不良女「…………」(19)

男「やべー遅刻だ遅刻だー! 急がないとー!」

ドンッ

?「……つっ」

男「いててっ」

不良女「…………」ギロッ

男「え?」

男(で、でかっ)

不良女「おまえ」

男「ひいっ!?」ゾクッ

不良女「○○高校の生徒だな」

男「ご、ごめんなさーいっ!」ダダダッ

不良女「あ、おいっ」

キーンコーンカーンコーン

男友「どうしたんだ男? そんな真っ青な顔して」

男「出たんだよ」

男友「幽霊が?」

男「ちがう。もっと恐ろしいものだよ」

男友「エイリアン?」

男「オカルト方面からはなれろ。もっと現実的な話だよ」

男友「それより聞けよー。今日うちのクラスに転校生がくるんだってよ」

男「転校生?」

男友「おう。女子なんだけどそれがちょっと変わったやつでさ」

男友「なんでも××高校の生徒なんだって」

男「××高校ってヤンキーが多いことで有名なあの?」

男友「ああ、実はその転校生。身長が180もある大女らしい」

男友「腕っ節も強くて、前の学校では何人もの生徒を病院送りにしたってウワサだぜ」

男友「そんなこわい女に目をつけられたら、骨の一、二本折られる程度じゃすまないかもなー」

男「…………」

男友「どうしたんだ男? 腐りかけのブルーベリーみたいな顔して」

ガラララッ

先生「席につけー」

先生「転校生の紹介をする。はいってきなさい」

<はい

男(まさか。あるわけないよな)

男(今朝ぶつかった女の子が転校生って。そんな漫画みたいな展開……)

不良女「…………」

男友「で、でかっ」

男「…………」

ガバッ

男「あはは、ははは……」

男(実際に起こっちゃったよ。漫画みたいな展開)

男(どどどどうしよう!)ガクガクブルブル

先生「不良女さん、自己紹介を」

不良女「…………」

先生「不良女さん?」

不良女「…………」ギロッ

先生「ひいっ!?」ゾクッ

不良女「不良女です。よろしく」

シーーーン

不良女「…………」

先生「というわけでみんな仲良くな!」

不良女「席は?」

先生「席は……男の隣が空いてるからそこに座りなさい」

不良女「…………」スタスタ

男「げっ!」

男(こっちにくる!?)

不良女「…………」ガタッ

男「…………」

男(ほっ。どうやら気づいてないみたいだ)

先生「不良女さんは転校してきたばかりで慣れないことも多いと思う」

先生「おまえたちもクラスメイトととして助けてあげるようにな」

先生「ホームルームは以上だ」

シーーーン

男「…………」

男(静かだ。休み時間なのにこんなに静まりかえってるのも珍しい)

不良女「おい」

男「!」

不良女「寝てるのか?」

男「ぐごーぐごー」

不良女「……うそだな」

男(なぜばれたしっ!?)ガバッ

不良女「ん?」ギロッ

男「あ……」

不良女「おまえは今朝わたしにぶつかった……」

男(しまったーーー!)

男「ちちちちがうんです! ちがくてちがくてっ!」

不良女「どうしてあのとき逃げたんだ?」

男「べべべ別にあなたがこわいとかそういうわけじゃ!」

不良女「…………」

不良女「わるかったな」

男(……あれ?)

不良女「こわがらせるつもりはなかった。ただ、道をたずねたかっただけで」

不良女「教科書を見せてくれないか。まだ届いてないんだ」

男「うん……」

男(あれれ?)

キーンコーンカーンコーン

男友「いやーとんだ災難だったな。同情するぜ」

男「…………」

男友「なにだまってんだよ」

男「不良には見えないけどなぁ、あの子」

男友「へ?」

男「たしかに見た目はこわいけどさ」

男友「なに言ってんだよ。実際に病院送りにされたやつがいるんだぜ」

男友「どうみたって不良だろ」

男「うーん」

男友「ま、命が惜しかったら関わらないことだな」

先生「今日の授業はこれで終了。解散!」

ザワザワ

先生「男、放課後ヒマか? ヒマだな」

男「先生、決めつけるのはよくないとおもいまーす」

先生「どうせヒマだろ。帰って勉強するでもなし、部活動に励むでもなし」

男「うぐっ」

先生「ヒマなおまえに頼みがある。不良女さんに校内を案内してやれ」

男「え? 校内案内つってもそんなにまわるとこ……」

先生「いいからいってこい。ささ」グイグイ

男「ぬわーっ」

男(半ば強制的に校内案内をすることになったわけだけど……)

男「ここが図書室。冷暖房完備で昼寝にはもってこいの環境だよ」

不良女「…………」

男「…………」

男(間がもたねーーー!)

男(こんなときは適当に話題を振るか)

男「今日天気いいよね」

不良女「ああ」

男「天気がいい日って気分がいいよね」

不良女「そうだな」

男「なんかこうウキウキする感じ?」

不良女「たしかに」

男「…………」

不良女「…………」

男(間 が も た な い)

男「ここが中庭。そこの木陰なんか昼寝には最適だよ」

不良女「…………」ジーーー

男「ん? 花壇が気になるの」

不良女「これはなんという花だ」

男「さあ。園芸部にきけばわかるんじゃない」

不良女「園芸部?」

男「ここらの花壇は園芸部が手入れしてるから」

不良女「そうか」

男「…………」

男(意外に女の子らしいとこあるんだな)

男「不良女さんは花が好きなの?」

不良女「…………」

男「園芸部の部室に寄ってみる? まだ部員もいるでしょ」

不良女「遠慮しておく。花いじりなんてわたしのガラじゃない。それに……」

男「?」

不良女「…………」スタスタ

男「あ、まってよー」

男友『で、無事だったか?』

男「どういう意味だよ」

男友『校内案内。けがもなく無事に終わったか』

男「失礼だな。不良女さんはそんなことしないって」

男友『おまえもお人よしだよなー。いくら担任に頼まれたこととはいえ、俺だったら無視して帰るね』

男友『あ、まさか男。おまえ、不良女さんのこと狙ってんのか』

男「め、滅相もない! そんなのいくら命があってもたりないって!」

男友『ちげーよ。鈍いなあ』

男友『不良女さんのことを恋愛対象として見てんのかって聞いてんの』

男「ほえ?」

男友『なんだよその気がぬけた声は』

男「ないないない! 俺はもっとこう、おしとやかで守ってあげたくなるような子が好みなんだ!」

男「不良女さんとはクラスメイトの一人として仲良くしてるだけだよ! うん!」

男友『そこまで必死になって否定しなくてもよかろうに……ま、いいけどさ』

男友『じゃ、明日学校でな』

ピッ

男「ふぅ……」

男(悪い人には見えないけど、恋愛対象になるかどうかは別の問題で)

男「…………」

男(はやく寝よ)

ガバッ

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