ちひろ「キューティー・ビューティーな25歳! 千川ちひろでーす♪ キャハっ☆」 (24)

【モバマスSS】です


――――事務所

ちひろ「って言う感じで今後はいこうかと思うんですけどどうでしょう! 最高にイケてますよねっ! ねっ♪」

楓「そ、そういわれましても……大丈夫ですか? 酔ってます……?」

夏美「ち、ちひろさんが壊れちゃった!? ど、どうしようこういう時は……!」

真奈美「落ち着きたまえ、とにかくこれは病院に連れて行くしか無いだろう、今すぐ。瞳子、急いで救急車の手配を」

瞳子「待って……今119番するから」


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※千川ちひろ
http://i.imgur.com/TjheXoP.jpg

※高垣楓
http://i.imgur.com/KUBP9qO.jpg

※相馬夏美
http://i.imgur.com/hvrE4fK.jpg

※木場真奈美
http://i.imgur.com/3o4H2Gj.jpg

※服部瞳子
http://i.imgur.com/hvMmzix.jpg


ちひろ「あれー、なんだか思ったのと……いやいや待って下さい! 救急車呼ぶのストーップ! 私は大丈夫ですって!」

瞳子「で、でもどう考えても普段のちひろさんとは違いますから……」

ちひろ「そんなことありません! 私はいつもこんな感じで明るく元気に前向きに! みなさんを笑顔にしてるじゃないですか♪ ブイッ☆」

真奈美「……重症だ、やはり病院に連絡を」

楓「あ、もしかしたら事務所にあるお薬でも、ある程度応急処置くらいは出来るかもしれません」

夏美「で、でも実は頭を打ってたりとかそういう場合だと薬じゃ意味ないかも!」

楓「そうですよね……うーん、困りました……」

ちひろ「あのー、みなさーん、私の話もきいてくださーい」

真奈美「なんだねちひろさん。いや、ほんとにちひろさんなのか? もしかして偽物という可能性も……」


ちひろ「いやいやそれこそありえませんよ! こんなとってもセクシーでラブリーな25歳の女の子が他のどこにいるんでしょう!」

真奈美「むしろスプーキーでクレイジーな人にしか見えないぞ私には」

夏美「今のちひろさんをセクシーだキュートだと感じれる人がいたら多分そっちのほうが問題な気がするわね」

ちひろ「え、えぇ……なんでそんな評価なんでしょう……ちひろ、泣いちゃう! えーんえーん……」シクシク

楓「ひっ」

真奈美「……少なくとも君が本物のちひろさんだと言うなら、今すぐその恐ろしい言動を止めたほうがいい、でないと」

ちひろ「でないと?」

真奈美「今の君を見たら、仁奈を含め子供達は必ず泣くぞ」

ちひろ「……それは困りますね。分かりました、キャラの変更はこれで一旦終了にします。皆さん、ご迷惑をお掛けしました」ペコリ


瞳子「……この感じ……いつものちひろさんに戻ったの……?」

ちひろ「もう大丈夫です瞳子さん。しかしイメージ改善のために試しに言動を変えたのが、ここまで不評になるなんて思いませんでした」

夏美「イメージ改善どころかもう色々と怖かったわよ!?」

ちひろ「むぅ……」

楓「それで、どうしてまたいきなりキャラを変えようなんて思ったんですか? そもそも、さっきの言動は一体……」

ちひろ「先程のしゃべり方などは、本来の私よりとしう……コホン、キュート属性の中でもわかりやすい方である菜々さんを参考にしまして」

瞳子「たしかにちょっと古いポーズもしてたものね……それなら納得よ」

ちひろ「それでキャラを変えようと思った理由は……これはちょっと信じてもらえるかわからないのですが……」

真奈美「なんだね、言ってみるといい。少なくともどんな理由であれ皆さっきまでのちひろさんの姿よりは信じる事ができるさ」


ちひろ「そうですか……まぁ大層な理由ではないのですが、この姿になり千川ちひろと名乗り始めて25年経っていることを思い出したというのがありまして」

楓「……なにをされたらそんなことに?」

ちひろ「普通にお仕事をしていただけで、そうしたら本当に突然自分の年齢を思い出したんです。不思議なこともあるものですねぇ」

夏美「本当に不思議……じゃなくて、普通自分の年齢って忘れないはずよね!?」

ちひろ「色んなことを長くやっていると、細かいことをちょっと忘れちゃうことくらいありますよ」ニコッ

夏美「こ、細かいことなの!? ……う、うーん、でもちひろさんにそう言われるとそんな気がしてきたわ」

真奈美「ともかく事情は分かった。だがどうして年齢を思い出したことが、さっきの妙な言動をすることに繋がるんだ?」

