剣道「ダメねー。棍棒と石だけじゃ獲物を狩るのも一苦労よ」
メガネ「小さい獲物ならまだしも、大きな獣は狩れませんね」
会長「困ったわね」
劣等生「それならこれを使ってみてください」すっ
剣道「何このとんがった棒!?」
劣等生「それは俺が開発した『槍』という武器だ」
メガネ「すごい・・・!どうやって石をこんな風に尖らせたんですか!?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458212543
劣等生「この黒い石を縦に割ると自然に鋭くなるんだ」
剣道「自然に鋭くなるの!?」
会長「すごいわ劣等生くん!こんな方法があったなんて・・・!」
妹「さすがはお兄様です。ただの石であろうとも軽視せず、よく観察し利用しておられます」
バス女「なかなかできることじゃないよ」
劣等生「なに、たいしたことはしていないさ」フッ
メガネ「これなら大型の獲物にも対抗できますね!」
風紀「やるじゃないか!」
会長「困ったわね。お肉が固くて噛み切れないわ」
風紀「せっかく劣等生が開発した武器で獲物を狩ったというのにな」がじがじ
メガネ「これでは食べられませんね」
劣等生「ならば、これで肉を焼いてみるといい」
メラメラ
剣道「なにこの熱いの!?」
メガネ「それに、光っています!」
劣等生「これは俺が開発した『火』というものだ」
剣道「火!?火ってなに!?」
会長「聞いたことがあるわ・・・雷が木に落ちた時にたまに発生するものね?」
風紀「まさか!その火を自力で起こしたというのか!?」
劣等生「はい。あまり知られていませんが、木をこすり合わせたり石を打ち付けたりしても火は発生するんですよ」
風紀「君というやつは・・・!!」
妹「さすがはお兄様です。お兄様はあらゆる自然現象にも精通しておいでです」
バス女「なかなかできることじゃないよ」
剣道「劣等生くんすごい!」
劣等生「なに。少々規格外なものでな」フッ
剣道「劣等生くんのおかげで肉も美味しく食べられるね」もぐもぐ
会長「でも、肉は焼くと脂が落ちてしまうからなんだかもったいないわね」
ポタポタ ジュッ
メガネ「仕方ありませんよ」
劣等生「いや、これを使えば脂もそのまま食べられるぞ」ゴトッ
風紀「なんだこの物体は!?」
剣道「水をためられるのに、火にもかけられるの!?」
劣等生「これは俺が開発した『土器』という調理器具だ」
メガネ「土器?土器とはいったい・・・??」
劣等生「これを使って肉を“煮て”みてください」
剣道「煮る・・・?」
会長「聞いたことがあるわ。熱した水で食べ物を柔らかくする技術ね」
劣等生「そうです。これならば、煮汁として肉の脂も摂取できます」
風紀「なんという発想だ・・・!!」
妹「さすがはお兄様です。このように手軽に調理ができる物を作ってしまうとは!」
バス女「なかなかできることじゃないよ」
剣道「この煮た料理、すごく美味しいよ!」ズズッ
劣等生「たいしたことではないさ。より効率を求めた結果にすぎない」フッ
剣道「うーん!この岩重くてどかせないよー!」ぐいーっ
メガネ「せっかく土器を作るのに使う粘土を取りにきたのに、この岩をどかさないといけないなんて」
劣等生「それなら、こうしればいい」グッ
ゴロン!
