事を増やしたくない。
電車の中では流石の更識も静かになった。
端から見れば俺たちのやり取りはカップルのようであるから、視線が気になったのだろう。
俺も違う意味での視線は気になっているが、そう簡単に接触出来はしなさそうだ。
楯無「次で降りるわよ」
アムロ「ン、分かったよ」
景色を見ながら、一人考えに耽っていたが更識の声で現実に引き戻された。
この世界に来てからは、老人みたいにずっと考え事ばかりしている。
良くない傾向だ。もう少しリラックスしないとこれからが辛いだろう。
電車から降りて、駅から出ればそこは都会だとハッキリ分かる街だった。
大々的にショッピングモールの告知がしてあって、人の足もそちらの方に向かっている。
あえて旧世代的な風景のコロニーにいた影響か、都市の発展に驚きを隠せない。
コロニーに比べて圧倒的に人が多いのもそれに起因する。
アムロ「へえ...思っていたよりも随分と大きい街なんだな」
楯無「ISが発展してから、ここも前よりも綺麗になったのよ」
アムロ「昔はそれほどでも無かったのか?」
楯無「全然。昔も今もここは大都市よ。最新か旧式か、それだけ」
アムロ「成る程な。あまり大都市というのとは関わりが無くてな」
楯無「あらあら。じゃあ今日は今までの分まで堪能しなさいな」
アムロ「そこまではしゃぐことじゃないさ」
この商業施設は広い。無意味な程に。
コロニーにこんなもの作ろうとしたら猛反発を受けるだろう。
どうせ使えるのは地球の偉い奴だけだろう、と。
それくらいに充実している施設だ。
楯無「行くところ絞っとかないと、疲れて帰れなくなるからね」
アムロ「ここまで広いとは...正直驚いたよ」
楯無「ここら一帯の目玉といっていい施設だからね」
アムロ「その分、反発も受けたろうな」
楯無「まあ、女性からの支持を獲ていたしそこまででも無かったみたいよ」
アムロ(ここでも女性が尊重されて...か)
楯無「まずオシャレな服を買いましょ~」
上機嫌に先を歩いていく楯無を見失わないようにしっかりと付いていく。
それからは、地獄だった。
ベルトーチカもチェーンも、二人とも軍に通じていた。
オシャレに投じることはあっても、それもさっぱりとしたものであって。
ここまでのものではない。着せ替え人形さながらに、着ては脱いでを繰り返す。
娘の買い物に付き合い、疲れ果てる父親の気分だ。
楯無「私はこれくらいかな~。次はアムロくんのね」
楯無「お姉さんが選んであげようか?」
アムロ「い、いや、いいよ。そこまで外出しないだろうし、学園で困らなければそれでいい」
楯無「まだまだ若いのに、オジサンみたいなこと言っちゃダメよ~」
結局、俺も着せ替え人形になることになりそうだ。
俺も着ては剥がされ、着ては剥がされ。
疲れてもうやめようと提案し、遅めのランチタイムとなった。
金も全部更識負担で頭が上がらない思いだ。
軽くランチを済ませ、日用品からアクセサリーだなんだを買い。
ベッドに横たわっている今に至る。
アムロ(俺も歳だな...体よりも先に心がバテちまう)
楯無「今日は楽しかった~?」
アムロ「おかげさまで暇する事はなかったよ」
楯無「そう言ってくれると嬉しいわ」
軽く返事をしたあと、シャワーを浴びて買った服に着替え就寝態勢に入る。
アムロ「今日は...何だかんだで楽しかったよ。この借りはいずれ返す」
楯無「私の夫になったら免除よ?」
アムロ「考えとくよ。おやすみ」
楯無「おやすみなさい~」
ありがたいことに、今日の夜は夢は見なかった。
本日はここまでです。
詳しく描写したいけど、そんな時間が無い!
早く入学式まで行かないと、ということで駆け足になりました。
それはそうと、妹との兼ね合いも考えて「更識」から「楯無」に変更しました。
なんとなくアムロのコレジャナイ感が凄いですが、もう少し考えてそれっぽくしてみせます。
俺の目覚めは最悪だった。
千冬「レイ、貴様!とっとと起きんか!」
と言われて叩かれて起きた。
アムロ「!」
思わず身構えて、ないはずの拳銃を探り始める程には驚いた。
千冬「昨日は何処に行っていた?楽しめたか、ええ?」
アムロ「昨日のことか...更識が何とかするんじゃなかったのか?」
視線を動かせば、両手を合わせて謝罪を表している更識が。
なるほど、しくじったな。
千冬「ほう?言い逃れでもするつもりか。この私に対して...いい度胸だな」
アムロ「確かに悪かったとは思う。だが、いくら何でも理不尽過ぎやしないか?」
アムロ「俺だって無一文でこの学園で生活出来ると思えるほど楽観的では無い」
千冬「敬語を使え、馬鹿者」
千冬「しかし、それも一理ある。この件に関しては問い詰めることはしない」
千冬「た・だ・し、次にこの様なことがあったら...分かるな?」
アムロ「き、肝に命じておきます」
アムロ(織斑先生の弟は苦労しているんだろうな...それとも、家族に対してだけは優しいのか?)
千冬「今日からISの基礎訓練を始める。当然、お前はまだトップシークレットだ」
千冬「時間も全部そこにいる生徒会長が知っている。一人前になるまで鍛えてもらえ」
アムロ「了解した」
織斑先生は、更識のことをとんでもない眼力で睨み付けてから退室していった。
楯無「ゴメンね~、アムロくん」
楯無「あんなになるとは思わなかった」
アムロ「ハァ...そうかい、分かったよ」
反省が殆ど感じられない更識の謝罪を適当にあしらってから、本題へと踏み込む。
アムロ「ISの基礎訓練...一体何をするんだ?」
楯無「そうねえ...基本的な動作確認とか、シューティングかなあ」
楯無「最後は私と模擬戦ね!」
アムロ「無様な事にならないよう努力しないとな」
楯無「私が教えるからなんとかなるわよ...たぶん」
アムロ「本当に大丈夫なのか...?」
正直、不安しかない。
しかし、抜け目ないのも確かであるしある程度は信頼してもいいかもしれない。
朝食を摂ってから、軽い講義を受けてやっと訓練となった。
アムロ「つくづく思うが、不思議な兵器だよ...」
楯無「いやいや、これは『名目上は』兵器じゃないからね?」
アムロ「実質兵器と同じ扱いなんだ。変わりやしない」
楯無「でも、これは命なんて懸けないいわばスポーツ用具なんだから」
楯無「そう考えてると、足許掬われちゃうわよ?」
アムロ「......。それもそうだな」
楯無「納得はしてないみたいね?」
アムロ「理解と納得は全く違うものさ」
楯無「さ、話はこれくらいにして実際にやってみせてね」
先ずは飛ぶところから、だ。
色々とこうイメージすればいい、という例は挙げられたが結局のところ感覚は自分で掴まなければ意味がない。
四苦八苦して、とうとう掴むことが出来た。
感覚で表すなら、宇宙空間で無重力に身を委ねる感覚。
俺からすればかなり時間が掛かったが、更識曰くかなり早いらしい。
それから飛ぶことを応用した加速や、急停止にも挑戦して何とか成功させることが出来た。
もっと上の技能もあるが、難しいだろうということで教えてはくれなかった。
次は射撃訓練だ。時間内に、次々と出てくる的を出来るだけ早く正確に撃ち抜くものだ。
ラファール・リヴァイヴから展開したアサルトライフルを使えとのこと。
正直、量子化されている武器を出すことが一番イメージしにくかった。ちなみにファンネルを扱う感覚で何とか出すことが出来た。
出てくる的を瞬時に観察して発砲。直撃を確信しているため、確認せずに次の的へ。
というのを繰り返し無事に終了した。
更識曰く、銃の扱いは初心者詐欺レベルとのこと。MS操縦で得た技術が思わぬところで披露された結果となる。
楯無「じゃあ、最後に模擬戦ね!」
アムロ「少し休ませてくれないか?思ったよりも疲れる」
楯無「そう言うなら待ってあげないこともないけど」
模擬戦はちゃんと文章を推敲しながら書くのでまた後日となります。すいません。
戦闘描写で如何に迫力や臨場感を出せるか、自分の才能と相談してきます。
すいません。普通に体調不良でした。
書き溜めるのは諦めて普通に投稿します。
アムロ「チィッ!思うように動けない!」
いざ始まった模擬戦。しかし、俺の考えるようにISというものを動かすことが出来ずかなり苦戦している。
更識の持つ槍のガトリングを危なっかしく避けながら、攻撃の隙を伺う。
とはいえ、先程から決定的な攻撃は出来ず苦し紛れの牽制程度しか弾を撃てていない。
楯無「ほらほら、ちゃんとしないと負けちゃうよー?」
挑発を無視しながら、冷静に相手の動きを見る。
―――来る!!
頭の中に閃光が走り、相手の次の動きが抽象的なイメージとなって伝わってくる。
槍で突撃してくるのを、回避行動を強引に取りながらアサルトライフルを発射する。
命中したのを確認してから距離を詰められないように残弾で牽制し、素早くリロードする。
アムロ(あの感覚...何年振りだ?)
ニュータイプ的な直感によってあそこまでのイメージを見るのは久し振りだ。
もしかしたら、一年戦争以来かもしれない。
俺が気付いていないだけでそんなことはないかもしれないが。
楯無「何?もう決めた気でいたりする?」
声によって思考が中断させられた次の瞬間、更識が目の前にいた。
俺としたことが...戦いで別のことを考えるとは。
実戦だったら即死だった。俺も気付かない内に、この平和な空気に感覚されているようだ。
アムロ「だがっ!」
強引に体を捻って、槍の直撃は回避する。
しかし槍が纏っている水に触れてしまい、大きくシールドエネルギーが削られる。
アムロ「この距離なら、まだ!」
四枚羽根のスラスターを吹かせて、体を反転させ更識を蹴り飛ばす。
それをアサルトライフルを撃って追撃し、更に距離を詰める。
ISの操縦技術では遠く及ばないが、実戦の経験なら圧倒的に上だ。
少し集中して、ブレードをイメージして召喚する。
アサルトライフルを捨てて強くブレードを握り締めて、気持ち加速する。
一気に近接ブレードで仕掛ける!
だが、いつもはお気楽でお茶目な更識も戦闘ではそうもいかない。
直ぐに体勢を整えて、ブレードの一撃を槍で弾く。
激流ともいえる水によって、ブレードが吹き飛ばされそうになるが何とか耐えた。
楯無「残念、確かにいい攻撃だったけど!」
再度接近を試みるが、四門のガトリングの牽制を掻い潜りながら接近する技量はない。
目論見通り、俺は中距離武器を捨てたまま距離を取らされることになった。
アサルトライフルを拾いにいこうも、背中は見せられない。一瞬と言えど、隙だ。
武器を出そうにも、俺が集中する時間を与えてはくれないだろう。
結局は接近することになる。
最初から、俺が出せる全速で突撃する。ガトリングの弾がある程度直撃してるが気にしてられない。
更識は既に牽制をするのをやめて、迎え撃とうと槍を構えている。
アムロ「当たれ!」
前に前にと腕を伸ばす。この一撃を当てて流れを掴まなければ、再度攻撃出来るほどエネルギーは残っちゃいない。
――しかし、その攻撃が届くことは無かった。
突然の爆発によって、シールドエネルギーが一気にゼロになったのだ。
その攻撃は乱入してきた者のではなく、更識が発したもの。
楯無「惜しかったね~、あと少しだったのに」
何はともあれ俺は負けた。
自分でも悔しい表情をしているのが分かるが、直ぐにどこか諦めの付いた表情に変わる。
生徒最強と謳われる更識に、初操縦の素人が勝てるわけが無い。
追い詰めてたと思っていたのは手加減されていたからだろう。
爆発についての疑問を抱えつつも、更識に促されてアリーナを後にした。
アムロ(負けたってのに、いい気分だ)
アムロ(らしくないが、俺も全力を出していたからな)
アムロ(...だが、使ってみて確信した。コイツが兵器として使われたらどれだけ恐ろしいか...)
