渋谷凛「(気まずい)」鷺沢文香「(気まずい)」
渋谷凛「(気まずい)」鷺沢文香「(気まずい)」 - SSまとめ速報
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これの続きです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458500192
―――待ち合わせ
文香「(1時間前...早く着き過ぎたようです)」
文香「(今日は凛さんとの初のランチ...なのですが、どう致しましょうか...)」
文香「(凛さんと出かけることは苦ではありません)」
文香「(問題は私が男性とプライベートで出かけた経験がないため、凛さんを満足させられるか...という点です)」
文香「(しかし、私にも年長者としての一握りのプライドはあります。なんとかしてみせましょう)」
凛「(1時間前か...ちょっと早く着き過ぎたかな)」
凛「(文香はまだ...だよね。ちょっとメールしてみようかな)」
凛「(『おはよう。今日はエスコート頼むよ』っと...こんな感じでいいかな。送信!)」
「♪~」
凛「(Never say neverだ...誰かが着信音にしてくれてるのかな...ってあれ...!)」
凛「(文香だ...)」
文香「(凛さんからメールが来たようです...内容は...ふふ、凛さんらしいですね)」
文香「(『お任せください』...と。送信、です)」
「♪~」
文香「(この曲はBright Blue...?どなたか存じ上げませんが着信音にしていただいているようです)」
文香「(...もしかして)」
文香「(凛さん...)」
凛「...」ペコリ
文香「...」ペコリ
凛「(なんで会釈しちゃったんだろう)」
文香「(何故、会釈されたのでしょうか...)」
凛「おはよう。早いね」
文香「おはようございます。凛さんこそ」
凛「ふふっ、そうかもね」
文香「ですね」
凛「...」
文香「...」
凛「(ここからどうしよう)」
文香「(ここからどうしましょう)」
文香「そ、それではまだお昼には時間がありますし散策でもいかがでしょうか...?」
凛「うん。文香に任せるよ」
文香「では...」
凛「えっ?待って。何?」
文香「すみません...てっきり手を繋ぐものかと」
凛「あー。うん、手か。いいよ」
文香「それでは...」
凛「...」
文香「...」
凛「(思ってた100倍恥ずかしい...)」
文香「(これは想像の100倍恥ずかしい...)」
文香「ここなど、どうでしょう?見て行きませんか」
凛「アクセ屋さんか。そうだね、入ろうか」
文香「衣装で身に付けることはありますが自分のために購入したことはなかったので新鮮です」
凛「そうなんだ。もったいないな」
文香「もったいない...とは?」
凛「文香、綺麗だからさ。もっと着飾ればいいのにと思って」
文香「...」
凛「(私、何口走ってるんだろう...)」
文香「すみません。気の利いた返しが出てこなくて...」
凛「い、いや!私の方こそなんかごめん。あんなこと言われても困るよね」
文香「いえ、凛さんにそう言っていただけることは嫌ではありませんでした...寧ろ嬉しく思います」
凛「...」
文香「...」
凛「(この反撃は反則...)」
文香「(顔が朱くなっていないといいのですが...)」
凛「これとか、どう?」
文香「ネックレス...ですか?」
凛「そう。私のと似てるし」
文香「お揃い、ですね」
凛「そうなっちゃうね。嫌...かな?」
文香「嫌ではありません」
凛「じゃあ、これ買ってくるね」
文香「い、いえ。自分で購入するので...」
凛「いいから。これは私から贈らせて」
文香「では、お言葉に甘えて」
凛「はい、買ってきたよ」
文香「凛さんに付けていただいてもいいですか?」
凛「うん」
文香「(顔が...近いです)」
凛「(顔が近い...)」
文香「(私の方が歳は上でも身長は少し凛さんより小さいのですね...)」
凛「よし。ふふっ、似合ってるよ」
文香「ありがとうございます」
凛「ちゃんとこれからも付けてね?」
