女「わたしはあなたの死にたい病」(11)
女「おはよ。わたしはあなたの死にたい病よ。よろしく」
男「は?だれ?つかここどこ?俺部屋間違えた?」
女「わたしはあなたの死にたい病だってば。そしてここはあなたの部屋でしょ」
男「あ、ほんとだ。俺の部屋ってことはわかるけど、お前が誰だかさっぱりわからん」
女「わたしはあなたの死にたい病なんだってば。これで3回目よ。理解の浅い男は嫌われるわよ?」
男「それがわかんないんだって。死にたい病ってなに?」
女「あなたの自殺願望の実体化がわたしよ」
男「あ、あぁ。そう……とりあえずここ俺の部屋だし出てってくれないか?」
女「今わたしのこと電波でめんどくさいやつだと思ったわね」
男「いや、別にそこまで思ったわけじゃ……」
女「隠し事の多い男は嫌われるわよ?」
男「は?なんなんだよ。あぁ思ったね!キチガイな不審者がいるってな!」
女「あまりにストレートなのも嫌われるわ」
男「じゃあどうすりゃ……あぁ、もういい。いいから一回警察に連絡するぞ。そこを動くなよ?」
女「言われなくても動く気はないわ。でも誰かに見られるとあなたがおかしい人に思われてしまうわ」
男「は?お前何言って……」
ピンポーン
女「誰か来たわよ?」
男「チッ!こんなときに!いいか?一歩も動くなよ?」
女「動かないってば」
幼女「おにーちゃーん」ピンポーンピンポーン
男「よ、幼女ちゃんか!今得体の知れないあいつがいる部屋に入れるわけには行かないな…」ボソボソ
幼女「おにーちゃん!おにーちゃんおにーちゃん!」ピンポポポポーン
男「れ、連打するなよ。ここは可哀想だけど居留守するか……」ボソボソ
幼女「おにーちゃーんいないのー?」ピンポーンピンポーンピンポーン
男「ごめんな幼女。いつか埋め合わせするからね」ボソボソ
幼女「いないのかぁ……」
男「やっと帰るか?」
幼女「おにーちゃん出てこないとおにーちゃんの秘密バラしちゃうぞー!」
男「え?」
幼女「おにーちゃんはロリコn…
男「お兄ちゃんはロリコンちゃう!」ガチャ
幼女「なんだぁ。いるじゃぁん」
男「」
男「き、今日は遊べないんだ」
幼女「なんでぇ?」
男「ちょっと部屋が汚れててさー……ハハッ」
幼女「いつもどおりじゃん」
男「い、いやぁ。大学の課題もあって忙しいし…」
幼女「おにーちゃんずっとおうちにいるのに?」
男「メールでね、最近はメールで来るから」
幼女「」ジーッ
男「な、なにかなぁ?」
幼女「おにーちゃん嘘ついてる」
男「へ?」
幼女「部屋のなかになにか隠してるな!突撃ィ!」ブーン
男「あ、ちょっ!部屋の中は危ないから入るな!」
幼女「?」ポカン
女「……」
幼女「おにーちゃんなんにもないじゃん」
男「え?」
幼女「えっちなビデオ見てたわけでもなさそうだし」ポチ
男「こ、ここにいる女の人は?」
女「……」
幼女「えー?おにーちゃんわたしを怖がらせて追い出そうとしてる?」
男「ち、ちがう!だってここに!」
幼女「さてはえっちなパソコンか!」カチッ
幼女「あれー?違うなぁ」
男「一体これはどういう…」
女「わたしは他の人には見えませんよ」
男「!」
男「ふぅ……やっと幼女ちゃんを追い出せたけど」
女「なつかれてますね」
男「そんなことはどうでもいい。なんで幼女にはお前が見えなかった?」
女「さっき言ったようにわたしは他の人には見えません」
男「そんなわけ……」
女「じゃあ幼女の反応はどう説明するんです?」
男「それは幼女ちゃんとお前が……」
女「共謀でもしたと?」
男「……」
女「あのねぇ、見ず知らずのわたしを疑うのはわかるけど、あんなになついてくれる子疑うなんてひどいと思わないの?」
男「だけど…」
女「言い訳はみっともないわよ。それにあなたを騙すことにメリットがないでしょ」
女「ただでさえニートとかわんないんだから」
男「」
男「なんでそんなこと知ってるんだよ」
女「わたしはあなたの死にたい病なの。ずっとあなたと過ごしてたと言っても過言ではないわ」
男「そ、そうか」
女「落ち込まないで。きっとロリコンにも人権はあるわよ」
男「ロリコンちゃうわ!」
男「それにしても、俺の死にたい病ってこれからどうするんだ?」
女「さあ?あなたが死ぬか死ぬ気がなくなればわたしはいなくなるんじゃないかしら?」
男「さあ?って…わかんないのか?」
女「わかるわけないでしょう。出てきたのなんてはじめてよ?」
男「んなめちゃくちゃな……」
女「わたしが出てくるくらい死にたくなってるクズには言われたくないわ」
男「」
男「まぁいいや。お腹空いたし朝ごはん食べるか」
女「もうお昼よ」
男「うるさいな。起きてから最初に食べるのはなんでも朝ごはんなんだよ。お前も食うだろ?」
女「え、ええ。いいの?」
男「遠慮すんなよ。つってもインスタント味噌汁に卵かけご飯だけど」
女「ちがうわ。ここにいていいの?」
男「しょうがねーじゃん。俺の中から出てきたなら行き場なんてないんだろ?消えるまでならいていいよ」
女「」
女「……そう」
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