いぬ美「大きい私と小さな貴女」 (144)

雪歩「う、うぅぅ…」

いぬ美「…」パタパタ

真「頑張れ、雪歩!」

響「もうちょっとだぞ!」


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いぬ美「ハァッハァッハァッハァッ…」パタパタパタパタ

雪歩「え、えーい!!」ペタッ

いぬ美「ばう…」

真「や…」

真響「「やったぁぁぁぁぁあ!」」

雪歩「さ、触れましたぁ!」

あずさ「うふふふ、雪歩ちゃん頑張ったわね」

いぬ美「ばう!あう!」

あずさ「そうね、いぬ美ちゃんも偉いわ」ナデナデ

いぬ美「きゃうん♪」

真「いやー、でも本当にいぬ美がいて良かったよ!」

雪歩「うん、私いぬ美ちゃんのおかげでだいぶ犬に慣れてきたみたい…」

真「いぬ美は急に吠えたり動いたりしないからね」

響「いぬ美は賢いからな!」エッヘン

真「何で響が得意げなんだよ…」

あずさ「これで雪歩ちゃんも今度のロケは大丈夫?」

真「犬が苦手な雪歩がドッグランの取材なんて無理だと思ってたけど…」

雪歩「はい!今みたいに急に動いたり吠えたりしなければ…」

響「いや、ドッグランにいるのはいぬ美じゃないから急に動くし吠えるぞ?」

雪歩「!?」

真「あっ…」

あずさ「そういえば…」

雪歩「や…やっぱり無理ですぅぅぅう!?」ザッ

真「うわぁ!?雪歩!穴掘っちゃダメだよ!」ガシッ

あずさ「そこをすっかり忘れていたわね…」

いぬ美「ばう!ばう!」

響「ん?どうしたの?いぬ美?」

いぬ美「わんわん!」

響「ふんふん…」

真「響ぃ!響も雪歩を止めるの手伝ってよぉ!」グググググ

雪歩「アナホッテ…ウマッテ…」グイイイイイ

響「雪歩、いぬ美がついて行ってもいいって言ってるぞ?」

雪歩「へ?」

真「いぬ美が?」

響「うん。雪歩が危なかったら助けてくれるって」

雪歩「ほ、本当に?いぬ美ちゃん?」

いぬ美「ばう!」

雪歩「な、なら頑張れるかもだけど…」

あずさ「響ちゃんはいいの?」

響「もちろんだぞ!いぬ美、雪歩をしっかり守るんだぞ!」

いぬ美「ばう!」

雪歩「えへへ、ならお願いするね」

あずさ「いぬ美ちゃんは本当にいい子ね〜。きっと飼い主である響ちゃんがいい子だからね」ナデナデ

響「えへへ〜」テレテレ

真「まぁ性格はそうだとしても、頭の良さは生まれつきでしょ?どう考えても犬の中でも頭がいい方だけど…」

雪歩「響ちゃん。いぬ美ちゃんって血統書付きの名犬とかなの?」

響「ん?違うぞ、野良犬だったのを拾ってきたの」

真「いや、こんなに賢い野良犬がいるわけないだろ…」

雪歩「響ちゃん、流石にそれは…」

響「本当だぞ!なぁ、いぬ美?」

いぬ美「ばぅぅ…」

響「いぬ美!?」

真「ほら、やっぱり違うんじゃないか」

響「いぬ美!自分といぬ美は沖縄の島で出会ったじゃないか!」

いぬ美「わ、わん…」

響「『それはそうなんだけど…』って…」

雪歩「あ、じゃあ響ちゃんがいぬ美ちゃんを拾ったって言うのは本当なんだね」

響「だからそう言ってるじゃないかー!」

あずさ「でもどうしてこんなに賢いいぬ美ちゃんが1人で外にいたのかしら?」

響「うーん…自分もよく覚えてないぞ…」

真「まぁ、覚えてないなら仕方ないか。そろそろ次の仕事の時間だし…」

雪歩「そうだね、そろそろ準備しないとね…」

ワイワイガヤガヤ

いぬ美(そうね、響ちゃんには言っていなかったものね…)

いぬ美(私が、響ちゃんに出会う前…どこで飼われていたのかは…)

12年前

いぬ美「きゃいんきゃいん!」

いぬ美(12年前、私はあるお屋敷で産まれたの…その家はお金持ちでね、私の両親は所謂『血統書つき』だったのよ?)

