【アイマス】例えばこんなプロデューサーとアイドルのお話【安価】 (402)

このスレはまず安価によって
・プロデューサーの性格や容姿等
・担当アイドル(初期でもデレでもミリでも可)
・二人(複数の場合は複数人)の関係性
を決めてもらいます。
設定が細かければ細かいほど良いと思います(多分)。

私は(なるべく)与えられたお題に沿って物語を書き、投下していきます。
提案した設定によっては時間がかかるかもしれませんがご了承ください。
投下の際は事前に報告します。

他に要望があれば書いてください。
(アイドルに付け足したい設定や改変、また台本形式か地の文ありか、並びに一人称視点か三人称視点かどうか等……)
無ければ基本的には地の文ありの構成で私の書きやすいように書かせていただきます。

補足しますと関係性というのは二人が親戚であるとかではなく、
どのくらい仲が良いのか、Pは担当アイドルのことをどう思ってるのか、またその逆は……
といった感情的な部分を示してもらうのもありです。
もちろん二人の関係は兄妹などの親族であるという設定でもいいです。

設定丸投げのように思われるかもしれませんが、
与えられた設定で、文章の構成をしてみたいと考えてこのような形をとることにしました。

長々と失礼しました。
一応、下のやつはテンプレですが自分なりに書いても構いません。

右に必要事項を記入してください。【】内を消してお書きください。

プロデューサー:【特徴や性格を書いてね!】
担当アイドル:【好きなアイドルの名前を入れよう!】
アイドルとの関係:【彼らの関係ってどうかな?】
その他の要望:【無ければ空欄でも、この項目自体を消してもいいよ!】


安価は↓1と↓2を順番に処理します。よろしくお願いします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456322462

プロデューサー:【女、新人でモブ面、気弱な性格だがアイドルとレズセクロスしたくてプロデューサーになった】
担当アイドル:【誰でもおk】
アイドルとの関係:【知り合ったばかり】

プロデューサー:【見た目な高校生か大学生か迷うくらいの25歳男】
担当アイドル:【美優と仁奈】
アイドルとの関係:【美優:幼馴染
仁奈:叔父の子供】

書き込みありがとうございます
>>2>>3把握しました
書き溜めに入りますので次の報告をお待ちください

>>2の設定で書いたので明日の夜に投下しますね。
>>3は執筆中です。

正確には25日の23時以降です

几帳面なやつだ、気に入った。家に来て嫁とファックしていいぞ

では始めていきます。

>>8ありがとうございます。ですがお嫁さんは大事にしてください。

『新社会人、女、下心あり』

春の麗らかな日和。
一人の新社会人はどす黒い暗雲を内に秘めたような顔をしながらも、本人の心の内は晴れ渡る気持ちでいた。

傍から見れば気色が悪い。
らんらんとスキップしていた女はそんな周囲の視線に気づくと咄嗟に鞄で顔を隠し、大人しく歩き始める。

「アタシってばはしゃぎ過ぎ…………むふっ……」

わかっていても結局、気味の悪い笑みがこぼれてしまう。

新社会人といえば仕事に対する期待と不安でいっぱいになるはずなのだが彼女は違った。
本日からの彼女の仕事はアイドルのプロデューサーである。

社会人一年目でプロデューサーというのも無謀な話であるが、内定をもらったのだから仕方ない。
どうやら腕のある教育係がいるらしく半年間は研修期間というわけだ。

そして彼女が765プロダクションを受けた理由はただ一つ。
ここがアイドル事務所だから。

残念ながら大手の961プロと346プロは落ちてしまったがどうでもいい。
765プロとて最近では大手の仲間に入りつつあり、とある界隈では有名な事務所なのだ。

そんな彼女はやはり胸の高まりが抑えきれなくて奇妙な笑いを浮かべていた。

電車通勤の彼女は駅のホームでラッシュの波に揉まれながら、なんとか人の少ないところへ出た。

ふう……と一息つき辺りを見回せば人の群れとはいかないまでも、なかなかに窮屈そうだ。
奥に見える男性はまだ出勤もしていないのにやつれた顔でお疲れのご様子。

女は小さく敬礼をして男性の苦労をそっと一人で労った。
いや、男性に伝わっていないので労ってはないのかも。

そんなバカな妄想をしては周囲の目が刺さり、はたはたと慌てる。
鞄を抱え込むように顔を隠してちらと周囲の様子を窺う。
もう誰も気にしていないことを確認すると、気が抜けたのかまたしてもあの気色の悪い笑みがこんにちは。

電車通勤も彼女の楽しみの一つであるからだ。
だから笑わずにはいられない。
これから幸せなことが起こるのだから笑わない方がおかしいのだ。

朝のラッシュの時間帯だけあって、短い間隔で車両はやってきた。
彼女の前に来た車両には『女性専用車両』の文字。もちろん床にも同じ文字。

(き、きた~~~~~!!)

今朝も今朝とて絶好調。
心の中で鼻血を流しながら降り行く人波を躱して、ぬるりと車内へ潜り込む。

(可愛い子はいないかなっ!?)

異様に目をぎらつかせ始めた彼女は言うまでもなくレズビアンな性癖の持ち主だった。

高校から女子校で好みの女の子に熱い視線を送る毎日。
大学時代も通勤中に毎朝視姦の繰り返し、というどうしようもない変態だった。

だが直接行動に移したことはない。あくまで見るだけ。
他人と話すのがちょっと怖い。本性を知られて嫌われるのが結構嫌い。

だから好きな女の子に対して、あと一歩がなかなか踏み出せなかった。

だが今日からは違う。
女は視姦を続けながら考える。

可愛い女の子のアイドル活動を支援する自分。
仕事をこなしていくうちに結ばれていく信頼関係。
やがてそれは愛へと変わり……。


「むふ、むふふふふっ……!」

口端から涎を垂らして夢想するそれはただの不審者だった。
彼女の名誉のために言っておくが、彼女は何もせず座っていれば容姿は良い方だ。何もしなければ。

しばらくして最寄り駅に着く。
その駅ではあまり降りないみたいで、女の子たちに押し出してもらえずちょっと残念そうだった。

しかしこれから向かう(彼女にとっては)天国への道のりに気を取り直したのか、鼻歌まじりに歩を進める。

「ここが765プロ……可愛い女の子たちの巣窟!」

自然と足取りも早くなる。

「意外と大きいんだ。確か以前はもっと小さかったのに……」

失礼しますと入り口をくぐる。

「いらっしゃい。新人さんですか?」

緑の制服を着た綺麗なお姉さんに出迎えられて狼狽える。

(うわぁ! アイドルじゃないのにこんなレベル高いの?)

気分は一気に高揚した。

「どうしました?」

「い、いえ、何でもないでしゅ……」

応接室まで案内されると、彼女と同じく研修生と見られる人が二人すでに座っていて、女もその隣に腰掛ける。

お前らには私の可愛いアイドルたちを任せてはおけないと、どこから来るのか分からない自信でもって威嚇するが、何だこいつという目で睨まれすっかり委縮した。

(怖いよこの人たち! アタシ間違えた!? 職場間違えた!?)

などと慌てていると爽やかな見た目の青年が入ってきた。
彼が研修生を指導するメンターであることは想像に難くない。

まずは一通り社内を案内してもらった。
昼休憩後からはアイドルの様子を見に行くということで女のテンションはやたらと上がった。

(どんな可愛い子がいるのかな!)

ふんふんと陽気に鼻を鳴らす女を見て同僚は軽く引いた。
それに気づくと彼女はやっぱり手で顔を覆ってしまうのだった。

「はは、アイドルに会えるのが楽しみなんですね」

「は、はいぃ……すみまひぇん」

急に話しかけられるとやっぱり委縮してしまう女だった。

さっきとはうって変わっておどおどしながらレッスン場へ向かった。

スタジオの扉の奥からは、トレーナーの声とステップを踏んでいるのか床を叩く音が聞こえる。

『萩原、遅れてる!』

『は、はいぃ……!』

続いてそんな声も聞こえる。

メンターのお兄さんが扉をノックし、部屋に入った。
研修生もそれに倣って入る。

「お、男の人ぉ……!」

ざざざーっと後ろの壁まで後退する女の子が目に映る。

「なんて可愛いの……」

咄嗟に漏れた言葉は、彼女の下心に直結する。
あの子とイチャイチャしたい。願わくばレズセ〇クスしたい。

当初の目的は可愛い子とのレズセッ〇スだった。というのを思い出さなくてもいいのに思い出した。

「あはは……萩原さんの男嫌いは相変わらずだね」

メンターの青年が困ったように言ったが、気を取り直して研修生である彼女たちを紹介する。

「へぇ、じゃあ次期プロデューサー候補っちゅうわけなんやな」

「そういうこと。少しの間話してみるか?」

そのメンターさんの提案によって研修生とアイドルの交流が実現した。

(最高です。ありがとうございます。)

女は心の中で土下座した。

「あのぉ……」

「!!」

(さっきの、えっと……萩原さん!!)

「あなたもプロデューサー候補なんですか?」

まさかアイドルの方から来るとは思ってなかったらしく、内心興奮と歓喜が収まらない。

「え、その、はい、そうでしゅ……」

感極まりすぎて呂律が回ってないようだ。

「私、男の人が苦手で……女の人なら上手くやっていけると思うんです」

「ぇ、ぁ、ぅん……」

結構ぐいぐい来るなこの子、と彼女は思った。

「これからよろしくお願いします」

「ぁ、そうですね。よろしくお願いします」

こんな出会いから始まった彼女たちは一月後にアイドルとプロデューサーとして組むことになった。

研修期間も一月を過ぎ、一人につき一人ずつ担当アイドルをつけることになったのだ。
とはいえまだまだ研修中である。

「プロデューサー、お茶淹れましたぁ」

「ありがとう雪歩ちゃん」

お互いは知り合って間もないがすぐに打ち解けた。

そしてプロデューサーとして働き始めた彼女の妄想も捗り始める。

『お仕事に出れたのもプロデューサーのおかげです!』

『いいえ、そんなことない。これもすべて雪歩ちゃんの可愛さあってこそ』

『プロデューサーにそんな言われると私……!』

『いいの、雪歩ちゃん来て!』

『プロデューサー!!』

『雪歩ちゃん!!』

「うへへへへへ……」

不審者の出来上がりである。

「プロデューサー?」

「ひょえっ!!」

「きゃあっ!!」

奇声を上げる女プロデューサーとその奇声にビビる担当アイドル。

「……あ、ごめんなさい。驚かすつもりはなかったの」

「私こそ、こんなことでびっくりしてごめんなさいぃ……」

沈黙が重い。
その沈黙の重さゆえか仕事が入ったことを思い出した。

「んんっ! それでね、雪歩ちゃんの新しいお仕事取ってきた」
メンターさんが……と心の中で付け足した。


その一言がだいぶ衝撃だったようで雪歩もやや前のめりに近づいた。

「すごいじゃないですかっ! どんなお仕事なんでしょうか?」

「雑誌のモデル」

「ええっ!? そんな雑誌のモデルなんて無理ですぅ! 私ってひんそーだしちんちくりんだし……穴掘って埋まってますぅ!!」

「さすがの掘削スキル。これは世界を狙える。あそこも掘削してほしい……むふっ!」

「誰か萩原さんを止めて!!」

メンターの方が絶叫する。
その後、二人して説教を受けました。

別の日。

「雪歩ちゃん。レッスンお疲れさま」

「おつかれさまですプロデューサー!」

「ちょっと疲れてない? 私がマッサージしてあげる」

「へ? いいんですか?」

「もちろん。こう見えてマッサージの資格を持ってる人と同じくらいマッサージ上手いんだ」

もちろん資格は持ってない。

「すごいですね! じゃあお願いしようかなぁ」

あっさり騙される雪歩は今後とも詐欺に気を付けていただきたいと思う担当プロデューサーなのであった。

何はともあれ直接雪歩の肌に触れる口実ができたことに頬のゆるみを禁じ得ないでいる。

「じゃあそっちにうつぶせに寝転がって……」

言われた通りにうつぶせになる雪歩。やはり詐欺に気を付けてほしく思う偽マッサージ師だった。

もみもみ……。

もみもみ……。

もみもみ……。

(はあああああああああ!! この手から伝わるこの感触!! たまらんっ!! いっそこのまま覆いかぶさって可愛いお耳を舐めてあげたい! いやいや、まずは首を舐めてから徐々に唇と唇が……!!)

「はぁ……はぁ……!」

息が大きく荒くなる変態は雪歩が心配になるほどだった。

「あの、大丈夫ですか?」

「へ? 何が? 余裕余裕」

「! 鼻血!! プロデューサー、鼻血出てますよ!?」

「お……」

貧血でぶっ倒れるしかなかった。

……プロデューサーは目を覚ますと微かに可愛い女の子の顔を捉えたのだと思う。

我、生き返るのみ。そこに可愛子ちゃんがいる限り。……と何事もなかったかのように起き上がった。

「あ、プロデューサー心配したんですよ? 急に鼻血出して倒れるから……」

「あはは、ごめんなさい。ちょっとね……」

「でも倒れるなんて……私のためにずっと無理して頑張ってくれてたんですね」

「え? ぁ、ぉ、ぉおう……」

雪歩とのレズセック〇のために無理して頑張ってきたのだから、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

(でも今は誰でもいいってわけじゃないからなぁ……)

目の前の魅力的な女の子に惹かれてる自分がいるのだ。
最初は可愛ければ誰でも良かったが、今となっては……。


(でも可憐ちゃんとか良いよなぁ……)


……やっぱり誰でもいいのかもしれない。

「これからも私のプロデュースよろしくお願いしますね」

しかし、そんな屈託ない笑顔で言われてしまったら初めては彼女に捧げたいと思ってしまうのだ。

「うん、よろしく」

けれども今は、プロデューサーとアイドルとして、共に歩むとしようかなと思う社会人一年目であった。

(あー、レズセックスしたい……)


おしまい

あれ、これってリクしたら18禁ありなの

自分の反省・感想

見返してみて思ったことはつまらないの一言でした
百合(お題を見て私はそう解釈しました)って初めて書くジャンルでしたが、見事に勉強が足りてませんね
それに導入で引っ張りすぎて読み応えがまるで無いです
いろんなシチュを考えた中でどうしてこうなったのかと自身に問うばかりです
このお題でいつかリベンジしたいです


>>3のお話は執筆中です。
今度はもう少し時間をかけたいと思います。


その次は↓2の設定で書いていきます。よろしくお願いします。

>>23
何でもいいですよ

安価は↓です

P   親しい相手ほどからかう
担当 幸子
関係 いとこ
からかいの勢いでエロに

>>26
把握しました
頑張ります

それでは次回の連絡をお待ちください

リクの設定は細かいほうが良いんかな

>>3
もう少し設定書きたかったな

>>29
細かい方が自分の理想に近くなるかもしれませんね

>>32
すみません、もう書いてしまいました


本日22:00頃に投下しようと思います

幸子はこれから構想、執筆するので時間かかりそうです
それでは今晩までお待ちください

設定は>>3

『無題(未定)』



「お兄さん、見てくだせー!」

仁奈は虎の尻尾を揺らしながらパタパタと俺に近づいてきた。
市原仁奈は俺の担当するアイドルであり、通称幼い方である。

「おお、仁奈は何着ても似合ってるなぁ」

「えへへー! お兄さんにそう言ってもらえると胸がポカポカってあったけーですよ!」

仁奈が俺のことをお兄さんと呼ぶのは俺が兄だからではない。
俺の兄が娘だからだ。
……間違えた。俺の兄の娘だからだ。

つまり俺は彼女の叔父さん。彼女は俺の姪っ子にあたる。

「仁奈ちゃん待って……!」

さらにその後ろからウサギの尻尾を振り振りしながらドタドタと近づいてくるのはこれまた俺の担当するアイドルの三船美優、通称大きい方である。

「うわ、Pくん!」

俺に気づくと美優は硬直し、視線を泳がせる。
動揺してるサインだった。

「うわその格好きついよ美優……」

何も言わないのも失礼なので、思ったことを言ってやった。
美優は顔を赤くして少しだけ眉間にしわを寄せる。これは怒ってるサインだ。

「ばかっ!」

そう強く言い放ちムスッとしてしまうが、うさぎの着ぐるみのせいで全然怒ってるように見えなかった。

「あはは、仁奈と遊んでくれてありがとうな。仁奈、お礼は言ったか?」

「美優お姉ちゃんいっつもありがとうごぜーます!」

「よしよしちゃんとお礼言えて偉いな」

頭を撫でてやると、仁奈は嬉しそうだ。そのままきゅっと俺の腰にしがみつく。

「甘えん坊さんだな」

「えへへー!」

「仁奈ちゃん。そろそろお兄さんも仕事しなくちゃいけないからあっちで遊びましょう?」

「そんなの嫌でごぜーます。お兄さんと離れたくねーですよ」

すっかり懐かれちゃったけど、可愛い姪の為なら仕事を放り出してもいいな。

「仁奈ちゃん、わがままはダメよ」

「まあまあ、俺は大丈夫だし美優も着替えてきたら? 仕事も報告書書くだけですぐ終わるから一緒に帰ろう」

「もう……」

しかたないわねといった様子だったが美優は素直に聞き入れてくれた。

「仁奈も一緒に帰ろうか」

「お家で一人ぼっちは寂しいでごぜーますよ」

「パパが帰ってくるまでは俺の家にいていいからさ」

兄貴は仕事で帰りが遅い。
奥さんとはずいぶん前に離婚した。まあ、あれはクズだったし当然と言えば当然だ。

「やったー! お兄さんとご飯食べるですよ!」

仁奈は着ぐるみを着たまま帰るようだ。ぴょこぴょこと虎耳を弾ませて嬉しそうに跳ねている。

俺は兄貴に連絡を入れて仁奈を預かることを伝えた。
兄貴はいつも、俺に娘を取られたとか言って嘆いてる。パパもたまにはパパらしいことしてください。

やっぱり子育てって大変なんだな。

「お待たせPくん」

着替え終わった美優が戻ってきた。
三人で事務所を出る。

「お兄さん、美優お姉ちゃん。お手て繋いでほしーです」

「はいよ」

「いいよ」

俺と美優は同時に仁奈の手を握った。
満足そうな顔の仁奈が握ってもらった両の手をぶんぶんと振り回している。
俺も美優もなすがままにされ、つい表情が綻ぶ。

「なんだか家族みたいだな」

「……そうね」

「何言ってやがりますか。お兄さんも美優お姉ちゃんも仁奈の家族でごぜーますよ!」

仁奈の手に力が入る。ぎゅぅっとさらに強い感覚が俺の手を通して伝わる。

「嬉しいこと言ってくれるのね」

「そうだな。でも仁奈のパパはパパだけど、俺と美優は何なんだ? お兄ちゃんとお姉ちゃんか?」

「お兄さんはパパで、美優お姉ちゃんはママでごぜーます!」

「あはは、それじゃあパパが二人になっちゃうだろ」

「あ!」

仁奈はそれからうーんと考えこんでしまったがすぐに顔を上げる。

「パパもお兄さんもどっちもパパでやがりますか?」

「何で疑問なの!? 仁奈のパパは兄貴だけだよ! それ兄貴が聞いたら絶対泣くから言っちゃダメだよ!?」

美優からも何か言ってほしくて、ふと隣の美優を見やるとぱっちり目が合った。
町明かりに照らされた美優の頬は若干朱に染まり、にこりと微笑む表情はとても柔らかいものだった。

「私、そろそろアイドル引退しようかなって思ってるんだけど、Pくんどう思う?」

「美優は急に何言ってんの……。せっかくアイドルの仕事増えてバイトやる時間も減ってきたんだからもうちょっと続けようよ」

「そっか……そうだよね。でも私30までには結婚したいなぁ」

「二人とも結婚しやがりますか?」

「いやいや、そんなすぐにはしないよ」

「え?」

「何だよ?」

「……ううん、何でもないよ」

喉に何かつっかえた様子の美優だったが、また前を向く。
相変わらず三人並んで手を繋いだままなので、人気の少ない暗がりの道でも仁奈は特に怖がるということはない。

俺たちは割と小奇麗なアパートの前までやってきた。ここが俺の部屋なのだ。

「じゃあお疲れさま」

そう言うと美優は俺の部屋の隣の部屋に入っていこうとする。

「上がっていけば?」

「そんな、私はいいよ」

「遠慮すんなって、仁奈も喜ぶ。な?」

俺は仁奈に尋ねた。

「美優お姉ちゃんも一緒にご飯食べやがるです!」

「……じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」

「俺たちの仲なんだから遠慮すんなって」

「ふふっ! それもそうね」

というのも俺と美優は小さい頃からの知り合いで、小中高大と同じ進路を歩んできた仲なのだ。

しかし美優は社会人3年目で職場トラブルから辞職。

俺は二年の研修を経てアイドルのプロデューサーを務めることになった。
駆け出しの俺は職を失った美優をアイドルとしてスカウト。……頼んだらやってくれた。

『結局、またPくんと一緒なのね』

と苦笑混じりに言われたのを覚えてる。

最初の頃はアイドルとしての収入も雀の涙で、アルバイトもしていた(なぜか俺がお金を出して養うと言っても断られた)。

しかし今ではバイトのシフトも減り、アイドルのお仕事メインで頑張っている。
芸能人って何かとリスクは大きいけど、今は順調にやってるみたいで俺も一安心だ。

そして二ヵ月前、これも何かの縁なのか美優が隣に引っ越してきた。驚いたのは美優も知らなかったってことだ。
てっきり俺の親父かお袋に、住所を教えてもらったのかと思った。

そんなこんなで付き合いとしては23、4年くらいになるのだろうか……。
時の流れって速い。

俺は仁奈と美優を部屋に招いて晩ご飯の準備をする。
美優に作ってもらうの良いんだけど、お客さんにそうさせることは俺のポリシーに反するというか……。
とにかく仁奈の遊び相手になってもらおう。

「美優お姉ちゃん。今日はウサギの気持ちわかったでごぜーますか?」

「う、うーん。そうねぇ……ピョンピョンって感じかな?」

「浅すぎるでごぜーます」

「……ふぇ?」

「もう一度ウサギの気持ちになるでごぜーます!」

「ええっ!? また?」

「仁奈も頑張って虎の気持ちになるでごぜーますから」

「そ、そうねぇ……Pくんあっち向いててね」

「おう、わかった」

どうやらまたウサギの着ぐるみに着替え始めたらしい美優。
なぜかうちには着ぐるみがたくさんある。
俺が仁奈のために買いそろえたのだが、持って帰ってもらわないと彼女が来た時に変な趣味の持ち主だと思われてしまうかも。

まあ彼女いないんですけど。

それに構わずに料理を続ける。
いつも俺がご飯を作ると定食みたいになってしまうなぁとか思っていたら、二人の声が聞こえてきた。


「がおー!」

「ぴょんっ!」

「がおー!」

「ぴょんっ!」

何やってるんだろうね。

「美優お姉ちゃん、もっとウサギの気持ちになってくだせー!」

「ぴょんっ! ぴょんっ!」

「がおー!」

本当に何やってるんだろうね。

「ご飯できたよ」

「がおー!」

仁奈は美優に覆いかぶさり、抱き付いている。美優はというと床に仰向けになったまま動かない。

「何やってんだ……」

俺はそう尋ねると、美優がぱちりと目を覚ました。

「ウサギの気持ちになってたの」

真顔で答える美優はウサギの気持ちを得た代わりに何かいろいろ失ってると思った。

「あ、そう」

「仁奈ちゃん。ご飯食べましょう?」

「はーい! みんなで食卓囲むでごぜーます!」

とか言いながら美優の膝に座るの仁奈。囲むんじゃなかったのか……。
でもそれじゃ美優が食べにくそうだから移動するように優しく諭す。

仁奈は素直でいい子だから俺の言う通り移動して、今度は俺の膝に座った。
どうしてそうなる。

「はいはい。兄ちゃんも食べにくいからお膝から降りような」

「しかたねーです」

今度こそ降りる仁奈。


食事を終えてみんなでテレビを見ていたのだが、
美優に抱きかかえられてた仁奈はすぐに眠たくなったのかウトウトし始める。

それから数十秒して、すやすやと寝息を立てる仁奈。

「可愛い」

「当然だ」

「Pくんって親バカ?」

「どっちかというとシスコンじゃないか?」

「ずいぶん歳の離れた妹ね」

「ん、まあな」

「……私にもこんな子ができたらいいな」

「仁奈が可愛いからって、兄貴と結婚とかやめろよ?」

「ばかじゃないの?」

「マジなトーンで言うの止めて」

「高校から何にも変わってないよね。見た目とか」

「おい。それ気にしてるんだけど?」

「Pくんが変なこと言うからだよ」

「冗談だよ、冗談」

「じゃあ私も冗談」

「なんだそりゃ」

「なんでしょうね」

お互いに小さく笑う。
この距離感、近いようで遠く感じられる。でもやっぱり遠いようで近く感じられる。

テレビのチャンネルが切り替わる。

「わ、私?」

「ああ美優だな」

「何も予約しなくても」

「別にいいだろ? 担当のアイドルが出演してる番組はチェックしないとさ」

「なんかヤだな」

「どうして?」

「……恥ずかしいもん」

「いまさらでしょ」

しばらく無言になってテレビの画面に注視する。

『三船さんの理想の男性ってどんな人ですか?』

ぽすりと軽い重さが肩に伝わった。
チラッと横を見ると、美優がすやすやと寝息を立てている。

『えーと……そうですね……』

「今日もおつかれさま」

『いつでも私のそばにいてくれるような人です』


おしまい

自身の反省・感想

こんな短い内容なのに時間をかけてしまいました……反省
最初の話よりは上手く書けたと思います
美優と仁奈を魅力的に映そうとしました
見返してみると設定を生かしきれてない気がします
Pの特徴に触れる会話もごく僅かでしたし
仁奈とP、美優とPとの関係性も……文で表現しようとすると、うーん難しいです
あと、最終的にいい感じの恋愛要素で締めくくってしまうのは私の悪い癖のような気がします


次回は幸子ですね
官能系は得意じゃないので時間かかります
次回の報告をお待ちください

こうして欲しかったっていうのがあればぜひ意見ください
勉強、参考になりますので

安価もしておきます
次の設定↓1

プロデューサー:【おだやかな性格と外見だが悩みを隠して溜め込みがちになる20歳男】
担当アイドル:【藍子】
アイドルとの関係:【小さい頃から一緒の義妹で両想い(藍子はP両親の親友の忘れ形見)・血は繋がっていないとはいえ兄妹ということを気にしてお互い異性として好きなことを隠してる】
地の文あり
エロ(アイドルとして周りに笑顔を向ける姿や自分に無防備な好意を見せる藍子に我慢できず押し倒して襲い初めてを奪う陵辱風で)
可能ならエロは初めてを奪った1回目から続く禁断の関係みたいなので複数希望、あとこんなリクだけど最後はハッピーエンドで

プロジューサー 好青年だが実はまゆ以上のヤンデレを隠してる、特に好きな娘の怖がるところが好きなS
担当 まゆ(ポンコツ)
アイドルとの関係 ストーキングし合う仲ただしまゆは知らない
その他 いつもとは逆に知らない誰かにストーカーされ怯えるまゆが見たいです、エッチも

>>50
早すぎです

把握しました
細かい設定をありがとうございます
これはやや長編になりそうな予感がしてきました!

