モバP「飲んだくれ勇者の竜退治」 (82)

※注意事項
・モバマス×ドラクエ
・ドラクエ1準拠

OKならどうぞ

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ここはラダトーム。
アレフガルド世界全体を支配に置く中枢国家である。

ある日、魔族の侵攻によりラダトームから王女が攫われてしまう。
王様は嘆き苦しみ、三日三晩寝込んだとか寝込んでないとか…

そんなこんなで半年くらい経過したある日
一人の戦士が城に呼ばれました。


P「よくぞ参った。伝説の勇者ロトの血を引くものよ!」

P「その昔、伝説の勇者ロトは光の玉を用いてこの世界を闇の底から救ったという」

ちひろ「…」

P「しかしどこからともなく現れた魔王・竜王がその光の玉を奪い去ってしまった。このままでは世界は再び闇に閉ざされてしまう!」

ちひろ「あのー、王様?」

P「勇者…なに、どうしたんだ大臣?」




友紀「んくっ…え、何か話してた?」ヒック

ちひろ「末裔殿は酒を飲んで、全く話を聞いてませんよ?」

P「おい、そこに座れ」




P「お前、人が話してるときくらい酒を飲むな!」

友紀「えぇー? だってこんないい天気なんだもん、飲まずにはいられないよ!」

P「時と場所を考えろ! 今お前は王様の前にいるんだぞ!」

友紀「わかったよー…」ゴクゴクッ

P「だから飲むんじゃねえ! 誰かこいつから酒ビン取り上げろ!」


…ビンは取り上げられました…

友紀「もー、そんな娘さんが誘拐されたからってカリカリしなくていいじゃん」

P「………」ズーン

友紀「あ、やべっ」

ちひろ「もう勇者様! それは王様のトラウマスイッチなんですよ?」

友紀「ゴメンゴメン、悪かったって」

P「うおおおおおお! わが愛娘ええええええええ!」ビエーン

ちひろ「よしよし…大丈夫大丈夫」ナデナデ

友紀「…大丈夫、この国?」


友紀「まぁとりあえず、姫様を救出して竜王をぶっ倒してくればいいんでしょ?」

P「そうだ。そのためにお主を呼んだのだ」キリッ

友紀「任せといて。吉報を運んでくるよ!」

P「…そうか。では行け、勇者よ!」

ちひろ「頼もしいですね」

P「そうだな」



ガンッ

兵士「勇者様! そこはカベです!」

友紀「いてっ! 頭打ったー!」ジンジン

ちひろ「…大丈夫でしょうか?」

P「…大丈夫だと信じたい」


P『まずは敵が比較的弱い城周辺で経験を積むといいぞ』



<テレレレテッテッテーン!

友紀「あたしはちゃんと人のいう事は聞くもんね!」



ユッキ レベル4

そうび どうのつるぎ
    かわのたて
    かわのふく
    りゅうのうろこ



友紀「ふふーん! これならやられて強制送還なんてありえないね」






P「………で、なんでお前はここに帰されてんの?」

友紀「あの、いや、その…」ショボーン

P「俺散々言ったよね!? 地道にレベル上げろって」

友紀「だってあんなにドラゴンが強いなんて知らないよ!」

P「人質を見張る門番が弱くてたまるか! お前これで6回目だぞ!?」

友紀「ぐぬぬ…」


P『とにかく。薬草を多く持って装備を固めろ。ドラゴンは火を吐くから手ごわいぞ』



友紀「ちゃんと薬草を持って、魔法の鎧も買って、レベルも上げた」

友紀「これならもう負ける要素はないね!」

<バタン!

