京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」県内編 (806)

▼ご注意▼

 1.百番煎じの京太郎スレ

 2.キャラ崩壊&ご都合主義

 3.>>1の独自解釈による設定

 4.元々安価スレの予定だっため、ぶつ切り&描写薄

 5.麻雀素人による酷い闘牌描写

 6.チョロイン

 7.京太郎主観

以上のことを許容できない方はブラウザバックをオススメします




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                               ヽ、   ヽ  __
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       _,.‐-、                      ' ´/  , _ 、´
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      └! .i! .!┘   _   _             ,.'⌒   `,. l   !  ー"ヽ  ヽ
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「――京  ん   起  て   きょ    ん」



 眠りに落ちた俺を起こそうとする声が聞こえる。奈落から引き上げるようにさえ

ずる可憐な声。幼馴染の少女の声。きっと幸せ者なのだろう。そんな益体もない

ことを考えながら瞼を開く。目のくらむ鋭い朝陽の向こうに見える人影。



『ステータスを決定します』

 技量:麻雀の上手さです
    高いほどデジタル思考による確率的により良い打ち筋を指向します

 直感:確率を度外視した勘です
    高いほどにオカルトじみた余人には不可解な独自の打ち筋を見せます

必然力:望む状況、牌を引き寄せる力です
     いわゆる運の強弱ですが、あくまで麻雀に限ったものです

 この3つのパラメーターをコンマによって決定します

 一桁目と二桁目の合計を半減したものを初期ランクとします


ダイスロール

 3d100=12・82・77



 12=3 /2=1 →G05

 82=10/2=5 →E25

 77=14/2=7 →D35

 必然力がゾロ目なため、特殊な状況になります

 必然力で高め数値でのゾロ目なため、特殊な状況になります

「――京ちゃん、起きるっすよ、京ちゃん!」

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 肩までの黒髪が朝の光に映える、儚げな美しさを持つ少女――東横桃子。

 桃子とは中学時代からの付き合いだ。

 影が薄く、他人から認識されにくい体質……らしい。

 影が薄かろうが俺の巨乳好きレーダーからは逃れられなかったのだが。


「おー、おはようモモ。今日も可愛いな」

「はいはい、そーっすね。いいから早く起きるっすよ! 

 淡ちゃんが長野にいるのは今日までなんっすからね!」


 その一言で一気に覚醒する。

 自分は時間を守らないくせに俺が遅れると五月蠅いんだ淡は。


「それを早く言えって!」


 そう叫ぶように言って俺こと須賀京太郎はパジャマを脱いで着替えはじめる。


「ひゃっ な、何いきなり裸になってるっすか!」

「脱がなきゃ着替えられないだろうが」


 慌てながらも目を逸らすでもなくむしろじっと食い入るように見る桃子にそう応じながら、

 俺は手早く着替えを済ます。その流れで歯を磨き、顔を洗い、髪を整える。

 その間にダイニングでは桃子が朝食の配膳を手伝い、準備を終えたようだ。

 ありがたくも急いで食べ、桃子が走らないで済む程度の歩調で家を出る。

「おっそーーーい!!」

「約束の時間5分前だろ、勘弁してくれよ」

「京ちゃんは分かってないっすねぇ。女の子との約束なら30分前行動は基本っすよ」

「だよねだよね! さっすがモモ話が分かるぅ! キョータローは反省しなきゃだよ!」


                       ´              \__

                         /                    マ三三三三三三ニ=-
                  /     /           \     ∨ /⌒> 三三三ニ=-
                         ,′          ヽ           \三三三ニ=-
                   /     _/ │  ∧          .     | ニ二  -=ニ\三三三ニ=-
.                /    / /│ '|  |\  :.       :. i   |\        ̄`丶三三三
           __/      / /  │/│  |   :. |\       :.   |             \三三
         _/´/ /    /| \| | |  |  |│ ::.     |   八   ー―‐=ニマ三\  マ三
       厂| |∨//    人 レl   | ト-|  |  |│ ::.     │ \ \       `マ三)  }三
__,,...  -┤│レ/゙∨   /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│              ー=ニ二 `マ  /_三
       ││|{ {.  /  ∧ンリ 乂ツ   \|斗テ外、.|       卜、        丶、______ く_三三
       | ∨\八  {  /  Y::/::/  ,    乂)ツ 》│    | /\       \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人          ::/::/ / リ│  │  >ー──=ミ〃    `ヽ∨ニ三
          ̄    \__,))       ヽ      ∠/_7  イ /⌒)丿    \_ノ{ -‐~‐- }ノ三三
                      ≧=‐   -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=

