走れほむら(51)
暁美ほむらは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の王を殺さねばならぬと決意した。
ほむらには父も、母も、配偶者もない。
十六の、少し馬鹿な妹と二人暮らしだ。
この妹は、村の天才バイオリン少年を近々花婿として迎えることになっていた。
結婚式も間近なのである。
ほむら「まったく、手間のかかる妹ね…」
そう呟くもどこか嬉しそうなほむらは都を歩きながら、必要な物を買い揃えていった。
ほむら「このくらいで十分かしら…」
暇潰しに書いた。適当に投下してく。
ところで、ほむらには竹馬の友があった。
鹿目まどかである。
今はこの見滝原の市で暮らしている。
ほむら「まどかに会うのはいつぶりかしら…楽しみね。」
歩いているうちにほむらは、まちの様子が怪しく思った。
もう既に日が落ち、暗いのはあたりまえだが、夜のせいばかりでなくどこか市全体が寂しい。
ほむら「おかしいわね…以前はもっと活気に溢れていたと思うのだけれど。…ちょっとそこの貴方。」
ほむらは道で逢ったホームレスを捕まえて何があったのかを聞いた。
杏子「…余所者が口出しするんじゃねぇ。」
ほむら「そうはいかないわ。一体何が起きているのか、答えなさい。」
杏子「はぁ…しょうがねぇな。」
杏子「王は、契約を強制する。」
ほむら「何故?」
杏子「契約によって、反逆心を削ごうっていうんだ・・・そんなもん、誰も持っちゃいないのに。」
ほむら「そんな…」
杏子「…まずは王の妹婿、それに自分の世継ぎ、それに妹も。皆少しでも疑われた者は即契約さ。」
ほむら「王は乱心しているの?」
杏子「違う。あれは乱心じゃねぇ。人を信じることが出来ない、というんだ。」
杏子「少しでも派手な暮らしをしてれば人質を要求…拒めば契約させられる。今日は六人さ。」
ほむら「呆れた王ね…生かしておけないわ。」
ほむらは単身、王城に乗り込んだ。
たちまち彼女は巡邏の警吏に捕縛された。
調べられて、ほむらが普段携行しているrpg-7が見つかり、騒ぎが大きくなってしまった。
ほむらは王の前に引き出された。
ワルプルギスの夜(以下ワルプ)「このrpg-7で何をするつもりだった。言え!」
暴君ワルプルギスの夜は静かに、しかし威厳をもって問い詰めた。
ほむら「市を暴君の手から救うのよ。」
ほむらは悪びれずに答えた。
ワルプ「お前がか?笑わせる。お前には私の孤独が分からぬのだ。」
ほむら「言わないで!人の心を疑うのは最も恥ずべき悪徳よ。お前は、民の忠誠さえ疑っている。」
ワルプ「疑うことこそが、正当であると教えてくれたのは、お前たちだ。」
ワルプ「人の心は当てにならない。私だって平和を望んでいるのだが…」
ほむら「何のための平和よ。自分の地位を守るためかしら?」
ほむらは嘲笑した。
ほむら「罪の無い人を疑い、契約させることのどこが平和よ。」
ワルプ「黙れ、小娘。口ではどんな清い事も言える。私には、人の心の奥底が見え透いてならない。」
ほむら「ふふ…王は俐巧ね。自惚れているが良いわ。私は契約する覚悟でいるわ。」
ここでほむらは村の妹を思い出した。
今ここで私が契約すれば、村に残された妹にいらぬ心配をかける。
ほむら「…ただ、どうしても私に情をかけたければ、私に3日の猶予をもらえるかしら。」
ワルプ「どうした。今になって契約が恐ろしいとでもいうのか。」
ほむら「いいえ。契約するのはちっとも怖くない。」
ほむら「村に残した、たった一人の妹に、ちゃんと亭主を持たせてあげたいの。」
ほむら「3日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせて、必ず、ここに戻ってくるわ。」
ワルプ「ばかな。逃がした小鳥が帰ってくるとでも?」
ほむら「戻ってくるわ。私は約束を、必ず、守る。だから、3日だけ私を許して。妹が私を待っている。」
ワルプ「ふむ・・・」
王は残忍な気持ちで、そっと北叟笑んだ。