会長「劣等生くん、どうやったの!?」
風紀「あの大岩がいとも簡単に動いたぞ!?」
剣道「劣等生くん、そんなに怪力だったっけ!?」
劣等生「いや、ただ『てこ』を使っただけだ」
メガネ「てこ?てこというのはなんですか?」
劣等生「てこというのは、この棒を使い適当な位置に支点となる物を設置して力を加えるんだ」グイッ
会長「すごいわ劣等生くん!まるで力が何倍にもなっているみたい!」
風紀「こんな技術までつくりだしてしまうなんて・・・君というやつは!」
妹「さすがはお兄様です。ただの棒でもお兄様が活かせばすばらしい道具となります」
バス女「なかなかできることじゃないよ」
劣等生「なに、しょせんはただの棒。俺でなくともいずれ誰かが発見していたさ」フッ
劣等生「ふむ、今日の太陽の影の長さはここまでか・・・」カリカリ
会長「劣等生くん、なにをしているの?」
劣等生「太陽の影の長さを記録していなした。『暦』や『時計』を作れないかと思いまして」
会長「暦・・・?」
剣道「それに、この模様みたいなのなに?」
劣等生「それは俺が開発した『文字』というものだ」
メガネ「文字というのなにに使うんですか?」
劣等生「こうして“書いて”記録しておけば、あとからでも何があったのかがわかるだろう?」
風紀「ふむ。だが、太陽の影の長さを記録する意味は?」
劣等生「熱い日が続く時期が連続したり、寒い日が続く時期があることはご存知ですね?」
会長「ええ、だいたい交互に寒い時期と熱い時期があるわよね」
剣道「へー、交互になってたんだ!私気がつかなかったよ!」
劣等生「はい。それらを仮に『季節』と名付けました」
会長「季節・・・」
劣等生「その季節には太陽の位置や日の長さが密接に関係しており、それらをまとめたものが暦です」
メガネ「すごい発明です劣等生さん!」
妹「さすがはお兄様です。日々のささいな変化にも注視し、重大な発見に結びつけておいでです!」
会長「この暦が完成すれば、明日や明後日の天気がわかるかもしれないのね!?」
バス女「なかなかできることじゃないよ」
劣等生「ええ。現段階では可能性の域を出ませんが、いずれは可能でしょう」フッ
ビュォォォォ!
剣道「ううっ、寒いよぉ・・・」ブルブルブルブル
メガネ「劣等生さんの暦のおかげで季節はわかるようになりましたが」ガチガチガチ
会長「この寒さはこたえるはね」ブルブル
劣等生「みんな、これを“着て”みてくれ」バサッ
風紀「なんだこれは?獣の毛皮のようだが・・・」
劣等生「これは俺が開発した『服』というものです」
剣道「すごい!これ着るとあったかいよ!」
メガネ「これなら寒い季節も越えられそうですね!」
会長「なんだか今まで裸だったのが“恥ずかしい”くらいね」
風紀「ははっ、奇妙な感情だな」
劣等生「そうかもしれませんね」
妹「しかしお兄様。服を着てもなお今回の寒さは一段とひどいものですね」
劣等生「そうだな。おそらく『神』の機嫌が悪いのだろう」
風紀「神?神とはなんだ?」
劣等生「この世界を作った偉いお方です。神の機嫌しだいで天気も変わる」
メガネ「そんな偉いお方がいらっしゃっただなんて!」
会長「なるほど、この寒さも神様の仕業だったのね」
剣道「う~~、神様のせいで私たち寒いよー!」
会長「それで劣等生くん。神様はどうしたら機嫌を直してくれるのかしら?」
劣等生「この『酒』を捧げると良いでしょう」
風紀「なんだこの匂いのする液体は・・・!」
劣等生「これは果物を潰してしばらく保管したものです。これを神に捧げ、皆で飲めば自然と神の機嫌も良くなると思いますよ」
剣道「あ~、この酒って飲むと変な気分・・・」ふらふら
劣等生「神に近づいた証拠だろう」
メガネ「なんだかあったかいです~」ほかほか
劣等生「少しは神の機嫌も良くなったのかもな」
妹「さすがはお兄様です。たとえ方便でも、人にはどうにもならない現象を神の責任として皆の気持ちをまとめあげました!」
バス女「なかなかできることじゃないよ」
劣等生「時には必要な嘘というのもあるということさ」フッ
おしまい!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません