みく「ありうらかんにゃ」 (51)
・有浦柑奈さんと前川みくさんが出るSSです
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みく「柑奈ちゃんってさー」
柑奈「はい、どうしました?」
みく「Pチャンのこと、好きなの?」
柑奈「好きですよ!」
みく「即答なんだ」
柑奈「そりゃあもちろん!」
みく「ふーん」
柑奈「どうしたんです? いきなり」
みく「いや、特に深い意味はないにゃ」
柑奈「そういうの~よくあるよね~♪」ジャラーン
みく「いきなり歌い出したよ」
柑奈「みくちゃんはプロデューサーさんのこと、嫌いなんですか?」
みく「いや、そういうことじゃなくって。えーっとね」
柑奈「?」ジャッジャジャッジャッジャジャッジャ
みく「ノリのいいギターやめて」
柑奈「♪」ポロンポロン
みく「指弾きで優しい音色を響かせても一緒にゃ!」
柑奈「イエーイ! セイピース!」ジャカジャーン
みく「話が進まないから一旦ギター置こ?」
柑奈「それで、どうしたんです?」
みく「えっとね。もう単刀直入に聞いちゃうんだけど」
柑奈「はい!」
みく「柑奈チャンとPチャンって付き合ってるの?」
柑奈「……」
みく「……」
柑奈「……」
みく「……柑奈チャン?」
柑奈「……」
みく「おーい」
柑奈「……ツキアッテナイデスヨ?」
みく「なんでカタコト」
柑奈「じっちゃんが川の向こうで手を振っているとこに行っちゃいましたよ」
みく「それアカンやつや」
柑奈「ま、じっちゃん生きてますけどね!」
みく「なんやねん!」
柑奈「びっくりしたのは本当ですよ?」
みく「ホントに? 今はずいぶん落ち着いて見えるにゃ」
柑奈「心臓すっごいバクバク言ってますから。聞いてみる?」
みく「エ、エンリョしとくにゃ……」
柑奈「エアコンの温度を勝手に下げちゃったらちひろさんに怒られるかなぁ」
みく「……」
柑奈「ふー、あっついあつい……ちょっとお腹空きません?」
みく「……柑奈チャン」
柑奈「どうしました?」
みく「まだ答え聞いてないにゃ」
柑奈「答え?」
みく「みくの質問!」
柑奈「その……付き合ってるかってことですか?」
みく「それしかないにゃ」
柑奈「プロデューサーさんと」
みく「うん」
柑奈「付き合ってないですよ」
みく「……ホントに?」
柑奈「ウソついてどうするんですか」
みく「つかない理由もないにゃ」
柑奈「それじゃ堂々巡りですよ」
みく「柑奈チャンが真実を言えばそこで終わるよ?」
柑奈「むぅ~……ウソついてないのに」
ガチャッ
モバP(※以下表記P)「なんだ、ふたりともまだいたのか。お疲れさま」
みく「おつかれサマにゃ」
柑奈「お疲れさまです!」
P「日が暮れるのも早くなったからさっさと帰ったのかとおもった」
柑奈「ちひろさんから留守番を頼まれたので」
みく「誰かが戻ったら帰ろっかなっておもってたけど、それじゃPチャンがかわいそうだからもうちょっといるにゃ」
P「P冥利に尽きるなほんと」
みく「めっちゃ棒読みやん」
P「ソンナコトハナイデスヨ」
柑奈「あはは……」
みく「まだ仕事するの?」
P「だから戻ってきたんだよ」
柑奈「最近忙しくしてますよね」
P「ありがたいことにな。俺が忙しいのはいいことだよ。みんなの仕事がちゃんとあるってことだから」
みく「まぁそうだけど」
柑奈「無理だけはしないでくださいね?」
P「善処するよ」
柑奈「……」ジーッ
P「……適度に休みます。ハイ」
みく(強い)
みく「せっかくみくたちがいるんだからおしゃべりしようにゃ」
P「帰ってきたばっかりだぞ」
みく「どうせお仕事で外行ってたんでしょ?」
P「そうだけどさ」
柑奈「なら休憩しても罰はあたりませんよ!」
P「仕事しながらでも話はできるから」
柑奈「コミュニケーションはとれませんよ?」
P「……今日は随分来るな」
柑奈「そうですか?」
みく「Pチャンは仕事の虫だにゃ」
P「ほう」
みく「なんにゃ」
P「そういう言葉も知ってんだなぁって」
みく「バカにしすぎやない?」
P「シーチキンを鶏肉だとおもってた子がねぇ」
みく「そ、その話はいいでしょ!」
柑奈「ま、まぁ私も子供のとき、卵をあたためたらヒヨコになるとおもってましたし」
みく「それぜんっぜんフォローになってないから!」
P「魚の切り身が泳いでるっておもってる小学生もいるから」
みく「みく高校生! 高校生だから!」
P「ごめんな。やっぱり仕事しながらは無理だわ」
みく「誰もみくのこといじってなんて言ってないにゃあ!」
P「いじりがいがあるのが悪いわな」
みく「ぐぬぬ……なんとかしてみくのペースに……」
柑奈「みくちゃん、声が漏れちゃってる」
みく「!」ピコーン
みく「にゃふふ……そうにゃそうにゃ……」ゴソゴソ
柑奈「?」
みく「Pチャン、あっち向いてて」
P「なんで」
みく「いいから!」
P「はいはい」
みく「柑奈チャン、これ着けて」ヒソヒソ
柑奈「着けるのは大丈夫ですけど……これは」ヒソヒソ
みく「それでこうポーズして……次にこう」ヒソヒソ
柑奈「え、えぇ!? 結構はずかしい……」ヒソヒソ
みく「普段、ラブ&ピースとか言ってる柑奈チャンなら大丈夫!」ヒソヒソ
柑奈「そ、そうかなぁ……」ヒソヒソ
