真尋「素直になる、ねえ」 (170)


0.

となり町、美容室

真尋(…この週刊誌は女性向けか。読むのはちょっと抵抗があるな)

真尋(ん、こっちはいつもポストに入ってるフリーペーパーじゃないか)ペラリ

真尋(今月号はまだ見てなかったな…なになに、「鍋特集」…)ペラ

真尋(これ美味そうだけど学生の身分としてはちょっと敷居が高いかな)

真尋(ニャル子に奢ってもらうのはなんか嫌だし)

真尋(お、こっちはリーズナブル。しかも美味そうだなこの「あつあつ水餃子」)

真尋(クー子の奴に食わせたらすごいことになりそうだけどな)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459174391

真尋(って、なんであいつらと一緒に行く前提なんだよ)

真尋(激しい喜びもいらない、その代わり深い絶望もない、植物の心のような静かな生活)

真尋(それが僕の目標だったはずなのに)

真尋(もしかしてまた邪神の仕業、まさか幻術か)キョロキョロ

真尋(特別な眼を持っていないと見抜けない、幻術にかかったことにすら全く気づけない術がこの世にはあるという)

真尋(ってんな訳あるか、どういう思考回路だよってやばい傍から見たらただの挙動不審じゃないか)

女性「……」チラッ

真尋(マズイコッチミテルヤバイヤバイ)


美容師「次にお待ちのお客様?」

真尋(おぉ、なんとグッドタイミング)

真尋「あ、僕はただの付き添いなので、どうぞ」


スタスタ……


真尋(……ほっ)

真尋(ったく、こんな風になったのもニャル子のせいだ)

真尋(普段は結界があるから気にせずオーバーリアクションしちゃってるんだな、反省反省)ペラペラ




真尋(ん、占いのページだ)

真尋(なになに……「ラッキーナンバー占い」?)

真尋(「あなたの誕生月と日、現在の時刻を足してうんたらかんたら」)

真尋(「今この瞬間のあなたの運勢、そしてもっとも必要な行動を指し示すなんやかんや」)

真尋(こういうのってなんかやってしまうんだよね)

真尋(って女子かっ)

真尋(まあまだ時間かかりそうだし)チラッ

真尋(付き合ってやるとは言ったけど、こんなに時間かかるもんなんだな)



真尋(これを足してうんたらかんたらなんやかんや)

真尋(僕の番号は……24か。どれどれ)

『少々憂鬱な日。独り相撲をして恥ずかしい思いをするかも。
   素直になると◎。身近な人の優しさに触れられます。』

真尋(……ちょっと遅かったなおい)

真尋(なんだこの牽制アウトでランナーなくなった後の長打、みたいな)

真尋(しかし素直になる、ねえ)

真尋(ニャル子にもそんなこと言われた気もするけど)

(ニャル子『もうっ、真尋さんのいけず。素直じゃないんだ・か・ら♡』)

真尋(…どんなシチュエーションだよ自分で想像して悲しくなるよ)

真尋(学校でもっぱら「ツンデレヒロイン」と噂されているとかなんとか)

真尋(きっと暮井がふれ回ってるに違いない、だいたいヒロインってなんだよ地味に傷つくんだよ)






真尋(…もう少し素直に応対してやるべきなのかな)

真尋(自覚してないけど言われるってことは、そう見えることもあるんだろう)

真尋(第三者の意見は大事にしなくちゃな)

真尋(いいだろう。僕はこれを過去の自分に打ち克つための『試練』と受け取った)

真尋(…絶頂には興味ないけど、素直になる努力をしてみようじゃないか。悪いことじゃないし)

真尋(では早速、素直に占いの続きを読んでみるとして)


『ラッキーアイテムは小説「二十四の瞳」!』

真尋(雑だなおい)






十五分後

真尋「……」スマホイジイジ

真尋(暇だな)

???「おまたせ、まひろくん!」



とりあえずここまで、導入でした。

時系列、というか設定は
・原作9巻(邪神消失)より前
・アニメでやったイベントひととおりよりは後
(ついでにFよりも後)

原作がアニメをパラレルワールド風に扱っているようなノリで
ここもアニメ、原作のどこかから分岐した世界だと見てくだされば幸い

もう少し投下ー



1.『H』の検索/邪神は二人で一人




真尋「ようハス太、会計は済ませたか?」

ハス太「おわったよ。……ねぇ、どうかな?」

真尋「どうって……」

真尋(どうしてこの邪神は頬をほんのりと赤らめているんですかね……?)

真尋(いや、十分わかってるけど、できればわかってないことにしてたい)

真尋(ぱっと見は兄妹っぽく見えるだろうから別に問題ないはずだけど)

真尋(こいつ正真正銘の男なんだよな)

真尋(家庭環境ゆえの思い込みとか教育方針をかたる親の強制とかじゃないし)

真尋(まして奇病を防ぐためのまじないとかで女装してたわけでもなく)

真尋(まあ、とにかく)「ほらハス太」ポスン

ハス太「ふにゃっ」





真尋「全体的にだいぶん軽くなったんじゃないか?」ヨシヨシ

ハス太「ふぇ?……うん、そう!」

ハス太「のびすぎちゃってたから少しきってもらったし、けっこうすいてもらったかな」

真尋「ハス太は髪長いから手入れも大変だよな」

ハス太「そうなの、かみがたをととのえるのも時間かかるし」

ハス太「あ、でもでもまひろくんがときどき手伝ってくれてるから、ぜんぜん苦じゃないよ?」

ハス太「むしろまいにちしてくれても、いやかみのけだけじゃなくって、おきがえさせてくれるとか、いっしょにお風呂に……えへへ」

真尋「ハス太、あんまりぼんやりしてると置いてくぞ」ソソクサ

真尋(駄目だこいつ、早くなんとかしないと)

ハス太「……ハッ、ま、待ってよまひろくんっ」





五分後、とある喫茶店

♪~カランコロンカラン

ハス太「ここだよっ、まひろくん」

真尋「お邪魔しまーす、と」

真尋「でもいいのか?こんな小洒落た店初めて来たけど、結構客単価高いんじゃあ……」

ハス太「だいじょうぶ!おたかいようにみえるけど、ここのメニューは、えっと、リーゼント……じゃなくって、リバーシブル……でもちがくって」

真尋「リーズナブルか」

ハス太「そうリーズナブル!」

ハス太「それにぼくのおねがいを聞いてくれたお礼だよ?」

ハス太「ごちそうするのはぼくの気持ち、やすくすまそうなんてとんでもないよっ」

真尋「そっか。ありがとな、ハス太」

ハス太「こちらこそ!ひとりでびようしつに行くのはこころぼそかったし」




ウェイトレス「八坂様ですね、どうぞこちらへ」

真尋「予約してたのか」

ハス太「そうだよ」

ハス太「このお店こむときはすっごいこむの。今日はまだ空いてるみたい」

真尋(案外行動力あるんだよなこの子)


真尋「メニューはこれ、か」

ハス太「そっちにはケーキセットと単品がのってるよ」

ハス太「こっちにパフェとかあんみつとかほかの軽食がのってて」

ハス太「飲み物はこっちに一覧があるよっ」

真尋「これだけ多いと目移りするな」

ハス太「メニューの多さもここの魅力だからねっ」

真尋「オススメとかある?」

ハス太「ふふっ」

真尋(…なんだよ)

ハス太「そうくることはそうていずみだよっ。これでどうだ!?」

デデーン 


真尋(まだメニュー表が別にあったのか)

真尋「……『3時のオススメセット』?」

ハス太「ケーキと飲み物のセットなんだけど、お店のひとがかんがえたおいしい組み合わせを出してくれるの。毎日ちがうんだよ」

真尋「日替わりメニューみたいなものか」

ハス太「にてるかも。何種類かえらべるけど」

ハス太「しかもふつうのケーキセットと同じおねだんで、おまけのお菓子もついてくるんだよっ!」

真尋「それで『3時の…』なのか。時間限定のお得なセットってことだな」

真尋「それじゃここから選ぶことにするよ」


(メニュー云々は省略するんデスョ!)

真尋「ところでハス太」

ハス太「ほおあひはお?」モキュモキュ

真尋「……いや慌てなくていーぞ」

ハス太「ムガッ、ケホッ、ゴホッ」

真尋「言わんこっちゃない」

ハス太「……ふぅ。びっくりした」

ハス太「どうかしたの?」

真尋「ああ、この店はどこで知ったのかなーって」



ハス太「え、あ、ええと」

真尋「やけに手際いいし、前も来たような口振りだったし」

ハス太「……」ヒューヒュー

真尋「目逸らすなよ口笛鳴ってないぞ」

ハス太「こ、これはまだ練習中で」

真尋「話題も逸らすな」

ハス太「ふぐぅ」


真尋「……責めてるわけじゃないんですよハス太」

ハス太「へ? ちがうの?」

真尋「何? ハス太がルーヒーと喫茶店に二人で来たからって、僕が妬くとでも?」

ハス太「だ、だってぼくがぎゃくに……あ」

真尋「語るに落ちたな」

ハス太「い、いぎあり!! これはゆーどーじんもんだよ!」

真尋「お客さん、店内ではお静かにお願いします」

ハス太「うぐぐ」



真尋「いいじゃん。ルーヒーとデート」

ハス太「で、でえと?」

真尋「だってこんないい雰囲気の店に二人で連れ立って。ルーヒーから誘われたんだろ?」

ハス太「……うん」

真尋(あ、満更でもない顔してら)

真尋(お互いの気持ちは……まあ大丈夫だろうな)



