姫川友紀「事務所にお泊まり」 (130)

友紀「ただいまー……」

珠美「戻りましたー……」

早苗「あら、お帰りなさい。随分と疲れてるわねー」

P「ただいまですー。こいつらロケのちょい役とは言えめちゃくちゃ走り回ってましたからね」

友紀「ほんと! 街中を全力でダッシュだよー!?」

珠美「周りの視線がとても刺さりますからな!」

留美「あらあら……、大変だったのね」

美優「はい、お茶どうぞ……?」


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珠美「ふぅ…、のどを通る冷たいお茶が心地よい……」

友紀「はぁ、あたしも今日のメインのアイドルみたいにゆっくり街をぶらぶらできたらなぁ……」

珠美「そうです! 珠美達が商店街の限定グルメを求めている時に、あのアイドルは呑気にソフトクリームを食べていたのですぞ!」

友紀「きー! 結局限定グルメ無かったし! あたし達の出番それで終わりだったし!」

早苗「ありゃ、こりゃそうとう溜まってたのねぇ」

友紀「プロデューサー! もっと大っきいお仕事取ってきて! あたしももっと頑張るから!!」

P「お、良い事言えたなあ、友紀。その心がけは良い事だ」ナデナデ

珠美「た、珠美も! 珠美も頑張ります!」

P「おう、頑張れよ。俺ももっと頑張るから」ナデナデ

珠美「えへへぇ……」

留美「そういえば、2人はまた明日の朝から仕事入ってたわよね?」

友紀「えっ? そうだっけ?」

P「忘れたのか? バラエティー番組でチアガールの格好する奴」

珠美「ああ、あのクイズだかなんだかの……」

美優「珠美ちゃんは剣道着、だっけ?」

珠美「はい。……でも、メインの解答者の後ろで立っているだけですが……」

早苗「そういうお仕事の積み重ねがやがて大きなお仕事への足がかりとなるのよ! ぶーぶー言わないで頑張りなさーい!」

友紀「はーい!」
珠美「はーい!」

P「ああ、それで明日は7時には事務所に来いよ」

友紀「えー? ちょっと早いよー」

P「スタジオが結構遠いからなぁ」

珠美「ふぅむ…、なら仕方ないですが……」

友紀「あ! ならあたし事務所に泊まっちゃおうかなぁ。プロデューサーに起こしてもらおう!」

P「え? ……まあ、いいけど」

珠美「あ! なら珠美も! 珠美も友紀殿と一緒にお泊まりします!」

友紀「よし! 2人で明日の収録で少しでも目立てるように研究しよー!」

珠美「おー!」

留美「この行動力、さすがは十代ね……」

美優「友紀ちゃんはハタチです……」

P「友紀はともかく、珠は親御さんの許可が下りないとダメだからな」

珠美「はい、わかっています。なので今から電話を……」prprprpr…

珠美「……あ、お父さん? はい、……ええ。それで、今日はお泊まりしていいですか?」

珠美「え? 事務所で…、友紀殿と……。えっ!? P殿は違います! ……たぶん」

P「なんで俺の名前が出てくるんだ?」

留美「1人娘が心配なのよ?」

珠美「だから友紀殿と……、え? 代われ? はぁ……」

友紀「お? 珠ちゃんパスパス!」

珠美「友紀殿の方から説得お願いしますぞ!」

友紀「まっかせてー!」

友紀「はい、お電話代わりました。姫川です。はい、はい……」

P「えっ! お前そんな事できんの!?」

友紀「プロデューサーうるさい! ああ、すいませんー。それでですね、明日の朝から私と珠美ちゃんとで大事なお仕事が入ってまして……」

友紀「ええ、はい! それは珠美ちゃんもテレビに映りますよ! ですのでその打ち合わせも兼ねてお泊まりの許可を出してもらえるとー……」

友紀「ああ、すいません! ありがとうございますね! はい、失礼します、はい。ではー……」

友紀「ふぅ、ざっとこんなもんよ!」

美優「友紀ちゃん、すごい……!」

早苗「友紀ちゃんも案外大人ねぇ……」

留美「やっぱりテレビで見かけるイメージとのギャップで、信頼性が増すのかしら……」

友紀「あの、あたしもやろうと思えばできるよ……?」

珠美「でも、これでお泊まりの許可がでましたな!」

友紀「よーし! 今夜の作戦会議は気合い入れていこう!」

P「そういえば風呂とかはどうするんだ?」

早苗「ほら、隣町にスーパー銭湯あるでしょ。あそこでいいんじゃない?」

友紀「あ! いいねぇ、おっきいお風呂!」

留美「なら、今からみんなで行く?」

P「なら車出しますよ。湯上りの美人達を歩かせたら襲われかねませんし」

珠美「それは助かりますな!」

P「珠もロリコンに目を付けられるかもしれないし」

珠美「……ろりこん?」

P「皆さん準備できましたかー?」

「「「はーい!」」」

P「じゃあ、しゅっぱーつ」

友紀「ね、早苗さん。スーパー銭湯ってどんなの?」

早苗「んー? これから行く所はねー、大浴場にジャグジー、サウナに水風呂……。そんな所かしら」

留美「あら、サウナ……」

美優「いいですね……、久々にはいってみたいです」

友紀「んー! サウナの後はビールだよねぇー!」

珠美「さ、作戦会議! 作戦会議があるから友紀殿はビール禁止です!」

友紀「はーい……」

友紀「あ、そういえば。えいっ!」ピラッ

珠美「ひゃわっ!? スカートめくりなど止めてください!」

P「いいぞ友紀! もっとやれ!」

早苗「あぁん?」

P「いや、どちらにせよ運転中で後ろ見えないですから……」

友紀「この前オトナ下着買ったんでしょー? あたしまだ拝んでないなあ、って思って」

珠美「どうせこの後脱ぐのですから! その時で十分でしょう!」

P(着てはいるのか……)

ーースーパー銭湯ーー


留美「じゃあ私たちは女湯だから」

友紀「仕事の疲れを癒すぞー!」

P「ほら珠、一緒に男湯はいるか?」

珠美「早苗殿」

早苗「おっけー」

P「やべっ」

早苗「こら! 逃げるなー!」

美優「……前もこんな事あったなぁ」

友紀「早く行こーよー」

ーー脱衣所ーー


友紀「ふふーん。おっ着替えお着替えー!」

早苗「美優ちゃん、背中の湿布剥がしてくれる?」

美優「車の中で臭うと思ったら早苗さんだったんですね……」

留美「この脱衣籠、竹で編んであるわ。いいわね、これ」

珠美「…………」

珠美(皆さん、やはり下着もなかなかの……)

早苗「ふぃー。ちょっとちっさいの付けてきちゃったかしらね」

珠美(早苗殿はベージュ…。だけどなかなか色気のあるデザインで……)

留美「ロッカーは100円いるのね。お財布は……」

珠美(留美殿はこう、攻める色気が……)

美優「自販機もありますよ。牛乳にポカリ…。いいですよね……」

珠美(美優殿のは、雰囲気にあった可愛らしくも大胆な……)

珠美(うぅ……。珠美も新調したとはいえ、まだオトナに敵うほどでは……)

友紀「うわはー! おっきい扇風機ー!」

早苗「こら、友紀ちゃーん。服はちゃんとたたみなさーい」

留美「あと下着で歩き回らないの」

美優「あぁ…。皺になっちゃう……」

珠美(友紀殿…。ま、まさか珠美が中学生の頃付けていたような下着を……)