友紀「さあ勝負だ、ドラゴン!」





「おう、遅かったじゃねえか」

友紀「…えっ?」


ドラゴン「………」チーン

友紀「えっ? なんでドラゴンがのびてるの?」

??「アタシが仕留めたんだよ。あんまりにも遅えからな」

友紀「えっ…あの、姫様…だよね?」





拓海「オウ。正真正銘ラダトーム城の王女だよ」


友紀「なんで姫様がドラゴン倒せるのさ!」

拓海「弱ったドラゴン程度ならアタシでも捻れるぜ」

友紀「えぇー…」

拓海「つーか、魔族に捕まったのもワザとだし」

友紀「えっ」

拓海「あんな城にずっといたら息苦しくて死んじまうぜ。やっぱ外に出ねえとダメだわ」

友紀「そんな…おてんば姫だったとは」

拓海「安心しろよ。武術大会で優勝とかはしねえからよ」

友紀「そんなお姫様がいるのなら見てみたいね」

※います


友紀「じゃあ早くここから出ようか」

拓海「ちょっと待て。アタシも連れてけ」

友紀「えっ」

拓海「あの城に戻ったらまた堅苦しい生活が待ってやがるからな」

友紀「えぇー…」

拓海「返事は、はいかイエスしか受け付けねえから」

友紀「あの、じゃあ…一緒に竜王退治に行きましょう」

拓海「よっしゃ! 楽しみで仕方ねえぜ!」

―――――――――――――――――――――
ローラ姫(拓海)が 仲間にくわわったっ!
―――――――――――――――――――――


友紀「さて、ここからどこへ行こうか?」

拓海「竜王の居城に向かうには、太陽の石と雨雲の杖とロトの印が必要だが…どれか一つでも持ってるか?」

友紀「全部初めて聞く名前です」キリッ

拓海「だと思ったぜ…とりあえず太陽の石はウチの城にあるから取りに行くぞ」

友紀「城に戻って大丈夫なの?」

拓海「アンタが取りに行ってる間、アタシは城下町で待ってるから」

友紀「あっハイ」


―城下町

拓海「さーて、ここで待ってるか」

拓海(つってもアタシの顔結構ばれてるからな。あんまり下手な行動はできねえけど)

拓海「…それにしても、この焼き芋うめえ」モシャモシャ

兵士「…ん? その声は姫様ですか!?」

拓海(やべえ! 兵士がきやがった!?)ササッ

兵士「そこにいるんですか?」



拓海「あおーん! キャンキャン!」

兵士「なんだ、犬ですか…そうだよな、姫様がこんな場所にいるはずがない」アッチイコー

拓海「ふぅ…危なかった」

拓海(それにしても、アタシ猫のほうが好きなのにどうして犬の鳴きまねしたんだろ? まぁいいか)






友紀「お待たせー! ほら、ちゃんととってきたよ」

拓海「うーし。それじゃ次はロトの印だな」

友紀「ロトの印ってどこにあるの?」

拓海「この城から南東に向かった場所にある。が、そこは毒沼だ」

友紀「うげっ…毒沼嫌いなんだよねー」

拓海「なので先にアレを取りに行く」

友紀「アレってなに?」

拓海「…伝説の鎧だ」


―ドムドーラ

友紀「こんな廃墟に伝説の鎧があるの?」

拓海「伝説の鎧は人から人へ渡っていき…この町に住んでいたある男が隠していたらしい」

友紀「ふーん…とてもなんかがあるようには見えないけど」

拓海「とりあえず探すぞ。なかったらなかったで考えればいい」

友紀「あっ! ねぇねぇ、あそこ怪しくない?」

拓海「あそこか…確かに不自然だな」

友紀「行ってみようよ!」


友紀「あれ、なんかあるよ!」

拓海「本当だ…ん? なんか動いてねえか?」

友紀「確かに鎧が動いているような…鎧が動く?」





あくまのきし「………」カシャン

―――――――――――――――
 あくまのきしが あらわれた!
―――――――――――――――

友紀「モンスターだ!?」

拓海「悪魔の騎士か。なかなかの強敵だな」


あくまのきし「………」ブンッ

友紀「うひゃあ! あ、あぶない…」

拓海「一撃貰ったらひとたまりもねえぞ。気をつけろ!」

あくまのきし「………」クルッ

友紀「えっ、そっちは…」

あくまのきし「………」ブオッ

拓海「くそっ、アタシ狙いか!?」

友紀「逃げて姫様!」



ズガンッ!




拓海「…なーんちゃって」

あくまのきし「………」ドサッ


――――――――――――――――――
かいしんの いちげき!
あくまのきしに 140の ダメージ!

あくまのきしを たおした!
――――――――――――――――――

友紀「………えっ?」



友紀「素手だよね? 何でそんなに強いのさ…」

拓海「さぁ? 先祖のおかげじゃねえかな」

友紀「姫様の先祖は武闘家か何か?」

拓海「かもな」

友紀(あたし必要なのかな…?)