                                 / /  厂∨ / -――=マ 〉|      |
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 理不尽極まりない話である。輝くような波打つ金髪をなびかせ

 全身で存在を主張しているこの我儘お姫様が淡、大星淡である。

 普通に美少女であるし麻雀も人智を超えたようなレベルで強い。

 惜しむらくは桃子と比べてしまうと普乳と言えるそのサイズであるが……


「むーっ キョータローまた胸見てる! 変態! えっち! 馬鹿!」


 おまけにこの勘の良さである。じっくり鑑賞できやしない。

 軽い謝罪をしつつぷりぷりと怒る淡を宥め、どうにか落ち着かせる。

 今生の別れではないにしても、しばらくの間会えなくなるというのに

 最後に見た顔が怒り顔ではあまりに寂しいことだからだ。


「淡ちゃんの広い心に感謝するよーに!」


 桃子も俺も苦笑しながら、

  ははーっ ありがたき幸せー 

 などと返す。

 しばしの間があり、誰からともなく笑いが漏れ、笑顔が満開になる。

「淡ちゃんが居なくなると寂しくなるっすね」


 ふとした瞬間に漏らした一言。桃子の紛れもない本音だろう。

 彼女は友達と呼べる人が決して多くはない。淡と俺、

 そして同じく中学時代に親交を得た宮永咲。この3人くらいだろう。


「淡なら白糸台でもレギュラー余裕だろうし、テレビ越しに見る機会はすぐあるさ」

「あはは、当ったり前でしょー! この淡ちゃん様に勝てるのなんてテルーくらいなんだから」


 俺の苦し紛れの軽口に合わせるように淡が言葉を重ねた。

 テル――宮永照のことだ。現役高校生最強の雀士。

 一度だけ、2年前に雨宿りのために宮永家にお邪魔させていただいた時に

 淡は咲を交えて彼女と対局したことがあったのだ。

 その対局は、素人の俺にはまるで理解できない対局だった。

 桃子と淡のおかげで役と簡単なルールくらいは分かる俺だが、

 あの対局はそんなレベルではツモの一つからして異次元だということしか分からないものだった。

 結局同卓していた中で最も実力で劣る桃子がカモにされて終わったのだが、

 淡もそのことを責めるようなことはなかった。それでも実力は十分計れたからだろう。






「なんならキョータローとモモで全国まで来ればいいじゃん」

 記憶を掘り起こしているうちに、淡がまた妙なことを言いだした。

 ハンドボール部を引退してしばらくの間二人に教えられたために

 俺はずぶの麻雀初心者というわけではない。

 だがインターハイに出られるほどの実力にはとても届かない。

 桃子と淡と遊ぶという意識であったから、技術的な部分は全然覚えていない。

 そもそも淡は他人に教えるのが苦手な天才タイプだし、

 桃子はその体質が前提となっているからどうしても細かい部分でずれてしまう。


「そーっすね、京ちゃんはほんのりと妙な感覚がするっすから」

「そうなんだよねー。今はよわよわだけど、何かきっかけがあれば……」

「ははは、ま、考えとくよ」


 とりあえずそんな返事をし、後は楽しくも寂しい雑談に耽る。

 しかし時間は無情である。ついに別れの電車がやってきた。

 淡は思い切るように飛び乗り、三人の視線が絡まるように交錯する。

 ガラス越しに笑顔と投げキッスを残して、淡は東京へと去って行った。


                _, -──-  .,_
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         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕

4月1週

「そういえば、京ちゃんたちは部活決めてるの?」

                ,. . : : :――: : . .

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       |: :イ |: : :|:从ィ雫ミ \   _)::刈 }: : // V: : : |
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 高校1年生初日である入学式を終え、最初のホームルームも終了した放課後。