珠美「………」

珠美「考えすぎは良くないですな、うん」

早苗「さ! お風呂行くわよー!」

友紀「おー!」

カポーン…

早苗「お、今日は空いてるわねー」

友紀「珠ちゃーん! 洗いっこしよー!」

珠美「ええ、いいですぞ」

友紀「あたし髪長いからさ、誰かにやってもらうのが1番楽なんだよね」

美優「たしかに、ロングヘアの悩みよね……」

留美「そうよね…、私なんか特に短いからそんなの気にした事なんてなかったわ……」

早苗「そうそう、毛先とか特に気を使わないとねぇ」

友紀「…………」

早苗「へ? え、なに?」

友紀「早苗さん、いつも髪結んでるから気づかなかったけど」

珠美「なかなかロングヘアーですな」

早苗「ふふん、まあね? それでも、友紀ちゃんと美優ちゃんほどじゃないけれど♪」

友紀「よし、先にあたしが珠ちゃんの頭を洗ってあげるね」

珠美「はい! お願いします!」

友紀「いくよー、わしゃわしゃー」

珠美「おー! これ、結構泡立ちますな!」

友紀「あはは! どこか痒いところはございませんかー? 」

珠美「ありませんぞー!」

友紀「あたしはねー、左肩が痒い!」

珠美「かけばいいではないですかー!」

美優「やっぱり向こうは姉妹みたいですね」

留美「珠ちゃんと1番歳が近いのは友紀ちゃんだもの。ノリとかそう言うのも近いんでしょうね」

早苗「おー? お姉さんもまだまだ若いぞー?」

美優「あ、早苗さん知ってますか? 今って『半ドン』が通じないそうですよ」

早苗「え、マジで!?」

留美「そう、この間珠ちゃんがテストで早く学校が終わって帰ってきた時に使ったら……」

美優「キョトン……、って顔、されました」

早苗「ええー…。言わないのー……?」

友紀「お、おー……」

早苗「って、珠ちゃんの上半身が泡に包まれてる……」

珠美「ゆ、友紀殿…、そろそろ流してください……」

友紀「う、うん……」ザバー

珠美「っぷう! しかし、随分と泡立ちますな、このシャンプー」

友紀「じゃあ今度あたしにおねがーい」

珠美「はい! 長い髪を綺麗にお手入れできてこそ、乙女と言えましょう!」

珠美「珠美もいつか、髪を伸ばした時の為に友紀殿の髪で練習を……」

友紀「うんうん、伸ばしてみる? 似合うかなー?」

珠美「似合う女性になってみせます!」

ーーーーーー………


友紀「ふぃー…。きもちいー……」

珠美「うぅー…、沁みますなぁ……」

早苗「くぅー…、ちょっと熱めのお湯がいいのよねー……」

留美「家のお風呂と違って、しっかり足が伸ばせるのが魅力よね……」

美優「お風呂の中で軽いストレッチもできますしね…。けど、熱い……」

友紀「あー……。びーるぅー……」

珠美「だーめーでーすーぞー……」

留美「たしか、売店にノンアルコールビールがあったわ……」

早苗「友紀ちゃんはそれで、あたしたちは普通のやつを……」

美優「……いいですねぇ」

珠美「ウチの事務所の人は、みなお酒を飲みますが…、それほど美味なのですか……?」

早苗「そりゃあいいお酒はつまみがなくとも……」

美優「カクテルなんかも、美味しいわ……」

留美「珠ちゃんはまだ未成年だから…、駄目よ……?」

珠美「はい…、それはわかっていますが……」

友紀「珠ちゃんー…? お酒が飲めたらねー、オトナって訳じゃないんだよー……?」

珠美「と、言うと……?」

友紀「あたしを見てみなよー…。オトナに見えるー……?」

珠美「いいえ…、ぜんぜん……」

友紀「でしょー……。そう言うことなんだぁよー……」

留美「説得力が、すごいわね……」

早苗「珠ちゃん珠ちゃん。あたしはー?」

珠美「早苗殿は…、まあ、オトナですかな……」

美優「留美さんは…、案外お酒弱いですよね……」

留美「美優が強すぎるのよ……」

友紀「あー……、大浴場も、みんなでらいると退屈じゃないねぇー……」

美優「友紀ちゃん、ろれつが……」

早苗「ジャグジーはちょっとぬるめよー? 入ってくる?」

友紀「うん、珠ちゃんもいこー」

珠美「はい。あわあわ風呂も楽しみですな」

早苗「……お酒ねぇ。事務所のみんなで飲もうと思ったらあと4年かあ……」

留美「私も、その時はもう30……」

美優「うっ……」

早苗「あたしなんて32よー……?」

留美「早苗さんは見た目がおかしいくらい若々しいからまだマシよ……」

美優「私たちは、ちょっと不安です……」

早苗「あー…、でもあたしもなかなか最近腰が厳しいのよねー……」

留美「……大変ね」

早苗「ほら、朝のニュースの川島アナいるじゃない」

美優「川島アナがなにか……?」

早苗「この前週刊誌のコラムで老化防止についてどうじゃこうじゃあったんだけど、川島アナのアンチエイジングの秘訣がすごいのなんのって」

留美「……その雑誌、まだあるかしら?」

美優「こ、今度貸してください……」

早苗「ふぃー…、だいぶあったまったー……」

留美「いったん上がろうかしらね……」

美優「す、水分補給……」

早苗「美優ちゃんは熱いの苦手よねー」

留美「ウチの事務所で1番北国生まれ、よね?」

早苗「岩手…、新潟もそこそこ寒いんだけどねー……」

留美「広島も、冷える所は冷えるのよ?」

早苗「子供2人は……、九州か」

留美「あの2人は夏でもよくはしゃいでいるから……。ふふっ」

早苗「いや、あれはただ若いだけよ……」

留美「うっ……」

珠美「あはは! ジャグジー面白いですな!」

友紀「ねー! ぶくぶくー、って!」

美優「ふぅ…、私もお邪魔するね……」

友紀「あ、美優さんいらっしゃーい!」

珠美「あれ? 早苗殿と留美殿は?」

美優「あの2人はサウナに…、私は、サウナの気分じゃなくなっちゃった……」

友紀「あ! あたしもサウナ行ってくるねー!」

珠美「のぼせちゃダメですぞー!」

友紀「うーん!」

美優「はあぁ……! ジャグジーぬるくて、気持ちいい……!」

珠美「美優殿、大丈夫ですか……?」

友紀「ほー…。うぇあっ!? あつつ……!」ガチャッ

早苗「あら、友紀ちゃん…、いらっしゃい……」

留美「一緒に蒸される……?」

友紀「うん……。でも、ほんと熱いね、サウナって」

早苗「ドライサウナなんかもっとキツイわよー……? 砂漠みたいなんだから……」

留美「けど、ここで耐えたぶん……、ドリンクが……」

早苗「キンッキンに冷えたビールを、かしゅっ! と開けて……」

友紀「…………!」ゴクリ…

留美「ごくっ、ごくっ、ごくっ……!」

早苗「かあぁぁぁ! 美味い! 美味すぎる!」

友紀「わあぁぁ……!」キラキラ…

留美「ふふ、でもこの後友紀ちゃんは珠ちゃんの面倒をみないといけないもの」

早苗「今日はノンアルで我慢よねー?」

友紀「あーん! ふたりがいじわるするー!」

早苗「お姉ちゃんだものー? 我慢しないとねー?」

友紀「我慢ならこの前したもん! せっかくあたしがガラガラで当てた水族館の無料券をプロデューサーにあげてさー」

留美「珠ちゃんとデート、よね?」

早苗「ま、あれはお仕事の下見を兼ねてたんだし、大目にみてあげて?」

友紀「そうだけどー……」

早苗「いいじゃないいいじゃない! P君にうんとキャッツを見に連れて行って貰いなさーい!」

一旦ストップです。
……多分銭湯の描写の方がお泊りの描写よりながいんじゃないかな。

また夕方から夜には再開の予定です。

和久井留美「業務用2.1キログラム」
和久井留美「業務用2.1キログラム」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456283720/)

