アンチョビ「…彼氏ねえ」沙織「んっ!?なになにっ?」 (27)

アンチョビ「うわっ、お前どこから出てきたっ!」

沙織「恋の話があるところに私ありだよ!」

アンチョビ「どこから出てきたって訊いてるじゃないか!」

沙織「まあまあ、それはおいていて、だよっ」

アンチョビ「おけっ…まあいいか…で、何しに来たんだ?」

沙織「だから恋の話だよっ!」

アンチョビ「恋ィ…?」

アンチョビ「なんでそんな話になってるんだ?」

沙織「だって今『彼氏』って呟いたよね?」

沙織「欲しいって事だよね!?」

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アンチョビ「い、いや、別にそんなつもりは…」

沙織「えー!欲しくないの!?」

アンチョビ「え…」

沙織「アンチョビさんだって年頃の女の子なんだし、これっぽっちも欲しくないわけではないでしょ?」

アンチョビ「え、いやその…」

沙織「どうなのさ~、誰にも言わないから、ほらほら」

アンチョビ「……」

アンチョビ「…まあ。興味がないわけじゃないが」

沙織「……」フッ

アンチョビ「なんだその顔は」

沙織「いや……やっぱりアンチョビさんもなんだかんだで女の子だねっ」

アンチョビ「うるさいな…」

沙織「いやー、私はてっきりアンチョビさんってピザとパスタとP40が恋人かと思ってましたから」

アンチョビ「余計なお世話だ…」

沙織「へへ~、それでそれで、アンチョビさんってどんな人が……あ、ここじゃなんですね!ちょっと移動しましょう!」

アンチョビ「え、ちょ、おいおいおい! ど、どこに…!?」

―――

沙織「あ、私ケーキセットのチョコレートで…アンチョビさんは?」

アンチョビ「…ショートで」

沙織「……それでそれで、アンチョビさんは一体どんな人がタイプなのかな?」

アンチョビ「…別に、そんなもの」

沙織「ないわけじゃないでしょ?」

アンチョビ「……」

―――

ペパロニ「あ、ああああああ……」ガタガタガタ

カルパッチョ「総帥…」

ペパロニ「アンチョビねえさん……いないと思ったら…!!」

ペパロニ「ねえさんに彼氏……? はっ、そんなものは、必要ない! そう、お前たちがいれば……とかさ…ねえさんなら言うはずだ!」


アンチョビ「…まあ、強いて言うなら……たくましい奴とか」

ペパロニ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ガンガンガン

カルパッチョ「ちょ、ちょっと静かに…!見つかるよ……!」

ペパロニ「た、たくましいぃ~~~? なんだよそれ、どんな奴だ!」

カルパッチョ「たくましい人はたくましいんじゃない…?」

ペパロニ「そういうことじゃねぇ!」

カルパッチョ「じゃあどういう事なの…」

ペパロニ「つまりは…そう、あれだよ。……なんだろうな」

カルパッチョ「なんなの……」

―――

沙織「たくましい、ね。確かにアンチョビさんはなよっとした人はあんまり好みじゃなさそうだもんね」

沙織「他には?」

アンチョビ「え?」

沙織「たくましいってだけじゃ、いっーぱいいるよ? 条件それだけでいいのっ!?」

アンチョビ「え、い、いやだから私は…そもそも彼氏なんて…」

沙織「アンチョビさん、高3ですよね?」

アンチョビ「ああ、そうだが」

沙織「今までに彼氏が出来た試しは?」

アンチョビ「ないが…」

沙織「アンチョビさんっ、高校生っていうのは一番恋が燃える時なんですよ!」

アンチョビ「え、ええ…?」

沙織「そうですよー! 大人じゃないゆえの甘いだけで許される期間…そんな時期に一人も出来た事ないってもったいないよ!」