>>51
こちらも早すぎです

>>50
藍子はPをどう呼ぶのでしょうか?
特にこだわりが無ければ『お義兄さん』とさせていただきます

>>50
たびたび質問失礼します

藍子の両親は他界して、親友であるP宅が藍子を引き取ったということですか?

>>56
あ、たびたび設定追加ゴメン なんかしばらくしてから思いついてしまった、間に合うなら
藍子はPのことを異性として好きになって自覚もしたのは中学生の思春期の時、Pはそんな色気づいた藍子を見て異性としての魅力を感じ始めPとアイドルの関係になってしばらくしてからようやく自分の想いに気がついた感じで

>>57
把握しました
ありがとうございます

それでは次回の報告をお待ちください

進捗:幸子執筆中です

これってエムはダメなん?

一回に登場させれるアイドルの人数は?

トレーナーはあり?

幸子書けましたので報告しに参りました。
投下は2日の22:00頃を予定してます。
※注意※ R-15くらいです。(R-18期待してた方は申し訳ありません)


あと個人的なことですがお話のサブタイトルで悩んでます。
『無題(未定)』となってるところですが、思いついた方がいらっしゃればぜひご提案ください。


質問にも答えていきます。

>>59
エムはダメってわけじゃないですが、
私がエムマスをやってないのでキャラクターの性格や情報を十分に把握していません。
どうしてもと仰るのならば書いてみますが、高確率でがっかりさせかねないので控えていただけると助かります。
同様の理由で876プロも>>1の『担当アイドル』から省いています。

>>60
何人でもいいです。
逆に登場アイドルの指定が無ければ、私はPと担当アイドルだけでお話を作ろうとしています。
担当じゃないけどこのアイドルを登場させたいっていう方は『要望』に加えてください。

>>61
トレーナーさんはありです。私もトレーナーさん好きです。
ただしトレーナーさんはアイドルではないので、
トレーナーさんメインをご希望の方は『要望』にその旨をお伝えください。
また要望に書いた設定次第では、担当アイドルはナシとしても構いません。
その時は担当アイドルはナシと分かりやすく書いていただけると助かります。


以下はちょっとした注意事項です。

例として……
その他の要望:【登場人物にトレーナー、ルキトレ、みりあを追加】
と書いたとしましょう。

この場合、トレーナーさんとルキトレちゃんは出ます。みりあは担当アイドルではないですが出ます。
しかしこの三名にも細かい役割、設定を与えてあげるのをお勧めします。
私の場合、この三名に『一言ずつ喋らせておしまい』というのも十分にあり得ます。登場というノルマは達成されてるからです。


長々と失礼しました。
他に質問あればどうぞ。

また安価で幸子とってもええの?あとエロはR18指定すればR18書いてもらえる?

>>63
はい。要望に応じます。

>>63
しかし、私としては同じような内容は控えていただけるとありがたいです。

おはようございます。
投下しようと思ってた時間帯に予定が入ってしまったので、
予定より繰り上げて今から投下していきます。

設定は>>26です。

『無題(未定)』


「P兄さん! P兄さん!」

輿水幸子はそうやって彼女の従兄であるPの名を呼んでは泣きじゃくっていた。

「うわああああん!!」

「あはは、ごめんごめん。ここだよ幸子」

「もう! こんな可愛いボクを置いてどこに行ってたんですか!?」

「ちょっとそこらで猫を見つけてさ」

「猫!」

猫と聞いて瞳を輝かせる幸子。

可愛いを自称する輿水幸子は可愛いものにも目が無いのだ。

「どっちへ行きました!?」

「あっちの方」

Pの指さした場所へトテトテと走っていく幸子の身長が20センチほど縮む。

片足がずっぽりと砂場にはまったのだ。

後ろで大爆笑するのはPだった。
いわゆる落とし穴というやつで、手の込んだいたずらだった。
苦労して作った分、落とした時の気分はさぞ爽快なのだろう。

「うわああああん!」

とまた泣き出してしまう。


最後は手を繋いで家に帰るのだが、二人が会う度にPはこっぴどく怒られたものだった。

「まーた幸子ちゃんのこと泣かして!」

この頃のPは好きな女の子に意地悪したい程度のお年頃だったのだろう。

今では年齢的に彼はいい大人。次第に幸子へのちょっかいも減り、毒が抜けたように幸子に優しく接するようになった。

「おーい幸子。次の仕事、絶叫マシン網羅ツアーに決定したぞ!」

「またそんな仕事ですか! 怖いのはやめてって言ったじゃないですか! P兄さんの意地悪!」

……というわけでもなかった。

「お化け屋敷じゃないからいいだろ?」

「そういう怖いじゃないんです!」

「じゃあ最恐お化け屋敷巡りの旅も取っていいんだな?」

「やめてくださいってば!」

幸子は絶叫やホラーがとても苦手なのだ!

「絶叫の方はもう取っちゃったからそっちだけでも出てよ」

「むぅ……取ってきてしまったのなら仕方ないですね」

幸子は責任感が強いのだ!

「じゃああと、これと、これと、これと、これも引き受けたからよろしく」

「イヤですっ!!」

やっぱり幸子は自分のことが大事なのだ!

「えー、さっき取ってきたものはしかたないって言ったじゃんか」

「こういうことってボクに相談するべきじゃないんですか!?」

「ふざけんなよ?」

「それはP兄さんでしょ!?」

とまあこんな感じでよく喧嘩する。
大体10対0でPが悪い。

「大体P兄さんはこんな可愛いボクのことをいっつもいっつもぞんざいに扱って、一人の男性として、いいえ人として恥じるべきです」

「あっそう」

「真面目に聞いてください!」

「聞いてるよ」

「はあ……仕事ではしっかりしてるのにどうしてなんでしょうね? P兄さんの化けの皮を引っぺがした姿を他の女の子たちにも見せてやりたいです」

「ははは、面白いこと言うね」

「笑い事じゃありません」

幸子のくどくどした説教を涼しい顔して聞き流すのが二人の日常だった。

「ほら幸子、もうレッスンの時間だから行ってこい」

「あ、もうこんな時間! 今日は先に帰らないでくださいよ、P兄さん!」

ただこの日は少しだけ違った。

幸子はレッスンが終わると、胸にちょっとした不安を抱きながらPのいるスペースに戻っていった。

部屋の中は真っ暗で、幸子はがっくりとうなだれた。
また帰られたと内心泣きそうにもなった。

と思ったのだが、とあるデスクに明かりが灯っていた。
そこは幸子がいつも言い合いをしている従兄の席に違いなかった。

暗がりの中だからか、幸子は音を潜めて近づいた。

「あ」

Pがパソコンのデスクトップと、デスクに備え付けの明かりを残したまま眠っていた。

幸子がふとデスクトップに視線を移すと、先方へ仕事のお断りを入れるメールを送信した後だった。
幸子は無防備だとも思ったが、しっかりとレッスン前の幸子の意思に与してくれていたのが嬉しかった。

「やっぱり可愛いボクのお願いですからね。聞いてあげるのが普通ということです」

幸子はすぐ調子に乗る。

「それにしても、本当にこんなにたくさんボクの嫌な仕事を持ってこようとするなんて……」

冷静に考えると何だか幸子は腹が立ってきたらしい。
いつもイタズラされてる分、逆にイタズラし返すことにした。
絶叫マシン網羅ツアーという仕事がキャンセルされてなかったのが決め手だった。

「油性のペンで顔に落書きしちゃいましょう」

ただし発想は小学生レベルの幸子。

近くに置いてあった油性ペンを見つけ、きゅぽんとフタを取った。
初めてやるイタズラに躊躇しながらも震えるペンをPの顔に近づける。

「……」

突然、Pは幸子の腕を掴み抱き枕のように幸子を抱えた。

「わきゃぁあっ!」

大きくのけぞるにも拘束されて動けない幸子。

「ぐぅ……」

すやすやと寝てるふりをするP。

「ちょっと! P兄さん! 起きてますよね!?」

ぎゅうっと抱きしめられる幸子にはなすすべなく、Pの思うがままにされる。
幸子はPの上にまたがって、密着してる状態だ。さすがに幸子本人が恥ずかしがる。

「よくそんな恰好で寝たふり続けられますね! バレバレですよ!」

でも寝たふりをやめようとしない。
いつものように幸子は抵抗し、Pの上でバタバタと暴れ出す。

しばらくそんな争いが続いていたのだが、状況は一変した。

幸子の股に、服越しではあるが、硬いものが当たる。
それは徐々に大きくなっていき、二人の動きも徐々に止まっていった。

「……」

「……」

「……降りるか、幸子?」

たまらずに声をかけたのはPだった。
顔を真っ赤に染め上げ、幸子にそう提案した。

だが、幸子は降りない。
珍しく慌てるPが少し可愛いと思ってしまった。いじめたいと思ってしまった。
そして自分の股間に当たる感触が気持ちいいと思ってしまった。

降りない代わりに、自らの腰を動かし始める幸子。
どうすれば気持ちよくなれるのか探ってるようだった。

「ちょっと、幸子!?」

「…………はぁ……はぁ……」

次第に息を荒げて逆にPに抱き付く。椅子に腰かけているPの上にまたがったまま、腰を振る。

「あっ……ああ……あんっ…………P兄……さん……」

ちゅぴ、ちゅぴ、とPの耳を愛撫する音が部屋に響く。

「うぁ、うあぁ……さ、ちこ……待、て…………やば……」

ぴくぴくと軽く痙攣するP。さらに肥大化する股の感触に幸子が喘ぐ。

「ふあぁぁぁぁ! あ、声、が……あっ……あん……あっ……あんっ……! もっとぉ……もっとぉ……!!」

幸子は完全に理性が飛んでいた。
Pの唇を無理やり奪うと、れろれろと舌を絡ませ、ちゃぷちゃぷと唾液を絡ませ、ずずっずずっと舌を吸う。

どんどん激しくなる幸子の動きと、快楽に身を委ね始めるPには限界が近かった。
P自身も腰を振り、幸子にさらなる快楽を提供した。

「ボク……変に、なっちゃいます……!」

「ダメだっ! もう来る!」

「P兄さん! 好きっ!! 好きっ!! ……ああああぁぁ!!」

「幸子っ! 幸子っ! ……うぐぅ!!」

すぅっとお互いの動きが大人しくなる。
が、幸子はぴくぴくと腰の辺りで痙攣を繰り返しており、まともに立てるような状況ではなかった。

「うわぁ……びしょびしょ……」

呟いたのはPだった。スーツの外からは幸子の愛液、そして内側からは自分の精液。
ぬめっとした感触が気持ち悪い。

「替えの服ねーよ……」

それにしても罪悪感がすごかった。

一方、幸子はというと。

「えへへ……もっと……気持ちよくしてください、P兄さん」

まだ足りなかったらしい。

今までからかってきた分のつけが返ってきたような気がして、勘弁してくださいと思うばかりのPだった。


おしまい

反省

エロは難しいです。
冷静に考えたらR15未満でした。
私としては心地よい短さでしたが、執筆に時間かかってるのがダメでした。
からかった勢いで……というのがかなり悩んだところです。
からかうの定義を辞書引いて調べるところからやりました。


次の安価は↓1です。ちなみに私が飽きるか、1000行くまで続けます。次スレは絶対に無いです。

プロデューサー:【穏やかで優しい】
担当アイドル:【乃々】
アイドルとの関係:【乃々から好かれてる Pの方は恋愛感情なし】

>>86
ありがとうございます。
なぜそんな速いんですか?
把握しました。好みの展開が無ければ好き勝手にお話作ります。


安価取った方は設定を追加したい場合早めに書き込みをお願いします。
一つの話ができるまであまりスレを開かないので手遅れになりがちです。
しかし設定>>50はもともとR18で書く予定でしたので希望通りになると思います。

『設定>>〇〇のお話を投下します』と宣言した時は、
もう設定>>〇〇のお話は完成していて書き直したりはほとんどしません。

それでは次回報告までお待ちください。

こんばんは
本日10日22:00頃に設定>>50のお話を投下します
よろしくお願いします

『無題(未定)』


「馬鹿野郎がっ!」

男の怒号で、その部屋は一瞬で静まり返った。
その部屋にいる人は皆喪服を着ていたが、誰一人涙を流さず、ぼさぼさの髪に、やつれた顔をし、射殺さんばかりの眼で周囲の人間を睨みつけていた。……全員がだ。

先ほど怒鳴った男とその隣にいた男の妻は悲しみ、嘆き、涙を流していた。

「あいつの娘は俺たちが引き受ける。お前らみたいなゴミ共に任しておけるわけがない」

じろりといくつもの目が男を捉えるが、決して怯む様子など見せなかった。

「おいで、藍子ちゃん」

男の妻に藍子と呼ばれた少女はさっきまで飛び交っていた心無い言葉や罵詈雑言に戸惑っていたものの、優しい声を聞いてようやくその声の方へと駆け出す。

藍子はひしと男の妻に抱き付くと、その胸の中でさめざめと泣いた。

「貴様らは目障りだ。消えろ」

男の言葉に威圧され、部屋にいた喪服の連中はそそくさと出て行った。もう会うことはないだろう。

普段は穏やかな物腰の男なのだが、こういうねじ曲がった根性が許せないのだ。
男の姓は高森。

「これからあなたは高森藍子よ」

藍子は新しい母にそう言われた。


僕が小学5年の時に唐突に、それはあまりにも突然に、妹ができた。

「あなたは今日からお兄ちゃんよ。藍子と仲良くして守ってあげてね」

母さんからはそう言われた。
僕は実のところとても驚いたけれど、当時兄妹が欲しかったのは事実だ。
一緒に遊べるし、寂しい思いをしなくて済む。

それで難なく、藍子を妹として受け入れたんだ。

妹は母さんの後ろからひょっこりと顔を出して僕を見つめる。第一印象は可愛らしい子。
僕は怯えてる藍子にできる限り優しく声をかけた。

「よろしくね、藍子ちゃん!」

藍子は、うぅ……と小さく唸って、また母さんの後ろに隠れてしまったかと思うと、もう一度顔を覗かせる。

そんなやり取りが何回か続いてようやく藍子は僕と口を聞いてくれた。

「よろしくおねがします」

なんて他人行儀な子なんだろうなと思った。

それから母さんも働き始めて、両親の帰りは少しだけ遅くなった。
僕と藍子は母さんが帰ってくる夕方までお留守番をすることが多くなった。

僕は藍子の面倒を見なきゃいけないから友達と遊ぶことは少なくなっていって、藍子もまた友達と遊ぶなんてことはあまりしなかった。

学校では藍子は最初は沈んでいて暗い子だったのだけど、次第に慣れていって、クラスの子たちとも馴染んでいる様子にホッとしたこともあった。

そして藍子は可愛いから結構モテる。

小学生の頃から告白なんかもたくさん受けたみたいだけど、返す言葉は決まって『ごめんなさい』だったらしい。

そのせいで、そんなませてる男の子に兄である僕がちょっかい出されるなんてこともあった。
僕は特に気にせず流していたけど、いつしかそういうのもパタリと止んだっけ。



「義兄さん。 帰ろう?」

「藍子、今日も待ってたの?」

「……うん」

「僕は低学年の藍子より授業が多いから待ってなくてもいいんだよ?」

「……ううん、待つ」

こんなことがあったりして、僕は弱った。

「でもなぁ……」

藍子が手持無沙汰でただ待ってるっていうのは何か嫌だ。藍子がかわいそうだ。

「待つ」

いっつも僕の意見に合わせる藍子なのに、たまにこういう頑固な一面も見せてくる。僕はそれが少し苦手だった。



別の日もそうだった。

「高森くんの妹さん来てるよ」

僕のクラスの女の子が教えてくれる。

「どうしたの藍子?」

こうして昼休みのような長い休憩時間の時も遊びに来る。

「義兄さんに会いに来たの」

「そう。お友達と遊ばなくていいの?」

「義兄さんと遊ぶ」

「うーん……」

「ダメ?」

「そうじゃないんだけど……」

「義兄さんがいい」

「そっか、じゃあまたお散歩でもしようか?」

「する!」

そう言って、手を繋いで外に出ることが多かった。

午後の授業の時も教室の前で待ってるから僕は胃を痛めながらよく授業を受けていたものだった。

「藍子、もう帰っていいんだよ? 寒いでしょう?」

「ううん、義兄さんと帰る」

「はぁ……わかったよ」

僕はそんな藍子によく自分の上着を脱いで貸してあげたっけ。

「風邪ひかないように気を付けてね」

「うん!」

チャイムが鳴ったので教室に戻ると、藍子はやっぱり寂しそうな顔をして僕の心をギュッと締め付けるのだ。

「高森さん」

「はい」

「あなたの妹さんが廊下にいましたけど」

「説得しても兄さんと帰るって言っててこでも動いてくれません」

「時には叱ることも大事ですよ?」

「藍子のこれまでを考えると強く言えません」

これは午後の授業中のやり取りだった。
即答する僕に先生はため息をついた。一応事情は知っているのだ。

「しかたないですね」

先生はそう言うと、僕の隣に一つ椅子を用意して教室を出て行った。
すぐに戻ってくるのだが、藍子の手を引いて戻ってきたときは唖然とした。

さっき用意した椅子に藍子を座らせたのだ。

「授業の邪魔はしないようにお兄さんが面倒見てあげてください。できなければ妹さんに帰ってもらいます」

「あ、はい。わかりました」

僕はあいかわらずポカンとしたままそう言った。

藍子はさっきとはうって変わって、花の咲くような笑顔を見せてくれた。

「藍子、授業の邪魔しないように静かに、良い子にしてるんだよ?」

「うん」

こくりと頷くと僕の言ったことを守って大人しくしてくれていた。

きゅっと僕の袖を掴んでたのがちょっと鬱陶しいと思ったけれど、まだまだ甘えたい年頃なのだろう。僕は兄なのだから妹の面倒はしっかり見ないと。

「帰ろっか」

「うん」

授業が終われば帰るだけ。友人に遊びに誘われることも無くなったけど、僕は藍子のお世話をするという大義名分を得ていたので、特に気にすることも無く、それを誇らしく思っていた。

「義兄さん、頭いいね」

「だって僕は六年生だから」

「私も義兄さんみたいになりたい」

「そう? 僕はね、藍子は藍子でいいと思う」

「……?」

「藍子は僕には無いものを持ってて、僕も藍子には無いものを持ってるでしょ?」

「……?」

「まだ分かんないか」

僕はきょとんとする藍子を見て頬が緩んだ。

「義兄さんが笑うと私も嬉しい」

藍子も同じように頬が緩んだ。

「義兄さん、好き!」

ぱぁっと笑顔を輝かせる。無邪気な言葉と無邪気な振る舞いが愛らしい。

「ありがとう。僕も藍子のこと好きだよ」

僕たちは家まで手を繋いで歩いた。

この頃は一緒にお風呂にも入っていたし、手を繋いで登校していたんだけど、いつしかそういうのも無くなった。

きっかけは何だったかな。思い出せない。
いや、きっかけなんて無かったんだ。ただ自然に無くなっていった。

気が付けば藍子とは部屋も別々になっていたし、手を繋いで登校なんかも無くなった。
僕はちょっと寂しくなったかな。

けど藍子は成長したからなのか、また一段と綺麗になった。

「義兄さん」

中学生になった藍子は僕の部屋にノックしてから入る。

「どうしたの?」

「ちょっと相談したいことがあって……」

「いいよ楽に座って」

「ありがとう。失礼します」

丁寧に言葉を紡いで藍子は僕のベッドに腰掛ける。僕は椅子をくるりと半回転させて藍子に向き直った。

「相談って?」

藍子はきょろきょろと部屋を見回したりしていてそわそわと落ち着かない様子だった。

「……恋愛相談なんだけど」

「恋愛……?」

もじもじとしていたのはそれが原因だったわけか。

しかし、ハッキリ言って僕は困惑した。
藍子からそんな浮ついた話が出てくるとは思ってなかったというのもあるし、僕にそんなことを相談するのも想像してなかった。

「ごめん、僕にも経験無くて力になれそうにないや」

僕は藍子の役に立てなくて少しだけ心苦しい。

「ちょっとだけ話を聞かせてくれるだけでいいの」

視線を泳がせて藍子は言った。

「話って?」

困ったような表情の藍子に問う。

「義兄さんのタイプの女性のこととか……」

だんだんと声が尻すぼみになっていく。
言い辛そうにしてるけど、藍子もそういう年頃なのだ。恋愛の一つや二つ、興味を持っても不思議ではない。
意中の男性がどんな人かはわからないが、僕の意見も聞いてみて参考にしたいのだろう。