ワルプ(生意気なことを言う小娘…どうせ帰ってこないに決まっている。この嘘に騙された振りをして、放してやるのも面白い。)
ワルプ「よかろう。3日だ。」
ワルプ「ただし、人質を置いて行け。」
ほむら「なんですって…!?」
ワルプ「調べたところ、お前にはこの市に、鹿目まどかという友がいるようではないか。」
ワルプ「その小娘をお前の身代わりに置いて行け。」
ほむら「まどかを…人質に…」
ほむら「そんなこと…」
まどか「話は聞いていたよ、ほむらちゃん。」
ほむら「まどか!!貴女、どうしてここに!?」
まどか「今日、訪ねてくるって聞いてたのに、夜遅くなっても姿を見せないから心配になって探してたの。」
まどか「そしたらね…ほむらちゃんが王城で捕まっているって聞いて、居ても経ってもいられなくて…」
ほむら「まどか…」
まどか「大丈夫。私、ほむらちゃんを信じてるから。」
まどか「きっと、約束通り戻って来てくれるって、信じてるから。」
ほむら「…分かったわ。絶対にまどかを契約させたりなんてしない!」
ほむら「必ず、戻ってくるわ。」
ワルプ「ククク…なに、約束の刻限までに間に合わぬよう、ちょっと遅れて帰ってくるといい。」
ほむら「なんですって…?」
ワルプ「その時は、身代わりの小娘を契約させて、お前の罪は永遠に許してやろう。キャハハハハハ!!!」
ほむら「そんなことは、絶対にさせない。」
ほむら「契約するのは、まどかじゃない!私よ!」
深夜、鹿目まどかは縄打たれ、ほむらはすぐに都を発った。
ほむらはその夜、一睡もせずに十里の道を走り続け、翌日の日も高く昇ったころに、村に到着した。
―ほ村―
さやか「ちょっとお姉ちゃん!?どうしたの!?」
ほむら「な、なんでもないわ。」ゼェハァ
さやか「それがなんでもないって状態!?」
ほむら「問題ないわ。それより、市に用事を残してきたの。またすぐに市に戻らなければならないわ。」
ほむら「明日、貴方の結婚式を挙げましょう。早いほうがいいでしょう?」
さやか「う、うん///」
ほむらはまたよろよろと歩き出し、家に帰って祭壇を飾って、祝宴の席を整え、間もなく床に倒れ伏して、深い眠りに落ちてしまった。
目覚めたのは夜だった。
ほむらは起き上がるとすぐ、花婿の上条恭介の家に向かった。
ほむら「少し事情があって、結婚式を明日にしてくれないかしら。」
上条「そんな、急に言われても、こっちは何も準備出来ていない…」
ほむら「問題ないわ。私が全て用意するから。」
上条「しかし…」
婿を説き伏せたときには、既に夜明け時であった。
―王城―
ワルプ「ククク…今頃、あの小娘は自分の身の惜しさに遠くへ逃げていることだろうね。キャハハハハ!!」
まどか「ほむらちゃんは、絶対に戻ってくる。」
まどか「私は、信じてるから。」
ワルプ「その強がりも、いつまで持つのやら…」
ワルプ「qb!!」
qb「呼んだかい?」
ワルプ「この小娘の相手をしてなさい。」
qb「それは何をしてもいいってことかい?」
ワルプ「キャハハハハハハハハハハ!!」
qb「…了解だよ。」
まどか「…絶対に、諦めない!」
―ほ村―
結婚式は真昼に行われた。
新郎新婦の神々への近いを済ませたころ、黒雲が空を覆い、やがて大雨となった。
祝宴はいよいよ夜になって乱れ華やかになり、最初は外の様子に不吉さを感じていた人々も、外の豪雨を気にしなくなった。
ほむら(このまま、ここでずっと幸せに暮らしていくことができたら…)
ほむら(でも、もう私の命は、私一人の命じゃない…ここに留まることは出来ないわ。)
ほむら(それでも、もう少しだけ…まだ約束の刻限までには十二分にあるわ。)
上条「御義姉様、こちらのお酒はいかがですか?」
ほむら「え、ええ。ありがとう。でも遠慮しておくわ。」
ほむら「私は少し疲れてしまったから、失礼して眠らせてもらうわ。」
さやか「え!!お姉ちゃんもう寝ちゃうの?」
ほむら「ごめんなさいね。明日は起きたらすぐにまた市へ発たなければならないの。」
上条「そうですか…」