 同じクラスになった宮永咲がそう尋ねる。


「私は京ちゃん次第っす。運動部ならマネージャーやるのも悪くないかなって」


 桃子はそうてらいなく答える。もったいないほどの女である。胸も大きいし美人。

 そんな少女が毎朝起こしに来るのだから俺はなんと恵まれていることか。

 そんな思いと同時に、淡が別れ際に言ってきたことが脳裏を過ぎる。






『全国まで来ればいい』




 なんとも、簡単に言ってくれたものだ。だがそれは来てほしいという願いでもあったのではないか。だから――


「そう、だな。せっかくならモモも一緒にやれたほうがいいだろうし、麻雀部、覗いてみようと思う」


 麻雀、か。そう忌々しげにつぶやく咲。咲は麻雀をあまり好きではないらしい。

 過去に何かあったのだろうことは分かるのだが、何があったのかは知らない。

 咲が語りたがらない以上、踏み込むきっかけが無かったのだ。

 だが、姉である照との仲違いと前後してその傾向が強くなったようには思う。

 もし咲が仲直りをしたいのであれば……いずれ麻雀をしなければならない。

 そんな直感がある。



 実際問題、ハンドボール部はこの清澄高校には存在しない。

 であればバスケ部かサッカー部か、あるいは野球部かといった選択肢であるが。

 正直に言って、俺は自分自身の限界が見えてしまっていた。

 県大会決勝。チームメイトだって決して下手ではなかった。

 形で言えば俺はエースでポイントゲッターだった。

 だが、決勝の相手は格が違ったのだ。全員が俺と同じかそれ以上の上手さ。

 体格ではやや勝っていたくらいだったのに、それでも負けた。

 接戦ではあったのだ。だが、だからこそ限界が分かった。

 だったら別の分野に目を向けてみてもいいんじゃないか。

 そう思っていた頃に、桃子と淡に進められて少し麻雀をかじったのだ。

 はっきり言ってぼこぼこにされてばかりだったが。

 それでも、圧倒的に格上である淡が俺には可能性があると言った。

 信じて、賭けてみるのも悪くないんじゃないか。

 ついでに咲の居場所でも整えておいてやれればなお良しだろう。

 そう思って、俺と桃子は早速麻雀部のドアを叩くことにした。

「失礼します。あの、麻雀部の見学をしたいのですが――」


 そう言って旧校舎2階の麻雀部部室のドアを開けると、既に先客がいたようだ。


「あら、今日は千客万来ね。――ようこそ、麻雀部へ」


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         ∨ニ/\:i: : 介: ..  `  ´   イ : : !: : : l/
            Τ二二リ: /: i:_:_:〕  ‐-‐  ´ iヽ: :l: : : :{
          ノ二二/: : : :/ニニ」        |ニ∨: : : 八
        /二二ニ/イ: :l:/ニ「        //: : : :/: : ))
       /\二二二八:.:i二ニ|--、    _ー=彡: : : :/彡ヘ{
        /  \二二二ヾ二ニ「 ̄  - ´_ /:/: : :/二二ニ=-


 そう言葉を発したのは、学生議会会長の竹井久先輩だ。

 入学式で在校生代表としてスピーチしていた人である。背に垂らした赤髪が綺麗な人だ。

 もっとも、やや眠そうな顔をして何故かあるベッドの上にしどけなく座った体勢ではあったが。

 いたたまれず視線を逸らすと、その先にはとんでもない美少女が一人と勝気そうなロリキャラが一人。

 美少女の方はピンク色の髪をした爆乳の持ち主で、スカート丈はかなり短い。

 顔もすさまじく整っていて、ツーテールという髪形も相まってお人形さんのように綺麗だ。

 そのスタイルのせいで顔だけ見れば幼い雰囲気を相殺しているが。

 ロリな方は、茶色がかった明るい髪色で活発そうにまとめている。

 腰に巻きつくようにしているぬいぐるみ(?)がチャームポイントか。

 これまたスカート丈はかなり短い。身長が低いからまだいいが、

 階段などでは丸見えなのではないだろうか。

「1年生が3人、か。そうなると……いよいよ団体戦にも出場登録できるかしら」


 そう呟くように語る竹井先輩。どこか感慨深げである。何やら事情がありそうだが。

「あー、とりあえずまず自己紹介させてもらってもいいでしょうか」

「え、あ、そうね。じゃまずは先輩である私からさせてもらうわね。

 今朝の入学式で見覚えがあるかもしれないけれど、竹井久よ。

 学生議会の会長――いわゆる生徒会長みたいなものね。

 そして、この麻雀部の部長でもあるわ」


 不敵な笑みを浮かべての名乗り。ベッドの上でさえなければ格好がついたのではなかろうか。

「次は私の番だじぇ! 片岡優希、1年! 東場の神とは私のことだァ!」


           ,. : : ' ¨ ̄ ¨': ‐- 、
         _,/ : : : : : : : : : : : : : : : :\
   x‐―‐(./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\
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 !,': :/ : ,' : : :/_」⊥、:! :.| :! : !: : :! : : !: : :.ト--ヘ⌒\

  !:/| : :.|:.!: :イハハ: !: ! :.!: !:斗--!、 : |: : : !: : : !:ヽ.\\
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    ヽ|/: : :! v少         .....  !: : ,': :./: :.,' ,': :./
    イ !:fヽ.! :::::  '     ::::: ,': :.厶イ: : / 厶ィ'

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      _|. Vリ/ > 、     ,. イ仏厶仏イ
     /ヽヽV 厶r:::个ー'^ー'"⌒}―- 、__
    { \〉J }::::::::::∧ r‐x┐ ,|::::::::::::::::`:7

    ヽ`ー'  ノ::::::::::::::::\ヾ!ト'  !:::::::::::::::::∧
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    |::::::::::::::人\ー― - 、::::\/::::::,. イ / |
    |`ー―'  〉 !\: : : : : :>-r<:./| /   !