いぬ美(でも私はね…)

飼い主「な、なんだこの大きな犬は!?」

いぬ美(そう、私は『大き過ぎた』の)

飼い主の妻「産まれたばかりなのに、もう成犬並みの大きさだなんて…不気味だわ…」

いぬ美(私が嫌われているなんてことはすぐにわかったわ。人間が思っているより犬って頭がいいのよ?言葉が通じないからって隠そうともしないんだもの)

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456676734/)

いぬ美(でもね、実は私は傷ついたりはしてなかったの。だって産まれた時からずっとそう言われ続けてきたんだもの。他を知らないから不幸だとも思わなかったわ…どうしようもないことで不気味がられるのは煩わしかったけれどね…)

いぬ美(だから捨てられる時に乗せられたトラックにも黙って乗ったの。人間が思っているより犬って頭がいいのよ?だから、2人が『寝ているうちに隣の島に捨ててこよう』って言ってるのが聞こえたから黙って寝てあげたの)

いぬ美(そうして私は目を覚ましたの。ここからやっと私の一生が始まる…そう思っていたらね?)

響「zzz…」

いぬ美(信じられる?目の前に人間の子供が寝ていたのよ?)

響「zzz…」

いぬ美(正直意味がわからなかったわ。目を覚ましたら密林地帯に2〜3歳の人間の子供と居たんだもの)

響「zzz…」

いぬ美「いや、ちょっと、あなた?」

響「むにゃむにゃ…にぃに〜」

いぬ美「いや、にぃにじゃなくて」

響「ふわ?うーん、おはよ〜」

いぬ美「はい、おはよう」

響「うーん、遅かったなにぃに〜」

いぬ美「いや、残念だけど私は貴女のにぃにじゃないわ」

響「あっ、本当だ!にぃにじゃないぞ!」

いぬ美「あっ、言葉通じてたのね。まずそこにビックリだわ」

響「初めまして、あなたのお名前は?」

いぬ美「他人に名前を聞く時はまず自分から名乗るものよ」

響「我那覇響、5歳だぞ!」

響「初めまして、あなたのお名前は?」

いぬ美「他人に名前を聞く時はまず自分から名乗るものよ」

響「我那覇響、5歳だぞ!」

いぬ美「あら?てっきり2〜3歳かと思ったのだけど…」

響「自分は5歳だぞ!」

いぬ美「5歳にしては小さい気が…」

響「自分ちっちゃくないぞ!」

いぬ美「いや、それは小さ…やめましょうか、意味がないものね」

響「ほら、自分は名前教えたぞ!あなたのお名前は?」

いぬ美「私はまだ産まれたばかりなの。だから名前がないのよ」

響「なんだ、君の方が小さいんじゃないか」

いぬ美「いや、小さくはないと思うけど…」

響「5歳の自分と産まれたばかりの君なら自分の方が大きいんだぞ」エッヘン

いぬ美(人間と犬では成長のスピードが違うし身体も私の方が大きいと思うけど…)

響「でも名前がないのは困るな…」

いぬ美「そうかしら?」

響「そうだぞ!お名前がないとお返事できないぞ!」

いぬ美「お返事?」

響「うん!お名前がないとお返事ができないからなでなでしてもらえないんだぞ」

いぬ美「言っている意味がわからないわ…そもそもあなた…」

響「しょうがないから自分がお名前をつけてあげるぞ!」

いぬ美「お願いだから話を聞いて…」

響「うーんとね…よし!君の名前は『我那覇いぬ美』だ!」

いぬ美「苗字もあるのね…」

響「当たり前だぞ!はーい、我那覇いぬ美ちゃーん?」

いぬ美「…」

響「我ー那ー覇ーいーぬー美ーちゃーん!」

いぬ美「は、はーい…」

響「はーい、よくお返事できましただぞ!」ナデナデ

いぬ美(何これ…)

いぬ美「だいたいあなた何でこんなところにいるのよ?」

響「え?自分はにぃにとかくれんぼしてて…ってどこだここ!?」

いぬ美「今気づいたのね…」

響「じ、自分にぃにとかくれんぼしてただけなのに…」

いぬ美(後から聞いた話だとこんな話だったらしい…)

響『にぃに!今日こそかくれんぼで勝つぞ!』

響兄『はいはい、わかったわかった』

響『むぅー!余裕があるのも今のうちさー!よーいスタートだぞ!』ダッ

響兄『へいへい。いーち、にーい…』

10秒後

響兄『よし…じゃあ行くぞー響!』

響(ふふふ、今日こそにぃにに勝つぞ!)

