めぐみん「おかえりなさい。カズマ」カズマ「ああ。ただいま。めぐみん」 (50)

■魔王討伐作戦 前夜

カズマ(ついに明日は魔王の城に乗り込んで、最終決戦をする日)

カズマ(その前に俺は……1つどうしてもやり残した事があった)

カズマ(前の俺なら、絶対に『死亡フラグだろ!それ!』と馬鹿にしたと思う)

カズマ(でも、俺は……絶対にやらなきゃいけないと心に決めていた)

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めぐみん「ここまでの道のり……長かったですね」

カズマ「ああ」

めぐみん「まさか、ほぼすべての幹部を私たちが倒すなんて……。ふふっ。過去の私に教えてあげても絶対に信じてくれないでしょうね」

カズマ「ああ、そうだな」

めぐみん「どうしたのですか?カズマ。緊張しているんですか?」

カズマ「まぁ、そうだな……」

めぐみん「私の好きな人はそんな小心者ではありませんよ。どんな相手でも『しょうがねえなあ』と言いながらどうにかしてくれる、そんな人なんです」

カズマ「……」

めぐみん「ほら、いつまで臆病風に吹かれているんですか?大丈夫です。ダクネスやアクア……そして、私も一緒です。安心してください」

カズマ「ふぅ……。だから心配なんだけどな」

めぐみん「おい、それはどういう事か詳しく説明してもらおうか?」



「結婚してくれ-------めぐみん」





 

めぐみん「え?」

カズマ「この戦いが終わったらさ、結婚してくれないか?」

めぐみん「か、カズマ?」

カズマ「いや、俺も決戦前夜とかに馬鹿な事を言っているのはわかってる」

カズマ「でも、その、えーと、あれだよ。俺はお前の事が好きなんだ」

カズマ「だから、そのだな。あれ?自分でも何言っているかわからないんだけど……」

めぐみん「大丈夫です。時間はあります。ゆっくり話して大丈夫ですよ」

カズマ(めぐみんが微笑んでる……。ああ、俺はこれだけで強くなれる)


カズマ「正直、俺にとっては魔王なんてどうでもいいんだ」

カズマ「もっと本音を言うと、魔王とは関係ない所で冒険者も止めて、ひっそり暮らしていきたい」

カズマ「だが、魔王を倒せば、お前や----俺たちの子供が平和に暮らせる世界が作れるなら----」

カズマ「俺は魔王だって倒せると思う」

カズマ「だから、俺には理由が欲しい。お前を守れる理由が欲しい。未来を平和にしたい理由が欲しい」

カズマ「めぐみん。好きだ。魔王を倒したら、一緒に暮らさないか?」


めぐみん「まったく、あなたはバカですね。そんなの本当に死亡フラグじゃないですか」

カズマ「だ、だよな。いいんだぞ?無理しなくて、ほら雰囲気に流されてこんな俺と結婚なんて嫌だよな?」

めぐみん「本当にバカです。まさか、私が断ると思ったんですか?」

カズマ「え?」




「ええ。魔王を倒して私たちの子供が平和に暮らせる世界を作りましょう」




 

 
  *  *  *


カズマ「今だ!やれ!めぐみん!!!」


めぐみん「『エクスプロージョン』ッッ!」



\ドカーーーーン/



アクア「やった!倒した倒したわよ!やったーーーーーー!!!」

ダクネス「ふぅ……さすが魔王。激しい攻撃でいってしまう所だった。色んな意味で」

カズマ「うおおおおおおおおおお!!!やったーーーーーー!!!!!」

めぐみん「カズマやりましたね」


カズマ「ナイス爆裂」(`・∀・´)bグッ!

めぐみん「ナイス爆裂」(`・ω・´)bグッ!

