ほむら「お話しましょう?」さやか「は?」 (46)

さやか「いやいや...意味わからないんだけど」

ほむら「言葉通りの意味よ」

さやか「そうじゃなくてさ、あんた自分で悪魔だのいずれあたし達と敵対するだの言ってたじゃん。いや、悪魔って言ったのはあたしだった気もするけど」

ほむら「おしゃべりに敵だの味方だのは関係ないわ」

さやか「そうかもしれないけどさぁ...っていかんいかん!あんたのペースに流されるところだった!」

ほむら「だから、私はただ」

さやか「問答無用!往生せいや、悪魔ぁぁぁ!!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1421548155


ほむら「紅茶とコーヒー、どちらがいいかしら?」

さやか「...紅茶で」ボロッ

ほむら「どうぞ。インスタントだから、自分で淹れてちょうだい」コトッ

さやか「あの...一応客なんですけど」

ほむら「どうせ、私が淹れたら『何か仕込んだんでしょう!?』とか言って疑わないじゃない」

さやか「...そっすね」

さやか「それで、なんの用だよ」トポトポ

ほむら「まあまあ、世間話でもしましょうよ」

さやか「だから、あんたとあたしは敵同士だって...」

ほむら「最近、彼らとの仲はどう?」

さやか「どうって...楽しくないっていったらウソになるよ。本当なら、あたしの命はとっくに尽きてた。それが、どういう経緯であれ、またみんなと一緒にいられるんだ。嬉しくない筈がないよ」ゴクゴク