あれだけの攻撃から完全に身を守った防御機構。
もしも敵だったら、実弾兵器は気休め程度にしかならないに違いない。
楯無「どうしたの?難しい顔しちゃって?」
楯無「負けたのがそんなに悔しい?お姉さんが慰めてあ・げ・る」
アムロ「......こんなものを、スポーツ感覚で動かしていいのか?」
すっかりいつもの調子の更識に疑問を投げ掛けてしまう。
楯無「あら、そのこと。それなら...」
更識は「心配無用」と書かれた扇子を広げた。どこから取り出したのだろう。
楯無「裏で色々と決められてってるから、そんな心配しなくていいのよ」
楯無「用心に越したことは無いけど、犯罪や戦争に使うほど人間腐ってないわよ」
アムロ(どうだかな...人間ってのは自分のエゴの為なら何だって出来る)
アムロ「...それならいいんだ」
楯無「じゃ、ちゃちゃっと着替えて部屋に戻りましょ」
――時は進んで。
既に寝心地がラー・カイラムとは比べ物にならない程いいベッドに寝転がっている。
今日の模擬戦で得た収穫は多い。
訓練は明日もあるらしい。
更識から直接アドバイスを貰ったので、それを基に自分の欠点を自覚してそれを入学式までにある程度克服することになるだろう。
俺はどうやら回避が苦手なようで、攻撃は筋が良いから避けることをしっかりと練習しようと言われた。
どうやったって、体に染み付いたMSの感覚は消えないものだ。
考えることは出来てもそれに合わせて体を動かすことが出来ない。
肉体は若くても、精神面が体の若さに馴れきっていないと言うべきか。
アムロ(だが、戦闘中のあの感覚...)
アムロ(一年戦争の時の感覚に戻ったみたいだった...)
アムロ(俺のニュータイプ能力が広がっている?)
アムロ「まさかな...」
楯無「ん~?どうしたの?」
アムロ「声に出てたか、何でもないよ。おやすみ」
楯無「変なの。おやすみ~」
少し訝しく思ったろうが、気にしない。
初のIS操縦で体は疲れきっていたようだ。
直ぐに意識が落ちた。
今日は終わりです。
いつも読んで待ってくださってる方、待たせてしまって申し訳ないです。
素直に慣れない書き溜めは諦めて、1日1レス程度は出来るように努力していきます。
夢、ここは夢だ。
目の前には、ララァが立っている。
ララァ「少しは慣れてきたかしら?戦いのない生活なんて久し振りでしょう?」
アムロ「馬鹿を言うな。ISが使われる戦いが無いなんて体裁上だけだ」
アムロ「こんな物を放っておくほど政治家達も牙は抜けて無いだろうし、禁欲的ではない」
アムロ「何かの切っ掛けがあれば、人間が昔核兵器使った時のように条約なんて知らん顔するはずだ」
ララァ「でも、それを止められる力はまだ貴方には無いのよ?」
アムロ「だから、だから俺は...その方法を模索してるんだ。悔しいが、今の俺の実力じゃ到底不可能なのも理解している」
アムロ「だがな、俺はシャアの様に逸りはしない。人類全てに絶望するなんて、まだ早すぎる」
アムロ「そもそも人が人の業を背負おうとしてるのが間違いなんだ。そんなのは、思い上がりだよ」
その否定の言葉は段々と弱々しくなっていく。
ララァの哀しみが胸に直接伝わってきたような気がして、俺まで影響を受けたみたいだ。
アムロ「俺の心の中に入って来るな!俺は、俺はまだ死人に引き摺られることなど...!」
だが、頭の中にはララァを殺したときの感覚がしっかりと残っている。
コクピットにガンダムのビームサーベルを突き刺した、あの瞬間。
死に際のララァと共感して命の母である海を垣間見た、あの感覚。
そんなセンチな思いに誘発されて、思い出される部下の死。
俺が不甲斐なかったせいで死んでしまった、ケーラ。
握り潰されて、ミンチになってしまったケーラをアストナージに見せてしまった後悔。
これだけ、死者への思いが募って果たして死者に引き摺られてないと言い切れるか?
このままでは、死人に足を引っ張られると分かっていてもどうしても拭いきれない。
なまじニュータイプであった故に、感覚が頭から離れない。
アムロ「でも、僕だって...僕にだって出来ることはあるはずなんだ」
シャアの様な、過激な方法ではなくて地道に人に可能性を見せる方法。
それが、アクシズで光を見た僕なら出来るはずだから。
アムロ「だから、俺だって死者に何時までも固執していられるわけじゃない」
ララァ「貴方の覚悟は分かったわ...」
ララァ「私は貴方の中で永遠に生き続けている...ずっと、ずっと...」
アムロ(俺が、ララァを振り切れるその時まで...か)
目が覚める。
連日続く夢に、不快感を抱かずにはいられない。
ララァを見る度に、俺の覚悟が薄れる気がして。
シャアと俺が比べられてる気がして、嫌だった。
俺も、ララァを振り切れる時が来るのだろうか。
振り切れるその時は、本当の人の可能性に触れたときだと頭の片隅で確信している。
νガンダムとシャアのサイコフレームが共振したあの時のような優しくて温かい光。
あの光を見たからこそ、俺はもっと人の可能性を信じられる。
絶望するにはみだ早すぎるんだ。
この先に待つのが苦難だろうと、せめて俺はこれからの学園生活で子供たちの成長に役立てればいいと思う。
時代を創るのは、老人ではなく子供たちだ。
カミーユの時のように手放しで希望を押し付けるのではなく、今度こそしっかり成長できるようにしなくてはならない。
その決意を固めると、再度俺は意識が落ちていった。
今日は疲れていて眠いのでこれまでです。
アムロをどこまで再現して、らしく動かせるかはまだまだ全然ですがもっともっとらしくなるように頑張っていきます。
後、議論が加熱し過ぎて強さ議論とかにはならないようにしてくださると嬉しいです。
現在、ISを纏った更識から必死に逃げている訓練中だ。
たまに撃たれるガトリングを回避しながら、一定距離まで近付かせないようにするという難題をこなしている。
更識曰く「アムロくんは、回避さえ上手になれば技術なんてすぐ上がるでしょ」とのこと。
からかわれている気がしてならないが、これでも更識は学園最強を自負するだけあって強かった。
素直にISでは先輩に当たる更識の発言を聞いておいて、損はないだろう。
ということで、俺は更識に回避技能だけを重点的に向上させる訓練をしてもらっている。
少しでも気を抜けば、ガトリングに直撃して体制を崩し槍を突き立てられてしまう。
更識は初心者用の細心の注意を払った手加減をしているのだろうが、俺からしたらそれでも厳しい。
しかし、模擬戦の時には動きが分かったのに今は全く掴めない。調子でも落としたか?
などと考えていたせいか、ガトリングにうっかりと当たってしまい、次の瞬間には槍が目の前にあった。
楯無「考え事は禁止!しっかり集中しなさい!」
アムロ「ああ、申し訳ない」
楯無「次は気を付けてね。ほら、逃げ始める」
俺はまた飛び上がり、壁にぶつからないように注意しながら速度をあげる。
後ろをチラッと確認すると、既に更識が迫ってきている。
機体の性能はもちろん、操縦者の技能にも雲泥の差があるため仕方無いことだ。
移動先を予測された射撃を二枚のウイングの逆噴射で何とか避け、速度を落とさないように加速する。
俺も段々回避のコツを掴めてきた気がする。
とはいえ、まだまだひよっこではあるわけだが。
次の射撃も、次の次の射撃も避けた時に更識から声がかかる。
楯無「段々良くなってきたわ、それじゃもうちょっと難しくしよっか!」
無茶を言ってくれる。
感覚が掴めてきただけでまだそこまで出来ないと反論するも、モノは経験と一蹴される。
まだまだ辛くなりそうだ。
今度は昨日食らった不思議な爆発も織り交ぜていくとのこと。
回避のしようが無いと思ったが、ガトリング発射時に当たりやすそうな場所を爆発させると言っていた。
それでも充分キツイであろうが、諦めるわけにはいかない。
ここで初心者であるという遅れを取り返して、入学式時には同級生となる子供たちと対等な技術をモノにしなければならない。
代表候補生レベルとはいかなくても、平凡レベルになれれば上出来だろう。
楯無「じゃ、休憩もこれ位にして再開しましょうか」
アムロ「ン、頼むよ」
――少し時は流れ
最初は爆発を全く避けれなかった俺だが、段々と避けれるようになってきた。
回避のコツを掴んだというよりは、更識のクセを把握してきたという感じだが。
ガトリングを上昇しながら回避して、目の前で起きる爆発を減速しながらの落下で避ける。
我ながら無茶苦茶な避け方だとは思うが、楯無には驚かれた。
ISで三次元的な動きをするのは当然だけど、ここまで空間認識能力が高いのは凄いと。
宇宙で戦争してきた身からすればこれでもまだまだな浅い軌道でも、宇宙に進出してない身からすれば充分なのかもしれない。
となれば、俺はこの三次元的な動きを頭に入れながら動くのがいいということだ。
そうすれば自分にしかない持ち味を活かせるようになる。
そこまで上達できれば、という前提条件が付いてしまうが気にしてはいけない事だ。
楯無「だ・か・ら、考え事はしない!」
突然の前方の爆発に反応しきれず直撃して落下した。
何とか姿勢を持ち直して着地するも、心臓に悪い。
楯無「次、考え事してたらお姉さん本気になるからね?」
アムロ「あ、ああ...つい、な......」
俺も訓練だからって気が緩んでいるのか?
気を抜いたら死んじまう過酷な戦いに身をおいていたとは思えないだらけ振りだ。
突然平和になるというのも、感覚を鈍らせる大きな原因になるな...
皮肉なものだ、平和の為に戦っていたのに、いざ平和になったら戦いを心のなかで引き摺り続けるとは。
アムロ「おっと、失礼。少し記憶が戻りそうな気がして...」
楯無「あらあら。記憶が戻ったら恐~い軍人さんだったりね」
訝しげで納得のしていない顔ではあったが、気にしないという態度は見せてくれた。優しい子だ。
ともあれ、訓練を再開しなくては。
上、下と予測が難しい不規則な軌道を心掛けながら飛ぶ。
焦れたのか爆発が増えてきた気もするが、指摘すると怒りそうなので冷静に回避する。
やはり、基本的な軌道よりも不規則で三次元的な軌道は狙い辛いようだ。
むしろ直ぐに慣れて冷静にある程度正確に狙ってこれる更識が凄い。
だが、俺は何とか当たらずに避け続けることができていた。
自分の中でのイメージは、一年戦争初期のザクに乗っていたシャアの軌道だ。
ビームライフルを容易く回避し、白兵戦へと持ち込んで来たその技量は当時の俺からしたら恐怖だった。
今ではソイツを参考にして全く別のことをしているのだから、人生というのは分からないもんだ。
ガトリングはほぼ完璧に避けきれる様になったが、問題は爆発だ。
爆発の数も精度もどんどん上がってきている。
俺の動きが読まれ始めた証拠でもあり、まだまだかつての赤い彗星の動きには程遠いことを証明する事でもあった。
アムロ「おっと!チィッ、流石に読まれて来たら辛いな」
三次元的な動きは、初めこそ相手を惑わせども時間が経ち慣れてくれば単純なモノだ。
細かく飛び回るせいで、速度は基本的な動きよりも断然遅い。
基本的な動きと同じ速度で三次元的な動きをすればまた別だろうが、俺にはそんな技量はない。
次は爆発を回避し切れず、直撃し背中には槍を突き立てられていた。
楯無「そろそろ、終わりにしましょうか?疲れてきたでしょ?」
アムロ「それもそうだな。今日もありがとう、まだまだひよっこの俺に訓練してもらって悪いな」
楯無「途中から始めた、三次元軌道。かなり厄介だったわ」
楯無「あれを磨いていけば、直ぐに代表候補生レベルになれるでしょうね」
楯無「まあ、訓練と模擬戦は全く違うけどね」
アムロ「しっかりと覚えておくよ、そのアドバイス」
代表候補生云々は余り興味が無いので冗談半分で受け取り、アドバイスには素直に感謝する。
そして、ISを二人とも解除してアリーナから出ていった。
今日も疲れた。
実戦や、シュミレーターで感じる疲労とはまた別のもの。
充実感があり、されど虚しくもあるこの感覚。
連日に渡り訓練するのは体に負担がかかるとのことで、明日はひたすら勉強することになりそうだ。
歴史、地理と壊滅的に出来ない教科もありそうだが、他は何とかなりそうだ。
学校は成り行きで中退することになってしまったから、高校生活も仕切り直しか。
フラウに頼りきっていて内向的だったあの時とは違うんだ。
自分である程度のことをこなし、未来を見据えていかないとな。
そんなことを考えているうちに、俺は寝ていた。
今日はここまでです。
最近仕事が忙しく、中々更新できず申し訳無いです。
区切りを見つけて頑張っていきますので、今後ともお願いします。
ところで、トリップは付けた方が良いのでしょうか?
今まで読み専だったので気にしなかったのですが...