響兄『お返事が上手な我那覇響ちゃーん?』

響『はーい!』バサッ

響兄『はーい、いい子いい子』ナデナデ

響『えへへ〜、自分いい子だぞ〜』テレテレ

響兄『響?』ナデナデ

響『んー?』テレテレ

響兄『みーつけた』

響『…』

響『うぎゃー!?またやられたぞー!』

響兄『お前、いい加減学習しろよ…』

響『にぃに卑怯だぞ!』

響兄『いや、普通こんな手に引っかからないからな?』

響『ぐぬぬぬぬ…もう1回!次は引っかからないもんね!』ダッ

響兄『はいはいわかったわかった…いーち…』

響『うーんと…あっ!トラックがあるぞ!ここならバレないよね!』ヨジヨジ

いぬ美が入れられている箱 ドンッ

響『ん?なんだ、この箱?毛布がかけられてて中がよく見えな…はっ!?ここなら絶対ににぃにに見つからないぞ!自分天才だな!』ゴソゴソ

いぬ美『zzz…』

響『何だか箱の大きさの割に狭いぞ…』ゴソゴソ

いぬ美『zzz…』

響『ふわぁ…でもふわふわしてて暖かいものがあるからなんだか眠たく…』

響『zzz…』

10秒後

響兄『お返事が上手な我那覇響ちゃーん?』

響兄『…』

響兄『流石に連続では引っかからないか…』

響兄『でもあいつの場合そうじゃなくても…』ゴソゴソ

トラックの荷台に積まれた毛布を被せられた箱から出ているポニーテール ピョコンッ

響兄『…毎回ポニテを隠せてないんだよなぁ…』

響兄『しょうがない、もうちょっと探したフリをしてから…』

トラック ブロロロロロロ

響兄『えっ?』

トラック ブ-ン

響『zzz…』

響兄『ひ、響ぃぃぃぃぃぃい!?』

いぬ美(…なんてことがあったらしいわ)

響「うわぁぁぁぁぁん!?にぃにぃぃぃ!!」

いぬ美(迷子だって気づいたとたんに泣き出したわねこの子…)

響「びぇぇぇえん!」

いぬ美「ほら、泣かないの」ペロペロ

響「うゆ?」

いぬ美「こういう時こそ冷静にならなくちゃ。困った時にどうするか聞いてないの?」

響「うぅぅ…そういえばにぃにが『迷子になったらこれを見せなさい』って…」スッ

いぬ美「ん?あら、ちゃんと住所の書いた紙を持ってるじゃない、どれどれ…ってここは…」

響「ここは?」

いぬ美「あなたのお家、隣の島よ…」

響「えぇぇぇぇ!?」

いぬ美「私が住んでた家の近くじゃない。ほら、あっちにある橋を渡るのよ」

響「なんだ、いぬ美も迷子だったのか」

いぬ美「いえ、私は…」

響「しょうがないから自分が連れて帰ってあげるぞ!」

いぬ美「いや、だから私は…」

響「お家の方向がわかれば後は向かうだけさー!さぁ出発だー!」ダッ

いぬ美「だから私は…」

響 コテンッ

いぬ美「あっ…」

響「あっ…い…」

いぬ美「あの…」

響「痛いぃぃぃぃぃぃい!?」

いぬ美「もう…慌てるからよ…」

響「うわぁぁぁぁぁん!?」

いぬ美「ほらほら、そうやってすぐに泣かないの」ペロペロ

響「らって…らって痛いもんんん!?」

いぬ美「そりゃ痛いわよ、でも泣いてるばっかりじゃどうしようもないじゃない。しっかり前を見ないと」

響「ひっぐ…でも…足が痛くて…歩けないぞ…」

いぬ美「…しょうがないわね」ヒョイッ

響「うわぁ!?」

いぬ美「ほら、私が乗せて行ってあげるから。泣きやみなさい」

響「いいの?」

いぬ美「だってあなた歩けないんでしょ?向こうの島に行くくらいなら私でもできるしね」

響「ごめんね…」

いぬ美「いいのよ、どうせ行くアテもないんだから…それとね」

響「ん?」

いぬ美「こういう時は『ありがとう』って言うのよ?」

響「えへへ…そうだね…ありがとう、いぬ美」

いぬ美「はい、どういたしまして」

いぬ美(これが私と響ちゃんとの出会い)

いぬ美(そうして私たちは歩き始めたのだけれど…)

響「いぬ美は大きいから羨ましいぞ」

いぬ美「あらそう?」

響「うん、自分は小さいから羨ましいぞ…」

いぬ美「大きくったっていいことなんてないわよ?」

響「そんなことないぞ、少なくとも小さいよりはいいだろ?」

いぬ美「あなたは小さくって可愛いじゃない」

響「うん、自分は小さいから羨ましいぞ…」

いぬ美「大きくったっていいことなんてないわよ?」

響「そんなことないぞ、少なくとも小さいよりはいいだろ?」

いぬ美「あなたは小さくって可愛いじゃない」

響「うぎゃー!自分はいぬ美みたいに大きくってかっこいいのがいいの!」

いぬ美「大きいのがかっこいいか…うふふ、そんなこと初めて言われたわね」

響「え?そうなの?」

いぬ美「少なくともうちの家の人はそうじゃなかったみたいよ?」

響「いぬ美の家の人?」

いぬ美「あの人たちはね…」

カクカクシカジカナンクルナイサ-

いぬ美「…って言って私をあの場所に捨て…」

響「うわぁぁぁぁぁぁぁあん!?」

いぬ美「ちょっ!?響ちゃん!?」

響「いぬ…美ぃぃぃ…い、い、いぬぅぅぅぅ…びぃぃぃぃ…」ギュウッ

いぬ美「どうして私の話であなたが泣くのよ…」

響「だっで…そんにゃの、ぜった…絶対ぃぃぃ…辛…辛いか…らぁぁ…じびゅ…自分だっだらぁぁぁぁ…がま…我慢できな…うぇぇ…」

いぬ美「うふふ、あなたは本当に泣き虫ねぇ…」ペロペロ

響「えっぐ…でもぉ…」

いぬ美「こんなことで泣いてるようだとまだまだお子様よ〜」

響「うぅぅ…」ズビ-

いぬ美(だけどこの時、私は思ったの…)

いぬ美(もしもまたこの先、私が凄く悲しくて…涙さえ出ない時があったとしても…)

響「うわぁぁぁぁぁぁぁあん!いぬ美ぃぃぃ!」ギュウッ

いぬ美「はいはい、うふふ…」ペロペロ

いぬ美(こうして代わりに私のために泣いてくれる人がいたら…)

響「いぬ美ぃ…いぬ美ぃ…」

いぬ美(少しだけ、救われた気になるのかしら…ってね)

響「いぬ…美…いぬ…zzz…」ドサッ

いぬ美「って寝ないで!?落ちてるじゃない!?」

いぬ美(そうして私たちは進んで行った…)

いぬ美「崖になってるわね…響ちゃん、危ないから…」

響「あっ!ちょうちょだ!…ってうわぁ!?」ズルッ

いぬ美 バクッ

パラパラパラ.....

響「…」ゴクリッ

いぬ美「ひっかりふははへへへ?(しっかり掴まっててね?)」

響「は、はいだぞ…」ガクガク

響 グ-

響「お腹が空いたぞ…」

いぬ美「まだ夕飯の時間には程遠いわよ。おやつぐらい我慢しなさ…」グ-

響いぬ美「「…」」

いぬ美「おやつにしましょう」

響「やったー!」

いぬ美「とは言っても森の中だと食べられるものと食べられないものが…」

響「いぬ美!このキノコ美味しそ…アバババババババ!?」

いぬ美「すぐにペッしなさい!」

少々お待ちください…

響「し、死ぬかと思ったぞ…」

いぬ美「何でもすぐに口に入れるのやめなさいよ…」

響「ふぁい…」

いぬ美「今度から食べる前に私に報告しなさい」

響「はーい」

いぬ美「じゃあ私はこっちを探すわね…この辺から木苺の匂いが…」

響「いぬ美ー!」

いぬ美「何、響ちゃん?何か見つけた?」

響「はちみつ見つけたー!」

いぬ美「へー、はちみつねぇ…ん?はちみつ?」

響「はちみつなら食べれるよねー!」ペロペロ

いぬ美「いや、響ちゃん、はちみつって…」

響「ほら、これだぞ。一緒に食べよう」スッ

蜂の巣

いぬ美「巣ごと!?そんなことしたら…」

響「ペロペロ…うん、甘いぞ!」

ブ-ン

響「ん?」

蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂蜂
ブ--------------------------------ン

