ほむら「お話しましょう?」さやか「は?」 (77)

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ほむら「お話しましょう?」さやか「は?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421548155/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455269428

さやか「いやいや...意味わからないんだけど」

ほむら「言葉通りの意味よ」

さやか「そうじゃなくてさ、あんた自分で悪魔だのいずれあたし達と敵対するだの言ってたじゃん。いや、悪魔って言ったのはあたしだった気もするけど」

ほむら「おしゃべりに敵だの味方だのは関係ないわ」

さやか「そうかもしれないけどさぁ...っていかんいかん!あんたのペースに流されるところだった!」

ほむら「だから、私はただ」

さやか「問答無用!往生せいや、悪魔ぁぁぁ!!」

ほむら「紅茶とコーヒー、どちらがいいかしら?」

さやか「...紅茶で」ボロッ

ほむら「どうぞ。インスタントだから、自分で淹れてちょうだい」コトッ

さやか「あの...一応客なんですけど」

ほむら「どうせ、私が淹れたら『何か仕込んだんでしょう!?』とか言って疑わないじゃない」

さやか「...そっすね」

さやか「それで、なんの用だよ」トポトポ

ほむら「まあまあ、世間話でもしましょうよ」

さやか「だから、あんたとあたしは敵同士だって...」

ほむら「最近、彼らとの仲はどう?」

さやか「どうって...楽しくないっていったらウソになるよ。本当なら、あたしの命はとっくに尽きてた。それが、どういう経緯であれ、またみんなと一緒にいられるんだ。嬉しくない筈がないよ」ゴクゴク

ほむら「そう。それはなによりだわ」

さやか「...そういうあんたはどうなのよ」

ほむら「QBには使い魔があたってるし、魔獣はあなた達魔法少女が相手をしてくれている。まどかも最近は円環の理に戻る予兆もないから、とても順調よ」

さやか「...そーですか。おかわり」

ほむら「はい」スッ

さやか「で。結局何が目的なのよ?」トポトポ

ほむら「あなたと仲良くなりたいのよ」

さやか「ふざけんなっての。仮にも天使なあたしが、なにが悲しくて悪魔と仲良くしなくちゃいけないのさ」

ほむら「天使、ねえ...」

さやか「え、円環のカバン持ちだから天使みたいなもんでしょうが。文句ある?」

ほむら「いいえ。なにもないわ」

さやか「だいたい、なんであたしなのさ。あんたが一番信頼してるのは杏子だと思ったんだけど」

ほむら「あなたが私と敵対する確率が一番高いからよ」

さやか「よくわかってんじゃん。だったら、あたしと仲良くなるなんて諦めな。...あれ、紅茶の味変えた?さっきより美味しい気が...」ズズズッ

ほむら「...フッ」

さやか「!」

ほむら「飲んだ...わね」ニヤリ

さやか「あんた...まさか!」

ほむら「そのまさかよ。それはインスタントなんかじゃない。私が直々に淹れた紅茶よ!」

さやか「くっ、いつの間に!?あんた、なにを仕込んで...」

ほむら「で、どうだったかしら?」

さやか「えっ?」

ほむら「味よ、味。昔、巴さんに教えて貰った淹れ方を思い出して真似してみたんだけど...」

さやか「インスタントよりは美味しかったけど...マミさんに比べたらまだまだだったかな」

ほむら「そう...次は頑張るわね」

さやか「じゃ・な・く・て!!」

さやか「ふつう、こういうのってなにか仕込んであるものじゃないの!?毒とか痺れ薬とかさぁ!」

ほむら「仲良くしたいって言ってる相手にそんなことをするバカがいるわけないじゃない」

ほむら「だいたい、そんなモノ使わなくてもあなたに負けないことはさっき身をもって知ったでしょう?」

さやか「そ、それは...」

ほむら「とにかく、今は確執を忘れてこの時間を楽しみましょう?」

さやか「......」

ほむら「ああ、そういえばお菓子が足りなかったわね。なにか欲しいものはあるかしら?」

さやか「...なんでもいいよ」

ほむら「そう。ちょっと待ってて」パンパン

なぎさ「呼んだのですか?」

ほむら「なにかお菓子が欲しいのだけれど」

なぎさ「チーズ以外ならいいのですよ。チーズはなぎさのものなのです」

ほむら「ええ。構わないわ」

さやか「まてコラ」

さやか「ねえ、なにやってんのあんた。円環の役割はどうしたの」グリグリ

なぎさ「痛いのです!ぐりぐり攻撃は嫌なのです!」

さやか「うるさいよ。なに敵とフレンドリーな関係になってんのよ」

なぎさ「違うのです。これには深いワケが...」

ほむら「ええ、そうよ。彼女には逆らえないふか~い事情がある」

さやか「なっ...!?あんた、やっぱり!」

ほむら「教えてあげなさい。美樹さやかの同僚、元・円環のカバン持ちさん」

なぎさ「はい...」

*********************************

回想

テクテク

なぎさ(今日こそは、マミにチーズの素晴らしさを叩き込むのです。食べ過ぎたら太るだの健康に悪いだの...そんなもの、チーズを食べれることの代価と思えば些細なことなのです)