ほむら「今日は本当におめでとう。私がいなくても、もう2人でなら何も怖くないわね。どうか幸せにね。」
ほむらは笑って村人にも会釈し、祝宴の席を離れて、眠りについた。
目が覚めたのは翌日の薄明の頃である。
ほむら「………ん……」
チュン…チュン……
ほむら「…寝過ごした!?」バッ
ほむら「…いえ、まだ大丈夫ね。これから支度しても十分に間に合うわ。」
ほむらは悠々と身支度を始めた。
昨日の豪雨は、幾分か小降りになっている。
ほむら「さて…」
ほむらは市に向けて走り出した。
タタタタタタ…
ほむら「私は、今夜契約させられる。魔女になるために走るのよ。」
タタタタタタ…
ほむら「でもそれは私の為じゃない!身を挺して、私の身代わりになったまどかを救うため!!」ハァ…ハァ…
タタタタ…
ほむら「きっと、王の自惚れを打ち崩してみせるわ。」ハァ…ハァ…
タ…
ほむら(でも、もし私が戻らなければ、私は許され…)
ほむら「ええい!!そんな考えは捨てるのよ!!暁美ほむら!!」
タタタタタタ…
―王城―
qb「君は、本当にあの少女が戻ってくると、信じているのかい?」
まどか「当たり前だよ。」
qb「やれやれ…本当に人間っていうのは愚かな生き物だね…」
まどか「…何が言いたいの?」
qb「いいかい、鹿目まどか。暁美ほむらは絶対に戻ってこない。」
qb「信じるだけ無駄なんだ。一度逃げた小鳥が、また戻ってくるなんて、ありえないよ。」
まどか「いいや。絶対に戻ってくるよ。」
qb「…分かったよ。じゃあ仮に戻ってくるとしよう。」
qb「それでも…戻ってきた彼女は、結局は契約させられる。」
qb「君はそれで良いのかい?」
まどか「…」
qb「君たちは親友とも呼べるほどの仲のはずだ。その友を、君は見殺しにするのかい?」
まどか「そんなこと…無い…!」
qb「どうかな。第一、今の君には何も出来ない。」
qb「例え彼女が戻ってきても、君には見てることしか出来ないんだ。」
まどか「…出ていって。」
qb「そうはいかない。ボクは王の命令に従って、君の相手をしているんだ。」
まどか(…ほむらちゃん…)
―ほむ―
日も高く昇った頃、すっかり雨も止み、そろそろ暑くなってきた。
そんな中で、ほむらは困惑していた。
ほむら「昨日の雨で、川が…氾濫している…」
ほむら「どうして…ここまで来て…」
しかし嘆いても、川の流れは治まることはない。
ほむら「流れが早すぎる…」
ほむら「でも…泳ぐしかないわね…はぁ…」
ザブーン
―王城―
qb「鹿目まどか。ボクと契約する気はないかい?」
まどか「何を言ってるの!?そんなことしたら、ほむらちゃんが頑張ってる意味がなくなっちゃう!」
qb「いいや。そんなことはないさ。」
qb「いいかい。ボクの契約は魔女の契約とは違う。」
まどか「魔女の契約と違うって…どういうこと?」
qb「魔女と契約すると、契約者自身も魔女になって、契約した魔女の手下になる。」
qb「これが王のやっている、魔女の契約だ。」
まどか「契約すると、手下の魔女になる…」
まどか「そんなの!絶対おかしいよ!!」
qb「おかしくはないさ。これは、魔女になった人間全てが行える行為であって、王だけが特殊なわけじゃない。」
qb「むしろ、王と同じ立場になれると考えたら、人間にとってメリットがあると思わないかい?」
まどか「思わないよ!!そんなの・・・あんまりだよ・・・」
qb「…まあ、話を戻そう。」
qb「ボクは魔女に従ってはいるけれども、ボク自身は魔女じゃない。」
qb「つまりボクとの契約は、魔女との契約じゃないんだ。」
まどか「何が違うっていうの…?」
qb「ボクと契約すると魔女ではなく、魔法少女になれる。その代わり、ボクは君の願いを何でも1つ叶えてあげる。」
qb「ボクと契約して魔法少女になってよ!」
―ほむ―
ほむら「死ぬかと思ったわ…」ゼェ…ハァ…
ほむら「ここでかなり時間をロスしたわ…急がないと…」
タタタタタタタタタ…
荒れ狂う川を越えたほむらが道を急いでいると、突然、目の前に山賊が現れた。
山賊a「ぐへへへ…ちょっと待ちなよ姉ちゃん。」