ほむら「そう。それはなによりだわ」

さやか「...そういうあんたはどうなのよ」

ほむら「QBには使い魔があたってるし、魔獣はあなた達魔法少女が相手をしてくれている。まどかも最近は円環の理に戻る予兆もないから、とても順調よ」

さやか「...そーですか。おかわり」

ほむら「はい」スッ

さやか「で。結局何が目的なのよ?」トポトポ

ほむら「あなたと仲良くなりたいのよ」

さやか「ふざけんなっての。仮にも天使なあたしが、なにが悲しくて悪魔と仲良くしなくちゃいけないのさ」

ほむら「天使、ねえ...」

さやか「え、円環のカバン持ちだから天使みたいなもんでしょうが。文句ある?」

ほむら「いいえ。なにもないわ」

さやか「だいたい、なんであたしなのさ。あんたが一番信頼してるのは杏子だと思ったんだけど」

ほむら「あなたが私と敵対する確率が一番高いからよ」

さやか「よくわかってんじゃん。だったら、あたしと仲良くなるなんて諦めな。...あれ、紅茶の味変えた?さっきより美味しい気が...」ズズズッ

ほむら「...フッ」

さやか「!」

ほむら「飲んだ...わね」ニヤリ

さやか「あんた...まさか!」

ほむら「そのまさかよ。それはインスタントなんかじゃない。私が直々に淹れた紅茶よ!」

さやか「くっ、いつの間に!?あんた、なにを仕込んで...」

ほむら「で、どうだったかしら?」

さやか「えっ?」

ほむら「味よ、味。昔、巴さんに教えて貰った淹れ方を思い出して真似してみたんだけど...」

さやか「インスタントよりは美味しかったけど...マミさんに比べたらまだまだだったかな」

ほむら「そう...次は頑張るわね」

さやか「じゃ・な・く・て!!」

さやか「ふつう、こういうのってなにか仕込んであるものじゃないの!?毒とか痺れ薬とかさぁ!」

ほむら「仲良くしたいって言ってる相手にそんなことをするバカがいるわけないじゃない」

ほむら「だいたい、そんなモノ使わなくてもあなたに負けないことはさっき身をもって知ったでしょう?」

さやか「そ、それは...」

ほむら「とにかく、今は確執を忘れてこの時間を楽しみましょう?」

さやか「......」

ほむら「ああ、そういえばお菓子が足りなかったわね。なにか欲しいものはあるかしら?」

さやか「...なんでもいいよ」

ほむら「そう。ちょっと待ってて」パンパン

なぎさ「呼んだのですか?」

ほむら「なにかお菓子が欲しいのだけれど」

なぎさ「チーズ以外ならいいのですよ。チーズはなぎさのものなのです」

ほむら「ええ。構わないわ」

さやか「まてコラ」

さやか「ねえ、なにやってんのあんた。円環の役割はどうしたの」グリグリ

なぎさ「痛いのです!ぐりぐり攻撃は嫌なのです!」

さやか「うるさいよ。なに敵とフレンドリーな関係になってんのよ」

なぎさ「違うのです。これには深いワケが...」

ほむら「ええ、そうよ。彼女には逆らえないふか~い事情がある」

さやか「なっ...!?あんた、やっぱり!」

ほむら「教えてあげなさい。美樹さやかの同僚、元・円環のカバン持ちさん」

なぎさ「はい...」

*********************************

回想

テクテク

なぎさ(今日こそは、マミにチーズの素晴らしさを叩き込むのです。食べ過ぎたら太るだの健康に悪いだの...そんなもの、チーズを食べれることの代価と思えば些細なことなのです)

なぎさ「ああ...それにしてもお腹がすいたのです。マミの前でおいしくたらふく食べる様を見せつけるためとはいえ、昨日丸一日ご飯抜きはさすがに厳しいのです」グウウウゥゥゥ