「タイプ、ね……ごめん、それも考えたことないや」

しかし僕だってそういう浮足立つ話は一度も浮かんでこなかった身だ。答えられなかった。

「……そう。私も変なこと聞いてごめんなさい」

しゅんと落ち込んでしまった藍子を嫌に儚く感じてしまう。

「でもさ」

僕はたまらず声をかけた。

「僕は藍子が幸せならそれでいいんだ」

僕がそう言うと藍子はぱっと顔を上げ、じっと僕を見た。何か言いたげな目をしていたようだったけど、藍子は潤んだ瞳から放つ視線をそっと僕の眼から外して、背を向けた。

「ありがと。私も義兄さんの幸せを心から願ってるよ」

「そっか」

「相思相愛だね」

藍子が振り向く。その笑顔はやっぱりどこか儚げで、ぎゅぅっと胸が締め付けられる思いだった。

「そうかもね」

藍子が部屋から出て行った後しばらくして、顔が火照ってきた。
風邪かもしれない。早く寝た方がいいのかな。


「げほっ! げほっ!」

その次の日、本当に風邪を引くとは……。

「大丈夫、義兄さん?」

「うん、大丈夫……ずずっ!……」

「大丈夫じゃなさそう……」

心配する藍子。
僕も大丈夫じゃないと思う。すごく辛い。

急に吐き気が込み上げてきてベッドから転がり落ちるように降りて、トイレに向かった。

「義兄さん、どうしたの!?」

パタパタと追いかけてくる藍子に目もくれず便器の蓋を開けると、思い切り吐瀉物をぶちまけた。

「うぉぇぇえぇぇえぇぇぇぇ……」

「お、おか、お母さぁん!! お母さぁん!! 義兄さんが死んじゃうよぉ!! うわああああああん!!」

藍子の泣き声が家中に響く。頭痛い。

「どうしたの藍子? ……あら、大丈夫?」

「……うん、何とか」

しばらく吐いたら落ち着いてきたので自室に戻る。
母さんが学校に欠席することを連絡してくれたらしい。

僕は再びベッドに横になり、母さんは僕のベッドに腰掛ける。
そしてなぜか藍子も僕の部屋についてきていた。

「病院連れて行こうか?」

「一人で行けるよ」

母さんの提案を断った。

「私も行く」

「どうして藍子が行くんだよ」

「義兄さんが心配だから」

藍子はちょっと険しい顔してる。本気で言ってるんだ。

「ふふ、愛されてるのね」

「ち、違うよぉ!」

母さんは笑って、藍子は慌てて否定する。

「と、とにかく私が義兄さんの面倒見るから!」

「藍子は学校に行かなきゃ」

「休む!」

「だめだって……移るといけないしさ」

「でも義兄さんが……」

なんとか僕と母さんで説得しようとするも、やっぱり藍子は頑なだった。変なところで頑固なんだよな。

「うーん、じゃあお母さんは仕事もあるし、藍子にお兄ちゃんのことお願いしちゃおっかな」

「うん!」

「ちょっと母さん……」

「大丈夫! 任せて義兄さん!」

僕は不安でしょうがなかった。



結局、母さんは病院に行くお金を置いて行ってしまった。

「じゃあ病院行ってくる」

「私も行く」

「でもなぁ、藍子まで風邪引いちゃうぞ」

「義兄さんふらふらしてて危ないもん」

確かに少しだけ目まいを起こしてる気がするが問題無いだろう。10分少々なら言って帰ってこれる。

しかしいくら言っても聞かない藍子だった。

僕が倒れないように支えながら、病院へ。
診察してもらい、処方箋を受け取って家に帰る。

僕はベッドに倒れ込んだ。意外としんどい。

「義兄さん、義兄さん、大丈夫?」

「あ、うん……」

「水持ってくるね」

僕は薬を飲んで眠った。

次に目を覚ますと僕は藍子の手を握っていた。
時間もけっこう経っていて、少し薄暗くなっていた。

「おはよう、義兄さん」

「おはよう。ずっといてくれたの?」

「うん。義兄さんが『藍子、藍子』って何度も呼ぶから手も握ってあげたの」

なんだそれ恥ずかしい。

「義兄さんってば甘えん坊だったんだね」

にこりと微笑む藍子の顔が夕日に薄く照らされている。

「そっか、一緒にいてくれてありがとう」

「ううん、いいの。私にできることってこれくらいだったし」

すぅっと藍子の顔に影が差した。どうやら日が落ちたらしい。あたりは一層薄暗くなっていたが、僕の調子は回復に向かっていた。

「もうしばらくこのままでいい?」

藍子の手の温もりが心地いい。安心する。

「うん」

きゅっと藍子の手に力が込められた気がした。



僕は高校を卒業した後、大学へは行かず就職することにした。
家の経済状況が芳しくないのが理由で、このままでは藍子を大学に行かせてやれないからだ。

受験というのはかくもお金がかかるものだ。

そんな経済状況を加味してか、藍子もまた俺の通っていた国立の高校に通うことになった。

「私のせいで義兄さんが大学に行けなくてごめんね」

なんて藍子は言うけど、僕は一度だって気にしちゃいない。
押しつけがましいかもしれないけどやっぱり藍子には幸せになってほしい。

幼い頃に本当の両親を失ったのだ。これからの人生は藍子にとって楽しいものにしてほしい。

この頃からだろうか。僕の行動理念は藍子を中心としたものに変わっていった。

好きなのかと言われれば好きなのだろうが、どういう好きなのか自分でも分からない。

僕は仕事に明け暮れた。
気分を紛らわすためでもあったのかもしれない。

「ただいま」

帰るのはいつも21時くらいだ。

「おかえりなさい」

そしていつも藍子が出迎えてくれる。
パタパタと可愛らしい足音を立てて僕の鞄を受け取る。

「ありがとう」

「ご飯用意するね」

「まだ食べてなかったのか?」

「義兄さん一人だと寂しいじゃない」

「いいって……遅くに食べると身体によくないぞ」

それでも聞かない藍子は椅子を引いて俺に座るように促す。

夜ご飯を用意して二人で食事を摂る。

「ねえ義兄さん」

食事の合間にそれとなく僕を呼ぶ藍子。

「なに?」

「義兄さんってどんなお仕事してるの?」

「アイドルのプロデューサー」

「え?」

「だから、アイドルのプロデューサーだよ」

藍子はぽかんとした表情で僕を真っ直ぐ見ている。

「どうしたの?」

僕が声をかけるとハッとした藍子は、ずいっと前のめりになった。

「それって、可愛い子がいっぱいいるってこと?」

「え? うん、まあ、そうだね」

「ねえ義兄さん、私がアイドルやりたいって言ったらどう思う?」

「えぇ!? いや、止めはしないけど大変だよ?」

「やりたい! 義兄さんのプロデュースで!」

藍子はアイドルを始めた。



「おはようございます、義兄さん」

「ああ、おはよう」

「でも、おはようだなんておかしいよね。今は夕方なのに」

藍子がアイドルを始めて数週間が経った。

他愛もないことでくすくすと笑う藍子は僕の疲れを癒してくれるようだ。

「そうだね」

「じゃあレッスン行ってきまーす」

「行ってらっしゃい。一人で大丈夫?」

「もう子供じゃないんだから大丈夫だよぅ」

藍子はにひひと笑って、事務所から出た。
出会った頃に比べると、藍子の表情は随分と多彩になった気がする。

僕は藍子が成長する過程を間近で見ていた人間でもあるので、こんなに明るくなってくれてとても嬉しい。

……同時に寂しい。

藍子が僕に向ける好意が苦しい。

他の男と話してる姿を見ると腹立たしい。

彼女にその気がないと分かっていても、僕は……。

違う。藍子は妹なんだ。

ただの重度のシスコンなんだ僕は。

妹が他の人と話をして嫉妬する情けないシスコン兄貴なだけだ。

そんなの気持ち悪いだろう。

いったん離れて、再び縮まってきた僕と彼女の距離感をもう一度離さないといけない。担当を変えてもらおう。

藍子の為にも……。

そんなことを考えてるうちに時間は大きく過ぎていった。仕事が手につかない。

「ただいま戻りましたぁ」

藍子も戻ってきた。

「義兄さん?」

僕を見てきょとんとする藍子。少し様子がおかしいのがわかってしまったのだろうか。

「ああ、おかえり。ごめん、今日はまだ終わってないんだ。先に帰ってくれていいよ」

「ううん、待つ」

「いや、これ以上暗くなると危ないからさ」

「義兄さんがいるじゃない」

「それでも……」

藍子の表情がじわじわと沈んでいく。

「義兄さん……」

声が少し震えている。僕は藍子を悲しませているのか。何をやってる。そうじゃないだろ。

「いや、違う。うん、待っててくれ。すぐに終わらせるよ」

「……うん、待つ」

僕は慌てて前言を撤回した。しかし藍子は不安げなままで、正直目を合わせられなかった。

仕事を何とか終わらせて、家に帰る。

「藍子、後でちょっと話があるんだ」

「……話?」

「そう、後ででいいから僕の部屋に来てくれ」

「うん、わかった」

藍子は顔を曇らせたまま、僕を待たずに自室へ戻った。

この日は別々に食事をした。

僕は明日の仕事の準備を済ませて、藍子を待った。

24時に迫る頃、ドアをノックする音が二回響く。

「どうぞ」

かちゃ、と控えめに戸を開けるのは予想通り藍子だった。
すでにパジャマ姿で、彼女も寝る準備は済ませてきたといった格好だった。

「義兄さん、話って?」

すぐに切り出したのは藍子だ。

僕は心の準備をする時間さえ与えられない。

「……突然で悪いんだけどさ、藍子の担当を変えてもらおうかと思って」

「……どうして?」

「その方が藍子の為なんだ。他の人の方が藍子の魅力を引き出してやれる」

彼女の目を見れなかった。僕は嘘をついている。
藍子の魅力を引き出せるのは僕だ。いや、僕以外であってはならない。

「……なんで嘘つくの?」

僕はハッと顔を見上げた。

藍子が今にも泣き出しそうで、顔を上げたのを後悔した。

「どうして、そんな嘘つくの?」

「……嘘だなんて」

「私、何か……」

藍子はそこで言葉を飲んだ。代わりにただ一滴だけ涙を流した。
頑張って作る笑顔が切なく苦しい。

藍子の表情は随分と多彩になった気がする。

黙ったまま藍子は僕の近くに歩み寄る。

「……私は離れたくない」

藍子は僕の手を握った。

「義兄さんのことが……」

藍子がそこで言葉を切ったのではない。
気が付けば僕が藍子の口を塞いでいた。

「……ん」

「……」

ゆっくりと塞いでいた口を放した。

「……僕が兄としてダメなやつだから」

「いいの……私、義兄さんならいいの。好きだよ。愛してるよ」

藍子がキスをせがむ。
僕は迷わずそれに応えた。

しばらくの間、僕は動かなかった。藍子も同じく動かなかった。

柔らかい藍子の唇。瞳を開ければ、長い睫毛がはっきり見える。口から彼女の温もりを感じ、抱き合えばさらに温かい。

いったん離れて、もう一度触れ合う。

舌を絡ませて、唾液を交換し合う。どんどん激しくなっていき、ついに僕は藍子をベッドに押し倒した。

「ごめん。もう、我慢できない……」

紅潮しきった藍子は首を縦に振って僕の背に腕を回した。

貪るようにキスをする。僕は音を立てても気にせず続けた。
藍子の口から自分の口を放して、頬、耳、首と愛撫を重ねる。

藍子は身体をビクビクと震わせて、喘ぎ声を小さく漏らす。

僕はパジャマ越しから彼女の慎ましい胸を揉んだ後、パジャマのボタンを外した。

可愛らしいブラを外し、豆のような可愛い乳首を人差し指で擦る。

一段と大きい声をあげるも、必死で声を抑える藍子。

彼女の表情が僕の情欲をさらにかきたてる。

「ふぁ……あっ……あ♡ あっ♡ んっ♡ んぁ……♡」

左手は下に伸び、藍子の腹部を撫で、布越しに陰部に触れる。
藍子の身体が一瞬硬直したのがわかった。

お返しとばかりに、僕のがちがちに硬くなった陰茎を藍子が撫でる。



「はぁ……はぁ……義兄さんの、硬い」

「はぁ……はぁ……藍子も、下が、びしょびしょだよ?」

「言わ……ないでぇ……」

「ふぅ……はぁ……脱がすね」


とろりとした瞳に恍惚の表情の藍子はこくりと頷いた。

下のパジャマと下着を同時に脱がして愛液に煌めく藍子の陰部が露出した。

僕も自分の服を脱いで、彼女と同じように身体全体をさらけ出す。
理性のタガが外れた僕は自分の欲望には抗えない。


「藍子、舐めて?」

「……うん」

藍子に自分のを舐めさせる。
特に嫌がる様子も無い。

おそるおそる僕のペニスを舌で舐める。
ちろちろと竿の下部から裏筋を亀頭と舐め上げる。

「うぁぁ……」

かなりの興奮もあって、お腹が痺れるほどの快感を覚える。


「義兄さん、どう?」

「うん、すごく……いいよ。気持ちいい……」

藍子は何回かちろちろと舌で舐め上げると、はむっと僕のを咥えた。

僕は気持ち良さのあまり、激しく息を切らして藍子の髪を撫でる。
不意に彼女の頭を掴み自分から腰を振る。


「んむっ……!! んぶ……!! んぅっ……!!」


僕は藍子の苦しそうな声を聞いて慌てて手を離す。


「げほっ!! えほっ!! ごほっ……!!」


思い切りむせる藍子を見て僕はドキリとした。

「ご、ごめん……」

僕は藍子の背中をさすって落ち着くのを待った。


「も、もう……義兄さんったら、えほっ! ……はげしいよぉ♡」

「ごめん、ね……藍子」

「……いいよ。許してあげる。だからちょうだい? 義兄さんの」

さきほどよりも一層恍惚とした眼差しで僕を見る。
そんな目で見ないでくれ。

僕はまた藍子を押し倒した。

「入れるよ?」

「……うん」

お互いの左手を貝殻繋ぎにする。
僕は右手で自分の陰茎を彼女の膣口にあてがった。

処女膜に亀頭が当たる。

「行くよ? 後悔しない?」

「何言ってるの? 義兄さんこそ後悔しないでね?」

藍子の誘うような、挑発するような目が僕の冷静さをすぐに奪う。
ぐっと力を込めた。

「っ……!! ぃ……ぃぁ……」

男根は根元まで深く刺さり、同時に藍子はぎゅぅっと僕の身体を強く抱きしめた。

「ふぅー……ふぅー……」

少し歯を食いしばり、その隙間から荒い息が吐き出される。
薄く開いたまぶたには涙を溜め、眉間にはしわを寄せていた。

僕は藍子をぎゅうっと抱きしめ返しながら腰を動かした。
陰茎を出し入れするたびに、藍子の、痛みをこらえるような声と強くなる抱擁に、より興奮し僕の動きも徐々に速くなっていく。

少しづつ、少しづつ慣れていったのか、藍子の喉からは耽美な喘ぎ声が聞こえ始めた。

「気持ちよくなってきた?」

僕が尋ねてもかすれたような声しか聞こえてこないが、耳から首まで真っ赤に染まった顔をこくこくと頷かせた。

そのしぐさを見て僕はまた愛情を昂らせていく。

「藍子……」

藍子に顔を近づける。
呼応するように藍子は僕にキスをした。

激しく揺れるお互いの身体。かちかちと歯が当たってもお構い無しだった。

射精感が高まる。
お互いの口を離すと、再び強く抱き付く藍子。

僕もより速くピストン運動を繰り返し、耳元で聞こえる藍子の抑えた喘ぎ声に絶頂を迎えそうになる。

「藍子っ! もう行くっ! 外に出すよっ!!」

「義兄さんっ……♡!! 義兄さんっ♡♡!!」

僕は藍子から陰茎を抜こうとした。
しかし、藍子は足まで使って僕に抱き付き、完全に密着した状態で僕を逃がさない。

そのまま膣内で射精する。

どくんどくんと肉棒は脈打ち、藍子の中に精液が溢れる。
どろどろとしたような、ぬめぬめとしたような感触が陰部を通して伝わってくる。

「はっ……はぁっ……あ、あいこ……?」

「……はぁ……はぁ。……大丈夫、今日は……安全な、日だから……」

全部出しきってしまった。
ビクビクとさっきよりも大きく痙攣する藍子。

僕は藍子が落ち着くのを待って、ずるりと膣からものを抜き出した。

「んぁっ……♡」

どろっと白い液体が彼女の股から滴り落ちる。

「お風呂……入ろっか」

「……うん♡」



僕と藍子は兄妹だ。
でも僕は藍子が好きだ。女性として……。
そして藍子も僕が好きだ。男性として……。

これからどうなるかわからない。世間の目だって厳しくなるし、アイドル活動をしながらじゃ一層リスクを背負わなければならない。

でも僕は藍子を一生愛し続けると思う。
胸にもやもやを抱えたままだけど、好きな気持ちは変わらない。

僕の苦悩を藍子は知るよしも無いだろう。
藍子の苦悩もまた同じだ。
だが、僕らは運命共同体として生きる契約をしたに違いない。文字通り運命を共にする覚悟を決めて……。

僕と藍子は部屋を出た。

「あんたたち、ヤったのね」

「わあああああ!」

「きゃああああ!」

暗い廊下に佇み、薄ら笑いを浮かべている母さんに腰が抜けそうになる。

「しっ! 今何時だと思ってんの?」

「……か、母さん」

「……起きてたの?」

「そりゃ、声でかいもの」

僕と藍子は真っ赤になった。

「パパも起きちゃったけど別にあんたたちの仲をどうのってしないから安心しなさい」

「え、でも……」

僕は兄妹での性交渉が褒められたものではないのかと言い淀む。

「義兄妹同士は結婚できるからいいのよ」

僕と藍子はあっけらかんとした。

僕らの苦悩とは一体……。



おしまい

反省

文章の表現が全体的に堅いかもしれませんね
なので急遽ハートマーク入れたんですけど、OSによっては表示されないかも
あんまり要望に応えられずに申し訳ありません
視点変更は冗長になりそうなのと
二回目の濡れ場はなんか辛かったのでやめました
私の語彙力と文才が無いせいです……はい
でも続けようと思えば続けられそうではありますので
機会があれば続けてみようかなと思います


安価も取っておきますか

次の設定は↓1です

乙乙
プロデューサー:【やや偏屈なよく喋る魔女然とした婆さん。辣腕・敏腕・超のつくベテラン】
担当アイドル:【関裕美・白菊ほたる】
アイドルとの関係:
【初めは打っても響かない子達かと思っていたもののなかなかどうして根性ある。
プロデュース始めて2年、アイドルが板についてきた今でもごくたまに弱音吐くのは相変わらず。うーんなっとらん!
(だがそれも愛嬌、許す。口が裂けても言えないがかわいい孫みたいなもんだし)】
その他要望:
・年齢だけで言えば孫どころか玄孫くらいの年齢差。
・プロデュース方針の結果、老若男女問わず高い人気だが、女性および中年~年寄り世代に特に根強い人気のユニット。
・厳しさの中に見せる優しさがまるで隠れてないから案外簡単に良好な関係になった。
・Pのマジとも計算とも取れないボケにテンポよくツッコミ入れるor軽くいなす事を最近覚えた裕美・ほたる。二人曰く「訓練の賜物」
・三人でアルバムをめくりながら出会い、日常、沢山のお仕事を回想していく。

プロデューサー:
特徴【女34歳、長身、超乳(&噴乳)、超尻、超クリ、剛毛で長い陰毛、全身性感帯(&感度5000倍+一生涯、常時連続絶頂する体)、露出癖、失禁癖、自慰依存】
性格【アイドル達に輪姦されたい願望、雫に搾乳されたい願望などアイドルからされたいという危険思想がある】
担当アイドル:【拓海と雫(可能であれば美城常務付)】
アイドルとの関係:【上記の諸々が原因で裏方に回った元Sランクアイドル(一応優秀)】
その他の要望:【ハードなR-18を】

プロデューサー:【緒方智絵里(26歳)】
担当アイドル:【本田未央(15歳)】
アイドルとの関係:【智絵里は異世界に飛ばされ、そこで10年を経て心身ともに強くなっている(かなりPaな感じ)未央は智絵里に憧れていた】
その他の要望:【未央と異世界に飛ばされた智絵里は、未央を元の世界に戻すのと引き換えに十年を異世界で過ごす。帰ってきた智絵里は未央を輝かせようとPに。
レズセクロスありでオナシャッス】

>>135
お、これ面白そう

>>135
常務が祖母だと紹介しても違和感無さそう

>>135
把握です!
(エロ無しで助かりました)
……と思いきやなかなかの難題
でも新しいものをたくさん書けそうで刺激になります

相変わらず早すぎます!!
誰視点で書くか迷いますねぇ……

さておき進捗
設定>>86は執筆中です

それにしても皆さんエッチなの好きですね


あと、できれば感想というかアドバイスください
こうしたらもっと良かったとか……
ここが悪いとか……
(前より上手く文章が書けるように始めたスレなので)

>>145
さっきスレ見つけてとりあえず藍子の読んだけどよかったよ、面白かった
描写が丁寧で、藍子の隠れたパッションをちゃんと描いてるのがよかったと思う

こんばんは
本日20日の23:00前後に設定>>86のお話を投下予定です

音楽に動画を合わせる作業が楽しくて遅くなってしまいました
執筆の方はしばらくサボってました
すみません

申し訳ありません
本日の夜に出かける予定ができたので
投稿時間を明日21日の22:00前後に変更します

ごめんなさい
寝落ちしました
今日の10:00に投下します

『無題(未定)』

【机の下の乃々ちゃん】

机の下に潜む女の子がいました。

彼女の名前は森久保乃々ちゃん。

お仕事に行くのを嫌がってるみたいです。

「ののちゃん、見つけました」

にっこりと机の下の乃々ちゃんを覗き込むのは彼女の担当プロデューサーのPくんです。

「あの、お仕事、無理なんで……」

ののちゃんはPくんから目を背けて言いました。

「そっかぁ……」

少し悲しそうなPくんを見たくなかったのでしょう。

「わかった。ののちゃんが嫌ならやめておきましょう。代わりの子を探しますね」

でもPくんは怒ったりしませんでした。

Pくんはアイドル達が嫌がることをさせたくないという優しさから、甘やかすようになってしまいました。

だめだぞPくん! 優しいのと甘やかすのは違いますからね!

乃々ちゃんもわがままはよくないぞっ!

「や、やっぱり、待って……私、やりますから……」

乃々ちゃんは机から出て、Pくんに言いました。乃々ちゃん偉い!
……これが当然なんですけどね。

「よ、よかった! ののちゃん、ありがとうございます!」

これにはPくんも満面の笑みです。
悲しそうな笑顔から嬉しそうな笑顔に早変わりしました。

実はPくん、いっつも笑顔でいるのに感情が表情にすぐ表れるので同僚からは笑顔百面相なんて言われてます。
いつも笑顔なのに何だか可笑しい話ですね。

乃々ちゃんってばほっぺた赤くさせちゃって可愛らしいこと!
Pくんが笑顔で乃々ちゃんもなんだか嬉しそう。

おやおや、これはもしかして……。

「プロデューサーさんが悲しそうにすると……その、私も悲しいですから」

「ぼ、ぼく、悲しそうにしてました!?」

Pくんは照れくさそうに笑いました。

「それじゃあ、明後日は朝の10時に事務所に来てください。お願いしますね」

優しい口調で言って、Pくんはそそくさと部屋を出て行きました。

あら、乃々ちゃんってばPくんが部屋から出たら急ににやにやしちゃってどうしたのかしら?
なーんて、乃々ちゃんはPくんが大好きなんですものね!