トリップテストです
うわあ、失敗してました。
成功したら決めたトリップで投稿していきます。
では、もう一度...!
トリップテストが成功したので、今度からこのトリップで書き込んでいくことになると思います。
宜しくお願いします。
では、書いていきますね。
楯無「朝だよ~、アムロくーん♪」
今日の朝は、自分の体に感じる重みと声と、軽く頬をぺちぺちされて起床することとなった。
悪夢も見なけりゃ、早起きもせずいい時間帯まで寝られる。
気持ちいい目覚めだ。俺の上に更識が跨がっていることを除けば。
アムロ「離れろって...顔を洗いに行きたい」
口には出さないが、密着されると、男性特有の朝の生理現象がバレるというのもある。
分かった上でやっていそうな気もするが、初々しさの残る更識がそこまで狙ったとは思いたくない。
楯無「あらあら連れないわね。私が慰...」
アムロ「バカ言うんじゃない、早くどけ」
やはり分かった上でやっていた。
軽く言葉に怒気を孕ませると、直ぐに退いてくれた。
本気で言っていたなら考え物だが、冗談だと分かるだけまだマシだろう。
アムロ「さて、と。今日はひたすら勉強するということで良いのか?」
楯無「ん~、そうなるわ。私は大丈夫でも、連日あんなハードな事してたらアムロくんが疲れるだろうし」
アムロ「お気遣いに感謝するよ」
そう言い残すとそそくさと洗面所へ向かい、顔を冷水で洗う。
水の冷たさが眠気の残っている頭をシャキッと覚醒させる。
顔をタオルで拭いていると、背後から気配。
アムロ「こら、悪ふざけはやめなさい」
後ろから抱き付こうとしていた更識を牽制する。
どうして分かったの、とぶつぶつ呟きながら去っていくがまだ仕掛けてくるつもりだろう。
アムロ(初体験もまだだってのに、何を色目使ってるんだか)
アムロ(俺のことが好きなわけでもあるまいに)
流石に俺はそういう事に関しては鈍感ではない。
これでも経験は積んできた方ではある。
それに俺はこの世界では決して信用に足る人間ではないのだ。
記憶喪失という見え見えの嘘を通して、しかも男性でISを扱える者。
何らかの施設のスパイだと思われて然るべきだし、むしろここまで信用されているのが信じられない程だ。
好意的に捉えれば優しいと言えるが、否定的な捉え方だと無用心過ぎる。
この優しさであり無用心さが、裏目に出なければいいのだが。
楯無「隙だらけよっ!」
アムロ「ッ!」
考え事をしていたら隙を付かれて抱き付かれた。
もう少し気付くのが遅かったら思い切り地面と更識とでサンドイッチになるところだった。
アムロ「何をしているんだ?もうこんなことが歳ではないだろうに」
楯無「何々?私を襲っちゃうの?朝から何て過激なの...!」
アムロ「ハァ...何を言ってるんだ...俺もお前もそんな間柄じゃないだろう?」
楯無「そんな...!私はアムロくんのこと好きなのに、アムロくんは酷いことを言うのね!」
アムロ「何を何と言おうと、俺は知らない。早く離しなさい」
楯無「えー、やだやだー。もっとこうしてたいー」
アムロ「もう棒読みになってるじゃないか。無理してまで俺と親しくしようとしなくていいんだ」
楯無「む~、何で動じないかな~?」
楯無「普通の男子だったら今のところは抱き締め返してくれるとこでしょ」
楯無「もっとしどろもどろになるか、興奮を表に出さないと」
アムロ「朝っぱらから元気なことだよ、全く...」
アムロ(最近の若い子はこうなのか?全く、分からないものだ)
なんてことが朝っぱらからあり、今はしっかりと勉強中という訳だ。
少し更識と俺の距離が近い気もするが、気にしない。
昔の俺ならどぎまぎしたろうが、今の俺は三十路に片足突っ込んでるんだ。
こんな子供で興奮するロリコンでは決してない。
......しかし、更識のスタイルが良いのは認める。
基礎的な数学から始まり、休憩を挟みつつ世界史、地理などを粗方勉強し終えた。
そして今は、この世界でしか受けれないであろうIS関係の事の勉強をしている。
ISとは想像以上に興味深い兵器で、絶対防御など先日読んだ資料よりも深い内容の物を勉強した。
更識曰く、「いずれ授業でやるから、予習程度に思っといてね」とのこと。
かなり分かりやすい注釈を入れつつ教える技能は素直に感服する。
昼も過ぎ、日も傾きかけてきたころ今日はこれでお仕舞いという声がかかった。
俺はまだまだ出来るが、更識は俺に教えてくれていたのだ。俺より疲れていても何ら不自然ではない。
凝り固まった体を伸びながら解して、しっかりとお礼をする。
アムロ「ありがとう。お陰で明日から授業があっても着いていける程にはなったよ」
楯無「飲み込みが早くて教えるのが捗ったわ。分からないことがあったらじゃんじゃん聞いてね」
アムロ「その時はお言葉に甘えさせてもらおう」
こんな感じで、今日一日は過ぎていった。
思ってみればあっという間だ。
俺自身も、失っていた高校生活を無意識に取り戻しに行こうとしているのかもしれない。
俺以外に男は織斑先生の弟しかいない。
どうやって目立たなくしても色恋沙汰には巻き込まれることにはなりそうだ。
アムロ(これから、どうしていくかな)
そんなこんながあって、夜が更けていった。
今日はここまでです。
200も近くに迫ってきているのにIS本編にかすってすらいないのはかなり不味いと思ったので駆け足気味かもしれません。
少しアムロが考え事多すぎかな、とは思いますが違和感が減るように頑張っていきます。
アムロって確か中卒じゃあ…
>>182
御指摘ありがとうございます。アムロは中卒でした...
「失っていた」、ではなくて「憧れていた高校生活を無意識に満喫~」となるように補完しておいて下さい。
またこんなポカが度々出ると思いますが、遠慮無く指摘してください。
宜しくお願いします。
入学式前日の朝。俺はぐっすりと寝ていた。
しかし、俺の安眠は怪しい気配を感じて妨げられることとなった。
そう、更識だ。更識が最後のスキンシップと称して過激な衣装で迫ってきていたのだった。
裸にエプロンを着ただけ、に見えるように際どい水着を着てエプロンをした更識が飛び付こうとしていた。
目が合うと、照れた表情が浮かんで俯いた。...照れるならやるなと言いたい。
楯無「悪気は無かったの!許して!」
アムロ「...あ、ああ。と、特に気にしていないが...」
突然の謝罪に出鼻を挫かれた。少し潤んだ瞳で見られたら、怒ろうにも怒れない。
というよりも、怒っても俺が疲れるだけで全く進展が無さそうだ。
アムロ「そんなことやってると、バカな男は野獣になるぞ」
楯無「アムロくんならならないって分かってたもん」
楯無(もしかしたら...なんてこと思ってた、とは言えないわ)
アムロ「ハァ...俺だって男なんだから、少しは考えろよ?」
正直、興奮はした。
しかしそれは男性として仕方無いことであって、襲い掛かりたい衝動に駆られる程ではない。
何度も心のなかで言っているが、俺は決してロリコンではない。
顔を洗って俺の中で燻っていた黒い衝動を落ち着ける。ついでに目も覚めてきた。
俺も男だ。少しは発散しておかないと、これから辛いかもしれない。
何せ嫌でも女性と関わることになるのだ。うっかり、貪欲な男だと思われるようなことをしでかすのは勘弁したい。
さっぱりして洗面所から出ると、既に制服に早着替えしている更識がいた。
着替えの時間的に水着の上から制服を着ただけの気もする。
アムロ「更識も、少しは落ち着いたかい?」
楯無「『も』ってことはアムロくんも少しは感じることがあったのね?」
アムロ「揚げ足を取らなくていい」
楯無「キャー、襲われるー」
アムロ「勘弁してくれ。入学前から性犯罪者扱いなんて洒落にならん」
アムロ「ところで、俺の存在は世界に公開されたのか?」
楯無「あ~...そのことだけど、まだ伏せておこうってことで明日公開するわ」
アムロ「俺には関係無いことだから、特に気にはしない」
楯無「あら、また家族に会えるかもしれないのよ?関係無いとは言い切れないんじゃない?」
アムロ「いくら家族だったとしても、俺が覚えていなければ、赤の他人と変わらないさ」
アムロ(つい口走っちまった。更識に不審に思われるのは危険だ)
アムロ(更識なら、時間をかければ直ぐに俺の正体を突き止めるはずだ)
何しろ、テレビや新聞を見せないようにして、ある程度違和感が無いように情報統制している。
更識の過度なスキンシップも、そのことから気を逸らす為の一環であるのだろう。
俺に社会を詳しく教えず、学園側が比較的俺を扱いやすくしようとしているのが見え見えだ。
無名の男性搭乗者を今後、国のために利用したいのは理解できるが...
流石に学園も、過去最強の織斑先生の弟を利用するのは躊躇するようだ。
アムロ(それもこれも、連邦に見張られていた時に嫌と言うほど味わったけどな)
更識が学園側からの密偵だろうと、別だろうとまだ行動には移さないはずだ。
俺がさっきのようなボロを出して、感付かれないようにすればそれで解決だ。
在学中はそういう柵には囚われないと謳っているのだ。多少信用してもいいだろう。
アムロ「まあ、記憶が無くても生きていけるならそれでいいけどな」
楯無「悲しくないの?家族とか今までの思い出は何もないのよ?」
アムロ「あと少しで死ぬわけじゃないんだ。忘れる前に負けない位思い出を作ればいいさ」
母さんは必死だったあの頃の俺を否定し、父さんは酸素欠乏症になって死んでしまった。
家族関連で、いい記憶なんて殆ど無い。
どうしても、ベルトーチカやチェーンと過ごした日々の方が記憶に残っている。
楯無「それならいいけど...しつこいかもしれないけど、本当に大丈夫ね?」
アムロ「いざというときは、更識に慰めてもらうよ」
楯無「ッ......!もう、からかわないで!」
慰める、という言葉にアクセントをおいたため直ぐに気付いた。
大胆なことをするクセに、意外なところで純情なので困ってしまう。
アムロ「ハハハ、すまない」
楯無「もうっ!反省してないでしょ!」
アムロ「更識が言えたことじゃないだろ。この数日俺がどれだけ苦労したか...」
楯無「ムキになってやり返すなんて、大人気ない!」
アムロ「言っとけ、言っとけ」
楯無「それで、今日のことなんだけど...」
少し照れながら怒っていた更識の表情が、突然真面目になる。
この変わりようにはいつも驚かされる。といっても数日程度の付き合いだが。
楯無「今日は入学式の準備で忙しいし、私は面倒みれないのよ」
楯無「と、いうことで。今日はここで自由にしててね~」
アムロ「といってもやることは、昨日の復習位か」
楯無「そうなるわね...余りに退屈だったら、呼びにきてね♪」
アムロ「部屋から出たところで迷うだけだから遠慮しとく」
ということで、今日は暇な一日になりそうだ。
向こうでは、こんな日はデスクワークとしていたが、ここではそんなことができるはずもない。
明日に備えると言うことも兼ねて、軽く勉強して多めに休息を取っておこう。
楯無「たっだいまー!アムロくん、元気に...ってあらら。寝ちゃってるわ」
楯無「!」
