女「ふふ、兄くんとデート！」ﾆｺ

兄「別に夜中じゃなくてもいいだろ？」

女「夜中の方が特別な時間って気がしない？」

兄「まぁ、そうだけど…」ｷｮﾛ

女「周りが気になるの？」

兄「………………」

女「大丈夫、兄くんは私が守るから」ｷﾞｭｯ

兄「それは遠慮しとく」

女「えぇぇ！！」

兄「女が傷つくのは嫌だから」

女「キュン死にしそう」

兄「キュン死にって何だ…」

女「ときめいたってこと」ﾆｺ

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

兄「………何だ今の音」

女「…行ってみようか」ｸｲｯ

兄「いや、駄目だ」

女「大丈夫だから」ｸｲｯ

兄「女！」

女「行こっ？」ﾆｺ

───
──
─

女「このあたりかな」

兄「………………」ｷｮﾛ

ﾎﾞﾀｯ

兄「あそこだな」ｽｯ

女「んっ？」

犬耳「んぐっ、あむっ…！」ｸﾞﾁｬ

女「お食事中みたい」

兄（犬耳？）

犬耳「んんっ…誰っすか？」

女「こんばんは」ﾆｺ

男「………………」

犬耳「こんな時間に外にいるなんて…馬鹿な人っすね」

女「ふふ、お散歩してたの」

犬耳「散歩？」

犬耳「まぁ、何でもいいっすけど」

犬耳「まだ満たされてないんで…いただいて───」ｸﾝｸﾝ

犬耳「へぇー」ｼﾞｯ

兄「…何だよ」

犬耳「今まで嗅いだことのない、旨そうな肉っすね」ｼﾞｭﾙ

女「………………」ｽｯ

犬耳「邪魔したって無駄っすよ」

犬耳「私、異常に顎と歯が丈夫でお姉さんなんか直ぐに食べちゃいますから」ﾆｯ

女「ほんとに犬みたいだね」ﾆｺ

犬耳「この犬耳は友達が着けろって言うから………」

犬耳「って、そんなことはどうでもいいんです！」

犬耳「いいから、さっさと死んじゃって下さい」ﾀﾞﾝｯ

兄「女っ………！」

女「大丈夫だよ…直ぐに───」

犬耳「がぁっ！！」ﾊﾞｯ

ｶﾁﾁ

犬耳「っっっっ？！」ﾌﾞｼｬ

女「──終わらせるから」ﾎﾟﾀ

犬耳「な、何すか今の…」ｽﾞｷｽﾞｷ

犬耳「ぐぅぅっっ！」ﾊﾞｯ

女「………………」ﾋｭﾝ

ｻﾞｼｭ

犬耳（カッターナイフ…？！動きが見えな──）

ｻﾞｼｭ ｽﾞﾌﾞｯ

犬耳「ああぁぁぁぁぁ？！」ﾌﾞｼｬｧ

女「首を切って終わりにするね」ｽｯ

兄「待て！」ｶﾞｼｯ

女「兄くん…？」

兄「殺す必要はないだろ…」

女「でも、兄くんを食べようとしたんだよ？」

兄「それでも、殺しちゃダメだ」

女「……………………」

犬耳「あ、あはは…随分と優しいんすね」ｼﾞﾘ

犬耳「今回は引かせてもらいますよ…でも、今後は…」ﾀｯ

女「…………逃げちゃったね」

女「本当に兄くんは優しいね」

女「でも、優しさを向ける相手を間違えてるよ」

兄「俺は女に人を殺してほしくないんだ」

女「……………………」

兄「…………無理か？」

女「ふふ、大丈夫…私は大丈夫だから」ﾆｺ

兄「……………………」

───
──
─
研究所

博士「やぁやぁ、兄くん」ﾆｺ

兄「博士、忙しい時にごめん」

博士「兄くんの為ならいくらでも時間作るよー」

兄「ありがとう」

博士「それで、どうしたの？」

兄「女の衝動が最近、大きくなってるんだ」

博士「ふむふむ……なるほどね」

兄「俺はもう女に人を殺してほしくないんだ」

博士「兄くん、それは無理だよ」

兄「……無理なのか」

博士「うん、僕達の衝動は普通に呼吸するのと同じ」

博士「息が出来なきゃ死んじゃうんだよ？」

兄「だから人を殺していいのか？」

博士「この議論はいつまでたっても終わらないよ」ﾆｺ

博士「政府は衝動を認めてる」

博士「深夜に出かけちゃダメって法律あるのは知ってるよね？」

兄「あぁ」

博士「日本政府は法律を守らない人間は死んでもいいって考えなんだよ」

博士「僕達が衝動を満たす為に殺してるのは社会のゴミなのさ」ﾆｺ