吸血鬼「全部、君のせいだよ」(35)
男「はぁ…はぁ……」ポタッ
ドクン
吸血鬼「んくっ…んっ…ぷはぁ…」ズチャ
ドサッ
吸血鬼「やっぱり人間の血は美味しいねぇ」ニコ
男「っ……!!」ガクガク
吸血鬼「君のお気に入り、彼女も凄く良かったよ」
女「──────」
男「ぁ…ぁぁ…………」
吸血鬼「でも、僕の本命はね───」
男「うわぁぁぁぁぁ!!」
───
──
─
男「うわぁぁぁぁぁ!」バッ
男「はぁはぁ…くっ!」ドクンドクン
4:44
男「また、同じ時間に同じ夢」
男「…………悪夢過ぎる」
────♪
男「……………」ピッ
男「もしもし」
女『やっぱり、起きてましたかぁ』クス
男「朝早くから電話するの止めてくれない?」
女『可愛い美少女からのモーニングコールですよ』
男「…………切っていい?」
女『もぅ、相変わらず冷たいですね』
女『本当に心配して電話したんですよー』
男「はいはい、ありがと」
女『今日は、どんな悪夢を見たんですかぁ?』
男「いつもと変わらないよ」
女『んー、やっぱり気になりますねー』
男「……………………」
男(赤い瞳の女の子…)
男(授業中に突然現れて僕以外の全員殺す)
男(吸血鬼なんてファンタジーの世界だし)
男(現実に現れるはずないのに…)
女『────ました?』
男「?ごめん、何て──」
女『また、私は殺されてました?』
男「っ…………!」
女『ふふ…死んじゃうみたいですね』
男「…………夢、だよ」
女『そうですねー』
女『正夢にならなきゃいいですけど』
───
──
─
女「おはようございます、男さん」ニコ
男「わざわざ迎えに来なくてもいいのに」ガチャン
女「悪夢で気がおかしくなったら私が止めてあげます」
男「おかしくならないよ…」
女「ふふ、そうだと私も助かります」クス
男「行こうか」
女「はい!」
女「それにしても、吸血鬼の夢なんてファンタジーですね」
男「別に吸血鬼が好きって訳でもないのに…」
女「あっ、男さんの頭の中がファンタジーなんじゃ…」
男「…………」スタスタ
女「無視は無しですよー」スタスタ
学校
女「ふふっ」クス
男「さっきから笑ってるけど、何?」
女「元気のない男さんは可愛いなーっと思って」ニコ
男「……趣味悪いよ」
女「私が楽しめれば良いんです」
男「はぁ………」
女「それに今の内にしっかり顔を見ておきたいんです」
男「えっ?」
男「それって、どういう意味?」
女「さぁ、どういう意味何でしょうね」ニコ
女「授業始まるので戻りますねー」クル
男「…………」
男(相変わらず変わってる…)
教師「──────」
男「ふぁぁ…眠い」
男(こんな当たり前の日常が)
男(いきなりあんな事になるはずない)
男(吸血鬼なんてファンタジーで)
男(現れるわけないんだから)
男(………………)ウト
───
──
─
───
──
─
キィィィィン
男「っっ?!」ズキッ
男「頭が…痛い…ぃ!」ズキズキ
男「な…に…?」ドサッ
───
──
─
?「──さん」
男(……誰の声?)
?「──起きて下さい!」
男(この声…女?)
女「男さんっ!」ユサ
男「っ……ぅ、頭痛い」
女「良かった、目を覚ましてくれて」
男「一体…何が…?」ズキ
?「やっぱり人間の血は美味しいねぇ」
男「………………え」
女「男さん、残念ですが…」
女「貴方の夢は正夢になったみたいです」スッ
男「………嘘、だろ?」
吸血鬼「やぁ」ニコ
吸血鬼「ふぅ、お腹いっぱい」ブン
グチャ
男「………君は」
吸血鬼「もう知ってるだろ?何回も会ってるんだから」
男「吸血鬼…なの?」
吸血鬼「そうだよ、ファンタジーの世界から出て来たのさ」ニコ
女「ふふっ、そのままとじ込もっていれば良かったのに」
吸血鬼「君は、どうして平然としてられるんだい?」
吸血鬼「僕達の超音波は人間が耳にすれば意識を失うはずなのに」
女「たまたま耳栓していたんです」ニコ
吸血鬼「あはっ、面白いジョークだね」スタ
吸血鬼「でも、残念」
吸血鬼「僕が必要なのは、そっちの男の子なんだよ」ジッ
男「………………」ゾク
吸血鬼「だから、君は僕のデザートにしてあげる」ググ
女「ふふっ、私はとっても美味しいですよー」
吸血鬼「それは、楽しみだね!!」ダン
男「危なっ──」
ガシッ
吸血鬼「!?」
女「捕まえましたー」ニコ
女「せーのっ!!」ググッ
吸血鬼「えっ…ええっ?!」フワッ
ブンッ!!