ガヤガヤ

なぎさ(?なにやら、騒がしいですね。それに、この匂い...まさか!)ダッ





ほむら「このこんがり焼けたトーストに、アルプス山脈で貰った、山羊の乳から作ったチーズを載せれば...」

タツヤ「おいし~い!!」

知久「凄い...こんなもの、僕ですら作れない。一パック持ち帰ってもいいかい?妻に食べさせたいんだけど...」

ほむら「ええ、どうぞ。今ならお一人様一パック、先着百名様まで無料です」

なぎさ「ち~~ずゥゥゥ!!」ドドド

なぎさ「ホントなのですか!?こんな上質なチーズ、タダでくれるのですか!?」ピョン ピョン

ほむら「ええ。でも、ちゃんと並んでちょうだいね」ナデナデ

なぎさ「はーい!」

~~~~~~~~~~~~~~~~

ゾロゾロ

なぎさ(くっ...空いたお腹にこの匂いは強敵なのです。ああ...はやく食べたいのです!)

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「信じられない!また調味料全部かけちゃうなんて!」

「...すみません」

なぎさ(ああ...はやく、はやく!)ジュルリ

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「まあ、このチーズトーストでも食ってリラックスしてな。娘の面倒は俺がみといてやるよ」

「ぬふふ(^ω^)」

「面白いやつだな、気に入った。殺すのは最後にしてやる」

なぎさ(あと少し...!)

~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おいしかったね、平太!アルプスにいる怨爺の味を思い出したわ!」

「ああ。あれを食べたら、怨爺のところに帰りたくなっちまった...」グスッ

なぎさ(―――――きたっ!)



なぎさ「ください!アルプスチーズください!」ピョン ピョン

ほむら「ごめんなさい。さっきの二人で完売してしまったの」

なぎさ「なん...だと...?」


ほむら「あら、よく見たらもう一つ残っていたわ」

なぎさ「!ください、ください!」

ほむら「でも、これは私の夜食用だし...」

なぎさ「そ、そんなぁ~」ウルウル

ほむら「...そんなに食べたいなら、一つお願いを聞いてくれれば考えてあげないこともないわ」

なぎさ「なんでもします!チーズのためなら何でもできます!神様だって怖くないです!」

ほむら「そんなに気張らなくても...私のお願いはただ一つ」

ほむら「私と、お話しましょう?」


*********************************

なぎさ「...と、このように悪魔的な方法で無理矢理...記憶もその際に戻されたのです」グスッ

ほむら「これでわかったでしょう?あなたたちでは私に敵わないことが」

さやか「うん。あんたらがバカだってことはよくわかった」

なぎさ「落ち着くのです、さやか。なぎさがチーズだけで釣られる尻軽女と思うのですか?」ヒソヒソ

さやか「あんたの手に裂けるチーズが大事そうに握られてるんだけど」

なぎさ「わざわざ相手から情報を流してくれるのですから、この機を逃す手はないでしょう?」

さやか「...でも、あいつは信用できないよ」

なぎさ「とりあえず聞いておけばいいのですよ。あいつから得た情報が嘘か本当かはこちらで判断すればいいのです」

なぎさ「敵だの味方だの、下手なプライドはチーズと一緒に呑み込んじまえばいいのです」

さやか「...わかった」

なぎさ「説得完了なのです、ほむら」クルッ

ほむら「ありがとう。はい、これ報酬の一口チーズ」

なぎさ「わーい!」

さやか「......」

さやか「...それで、お話ってなんだよ」

ほむら「そんなに身構えなくてもいいわよ。ほら、そこの彼女を見てみなさい」

なぎさ「ん~、ほむらの紅茶はチーズによく合うのです。おかわり!」

さやか(このやろう...!)

ほむら「切り替えの早さでは、この子の方が上みたいね」

さやか「...いちいち話をそらさないで。こんな回りくどいことをしてまで、あたし達を集めてなにを話すつもりなの?まあ、大方予想はついてるけどさ」

ほむら「...わかったわよ。あなたとはもっと仲良くなってから話したかったのだけれどね。単刀直入に言うわ」

ほむら「まどかが円環の理を思い出すような真似をしないでちょうだい」

さやか「...やっぱり、か。あんたがわざわざあたしやなぎさの記憶を穿り返してまで集めたんだもの。それ以外ないよね」

なぎさ「でも、おかしくないですか?」