この前のリンクを貼って置きますので、お暇な時にどうぞ、お願いします。

友紀「うんっ! 球場でビール飲むぞぉー!」

留美「あ、球場グルメもいいわよね。カープうどんの全部のせ…、豚耳にせんじから……」

早苗「あ、留美ちゃんが反応した」

友紀「留美さんも結構広島応援してるよね」

留美「それはもちろん、地元の球団は応援しちゃうわ?」

友紀「そっかー。……よし」

友紀「かっとばせー! さ、な、えー!」

留美「っ! さ、な、えー!」

友紀「さ、な、えー!」

留美「さ、な、えー!」

友紀「早苗ぇー!」

留美「早苗えぇー!」

早苗「え? なにこれ?」

友紀「次いくよー! はい!」

友紀「てれてれてーれてーれれー!↑」

留美「わっしょい!」

友紀「てれてれてーれてーれれー!↓」

留美「わっしょい!」

友紀「てれてれてーれてーれれー!↑」

留美「わっしょい!」

友紀「てれてれてーれてーれれー!↓」

留美「わっしょい!」

友紀「てれてーれてーれれー!」

留美「おいおいおい!」

友紀「てれてーれてーれれー!」

留美「おいおいおい!」

友紀「てれてーれてーてーててーてー!」

留美「おぉぉーーーー!」


留美「早苗!」

友紀「パンパン!」

留美「早苗!」

友紀「パンパン!」

留美「早苗!」

友紀「パンパン!」

留美「早苗!」

友紀「パンパン!」

留美「ホームランホームラン! さ、な、えぇーー!」

友紀「てー↑てー↓!!」

留美「ひぃーろっしまー!」

早苗「あの、あたし新潟出身……」

留美「はっ!?」

友紀「案外簡単に釣れた……」

留美「それにしても友紀ちゃん、キャッツファンなのに他所の球団の応援も覚えてるのね……」

友紀「そりゃあいつも球場で聞かされてたら嫌でも覚えるよー……。印象に残る奴はとくにねー……」

早苗「とりあえず全裸でスクワット応援はやめなさい、ね?」

留美「あっ……!」///

友紀「えへへ……」

留美「ふぅー…、動いたせいか、随分あったまったわ……」

友紀「たしかに……」

早苗「じゃあでるかー。水風呂は? いい?」

留美「ええ…、このままビールを……!」

友紀「あたしも、今度はビール飲むぞぉー……!」

早苗「そうそう、その意気込みよー?」

友紀「…………」

留美「…………」

美優「ふ、あぁ……! 気持ち、いい……!」

珠美「あばばばば……!」ガチガチガチ…

早苗「……なんで水風呂に?」

美優「なんだかのぼせそうだったから…、これなら気持ちいいかなと思って……!」

珠美「ゆ、ゆゆ、友紀殿ぉ……! さ、さむさむ……!」ギュッ

友紀「きゃっ!? 珠ちゃんすごい冷たいっ!」

珠美「ああぁぁぁ…! 友紀殿、温かい……!」

早苗「珠ちゃんはもう一度お湯に浸かってからあがりなさい、ね?」

珠美「そそ、そ、そうします……!」

友紀「あ、あたしも、珠ちゃんに抱きつかれて結構冷えた……!」


ーーーーーー………


早苗「ふぅー…、いい湯だったわねー……」

美優「久々に長風呂できました……」

留美「……水風呂なのに?」

珠美「しかし、しっかり汗をかいて、身体も温まって、のどが……」

友紀「プロデューサーに買ってもらおー。……もうあがったかな?」

P「んばぁーー……!」

早苗「あっ! 何マッサージ機使ってんのよ! あたしもやーるー!」

P「300円ですよぉー……」

留美「……私も」

美優「あ、後で……!」

P「ふぃー…、湯上りのマッサージ機はこれまた格別で……」

友紀「プロデューサー! 飲み物買ってー! あたしノンアルビール!」

P「ああ、珠の面倒みてやるんだったな」

早苗「あたし達は普通のビールよ!」

P「えー? 風呂上がりに飲んで大丈夫です?」

美優「ふふ…、たまには、ね?」

留美「少しだけなら薬なの、よ?」

P「ま、売店に行きますか。……珠は俺と一緒にジュース飲もうな」

珠美「P殿は車の運転がありますからな……」

P「さ、みんな飲み物は持ちましたか?」

友紀「オッケー!」

早苗「堂々と胸を張って!」

美優「左手を腰に当てて……」

留美「そのまま一気に……! は、お酒だと危ないわね……」

珠美「んっ、んっ、んっ…。ぷふぁあぁぁ……! フルーツ牛乳の甘さが渇いた身体に透き通ります……!」

友紀「くっはぁぁぁーー……ッ! 染みるぁ……!」

P「……友紀、一口くれ」

友紀「ん、口つけないでね」

P「缶の飲み物で口つけるなって、む、難しい……!」

早苗「んー……、マッサージ機は名残惜しいけど、そろそろ帰る?」

美優「そう、ですね……」

留美「2人は事務所にお泊まりだもろね?」

P「ええ、布団の準備とかもしないといけないし。帰るか」

珠美「はいっ! さぁ友紀殿! 今宵はアイドルとして輝くべく、その秘訣について語らいましょうぞ!」

友紀「おー! 明日はしっかり目立って、メインのアイドルを食ってやるんだ!」

P「よし、その心意気だぞ」

早苗「じゃ、あたしはいい感じにアルコール回ったから、お家に届けてねー」

P「はいはい、足代わりでもなんでもなりますよー」

ーーーーーーー………


友紀「ふぃー! ただいまー!」

珠美「ほー、これが夜の事務所…。夕方までの事務所しか見たことのない珠美にはなんとも新鮮な……」

P「ほら、備品室に布団がもう一組あるから、取ってきな」

友紀「うん! 行こー、珠ちゃん!」

珠美「はい! いつも美優殿が干してくれているのでふかふかですぞー!」

P「さて、パソコン立ち上げないと……」

P「明日は移動に90分で事前の打ち合わせが30分に、○×事務所の人に挨拶もしないといけないしー……」

友紀「……ぷろでゅーさー」

珠美「Pどのぉ……」

P「ん? どうした」

友紀「あのね、昼は、お昼は大丈夫なんだけどね?」

珠美「なんだか、夜の備品室と、そこに続く廊下がなんだか、怖くて……」

P「もう帰れよ」

P「……ほら、取ってきてやったぞ」

友紀「わーい! ありがとう!」

珠美「さっそく敷きますぞー!」

P「ふぅ、……しかし、暗いのを怖がる辺り、まだ2人も子供だな……」

P「……事務所に酒置いてないよな? もし深夜のテンションで手を出したらいけないし備品室に隠しとくか」

< プロデューサー! 懐中電灯とかなーいー?

P「おーう! 探しとくわー!」

< んー!

P「懐中電灯つっても必要か? あ、でも俺も子供の時は暗い部屋で意味もなく懐中電灯使って遊んだなぁ……」

P「暗い部屋の懐中電灯って、なんかわくわくするよなぁ……」

P「ほら、お目当の懐中電灯。あと電池式のランタンもあったぞ」

友紀「わぁー! わくわくするなー!」

珠美「貸してください! ……てりゃ!」ピカッ

P「うおっ、まぶしっ」

珠美「電池もよし! これで今夜は……」

P「人の顔に懐中電灯を向けない。い い で す か……?」ギュムムムム…!

珠美「ひっ! ご、ごめんなさい! う、上から押さないでください! 縮む! 縮んじゃいますからぁ!」

友紀「あははー! あたしも押すー!
縮め縮めー!」ギュムムムム…!

珠美「ぎゃーー! 助けてー!」

友紀「さて! パジャマに着替えてー、飲み物用意してー」

珠美「ようやく作戦会議! ですな!」

P「ほら、明日出演する他の事務所のアイドルとかのプロフィールに進行とかが大体纏めてある書類。それにちっちゃいホワイトボードもやるから」

友紀「おー! なんだか会社の会議みたい!」

珠美「さ、何か気づきを書き出していきましょう!」

P「……アイドルらしくなったなぁ」

友紀「あ、プロデューサーはまだお仕事するの?」

P「んー、俺は俺で明日の段取りやらある程度は考えないといけないからな」

珠美「流石、P殿も普段はいまいち頼りないですがお仕事となると一味違いますな!」

P「もう一回押そうか?」

珠美「や、やめてください! もう2ミリくらいは縮んでますから!」

またここでも一旦ストップします。

……エタらせないよ!