楯無は、何かを思い付いた顔をして早速行動に移した。
―――――――
いかんいかん、うたた寝していたようだ。
頭をふって目を開けると...机にほぼ裸体の更識が横たわっていた。
楯無「わ、私を召し上がれ♪」
思い切り照れているのが伺えるが、勇気を振り絞ったのか途中からいつの調子になる。
少しドキンとした自分を今すぐ張り倒してやりたい。
楯無「ア、アムロく~ん?み、見えてる~?」
少しからかってやろうか。
今までの分のお返しもプラスにして、これでチャラだ。
アムロ「ほら、立って壁に寄りかかるんだ」
吹き出しそうになるのを堪えて、真剣な表情を作りながら更識に言う。
照れた感じで立ち上がると、更識は素直に壁に寄りかかる感じとなった。
どこか事後的な雰囲気がするのは気のせいだろうか?犯罪者の気分になってくる。
アムロ「いい子だ...」
優しく包み込むようにして更識を抱きしめる。
キスをする、という雰囲気作りの視線を更識に送ると、目が潤みながら頷いてくれた。
更識の顔に俺の顔を近付け、あと少しで唇と唇が触れあうようなその瞬間に俺は堪えきれなくなって笑ってしまった。
更識から急いで顔を離し、吹き出す。
アムロ「自分から誘っておいて、そんなに緊張して照れるなって」
楯無「も、もう!」
更識は顔を真っ赤にしてベッドに飛んでいった。
今更だが、かなり酷いことをした。
アムロ「更識、申し訳ない!ここまで本気にするとは思わなくて、な」
楯無「はぁ...仕方無いわね。私も似たようなことを今までしてた訳だし、お相子ってことで」
アムロ「本当に申し訳ない」
楯無「一緒の部屋で過ごすのも今日で最後だし、いい思い出になったわ」
何処か吹っ切れた感じの更識を見て、安堵する。
アムロ「そういえば、明日にはもう入学式か...」
アムロ「早いものだ...濃い時間を過ごせたよ」
楯無「それなら良かったわ。私も楽しかったわよ、アムロくん♪」
なんてことがあって、入学式前日は終わった。
明日からはIS学園に正式に入学して忙しくなるはずだ。
...何故か、とても不安だ。
今日はここまでです。
壁ドンの代わりのイベント的なモノを交えて前日譚はやっと終了です。
この調子で終わるかな?と今になって心配になってきました。
もしかしたらこのスレでは終わりきらないかもしれません。
楯無「起きて~?早く、早く~!」
体を揺すられる感覚。決して心地よいものではない。
目を覚まそうとしない自分に喝を入れて、なんとか目だけは開ける。
制服姿の更識が、顔を覗き込むようにしながら俺を起こそうとしている。
目が合うと、照れた表情を見せて俯いた。昨日の事でも思い出したのだろう、純情なことだ。
さて、いつまでも布団とデートしている訳にもいかない。
アムロ「ン...おはよう、更識」
楯無「やっと起きた...そろそろアムロくんの情報を世界に発信するから、しっかりしてよね」
アムロ「入学式前に公開するのか?」
楯無「入学式中に見つかって、権利争いが起きるのは嫌でしょ?」
アムロ「ン、そうだね...」
楯無「ちゃんと分かってる?いつものように顔洗ってきなよ」
アムロ「遠慮なくそうさせてもらう...」
少し目を擦りながら、洗面所へと足を進める。
冷水によってしっかりと目が覚める。
少し前までは睡眠時間が足りなくてもしっかりと覚醒できたが、予期せぬ平和ボケがあるようだ。
アムロ「情報の公開だが...俺は同行しなくていいのか?」
楯無「いや、二言三言話すことはあるでしょうね」
アムロ「入学式前で忙しいてのに、人が来るかな?」
楯無「時計をちゃんと見た?まだ未明よ」
アムロ「どうりで俺も起きれないわけだ。要は、今から強引に間に合わせるのか」
楯無「世界で二人目のISを動かせる男性よ、絶対に釣られてくるわ」
楯無「気になっていたんだけど、アムロくんの国籍はどうするの?名前と一部のこと以外は覚えてないんでしょう?」
アムロ「国家代表になりたいわけでもないから、卒業までに決めておきたいが...」
アムロ「勝手に縁談だって上がるだろうし、婿養子としてその国の顔にされるのがオチだろうさ」
アムロ「政治的な柵を受けにくい様に努力しないとな」
楯無「そこまで考えてるなら大丈夫かな...?お姉さんも協力するわ」
アムロ「そういうことは素直に先輩と先生に任せるとするよ」
楯無「今から十分後には情報を発信。入学式の一時間前くらいには各国の記者の前で会見...かな」
アムロ「ハァ...これからを思うと気苦労が絶えないね」
楯無「織斑先生が会見の時には大体答えてくれると思うわよ」
アムロ「まあ、ある程度の質問は覚えていないで一蹴すればいいとして...」
アムロ「俺の家族を騙る奴等がどうしてくるかだな。学園に直接電話でも掛けるのか?」
楯無「電話を掛けて直接対談を取り付けたいところでしょうね。本当に家族の方かもしれないけど...」
アムロ「家族とは、記憶よりももっと強い何かで結ばれているんだ。記憶なんて無くても分かるだろう」
アムロ「どんな偽名が出てくるのか楽しみだな。しばらく『レイ家』の人間が大量発生するぞ」
楯無「あらあら、それは愉快。でも気負いすぎないでね...」
楯無「頼り無いかもしれないけど、力になれる筈だから」
アムロ「ありがとうございます、更識先輩」
楯無「やっぱり頼ってないじゃない!」
先輩、と言って煽った訳ではなく本心だったが仕方無い。
本当に、これからが心配で仕方無い。
もう、会見まであと十分程に迫ってきている。
俺の情報は世界を震撼させ、身元も明らかになっていない俺を取り込もうと蜂起しているようだ。
いくら家族を騙ろうと、俺の家族がここにいるわけない。全員偽物だと割り切れるのは楽なものだ。
ベッドの棚においてあるデジタル時計を何度も見ても時間はそこまで過ぎていない。
終わらせるならとっとと終わらせたいところだが、規模が規模だ。仕方無いと言えよう。
本当に世界中から記者が飛んでくるとは思わなかった。いずれは各国のお偉いさんも来るかもしれないという。
せめて俺の回りには迷惑を掛けないようにしてほしいが、そこまで善意的な奴等では無いだろう。
本当に、大変だし困ったものだ。
さて、会見の時。
更識に場所まで送ってもらい、「緊張し過ぎずにね♪」という声援をもらった。
控え室には黒いスーツを着こなした織斑先生が待機していた。
俺はIS学園の制服を着ている。髪型は、寝癖は取りはしたが固めはせず天然パーマのままだ。
千冬「時間になった、では行くぞ」
アムロ「分かりました」
ドアを開けると、おぞましい量のカメラから目が潰れるんじゃないかと思うほどフラッシュを焚かれた。
アムロ「皆様、今日は私のためにわざわざお集まりいただき大変感謝しております」
アムロ「私が、かの織斑一夏に続いてISを操縦出来る男性である...アムロ・レイです」
また大量のフラッシュが焚かれる。世界で中継されているのだろう。
アムロ「どうぞ皆様、これから宜しくお願い致します」
頭を下げると、またフラッシュが焚かれる。
千冬「彼はこのIS学園が保護する、ということになっています」
千冬「事前に公表した通り、彼は記憶喪失者で国籍が不明だからです」
――――――
これから会見は順調に進んでいき、質問を受け付ける時間となった。
「アムロ・レイさんの専用機はどこの国が作ることになるのでしょうか?」
千冬「それは現在は未定です。様々な国の合作となる可能性も有り得ます」
「アムロさんは、お家族と再会したいと思われますか?」
アムロ「そうですね。私としても、早く家族と会いたい思いで一杯です」
「自分がISを動かせると分かった時、どんな気持ちでしたか?」
アムロ「正直、自分に恐怖しました。ISを動かせた喜びよりも、それで差別されないかという思いでした」
どうやら、まだまだ続きそうだ。
今日はここまでです。
記者らしい質問が全く思い浮かばないです。何か、案をいただけないでしょうか?
そして、何だかんだでまだ前日譚は続きます。
皆様の言葉に甘えて、自分なりに丁寧に書いていきますね。
「記憶喪失とのことですが、どこまで覚えているのでしょうか?」
千冬「事前にお伝えした通り、自分の名前以外はほぼ覚えていないようでした」
千冬(その割りにはどうも肝が据わっている上に、大人びている)
「いずれ出来るであろうライバルに、御自身が望むことは何ですか?」
アムロ「そうですね...互いに切磋琢磨し合う、そんな関係になりたいです」
「これからほぼ女性だらけの学園生活になりますが、正直どう思っていますか?男の憧れですよね?」
アムロ(如何にもな低俗な質問だな...こんな質問ばっかなら、嫌気が差す)
アムロ「現在の社会風潮に捕らわれることなく、『学友として』仲良くやっていきたいと思います」
これからも来るであろう二流、三流雑誌からの男女関係についての質問を牽制する意味もあって、学友としてというのを強調した。
「実際のところ、自分の国籍とかは分からないんですか?まだ子供でしょう?誰からの支援の無しにISに触れる機会がありますかね?」
要は、バックの国がいるだろうからそれを吐き出せと俺に言っている。
俺を子供だと思って、煽ることである程度情報を引き出そうとしているのだろう。
しかし、質問は中々痛い所を付いてくる。
千冬「これも既にお伝えしましたが、彼とは個人的な付き合いがありまして。それで冗談交じりで起動を促したところ、本当にやってのけたということです」
中々いい助け船を出してくれた。
世界的に有名な織斑先生の一言だ。いくら女性記者であろうと、邪険に扱うことは出来ないようだ。
カイさんも、こんな者達と同じ仕事をしていると考えると複雑な心境だ。
そのあとも、やれ○○局に家族が来ていますやら記憶喪失が嘘か真かやら色々と聞かれた。
ある程度あしらうように答えていると、入学式の時間が迫ってきているようで織斑先生に合図されてこの部屋から去ることになった、
出てから開口一番、織斑先生の言葉はこうだ。
千冬「妙に慣れていたな。過去に取材経験はあるのか?」
千冬「まあ、聞いても覚えてはいないだろうがな」
アムロ「どうだろうか...でも、意外と初めてという感じはしませんでした」
千冬「そうか...あれだけの記者がいて驚いただろう?」
アムロ「質はともかくとして、ですけどね」
てっきり国で代表的な局や雑誌の記者しか入れないと思っていたが、ある程度金を払えば入れたようだ。
俺を客寄せとして使い、IS学園はある程度儲けたことになる。
千冬「いずれまたこういう機会があるだろうから、その時もその落ち着きを忘れるなよ」
アムロ「分かっていますよ」
そう言って、俺と織斑先生はどんどん歩みを進めていった。
――――――
一方、残されて撤収の準備を始めた記者団達は、アムロに何か訳があると嗅ぎ付けていた。
何としてでも、本当の家族とバックの国を暴いてみせると全員が息巻いている。
こうして、記者団達は何も無いことを知らずに、裏取り調査などに無駄な時間と金を掛けていくようになる。
しかし、これはアムロには知る由もない、記者団達の無駄な話。
今日はここまでです。
ここに来て突然仕事が忙しくなり...