なぎさ「ああ...それにしてもお腹がすいたのです。マミの前でおいしくたらふく食べる様を見せつけるためとはいえ、昨日丸一日ご飯抜きはさすがに厳しいのです」グウウウゥゥゥ

ガヤガヤ

なぎさ(?なにやら、騒がしいですね。それに、この匂い...まさか!)ダッ





ほむら「このこんがり焼けたトーストに、アルプス山脈で貰った、山羊の乳から作ったチーズを載せれば...」

タツヤ「おいし~い!!」

知久「凄い...こんなもの、僕ですら作れない。一パック持ち帰ってもいいかい?妻に食べさせたいんだけど...」

ほむら「ええ、どうぞ。今ならお一人様一パック、先着百名様まで無料です」

なぎさ「ち~~ずゥゥゥ!!」ドドド

なぎさ「ホントなのですか!?こんな上質なチーズ、タダでくれるのですか!?」ピョン ピョン

ほむら「ええ。でも、ちゃんと並んでちょうだいね」ナデナデ

なぎさ「はーい!」

~~~~~~~~~~~~~~~~

ゾロゾロ

なぎさ(くっ...空いたお腹にこの匂いは強敵なのです。ああ...はやく食べたいのです!)

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「信じられない!また調味料全部かけちゃうなんて!」

「...すみません」

なぎさ(ああ...はやく、はやく!)ジュルリ

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「まあ、このチーズトーストでも食ってリラックスしてな。娘の面倒は俺がみといてやるよ」

「ぬふふ(^ω^)」

「面白いやつだな、気に入った。殺すのは最後にしてやる」

なぎさ(あと少し...!)

~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おいしかったね、平太!アルプスにいる怨爺の味を思い出したわ!」

「ああ。あれを食べたら、怨爺のところに帰りたくなっちまった...」グスッ

なぎさ(―――――きたっ!)



なぎさ「ください!アルプスチーズください!」ピョン ピョン

ほむら「ごめんなさい。さっきの二人で完売してしまったの」

なぎさ「なん...だと...?」


ほむら「あら、よく見たらもう一つ残っていたわ」

なぎさ「!ください、ください!」

ほむら「でも、これは私の夜食用だし...」

なぎさ「そ、そんなぁ~」ウルウル

ほむら「...そんなに食べたいなら、一つお願いを聞いてくれれば考えてあげないこともないわ」

なぎさ「なんでもします!チーズのためなら何でもできます!神様だって怖くないです!」

ほむら「そんなに気張らなくても...私のお願いはただ一つ」

ほむら「私と、お話しましょう?」


*********************************

なぎさ「...と、このように悪魔的な方法で無理矢理...記憶もその際に戻されたのです」グスッ

ほむら「これでわかったでしょう?あなたたちでは私に敵わないことが」

さやか「うん。あんたらがバカだってことはよくわかった」

なぎさ「落ち着くのです、さやか。なぎさがチーズだけで釣られる尻軽女と思うのですか?」ヒソヒソ

さやか「あんたの手に裂けるチーズが大事そうに握られてるんだけど」

なぎさ「わざわざ相手から情報を流してくれるのですから、この機を逃す手はないでしょう?」

さやか「...でも、あいつは信用できないよ」

なぎさ「とりあえず聞いておけばいいのですよ。あいつから得た情報が嘘か本当かはこちらで判断すればいいのです」

なぎさ「敵だの味方だの、下手なプライドはチーズと一緒に呑み込んじまえばいいのです」

さやか「...わかった」

なぎさ「説得完了なのです、ほむら」クルッ

ほむら「ありがとう。はい、これ報酬の一口チーズ」

なぎさ「わーい!」

さやか「......」

さやか「...それで、お話ってなんだよ」

ほむら「そんなに身構えなくてもいいわよ。ほら、そこの彼女を見てみなさい」

なぎさ「ん~、ほむらの紅茶はチーズによく合うのです。おかわり!」

さやか(このやろう...!)

ほむら「切り替えの早さでは、この子の方が上みたいね」

さやか「...いちいち話をそらさないで。こんな回りくどいことをしてまで、あたし達を集めてなにを話すつもりなの?まあ、大方予想はついてるけどさ」

ほむら「...わかったわよ。あなたとはもっと仲良くなってから話したかったのだけれどね。単刀直入に言うわ」

ほむら「まどかに円環の理を思い出させるような真似はしないでちょうだい」

さやか「...やっぱり、か。あんたがわざわざあたしやなぎさの記憶を穿り返してまで集めたんだもの。それ以外ないよね」

なぎさ「でも、おかしくないですか?」

さやか「なにが?」

なぎさ「私たちは今の今まで円環の理について忘れていたのですよ?邪魔されたくないなら、そのまま放っておけばよかったのです」

ほむら「察しがいいわね。では、何故私はあなた達の記憶を戻したのでしょうか?」

さやか「いきなりクイズって...あんたのテンションについていけないんだけど」

ほむら「いいから素直に考えなさい。これ、結構大事なことだから」