P「…………」カタカタ

友紀「でー、やっぱり入場のタイミングが一番目立つわけだけど」

珠美「そこでどうアピールするか、ですな」

友紀「ほら、この紙には10人以上がいっぺんにカーテンが開いて登場するってあるから……」

珠美「P殿、ここでの並びは?」

P「へっ? あ、えーと……。そりゃスポンサーやらに目をかけられてるアイドルが1列目に来るから、2人は2列目かな」

珠美「2列目…、珠美は隠れてしまいそうですな……」

友紀「なら珠ちゃんは端っこで……、なーんか目立つ事できないかなー」

珠美「珠美は竹刀を持って入場しますから、それをこう構えて!」

P「それはちょっと危ないかな」

珠美「うぐっ…、確かにそうではありますが……」

友紀「これはちょっと珠ちゃんが不利だねー……」

珠美「ええ…、道着もそんなに目を引く衣装とは言い難いですし……」

友紀「うーん…、珠ちゃんの入場のポーズは……」

珠美「うーむ……」

P「……あえて2列目の後ろでぴょんぴょん跳ねてれば?」

友紀「あ、それかわいい」

珠美「えー……」

友紀「さて、今度あたしはどうしようか……」

珠美「え? 珠美はあれで決定ですか……?」

友紀「ねー、明日のあたしのチアコスってどんなの?」

P「あー、ほら、写真」

友紀「あー! これね! 結構肌でるなー……」

P「ま、お前は元気さとセクシーさを合わせた感じで売り出せたらなぁ、って感じでやってるし」

友紀「いやー、事務所NGだよー」

P「何言ってんだ」

友紀「せくしー、ねー……」

珠美「せくしー…、残念ながら珠美にはまだ早く……」

P「……一応水着のオファーは来てない事もないんだけど」

珠美「ほ、ほんとですか!?」

P「でも、そういうのは先に親御さんに見本とか見せてからだから……」

珠美「あっ……」

P「ま、お母さんからはいいんじゃないかって言われてるから、頑張ってお父さんを説得してくれ」

珠美「は、はい!」

友紀「水着ねー…、まあチアコスと露出は大して変わらないかー……」

P「お前は案外肌出すのに抵抗が弱いよな」

友紀「プロデューサーが慣れさせたんでしょー?」

P「人聞き悪いな」

友紀「さーて、一旦休憩にしようか」

珠美「ええ、なんだか頭が痛くなりそうです」

P「じゃあ、仮眠室のドア閉めとくから、ゆっくりしてな」

友紀「はーい! プロデューサーも残りのお仕事頑張ってね」

珠美「かげながら応援しますぞ!」

P(絶対嘘だ)

ーーーーーー………


P「さて、こっちの書類は本社に送って……」

< 友紀殿は初恋の思い出とかありますか?

P「……ッ!」

< んー? まだ宮崎にいた頃で、お兄ちゃんの友達、だったかな

< ほー、どんな所に惹かれて?

< さぁ? 今となっちゃあわかんないけど、お兄ちゃんとくっ付いて遊んでたのはその人にあうためだったのかなぁ

P「……なんか、複雑な気分」

< そういう珠ちゃんはー?

< 珠美は水戸黄門の三代目格さん役の伊吹吾郎さんが……

P(渋っ)

ーーーーーーーー………


P「ふぅ、これで今日の分はお終い。……もう10時か、そろそろ帰ろうかな」

P「友紀ー、珠ー、俺帰るぞー」コンコン

< えっ……?

< は、はわわわわ! あ、開けちゃダメです!

P「え? なに? なにやってんの?」

< お胸のサイズを測ってたのー

P「へー、大っきくなってた?」

< うん! ちょっとだけ、ね!

