女（10kg）「どう？」





男「うわあああああ！！！」

女（10kg）「痩せたでしょ？」

男「痩せたっていうか、痩せすぎだよ！」

男「ほとんどガイコツみたいになってるじゃないか！」

女（10kg）「そうね……なんだかフラフラするし……」ﾌﾗｯ…

男「いわんこっちゃない！　このままじゃ命が危ない！　早く元に戻るんだ！」

女（10kg）「分かったわ……たあっ！」

女（500kg）「どう？」





男「うおおおおおおおっ！！？」

女（500kg）「ちょっと……戻しすぎたかしら」ﾌﾞﾖﾝｯ

男「ちょっとというか、かなりだね」

男「なんていえばいいのか……自爆寸前のセルみたいになってるよ」

女（500kg）「ど、どうしましょ……」

男「落ち着くんだ。精神を集中させて、体重を元に戻すことだけを考えるんだ」

女（500kg）「そ、そうね……でやっ！」

女（0kg）「どう？」





男「あらああああああっ！！？」

男「どこ！？　どこに行ったの！？」ｷｮﾛｷｮﾛ

女（0kg）「ここにいるわよ」

男「うわぁ、うっすらしてる！　ほとんど幽霊みたいなもんじゃないか！」

男「ちょっと戻し方が極端すぎるよ！」

女（0kg）「しょうがないじゃない！　体重は急に止まれないのよ！」

男「……オーケー」

男「それじゃ１キログラムずつ、ゆっくりと戻していこう。１キロずつだよ」

女（0kg）「分かったわ……やってみる！」

女（1kg）「えいっ……！」

男「よし、実体が出てきた！　そのままゆっくりゆっくり……」

女（2kg）「やっ……！」

女（3kg）「たあっ……！」

男「いいぞいいぞ、その調子だ！」

……

……

女（10kg）「でいっ！」

女（10kg）「まどろっこしいわねえ……」

女（13kg）「やっ！」

男「焦っちゃダメだ！　１キロずつ、１キロずつ……」

女（13kg）「う、うん！」

……

……

……

女（45kg）「よいしょっ！」

女（46kg）「てやっ！」

女（47kg）「はああっ！」

男「――よし、オッケー！」

男「ここでストップすればちょうどいいはずだ！」

女（47kg）「ふう……ずいぶん時間かかっちゃったわね」

男「あとはこの横長になってる体を、縦長に整えれば……」ｺﾈｺﾈ…



ジャン！



女「やっと元に戻れたわ！」

男「ほっ……よかったよかった」

女「苦労をかけたわね」

男「そんなことないよ。恋人として当然のことをしたまでさ」

女「だけど、ここに白髪が一本生えてるわよ」ｸｽｯ

男「え！？」

男（そ、そんな……白髪だって！？　こうなったら……！）

男「だりゃあっ！」

男（0歳）「おぎゃあ、おぎゃあ……！」





女「きゃあああああああっ！！！」

男（0歳）「ばぶぅ、ばぶぅ……」ﾖﾁﾖﾁ…

女「いくら白髪が一本あったからって……若返りすぎよ！」

男（0歳）「ばぶぅ……？」

女「ううう……可愛い。だけど、このままじゃマズイわよね」

男（0歳）「ばーぶぅ……」

女「元に戻って！　お願いだから！」

男（0歳）「だぁ！」

男（302歳）「お、女しゃん……メシはまだかいのう……？」





女「うひゃああああああっ！！！」

女「今度は年を取りすぎよ！　よく老衰にならなかったわね！」

男（302歳）「ん～？　なんといったんじゃ？　わしゃ耳が遠くてのう……」

女「いいから若返って！」

男（302歳）「はぁ～？」

女「若返れっつってんだよ！　ジジイ！」ｸﾞｲｯ

男（302歳）「いででで……年寄りは大切にするもんじゃ……ふんっ！」

男（65歳）「おやおや、微妙な年齢になってしまったな」

女「まあ、また赤ん坊になるよりはマシよ」

女「じゃあ、ここからはさっきのあたしみたく、一つずつ年齢を減らしていきましょう」

男（65歳）「了解」

男（64歳）「ふんっ！」

男（63歳）「はっ！」

女「ふぅ……どうにかなりそうね」

……

……

……

男（25歳）「よっと！」

女「やっと元の年齢に戻れたわね！」

男（25歳）「月単位での調節は難しいから、数ヶ月若返っちゃったけどね」

女「そこはしょうがないわよ。むしろラッキーと思っておきなさいって」

男（25歳）「ハハッ、そうだね！」

男「いやー、お互い元に戻れてよかったよかった！」

女「ホント！　一時はどうなることかと思ったわ！」

男「ごめんよ……俺が変なこと聞いたから……」

女「あたしこそ、たかが白髪の一本、わざわざいう必要なかったのに……」

男「俺は君がどんな体型になっても、君のことが好きだよ」

女「あたしもよ」

男「大好きだ……！」ｷﾞｭｯ…

女「うんっ……！」ｷﾞｭｯ…



友人「お前ら、相変わらずお熱いねえ。熱すぎて、こっちまで火照っちまうぜ」



男女「え！？」

男女（熱すぎるんなら……ああするしかない！）