さやか「なにが?」

なぎさ「私たちは今の今まで円環の理について忘れていたのですよ?邪魔されたくないなら、そのまま放っておけばよかったのです」

ほむら「察しがいいわね。では、何故私はあなた達の記憶を戻したのでしょうか?」

さやか「いきなりクイズって...あんたのテンションについていけないんだけど」

ほむら「いいから素直に考えなさい。これ、結構大事なことだから」

さやか「もったいぶってないでさっさと教えなよ」

ほむら「あなたの矮小な脳は考えることすら放棄するの?」

さやか「表でろコラ」

さやか「」チーン


なぎさ「うーん...さっぱりわからないのです」

ほむら「やっぱりあなたは偉いわね。そういう素直な子、お姉さん嫌いじゃないわ」

なぎさ「ほら、さやかも考えるのです。一瞬で返り討ちにされたからって、いつまでメソメソと泣いてるのですか」

さやか「...泣いてなんかないもん」グスッ

今回はここまでで。明日までには続き書きます

ほむら「...仕方ないわね。それじゃあ、何故わざわざ呼び寄せたか...その意味と理由を教えてあげる」ガラガラ

さやか「液晶テレビ?」

なぎさ(というか、結局教えてくれるのですか)

ほむら「これはある日のまどかの様子を私の僕たちが撮影したものよ」

さやか「それって盗撮じゃ」

ほむら「細かいことはいいの。まずはまどかからよ」

エイミー『にゃあ』

まどか『おはよー』ナデナデ

なぎさ「可愛いネコさんなのです」

さやか「あれって、まどかが助けたことのある...」

ほむら「そう。エイミーよ」

さやか「これがどうしたのよ。ただ単にエイミーとまどかが可愛いだけじゃ...」

ほむら「よく見ていなさい」

なぎさ「あっ、エイミーが道路に飛び出して...!」

グワシャア

まどか『...大丈夫だった?エイミー』

エイミー『にゃあ』

さやか「ま、まどかあああぁぁ!!」

さやか「あんた、なんでまどかを救けなかったのよ!?」

ほむら「落ち着きなさい。これ、彼女の転校初日の出来事よ」

さやか「へっ?」

なぎさ「見てくださいさやか!まどか、自分の身体の心配もせずに、散らばった学校用具を拾ってるのです」

さやか「よかった...当たり所がよかったのかな」

ほむら「そんなわけないでしょう。あの音よ、最低でも入院くらいはなくちゃおかしいわ」

さやか「だよねえ...あっ、運転手が出てきた」

『俺の車にこんなことして、ただで済むと思ってんのか!?』

まどか『ごめんなさい』

なぎさ「まどか、ものすごい怒鳴られてるのです」

さやか「車が傷ついた気持ちはわからんでもないけどさぁ、あの車も、一般道路だとは思えないスピードで走ってたよね」

なぎさ「全くです。まずはまどかの安否を確認すべきです」

さやか「そうこうしているうちにまどかが人気のない路地裏に連れ込まれて...ってこの展開は...!」

ほむら「ええ。流石にこの時は焦ったわ。このまま、まどかが薄い本のような目に遭うのではと思ったら、気が気じゃなくて...」

なぎさ「薄い本?」

さやか「お子様は気にしちゃ駄目だよ」

さやか「じゃあ、まさかまどかは...!」

ほむら「まどかの貞操は無事よ。そう結果を焦らないで、もうすぐわかるから」


『へっへへ、さっきから無口だなぁ、おい』

まどか『......』

『怖いか?クソッタレ。当然だぜ。元YAKUZAの俺に勝てるもんか』

まどか『試してみる?わたしだって元コマンドーだよ』



~しばらく、まどかさんによる一方的で過激な暴力表現が続きますので割愛させていただきます。~



さやか「」

ほむら「あ、あとついでにこれが私が校内案内してる時の映像よ」




ほむら『鹿目まどか。あなたはこの世界を貴いと思う?欲望よりも秩序を大切にしている?』

まどか『...それは、えっとその...』

まどか『わたしは貴いと思うよ?やっぱり自分勝手にルールを破るのって悪いことなんじゃないかな。軍隊だって、ルールを守らなきゃみんなに迷惑かけちゃうし...』

ほむら(軍隊?)

ほむら『そう...なら、いずれあなたは私の敵になるかもね。でも...構わない』パサッ

まどか『ほむらちゃん...?』

ほむら『それでも私は、あなたが幸せになれる世界を望むから』つリボン キュッ キュッ

まどか『あ、あの...』

ほむら『やっぱり、あなたの方が似合うわね』

ほむら『それじゃ...校内案内を続けましょう』

コツ コツ

まどか『待って』

ほむら『?』

まどか『ほむらちゃんの言いたいことはわかったよ』