さやか「もったいぶってないでさっさと教えなよ」

ほむら「あなたの矮小な脳は考えることすら放棄するの?」

さやか「表でろコラ」

さやか「」チーン


なぎさ「うーん...さっぱりわからないのです」

ほむら「やっぱりあなたは偉いわね。そういう素直な子、お姉さん嫌いじゃないわ」

なぎさ「ほら、さやかも考えるのです。一瞬で返り討ちにされたからって、いつまでメソメソと泣いてるのですか」

さやか「...泣いてなんかないもん」グスッ

ほむら「...仕方ないわね。それじゃあ、何故わざわざ呼び寄せたか...その意味と理由を教えてあげる」ガラガラ

さやか「液晶テレビ?」

なぎさ(というか、結局教えてくれるのですか)

ほむら「これはある日のまどかの様子を私の僕たちが撮影したものよ」

さやか「それって盗撮じゃ」

ほむら「細かいことはいいの。まずはまどかからよ」

エイミー『にゃあ』

まどか『おはよー』ナデナデ

なぎさ「可愛いネコさんなのです」

さやか「あれって、まどかが助けたことのある...」

ほむら「そう。エイミーよ」

さやか「これがどうしたのよ。ただ単にエイミーとまどかが可愛いだけじゃ...」

ほむら「よく見ていなさい」

なぎさ「あっ、エイミーが道路に飛び出して...!」

グワシャア

まどか『...大丈夫だった?エイミー』

エイミー『にゃあ』

さやか「ま、まどかあああぁぁ!!」

さやか「あんた、なんでまどかを救けなかったのよ!?」

ほむら「落ち着きなさい。これ、彼女の転校初日の出来事よ」

さやか「へっ?」

なぎさ「見てくださいさやか!まどか、自分の身体の心配もせずに散らばった学校用具を拾ってるのです」

さやか「よかった...当たり所がよかったのかな」

ほむら「そんなわけないでしょう。あの音よ、最低でも入院くらいはなくちゃおかしいわ」

さやか「だよねえ...あっ、運転手が出てきた」

『俺の車にこんなことして、ただで済むと思ってんのか!?』

まどか『ごめんなさい』

なぎさ「まどか、ものすごい怒鳴られてるのです」

さやか「車が傷ついた気持ちはわからんでもないけどさぁ、あの車も、一般道路だとは思えないスピードで走ってたよね」

なぎさ「全くです。まずはまどかの安否を確認すべきです」

さやか「そうこうしているうちにまどかが人気のない路地裏に連れ込まれて...ってこの展開は...!」

ほむら「ええ。流石にこの時は焦ったわ。このまま、まどかが薄い本のような目に遭うのではと思ったら、気が気じゃなくて...」

なぎさ「薄い本?」

さやか「お子様は気にしちゃ駄目だよ」

さやか「じゃあ、まさかまどかは...!」

ほむら「まどかの貞操は無事よ。そう結果を焦らないで、もうすぐわかるから」


『へっへへ、さっきから無口だなぁ、おい』

まどか『......』

『怖いか?クソッタレ。当然だぜ。元YAKUZAの俺に勝てるもんか』

まどか『試してみる?わたしだって元コマンドーだよ』



~しばらく、まどかさんによる一方的で過激な暴力表現が続きますので割愛させていただきます。~



さやか「」

ほむら「あ、あとついでにこれが私が校内案内してる時の映像よ」




ほむら『鹿目まどか。あなたはこの世界を貴いと思う?欲望よりも秩序を大切にしている?』

まどか『...それは、えっとその...』

まどか『わたしは貴いと思うよ?やっぱり自分勝手にルールを破るのって悪いことなんじゃないかな。軍隊だって、ルールを守らなきゃみんなに迷惑かけちゃうし...』

ほむら(軍隊?)

ほむら『そう...なら、いずれあなたは私の敵になるかもね。でも...構わない』パサッ

まどか『ほむらちゃん...?』

ほむら『それでも私は、あなたが幸せになれる世界を望むから』つリボン キュッ キュッ

まどか『あ、あの...』

ほむら『やっぱり、あなたの方が似合うわね』

ほむら『それじゃ...校内案内を続けましょう』

コツ コツ

まどか『待って』

ほむら『?』

まどか『ほむらちゃんの言いたいことはわかったよ』

まどか『つまりほむらちゃんは、わたしと戦って、このリボンを勝ち取りたいんだね』

ほむら『...へっ?』

まどか『いいよ。本当はこういうのはあんまり好きじゃないけど...遠慮はしないで』

ほむら『あ、あの、まどか?』

まどか『きなよほむらちゃん。体裁なんて捨てて、かかって来い!』

ほむら『落ち着いてまどか。私はそういうつもりじゃ...』

まどか『怖いのか?』

ほむら『だ、誰がてめぇなんか...てめえなんか怖かねえ!じゃなくて...』




ほむら「ちなみに、この後、どうにか説得するのに一時間ほどかかったわ」

さやか「」

なぎさ「」

ほむら「わかったかしら」

なぎさ「...いやな...事件でしたね...」

さやか「まどかがこうなった理由を一緒に考えろって言いたかったわけ?」

ほむら「その通り」

さやか「心当たりはないの?」

ほむら「私にもさっぱり...魔法少女になったわけでもないし...」

???「お困りの様だね」

!?

QB「誰だって顔してるんで自己紹介させてもらうけど、僕はお節介焼きのインキュベーター!解説の匂いにつられてやってk」