響いぬ美「「うわぁぁぁぁぁぁぁあ!?」」

響「自分いぬ美みたいに大きくてかっこよくなれるかな?」

いぬ美「響ちゃんはなんでそんなに大きくなりたいの?今のままでも十分可愛いと思うけれど…」

響「今のままなんて絶対に嫌だぞ!自分が小さいからって男の子がみんなからかってくるんだ!」

いぬ美(それは『小さいから』じゃないと思うわよ?)

響「いつか大きくなってあの子たちをギャフンと言わせてやるんだぞ!」

いぬ美(肝心の響ちゃんには伝わってないみたいね…)

響「それに…」

いぬ美「?」

響「今だって、いぬ美が自分のことを抱っこしてくれてるだろ?自分がもっと大きかったら自分がいぬ美のことを抱っこできたのに…」

いぬ美「響ちゃん…」

響「そうしたらいぬ美だって…」

いぬ美「響ちゃん。あのね、小さいからってダメなわけじゃないのよ?」

響「でも…」

いぬ美「人間と犬じゃ成長する期間が違うもの。あなたはまだまだこれからよ。今からいっぱい大きくなるわ」

響「本当!?」

いぬ美「えぇ、本当よ。これから響ちゃんはグングン大きくなるわ」

響「160センチになれる?」

いぬ美「ずいぶんと低い目標ね…それくらいなら十分なれるわよ」

響「やったー!」

いぬ美「それにね、響ちゃんあれを見なさい」

響「あれ?」

壊れたテレビ
壊れた冷蔵庫

いぬ美「あれはね不法投棄って言うのよ」

響「ふほーとーき?」

いぬ美「そう、不法投棄。捨てたらダメなところにゴミを勝手に捨てることよ」

響「そんなことしちゃいけないんだぞ!」

いぬ美「えぇそうよ。しちゃいけないことよ。でもね、そんなことをしちゃう大人がいるのよ」

響「大人が?」

いぬ美「こんなに重たい物を子供が持てないでしょ」

響「そういえばそうだぞ…」

不法投棄しに来たおっさん「よいしょっと」

いぬ美「ほら見なさい、また捨てに来たわよ」

響「あんなことしちゃいけないんだぞ!」

いぬ美「そうね…いい?響ちゃん、あんな風に身体ばっかり大きくなっても中身が大きくならないと意味がないのよ」

響「そうなの?」

いぬ美「そう、山椒は小粒でもぴりりと辛いって言うでしょ?外見を気にするよりもまずは中身を…ってあれ?響ちゃん?」

不法投棄しに来たおっさん「ふぅ…これで最後…」

響 チョンチョン

不法投棄しに来たおっさん「ん?なんだお前?」

いぬ美「響ちゃん!?」

響「おじさん、ふほーとーきはいけないんだぞ!」

不法投棄しに来たおっさん「は?何言ってんだおま…」

響「だーかーらー」

いぬ美「失礼しましたぁぁぁぁぁ!」バクッ

響「うわぁ!?」

不法投棄しに来たおっさん「…なんだったんだ、あれは」

いぬ美「響ちゃんダメじゃない!」

響「ダメなのはあのおじさんだぞ!」

いぬ美「それはそうだけど…何かされたらどうするの!相手は大人の男なのよ!?」

響「でもぉ…」