アンチョビ「そんなものなのか…? し、しかし、今この大事な時期、それに戦車道の事もあるから他の事に気を反らしたくないのだが…」

沙織「ちっちっち」

アンチョビ「?」

沙織「恋人の存在っていうのは大きいんだよ、アンチョビさん」

沙織「それに、それによって戦車道にも影響があるかも」

アンチョビ「ど、どういうことだ?」

沙織「つまり……心の支えができるっ…!」

―――

ペパロニ「あんだとぉ!? じゃあ仲間は心の支えにならねぇっていうのか?!」

カルパッチョ「ちょ、本当に静かに……! 普通に迷惑だから…!」

ペパロニ「だっておかしいだろ! ねえさんにとって、心の支えは私達だ! そうに違いねぇはずなんだ!」



アンチョビ「…つ、つまり、それは…」


ペパロニ「ねえさぁぁぁぁぁん! 疑問にもつなぁぁぁぁぁ!」

沙織「何よりアンツィオ高校の人たちって情熱的っていうか、気持ちが熱い人たちばかりだから、なおいいかもしれないよ」

アンチョビ「戦車道にも通ずるというのは!?」

沙織「つまりはやる気の問題だよっ!」

沙織「彼氏が見に来たら、やる気もりもりになって戦車の扱いにも質が出るってもんだよ!」

アンチョビ「お、おお!」

アンチョビ「…そ、そうだったのか?まさか私達が負け……違うっ、勝率が低かったのは、そういう……?」

沙織「かもしれないね…」

アンチョビ「……はっ」

アンチョビ(そ、そういえば、前に彼氏だとか戦車道女子はすごいモテるだとか、そんな話になったとき、とんでもない結束力と士気だったような……!)

アンチョビ「……そ、そうかもしれないな」

沙織「え?」

アンチョビ「恋人というのも、あってもいいかもしれないな…」

ペパロニ「ね、ねえさんが……あのアンチョビねえさんが顔を赤くして俯いてる……っ!?」

カルパッチョ「珍しい…」

ペパロニ「ぐっ、うっ、ぐぐぐ……!」パシャッ

カルパッチョ「ちょっと」

ペパロニ「止めるなっ、これはなんでもねぇ、ただ戻ったら現像して手元に置くだけだっ…!」

ペパロニ「だけどねえさんっ! お願いだァ、彼氏なんめ作らないでくれよーーー!!」

カルパッチョ「もう本当に静かに!ほらもう、ケーキでもたべて!」

ペパロニ「こんな甘ったるいもの…」ムグムグ

ペパロニ「美味い…」ショボン

沙織「おおっ!?アンチョビさん、その気になってきちゃった?!」

アンチョビ「い、いや、まだそんなつもりではない!ただ、考えてもいいかなと…」

沙織「はは〜、やっぱりアンチョビも女の子!…そうだ!」

沙織「アンチョビさん、まだお時間あります?」

アンチョビ「ん、ああ。大丈夫だ」

沙織「だったら、ちょっと着いてきてくれませんか!? アンチョビさんをもっと女の子にしてみせますよ!」

ーーー

カルパッチョ「…!ペパロニ、二人がお店を出たよ、後を追い…」

ペパロニ「なんだよこれうめーじゃねーか! まっ、私の鉄板ナポリタンにゃ負けるけどな!」

カルパッチョ「ケーキと鉄板ナポリタンを比べない!ほら、行くよ!」

ペパロニ「えー、あと3個…」

カルパッチョ「食べ過ぎ!」

※↑のアンチョビも女の子、のところ『アンチョビさん』です。抜けました

ーーー

アンチョビ「……こ、これでいいのか?」

沙織「わあっ!とっても可愛いですよ、アンチョビさん!」

アンチョビ「そ、そうか?だが私にこんな、ふりふりのワンピースは似合わない気がするが…」

沙織「ちっちっち、そこだよアンチョビさん」

沙織「…そう、それこそ、普段とのギャップだよ!」

アンチョビ「…?どういう……はっ!」

アンチョビ(そういえば前に読んだ本にも、そんなシーン、あったな……!!)