ドガァァァン!!
女「ふぅ、ちょっとやり過ぎましたかねー」
男「一番端のクラスの壁までぶっ壊れてる…」
女「さて、私達も行きますよ」グイッ
男「行くって、どこに?!ていうか君は…」
女「詳しいことは後で話しますから」ニコ
女「しかし、女性にお姫様抱っこさせるなんて信じられません」
男「いや、勝手にやったよね」
女「とにかく私にしっかり掴まって下さいねー」
男「う、うん」ギュッ
女「………っ」ドキ
男「?」
女「い、行きますよー」タッ
男「えっ、そっちって………?!」
女「えいっ!」ダン
男「うわぁぁぁぁ?!」
ヒュゥゥゥゥ
ドゴォン!!
女「ふぅ、着地成功です」ニコ
男「地面割れてるんだけど」
女「そこは気にしないで下さいよ」
男(あの高さから飛び降りて平然としてるなんて…)
男「もう、降ろして」
女「お姫様はもう飽きちゃいましたー?」
男「いや、そうじゃなくて……」
女「残念だけど、まだ降ろしてあげません」
女「このまま私が走った方が速いですから」
男「でも────」
吸血鬼「僕を置いてどこに行く気?」
女「あらら、もう起きちゃったんですかぁ」
吸血鬼「それにしても…君」
吸血鬼「半分、人間やめてるね」
女「………………」
男「どういう…こと?」
吸血鬼「一体、誰が主なんだい?」
女「随分、前のことですから忘れてしまいました」ニコ
吸血鬼「ふーん……」ダンッ
女「?!」
吸血鬼「…………」ヒュン
女「ごめんなさい、男さん」ブン
男「えっ?」
男「いたっ?!」ドサ
吸血鬼「良い判断だね」
ポタポタ
女「本気で殺す気でしたねー」ポタ
男「女!」
女「あはは、大丈夫ですよー」
女「すぐ治りますから」ズズッ
吸血鬼「?!」
吸血鬼(おかしい……)
吸血鬼「君、ほんとに誰の『眷属』なんだい?」
男(眷属?)
吸血鬼「再生能力が純血と同等…いや、それ以上の眷属なんて聞いたことないよ」
女「私は特別ですから」ヒュン
吸血鬼「っ?!」バッ
女「…………!」ブン
吸血鬼(スピードなら僕の方が速い)
ガシッ
女「?!」
吸血鬼「今度は僕が捕まえた」ニコ
吸血鬼「このまま首をへし折ってあげるよ」グググ
女「がっ…!…ぐっ…」
吸血鬼「じゃあね、眷属さん」
男「や、やめ───」
ゴキッ
男「………………」
女「………………」ブラン
吸血鬼「案外、あっさり死んだね」ブン
ドサッ
男「………………」
吸血鬼「人間の君にはちょっと刺激が強すぎたかな?」
吸血鬼「さぁ、僕と行こう」
吸血鬼「君にはこれから────」
ドスッ
吸血鬼「────え」ガフッ
女「かかかか勝手にぃぃぃぃ」ゴキゴキッ
女「ここここ殺さないで下さいぃぃぃぃ」ギギギ
吸血鬼「…………化け物だねぇ」
ブシャァ
女「ぐぎぎぎっっっ!」ゴキン
女「かはっ!……はぁぁ」
女「女さん、完全復活です」ニコ
男「………………」
女「あらら、お口空いてますよ男さん」
女「とにかく早く行きましょう」
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