「ゆーき、誰からもそんな呼ばれ方してないじゃないですか。

 ――失礼しました。私は原村和です」


             , ―<>‐'´,                   \ >-、
               {:::::::: j ::::::::::::}   // /   、  、      `マ::::::}
             } :::::印フ::::::::{  // / / ハ ハ `ト、ヽヽ 、    ヽ::〈
               {:::::: У::::::::::::} l / / / } } | l l l l li  ', ヽ  l::}
             ゝ=イj、::rーr'  | il l  |  | | | | | | l l| i l i l l l l::}
               /// : :|  |  | il l  |  | | | | | |ハノ| i l i l l | |::ト、
           /:::// ::::::|  | | 从 乂 ! ノイ ノ ハノx==リ<イイ!イ l | l:::\>
           {f^〈:rヘ::j  ト、ily{frうr1      ´frうr1}y!ノ ル'j | lヽ:::::〉
               l  |    ト、 ` 込:ン       込::ン ' ∧乃_ | | ∨
               l  |    | r'  .:::::::::    ,    .::::::::. /ノi l l | |
            イ /l   | ト--、              /  li l l | |
            / //!    | | | i {\     ー‐    /  li l l | |
            / // |   | | | i |  l>、     , < |  l |i l l | |
            ,イ // /|   | | | i |_|  ` ー ´|   |  l |i l l | |
        // // //|   |_| |_リ:::::l        「>-ト-、_l |i l l l 乂
       / / // /  |   l::| |::::::::::{        L::::::::\ f^Y^ヽ |  \
        / / // />' |   l::| | :::::::::ヽ__,  _ノ | ::::::::::::fr'ニニム     ,
     / / //// : ::::::|   l::| | :::::::::::::',-―――┤::::::::::::{レ―-、 iハ    ,
      / / /イ//rへ、 |   l::| |:::::::::::::::::',      /:::::::::::::::{レ―-、 | ハ   |
    l / / レ ∧  `1    l::リ:::::::::::::::::::',   /::::::::::::::::/Y7Ti  ト、ハ   |
    l / / / /  ヽ  l   ト、:::::::::::::::::::::ヽ  /:::::::::::::/,ノl:::::::|  ト、 ハ  |


「のどちゃんはインターミドルのチャンピオンなんだじぇ」


 ロリっ子が片岡優希。名乗りからして東風戦が得意……なのだろう。

 そして爆乳美少女が原村和。確か――


「あー、雑誌で見たことあるっす。実際に見てみるとまさにおっぱいさんっすね」


 桃子がそう言ってしまうのは仕方がないことではなかろうか。

 とはいえ自分から言い出したのだからちゃんと自己紹介をしてしまわねば。

「ご丁寧にどうも。俺は須賀京太郎、1年です。んでこっちは東横桃子です」


 軽く会釈するように頭を下げてから、桃子の腰を掴んで強引に目立つように横に立たせる。


「あれ、4人? おかしいわね……疲れてるのかしら。見逃してたなんて」


 竹井先輩がそう言って目頭を揉んでいる。原村さんも片岡さんも驚いているようだ。

 慣れたとはいえ、こういう反応には苦笑する他ない。


「お? おー、新入部員がこんなにおるとは。久も部長冥利につきるってもんじゃのぉ」


 後ろからそんな声が聞こえて振り返ると、

 緑色のウェーブした髪の眼鏡をかけた女性が入室してくるところであった。


「自己紹介の途中じゃったようじゃの。ワシは染谷まこっちゅー。2年じゃ」

               ,.._-‐:.:.:.‐-_、

             /:'"´:;、ヽ::::/::\ヽ
            //.:.::::::/:、:ヽYハ:::::::`ヽ、
          ,.‐'".::::::::::i'"´`゙'"´`i::::::::.:.:Li_

           |..::::.:.:::_:ノー-    -!、:: : ::  `;
.           ,f:,.:::::::i/_,:=、、     ,二、ヽ:::ノ::.:/
          {jハ::::ハj/_)::::i゙ i__i イ、::::iヽリ;i::.:i、)
        /イ.::::{ |、ゝ-゙' ノ ̄i .<::シ '/ュ!ノ:〈