QB(ぼ...僕にはわからない。今、この1レスの合間になにがおこったのかさっぱりわからない...)ボロッ

ほむら「さ、まどかがああなった原因を考えましょう」パンパン

さやなぎ「はーい」

QB「ま...待つんだきみたち...この扱いは酷いんじゃあないかい...?」

さやか「だって...ねえ?」

なぎさ「そもそも、こんな面倒ごとが起きたのは、根本的にはお前が原因みたいなものですから」

QB「なにを言っているんだ!?僕たちは君たち魔法少女の願い事を叶えて、上条恭介の腕を治し、マミを助け、その他もろもろの手助けをしたじゃないか!だから僕らにだってそれ相応の報酬があるべきだろう!」

さやか「それとこれとは話が別でしょ?」

なぎさ「だからって人体実験はなしですよ」

QB「バカを言うなァ!無防備な財宝が目の前にあるにも関わらず、一切手出しをしないトレジャーハンターがおるか!?いなぁ~い!僕らのあの行為は至極当然の摂理だと思うよ、このインキュベーターはァ!」

さやか「...ねえ。コイツ、なんかキャラ違わない?もろ感情持ってるじゃん」ヒソヒソ

ほむら「最近、私が酷使し続けたせいでバグが起きたらしいわ。気味が悪いからしばらく使い魔に任せっ放しにしてたけど...」ヒソヒソ

QB「ふん...いいのかな?僕にそんな態度をとって」

ほむら「あ?」ギロッ

QB「ヒッ!...し、知りたくはないのかな...まどかが何故ああなったかを」

さやか「あんた、なにか知ってるの!?」

QB「もちろんさ。円環の理の一部に、世界を改変してしまった悪魔...君たちが、僕の理解を超えた存在であることは認めよう...だが」

QB「我がインキュベーター族の情報収集力は宇宙一ィィィ!知らんことはないィィィ―――!!」

なぎさ「じゃあ、教えてください」

QB「知りたいかい?」

さやか「うん」

QB「僕の尻を舐めたら考えてやってもいいよ」

さやか「ほむら」

ほむら「ええ。許可するわ」

QB「き...君たちは本当に分からないのかい?彼女が何故ああなったか...」ボロッ

さやか「わからないよ」

なぎさ「あんまり勿体ぶってると、なぎさのチーズランチャーをおみまいするですよ」

QB「よく考えるんだ。何故、まどかは円環の理から裂かれたままでいられるのか。君たちは、何故記憶を思い出したり失ったりするのか」

さやか「なんでってそりゃ...あっ」

ほむら「なにかわかったの?」

さやか「いや...すごくアホらしい結論になっちゃったからさ」

さやか「まず最初に。この世界だと、おおまかな事はあんたが管理できるってことでいいよね?」

ほむら「間違ってはいないわね」

さやか「まどかがアメリカ帰りって設定つけたのはあんただよね?」

ほむら「ええ。なるべく見滝原から遠くにいた方が思い出し辛いかな、と思って。で、あまりにも余所にいられて違和感を感じられても困るから、見滝原に帰らせたわ」

さやか「あんた、アメリカについてなにもかも知ってる?」

ほむら「そんなわけないじゃない。今までのループでもずっと見滝原よ。入院中に見たコマンドーに男塾、それに潜入していた基地くらいでしか...あっ」

さやか「...やっぱりか」

なぎさ「どういうことなのですか?」

さやか「ようするに、こいつの勝手なアメリカのイメージがまどかにそのまま組み込まれちゃったわけ。それに付け足して、まどかが契約しないようになんて思っちゃったから...」

なぎさ「なるほど、アメリカ=マッチョで強いということですね。それで、契約なんて必要ない、脳筋少女まどか☆マギカの完成というわけですか」

ほむら「...キュゥべえ。どうすれば元のまどかに戻せるか教えなさい」

QB「おやおや?それが人にものを頼む態度ですかな?」

ほむら「教えろ」ギロッ

QB「そうですね、とりあえずアメリカについて学んでみたらいいんじゃないですか?」

ほむら「なるほどね。まずは今のイメージを壊す必要がある、と...」

ほむら「...さて、あなたたち。問題が一つ解決したところで本題に入りましょう。最初の質問の返答は?」

さやか「ノゥに決まってるでしょ。それに、記憶が戻ったあたしたちがここにいて、あんたもここにいる。だったら、あたしたちがやること、わかるでしょ?」

なぎさ「...観念するのです、ほむら」

ほむら「ええ、好きにしなさい」

さやか「!へ、へえ...随分あっさりと...」

ほむら「でも、いまは駄目よ。だって、それじゃあまどかが幸せになれないじゃない」

さやか「なっ...」

ほむら「あなた達はいいかもしれないわよ?まどかになにもかも押し付けることができるし、導かれてもみんなはあなたのことを憶えている。...でも、あの子は違う」

ほむら「ここが無くなれば、人間としてのあの子は、大切な人からも忘れ去られて、誰とも触れ合えなくなってしまう...あなたはそれでいいの?」

さやか「でも、あんたはまどかの意思を踏みにじったんだ!あんたの欲望のままに!だからあたしは、まどかの代わりに」

ほむら「正義の味方みたいな言い草ね。なら、聞かせて貰えるかしら」