ちひろ「せっかく25歳だったと思い出したのですから、この辺りで一つ風評被害をどうにかしてみようかと考えまして」

瞳子「風評被害……? もしかして、ちひろさんについて時々聞くうわさ話のことをかしら」


楓「うわさ話……私はあまり聞いたことがありませんが、どういったものがあるんでしょう?」

ちひろ「曰く私は鬼や邪神みたいなもので、裏ではどんな悪いこともする腹黒い女で、アイドルの皆さんも平然と物のように扱うなど……」

夏美「なっ……! そんなことありえないわ! 誰がそんな酷い話をしてるのよ!?」

ちひろ「今となっては誰が言い始めたかはもう……私はあくまでアシスタントとしてのお仕事をしているだけのつもりなのですが……」

真奈美「ちひろさんの仕事ぶりは私達も知っている。いつも頼りにさせてもらっているよ」

ちひろ「ありがとうございます」

楓「それにしても……そのうわさ話をどうにかしようとして、さっきの菜々さんみたいなしゃべり方をするのはどうなんでしょう?」

ちひろ「なにかいけませんでしたか?」キョトン

瞳子「言ってしまえば、あれだともっと妙な噂になりかねないわ……ちひろさんなら、まともな選択肢もあったはずだけど……」


夏美「そうね、いくらなんでもあのキャラはちょっとキツイどころじゃないわね」

真奈美「うむ、似合っていれば可愛さもあるんだろうが、なんというか無理をしている感じが強くてな……」

ちひろ「そうでしょうか……私はコスプレが好きで結構可愛い衣装も着ますし、なにより25歳ですから需要には合うかと」

真奈美「需要だと?」

ちひろ「今プロダクションに所属しているアイドルの皆さんの中で、25歳なのはここにいる方で全員なのは知っていますよね」

夏美「もちろん! だからちひろさんが同い年だって分かってびっくりしちゃったわね」

ちひろ「それで属性分けをしますと楓さん、瞳子さん、真奈美さんがクール。夏美さんがパッションでキュートがいないでしょう?」

楓「つまりそこでちひろさんがキュート属性になれば、上手くバランスが取れるようになると……」

ちひろ「はい! なかなか良い考えだとは思ったんですが……」


楓「残念ながらちひろさんのキュートっぷりは私達の心臓をきゅーっと怖がらせちゃいましたね、ふふっ」

瞳子「……くすっ」

楓「やった♪」ガッツポーズ

夏美(……あ、今のダジャレだったんだ)

真奈美「……まぁ、同い年にキュートがいないのは事実だが、だからといってわざわざちひろさんがそうなることもないんじゃないか?」

ちひろ「ですが、せっかく年齢を思い出せたのですから、この辺りでどうにかして風評被害を一掃しないと……」

夏美「だったら、そういうことをちひろさんだけが頑張らなくてもいいじゃない」

ちひろ「えっ?」

瞳子「そうね、みんなどこかで必ずちひろさんには助けて貰っているもの……その人が同じ年齢だと分かったのなら」


真奈美「ああ、同い年の仲間として、私達にもなにか協力させてくれたまえ」

ちひろ「そ……そんなの駄目ですよ! 私個人の評判をどうにかするのに皆さんに手伝ってもらうなんて!」

楓「いいじゃないですか。それに、これはきっとちひろさんだけの問題じゃないですから」

夏美「私達の頼れるアシスタントが鬼や邪神だと言われてるままだと、なんだかすっごく嫌な感じだものね♪」

真奈美「そういうことだ。だからちひろさん、困っているなら頼ってほしい。私達は仲間じゃないか!」

ちひろ「皆さん…………分かりました、よろしくお願いします」

真奈美「よし。ならばまず、なぜちひろさんの酷いうわさ話が流れるようになったか。そこから調べていく必要があるな」

瞳子「覚えている限りだと……ちひろさんのうわさ話は、だいたい何かのお仕事に関する話題も含まれていた気がするわね……」

夏美「お仕事か……そういえば、ちひろさんって普段どういうことをしてるの?」


楓「それは私も気になってました。アシスタントと言われても、結構漠然としたイメージしかなくて」

ちひろ「私の普段のお仕事ですか? そうですね、まずはプロデューサーさんのお仕事のお手伝いや、アイドルの皆さんの資料を作成したり」

真奈美(その辺りは私もよく見るな)

ちひろ「プロダクションの維持管理から、イベントが決定したらその会場と開演に必要な人員の調整、各種経費の用意に関係各所への伝達」

楓(なんだか難しそう……)

ちひろ「宣伝広告やブランディングの取りまとめに、グッズの作成と販売、プロダクションに所属する方になにか問題が起きた時に迅速に対応したり」

夏美(……というか、ちょっと待って)

ちひろ「プロデューサーさんが達成感と快感を最高に味わえるようにガチャを弄ったり、毎日お仕事のための道具を取り揃えて」

瞳子(やること……多くないかしら?)