Pくんが悲しいと乃々ちゃんも悲しいように、Pくんが嬉しいと乃々ちゃんも嬉しいみたい。

「今日、プロデューサーさんとの距離……近かったかも」

恋する乙女の森久保乃々ちゃん。
アイドル活動は不純な動機でやってるようです。

【満員です】

我が社のアイドル部門はあんまり予算をいただいていません。世知辛いですね。
なので時には電車で移動することも必要です。

「社用の車が全て使用中なので今日は電車で行くことになりました。ののちゃん、本当にごめんなさい」

「や、あの、いえ、森久保はプロデューサーさんと歩いてお出かけでも……いいですよ」

乃々ちゃん、お出かけじゃなくてお仕事ですよ!

「ののちゃん……」

Pくんも感心してないでもっと気を引き締めてください!
やれやれ、二人がとっても心配です。

今日のお仕事は朝早くから移動するので二人とも寝ぼけ眼で改札を通っていきました。
大丈夫でしょうか?

「はわわ……人、いっぱい……」

乃々ちゃんは人混みが大の苦手です。

Pくんは優しさという名の甘さゆえに乃々ちゃんを車で送り届けたかったみたいですね。残念。

「ののちゃん」

おや、Pくんってば乃々ちゃんに手を差し伸べて、公の場でまさかの大胆行動ですか!?

「はぐれちゃいけないから手を繋いでおきましょうか?」

「……」

乃々ちゃん速い! 速いよ乃々ちゃん! しかも無言!

Pくんも申し訳なさそう提案しましたけど、乃々ちゃんが手を繋いでくれてほっと一安心みたいです。

Pくんは嬉しそうなにこにこ笑顔。乃々ちゃんは顔を真っ赤にしちゃって、あらかわいい。

あ、すぐに電車が来ましたよ。
外から見てわかるくらい、人がぎゅうぎゅうです。

降りてくる人たちを待ちましょう。
さて、意を決して乗りこみました!

あれよあれよと流されて、中の方まで行っちゃった。ドアからちょっと遠くなっちゃいましたね。

「ののちゃん大丈夫?」

二人もぎゅうっと密着状態。
Pくんは近くのつり革を掴んだけど、乃々ちゃんの近くのつり革は他の乗客さんが掴んじゃったみたい。

「ののちゃん、危なくなったら僕に掴まってくださいね?」

「……」

乃々ちゃん速い! やっぱり速いよ乃々ちゃん! しかも無言!

Pくんにぎゅっとしがみ付く乃々ちゃん。
やっぱりPくんはにっこり。乃々ちゃんは真っ赤っか。そして他の乗客さんたちはそれを見てげんなり……。

二人とも! 公の場でそんなにイチャイチャしちゃだめだぞ!

【絶対に見つかります】

ここは事務所、アイドル部門のスペースみたいです。

いつも机の下に乃々ちゃんが……あれ? いません。おかしいですね。
今日はレッスンで事務所には来てるはずなのですけど……。
お手洗いに行ったのかな? 待ってみることにします。

……。

……あ! ガチャッとドアが開きました!

入ってきたのはPくん。
乃々ちゃんはまだみたいですね。

Pくんは元気におはようございまーすって挨拶します。
さてPくんは自分のデスクに向かって……行きません。

部屋の奥のロッカーへと向かいました。なるほど、荷物を入れるのかな。

あら不思議、Pくんが開けたロッカーからなんと乃々ちゃんが出てきました!

「おはようございます」

「あ、あの、その……おはようございます」

乃々ちゃんちょっとだけビクッとしました。かわいらしいですね。

それだけ言うとPくんロッカーを閉めてデスクに戻っちゃいました。

乃々ちゃんに気をつかってるのでしょうか。それでも乃々ちゃん、すぐに出てきてPくんのデスクの下に潜り込んじゃいました。

Pくん、わざわざ椅子を引いて、乃々ちゃんが机の下に入るのを見てにっこりのご様子。

「ののちゃん、そろそろレッスンの時間ですよ」

「……行ってきます」

今日は素直に言うこと聞いて……乃々ちゃんにしては珍しいですね!
Pくんの側にいたからモチベーションもアップしてたみたいです。

数時間、デスクでの作業が続きました。
おや、お疲れのPくんは席を立って部屋から出て行ってしまいました。

そろそろ乃々ちゃんが戻ってくる時間ですよ。

またドアが開きました。

ほら、乃々ちゃんが帰ってきたじゃないですか。

きょろきょろとPくんを探してるのでしょうか?

あ、そっちは衣装ダンスですね。
乃々ちゃん一体何をするの?

あらら、入っていっちゃいました。多分、隠れてるのでしょう。
Pくんはまだかなぁ。

次にがちゃりとドアが開くと、やっとPくん戻ってきました。
長い休憩でしたね。

デスクに戻ろうとするPくんは急に立ち止まりました。
どうやら衣装ダンスが気になるご様子。そこに乃々ちゃん隠れてますよ!
それにしてもよく乃々ちゃんがいるってことに気づきましたね。

おお、迷わずタンスへ一直線です!

「ののちゃんお帰り」

「あ……ただいま、です」

素っ気ない返事でした。

でも乃々ちゃん、嬉しさが表情から隠しきれないみたいです。
いっつもPくんに見つけてもらえて良かったね乃々ちゃん。

【空回りします】

乃々ちゃんは普段おどおどしていますが、時に大胆になることもあります。

「ただいま戻りました」

Pくんが帰ってきました。
珍しく乃々ちゃんがお出迎え。

「その、あの、おかえりなさい……」

「ののちゃん、わざわざお出迎えありがとうございます」

「ぷ、プロデューサーさん……お帰りの……」

と言って乃々ちゃん目を瞑って口を尖らせました。お帰りのちゅーがしたいのでしょうか? とっても大胆!

あれ、デスクの下には少女漫画が数冊ありますね。
もしかして乃々ちゃんは少女漫画に影響されてしまったのかな?

お帰りのちゅーって今どき流行らないものですからね。
やってるのはラブラブな夫婦だけですよ。

でも乃々ちゃんはそんなことに憧れを抱いちゃったのでしょう。
大好きなPくんとラブラブな夫婦の真似事をしたいのです。

「?」

Pくんは笑顔のままきょとんとしたご様子。

「!」

おや、何かに気づいたみたい! もしかしてPくんは乃々ちゃんの行動の意図を理解したのかな?

ポケットから棒付きの飴玉を取り出して袋をびりびり破きます。

乃々ちゃんの口に飴を当てました。

「僕がチュッパチャップス買ってきたのよく分かりましたね。乃々ちゃんすごい! ゆっこさんにも負けないエスパーですね!」

呆然と立ち尽くす乃々ちゃんと、にこにことデスクに戻っていくPくん。

「初めては、ストロベリーの味……」

頑張れ乃々ちゃん!


おしまい

反省
スケジュール崩壊しました。以後気を付けます。
語り口調を変えてみての挑戦。結構楽しいです。

言い訳
昨日は艦祭りに朝一で行った疲労で帰ってすぐに寝てしまったみたいです。
安価待機してくれてた人には本当に申し訳ないです。

次の安価は↓1です。

プロデューサー:優しげに見える腹黒22才
担当アイドル:桃華
アイドルとの関係:P:子供の頃桃華の家に潰された会社の社長息子、スカウト探し中に偶然桃華を見つけ一人娘を狙う復讐を思いつき何も知らない桃華をスカウト
        桃華:最初は他の人よりかは面白そうだけだったのがつらい時に励ましてもらったりお茶をしたり二人三脚でがんばっていき
           一緒に過ごしていく内に親愛MAX。(Pに大人っぽく振舞おうとする一方でPにだけ弱音を見せたり甘えたりなど)
           事情を全部暴露された後は好きという気持ちと罪悪感に挟まれPの好きなようにされる
<その他>
桃華と出会い信頼を得ていく過程から親愛がMAXになったところで弱みに付け込んで突き落とすR18の性行為有りの復讐もの。
Hはホテルにつれこんで良い雰囲気になったところで桃華に事情を全部暴露して絶望させ今までの甘い関係から一転したところで罰として責めるようにハードなHでいじめる

絵本みたいだな

>>167
了解しました
胸糞悪いの読むのは大好きですが初めて書きます!

>>170
絵本みたいにしようと思いました
もっと簡単な言葉や表現で書けばよかったです

ラブホテルに小学生連れこめるのか?

>>173
何とかするので大丈夫です!

お待たせしました。
本日、3日の正午(12:00頃)に設定>>135の内容で投下します。
>>135さんの納得いく内容には程遠いかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
安価も取ります。

『タイトル未定』


「いやぁ~、あなたたち本当に可愛いねぇ!」

「うちの息子のお嫁さんになってほしいわぁ!」

がやがやとおばさま方に囲まれて気圧されながらも一つも嫌な顔せずに笑顔と愛嬌を振りまく新人アイドルの『関裕美』と『白菊ほたる』。

彼女たちは今年でアイドル活動二年を迎える。
メディアへの露出は最近で世間では新人という扱いのなのも納得だ。

ただいまロケの真っ最中。

しばらくしてロケも終わり、送迎車へと戻ると、年老いた女性が後部座席にどっかと座っていた。

「なぁんだいあんたら! もっと面白いこと言えないのか!」

いきなり酷評をぶつけるこのおばあさんがなんと驚くことに彼女たちのプロデューサーである。

業界ではいろんな意味で有名で、とある界隈では生ける伝説と呼ばれてるらしい。

「でもおばあちゃん……」

「おばあちゃんではなぁい!!」

怒鳴った勢いで入れ歯が飛び出す。
そして入れ歯は不自然な挙動をした後、ほたるの左手に噛みついた。

「ふぇぇぇぇ……」

裕美はほたるに噛みついた入れ歯を取って、おしぼりを渡す。
汚いものを触るような持ち方で入れ歯をPに手渡した。

Pは慣れた手つきで入れ歯をはめる。持ち方については特に言及しない。

「いいかい。あんたたち、わたしゃねぇ……まだ婆なんて歳じゃあないんだよ」

だとしたらこの世からは老人がいなくなっちゃうなぁ、と裕美は思った。

「お姉さんとお呼び!!」

「さすがに無理ですっ!!」

裕美は反射的にそう叫んだ。

「当たり前じゃ! この歳でお姉さんなんか無理があるわい! バカにしとんのか!!」

「ふぇぇぇぇ……」

そしてなぜかほたるに矛先が向く。

「おばあちゃんが自分で言ったんじゃないですか……」

「はて、そうだったかの?」

「そうやってボケたフリするのやめてください。本当にわからないので」

「それはわかってるって言うんだよぉ」

どうやらボケてはないらしい。
この歳になると分かりづらくなるはずだが、このプロデューサーはあり余るほど元気なのでボケることはあり得ない。
と裕美は思っている。

「よぉし、さっさと事務所に戻るよ」

「あの、今日は何かありましたか……?」

先ほどからの仕打ちから早くも気を取り直したほたるは、どことなく急いでる様子のおばあちゃんPに尋ねた。

「ちょいと事務所の整理をね……」

年末だからねぇ……と付け足しチラチラと裕美とほたるを含みのある目で見る。

「それは大変ですね……」

心配そうなほたる。

「私たちは戻ったらレッスンに行きましょう」

真面目な顔の裕美。

「かぁっ~! 今から大掃除! 大変だよぉ! こんな老体には応える!!」

と、両の掌で顔を覆うプロデューサー。
指の間からじっと眼だけを覗かせていた。

笑っていない目で二人を見るプロデューサーは今にも化けて出てきそうな威圧感を放っている。

外見が歳相応なものだから、軽くホラーチックな婆に見えた。
ほたるはちょっぴり泣き出しそうになった。

「わ、わかりました。手伝います」

裕美も引きつった笑みを浮かべながらしぶしぶと了承した。
こんな画が続くのは勘弁してほしいらしい。

「いやぁ、本当かい? すまないねぇ、ありがとうよ」

わざとらしい態度に裕美は『このバ……』と思いかけて、思いとどまった。

「ほたるも手伝ってくれるかねぇ?」

目が笑っていない。
ほたるは目に涙を浮かべて頷いた。


そして事務所。

「きったないですね」

裕美が言ったのも無理はない。

なぜ捨てないのかわからない食事の容器と、書類の束が床にごちゃり。
デスクの上は散らかし放題で、書類を入れるケースもその使用方法がまるで正しくない。

「もうよぼよぼじゃからのぅ……」

「か、関係ないと思います……」

「よ ぼ よ ぼ じゃからのう!!」

「ひぇっ!!」

ぐりんと首をこちらに向けるプロデューサーの目は相変わらず笑ってない。
ほたるはしゃがみ込んで頭を抱えた。

「怖いのでやめてください」

裕美は呆れた様子で、あるいは面倒くさそうに言った。

ほたるをいじめたときに返ってくる反応が可愛いとは口が裂けても言えないプロデューサーだった。

「それじゃあ片付けるとするかのぅ……」

九十代とは思えない謎の軽やかさで片付け始めるプロデューサーを見て、帰ろうか迷う二人だったが手伝うことにした。

しばらく掃除をしていると……。

「あれ? これ……」

裕美は一つの書類を手に取った。
バインダーみたいな見た目をしてるそれはずしりとした重量感がある。

「裕美ちゃん、それ、何ですか……?」

ほたるもひょこりと顔を覗かせる。

裕美がその書類を開けば中からは裕美とほたるが二年前にここへ来た時の写真が載っていた。

「あ、写真……」

「懐かしいですね」


☆☆☆


【二年前】

裕美とほたるは不安だった。
いや、二人だけではない。
ここにいる約20名が同じような気持ちを抱いていたに違いない。

「わたしが今日からお前さんたちのプロデューサーじゃ」

見た目はよぼよぼで今にも死にそうなおばあちゃんがそう言ったからだ。

ある者は、何かのドッキリでしょう? 嫌だなぁ、いきなりこんなドッキリにかけられるなんて才能ある人気者は辛いわぁ……。

とか思ってたに違いない。

「お前さんたちに必要なものは愛想と愛嬌! そして気合と根性じゃあ!! あと愛想と気合じゃあ!!」

この場にいるアイドル候補生たちは愛想と気合が大事ということだけ理解した。

口ぶりからするにマジモンのプロデューサーらしい。

長々と内容の薄い話を4回くらい聞かされたときはさすがに発狂しそうだったがみんなは何とか堪えた。

……と思いきや、次の日には半分減って10人になってた。

「今日からレッスンするぞい」

挨拶して早々、PPPランドの大王かな? と疑いたくなる発言を華麗にスルーしてレッスンが始まった。

ところがこれがまた厳しい。

「なんじゃぼけぇ! なっとらんわ! もうばててしもうとんのかい!」

立て! 立つんだ! と悲鳴を上げている身体に熱血指導をぶちかます。
歌いも踊れもしない婆だったが、その指導力は本物だった。

トレーナーさんもプロデューサーを信頼してる様子だったのでなおさら口答えできないアイドル候補生たち。

そんな厳しい毎日を送り、二週間経った頃、ついに候補生は裕美とほたるの二人になった。


☆☆☆


「あの頃は辛かったですね」

「今も辛いですけど」

二人口をそろえてそんなことをぼやく。

「何さぼってんじゃごら」

突然後ろから死にそうな声がしたのでびくりと肩が震える二人。

「……おや、それは今担当してるアイドルのアルバムだねぇ。そんなところにあったのかい」

懐かしむような顔を見せるわけでもなく、プロデューサーも、どれ……と覗き込む。

いつの間にかアルバムの鑑賞会が始まった。
掃除中によくある光景だ。

「あ、これは初仕事の時ですね」

「アイドルらしいお仕事はこれが初めてだった気がします……」

「ああ、あんたらがひよっこだった時のねぇ……」


☆☆☆


「今日はミニライブをやるぞい!」

この頃になって分かったのだが、別に大王とは関係なく、ただの口癖らしい。

「ミニライブ……」

「わ、私にできるのでしょうか……」

期待に胸膨らませる二人はおらず、初仕事、初ステージに不安しか抱かなかった。
いつもプロデューサーに叱られるばかりで、褒められたことが無いのだから不安であって当然ともいえるだろう。

「あんたたちなら上手くやれるはずさ」

しかし初めてもらったこの前向きな言葉で二人の不安も大きく和らいだ。

「おばあちゃん……」

「おばあちゃんではない!!」

勢いで入れ歯が飛ぶ。不思議な挙動を見せてそれはほたるのお尻に噛みついた。

「ひぇぇぇぇ……!」

裕美はげんなりとした様子でそのいつもの光景を見る。
なぜかほたるに飛んでいく入れ歯。
どんな仕掛けが施されているのか考えるのも馬鹿馬鹿しく思えてきた今日この頃。

裕美は汚いものを触るように入れ歯をつまむとプロデューサーに投げてよこした。

「入れ歯は大切に扱いな!」

「だったら入れ歯を飛ばさないでください……ほたるさんも大丈夫?」

「は、はいぃ……ありがとうございます裕美ちゃん。私が不幸なばかりに……」

ちなみに裕美は最近になってほたる不幸説を推している。

「ふん、とにかくさっさと行っといで! 辛気臭い面ぁしてるんじゃないよ!」

「いちいち怒鳴らないでください……ほたるさんがびっくりするじゃないですか」

気が付けば二人の緊張は解けていた。
ステージに出るのに不安は無くって、裕美はほたると一緒なら、ほたるは裕美と一緒なら何でも出来そうな気分だった。

「初めまして! 関裕美と申しますっ!」

「し、白菊ほたるですっ!」

「皆さんに聞いていただくのは私たちのデビュー曲です!」

「わ、私は不幸ですけど、歌を聞いてCDを手に取ってもらえたら幸せです……」

一月ほどで鍛えた歌とダンスは自分たちが想像していた以上にお客さんの心を掴み、小さなステージに大きな歓声が沸いた。

「「ありがとうございました!!」」

裕美もほたるも調子を上げていき、他二曲もばっちり決める。

「つい先日のことなんですけど……駅の改札を通ろうとしたら、向こうからサラリーマンの人が走ってきて、先にスイカでピッてされちゃいました……」

「ほたるさん、いつも自動ドアが目の前で閉まってしまいますよね」

ほたるの不幸話を皮切りに、トークも弾む。

最後に売り込みとCDの宣伝をして、CD購入者との握手会兼サイン会をこなし終演。

「裕美ちゃん、ほたるちゃん、お疲れ様です!」

ほたるの不幸はどこへ行ったのか、気のいいスタッフにも恵まれ満足のいく初ステージとなった。

一人を除いて……。

「ごらぁ! なんじゃあのへっぽこパフォーマンスは!」

裕美は歳の割によくこんな口が回るなぁと感心した。
ほたるは自分の幸せにちょっと怯えてた。

関係ないことを考えてる二人を見てプロデューサーも叱る気が失せたのか、悪態をつくだけで控室を後にした。

「楽しかったですね」

「……うん」

二人の笑顔がとても魅力的に映った。


☆☆☆


「そんなこともありましたね」

「……おばあちゃん、昔と比べて今はどうですか?」

ほたるが恐る恐る尋ねた。

「昔よりはマシだよ。昔よりはね!」

嫌味な言い方はもう慣れた。
二人が本当に成長したのはメンタル面なのかもしれない。

続けてアルバムをめくる。

「こっちはモデル撮影ですか?」

「あ、ゴシック系のマニアックなやつですね」

「ほたるさんはとってもお似合いで羨ましかったですわ」

「裕美ちゃんこそフリフリの可愛い衣装が似合っててとっても可愛かったです」

「まあまあじゃの。あの程度を着こなせんようじゃ芸能人としてやっていけぬわ」

このおばあちゃんPの敷居は高い。


☆☆☆


カシャ、カシャと無機質な音が光とともに発せられる。

裕美はフリフリな衣装に身を包んで豪華風な椅子にお上品に座っていた。
その隣でほたるがこれまたフリフリなゴシック衣装に身を包み、床にぺたりと座っていた。

ほたるは同じ事務所にいる熊本出身の子が着てる服を思い出していた。
ちょうどあんな感じ……。

「ほたるちゃん、表情硬いね! もっと柔らかく! なりきって!」

なりきってとかいう無茶なふりをいただいたほたるは大いに慌てた。
なりきるとは何にだろう?

「ナーハッハッハッハッ……!!」

咄嗟に出たのが熊本出身のアイドルの真似だった。

裕美でさえポカンとする中……。

「いいねぇ!」

カメラはシャッターを切る回数を上げる。

撮影は無事終わると、いつものようにずかずかとプロデューサーが説教する気満々で近づいてきた。

もう慣れたものだったが、裕美とほたるはプロデューサーのアドバイスをちゃんと実践するタイプの人柄であった。

その助言も的確なので、プロデューサーの文句は日に日に減っていってる。

「今日のほたるは良かったよ! 最初はダメダメだったけどねぇ……。そして裕美はなんだい! 普通過ぎてつまらんわい!」

斜め上の助言に裕美は驚いた。今日の撮影、初めてだったけど無難で良かったと思ったがおばあちゃん的にはダメらしい。

「もっと印象に残らんと!」

「わ、わかりました。次回は気を付けます……」

「裕美ちゃん可愛かったのに……」

「可愛いだけじゃあかん! このインパクティが大事なんやで!」

「何で関西弁?」

「確かにおばあちゃんの言う通りかもしれません」

「誰が……」

ほたるはその場から逃げ出した。

「おばあちゃんじゃ!!」

飛び出した入れ歯は全力で走るほたるに簡単に追いつき、お尻に噛みついた。

お尻を噛まれたほたるは盛大にすっころぶ。

「ふぇぇぇぇ……」

呆れる裕美と、ドン引きする周囲のスタッフ。
何を言ってるか分からないのにしゃべり続けるプロデューサーという画が酷かった。


☆☆☆


「そんなこともありましたね」

「私はいつも不幸な目に合ってる気がします……」

思い出に耽り、ふと外を見やる。
外は暁に染まり、時間も結構過ぎていた。

「さて、アルバムはその辺にしときな」

おばあちゃんPはひょいとアルバムを取り上げる。

「あ」

「さっさと掃除の続きしないと帰れないよ!」

「……他にも合宿とか、歌番組とかいろいろあったと思うんですけど」

「いいからやるよ!」

「「はーい」」

プロデューサーは後ろの方のページをめくる。

『根性があり、可愛いアイドル裕美とほたる』

こんなもの見せられないねぇ……。

プロデューサーの優しい笑顔を、裕美とほたるはまだ知らない。


おしまい

反省

これはもっと広げられそうな感じがしましたが
キャラの動かし方が難しかったので切り上げました。
普段は劇場とかで検索して口調を確認したりするんですけど
裕美とほたるはしませんでした。
コメディ系は書く側のセンスが出ますね……。
裕美とほたるが可愛く映れば良かったと思います。


例によって例のごとく、安価は↓1です。

プロデューサー:
特徴【女34歳、身長270cm、タイトミニ、ノーパンノーブラ、弩乳(&噴乳)、巨乳首(&長乳首)、巨乳輪、超尻、超クリ、剛毛で長い陰毛、全身性感帯(&感度5000倍+一生涯、常時連続絶頂する体)、露出癖、失禁癖、自慰依存】
性格【アイドル達に輪姦されたい願望、雫に搾乳されたい願望などの危険思想があり、業務時以外の私服はニプレスとまえばりのみという危険人物】
担当アイドル:【拓海と雫(可能であれば美城常務付)】
アイドルとの関係:【上記の諸々が原因で裏方に回った元Sランクアイドル(一応優秀)】
その他の要望:【ハードなR-18を】

はっや

>>198
把握しました。
プロデューサーのキャラが濃すぎますねw

設定>>167は執筆中です。次回の報告までお待ちください。

この調子ならこのスレであと20作くらい書けそうですね。
どれだけ時間かかるか分かりませんが1000を目標に、頑張ります!(卯並感)