 
  *  *  *



「結婚おめでとうーーーー!」



ダクネス「おめでとう、めぐみん」

めぐみん「ありがとう、ダクネス」

ダクネス「だが、私たちの中で、一番年下のお前が最初に結婚するなんて思ってもいなかったぞ?」

めぐみん「ふふっ♪」

ダクネス「お前!わざとらしく鼻で笑ったな!絶対にカズマよりいい男を見つけてやるからな!」

めぐみん「ええ、頑張ってください。ダクネス」

ダクネス「ああ、おめでとう。これから幸せにな。めぐみん」





アクア「お祝いの花鳥風月♪」

「おぉーすげー」

アクア「ふふん♪」

めぐみん「さすが、アクアですね」

アクア「でしょー。さすが私よねー。さてそんなすごい私が……」

めぐみん「え?」


アクア「汝-。めぐみん。この私が二人を慈しみ深く守り、困った事があったら私が助ける事を誓いましょう」

めぐみん「アクア……」

アクア「もし、ヒキニートが困った事をしたら、いつでも私に相談するのよ?今の誓いは絶対なんだから、いつでも助けてあげるわ」

めぐみん「ふふっ。ええ、そうします。ありがとうアクア」

アクア「ふふん♪」

 
  *  *  *


うぎゃあああああ


カズマ「おぉ!女の子だ!女の子の赤ちゃんだぞ!めぐみん!」

めぐみん「はぁはぁ……はぁ……」

カズマ「頑張ったな!さすがめぐみんだ!」

めぐみん「当たり前です。次期魔王のこの私が出産くらい……」

カズマ「おい!冗談言ってないで見ろよ!ほら俺たちの子供だ!」

赤ちゃん「わぁぁぁん」

めぐみん「ああ……まるで……」

カズマ「ああ!お前にそっくりで天使みたいだ!ああ!もう!本当にありがとうめぐみん!」

めぐみん「何を泣いてるんですか……。まったくカズマは肝心な所でダメですね」

カズマ「仕方ないだろ!こんな嬉しい事ないんだよ!」

めぐみん「ふふっ。ありがとうカズマ。私、今すごく幸せです」

カズマ「何言ってんだ!これからもっと幸せになるんだろうが!」

めぐみん「約束ですよ?もっともっと幸せにしてくださいね?」

カズマ「ああ!三人でもっともっと幸せになるぞ!」




めぐみん「----はい♪」

 
  *  *  *



めぐみん(カズマが昔住んでいた国の料理知識を使って、小さな料理屋を開いた)

めぐみん(魔王討伐資金と、その料理屋の収入で、私たちは不自由なく暮らせている)

めぐみん(ふふっ。そういえばアクアは最初信じてくれませんでしたね)

アクア『そんなぁ!!ヒキニートが家族のために働くなんて!というか私に相談が全然来ないんですけど!少しは頼ってよ!』

めぐみん(結婚してよかった……本当にあの人と結婚してよかった……)


ガララッ


めぐみん「おかえりなさい。カズマ。今日もお仕事お疲れ様でした」

カズマ「ああ、ただいま。めぐみん。今日も赤ちゃんの面倒見てくれてありがとうな」

めぐみん「おっと。礼はいりませんよ。だって、私達二人の子供ですから」

カズマ「そうだったな」

めぐみん「です♪」


めぐみん(ああ……。幸せ……)

めぐみん(本当に幸せ)

めぐみん(この人と一緒ならどんな困難だって怖くない)

めぐみん(だって、魔王ですら倒してしまった私達に怖いものなんてないのだから……)

 
  *  *  *





「------という夢を見た」



めぐみん(ああ……)

めぐみん(ああ……ああ……)

めぐみん(憎い。憎い。なんで夢の中の私はあんなに幸せそうなんだろう……)

めぐみん(何度こんな夢をこんな夢を……ああ、カズマ)





「なんでいなくなってしまったんですか。カズマ-----」




 