ちひろ「アイドルの皆さんが安心して活動出来るように常に調査を行って、企業の代表の方との交渉も担当しますし、他にも――」

真奈美「待ったちひろさん……君は一体いくつのことを一人で行っているんだ……?」メモメモ

ちひろ「うーん、法律関係の問題解決とか、それだけで結構な量になるお仕事もそれなりにありますから……えーと大雑把に判別して数えると……」

楓「数えたことなかったんですね」

ちひろ「その必要もありませんでしたから。アシスタントたるもの与えられた仕事をこなせないでは許されませんので♪」

瞳子(プロデューサーさんの働きぶりもすごいと思ってたけど……これは……)

夏美(そういえば途中で言ってたガチャを弄るってなんのことなの……?)キョトン

真奈美「ともかくちひろさんがどういう仕事をしているかは分かった。そしてどうしてちひろさんが鬼や邪神など酷く言われるのかも見えてきたぞ」

ちひろ「本当ですか!」


真奈美「君はどうやら交渉事も担当しているようだが、その時に交渉相手に苦い顔をされたり睨まれたりしたことはないかな?」

ちひろ「そうですね……こちらに有利な条件を相手に受諾させた時や、無茶な要求を断れない状況にした時に何度かは」

真奈美「つまりそういう場面でちひろさんに屈辱を味合わされた人間が、仕返しと恨みを込めて酷い噂を流した可能性があるということだ」

楓「そういうことにはあまり詳しくありませんが、それって卑怯な気がします」

真奈美「だが交渉役であるちひろさんの評判が落ちれば、それはそのままプロダクションの評価に繋がり、最後には私達の仕事にも関わってくる」

瞳子「……仕事に……そうね、人の噂っていうのは、どこでどういう風に影響が現れるか分からないもの……油断していたら……」

真奈美「ああ、そして私達の仕事が減れば、喜ぶ人たちも……余り考えたくないが、いるかもしれない」

夏美「ドラマなんかだとライバル企業の工作で主人公達が苦境に、とかたまにあるけど、現実でもあることなのね」

ちひろ「実際このプロダクションはかなり年齢層の幅が広いですから、難癖を付けてくる人や言いがかりでお仕事を邪魔しようとする人達もいますね」


真奈美「そういうのはどうするんだい」

ちひろ「それはもう、丁寧にお話をして説得をして、ご理解して頂いた上で改めて友好な関係にさせていただいていますよ。有益なお相手なら」ニコッ

真奈美「つまりそういうことが出来るちひろさんがいなくなれば、このプロダクションはかなり危機に陥るということだな」

夏美「あ、だから酷いうわさ話を流して信用をなくそうとしてる人がいる……!」

瞳子「この世界で……一度信用や信頼をなくせば、戻ってくるのは大変よ。それこそプロデューサーさんに出会うくらいの奇跡でも起きないと……」

ちひろ「そう考えると、やはり私がなんとかするしかなさそうですが……真奈美さんは違う方法を考えてるようですね」

真奈美「うむ、ある意味単純にして簡単な方法だ。私達がちひろさんの仕事を手伝えばいい」

ちひろ「ああ、それな……えーっ!? そ、それは駄目です!」

真奈美「なにが駄目なのかな。この問題はつまるところちひろさん一人がなんでもやりすぎという点にある」


夏美「私もキャビンアテンダントとして働いてたから分かるわ。一人で色々出来る人は頼もしいけど、その人が突然いなくなった時って大変なのよ」

ちひろ「ですが私の仕事は誰か人に任せられるようなものがあまりなくてですね」

楓「あまり、ということは少しは任せられることがあるんですよね」

ちひろ「そ、それはそうなんですが……」

真奈美「だったらそれを私達に任せて欲しい。そしてちひろさんは空いた時間で信頼できる交渉役の人材を見つけてくるなり教育すればいいんだ」

瞳子「ちひろさんの代わりに、その人が交渉をするようになれば……自然とうわさ話も消滅していくってことね」

真奈美「そういうことだ。そもそもちひろさんはアシスタントなのに仕事も多く人前に出過ぎじゃないか? ちゃんと休んでいるんだろうな?」

ちひろ「いえ、私にとってはお仕事をしてお金を稼ぐことが一番重要ですからお休みなんて……」

真奈美「ならせめてちゃんと眠ったのはいつだい?」


ちひろ「ですから」

真奈美「いつだと聞いている」ギロッ