お待たせしました。
設定>>167を本日、9日の22:00頃に投下します。
>>167さんには申し訳ないですが、エッチしません。

投下後に安価戦争あるので、準備してどうぞ。

『タイトル未定』

俺がプロデューサー業を始めて三年目。
18の頃にアイドルのマネージャーの職に就き、およそ一年というスピードでプロデューサーに昇進した。

マネージャー時代は激務に殺される思いをしながらも、それこそ必死で仕事をこなした。

築き上げたコネクションのおかげで、プロデューサーである俺の業務も安定し始めている。



今日の予定を確認する。
とある有名人からパーティーに招待されている。

最近はそういうことも珍しくない。
俺はきっちり正装し、黒塗りのタクシーに乗った。

ちなみに俺は今担当しているアイドルはおらず、短期でいろんな子の面倒を見て回ってる。
つまりは、浅く広くといったような仕事のしかただ。

会場に着けばやることはどうせ仕事のことだろう。
今は仕事を抜きにして楽しもう……なんて飽きるほど聞いてきた。底辺の人生を歩んできた俺にそんな余裕はない。

ここは蹴落とすか蹴落とされるかの二択。

そんなことを考えていたら会場の前まで来ていた。

タクシーの運転手は席を降り、後部座席のドアを開けてくれる。

「ありがとう」

「いえ、とんでもございません」

俺は運転手が見せてくれた笑顔で幾分穏やかな心持ちになった。
人の笑った顔が好きだ。
その表情の裏にどんな真意があれど、人の笑顔は俺を癒してくれる。俺も笑顔になれる。

「帰りもよろしく頼みます」

「はい。行ってらっしゃいませ」

大きなお屋敷の前には使用人がいて、彼は懇切丁寧にお屋敷の中へ案内してくれた。

「本日は心行くまでお楽しみください」

そんなテーマパークのキャストのような言葉と、深いお辞儀をいただき、俺は大きなドアをくぐって大広間に踏み入れた。

「さて……」

まずは主催者に挨拶。
次に招待された参加者をチェックする。
さすがに大物が揃っているな。

自分が場違いに感じるほどに豪華な顔触れだ。

「やあ、ごきげんよう」

「これは、ご無沙汰しています」

某テレビ局のプロデューサーだ。人も良く、俺も幾らかお世話になっている。
しばらく仕事の話をしていると次第に人が集まり、わらわらと俺の周囲を取り囲む。

「おや、いつの間にこんな大勢に……これも君の人徳のなせるものだねぇ」

「いえいえ、買いかぶりすぎですよ」

俺はこういった人の集団があんまり好きではない。
アイドルにたむろするファンを見てきたからだろうか。彼らの民度の低さと言ったら言葉にできたもんじゃない。
もちろん各個人によって差があるはずだし、良識のあるファンだっているはずなのだが、ところがどうだろう……。

「そんなに若くでプロデューサーなんて素敵ですわ」

「身長もお高いのですね」

綺麗なドレスに身を包んだだけの量産型。
いや、量産ではないな。家柄だけは良いのだ。性格も良いんだろうがタイプじゃない。
何より言葉や表情の裏に見え隠れする下心が苦手なんだ。

「いえ、私など大したことはないですから」

俺は決まってこのように返す。

するとそれを聞いた人間は次に謙虚だと言う。

「本当、謙虚なところも素晴らしい」

ほら。好感を得るなんてのは容易いことだ。

適当にそんなやつらの相手をする。
俺がしたいのは世間話ではない。仕事の話なんだ。お前らに構っていられるか。

と思っていても、実際にはそんな簡単に抜けられるものではない。

この集団から抜け出すためにざっと辺りを見回した。

そこで一人の男に目が留まる。
見間違えもしない。櫻井だ。今日はツイている。

櫻井財閥の代表取締役がそこにはいた。
俺の親父の会社を潰し、家族の人生を狂わせた原因。

殺意しか沸かなかった。

「失礼」

俺は一言言って輪の中心から抜けると、その男に向かった。

しかし待て、今の俺に何ができる。
俺は奴に絶望をプレゼントしてやりたい。

奴が最も苦しむこととは何だ?

俺の視線はすぐに奴の隣の少女に移った。

……あれだ。

一人娘の『櫻井桃華』。
これを利用しよう。これの心を壊して奴を絶望の淵に叩きこむ。

そう考えるや否や俺は櫻井桃華に近づいた。

「や、お嬢さん。今はお一人かな?」

彼女は訝しむような眼で俺を見る。

「うちの桃華に何かご用かな?」

櫻井が娘を庇うように俺の前に立った。

「いえ、大変に見目麗しい少女だったものでアイドルにスカウトしようと思った次第なのですが、どうやらご迷惑だったようですね」

とりあえず褒めちぎっておけ、そうすれば……。

「ほう。君はどうやら見る目があるようだね」

親バカはすぐに機嫌が良くなる。

「ほら桃華、挨拶なさい」

「ごきげんよう。櫻井桃華と申します」

「ごきげんよう。これはご丁寧にどうも、私はPと申します。……教育もさぞしっかりなさっているのですね。どうでしょうか、お二人が良ければ本当にアイドルをやってみては?」

まるでセールス。ここからは俺の粘りどころ。必ずこいつらを説得してやる。

「ふむ、アイドルなぞくだらないものにうつつを抜かしている場合ではないのだが……」

「いえ、くだらないものなどではございません。この業界をよく知ることで見聞を広めることができますし、新たな事業展開にも繋がるやもしれませんよ」

「……なるほど、君はこの桃華にそれほどご執心なようだ」

「彼女ほど輝かしい少女は見たことありません。一目見ただけで誰もが振り返るスーパースターのような才を感じます」

それを聞いて櫻井はニッと笑った。
俺のような世間では敏腕とされているプロデューサーが言うのだから誇らしくもなって当然だ。俺も内心でほくそ笑んだ。

「桃華の意見も聞いてみようか」

娘に一任したな。こいつは賛成的だ。
櫻井は、どうだろうかと娘の桃華に振り向く。

「アイドルとはテレビに出て歌ったり踊ったり喋ったりするあのアイドルですか?」

「そうです。テレビに出るだけではありませんが、いずれ皆が桃華さんに憧れることでしょうね」

「……」

うーんと考え込んでしまう櫻井桃華。彼女は意外と将来のビジョンを見据える子なのだろう。

「いいですわ。私、あなたの口車に乗せてもらいますの」

「そうか……桃華がこう言うのであれば私も君に桃華のことを任せよう。くれぐれも私に恥をかかせんようにな?」

馬鹿が、恥をかかせる以上のことを貴様にぶつけてやる。

「ええ、お任せください。後日必要な書類をお渡しします」

「私もテレビ出演……」

輝かしい未来を想像してるのか、ぽわっとした表情で櫻井桃華は呆けていた。


後日、すぐに櫻井桃華は黒塗りの高級車で美城プロダクションにやってきた。

「いらっしゃい桃華さん」

「ごきげんよう。今日からテレビ出演ですわよね?」

気が早すぎる。やはり俗世には無知なのだろうか。
あるいはまだ子供だからしかたないのだろうか。

「ごめんね桃華さん。案内がてら、そこらへんも含めてアイドル活動について説明するよ」

「……ええ、ではお願いしようかしら」

俺は彼女にまだ知名度が無いことを教え、レッスンや営業、地道な努力の末にテレビにも出演できるようになることを説明した。
納得いかないような顔をしていたが、ズルしてすぐテレビに出れる方法もあることを伝えたら彼女は、それは嫌だと言った。

ズルの方法は枕営業ではない。彼女の家柄と俺のコネクションで猛プッシュすることもできるという話だ。

「私は自分に自信がありますので正々堂々と皆さんの憧れるアイドルになって見せますわ」

とても良い心意気だ。これで櫻井の娘じゃなければ本当に俺は全力でサポートしていたのに……残念で仕方ない。

それから数日、桃華は毎日やってきて他のアイドルの曲でレッスンを重ねた。
愚痴も言わずにひたむきに取り組むその姿は俺の求めるアイドルの美しさに近かった。

表で輝くために裏で血のにじむような努力をする。
素晴らしいことに変わりはないが、俺は酷い嫌悪感を覚えていた。

あの櫻井の娘がこんなやつでたまるか。
我儘で傲慢で金にものを言わせるようなクズじゃなきゃ許せない。
汚い手を使って他人を貶めて蔑んで見下して罵って怒りの矛先を向けられるようなやつじゃないと許せない。
何より俺が俺自身を許せない。

「Pちゃま。どこか気分が優れないみたいですけどいかがいたしました?」

じっと桃華を見ると、少し怯えたような顔をした。
ピクリと肩が震えたのが分かった。

「……いや大丈夫だよ。ありがとう桃華さん」

桃華の肩に手を伸ばそうとして一瞬ためらう。
怪訝な顔をした彼女はすぐに心配そうな顔で俺を見た。

俺はようやく手を伸ばし、ぽんぽんと彼女の肩を叩いた。
自然な笑顔もできたはずだ。

だってほら桃華の表情も柔らかくなったじゃないか。

「そう……それならよろしいのですけど」

「それにしても桃華さんは頑張り屋さんだね。弱音を吐かずに毎日レッスン頑張ってるじゃないか」

「子ども扱いしないでくださる? 私、もう立派なレディですの。このくらいは当然ですわ」

これが彼女の傲慢なのかもしれないと俺はこのとき初めて思った。
だけど俺の理想とする人間性に近いことには変わりない。

いや、情けは捨てろ。俺は櫻井を苦しめるだけだ。目的は忘れてはいけない。

「それにしてもお仕事の依頼はありませの?」

「ああ、そのことだけど桃華さんはよく努力してるから今度CDデビューしてもらおうかなと思うんだけどどうだろう?」

ぱっと笑顔になる桃華は今の俺には眩しい。

「ようやく華々しくデビューするときが来ましたのね! もちろん答えはイエスですわよPちゃま!」

そうか、と口に出した俺は安堵したとともに胸が締め付けられそうな思いに視線を落とした。



桃華はCDデビューを経てアイドルとして順調に認知されていった。
仕事の本数も増え、レッスンの両も増え、勉学の時間を削られていたがそれでも成績を落とすようなことはしなかった。

「成績落としますとお父様に今のお仕事を辞めさせられてしまいますので」

というのは桃華談。実に立派なことだ。

「辛かったらいつでも辞めていいんだよ?」

当初の目的を忘れてしまったわけではないが、俺の口からは俺自身予想だにしない言葉が出た。

頬を軽くぶたれた。
痛くはなかったが辛かった。
こんなことで泣いてる彼女を見るのが辛かった。

「わ、私……Pちゃまと……一緒に……トップアイドル目指したくて……頑張ってますのに……お勉強だって……頑張って……」

言葉が支離滅裂になっても、嗚咽を漏らして必死で伝えてくる。

何で泣くんだよ。調子狂うな。
俺は心の中で悪態をつくことしかできない。

「ごめんね桃華さん。最後まで一緒に頑張ろう」

「……最初からそう言って欲しかったですの」

「ごめん」

きゅうっと桃華は俺に抱き付いた。

俺はこんなちんちくりんに何ドキドキしてるんだ。バカバカしい。

やっぱり少しためらって俺は桃華のことを抱きしめ返した。

それから数週間経ったある日の仕事だ。

桃華はショッピングモールのワンフロアを借りてライブをすることになった。

熱心なファンも付き最前列で桃華を応援してる姿が目に映る。
それだけでなく買い物を楽しんでいたファミリーやカップルまでも足を止め桃華に注目している。

俺が彼女をやや過大に評価しているのはこの部分だ。
一般的には何があるのだろうかと注目はするもののここまでの人数が足を止めて立ち止まってる光景はなかなか目にしない。

俺は最前列の席に再び視線を移すと、何やら怪しい動きをしている男を見つけた。
突然、そいつはステージに飛び乗ろうとする。
片手には刃物のようなものが光っていた。

警備の男は間に合わない。
俺はすぐに桃華の前に立ち振り下ろす手を押さえた。

「きゃぁっ!!」

「僕のものにならないなら桃華ちゃんを殺して、僕も死ぬ!」

桃華も気持ちの悪いファンに目をつけられたものだ。
死ぬならてめーで死ねよ。

俺は心の中でそう言葉を吐いた。

周りの助けもあってすぐに男は捕まり、警察沙汰になった。
イベントはもちろん中止。
こちらも払い戻しなりが発生し、赤字になった。

「……桃華」

「平気ですわ。Pちゃまがそんな顔してどうしますの? いつもの笑顔で私を元気づけてくださいまし」

手が震えてる。よほど怖かったんだ。

俺だって怖かった。今になって思えば、何で助けたんだ。あのまま……。
その先を考えるのをやめた。

どうしたいんだっけ……。

俺はとりあえず桃華の手を握って笑って見せた。

「遊びに行こうか」

「え?」

「今入ってる仕事が全部終わったら、一度遊びに行こうか」

「遊びにって、二人で?」

「お友達も呼んでいいよ」

「ダメですわ! Pちゃまも誰も誘っちゃダメですわ! 二人で行きますの」

ませてるなぁと思いながらも、桃華の嬉しそうな表情に俺はホッとした。
俺は目的を見失ってはいけない。
この旅行で決着させる。桃華は俺のことをもう疑ってもいないだろう。

そうして一月後の俺たちは今、夜景を楽しんでいる。

「今日はたくさん遊びまわって疲れてしまいましたの」

「そうだね」

「私、幸せですわ」

「それは良かった」

「この夜景もとっても綺麗ですわ」

「うん」

「そこは私の方が綺麗だとおっしゃる場面ではなくて?」

「恥ずかしくて言えないよ」

良い雰囲気で時が過ぎていく。
櫻井を潰すための用意はしてきた。

桃華を襲って、淫らな写真を撮る。これを交渉材料にあいつを絶望のどん底に叩きこむ。

「ふわぁ……」

「そろそろ寝ようか?」

「いえ、私はまだ……」

「ベッドまで連れてくよ」

俺は桃華を抱いてベッドまで運んだ。
彼女の顔は真っ赤になってた。よほど恥ずかしかったのだろうか。

「目が冴えてしまいましたわ!」

わっと抗議する桃華の口を俺は押さえた。
もう片方の手で彼女の片手の自由を奪う。

「悪い。俺はお前を……」

桃華のパジャマの前ボタンを引きちぎった。

「Pちゃま……?」

嫌がるというより、自分の身に起きてることが分からないといった様子だった。

「お前の父親に恨みがあるんだ。お前は関係ないんだけど利用させてもらう」

俺は桃華の両腕を押さえるがそれ以上動けなかった。

「お前の父親は俺の家庭を狂わせた……」

桃華の表情はきょとんとしたものから悲しそうな顔に変わった。
対して俺は自然と笑顔になった気がする。

「Pちゃまが泣くと私も悲しいですわ……」

次に桃華の口から出たのはそんな言葉だった。

俺の手から力が抜ける。
桃華を押さえてた腕をどけると、桃華は俺の首に腕を回してきた。

そして彼女は顔を近づけて、俺にキスをした。

「私、Pちゃまが好きですわ……」

「お前を襲ったんだぞ」

「酷い目には合いませんでしたの」

「お前の親父が憎い」

「私には関係ありませんわ」

彼女は真っ直ぐ俺を見た。

「俺は……」

桃華の瞳に吸い込まれそうで……。

「お前の親父の会社は嫌いだけど、桃華のことは好きだ」

「私はPちゃまのこと愛してますわ」

「俺は……わからない。すまない」

「今日はもう寝て、明日また遊びましょう」

横向きになって桃華と見つめ合いながら、俺はそのまま深い眠りに落ちた。

夢の中ので母さんに逢った。
母さんは優しく笑っていた。


おしまい

反省

書き終わり投下してみて、
会話少ないのを修正すればよかったかなと思います。
それとPの視点なので他人の感情の振れ幅が分かりづらかったですね。
他人どころか彼自身の感情も深読みしないと分からないという駄作を
お見せしてしまい申し訳ないです。
小学生とのエッチは自分には想像できなくて断念しました。
しかし、こんな小学生がいるはずないですね。
無理やりねじ込んだようなエピソードも×。
導入は上手くいったなと思った分、中身が無くて残念な作品になってしまった気がします。
面白い設定を提供してくれた>>164さんすみませんでした。
似た設定が出たらこの反省を生かして頑張ります。

次の安価は↓1です。ブレませんので安心してリロード→書き込みしてください。

>>199

>>51
ホラーサスペンスな感じで徹底的にまゆを脅えさせる。
最後にはストーカーに(Pと知らずに)家に押し込まれリボンで目隠しと拘束をされて徹底的に一晩襲われ犯される。傷ついたまゆをPが慰め、Pにより依存していく

>>235
把握しました。そのお話は5行で終わらせる自信があります。

設定>>198は構想中です。
導入からオチまで何にも思いつかないので時間がかかりそうです。

>>234
>>164ではなく>>167でした。ごめんなさい。

乙 >>139書いて取れなかったのが今回取れたから良かった

次回は難しそうだががんばってな

これからもずっと安価は↓1で固定な感じ?

>>240
はやい
おめでとうございます

>>241
絶対↓1固定宣言

お待たせしました。
設定>>198の内容を本日10日のおそらく23:00頃に投下します。
その時間に投下が無ければ、同日の23:30に変更したと思ってください。

安価の準備を!

お待たせしました。
設定>>235の内容を本日10日のおそらく23:30くらいに投下します。
その時間に投下が無ければ、同日設定>>198を投下し終えた頃に再びアナウンスします。

安価の準備を!

※安価の流れは
>>198の内容を投下→反省→安価戦争
>>235の内容を投下→反省→安価戦争
となっております

設定は>>198です。

『タイトル未定』


都内の街中。

ざわざわ……。

「何アレ?」

「やっべぇ……」

「さすがに引くんだけど……」

「いや、あれはあれでアリ?」

「無い」

喧騒の中心にいるのは他の人の倍はあろうかというほどの長身。
見ただけで気が滅入るほどのダイナマイト過ぎるボディ。
雨が降ってるわけでもないのなぜかびしょ濡れ(特に股間と胸周辺)。
端正な顔立ちを真っ向から否定するこの特徴が美城の誇る敏腕女性プロデューサーというのだからこの社会もいよいよ末期だと思わなくもない。

ああ、見られている……!

女性Pはそう思っただけで膝をついた。
周囲はどよめいた。

「はぁー……はぁー……!」

「あの……大丈夫ですか?」

「問題ないわ」

ぶるぶると震えながらも立ち上がる。
彼女が膝をついてた部分は見事に湿っていた。

出勤までに27回も絶頂を迎えつつ。途中で12回お手洗いで自慰をした。
彼女の体質は、まあいろいろでかい。
性癖は、まあいろいろとんでもない。

夢は可愛い女の子に輪姦されること。
この大きさでアイドルはできないので、プロデューサーになることを決意した。

「はぁー……!」

事務所に到着したのはいいが、彼女の通ってきた道がまるで筒抜けだった。

「プロデューサー、おはようございますぅ」

「お、おう……プロデューサー……」

おっとりとした口調で言うのはPの担当アイドルの『及川雫』。
かなりドン引きしているのは同じく担当アイドルの『向井拓海』。

血走った目で彼女たちを見るPはこの世のものとは思えない。

「そんな息遣い荒くて大丈夫か? ……いや、いつものことだけどよ」

引きつった顔で尋ねる拓海に対して大丈夫と答えるP。

「ああ、拓海っ……!」

「な、ななな何だ!?」

一歩近づけば四歩下がる拓海。
苦手意識というか、もはや身の危険を感じるどころか、近づきさえしたくないのが拓海の本音だったりする。

「私をめちゃくちゃにしてもいいからね」

「ひぇっ……!」

この巨体をどうめちゃくちゃにすればいいのか想像できない拓海はただただ恐怖した。

「雫も搾乳したかったら私でどうぞ。いっぱい出るわよ?」

「私は牛さん専門なので、遠慮しておきます~」

「残念ね……」

本当に残念そうなのが恐ろしいが、雫は特に気にしてない様子だった。

「脱いでいいかしら」

「上着だけな」

「下着は?」

「やめろっ!」

拓海は心から叫んだ。

「ダメなの……」

そう言うとPは自分のスカートの中に手を突っ込んだ。
くちゃくちゃとかき混ぜる音が聞こえてきて、拓海と雫はすぐ真っ赤になった。

「じゃ、じゃ、じゃあアタシもうレッスン行ってくるから」

「あぁ、あの、えっと、私も行きます~」

急いで部屋から出る拓海と、彼女を追いかけるようにして雫も部屋を出た。

「あんなのがプロデューサーじゃたまんねーよ……」

「だ、大胆ですね~」

「あれは病気だ病気。頭のねじを数十本落っことしてきたんだろ。それにいろいろでかすぎて怖えぇったらないぜ」

「それに何だか変な視線を感じます……」

「アタシ、アイドル辞めよっかな……」

「わ、私を一人にしないでください~!」

そんなやり取りをしつつレッスン場に向かう二人であった。

その頃、事務所はさらに床が濡れ、変な匂いも充満し大変なことになった。

「あー、またイッた……あっまた……また……あ、イク……」

仕事になるのだろうか……。
と心配されがちだが(というか関わりたくないが)、仕事はなぜか普通にこなしてる。
身体が大きいせいもあって一人だけ大きなスペースを取っている。

常にビクビクと痙攣しながら業務をする姿はまさに奇行種。今にも進撃してきそうだ。

どうしたら拓海ちゃんと雫ちゃんに襲ってもらえるかしら……。
ああ、二人に回して欲しい(性的な意味で)。

Pの頭の中はお花畑。
甘い蜜の花がたくさんあって、うじゃうじゃと虫がわいている

そろそろ拓海ちゃんと雫ちゃんが戻ってくるころかしら……。

そこでPはついに閃いた。
向こうから来なければ、こちらから襲ってしまえばいいじゃないかと……。

昼下がり、拓海と雫が戻ってくる。

「今戻ったぜー」

「ただいま戻りました~」

二人が部屋に入って一番最初に感じたのは鼻腔をつくような匂いだった。
良いとは言えない変な匂いが二人の頭にお花畑を作り上げそうだった。

「何だよこの匂い……」

「さっきよりも床がびちょびちょな気がします~」

「それは毎日だろ……」

「一体誰がお掃除してるんですかね~」

二人してそんな苦い顔をしていると後ろの戸が閉められた。
鍵を掛けられる音もちゃんと聞こえた。

二人が慌てて振り返ると全身びしょ濡れ(いつものこと)のPが血眼で立っていた。

「もう辛抱できないわ……」

雫はその場でへたり込み、拓海もPの威圧感で足が震えて倒れそうになる。

「もうさっきからイキっ放しなの……」

いつものことだろうとツッコみたくなる(意味深)。

しかし拓海と雫にそんな余裕はない。

万年発情期のPはいきなりスーツを全部脱ぎ、ニプレスと前張りだけの肢体を晒した。

拓海と雫はとことん恐怖した。

「ひぃっ……!!」

「いやぁ……」

Pのニプレスは乳頭を隠しきれず、さらに白い液体をぼたぼたと垂れ流している。
下の前張りから毛が生えているのかと錯覚してしまうほどの毛の量と、さらに黄色やら透明な液体をぼたぼたと垂れ流している。

それが一歩一歩近づいてくるのだ。しかもその一歩がでかい。

「ぎゃぁあああああ!! 来るな! 寄るな! うわぁぁあああああ!!」

「いやぁぁあああああああああああああああ!!!!」

二人の絶叫が部屋中に響き渡る。

「大丈夫よ。すぐに気持ちよくなるわ」

一歩、また一歩……。

ついに二人の目の前にその巨体が立ちはだかる。

垂れ流しの液体は二人にかかり、彼女たちの精力を奪う。

「拓海……ちゃん……」

「し、雫っ! ……くぅ」

拓海はなんとか雫を引っ張ってPから距離を取ろうとするも腕を掴まれた。

「どうして逃げるの?」

「あ、ああ……ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」

「私は謝ってほしくはないのよ? 一緒に気持ちよくなりましょう?」

雫はついに気を失い。拓海は意識を闇に持っていかれそうになる寸前……。

ドアがこじ開けられると共に怒号が飛び交う!