体調を崩しやすいので、しっかりと体調管理しつつ書き進められるように努力していきます。
ちなみに、旅行はとても楽しむことが出来ました。
ありがとうございました。
アムロ(今思い返すと、織斑先生の発言は怪しかったな)
アムロ(個人的な付き合いがあろうと、俺が記憶喪失なら意味がないというのに。それほど、痛い所を突かれたってことだな)
現在は、入学式の真っ只中だ。あと少しで、各々の教室へと案内されるといった感じであろう。
軍の将校から聞く有難い御言葉よりは聞く価値があるが、大人にもなると当然のようなことを気を付けるよう色々言われるのは退屈だ。
それに、必然的に俺へと向けられる好奇の視線が俺の居心地をもっと悪くしていた。
――――――――
そんな思いがありながらも、無事に入学式が終わると、教室へ行くこととなった。
俺は1-1に所属することになる。要は、例の織斑一夏と同じクラスということだ。
これも織斑先生なりのフォローだろう。もしかしたら、弟を楽にしたいという姉の情けだったかもしれない。
教室に入るや否や、クラス中の女生徒達からテレビで見た「例のあの人」扱いされている。
俺と織斑一夏で女子が二つに分かれ、それぞれ囲まれてワーキャーされているわけだ。
何とか、名簿順に自己紹介をしていくことになり、例の織斑一夏の番が来た...が。
なんと呆けている様子。
山田「ええと、織斑君の番なんだけどお願い出来るかな?」
一夏「ああ...えっと、はい!」
一夏「織斑一夏です、これからよろしく!」
これだけで座った。居たたまれない空気が流れる。
よくも悪くも鈍感なようだ。当の本人はケロッとしている。
そこで織斑先生が入ってきて、出席簿と見られる黒い帳面で一夏を叩いた。
千冬「マトモに自己紹介も出来んのか、お前は!」
一夏「いってえ...何だよ、千冬姉...」
千冬「織斑先生と呼べ」
ここで教室内は一気にヒートアップ。
やれ、貴女に会うためにこの学校に入ったとかとんでもない内容のモノばかり。
千冬「私の受け持つクラスは何故こうも問題児が多いんだ...」
胃薬でも常備してそうな絶望した表情を浮かべている。
千冬「次はレイ、お前の番だ」
そのあともどんちゃん騒ぎは続いたものの、とうとう俺の番まで回ってきた。
アムロ「どうも、アムロ・レイだ。男でも、皆に劣らないように頑張っていきたい。是非、一年よろしく頼む」
こう言い終えて座ると、キャーキャー教室内が騒がしくなる。
やれ大人っぽいとか、思ったより大胆とか好き放題言われた。
千冬「喧しい!少しは静かにしろ!」
この一喝で大人しくなるだけ、まだ可愛いものかもしれない。
金髪の女子が俺を睨み付けていたが、理由はわからない。
それよりも意識は俺の隣に座っている織斑少年をじっと見つめている黒髪の女子に向いていたからだ。
最後まで紹介を終えると、先生二人も軽く自己紹介をした。
準備が終わったら授業が始まるという。軽く伸びていると、例の黒髪の女子が近付いてきた。
織斑少年は俺とどうしても話したそうにしていたが、彼女の方が先でいいだろう。
アムロ「織斑君を借りたいんだろう?織斑君は後で俺と話そう」
一夏「いきなりなんだって...絶対だからなー!」
引っ張られて、どっかに連れていかれた。
俺もこれでゆっくり、というわけにはいかないか。
女子が好奇心を満たしたい衝動に駆られて俺に質問をするまであと何分だろうか。
まだまだ慣れるには時間が掛かりそうだ。
すいません、眠くて駄目です。
生活サイクル崩れて来た上に、文章の構想練る暇なくて大変です。
次回まで、また時間が空くかもしれません。
特に何もするわけでも考えるわけでもない。
ただただ時計を眺めていると、やっと少女達が話しかける覚悟を決めたようだ。
まず俺に近付いてきたのは出で立ちが東洋系の、恐らく日本人の少女。
アムロ「俺に何か質問でもあるかい?でも、俺も思い出せない事ばかりだから...」
思い出話を聞かれても困るので、先に聞かれないようにしておく。
「いいの、いいの。でもぉ...ええっと...」
二の句が続かず、抜け駆けしたのにズルいだの何だの言われて少し可哀想だ。
「ア、アムロ君は...わ、私達のクラスの中で気になっている人はいますか!?」
意を決したのか、途中から捲し上げるように早口で力強く聞いてきた。
流石に予想できぬ質問であったので苦笑せざるを得なかった。
アムロ「一日二日で好きな人が決まるほど、俺はプレイボーイじゃない...」
アムロ「だから、皆可愛いとは思うけどまだ恋愛感情を抱くほどでは無いかな」
やんわりと否定しながら、されどいずれそうなることを示唆するような発言に留めておく。
この発言で、色目使ってると睨まれるやら可愛いって言われたと盛り上がるやらで一時的に教室がかなり騒がしくなる。
十分に気を使った発言一つでコレとなると、発言意欲が削がれる。
発言に気を使わないといけない瞬間が、こんなところで訪れるとは思ってもみなかった。
その後も軽く――といっても俺はかなり気を使ったが会話を交わしていると、織斑少年が帰ってきた。
何故か連れて出て行った少女は不機嫌になっていて、織斑少年は顔に疑問符を浮かべている。
黒髪の少女に何をしたのか気になったので、織斑少年に話しかける。
アムロ「織斑君、彼女に何をしたんだい?相当不機嫌なのが見て取れるが...」
一夏「それがさ、俺にもよく分からなくて...なんで箒はキレてるんだ?」
アムロ「俺に聞かれても、直前まで話していたのは君だろ?」
一夏「ちょっと話してたら突然怒り出しちゃってさ。悪いことしたかなあ...」
アムロ「そうか...」
どうにも、この少年。少々鈍感であるらしい。
普通に話をしていてファーストネームで呼びあう仲の者を怒らせることがあるだろうか。
どこかで地雷を踏んだのだろうが、本人は気付いていない様子。
これは...内心の気持ちは同じだろうと、真の共感を織斑少年に求められるかが不安になってきた。
恋愛関係まで疎かったら、俺は一人で悩んでいかなくてはならないのだ。
いくら多少鈍感であろうと、ここまで露骨だったら気付くであろう。
一夏「ところでさ、改めてだけど俺は織斑一夏。同じ男同士、宜しくな!」
アムロ「俺はアムロ、アムロ・レイだ。自由に呼んでくれて構わない」
一夏「俺はアムロって呼ぶから俺の事も一夏でいいよ」
アムロ「ン、じゃあ一夏。これから宜しく」
織斑少年改め、一夏から差し出された右手に応える様に握手をすると図ったように授業開始のベルが鳴る。
織斑先生の計らいか、俺と一夏は席が隣だ。...お陰様で集める視線も一夏分を足したものになる。
よって、集める視線は好奇も侮蔑も含め教室全体のモノとなる。
これでは集中できるものも出来やしない。
ということで、マトモに集中して授業を受けれなかった。
更識と勉強してなければ、とっくに隣の少年のようにおいてけぼりにされていたハズだ。
たった一回の授業でここまで滅入るとは。
この先を危ぶむ心が強くなってきた。
更新遅れて申し訳ありませんでした。
忙しさは相変わらずですが、慣れてきたので書き込む時間も出来ました。
一日一レスはどういう形でも付けられるようにしていきます。
今日はこれから飲みに行ってくるので書けません。
明日には更新できると思います。
隣でうんうんと唸っている一夏に色々と教えてあげながら、授業を終える。
すると、自己紹介の際から俺達に怪訝な視線を送っていた金髪の少女が近付いてきた。
セシリア「ちょっと宜しくて?」
アムロ「何のようかな?」
セシリア「あら、男の割にはしっかりと受け答えが出来ますのね」
なるほど。女尊男卑の考えに完全に染まっているようだ。
アムロ「そんな差別をしにわざわざ話し掛けてきた訳では無いだろう?」
セシリア「あら、わたくしに話し掛けてもらっているのにその態度は何です?」
一夏「どこの誰だか知らないけど、その態度はアムロに失礼だろ!」
セシリア「まさか、このわたくし。セシリア・オルコットを知らないと言いますの?」
一夏「分かんないから聞いてるんだろ」
これは、厄介な事になったかもしれない。
俺はこのような態度を全く気にしないが、一夏はそうでもなかったらしい。当然といえば当然だ。
お互いが熱くなったら、俺が止めるとしよう。
セシリア「イギリス代表候補生にして、入試首席。これでも立場の違いが分からなくて?」
一夏「ええっと...代表候補生って何だ...?」
アムロ「簡単に言えば、将来国の名を背負ってISを扱うことになるだろう人のことだ」
一夏「へえ~、全く分からなかったぜ」
セシリア「これだから極東の島国は...」
セシリア「少しISを知っているからと、いい気になられても困りますわ」
セシリア「わたくしのように、入試で教官を倒すことも出来ないのですものね?」
一夏「いや、俺も倒したぞ」
セシリア「嘘を仰い。わたくしが唯一教官を倒したと聞きましたが?」
一夏「女子では、ってことだろ。俺が嘘ついて何になるんだよ」
セシリア「そんな...そんなの認めませんわ!」
セシリア「大体!こんなところで学習する...」
アムロ「そこら辺にしておいたらどうだ?」
アムロ「俺は何を言われようと構わないが、それを聞いて快く思わない人だっている」
アムロ「もう少し冷静に、言葉を選んだ方が良いと思うよ」
セシリア「何ですの、偉そうに...!」
ここで、チャイムが鳴る。
このまま続いても不毛な争いになっていたろうから、タイミングがいい。
セシリア「また来ますわ!」
アムロ(少し、大人気無かったかな...?)
千冬「さて、この時間では再来週のクラス対抗戦の代表を決めてもらいたい」
千冬「自薦他薦は問わん。誰かいないか?」
「私、織斑君を推薦します!」
「じゃあ、私はレイ君!」
このような形で、半ば巻き込まれるように俺もクラス代表候補となった。
正直、あまり目立ちたくないのだが...
千冬「では、織斑かレイにするかで少し考えてもらいたい」
セシリア「やはり、認められませんわ!」
机に手をあて大きく音を立てながら立ち上がったのは先の少女。
セシリア「実績、実力、全てを加味してわたくしがクラス代表に相応しいですわ!」
セシリア「ISを扱える男だというだけのど素人にその様な名誉ある役目は渡せなくてよ!」
セシリア「先程は言えませんでしたが、このような島国で学習するのも嫌気がしますのに、更にど素人にクラス代表の座を奪われるなど恥さらしも良いとこ!」
一夏「何だよ!イギリスだって、島国だし世界一不味いメシで何年覇者だ!」
セシリア「もう許せませんわ!」
セシリア「決闘...決闘で誰がクラス代表に相応しいか決めましょう!」
一夏「上等だ!そんなデカイ顔してられんのも今のうちだ!」
アムロ「はぁ...本当に、只の巻き込まれ損だな...」
千冬「話がまとまったようだな。決闘は一週間後の月曜日。三者共にしっかりと準備をしておけ」
授業終了後、直ぐに織斑先生へと駆け寄る。
アムロ「俺は辞退したいんだが...ダメだろうか?」
千冬「言われると思ったよ。一夏とオルコットの喧嘩に巻き込まれたのは確かだが、いい機会だとは思わないか?」
アムロ「要は、代表になるならないはともかくとして、自分の実力がどれ程通用するか試せ。ということですね」
千冬「そうなる。更識と訓練していたのは知っているが、自分がどれ程強いかはよくわかっていないだろう?」
アムロ「完全に手加減されていたから、強さの実感はいまいち持てなかったのはあります」
アムロ「只、それとこれは別。当人同士の煽り合いからの決闘に、俺が参加する義務は無いだろう?」
千冬「つべこべ言うな。いいから、レイも決闘に参加して三つ巴の戦いをしてこい」
アムロ「全く、何で初日からこんな災難に会わなきゃいけないんだ...」
唯一の助け船からも見捨てられた。
仕方がない。俺も俺なりに、一週間後に向けてやるとするか。
今日はここまでです。
基本的に一夏視点の話はアムロが居る以外は本編通りですので、省いていきます。
決闘まではサクサクと進めていきたいです。
一日の授業は終わった。
しかし、寮の部屋割りはまだ言われてないのだ。当然、誰も教室から出る気配は無い。
千冬「では、部屋割りの紙を前に貼っておく。よく確認しておくように」
千冬「織斑とレイはこちらに来い」
俺たち男は個室が与えられるか、一夏と相部屋になるかだ。
千冬「お前たちの部屋割りだが、織斑とレイは別の部屋だ。これは様々な配慮があってのことだ、文句苦情は受け付けん」
アムロ「そこまで言われてしまえば言い返すことはないです」
アムロ(当然だが、俺と自分の弟を共に過ごさせられるほど信頼されていないか)
千冬「では、各自部屋に行くように」
織斑先生はそう言い終えれば、さっさと部屋から出ていった。
さて、俺も行くとしようか。
俺の部屋となる場所に行ってみれば、見覚えのある青い髪の少女がいた。
アムロ「生徒会長さんは新年度早々暇なのか?」
楯無「そんなわけないでしょ、お姉さんは様子を見に来ただけ」
楯無「面白そうなことがあるんでしょ?協力してあげてもいいけどな~?」
アムロ「まったく...」
盗聴だか盗撮はされているとみていいだろう。
どこかお茶らけているものの、俺への警戒は決して無いわけではない。
事実、監視のためだけに俺と相部屋にしたこともあるくらいだ。それくらいはあっても不思議ではない。
アムロ「だが、手伝ってくれるというのなら遠慮なく胸を貸してもらおうかな」
楯無「きゃーん、えっち...」
アムロ「で、用事は何だ?それだけでここに来たわけじゃ無いだろ?」
楯無「...そうね。言う必要がないことといえば、そうなんだけど...一応、ね」
アムロ「煮え切らないな。どういうことだ?」
楯無「今のアムロくんなら、何もせずともセシリアちゃんと良い戦い出来ると思うわよ」
アムロ「そんなことを言うためだけにここに?」
楯無「いいの、いいの。じゃあね♪」
何となく軽い足取りで更識は去っていった。
あの子と話すと、自分が空回りしている気がしてならない。
風呂上がりの湯気を立ち上らせながら、ベッドに座る。
風呂、といってもシャワーだけだが。
目まぐるしい一日だった。
全世界に向けて会見した。
少女しかいない学校に入学した。
他とない男性IS乗りと友好的な関係を築いた。
勝ち気な少女と決闘することになった。
軍の激務や、MS戦に比べれば肉体的疲労は大したことはない。
しかし、精神的な疲労はかなり堪えている。
アムロ「体は若くなって、心は老け込んだか?」
自嘲的に呟いてから、考えるのをやめようと思った。
ネガティブな思考しか出来ないと確信していた。
マイナスな思考をするのは、あまりよくない。
アムロ「寝るか...」
素直に、眠りに就くことにした。
体は疲れてなくても心はうんと疲れていて、直ぐに深い眠りに落ちた。
今日はここまでです。
社会人にもなって自らが趣味で始めたモノを投げ出すのは勘弁したいので、何としてでも完結はさせます。
仕事は相も変わらず落ち着きませんが、今日のように何とか時間を見つけて書き込んでいけると思います。
こんなダメな私ですが、どうかまだ宜しくお願いします。
お腹の上に誰か乗っているのだろうか。
息苦しいし、とても暑い。
うっすらと目を開けてみるとそこには...
