将軍「君の持っている『機神装甲』をいただこうか」 (20)


小さな村の中でも一際小さな家の前に、幼い少女が機械を抱えて座っていた。
その前には、この村全体を襲うにしても割に合わなそうなほどの軍隊が立っていた。


少女「ダメです。何度も言いますが、兄の形見は渡せません!」

将軍「大丈夫、君も一緒に連れて行ってあげよう。機神装甲の使用者が死亡した時、その血縁者が最も次の適合者となりやすい。わが軍の一助となるがいい」

少女「戦争は嫌いです!絶対に一緒になんて行きませんから!」

将軍「……仕方ないな」

少女「諦めて帰ってください」

将軍「これほどの兵を前にしても、まだ心を折らないとは」

少女「帰ってください!これは渡しません!!」


少女は更に機械を強く抱きしめた。
将軍は冷たく笑った。


将軍「誰が渡せなどと言ったかね?」

少女「え?」

将軍「私はいただくと言ったのだよ。君の意志など知った事か!」


将軍の右手に嵌められていたガントレットが、突然輝きを帯びた。

     ギガンテス
将軍「『豪傑の右手』!!」

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将軍が右手を振るうと衝撃波が押し寄せ、少女を後ろの小さな家もろとも吹き飛ばした。


将軍「ハハハハハハ、さながら三匹の子豚のようじゃないか! 機神装甲の威力は狼の鼻息の比ではないがね」

部下「い、一撃で前方10数mが更地に……」

将軍「機神装甲を見るのは初めてかね?」

部下「はい、恥ずかしながら初めてであります!」

将軍「恥じることはない」


彼は得意げに続けた。


将軍「この古代兵器は世界に108しか存在しないのだ。まがい物はもちろんあるがね、威力は本物には程遠い」

部下「将軍!」

将軍「何かね?」

部下「自分は、この目で機神装甲を見られた事を幸運に思います!」

将軍「はっは、そうだな。戦争では相手が持ってない事をひたずら祈るがいい」


煙が晴れた時、そこにあった家は跡形もなく、ただ機械を抱えた少女がうずくまっているだけだった。


将軍「む?」

少女「……え?あたし死んで……」


部下「将軍、やはり既に機神装甲が奴に適合し、起動していたのでしょうか!?」

将軍「うろたえるな。今のはあの機神装甲の能力ではない」

部下「? というと……?」

男「大の大人が寄ってたかって、こんなちっちゃな女の子を襲おうってのか?」

部下「な、誰だ貴様!」


見知らぬその男が間に入ったことで、少女は衝撃波から守られていた。
男は身の丈ほどもありそうな巨大な大剣を所持しており、埃で汚れたローブとすり減った革靴から、この村の者ではないことが推測された。