 
  *  *  *



ダクネス「魔王を討伐して約半年……」

めぐみん「……そうですね」

ダクネス「今日も帰ってこないか……」

めぐみん「……」

ダクネス「まったくカズマとアクアは何をやっているんだ!」

ダクネス「魔王を倒したと思ったら、二人とも急に消えてしまって!」

めぐみん「たぶん、元の世界に帰ったんだと思います」

ダクネス「え?」

めぐみん「実を言うと一度『本当に、異世界なんだなあ……』とカズマが言っていた事があって……」

ダクネス「な、なにを言ってるんだ?か、カズマが異世界から来たと言うのか?」

めぐみん「私だって信じたくありません。……ですが、カズマは私たちの常識を知らない……逆にカズマは、私たちの常識以外の事を知っている」

めぐみん「何度かカズマの国の話を聞きました。私は紅魔族。色んな本を読みましたが、カズマがいう国なんて聞いたこともありません」


ダクネス「……そういえば、アクアも……」

めぐみん「はい。アクアが『私、女神なのよ』とか言ってましたが、案外本当で、カズマも神様の一人だったのかもしれませんね」

ダクネス「だ、だといってもだ!何で一言もないんだ!」

ダクネス「私たちはその程度の関係だったのか!仲間だと思っていたのは私とめぐみんだけだったのか!」

めぐみん「……」

ダクネス「違う!あいつらだって、あいつらだって……あいつらだって私たちの事を仲間だと思っていてくれたはず……だっ……うぅ」

めぐみん「泣かないでください。ダクネス」

ダクネス「めぐみん……。お前は強いな。本当はお前が泣きたいだろうに……」

めぐみん「あの二人の事です。きっと……きっと、ひょっこり帰ってきますよ」

ダクネス「ああ、だな。あの二人の事だしな」

めぐみん「はい」

 
  *  *  *



ダクネス(あいつは爆裂魔法を使う事がなくなった……)

ダクネス(あいつはケンカを売らなくなった……)

ダクネス(あいつは泣かなかった……)

ダクネス(だが、あいつは笑わなくなった……)

ダクネス(あいつは-----)





ダクネス(私は屋敷を出ていくことに決めた)

ダクネス(ここはカズマとアクアとの思い出が……強すぎる)

ダクネス(耐える事には定評がある私……だと思っていたが、今回は無理すぎる)

ダクネス「さすがカズマだな。私の嫌がる事を的確についてくるとは……」

ダクネス「魔王の激しい攻撃に耐えてきたクルセイダーでも、これだけは耐えられない」

ダクネス「まったく……カズマ。アクア。お前たちは……」

 
  *  *  *



めぐみん(昨日、ダクネスが家を出て行きました)

めぐみん(仕方のないこと。ダクネスは帰る所があるんですから)

めぐみん(……)

めぐみん(私の家はここ。そうカズマがいつでも帰ってきていいように掃除をしないと----)


めぐみん(きっと家が綺麗だったらカズマも嬉しいでしょう)

めぐみん(ふふっ。カズマの喜ぶ顔が楽しみです♪)

 
  *  *  *



めぐみん(カズマの部屋からエッチな本を見つけました)

めぐみん(はぁ、まぁ、男性は仕方ないと言いますし。仕方ありません)

めぐみん(ええ。寛容な私はすべてを許します)

めぐみん(許すので、帰ってきたら爆裂魔法で、カズマの目の前でこの本を消滅しましょう)

めぐみん(ふふっ。カズマの絶望する顔が楽しみです♪)

 
  *  *  *



めぐみん(今日はカズマが帰ってきたときのシミュレーションをしましょう)

めぐみん(まずは爆裂魔法ですね!空中にうって驚かしてあげましょう)

めぐみん(ふふっ。カズマの驚く顔が楽しみですね♪)

 
  *  *  *



めぐみん(カズマの写真を見つけました)

めぐみん(魔王討伐でこの家を出発する前に魔道カメラで撮った写真)

めぐみん(見たくなかった----見たくなかった-----)

 
  *  *  *



めぐみん(…………)

めぐみん(夢を見ました。また夢)

めぐみん(カズマが『もう少しだけ待っていてくれ』という夢)

めぐみん(はぁ……。あの男は……)

めぐみん(私をどれだけ待たせれば……)



めぐみん(でも、もう少しだけ頑張ってみます)

めぐみん(ありがとうカズマ。もう少しだけ頑張って生きてみます)

 
  *  *  *



めぐみん(カズマがいなくなって1年)

めぐみん(あの夢を見て数か月)

めぐみん(私はたかが夢に何で希望を持ったのやら……)

めぐみん(あぁ……もう、ごはんも食べたくありません)

めぐみん(カズマ……。なんで帰ってきてくれないんですか?私が嫌いになったのですか?)