…どこかのせかい…



早苗「ぶえっくしゅい!」

志乃「どうしたの早苗ちゃん…風邪かしら?」

早苗「いや、誰かがあたしの噂をしていたような」ズビッ

若葉「もうすぐバラモスの居城ですから、気を引き締めていきましょう~」

真奈美「そうだな…早く決着をつけよう」

早苗「あたしに任せときなさい!」


友紀「次はロトの印って奴を取りに行くの?」

拓海「そうだ。その鎧があれば毒沼でも平気だからな」

友紀「この鎧すごいね。歩くだけで体力が回復するよ」

拓海「伝説の勇者ロトが身に着けていた鎧だからな。そりゃすごくて当然だな」

友紀「あたしの祖先か…どんな人だったんだろ?」

拓海「間違いなく飲んだくれだな」ケラケラ

友紀「それは間違いないね!」


…どこぞのせかい…


志乃「……」グビッ

真奈美「志乃さん…決戦前に酒を飲むのはどうなんだい?」

志乃「うふふ…勇者はアルコールが切れると戦えないのよ?」

真奈美「なせそんな酔っぱらって戦えるんだい…」ハァ

早苗「アルコールは友達よ」

志乃「盟友ね…ふふ」


友紀「このでっかい毒沼にロトの印があるのか…」

拓海「ラダトームの城から南に140、東に80。ここで間違いねえな」

友紀「…なにそのレーダーみたいなのは」

拓海「王女の愛だ。城からの距離が測れるんだ」

友紀(GPSかな?)

拓海「これとは別でウチのバカ親が作ったのもあるんだが…」

友紀「それはどこにあるの?」

拓海「ドラゴンの腹の中だ」

友紀「これはひどい」


友紀「んーと…あっ、これかな!?」ザバッ

拓海「間違いねえ。これがロトの印だ」

友紀「なんでこんな毒沼に落ちてるんだろね」

拓海「…ここが勇者の最期の場所だったのかもな」

友紀「でもお墓はあったよ?」

拓海「あの下に骨が埋まってるとも限らねえからな」

友紀「確かにそうだね」


…とおいむかし…

志乃「…うふふ。酒を飲みながら旅ができるなんて平和になったわね」



こけっ

志乃「あうっ」ステーン



ばしゃん!

志乃「あっ…落としちゃったわ」

志乃(しかも毒沼の中…若葉ちゃんがいないからトラマナもない)

志乃「まぁなくても困らないし…放っておきましょう」スタスタ

志乃(後世のために隠したってことにしておきましょう)


―雨のほこら

老人「ここは雨雲の杖をつかさどる祠じゃ」

友紀「雨雲の杖が必要なの、貸して!」

老人「条件がある。銀の竪琴というものをもってきてくれんかのう」

友紀「…えっ?」

友紀(銀の竪琴? ナニソレ? そんな名前初めて聞いたよ)

老人「どうした、持っておらぬのか?」


拓海「ほら、これだろ」スッ

老人「おお、これはまさしく銀の竪琴! さあ杖を持っていきなさい」

友紀(どうして持ってたの?)ヒソヒソ

拓海(…あれ、ニセモノの竪琴だ)ヒソッ

友紀(え゛っ)ヒソッ

拓海(本物はちとメンドくせえ場所にあるからな。アタシも行きたくねえんだ)ヒソヒソ

友紀(いいのかな…?)


