新ジャンル「現実的な勇者」(17)

勇者「鉄の剣と盾なんて持って戦えるわけないだろ」

王様「えっ」

勇者「鉄の剣と盾でどんだけの重さだと思ってんだよ。片手で振るったら脱臼するよ」

王様「で、ではこのひのき棒を持っていくがいい」

勇者「こんな棒切れでモンスターと魔王倒せると思ってんのかよ。寝ぼけんなよおっさん」

王様「…」

王様「で、では何がいいのだ」

勇者「何もいらないよ」

王様「それでは誰が魔王を倒すのだ」

勇者「あんたが軍隊率いて戦えばいいだろ」

王様「…」

勇者「王様がこの自分の国を救うのは当たり前の事だろ。なに俺一人に戦わせようとしてんの?」

王様「いや、別に一人とは言っとらんだろう…。酒場で仲間を集めれば……」

勇者「酒場の飲んだくれに何を期待してるんだよあんたは」

王様「…」

王様「しかし、酒場には腕利きの傭兵がいるかもしれん」

勇者「それならそいつに魔王討伐頼めばいいじゃん」

王様「…」

勇者「別に俺が魔王倒しに行かなくてもいいじゃん」

王様「しかし、魔王は勇者の血を引く者にしか倒せぬ…」

勇者「じゃあ俺の親戚に当たってくれよ」

王様「…」

王様「ええい、こんな所で言い争いをしてる場合ではない。こうしている間にも民達はモンスターに襲われているのだぞ!」

勇者「いやいや、だからあんたが軍隊を派遣すればいいだけで。俺一人で動くよりも沢山の命が救えるんじゃないの?」

王様「…」

王様「あまり大軍の兵を派遣する事は出来ぬのだ」

勇者「なんで?」

王様「私は王だ。守らねばならん、この国を。大軍を出して国を空っぽにする訳にはいかぬ」

勇者「守るって何から?城周辺をうろちいてるスライムから?」

王様「…」

勇者「まさか国の兵士様達がスライムにも勝てないのか?」

王様「…ち、違う」

勇者「だから勇者の血を引く俺に頼むわけ?いくらなんでも情けなくね?」

王様「ち、違うわ!ここを空っぽにしてしまえば他国に攻め込まれた時に…ぁっ」

勇者「出たよ、本音が(笑)」

王様「王の命令だ、従わなければうち首に処す」

王様「ぐぬぬ…!黙って聞いておれば…!」

王様「>>13

勇者「やれよ」

王様「えっ」

勇者「切りたきゃどうぞ。ほれほれ」

王様「き、貴様、命が惜しくないのか!」

勇者「俺なんかが冒険に出た所ですぐに死ぬだろうし。死ぬのがちょっと早くなるだけだし」

王様「ぬ…!ぬうぅ…!」

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