女「ネガティブ過ぎて面倒臭いヤツ」(26)

男「学芸会のセリフ、間違えたらどうしよう……」

女「あはは、そんなの気にしてるんだ? いいじゃない、誰も気づかないよ」

男「なんで?」

女「だって芸じゃなくて人を見にきてるんだもの。細かなセリフなんて問題じゃないって」

男「そうなのかな……」

女「じゃ、観てる人たちのことはじゃがいもと思おう。じゃがいもの前で失敗しても恥ずかしくないでしょ?」

男「う、うん」

男「中学って順位とか出るんだよね……ビリだったらどうしよう」

女「ビリをとるのは普通、一人だけなんだよ?」

男「でも、悪い順位だったらどうしよう」

女「だいたい半分くらいは平均より上だから大丈夫だって」

男「それ、だいたい半分くらいは平均より下なんだけど……」

女「まあまあ、仮に平均より下だからってずっと下なわけじゃないんだから気にしなさんな」

男「ええ……」

男「定期テストの点数が悪かった……」

女「だから?」

男「え、点数が悪かったら落ち込むだろ」

女「赤点なら追試が面倒臭くて落ち込むのも分かるけど」

男「親や先生に文句言われたり、怒られたりするんだぞ」

女「努力の結果なら仕方ないよ。それとも後ろめたく感じるほどに努力をしなかったの?」

男「……もう少し頑張れたと思うかな」

女「あははっ。頑張る余地があったんじゃあ、思ったより点数が悪くても仕方がないね?」

男「……そうだな、素直に謝るか」

男「試合が近い……」

女「何をそんな嫌そうにしてるの?」

男「自分のミスのせいで先輩の最後の大会が終わるかもしれないとか考えると鬱だ……」

女「その先輩のミスのせいで、引退した人もいるかもね?」

男「それはそれ、これはこれだろう」

女「じゃあ君が試合に出ずに回転率を悪くした方がいいの?」

男「……それはダメだ、先の先の試合に勝つには俺が休んじゃダメだ」

女「じゃ、君が出るのは義務なんだから、ミスしたって仕方ないよ。義務を課した人が責任を取るだけっ」

男「試験の形式変わってて過去問無意味だったわ」

女「ふっふっふ、私はみんな揃って点数落ちると思ったら気楽に解けたわ」

男「俺はそれどころじゃなくて動揺しまくったというのに……」

女「ネガティブだなあ。つまんない、というか辛いよ? その考え方」

男「女は楽観的過ぎると思うけどな」

女「笑っていたいからね、ふふ」

男「ま、確かにな」

男「大学でボッチになったらどうしよう……」

女「普通、同じ高校出身の人なんかほとんどいないからね?」

男「だからなんだよ」

女「学科内で友達作れなかったらマズイって思ってる人は君だけじゃないってこと」

男「それと俺がボッチにならないことは関係ないだろ」

女「大アリでしょ。互いの利益が一致してると互いが認識できるのは貴重な情報だよ」

男「……なるほど」

男「研究発表とか嫌だなあ」

女「何が?」

男「質問された内容に答えられなかったらとか、胃が痛くなる」

女「質問なんて大抵肩すかしな答えのわかりきったものしかこないし、分からない質問なら研究が進むだけじゃない?」

男「そういうものか?」

女「そういうものだよ。とりあえず真面目に研究していれば、怖い質問なんてないよ」

男「そっか、そうだな」

女「おう、その意気だ!」

男「圧迫面接とかされたらどうしよう」

女「……君ほどの豆腐メンタルだと圧迫感を覚えていない時の方が少ないんじゃない?」

男「キョトンとした顔でそんな質問をしないでくれ。いやまあその通りかも……」

女「ふふ、じゃあいつも通りだね」

男「何も解決になっていない……」

女「不満かな? じゃあ、落ちればいいんじゃない?」

男「ええ……」

女「圧迫面接する人と同じ職場で働きたくないでしょ」

男「それは、まあそうだけど。第一志望で圧迫されたらどうするのさ」

女「それでも第一志望で居られるの?」

男「……無理だな」

女「ほら何の問題もない」

男「圧迫じゃなくても面接自体嫌だったわ」

女「そんなの研究発表と同じじゃない。履歴書に書いたことを矛盾なく詳しく説明するだけだよ」

男「言い間違えたり分からない質問がきたら?」

女「言い間違いなんて誰にだってあるし、質問なんて大体分かりきってるんだから心配しすぎることないよ」

男「……そうだな。よし、行ってくる」

女「行ってかましてこーい!」

男「世間の3年後離職率の高さとか考えると社会に出るの不安になるよな……」

女「なんで?」

男「え、だって仕事がそんなに怖いのかと思ったら不安だろ」

女「まあ、怖い場所に居続けるのは嫌だけど、離職率が高いほど辞めるのが当たり前になるってことだよ?」

男「くっ、はははっ! 流石だな、女は。確かにその通りだ。嫌なら辞めればいいもんな!!」

男「立派な人を見ると、自分もそうなりたいとか思うよなあ」

女「私はむしろ不安になるかなあ」

男「女でも不安になることがあるのか」

女「そりゃ、すごい人を見ると追いつけないなあって不安になるよ」

男「意外だ」

女「でも逆に、失敗してる人を見るとそこまではしても大丈夫なんだって安心する」

男「あ、いつもの女でした」

女「なんか失礼なことを言われた気分」

女「君は私のことを超人か何かと勘違いしてるよね」

男「そこまでは思ってないけど、強メンタルだとは思ってるぞ」

女「それは違うよ。私は多分、君と同じくらいか、本当は君よりももっとか弱いんだよ!」

男「そんなニヤニヤしながら言われても説得力というものがね」

女「いやあ、そんなニヤニヤなんてしてませんよ?」

男「はいはい、言ってろ言ってろ」

女「酷いなあ、こんなにもか弱いのに」

女「……」

女「ふふっ」

女(あー、ダメだ笑っちゃうなあ)