「手を挙げろ化け物! 貴様の正体はとっくに割れてるぞ! 女体奪いのP!」

わらわらと警官が入ってきて、あらゆる場所から液体を噴き出すPに銃を構える。
Pは軽く舌打ちをすると、窓から飛び降りた。ちなみにここは4階だ。

「二人の少女を保護しろ!」

「助かったのか……?」

ここで拓海の意識も途切れた。

その後包囲されたPは警官に撃ち抜かれ、死亡する。

――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
――――――――――――

「……とかいう撮影もありましたね~」

「本当、身体が大きすぎるからって失礼しちゃう役だったわ」

「いやいや、名演技だったってあれは」

「でも設定が吹っ飛び過ぎて~」

「放送NGって何だよって話だな。あの時の時間を返してほしいぜ」

「ギャラは発生したからいいじゃない」

「円盤に収録されるみたいですし~」

「げっ、あれが?」

「まあいいんじゃないかしら」

「いいのかよプロデューサー……」

「あれ、身長以外は作り物だったじゃないですか~」

「まあ変な噂にはなるでしょうけどね。それもまた一興よ」

「変なところ寛容だよな」

「プロデューサーのいいところですね~」

「ありがとう雫ちゃん」

今日も事務所は平和です。


おしまい

反省

勢いに身を任した結果がこれです。
設定提供の>>198さんの要望には応えられずにすみません。


安価は↓1です。先に言っときます。早すぎ。

>>236

>>259
把握しました。

少し休憩します。
23:30頃に設定>>235を投下します。
先ほど安価取れなかった方も今日はもう一度チャンスありますよ。

『タイトル未定』


自称サイキックアイドルのエスパーゆっこは戦慄した。

自分の夢を最近コントロールできるようになった裕子はせめて夢の中ではサイキックを使いたかったのだ。

「ここは夢の世界だから何でも私の思い通り……」

ぶつぶつと懸命に自己暗示をしてこの世界を操るのだ。

「よしっ! むむむ~ん!!」

スプーンがどこからともなく現れ、それは裕子が念じるだけで手を触れずとも折れ曲がる。

「これがエスパーゆっこの力です!」

わーわー! とどこからともなく歓声が響き渡る。
気が付けばメルヘンな世界にウサギやわんこなどのファンシーな動物たちが拍手したり、楽器をボンボン鳴らしたりしていた。

「ここがウサミン星……」(違う)

裕子は笑いが止まらない。

「私が……神!!」

『いいのか? そんなんでいいのか?』

「だ、誰!?」

『私は声優だぞ。アイドルだぞ』

「つ、津田ネキ!?」

『小日向美穂だぞ』

「み、美穂ちゃん!?」

頭がこんがらがってきた裕子の前に現れたのは少年だった。

「津田ネキでも美穂ちゃんでもないじゃん!!」

「その通り、私が本当の神だ」

「む、何をぅ! 私の世界で私の邪魔はさせません! むむむ~ん!!」

世界が生まれ変わる!

「甘い! むむむむ~ん!!!!」

バチーン! という音と共に裕子は吹き飛ばされ、裕子の思い描いた世界とは別の世界ができあがった。

「……こ、これは!?」

「ここはお前の夢でありながら、私の世界だ。裕子、確かに微力なサイキックを感じるがまだまだ弱い」

「くっ! まだ訓練が足りないと言うのですね!」

「堀裕子よ。お前は確かアイドルをやっているな?」

「なぜそれを! って私の夢だから当たり前か……」

「いや、私はお前の夢の住人ではないのだ」

「ふーん」

「信じていないな。ならばこうしよう! 私は明日からお前のプロデューサーだ。そしてお前に真のサイキックを伝授してやる。次世代を担う若者となれ!」

裕子はそろそろ夢覚めないかなと思っていた。

結局、体感時間にして30分ほどこの少年の演説は続いた。



そして朝!

「何にもなってないんかい!」

どっかの大阪出身アイドル顔負けのツッコミを朝一で繰り出し、いつも通り学校へ行く。

特に何事も無く終わり事務所へ向かう。

「遅いぞエスパーゆっこ!」

「ぎゃああああ!! プロデューサーが神様になってるぅ!!」

そうして裕子は昨日見た夢の内容を信じた。

ところ変わってレッスン場。

「さてゆっこよ。私はこれからお前にサイキックを授ける。それには少しばかり厳しい修業が必要だ」

「その厳しい修業とは何でしょうか師匠!」

「うむ! 師匠とは良い心がけだゆっこ!」

そんなことはどうでもいいから早く教えてほしい裕子であった。

「では行くぞ!」

ところ変わって極寒の地南極!

「ところ変わりすぎ!!」

「まずはステップ1!」

「師匠!! さぶずぎまず!!」

「そうだろう! 寒いだろう!! ならば温かくしようじゃないか!!」

こいつの頭は大丈夫なのだろうかと思う裕子だったが、神の力は本物だ。

「むむむむ~ん!!!!」

神がそう唱えると南極の地は暖かく過ごしやすい気候に変わり、樹木が生え、植物が生きられる土地になった。

「す、すごい!」

すごいとかそういう次元ではない。

「じゃあ元に戻すから、ゆっこ、次はお前がやってみろ」

「え、戻すんですか?」

「むむむむ~ん!!!!」

唱えると極寒の地に再び戻った。草木は一瞬で消滅した。

「さあ、やってみるんだ!」

「無理ですっ!!」

「最初から無理だとあきらめるな。信じれば必ずできる。お前のサイキックはそんなものじゃないだろう?」

「し、師匠っ!!」

こうして特訓が始まった。

「むむむ~ん!!」

「気合が足りない」

「むむむ~ん!!」

「根性が足りない」

「むむむ~ん!!」

「声量が足りない」

「むむむ~ん!!!」

「何か足りない」

「何かって何ですか!!?」

むむむ~ん!! ……むむむ~ん!! …………むむむ~ん!!


修行から一週間後。

「師匠……私はやっぱりサイキックの才能が無いのではないかと思い始めてるのです」

「どうしたゆっこよ。お前の意思はそんなものではなかっただろう……」

「けどこれだけサイキックを使ってるのに風邪を引くばかりで、サイキックによる現象を起こせていません!!」

「……それはどうだろうか?」

神P(一応プロデューサー)は裕子の足元を指さした。

「それに気づかなかったお前は未熟……しかし! 遥か先を見据え、足元を見ないお前はそれ以上に立派なのだよ」

裕子の足元には一輪の花が咲いていた。
裕子は力なく膝をつきその一輪の花を目にして涙を流す。

「よかろう! 機は熟した!! エスパーゆっこよ。お前にサイキックを与えよう」

「し、しかし私はまだ!」

ステップ1しかやってません! とは言いづらかった。

「お前のサイキックは不十分! だが、私のサイキックを受け取ることで私以上のサイキッカーとなることだろう!」

「そ、そんな……私が師匠よりも?」

「その通りだ。今までそうしてサイキックは伝承されてきた……ゆっこ、そしてそれはお前で完成を迎える。人々を導き、そして! お前が新たなる神となるんだ!!」

裕子を光が包み込む!

「む、むむ、むむむむむむむむ……!」

裕子の姿が進化する!











「…………楽天カードマーン!!!! むむっ!!」









―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
――――――――――――

「……とかいう撮影は結局お蔵入りになりましたね」

「うん、残念だなぁ……せっかくゆっこ念願のエスパーキャラが演じれると思ったのにね」

「何言ってるんですかプロデューサー! 私のサイキックは本物ですよ!」

「でもギャラは発生したし、円盤にも収録されるみたいだし……」

「『世にも奇抜な物語』でしたっけ?」

「そうそれ」

「でもプロデューサーもなかなかの演技でしたよ!」

「ははは……そうかな? むむむむ~ん!!!! ……なんちゃって」

「あははっ……負けませんよ~! むむむ~ん!!」

突如二人の身体が光出した!

「「……え?」」

光が二人を包み込む!!


おしまい

反省

反省というか何ですかこれ?
頭のネジをいくらか外して書いたとしか思えない物語になってしまいました。
自分で投稿しててわけわからなくもなりました。
助けてください。

安価は↓1です。どうぞ。

プロデューサー:【戦う寡黙な女プロデューサー。だいたい目で語る。平時は美人だがここぞという時や驚いた時の動きがやたらオーバーで芝居掛かってる(一応素らしい)】
担当アイドル:【南条光・小関麗奈】
アイドルとの関係:
【光……守られたあの日から超慕ってる。目指すヒーロー像の一つ。P・麗奈間の通訳としても活躍。
麗奈……Pのリアクションが素晴らしいからイタズラが絶えない。ただ光や周りの大人がPと意思疎通できてることが未だに納得できないでいる】
その他要望:
世はまさにアイドル戦国時代。アイドルを狙って朝駆け夜討ちは当たり前。
そんな危険からアイドルを文字通り守るのもプロデューサーの務めなのです。

>>274
把握しました。
この設定説明から私の解釈で物語を構成します。

採用されてない他の安価もちらっと見たのですが、どれもある程度は長いお話になりそうですね。

ちなみにここまでのお話でいろんな書き方、というかいろんなノリで書いてみましたが
皆さん的にはどれが良くてどれが悪い、とかありますか?

レスありがとうございます。
私の書く物語ですが、自分ではイマイチだと思っていたギャグノリが微妙に高い評価を受けてると知り、
少しだけ自信が持てました。これで多少はギャグも書いてみようかなという気になれます。
私自身、ここまで書いてみて、序盤の方の美優仁奈のお話が好きというか、
ああいう感じのが上手く書けたなと思ったお話です。(誤字が無ければなお良かった)
引き続き評価、批評があればどんどんレスしてください。


それはさておき投下のお知らせをさせてください。
本日17日はライブがあるため投下しません。

設定>>259を18日の月曜日、22:00くらいに投下します。

設定>>274を18日の月曜日、>>259投下後に再びアナウンスした後、投下します。

安価は前回と同じようにそれぞれの反省の↓1で取ります。準備しておくといいかも……?


長文失礼しました。
おやすみなさい。

設定は>>259


『タイトル未定』


男は前にいる女性が落としたハンカチを拾い上げると、手渡すために話しかけた。

「あの、ハンカチ落としましたけど……」

重低音な声に振り向いた女性は明らかに動揺し、顔面を蒼白にさせた。

「あ、ああああありがとうございますっ!!」

そう言って一目散に駆けていく。

男は良いことをしたなと満足げに微笑むと、周囲からは小さく悲鳴が上がった。
それは平和な駅のホームでの出来事であった。

男は会社へ出勤し、挨拶をする。

声を聞いてびくりと震える過半数の人間と、気楽に返す彼の同期や上司にはっきり二分する。

そんな彼はアイドルのプロデューサーなのだ。

「はぁ……」

険しい表情で重たく低いため息をつくPに幾らかの同僚が反応した。

先ほどまで静かにデスクワークをこなしていたはずの同僚たちほとんどが一斉にキーボードをたたき始めたようで、カタカタと音がする。

Pも負けていられないと気合を入れる。

「よし、やるか……」

キーボードをたたく音が一層激しくなったように聞こえた。

彼はいろんな仕事を素早く取ってくるのだが、そんな彼にも悩みがある。

それは担当するアイドルが怯えてしまうことだった。
自分の雰囲気が怖いと自覚はしているが、話しかければ悲鳴を上げ、笑っていた顔は一瞬で冷める。
そんなアイドルを2人ほど担当した。

しかしそんなPを怖がることのないアイドルもいたようで、彼女曰くそれは周りの人がおかしいと言う。

今も変わらずその子を担当しているのだが、ここからが本当の悩みの種であった。

その女の子はいわゆる『視える子』らしい。
Pは考えただけでゾッとする。

しかもいつもその子の近くに一人いるらしい『あの子』と呼ばれる女の子。
最初は冗談だと思ってたが、どうやらマジらしい。

Pはキーボードをたたく手が震えるのが分かった。
勢いあまってバシバシと部屋に響くほど音が鳴る。

そして同僚たちのカタカタ音はより一層激しくなり、ガタガタ音へと変わった。

Pは担当アイドルの『白坂小梅』のことを考えつつ、さらにやる気に溢れた同僚たちに負けないように頑張らねばと思った。

「……プロデューサー」

「うぉぉぉおおおお!!」

部屋中に響くPの悲鳴。相変わらず重低音で迫力がある。

それに合わせて部屋中にバンっ!! という音が響いた。
きっと私がうるさくて、同僚たちが机バンやら壁ドン(パンチする方)をしたのだろうとPは思った。

「……し、失礼」

とりあえず詫びを入れておく。

「白坂さん、おはようございます」

不意に現れた白坂小梅。
鳴りやまないこの胸のときめきはいつしかときめき過ぎて死ぬかもしれないと思うPだった。心臓に悪い。

「……おはよう。昨日は……ね……え、映画を見たんだ……よ?」

「そ、そうですか……」

「すごく、面白かったから……ぷ、プロデューサーにも……教えてあげようと、お、思って……」

「はい、ありがとうございます。……機会があれば視聴してみます」

Pは嘘をついた。罪悪感を覚える。
この女の子、白坂小梅は映画といえば大体ホラーやスプラッタといったグロテスクな作品を好むのだ。

Pはできればその類の作品を見たくない。苦手なのである。このなりで……。

「早く……ホラーのお仕事、や、やりたい……な……」

「はい、善処します……」

こういったお願いばかりしてくるので困ってしまった。
13歳の女の子を一人で行かせるわけにいかないし、かと言ってP自身がその現場に行くのは嫌なのだ。

そんなことを考えていると、不意にPはとてつもない疲労を感じた。

「ふう……なんだか身体が重いですね……」

「あ……プ、プロデューサーさん……」

「何でしょう?」

「あの子、プロデューサーさんのこと、き、気に入ってるみたい……」

「はい?」

……と同時にPはゾッとした。
壁にかかっていた鏡を見ると、映っていたのは自分と、自分に抱き付く女の子。

長い髪の奥から青白い顔と虚ろな目、そしてニタリと笑む口元を見てPの顔面は蒼白した。

「あの、白坂さん……」

「な、何……?」

怖すぎて振り向けなかったが、意を決してようやく鏡から目を離す。
女の子が抱き付いているのをハッキリと確認した。

「助けてください」

「こ、怖くないよ……?」

貴方は怖くないかもしれませんけど……とは言い辛かった。

再び女の子を見てみると髪の毛の間から目と目が合う。
ニヤリと笑う女の子を見てPは椅子をひっくり返した。

Pのデスクから大きな音がしたかと思うと、今度はガシャン! と周囲からカップを割るような音が連続した。

「とても怖いです……」

「大丈夫……だよ」

小梅も女の子も心配そうに見つめる。

「な、仲良くしたいって、ゆ、言ってる」

無理です……とはやっぱり言えなかった。

「…………善処します」

この日を境にPの目には見えざるものが見えるようになったらしい。

次の日。

「白坂さん、おはようございます」

げっそりとした様子で周囲に怯えられながらもPは出勤していた。

「お、おはよう……!! プ、プロデューサーさん! ちょっと、や、やばいかも……」

「何がですか? ああ、彼らは少し道に迷ってしまったらしくて……しかたがないので私がご案内してあげようかと……」

「ど、どこに……!?」

「冥土に」

低くて芯の通った声が事務所内に響いた。
途端、どこかのデスクで、何かが爆発したような音がした。

「プロデューサーが、い、行ったら死んじゃう……」

「何を言ってるんですか? 私は死にませんよ。ついでに彼女も連れて行ってあげます」

ガターン! とPCが倒れるような音も聞こえてきた。

「この子は、わ、悪い子じゃないよ……」

「そうですか……では悪い子は連れて行ってしまいますね?」

あちこちから短い悲鳴が聞こえた。
すぐに、書類を書くようなペンの音と、キーボードを一生懸命叩く音が部屋中に響き渡った。

そしてドアから入ってくるのはPの後ろからぞろぞろと憑いてきた霊たち。彼らはPに導かれるように後ろに付いている。

「さぁ行きましょう……」

「プロデューサーさん、行ったら、だ、ダメ……!」

小梅の静止も聞かずに外へ出るP。慌てて小梅も付いていく。

そして彼は近くの寺に向かった。

Pはお寺の横で立ち止まるとくるりと後ろを振り向いた。
霊たちの綺麗な行列がPの前にできる。

「貴方の罪は何でしょう?」

「……」

「ふむ……大丈夫、貴方はちゃんと許しを得たのです。お行きなさい」

ぱぁっと光に包まれる一人の霊。

「次の方、どうぞ」

「……」

「なるほど……それはいけません。しかし貴方が反省しているのであれば神は見捨てません。彼岸で善行を積むのです」

また光に包まれる。

小梅は目を点にしてその様子をずっと見ていた。

小一時間続いた成仏祭り。

小梅はPに駆け寄った。

「プロデューサーさん、す、すごい……!」

「はぁ……一体ここはどこでしょう? お寺ですか?」

どうやら記憶が無いらしい。

「今のプロデューサーさんなら、き、きっと、心霊スポットの、お、お仕事……取ってこれる……よ」

「……善処します」

この後、強面プロデューサーが実はお坊さんであるという噂が流れ、同僚たちは少しだけ怖がらずに接してくれるようになったらしい。

まだ小梅のお仕事は決まっていないが……。


おしまい

反省

何だこれ短い
ごめんなさい設定を広げられなかったパターンです多分
日常会話の中で読者を楽しませるというのは難しくてこんな感じになりました
まだまだ続けようと思えば続けられそうなのに……惜しいです

とりあえず安価取ります↓1

>>237

>>299
把握しました

設定>>274を22:20頃に投下します

『タイトル未定』


「はぁっ!!」

女性の綺麗な回し蹴りが覆面に全身タイツの男に刺さり、男は後ろに吹っ飛んだ。

「ぴにゃー!」

という声を発しながら、スーツを身に付けた一人の女性を、他の覆面たちが取り囲む。

彼女の後ろには守るべきアイドル。

そのアイドル『南条光』はしりもちをついて困惑していた。

「何でアタシみたいな新人アイドルが狙われるんだっ!?」

覆面タイツの男たちの背後から怪物が現れ流暢な日本語で話し始める。

「ふっふっふ……!! 貴様のような将来有望なアイドルの芽は潰すに限るのだす!」

「行け、光」

静かに声をかけるのはスーツの女。

「で、でも……どうせ小さな会場のライブだし、プロデューサーが傷つくくらいならアタシ、今日の仕事キャンセルするっ!」

光は叫んだ。自分が狙われる事態は初めての経験であり、プロデューサーが戦う姿を見るのも初めてだった。

「そうだ! キャンセルするんだ! そしてファンを悲しませるのだす!!」

「光」

その女性、プロデューサーはもう一度静かに言った。

「会場の大小で優劣をつけるのか君は? 君のことを待っているファンを裏切るのか?」

「そ、それは……」

「君は言ったな。ヒーローになりたいと……」

覆面たちと怪物に対し構えを取り、光に背を向けたまま語る。

「言ったけど……でも他人が傷付いてるのを見過ごして現地には向かえないよプロデューサー!」

「……君は一つ勘違いしている」

プロデューサーは覆面たちを蹴散らす。

「ヒーローは自己満足で他人を守るために戦う」

複数を相手にものともせず、バッタバッタとなぎ倒す。

「私が君を守るのは、ファンの笑顔を守る人が君しかいないからだ……」

覆面の男たちは、次々と倒れて、立ち上がると逃げていった。

「つまり、ファンにとって……」

大仰に右腕を広げてスタイリッシュなポーズをとるP。

「君はすでに立派なヒーローだということさ!」

「!!」

「立て、そして行け、光。ファンの笑顔は君にしか守れない」

「……うん、わかった! アタシは行くぜっ! プロデューサーも負けるなよっ!!」

その言葉を聞いてPはニッと笑った。

「ふっ……君は私の笑顔も守ってくれる……」

「い、行かせないだす!!」

怪物は走り出した光に向かって、どうやってか知らないが手の平から捕縛網を投げつけた。
きっと、おそらく、着ぐるみの下に仕込んでいたのだろう。

その網は光を真っ直ぐに捉える。

しかし網はちぎれ、力なく地に落ちた。

「な、何ぃ!!」

Pが手刀で切ったのだ。

「なんてやつ! めちゃくちゃじゃないか!」

どの口が言う……と周囲の野次馬たちは思った。
ちなみにこういった一般の野次馬たちは、ガヤやモブなどと呼ばれる

「覚悟はいいな」

Pはそう言って走り出した。

「こ、このぉ!」

Pの肉弾戦に、着ぐるみも動きづらそうに肉弾戦で応対するが、あっという間にフルボッコにされ、土下座していた。

「はぁー、もう終わりか……」

「あのプロデューサーの担当、南条光って子だぜ」

「へぇ良いプロデューサーだな」

「南条光も可愛いしファンになったわ!」

戦闘が終わりガヤガヤとざわめく周囲のガヤたち。

これでアイドルのプロデュースは上手くいったという評価を受けるのだ。

数週間後。

「でゅわあああああああああ!!!!」

「あーっはっはっはっはっは!!!!」

事務所に響く悲鳴と笑い声が実に対照的だ。また苦情が来るのだろう。

「麗奈、そのゴキブリ模型のトラップはやめるんだ。アタシだってマジでビビったんだぞ」

「はっはっはっは……!! はぁ……いやぁ、本当リアクション良すぎて止められないってもんよ」

「外道めっ! アタシが成敗してくれる!!」

「おい、やるのか光! アタシがアンタに負けたことが一度でもあったっけ!?」

「やってみなければ分からないだろ!」

そんな様子を見たPはさっきの態度とはうって変わって二人の間に割って入った。

「プロデューサー……わかったよ」

「うん? アンタ邪魔すんじゃないわよ」

Pは首を横に振るうと手に持ってた何かを麗奈に投げつけた。

ぶぅうんと麗奈の前を羽ばたきながら通過するそれは、黒光りしたゴキブリだった。

「ぎゃああああああああああああ!!!! ほ、ほほほほ本物っ!!」

その後通過したゴキブリは弾けて霧散した。
Pお得意の訳のわからん武術が炸裂したのだ。

「こ、このぉ……」

ぎりぎりと下唇を噛む麗奈。
機嫌を悪くしたようで、事務所を飛び出してしまった。

「……あっ」

悲しい顔をするP。
これはどうやら彼女なりのコミュニケーションだったらしい。

「ダメだプロデューサー……麗奈はちょっと捻くれてるから」

それは捻くれてなくてもダメだ。

麗奈は光がそこそこ有名になってから、Pが担当したアイドルで、このように意思疎通ができず、何度か仕事をキャンセルさせられたこともある。

「言葉を話すのが苦手なのは分かるけど……」

しかしそんなことも言ってられないことは明らかだった。

何せ次に待ち受けている仕事は光と麗奈のタイアップ。正義と悪の夢の共演というコンセプトで注目されている公演なのだ。

「レッスンはちゃんとやってるけど、次もきっとゴシップは来るよ……」

ゴシップはアイドルを狙う怪物たちのこと。
怪物の正体は着ぐるみやコスプレイヤーで、中の人もちゃんといる。
たまに顔バレしてるゴシップもいる。

ちなみに今大人気のゴシップはぴにゃこら太だ。
アイドルの仕事をキャンセルさせて自分が代わりに出演するのだ。
そしてそのアイドルの人気をかっさらってしまう畜生である。

ぴにゃこら太のセルフプロデュース力は千葉の非公認ゆるキャラとほぼ同等。狙われたら半分くらいの確率で負けてしまう。

「今のプロデューサーのプロデュース力でも麗奈とのコミュニケーション不足で負けちゃうかもしれないんだ」

非情に世知辛い世の中である。

「この前も他のプロデューサーに負けたじゃないか!」

先日は確かアイドル『徳川まつり』のプロデューサーと執事対決をして負けたばかり。
……殴り合うだけがプロデュース力では無いのだ!

