妹「お兄ちゃんのココすっごく硬ぁい」(38)

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 ( `・ω・) ようこそID腹筋スレへ!
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 しー-J

ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 7×12=84 なので84回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日は一休み。


さあ、存分に腹筋するがよい。↓

「硬くて、すっごくたくましいよぉ……お兄ちゃんの、ココ」

そう言って、妹は俺の硬いモノを撫で回す。
油断した。しくじった。畜生。糞。

左足だ。根本からやられた。

人間の力じゃあない。
わかっていたが、人間じゃあない。
俺の足は根本から引き千切られた。

今、妹が荒い息を吐きながら撫で回してるのが、俺の足だ。
筋肉質で硬い、俺の足だ。

妹は、まるでバナナの皮でも剥くように、俺の足の肉をぢぢっと引き裂くと、
中から現れた、真っ白い大腿骨を舐め回す。

「美味しいよぉ、お兄ちゃんの、白いの……すごく、美味しい」

れろれろれろんと舐め回す。

しばらく、ぼうっと見つめてしまった。

美しい。

妹は変わってしまったが、その容姿は変わらずに可愛いままだった。

そのうちに、世界がグラリと傾く気がして、俺の意識が遠くなる。
見つめている場合ではなかった。このままいくと失血死だ。笑えない。

俺は着ていたシャツを脱ぐと、それで足の断面を覆い、腰の辺りでしっかりと括りつける。
妹が、俺の硬いモノに夢中になってくれているのが幸いだった。

こんな大変な時に、俺の頭は、昔に偽善活動で献血した事を思い出す。
あの時の何倍もクラクラした。あの時抜いた血が欲しいくらいだ。

俺は震える手で、銃を探した。近くに落ちているはずだ。

血溜まりの中にそれはあった。
アルミホイルで包まれた電磁銃だ。
妹を……『アレ』を殺すために、必要な銃だ。

引鉄を軽く引くと、二本のレールに挟まれた弾丸が、直列電流を受けて無限大に加速する。
この速さが、魂を殺すのに必要なのだ。
俺は心の中で、ニコラ・テスラに礼を言った。

照準を合わせ、深く引鉄を引く。
電磁銃から放たれた弾丸が、妹の頭を貫いた。
俺の硬いモノをしゃぶっていた妹は、弾丸を受け、崩れ落ちた。

死んだのだ。これで妹は、二回死んだ。

人の魂は、脳に宿るのか?
それとも、心の臓に宿るのか?

俺はその問いに答えを見つけた。

人の魂は、ぐちゃぐちゃの味噌に宿るのだ。

俺の血と、妹の脳漿が混ざったドロドロの中で、
笑う。笑う。笑う。

21.262グラムだ。
21.262グラムが、全てを駄目にした。

彼のダンカン・マクドゥーガルが提唱した、魂の重さだ。

彼によれば、魂を持つのは人間だけだそうだ。
犬は魂を持たない。

今になって、その研究成果が正しかったという事が証明された。

死んだ人々は21.262グラム軽くなり、
そして、21.262グラム重くなったのだ。

ちゃんと埋めたはずなのに、死んだ人々が歩き出す。
レチクル座から、少女たちが舞い戻る。
破滅の歌を朗々と、歌いながら。
想い人を殺す。

俺はぴかぴかに磨かれた、銀のノコギリを取り出すと、妹の身体を108の部位に切り分けた。
もう二度と、21.262グラム重くならないように。

上半身、下半身、腕は肘関節に刃を入れ。
手は、二度と俺を引き千切る事がないよう、指の一本一本でバラバラにする。

夜の闇の中、ぎこぎこというノコギリを引く音と、なまぐさい臭いが漂う。

妹の足を切っている時、ふと視線を感じた気がして、
顔をあげると、女がいた。

黒髪の、鼻がツンと高い、美しい女だ。
大切そうに、いとおしそうに、男の生首を持っている。

想い人を、見つけたのだろう。

俺は無視して妹の再殺を再開した。

切り分けた妹は一つ残らず、1.3メートルの深さに掘られた墓の中に埋められる。
それは、魂が透過出来ないとされる土の厚さだ。

片足の俺は穴を掘るのに苦労したが、なんとか妹が眠れる大きさの穴をあける。
しめった土の臭いが鼻をつく。
血のなまぐささに慣れた俺に、その臭いは痛いほどだった。

妹の名が書かれた墓石は、無惨にも横倒しになっていたが、無視した。

もう、ここに眠るのは妹ではないのだ。
妹であった21.262グラムは、もう空へ昇ったのだ。
俺の腕の中にあるのは、21.262グラムの入っていた器でしかない。

俺は、その器の頬にキスをした。
この世の終わりのような味がした。

器を、投げ捨てる。
1.3メートルの深さを落ち、気味の悪い音をたてる。

死んだのだ。妹は、死んだのだ。

俺の頭の中で、妹は、レチクル座の入口にある水晶の舟に乗り、
遠くとおくへ去っていった。

ずっと前に死んだ妹が、
やっと今、死んだ気がした。

全てを終えて、一息つき、
片足のけんけんで、墓場を去ろうとした時。

俺は、嫌なものを見た。

隣の墓だ。隣の墓の……

墓石が、倒れている。
土がめくれ、大きな穴が、あいている。

隣に眠るのは……

俺の恋人だ。
俺の恋人が……永遠の眠りについていた……はずだ。

声をかけられた。

後ろから、俺の名前を呼ばれた。

懐かしい声で。暖かい声で。

振り返ると、彼女がいた。
いや……彼女の器を奪った、『アレ』がいた。

そいつは底抜けに明るい顔で笑うと、
俺の唇を奪う。

奪われた。

冷たくて、肉の腐った臭いと、彼女の懐かしい匂いが混ざった、そんな息を嗅いで、
面食らった隙に……引き千切られた。

唇を奪われた。文字通りに。

彼女は笑っていた。

笑っていた。

笑っていた。

笑って、いたんだ……!

俺はもう……疲れてしまった。

俺は、生を諦めた。

俺は瞳を閉じたけれど……





それでも世界は、無くならない。

その後、俺は……

21.262グラム軽くなり、
21.262グラム重くなるのだが……

それはまた、別の話だ。

……………………

終わりです。
スレタイからこんな話しか思い浮かばなかった。
筋少いいよね。最高だよね。もっと有名になってほしい

ではまた、妹腹筋スレとかで会いましょう……

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