第一村人は少女を見捨て、とうの昔に隣町へと逃げだしていた。

男はさすらいの旅人であるらしい。


将軍「何者だね、君は?」

男「アンタと同じ、機神装甲の持ち主だよ。性能はこっちの方がずっといいけどな」

将軍「たいそうな剣だな」

男「いいだろ。あげないぜ」


突然現れた男に、少女は戸惑うばかりだった。
兄が死に、天涯孤独となった自分を身を挺して助けてくれる者など、心当たりはない。


少女「あ、あなたは……?」

男「旅人だよ。通りすがりのな」


そう言って大剣を翻し、男はそれを眼前に構えた。

この辺りでは全く見ない黒色の髪に違和感を覚える。


男「持ってるってだけで、機神装甲の使えない女の子に一個師団レベルの大群で向かってくるとは、帝国はよっぽどすることがないんだな」

将軍「一機神で万の兵に相当すると言われている古代兵器だ。警戒しない方がおかしいだろう」

男「そんなに来てもらって悪いんだけど、お引き取り願えないか?」

将軍「ふはは、何を言い出すかと思えば」


将軍は笑って右腕を構えた。


将軍「退くのはそちらの方だ、小僧!!」


再び、男と少女を衝撃波が襲う。
振るわれた右腕は先程とは比にならない威力で、周囲一帯の大地を抉り上げた。

男は大剣を前方に構え、地面に突き立てて盾にした。
少女はその影でじっと蹲っている。


男「……悪いな嬢ちゃん、ちょっとだけ堪えてくれるか?」

少女「え、あ、」

男「よっと」

少女「きゃぁあ!」


言うが早いか男は片腕で少女を抱え上げ、もう一方の腕で突き立てていた剣を振り上げた。
斬撃は、二人がいる範囲の衝撃波を無効化する。


将軍「むぅうっ?!」


そして次の瞬間、彼らはそこにはいなかった。
将軍の目にはいきなり消えたように映った事だろう。


男「口閉じてて。舌噛むから」

少女「~~~~~っ?!」


既に二人は上空にいた。
男は剣を振り上げた勢いそのままに飛び上がると、将軍の真上で切っ先を下に向けた。

少女はには何もかもが分からなかった。
ただの人間が、こんなに飛び上がれるはずがない。

ましてや少女と大剣とを抱えたままで、本来なら浮かぶこともままならないはずだ。
それを軽々と。


男「落ちるぞ」


言われなくても少女は唇をぎゅっと結んで落下に備えていた。
生まれてこの方経験したことのない高さまで上昇している。


男「構えろよ、偉そうな人。部下まで巻き込んで死ぬぞ」

将軍「むぅうっ!!」


落下を始めた男のセリフは少女にしか聞き取れていなかった。
少女は風圧で下を向けないので、恐々と上に顔を向けた。

男と目が合った。
若く整った顔立ちの彼の顔は、落下する風で色々大変な事になっていた。

膨らんだ鼻の穴に吸い込まれそうになって少女は、唇と同じくらい固く目をつぶった。


男「さて、お手並み拝見と行こうか」

将軍「ぬぅううううええええええいッ!!!」


重力加速で凄まじい速度を持った剣は、将軍の構えた機神装甲に思い切り叩き付けられた。
二つの武器の衝突により更なる衝撃波が生じ、将軍の後方にいた部下たちは装備もろとも吹き飛ばされた。

煙が晴れてその場に残っていたのは、武器をぶつけ合った二人と、力なくへたり込んだ少女だけだった。


将軍「……!!」

男「おいおい、仮にも機神装甲だろうが。あんな偉そうにすんならもう少し高めとけよ」


ぼてっ、と何かが落下して、少女は小さく悲鳴を上げた。


将軍「馬鹿な……私の機神装甲が……!?」

男「『中』がスッカスカなんだよ。武器の力ばっかりに頼ってるから」


落ちたのは将軍の腕の、肘から先の部分だった。
自慢の機神装甲はすっぱりと二つに切断され、機能を失った残りの部分が、申し訳程度に二の腕に嵌められているばかりだった。