真尋「なあハス太、別にルーヒーと来たこと隠す必要なかっただろ」

ハス太「だって……」

真尋「だって?」

ハス太「……なんとなく、なんかいいづらくって」カァ

真尋「僕が怒ったり?」

ハス太「いや、うん……わかんないけど」

真尋「ハス太」ポスン

ハス太「ふにゃっ」

真尋「問い詰めるようでごめんな」ナデナデ

ハス太「あ、あうぅ」

真尋「僕はそんなことで怒ったりしないよ」

ハス太「そ、そうなの?」

真尋「いや、怒る理由がないし」

ハス太「」

真尋「……なぜ無言になるんだ」



真尋「なあハス太、確認だけど」

真尋「僕は男、お前も男。OK?」

ハス太「そ、そうだね」

真尋「ルーヒーは?」

ハス太「お、女の子、だよ」

真尋「」

ハス太「……え、なに? ぼくなにかへんなこと言った?ねえ?」





ハス太「だ、だって!ふだんはお姉さんみたいですごくたよれるけどっ」

ハス太「え、えがおが可愛いし、たまにおっちょこちょいなところが、こう、まもりたくなる、っていうか」カァ

真尋「……あー、もうほんとご馳走さま」

ハス太「も、もう!ごちそうさまってな、なに? まだケーキ残ってるよっ」

真尋「分かって言ってるだろ」

ハス太「///」ポカポカ

真尋「わかったわかった、からかったりしないから殴るのやめて、地味に痛いからやめて」



ハス太「も、もう。まひろくんのいじわる」

真尋「……そういうセリフは美少女が言うもんだぞ普通は」

ハス太「え、そうなの?」

真尋「自覚無しか」

真尋「まぁ、でも、いいと思うぞ、そういうのも」

ハス太「なんだか投げやりぎみなきがするよ……」

ハス太「でもまひろくんも、女の子らしいところがあるよね」

真尋「……前提が違うがな」

真尋「どんなところか言ってみろ」

ハス太「え、ええと……」

ハス太「おりょうり上手だし、なにかとお世話好きで、」

ハス太「こえもそんなに低くないし」

真尋「痛いところ突くなあ」

ハス太「かみをのばしてたらクラスメートの女の子にゴムでおんなじ髪型にされそう」

真尋「そのあと暗殺に励む日々ってか、どこの教室の話だよ」

ハス太「ハッ、もしかして殺せないのはせんせーがアザトース先生だからだったりしてっ」

真尋「そんなコラボレーションあってたまるかっ」



ハス太「あとかんじょうてき?になりやすいところとか」

真尋(参った否定できねえ)

ハス太「ニャル子ちゃんにきいたんだけど」

ハス太「しょたいめんの女の子にフォークをつきたてたって」

真尋「あ、」

真尋(とここで言い訳して逆ギレするからツンとかロンとか言われるんじゃないか)

真尋(我慢我慢、素直素直)

ハス太「しかも命のおんじんなのに」

真尋「……」メソラシ

ハス太「ニャル子ちゃんはぜんぜん気にしてないっていってたけど」

ハス太「さすがにそんなまひろくんはおうえんできない」ハァ

真尋(応援ってなんだよとツッコミたいが…なにも言えん)



真尋「その件はすごく反省してます」

真尋「ニャル子にもまだ謝ってなかった……」ズーン

ハス太「あ、ご、ごめんなさいそんなにせめるつもりとちがくってっ!」

真尋「いや、でも本当のことだしな」

真尋「状況がどうこうであってもあれはいけなかったと思う」

ハス太「まひろくん……」

真尋「すぐにかっとなる性格はなんとか直したいな」

真尋「気にしてないとしても、ニャル子にはちゃんと謝ろう」

ハス太「……そのことなんだけどね」

真尋「?」

ハス太「ニャル子ちゃん、ぼくにまひろくんのことあきらめてほしいらしくって」



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ニャル子『ハス太くんがあの痛みに耐えられるとは思えんですよ!』

ニャル子『どうせ途中で嫌気がさして逃げ帰るのが関の山です』

ニャル子『まあハス太くんをメロメロにするほど素敵な方であるのは間違いありませんが』

ニャル子『私はオススメしませんね』

ニャル子『ハス太くんも男ならわかるでしょう、男には男のサガってものがあるんです』

ニャル子『普段は人畜無害そうな顔してても実は流行りのロールキャベツ系男子で』

ニャル子『突然のディープキスで12hitくらい平気で出すんです、蛇みたいに蹂躙するんですよ!』

ニャル子『想像するだけで恥ずかしすぎて赤ちゃんできそうなんですけどそんなことは置いといて』

ニャル子『そんな激しいパトスをぶつけられるのは、この私の混沌よりも深い愛とでしかありえません!ありえないですよ!大事なことなので二度言いました!』

ニャル子『ハス太くんにはもっとふさわしい邪神が、……え、私ですか?』

ニャル子『またまたーハス太くん分かってるくせにー』

ニャル子『いや真尋さん以上の殿方がいるわけないじゃないですか!絶対譲りませんよ!?』クワッ

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ズゴー

ハス太「あ、こけた」

真尋「結局そんなオチかよぉ……」

ハス太「だいたいニャル子ちゃんがまひろくんの悪口いうはずないもの」

ハス太「ぐちならともかく」

真尋「かなり支離滅裂だったな」

ハス太「ニャル子ちゃんらしいよね」

真尋「ちょっと必死すぎてかわいそうになってくる」

ハス太「それさえもニャル子ちゃんの思うつぼだったりして」

真尋「……可能性はあるな」

真尋「でも必死なのってきっと結婚てきr」

ハス太「あまりついきゅうするとまひろくんでもいのちとからだのほしょうはできないよ?」

真尋「そうだなやめとこう」

真尋「しかしニャル子がちょっとヤンデレ風味じゃなかったか?」ゾクッ

ハス太「あ、それはぼくが盛ったの」

ズターン

ハス太「あ、今度はつっぷした」

真尋「ハスター、お前もか」

ハス太「さっきのおかえしだよ」テヘッ

今日はここまでー

真尋「まあ、ニャル子が狡猾だってことは前から分かってたわけで」

ハス太「ニャル子ちゃんらしいよね」

真尋「それで流せるお前もすごいと思うけど」

ハス太「付き合いながいからね」

ハス太「宇宙小学校のころ、バレーボールをしてたらいつのまにかぼくがボールにされてて」

ハス太「ニャル子ちゃんの超馬力でおもいっきりアタックされたこともあったけど」

真尋「なんだその状況」

ハス太「けんかのちゅうさいやくのぼくがいなかったら全身全霊でたたかえるっていってた」

真尋「あー、そのレシーブ受けるのがクー子って話か」

ハス太「よく分かったね」



ハス太「さいげんえいぞうがこちら」

真尋「あるのかよ、ってそれいつぞやのiaiaPad」

ハス太「さすがまひろくん、かこのネタでもまちがいなくひろってくる」

ハス太「まるでニャル子ちゃんワールドのいきじびきだねっ」

真尋「あまり嬉しくない通り名だな」





ダーダーダーダダダ   ダーダーダーダダダ
ファイナルアタックライドゥ ニャニャニャルコ
ワタシノウチュウシーキューシー シッコクリンブ…トニカクイッケエ!


真尋「……いろいろツッコミたいが」

真尋「ハス太が分裂してるぞ」

ハス太「あまりにこうそくでうごかしたから、ざんぞうがじったいをもつんだって」

真尋「それフィクション特有の超科学現象だから」

ハス太「おくの手でネイピアのけんさきをとばせるんだよっ」

真尋「戦車の話はいいから」



テヌルイニャルコ   キドウガヨメレバヒカリダッテキレル 
ガキンガキンガキン







真尋「……こんなものどこで?」

ハス太「え?ぼくたちのお手製だよ?」

真尋「なんでまたこんな」

ハス太「ほうこくしょだよ」

真尋「は?」

ハス太「わくせいほごきこうにていしゅつするの」

真尋「わざわざ動画で?超グラフィックの?お前らの過去エピを?」

ハス太「まひろくんおちついて」

真尋「意味がわからないよ」



真尋「過去の回想ターンは尺稼ぎの常套手段じゃないか」

ハス太「かいそうでさらにかいそうにはいったりするよねっ」

真尋「そのうち現状がどうなってるか視聴者も制作側もわかんなくなる」

真尋「主人公が死にかけてるのに忍者の昇進試験やったり」

真尋「幻覚の中の小説の内容を延々やったりとかさ」

ハス太「で、でもけっこうおもしろかったり」

真尋「エピソードによるけどな」

真尋「え、なんでこんな話してるんだっけ」




真尋「……あやうく論点逸らされかけたぞ」

ハス太「しょうじきにいうとそのとおり、ほうこくしょのかさましみたいなもので」

ハス太「ぼくたちのれんけいのたかさと、それぞれの戦闘スタイルのせつめいになるっていうたてまえになるんだって」

真尋「……誰の提案だ」

ハス太「ニャル子ちゃんだよ」

真尋「わざわざ動画にしてるのは?」

ハス太「ただぶんしょうにしてもせっとくりょくに欠けるし、なによりボリュームがちょっとたりないらしくって」

ハス太「おんきょうとがぞうで五感にうったえてけってん以上のものをつくろうって」

真尋「いい事言ってる風に聞こえなくもないけど」

真尋「高級料理みたいに美味しいものを少量出すってのと訳が違うからな」

真尋「工場働きの男たちが集う大衆食堂のお昼にゴテゴテのパフェを出すようなもんだろ」

ハス太「でもけっこうひょうばんいいらしいの」

真尋「甘いもん好きな上司かっ」ガタッ




真尋「楽しけりゃなんとかなるって学校の文化祭よりレベル低いぞ」

真尋「公務員の自覚あんのかよ惑星保護機構」ウガー

ハス太「ど、どうだろ」

真尋「無駄にクオリティ高いのも上司のご希望に応えてか」

ハス太「いや、それはクー子ちゃんのしゅみ」

真尋「今度はそっちか……」

ハス太「むかし、クー子ちゃんが……おうちでずっとりょうようちゅうだったころ」

真尋「いや普通にニート時代って言っていいぞ」

ハス太「と、とにかくそのころミ=ゴミ=ゴどうがにはまってたじきがあって」

ハス太「宇宙MMDコンテストとかにどうがをだしてたらしいの」

真尋「また新しい設定増やしやがって」ハァ

真尋「もう拾ってやれんぞ身が持たない」

ハス太「ま、まひろくんのほねはぼくがひろってだいじにするよ」

真尋「フォローになってない!」

真尋「バッドエンド一直線じゃないか」




ゴウッ ゼツボウガオマエタチノゴールダ ドゥギャギャギャギャ

「「ンギャー」」


真尋「け、決着ゥ?」

ハス太「うん、ぼくがいしきをとりもどしたから」

ハス太「ほんのうてきに黄衣の王モードにかわっちゃって」

ハス太「二人ともノックアウト」

真尋「ほぼ瞬殺じゃねーか」

ハス太「だから新入りのぼくのデモンストレーションといういみもある」

ハス太「もともとはとーさまの命をうけたからちきゅうにこれたんだけど」

ハス太「うしろだてがなくなっちゃったいじょう、せいしきにたいざいするにはじつりょくを見せるしかないの」

真尋「そういう大義名分か」

ハス太「そういうたいぎめいぶんだよっ」


真尋「まあ、お前らの仲がいいのはよく分かった」

ハス太「それがつたわったんだったら、このどうがを作ったかいもあったってことだねっ」

真尋「こちらは不本意だがな」

真尋「……ニャル子もクー子も、あーだこーだ言ってもハス太に一緒にいて欲しいんだな」

ハス太「ふぇ?」

真尋「建前とは言ってたかもしれないけど、ハス太の立場が不安定なのは事実だし」

真尋「あいつらなりに何かしてやりたいんだよきっと」

ハス太「……いい友だちだね」

真尋「いい友達だな」


ささやかでもレスが励みになります。
投下ー



真尋「ハス太としてもおいそれと地球から立ち去る訳にはいかないだろ」

真尋「ルーヒーの件もあるし」

ハス太「えっ、あ……////」

ハス太「る、ルーヒーさんはかんけいないでしょっ」

ハス太「もう、せっかくイイナハシダナーってところだったのに」

真尋「散々遠回りさせられたけど本題はもともとそっちだったからな」

ハス太「うう、きょうのまひろくんはちょっとくれいさんみたい」

真尋「触れ回らないだけまだいいと思うぞ」



真尋「いや、正直言うとハス太とこういう話をしてみたかったんだよね」

ハス太「こういう、って?」

真尋「うーん、恋バナ?」

ハス太「……まひろくん、そんなんだからおんなのこみたいだって」

真尋「お前にだけは言われたくないな」ピキピキ

ハス太「ふぇっ……ご、ごめんなさいフォーク下ろして」

真尋「おっと失礼これは無意識」

ハス太「おねがいだからほんのうでフォークなげるのはやめてね」

真尋「善処します」

ハス太「またこんど、かんがえておきます、こたえはすべていいえってことじゃ」ガタブル

真尋「いや、流石に敵と判断しない限りはきっと大丈夫」

真尋(脅しに使ったり黙らせたい時にちらつかせたりはするけど)











