有浦柑奈「&Love?」 (9)
この作品は
光「Love&」
の続きを想定してます
でも読まなくても全然大丈夫です
ちょい百合注意
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最近のアタシはなんかおかしい。
彼女といる時はくっつきたくなるし、ふと気がつくと彼女を目で追ってたりする。
初対面の時から名前で呼んでるのに面と向かって呼ぶのが恥ずかしくなったのも最近の話だ。
それなのに彼女から名前を呼ばれると何だか胸の奥がじんわり暖かくなる。
病気かな?と思って熱を測ったりしてみても特に異常はない。
これはひょっとして何かがまずいんじゃないかと思って事務所で酒盛りしてた大人達に聞いてみた。
最初は皆笑いながら聞いてたけど話していくうちに色んな反応があった。
酔いが冷めたようにこちらを真剣に見つめてくる人、お酒が回ったのか真っ赤になって俯いちゃう人。
でも皆揃いも揃って何故か口ごもってしまった。
お互いに目配せをしていたから分からないわけじゃないんだろうけど、
そんな口ごもるなんてまさか本当に悪い病気か何かなんじゃないかとアタシが本気で心配になってきた時、一人が口を開いた。
その言葉は心配でいっぱいだったアタシの脳内を吹っ飛ばす程に強力過ぎたみたいで、アタシは文字通り思考停止してしまった。
どうやらアタシは厄介な病にかかってしまったらしい。
有り体に言えば恋の病ってやつに。
その日の夜、アタシは自室のベッドで柄にもなく思索に耽っていた。
どっちかと言えばアタシは昔から人懐っこかった方だと思う。
そんなに嫌われることも無かったしアタシから誰かを嫌ったりすることもなかった。
だからだろうか、誰かを好きになるなんてこともなかった。
皆大好きだ!とかは割りと恥ずかしげもなく言えたしそれは今でも言えるけど、特別な好意を向けたことや向けられたことはアタシが自覚した中では存在してない。
当然、アタシはこの感情を持て余した。
好きは好き、でも特別に好きっていうことと何が違うのか?
足りない頭を捻って納得いく説明をつけようとしてもどうにもならなかった。
なるほど、たくさんの人達が頭を悩ませる理由がちょっと分かった気がした、これはなかなかに難題だ。
妙に納得したところで、アタシはその日の思索を打ち切った。
明くる日、アタシは近所の本屋に向かっていた。
敵を知り、己を知ればなんとやらというように、まずは敵を知らなければ戦いようがないじゃないか。
それなりに大きな本屋に入り、いつものように雑誌のコーナーへ向かい、慣れ親しんだ雑誌の新刊を手に取り捲る。
ぺらぺらぺら
へーこの立体出るんだ。ここの会社のは結構出来が良いからね、チェックしとかなきゃ。
ぺらぺらぺら
あ!この情報解禁されたんだ、帰ったら早速伏線確認しないと…
………って!!これじゃいつもと変わらないじゃないか!!
アタシは自分の行動に苦笑しながら雑誌を戻した。
今日は敵情視察に来たんだ、趣味のためじゃあないんだぞ!
はてさて、恋愛入門者向けの本はどこにあるんだろうか…
そういう知識に疎いアタシはそんな本のカテゴリーも何も知るはずがない。
勝手知ったるはずの本屋が急に未知のダンジョンのように感じられた。
でも店員さんに聞くのもちょっと恥ずかしいし…あーどうしよう!!
アタシが頭を抱えたその時、
「あれ?光ちゃん?」
今のアタシを悩ます原因だ、聞き間違えるはずも無い。
恐らくアタシの幻聴でもない。
頭を上げるとちょっと先に彼女の笑顔。
…どうやら恋愛の神様とやらはそうやすやすとアタシに力を貸してくれないみたいだ。
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