男「もう一度聞く。この少女から手を引け」

将軍「ヒィイッ!!」


少女「あ、あ、危ないところを助けていただき、ありがとうございましたっ!」


将軍とその部下たちが尻尾を巻いて逃げ去った後、少女は男に向かってぺこりと頭を下げた。
男はそれを制すると、懐から小さな機械を取り出した。

機械は複雑なつくりをしており、様々な光を飛ばしながら、矢印の付いた歯車のような部品を回転させていた。


男「そんなに頭下げないで。俺にも理由があるんだ」

少女「助けてくれた……理由、ですか?」

男「うん。単刀直入に言おうか」


男は真っ直ぐに女の子の目を見て言った。


男「訳あって機神装甲を集めている。君の持っているそれを譲ってくれないか?」

少女「ええっ?!」


思わず少女は一歩後ろに後ずさった。
兄の形見である機神装甲を庇うようにして後ろに抱えると、彼女は恐怖の混じった目で男を見た。

男は悲しそうに首を振って、それから頭を下げた。


男「ごめん、警戒させるつもりはなかったんだ。でも、いきなりお兄ちゃんの形見をくれなんて言っても無理があるよな」


さっきの将軍との話を盗み聞きしちゃってさ、と男は更に深々とこうべを垂れた。
先ほどとは全く逆の構図に驚き、少女は何も言えずにいた。


少女「ごめんなさい、助けてくれたことは本当に感謝してます。でも、これはお兄ちゃんのなので……」

男「いや、いいんだ。それが帝国に奪われなかっただけでも儲けもんだ。間に合って良かった」

少女「間に合って……? お兄ちゃんの形見があの人たちに狙われているのを知ってた、って事ですか?」

男「そう。機神装甲を探してるって言ったろ? あいつらと争奪合戦してんだ、今」


男は先ほど取り出した機械を少女の目の前に持ってきた。
機械は上から見ると方向指示器のような作りで、少女の持つ機神装甲に向かって一際大きな光を指し示していた。

     ウォーカー
【No.77『時の旅人』 archetype:時計】


少女「……時計? このごつごつした機械が?」

男「って書いてあるね。俺にもどーもこれが時計には見えないけど」

少女「ですよね」

     
男「これで機神装甲の位置を把握できる。全部ではないみたいだけどね」

少女「えーと、すごい、複雑で、えーと色々パチパチしてて綺麗です!」

男「ハハハ、パッと見何の機械なのかわかんないでしょ? 俺も最初はこれの機能が少しも分かんなくてさ、難儀したよ。ついでに言うと、これも機神装甲なんだけど」

少女「機神……装甲……ですか」


少女にはその言葉が馴染みの薄い物らしく、首を傾げた。
兄の形見としてたまたまそれを所持していたが、どうやらそれが何なのかは分かっていなかったらしい。




男「機神装甲ってのはそもそも……っと、少し長く喋りすぎた。もう行かなきゃ団長に怒られる」


男は羅針盤らしき機械をしまうと、上着を羽織りなおした。


少女「え! もう行かれるのですか?! せめて私の家で何か召し上がってからでも……」

男「いやいや、気持ちだけ受け取っておくよ。旅の途中だし、これ以上寄り道してたら集合に間に合わないから」

少女「誰かと待ち合わせしてるんですか?」

男「ああ。大事な集まりなんだよ」

少女「そうですか……。それでは、無理に引き留めてしまうのも申し訳ありませんね」

男「ごめんな。せっかくのお誘いを」

少女「いえ、お気をつけて。助けていただいて、本当にありがとうございました」


少女はもう一度お礼を言って、深々と頭を下げた。
この歳にして、本当に出来た子どもだ。