―聖なる祠

老人「よくぞ来た。ロトの血を引きし者よ」

友紀「なんかおじいさんは全員同じ顔に見えるね」ボソッ

拓海「言うな」ボソッ

老人「今こそ雨と太陽が合わさるとき! この虹の雫を持っていくがよい!」ペカー

友紀「うわー、きれいな雫だね!」

老人「それをしかるべき場所で使えば橋を架けることができる」

友紀「どんな橋が架かるのかな? 虹の橋かな?」

拓海「きっとキレイな橋だろうよ」


拓海「ここだな。さぁ、雫をばらまいてみろ」

友紀「よし、それーっ!」パシャッ



ぺかー!
きらきらきら…

友紀「…えっ?」

拓海「石の橋、だな…」

友紀「なんで!? 雫まいたのになんでこんな無機質な橋なの!?」バンバン

拓海「もっとこうメルヘンチックな橋が架かると思ってたぜ…」

友紀「うぅー…何か裏切られた気分だよ」

拓海「落ち込んでも仕方ねえ。行くぞ」


―竜王の城

友紀「ここが竜王の城か…」

拓海「ん? 玉座はあるけど誰も居ねえな」

友紀「おかしいな…左右の階段は行き止まりだったし」

拓海「…ん?」

友紀「どうしたの?」

拓海「何か風を感じる。どこかに隠し階段がありそうだ」


友紀「隠し階段? でもこんな部屋に隠し階段って…」

拓海「玉座の前にないなら…玉座の後ろはどうだ?」

友紀「まさかあるわけ」ガンッ



階段「やぁ」

友紀「あったよ」

拓海「うっし。ここから行けそうだな」

友紀「なんで姫様そんなに有能なのかな」


拓海「うわっ!? 真っ暗だ」

友紀「危ないから明るくしよう」レミーラ

拓海「ずいぶんと入り組んだ構造だな」

友紀「侵入者を徹底して拒むようにできてるね」

拓海「迷って無駄な戦闘は避けてくぞ」

友紀「りょうか…シッ!」バッ

拓海「オイ、どうした!?」





あくまのきし「………」カシャーン


友紀「危なかった…気づかれるところだったよ」

拓海「だから急に止まったのか。しかし…あっちに階段が見えるな」

友紀「戦闘は避けれない…どうすれば」

拓海「後ろから襲いかかって突破するか?」

友紀(後ろから………そうか!)ピコーン

友紀「ねぇ姫様。ちょっとしゃがんでみて」

拓海「はぁ? こうか」スタッ




がしっ

ぶんっ!

友紀「いっけえええええええええ!」

拓海「のわあああああああああ!?」ヒューン

あくまのきし「? ………!?」ズガンッ!


――――――――――――――――――
かいしんの いちげき!
あくまのきしに 128の ダメージ!
あくまのきしを やっつけた!
――――――――――――――――――


友紀「よし!」

拓海「よしじゃねえ! テメェ、アタシは飛び道具か!?」ブンブン

友紀「ゴメンゴメン。もうしないから」

拓海「ったく…次はテメェをブン投げてやるからな」

友紀「さぁレッツゴー!」

拓海「話を聞けェ!」






拓海「階段が二つ…上へ行く階段と下へ行く階段か」

友紀「こっちに行こう」スタスタ

拓海「上? 竜王がいるのは最下層だろ?」

友紀「わかんないけど…多分こっちに行ったほうがいい気がする」

拓海「…?」

友紀「お願い!」

拓海「わかったよ。ダメなら戻ればいいしな」


拓海「なんか変な場所に出たな」

友紀「あれは…宝箱!?」

拓海「こんな場所に不自然においてあんな」

友紀「なんだろ…」カパッ



―――――――――――――
ロトのつるぎを みつけた!
―――――――――――――



拓海「これは…伝説の剣!?」

友紀「なんで竜王の城に…?」

拓海「竜王はこれも奪い去ってたのか。用意周到な奴だぜ」

友紀「あたしたちがここまで来るのは想定外だろうね」

拓海「だろうな。さあ、とっとと竜王をぶっ倒そうぜ」

友紀「うん、行こう!」






拓海「…あれか」

友紀「竜王…なんだよね」

??「…その通り」

拓海「でも…どう見ても人間じゃねえか!?」

??「これは世を忍ぶ仮の姿…見た目だけで判断するのは二流よ」

友紀「…魔翌力が凄い。玉座に座ってるだけなのに」

??「当然よ」

>>48
×魔翌力
〇魔力






ヘレン「なぜなら私は、世界レベルなのだから」ファサッ






拓海「なぁ…あれ本当に魔王か?」ヒソヒソ

友紀「…あたしの勘違いかな?」ヒソヒソ

ヘレン「そこ。聞こえてるわよ」

拓海「テメエが竜王だって証拠はあるのか?」

ヘレン「これでどうかしら?」スッ

友紀「あれは…光の玉!」

拓海「正真正銘の魔王様ってわけか」

ヘレン「その通り。私は世界を統べる魔王…故に世界レベルなのよ」


ヘレン「はっきり言うわ。貴方達に勝ち目はない」

拓海「随分と自信があるみてえだな…」

ヘレン「ええ…これが私の実力よ」バチバチッ

拓海「あれは…ギラ?」

ヘレン「ふん」ブンッ



ドガァンッ!

拓海「えっ…」

拓海(今の閃光の大きさはギラのはず…なのに威力がベギラマ以上って…!?)