< それを笑顔で言うのもどうかと……


友紀「で、なーにー? お夜食作ってくれるの?」

P「んや、俺もう仕事終わったし帰るわ」

珠美「あ…、そうですか……。お疲れ様です」

P「まあ明日は起こしてやるから、変に夜更かしせずにしっかり寝る事」

友紀「うん! コンディションは整えとかないと、明日しっかりできないしねー!」

P「あと、絶対外を出歩かない。もし誰か来ても絶対に鍵を開けない。ヤバくなったら俺や警察に連絡する事、いいな?」

珠美「そんなに心配しなくても大丈夫です!」

友紀「うんうん、そこまでお子ちゃまじゃないから!」

P「ま、一応釘を刺しとかないとな」

P「じゃあ、お疲れさま。また明日な」

友紀「うん! ばいばーい!」

珠美「明日の朝ごはんはお味噌汁とか焼き鮭とかの、ざ! 日本の朝ごはん! な物がいいです!」

P「はいはい。……鮭、どこで買おうか」

バタン

珠美「…………」

友紀「プロデューサー、帰っちゃったね」

珠美「そう、ですな」

友紀「……さあ! 夜の事務所探検してみる?」

珠美「はい! それもまたいいスパイスとなるやもしれませんな!」

友紀「じゃ、早速台所の戸棚のお菓子を……」キィ…

シーン……

珠美「うっ……」

友紀「仮眠室の電気以外消えてる……」

珠美「普段はみんなで騒いでいる事務所も、誰もいなければこの静けさですか……」

……パキッ

友紀「きゃあっ!?」

珠美「ひいっ!?」

友紀「……止めとこうか」

珠美「ですなぁ……。では、作戦会議の続きといきましょう」

友紀「んー、入場の時にカメラの前を通って行くってあるでしょ? その時もアピールチャンスなんだよねぇ」

珠美「ええ、でも走りながらしなければならないのでやれる事は限られますな」

友紀「やっぱり笑顔で手を振るとか、手をグーにして突き出して元気ポーズ! ぐらいのものだよねー」

珠美「珠美は竹刀を持っているのでそれすら……」

友紀「うーん…、厳しいよー……」

珠美「しかし、諦める訳にはいきません! 必ずや今回の出演で注目を引き、アイドルとしてのランクを上げていくのです!」

友紀「だね! そうすれば早苗さん達のお仕事も一緒に増えるかもだし!」

珠美「少し前に留美殿の着物で生花の撮影、あれはとっても似合っていましたなぁ」

友紀「ねー、ああいうオトナになれたらなぁ……」

珠美「なれますかなぁ……」

友紀「ぷいーん……。とゅとゅとゅ……、とゅっ!」ツンッ

珠美「いたっ」

友紀「……作戦会議って言ったけど」

珠美「結局、あんまりいい案は浮かびませんなぁ……」

友紀「いつもはどうしてたっけ……」

珠美「ぶっつけ本番……、いや」

友紀「プロデューサーがアドバイスしてくれてるんだっけ……」

珠美「……全部P殿、いつもP殿だよりですなぁ」

友紀「はーぁ、プロデューサーにばっかり世話になるのもシャクだなぁ」

珠美「ええ! やはり、珠美と友紀殿と、2人で編み出した作戦で皆んなを見返してやりましょう!」

友紀「さぁ! ストレッチでもして考え直しだー! 」

珠美「はい! 投げだすのはもってのほか! 最後までやり遂げて見せましょう!」

友紀「うん!」

「よし! 入場の所は……!」

「逆に、友紀殿と力を合わせて、互いが互いの魅力を引き立てあうのはどうでしょう! 書類を見るに、同じ事務所からの出演はウチだけです!」

「うん! 他のアイドルには無いあたしと珠ちゃんの仲良しパワーで!」

「ならば、持ち物の交換などはどうでしょう?」

「うーん、それはインパクト弱いなあ……。あっ、珠ちゃんのほっぺを引っ張りながら登場!」

「……案外悪くないかも」

「これなら端っこでも目を引くんじゃないかなー?」

「じゃあ、それも候補に入れておきましょう!」

「んでー、ポーズが重要なんだよねー」

「チアガールといえば…、ポンポンを振りながらジャンプ……?」

「でもねー、あたしそういうタイプのチアじゃないんだよねぇ」

「と、言うと?」

「ほら、チアリーディング部のチアガールとクラスの女子がチアガールの格好してる、っていう違い」

「たしかに、友紀殿は後者っぽいですな……」

「チアガールの格好して、ちょっとポンポン振りながら頑張れー! って、あたしはそういうチアガールだからなぁ」

「でも、そっちのほうがなんだか親近感がわきますな。チアガールとは、こう…、高嶺の花のような……」

「そう! あんなチアガールより身近な存在、姫川友紀!」

「うむ! 真面目に考えてみれば案外浮かぶものですな!」

「よーし! この調子でいくぞー!」

ーーーーーーー………


友紀「ふー、こんなもんかな!」

珠美「メモ帳にも書き変えましたし、明日の対策は十全と言えましょう!」

友紀「よーし、そろそろシンデレラはベッドで寝る時間になりそうだし、寝る準備しようか!」

珠美「ええ! 布団ですが!」

友紀「さ、おしっこに行きたいけど……」

珠美「暗いですなぁ……」

友紀「さっきは怖くて諦めたけど、懐中電灯とランタン持ってトイレまで行こうか」

珠美「はい。ドキドキですが……」

友紀「じゃあ、行こうか……」

珠美「珠美はランタンを持つので、友紀殿は先頭を……」

友紀「う、うん……」

珠美「暗くて、周りがよく見渡せまけんな……」

友紀「ね…、何かいそう……」

珠美「いつものトイレまでの道のりも、ここまで変わるとは……」

友紀「夜って、不思議だね……」

珠美「…………」

友紀「…………」

珠美「……えいっ」ツンッ

友紀「ひゃわっ!? もー、たーまーちゃん?」グニグニ

珠美「き、緊張をほぐしへあげただけけへはないでふかー」

友紀「やっていい時と悪い時があるよー……」

珠美「さて、ようやく着きましたな」

友紀「…………」

友紀「じゃんけんぽんっ」チョキ
珠美「じゃんけんぽんっ」パー

友紀「やった、1番乗り!」

珠美「は、はやくでてくださいね! 外で待つのは怖いのですから!」

友紀「おっけーおっけー。じゃ、また」バタン

珠美「ううぅ……」

珠美「……あっちのほうを照らしてみると、おっ? 鏡に珠美の姿が……」

珠美「……友紀殿ぉ、まだですかー?」

友紀「ふぃー、すっきりー」

珠美「た、珠美がすますまで、ちゃんと待っててください! 絶対ですぞ!」

友紀「大丈夫大丈夫、ほら、早くいかないと漏れるよー」

珠美「うー……」バタン

友紀「ふふっ、珠ちゃんもまだ子供だなぁ。人の事言えたもんじゃないけど」

友紀「……懐中電灯ビーム! びびー……」

友紀「おっ? 鏡……」

友紀「……鏡って怖いなぁ。今は何も映ってないからいいけど」

珠美「……懐中電灯ビーム!」

友紀「あっ! 聞いてたなー!」

珠美「ふふん、友紀殿もまだまだ子供ですな!」

友紀「もー! さ、仮眠室に帰るよー?」

珠美「はーい」

またストップします。


暗い夜道等を歩く時は、画像スレなどで見てきた1番のトラウマ画像(怖い顔のどアップ)を思い出し、それが自分の真後ろをただよっていて、自分が振り向いた瞬間を狙ってきている……、と想像してみるといいですよ。

友紀「よし、布団にはいった? 電気消すよー」カチッ

珠美「わぁ、真っ暗……」

友紀「よしょ、んしょ…。んー、羽毛布団が恋しい……」

珠美「あれは規格外のふかふか加減ですからなぁ……」

友紀「……珠ちゃん、眠れそう?」

珠美「少し、わくわくしています」

友紀「だね……。自分で考えた作戦でお仕事に臨むのって、初めてだもん」

珠美「いままでは失敗を恐れるドキドキで眠れませんでしたが、今は高まる高揚感で眠れそうにありません」

友紀「遠足の前の日みたいだね……」

珠美「たしかに! その感覚です!」


友紀「それに、なんだか修学旅行みたい……」

珠美「おー……、珠美は三年生になったらありますぞ」

友紀「そんなに豪華なホテルじゃなかったんだけどね、こんな所で寝たもんだよー……」

珠美「いいなぁ…、珠美も楽しみです……」

友紀「コイバナとか、みんなやってたよー? あたしは混じれなかったけど……」

珠美「というと?」

友紀「いや、好きな人とかいなかったからさー。割とみんなと仲良く出来てたし」

珠美「野球部……、ああいう部活の子はクラスの中心になりますからなぁ」

友紀「まーねー…。でも、ウチのクラスはみんな仲良かったから……」

珠美「ふふ…、それは良い事です……」

友紀「……珠ちゃーん、おいでー?」

珠美「ん……?」

友紀「お姉ちゃんと一緒に寝るー?」

珠美「ふっ……、珠美はそこまで甘えん坊ではありません」

友紀「ふーん…。じゃあ……」

珠美「え? ちょ、友紀殿?」

友紀「あたしから来ちゃうもーん。えへへ……」

珠美「まったく、仕方ありませんなぁ……」

友紀「おー、珠ちゃん抱き心地いいねー……」

珠美「むー、珠美は抱き枕ではありませんぞー……」


友紀「んへへー……」

珠美「まったく、友紀殿は……」

友紀「……くぅ」

珠美「へ? 友紀殿、もう寝たのですか……?」

友紀「すぅ…、んー……。くかー……」

珠美「まったく、なんだかんだ言って友紀殿は自身に自信を持っていますからな……。やっぱりアイドルに向いているのでしょう……」

珠美「……ん? 自身に自信? ……ぷっ、くふふ……!」

珠美「……ふぅ! 珠美を目を瞑って、ゆっくり眠るとしましょう……!」

珠美「明日の収録、ドキドキですが楽しみですなぁ……」

ーーーーーー………


珠美「すぅ…、うにゅ……、んぅ……」

珠美「うー…、いま、なんじ……?」

友紀「くぅ…、すぴぃ……」

珠美「4時すぎ…、もうひと眠り……。どうしてこんな時間に目がさめるやら……」

珠美「んっ…。そのまえに、トイレに……」

シーン……

珠美「うぅっ…、や、やっぱり暗くて怖い……」

珠美「友紀殿を起こして…、いや、睡眠を妨げると今日のお仕事に支障がでるかも……」

珠美「……一人で行かねば」

珠美「ランタンと懐中電灯の二刀流ならば、恐れるものなど……」

珠美「うっ…、家ならまだしも、夜の事務所は……」

珠美「し、しかし! オトナの女性というのは深夜のトイレへの道中をもおそれぬというもの!」

珠美「このトイレへと歩んでゆく一歩こそ、珠美のオトナの女性への一歩と言えるのです!」

珠美「……なんというか、二つの意味で小さい一歩と言うか……」

珠美「なんだか、すごく冷静になれました。早く行って寝よう……」

珠美「ふふん、落ち着いてしまえば、なんともありませんな。ふあぁ…、ふぅ……」

珠美「早く二度寝して、十分な睡眠時間を確保せねば……」

< ガチャッ…

珠美「へっ? 鍵の開く音……?」

スタ… スタ… スタ…

珠美「ひっ…!? だ、誰か来るっ! で、電気を消さないと……!」

珠美「と、とにかく、どこかに隠れて……!」

キイィ…… パチッ

珠美(部屋の電気が…。う、ううぅ……!)

P「ふぅ……」

珠美(って、あれ? P殿?)