ほむら「ちっ…こんな時に。」
山賊b「どこに行くのか知らないけど~?俺たちとちょっと遊んでいこうぜぇ?」ガシッ
ほむら「その手を放しなさい。私は日が沈まないうちに王城に行かなければならないの。」
山賊a「今から王城に?はははは!無駄無駄!どう頑張ったって間に合いやしないさ!!」
ほむら「いいからそこをどきなさい!!」
山賊b「惜しいなぁ~…こんな別嬪さんを殺さなきゃいけないなんてなぁ~…」
ほむら「…まさか!あなた達、王の手下!?」
山賊「「死ねぇ!!」」
ほむら「くっ!!卑怯者の王め!!」
―王城―
qb「さあ、ボクと契約しないかい?」
まどか「しないよ。私はほむらちゃんを信じる。」
qb「だから、ボクと契約すれば彼女を救う事だってできると言っているんだ。」
qb「君には魔法少女としてのとてつもない才能がある。君ならどんな途方もない願いだって叶える事が出来る!!」
まどか「…それが、たとえ世界を変える願いでも?」
qb「君になら出来る。」
まどか「そう…」
qb「…」
まどか「ねぇ。」
qb「なんだい?」
まどか「…魔法少女って何?」
qb「魔女と戦うことが出来る力を持った存在さ。」
qb「普通の人間じゃ、到底魔女になんて対抗出来ない。」
qb「でも、ボクと契約して魔法少女になれば、魔女を倒すための特殊能力や、魔力が使えるようになる。」
まどか「…」
qb「そうそう。君は知らなかっただろうけどね。」
まどか「…?」
qb「暁美ほむら…彼女は魔法少女だ。」
まどか「!?」
qb「ボクは彼女と契約した覚えはないんだけど…」
qb「確かに彼女は、魔法少女としての力を持っている。」
まどか「じゃ、じゃあほむらちゃんは王を倒す事も…」
qb「それは無理だろうね。」
まどか「どうして!?魔法少女は魔女を倒せる力を…」
qb「残念ながら、王が強すぎる。暁美ほむらの力じゃ倒せないほどにね。」
qb「でも、君なら話が別だ。」
まどか「どうして、私なの…」
qb「それはボクにも分からない。」
qb「でも、君がボクと契約して魔法少女になれば、王を倒す事は簡単だ。」
qb「それほどまでに凄まじい才能を、君は持っているんだ。」
まどか「…」
qb「もしかしたら、暁美ほむらはわざと捕まったのかもしれないね。」
qb「まどかがボクと契約して、王を倒すことが出来る魔法少女になることを見越して。」
まどか「そんな…そんなのって無いよ…」
まどか(もう…わけが分からないよ…)
まどか(ほむらちゃんを信じていいの?どうして私に隠し事を?)
qb(ここまでのところは上手くいっている・・・)
qb(ボクの想定外は、思っていた以上に鹿目まどかと暁美ほむらの間に信頼関係があったことだ)
qb(でもそれも、もう少しで墜ちる)
qb「さあ、ボクと契約しよう。鹿目まどか。」
―ほむ―
ほむら「はぁ…はぁ…」
ほむらは疲労困憊していた。
先刻から膝をついて、一歩も歩くことができない。
立ち上がることさえ出来ないのだ。
ほむら(ここまで来て・・・もう動けないなんて・・・)
悔しさに唇を噛み締める。
ああ、濁流を突破し、山賊をやり過ごし、走り続けたほむらよ。
真の勇者、ほむらよ。
今、ここで疲れきって動けなくなるとは情けない。
愛する友は、お前を信じるばかりに、身代わりとなって契約させられてしまうのだ。
これこそ王の思う壺だぞ、と自分を叱咤してみるも、身体は一向に動く気配を見せない。
ほむらは路傍の草原にごろりと寝転がった。
ほむら(もう…諦めちゃおうかな…)
ほむら(私は、頑張ったよ)
ほむら(もう、寸分も、動けない位に身体も酷使した)
ほむら(約束を破る気持ちも、微塵も無かったよ)
ほむら(………)
ほむら(ごめんね…まどか…)
ほむら(貴方を助けたかった…でも、もう駄目みたい…)
ほむら(貴方が契約してしまうなら、いっそ私も魔女になろうかな…)
ほむら(どうせなら村に戻ってしまおうかな…さすがに追い出されることは無いと思うし…)
ほむら(もう…なにもかもどうでもいいよ…)