真尋(…こいつらには決して刺すまい、と思う自分がいる)

真尋(今気づいてびっくりしたぞ)

真尋(…いつからだろうな)




真尋「フォークは置いといてさ」

真尋「まあ今までニャル子たちと一緒にドタバタやったり」

真尋「みんなであちこち遊びに行ったりもしたけど」

真尋「僕の観察によるとだ」

ハス太「まひろくんが……ぼくを、かんさつ?」ドキドキ

真尋「……深い意味はないぞ」ハァ

ハス太「なーんだ」ハァ

真尋「おいやめろ」






真尋「……僕が見る限り」コホン

真尋「ぶっちゃけハス太が一番輝いて見えるのは、ルーヒーと一緒にいる時だと思う」

ハス太「る、ルーヒーさんと?」

真尋「そう。攻守ともに完璧。打ち破ったやつは一人もいない」

ハス太「そ、そうかな」テレテレ

ハス太「で、でもまひろくんにいわれるとちょっとふくざつなきぶんかも」

真尋「……理解したくはないがお前の言いたいことはわかる」



真尋「さっきも言ったけどさ」

真尋「ハス太がルーヒーと仲良くするのは決して嫌じゃない」

真尋「むしろ嬉しい」

ハス太「どういうこと?」

真尋「そりゃあ、実の兄弟みたいに可愛がっているやつの恋路は応援したくなるだろ」

ハス太「……」

真尋「どした?」

ハス太「……///」カァ

ハス太「それはそれで、いいかも……」ニヘラ

真尋(あ、良く考えると結構恥ずかしいこと言ってた)カァ



真尋(ま、取り繕ってもしょうがないか)

真尋「ハス太」ポスン

ハス太「はにゃっ」

真尋「お前は大事な弟分だからな」ナデナデ

ハス太「うん、うん」

真尋「だからいくらでも応援するし、困った時は助けになりたい」

真尋「ただの人間にできる範囲だけどな」

ハス太「まひろくんはふつうのにんげんじゃないような」

真尋「フォークぐらいいくらでも投げてやるさ」

ハス太「えへへ」



真尋「それに僕はお前たちに妬いたりしないけど」

真尋「ルーヒーはやきもち焼くかもしれない」

ハス太「そ、そうかな」

真尋「きっとそうさ」

真尋「やきもち焼いてくれるうちが華だぞハス太」

ハス太「ふぇっ?」

ハス太「ど、どういういみかな?」

真尋「それくらいは自分で考えないと」

真尋「蝶は飽いて次の花に行っちゃうぞ」

ハス太「ま、またむずかしいこと言う」




ハス太「も、もう」

ハス太「きょうのまひろくんはやさしかったりきびしかったり」

ハス太「ちょっとしつこかったり」

ハス太「まるで波はジェットコースター」

ハス太「ぼくをさらってくれるの?」

真尋「さっきの話聞いてたかハス太」ギリギリ

ハス太「じょうだんじょうだん」

真尋「あと曲のチョイスが古いっ」

真尋「歳がバレるぞ」

ハス太「ついてこれるまひろくんもたいがいだとおもうよっ」ドヤァ


ワイワイ ガヤガヤ
アーダコーダ ナンダカンダ
………



………



真尋「ごちそうさまでした」

ハス太「……」モジモジ

真尋「ハス太、お手洗いか?」

ハス太「あ、うん、ちょ、ちょっと行ってくるねっ」



パタパタ…



真尋(ときどき忘れそうになるけどハス太は確実に年上なんだよなぁ)

真尋(小走りが様になるってどういうことだよ)

真尋(しかし、なかなか愉快な時間だった)

真尋(やっぱり話してみるもんだな)

真尋(普通に接してるとわからないこともいろいろあるわけで)

真尋(一番与しやすいと思ってたハス太だがそこは腐っても邪神)

真尋(案外ツッコミに追われることになるとは)


真尋(でもまあ、ハス太の心持ちも聞けたことだし)

真尋(ここはイーブンってとこかな)



真尋(ん?)






真尋(向こうの席から妙に視線を感じる)

真尋(さっきまで空いてたと思うんだが)

真尋(知ってる、人か?)

真尋(ん、いやに輪郭がぼやけるな)

真尋(騒ぎすぎて疲れたのかもしれん)


真尋(緑、緑色の髪?)

真尋(ってことは)


真尋「ルーヒー、か?」


「八坂、真尋」


真尋「奇遇だな、ってもともとルーヒーの行きつけか。会って当然だな」ハハハ

真尋「今日はハス太と一緒に来たんだけどな、」


ガチャッ

真尋「おや、噂をすればなんとやら」

真尋「ハス太、ルーh」

シュゴッ ドゥワ ズザザザザザザッ

真尋(か、風の神性フルパワー!?)

真尋「そ、そんな急がなくても」アイタタタ

真尋「逃げたりなんかしないぞ」




ハス太「いや、」

ハス太「逃げちゃうかもしれないからね」

真尋(あれ?)

真尋(さっき言ったこと、結構気にしてる……?)

ハス太「まひろくん」

真尋「な、なんだ」

ハス太「先に帰っててもらえるかな」

真尋(にじみ出るサイクロンエフェクト!)

真尋(ハス太が男らしい、だと……)

真尋「お、おう」






真尋「ゆっくりして来いよ」

ハス太「いや、出来るだけ早くかたをつけよう」

真尋(あ、あれー?)

真尋(まさか突然の邂逅にテンパってるのか?)

真尋(しかしこの有無を言わせない雰囲気)

真尋「わ、分かった」

ハス太「なるべく早く家に帰ってね」

ハス太「……ニャル子ちゃんやクー子ちゃんもまってるから」

真尋「……そうするよ」

真尋(ここは大人しく従うとしよう)

真尋「今日は楽しかったよ、ハス太」

ハス太「こ、こちらこそっ!」

真尋(あ、元に戻った)

ハス太「また一緒にお出かけしようねっ」

真尋「おう」


真尋(ルーヒーの視線も気になるし、ここはそそくさと退場しますか)




「ハスター……か……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…





ハス太編これにて終了です。

こんな感じでボチボチ頑張っていければと。


また書き溜め頑張ります。

乙の分だけ頑張れます。

バタバタしてたのが落ち着いたので続きを投下ー





2.少女…『K』/キスの代償






ガチャッ

真尋「ただいまー」

真尋(ハス太の言うとおりさっさと帰ってきたけれど)

真尋(果たしてうまく行ったのかどうか)

真尋(…まあハス太はやるときゃやる子だよね)

真尋(心配してもしょうがないか)



ピョコン

「……少年、おかえり」

真尋「一人で出迎えって珍しいな、クー子」



クー子「ニャル子とゲームしてたらちょうど一区切り付いた」

クー子「あまりのワンサイドキルにコントローラ燃やそうとしてたら玄関先で物音がしたから」

クー子「たまたま扉に近かったわたしが顔を出しただけ」

クー子「……べ、別に少年をお出迎えしようとしたわけじゃない」

クー子「……な、ないんだから」

真尋「クー子熱でもあんのか」

真尋「いや常に熱いけど」

クー子「少年、わたしはハイテンションの元テニスプレーヤーじゃないし、柔らか銀行の金満球団の一員でもない」

真尋「……どっちかというとそのネタが通じたら感謝すべきなくらいだぞ」

クー子「……ショボン」




真尋「で、今度はどんなくだらない事情?」

クー子「……少年ひどい」

クー子「最近ニャル子からの扱いに似てきた」

真尋「僕はニャル子を扱うようにクー子に接するようにしてるけど」

クー子「……それなら許す」

真尋(ちょろいなおい)



クー子「……」 スッ

真尋「その手は?」

クー子「……荷物」

真尋「え?」

クー子「荷物持ってあげる」

クー子「中に上がりながら話そう」

真尋「さ、サンキュ」


真尋「よいしょっと」 クツヌギー

真尋「で、なんださっきのツンデレは」

クー子「……わたしはいつもニャル子のために動いてる」

真尋「はぁ」

クー子「ニャル子に愛されることを夢見ている」

クー子「でもニャル子は少年のことばかり」

真尋「……まあ、否定はしない」スタスタ

真尋(ある意味素直……なのか?)