P「さて、あいつらはよく寝てるかな……」

珠美(あ、仮眠室の方に)

P「開けるぞー…。うん、友紀は良く寝て……、ん? 珠がいない?」

珠美「お、おはようございます、P殿」

P「うわっ! びっくりしたー……。おはよう、珠」

珠美「P殿の朝は随分と早いのですな……。まだ5時にもなってないですぞ」

P「んー? 昨晩はあんまり居残りしなかったから、その続きをやろうと思ってな」

珠美「そうなのですか…、早くからご苦労様です……」

P「んで、珠も随分と早いじゃないか」

珠美「……あっ! お手洗いに行くために起きたのでした! い、急がないと!」

珠美「ふぅ、あやうく目的を忘れる所でした」

P「ほら、もう一回寝てきな。ちゃんと起こしてやるから」

珠美「はい。では、もう一度おやすみなさい」

P「なんなら、俺が添い寝してやってもいいぞ。お腹をぽんっ、ぽんっ、てしてやるから」

珠美「あ、それ昔お母さんにやってもらいました」

P「な。あれ、なんだか凄く安心して眠れるんだよなぁ……」

珠美「懐かしいです……」

珠美「……その、お願いしてもいいですか?」

P「え? あ、おう」


友紀「すぅ…、うぅん……」

P「……こいつって、寝相いいんだな」

珠美「ええ、ずっとすやすやです」

P「んじゃ、横になりな」

珠美「はい。えへへ……」

P「ほら、ねんねの時間だぞー」ポン…

珠美「そこまで子供ではありません、けど…、すごく、心地よいです……」

P「まさか俺がこんな事をするようになるとはなぁ」ポン…

珠美「ふふっ…、おとう、さんの体験が早くでき、ふあぁ……。ましたな……」

P「そうだなぁ」ポン…

珠美「んん……」

P「…………」ポン…

珠美「ふへ…、おやす、み……」

P「ああ、おやすみ」ポン…

珠美「すぅ…、すぅ……」

P「……寝たか」ポン…

友紀「んんぅ…、んー……?」

P「あ、起きちゃったか? 友紀」

友紀「お兄やん……?」

P「へっ? いや、お前のプロデューサーさんだぞー?」

友紀「んへへ…、おにいやん、久しぶり……」

P「……寝ぼけて勘違いしてるのか?」

友紀「兄やん…、お腹ぽんぽんしてぇよ……」

P「あー……、こんな感じか?」ポン…

友紀「うん…、えへへ……。懐かしいとよ……」

P「明日は朝早いから、早く寝ろよ。な?」ポン…

友紀「……うん。えへへ……」

P「ほら、おやすみ……」ポン…

友紀「おやすみぃ…。くぅ……」

P「…………」ポン… ポン…

友紀「すぅ…、んん……」

P「……相手にお姉ちゃんぶってても、やっぱり妹なんだなぁ。こいつも」

P「仕事しよ……」

ーーーーーー………


P「……うん。味噌汁はこんなもんか」

P「7時前……、そろそろ起こそうか」

早苗「うぃっすー、おはよー」

美優「おはようございます……」

留美「おはよう、Pさん」

P「おや? お三方のスケジュールはお昼からじゃ……」

早苗「いやー、昨晩友紀ちゃんからメールでP君の作った朝ごはんが食べられるー、って聞いて」

留美「気になって、ご馳走になろうかと」

P「そう言うことですか。いや、きっかり3人分なんて作るの面倒ですから多めに作ったんですよ。助かります」

美優「ふふっ…! 楽しみです……」

P「じゃあ、そろそろできるのであいつらを起こしてきて貰えます?」

早苗「おっけー!」

早苗「おはよー……」

美優「友紀ちゃーん、珠美ちゃーん……?」

留美「まだ起きてない、わよね……」

友紀「くかー…、すぅ……」

珠美「うにゅ…、くぅ……」

早苗「ふはっ! 珠ちゃんうつ伏せで寝てる!」

留美「しゃ、写真…! 写真撮っときましょ……!」

美優「ふふっ…、可愛いですね……」

早苗「はー…、朝から面白いもん見たわー……」


早苗「よし! 友紀ちゃーん! 珠ちゃーん! 朝よー、起きなさーい!」

美優「起きて、珠美ちゃん……?」

珠美「ふわぁぁ…、あさ……?」

留美「友紀ちゃんも、Pさんが朝ごはん作ってくれてるわよ」

友紀「んー…、おにいやん……?」

留美「にいやん? お兄さん、かしら?」

友紀「あれ…、留美さん……。おにいやんは……?」

留美「お兄さんはいないわ?」

友紀「……嘘だぁ。夜おにいやんがいて、お腹ぽんぽんってして……。あっ……」

早苗「……起きた?」

友紀「うん…。わはー……、恥ずかしいこと言ってたなぁ……」

珠美「んへへぇ……」

美優「あの、珠美ちゃん全然起きないんですけど……」


友紀「ふあぁっ……」

珠美「んー…、くあっ……」

P「おう、おはよう。よく眠れたか?」

珠美「はい…、歯磨きと顔洗ってきまぅ……」

友紀「ねー、プロデューサー……」

P「んー? ご飯はもうできてるぞ」

友紀「ううん。夜ね、懐かしい夢見たんだ」

P「……どんな」

友紀「お兄ちゃんがお腹をぽんぽんってして、寝かしつけてくれるって」

P「そうか……。いい夢だったか?」

友紀「……うん!」

P「それはよかった。さ、早く準備してきな」

友紀「はーい!」

ここでまたストップします。

朝ごはん食べたらお仕事パートに入る予定ですので、もう少しです。

P「はい、みんなオッケーですか? じゃあ……」

「「「「いただきまーす!」」」」

珠美「わぁ! 焼き鮭! 珠美のリクエストした焼き鮭が!」

P「おう、皮も美味しいぞ」

早苗「焼き鮭…、日本酒が欲しいわねぇ……」

留美「昔居酒屋で鮭の皮の塩串焼きを食べたけれど、美味しかったわ……」

美優「…………!」ゴクリ…

友紀「あ、でもこの辺に魚屋さんって無いし、スーパーも開いてないよね? どこから買ってきたの?」

P「んー? 寿司屋の友達に無理言って用意して貰ったんだよ。また来年も恵方巻き買わされるぞー」

珠美「そこまでして……。なんでも言ってみるものですな!」

早苗「そうそう! 可愛い珠ちゃんの為ならなんでも用意してくれるわよ? P君なら!」

P「えー……」

友紀「ずずっ…。はあ……、お味噌汁美味しい……」

留美「本当…、具が豆腐とわかめだけっていうのがまた……」

美優「お出汁とか、どんな風にしてるんです?」

P「これもシンプルにいりこですよ。頭とワタをとって出汁をとるんです」

P「で、出汁を取った後のいりこをフライパンで炒って、醤油やら味醂やらで味付けしたのがそこの小鉢の奴です」

早苗「そう! 出汁取った後とは思えないくらいご飯にあうのよー!」

珠美「んむんむ……。うんっ! この歯応えもたまりませんな!」

P「さ、食べな食べな」

友紀「はーい!」

美優「ふぁ…、お腹いっぱいです……」

珠美「ふー……、ご馳走さまでした!」

留美「美味しかった……。いいわね、こういう日本の朝ごはんっていうの」

P「お粗末様です。それも珠からのリクエストなんで」

早苗「いいわねー、最年少は1番可愛がってもらえるから。うりうり」ムニムニ

珠美「うぁー…! ほっぺがぁー……!」

P「珠が所属する前はお前が最年少だったのになぁ。それでもハタチだけど」

友紀「んー?」

美優「ふぅ…。じゃあ、そろそろ2人はお仕事の準備しないと……」

珠美「はいっ! 今日のお仕事頑張りましょうぞ! 友紀殿!」

友紀「オッケー! ビシッと決めるよー!」

P「ほら、忘れもんないか? 時間もないし、取りに戻れないからな」

友紀「うん! 大丈夫だよー!」

珠美「ハンカチとティッシュ、携帯の充電も……、よし。ええ、大丈夫です!」

P「じゃあ、行ってきますね。帰りは夕方くらいになると思うんで」

早苗「わかったわ。じゃ、頑張って来なさいねー、2人とも!」

珠美「行ってきまーす!」

友紀「ばいばーい!」

ブロロロロ……

美優「……行っちゃった」

留美「あんなに自信満々で仕事に向かうの、いつ以来かしらね」

早苗「ま、あとは成功するように祈るだけよ! 心配いらないでしょうけどね♪」

