唯「デビちゃんといっしょにお誕生日パーティーをしたいな」(15)

唯「デビちゃんのお誕生日パーティーするよ!」

憂「・・・誰?」

梓「誰ですか?」

唯「誰って、デビちゃんだよー?」

憂「えっと・・・」

梓「知りませんけど?」

唯「ええ~っ!?」

唯「だ、だってデビちゃんだよ?
あずにゃんたちと同じ学年に来た転校生で、軽音部に仮入部した子!」

梓「うちの学年に転校生?わかりませんね」

唯「そんなぁ・・・」

憂「お姉ちゃん。何かの勘違いじゃ・・・」

唯「そんなわけ・・・
憂、あずにゃん、本当に知らないの?
背が高くて、ピンク色の髪で、パートはユーフォニアムで、可愛い女の子」

梓「知りませんよ。いつ会ったんですか?」

憂「その、ユーフォニアムって何だっけ?」

梓「さぁ?楽器なのはわかるけど」

唯「おっきい管楽器だよぉ。デビちゃんが見せてくれたじゃん」

梓「だから知りませんって!」

唯「・・・どうしてだろ?」

唯「デビちゃん今頃どうしてるかな?4年に一回のお誕生日を楽しんでればいいな」

唯「デビちゃん、元気かなぁ」

唯「・・・捜そう。デビちゃんを!」

唯「デビちゃんは携帯持ってないからなー」

唯「どこに行けば会えるんだろ・・・?」

唯「お誕生日、お祝いしたいな」

唯「もしかして、公園に行けば会えるかな?」

唯「・・・いやいや。この天気だよ?大雪だよ?」

唯「まさか・・・!」

ダッ

公園


唯「デビちゃんっ!!!」バッ

唯「・・・居ない」

唯「よ、良かった~」ふにゃふにゃ

唯「こんな雪で外にいたら死んじゃうよ~」

唯「でもデビちゃんはどこへ・・・?」

唯「ん?」

唯「ジャングルジムのところに何かある」

唯「手紙・・・?」

唯「まさかっ」ペリッ

『唯先輩へ』

唯「デビちゃんの字だっ」

『唯先輩へ

唯先輩は私のことを憶えていてくれたんですね。嬉しいです。
他の人たちが私を忘れていたので驚いたと思います。

まずは何も言わずに消えてしまったことをお詫びさせてください。

私は
私は本当はこの世界の人間ではないのです。
どうしても、どうしても、先輩たちの仲間に入りたくて軽音部に混ざってしまいました。

でもそれももうおしまいにしなくてはならなくなりました。
とても楽しくて、帰るのをためらうくらい楽しくて。

しかし、ここは私が居ていい世界ではないんです。

今までありがとうございました唯先輩。
みんなの記憶は私が居なくなると自然に消えるようになっています。
唯先輩が私を憶えていてくれた理由は私にもわかりません。

私のようなニセモノの事を憶えていてくれて、そして誕生日まで憶えていてくれてありがとうございます。

素晴らしいプレゼントをいただきました。
唯先輩からも、他のみんなからも、たくさんたくさんいただきました。

もう会うことはできなくなってしまいますが、私はとても幸せな誕生日を迎えられました。

もう私のことは忘れてしまってください。
私の存在は夢だったんです。

さようなら唯先輩。今まで優しくしてくれてありがとうございました。

三浦茜』


唯「デビちゃん・・・」

唯「デビちゃん。私は忘れないよ、デビちゃんのこと」

唯「そっか。デビちゃんは今日、お誕生日に幸せな気分になれたんだよね?」

唯「良かった・・・」

唯「デビちゃん、私こそ今までありがとう。新しい後輩が増えて嬉しかったよ」

唯「お誕生日おめでとう!」


おしまい!

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