ほむら「私は聞いたのよ。まどかの口から、あの子の本心を。...大切な人とお別れなんてしたくない。彼女の本心は、そんなささやかな願いだったわ。でも、彼女はそれを諦めた。自分の願いも、幸せも、諦めるしかなかった」

なぎさ「で、でも...彼女がいないと、この宇宙が...」

ほむら「なら、彼女の本心は必要ないというの!?より多くの人が助かるためなら、彼女が苦しむことさえも厭わないの!?」

ほむら「...ねえ、どうすればいいの?誰からも忘れ去られ、それでも自分だけは生き続けなければならない人間は...全てを受け入れなければならないの?」

さやか「ほむら...」

ほむら「...ごめんなさい。熱くなりすぎたわ」

さやか「いや...いいよ。続けて」

ほむら「...以前私に聞いたわよね。『世界を壊すつもりか』と」

ほむら「私が望まなくとも、そうなる可能性は否定できないわ。...一人では限界がある」

さやか「だから、あたしたちもあんたみたいになれって?」

ほむら「...最低限、まどかに円環の理を思い出させないだけでも十分よ」

なぎさ「......」

ほむら「今すぐ協力しろとはいわないわ。でも、よく考えてみて。まどかの鞄持ちなら...なにがまどかのためになるのかを」

ほむら「これ、約束のチーズトーストよ。色よい返事を待ってるわ」

スタスタ

さやか「まどか...ほむら...」

さやか(なんで気付けなかったのかな...ううん、違うよね。本当は気づいてたんだ)

さやか(でも、まどかに後悔してほしくない。まどかの決意を踏みにじりたくない。...そうやってごまかしてたのかな、あたしたち...)

なぎさ「さやか」

スッ

なぎさ「...半分、食べますか?」

さやか「...ありがと」


なぎさ「...美味しいですね、このチーズ。流石はアルプス直伝のチーズトースト」モグモグ

さやか「うん...そうだね」モグモグ

なぎさ「...なぎさはわからないのです。まどかの願いは間違っていないと思う...でも、それはほむらも同じなのです」

なぎさ「ほむらだって、まどかを助けたかっただけ...だったら、正しいのはどっちなんでしょうか?正しいことって、そんなに大事なことなんでしょうか?」

さやか「...なぎさ。この世界に取り込まれて、また大切な人に会えた時どうだった?」

なぎさ「どうって...嬉しかったに決まってるじゃないですか」

さやか「そう...だよね。あたしだって、仁美や恭介たちにクラスの友達、父さんと母さん、杏子やマミさんとまた会えた時嬉しかった」




まどか『友達も家族も、大好きで、とっても大切な人たちだよ』




さやか「...やっぱり、それが一番だよね」

以前のスレの分まで投下しました。続きはまた後ほど。

―――――――――――――――

教室

杏子「よっしゃあ、終わったぁ!じゃあ、早速マミの家に行こうぜ!」

さやか「さんせーい!まどかはどうする?」

まどか「駄目だよ。七時半に空手の稽古があるの。付き合えないよ」

さやか「そっかー残念だなぁ。それじゃ、あたしたちだけで優雅なティータイムを楽しむとするか!」

杏子「へへへ、これであたしの食い扶持がふえるってもんだ」

まどか「えーっ」

杏子「冗談だって。まどかはまた別の機会にな」




ほむら「......」

ほむら(いきなりまどかを戻すような真似はしないと思うけれど...念のために)パンパン

使い魔「ナニカヨウカ?」

ほむら「もし、さやかやなぎさがまどかに妙な真似しようとしたらすぐに止めなさい。OK?」

使い魔「OK!」

ベチャッ

ほむら「......」

ほむら(いいのかだめのかどっちなのよ...)

―――――――――――――

マミホーム

マミ「...それで、話ってなに?」

杏子「魔法少女だけ集めたんだ。どうせロクでもねえことなんだろ?」

さやか「うん。きっと、そういうことだと思う」

なぎさ「マミたちには知っておいてもらいたいのです。私たちがおかれているこの状況を...」

杏子「はぁ?」




使い魔「......」コソリ


カクカクシカジカ

マミ「鹿目さんが円環の理で...あなたたちはその一部ですって?」

さやか「信じられないと思うけどね」

杏子「しかも、暁美ほむらがそれを引き裂き、この世界に連れ込んだ...スケールが広がりすぎだろ」

なぎさ「大丈夫です。ケン・イシカワに比べたら可愛いものです」

杏子「誰だよそいつはよ。まあ、なんとなくは事情は掴めたが...あたしらにどうしろっていうんだ」

さやか「あれっ、案外あっさり信じてくれるんだね」

マミ「まあ、そんな嘘をつく必要もないしね。なら、あなたの言葉を疑う必要はないわ」

さやか「ありがと

なぎさ「......」

杏子「円環の理の遣いのあんたらが話したってことは、あんたたちと一緒に暁美ほむらを倒す策を練ればいいってことか?」





使い魔「......」

『もし、さやかやなぎさがまどかに妙な真似しようとしたらすぐに止めなさい。OK?』

使い魔「...コレヨリ、ニンムヲカイシs」



さやか「違うよ」

使い魔「」ピタリ



さやか「確かにさ、あいつはまどかの想いを踏みにじった。...同時に、あいつはまどかの肩代わりをしてくれた」

