堀「そんなに困ってるんだったら明日、瀬尾を演劇部の助っ人に来させてやろうか？」

若松「ええっ！？ いいんですか！？」

堀「ああ、別に構わねえよ」

若松「あ、ありがとうございます！！」

堀「それに丁度瀬尾に聞きたいこともあったしな」

野崎「なんですか？」

堀「ボールを上手く相手に当てるコツ」

若松「な、なんでそんなことを……？」

堀「鹿島に制裁加える方法として使えると思ってな」

野崎「堀先輩まで瀬尾化したら困ります」

次の日

堀「授業も終わったし……若松がいるバスケ部に行くか」

堀「確か……体育館でやってるんだよな」












堀「おっす若松」

若松「あ！！ 堀先輩！！」

瀬尾「あははははははは！！！」ブンブン

部員「うわああああああ！！！」

堀「……バスケ部どこだ？」

若松「信じられないかもしれないですけどあれがバスケ部です」

瀬尾「演劇部の助っ人？ 私運動部にしか行かないけど」

堀「そこをなんとか頼めねえか？ 人手不足なんだ」

瀬尾「しょうがねえなー。 今日だけね」

堀「ありがとな……じゃあ瀬尾借りるわ」

若松「は、はいっ！！ ありがとうございます！！」

部員「よかったな若松！！ 久しぶりに瀬尾がいない部活だぞ！！」

若松「はい！！」








部員「若松、パスだ！！」

若松「ええっ！？ ボールぶつけないんですか！？」

部員「ぶつけないだろ普通！！」

部員「若松、瀬尾に洗脳されてますね」

部長「ああ……」

堀「おーっす」

鹿島「あ、部長！！ こんにち……」

瀬尾「よー鹿島」

鹿島「先生！？ なんでここに！？」

堀「助っ人として俺が指名した」

鹿島「部長自ら！？」

鹿島（……はっ！！ もしや堀ちゃん先輩は先生を部活に連れて来るほど気に入ってるんじゃ……まずい！！ 一番気に入られてる後輩は私がいいのに！！）

堀「瀬尾、ちょっとそこのボンド取ってくれ」

瀬尾「えーめんどくせー」

堀「瀬尾、トンカチ頼めるか？」

瀬尾「えーめんどくせー」

堀「瀬尾、役者の一人が今日休みなんだよ。 棒読みでもいいから代役やってもらえるか？」

瀬尾「えーめんどくせー」

鹿島「先生何しに来たの！？」

瀬尾「なんか演劇部って思ってたよりつまんねえな。 バスケ部に帰ろうかなー」

堀「！」

堀（まずい、このままだとまた若松に被害が……なんとか引き止めねえと！！）

堀（……そうだ！！ あれなら瀬尾だろうが誰だろうが留まってくれるに違いねえ！！）

堀「瀬尾！！ 今日一日中部活にいてくれたらな……」

瀬尾「？」

堀「……鹿島の顔を一日中拝ませてやる権利をやる」

瀬尾「え、別にいらないけど」

堀「？？ なんでだ？ 最高のご褒美だろ？」

瀬尾「堀ちゃんがジュース奢るのを条件にここにいることにした」

鹿島「ジュース！？」

鹿島（そんな……私もまだ奢ってもらったことないのに！！）

鹿島（……先生に負けてられない！！）









堀（ジュース奢るって言っちまったけど……ああ言わねえといてくれねえからな）

鹿島「部長！！」

堀「？ どうした鹿島」

鹿島「結月の分は私が奢ります！！」

堀「！！ 鹿島……お前、俺の為に……」

鹿島「だから私の分を部長が奢ってください！！」

堀「自分で払えよ」

鹿島「まさか君とこんな所で戦うなんてね……」

瀬尾（そういや鹿島の演技ってちゃんと見たことねーな）

部員「剣を抜け！！ 王子！！」

鹿島「ああ、覚悟を決めたよ……僕はここで君を倒す！！」

瀬尾「……」