ヘレン「どう? 私が口だけではないことはわかったかしら?」

拓海「ぐっ…」

ヘレン「だから、貴方達にチャンスをあげるわ」


ヘレン「世界の半分を貴方達にあげるわ。それで手を打たないかしら?」

拓海「ハァ? お前にメリットがねえじゃねえか」

ヘレン「今は危険ではなくとも、この先必ず仇をなす存在…それが勇者よ」

友紀「………」

ヘレン「危険な芽はここで摘んでおくべき…世界の半分を渡す代わりに私に一切危害を加えないことを約束しなさい」

拓海「それが狙いかよっ…!」

ヘレン「そのかわり私も貴方達の身の安全は保障するわ。どう、悪い条件ではないでしょう?」クスッ

友紀「………」

拓海(どうするんだ…?)





友紀「随分とふざけた提案だね。お断りだよ」


ヘレン「ほう…?」

友紀「世界の半分? ばかばかしい。そんなものの為にあたしはここに居るんじゃない!」

拓海(…ちょっとカッコいい)キュン

友紀「それに…」





友紀「あたしが今一番欲しいのは金○千尋だよ!!!」

拓海「アタシのときめきを返せこの馬鹿野郎!!!」ゲシッ


友紀「いたっ!? なにすんのさ!」

拓海「この世界に金子○尋はいねえんだよ!」

友紀「探せばいるかもしれないじゃん!」

拓海「いねえよ! せめてパワ○ロ世界に行けや!」



ヘレン「交渉決裂…ってわけね」

友紀「勿論だよ。あんたをぶっ倒して光の玉を返してもらうよ!」

ヘレン「…せいぜい絶望しないことね。ベギラマッ!」


ごぉぉっ!

友紀「………」ブツブツ

拓海(よけない…!? 何する気だ)

友紀「…ベギラマっ!」



ばしゅっ!

拓海「ベギラマ同士で…相殺した?」

ヘレン「ほう…なかなかやるようね」

友紀「当然! これでも勇者の末裔だよ」


ヘレン「ならば…肉弾戦に持ち込むまでよ」ブンッ

友紀「ぐっ! 結構力が強い…」ギィン

ヘレン「世界レベルなのは呪文だけではないわ…肉弾戦もこなせるから世界レベルなのよ」

友紀「このっ…うりゃあ!」ブンッ

ヘレン「随分と大振りね。当てる気があるのかしら」ヒョイッ

友紀「つ、強い…」



拓海(…なーんかアタシ、忘れられてねえかな?)


ヘレン「ほらほら、さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」ブンブンッ

友紀「くうっ…隙がないよ…!」キンッキンッ

ヘレン「そこっ!」ドスッ

友紀「あぐっ!? し、しまっ」ガクッ

ヘレン「ふふ…フィナーレと行きましょうか!」ブオッ

友紀「あっ…」



ズドンッ

拓海「アタシを忘れてもらっちゃ困るんだけど!?」

ヘレン「ごっ、があああああああああああああ!?」メリッ



ドゴォン!


ヘレン「がはっ! こ、この…ベギr」

友紀「もらったああああああ!」ブンッ

ヘレン(しまっ―)



ザシュッ!

ヘレン「………ごはっ」バタッ

友紀「や、やったの…?」

拓海「どうやら…倒したみてえだな」

友紀「ふぃー…一時はどうなるかと思ったよ」

拓海「全くだぜ…」





ヘレン「………」ユラッ

拓海「!?」


ヘレン「…この姿は、嫌いなのよ」ボコッボコッ



べりっ、べきべきべきっ
ぼこっ、ぼこぼこっ
ぶぁさっ!

――――――――――――――――――――――――――
なんと りゅうおうは しんのすがたを あらわした!
――――――――――――――――――――――――――

ヘレン「ギャアアアアアオ!」

拓海「なんだよこの化け物は…!?」

友紀「これが竜王の真の姿なんだ…」


ヘレン「………」スウウッ

友紀「やばい! 姫様こっち!」グイッ

拓海「へっ? のわっ!?」



ごおおおっ!

友紀「危なかった…炎を吐くなんて」

拓海「竜王の名は伊達じゃねえって訳か…」

友紀「…姫様は柱の裏に隠れてて。あたしがケリをつけてくる」

拓海「えっ、ちょっ、おい!」


友紀「さあ来い、竜王!」

ヘレン「………」ブンッ

友紀「うひゃあ! す、すごい重い…」ギンッ

ヘレン「………」ブオッ

友紀「甘い!」ザシュッ

ヘレン「ぎゃおおおおおん!」


拓海「………」

拓海(とてもじゃねえが、見てることしか出来ねぇ)

友紀「うりゃあっ!」

ヘレン「ぎゃおおおおお!」

拓海(お願いだ…勝ってくれ!)



