佐倉「私の誕生日……野崎くんに祝ってもらいたいなぁ……」 (29)

3月25日、佐倉の家

佐倉「……」

佐倉「……覚えてるわけないか」












野崎のマンション

野崎「3月27日か……」

野崎「この日に印をつけておこう」

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3月26日、野崎のマンション

野崎「……」スラスラ

佐倉「……」ベタベタ

佐倉「……!!」

佐倉(あ、あそこにある野崎くんのカレンダー……)

佐倉(私の誕生日の日に……印がしてある!!)

佐倉(の、野崎くん……もしかして私がこの日誕生日だって覚えててくれてるの!?)

佐倉(……)

佐倉(……!!)

佐倉(……違うや)

佐倉(だってあのマーク……締切が近い時にいつもつけてるマークと一緒だもんね)

野崎「……佐倉、どうした? ボーッとして」

佐倉「えっ!? な、なんでもないよ!!」

野崎「佐倉、今日はありがとう」

佐倉「うん! どういたしまして!! じゃあね!!」

野崎「ああ」

佐倉「……」タッタッタッ

佐倉(明日が締切なのにベタ終わらなかったな……)

佐倉(でもベタが残ってるてことは明日……私の誕生日に野崎くんといられるってことだよね!!)

佐倉(それに後ちょっとだけだったし……明日でちゃんと間に合うはず!!)

佐倉(野崎くんが私の誕生日を知らなくても……私は誕生日に野崎くんといるってだけで十分!!)

野崎「……」

野崎「明日か……」

野崎「……」

野崎「……ベタはちょっとだけだな……だったら俺一人でも……」

佐倉「あと数時間で誕生日かぁ……」

ブー……

佐倉「メールだ……誰からだろう」

佐倉「……!! 野崎くんからだ!!」

『ベタがちょっと残ってたのでやっといた だから明日は来なくても大丈夫、ゆっくりして』

佐倉「!!!」

佐倉「えっ……それじゃあ……明日野崎くん家に行けないの?」

佐倉「どうしよう……会いたいけど……野崎くんがゆっくりしてって言ってくれてるし……」

佐倉「野崎くんが気を使ってくれたのに来るのもなぁ……」

佐倉「……」

3月27日

御子柴「おーっす……あれ、佐倉まだ来てねえのかよ?」

野崎「いや、佐倉は今日は来ない」

御子柴「は? でも今日は俺と野崎と佐倉の3人で作業する日だろ? 佐倉、風邪でも引いたのかよ?」

野崎「御子柴……今日は何の日か知ってるか?」

御子柴「? 何の日だよ?」

野崎「佐倉の誕生日だ」

御子柴「!!!!?」

野崎「一年に一回しかない誕生日だ、そんな日にアシスタントさせる訳にもいかないだろう」

野崎「だから前日に俺が今回のベタを終わらせといた」

野崎「そうすれば佐倉はこっちを気にせずに友達と誕生日パーティができると思ってな」

御子柴「……じゃあお前……このカレンダーの印って……」

野崎「ああ、佐倉の誕生日だから印をつけてたんだ」

御子柴「……お前、よく佐倉の誕生日知ってたな」

野崎「当たり前じゃないか」

御子柴「!!」

御子柴(佐倉の誕生日を覚えてるっつーことは……)

御子柴(……考えすぎかもしんねーけど……一応聞いてみるか)

御子柴「……なぁ野崎、佐倉以外のアシスタントの誕生日覚えてるか?」

野崎「お前は2月14日、背景の人は11月28日、若松は9月3日だ」

御子柴「」

野崎「……どうした?」

御子柴「……いや、なんでもねぇよ」

御子柴(佐倉の誕生日だけ覚えてたら脈ありなのかもしれねーって思ったんだけどな……)

御子柴「……よし野崎、佐倉呼ぶぞ」

野崎「? 何言ってんだ、せっかくの誕生日だしわざわざ呼ぶ必要はないだろう」

御子柴「誕生日だから呼ぶんだよ!!」

野崎「?」

御子柴(佐倉のことだ、誕生日は野崎にも祝ってもらいてぇに決まってる!!)

御子柴「お前……だいぶ前に佐倉にドッキリ仕掛けたよな?」

野崎「? ああ……」

御子柴「それをやるんだよ!! 実はベタが残ってたって嘘ついてここに来させて……実は誕生日祝う為のドッキリだったって来たらバラすんだよ!!」

御子柴「漫画のネタの参考にもなるし祝える!! 一石二鳥だと思わねぇか!?」

野崎「しかし折角の誕生日にドッキリをしてまでうちに来させるのは……」

御子柴「なんでそんな頑ななんだよ!!!!」

野崎「それに誕生日を祝うのはメールでもできるし……そういえばまだメール送ってなかったな」

御子柴「文よりも直接祝ってもらう方が嬉しいだろ!!」

野崎「確かにそうだが……もしほかの友達の家に行ってたら……」

御子柴「その時はその時だ!! いいからメール送んぞ!!」

野崎「あっちょっと……」

佐倉の家

『千代ちゃん誕生日おめでとう!!』

『ハピバ』

佐倉「鹿島くんも結月も覚えててくれてたんだ……嬉しいなぁ」

ブー……

佐倉「!! 野崎くんから!?」

『すまない、実はまだベタが残ってた もし都合がよければ今すぐ来てくれないか?』

佐倉「!!!!!」

佐倉「野崎くん家に行ける!!」

野崎「御子柴……本当にこれで良かったんだろうか」

御子柴「いいに決まってんだろ!!」

ブー……

野崎「来たぞ」

御子柴「!!!」

『分かった!! 今すぐ行くね!!』

御子柴(よし!!)