クー子「正直少年が羨ましい」スタスタ

クー子「そこでわたしは考えた」ピッ


クー子「少年を真似ればいいのではないかと」





真尋「……クー子」

クー子「なに?」

真尋「お前までそんなこと言うのか」

クー子「……だって少年はどこに出しても恥ずかしくないツンd「そこまで言うかっ」……少年近辺での専らの評判」

クー子「状況証拠を十分踏まえての判決だから」 ズビシッ

真尋「いつからツンデレが罪になったんだ」

真尋「……まあ普段きつめに当たってるのは認めるけどさ」

クー子「……被告の自白も取れた」

真尋「やかましいわっ」

真尋「だいたいあんなテンプレな台詞は吐いたことないぞ」

クー子「まあそこは」

真尋「そこは、何だ」

クー子「あれがあれで」

真尋「……」ススッ

クー子「お願い、フォークはしまって」ビクッ

真尋「うむ」



真尋「結局のところ?」

クー子「……ちょっと少年をからかいたくなっただけ」

クー子「ごめんなさい」ペコリ

真尋「分かればよろしい」

クー子「でもニャル子に愛されたいくだりは本当だよ?」

真尋「知ってる」

真尋「ほら早く入るぞ」

クー子「ふふっ」

真尋「……なにが可笑しいんだ」

クー子「なんでもない」

真尋「変なクー子」



真尋「母さんは?」

クー子「さっき電話があって出かけて行った」

クー子「近郊で一狩り呼ばれたからちょっとそこまでって」

真尋「コンビニの気軽さで太陽系の果てまで行くんじゃないんだろうな」


「おや、おかえりなさい真尋さん」

真尋「ああ、ただいま」



真尋「あんまりクー子をコテンパンにしてくれるなよニャル子 」

真尋「危うくコントローラが一つ灰になるとこだった」

ニャル子「だってですよ真尋さん、なんせこのコントローラの滑らかな操作性、手にすっぽり収まるフィット感、馴染む、実によく馴染む!」ワキワキ

ニャル子「最高にハイってやつですよ!」フハハハハ

真尋「よくわからんがそれを言いたいだけってのはよくわかった」

クー子「……少年、クトゥグアは熱量の調整を自在にできてやっと一人前」

クー子「超高温で燃やせばダイオキシンも発生しないから、そういう心配をしてるのなら必要はない」キリッ

真尋「……あのなあ」

ニャル子「分かりましたか真尋さん!灰とhighを掛けたんですよ!そしてこれは真尋さんへのお返事のはい、でもある……これ即ち」

ニャル子&クー子「「トリプルミーニング」」

真尋「お前ら正座な」ピキピキ


ニャル子「や、やだなー真尋せんぱーい、冗談ですよ、冗談。イッツジョーク!本気にしましたー?」タハハ

ゴスン

ニャル子「……うおお、真尋さんの愛の鞭もとい愛の拳、しっかりこの吐き気のする色の脳天で受け止めましたよ」イタタ

真尋「……ニャル子、一つ忠告しとく」

ニャル子「おー響く響く……はいなんでしょう?」

真尋「僕は基本的に女の子に手は出さない」

クー子「……少年、もしかしてそっちの道の人?」

真尋「……素で間違った」コホン

真尋「……僕は基本的には女の子に手を上げない」

ニャル子「さすが真尋さんマジ紳s……え?」

真尋「フェミニストだとは言わないけど」

真尋「世界中にガールフレンドがいるわけでもないけど」

真尋「常識の範囲内で女の子は大事にする」

ニャル子「まひろさーん、わたし、わたしはー?」

真尋「僕だって非力だからわかることでもあるけど」

真尋「か弱さと比例して強く感じるようになるのは不安とか、無力感とか、マイナスになる気持ちばっかりだ」

ニャル子「ま、まひろさーん?」

真尋「だからそんなもの感じないで済むように、せめて自分の身の回りの常識的な子だけでもそうならないように」

真尋「僕は僕にできることをする」

クー子「……さすがもてる人は言うことが違う」

ニャル子「……」クスン


真尋「だからニャル子」

ニャル子「ブツブツ……まひろさんが、まひろさんがいぢめる……」

真尋「女の子として見て欲しいのか」

ニャル子「もちろん!」キュピーン

真尋(アホ毛が犬の尻尾みたいに揺れてる)

真尋「可能性はまだなくはないからな」

ニャル子「なんとっ」パタパタ

ニャル子「そうとあればこの不肖ニャル子、真尋さんのために頑張っちゃいますよ!」





クー子「……いつもながらあのニャル子を弄ぶ手つきの鮮やかさ」

真尋「人聞きの悪いことを」

真尋「お前じゃないんだからそこからいやらしい思考にはならない」

クー子「……どうして少年、わたしがジュンときてるってわかったの……?」

真尋「……もう流石にお前の淫乱ぶりには慣れたよ」

クー子「失礼な、わたしはいたって純情」

クー子「ニャル子にだけ捧げる身体と心……たまに少年でもイけるけど」

真尋「おいなんの話だ」


うー、眠いので今日はここまで。

ここまでの諸々のネタが分かった人は>>1と握手。

おいスゲーないきなり熱男からノンストップじゃねーかww
この調子で置いてきぼりにしてくれ、乙乙



真尋「前提からして不健全だろ」

クー子「……大丈夫」

クー子「18禁描写はまだないから」

真尋「そういう問題じゃない」

真尋「だいたいさっきのやり取りのどこにそんな要素があった?」

クー子「……わたしがムラっときたポイントが訊きたいだなんて」

クー子「少年も遂にわたしの攻略に動くの?」

真尋「どうしてそんなポジティブに捉えられる」




クー子「……ニャル子が少年の掌の上で転がされる」

クー子「愛する邪神(ヒト)が他人のなすがままにされるのも」

クー子「なかなかグッとくるシチュエーション」グッ

真尋「おまわりさんここに変態が」

クー子「萌えが無いなら作り出せばいい」

クー子「おじいちゃんもそう言ってた」

真尋「フリーダムなおじいちゃんを便利な言い訳のだしに使うのはやめなさい」

クー子「……ちぇー」










真尋(……ニャル子ごめん)

真尋(ちょっとだけ嘘ついた)

真尋(後で謝る……か)

真尋(今まではなかった思考パターン、なのか)









真尋(…それにしても)

<クェー!