友紀「トドメだああああっ!」バッ



ざしゅっ!

ヘレン「ぐ、おっ…」シュオオオッ

友紀「竜王の体が…溶けてく?」

拓海「この世界に留まれなくなってるのか?」

ヘレン「オオ、オ…ォ」

しゅおおおっ…


友紀「はふぅ…疲れたぁ」ペタン

拓海「すげえよ…やっぱり、勇者だな」

友紀「ヘタレ勇者だけどね…ここ一番は譲らないよ」

拓海「さて…これが光の玉か」

友紀「掲げてみようか。それっ」

ぺかー
きらきらきら…


―――――――――――――――――
まばゆいひかりが あふれだす…
せかいにへいわが おとずれた!
―――――――――――――――――


友紀「これで…平和が戻ったんだね」

拓海「そうだな…んーっ、旅ってのも疲れるもんだな」

友紀「やっぱお城でゆっくりしてるほうがいいんじゃない?」

拓海「冗談を言うんじゃねえ。こっちのほうがアタシにあってるね」

友紀「ホント根っからのお転婆だなぁ。お父さんも胃が痛いだろうよ」

拓海「だろうな」

友紀(うわぁ…自覚あるんだ)

拓海「さっさと戻ろうぜ。勇者様の凱旋だ」

友紀「うん!」

―――――――――――――――――――――
ユッキは キメラのつばさを ほうりなげた!
―――――――――――――――――――――






P「よくぞ戻った勇者よ! そして…わが娘よ」

友紀「ただいまー!」

拓海「戻ったぜ」

P「…ねぇ。もしかして一緒に旅してた?」

拓海(ギクッ)

友紀「いやー、助けるのにちょっと時間がかかってね。ごめんね!」

P「そうか…まあ助かったから何も文句は言わん」

拓海(ホッ)


P「ところで勇者よ。私に代わってこの国を治める気はないか?」

友紀「へ?」

P「世界を救った勇者だ。その影響力は大きいだろう。どうだ?」

友紀「うーん…悪いけど、断るよ」

P「そうか? 悪い話ではないと思うが」

友紀「それに、もしあたしが治める国があるなら…あたしは自分で探すよ!」

P「そうか…では新たな旅の無事を祈らせてくれ」


拓海「ちょっと待て。アタシもついてく」

友紀「姫も?」

拓海「ついてったほうが絶対面白いだろ。文句は言わせねえぞ?」

友紀「えぇー…?」

P「…連れていってやってくれないか?」

友紀「じゃあ…行こっか」

拓海「うーし! 新たな旅の始まりだぜ!」


こうして世界に平和をもたらした勇者は

新たな地を目指して旅立ちました。

面白半分でついて行った姫様は

飲んだくれ勇者に振り回されたりもしたけど

なんだかんだで仲睦まじく

子供も授かったりとか…幸せそうだったとさ。

めでたしめでたし。






比奈「はーい。どうだったでスか?」

友紀「わー!」パチパチ

仁奈「友紀おねーさんがかっこよかったでごぜーます!」パチパチ

拓海「…オイ」

友紀「ん、どうしたの拓海ちゃん」

拓海「なんでアタシが姫様なんだよ!」バンッ

比奈「アタシの趣味でス」


拓海「つーかそもそも仲睦まじくって、女同士じゃねーかよ! 子供はどうするんだよ!」

友紀「今流行りのS○AP細胞が何とかしてくれるよ!」

拓海「ねぇから! ○TAP細胞はねぇから!」

比奈「ありまぁス!」

仁奈「コウノトリさんがはこんできやがりますよ!」

拓海「…仁奈、コウノトリさんは赤ちゃんを運んでくれるわけじゃねえんだ」

仁奈「えっ!?」


ギャーギャー

留美「全く…あの子たちは元気ね」

美優「元気なほうがいいと思いますよ?」

留美「それはそうだけど…限度があるわよ」

美優「うふふ…あら、これは何かしら?」

留美「比奈ちゃんの私物かしら…えーと」



留美「天空の花嫁…?」

おわり!

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