まどか『つまりほむらちゃんは、わたしと戦って、このリボンを勝ち取りたいんだね』

ほむら『...へっ?』

まどか『いいよ。本当はこういうのはあんまり好きじゃないけど...遠慮はしないで』

ほむら『あ、あの、まどか?』

まどか『きなよほむらちゃん。体裁なんて捨てて、かかって来い!』

ほむら『落ち着いてまどか。私はそういうつもりじゃ...』

まどか『怖いのかな?』

ほむら『だ、誰があんたなんか...あんたなんか怖かねえ!じゃなくて...』




ほむら「ちなみに、この後、どうにか説得するのに一時間ほどかかったわ」

さやか「」

なぎさ「」

ほむら「わかったかしら」

なぎさ「...いやな...事件でしたね...」

さやか「まどかがこうなった理由を一緒に考えろって言いたかったわけ?」

ほむら「その通り」

さやか「心当たりはないの?」

ほむら「私にもさっぱり...魔法少女になったわけでもないし...」

???「お困りの様だね」

!?

QB「誰だって顔してるんで自己紹介させてもらうけど、僕はお節介焼きのインキュベーター!解説の匂いにつられてやってk」

QB(ぼ...僕にはわからない。今、この1レスの合間になにがおこったのかさっぱりわからない...)ボロッ

ほむら「さ、まどかがああなった原因を考えましょう」パンパン

さやなぎ「はーい」

QB「ま...待つんだきみたち...この扱いは酷いんじゃあないかい...?」

さやか「だって...ねえ?」

なぎさ「そもそも、こんな面倒ごとが起きたのは、根本的にはお前が原因みたいなものですから」

QB「なにを言っているんだ!?僕たちは君たち魔法少女の願い事を叶えて、上条恭介の腕を治し、マミを助け、その他もろもろの手助けをしたじゃないか!だから僕らにだってそれ相応の報酬があるべきだろう!」

さやか「それとこれとは話が別でしょ?」

なぎさ「だからって人体実験はなしですよ」

QB「バカを言うなァ!無防備な財宝が目の前にあるにも関わらず、一切手出しをしないトレジャーハンターがおるか!?いなぁ~い!僕らのあの行為は至極当然の摂理だと思うよ、このインキュベーターはァ!」

さやか「...ねえ。コイツ、なんかキャラ違わない?もろ感情持ってるじゃん」ヒソヒソ

ほむら「最近、私が酷使し続けたせいでバグが起きたらしいわ。気味が悪いからしばらく使い魔に任せっ放しにしてたけど...」ヒソヒソ

QB「ふん...いいのかな?僕にそんな態度をとって」

ほむら「あ?」ギロッ

QB「ヒッ!...し、知りたくはないのかな...まどかが何故ああなったかを」

さやか「あんた、なにか知ってるの!?」

QB「もちろんさ。円環の理の一部に、世界を改変してしまった悪魔...君たちが、僕の理解を超えた存在であることは認めよう...だが」

QB「我がインキュベーター族の情報収集力は宇宙一ィィィ!知らんことはないィィィ―――!!」

なぎさ「じゃあ、教えてください」

QB「知りたいかい?」

さやか「うん」

QB「僕の尻を舐めたら考えてやってもいいよ」

さやか「ほむら」

ほむら「ええ。許可するわ」

QB「き...君たちは本当に分からないのかい?彼女が何故ああなったか...」ボロッ

さやか「わからないよ」

なぎさ「あんまり勿体ぶってると、なぎさのチーズランチャーをおみまいするですよ」

QB「よく考えるんだ。何故、まどかは円環の理から裂かれたままでいられるのか。君たちは、何故記憶を思い出したり失ったりするのか」

さやか「なんでってそりゃ...あっ」

ほむら「なにかわかったの?」

さやか「いや...すごくアホらしい結論になっちゃったからさ」

さやか「まず最初に。この世界だと、おおまかな事はあんたが管理できるってことでいいよね?」

ほむら「間違ってはいないわね」

さやか「まどかがアメリカ帰りって設定つけたのはあんただよね?」

ほむら「ええ。なるべく見滝原から遠くにいた方が思い出し辛いかな、と思って。で、あまりにも余所にいられて違和感を感じられても困るから、見滝原に帰らせたわ」

さやか「あんた、アメリカについてなにもかも知ってる?」

ほむら「そんなわけないじゃない。今までのループでもずっと見滝原よ。入院中に見たコマンドーに男塾、それに潜入していた基地くらいでしか...あっ」

さやか「...やっぱりか」

なぎさ「どういうことなのですか?」

さやか「ようするに、こいつの勝手なアメリカのイメージがまどかにそのまま組み込まれちゃったわけ。それに付け足して、まどかが契約しないようになんて思っちゃったから...」