いぬ美「響ちゃん、大人になりたいのなら自分を思ってくれる人のことを考えなさい。あなたが怪我をすればあなたのにぃにはどう思うかしら?」

響「そ、それは…」

いぬ美「でしょう?だから、その場の考えで突っ走ったらダメよ?例えそれで不法投棄が無くなったとしてもね」

響「…」

いぬ美「どうしたの?」

響「大人って難しいぞ…」

いぬ美「そうね、難しいから大人なのよ」

響「でも…自分はやっぱりダメなことはダメって言いたいぞ!それを言わないのが大人だって言うんなら…」

いぬ美「…」

響「そんなのが大人なら…自分は…自分は…」

いぬ美「そうね…私の言い方が悪かったわね…」

響「えっ?」

いぬ美「あなたの言う通り、大人って難しいものなのよ。だからって悪いことをそのままにしていいわけじゃないけれど、多くの人はそれを忘れちゃってるの」

響「あのおじさんも?」

いぬ美「多分ね。だからあなたみたいにその心を忘れないことはとてもとっても大切なことなの。」

響「そんなの当たり前なのに?」

いぬ美「えぇそうよ、みんな大人になると忘れてしまうの…」

響「そんなぁ…」

いぬ美「だからね、響ちゃん。あなたのその心はとっても正しいし、大切で素敵なものなの。それはいつまでも忘れないでね?これを言い忘れていたわね、ごめんなさい」

響「でも…それじゃあ、あのおじさんは…またゴミを」

いぬ美「あら?私は何も不法投棄を許していいだなんて言ってないわよ?」

響「へ?」

いぬ美「本当ならもうちょっと優しくしてあげても良かったんだけど…せっかく響ちゃんが注意してくれてるのに聞かないんだもの…」

響「あ、あのぉ…いぬ美?」

不法投棄しに来たおっさん「な、なんだ…は、蜂が…うわぁぁぁぁぁぁ!?」

いぬ美「さっきのはちみつをあのおじさんに塗っておいたの…これでもうあそこには捨てないでしょうね、うふふ」

響「お、大人って怖いぞ…」ブルブル

いぬ美「頭を使うのが大人ってもんよ」

いぬ美(そんなことを繰り返しながら私たちはようやく響ちゃんの家にたどり着いたの…)

響兄「響ぃ!」ギュッ

響「にぃにぃぃぃ!」ギュッ

響兄「バカ!お前…心配したんだぞ!」

響「ごべんなざぃぃぃぃぃぃい!!」

響兄「全く…ここまでどうやって帰ってきたんだ?」

響「それはね、いぬ美が…あれ?いぬ美?」

響兄「いぬ美?」

響「いぬ美がいないぞ!?」

いぬ美(そう、これで良かったのよ…)

響「おーい!いぬ美ー!」

いぬ美(私みたいな大きすぎる…熊と同じような大きさの犬と一緒にいたらあの子は絶対いじめられるわ…)

響「いぬ美ー!いぬ美ー!」

いぬ美(あの子は私とは違う…愛されて生まれ、育っていくの…それを私みたいなものが邪魔しちゃいけない…)

響「いぬ美ー!どうしたんだよー?出てきてくれよー!」

いぬ美(だから、私のことなんて忘れ…)