ゴシップに、ライバルアイドルと、より取り見取りなラインナップで仕事の奪い合いが起こる。まさにアイドル戦国時代(哲学)。

つまり人気のアイドルには強いプロデューサーが付いている。そして大きなお仕事も貰えるので多くの人に狙われやすい。

「アタシは……次のライブでは絶対にファンの笑顔を守りたい」

Pは光の真剣な表情を見て申し訳なさそうに落ち込んだ。

「……謝らないで」

別にPは口に出して謝ってはいないが……。

「しっかりと麗奈とコミュニケーションを取って、次のプロデュースバトルでパーフェクトコミュニケーションを発揮すればいいんだよ」

パーフェクトコミュニケーション=完璧なパフォーマンスと捉えれば問題ない。

「……とにかく! アタシは次のライブは麗奈とやりたいってことだぜっ!」

ぐっと拳をPに突きつける。
Pもニヒルに笑うと拳を握った。

ガツンと二人の拳を突き合わせた。……思わずハートが痺れるぜ!

して後日。

「ほひっ!!!!」

「あーっはっはっはっはっはっはっは!!!!」

暇があればイタズラを敢行する麗奈に為すすべがなく、ライブは刻一刻と迫っていた。

光もレッスンを終え、ため息をついてその様子を見ていた。
相変わらず上手くいってないなと、不安を抱く。

「ピンポーン! お邪魔します!」

口でインターホンの真似をして一人の男が入ってきた。

「どちら様?」

対応するのは光。
その男は同じ美城プロに所属するプロデューサーであった。
つまりプロデューサーが来ると言うことは……。

「明日のライブをかけてプロデュースバトルを申し込みに来た!」

「……!!」

「明日の会場への道、お前を倒して時子様をトップアイドルに近づける!」

宣戦布告だ。
事務所内ではよくあることだが、一人のプロデューサーに対して一人だけ、早い者勝ちで申し込める。結構適当。

「俺が勝ったら小関麗奈を舞台から降ろしてもらうぞ……」

「なっ!」

「ちょ、ちょっとアタシじゃなくてっ!?」

光は猛抗議する。

「小関麗奈とうちの時子様は若干キャラが被っているからな……!」

「ハッ! アタシと同列に扱うなんてそのトキコとやらは相当調子に乗ってるようね!」

「ふんっ! 言っていろ。小関麗奈とその担当Pのコンビは勝率最悪だそうじゃないか。そこの南条光とは勝率100パーを保っているというのに……」

「くっ……!」

事実は事実。麗奈は言い返せなかった。

そうして宣戦布告をしたPは去っていった。

「面倒なことになったね……」

「フンッ! あんなやつちゃちゃっと捻ってよね!」

「……」

「あによ、その顔は……」

「今のプロデューサーには自信が無いのか……」

「負けたらアンタの担当から降りてやるわ」

「!!」

「お、おい! 麗奈、なんてこと言うんだ!」

「知らないわ。アタシは明日に備えてもう帰るわ」

そうして部屋を出ようとする麗奈に光は叫んだ。

「麗奈! 明日、プロデューサーの戦いを見てから来なよ! 時間はあるから……」

「ハッ! 気が向いたらね」

そうして扉に手をかけたが、別の声に扉を開ける手を止める。

「麗奈、見てて……」

いつもの態度とは違い、しょぼくれた声を聞く麗奈。
そして何も言わずに出て行った。

「プロデューサー、アタシは先に会場に行くけど、絶対に麗奈を連れてきて……この前、約束したでしょ?」

こくりと頷くP。

立ち上がった光は麗奈に続いて部屋を出た。

Pもガチャリとドアを開け、部屋を出る。

閉まる扉に合わせて時は明日へ……。

都内の大通り、風にたなびく長髪と、腕を組んでの仁王立ち。
格上と呼ぶにふさわしい佇まいは、彼女の目の前で構える時子Pを威圧する。

周りに集まるガヤたち。ライブの前哨戦と呼ぶにふさわしい。今だけは彼らをギャラリーと呼んでも構わないと双方は思ったはずだ。

Pの後ろでは退屈そうに麗奈が座って観戦している。

『始め』の合図も無く、まるで打ち合わせたかのように二人は互いに向かって走り出す。
というか実際打ち合わせはしてる。だってお互いPだもの。

互いの拳がぶつかり合う。

「南条光は向かったな?」

問いに対して頷くP。

「時子様ももう向かっている」

ピクリとPの肩がわずかに震えた。
そして迷わずラッシュを叩きこむ。

「ぐおぉぉぉぉっ!!!!」

たまらず叫んだ時子Pだが、その顔は笑っている。いや、満面の笑みを浮かべている!

「!!」

その様子に驚いたのは対面していたPだった。
この形式のバトルではまず負けない。現にゴシップとのバトルは未だ負け無しだ。

今叩きこんだ数発で立っていたものは今までいなかった。

「何を驚いている? 俺はあのドSアイドル財前時子担当プロデューサーだぜ?」

「は? きもっ……」

軽くドン引きした麗奈の言葉は逆効果だ。むしろ相手のボルテージやテンションなんかを上げてしまっている。

これにはガヤもドン引きするが、その冷めた視線すらも己の糧としてしまう……!

「こいつ、ただ者じゃねぇ……強い!」

ガヤの一人が叫ぶ。

「俺は今の倍にして返すぜ!」

ドン! っと踏み込み一足飛びでPの懐に潜り込む!
それなりの距離があったのでPは難なく反応した。

一進一退の攻防が続く中、じりじりと押し始めたのは時子Pだった。
ダメージが蓄積すればするほどスピードを増していく……!

ついにPの腹部にストレートが突き刺さり、二発、三発と拳が叩き込まれる!!

「うわぁぁあああああっ!!!!」

大きく吹き飛ぶPは麗奈の前に放り出された。

「やっぱり勝てないじゃない……」

見下ろす麗奈。

「……」

「もうダメね……トキコとやらに譲るしかないじゃない……」

「……」

「じゃあね、このアタシ、レイナサマはアンタには宝の持ち腐れってことね……」

「君がそんな悲しい顔をするなよ」

「!! アンタ……」

Pはよろめきながらゆっくりと立ち上がる。

「光は君と出たいと言った。私は君と光のコンビが見たい。光の隣には君が一番だ。また君の隣には光が一番だ」

「な、何言って……」

「私は諦めない。君は帰らずに会場に向かうべきだ。私が最高の舞台を見せてやる」

「けど、アンタのその身体じゃ、もう……」

「君が信じろ。私が勝つと信じろ。君の声援が、あの高笑いが、みんなの笑顔を作るんだ」

「……」

麗奈は言葉を紡げなかった。いつもと雰囲気の違うPに怖気ついてるわけではない。

「君の言葉に力をもらえる」

その言葉が麗奈に力を与える。

「…………り……さい」

麗奈は俯いていた顔を上げ、目を瞑って大口開けて怒鳴りつけた。

「ガンバリなさいっっ!!!!」

「その言葉が欲しかったぁ!!」

ニヤリと笑うPの雰囲気は、さっきとはまるで違う。

「来るっ!!」

構える時子P。

まさに刹那! 瞬時に移動し拳を放つ!!

「うおおおぉぉぉぉ!!」

顔面に突き刺さったパンチは10メートル以上、時子Pを吹っ飛ばした!

だが彼は笑みを浮かべる。

「足りないぞ! もっとだ!」

「……お望みどおりに」

また始まるラッシュ合戦。ガチンコの殴り合い。
さっきとは違い押しまくるP。

しかし、どんどん蓄積されるダメージとともに強化されていくのを感じる。

「この豚! いつまでその気持ちの悪いアヘ顔を晒しているの? 醜いわね」

「なっ!」

時子Pの動きが鈍る。

「こんな罵詈雑言浴びせられて、ここをこんなに硬くさせちゃうなんてとんだ変態ね?」

急に始まった言葉攻めに時子Pはただ困惑していた。
気持ちよすぎるがために動くことができなくなっていったのだ!!

「き、貴様……う、動きが……」

そうして言葉攻めを続けること5分が経って……。

「……がはっ!」

時子Pは地に伏した。

「あら、もう逝っちゃったのかしら? 逝くなって言ったのに……とんだ豚野郎ね……」

これには周囲のガヤたちもドン引きかと思われたが、時子Pの影響もあり時子のファンになったガヤたちは昇天していた。

「……くっ! 慣れないことをすると疲れる……」

膝をつくP。

「アンタ……やったわね……」

いつの間に駆け寄っていた麗奈。ちょっと引いてはいたが……。

「君は早く行くんだ……」

「肩貸すわよ」

Pの言うことも聞かずに彼女を支える麗奈。

「アンタにも……アタシの最高のステージで笑顔になってもらわなきゃね……」

照れくさそうに言う麗奈だったが、すぐにハッとすると……。

「いっけない! アンタの変な情熱が移っちゃった!?」

「ありがとう麗奈。君の応援に救われたよ」

「ハンッ! あんな野郎に負けたら承知してなかったわ! ていうかアンタちゃんと話せるじゃない!! いつも何であんな無口なのよっ!!」

「すまない」

「フンッ!! ……まあ、ありがと」

「何か言った?」

「何でもないっつーの!!」

そして時間に遅れることなくライブ会場へ……。

本番がもうすぐ始まろうとしていた。

「連れてきてくれるって信じてたぜっ! プロデューサー!」

こくりと頷くP。また寡黙な彼女に戻ってしまった。

「まあそっちの方がアンタらしいわ」

「じゃあ行ってくるよ! アタシはみんなのヒーローさ!!」

「フンッ! アタシは人気者の悪の幹部よっ!!」

どちらか一つじゃ成り立たない。
二人が揃って一となる。一の力は無限大。

頑張れ私のアイドル達。私の笑顔は君たちが作ってるのさ。


おしまい

台詞の前に名前があったほうがわかりやすいかも

反省

楽しかったです(反省してない)

引き続き感想、質問、批評受付中です
してくれると嬉しいです
次の作品の糧にします


そして安価は↓1です

プロデューサー:【下戸】
担当アイドル:【高垣楓】
アイドルとの関係:【お互い意識しているが後一歩が踏み出せない】
その他の要望:【一緒に飲みにいって飲めないPが酔った楓さんに困らされる展開が見たい】

>>331
把握しました


では次回の報告をお待ちください

ふむ……安価については気づきませんでした

フライングを含めて連取は原則無しなのですが、
今回は二つの設定ともフライングしてたので
先に正規の安価を取った>>331にします
次は気を付けてね

>>327
自分自身の変なこだわりがあって、地の文ありの時はセリフ前に名前を表記したくないのです。
分かりにくいと指摘されてるにもかかわらず、身勝手な理由で助言を無下にしてしまい申し訳ありません。
これからも読んでいただけると幸いです。

こんばんは。
設定>>237を明日の22:30頃に投下予定です。
一応閲覧注意ということで、お一つよろしくお願いします。

今さらですがミリオンの全国ツアー最終日、
千秋楽だけあって最高でした。

そしてモバマスでは総選挙開催中!
中間発表では卯月ちゃんが堂々の一位です。
このスレの二作目に登場している美優さんもタイプ別では二位!


今後ともアイマスとこのスレをよろしくお願いします。

『タイトル未定』


「Pさん……」

不安そうな表情と声で、アイドル佐久間まゆは自分のプロデューサーの名前を呼んだ。

夕飯の食材を買いに外へ出たのが日の落ちる前だったのに、寮へ戻っている今現在、すでに日は落ち辺りは暗くなっている。

暗くなる前に帰ろうと心がけていたまゆだったが、買い物に時間がかかってしまったらしい。

早く帰ろうとまゆの足取りも速くなる。

こんなときPさんがいてくれたらどれだけ心強いか……。

寮まではそんなに距離があるわけでもない。
しかし、何度も誰かにつけられてると感じれば恐怖も増す。

「Pさん……怖い……」

一定の距離、同じ歩幅、同じ足の出し方をしてるのが何となくわかる。

ついにまゆは走り出す。

後ろからついてきていた足音も彼女と同じ歩幅、速さで追いかけ、まゆを逃がさない。

「はぁっ……! はぁっ……! 誰かぁっ!! 助けてっ!! Pさんっ!!」

誰もいない。

なぜこんな道を通らなければならないのか……。
まゆにはそのことすら理不尽に思えてしまう。

走って逃げて、ようやく自分の暮らす寮に戻ってきた。

時間にして数十秒ほどの出来事には違いないが、まゆの体感では数分にも数十分にも感じられる。

急いで門をくぐるとまゆはようやく安堵した。
ついてくる足音も聞こえなくなる。

もうダメだ。明日は相談しよう……。
心に誓うまゆだったが、もしそれで他の人に危害が加わったらと思うとゾッとする。

これで何回心に決めたのか分からない。でも言い出せなかった。

さらに宿舎の入り口に入り、一応と思って、まゆは振り返った。

門の前には………………誰もいない。

緊張も無くなり、心臓の鼓動さえも落ち着いてきた。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。


ナ ゼ ニ ゲ ル ン ダ ?


「ひっ!!」

確かに聞こえた。ハッキリと……。
静寂の闇の中を注視しなければよかったと、まゆは思った。

安全であるはずのその場からも逃げるようにまゆは寮のさらに奥へと、自室へと逃げ込んだ。

他のアイドルも暮らす中、挨拶もせずに廊下をバタバタと走り抜けた。

自室に入ると荷物を投げ置き、すぐに布団に包まった。
片付けも着替えもせずに、ただ今日のことを忘れたかった。

「イヤ、嫌嫌嫌嫌嫌っ!! 怖い、助けて、Pさんっ!!!!」

けれども忘れようとすればするほど、あの声が、あの足音が、あの視線がまゆの脳裏に深くこびり付いて、より鮮明になっていった。

まゆはひとしきり泣いた後、多少は落ち着いてきたのだろう。

家事に炊事に美容などもしっかりやろうと思い立った。冷静になり、自室は安全だと考え直したのだ。

布団から少しだけ顔を出し、部屋を見渡す。

安全だ……安心だ……自分の部屋にいるはずないと思いながら恐る恐る見渡した。

当然、誰もいなかった。

心は落ち着かないまま、夜を過ごす。

一通り明日の準備が整い、やることも終わったので、まゆは寝ようとベッドに潜る。

明日こそはPさんに相談しようと、まゆは再度自分に言い聞かせた。

電気は……消したくない。
けど光熱費もかかるし睡眠も浅くなって健康に良くない。

まゆは意を決して電気を消し、急いでベッドに戻った。

仰向けでは寝たくない。
枕を抱くようにして目を閉じた。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。


イ ツ モ ミ テ ル ヨ ?

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

まゆは悲鳴を上げて飛び起きた。
いつでも見ていると……そんな言葉が聞こえたからだ。

しかし外はすでに明るい。どうやら声を聞いたのは夢のようだ。

額から、首から、脇から、背中から、びっしょりと寝汗をかいていた。
昨今の夜は暑いはずもない。その日なんて最低気温が9℃程度の寒い夜なのだから。

すぐに身体は冷えてきて、まゆはぶるりと身を震わす。

「早く着替えよう……」

見られてる感じはしない。やっぱり夢だったんだ。

朝こそは安心だ。

出勤までは時間がある。

ゆったりとした時間を過ごせる。

Pさんのためにお弁当も作ってあげよう、なんて考えたりもできる。

「ふんふんふーん♪」

鼻歌も交えて昨日のことなんか嘘のように、無かったかのように振る舞ってみるのだ。

それでも心は落ち着かない。
早くPさんに会いたい気持ちは変わらない。

怖い気持ちをやわらげたいのももちろんある。彼がいるとまゆは安心するからだ。

でもそれ以上に彼が好きなのである。
まゆにとっての特別だ。

彼に迷惑を掛けたくはないのだが、もうそろそろ、まゆ自身限界だった。
今日こそ言う。彼はきっと親身になって話を聞いてくれるはず。

まゆは不安と期待を胸に自室を出た。

おはよう、おはようと挨拶をされ、挨拶を返していく。

他の子に頼ろうとも思ったが、それもできない。
他の女の子に危害が加わったらと思うと、十代の少女には怖すぎるのだ。

外を歩くのが怖い。朝なのに、たかだか10分程度の道のりなのに、気を張ってしまう。
せめて他の子と一緒に来ればよかったと後悔してももう遅い。

しかし何事も無く事務所に着いた。
寮があるほどの事務所なので大きな会社だ。

「Pさん、おはようございます」

「おはようまゆ」

とっても素敵な笑顔で出迎えてくれる。

まゆはそれだけで心が軽くなった。

「…………Pさん」

力のこもった眼差しでPを見つめる。

「どうしたんだ?」

言え、言え……という思いと、言うな、言うな……という思いがせめぎ合ったが、この人なら何とかしてくれるという信頼がまゆに勇気を与えた。

「あの、実は……」

これまでの経緯を話した。
Pは話を真剣に聞いてくれた。そのことが嬉しくって、まゆは話しながらたくさん泣いた。

「そうか。怖かったな……」

Pはそう言うとまゆを優しく抱きしめた。

温かい。話してよかった。救われた。

まゆは心の底から安堵した。もう終わるんだとさえ思った。

「今日のところは仕事をキャンセルしておくから、俺と一緒に警察に相談しに行こう。俺もまゆの送り迎えくらいするからさ」

「いいんですか?」

「当然だろ。これ以上担当アイドルを怖い目に合わせるわけにいかないしな」

それからPとまゆは警察に行った。

しばらく近辺警備を強化するとのことだった。
それに対してPは強く反論したが、実害が無ければどうすることもできないとのことだ。

「実害ならこの子の心が被ってます!!」

まゆはそう言い放ち激昂するPをどれだけ頼もしく思ったことか。

結局、それだけで夜になり、Pはまゆを送っていった。

「ごめんな、まゆ」

「いいえ、いいんですPさん。とてもかっこよかったですし……逆にご迷惑かけてしまってごめんなさい」

「迷惑なんて……何言ってるんだ。そんなわけないだろう。俺のアイドルなんだから困ってたら助けるのが当たり前だろ」

「ありがとうございます。ふふっ……!」

「うん、やっと笑ったな」

「え?」

「ずっと怖い顔してたから大丈夫かなって思って……」

「お気遣いありがとうございます」

「さて寮の前だ。お疲れさま。明日も来るよ」

「はい、さようなら」

本当に言って良かった。

まゆは軽い足取りで自室に向かう。すれ違う女の子たちとも普段通りに挨拶を交わして元気な姿を見せていた。

すれ違う子からも、心配してくれていたようなこと、以前はやつれていたこと、避けられていたのではないかということ、その他いろいろなことを言われた。

気兼ねなく友人と話ができるのもとても嬉しかった。

自室に戻る。
犯人はここまで来れるはずがない。

後はストーカーが逮捕されるのを待つだけだ。

暗い部屋に明かりをつけて荷物を降ろす。

まゆは気が抜けたのか、今までの心労から解放され、どっと疲れが出てきた。
ベッドに座り、そのまま後ろに倒れると重たい目蓋をそっと閉じた。

まゆが目を覚ますと同時に違和感を覚えた。
身体が上手く動かせないような気がしたからだ。

上体は起こせたが、頭の周りも何かに締め付けられてるような圧迫感がある。
周囲はすでに真っ暗で何も見えない。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

おかしい。

縛られてる。

目も口も塞がれてる。

動けない。

人の気配を近くに感じる。

怖い。

「……んーーーーーーっ!!!!」

まゆはとにかく叫んだ。

どこかわからないがおそらく自室。
嗅ぎ慣れて無臭になってる部屋のはずだ。

何よりこのベッドの感触はまゆのもので間違いが無かった。

誰か来て、助けて、という思いをありったけに込めて叫ぶが、大きな声は出るはずもなく、誰に気づかれることもないだろう。

服を破かれる感触がするが、手足を強く縛られている。
感触からして自分の衣装のリボンに間違いが無かった。

Pさんとの思い出の衣装がこんな使われ方をしてるのが悔しい。涙が止まらない。

目を縛ってるリボンが水気を帯びる。まゆの涙を吸い込んでいた。

「んむーーーーーーーーっ!!!! んーーーーーーっ!!!!」

叫んでも誰も来ない。
ただ目の前の人間が静かに笑ってる気がした。

それでも叫んでいると、まゆの頬に重たい衝撃が走って、びりびりと痺れたあと、じんわりと熱を帯びていく。

「んーーーーーーっ!!!!」

再び、今度はまゆの反対側の頬に衝撃が走った。またしても熱を帯びていく。

「んーーーーっ!!」

もう一度、ゴッ! という鈍い音。
まゆは倒れる。

「んーーっ!」

ゴッ! もう一度。
まゆは誰かに、馬乗りにされてると分かった。

「んっ……」

ゴッ! もう一度。
まゆは声を出すのも辛くなってきた。

「……」

まゆはついに黙った。
口中に鉄の味が広がった。

鼻から流れる液体が水なのか血なのかも分からない。
だが、ぽたぽたと鼻先を流れる感覚がまゆに血だと思わせる。

服を脱がされる。

下着が脱がされる。

縛ってる箇所を通して脱がせることはできないので、はさみだろうか、何か刃物で服を切られた。

もはや抵抗することもできなかった。

カシャ、カシャ、と無機質な音がまゆの耳に入る。

写真を撮られてるのだろう。

アイドルとしても女としても世に出回ったら恥ずかしい写真。
きっと高く売れるのだろう。

数分間、そんな音を聞いた後、人の手がまゆの頬を撫でる。

耳に触れる。

首をさすって。

胸を触る。

温かいな……心地いいな……。
もはや彼女を虐める人間の温もりさえまゆの心を満たしてしまうほどだった。
それほどまゆの心は壊されて、されるがままに弄ばれる。

いろんな場所をいじられて、たっぷり感じさせられる。

Pさん、助けて……。Pさん……。Pさん……。
そんな音の無い助けは言わずもがな無意味であった。

本当は嫌なのに身体は正直だった。
まゆの膣内はびしょびしょに濡れていて、血なのか涙なのか汗なのか分からないが、全身もぐっしょりと濡れていた。

まゆの恥部にあてがわれ、中に入ってくる。男のモノが……。

息が苦しい。

けれども涙さえもう出ない。

彼女の華は無惨に破られ、腹の中から痛みが走る。
それでも声は出てこない。

全身を愛撫され、激しく陰茎を出し入れされ、痛みの中に徐々に快楽の色が混ざり始める。

ああ、PさんPさん……!