 シュバババババ ズバッ ドーン  


真尋「なあクー子」

真尋「ペットショップって未実装だったよな」

クー子「……ニャル子の前ではそんなの関係ない」

真尋「そりゃコントローラ滅したくなるのもわかる」


<グアーッ コ、コノDIOガー

リタイアッ パーフェクトッ



真尋「……いいのか飼い主に牙剥いて」

真尋「牙ないけど」




ニャル子「ふっふー、これでまた新しいキャラでプレイできますよ」

真尋「お前人様のプログラムいじくってなにやってんだ」


区切り上この辺まで頑張るべきだったんだ。

>>79
頑張ります



真尋「ところでニャル子」

ニャル子「はい何でしょう?」

真尋「呑気に遊んでていいのか?」

ニャル子「訂正願いましょう、私は遊びにだって手を抜きません……呑気だなんてとんでもはっぷん」キリッ

真尋「……まあどっちでもいいんだけどさ」

ニャル子「と、申しますと?」

真尋「お前報告書出したのか?」

ニャル子「……え、すみませんちょっと持病の悪寒で耳の調子g

フォークキラッ

すいませんマジ調子乗りました」

真尋「たっく、こちとら出したくて出してるわけじゃないのに」

ニャル子「し、しかし、エージェントは私一人ではないですしおすし」

クー子「……ニャル子、約束を忘れたとは言わせない」

ニャル子「いないと思ってたのにこのクー子!余計なことをっとこれは失言か……?」

真尋「……」ゴゴゴゴゴゴ

ニャル子「ひぃっ!?」



クー子「……報告書の作成はローテで行い今回はニャル子の番」

クー子「しかも前回からの続きものゆえとはいえ私もハス太君も一部手を貸した」

ニャル子「解説乙」

真尋「ニャル子はちょっと黙ろうか」

クー子「……さすがにニャル子でも仕事をこなさないなら相応の罰が必要になる」

真尋「クー子と一晩同衾とか」

クー子「……あぁっ、ニャル子の隣で、……んんっ、いっしょに溶けてとかして……」クチュクチュ

クー子「ニャル子、ふぅ……どこまでもついてきてくれる?答えは聞いてない」

ニャル子「か、勘弁してくださいよ!」

クー子「……それでなくても地球担当の主任は交代せざるを得ない」キリッ

真尋「切り替え速えよ」

真尋「妥当な線だとは思うけどさ」

真尋「で、それはニャル子にどんなデメリットがあんの?」

クー子「……現地人とのコンタクト等の優先決定権が与えられる」

クー子「だから少年の正妻、いや所有権が私に移る」

真尋「いろいろ飛躍しすぎだっての」

真尋「いつもながらその肝心の現地人の意向は無視かっ」

ニャル子「……嫌、そんなのやーでーす!」

真尋「おっと結構本気で効いてるぞ」

クー子「……ふふっ、そんな涙目のニャル子もとってもキュート。ごくり。さあ、こっちにおいでニャル子。わたしとチュッチュらびゅらびゅして、嫌なことは忘れt」ガスン

クー子「……少年痛い」

クー子「0フレームで回避不能の拳骨なんて鬼畜」

真尋「こうでもしないと止まらないからな」ハァ



真尋「とにかく」

真尋「ニャル子は今すぐ仕事に取りかかること」

ニャル子「真尋さんがそう仰るのなら仕方ありません」

ニャル子「やる気も出るというものです」フンス

真尋「さいですか」

真尋「提出期限は?」

ニャル子「……」フッ

真尋「……」

クー子「……ニャル子、現実から目を逸らさない」

ニャル子「く、クー子にそれを言われちゃおしまいですよ!」

ニャル子「いつも妄想の夢の中のくせに、生意気な」

真尋「で、いつなんだ」

ニャル子「……ばん」

真尋「き こ え  ん な ぁ ~ ?」

ニャル子「こ、今晩の12時です、はい」オドオド




ニャル子「……あれ、げんこつが来ない……?」

真尋「ま、あと一時間とか言われたらどうしようかと思ってたけど」

ニャル子「ニャル子の不徳の致すところです」

真尋「あえて言うけど」

真尋「求められるボーダーが低いってことは期待されてないことの裏返しだからな」

ニャル子「うぅっ……面目ない」ショボーン

真尋「……ほら、今から頑張れば取り返しがつくんだろ」

真尋「お前の頑張り次第なんだからさ」

ニャル子「ま、まひろさん……」ウルウル

真尋「報告書上がったらさっきのASBでも一緒にやるか」

ニャル子「サー、イエス、サー!ニャル子頑張れます!」

クー子「……さすがニャル子、現金。でも好き」

真尋「お前遊びに全力尽くす分の三割でいいから仕事にその活力回せよ」

ニャル子「わかっちゃいるんですけどねー」

クー子(スルーされた)クスン

真尋「クロックアップすればちゃちゃっと終わるだろうが」

ニャル子「そう言われましても……ネタとして使ってこそクロックアップのありがたみが引き立つというか」

真尋「ネタ言うなネタって」

真尋「なんだ、つまり戦闘であまり使わないのは舐めプしてるってことか?」

ニャル子「……腐ってもニャルラトホテプですから」ドヤッ

クー子「……ドヤ顔いただきましたー」

真尋「いらんいらん」

クー子「……わたしのアクセル弁当もほぼ同様の効果と用法」

真尋「うん、知ってた」

クー子「……違う。ほぼというのがミソ。ニャル子のは知覚まで高速化する便利仕様でどちらかと言うと時間干渉」

クー子「わたしのはただの高速移動だから」

真尋「余計な設定を付け加えおって……」ギリギリ

クー子「その代わりクトゥグアに一度受けた攻撃は通用しないし瀕死になると攻撃翌力が大幅に上昇するから概ねイーブンというのが世間の認識」

真尋「その世間ってのはどこの世間か小一時間問い詰めたい」





ニャル子「第一真尋さん」

真尋「第二第三がいるような表記はやめろ」

ニャル子「……活字に起こさないとわからないボケになぜ突っ込めるんですか」

真尋「お前に鍛えられたんだよ察しろよ」

ニャル子「……正直、すみませんでした」

ニャル子「気を取り直して、だいいち真尋さん、」

ニャル子「まずクロックアップには時間制限があるんですよ」

真尋「まあわかる」

真尋「連続使用は出来ないのか?」

ニャル子「やー、できるっちゃできるんですけどね」

ニャル子「タキオン粒子を流し続けるには本来莫大なエネルギーが必要なもので」

ニャル子「この地球上ではプラズマエネルギーは三分間しか持たないんですよ」

真尋「お前闇に棲んでたりするのに太陽光に依存してるのか」

ニャル子「……」

真尋「……」

ニャル子「……真尋さん」

真尋「なんだよ」

ニャル子「子どもの夢を守るために、大人の事情っていう優しい嘘があるんですよ」

真尋「お前宇宙十代って設定はどこに置いてきたんだ」

ニャル子「クー子ー、真尋さんが私をいじめます!」クスン

クー子「……ニャル子に手を出すものは少年とはいえ容赦できない」ドドド

クー子「とりわけ年齢という銀河の深淵に触れようとするなんておこがましい」

クー子「……燃やすよ?」

真尋「……確認するだけ優しくなったなクー子」

クー子「……ポッ///」

ニャル子「何いい雰囲気になってるんですかそこ代われってんですよ!」

ニャル子「だいたい『ポッ』ってなんなんですか口に出して言うなんてあざとい女ですねっ」

真尋「おまいう」

クー子「……おまいう」

真尋「そしてこの手のひらクルー、さすがニャル子」

ニャル子「私があざといのは百歩譲って認めるとしても」

真尋「認めるんだ」

ニャル子「譲歩してるんですっ」ウガー

ニャル子「クー子には言われたくないですよ! 以前もやったやりとりでしょうが!」

真尋「五十歩百歩だと思うけど」

ニャル子&クー子「「……設定は投げ捨てるものっ!」」

真尋「ではないって本来はつくんだぞそれ」



クー子「……少年、騒いでたらおなかすいた」クゥ

真尋「……あー、そっか。お前ら今日は間食してないんだったか」

ニャル子「おや真尋さんは既にお済みで?」

真尋「あれ?ハス太から聞いてなかったのか?」

ニャル子「いや、今日は放課後美容室に付き合ってもらうとしか」

クー子「……」

ニャル子「……」

真尋「……」

クー子「……少年、ハス太君は?」

真尋「いいよもう取り繕わなくても」ハァ

真尋「今の今まで忘れてたんだろ」

真尋「僕とハス太の謎の感動を返せよ、ったく」ブツブツ




かくかくしかじか

ニャル子「……ふっ、ハス太君もノーコンピッチャーのど真ん中ですね」

クー子「……隅に置けないって素直に言えばいいのに」

真尋「わかりづれーよ、その変換はもはや翻訳の領域じゃねーか」

クー子「……宇宙小学校での教育の賜物」

真尋「間違ってる、絶対その教育間違ってるぞ」

ニャル子(ムフフ、これでハス太君はヒロインレースから脱落したも同然)

ニャル子(あの手この手でそそのかした甲斐があったというものです)フフフフフ

真尋「クー子、ニャル子がすげー悪い顔してる」

クー子「……大丈夫、何を考えてるかおおよその見当はつく」

真尋「奇遇だな、僕もだ」




ニャル子「説明が途中になりましたね」

ニャル子「話がこんなに逸れるなんて、いったい誰のせいだと思ってるんですか」プンスカ

ニャル子「あ、私か」

クー子「……今ニャル子の芸人レベルが1上がったのが観測された」カチャ

クー子「ちなみに今2865」

真尋「いつどこから取り出したんだよそのスカウター」

クー子「……乙女の秘密、見たいの?」

真尋「……遠慮しとく」

ニャル子「だぁー!外野がうるさいですね」

ニャル子「いったいだれがけしかけてるんですか、あ、私か」

真尋「無限ループやめろ」



ニャル子「何はさておきエネルギーが足りないんですよ」

ニャル子「このままではクロックアップはもちろん通常の戦闘も満足に行えない可能性があります」

真尋「お前は何と戦ってるんだ」

ニャル子「締め切りと自分の怠惰さ」キリッ

真尋「キリッ、じゃねえよ自分の台詞を顧みろよ決まりようがないぞ」

ニャル子「エネルギー不足にはハストゥール製薬のドリンク剤でもあれば用は足りるんですが」

ニャル子「あいにく切らしてましてですね」

クー子「……ヤマンソ・ドットコムで注文してもお届けは明日」

真尋「シャンタッ君の卵はないのか」

真尋「滋養強壮の効果ありって言ってただろ」

ニャル子「さすが設定の蓄積量には定評のある真尋さん」

真尋「……それハス太にも言われた」ハァ

真尋「なんだよ、覚えておくのは罪なのか」

ニャル子「最近流行りの『忘れられる権利』ってとこですかね」

真尋「お前らのネタが枯渇するだけだろ、公共の福祉に反するから却下」

ニャル子「まあシャンタッ君は不在なんですよ」

ニャル子「経験値積みにお母様のオトモに行ってまして」

真尋「あのナリで爆弾投げれんのか?」

クー子「……防水加工はしてあるらしいから頬袋に溜め込んで爆撃飛行すればよし」

真尋「頬袋あんのかよ」



真尋「要はニャル子」

真尋「腹減ったんだろ」

ニャル子「もう!花も恥じらう乙女がせっかく婉曲表現使ってるのに無粋ってものです」プンスカ

ニャル子「あーそーですよ、真尋さんがハス太君と仲良くお茶してる間私はお腹空かしてたんですよっ」

クー子「……わたしも忘れないで欲しい」クゥ

真尋「でもゲームに打ち込む余裕はあったと」

ニャル子「くっ、痛いところを付きますねぇ」

ニャル子「さすが百戦錬磨の真尋さん」

真尋「……まあお前らをほったらかしてたのは事実だし」

真尋「悪かったな」

ニャル子「こうなれば痺れ玉を調達して……えっ?」キュピーン

真尋「?」

クー子「……少年の貴重なデレシーンはこちら」

真尋「……お前らすぐそう言うから嫌いだ」

ニャル子「ふふっ、私は真尋さんのそんなところがだーい好きですっ」ダキッ

真尋「のわっ」パスン



真尋(ぐっ、ヤバい、いろいろなもろもろが当たってる)パフパフ

真尋(……こいつも中身はともかく外面は美少女だからな、ふわふわのぷにぷに……)

真尋(…ってだぁー!いかんいかん、邪神のペースに乗せられる訳にはいかん)

真尋「こらぁ!離れろニャル子、こんなことしてる場合じゃないっての」

ニャル子「またまたー、真尋さん照れなくていいんですよー?」サスサス

ニャル子「私はいつでもバッチ恋なんですから」ギュウギュウ

真尋「漢字!漢字!」

真尋「クー子の心に火が付いたらどうすんだよ」

クー子「……問題ない、嫉妬を滾らせて燃やしたりなんてしない」

クー子「邪神(ヒト)は日々成長するものだから」

クー子「……ニャル子と少年との3Pのシミュレーションは十分にできてる」グッ

真尋「むしろ悪化してる!?」ガーン






クー子「……いただきます」ジュルリ


シュパン ハラハラ
ギャース ギャース
シュピッ キラッ
ズバババババババ



ニャル子「」チーン

クー子「」チーン

真尋(なぜ貧弱無知の人の子が邪神を制圧せにゃならんのだ)

真尋(はたから見れば人外じみてるじゃないか)

真尋「くそう、僕は悪くない、僕は悪くないんだ……」ブツブツ



今日はここまで。

ニャル子出てきた途端レスが濃くなったのはいいけど話がいっこうに進まない
早く仕事にかかれー





クー子「……突き立てないのに昏倒させられるなんて」

クー子「少年のフォークは常時衝撃波でも発生させているの……?」

真尋「知らん、そこんとこは僕の管轄外だ」

ニャル子「あいたた……これはまだまだ先が長そうですね」

ニャル子「地球の殿方は奥手なんでしょうか、スキンシップも誘惑も十二分だといいますのに」

真尋「過ぎたるは猶及ばざるが如し、って知ってるか」

ニャル子「え、あれでしょう?大きいことは良いことだーみたいな」

真尋「……お前知ってて言ってるなら折檻モノだぞ」




ガサゴソ

クー子「……これといってお菓子がない」

ニャル子「クー子が在庫切らしてるなんて珍しいですね」

真尋「……仕方ない、僕が何か準備してやるよ」

ニャル子「いやっほー!真尋さんの手作りおやつですか!」

クー子「……いぇーい」

真尋「あまり期待してくれるなよ」

クー子「……少年のご飯は美味しい。期待しない方が失礼というもの」

ニャル子「真尋さんが作る、という事実が最高のスパイスですよっ」ニパー

真尋「っ……」ワナワナ

真尋(…その笑顔は反則だっつーの!)



ニャル子「? 真尋さん、そっぽ向いてどうしたんですか」

真尋「……な、なんでもないっ」

ニャル子「?」

真尋「作れそうなのを探すからちょっと待っとけ」ササッ



クー子「……」スッスッ

クー子 「……ニャル子」チョンチョン

ニャル子「なんですか」

クー子「……」コッチャコッチャ

ニャル子「あんたのスマホ画面が小さいんですよ……ってほう。これは興味深い」

クー子「……ニャル子はこういうの絶対好きと思ってた。目ざといわたしをほめてほしい」

ニャル子「……これトップニュースになってるじゃないですか。私が気づくのも時間の問題だったでしょうが図々しい」

クー子「……クスン」

真尋「どうしたんだ」スタスタ

ニャル子「ああ真尋さん、話すとちょっと長くなるんですがね」

真尋「三行でまとめてみろ」


ニャル子「ロボット業界の著名なとある企業にブランドロゴの盗作疑惑が持ち上がって

おまけに製品の大規模リコールが発生して信用がガタ落ちし

散々叩かれてここ一ヶ月ほど謝罪会見に追われていた社長が

突然の失踪というまさかのミステリー展開です」


真尋「……頑張れば三行で言えただろ」ハァ

真尋「てんこ盛りの踏んだり蹴ったりだな」

クー子「……ここ最近の宇宙週刊誌や宇宙ワイドショーはこの話題でもちきり」

真尋「地球も外もやること大差ないよな、むしろ経験上宇宙人の方がしょうもない」

ほ、褒めたって何も出ないんだからね!