村から少し外れたところにある大きな家も、今になって思えば地主等の裕福な家柄なのだろう。
終始育ちの良く丁寧な様子に、男は舌を巻いた。


男「それじゃ。お兄さんの形見、大切にな」

少女「はい!」


深く過去を詮索することもない。
二人はここで別れ、二度と会うことはないはずだった。


ー夜ー


男「遅くなってすみません団長」

団長「おっそいわバカタレが!集合昼じゃぞ!!」


その日の23時。
とある廃村の中に建てられた簡易テントの前に男は居た。

正確には男と、もう一人がそのテントの前に仁王立ちしていた。
和服を着た老人は暗闇の中でも分かるほどいらついており、こめかみに青筋を浮かべている。


男「まぁまぁ団長、そこは全然待ってないよ!って言ってもらわないと」

団長「待っとるわ愚か者!軽口ばかり達者になりおってからに!!」

男は団員の中では一際怒られることの多い奴だったが、頭上に落ちる雷にはいつまで経っても慣れる気がしない。


団長「他の団員はもう全員揃っとるぞい。お主で最後じゃ」

男「え? 猫は?」

団長「数分前に平気な顔して来やがりおったわ」

男「はぁーアイツに負けかぁ……」

団長「さっさと入れい!」


団長が背中を蹴り飛ばすと、男はつんのめってテントの中に倒れた。


猫「ンニャハハハ!我輩の勝ちなのニャ!」

男「19号……てめぇ数分前に来たばっかって聞いたぞ……」


男の頭の上に真っ黒な毛並みの猫が乗っかっている。
頭を手で払うと、猫はくるりと宙返りをしてテーブルの上に降り立った。


中は広々として、とてもさっきの簡易テントの外観に収まるような空間ではなかった。
レンガ造りの壁には鍋や斧や動物の骨や干し柿などがぶら下がっており、さながら闇市という様相だ。

内装は闇市ながらに整頓されているようで、奥にある台所に汚い皿が積み上がっていることを除けば、全体の見栄えは悪くない。
中央の大きな古樫のテーブルには、猫以外にも既に十数名ほどが腰かけていた。


団長「ほれ、お主も早く座らんか」


促された男が自分の席に座ると、団長はもっともらしく咳ばらいをした。


団長「改めて皆の衆、久しぶりじゃな」

金髪「三か月ぶりだしねぇ~」

髭「久々にみんなに会えて、おじさん嬉しいよ」

猫「どいつも変わんないのニャ」

男「三か月だろ。変わる方がおかし……あれ、お前髪切った?」

体操着「切ってないッスよ!てか自分元から短髪ッスから!」


団長「ほいほい、挨拶はそこまでにせよ。早速じゃが作戦を説明するぞい」

男「はぁ?!作戦?!何も聞いてないぞ!!」

団長「お主と猫は来るのが遅すぎじゃ。夕方までには説明も終えて、人員から配置まで全部決めてしもうたぞい」

猫「ニャ……我輩は最前線ニャろうニャ!」

団長「今回お主は留守番じゃ。爪でも研いで大人しくしちょれ」

猫「おにょれぇえええッ!!」


猫は狂ったようにテーブルを掻き毟った。


団長「さて皆にはさっき話したが、今回の作戦はカザリ村にある『時計型』機神装甲の保護及び回収、そして使い手の確保じゃ」

男「……その村さっき寄ってきたぞ……ていうか、その機神装甲も見てきたし、敵も撃退したんだけど……」

団長「何?」


男は先ほど起こった事柄を簡単に説明した。
機神装甲探しの道すがら、それを持った女の子に出会った事。
兵隊に襲われているところを助けた事。


団長「フン、傷つけもせずに交渉?少女相手に大群で? ……大方、機神装甲を偶然手に入れて勘違いした、将軍と名乗りたい下っ端か何かじゃろう。帝国がそんな生ぬるい事をするわけなかろうが」