文香「もちろんです。それはそうとアクセサリーについてなのですが」
凛「えっ、何?」
文香「アクセサリーを贈ることは所有欲や独占欲の表れだそうです」
凛「...」
文香「...」
凛「(...知らなかった)」
文香「(私は何を言っているのでしょうか...)」
凛「そろそろいい時間だね」
文香「そうですね」
凛「お昼、どこにする?」
文香「そこの道を入ったところにおいしいお店があるそうです」
凛「じゃあそこにしようか。わざわざ調べてくれたんだ」
文香「はい。他でもない凛さんのためですから」
凛「ふふっ、お世辞でも嬉しいよ。ありがとう」
文香「(おや...不発のようです)」
凛「(よし。耐えた...無意識にこんなこと言うのずるい)」
凛「結構混んでるね」
文香「心配ありません」
凛「予約してくれてたんだ」
文香「はい。万全の準備をしてあります」
凛「ありがとう。こんなところまで気配りができる文香は素敵だと思うよ」
文香「不慣れとは言え大切な方のエスコートですから。不備があってはならないと思いまして」
凛「(...たいせつ!?)」
文香「(少し...クサかったでしょうか...)」
凛「文香は決まった?」
文香「はい。私はこのカルボナーラにしようかと」
凛「じゃあ私はこっちのペペロンチーノにしようかな」
文香「じゃあ...とは?」
凛「2種類食べられる方がお得でしょ」
文香「それもそうですね」
文香「私の方が先に来たようですね」
凛「おいしそうだね」
文香「...」
凛「どうしたの?食べてていいよ」
文香「せっかく二人で食べるのですから二人でいただきますがしたくて」
凛「(かわいい...)」
文香「おいしいですね」
凛「うん、すごく。こっちのも一口食べる?」
文香「それでは...あーん」
凛「(えっ...嘘?本当にやるの?)」
文香「どうかなさいましたか...?」
凛「な、なんでもないよ。はい、どうぞ」
文香「ふふ、おいしいですね。すごく」
凛「でしょ?そっちのももらっていいかな」
文香「もちろんです。どうぞお取りください」
凛「えっ」
文香「ふふ、冗談です。はい、あーん」
凛「...おいしい」
文香「ごちそうさまでした」
凛「ごちそうさまでした」
文香「さて、次はどこに行きましょうか」
凛「今日は文香に任せるってば」
文香「それでは...あちらのお店などはいかがでしょうか?」
凛「お花屋さんか...うん、いいね。私もかっこいいところ見せられるし」
文香「ふふ、楽しみにしています」
文香「綺麗ですね」
凛「うん。やっぱり花のある生活っていいと思うよ」
文香「では、ここは私から凛さんに贈っても?」
凛「文香が選んでくれるならなんでも嬉しいよ」
文香「お花屋さんの方に素人が花を贈るなんてお恥ずかしい限りですが...」
凛「ホントになんでも嬉しいから大丈夫だよ」
文香「では、こちらを」
凛「シザンサス...か。ありがとう、素敵だと思うよ」
文香「花言葉などはあるのですか?」
凛「うん。えっとなんだったかな...忘れちゃったみたい」
文香「そうですか」
凛「ごめんね。花屋なのに」
文香「いえ、こちらこそすみません」
凛「(言えるわけないよ...)」
文香「(凛さんに見せ場を作るつもりがこれは失敗でした...)」
文香「それでは、そろそろ」
凛「あー。もうこんな時間か」
文香「楽しい時間とは過ぎるのが早いものですね」
凛「ホントにね。レッスンの時間は長いのに」
文香「ふふ、また明日からお互い頑張りましょう」
凛「うん。じゃあ今日はありがとう」
文香「こちらこそ。こんなものでよろしければまたいつでも」
凛「ふふっ、またね」
文香「はい。また」
おわり
ありがとうございました。
完全に私の趣味なのですが渋谷凛視点で地の文を入れたものを用意しているため
そちらも投下させていただきます。
今日は文香と初めてのランチ。
試行に試行を重ねて選んだコーデにちょっと高い香水。
頭の中でシュミレーションは何度となく行った。
ばっちり、だと思う。たぶん。
現在時刻は待ち合わせの1時間前、遅いよりは早い方がいい...よね。
まだかなり時間あるけどちょっとだけ文香にメールしちゃおうかな。
