男「満月の夜にエロ本を持って山に自殺しに行った話」(24)

満月を見ていたら、なんとなく幸せな気分になったので、

「今日みたいな日が死ぬのにちょうどいい」

と思い、自殺することにした。



荷物を持って、家を出た。

リュックサックの中には、エロ本3冊と首つり縄。

 空にはキラキラ、一面のお星さま。

 地上には車のヘッドライト、流れ星。

 僕を照らすのは、まんまる満月と、パチパチする電燈。


 なんて綺麗な夜なんだろう。

 こんな素晴らしい夜に死ねる僕は、きっと幸せ者だ。

 友達全員に嫌われた日。

 家族全員を泣かせた日。

 ……世界全部が敵になった日。

 あの時の僕は、最低、最悪の気分だった。

 死にたい、って思った。



 死ねなかった。

 なぜか「死ねない」と思った。

 その時は、どうして死ねないのかわからなかった。

 今はわかる。

 悲しいまま死にたくなかったんだ。


 死ぬのなら、悲しいときじゃなくて楽しいとき。

 今日みたいなパレードの夜。

 月が、星が、車のライトが光り輝く夢のひととき。


 悲しくて、涙に暮れたままじゃあ死ねないけれど。

 心の涙を、やわらかい月の光がぬぐってくれる今日みたいな日なら、

 僕は死ねるんだ。

 死ねるんだ。

 死ねるんだ♪

 死ねるのらー(*・∀・*)


 死ねるはずだったんだけど。

 どうして僕は、こんなものを家から持ち出してしまったんだろう。

 秘蔵のエロ本3冊。

 触手もの。妹もの。 ……BL本。


 こんなもの、家に残しては死にたくないし、遺したら死にきれない。


 それはわかっているけれど、

「満月のロマンチックな夜に、こんな本が僕のリュックに入っていなくたっていいじゃないいいいいいいいいいいいいいいい!?」

 と叫びたかった。

 とにかく、このエロ本を処分しないと。

 ローソン、セブンイレブン、マクドナルド。

 候補はいくつかあるけれど、店員にエロ本捨てているのがバレたら恥ずかしくて生きていけない。

 公園のごみ箱もだめ。

 僕がこのエロ本を持っていることを知っている友人に、公園に捨てていたことがバレたら、あばばばば、びびでばびでぶー。

 友人を逆恨みで呪ってしまいそうだ。

 呪文を唱えたおかげで魔力が宿ったのだろうか。

 僕は名案を思いついた。


 「エロ本を山に埋めよう」


 山に埋めてしまえば、僕が死んだあともしばらくはバレない。

 エロ本が発掘されるころには、きっと僕の自殺のほとぼりも冷めて、僕とエロ本の関係を疑う人もいないはず。


 我ながら完璧な計画だったので、ニヤリと笑った。

 首を吊れそうな木には見当をつけていた。

 目指すは、登山道から少し逸れたところにある、Y字に幹が分かれた丈夫な木。

 首を吊るためにあるかのように育った、若い山桜。


 そろそろ桜の花が咲いているはず。楽しみだなあ。

 登山道についたので、山を登った。

 月明かりに照らされた、岩でデコボコの山道を一人歩く。

 背中には、エロ本と首つり縄。

 エロ本がリュックの中で、ガサ、ゴソ、と音を鳴らして存在を主張していた。


 僕はそれがおかしくて、フッフッフッと笑った。

 そんな感じで、遠足気分で歩いていたら、目的の山桜が見つかった。

 白い花が小さく咲いていた。

 かわいいなあ、と思った。


 首を吊る予定の場所に立ってみた。

 そこから月を見ると、月に枝葉がかかっていた。

 「ここでは死ねない」と思ったので、辺りを見渡してみる。


 すると、月光に照らされた、良さげな枝を見つけた。

 その下に立ってみると、まんまるのお月様が見えた。


 首つり縄をその枝に結ぶ。

 近くにちょうど良さげな切り株があったので、そこに乗った。

 ハンギング・ノットでできた輪っかに首を通す。

 首に触れた縄があまりにも冷たかったので、自殺志願者は思わず唾をのみこんだ。


 首に縄をかけたまま空を見ると、

 雲一つかかっていない完璧な満月がまぶしいくらいに輝いていた。



 今日の月は、なんて素晴らしいんだろう。


 その美しさに、はあーっとひとつため息をついたあと、



 男は首を吊った。

///

 翌日、若い男の死体を登山客が見つけた。

 男の顔は、首つり死体に似合わないほど安らかな顔をしていたという。


 近くのリュックサックの中には3冊の本があった。

おわり

最後は、「男は、首つり死体に似合わないほど安らかな顔をしていたという」だった。
画竜点睛を欠いてしまったorz

過去作

ボッチ男「俺の高校生活」
女「ツwwwンwwwデwwwレwww」
幼馴染「好きです!」 男「うぇーい!」
男「死体を見に10km歩いた話」

過去作だいたい見てるんだが……すまん、ハッキリ言う。
地の文、そこまで上手じゃあないわ。
文に脈絡がないというか、流れが唐突すぎる。なんで自殺することにしたのか?なんでエロ本入れたのか?がわからない。
わざと崩した文書(今回でいう、じゃないいいいい!?や、あばばばの所)が、目につきすぎて読んでるこちらが素に戻ってしまう。話にのめり込めない。文書として浮いている
文書の大半が「��た。」で終わるので、ぶつ切りというか、話を「投げつけられている」感じになる
最後まで読んでも、何故男が死のうと思ったのかよくわからないし、エロ本埋めると言ってたのになんで埋めずに死んだの?等謎が残る
全て読んだ後に「で?」という感情が沸き起こる。話として未完成だと感じる……。

SS深夜で地の文は珍しいから頑張って欲しいとは思う。
だけど、出来るなら、文書のレベルアップをはかってもらいたい。応援はしている。

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