ネタと執筆時間をどうにか絞り出せるだけであります。


ちょっと間が空きましたが投下ー


ニャル子「しかーし!ここまで盛り上がっているのには訳があるんですよっ」

ニャル子「全ての元凶はk」サプラーイズ セカイジュウガドラーイブ

ニャル子「あーもう、丁度いいところで」

クー子「……わたしのも鳴り出した」

真尋「上司か」

ニャル子「はいはい今から仕事しますよって……もしもし」

クー子「……もしもし」



ニャル子「報告書は必ず今晩中に仕上げますのでフルートだけは……へ?別件ですか」

クー子「……わたしたちもさっき見た。……うん。でもどうして……」

ニャル子「はあ。まあ気にかけてはおきますが……ええ。……あ、結局そっちメインなんですか」

クー子「うん。……それはニャル子が……わかった。ニャル子の貞操にかえても」

ニャル子「勝手にそんなこと言わないでください! おっと、こっちの話です。はい。……いえマジ勘弁してください。ホントに」


真尋(前半はともかく後半の内容は推察できるな)




ニャル子「はぁ……」

ニャル子「真尋さん、課長ったらひどいんですよ!? 私よりクー子達の方が真面目にやってるじゃないかって」

真尋「思いっきり見透かされてるじゃないか」

ニャル子「でも主任交代考えるとか冗談でも言うべきじゃないです」

真尋「……お気の毒に」

ニャル子「え……じ、冗談でしたよね? ねえ、クー子?」

クー子「……なんとも言えない」

ニャル子「こ、こうしちゃおれません! ちょっと部屋にカンヅメしますっ」ドタドタ

クルッ

ニャル子「あ、おやつ楽しみにしてますね、まひろさん♡」

パタパタパタ…
バタン


真尋「ハートはいらんハートは」

クー子「……ニャル子がデットゾーンに入って暴走する前に準備しよう、少年」ワクワク

真尋「急にどうした」



クー子「……少年。少年には料理を教えてもらう、そう約束した」

真尋「大分前な気もするけどつい最近か。うん、確かにした」

クー子「……何回目かの料理教室も兼ねて、わたしも手伝っていい?」

真尋「ん。許可しよう」

真尋「むしろ助かるよ」

クー子「……いぇい」



真尋(ホットケーキミックスが在庫あり、ね)

真尋「たまにはドーナツでも作ってみようか」

クー子「……少年、ドーナツも作れるの」キラキラ

真尋「案外難しくないんだなこれが。……うん、粉砂糖もあった」ガサゴソ

クー子「……少年の手作りドーナツ、これはもはやプレミア価格をつけるべき」クゥ

真尋「そんな需要はないだろ」

クー子「……さすがラノベ主人公の王道、少年は鈍感力にあっても頂点に立つ男」

クー子「擬態されていないか心配」

真尋「何がラノベ主人公だ擬態だ縁起でもない」



真尋「材料はホットケーキミックス、卵、牛乳」

真尋「粉砂糖は後で使う」

クー子「……せっかくだから味を何種類か作ってみたい」

クー子「……せっかくだから、わたしはその赤い瓶を選ぶ」

真尋「脈絡なくボケをねじ込むなって」

真尋「全然赤くないしそれ醤油だから」

クー子「……焼きビーフン味?」

真尋「おいやめろ」



真尋「まあ、いろんな味があっても悪くはないかな」

真尋「……味つけに使えそうなのを探してみるか」

真尋「その間に道具の準備を頼む」

クー子「……らじゃー」


ガサゴソゴソガサ

真尋「ところでさ」

クー子「……なに?」

真尋「さっきの電話は何の話だったんだ」

クー子「……メインの話は報告書の催促」カランコロン

真尋「まだ期限前なのに?」ヨイショット

クー子「理由はおそらく二つ。一つ、地球任務で浮かれているエージェント3人に活を入れるため」フキフキ

真尋「……お前ら自覚あったのな。流石にやりたい放題にさせてはないのか」フーン

真尋「あ、あと平鍋出しててもらえる?」

クー子「……了解」ガラッ

クー子「……もう一つは」

クー子「地球任務への羨望、地球文化への憧憬ゆえ、報告書のおまけ映像が待ち遠しいから」

ガタッ

真尋「見直しかけた僕が馬鹿だったよ惑星保護機構」

クー子「……所詮天下り、コネと利権で動く人たちだから」

真尋「お前がそれ言っちゃダメだろ」

クー子「……てへ」




真尋「別件がどうのこうのと言ってたほうは?」

クー子「……ニャル子が言ってた社長の失踪事件のことで、惑星保護機構が宇宙警察から捜査協力をお願いされたらしい」

真尋「まーた厄介事か勘弁してくれよ」ハァ

クー子「……別にわたしたちだけに連絡があった訳じゃない。聞いたところでは」

クー子「宇宙警備隊、 銀河連邦警察、銀河帝国、高機動小隊、TAC、SOS団にスケット団、ロケット団などなど」

真尋「待て途中から明らかにおかしい」

真尋「すがる藁にしても見当違いだし細すぎるわ」

クー子「……惑星保護機構にしても管轄は太陽系に限らない。全宇宙のエージェントに同じ指令が出ているらしいから地球が特別危ないってわけじゃない」

クー子「頭の片隅に置いておけばいいくらいの口ぶりだった」

真尋「事件性は?」

クー子「……その辺りは何も聞かされてない。でも想像はいろいろたくましくできる」

真尋「頭下げ続けてた社長が失踪だろ?疲れて世を儚んだのかもしれないし」

クー子「……会社のせいで損失を被った誰かの手に落ちた可能性だってある。楽観視はしない方がいい」

真尋(クー子も仕事となると真面目になるよな)

真尋(少し見直した)



クー子「……とりあえずみんなのおもちゃがいなくなったのは大きな痛手」

真尋「……は?」

真尋(ごめん三秒で前言撤回)

クー子「謝罪会見のがなり声と身のこなしがあんまり面白かったから職人たちがこぞってMAD動画を作った」

クー子「ミ=ゴミ=ゴ民にも宇tubeユーザーにも大人気で掲示板には専用スレまで立ってるくらい」

クー子「いなくなって知る喪失感、追悼コメが殺到して今は違う意味でお通夜状態になってる」

真尋「しょうもない、実にしょうもないぞ」

クー子「……わたしが作ったのもあるけど見る?」

真尋「ここで伏線回収かよ」

クー子「?……いや、よく考えると無修正だから地球人が見たらSAN値がもたない。迂闊だった」ショボン

真尋「そんなもの見せようとするなっ」





真尋(今までだって隕石が落ちてくるレベルの確率で事件に遭遇し続けてるんだ)

真尋(何言われたって安心できないっすよ先輩)

真尋「……まあ何事もなきゃいいんだけど」

クー子「……少年、それはフラグ」

真尋「うるさいうるさい!早くドーナツ作るよ」


今日はここまで。
次回はドーナツ作り終えるんだ……



真尋「では今回のフレーバーを発表します」

クー子「……ダラララララララララ」

真尋「無理してドラムロール入れなくていいよ」


真尋「まず何も入れないプレーン。これは揚げたてに粉砂糖を振る」

真尋「そしてこちらのココアパウダーを生地に入れて、半分はそのままのココア風味」

真尋「もう半分は刻んだココナツをかけてみよう」

クー子「……すごい少年。説明聞くだけで空腹が加速しそう」クゥー

真尋「サクッとできるからもう少しの辛抱、早速取り掛かろうか」



真尋「卵と牛乳は出してあるから、ボウルに割って混ぜててくれる?」

クー子「……わかった」

真尋「僕はココナツ刻んでるから」




真尋「こちらのボウルに半分強を移して」

真尋「ふるっておいたホットケーキミックスとココア、そして砂糖を投入」

クー子「……こっちはホットケーキミックスだけだけど大丈夫?」

真尋「ホットケーキも砂糖入れずに作るけどまあまあ甘いだろ?」

真尋「ホットケーキミックスにはもともと砂糖が入ってるんだ」

クー子「……なるほど」


クー子「……生地をまとめるのはわたしに任せて欲しい」

クー子「この生まれ持った太陽の手で、ニャル子が悶絶するようなものを作る」

真尋「……お前ら守備範囲広いよな」パタパタ

クー子「……太陽の子の方がカッコいい?」シャキーン

真尋「パン作りに勤しむなんてどっちかと言うと平成ライダーのやることだと思うけど」

クー子「……問題ない。わたしはSD含めて全肯定派」

真尋「知らんがな」

真尋「まな板に粉はたいたから、ある程度まとまったらこの上でやってくれる?」

クー子「……了解」

クー子「待っててニャル子。これさえあれば影分身だってできるし最終話ではきっと世界を救えるはず」

真尋「盛り上がってるところ悪いけどさ」

真尋「発酵させるわけじゃないから手の温度はあんまり関係ないと思うぞ」

クー子「」

真尋「僕も形作るのやるからさ、気を取り直して」



十分後

真尋「よし、だいたい出揃ったな」

クー子「……わたしのじゃパンが、絶頂に達したニャル子とくんずほぐれつフルコースの計画が……」ブツブツ

真尋(結局下心満載かまたこいつは)