粗方を聞き終わり、団長は静かに告げた。


団長「間違いなく襲撃は今夜じゃ。皆の者、直ちに用意をせよ」


作戦決行5分前。
選ばれたメンバーたちは既に村に到着し、配置についていた。

本来は半日かかる距離だが、機神装甲の能力ならば一瞬で移動できる。


男「やっぱ便利だな、その機神装甲」

体操服「あーこれッス? 純戦闘型じゃないんで任務の時は不安でいっぱいッスけど、自分はけっこう気に入って使ってるッスよ」

男「だろうな。俺も欲しいくらいだ」

体操服「だだだ駄目ッスよ!いくら神崎先輩の頼みとはいえ!」

男「ハハ、そんなに焦るなよ。冗談だ」


男は名を神崎と言った。
東方の出身で入団時は名前を珍しがられたものだが、今では皆違和感なく神崎と呼ぶ。

隣りにいる体操服姿の若い女はミズキ。
ボーイッシュな短髪に紅い鉢巻と、動きにくそうなほどに実った両胸の果実が特徴的である。


男「前から思ってたんだが、その恰好は機神装甲と合わせてんのか?」

体操服「いやいや!体操服は自分のポリシーッスから!動きやすいし!」

男「そうか、ならいいんだが……」


身体のラインがくっきりと浮き出て目のやり場に困る。
神崎は目を伏せると、ミズキを促した。


村の広場には既に帝国側の軍隊が集結しており、その長らしき人物が小声で指揮を執っていた。
なるほど、昼間見た連中とは顔つきがまるで違う。

『豪傑の右手』とかいう機神装甲の使用者は団長の言う通り、それを偶然手に入れただけのお山の大将だったか。
本来の使い手ならば、あれほど楽に倒せたりはしない。


男「ほら、もう敵が来てるぞ。一発いいの頼むぜ」

体操服「ラジャーッス!」


ミズキは敬礼をすると、胸元にかけてあったホイッスルを口もとに持っていった。


ミズキ「位置について、よーい……」


ピッ!と短い笛の音が聞こえたと同時に、ミズキの姿は既に敵の真ん前にあった。


??「……あー? 誰キミ?」

体操服「どもッス! 自分はミズキって言うッス!」


暗闇でも分かるほど元気な笑顔で、彼女は軍隊の長に向けて挨拶した。

長はそう、と言って乾いた笑い方をした。
黒のローブを頭からすっぽり被っており、暗闇も手伝って顔が全く見えない。


??「で?そのミズキさんが何の用? 僕たちこれから大事な用があるからどっか行ってくんない?」

体操服「んー、別に用はないッスけど。皆さんが『時計型』機神装甲を奪うんなら、ちょっと待ってもらえないかなーなんて!」

??「……ヘェ、キミあの爺さんとこの子かァ」

体操服「あ、そーッスそーッス!団長元気ッスよー」

??「そっかそっか、まんまと待ち伏せされてた訳ね。ハァ、あの爺さん元気かぁ。全く要らない情報だけど」


ミズキには相手が笑ったように思えた。
一瞬で怖い局面になった事が感じ取れる。


??「キミの首でも送りつけたら、あの爺さん悲しむかなぁ?!」

体操服「なるほど、こりゃ強いッスね」


ミズキは間髪入れずに笛を咥えた。


体操服「集合!」


     オールアウト
【No.23『全軍突撃』 archetype:号笛】

ミズキの持つホイッスル型の機神装甲。
使い手を好きな場所に移動できる力と、味方を使い手のもとに召喚させる力を持つ。


笛の音と同時に、各所に潜んでいた団員が一斉にミズキの傍に出現した。


男「結局正面突破か」

髭「住民は既に避難させましたよ。全く、我々が隠れていた意味がない」

金髪「ま、分かりやすくていいさね」


??「おーおー、寄ってたかって……」


突然の出現に多少驚いたのか、長は少したじろいだ。
声はまだ若く、少年のようにすら感じられる。


??「機神装甲が1つ、2つ、3つ、4つ……、5つっぽい気もするけど、機神装甲は1人1つまでだし、そりゃないか」

男「! 機神装甲を感じ取れるのか?」

??「何言ってんのキミ? そんくらい出来なきゃ使い手じゃないでしょ~」


ローブの長はひらひらと掌を振ったが、機神装甲の存在をここまで正確に感じ取れる時点で常軌を逸している。
相手の手持ちは恐らく長の持つ機神装甲ただ一機だろうが、果たしてそれでも戦況はどちらに転ぶか分からない。

帝国側の軍隊は層が厚く、およそ数百から千と見ていい程の大群で押し寄せていた。
恐らくはこうして襲撃されることを想定しての事だろう。

団長は昼間神崎の戦った使い手を『将軍を名乗りたい下っ端』と呼んだが、その報告を受けてここまでの軍隊を編成したのかもしれない。

神崎は唇を噛んだ。
あの時止めを刺しておかなかった事が、今の状況を作り出しているのだ。


??「てかキミたち突っ立ってるだけでいいの?」

金髪「ああ?!」

??「来ないんならこっちからいくよぉ~!」


ローブの男が低く構えると、懐から何か取り出すような仕草を見せた。


??「『水華』」

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