偽物「俺は勇者だよ!」 (12)
試験官「……君は不合格だ。」
男「え?」
この瞬間、男は勇者試験に落ちた。
男「何でだ!俺はこの人数を相手に生き残ったんだぞ!」
だが男は納得出来なかった。
国の代表である勇者に成ろうとする者は決して少なくない。
なので最初は参加者達を百人単位で分け、バトル・ロイヤルで生き残った一人を次の試験に進ませるのだ。
試験官「ハァー、男くん君は確かにこの人数を相手に一人勝ち残った、それは称賛に値するものだよ。」
試験官は面倒くさそうな顔をしながら答える。
男「だったら!」
試験官「でもね~君には魔力が殆どない、そして若くもない、そんな君が頑張って勇者試験に合格して、勇者に相応しい者になる為の修行をしたとしても伸び代が全然ないんだよ。」
男「だとしたら!俺の今まで努力は無駄だったのか?才能がないだけで次の試験には進めないのかよ!!!」
試験官「そういうこと、確かに知恵と工夫で最後まで生き残るのはすごいけど残念だったね、次の試験には最後に君と戦った者を進ませるよ。」
試験官「彼は、魔力の量も常人以上だったからね。」
男「……クソ!」
男は合格した者を睨みつけると悔しさのあまり手の平が出血してしまうほど強く握った。
試験官「…どこに行くんだい?今から倒れている者達、全員に回復魔法をかけるからその範囲内に立ってくれるな?
君もそうとう傷を負ってるだろ?」
男「……必要ない」
試験官「そうか、じゃあね、気をつけるんだよ」
男が街の方へ歩いていくのを見たあと、試験官は広範囲に回復の魔法をかけた。
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金貸し「男さん…嘆くのは良いんですけど、はやくお金…返して貰えませんか?」
下っ端「へへ、返さないとまたサンドバッグだな男」
巨体「……最近は運動不足だ!しっかり殴らせて貰うぞ!」
男「……金貸し、今日は本当に金がないんだ!見逃してくれないか?」
男は今や、食事さえまともに食べれないのだ!
返せるわけがない。
金貸し「……ダメだ!お前は今からサンドバッグだ!」
巨大「……腕がなるぜ!」
それから数十分、男は嬲られ続けた。
男「……ハァ、ハァ痛い痛い」
金貸し「……分かりましたか?金を返さないとこの様な目に合うんですよ?殺さないだけありがたく思ってください」
男「ふふ、だったら殺せよどうせ俺がどうやっても借金を返せないのは分かってるだろ?」
金貸し「……それはないですよ、何の益にもなりません、お金が戻ってくる可能性が減りますし何より巨体君の運動不足の解消の方法が無くなります」
男「チッ!悪魔かよ」
金貸し「……悪魔とは凶悪ですね、せめて小悪魔と呼んでください!」
金貸し「それに、本当に貴方が借金を返す方法はあるんですよ」
金貸しは指を立てながら言う。
男「…内臓売ったりするんだろ?分かってるさ」
金貸し「まさか!そんな野蛮な事はしませんよ!ものすごく簡単で子供でさえ出来ることですよ」
男「……何だよその方法って?」
金貸し「ふふふふ、犯罪者を狙った賞金稼ぎですよ」
男「……はあ?危険じゃねぇーか!!!」
男「指名手配の少女を探せか…確かに危険はないが賞金が1億ゴールドとは凄いな、何をやったんだ?こいつはよ」
男は指名手配書を見つめて言う。
写っているのはどう見ても20歳は超えていない少女で備考欄には戦闘能力一切無しと書かれていた。
男は新聞を読んでいなかったので少女が起こした事件の事は分からなかった。
男「…まぁ、この町に潜んでいると言ってたけど、どうなるかな?」
金貸しが男の傷を魔法で癒しながら、少女がこの近くでよく目撃されていると言っていた。
噂だが、あの金貸しが信憑性のない情報は言わないだろう。
男「…本当に落ちたなぁ金のために少女を捕まえようとするなんて……コレじゃあ勇者になれなくて当然だな…」
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