末原「清澄の大将を観察?」 (8)
赤阪「そうやで〜」
末原「何でそんなことを?」
赤阪「どんな戦いでも重要なんは己を知り敵を知ることやで〜」
末原「でもそんなん、牌譜とか県予選の映像とか見ればええやないですか」
赤阪「まぁ普通はそれでええねんけどな〜。あの子はやっぱり特殊やから〜」
末原「特殊?」
赤阪「それを一番知っとるんわ末原ちゃんやろ?」
末原「……」
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赤阪「牌譜や映像で見て分かる事は、そういうの得意な末原ちゃんはとっくの昔に理解してることやと思うし〜」
赤阪「いくら紙切れやテレビとにらめっこしてても、実際戦う相手は人やねんから」
赤阪「やっぱり枠に嵌らず一見関係ないとこも見て観察した方がええと思うで?」
赤阪「思わぬ発見とか、癖みたいなものとか、見つかるかも知れへんし〜」
末原「……分かりました」
赤阪「うん。それじゃいってらっしゃい」
末原「え? 今からですか?」
赤阪「善は急げ、思い立ったが吉日やで〜。試合までそれほど時間あるわけやないしな〜」
末原「でもどこにいるのか分からな」
赤阪「清澄が宿泊してるとこ、調べといたで〜」
末原「」
赤阪「いってらっしゃい」
末原「……行って来ます」
——清澄 宿泊所前——
末原「しかし、こっちも探偵やあらへんし、何をどうしたもんか……」
末原「まさか今から清澄の泊まってる部屋に突撃するわけにもいかへんしなぁ」
末原「かと言ってこのまま待っていても、都合よく出てきてくれるとは思えへ」
和「それじゃ、行きましょうか」
咲「うん!」
優希「一年組でお出かけだじぇ! だが京太郎、お前は駄目だ!」
京太郎「また雑用かよ……まぁいいが。行ってらっしゃい」
咲「うん、行ってきます」
末原「……都合、ええなぁ」
末原「……とりあえず、あとつけてみるか」
和「今日はどこ行きましょうか?」
咲「どこでもいいよ」
優希「それじゃタコス! タコスを食べに行こう!」
末原「なんや、ただの観光か……あとつける意味ないかもなぁ」
末原「……いや、でも一応追ってみるか。折角ここまできたしな」
末原「あの三人。メキシコ料理のレストラン入ってから、全然出てくる気配がないなぁ」
末原「いつになったら出てくるんやろ……近くの喫茶店で冷コーでも飲もうかな」
——一時間後——
優希「ふー。お腹一杯だじぇ!」
和「本当、よく食べますね……」
優希「タコスパワー充電完了! 今なら天和出る気がするじぇ」
和「そんなオカルトありえません」
咲「えっと、それじゃ次どこ行こうか」
末原「やっと出てきたか。コーヒーだけで喫茶店粘るのさすがにきつかったわ」
末原「これまだ続けなあかんのやろか……」
末原「……メキシコ料理屋から、今度は街中に出たな」
末原「人が多くて見失いそうやけど、ここなら見つかることもないしある程度堂々としててもよさそうや」
末原「それで、あの清澄は、と……あ、いたいた。ウィンドウショッピングかな?」
末原「……あれ? でも二人しかおらへんな。清澄の大将どこいったんやろ。別行動やろか」
末原「困ったなぁ。一番重要な人物見失ってしもうた……どないしよ」
ゴツン
?「いたっ!」
末原「あ、すみません……」
咲「あ、いえ。こちらこそ」
末原「……!?」
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