堀「……よしそこまで」

鹿島「ど、どうでした？」

堀「ああ、完璧だ」

瀬尾「いや、全然ダメでしょ」

堀「……瀬尾？」

瀬尾「ここで空から宇宙人やって来た方がよくない？」

堀「台本の話かよ！！」

鹿島「先生、それだと訳分かんなくなるよ……」

堀「じゃあ次はこれ塗ってくれ」

瀬尾「はーい」

部員「堀ちゃん！ ちょっと……」

堀「おう、今行く」ダッ

瀬尾「堀ちゃん行っちゃった」

瀬尾「……！！ このマークって……」

瀬尾「……」






佐倉『結月は自分のマークにするんだったらどっちがいい？』







瀬尾「てことは……」













佐倉『私のマークはブリーフじゃない方でお願いします！！』

堀『ああ』













堀「瀬尾、終わったか？」

瀬尾「千代、堀ちゃんがここ塗れってさ」

佐倉「え？ え？」

堀「！！？」

瀬尾「え？ このマークって千代が塗れってことじゃないの？」

堀「……そうだったらお前に言ってねえよ」

堀「……悪いな佐倉、部活中だったのに」

佐倉「あ、大丈夫です！！ 私、今日は部活に行ってなかったから……」

堀「？ じゃあなんでこんな時間までいるんだ？」

佐倉「野崎くんの使用済み割り箸を探す為にあっちこっちのゴミ箱漁ってました！！」

堀「やめろ」

堀「……よし、今日の部活は終わりだ」

瀬尾「あー疲れたー」

堀「今日はありがとな瀬尾、明日からは来なくても大丈夫だ」

瀬尾「……はぁ」

堀「！」

堀（なんだ……明日からバスケ部に帰れるのにやけに悲しそうだな）

堀（もしかして演劇部が気に入ってたのに俺が来なくていいって言ったから……）

瀬尾「演劇部がこんなにつまんないとは思わなかったぜ……」

堀「悪かったな」

次の日

若松「堀先輩！！ 昨日はありがとうございました！！」

堀「ああ。 昨日だけだけど平気か？」

若松「はい！！ １日だけでも十分です！！」

堀「そっか……瀬尾がいないお陰で昨日は寝れたんじゃねえのか？」

若松「いや……それがあまり……」

堀「？ なんでだよ？」

若松「演劇部の皆さんが瀬尾先輩の被害に合ってると思うと可哀想で寝れなくて……」

堀「お前それ瀬尾がどの部活に行ってもダメじゃねえか」

若松「そ、そうですね……」

若松「……そうだ！！ どこの部活にも行かせなければいいんだ！！」ダッ

堀「お、おい！！ 若松！！」









若松「瀬尾先輩！！ もうどこの部活にも行かないでください！！！」

瀬尾「は？ なんだよ急に？」

若松「放課後は部活に行かずにさっさと帰ってください！！」

瀬尾「わ、分かったよ……お前がそんな真面目な顔で言うのも珍しいしな」

若松「よかった……分かってくれたんですね！！」












声楽部

部員「瀬尾さんが部活に来ないわ！！」

部員「コンクール近いのに何やってるのあの子！？」

若松「……ということがあって声楽部の人達に迷惑をかけてしまいました」

野崎「言葉足らずだったな……」

堀「野崎、背景終わったぜ」

野崎「ありがとうございます、次はここを……」

堀「……！！」

和歌『なんで私について来るのよ！！』

尾瀬『お前……俺といて楽しくねーの？』

和歌『当たり前よ！！』

尾瀬『そっか……じゃあ楽しませてやるよ、来い』

和歌『ちょ、ちょっと！！ どこ行くのよ！！』

堀「……」







帰り

堀「……若松、お前この間瀬尾とどっか出かけたのか？」

若松「なんで知ってるんですか！？ 野崎先輩にしか言ってないのに……」

終わり