ーーテレビ局ーー


友紀「あー…、移動時間ながかったねー……」

珠美「ですなぁ…、お尻が……」

P「ほら、ピシッとしな」

友紀「さ! まずは何? 挨拶?」

P「いや、お前たちは控え室で着替えて来な」

珠美「え、でも……」

P「今日の挨拶はプロデューサーとかマネージャーだけでいいの。アイドルまで足したら全員で50人超えるし」

友紀「お、多いね……」

P「ま、俺は偉いさんに媚び売ってくるから、収録までに着替えて、準備すましとけよー」

珠美「はいっ!」

P「あ、そうそう。ほら」

友紀「ん? なに、この紙」

P「他のアイドルの魅力とか、およその並び順でどんなアピールが目を引くかとか。俺なりに考えたから」

友紀「……ふっ」
珠美「ふふっ……」

P「な、なに笑ってんだよ」

友紀「これはいまのあたし達には必要ないよ!」

珠美「ええ、珠美達には昨日の晩に考え抜いた秘策があるのです!」

P「……そっか。ん、じゃあ頑張れよ」

ーー合同楽屋ーー

ワイワイ ガヤガヤ

友紀「…………」

珠美「はい、友紀殿。毛布貰って来ましたぞ」

友紀「ありがとー…。うう、この格好冷えるなぁ……」

珠美「にしても、色々な格好のアイドルがいますなぁ……。珠美達もその一部ではありますが」

友紀「ねー、スチュワーデスさんとか探偵の格好とか、忍者までいるよ!」

珠美「あ、あの人鉄砲持ってます!」

友紀「珠ちゃん撃たれる! 撃たれるよ!」

< んー?

友紀「あ…、お、おはようございます……」

< ばーん! であります!

珠美「ひゃわぁぁあ!?」

友紀「きゃぁーーっ!?」

スタッフ「そろそろ出番ですので位置についてくださーい!」

「「「「はーいっ!」」」」

友紀「あ、はいっ!」

珠美「行きましょう、友紀殿!」

スタッフ「1列目は事前に説明した通りです。2列は自由です」

友紀「珠ちゃん急げ! 端っこに行くよー!」

珠美「は、はい!」

友紀「あたし達が考えた登場アピールで、目立ってやるんだ!」

珠美「ええ! やってやりましょう!」

友紀「うんっ!」

ーーーーーーー………


みく「では! 色んな衣装に身を包んだアイドル達の登場にゃ!」

藍子「みんなの衣装をヒントに、問題に答えていってくださいね♪」

P(さて、あいつらはどうやるかな…。特に珠は格好が地味だし背が低いぶん不利だが……)

P(そこを友紀がカバーしてやるか、それとも友紀だけを推していくか……)

みく「じゃあー……、カーテンオープン!」

ファサッ

藍子「みんな、どうぞー!」

ザワザワ… ザワザワ…

友紀「…………!」

珠美「…………!」

P(えぇーーっ!? 友紀が珠をだっこしてる!? ええ、えぇーーーっ!?)

「あ、うん……」

「かわ、いいけど……」

P(他のアイドル達も呆気に取られてポーズにキレがない……)

みく「……にゃ、なんか、手足がダラーンてしてる子がいるにゃあ」

藍子「わぁ♪ お人形さんみたいで可愛いですねぇ!」

みく「あのお人形さん竹刀ぶんぶん振り回すのにゃあ! 危ないでしょー!?」

P(あ、でもMCの2人が珠に食いついた! 不利だと思ってた珠が持っていったな……!)

藍子「では、入場でーす!」

P(カメラの前を通って入場するわけだけど、友紀は両手が塞がってるし、珠は激しい動きはできないし……)

P(どうやるかな……)

「いえいっ!」

「ばーん!」

珠美「えへへ!」

友紀「…………」ペコリ

P(珠はともかく、友紀は微笑みながら頭をさげておしまいか……)

P(あ、でもカメラが友紀達を追いかけた! これはデカイぞ!)

みく「はい、じゃあみんな揃ったかにゃあ?」

「「「「はーい!」」」」

藍子「それでは、1問につき2人ずつ前に出てきて貰いますから、しっかり正解していってくださいね!」

みく「……いつまでだっこしてるのにゃあ」

友紀「降り、降りて…。腕痛い……」

珠美「は、はい……」

みく「なんでだっこしてたのー!」


P(さて…、珠を降ろしたわけだけど、さっきからずっと友紀の衣装が珠で隠れてるな……)

P(せっかくアイドル全体でも露出度が高い方の衣装なのに……)

P(……あっ、そういことか)

みく「じゃあ、第1問目にゃあ!」


ーーー

ーーーーー

ーーーーーー……

P(さて、珠の出番は終わって次は友紀か……)

藍子「では、壇上のアイドルはアピールをお願いしますね♪」

亜季「大和亜季です! 鍛えられた身体と心で、あなたのハートを狙いうち♪」

みく「だ、ダイナマイトボディーにゃあ……」

藍子「みくちゃん?」

みく「な、なんでもないにゃ! こほん、次の子、アピールタイムにゃあ!」

友紀「わはー! 姫川友紀、全力で……、いっくよー!」

P(珠を自分の前に置いて、あえて衣装を隠していたのか…。まともに友紀の衣装が見えたのは今が初めてだから新鮮味があるな……)

友紀「すぅ……。ふれーっ! ふれーっ! ふれふれっ! ゆっきー!」ピョンッ ピョンッ

P(おほっ、揺れる揺れる)

藍子「あのチアガールさん、自分を応援してますね」

みく「自分だけパワーアップするつもりにゃあ! ずるい!」

アハハハ! ワハハ!

P(にしても、みくにゃん凄いな…。あの歳でMC張って笑いも取って。友紀達みたいなイレギュラーなアイドルの相手もしつつスポンサー推しのアイドルの相手も忘れてないし……。一流アイドルはやっぱり違うな……)

P(……友紀達も、あれくらいにしてやらないとな!)

藍子「はーい、では第7問目。最後の問題でーす!」

P(あ、ここは友紀がハズレの問題か…。最後の最後に目立てなかったか……)

P(……ま、これだけ目立てば十分名前は売れただろう。よしよし、っと)

P(……早苗さんにメールしてビールとおつまみを沢山用意してもらっとこう)

ーーーーーー………


藍子「いやー、今日も珍回答が続出しましたね」

みく「いや、野球の問題で後ろのチアガールがめちゃくちゃ野次とばしてたにゃあ……」

みく「それじゃ、これにておしまい! また来週も、見ってにゃー!」

藍子「ありがとうございましたー!」


スタッフ「……はい! お疲れさまでーす!」

みく「にゃあー…、今回の収録ちょっと疲れたにゃあ……」

藍子「随分とツッコんでたね、みくちゃん」

みく「なんだか、血が騒いだのにゃ」

友紀「お疲れさまでーす! みくにゃんさん! 藍子さん!」

みく「主にあの子のせいにゃあ!」

珠美「みくにゃん殿、藍子殿! 今日はお疲れさまでした!」

みく「み、みく、みくにゃんでいいから……」

藍子「えっとー…、友紀さんと珠美ちゃん、ですよね?」

珠美「はい! 2人にいっぱい拾って貰えて感謝感激です!」

みく「そ、そんな事言っても、みくは普段通りにお仕事しただけにゃ」

みく「……でも、沢山ツッコミ出来たのは楽しかったけど」

藍子「あ、ちなみに2人ともみくちゃんより歳上ですよ?」

みく「うっそだあ」

藍子「ほら、友紀さんはカメラの前で頭を下げたときは大人のお姉さんって感じでしたね!」

友紀「そう! それが狙いなんだよー!」

P「友紀ー! 珠、美ー!」

友紀「あ、プロデューサー!」

P「その格好も冷えるだろ、早く楽屋に……。って、みくにゃんさん。今日はウチの2人によく構ってもらってありがとうございました」ペコリ

みく「友紀チャン達のプロデューサーもその呼び方ー!?」

藍子「流石はみくにゃんさんですねぇ♪」

みく「藍子チャンまでー!? もー……! そのむず痒い呼び方はやめるにゃあー!」

珠美「あ、プロデューサー殿。スタッフの方が呼んでますぞ」

P「え? あ、すいません! 今いきまーす!」

みく「……オトナは大変だにゃ」

友紀「あたしもハタチだよーん」

みく「うぇっ!? 嘘にゃあ! 絶対17くらいだにゃ!」

< はい、はい…! ああ、ありがとうございます! ええ!

