結衣「どうしたの？まるで幽霊が豆鉄砲くらったみたいな顔して」

八幡「だから微妙に間違えてるぞ」

結衣「もう、細かいなぁ、そういうところ結衣的にポイント低いよ！」

八幡「ポイントってなんだよ。そのポイント貯めたらなんかいいことでもあるのか？」

結衣「えへへ、ないしょっ♪」

八幡「……」

結衣「お兄ちゃん顔がだらしないよ？」

八幡「……そのお兄ちゃん呼びやめろ、俺のことをお兄ちゃんと呼んでいいのは小町だけだ」

結衣「えー、お兄ちゃんのいじわる！」

八幡「くっ……というかここ教室だぞ」

結衣「……し、知らない」

八幡「知れ、みんなこっちを不審な目で見てるし」

結衣「あ、あぅ……」

八幡「とりあえず場所を変えるぞ。このままここにいるのは辛い」

結衣「うん」

――


優美子「ユ、ユイとヒキオって兄妹だったんだ。あーし全然気がつかなかったし……」

姫菜「絶対に違うと思うよ」

優美子「でもそれじゃ近親相姦……」

姫菜「だから違うって……」

――


八幡「はぁ……」

結衣「……」

八幡「教室でお兄ちゃん呼びはなしだろ。すげぇ可愛かったけど」

結衣「……ごめんなさい」

八幡「絶対まわりの奴らから俺が由比ヶ浜に無理矢理言わせてるって思われてるぞ」

結衣「そしたらヒッキーは変態さんだね」

八幡「誰のせいだよ」

結衣「ごめんなさい」

八幡「はぁ……で、どうした？小町の真似なんかして」

結衣「……」

八幡「ってか付き合う前に言ったよな。真似なんてするなって」

結衣「……ひぅ」

八幡「そんな可愛い声出しても誤魔化されないぞ」

結衣「……はぅ」

八幡「はぁ、分かった。今回だけは怒らないでやる。今回だけだからな？」

結衣「うん」

八幡「……せめて俺の見えないところでガッツポーズしろ」

結衣「てへへ」

八幡「もういいから早く言え」

結衣「えっと……ヒッキーと小町ちゃんがイチャイチャしてたから」

八幡「は？」

結衣「あたし達付き合って、もう一週間も経つのに前と全然変わってないよね」

八幡「……」

結衣「彼女のあたしとはイチャイチャしないのに、妹の小町ちゃんとはイチャイチャしてる。あたし、すっごく不満だし寂しいです」

八幡「俺と小町はあくまでも兄妹なんだからイチャイチャなんてするわけないだろ」

結衣「してたよ！この前、ヒッキーの家で勉強会した時……」

結衣『や、やっはろぉ……』

八幡『おう、まぁ、上がってくれ』

結衣『お、おじゃましましゅ』

八幡『そんなに緊張すんなよ。前にも来たことあるだろ』

結衣『そ、そうだけど……』

八幡『それじゃ部屋に行くか』

結衣『えっ……』

八幡『どした？』

結衣『部屋で勉強会するの？』

八幡『リビングは小町がテレビを見てるし、静かな方がいいだろ』

結衣『う、うん』

八幡『あっ……い、いや、別に変なことしないからな？小町もカマクラもいるし』

結衣『小町ちゃん達がいなかったら変なことするんだ』

八幡『ち、ちがっ』

結衣『ふふ、冗談だよ』

八幡『お、おう……』

結衣『うん。ただ、あんまり簡単に男の子の部屋に入っちゃったら軽い子だって思われちゃうかもって』

八幡『俺達はつ、付き合ってるんだし、いいんじゃねぇの？』

結衣『そっか』

八幡『それにお前がそういう子じゃないって知ってるから』

結衣『へ？』

八幡『ちゃんと分かってる、だから大丈夫だ』

結衣『う、うん』

八幡『じゃ部屋に行ってもいいな？』

結衣『うん！』

小町『ふぉおお、お兄ちゃんがラブコメしてるよぉぉおお』

――


結衣『ふぅ』

八幡『きりもいいし一端休憩にするか』

結衣『賛成！』

小町『お兄ちゃん、結衣さん。小町がドーナツ揚げたから食べませんか？』

八幡『おっ、ちょうどいい』

結衣『食べる、食べる♪』

――


結衣『ふわぁ、美味しそう』

小町『腕によりをかけて作りました』

結衣『いただきまーす。はむっ……美味しい！このドーナツ超美味しいよ小町ちゃん！』

小町『えへへ、ありがとうございます』

八幡『いつ食べても小町のドーナツはうまいな』

小町『えっへん！』

結衣『はむっ、はむっ』

八幡『……』

小町『……お兄ちゃん見すぎ』

八幡『み、見てねぇし』

小町『ばればれだよ』

八幡『別にいいだろ。俺の彼女なんだから』

小町『ふぅー♪』

八幡『うざっ』

結衣『はむっ、はむっ、美味しい♪』

八幡『……』

小町『うわっ、お兄ちゃん顔キモ』

八幡『お前、少し黙れ』

結衣『あれ？ヒッキーも小町ちゃんも食べないの？』

八幡『ああ、食う食う』

小町『今から食べますよ』

――


八幡『ふぅ、食った食った』

結衣『ちょっと食べ過ぎちゃった』

八幡『あんまり、食べると太るぞ』

結衣『むぅ、デリカシーないな』

小町『ダメな兄で、すみません』

八幡『うっせ』

小町『ほら、もう。口の回りに食べかすがついてるよ？だらしないな』

八幡『あっ、マジか』

小町『取ってあげる。……こんなに大きなのがついてたよ。はむっ』

八幡『だからって食うなよ』

小町『へへ』

結衣『わわわ！？』

小町『はふぅ、小町は疲れました。なので休ませてもらいます』

八幡『おい、俺の太ももを枕代わりにするなよ』

小町『いいじゃん。ドーナツ揚げるの大変だったんだからさ』

八幡『たっく、しょうがないやつだな。由比ヶ浜、もうちょい休憩してから再開するぞ』

結衣『……』

八幡『由比ヶ浜？』

結衣『あ！？う、うん。わかった』

小町『お兄ちゃーん、頭なでなでしてぇ』

八幡『はいはい』

小町『誉めて誉めてぇ』

八幡『よく頑張りました。偉い偉い』

小町『うわぁ、全然感情がこもってない』