めぐみん(爆裂魔法で迷惑ばかりかけるからですか?)

めぐみん(他の人より少しだけ胸が小さいからですか?)

めぐみん(ダクネスみたいな色気がないからですか?)

めぐみん(カズマの許容範囲外の3歳年下だからですか?)

めぐみん(背が低いからですか?)

めぐみん(私の名前がダメだったんですか?)


めぐみん(お願いです。いつもみたいに笑顔で私を馬鹿にしてください)

めぐみん(神様お願いします。もう爆裂魔法は使いません)

めぐみん(だから、彼を……彼にたったの一度でいいから会わせてください)

めぐみん(そして、いつものあの笑顔で……)

「おーい。開けてくれー。カギがかかってるんだがー」

めぐみん(声が聞こえてきました。ついに私は幻聴が-----)


「おーい。誰かいないのかー」

めぐみん「!?」

めぐみん(そ、そんなバカな……。だって彼はもう1年も----)

めぐみん(で、でも、もし彼なら-----)



ガララッ


めぐみん(私が扉を開けると、そこには-------------)






 

■エピローグ

「さて、一年間も家を空けていた理由を聞きましょうか?」

「悪い!まさかエリス様の所で魔王討伐後の願いを叶えてもらう手続きだけで、こんなに時間がかかるなんて思わなかったんだ!」

「へぇ~。他の女と一緒にいたとは……。婚約者がいるというのに、さっそく浮気ですか。そうですか」

「違うんだ!聞いてくれ!これには深いわけが!」

「ところでアクアはどうしたんですか?」

「ああ、今、お酒買いに行ってるぞ。再開の宴会をやるんだとさ」

「では、アクアが来る前に……。ちょっといいですか?」

「ん?」

私は何もなかったかのように必死に演技した。

でも、それももう限界----。

ずっとずっと我慢していたんだ。

だから、今この時くらいは泣いてもいいと思う。

そして、私はずっとずっと彼に言いたかった事を笑顔で言った。



「『エクスプロージョン』ッッ!」



\ドカーーーーン/



「ぷっ……あははははは」

「って、なにやってんだ!この頭がおかしい爆裂娘は!」

「ああ!言ってはいけないことを言いましたね!ずっとずっと我慢してたんだから仕方ないでしょう!」

「うっせえ!って、なんで泣いてるんだ!?」

「これは爆裂魔法がうてたのがうれしくて!嬉しくて!本当に……嬉しくて……うぅ……」

涙が止まらない。

「相変わらずだな……お前は……」

「ふふふふふ。この嘘が見抜けないとは……教育が必要のようですね!!」

「---------!!」

「------!」




一通り馬鹿をやった私たちは。


「さて。仕切り直しましょう。帰ってきたことですし、まず言う事があるんじゃないですか?」

「え?」

「相変わらず肝心な所で駄目ですね。では、私から」

そして、私は涙を拭った。

そして、私はぼさぼさの髪を少しでもと整えた。

そして、私は彼にあまり見せたくなかった、ダサい服を整えた。

そして、私は彼の方を向いた。

そして、私は最高の笑顔で------




「おかえりなさい。カズマ。ずっとずっと待ってましたよ」

「ああ。ただいま。めぐみん。ずっとずっと待たせて悪かったな」







---この素晴らしい再会に祝福をした!!








       終わり

これにて終わりになります。
読んでくださった方がいらっしゃったらありがとうございました。
また、機会があればよろしくお願いします。




え?web版?ごめんなさい。web版設定無視して本当にすいません。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年05月25日 (金) 22:05:50   ID: R1HTUlQx

だいすきだ

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