アムロ「どうやって入ってきた?」
更識がいた。
楯無「気にしない気にしない。おはよー、ダーリン♪」
アムロ「......監視は解いてくれなんだな」
楯無「え?どういうこと?」
アムロ「あくまで惚けるならそれでいいが...俺は見せ物じゃない」
アムロ「生活が筒抜けというのは、感心しないな」
偽装されて置かれている監視カメラがある方向に目をやる。
盗聴はされていないようだが、不審な行動を見せたら即駆け付けられるようになっているのだろう。
楯無(気付かれたかぁ...普通は気付かないでしょうに...)
アムロ「男として、処理をするときくらいはカメラは止めて欲しいけどな?」
楯無「!、からかうのはやめなさい!」
楯無(冗談言ってる内にやめろ、と言外に言ってるわね)
楯無(ほんっと、手強いわ...)
そのあとに二言三言交わしてから、更識を追い出した。
掛け布団を剥げば、シャツにブリーフというラフなものだったからだ。
もう10年以上この格好で寝るのに慣れている。
流石に更識と同じ部屋だった時はちゃんとした寝間着を着た。
朝っぱらから後ろめたい考えは御免だ。
冷水を顔に叩き付け、眠気を祓ってシャキッとする。
制服に身を通し、ドアを開ける。
楯無「結構時間係ったみたいね?」
アムロ「俺を待つ物好きよりは有意義な時間の使い方さ」
楯無「折角待っててあげたのになぁ...」
アムロ「朝食は一人で摂りたいので、ごめんするよ」
楯無「あー、約束と違うじゃない!」
アムロ「どうでもいことは覚えてるんだな...」
こうしていれば、良い子なのに。
俺の監視を解く気は無いようで、残念だ。
適当な朝食セットを貰うと、更識と向かい合うようにして席に座った。
楯無「凄い注目されてるわよー?」
アムロ「.........そうだな」
ニュータイプでない一夏がストレスを感じている視線を、俺は一身に受けていた。一夏がまだいないためだ。
本来ならニュータイプとしての力を通して聞きたくなくても、自分への関心が直接感じられるはずだ。
それは毒霧に等しいのだが、アムロは違う。
ニュータイプとしては、あまりに鈍感過ぎた。いや、優れすぎていたともいえる。
他人との交信を限り無く意識の外に追いやることで、必要以上の共感を受けないように心掛けている。
具体的には戦闘中には殺意と悪意以外は感じないようにしてるのと同じ要領で、今も過ごしている。
興味がある、という以外は感じないようにしてるのだ。
楯無「どうかしたの?」
アムロ「何でもない」
アムロ(こんなことで、俺の力がどんなものか思い知らされるとはな)
自分自身の、ニュータイプでありながらニュータイプとはかけ離れた能力。
戦闘用の強化人間よりも、余程戦闘向きな自分のニュータイプ能力。
俺は、俺自身を自分の能力を、認められないんだ。
楯無「様子が変だよ?体調が悪いなら...」
アムロ「いや、本当に心配はいらない」
気が付けば、更識が覗き込むようにして俺の顔色を伺っていた。
この世界に来てから、やけにセンチになってしまっている自分に腹立たしくなる。
手に持ったサンドイッチを頬張る。
シャキシャキしていて新鮮なレタスと、食欲を刺激するベーコンの風味、瑞々しいトマトの時々する酸味。
バランスが取れていてかなり美味しい。食堂を使うのは初めてというわけではないが、どのメニューもレベルが高い。
良家の娘にも満足されるようになっているのが伺える。
それよりも、新鮮な野菜を摂れることが何よりも美味しく感じる原因だろう。
宇宙空間では、新鮮な野菜というのは希少だ。豊かな生活が出来る程平和なのは良いことだ。
楯無「元気そうに食べてるから問題は無いみたいだけど...」
楯無「知らない仲じゃ無いんだし、お姉さんに頼ってもいいからね?」
アムロ「その時は俺がかなり参った時だろうな」
楯無「頼りにしてるよ、位いってくれてもいいじゃないのー」
アムロ「事実だから、どうしようもないな」
こんな感じで、俺の朝食の時間は過ぎてった。
ところで、一夏は何があったのだろうか。
幼馴染みの少女と何やら喧嘩があったみたいだ。鈍感過ぎるというのも問題なのだな。
今日はここまでです。
何となく食事描写練習したくて書いたのですが、下手くそですね。
全体的に文が纏まるように精進します。
朝は何故か更識が来て、授業は唸る一夏に教えつつこなしていき、決闘に向けての訓練は全てイメージでシミュレーションしていた。
シミュレーション、といってもIS同士の本気の戦いというのはしたことがないため、MS戦のイメージだ。
赤い新型に乗ったシャアと、νガンダムに乗った俺が、お互い一歩も譲らない戦いをする。
射撃など牽制程度にしか役に立たないために、直ぐに白兵戦となってしまっていたので意味があるかは分からない。
もしも、白兵戦用の武器しか無いような設計思想に疑問を抱くような機体があるなら効果的なシミュレーションだった。
こんな生活をし続け、とうとう決闘の日になってしまった。
一言更識に頼んで、射撃演習程度はしておくべきだったかもしれない。
アムロ「気負わずに、腕試し程度でいいのかな」
楯無「そうそ、それでいいのよ」
当然のように俺を起こしに来て一緒に行動している更識だ。
楯無「じゃ、私は食べ終わったし行くからね。負けないように、応援はしておくわ~」
アムロ「ン...とりあえず、感謝しておくよ」
楯無「素直にありがとう、と言えば可愛いげがあるのに...」
アムロ「やめろ、柄じゃない」
楯無「じゃあねん♪」
これでも、更識の気配り等に気付かないほど鈍感でも無い。
感謝の一言くらいは言っておいても良かったかもしれない。
朝はこんな風にして過ごし、既に決闘への準備の時間だ。
俺と一夏とオルコット嬢はそれぞれ別の待機場所が用意されている。
クラス全員が見れるようにモニターされているようなので、情けない姿を晒さないようにしたい。
対戦は総当たりで、厳正なくじによって決まったようだ。
一回戦は俺と一夏。二回戦は俺とオルコット嬢。三回戦は一夏とオルコット嬢となっている。
一夏にはこのギリギリのタイミングで専用機が届いたようだが、設定が間に合ってないのでぶっつけ本番だという。
俺とオルコット嬢を先に戦わせて、その内に設定をすればいいものを、織斑先生は聞き入れず一蹴した。
アムロ「手加減...は流石に失礼か」
そんなことを呟きながらISスーツを身に付けて、ビットに向かった。
千冬「織斑、レイ、二人とも準備はいいか?」
一夏「ばっちり...なのかな?」
アムロ「俺は問題ない」
千冬「これよりクラス代表選考の決闘を行う!両名共に、配置につけ」
俺と一夏の機体が、向かい合うようにして立つ。
千冬「では、初めっ!!」
開始のコールと同時に俺は後ろへと翔んだ。
一夏のISは長身のブレードしか取り出していなかったので、当然距離を取るのが有利だ。
念のために左手にブレードを取り出し、右手のアサルトライフルで牽制しながら距離を取る。
一夏も果敢に前に出て攻めようとするが、牽制に当たってしまい思うように突っ込むことが出来ないようだ。
もしも、一夏が勇敢か無謀ならば牽制を無視して距離を詰めてくるだろうが、初めて戦う者がそんなこと出来るわけもない。
シールドエネルギーがあるために傷付かないと分かっていても、弾を恐れてしまっている。
当然と言えば当然だ。
そろそろ、アサルトライフルの弾が切れる。リロードしてられる程の余裕は無いと判断し、ライフルを投げ付けた。
直ぐに右手に新しい物を取りだし、投げ付けた方を撃ち抜く。
爆風によって視界を撹乱させ、安全に距離を取ろうとしていた。
しかし、一気に流れが変わった。
一夏の機体から何らかのシステムボイスが響いたかと思うと、一気に動きが速くなった。
アムロ(不慣れであの動きかと思ったが...機体が着いていって無かったのか)
機体が追い付かないというのは、とても焦れったいものだ。
本来なら攻撃出来るタイミングでも攻撃出来なかったり、避けれたハズの弾を防御するしか無くなったりする。
それが無くなった今、一夏が思い描くように動けるのだろう。
牽制の攻撃も当たり辛いモノになってきた。
一夏「これで...!」
一夏が一気に加速して、一瞬俺の視界から外れる。次の瞬間には、ブレードを降り下ろしていた。
アムロ「甘いッ!」
だが、当たらなかった。回し蹴りが一夏の脇腹に入り、体勢が崩れた瞬間に懐に飛び込んで接射。
俺が思っていたよりも少ない球数で一夏のISが停止し、終了のブザーが鳴り響いた。
アムロ「最後の攻撃、中々良かった。ところでだがシールドエネルギーの量が少なくなかったか?」
一夏「そうだよなぁ...可笑しいよな、やっぱり。何か使ったら一気に減ったんだけど...」
千冬「そういう効果のアビリティだ。使い所を誤らなければ一撃必殺だのアビリティだぞ」
千冬(文字通り、な。一夏なら大丈夫だと思うが...)
千冬「終わったのだから、織斑は戻って休憩、レイは次の戦闘の準備をしろ」
一夏「はい、流石に疲れるぜ...」
アムロ「ほら、時間は限られてるんだ。早く動かないと雷が落ちるぞ?」
一夏「え~、アムロまで...」
アムロ「休める分、まだいいだろ?俺はこのまま次の戦いさ」
一夏「そうだ、頑張ってくれよ!アイツの鼻をへし折ってやれ!」
アムロ「流石にそれは、一夏が頑張れよ」
一夏はそそくさとアリーナから出ていき、俺はビットに補給しに戻った。
今日はここまでです。
戦闘描写めちゃくちゃ難しいです。
自分の中では超ハイスピードの戦いが繰り広げられているんですが、文にソレを落とし込めないんですよね。
他の方の作品を参考にさせてもらって、精進していきます。
試合開始の合図が、ブザーが、とても遠くのモノに聞こえる。
今の俺の目の前にいるのは、イギリスの代表候補生。
全力を出し切ろうとも敵わない相手だろう。だからと言って簡単には負けられない。
だからこそ戦場の時のような恐ろしいまでの集中力を発揮している。
セシリア「今、私に謝って.........ッ!!」
それだけ集中していたからこそ彼女の話など耳に入らず、最初から攻撃を始める。
上下左右にと動きを読まれないようにしながらアサルトライフルの射撃を繰り返す。
一方のセシリアは、軌道を読めずにいて近寄られないようにレーザーライフルを撃つので手一杯だった。
セシリアの動きが止まる。頭の中に駆け巡ったイメージを受け回避運動を取った次の瞬間、突然の背後からの射撃。
だが、それを『感じていた』ために簡単に避けた。
セシリア「何で今の攻撃が......!?」
その驚愕で立ち止まったのが災いした。
自らのビットが放ったレーザーが直撃。その隙にもアムロの連射を次々と受けていく。
これで、アムロに勝利へ一歩も二歩も近付いた。
しかし、セシリアは男に負けるのだけはプライドが許さないという一心でどんどん集中力が増していく。
対するアムロはいくらまだまだ甘いビットの扱い方だろうと、ISの扱いにそれ以上に慣れていないため被弾が増えていく。
アムロの集中力は切れてはいなかったが、ビットを満足に避けれない自分への苛立ちと焦りで軌道が浅くなっていた。
それを見逃す程セシリアも抜かってはおらず、レーザーライフルの手痛い一撃に被弾してしまう。
これで、戦局は五分五分になった。
アムロは苛立ちや焦りが有ろうとも、誰もが認めるスーパーエースだ。
浅い軌道は直せぬものの、ちょろまかと動き回るビットにダメージを着実に与えており撃墜されたビットもあった。
だがそれでも、アムロの苛立ちは消えないのだ。
もしもMS戦ならば、この程度のビットに当たる要素も無ければ一撃で落とせない筈も無い。
MSを動かすようにはいかないことを理解していながらも、やはりそのことにストレスを感じざるを得ない。
アムロ「チイッ!」
その気持ちを処理出来ずにか、舌打ちとも呻き声とも取れる声を上げる。
着実にビットの攻撃に慣れてきたとはいえ、最初に避けれた感覚を上手く引き出せないのにも苛立ちを覚えた。
このような瞬間こそ、自分の不充分で出来損ないなNT能力を呪いたくなる。
セシリア「どうしまして?先程までの動きが嘘のようでして!」
ある程度落ち着いて余裕が出てきたからか、セシリアは口撃も仕掛ける。
先程のアムロの反応を見て、挑発は効くと判断したからだ。
事実それでアムロの苛立ちや焦りは増し、ビットのレーザーに軽く当たることになる。
だが、ビットに思ったよりも善戦しておりセシリアが思うように試合が動かないのも事実。
セシリアの心の片隅に余裕はあるものの、決めきれない焦れったさが確かにあった。
それを態度に完全に出さないのは、代表候補生としての経験、そしてセシリアの意地。
五分五分になった試合戦局は次第にセシリア有利にと変わっていっていた。
すいません、これで限界です。
自分の中で幾分かしっくり来るように文章考えていたらこんな感じの文章に...
どうしても消えない取っ付きにくさや緊迫感に欠ける部分をどうにかしていきたいです。
後少し、後少し攻撃を当てれば勝てる。そのもう少しがとてもとても遠くに思える。
ビットは隠し玉の二機を残して全滅。牽制射撃が精密で、接近は出来そうにもない。
このまま撃ち合っても埒が明かないのは明白。しかし先に動けば負けるというのを相手も理解しているようで仕掛けてこようとしない。
レーザーライフルも連射速度が足りずに、辛うじて牽制射撃として扱える程度。
訓練機だというので少し見くびっていたというのは言い訳か。相手の実力を測れなかった自分の落ち度だ。
セシリア「そろそろ、フィナーレですわ!」
もうこうなれば、ダメ元で有利だった分を捨てて勝ちを狙いに行く。
セシリアがレーザーライフルを撃ちながら接近。
まだ撃ち合いが続くと思っていたアムロは意表を突かれた様で、遠距離から中距離まで接近を許してしまう。
アムロがすかさず急前進すると見せ掛けて上昇するフェイント。
これに掛かったセシリアは、好機と見て虎の子のミサイル装備のビットを使うも狙い外れ。
アムロがセシリアの最後の手の内を暴いただけになった。
アムロ(何とか、フェイントに掛かってくれたか...)
しかし、もう無いと思っていたビットが残っていたためにアムロも苦戦は必須。
ミサイルということである程度はアサルトライフルで迎撃出来るものの、牽制射撃無しで勝てる余裕も無い。
つまりはミサイルを迎撃したいが、迎撃すればセシリアに距離を詰められるということ。
専用のサイコミュが無いためかビット操作時のセシリアの動きは隙だらけ。
しかし二機の操作だけなら精度が上がってくるはずだ。油断はできない。
やはり、ミサイルを交えた攻撃は制し辛い。
セシリアに気を配りながら、最低限の弾で最大限ミサイルを迎撃しなければならないからだ。
アサルトライフルの他にも頭部バルカンのような牽制用の武装が欲しい。
無い物ねだりをしても仕方がないが、前に更識と戦った時よりも色々とわかるようになった。
そのせいで、MSを使った時には出来てISでは出来ないことがハッキリとし過ぎた。
要は、機体の性能を引き出し切れない自分を認めたくないだけだ。子供の言い訳と同じレベルのものだ。
アムロ「これもダメか!」
フェイントを交えながら距離を縮めようとするが、セシリアは先の二の舞は踏まぬと決意したか引っ掛かる様子もない。
これで、終わりか。
敗北を確信する。若い子のようにガツガツとやっていけるガッツが足りないともいえる。
慣れない追尾ミサイルというモノにリズムを崩された。
ミサイルが背部の四枚羽根に当たりバランスを崩したところを、見事に撃ち抜かれた。
両者が着地したところで、試合終了。
やはり、本気の代表候補生相手にはまだまだ実力が足りないようだ。
ISに慣れるにはMSの感覚を捨てなければ、と実感することにもなった。
アムロ「代表候補生としての実力、しっかりと確認したよ」
セシリア「これで、自分の無礼が理解出来まして?」
アムロ「無礼、というよりは実力差を理解したよ」
セシリア「それが分かったら良いですわ」
アムロ「ン、お疲れ様。俺も精進するよ」
このようなやり取りを軽く交わして、アリーナを後にした。
オルコット嬢の態度が軟化してるように思えたが、丸くなるならいいことだ。
何とかセシリア戦終わらせて終了です。
一夏とセシリア戦はアムロ関係無いので省略です。
アムロ戦で慢心はいけないと悟ったセシリアがビット無しで一夏に快勝する感じです。
一夏君の活躍は今しばらくお待ちください。
しかも周りの味方が
千冬「問題ないだろう、さっさと行け」
箒「男なら勝ってみせろ!」
やまや「はわわ…」
しかいないのもまた…
一夏「くっそぉ...あんな奴に...」
アムロ「落ち着けよ、一夏。彼女は代表候補生なんだ。敵うわけがないのは分かるだろ?」
一夏「そうだけどよ、あそこまで言い返してこれしか出来ないのはな...」
アムロ「慢心が抜けていたら、俺でももっと無様だったさ」
一夏「うじうじ悩んでも仕方無いよな~。シャワー浴びて少し食堂に行こうぜ」
アムロ「俺でいいなら、同行させてもらうよ」
着替えながらそんなことを一夏と話す。
俺も、ビットやファンネルの戦闘経験が無ければもっと圧倒的な差があっただろう。
オルコット嬢から慢心が抜けたのはいいが、男性差別がどうなっているかが問題だろう。
しかしそんなことは俺がやることではなく、教師がやるべきことだ。織斑先生に任せさせてもらおう。
アムロと一夏、乱入した箒が食堂で楽しくしている中、教師間では緊張が走っていた。
山田「オルコットさんとレイ君の戦闘でのレイ君の動き...見てましたよね?」
千冬「はい。あの動き...まるで後ろから来るのがわかってたかのような動きでした」
山田「映像...見ますか?」
千冬「ええ、あるのなら観ましょう」
目当てのシーンまで早送りし、例のアムロの回避を見る。
後ろから来るのが分かっていた、とでは表現出来ないモノだ。
発射前には既に回避に入っており、発射直後には掠りもしない位置にいる。
最早ある程度察知していたでは片付けられず、後ろにも目が付いていると言われても驚かない回避だ。
その後は何とか後方も確認しながら避けているため、単なる偶然なのか実力なのかは計れない。
もしもあの回避をするアムロ・レイこそが本当の実力ならば、世界レベルにまで達していることになる。
千冬「この映像は削除しておいた方が良いでしょう」
千冬(問題は更識楯無か...)
山田「はい、そうしておきます」
レイの実力、果てして何れくらいのモノだ?
そして、彼は一体『何者』だ?
こればっかりは、時間をかけねば分からないことだろうが計るしか無い。
一夏が危険な目に合わないよう、私が気を付けなければ。
少ないですが、これにて。
何とか独自性を出していきたいんですけど、中々うまくいかないです。
決闘終了後の夜
楯無「......こんな映像、消したくなる理由も分かるわ」
先程、何とかサルベージすることの出来た映像を見て驚愕した。
私と訓練や模擬戦していたときにも思っていたけれど、アムロ君の回避能力は天性のモノを感じる。
例え死角だろうと反応して避ける反応速度の速さ。
技術的に未熟な点はあれど、それでもこれだけ代表候補生に食い下がっていられる。
もしも、彼がISを使いこなせるようになり本当の目的が私達に害を為すものならば。危険だ、あまりにも危険だ。
楯無(これからも監視しておいて、損は無いわね)
妹を守るため、生徒の安全を守るため、アムロへの警戒を弛めない事を決めた。
セシリア「何ですの...この胸の高まりは...」
本日、忌々しいと思っていた男性と戦った。
アムロさんは訓練機でありながら私を追い詰め、一夏さんは諦めずに向かって来続けた。
アムロさんの何かを押し込めたように戦っている瞳も胸に残っている。
しかし、一夏さんの、あの真っ直ぐで折れることの無いような澄んだ瞳を思い出すと胸がチクリとする。
私を追い詰めたのはアムロさんの筈なのに、一夏さんの方が私の心に深く深く残っている。
一夏さんの事を考えるだけで少し胸が高鳴って体温が上がっていく気がする。
セシリア「私、病気にでもなってしまったのでしょうか...?」
初めて覚える感情に、セシリアは大きな戸惑いや不安を感じていた。
「へぇ~、これが貴方の言っていた...」
「でも、まだまだ全然だね~。こんなのに苦戦させられてたの?」
「貴方が言ってたこと、嘘だとは思ってないけど少し拍子抜けだな~」
「え、ISの性能が彼の能力に着いていってない?」
「うーん、どうだろ。これはIS性能の前に純粋に技量不足だね」
「結論を急ぐほど時間には困って無いし、もうちょっと観察しよっか」
今日はここまでです。
無名の台詞の主、正直バレバレだと思いますがこの段階ではまだ伏せさせて下さい。
アムロ「まさか、あんなイメージトレーニングが役に立つとはな...」
一人で夜の闇と布団に包まれながら、呟く。
誰があれだけ全世界の期待を背負った少年の機体が接近戦のみのピーキーな仕様だと思うだろうか。
近接しやすくするための牽制武器すらなく、ひたすら接近して斬るしかない。
シャアとの戦闘をイメージしていたのが役に立つとは思いもしなかった。
自分の予想では初心者にはまだ扱い辛さはあるものの、全距離に対応し中々の守備性能を持つモノとばかり思っていた。
専用機といえど、そこまでの優遇は出来ないとの考えだとしても流石にやり過ぎだ。
アムロ(まさか...これを機に女尊男卑のバランスが壊れることを恐れたのか...?)
アムロ(そうだとしたら、俺にマトモな専用機が回ってくる可能性は無いか)
織斑一夏に専用機を与えたのは、取り敢えずは渡しておくという世界に向けてのアピールだけだったのかもしれない。
自分達の保身しか考えない大人がやりそうな手口は体験しているし理解してもいる。
アムロ(あまり目立ちたくは無かったが...俺がサポートしていかなければ色々とマズいかもな...)
しっかりとした戸籍も無く、ただただ男性で扱えるというだけの立場の俺が何か出来るとは自惚れてはいない。
だが、その立場であろうと最善の道に導いていくことこそ、今の俺の役割だと思っている。
時代を作るのは、老人や俺達ではない。今を生きている子供や若者だ。
星を継ぐ者達をエゴが入り雑じった陰謀で歪ませてはならないんだ。
これは俺のエゴかもしれない。しかしあの時に見た人の可能性、人の心の光。ただそれを信じて、そして守りたい。
アムロ(そして、これは...カミーユの時に何もしてやれなかった、俺なりの償いだ)
たったの1レスだけですが、これまでです。
400越えて一巻の内容しか進まないというスローペース。
私としては丁寧に書いていこうと努めているのですが、セシリアの一夏に対する思いは強引だったかもしれません。
その事に関しても、更に投下が少ない上に書くのが遅く、申し訳無いばかりです。
何としてでも完結はさせたいので、どうか宜しくお願いします。
朝、頭は覚醒しきってはいないが布団を剥いで起き上がる。
冷水を叩き付けるようにして顔を洗えば、もう殆ど覚醒した。
アムロ(更識は...昨日の戦いで俺を警戒したか。当然だな)
オルコット嬢のビットに攻撃された時、初撃だけ完全に『視えた』。
あの動きを見て警戒しない方がおかしいだろう。
MSであれば攻撃を撃たせる前に落とせただろうが、ISではそうもいかなかった。
アムロ「朝食を摂るのが先決...か」
制服も着て、鏡も見てしっかりと確認もした。
グダグダと一人で考え続けるよりは別のことで気を紛らわす方がいい。
そうして、一人で食堂に向けて足を進めていった。
食堂に着けばあちこちから興味の籠った視線を集め、噂のあの人状態だった。
もう一週間過ぎたというのに、少女というのは不思議なものだ。
俺みたいな三十路手前の男の何が良いものか。
そんなことを一人で考えながら、いつものサンドイッチを頬張る。
相変わらずの旨さだ。少し飽きも感じるが、だからといって他の料理に挑戦する気も起きない。
一夏「お、アムロじゃん、おはよう。隣いいよな?」
箒「わ、私も失礼する」
アムロ「ン、二人ともおはよう。勝手に座ってくれ」
一夏が気付いているかはともかく、篠ノ之には回りから嫉妬と羨望の目をこれでもかと向けられている。
そこまでするなら自分から話し掛ければ良いだろうに、と思うが年頃の少女達は色々と複雑なのだろう。
一夏「アムロは朝はいつもサンドイッチだよな。飽きないのか?」
アムロ「多少は飽きはしてるさ。だが、俺はこれだけで充分さ」
一夏「う~ん、そっか。俺は焼き魚とかも良いと思うけどな」
アムロ「どうしてもサンドイッチに飽きた時は試してみるよ」
食べながら一夏と会話をするが、会話に入りたくても入れない篠ノ之をフォローしてあげよう。
アムロ「じゃあ、俺はそろそろ行くからな。後は篠ノ之とゆっくり食べて来いよ」
箒(うぅ...すまない。感謝する)
アムロ(一夏は鈍感で大変だろう。一応、応援程度はしておくよ)
そんなかんやで一夏達と別れ、先に教室に入る。
すると、オルコット嬢が突然近寄ってきて今までのことを詫び始めた。
アムロ「俺はそこまで気にしていないさ」
アムロ「だが、一夏は祖国のこともバカにされたんだ。しっかりと謝るべきだと思う」
セシリア「はい...本来なら許されない恥ずべき行為です」
アムロ「そこまで気負う必要は無いさ。誰しもがそういう失敗を経て成長するんだから、な?」
セシリア「...? は、はい。本当に申し訳ありませんでした」
セシリア(今、一瞬だけレイさんが大人の男性のように見えました...)