沙織「アンチョビさんだからこそ、似合うんだよ!」

沙織「…そうだ!スカート!スカートとかは?」

アンチョビ「えっ」

沙織「アンチョビさん、今日もですけど軍服じゃないですな。スカート履くだけてもかなり印象変わると思いますよ!」

アンチョビ「そ、そうか?本当に?」

沙織「ええ!」

ペパロニ「ぐぐぐ…」パシャッ

カルパッチョ「…あ、今のは私にも…」

ペパロニ「わぁーてるよ……」

ペパロニ「……だけどねえさん、なんで彼氏なんて呟いたんだろうな」

カルパッチョ「そうねぇ、何か物思いにふけていたかと思っていたらいきなりね…」


沙織「…そういえばアンチョビさん。なんで彼氏って呟いたんです?」


ペパロニ「おっ、いいタイミング」

アンチョビ「え、ああ、いやな…うちの子達に、前に言われたんだ」

アンチョビ「『彼氏いないんですか?』って」

アンチョビ「ほら、戦車女子はモテるんだろう?」

沙織「まあ、そう思ってますね」

アンチョビ「……それで、まあ、いろいろ言われたんだが」

アンチョビ「ちょっと、思い出しちゃってな。私にそんな人、出来るのかなって」

沙織「…出来ますよっ!」

沙織「そういう想いを持つ人には必ず!」

アンチョビ「まあ、別に本当に欲しいわけじゃ」

沙織「アンチョビさんっ!」

アンチョビ「ん?」

沙織「…お互い、頑張りましょうっ!」

アンチョビ「お、おお…」

沙織「よっーし、もっともっと可愛くしちゃいますよ、アンチョビさん!」

アンチョビ「あ、ちょちょ、そんな引っ張るな、こら!」

ーーー

沙織「アンチョビさんって、髪綺麗ですねー…下ろすと、なんかお嬢様みたいですね!」

アンチョビ「う、ううん…やっぱり似合わな……」

沙織「そんなことありません! びっくりするぐらい可愛いです!」


ペパロニ「うおおおおおアンチョビねえさんっ!!」ガンガンガンガン

ペパロニ「な、なあ、見ろよ、やばいって、あれやば……ん?カルパッチョ?」

カルパッチョ「」

ペパロニ「カルパッチョーー!!!」

ペパロニ「ぐ、惜しいが、一旦戻るか…!よいしょっ…!」

ーーー

沙織「……おー、完璧っ!」

アンチョビ「お、おおお…!」

アンチョビ「こ、これはすごいな……私ではないみたいだ」

沙織「本当にどこかの国のお姫様みたい……ふふ、女の子は変身するものですから」

アンチョビ「……」

沙織「…アンチョビさん、今日はそのまま帰ってみません?」

アンチョビ「えっ!?」

沙織「未来の彼氏にいつ見られても大丈夫なように!今から慣れておくんです!」

アンチョビ「…そうか、そういう考え方も…あるか」

アンチョビ「…そうだな!今日はこ、これで帰るとする!」

沙織「はいっ、頑張ってください!」

ーーー

テクテクテクテク…

アンツィオ女子「…ん?」

アンツィオ女子「誰だあれ…」

アンチョビ「……」テクテク…

ペパロニ「ふんふふーん……って……」ガシャンッ!

ペパロニ「あ、あ、アンチョビねえさん……?」

アンチョビ「…ペパロニか」

ペパロニ「あっ、はっ、はひっ!」ビシッ

アンチョビ「…ただいま」ニコッ

ペパロニ(言動が乙女すぎるっー!!?)

ペパロニ「う、ううう……悔しい…悔しいけど…可愛い…すげえ可愛いっす…」

アンチョビ「な、なんで泣くんだペパロニ」

ペパロニ「う、うわぁぁーん!ねえさーん!彼氏なんか作らないでくれよーー!!!」

カルパッチョ「そうですよーー!!!」

アンチョビ「な、なっ!?」

アンツィオ女子「なにっ!?姉御に彼氏!?」

アンツィオ女子「マジですか!!宴だ宴!!」

アンツィオ女子「こういう時はなんだ?赤飯!?」

アンツィオ女子「なんでもいい、とにもかくにもピッツァとパスタだー!!」

アンチョビ「まっ、待てお前たち!誰も彼氏が出来たなんて…!」

アンチョビ「ねえさぁぁあん、アンチョビねえさぁぁぁぁん!」ウォーイオイオイオイ

カルパッチョ「うぇぇぇえぇぇん……」ポロポロ

アンチョビ「だっーー!!離れんかーーーい!!」

アンチョビ「やっぱり気の所為!勘違いだ!一瞬でも戦車道に通ずるかもなんて考えた私が馬鹿だった!!彼氏なぞいらん!!!」


アンチョビ「だからはーなーれーろー!!!」

ウォオオオオオ…


おわり

映画でスタッフロールのところのアンツィオ勢が尊い。ありがとうございました

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