女(別に泣きたいわけではない、と思うんだけど、笑いたいわけでもないよなあ)

女(ああ、でも二人で泣くよりは二人で笑いたいよね)

女(そう、だよね)

女「あー、性に合わないことを考えるものじゃないね。疲れるだけだよ」

男「なんだかんだで女とはいつも一緒だよな」

女「そういえばそうだね」

男「……その、えーっとな。俺、女の事が好きだ。付き合ってほしい」

女「え? なにそれ、なんで?」

男「なんでって、俺はいつだって女の強さに助けらてきた。そういうのに報いたいから」

女「……嫌」

男「なんで」

女「私は君を助けたつもりなんてないよ」

男「女にそんなつもりがなくても、俺は励まされたし、助けられた」

女「私は、君を助けられるほど、強くない」

男「いや、だって女はどんなことだって笑い飛ばしてきただろ」

女「笑ってたら強いの? ねえ、じゃあ今の私は強そう? 笑ってるよね、ねえ?」

男「……」

女「……ごめん、今の忘れて。ううん、忘れなくてもいいや」

女「だから、私のことを好きになんてならないでよ。そしたら、今まで通りだからさ」

男「……そうか」

女「うん」

男「じゃあ、一つお願いだ」

女「なに?」

男「笑うな」

女「……え?」

男「ほら、また笑ってる。やめろよ、それ」

女「冗談? 嫌だなあ、難しいよ、そんなの」

男「やめろっつってんだよ!!」

女「っ」

男「……」

女「……………………ムリ、だ、よぅ……そん、の……」

男「そんなことない。できてるじゃん」

女「……でも、こと、が……、出……ん、ない……」

男「出てるから。聞こえてるから、大丈夫」

女「やだ、よう……こん、な……の……。なく、は……やあ……」

男「そっか。でもたまには良いんじゃない? どうせ俺しかいないんだから」

女「う……うあああん!!」

女「………………」

男「女?」

女「……ごめん、今のは本当に忘れて」

男「真顔だ」

女「さすがに今笑えるほどタフじゃない」

男「うん、さっき知った」

女「だから忘れて」

男「いや」

女「お願いします」

男「えー、じゃあ俺のお願い聞いてよ」

女「……なに?」

男「結婚しよう」

女「なっ……」

男「なに?」

女「付き合うステップは?!」

男「要らんでしょ」

女「なんでそんな大事なことを笑って言えるの?!」

男「だって、くる質問なんて最初から分かってるだろ?」

女「うぐっ……」

男「いや? なら、さっきのことは脳みその一番大事な絶対忘れないフォルダに保存しちゃうけど」

女「……わかった。わかったから、忘れてよ」

男「あ、その顔すっごいカワイイ」

女「……あはは、バカみたい」

女「ところで、本当にいいの?」

男「なにが?」

女「こんな、ネガティブで面倒臭い女が結婚相手で」

男「女も知ってるだろうけど、俺も大概、ネガティブだぞ?」

女「うん、知ってる」

男「お似合いじゃないか?」

女「共倒れしたらどうしようね?」

男「いいじゃん、夫婦で仲良く倒れるならきっと悪くない」

女「あはは、なにそれ。全っ然、解決になってない」

男「いいんだよ、楽しいか楽しくないかじゃない。悪くないって思えるならそれだけで」

女「ふふ、小っ恥ずかしいことをよくもまあ平然と」

男「頼もしいだろ?」

女「……うん、そうだね」

娘「それ、最初から母さんが面倒臭いことを言わずに、素直に付き合っておけば同じ結果だったんじゃない?」

母「同じ結果って、付き合って結婚して娘が生まれてたってこと?」

娘「まあ、大体」

母「それはそうかもしれないけど、関係はきっと歪になってたよ」

娘「そういう、ものかなあ……」

母「そういうものよ。見た目が同じでも、内側に抱えたままじゃあね」

娘「……」

母「だから、私に話すのもいいけど、一番ぶつけるべき人にちゃんとぶつけないとね」

娘「……重すぎないかな」

母「あはは、私よりは軽いんじゃない?」

娘「母さんのは重すぎ」

母「抱え込めばかかえ込むほど、誰にも受け止められないほど大きくなるよ?」

娘「ゔ……不安になることを……」

母「ふふっ。でもいい男ならそれでも受け止めてくれるよ」

娘「……父さんはそんなに良い男かなあ」

母「私にだけは? よそ向けには頼りないよねえ」

娘「出たよ、ノロケ」

母「勇気を出しんさい、若人よ」

父「ただいまー。ん、なんか話をしてたのか?」

娘「母さんに、父さんがどうやってプロポーズしたのか聞いてた」

母「ちょっと、娘よ。要らんことを父さんに言うでない」

父「あー、どんな風にしたっけなあ」

娘「なにそれぇ? 覚えてないわけないでしょ」

父「結婚してくれって言ったらあっさり受けてくれたから、そんな深い印象はなくてな」

娘「ちぇっ、つまんないの」

母「はいはい、つまんない話はおしまいね」


おわり

投稿してる最中に少女漫画みたいだと思って悲しい気持ちになった
少年誌みたいな熱血や、エロゲみたいなエロエロや、頭脳プレイ()な話とかを書きたいんや

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