これだけ丸くなっていれば、クラスの子達とも衝突せずにやっていけるだろう。
このまま女尊男卑の考えも改まっているの嬉しいんだがな。
今日はここまでです。
個人的に丸くなったセシリアを書けているか不安ですね。
一夏とオルコット嬢も無事に和解し、これで最初の問題は丸く収まった。
アムロ「目に余る対立だったから、丸く収まって何よりだよ」
セシリア「...これからは自らの立場を考えながら、しっかりしていきますわ」
セシリア「どうか、これからも宜しくお願いしますね?一夏さん、アムロさん」
一夏「おう、宜しくな!セシリア」
アムロ「俺もいい関係を築いていきたいと思うよ、オルコットさん」
アムロ(有権者の知り合いがいて困ることもないしな)
セシリア「アムロさんも、私のことはセシリアとお呼びくださいな」
アムロ「ン、分かったよセシリア」
一夏もスゴいものだ。
たったの一週間ちょっとでもう一人少女をその気にさせてしまうのだから。
セシリアの一夏に対する視線は、俺に向けるモノとは違う。
ただ一夏は少し――いや、かなりその辺りの自覚が無いのが問題だな。
いくら彼女達が一夏にアプローチをかけようとも、まず理解をしてくれないのなら前途多難になること必須だ。
アムロ(まあ、その程度なら手助けしてあげても罰は当たらないよな)
さて、授業が始まりクラス代表に選ばれる者が発表される。
順当に考えるならセシリアだが、俺としては一夏でも良いと思う。
あの若さ溢れる闘志、かなりあると思われる潜在力、どれを取ろうと一番延びるのは彼であろう。
問題としては、延び白は一番あれどどこまで成長出来るかは分からない。
素人からかなり成長しようと、代表候補生レベルにまで上がるかと問われれば疑問が残る。
激動の一年とならぬ限り、爆発的に成長することはないと考えていい。
アムロ(結局、クラスの面子や社会風潮を考慮してもセシリアが適任か)
千冬「ああ、クラス代表の件だが織斑、お前に決まった」
千冬「他のクラスからバカにされないように精々頑張ることだ」
一夏「ええ!?俺かよ、千冬ねぇ!」
千冬「織斑先生と呼べ馬鹿者。今日中にもう一度このことを言わせなくていいようにしろ?」
アムロ(目が笑ってないぞ。全く肉親に向けていい目じゃないな)
千冬「どうしたレイ?意見でもあるか?」
アムロ「い、いや、俺からは特に無いです」
アムロ(......女性の勘というのは恐ろしいな)
セシリア「その件に関しては私が辞退致しました。あそこまで騒いだ手前、おいそれと代表にはなれません」
一夏「結局、俺なのかぁ...?」
アムロ「俺にそんな目を向けられても、元々やる気が無かったからな」
申し訳無いが、あまり俺が目立つわけにはいかないんだ。
あまりに目立って身辺でも探られたら俺がこの世界の人間じゃ無いこと位、直ぐにバレてしまう。
『というわけで、クラス代表おめでとー!!織斑君!』
一夏「え、えっと、ありがとう...でいいんだよな?」
アムロ「俺に振るな。主役なんだから、もっとドッシリ構えろよ」
箒「そうだ、主役が縮こまっててどうするんだ」
一夏「で、でもよ...俺、弱いのになっちゃっていいのかな?」
セシリア「いいえ、一夏さんは必ず強くなります!このセシリア・オルコットが言うんですから間違いありません!」
アムロ「俺は延びないってことかい?」
セシリア「え、いえ、そ、そういう訳では無くてですね」
アムロ「フフ、冗談だよ。こういうのは思ったより弱いんだな?」
セシリア「も、もうっ!あっち行きましょ、一夏さん!」
アムロ「おや、拗ねちゃったか」
箒「お、おい、私を置いてかないでくれ」
アムロ(さて、俺は一人でコーヒーでも飲んでるか)
出来るだけ気付かれ辛い場所で、一人濃い目のコーヒーを啜る。
クラスの少女の関心は全て一夏に向いていて、お陰で俺はのんびり出来ている。
どうにも、体は若いってのに大人の考えを持ち込むせいで気後れしてしまう。
純真な子供達に混ざる資格など、多くの人を殺めて生きてきた俺には無い。
少なくとも俺が俺自身を赦せるその日まで、俺がノコノコとこんな場所で生き永らえていく訳にはいかない。
今日はとりあえずここまでです。
小説はベルトーチカチルドレンしか読んでいないので、機会があればハイストリーマーも読んでアムロに対する理解を深めていきたいですね。
少女達の眩しいと感じるほどの純粋な笑顔。
一夏の困りながらも楽しそうに笑っている姿。
この年代の子供達は、こうして平和なのが一番だ。
俺はそうでは無かったから、羨ましいと言えばそうだ。
アムロ「ハァ...本当に、子供達を見てると自分の嫌なとこしか思い付かないな」
誰にも聞こえない様な呟き。
楯無「なーに黄昏てるのよ?パーティーなんだから、楽しまなきゃ、ね?」
気付くと目の前には更識が居た。
学年が違うのに何をしに来たんだ、という疑問しか沸かない。
アムロ「我らが生徒会長様は随分とお暇なようで」
楯無「パーティーを素直に楽しめない誰かさんよりはいいと思うけどなー?」
アムロ「俺はこういうのより、一人で静かにゆっくりしてるのが好きなのさ」
アムロ「で、何の用があってここに来たんだ?」
楯無「丁度仕事も終わって暇だったし、素直に織斑くんを祝福しに来たのよ」
アムロ「暇だったのは認めるんだな」
やはりどうにも、更識という人物には油断が出来ない。
ちょっとした失言で窮地に立たされてしまいそうだ。
楯無「もう、そういう所は大人気無いんだから。いつもは済ました大人みたいなのに」
アムロ「どこをどう見ても子供だろ?まだまだ若造だよ」
楯無「...ま、お互いまだまだの若造なのは確かね」
アムロ「そういうことだ。まだまだ精進の余地はあるんだろうな」
楯無「ISを扱う技術は、ね。精神面はもう成熟の余地は無いんじゃない?」
アムロ「......そんなことは、無いよ」
楯無(変なこと、言っちゃったな。思ったより堪えたみたいね)
楯無「さあ!私達もあの撮影に混ざりましょ!」
反論の余地も無しに手を引かれて、強引に写真に映ることになった。
そのあとは軽く言葉を交わして更識は戻っていき、パーティーもお開きとなった。
ちなみにクラスの全員、特に一夏が俺に気をつかってくれていたようで、俺に近付いてこなかったのは疲れている様に見えたからだという。
こんな子達にまで気をつかわせるなんて、俺もしっかりしないと駄目だと再認識させられた1日だった。
今日はここまでです。
仕事が落ち着いたと思ったら年末年始は家庭で大忙しですよ。
時間が取れたら書いていきますね。
次の日。
人の気配を感じて目を開けてみると、更識がいた。
鍵がどうのとかそういう考えは野暮なことなのだと既に学んでいる。
アムロ「通い妻にでも、なってくれるのかい?」
楯無「んー、アムロくんが本気ならいいかも」
アムロ「冗談は止せよ。ほら、着替えたりするから出てってくれ」
楯無「今日、一年生に転入生が来るの。アムロくんのクラスでは無いけどね」
アムロ「...他国からのスパイの可能性はあるのか?」
楯無「なきにしもあらず、て所ね。転入理由が専用機の調整に間に合わなかっただけみたいだし」
楯無「そして、あの織斑くんの幼なじみよ?そんなマネ、したくないと思う」
アムロ「ン...そうか。じゃあ一夏に背中は気を付けるように、とだけ伝えておくよ」
更識はその答えを聞いてさも面白そうに微笑んでから、部屋から出ていった。
転入生の情報をこれだけ直ぐに入手している辺り、更識のバックはかなりのものかしれない。
俺の存在が、この世界には存在しないのがバレるのも案外早いと考えていいだろう。
アムロ「全く、大人しくしていれば可愛い子なのにな...」
今日はここまでです。
鈴音登場まで書きたかったのですが、貧血の症状で辛いのなんの。
書き溜めも考えて定期的には投稿できるよう頑張りますね。
朝、教室に入ってみればクラス代表の対抗戦についての話題で持ちきりだった。
やれ、あのクラスには代表候補生がいるから注意だね、とかあのクラスは要注意人物が居ないから余裕、だとか。
どこから仕入れてきた情報なのかは知らないが、年頃の少女の情報収集能力は凄まじい。
しかし、例え相手がどうであれ、今の一夏では勝てるかどうかすら微妙だ。
一夏の機体のコンセプトはどちらかと言えば奇襲向きで、一対一で堂々と戦うには武装が貧弱すぎる。
出来るのならば、遮蔽物に身を隠しながら接近し一撃で戦闘不能にするのが望ましい。
???「その情報、古いよ」
軽くビジョンを描きつつ考えていた構想が、その一言で全て飛んだ。
一夏「お前、鈴!鈴だよな!?」
気付けば教室の扉に芝居がかったポーズで立っていた少女に、親しげに話しかける一夏。
彼女が更識の言っていた転入生か、と一人納得する。
今もキーキーと一夏と言い合ってる様を見て尚スパイだと疑えるほど、俺は腐っちゃいない。
織斑先生の登場によって、修羅場から一転無人の空間を思わせる静けさに包まれながらもしっかりと少女を観察しておいた。
一夏にもう少し自覚があれば、とは思うがあれが一夏の魅力の一つなのだと強引に納得しておく。
恋する乙女は前途多難だな、と心の中で呟くに留めておく。
仕事に追われ四苦八苦していたら世の受験生が重要な時期を迎えていました。
いやあ、あの頃は辛かった。
さて、長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
これからは新年度まである程度時間が取れますのでゆっくり着実に書き進めて参ります。
朝こそ一夏の幼馴染による愉快な出来事があったが、その後は授業は滞りなく進んだ。
只、何故か一夏と幼馴染の仲は悪化しているようだった。
アムロ「一夏、彼女に何か言ったのか?」
一夏「いやさ、アムロ。俺は昔の約束思い出しただけなのに、鈴の機嫌損ねちゃってさ」
きっと、一夏と幼馴染との間で埋められない解釈の行き違いがあったのだろう。
アムロ「どんな約束を思い出したのかは聞かないでおくが、しっかりしておけよ」
一夏「俺はしっかりしてると思うんだけどなぁ...」
アムロ「一夏がそう思っていても、相手は違うんだよ。特に、女の子なんだから優しくしないとな?」
一夏「これでも、結構悩んでるんだぜ?」
アムロ「悩んでいる位なら、誤解を解くために話し合った方が良いさ」
話し合う事が出来たのなら、俺とシャアの行く道は少しだけ変わったかもしれない。
だからこそ、些細な問題でも話し合うことが大切だろう。それが決定的な決別の理由にならないようにする為だ。
とはいえ、一夏を想っているだろう少女が些細な行き違い程度で決別するとは思っていないが。
もしも事が今よりも荒立ちそうなら、俺も少し手助けするか。
長らく開けていて申し訳ありませんでした。
またぼちぼちと続けていきたいと思いますので、どうか宜しくお願いします。
このSSまとめへのコメント
完結したら三行くらいで内容おしえて
未
完
結