P「乙女の会議は終わったか?」
みく「もうちょっと! ホラ、柑奈チャン」
柑奈「う、うん……」
P「もういいかい」
みく「もういいよ!」
P「なんだ、手品の仕込みでもしてた……」
柑奈「あ、ありうらかんにゃ、です! にゃ、にゃーん」
P「」
みく「どうにゃ!」ドヤァ
柑奈「ネ、ネコミミはともかく、このポーズは……」
みく「腰もしっかり入ってて、柑奈チャンなかなか素質があるにゃ」
柑奈「なんの素質ですか、それ……」
みく「ふわふわの髪にネコミミってのがまたいいにゃ」
柑奈「うぅ……はずかしか~」
みく「フフン、Pチャン声も出ないみたいにゃ」
(……さん……わさん……)
みく「!?」
P(前川さん……ありがとう……ありがとう……)
みく(こいつ直接脳内に……!)
P「良さ」
みく「見たことないレベルの安らかな顔で拝み始めたにゃ……!」
P「良さ……」
みく「語彙が消失してる……」
柑奈「も、もうやめても……」
みく「まだにゃ!」
みく「Pチャンを仕留めるなら今しかないにゃ!」
柑奈「仕留める……?」
みく「ボディもなにもかもお留守な状態に追い討ちかけるにゃ!」
柑奈「本来の目的ってなんでしたっけ……?」
みく「なんだったか忘れたけどこのチャンスをみすみす逃すわけにはいかないにゃあ!」
柑奈「具体的にはなにを?」
みく「ええっと、とりあえずネコっぽいこと! なんか!」
柑奈「ネ、ネコっぽいこと……」
P「……精神が違うところに行ってた気がする」
みく「まずいにゃ! 柑奈チャン早く!」
柑奈「えぇ!?」
P「なんだなんだ」
ヴーヴー
みく「なんにゃ! いいところで……」
みく「……」
みく「……あー!!」
P「いきなりでかい声を出すな」
みく「すっかり忘れてたにゃ! 今日みんなで猫侍を見るんだったにゃ!」
柑奈「猫侍?」
P「ドラマの」
みく「ネコ好きみんなで集まって鑑賞会! ってわけでみくは先に帰るね! お疲れにゃ!」
柑奈「あっ、これどうすれば……」
P「……行ったな」
P「さて。俺は仕事するから、有浦も帰りなさい」
柑奈「……」
P「有浦?」
柑奈「ブツブツ」
P「おーい、柑奈さーん?」
柑奈「……を……して……」ブツブツ
P「……まぁいいか」
柑奈「あのっ!」
P「なんだ」
柑奈「これ……似合ってますか?」
P「想像以上にな」
柑奈「想像以上に?」
P「……かわいいなと」
柑奈「かわいい、か……えへへ、言葉で聞くと照れちゃいますね」
P「……」
柑奈「どうしました?」
P「いや、なんでもない」
柑奈「?」
P「いつまで着けてるつもりだ、それ」
柑奈「ちょっと気に入ってかもしれません。にゃーんって」
P「そうかぁ」
柑奈「ダメですか?」
P「いや別に」
柑奈「じゃあなんで顔そらすんですか?」
P「肩こりがね。首をほぐしてるだけだよ」
柑奈「目も合わせてくれないんですか?」
P「やっぱり長時間のデスクワークしてると血流がね」
柑奈「むぅ……」
P「仕事仕事」
柑奈「プロデューサーさん!」グイッ
P「有浦、近い」
柑奈「違います!」
P「なにが」
柑奈「わ、私は今、ありうらかんにゃです!」
P「いや、ちょっとよくわからないし、恥ずかしいんなら言うなよ」
柑奈「かんにゃ、ですからね! ネコです!」
P「耳も付けてるしな、じゃないよ。近い近いって」
柑奈「プロデューサーさんはネコ嫌い?」
P「好きだけど」
柑奈「ならいいじゃないですか」
P「フワフワしすぎだろ」
柑奈「そういうものじゃないですか?」
P「線を引くときはちゃんと物差しを使う人間だ」
柑奈「プロデューサーさん強情!」
P「それはお互い様な」
P「こんなところ誰かに見られでもしたら」
柑奈「私たち以外誰もいませんよ」
P「それがよくないってこと」
柑奈「別になにかしてるわけじゃないのに」
P「この距離感が問題なんだよ」
柑奈「もっと近づけば問題ないですか?」グイッ
P「行動したあとに聞いてくるのはルール違反だな」
柑奈「でも実力行使はしないんですね」
P「そりゃまぁ」
柑奈「ズルいです。そういうところ、本当に」
P「よくわからないけど、とにかく離れてくれ。まずはそれから」
柑奈「嫌だって言ったら?」
P「ならどけてくれ」
柑奈「ふふ、同じじゃないですか、それ」
柑奈「みくちゃんに言われたんです」
P「なにを?」
柑奈「付き合ってるのかって」
P「誰が?」
柑奈「私とプロデューサーさん以外いないじゃないですか」
P「だとはおもったけど、もしもってことがあるからね」
柑奈「随分余裕ですね」クスッ
P「そうでもしてないと色々保てないんだよ」
P(クソ、無駄にいい匂いすんな……)
P(こう近くで嗅がされると思考回路が焼ききれそうだ)
P(こういうときこそ平常心、明鏡止水の心よ)
P(ちょっと前の休みにGガンダムを見た俺ならやれる。やれるぞ)
P(深く呼吸をして落ち着こう)スーハースーハー
P(……)
P(いかん、有浦から出されたラブ&ピースが肺の中いっぱいに)
P(……有浦は俺のことをどうおもっているんだ)
P(悪くは見られていない。どうでもいい人間にこんなことはしないだろうし)
P(なら好かれている? それはいいことだ、ただその好意の種類はなんだ?)
P(例えば、そこで拒絶してみろ。彼女は傷つくだろう。選択肢は1か0か、それしかないだろう)
P(いや、言葉さえ間違えなければ、傷つかずに済む未来だってきっとある。楽な方へ身を寄せるのはただの思考停止だろうよ)
P(その選択のどこが悪い。ただ次の分岐点に行くだけだ。ここにはふたり以外誰もいやしない。言わなきゃバレない)
柑奈「……」グリグリ
P「……なんだ」
柑奈「別になにもありませんよ?」グリグリ
P「ならなんで頭をこっちに押し付けてくるんだ」
柑奈「言ったじゃないですか。私は今、ありうらかんにゃだって」
P「なんの説明にもなってないよな」
柑奈「ネコって自分のニオイをつけようと体をすり寄せるじゃないですか?」
P「聞いたことはある」
柑奈「縄張りとかもそうですね。マーキングして、自分のものだーって証明してるんだって、みくちゃんが言ってました」
P「デ・ニーロばりのなりきりだな」
柑奈「だから、そういうことです」
P「そういうこと?」
柑奈「言わせるんですか?」
P「いや、言わなくていいよ」
柑奈「じゃあ、もう言います」
P「いいって」
柑奈「ネコって案外独占欲が強いんですよ」
P「いいよ」
柑奈「私、子供じゃないんですよ?」
P「知ってる。知ってるからさ……」
柑奈「プロデューサーさん、私」
ガチャッ
薫「おつかれさまでー!!!」
柑奈「!?」ビクッ
薫「せんせぇ、ただいまー!」
P「り、龍崎おかえり」
薫「柑奈お姉ちゃんもただいまー!」
柑奈「お、おおおかえり、薫ちゃん」
ちひろ「ふぅ、戻りましたー」
P(一気に事務所が騒がしくなった)
薫「せんせぇ!」
P「こら、人の膝の上に乗るんじゃありません」
薫「かおる、今日もおしごとがんばったんだよ!」
P「そりゃそうだ、仕事は頑張るものだからな」
薫「今日はとくべつがんばったの!」
ちひろ「ずっと『せんせぇに褒めてもらうんだ』って言ってましたよ」クスッ
P「……」
薫「ダメ?」
P「……偉いな」
薫「えへへぇ♪」
ちひろ「プロデューサーさん」
P「なんです?」
ちひろ「私も頑張りましたよ?」
P「お疲れ様です」
ちひろ「それだけ?」
P「……困らせないでください」
ちひろ「ふふ。つい♪」
薫「あれ?」
P「どうした?」
薫「ん~~~?」
柑奈「どうかしたの?」
薫「うーん」
P「キョロキョロして、なんだ」
薫「せんせぇの服から柑奈お姉ちゃんのにおいがする」
柑奈「!?」
P「」
ちひろ「あら」
柑奈「き、きき気のせいじゃないかな?」
薫「そうかなぁ」クンクン
ちひろ「あらあら」
柑奈「さ、さっきまで話してたから」
薫「せんせぇいいにおいしないもん」
P「」
ちひろ「あらあらあらあら」
柑奈「プ、プロデューサーさんだっていいにおいする日もあるんじゃない?」
薫「これ柑奈お姉ちゃんのにおいだよ?」
柑奈「」
P「」
ちひろ「プロデューサーさん?」
P「な、なんですか?」
ちひろ「柑奈ちゃん?」
柑奈「ひゃい!」
ちひろ「どういうことか」
ちひろ「教えていただけませんか?」ゴゴゴゴゴ
P・柑奈「」
薫「?」
おわり
ありがとうございました
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