御子柴「そうと決まれば来るまで待とうぜ!!」

野崎「……あっ」

御子柴「なんだよ?」

野崎「誕生日プレゼント……何も用意してない」

佐倉「野崎くんに会える……野崎くんに会える!!」

佐倉「私が早く行かないと……締切に間に合わない!!」








ピンポーン

野崎「はい」

佐倉『野崎くん!! 佐倉です!!』

野崎「ああ、今開ける」

御子柴「来たか!?」

野崎「ああ」

ガチャッ

佐倉「お邪魔しま……」

パアーーン!!!

佐倉「!!!? ク、クラッカー!!?」

野崎「佐倉、誕生日おめでとう」

佐倉「!!!!!」

野崎「……すまない、実はドッキリで……ベタが残ってるというのは嘘なんだ」

野崎「仕事だと思わせて本当は誕生日を祝う為に呼んだんだ」

佐倉「野崎くん……私が誕生日だって知ってたの?」

野崎「ああ、折角の誕生日にアシスタントさせる訳にもいかないと思ってベタは終わらせたんだが……」

野崎「その……まずかっただろうか……ほかの友達と誕生日パーティとかの予定とかあったら……」

佐倉「……」

野崎「佐倉!?」

御子柴「な、なんで泣いてんだよ!?」

野崎「佐倉!! 用事があったんだな!? 俺の方を優先させた所為で友達と誕生日パーティができなくてそれで泣いて……」

佐倉「ち、違うの!!」

野崎「ほ、本当か? だったらなんで泣いてるんだ……?」

佐倉「私ね……凄く嬉しいの」

野崎「!」

佐倉「野崎くんに誕生日を祝ってもらえることが……凄く嬉しいの」

野崎「佐倉……」

佐倉「ありがとう野崎くん……本当にありがとう!!」

野崎「その……ドッキリの感想は?」

佐倉「今までのドッキリの中で一番嬉しいよ!!」

野崎「そうか……それなら良かった」

野崎「実はその……誕生日プレゼントは何も用意してないんだ……すまない」

佐倉「ううん!! 私、祝ってもらえるっていう最高のプレゼントをもらったよ!!」

野崎「佐倉……」

御子柴「……」

佐倉「……みこりん、どうしたの?」

御子柴「あーーーーー!! やべえ!! 忘れてた!!!」

佐倉「ど、どうしたの急に!?」

御子柴「今日、俺の好きなギャルゲーの発売日じゃえねかよ!!」

御子柴「早く買いに行かねえと売り切れちまう!!」

御子柴「わりい佐倉!! お前の誕生日祝いてえのは山々なんだけどよ……俺には待ってる女がいるから!! 許してくれ!!」

佐倉「う、うん……」

御子柴「じゃあな野崎!! 本当にわりいんだけど二人だけでパーティやってくれ!!」ダッ

バタン!!

佐倉「みこりん物凄い速さで行っちゃったね……」

野崎「ああ……」

御子柴「ふう……」

御子柴「……」

御子柴(別に今日は発売日でもなんでもねぇんだけどな)

御子柴(誕生日っつうでっけえイベントに俺がいたら邪魔だもんな……)

御子柴「……」

御子柴(頑張れよ佐倉)

野崎「すまない佐倉……御子柴が帰ってしまって……」

佐倉「う、ううん!! 気にしてないよ!!」

佐倉(誕生日に野崎くんと二人きりでいられるなんて……)

野崎「そうか……今日は何時まで大丈夫なんだ?」

佐倉「あっ! いつも通りだよ!!」

野崎「じゃあ長い間祝えるな」

佐倉「!!///」ドキッ!!

野崎「……佐倉?」

佐倉「な、なんでもないよ!!///」

野崎(佐倉は祝ってくれるだけで嬉しいと言ってくれたが……本当にいいのだろうか)

野崎(……そうだ)

野崎「……佐倉、料理でも作ろうか?」

佐倉「!!!! ほ、本当にいいの?」

野崎「ああ、折角の誕生日だしな……もしかしてこの後家で食べる予定とかあるか?」

佐倉「う、ううん!! ないよ!! ありがとう野崎くん!!」

野崎「どういたしまして」

野崎「……そうだ、料理以外にも何か欲しい物あるか?」

野崎「今日はお前が主役なんだ、なんでも言ってくれ」

佐倉「!!! な、なんでもいいの? ……それって……物以外でも……いいかな?」

野崎「ああ、いいぞ」

佐倉「!! えっ、えっと……じゃあ……」

その後

御子柴「そんで誕生日はどうだったんだよ?」

佐倉「すっごい楽しい1日だった!!」

御子柴(この喜びよう……もしかして……)

御子柴「まさかお前……なんかすげえのもらったのか? それとも遊園地に行ったとか告白したとかか?」

佐倉「野崎くん家でベタしたの!!」

御子柴「いつもと同じじゃねぇかよ!!!!」

〜終わり〜

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