さやか「誰かに呪いを押し付けて、また誰かが代わりになって...結局、あたしたちはこうやって同じことの繰り返しをしているだけだ」

なぎさ「だから、なぎさたちは話し合い、決めたのです」

さやか「もうこんなことは終わりにしようってね」

杏子「どういうことだ?」

さやか「簡単なことだよ。あいつが、まどかを裏切った理由...そいつを失くしちゃえばいい」

マミ「まって、それじゃあ...!」

さやか「そうだよ」




さやか「あたしは、円環の理を壊したいんだ」




杏子「な...なに言ってんだよ、そんなことしたらあたしたち...!」

さやか「うん。ソウルジェムが濁りきったとき、魔女になる」

マミ「そんなサラリと言わないでよ!...あなた、正気なの?」

さやか「...みんなから見たら、狂ってると思われてもしょうがないかもね」

さやか「でも、ほむらの結界の中に入って、あいつにこの世界へ放り込まれて...やっとわかったんだ」

さやか「あたしもあいつと同じで、みんなと一緒にいたい。そいつを諦めきることなんてできないよ」



杏子「...それが、あんたの望みか」

さやか「そうだよ」

杏子「自分が何言ってるかわかってんだな?」

さやか「わかってる」

杏子「それが、どういう意味かわかってるんだな?」

さやか「覚悟の上だよ」

杏子「...そうかい。あんたにゃ負けたよ」

なぎさ「それじゃあ...」

杏子「ああ」


チャキ

杏子「あんたらは、あたし達の敵だ」


なぎさ「杏子...マミ...」

マミ「悪いけど...あなたたちの考えには賛同できないわ」

杏子「てめえ一人の都合で他の魔法少女を地獄に引きずりこむだと?」

杏子「いいか、あたしたちは魔法少女だ。願いを叶えた時点で、なにかを失くさなきゃ釣りあわないようになってる...もう、普通の人間じゃいられねえんだよ」

杏子「そんな奴らの最後の拠り所を壊そうだなんて、口にするもんじゃねえ...」

さやか「......」

杏子「最後の忠告だぜ、さやか。もしこのまま進むつもりなら...あたしとマミは、あんたらと戦わなきゃいけなくなる」


さやか「...わかってたよ。あんたたちなら、止めようとしてくれるってさ」

マミ「だったら、何故...!?」

さやか「...まどかは、あたしの親友だ。でもね、友達のやること為すこと全てを受け入れるだけじゃ駄目なんだ」

さやか「みんながみんな、そいつの決意を肯定しちゃったらさ、逃げ場がなくなっちゃうよ。...本心では、望んでいないかもしれないのにさ」

さやか「だから、あたしは円環の理を壊すんだ。まどかが、ほむらが納得できる選択肢を作るために」

杏子「...勝手な奴だ」

さやか「そうだよ。あたしは、わがままで、欲張りなんだ」


杏子「ならよ...あたし達が全力で止めても、文句はねえよな?」

さやか「もちろんだよ。そのために、こうやってわざわざ二人の前で話したんだから」

杏子「大した自信じゃねえか」

さやか「...憶えてるかな、杏子。『あたしはあたしのやり方で戦い続ける。それがあんたの邪魔になるならまた殺しに来ればいい』って言ったこと」

杏子「さあな。聞いたような気もしなくはないが...そうかい。あんたにとっちゃ、今がその時なんだな?」

さやか「あたしは、あたしの信じるもののために戦い続ける。あたしは負けるつもりはないし、あんたたちを恨まない。だから、あたしを止めたきゃ...」キイィィン

マミ「......」キイィィン

なぎさ「......」




さやか「殺すつもりでこい!」バサァ



杏子「くっ、マント!?」ザシュッ

マント「」ヒラヒラ

杏子「目隠しのつもりかよ。そんなんであたしの隙をつけると思ったら...」

ガシャーン

杏子「!?」

さやか「悪いね。今のあんたたち、特にマミさんには勝ち目があるとは思えないんでね!」

杏子「待てコラ!あそこまで啖呵きっといて即逃亡かよ!?」

さやか「絶好調の格上に正面から挑むどこぞのバカ悪魔とは違うのだよ!じゃあねみんな!」

杏子「くそっ、早く追わねえと!」

マミ「大丈夫よ、佐倉さん」スッ

杏子「なんだこれ?」

マミ「美樹さんの脚に結び付けておいたリボン」クイッ

さやか「いっ!?」グイッ

マミ「我が家の窓ガラスを割っておいてタダで帰れると思ったかしら?」

さやか「のわあああああ!?」

マミ「これで引き寄せれば...」


「ウオオオオオ!」


ドドドドド

ベチャベチャベチャ

マミ「なに!?トマト!?」

杏子「誰だ、食い物を粗末にするやつは!?」

マミ(マズイ...今ので、美樹さんを見失った!)

杏子「許せねえ、出てきやがれ!くそっ、ぜってえとっちめてやるからな!」

なぎさ「すぐに追いかけるのです!」

マミ「ええ!」

杏子「待てコラ」


杏子「あんたはこっちじゃなくてあっち側だろうが」グリグリ

なぎさ「痛いのです!ぐりぐりは止めてほしいのです!」

マミ「なぎさちゃん、なぜ...?」

なぎさ「...なぎさは、さやかのやり方には反対です」

なぎさ「なぎさだって、ほむらやまどかに押し付けたくはないです。でも、大好きなチーズが食べれて、大切な人たちみんながいるこの世界を壊したくない」