         // {::::::::、_!` ̄´_'__`ー―'iノ:::::::i、ヽ
        !'  、:|::::::::\   、_ _ノ   ノ::::::::i:::} ヽi
          ヽi、从ヽ`;i 、_   ,ィ:ノj:;:::ルレ′リ
              _,.ツ!  ´ |、_'"V'"´
         _r、<:: ̄::::::::i{__    _〉::`:.ー..、_
         ハヾ、、::::::::::::├――/::::::::::::::/ク
        /  !i i::-、=、::::::、   /::::::::;;:=:"ィ´ハ
      /    !i ヽ「 ̄`ヽr;X:;r‐:'" ̄ヽイ /   \
     /      ゙| |:::::::-→!::::}=ー-:::::::/. /    \
   < \      |  {:::::;::-‐厂|:ー-、:::::::} |′    / >
.  / \  \  /|   7::::/::i  |:::::::::::i`´ ト、   / / \
. f'   /\   >' |  └イ:::::!  i:::::;、__〉 | .ヽ/ /\.   \
 i   i     ̄   |      ̄   ̄ ::.. ::|  ー'"   〉  /

どうやら2年生らしい。そして彼女で部員が全員そろったようだ。

 俺たちはまだ見学の段階だが。


「さて、自己紹介も終わったしまこも来たことだし……試しに1局打ってみましょうか」


 竹井先輩のその一言で皆の視線が1脚だけある雀卓に一斉に向けられる。




チュートリアル対局が開始されます

須賀京太郎
属性 :オカルト
技量 :G 5
直感 :E25
必然力:D35
・スキル
【????】
 片鱗を覗かせる異形の力。
(効果A)
 聴牌判定値を+5。
(効果B)
 和了判定値を+5。
(効果C)
 1飜の場合、打点を+1。



染谷まこ 
属性 :オカルト  
技量 :D

直感 :D
必然力:D
・スキル
【卓上記憶】
 幼い頃より幾多の闘牌を見続けた少女の脳裏にはその記録が残っている。
 素の判定コンマがゾロ目の場合に発動。
(効果A)
 次局から自身の判定値を+30。
(効果B)
 打点+3。



片岡優希
属性 :オカルト
技量 :F
直感 :D
必然力:D
・スキル
【TACO4S】
 名前にタコと付くものを取り込むことで自身の力を一時的に高めることができる。
 タコと名の付く物を食べた直後の対局時、東場の間のみ発動。
(効果A)
 場決めコンマに+30。
(効果B)
 聴牌判定値を+10し、和了判定値を+30する。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+30・打点を+1する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが1枚以上乗る。
(効果E)
 南入した場合、判定を-10。



原村和
属性 :デジタル  
技量 :B
直感 :G
必然力:C
・スキル
【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。


起家は京太郎。その後まこ、優希、和の順。

東一局 ドラ:五萬

京太郎(うーん、聴牌はできそうだ。
    索子がやたら多いし、もしかしたら清一色狙えるんじゃないか?)

まこ(この配牌は……いかんの。聴牌すらできん気がする)

優希(じぇ~。タコスは食べたはずなのに全然ダメだじょ……)

和(配牌はかなり良いですね。ドラも交えれば倍満に届くかもしれません)


 まこと優希は聴牌まで遠い配牌であった。

 一方京太郎はそこそこ、和は絶好である。


和(なぜでしょうか……少し違和感があります。

  ネトマと違うというだけではなく、確率に妙なズレがあるような)


 この違和感を、彼女は信じるべきであったのだ。

 デジタルを突き詰めた原村和は無駄ヅモをほとんど無くし、

 圧倒的な速度で和了にたどり着く……はずであった。

 少なくともネット麻雀をしているときはそうであった。それ故の伝説である。

 だからこそ、隙が生まれた。致命的な隙が。彼女の信じる確率を衝く、陥穽。

 卓上を妙な感覚が支配する。和は違和感で流してしまったが、

 デジタル的な確率論のみならず場の流れや直感を信じて打つまこと優希には

 とても見過ごすことのできない感覚。


まこ(聴牌まで遠いけぇの、ここはオリじゃ。金髪から妙な雰囲気がするけぇ)

優希(うー、まずいじょ。牌が全然来ないし金髪ノッポが大きい手を抱えてそう

   な気配がびんびんだじぇ。いくら東場でも突っ張ったら危ないかも)


 1m 東 9s 9s 1s 1p 白 白 白 赤5s 赤5p 赤5p


 ヤオチュー牌と自風のみならず赤ドラ、三元牌を暗刻だろうと落とすという打牌。

 さらに言えば、一・五・九索も捨てている。他の河には索子はほとんど出ていない。

和「リーチ」


 しかしここで和が気にせずにリーチ。京太郎よりも先に聴牌したのだ。


  4m4m5m赤5m6m6m 2p2p3p3p4p 5s5s 打:1m


 上手くすればリーチ一発ツモタンヤオ平和二盃口ドラ3で三倍満という手。

 裏が乗れば数え役満にも届く。たとえ安い方でも倍満という勝負手。

 ほぼ一直線でこの手牌までやってきたのは、でき過ぎなくらいである。

 だが――


京太郎(これで、聴牌だ)  打:5p


 京太郎が一巡遅れて聴牌。

 オリに徹したまこと優希は安牌を切って和のリーチを無難に躱す。

和(――っ!?)


 ツモ:8s


 その牌をツモった刹那、和の背筋を冷たいものが流れる錯覚が襲う。

 しかし、それでも一瞬の逡巡もなしにその八索を、河に打つ。

「!! それロン!」

/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////


 パラリと、手牌が露わにされる。


  2s2s 3s3s3s 4s4s4s 6s6s6s 8s8s ロン:8s

「!?」「かぁーっ、羨ましい!」「おー、重いラッキーパンチだじぇ」

「緑一色、役満。48,000!」

「そんな、確かに可能性としてはありましたが……」

「のどちゃんでもこういうことあるんだなー。見え見えだったじぇ」

(迂闊でした……。三倍満に目がくらんで……?)

「やったっすね、京ちゃん!」


 桃子が抱きつき、その胸部がぐにぐにと変形する。

 その弾力を堪能しつつ、初めて和了った役満の感触も格別だ。


「あー、さすがにこれだけじゃあんまりだし、もう一局打ってくれないかしら」


 盛り上がる俺達をよそに、1人冷静に見極めようとしていた竹井先輩はそう提案する。

 確かに、こんなのはラッキーヒットだ。リーチをかけていた和が当たり牌を掴んだから起こったこと。

 俺もこれが実力だなんて思っていない。思えるはずがない。

 同じ面子で、再び卓を囲む――



仕切り直し対局を開始します

 起家は京太郎。その後まこ、優希、和の順。

東一局  ドラ:南

京太郎(うげ、九種九牌のほうがまだマシな配牌だ……)

まこ(悪くはないんじゃが、張っても安いじゃろうな)

優希(来た来た! やっぱり東場は調子がいいじょ!)

和(何回も打っていれば役満を振り込むこともあります。

  とはいえ、この局の配牌は良くないですね。最短でも届くかどうか)


 優希は好調にツモっていく。笑みを隠しきれていないことから周りも気付いている。

 京太郎と和もツモ自体は悪くない、むしろ絶好と言ってもいい。

 悪配牌から既に一向聴までこぎつけている。

 一方まこは手が伸びない。いや、伸びてはいるのだが。

 突っ張れば和了できそうな気配はある。だが、それがいけなかったのだろう。


まこ(あと2,3巡もあれば聴牌できそうじゃな)タンッ

優希「ロンだじぇ! 純チャン三色ドラで跳満の12,000!」


  1m2m3m 8m9m 1p2p3p 9p9p 1s2s3s ロン:7m


まこ「しまった、素直にオリておくべきじゃったか」


京太郎 25,000
まこ  25,000→13,000
優希  25,000→37,000
和   25,000 

東二局  ドラ:發

京太郎(あっぶね、聴牌してたのか。全然気付かなかったぜ。

     初心者だからって焼き鳥は勘弁してほしいんだけど……。

     配牌で白が2枚、トイトイや三色が狙える感じでもないな)

まこ(まずったの。後輩の前で情けない。

   今回はホンイツが狙える三向聴、警戒しながら打ってもいけるじゃろう)

優希(むむっ、すぐにでも聴牌できそうだけど安くなりそうだじぇ。

   染谷先輩が良さそうだし手を練る時間はあるか怪しいじぇ)

和(相変わらず東場は調子がいいですね、ゆーき。

  それが半荘終わりまで続けばもっといいのですが)


 和はどうにも集中しきれていない様子である。

 まこは跳直の影響が本人の自覚よりも大きいか、無意識的に攻めっ気が鈍っている。

 優希は押せ押せではあるのだが、安めを拒否して手を高くする算段。

 一方京太郎、とにかく和了りを目指すつもりのようだ。


和(そろそろ聴牌ですが、どうにも裏目に出ますね。ここで白をツモるなんて。

  まだ巡目も浅いですし、捨てましょう)タンッ

京太郎「ロン、白のみで1,300」パラリ

和「――はい」チャラッ

京太郎 25,000→26,300
まこ  13,000
優希  37,000
和   25,000→23,700 

東三局  ドラ:西

京太郎(よっしゃ、安いけど和了れた!