ちひろ「……最後に眠った記憶があるのは…………ええと」

瞳子「もしかして、思い出せないの……?」

ちひろ「私にとっては睡眠は嗜好品と同じでして……だからその、いちいちパンを食べた枚数を覚えている人がいないのと同じで……」

楓「寝てないなんてそんな訳ねーて……うふっ」

真奈美「よしもう分かった。とりあえずうわさ話をどうするかは置いておいて、まずちひろさんは休みたまえ、出来ればしっかり」

楓「いい温泉ならご紹介出来ますよ?」

夏美「飛行機に乗って旅行に行くなら、安くて良いプランを教えてあげるわ」


真奈美「それもいいが、まずはちゃんと睡眠をだな」

ちひろ「ま、待ってください! だから私はそういうのは……」

瞳子「みんな、心配なのよ」

ちひろ「瞳子さん……」

瞳子「風評被害をなくすために突然妙なキャラになったり……話を聞けばびっくりするくらい働いていて……そんな人がいたら心配になるでしょう?」

ちひろ「ですが私は、あくまで皆さんのアシスタントですからそんな風に心配される必要は……」

夏美「もう、さっきから皆で言ってるじゃない同い年なんだからって♪ アシスタントがどうとか、そういうことじゃないわ!」

ちひろ「夏美さん……」

楓「ちひろさんは、少しは甘えていいと思います。むしろ、年齢が分かった以上は今度からいっぱい飲みに誘っちゃたりしちゃいます♪」


ちひろ「楓さん……」

真奈美「そういうわけだちひろさん、君は今から眠るんだ。大丈夫、私達のことなら問題ない。いざとなればプロデューサー君もいるしな!」

ちひろ「真奈美さん……分かりました」パチンッ スッ

真奈美「これは?」

ちひろ「こうなったら休まないと皆さんに怒られちゃいそうですからね。それは私のお仕事関係の手順書や連絡先などをまとめたマニュアル本です」

真奈美「なるほど、分厚いな。だが、これが君の行っている仕事全ての分というわけでは」

ちひろ「ありませんね。先ほども言った通り私のお仕事の中でも誰かに任せて問題ないものだけを集めたものです」

楓「こんな大きなマニュアル本があるなんてビッグりですね」

夏美(その前にちひろさん、今指を鳴らしただけでどこからあのマニュアル出してきたのかしら……)


ちひろ「プロデューサーさんはあともうちょっとで戻ってくるでしょうから、事情説明は……」

瞳子「それは私がしておくわね……他にも、ちひろさんのお仕事をプロデューサーさんが出来るか聞いておくから」

ちひろ「ありがとうございます……ふふっ」ニコニコ

夏美「なんだか嬉しそうね」

ちひろ「こういうのも、悪くないな……なんてちょっと思っちゃいまして」

真奈美「ちょっとじゃなく、もっといっぱいそう思うと良い。誰もちひろさんを責めないとも」

ちひろ「だったら嬉しいですね……では、お言葉に甘えてしばらく眠ってきます。でも、なにかあればちゃんと呼んでくださいね?」

真奈美「大丈夫だ、任せてくれ」

ちひろ「ではこれで、しばらく失礼します」ペコッ

バタンッ


――――廊下

ちひろ「……なんだか変なことになってしまいました」

ちひろ(菜々さんを参考にしたキャラには結構自信があったのに色々言われて、気付けばなぜか私が休むことになっていて……)

ちひろ「でも、そうですね……25歳……か……」

ちひろ(たまにはこういう風にちゃんと年齢を決めておくのも悪くないかもしれませんね……♪)

ちひろ「……さて、では真奈美さん達に言われたとおり、しばらく眠ってくるとしますか――」ザリザリザリ  ヒュオン

ガチャ

真奈美「ああそうだちひろさん……いない?」

真奈美(もう仮眠室に行ったのか、相変わらず動きが早い……まるで瞬間移動でもしているかのように)

真奈美「……ははっ、まさかな。ちひろさんだって人間なんだ、そんなこと出来るはずもないのにな……私も疲れているんだろうか――」

〈終〉

今更ちひろさんの年齢が25歳にされてたことを知ったので思いついたネタ
でも個人的にはちひろさんは黒執事や魔人探偵と同じような存在のイメージなので人間風の年齢とかあってないようなものの気がする
読んでくださった方ありがとうございました

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