件名は...なしでいいか。本文は『おはよう。今日はエスコート頼んだよ』...でいいかな。
送信っと。
送信して間もなく近くで誰かの携帯電話が鳴った。私の曲だ。
着信音にしてくれてるなんてちょっと恥ずかしいけど嬉しいな。ファンの人かな。
なんて考えながら音の方を向くと文香を見つけた。
私の曲を着信音にしてるんだ。よし、ゆっくり近づいて声をかけよう。
そんな私の悪巧みは一瞬にして水泡へと帰した。
メールだ。私の携帯が文香の曲を吐き出し始めると文香もこちらに気付いたようで携帯から顔を上げこちらを向いた。
目が合った。条件反射で会釈をしてしまう。
すぐに話しかければいいのに。
「お昼まではまだ時間があるからどこかぶらつこう」という文香の提案で私達はウィンドウショッピングへと興じることにした。
お店の前をゆっくりと通り過ぎていく中、文香があるお店の前で足を止める。
アクセサリー屋さんだ。
お店の中に入るとリングやネックレスなど多種多様なアクセサリーがきらきらしていて、見ているだけでも楽しかった。
そんなアクセサリーの中に自分が首に付けているものと似たものを見つける。
これ、文香にプレゼントしたいな。
そう思うと同時に言葉が出ていた。
「これとか、どう?」
文香も気に入ってくれたようで、私はこれを文香にプレゼントすることにした。
レジで会計を済ませ文香の元へと戻ると、文香が私に付けて欲しいって言ったから
私はネックレスの留め金を外し、文香のうなじへと手を回す。
顔が近い。
耳元で息遣いが聞こえるのと文香の髪の匂いとが妙にリアルで変な気分になりそうだった。
ネックレスを付けてあげると文香は「どうですか?」と言わんばかりに胸を張るので
「似合ってるよ」と言うとただ「ありがとうございます」と言った。
ちょっとだけ頬が朱かったのが収穫、かな。
なんでも文香が言うにはアクセサリーを贈ることは、独占欲みたいなものの表れらしい。
あながち間違ってないのが悔しいかな。
だって、普通の気持ちじゃない?
自分の欲しいものを自分だけのものにしたい、ってそんなに変なことかな。
私は変じゃないって思うけれど。
アクセサリー屋さんを出るころにはお昼を食べるのにいい時間だったから
文香の案内でお店へと向かう。
イタリアンらしい。楽しみだな。
お店は混雑していたけど文香が事前に予約を取っていたみたいでスムーズに入ることができた。
用意周到、っていうのかな。よくわからないけどこういうところでやっぱりお姉さんなんだな、って実感する。
席に座ると店員さんがおしぼりとお水、それとメニューを持ってきてくれた。
文香がメニューを受け取るとこちら側が正面になるように開いて机の中央に置く。真面目だなぁ。
文香がカルボナーラを頼んだから私はペペロンチーノを頼んだ。
二人で同じものも素敵だけど違う味を楽しめるのも素敵だと思ったから。
料理は同時には来なかったけれど、文香はわざわざ待っててくれた。
こういうところもすごいなぁ、って思うんだ。
そうして、私の料理が来て揃っていただきます。
ある程度食べたところで、私が「こっちも食べる?」と聞くと文香が口を開ける。
所謂、あーんっていうやつだ。
恥ずかしがってても仕方ないしフォークでくるくると巻き取り文香の口へと運ぶ。
「美味しいですね」と文香が言う。
「でしょ?」と私が返す。
これで文香の番は終わって、次は私の番。
そんな感じで2倍、いやそれ以上かな?お昼を楽しんだ私達はお店を出た。
お会計はきっちり割り勘。
こういうのは平等が一番だと私は思う。歳は違うけれど対等でありたいし。
最後の行先も文香に任せ、また街をふらふらと歩き出す。
たくさんのお店の中で文香が選んだのはお花屋さん。
そこで私はプレゼントをもらっちゃった。
シザンサスの花。
綺麗なラッピングをしてもらいお花屋さんを後にする。
「では、そろそろ」と文香が言うので私も「今日はありがとう」と礼を述べ
私達は解散ムードに包まれる。
最後はさよならじゃなくて、またねで締めくくる。
さぁ、明日からも頑張ろう。
おわり
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