なぎさ「なるほど、アメリカ=マッチョで強いということですね。それで、契約なんて必要ない、脳筋少女まどか☆マギカの完成というわけですか」

ほむら「...キュゥべえ。どうすれば元のまどかに戻せるか教えなさい」

QB「おやおや?それが人にものを頼む態度ですかな?」

ほむら「教えろ」ギロッ

QB「そうですね、とりあえずアメリカについて学んでみたらいいんじゃないですか?」

ほむら「なるほどね。まずは今のイメージを壊す必要がある、と...」

ほむら「...さて、あなたたち。問題が一つ解決したところで本題に入りましょう。最初の質問の返答は?」

さやか「ノゥに決まってるでしょ。それに、記憶が戻ったあたしたちがここにいて、あんたもここにいる。だったら、あたしたちがやること、わかるでしょ?」

なぎさ「...観念するのです、ほむら」

ほむら「ええ、好きにしなさい」

さやか「!へ、へえ...随分あっさりと...」

ほむら「でも、いまは駄目よ。だって、それじゃあまどかが幸せになれないじゃない」

さやか「なっ...」

ほむら「あなた達はいいかもしれないわよ?まどかになにもかも押し付けることができるし、導かれてもみんなはあなたのことを憶えている。...でも、あの子は違う」

ほむら「ここが無くなれば、人間としてのあの子は、大切な人からも忘れ去られて、誰とも触れ合えなくなってしまう...あなたはそれでいいの?」

さやか「でも、あんたはまどかの意思を踏みにじったんだ!あんたの欲望のままに!だからあたしは、まどかの代わりに」

ほむら「正義の味方みたいな言い草ね。なら、聞かせて貰えるかしら」

ほむら「私は聞いたのよ。まどかの口から、あの子の本心を。...大切な人とお別れなんてしたくない。彼女の本心は、そんなささやかな願いだったわ。でも、彼女はそれを諦めた。自分の願いも、幸せも、諦めるしかなかった」

なぎさ「で、でも...彼女がいないと、この宇宙が...」

ほむら「なら、彼女の本心は必要ないというの!?より多くの人が助かるためなら、彼女が苦しむことさえも厭わないの!?」

ほむら「...ねえ、どうすればいいの?誰からも忘れ去られ、それでも自分だけは生き続けなければならない人間は...全てを受け入れなければならないの?」


さやか「ほむら...」

ほむら「...ごめんなさい。熱くなりすぎたわ」

さやか「いや...いいよ。続けて」

ほむら「...以前私に聞いたわよね。『世界を壊すつもりか』と」

ほむら「私が望まなくとも、そうなる可能性は否定できないわ。...一人では限界がある」

さやか「だから、あたしたちもあんたみたいになれって?」

ほむら「...最低限、まどかに円環の理を思い出させないだけでも十分よ」

なぎさ「......」

ほむら「今すぐ協力しろとはいわないわ。でも、よく考えてみて。まどかの鞄持ちなら...なにがまどかのためになるのかを」

ほむら「これ、約束のチーズトーストよ。色よい返事を待ってるわ」

スタスタ

さやか「まどか...ほむら...」

さやか(なんで気付けなかったのかな...ううん、違うよね。本当は気づいてたんだ)

さやか(でも、まどかに後悔してほしくない。まどかの決意を踏みにじりたくない。...そうやってごまかしてたのかな、あたしたち...)

なぎさ「さやか」

スッ

なぎさ「...半分、食べますか?」

さやか「...ありがと」


なぎさ「...美味しいですね、このチーズ。流石はアルプス直伝のチーズトースト」モグモグ

さやか「うん...そうだね」モグモグ

なぎさ「...なぎさはわからないのです。まどかの願いは間違っていないと思う...でも、それはほむらも同じなのです」

なぎさ「ほむらだって、まどかを助けたかっただけ...だったら、正しいのはどっちなんでしょうか?正しいことって、そんなに大事なことなんでしょうか?」

さやか「...なぎさ。この世界に取り込まれて、また大切な人に会えた時どうだった?」

なぎさ「どうって...嬉しかったに決まってるじゃないですか」

さやか「そう...だよね。あたしだって、仁美や恭介たちにクラスの友達、父さんと母さん、杏子やマミさんとまた会えた時嬉しかった」




まどか『友達も家族も、大好きで、とっても大切な人たちだよ』




さやか「...やっぱり、それが一番だよね」

今回はここまでです。読んでくれた方はありがとうございます。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom