綾「二回目の……」 (36)
きんいろモザイクのSSです。
R-15です。
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陽子「あっ…… おはよ、綾」
綾「あ……」
綾「お、おはよう 陽子」
陽子「き、昨日はその……」
綾「あっ、それなら私気にして無いから!」
陽子「そ、そか…… ごめんな……」
…… 気まずい
理由はわかってる、昨日のことがあったからギクシャクしてるんだ
昨日、綾と…… した
もちろん強引にした訳じゃない、両方とも望んでそれをした、つもり……
でも、もしかしたら焦る気持ちが少しはあったのかも 『恋人同士なんだからこうあるべき』って
そういう曲がった気持ちがあったから…… 今こんなにも後悔してるのかな……
綾は繊細で傷付きやすい子だからわたしが守らなくちゃって思ってたのに、そのわたしが綾を傷つけることになるなんて……
うぅ…… わからないよ、わたし頭悪いから…… どうしたらいいんだよ……
少し、目を閉じるだけで昨日のことは鮮明に思い出せる
綾『陽子…… よぉこっ!』
いつもとは比べ物にならないほど顔を紅くさせて、必死でわたしの名前を呼ぶ綾
陽子『綾…… あやっ!』
今まで見たことの無い綾の表情は綺麗で可愛くて…… わたしは綾のその表情を作らせるために必死になっていた
綾『ようこっ! すきっ! 私…… 陽子のこと好きぃっ!』
陽子『わたしも、綾のこと好きだよ!』
綾がわたしを、わたしだけを求めてくれたのがわかったし、綾をわたしだけのモノにしてる って感覚がたまらなく気持ち良かった
だから、調子に乗ってたのかな…… 綾はわたしだけのモノで、何をしても受け入れてくれるって
綾『んっ』
陽子『綾!?』
その時の綾の顔は何よりも鮮明だった、それまで見てきた恍惚、悦びの顔とは違う 明らかな苦痛の表情
綾『だ、大丈夫だから…… 続けて!』
陽子『う、うん……』
綾はそう言ってくれたけど、一度あの顔を見てしまったらとても続けることは出来なかった
それで、今こうして気まずい状況になってるわけだけど……
休み時間
アリス「ねぇ陽子、シノ達のところ行こうよ!」
陽子「あぁ…… ちょっと今は…… 先に行ってて」
アリス「うん、分かったよ~」
アリス「シノー!」
忍「アリスー!」
綾「アリス、陽子は一緒じゃないの?」
アリス「うん、教室に居るよ 朝から元気無いみたいだったし…… 体調悪いのかな?」
カレン「陽子が体調崩すなんて…… 一大事デス、きっと明日は雪が降りマース!」
穂乃花「も~ カレンちゃんってば~」
アリス「大げさだよ~」
忍「きっとお腹が空いてるんでしょう ねっ綾ちゃん」
綾「……」
綾「えぇ…… きっとそうね……」
その後も休み時間に私たちの教室に来るのはアリスだけ、陽子が来ることは無かった
陽子…… やっぱり気にしてるのね……
誘ったのは私からだった 陽子と今より深い関係になりたかったから
最初はとても緊張してたけど、始めてみれば意外となんていうことは無くて
きっとそれは陽子のお陰なんだと思う、ああいう時でも陽子はいつも通りのとても暖かくて大きい、私を包み込んでくれる陽子だった
…… でもあの時、私が少し苦い顔を見せた時
陽子の顔は戸惑いと躊躇が表に出て、とても続けられなかった
私が知ってる陽子はいつも元気いっぱいで、私をひっぱってくれる、そんな女の子
だけど今の陽子はとても脆く儚い、弱々しい姿に見えた まるで今にも私の前から消えてしまいそうな
…… 陽子をあんなことにしたのは私のせい…… なのかしら
綾「……」
綾(もう、私まで落ち込んでどうするの!)
綾(一度失敗したくらいであんなに落ち込むなんて陽子らしく無い、陽子はバカなんだから悩みなんて持たなくていいのよ!)
綾(いつも陽子に励ましてもらうのは私、だったら今度は私が……)
綾(そのためにはまず陽子と会って、直接話をしないと)
お昼休み
綾(待ってたって陽子には会えない、だったら私から行かなくちゃ!)
綾「しの、お昼は陽子たちのクラスへ行きましょう」
忍「はい、そうしましょう」
忍「アリスー 遊びに来ましたよー!」
アリス「シノー!」
綾(陽子…… 陽子は……)
忍「あれ? そう言えば陽子ちゃんは何処へ?」
アリス「うーん、お昼休み始まったらどこか行っちゃった」
綾(陽子はとことん私のことを避けてるみたいね……)
綾「私 陽子のこと探してくるわ!」
陽子…… 何処に居るの……
綾(陽子のことだし…… 購買かしら?)
そう思って購買、それ以外にも陽子が行きそうなところを回ってみたけど、陽子の姿はどこにも無かった
なんでよ…… そんなに私を避けることないじゃない……
もしかして…… ほんとに私のことを嫌いになっちゃったの…… ?