響「いた!」ダキッ

いぬ美「えっ!?」

響「ふっふーん、自分の鼻の良さを見くびってもらっちゃ困るぞ!」

いぬ美「いや、犬じゃないんだから…」

響「なんで勝手にいなくなっちゃうんだよぉ!」

いぬ美「なんでって…いいでしょう?あなたを無事に送り届けたんだから…」

響「自分まだいぬ美にお礼してないぞ!」

いぬ美「あら、いいのよお礼なんて。私は…」

響「ほらほら、こっち来てったら!」グイグイ

いぬ美「ちょっ!?響ちゃん!?」

響「ほら、にぃに。これが自分を連れてきてくれたいぬ美だぞ!」

響兄「あぁ、君が響をここまで連れてきてくれたのかい?」

いぬ美「それはそうなんだけど…」

響「にぃにはいぬ美をいっぱい褒めるんだぞ!」フンスッ

響兄「なんでお前が得意げなんだよ…」

響「だからなんでどっか行こうとするの!?」

いぬ美「あのね、響ちゃん。私は捨てられた野良犬なの。こんなところにいつまでも居たらいけないの」

響「そんなの知らないもん!」

いぬ美「いや、知らないもんじゃなくてね…」

響「自分まだいぬ美にお返ししてないもん!もらいっぱなしはダメなんだぞ!」

いぬ美「うん、その精神は本当に素晴らしいと思うんだけどね…」

響「そうだ!一緒に暮らそう!それがいいぞ!」

いぬ美「それこそあなたの一存で決めれることじゃないでしょ…」

響「そうか?にぃに〜」

響兄「うーん、あんまーなら『あんたが面倒見れるならいいわよ』って軽く言うだろうな」

響「ほら」

いぬ美「そんなゆるゆるなの!?」

響兄「きっちりした親ならこんなことになっていないさ…」

いぬ美「…あなたも苦労しているのね」

響「そうそう、にぃに1人だと大変だからいぬ美が来てくれたら安心だぞ!」

いぬ美「あなたがしっかりしなさいよ!」

響「だから一緒に住もうよ!」

いぬ美「…確かにその言葉は嬉しいわ…だけど…」

響「!」

いぬ美「でもやっぱり私みたいなのがいると…」

響「えーい!えーい!」コテンッコテンッ

いぬ美「ちょ、ちょっと、響ちゃん?何をしているの?」

響「えーい!えーい!」コテンッコテンッ

いぬ美「わざと転んだりなんかしてどうしたの?やめなさい、怪我しちゃうわよ?」

響「あいたたたた…」

いぬ美「ほら見なさい、すりむいてるじゃないの…」ペロペロ

響「うーん、これじゃあ足が痛くて歩けないぞ…」

いぬ美「じゃあなんでこんなことを…」

響「またいぬ美に抱っこしてもらわなきゃいけないな〜」

いぬ美「!?」

響「いぬ美がうちに来てくれるまで自分動けないぞ」

いぬ美「響ちゃん…」

いぬ美(『そこにいるお兄さんに連れて帰って貰えばいいじゃない』そう言ってしまえばこの話は終わる…)

響「…自分、いぬ美の言うことちゃんと守ってるぞ。頭使ってるぞ…」

いぬ美(言えばいい…そうすることの方が絶対にこの子のためになる…)

響「自分…いぬ美がいないとまた転んじゃうぞ!い、いいのか!?」

いぬ美(さぁ、言うのよ!そんなわけのわからない脅しなんて無視すればいいじゃない!さぁ!ほら!)

響「ほ、本当に転ぶんだからな!え、えーい!」

いぬ美(……言えない!)

響 ポスッ

響「えっ?」

いぬ美(気づいたら、私は響ちゃんが転ぶ場所に走り込んでいた)

響「い、いぬ美!?」

いぬ美(どうして…あの子のためを思うなら絶対に…)

響「い、いぬ美!わかってくれたんだな!」

いぬ美「…」

響「いぬ美?」

いぬ美「…」

響「まだ考えてるの?」

いぬ美(そりゃそうでしょ…私みたいなのがいたら…)

響「む〜、いぬ美は考えすぎなんだぞ!」

いぬ美「いや、でも…」

響「いぬ美は自分の心を素晴らしいって言ってくれたじゃないか!誰と暮らしたいかなんて心で決めたらいいんだ!」

いぬ美「またむちゃくちゃ言うわね…」

いぬ美(でも何故かしら、その言葉が酷く嬉しいの…)

響「いぬ美は寂しくないのか!ひとりぼっちになっちゃうんだぞ!」

いぬ美「そりゃぁ寂しいけれどね…そういう問題じゃなくて…」

響「そういう問題なんだぞ!いぬ美は言ってたじゃないか!『自分が傷ついたらにぃにが傷つく』って…いぬ美が傷ついたら自分が傷つくぞ!いいのか!」

いぬ美「いいのかって…」

響兄「そうなると響が傷ついて俺も傷つくってことかな?」

響「そうだぞ!にぃにも傷つくぞ!いいのか!」

いぬ美「いや、だからいいのかって…」

響兄「はははは、どうやら響は君からたくさんの大切なことを教えて貰ったみたいだね」

いぬ美「…」

響兄「どうだい?いぬ美ちゃん、うちで暮らしてみたら。あんまーには俺からもお願いするからさ」

いぬ美「…いいの?」

響兄「ああ、君は響の恩人だからね。それに…ああなったら響は止まんないんだよ…だからさ…」

いぬ美「…響ちゃん」

響「ん?」

いぬ美「私と一緒に暮らすからには今みたいにゆるゆるじゃダメよ?」

響「!?」

いぬ美「もう二度と、今回みたいに迷子になれるなんて思わないことね」

響「そ、それじゃあ…」

いぬ美「えぇ、あなたたちさえ良ければ…私を…ペットにしてくれるかしら?」

響「ペット?違うぞ、家族だぞ」

いぬ美「えっ?だから動物はペットって言うんじゃ…」

響「ふっふーん、いぬ美は物知りのくせにそんなことも知らないのか?同じ苗字を持ってたら家族なんだぞ!」

いぬ美「同じ…苗字…」

〈響「うーんとね…よし!君の名前は『我那覇いぬ美』だ!」〉

いぬ美(ああそうね…あの時からあなたは…)