珠美「……なんでしょうか」

藍子「お礼言ってるけど、何かいいことあったんでしょうか……」

みく「あ、こっち来たにゃ」

P「2人とも喜べ! 番組の次回予告やらせてもらえるって!」

友紀「えーっ!? ほ、ほんと!」

珠美「やりましたな! 友紀殿!」

藍子「わぁ! おめでとう!」

みく「よかったにゃあ! 緊張して噛んじゃだめだよー」

友紀「うん!」

P「ほら、あっちのカメラの前に!」

珠美「はーい!」

スタッフ「では、準備いいですか? 5、4、3……」

< いやー、珠ちゃん! 今回は盛り上がったねー!

< それは友紀殿が……



P「…………」

みく「……プロデューサーさんは、いつもさっきみたいに構ってあげてるの?」

P「えっ? まあ、そうですね……」

藍子「そっかあ、なんだか羨ましいですね……」

P「……お二人のプロデューサーさんは?」

みく「しっかりお仕事をしてくれてるんだけど、仕事終わりに駆け寄って来て労ってくれる……、なんてのはないにゃあ」

藍子「プロデューサーさんはまっさきに薄着の友紀さんの心配をしてたのが、素敵です……」

P「とくに、いつもの事なんであまり意識してやっている事じゃあ……」

みく「無意識にできるんならもう一流のプロデューサーにゃあ! ウチのプロデューサーと取っ替えっこしよー!」

P「いや、そういうわけには……」

珠美「う、ウチのプロデューサー殿は渡しませんぞ!」

友紀「そーだそーだ!」

藍子「あ、2人とも、終わりました?」

友紀「この後はプロデューサーの奢りでお酒飲んでー! 美味しいものいっぱい食べるんだー♪」

珠美「はいっ! ひと仕事終えた後は事務所のみんなで打ち上げです!」

P「……はいはい。ほら、帰ろうか」

みく「……じゃ、お疲れ様でした」

藍子「お疲れさまでした」

友紀「お疲れさまでした! またよろしくお願いします!」

珠美「お疲れ様です! では、また!」

P「早苗さんにビールとか用意して貰ってるから、はやく帰ろうな」

友紀「やったー! 留美さんのチキンカツ、また食べたいなぁ!」

珠美「な! 珠美はそれ食べてません! 作ってもらうように今すぐ連絡を……!」

みく「……ホント、仲いいにゃあ」

藍子「羨ましいです……」

ーーーーーーーー………


P「……じゃあ、かんぱーい!」

「「「「かんぱーい!」」」」

友紀「んっ、んっ、んっ……! ぷっはああぁぁぁぁ!! ひと仕事終えたあとのビールは格別だねぇー! この一口、この一杯の為に汗水垂らして跳ね回ってるようなものだよー!」

友紀「そこで、この揚げたてのチキンカツを……! あむっ!」サクッ!

友紀「くぅー…! 厚い鶏肉の歯応えと衣のサクサク感がソースとの味わいを深めて……! それをまたビールで流し込むとぉ……!」

友紀「くっ…、はぁぁぁ……! 幸せぇー……!」

留美「す、凄いわね……」

早苗「ほんとう、美味しそうに食べるわよねー……」

美優「はい、珠美ちゃんはジュースだけど、どうぞ?」

珠美「ありがとうございます! いやー、今日の収録は大成功と言えますな!」

友紀「ねー! 後はカットされない事を祈るだけだよー!」

P「しかし、今回は2人ともよくやったなあ」

友紀「ふふん、あたしだってやればできるんだぞー!」

珠美「ええ! P殿に頼りっぱなしという訳にも行きませんからな!」

P「……そっか」

友紀「でも、これからも面倒みてね、プロデューサー!」

珠美「お願いします! 毎度こんな上手くいくとは限りませんから!」

P「ああ、いつでも俺に頼れよ!」

早苗「もちろん、あたし達も頼っていいのよねー?」

美優「信頼、してますから……」

留美「お願いよ、Pさん?」

P「ええ、もちろん。みんなまとめてトップアイドルに押し上げてやりますよ!」

P「じゃあ、気分もいいしもう一回乾杯といきますか」

友紀「うん!」

早苗「おっとと、溢れちゃうー」

美優「これを機に私達もお仕事が増えるといいですね……」

留美「ふふっ、それもPさんがしっかりやってくれるわ?」

珠美「ま、まってください! 今飲み干したばかりで……!」

P「……ふう、よし!」

P「みんなで一致団結、おー!」

「「「「「おーー!」」」」」


『姫川友紀 が アイドルとして成長した!』

『脇山珠美 が アイドルとして成長した!』

『事務所全体の絆が深まった!』


ーーお仕事完了!ーー

ーーーそれから幾月かーーー


友紀「ほら! ここ! 珠ちゃんをだっこしてる所! あたし達にカメラが寄ってる!」

P「よかったなあ! あれから幾らかお仕事も増えたし、今日放送されたこれを見てファンが増えるぞー」

珠美「ほら! カメラも珠美達を追いかけて!」

早苗「あー! この前収録した奴今日放送か! 忘れてたー……」

P「ちゃんと録画してありますよ。さ、一緒に見ましょう」

珠美「あ! 珠美が壇上にあがりましたぞ! 珠美のアピールタイムです!」

P「ここでもカメラはこっちを向くから友紀の全体像はまだ映らないし、うまいこと考えたなあ」

友紀「いや、この辺はもうたまたまだね」

P「あっ、うん……」

ーーーーーーー………


TV『……また来週も、見ってにゃー!』

早苗「ふー、面白かった! さて……」

友紀「あ! 待って早苗さん! まだあるんだよー!」

早苗「え? なになに?」

珠美「番組の次回予告をやらせてもらえたのです! それがこのCM明けに!」

早苗「あら! そんな所までやらせてもらったのー! 見ないといけないわね!」

P「……おっ、始まった」

友紀『いやー、珠ちゃん! 今回は盛り上がったねー!』

珠美『それは友紀殿が後ろで野次を飛ばしたからでしょう! みくにゃんが大変そうでしたなぁ……』

友紀『そんなことより、次回のアイドルクイズにはあの大人気だらだら妖精が登場!?』

珠美『はたしてハリボテではなく本物がスタジオにちゃんと現れるのか! 乞うご期待!』

友紀『来週もまた見てね! ふれっー!』

珠美『すぅ…、せい』


珠美「あーっ!? せいやーーーー! が! 珠美のせいやーーーー! がカットされました!」

友紀「あははー! ここをカットしてきたかー!」

P「よかったじゃないか! 最後に笑いが取れて!」

早苗「いやー、美味しいポジションよー?」

珠美「う、ううぅ…! それはそうですが……!」

珠美「ぜ、絶対! 絶対せいやーーーー! がカットされないアイドルになってやりますから!」

P「目標がちっちゃいなぁ……」




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