私が…… 最後までしてあげられなかったから? 私があの時我慢すれば良かったの?
綾(それならそうと直接私に言いなさいよ! 陽子のバカっ!)
その後も学校の中を探し続けたけれど、結局陽子を見つけることは出来なかった
放課後
陽子「……」
わたし、何やってるんだろ……
ホームルームが終わり、わたしは一目散に教室を抜け出し今日一日を思い返していた
今日は綾と顔を合わせないようにしてきたけど、明日からはどうすればいいんだろ……
陽子「……」
こういうことって時間が解決してくれるのかな
時間が経ったら自然に綾とまた話せるように……
でも、もし綾がわたしのこと嫌いになってたら?
綾は自分のこと傷つけたわたしのこと、嫌いになってるかも知れないし
そうじゃなくてもこんなに綾のこと避けていたら、わたしが綾のこと嫌いになったんじゃないかって勘違いされるかもしれない
だから綾と直接会って、昨日のこと謝らなくちゃいけない…… けど
また綾のこと傷つけたら…… それが怖い……
陽子(会いたい…… でも……)
そんなことを考えながらわたしは逃げるように校門を出て家に帰ろうとした、その時
綾「逃げないでよ! 陽子!」
陽子「あ、綾!?」
物陰からいきなり現れた綾に肩を捕まれた!?
綾「どうせ一人で帰っちゃうんだろうって思ったからここで待ち伏せてたのよ!」
校門前で綾に捕まったわたしは逃げ場も無く、綾の問いかけを全面に受けていた
陽子(ど、どうしよう…… )
綾「どうして私のことを避けるの! 私のことを嫌いになったの!?」
陽子「そ、そんなわけ無いじゃん!」
綾「じゃあどうして!」
陽子「それは……」
綾「それは?」
陽子「…… 綾を傷つけるのが怖いから」
陽子「初めてのことだし綾のこと大事にしたいって思ってたのに、綾を傷つけて嫌な思いをさせちゃって」
陽子「また綾に触れたら綾を壊しちゃうんじゃないかって思ったら綾と会うのも怖くなって……」
綾「……」
わたしの話を黙って最後まで聞いてくれた綾、そう言えば今日一日ほとんど話していなかったな、という気持ちが頭をよぎる
やっぱり綾と居るこの時間は心地よくて、できるならずっとこうして綾の側に居たいってそう思える
だけど、そうやって綾に甘える気持ち、それが綾を傷つけたんだ……
綾「やっぱり陽子はバカね」
陽子「えっ」
綾は少し呆れた様子でわたしの顔を自分の胸元に抱き寄せた、普段わたしが綾にやっているように
綾「初めての経験だもの、不安に思う気持ちなら私にもあったわ」
綾「でも今はそんなの無くなってる、どうしてだかわかる?」
綾「陽子、あなたが居てくれたからよ」
陽子「わたしが…… ?」
綾「昨日私からしようって言ったけど、その時の私は焦っていたの 『恋人ならきっとこうあるべき』って」
綾「だからあの時の私は不安で怖くて仕方なかった、もしかしたら陽子と今まで通り居られなくなっちゃうじゃないかって」
綾「でも陽子はいつもの陽子のまま、いつもの陽子が居てくれたから私は安心出来たの、陽子が私の不安を一緒に抱えてくれたのよ」
綾「だから今度は私の番、陽子の不安な気持ち 私も一緒に抱えてあげるわ」
陽子「綾……」
綾「えっと…… だから……」
それまで自然と話していたはずの綾が急に言葉に詰まり顔を赤くし始めた、そしてそれは突拍子の無い綾の爆弾発言の前触れだった
綾「きょ、今日もう一度私と…… して!」
陽子「……」
陽子「えぇぇぇぇっ!」
し、『して』って……
陽子「そ、それってまたえ
綾「は、恥ずかしいんだから聞き返さないでよ!」
陽子「いてぇ!」
綾「あっ! ご、ごめん……」
自分で言って恥ずかしさの限界を越えたのかわたしは綾に突き飛ばされた……
綾「だ、大丈夫…… ?」
陽子「…… ダメだよ」
綾「えっ……」
陽子「やっぱりまた綾と…… するのはダメ、綾を傷つけるかもしれないんだから……」
綾「…… もう! いつまでそう言ってるのよ!」
綾「聞いて! 私は…… 陽子にだったらいくら傷付けられてもかまわないからっ!」
陽子「あ、綾…… 」
また綾の顔が赤く、過去最高の赤面になった
綾「な、何言わせるのよ!」
陽子「じ、自分で言ったんじゃん!」
綾「うぅ……」
綾「そ、それに私はもう陽子に傷付けられたんでしょ!? なら陽子が責任とってよ! …… 逃げないでよ!」
陽子「……」
綾「…… 陽子とだったらどんなことでも大丈夫、それは他のだれでもない陽子とだからなの! 私には陽子しか居ないのよ!」