真尋「ま、まあ、めげずによくやってくれたよ」ポスン

クー子「少年……」クスン

真尋「変な技術がなくてもニャル子はきっと喜んでくれるさ」ナデナデ

クー子「……そうかな」

真尋「そうだよ」

クー子「ふふっ」

真尋「どうした」

クー子「……わかってたけど、少年は優しい」

クー子「今日は特に優しい」

真尋「……それはどうも」


真尋「クッキングペーパーの用意、よし」

クー子「……油の温度、よし」ジュワワワ

真尋「トッピングの準備は?」

クー子「……できてる」

真尋「じゃ、揚げてくよ」


パチチ ジュワワワワワワ


クー子「……」ビクッ

真尋「油跳ねが怖い?」

クー子「……うん」

真尋「水分が多いと跳ねてしまうわけで、ちゃんと捏ねてるから多分大丈夫だとは思うけど」

真尋「心配ならこの鍋蓋持ってガードしてたらいいよ」

クー子「……頑張る」

<ジュワワッワワワワ


真尋「余熱で揚がり過ぎることがあるからちょっと早めに……そうそうそれくらいで」

クー子「……今だ」スッ

真尋「慌てずに、すっと、……ほら綺麗に揚がった」

クー「……おー」


真尋「粉砂糖をまぶして第一陣のプレーン完成と」

クー子「……いぇい」パチパチ

真尋「ココア生地の方は僕が揚げるから、火の番交代ね」



<パチチチチ

真尋「そこに砂糖を水に溶かして置いてあるから」

真尋「揚がったドーナツに刷毛で塗ってくれる?」

クー子「……なるほど。これでココナツがくっつく」

真尋「ご名答」



真尋「これにて三種のドーナツの」

真尋&クー子「「……かんせーい」」

真尋「と言いたいとこだけど」

真尋「やっぱり味見しなきゃね」

クー子「……」wktk

真尋「はやるなはやるな」ドウドウ

真尋「あなた猫舌でしょうに」

クー子「……そうだった」

真尋「自分が忘れてどうすんのさ」

真尋「ほら、一口大に切ってあげるからよく冷まして食べて」

クー子「……少年はよく気がきくいい子」

クー子「ぜひともお嫁にきてほしい」

真尋(嫁、か)

真尋「……」

クー子「……少年?」

真尋「……」ズーン

クー子「……へんじがない、じらいをふんでしまったようだ」

真尋「い、いやそんな……」

クー子「……」

ぷにゅっ

真尋「!」

クー子「……のびーるのびーる」ピヨーン

真尋「ひっはらないでほっへた」

クー子「ストップは?」

真尋「え?」

クー子「ストップ」

真尋「……すとっふ」

クー子「……大きな声で数を「数えねーよ!」

クー子「……少年、ほっぺた痛かった?」サスサス

真尋「いや、別に」

クー子「……それならよかった」

真尋「自分で引っ張っといて何だよ」

クー子「……少年が元気ないのはちょっと悲しいから」

真尋「クー子……」

クー子「……嫌なことは嫌だと言ったほうがいい、わたしの経験則上」

真尋「やけに実感こもってるな」

クー子「……聞かないで。昔の話」

真尋「いや知ってるしだいたい予測がつくけども」

クー子「……そうだった」

クー子「でもあの忌まわしき悪ガキどものおかげでニャル子に出会えた。わたしに後悔はない」

真尋「そ、そうですか……」







クー子「……そっか」

クー子「……少年、女の子みたいに扱われて傷ついてたの」

真尋「ちょろっとね」

クー子「……そのちょろっとが、積み重なると大きな傷になる」

クー子「わたしは身をもって知ったから、少年の痛みはわかるつもり」

真尋「……でも、誰かが悪いわけじゃあ」

クー子「そう、誰も悪気があったわけじゃない。わたしだってそう」

クー子「だからといって何もしないというのはわたしのポリシーに反する」

クー子「……ごめんなさい」ペコリ

クー子「これから気をつけます」

真尋「全然……気にしてないよ。だから頭上げて、ね?」

クー子「でも、」クゥー

真尋「……」メソラシ

クー子「……」

真尋「……」

クー子「……何か言って。恥ずかしい」カァ

真尋「……ドーナツ食べようか」

クー子「……うん」



クー子「……いただきます」マグッ

クー子「……」ハムハム

クー子「……」ムチャムチャ

クー子「……」ペロペロ

クー子「……」スッ

真尋「ストップストップ」

クー子「……ハッ」

クー子「わたしはいったい何を」

真尋「白々しいなおい」

クー子「……何も言えなくなるくらい美味しい」

真尋「それはよかった」

真尋「自分で作ったからなおさらそう思えるんだと思うよ」パクリ

真尋「うん、上出来」

クー子「……じゃあニャル子も喜んでくれる?」

真尋「……」

真尋「……味は保証する」

クー子「……今の間は何」



クー子「……わたしの意見としては」

クー子「売り物にできるくらい美味しかった」

真尋「おいそれと出せるものじゃないと思うぞ」

クー子「……ルーヒーがお店出せるご時世だから、なんとかできると信じてる」

真尋「そんなことに確信持たれても困る」

真尋「……まあ、それ言われると何も言えなくなるけど」

クー子「……金メダルとる?2種目2大会連続で」

真尋「クー子最近スポーツネタに目覚めでもした?」

クー子「……とにかく、この美味しいドーナツをニャル子に売りつける」

クー子「ニャル子にはカラダで支払ってもらって……くふぅん……そんなことやあんなことを」

ゴチン

クー子「……キャウン」

真尋「……むやみやたらと発情しない」

真尋「お前廊下に正座させられたのをもう忘れたのか」

クー子「……あれはなかなか斬新なプレイだった」

キラッ

クー子「冗談」

真尋「邪神連中はいちいちジョークにしないと話せないのか回りくどい」

クー子「……ユーモアは人間関係の潤滑油だから」

真尋「一理あるけど過剰なんだよグッジョグジョのベッダベダだよ」

クー子「……少年も下ネタを使うとは意外」

真尋「いや違うから」


真尋「だいたい主目的を忘れてもらっちゃ困るんだけど」

クー子「……ぬかりない。ニャル子に食べてもらう。わたしとセット「仕事中のニャル子に差し入れ」……ニャル子に差し入れする」

クー子「……さしいれって言葉の響き……」

真尋「言わせねえよ!?」バッ

クー子「モガモガ」



真尋「ともかくニャル子の分を取り分けて早く……」

真尋「……!?」ゾクッ

クー子「……少年」ヒソヒソ

真尋「……ああ」ヒソヒソ

真尋「庭に誰かいる」

クー子「……邪神圧を隠しきれていない……いや、今まで隠しててわざと解放した、そんな感触」

クー子「きっとこちらを誘ってる」

真尋「それってずっと潜伏してたってことか」

クー子「……ニャル子なら邪神レーダーが働くと思うから、ドーナツ作り始めるくらいからかも」

真尋「……あれ?じゃあどうしてニャル子は降りてこないのか?」

クー子「……メタフィールドは外部からも内部からも干渉しづらい」

クー子「レーダーがうまく働いてないのかもしれないし、それに仕事に集中してるだろうから」

真尋「なるほど」

クー子「……いずれにせよきっと相当な手練れ」




真尋「嫌な予感がする」

クー子「……多分わたしと少年は同じ考え」

真尋「さっきの会話聞かれたかな」

クー子「……わたし二回もムラムラしてた、恥ずかしい」

真尋「そこじゃないだろ」ビシッ

クー子「……あう」

真尋「……あの人には聞かれちゃまずいようなこと言ってたでしょうが」


「何をヒソヒソ話し込んでいるのかな、お二人さん」


真尋「……」

クー子「……」

真尋(振り向きたくないっ……!)

「なにか聞かれたくないことをつらつら話してたんじゃないかなーって思うんだけどさ」

「……まあいいや。でも折角の客人は丁重に迎えられるべきじゃない?」

「ねえ、わたしの愛しいクー子ちゃん」ペロリ



クー子「……クー音、従姉さん」

ここまでー。
更新頻度上げたい。




真尋(これはもしや)クルッ




真尋「ああ、窓が、窓が!」


クー音「宅配の真似事するのも無粋だから直接溶かして入りました、反省してます」キャピッ


真尋「」


クー子「……姉さん、社史編纂室に送られたって聞いたんだけど」


クー音「……そんなのしーらない」


クー子「……」


真尋「……」イラッ


クー子「……こんなことして、後でどんな酷い事になってもわたしは知らない」


クー音「あたしの知ったことか。 クトゥグアは身内に甘いからなんとでもなるでしょ」


真尋(……言い返したいが否定できないっ……)


クー子「……縁故入社ばんざい」


真尋「そこまで言わんでいい」 ビシッ


クー子「……」


クー子「……」コソコソ


クー音「……どこに行くの?」



ピタッ


クー子「……おもてなししようと思って、粗茶でもと」


クー音「ふーん、殊勝だね。流石あたしのクー子」






クー音「でも」



クー音「嘘をつくような悪い子に育てた覚えはないんだけどなー」



ズゴゴゴゴゴ



真尋(……この雰囲気、まずいっ)


真尋(でもあんたは親じゃないだろ)


クー子「……何の話」


クー音「……シラを切るんだ。ふーん」


クー音「どうしてあたしにそんな仕打ちができるの?」


クー音「クー子がまだずぅっっっと小さい頃からずっとそばにいてお世話をして」


クー音「おしめを替えてあげたりご飯を食べさせたり」


クー音「宇宙保育園には手を引いて連れて行ってあげてた」


真尋(そしてあの強引極まりない婚約もどきをした、と)


クー音(少年君はちょっと黙ろうか語りを邪魔しないで)


真尋(こいつ、直接脳内に……!!)


クー音「その頃からクー子はプニプニしてて可愛らしくて」


クー音「素直で舌っ足らずでちっちゃくて可愛くって……」ジュルリ


真尋(相変わらずだめだよあんたは)


クー音「あ、もちろん?今だって目に入れてもぜーんぜん痛くないくらいだよ?」







クー音「本当のクー子なら、だけど」


真尋&クー子「!?」




クー子「……姉さん、何を言ってるの」


クー音「だってそうでしょう!? 