諦めたほむらの耳に、声が聞こえた。
『バカな私を…助けてあげてくれないかな?』
それは私自身が、どこかで交わした約束だった。
どうして私はここにいるのか…
ほむら「私は今の今まで、何をしていたのかしら…」
ここは彼女の願いによって生み出された世界。
どうして今まで忘れていたのか。
どんな願いが生み出した世界か、それは覚えていないけど、私がやるべき、1つだけ確かなこと。
ほむら「まどかを、助ける…」
ほむら「そのために、私はここにいる…!」
この世界で、自分が魔法少女であることを忘れ、ただ日常を過ごしていた。
でも、それは偽りの平和だった。
自分の義務を、責務を忘れた結果だった。
全てを思い出した今、ほむらは『魔法少女』として立ち上がる。
ほむら「まだ…動けるわ!!」
魔法少女になったほむらは、親友を救うために走り出す。
ほむら「私は、まだ、信頼されている…!」ハァ…ハァ…
タタタタタタタタ…
ほむら「待ってて、まどか!!」
―王城―
ワルプ「もう日が暮れる!!結局あの小娘は逃げ出した!!キャハハハハハ!!!」
まどか「まだ、日没までには数刻あるよ。」
まどか「ほむらちゃんは、きっと来る。」
ワルプ「まだ、あの小娘の嘘を信じると?」
ワルプ「何がそこまで、お前を信じさせる?」
まどか「約束、したからね。」
qb「…」
―ほむ―
タタタタタタタタ…
ほむら「はぁ…はぁ…」
ほむら「まだ、まだ時間はある!間に合う!絶対に間に合わせてみせるわ!!」
マミ「もう無駄よ!諦めなさい!!」
叫ぶ声が、風と共に聞こえた。
ほむら「誰?」
ほむらは走りながらたずねた。
マミ「巴マミ!鹿目さんと同じ中学の先輩よ!」
マミ「もう、駄目よ!無駄なの!走るのを止めて!!」
ほむら「まだ、陽は沈まないわ!」
マミ「ちょうど今!!鹿目さんは契約させられるところよ!!あなたは遅かった!!怨むわ!もう少し、ほんの少しでも早かったら!!」
ほむら「まだ、陽は沈まないわ!」
マミ「無駄よ!今は自分の命を大切になさい!!」
マミ「鹿目さんは、最後まであなたを信じていたわ!!」
マミ「王がいくら鹿目さんをからかっても、あなたは来る。と答えていたわ!!」
ほむら「だから!!」
ほむら「だから!!私は走るのよ!!信じられているから!!」
ほむら「間に合う、間に合わないなんて問題じゃない!!」
ほむら「契約も問題なんかじゃない!!」
ほむら「ただ、もっと大きいものの為に!!私は走るのよ!!」
陽はゆらゆらと地平線に沈み、今まさにその一片が消えようとしたとき、ほむらは疾風のごとく契約場に突入した。
ほむら「私よ!契約するのは、私!暁美ほむらよ!!まどかに契約させないで!!!」
ほむらは大声で叫んだつもりであったが、喉がつぶれてしわがれた声がかすかに出たばかり。
まどか「私の願いは…」
ほむら「ダメ!!!まどかああああぁぁぁぁぁ!!!!」
まどか「私の願いは、人々が魔女の支配に怯えない世界を創ること!!」
qb「契約は成立だ。君の願いはエントロピーを凌駕した。」
ほむら「まどか!!!!ダメ!!!!まどかあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
まどか「ごめんね、ほむらちゃん。」
~~~~~~~~~~~~~~
ほむら「…はっ!」バッ
ほむらが目を覚ますとそこは病院だった。
ほむら「…ハァ…ハァ…」
ほむら「…夢?」
ほむらの手元にはソウルジェム。
そして枕元には太宰治の「走れメロス」が置いてあった。
ほむら「…夢…」
ほむら「例え、夢でも…またまどかを救えなかったわね…」
ほむら「こんな夢なんて見て、現実から逃げたかったのかしらね…」
ほむら「でも、もう逃げたりしない。きっとまどかを救ってみせる。」
ほむら「信じているから、信じられているから…!!」
終わり
すまん、エロは無理だた…俺には書けん
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