    原村さんからなんて……もしかして相性がいいとか?)

まこ(速さで負けたか。少し欲張ったかの)

優希(安手だし、親になれたからいいじぇ。とはいえ今回も安そうだじょ……)

和(須賀君に狙い撃ちされている、というのは錯覚ですね。

  彼の打牌は分かりやすいくらいに素直ですから、単に私が不注意だっただけです)


 この局は特に波乱もなく、穏やかに進む。そして順当に優希が和了に到る。


優希「ぬ、ツモだじぇ。タンヤオドラで1,000all」

京太郎 26,300→25,300
まこ  13,000→12,000
優希  37,000→40,000
和   23,700→22,700


東三局一本場  ドラ:六萬

京太郎(連荘か。片岡さんすごい勢いだな)

まこ(自称通りの短距離逃げ切りタイプかのぉ?

   そうだとすれば南場まで我慢じゃ)

和(東場のゆーきを止めるには、機を待たないと)

優希「ツモ! ツモタンヤオチートイで3200allは1本場で3300all!」

京太郎 25,300→22,000
まこ  12,000→ 8,700
優希  40,000→49,900
和   22,700→19,400

東三局二本場  ドラ:一萬

京太郎(うへぇ、せっかくのプラスが一瞬で吹き飛んじまった。

    今回は聴牌できそうだし、ちょっと無理してでも和了りに行くか?)

まこ(これは、本物かもしれんの。まだまだ荒いが磨けば光るじゃろう)

優希(じぇじぇっ!? 全然ダメだじょ、ツモも来ないし無理そうだじぇ……)

和(――優希の手が止まっていますね。ならば今がチャンスです)


 ここぞというタイミングで和が攻めに転じる。

 より和了確率の高い方高い方へと邁進し、そして。


京太郎(ダメだ、牌が来ねぇ。せっかく聴牌したのにこれじゃ)タンッ

和「ロン。満貫の2本場は8600」

京太郎「うっ、全然気づかなかった。やっぱ強いのな」

京太郎 22,000→13,400
まこ   8,700
優希  49,900
和   19,400→28,000 

東四局  ドラ:三筒

京太郎(まずった……。良く見ればドラ周りが全然捨てられてなかったじゃないか)

まこ(ふむ、須賀とか言うたか、こいつも素人ではあるがドが付くほどではないの。

   なら……そろそろ外してもいいかのぅ)

優希(ぐぬぬ、さすがはのどちゃん。おっぱいのみならず和了り方も綺麗だじぇ。

   でも私のリードはまだまだあるしへーきのへーだじぇ)

和(やはり須賀君が出しましたか。彼はまだ牌効率をしっかり把握できていないようですし)


 優希の手が失速する中、他の3人はまずまずといったところ。

 そこでまこがお手並み拝見とばかりに宣言。


まこ「リーチじゃ」


 優希も和もセオリー通りの一発避け安牌切り。だが京太郎はやや冷静さを欠く。


京太郎「へへ、おっかけさせてもらいますよ染谷先輩。リーチ!」

まこ「威勢が良いの。じゃがめくり合いならまだ殻の取れとらんひよっこに負ける気はせんのぅ」

和(須賀君までリーチですか。いけません、聴牌を崩さないと安牌が……)


 内心の逡巡とは違い、和は淀みなく危険度の少ない牌を切る。だが。


まこ「それじゃ、ロン! リーチ發ホンイツ一盃口で……裏は無しの跳満じゃ!」

京太郎 13,400→12,400
まこ   8,700→21,700
優希  49,900
和   28,000→16,000 

南一局  ドラ:白

京太郎(染谷先輩、さすがって感じだ。俺も先輩くらい強くなれるだろうか)

まこ(ふっふっふ、ばっちりはまってくれたの。さてさて、ここから3人がどう打つか見極めんと)

優希(トップは変わらないからいいけど、東場が終わってしまったじぇ……。

   どうにも南場は力が出ないじょ)

和(跳満は痛いですね。でも、まだ前半が終わっただけです)


 眼鏡を外したまこ。どうにも不穏な気配を感じる京太郎と優希である。

 和はそういった気配などというものを無視する打ち筋であるため、特に気にもしていない。

 それが明暗を分けたと言える。まこ以外が聴牌できずにいると唐突にポン。


京太郎(南ポン? 早和了りで親を目指してるのか?)