不倶戴天の敵、呉越同舟すら避けたい膨れ女を、


しかもその個体名を、艶やかに潤ませてた瞳で呼んで悩ましげな顔をする、


そんなクトゥグアがいるはずない!」


クー子「……」ビクッ


クー音「ずぅっとずぅぅぅっとクー子を見てきたお姉ちゃんより、


虚弱貧弱無知無能の地球人を選んだってだけでも、……くっ、全くの想定外だったというのに」ダンッ


真尋(それはあまりに現実見えてなさすぎだろ)


クー音「あの、あんなおぞましい混沌を……そう、だからそんなクー子がクー子なはずないのっ!!」


クー音「精神を入れ替えたか乗っ取ってるか姿を真似ているか知らないけれど、


あたしとクー子の間に入る邪魔者なら、」








クー音「全部、倒す」ゴッ


以上久々の投下になり申し訳ありません。

忙しかったのとWi-Fiの調子がおかしかったのと
追っかけるSSのジャンルが増えたせいです。
今週中にこの章終わらせます。


真尋「クー子、さすがにこれはヤバいって」ヒソヒソ


クー子「……」


真尋「……クー子?」


クー子「……クー音姉さんとはいつかこうやって決着をつけないといけないって、あの時からわかってた」

ゴウッ

真尋「おまえ……」


真尋「おまえ何言ってんだよ! クー音さんは存在すればそこに煙が立つくらいなんだろ!?宇宙での活躍が映画化されたんだろ!?」


クー子「……さすが少年、よく覚えてる」


真尋「褒められても嬉しくないしそんな場合じゃないだろ……!」アセアセ


真尋「今からでもほら、ニャル子とハス太に増援よびかけてさぁ!」


クー子「……それはできない」


真尋「どうしてっ!?」




クー子「……ニャル子が顔を出せば姉さんの殺意が増幅してステータスがきっと大幅アップする」


クー子「そして確実に姉さんはニャル子を始末しようとする。そんな事態だけは避けたい」


クー子「……ハス太君は強力だけど、それでもバーサーカーモードの姉さんに勝てるかは保証できない」


クー子「二人を巻き込むことは、しない」


真尋「クー子……でも」


クー子「……少年は優しい子」


クー子「……前に姉さんが来た時だって咄嗟のお芝居にも協力してくれて、楽しい時間も過ごせた」


クー子「ううん、少年やニャル子たちと一緒にこのお家に居られる、その時間だって十分楽しかった」


クー子「……これはわたしの問題。わたしがけりをつけなくちゃあいけない」


真尋「そんな……そんなこと言っても、相手は」


クー子「だからそんな優しい少年の、力を借りたい」


クー子「わたしには策がある」ザッ


真尋「ま、待てよ!」


クルッ


クー音「作戦会議は終わり?このニセモノ」


真尋(なんで待ってくれてるんだか)


クー子「……姉さん」


クー音「馴れ馴れしく呼びかけるんじゃない!!」


クー子「クー音姉さん」


クー音「……喋るな」


クー子「……わたしを見て」


クー音「……クー子と同じ声で」


クー子「わたしをちゃんと見て」


クー音「喋るんじゃねぇェェよぉぉぉっっ!!」ダッ


真尋(まずい、クー子の懐に一気に踏み込んで……)



ガシッ


真尋(へ?)


真尋(……クー子が飛び退くのはわかる)


真尋(……なぜクー子が僕の腕にしがみついて)














ちゅっ





真尋「……は?」


真尋「はぁ!?」


クー子「……これが、わたし」


\バァーン/


真尋「な、なにやってんだよクー子!こんなことしてる場合じゃ」


クー子「……いや、わたしの選択は間違っていない」


真尋「だってクー音さn、……あれ?」


クー音「」


真尋「固まってる?」




クー音「あはは……、わたしのクー子なのに……少年君に……愛のサイン……ははは……せっかく無理して封印したシーンを……これなんて夢?……あははは」




クー子「敵わないかもしれない相手はまず精神攻撃で削る」


<あははは


クー子「そして全力を出せない夕方に二対一で戦う、これがプロの戦い方というもの」


真尋「それじゃこっちが地球侵略しに来た立場じゃないか殺し屋か」


クー子「……ヒートの女、夕陽に死す」


真尋「おいバカやめろ」


真尋「だいたい根本的な解決になってない気がするんだけど」


クー音「……」シューシュー


真尋(……煙たい)


クー子「……仕方がない。姉さんは言って聞くようなクトゥグアじゃないから」


クー子「髪の毛振り乱して殺そうと襲いかかってくる相手の命を救おうと、その瞬間すでに考えて行動しているくらいの度胸と寛大さがないと無理」


真尋「どうしてそんなピンポイントな喩えを持ち出すかな」


クー子「……なんとなく」


クー子「……それとも少年、解決してくれるの?」


真尋「は?それって……」


真尋(……さっきクー子が僕に何をしたか忘れたのか?)


真尋(つまり根本的解決というのはクー子のこ、婚約者が決まれば良いわけで……)


クー子「……少年?」


真尋「……///」カァッ


クー子「……おー、少年いい表情」


真尋「おい待て」


クー子「恥ずかしがる涙目ニャル子には劣るけど……くふん、ご飯三杯はいける」

ゴスン

真尋「調子に乗るな全部吹き飛んだわ」


クー子「……なるほど。これが少年の愛の拳」


真尋「じゃかぁしい!」







真尋(結局こんなオチ)


真尋(でもそれも悪くない……か)




真尋「さてクー音さんをどうするか、だけど」

サラサラ

真尋「?」


クー子「……少年、姉さんが」ガタッ


真尋「え?」


シューシューシュー
サラサラサラ
プシューン


真尋「砂に……なった?」



クー子「……おかしい。クリムゾンスマッシュは使ってないのに」


真尋「いつファイズギア入手したんだよクー子」


クー子「……ちょっとお値段張ったけど注文せずにはいられなかった。さすが地球ヤバい」


真尋「クー子ってそんなライダー好きだったっけ……ってそんな場合じゃなくて!」


クー子「……焦らないで少年。クトゥグアが病んで砂になるなんて症例は聞いたことがない」


クー子「だから……」


真尋「だから?」


クー子「……」


真尋「……」


クー子「……どうしよう。そこまでするつもりじゃなかったのに」オロオロ


真尋(え、何これ)


クー子「……少年」


真尋「……なんだよ」


クー子「……地獄の底まで、ついてきてくれる?」


真尋「待てそのチョイスはおかしい」


クー子「……チェイス?」


真尋「チョイスだ」


真尋「地獄を見ることになるから関わらないでって忠告する場面で使うべきでしょうが」


クー子「……そこは少年のツッコミスキル補正に期待して」


真尋「そんな補正ないから」


クー子「わたしもご飯はかなり食べる方だし、胸も……小さいよ?」


真尋「……言ってて悲しくならないのか」


クー子「……地獄n「ストップストップッ」


真尋「なんで【はい】を選ばないと先に進めない仕様に入ってんのさ人の都合考えろよ」


クー子「……危機的状況からロマンスが生まれる、ラブストーリーなら王道中の王道」


クー子「少年、わたしと一緒に逃げ「ダメ」……拒絶が速い」クスン


クー子「……もしかしてわたしのこと嫌い?」


真尋「……そういうんじゃないよ」


真尋「そういうんじゃないからちょっと落ち着けって」

クー子「……ほんとに?」


真尋「ほんとに」


クー子「……少年がそう言うなら」


真尋「ほら深呼吸して、ただしラマーズ法は無しだからな」


クー子「……先回りしてボケ潰しだなんて少年ずるい」


真尋「ネタがわかりやすいのと使い回しがいけない」


クー子「……クスン」



真尋「……沸いた頭は治まったか」


クー子「……うん」


真尋「とりあえず今後の方針を考えようか」


クー子「……老後はオーストラリアにでも住む?」


真尋「未来に生きてんな、おまえは嵐を呼ぶ五歳児か」


クー子「……えへへ」


真尋「褒めてないぞ」


クー子「……とりあえず証拠隠滅とアリバイ作r」ゴスン


クー子「……暴力的な男の子は嫌われるよ?」クスン


真尋「これでもかなり控えてるんだけど」ゴゴゴ


真尋「なんでこの話の流れでまだ犯罪教唆できんの」


真尋「その狡猾さとしつこさ、まるでニャル子」


クー子「……」ツー


真尋「……なんで鼻血が垂れるんだよ」


クー子「……ニャル子に似てるって、即日世界が滅びてもいいくらいの最高の褒め言葉」


真尋「おのれの都合で世界を終わらせるなっ」


クー子「夫婦は似てくるもの、これは至言」


真尋「……ブラックホールに捨ててきてもいいかな、この使用済み脳味噌固形燃料」


「……真尋さんもついにその気になってくださいましたか」


真尋「いやだいたいはおまえの責任でも、ってニャル子いつ降りて来たんだよ声かけてよ」


ニャル子「いやー、すみません」タハハ


ニャル子「粛々とお仕事進めていたもので、その、……おなかがですね」


真尋「あっ(察し)」


真尋「……ごめんなニャル子、ドーナツは完成してたんだけど……こっちもいろいろあって」アセアセ


クー子「……ニャル子の為に性魂込めて捏ねたから召し上がれ」


真尋「おまえの場合ジョークにならないからやめてもらおうか」


クー子「……? わたしは事実を告げただけ」


真尋「尚更悪いわ」ズビシッ


ニャル子「……お二人とも元気いっぱい夢いっぱい」



ニャル子「わたしはもう、ダメ……」クタッ


真尋&クー子「ニャル子ーーーーッ!!!」



3.さらば『N』よ/邪神(とも)は風邪のお供に



ニャル子「ふえぇ……真尋さんの手作りおやつ、やはり空きっ腹にしみますねえ」


真尋「前半と後半のギャップはなんだ」


ニャル子「いとけない幼稚園児から悲哀に満ちたサラリーマンまで、全てを網羅し全てを繋ぐ」


ニャル子「世界の破壊者とは、このニャル」


真尋「当て身」ガスン


ニャル子「たわらばっ!?」



ニャル子「食事中にそんなのお行儀が悪いですよ真尋さん」イタタタ


真尋「僕は食事中じゃないし」


真尋「調子乗って変身フェーズに入ろうとしたおまえに言われたくはないな」


ニャル子「てへぺろ☆」


真尋「☆を出すな☆を」


ニャル子「この出来立てほやほやがサクサクして美味しいですのに……うん、美味美味」サクサク


真尋「なんでっ!具現化させてっ!クッキーにっ!」


ニャル子「ほら真尋さん、短気は損気、怒ると体に良くないですよ」


真尋「ぐぬぬ……誰のせいだと思って」


ニャル子「ほら、この手作り☆クッキーでも食べて」


真尋「人のSAN値をどうする気だよおまえっ」


クー子「……ニャル子の味がする」サクサク


ニャル子「な、なんてことをしてくれるんですかぁ!わたしの愛の証が、真心の結晶がぁっ!吐き出せ、吐き出すんですよバカクー子!」


クー子「……ニャル子の結晶をわたしが食し、わたしをニャル子に食べてもらう。そしてまたニャル子のを……クー式無限ループ。ふふふ」


ニャル子「真尋さんフォーク!20本くらい!」


真尋「あー、……お幸せにな」


ニャル子「勘弁してくださいよぉ!」ダバー

真尋(……とまあいつも通りのコント空間なわけだけど)


真尋(何かいるんだよなあ、僕の後ろ、左のななめ45°くらいに)


真尋(こいつらが気づかない……?)


真尋(いや、いくらなんだってそれはない。エージェントだし)


真尋(……僕が妙なスキルをgetしたから僕だけ気づいてるとかそんなのない、絶対ない)


真尋(……な、ないよな?)

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