響「わかったか?いぬ美」

いぬ美(名前をつけてくれていたものね…)

いぬ美「えぇ、わかったわ。教えてくれてありがとう。よろしくお願いするわ」

響「やったぁぁぁぁぁあ!家族だ!家族だ!」

響兄「良かったな、響」

響「わーい、わーい!」

いぬ美(それから私たちは色々なところに一緒に行ったわよね…)

いぬ美(私もあなたも歳をとって、あなたはどんどん大きくなって、今ではもうあなたを背中に乗せるなんてできないけれど…)

響「いぬ美!行くぞ!」

いぬ美(そう言って、あなたは私をどんどん知らない世界に連れて行ってくれて…)

響「いぬ美!自分東京でアイドルになるんだ!だからついてきてよね!」

いぬ美(挙句の果てにはこんなキラキラした世界まで連れてきてくれるんですもの…私ね、言葉にはしてないかもしれないけれどとっても嬉しかったのよ?)

いぬ美(いつしか私は、あなたのことを本当の娘のように思い始めていたわ)

いぬ美(そして、親っていうのはね?いつまでも子供が心配なのよ)

いぬ美(だからついつい、自分が居なくなった後の心配をしちゃうの。犬と人間の成長は違うから…そう遠くないうちにお別れがくるかもしれないでしょ?)

響「ぞんなの嫌らぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

いぬ美(それを言ってしまって、あなたを泣かせてしまったこともあったわね…)

響「ひっぐ…えっぐ…自分…自分嫌らもん!じゅっと…ずっといぬ美といるもん!」

いぬ美(そう言って大暴れして、私まで怒られたわよね…)

いぬ美(今ではそんなこともなくなって、同じことを言っても…)

響「いぬ美は自分が小さいころは抱っこしてくれたもんな!今度は自分が抱っこしてあげるからさ、そんな悲しいことばっかり言ってないでお婆ちゃんになっても一緒にいてよね!」

いぬ美(…って言ってくれるようになったけど)

響「ひっぐ…うぅぅ…いぬ美ぃ…」

いぬ美(私、知ってるのよ?そう言った後、1人で泣いてること)

響「嫌だよぉ…寂しいよぉ…」

いぬ美(全く、変なところだけ大人になっちゃったんだから…)

響「嫌だよぉ…いぬ美ぃ…」

いぬ美(でもね?そんな風に他人のために優しい涙を流せるあなたはまぎれもない”大物”よ?…いくら身体が小さくてもね)

響「…ぬ美…」

いぬ美(そんな、純粋なまま素敵に成長するあなただから…)

響「い…美?」

いぬ美(そんなあなたが傷つかないように…)

響「いぬ美ったら!ぼーっとしてどうしたんだよぉ」

雪歩「私たち、仕事に行くけど…」

あずさ「いぬ美ちゃんも来る?」

真「来るならプロデューサーに言って車を回してもらうよ?」

いぬ美(次からはこう言うって決めてるの…)

いぬ美「わん!」

響「!?」

真「ん?」

雪歩「いぬ美ちゃん、なんて言ってるの?」

いぬ美「わん!わん!」

響「うぎゃー!?いぬ美ったら何を言い出すんだよー!?」

真雪歩あずさ「「「?」」」

いぬ美「わん!わん!」

響「わかった!わかったから止めてってばぁ!」

あずさ「響ちゃん?いぬ美ちゃんはなんて言ってるの?」

響「い、行くって!一緒に行くって言ってるぞ!」

雪歩「それならそんなに慌てる必要はないんじゃ…」

響「ななななな何でもいいでしょ!」

真「いや、本当にどうしたのさ?」

いぬ美「わん!わん!」

いぬ美(『今度は響ちゃんの赤ちゃんを抱っこさせてね?』ってね)

響「うぎゃー!?恥ずかしいから止めてよー!いぬ美ー!」

真雪歩あずさ「「「?」」」

終わり

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