もはやまゆは今この状況で、犯してる男をPに脳内変換して現実逃避と同時に、この事実を受け入れようとしていた。

「……ッ!!」

絶頂の快感がまゆを襲う。

Pさん気持ちいい……。Pさんごめんなさい……。

自分が何者なのかすら曖昧な認識で、拒絶する心と昂る気持ちが矛盾するように混在した。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

翌日の事務所。

「まゆ、遅いな……」

心配そうに一人呟くのはPだった。

正午になっても彼女はやってこない。

連絡も無しに遅刻するなんて珍しいとPは思った。

そうしてさらに二時間が経って、デスクワークをしていたPはさすがに席を立った。

「遅すぎる」

まゆを送っていってる寮までの道のりをいつもより少しだけ早く歩く。

何だか嫌な予感がする。

まゆの身に何か起こっていなければいいけど……。

Pは自分の拳がじんじんと痛むほど強く握り彼女の無事を祈った。

寮の管理人に社員証を見せ、佐久間まゆの部屋番号にたどり着く。

いくらチャイムを鳴らしても、いくらノックしても開く様子などとてもない。

管理人は急いでマスターキーを使って部屋を覗く。
……その光景は悲惨なものだった。

散乱している衣服や化粧品、他にもあらゆるものが散らかっており、荒れに荒れてる部屋の中。

ベッドに無造作に投げられたかのような、全身を縛られ、服は裂かれ、肌を大きく露出して、ところどころに赤い染みがついたアイドルのまゆ。

こんな姿の彼女をアイドルと呼べるのか甚だ疑問だった。

「……ま、まゆ!! 救急と警察っ!!」

Pは叫んで駆け寄った。

管理人は軽く悲鳴を上げたが、すぐに慌てて携帯を取り出した。

間もなくしてパトカーとと救急車が寮の前に止まった。

すぐにまゆは病院に連れていかれた。

「いや、いや……いやあああああああ……!!!!」

目覚めた時の彼女の反応だ。恐怖で狂乱する以外になかった。

医者曰く、酷い外傷は特に無く、安全日だったため妊娠の可能性も少ないらしい。
ただ、心には大きな傷を負ってしまって回復には時間がかかるということだ。

そうして休養としている間はPの家で暮らすことになった。

やはり信頼している男性だけあって、彼のことは気兼ねなく接することができると言うか、以前よりもべったりと接するようになった。

「Pさん♪ Pさん♪」

これはこれで彼女にとって幸せなのかもしれない。

同居してから数日後。

まゆにはまだ入ってないP宅の部屋が一つあった。
入らないようにと念を押されていたのだ。

入ってはダメだがどうしても気になってしまう。

一度くらいだけなら……。

Pのことが好きだし、誘惑に負けてしまったまゆはそっと戸を開けた。

真っ暗な部屋に廊下の明かりが差し込んで、ぼんやりと照らす。

「……………………え?」

息を飲んだ。一瞬言葉が出なかった。

壁一面、いや、天井までにもびっしりと写真が貼られているのが分かった。

それを確認するため、恐る恐る近づいた。

写真に写る人は彼女のよく知ってる人だった。

それは彼女自身なのだから。

「きゃっ!」

小さく悲鳴を上げるまゆ。

一歩後退り、急いで部屋を出ようと振り返る。
しかし、振り返ろうとして背中が何かにぶつかった。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

…………。

ズ ッ ト イ ッ シ ョ ダ ヨ

…………。

…………。


おしまい

反省

ホラーなんて書いたことないですが自分なりに表現してみました
描写が丁寧な方が恐怖感を煽りやすいんですかね?
あとは意味の無いカタカナやスペース、3点リーダを使ったり……
行間にも工夫してみた方が良かったのでしょうか?

ちなみに私はホラー小説はパラサイトイブしか読んだことないです
ぜひ皆さんにおすすめのホラーを教えてほしいですね

さて例によって例のごとく安価は↓1を採用します

プロデューサー:【仕事をバリバリこなすが私生活はだらしない女】
担当アイドル:【響子】
アイドルとの関係:【仕事では響子を引っ張っていって頼られているが休みの日は響子に家事をやってもらうなど私生活では響子に世話になっている】

>>369
把握しました

設定>>331は構想しながら執筆中です
それでは次回の報告をお待ちください

設定>>331を明日11日の21:00を目安に投下します

安価を取りたい方は準備しておくことを推奨します

設定は>>331

『タイトル未定』


「お疲れ様です楓さん!」

第一印象は元気な青年。

青年と言うほどの歳ではないかもしれないが、彼は20代前半と若く、プロデューサーとしては若すぎるほどだ。

そんな彼は、レッスンの終わった担当アイドルの高垣楓にタオルとドリンクを手渡した。

まるでマネージャーのような仕事もこなす。

しかし担当アイドルが彼女一人だから、Pの業務状況は厳しいものであるはずがない。

「ありがとうございます、プロデューサーさん」

「いえ、これも俺の務めです」

爽やかな笑顔が快活な雰囲気の彼にはぴったりだ。

「えっと、次のお仕事がモデルの撮影と、ロケですね!」

嬉しそうに仕事の話をするものなので、楓は彼のそんな期待を裏切れないなと思った。

「プロデューサーさんっていつも楽しそうですね」

「そりゃもちろんです! 自分のプロデュースで一人のアイドルが陽の目を浴びてるなんて、こんなに嬉しいことは他にないですから!」

「ふふっ、いっつも美味しい思いさせていただいてます♪」

「あはは、今日のロケも良さそうな旅館ですからねー。正直羨ましいです。俺も今度行ってみようかな?」

「プロデューサーさんの行きたい場所増えちゃいますね」

「楓さんが悪いんですよー。お料理はいつも美味しそうに召し上がりますし、温泉は気持ちよさそうに入りますし、お酒だって美味しそうに飲むんですから」

「だって本当に美味しいんですよ? プロデューサーも飲んでみたらいかがですか?」

「俺はいいですって! 本当に弱いし、迷惑かけられませんから」

「気にせずに迷惑かけてください。プロデューサーと飲みたいですし」

「それだけは絶対ダメですってば」

「いいじゃないですか。少しだけでいいんですよ?」

「少しでもきついですよ……。去年の忘年会では5杯しか飲んでないのに、気が付いたら当時マネジメントしてたアイドルの部屋のベッドで寝てたんですよ……? 何も無くて良かったですけど、それ以来怖くて飲めません……」

今年からプロデューサー業務を任されたPは、とにかくスキャンダラスなことには敏感だ。
その時は本当に何にも無かったらしいが、すっかりトラウマになってしまったようだ。

「えっと、その子って誰でしょうか?」

楓の目の色が変わったような気がして、Pは若干たじろいだ。

「そ、その子の名誉のためにも黙秘です!」

「本当に何にも無かったのならいいですけど……」

ムスッとしたり心配そうな表情を浮かべたりと、意外にも豊かな感情表現をすることに、Pも最初の頃は驚いていたが今では慣れた。

その豊かな表情に気が付いたのは担当を受け持ってから二ヵ月くらい経った後だ。

同期や先輩にそのことを話しても嘘だと言われてしまうのが、Pがちょっと不思議に思ってるところでもある。

「ありませんよ。俺もスーツのままでしたし。でもなぁ……何にもしなかったのは幸いですけど、男としてはどうなのかなって思いますよね」

「誠実で良いことだと思いますよ?」

「……楓さんがそう言うなら、プラスに受け止めますけど」

「もし何かあったら、それこそ軽蔑してると思います」

「ですよねー」

「……飲みに行かなくてもいいですから、今度ご一緒にお食事でも行きませんか?」

楓が話を戻し、そう切り出した。
彼女の心拍数はぐっと上がるが、Pには気付く術があるはずもない。

「ええ、ぜひ行きましょう。今日でもいいですよ?」

笑顔で応えるPに、楓はホッと安堵した。

「今日はお仕事あるじゃないですかぁ……」

「旅館でご一緒に……」

「……」

「……なーんて冗談です」

楓は一瞬硬直したが、冗談なんて言われては少し複雑な気分だ。

「どうしました?」

「何でもありません」

「じゃあまた今度にしましょう。明日とかどうですか?」

「早い日程がいいんですか?」

「いえ、そういうわけじゃないですけど……早い方がいいじゃないですか?」

「私はいつでも構いませんよ?」

「そうですか」

どうやら追々決めていくことになりそうだったが、この二人はこういった約束をする話を必ず忘れる。

それで時が経てば、そんな話してましたねー、などと掘り返しはするもののまた約束し忘れるのだ。

最終的に、今日なら空いてますー、と言って計画性も無くその日にお出かけする。

「そろそろお仕事に行きますか!」

「そうですね。プロデューサーなんだか元気ですね」

「元気だけが取り柄ですから!」

「ふふっ……! なんだか私まで元気貰っちゃいます」

「おお、それなら良かったです! 楓さんが元気無いままじゃファンも悲しくなっちゃいますからね。もちろん俺もですよ」

「まあ、それは大変です。高垣楓、今日も元気にやっていきまーす」

とかなんとか、まるで学生のノリで出発していくのだ。

現場までは、車を使う時もあれば、電車を使う時もあり、歩く時だってある。
駅まで行くのに歩くだろう、とかそういう野暮なことは抜きとして。

Pはこの時間が結構好きだ。

車の中ではお互いの好きな曲を流しながら、ラジオを聞きながら、テレビを見ながら、絶えずお喋りして現場まで……。

電車と徒歩では、変装に二人で試行錯誤したり、旅行気分でゆったり特別車両に乗ったり、初めての場所で初めて入るカフェやレストランも新鮮で、会話のネタが尽きない。

知らない道で迷子になるのも時には一興。

そこらの屋台で買い食いするのも楽しい一時。

帰りに寄り道するのだって心躍るものがある。

今日は歩いて、撮影所まで足を運んだ。

「あ、あそこのクレープ屋さん美味しいですよ」

「私も食べたことあります。生地がパリパリで美味しいですよね」

「楓さんも経験者でしたか!」

「今度一緒に食べますか? クレープを二つクレー……なんて、ふふっ……!」

「はははっ! クレープの『プ』はどこ行っちゃったんですか?」

「おしゃれな雰囲気を出すために略してみました」

「おしゃれも何もありませんよ」

ますます可笑しいなと笑うP。
他の人が聞いたらまず愛想笑いか苦笑いだろうが、彼はこんなくだらない会話にも面白そうに笑って返すのだ。

「あ! おしゃれとシャレでかけてたんですね!?」

「そこに気付くなんて、さすがはプロデューサーです」

「そのドヤ顔なんですか!?」

それでもやっぱり会話の内容はくだらない二人だった。

そんな楓もモデルの仕事となればキャラクターが変わる。
どんな女性も憧れるような細くて美しい肢体とキリリとカッコいい表情に誰もが心を奪われる。

自分で決めるポーズも様になっている。
たまに変なポーズをとるが、周りは苦笑いで、Pだけがクスクスと笑っている。

この前は、フリフリなドレスに似合わない敬礼を決めてPは腹を抱えていた。
しかし周囲は目を疑ったような反応ばかりだった。

そんな写真はもちろん没。
その後、可愛く写った写真がしっかり選ばれた。

つまるところPは笑いのツボが浅いのかもしれない。

それともPだけが楓が悪ふざけしてることを知っているのか。

お仕事は真面目に……よりも楽しく! がモットーのプロデューサーなので、多少のおふざけも許容しているのだろうが、楓がやると真面目なのかふざけてるのかよくわからない。

それでP以外が混乱してしまうこともしばしばあるのだった。

「楓さん。今日の撮影もお疲れ様です。とっても良かったですよ! あの悲劇のヒロイン風が俺的には特に良かったです!」

そう言っては思い出して笑う。

「やっぱりプロデューサーはわかってくれました?」

「ええ、あり余るあの不幸のオーラ……ていうかどうやって不幸成分出してるんですか?」

「実は簡単ですよ? こう、日本酒を飲もうと思って瓶を手に取ったらほとんど空っぽだったことに気付いた時の気持ちで……」

「それおっさんの気持ちじゃないですか!?」

「おっさんの気持ちになるですよー」

「あはははっ! やめ、やめてください……!! くくっ……! 仁奈ちゃんそんなこと言わないですからね絶対……!」

「でも私、この前仁奈ちゃんが『ミズキお姉さんの気持ちになるですよー!』って言って『わかるわ』と『わかりやがりますか?』を交互に連発してた時はさすがに笑っちゃいました」

「何ですかそのエピソード? 想像したらじわじわ来るんですけど……」

「エセ、エスパーゆっこの気持ちになるですよー!」

「ちょっ、今噛んでないですよね!? わざとですよね、わざとエセって言いましたよね!?」

「ムムムーン!」

「地味に他の子の真似上手いですね。仁奈ちゃんはさすがに無理がありますけど……」

「ムムムン! ムムムン! ウーサムン!」

「ぷふーっ! ゆっこちゃんからの菜々ちゃんはずるいです! ウサムンって、何かが蒸れてそうな名前じゃないですか」

「ムムムン……ムム……ムフッ! いきなりそんなこと言わないでください……ウサムン……ふふっ!」

「自分で言って自分でウケないでくださいよぉ……」

この時、周囲は思った。
こいつら仲良いなぁ……と。

【ロケのお仕事にて】

本日、二本目のお仕事は旅番組のロケと見せかけた旅館紹介番組だった。

楓が旅館に取材に行き、お食事と温泉を楽しんで一泊するだけの企画。

これが意外にも人気が出ている。
端的に言えば、視聴率が右肩上がりであると言うことだ。

そんな番組に影響されたのはテレビを見ているファンやお茶の間だけではなく、案外近くにも潜んでいた。

「……」

撮影の様子を黙って見守るのはPだ。

この時ばかりは笑ったりせずに見入ってしまうのだ。
楓のタオル一枚の姿にではない。そもそも下着も着てるし……。

楓のリアクションに見入ってしまうほど、とても気持ちよさそうに温泉に浸かるのだ。

「はふぅ……とっても気持ちいいですねぇ……」

立ち昇る湯煙、透き通るような白い肌を滑らかに伝う滴、程よく紅潮した頬、恍惚とした表情に、落ち着いた吐息。

その一挙手一投足が自身を宿へと導かんとする甘美な誘惑を秘めている。

Pはごくりと息を飲む。今すぐスーツを脱いで温泉に入りたい……。

しかしそれは許されない……!

まだ撮影中だからである。

楓が浴場を出て、食事をする時になっても誘惑は続く。

部屋に用意された料理の数々。

小さな鍋に、魚のお造り、鮮やかな見た目の食事に思わず涎が流れそうになる。

「いただきます」

手を合わせてそう言うと、目を輝かせてお箸を手に取った。

「う~ん、美味しいですねぇ……」

うっとりとした表情を見せて舌鼓を打つ。

もうカメラがあることなんか忘れているようで、ビールを飲み、日本酒を飲み、焼酎を飲み……とやりたい放題。

そんな内容の番組だが、だからこそ人気が出たのかもしれない。
楓に宛てられるお手紙は、だいたいこの旅館番組の内容だったりするからだ。

『飲みっぷりが気持ちいい』

『温泉すごく気持ちよさそうに入りますね』

『こんな料理一度食べてみたい』

とかそんな感じだ。最後のやつは楓のことと関係ないじゃないかと思わなくもない。

撮影が終わったとなるとスタッフたちもようやく一息つける。

朝になるまで機材調整や早朝撮影の打ち合わせ……いろいろと仕事は山積みだ。

そんな中ゆったりとお酒を飲み、旅館の中をブラブラし、眠くなったら寝る。
実に自由な楓だった。

「ふわぁ……朝、起きれるかなぁ」

対照的に翌朝のことを心配するのはPだった。
打ち合わせも長引いてしまい、楓よりも早く起きなければならないのだから睡眠時間は4時間かそこらだろうか。

なかなかきついなー、と思いながらPは大きく欠伸をした。

それでも結局、時間通りに起きて、予定通りに事は運んでいくのだった。

「お疲れ様でしたー」

楓はとてもご満悦なようだ。

彼女の仕事の風景とはこんなものなのである。

そんな彼女の悩みは人気が出てき始めてPとの時間が少なくなってきたこと。
彼といるのは楓も楽しいと感じているのだった。

あとできればPと一緒にお酒を飲みたい。

彼女は無類の酒好きだった。
しかしPは飲めないときたものだ。

うぅむ……と頭を悩ます彼女。もっと別のことを心配する必要がありそうなものだが……。

そもそも彼はガード(?)が堅く、一緒に居酒屋に行っても飲んでくれないし、宅飲みなんかもってのほかだ。

アイドルの部屋に入ることなんて絶対しないし、アイドルを部屋に招くことも絶対しない。

楓はそのことを考える度に、一度お持ち帰りしたアイドルを深く羨ましく……というより妬ましく感じるのだった。

妬むと言っても、くっ……そのアイドル羨ましい、と拳を握って震わせるくらい。

考えに考えた結果、楓は事務所飲みというのを企画しやがった。

「ほら、プロデューサー。これならいくら飲んでも記事には載りませんよ?」

「そういう問題じゃないんですけど……」

缶ビールと缶チューハイの山。

これを二人で飲むつもりだったのかと思うと、飲んでもないのにPはすでに気持ち悪くなってきたような気がした。

「私は開けますよー♪」

楓がタブを引くと、カシュッ! と小気味のいい音が部屋に広がる。

「んくっ……んくっ……!」

かつん、と缶をテーブルに置いて満足げにむふーっと息を漏らす。
そして屋台で買ってきた焼き鳥の盛り合わせに手を付けると、はむっと豪快に頬張った。

「ん~っ♪ ビールに合いますねー♪」

あんまり美味しそうに食べるものだからPもついついごくりと喉を鳴らした。

Pは業務も終わったのでさっさと帰ればいいのに、楓が酔った時のための付き人、あるいは帰りの足として待機しているのだ。

曰く、アイドルを危険な目に合わせられないとか……。真面目な人間だ。

「プロデューサーはいらないんですかぁ?」

Pの前で焼き鳥をフリフリさせる。傍から見れば嫌な女に違いない。

「俺も食べたいっす」

「ビールがよく合いますよ?」

楓は早くも二本目を開けた。
焼き鳥を頬張って、ビールを飲む。

「ぷはぁっ! 焼き鳥のタレ、塩、両方に合いますね! この広がる香ばしさをビールで流して喉越しに伝わる瞬間が溜まりません!」

何の宣伝企画だと言わんばかりの猛アピールに、Pの牙城は崩壊寸前だった。

「ここなら朝まで過ごせますし、誰に見られることも無いんですよねー」

独り言のような口調でPの方をチラチラ、チラチラ、としつこいほどに見る楓。
彼女の手には未開封の缶ビール。

しかもその手はPに向けられている。

「……」

「女一人で飲むなんて何だか寂しいです……」

「も、もう……どうなっても知りませんからね?」

Pから顔を背けて、計画通り、と影を帯びた表情をしつつも瞳がきらりと光る。

それから二人で飲んでいく。
Pは飲み始めたと言えどセーブしてるみたいで、あまりお酒が進まない。

「もっとぐいっと行っちゃってー♪」

唐突に始まるコールにPは吹き出しそうになる。

「な、なんでそうなるんですか!? ……しかも二人なのに」

笑いが抑えきれない。

「Pのいいとこ見てみたーい♪」

「ていうか宴会のノリですからねそれ!?」

と言いつつ気分が乗ってきていたPは残りの200mlくらいを一気に飲み干した。

「はいどうぞ」

手渡された新たな缶ビール。

「ちょ、無理です!」

「無理じゃないです!」

完全に厄介者と化した楓。
こんな先輩がいたらヤだなーと思いながらPは少しだけビールを煽った。

「全部いかないんですか?」

「辛くなるのは目に見えてますから」

それでも楓はPがお酒に手を付けてくれただけでご満悦らしく、テンションは上がる一方だった。

「プロデューサーって女性経験ありますかぁ?」

「え? なんですか急に……」

「女の子とちゅーとかしたことあります?」

「……そりゃありますけど」

「どんな風にするんですか?」

「えっと……普通に……」

「普通じゃ分かりませんよぉ……ちょっと私にやってみてください」

「はい?」

「だからプロデューサー早く私にちゅーしてみてくださーい」

「しませんよ……」

「えー? けちけち~」

「あははは……! ちょっと酔っ払いすぎですよ楓さん」

「王様ゲーム!」

突然叫ぶ楓にPはびくりと震える。

「な、なな何ですかいきなり?」

「王様ゲーム!」

「わ、わかりました! でも二人で王様ゲームってどうなんですか?」

「私がずっと女王様~」

「ええええ…………?」

「プロデューサーは私のほっぺにちゅー」

「いや、だからしませんって……」

これにはPも苦笑い。

「ちゅー!」

「しない」

頑なに拒んでいると、うるうると瞳を潤ませて上目使いで覗き込んできた。

「私のこと嫌いなんですか?」

「いや、そうじゃないですよ全然……」

「じゃあしてもいいですよね?」

「それとこれとは話が違いますから」

「…………ちっ」

「あ、今舌打ちしましたね?」

「してませーん」

「しましたよ」

「してないもーん。人を疑ってばっかのプロデューサーにはお仕置きが必要ですね」

「お仕置きってなん……!」

楓はPにすっと近づくと、キスをした。

咄嗟の出来事に一瞬困惑するも、すぐさま距離を離そうとするPだが、覆いかぶさるようにして楓がソファに押し倒す。

抵抗しようにも若干ぐるぐると回る視界のせいで上手く力が入らない。

「……!!」

舌まで入ってきて、さっきまでも赤かったPの顔は最高に紅潮した。

ていうかキス上手いんですけど……などと考えつつ、もはや抵抗する気さえなくなった涙目の彼。

楓はようやく口を離した。
とても楽しそうな、満足そうな笑みを浮かべるものだから、Pは彼女を魔女みたいだと思った。

「きゃ、か、か楓さん……」

「何ですか~?」

「……お酒臭い」

「……」

「わーっ! 嘘です! ごめんなさい! ごめんなさいっ!!」

無言でまた顔を近づける楓がちょっと怖かったらしい。

「もう、そんな反応されたらちょっと傷付きますよ?」

「俺だってあんな無理矢理されたら嫌にもなりますって」

「ふふっ……ごちそうさまです」

「もうそのセリフがちょっとお年寄りっぽいですよね」

「……」

「違います! 大人の魅力を感じますっ!!」

「ならいいですよね?」

「ちょっと待っ……む~!」

また捕まってまうP。
逃げようとするPと追う楓。二人ともソファから転げ落ちた。

Pは倒れたまま後退るが、楓の舌はPの舌を絡めとる。

結局壁に押し付けられる。

もはや何もできないPは、楓さんの顔綺麗だなーとか、楓さんキス上手いなーなどと考えるしかなかった。

「ふあぁ……どうですか?」

口を離してまず聞いたことがそれ。

「……」

正解の答えが見出せずに黙るP。

「悪くないね」

ぐるぐる廻る思考が導き出した答えは、上から目線の偉そうなものだった。

「やった。悪くないですか」

それでいいのか楓さん、と思いつつ自分はお酒飲むのやめようと改めて思うPだった。


翌日になって目が覚めればそこは事務所。

寄り添う楓を見て昨日の出来事が夢じゃないと確信すると大きなため息が出た。
昨日のことを思い出しただけで胸がどきどきする。

この人はまったく俺の気持ちも知らないで、と寝ている彼女を軽く睨んだ。

とりあえず他の人に見られる前に片付けよう。

ささっと掃除と換気をして元通りにしておいた。

本日、楓に仕事は入っておらず、Pは心底ほっとした。

そういう部分はメリハリがあってやはり大人だなぁと感じる。ハメの外し方が上手いと言うか何と言うか……。

「うぅ……プロデューサー……」

「はい? ……寝言?」

全く起きる気配が無いのでどうやらそうらしい。

「……いつもお疲れですし、今日くらいはゆっくりさせてあげます」

そう言えば彼女、以前こんなことを言っていたのを思い出した。

『女は好きでもない相手と一宿したりしませんよ』

旅番組の時だっただろうか?

どういうシチュエーションで言ったのか思い出せないが、今聞くと、どうしてなかなか
意味の深い言葉に思えてきた。

「俺だって同じです。好きでもない人と一緒にお酒なんて飲みませんよ」

昨日の仕返しとばかりに、彼女の頬にキスしてやった。

「……」

しっかりと目が合った。

「うわぁ!!」

後ろに思いきりよろけるP。

「な、何してるんですか?」

ふらりと寝ぼけ眼で、頭を押さえながら起き上がる楓。

「え、いや、昨日の仕返し?」

「昨日、私何かしました?」

「……えっ?」

「……えっ?」


おしまい

反省

ほとんどのお話を通してオチが弱い気がします
次回はもうちょっと考えて書きたいと思います

このあとPは楓さんを一日中無視したんでしょうね


安価は↓1です
どうぞよろしくお願いします

プロデューサー:【彼女持ちで婚約中】
担当アイドル:【橘ありす】
アイドルとの関係:【ありすは自分が大人になったらPと付き合うつもりだったのに待ってもらえなかった、Pはありすを恋愛対象とは見れない】

>>398
把握しました

執筆の速度が遅くなってますので気長に次回の報告をお待ちください

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