なぎさ「だから、何日もかけてさやかと話し合ったのです。例えあまり長くない時間の中でも、精一杯生きられればそれでいいじゃないですかって説得しようとしたのです」

なぎさ「でも、結局意見は分かれて...それで、さやかがさやかの道を進むように、なぎさはなぎさで守りたいもののために生きていくと決めたのです」

マミ「待って、それじゃあ美樹さんは独りで...?」

なぎさ「...さやかはバカなのです。ほんと、どうしようもないくらいバカなのです」


杏子「......」フイッ

マミ「佐倉さん?」

杏子「なにボサッとしてんだよ。あいつを止めるんだろ?なら、さっさと追いかけなきゃな」

杏子「仮初めだろうがなんだろうが、あたしたちの護りたいものはここにあるんだ。そいつを邪魔するんなら、神様だろうが悪魔だろうが容赦はしねえ。違うか?」

マミ「もと聖職者とは思えない台詞ね。...まあ、私も同意見だけどね。それにしても...ふふっ」

杏子「?」

マミ「あなた、少し喜んでない?」

杏子「...喜んでなんかいねえよ。ただ...」

マミ「ただ?」

杏子「...あいつとは正反対のところにいる方がしっくりくる気がしただけさ。おら、行くぞ!」

タタタ




木「」ガサガサ

ガサッ

さやか「...いったか。助けてくれたのは感謝するけどさ、そろそろ離してくれないかな」ブラーン

使い魔「ササエテルノハヒダリウデダ。キキウデジャナインダゼ!」

さやか「わかったわかった」

ストン

さやか「んで?どういう風の吹き回しよ」

使い魔(ほむら)『あなたに脱落されるのは困るからよ』


ほむら『一部始終は使い魔を通して見せてもらったわ。なにをするかと思えば...バカにも程があるわね』

さやか「......」

ほむら『円環の理を壊す?誰にも頼らず、一人で立ち向かう?身の程をわきまえなさい』

さやか「...確かに、あたし一人の力はちっぽけなもんさ」

さやか「けど、あんただって人のこと言えないんじゃない?」

ほむら『?』

さやか「わかったんだよ。なんであんたがあんな回りくどいことをしたのか」

さやか「あんたさ、あたしたちにこの世界を任せるつもりだったんでしょ」

ほむら『......』


さやか「いまの円環の理は、自我のない機械のようなもの。それでもいまはその役割を果たしている。でも、その役目に綻びが出たとき、あいつはどうするかな?」

さやか「その答え、あんたならもうわかってるんでしょ」

ほむら『なにが言いたいのかしら?』

さやか「円環の理は、綻びを戻すために必ずまどかを取り戻しに来る。そして、魔法少女じゃなくなり、まどかを戻すのを阻むあんたはおそらく始末される」

さやか「...あいつから見れば、あたしもあんたも大差はない。当然さ。あんたが今まで繰り返してきたぶん...ううん。全ての時間軸の因果が集中してるんだもん。たった一人が勝てる訳がない」

さやか「まどかをあんなにしたのも、あんたがいなくなっても、円環の理に少しでも抵抗させるため...違うかな?」

ほむら『...ホント、無駄な時に限って勘がいいわね。でも、二つ違うわ。まどかのあれは本当に予想外だったのよ。まさか、強さがあんな風に滲み出るなんて...』

さやか(そりゃ好き好んであんな改造しないわなぁ...)

ほむら『もう一つ、私は彼女に消されるつもりは毛頭ない』

さやか「...まさか、あんた」

ほむら『答える必要はないわ』

さやか「隠さないでよ。...みんなの記憶から、あんた自身を消すつもり?」


ほむら『......』

さやか「図星、か。...やっぱ、あんたはそういう方法をとっちゃうか」

さやか「たしかに、その方法なら誰も悲しめないし、誰にも触れられないぶん時間も稼げる...あんたが生きている限り、この世界は保たれる」

さやか「でも、まどかはそこまであんたにさせて平凡に暮らしたいと思う?」

さやか「それとも、まどかと向き合うのが怖いの?だとしたらとんだ臆病者だ」

ほむら『』スッ

さやか「あぁっと、あたしの記憶を弄るのは止めておいた方がいいよ。きっと、無駄な消耗をさせちゃうから」

ほむら『......』

さやか「まあ、あたしがうまいことできたら、あんただって自分を消さなくて済むからさ。しばらく待ってみなよ」


ほむら『...それで、あなたはどうするつもりなの?』

さやか「さあね」

ほむら『さあねって』

さやか「あんただって、最初からこうするつもりじゃなかったでしょ。迷って、迷って、迷いぬいてやっと見つけた答えがこの世界なんでしょ?」

さやか「だったら、あたしだってやってやる。いくら迷おうとも、いつかは辿りついて見せる」

ほむら『...呆れて言葉も出ないわね』

さやか「どーせあたしはアホですよ。けど、円環の理をどうこうできる可能性なら、もとはあいつの一部のあたしの方が高いんじゃない?」

ほむら『...あまり期待しないで待ってるわ。美樹さやか』

さやか「おう!全部終わったら、そのすましたツラに一発ぶち込んでやるから覚悟しとけ!」

ほむら『...フフッ』

さやか「あっ、でも一つだけ頼まれてくれない?」

ほむら『?』

――――――――――――

まどか「ひゃ~、もうこんな時間!」

仁美「あら、こんばんわまどかさん。お稽古お疲れ様でした」

まどか「こんばんわ、仁美ちゃん。仁美ちゃんも習い事?」

仁美「ええ。今日は茶道を」

まどか「大変そうだね」

仁美「全くですわ。おかげで、上条くんと会う時間も限られてしまいますし...」

まどか「ウェヒヒ...って、談笑してる場合じゃないや。急がないと門限が」ダッ

仁美「まどかさん、前!」

ドンッ

さやか「おふっ!」ドサッ


さやか「たたた...あんたみかけによらず強いんだね」

まどか「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」

さやか「へーきへーき。尻もちついただけだからさ。こう見えても頑丈なのよあたし」

仁美「その制服...見滝原中学の方ですか?」

さやか「まーね!じゃ、あたし急いでるから!」タタタ

仁美「...行ってしまいましたわ。元気な方ですわね」

まどか「うーん...」

まどか(どこかで見たことあるような...気のせいかな?)


さやか「...ちゃんと消えてたみたいだね」

ほむら『これで満足かしら?』

さやか「うん、ありがと。これで、あたしを知ってるのはあんただけだ」

ほむら『...なぜ、こんな真似を?』

さやか「そりゃあ、あんな啖呵きっといて学校で鉢合わせるのは...ねえ?」

ほむら『...まあいいわ。嫌になったら私に言いなさい。あの啖呵から全て無かったことにしてあげるから』

さやか「心遣いどーも。これが悪魔の囁きってやつかな?」

ほむら『...ふんっ』プイッ

使い魔「モウアウコトハナイデショウ」

スゥッ


さやか「...これで本当に独りか。まあ、あいつは憶えてるけど」

さやか「に、しても...ははっ、辛いなぁ」ポロッ

さやか(誰からも忘れられるって、こんなに辛いことだったんだ)ポロポロ

さやか(まどかは...ほむらは、ずっとこんな苦しみに耐えていたんだ)

さやか「つよいなぁ、あいつらは...」



さやか「......」ゴシゴシ

さやか(いつまでも泣いてるわけにはいかないよね)

さやか「さーて、これからどうするかなぁ」

「待ってくれないか」


さやか「QB?」

QB「僕のことも忘れないでおくれよ」

さやか「あれっ、あんたバグッてたんじゃ」

QB「不本意だったけど、ほむらの監視の目を緩めるにはあれくらいしなければいけなかったからね」

さやか「...あんた、嘘はつかないんじゃなかったの?」

QB「僕は嘘はついていないよ。いつもと違う発言をする個体を試していたら、彼女が勝手に気味悪がっただけさ」

さやか「...屁理屈もここまでくると清々しいわ」


QB「きみが円環の理を壊すというのなら、きっと僕らの力も必要となるだろう」

さやか「えーっ」

QB「元々は僕らとの契約でできたものだからね。分析を続ければいずれは...」

さやか「いや、あんたに制御とかはさせないから」

QB「...とにかく、僕らの力は役に立つだろう。使わない手はないと思うよ」

さやか「...まあ、確かにあんたらの謎技術は便利かもしれないね」

QB「契約は成立だ。それじゃあ始めようか。なに、時間はまだまだたくさんあるんだ。焦らないでいこう」

さやか「なーんか怪しいなぁ...まあ、いいか。それじゃ、よろしく頼むよ」

QB「それで、どこへ行くんだい?」

さやか「んー...ここに留まってるのはマズイし...とりあえずアメリカ?」

QB「...結局きみもそれかい」


ほむら(......)

ほむら(杏子たちとの敵対も、みんなの記憶から消え去ったのも、自分の逃げ道を塞ぐため...)

ほむら(美樹さやか。あなた一番大切なことがわかってないわ)

ほむら(なぜ、私があなたにこの世界を任せようとしたのか...まどかの一番の支えになっていたのは誰か...考えなさいよ)

ほむら(臆病者はどっちよ、美樹さやか)




ほむら「...見届けてあげる。あなたがどこまでやれるか...少しだけ楽しみにしておくわ」

使い魔「マタアオウ、ミキサヤカ」



終わり


おまけ

ガチャ ガチャ

さやか「んしょっと」

QB「なんだい、その黒い甲冑と大きくてぶ厚くて重くて大雑把すぎる鉄の塊は?」

さやか「...かつて、この大剣で神と渡り合ったという男がいた。まあ、どっかで聞いた伝説なんだけど、その人のようになれたらいいなって思ってさ」

QB「その行為になにか意味があるのかい?」

さやか「こういうのは、気持ちの問題からでしょ?それに、あたしは魔法少女。思い込みが一番の武器になるんだよ」

QB(なるほど。ほむらの悪魔化も、己の愛が条理を覆したと思い込んだから達成できたのか。でも...)

QB「...水を差すようだけど、その男ってまだ神様の誰も倒してないし、伝説どころか現役だよ?」

さやか「えっ!?」

終わりです。
以前、落としてしまったスレがあったので、再投下させていただきました。
読んでくれた方はありがとうございます。

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