陽子「綾……」
綾「陽子の素直な気持ちを教えて、陽子は私のこと…… 好き?」
陽子「……」
綾のことが好きかどうか、そんなの決まってるじゃん
陽子「好き、わたし綾のこと大好き」
綾自室
陽子「じゃ…… いい?」
綾「…… うん」
綾のベッドの上 わたし達は何も無い、そのままの姿で向かい合ってた
わたしと綾を隔てるものはもう何も無い 服も、心の壁だって
陽子「…… あや」
綾「んっ……」
二人の唇が重なる、何度しても未だに慣れない感覚 綾の顔が近すぎて見られない、そんな距離
一度繋がった唇はそう簡単に離れなくて、少し離れたとしてどちらともなくまた相手の唇を求めた
暫くそうしていた後、わたしの指は綾の体をなぞる、白くて華奢な綾の体を首筋から鎖骨へ、そしてその下まで
綾の胸に当てた手からは早くて強い綾の鼓動が伝わってくる、緊張…… そりゃしてるよね
綾「ねぇ陽子……」
陽子「なに?」
綾「……気持ち悪い」
陽子「えぇ……」
確かに胸に手をあてたまま、っていうのは少し変かもしれないけどさ……
わたしは手のひらで触れていたそれを今度は指先で触り出す、傷つけないように優しく、優しく
綾「んっ……」
わたしの指の動きと一緒に少しづつ様相を変えていく綾 目を閉じて口から吐息を漏らし始める
陽子「ちゅっ」
綾「ちょっと! 陽子!」
指で触る代わりにキスしてみたら怒られた、それでも構わずもう一度してみたら叩かれた
陽子「いたい……」
綾「へんたい……」
陽子「ダメだった?」
綾「……」
そっぽ向かれちゃった
陽子「じゃあ…… ここ触るね…… もし痛かったら言って」
綾「ふふっ、歯医者さんみたい」
陽子「なにそれ」
綾にしては珍しい軽口、わたしの緊張を解こうとする綾の気遣いなのはわかる
それでもわたしの指は昨日のことを思い出して震えていた、綾を見ると綾も少し体を震わせていた
やっぱり…… 怖い、よね……
綾「ねぇ、手 繋いでくれる?」
震えた指をどうしようも出来ないでいたわたしに、綾は突然もう片方の手を繋ぐよう願う
陽子「手…… ?」
綾「言ったでしょ? 『陽子となら大丈夫』だって」
陽子「うん……」
促されるままわたしは綾の指と自分の指を絡めさせる
綾「ね?」
陽子「…… うん」
不思議な感覚だった、それまでもすぐ近くに居たはずの綾が手を繋いだ瞬間により近く、まるでひとつになったように……
陽子「じゃあ…… 入れるね」
綾「…… うん」
綾「…… んっ」
わたしの指の動きと共に歪む綾の顔、より強く握られる綾の手
綾「んっ、あんっ……」
汗ばんで、紅潮する綾の体 昨日も見たそれはやっぱり綺麗で、わたしは光る汗を舌で舐めとる
綾「よ、陽子っ! だ、ダメっ!」
綾の右手はわたしの左手を強く握り、もう片方の手はシーツを掴んでいた
綾「んっ、ようこっ! ようこぉ! んんっ!」
そのまま続けていると綾の体が強張り、軽く震えた
綾「はぁ…… はぁ……」
陽子「綾」
綾「陽子……」
綾のまっすぐで綺麗な髪を撫でながらまた唇を重ねる、それは目を閉じて綾を感じる瞬間
陽子「…… 大丈夫だった?」
綾「……」
言葉じゃなく、軽い頷きによる返答
綾「ねぇ陽子、陽子はいいの?」
陽子「『いいの?』って?」
綾「その…… なんて言うか……」
よくわからない問いの後、言葉をつまらせた綾はいきなりわたしを押し倒して、見下ろすような体勢をとった
陽子「え? え?」
綾「実は…… あの後少しネットで調べて……」
そう言うと綾は自分の体をわたしの体に押し付けてきた
陽子「えっ? ちょっ!? あっ!」
いきなりで何があったかわからないまま、わたしはさっきまでの綾のように体をよじらせる
陽子「ちょっ! なにこれぇっ!」
綾「いいでしょっ! 私だってこうしたかったのっ!」
綾の動きはどんどん激しく、わたしの意識はどんどん薄くなる
綾「ようこっ! ようこっ!」
陽子「あっ! んんっ!」
綾「ようこ! ようこぉ!」
陽子「あやぁ! あやぁっ!」
誰が言い出すでもなく繋がれた二人の手、その手は同じタイミングで相手の手を強く握りしめた
綾「……」
陽子「……」
綾「……」
陽子「……」
綾「…… 好きよ、陽子」
陽子「わたしも、綾のこと大好き」
終わり
要望があった(?)のでエロっぽいの書きました。
読んでくれた方ありがとうございます。指摘批判意見ある方はご自由にどうぞ。
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