和(これはダメですね。聴牌できそうにないですから、オリましょう)タンッ

まこ「その北、待っておった。ロン、W南ドラで3900」

和「なっ、自風の暗刻落としを誘って……?」

まこ「狙い撃ちの定石じゃろ? インターミドルチャンプだろうが……経験が違うっちゅうことじゃよ」


 目論見通りに運び上機嫌なまこ。にやりとニヒルな笑みを浮かべ面目躍如といったところ。


京太郎 12,400
まこ  21,700→25,600
優希  49,900
和   16,000→12,100 

南二局  ドラ:西

京太郎(ダメだ、勢いに呑まれたのか聴牌できねぇ)

優希「うぅ、ポンだじぇ」

優希(これでどうにか聴牌。流局前に間に合って良かったじぇ)

まこ&優希「「聴牌」」

京太郎&和「「ノーテン」」

京太郎 12,400→10.900
まこ  25,600→27,100
優希  49,900→51,400
和   12,100→10,600




南二局一本場  ドラ:四筒

京太郎&まこ「「聴牌」」

優希&和「「ノーテン」」

京太郎 10,900→12.400
まこ  27,100→28,600
優希  51,400→49,900
和   10,600→ 9,100

南二局二本場  ドラ:六筒

まこ(さて……配牌は良し。リーチをかければ和了れる気がするくらいじゃが)


 このとき、まこは先輩としての面目を保てたと気を抜いていた。

 まだトップの優希とは親満分の差があるとはいえ十分射程圏内。

 たとえ捲れずともこのまま推移すれば情けないなどと思われないだろうと。

 だから見落としてしまったのだ。和の様子を。


京太郎(原村さん……顔が赤いしなんか超然としてるっていうか、変じゃないか?

    ツモは良いけど配牌が悪くて俺は聴牌までいけるか微妙。

    片岡さんも南場に入ってからはだんまり。淡やモモみたいな何かがあるのかも。

    染谷先輩はかなり良さそうだけど……染め手に寄せてるのか?

    捨て牌があからさまだ。あれじゃ上手い人なら狙えるような気がする。

    原村さんは……やばいな、無茶苦茶ツモ切りが早い。

    理牌とかしてないっぽいし、これが全中王者の本領ってことか?)


 須賀京太郎は素人だ。ちゃんと理牌して、河を眺めてから切り出す。

 ツモだって気を抜けばチョンボしてしまいそうで緊張する。

 そう、緊張していたのだ。今回はそれが功を奏した。


和「――リーチ」 打:六筒

まこ(ドラ切り? 原村は綺麗に打つ。ということは何か確信があるはずじゃ。

   ならここはツモ順ずらしついでに一発消しでもさせてもおうかの)

まこ「ポン」

まこ(これでドラ3確定じゃ。鳴いてしもうたけぇ、ピンフは付かん。浮いた牌を落としてしまおう)タンッ

和「ロン」


まこ「ぐぬ、強引にやり過ぎたかの」

和「リーチ二盃口一気通貫で跳満」

まこ(これはやってしもうた……後で久に嫌味を言われそうじゃの)

京太郎 12.400
まこ  28,600→16,000
優希  49,900
和    9,100→21,700

南三局  ドラ:一萬

まこ(跳直は痛すぎるのぅ。手はあんまり良くないが、他は聴牌できておらんはずじゃ。

   ならば押すのみ)

まこ「リーチ」

京太郎(げっ、あの直後にすごい攻めっ気だ。とにかく聴牌よりも回避を優先しよう)


 その後まこは結局引けず、他2人もオリに徹したため流局となった。


京太郎 12.400→11,400
まこ  16,000→18,000
優希  49,900→48,900
和   21,700→20,700


南四局流れ一本場  ドラ:發

京太郎(トップとは37,500点差の4位。逆転には最低でも三倍満直撃、

    ツモなら役満。悔しいけどこれは無理だな。せめて3位にはなりたいけど)

まこ(全員手は良さそうじゃが、須賀はいかんの。完全にトップを諦めておる。

   確かにネトマや団体戦などではトップを諦めて2確3確和了りもアリじゃ。

   だがこれはあくまで見極め。ここで飛ぼうとも役満を目指せんようでは)

優希(うーむむ、南場なのにすごく良い手だじぇ。東場で稼いだ分はそのまま

   残ってるし、安手でも和了りさえすれば1位確定……。

   でもここで崩してものどちゃんに持ってかれる気がするじぇ。

   だから――前に出よう!)

和(須賀君は引いていますね。染谷先輩は好調そうです。

  ゆーきは……聴牌はしているはずですが、南場のゆーきはいつも集中力が

  切れてつまらないミスをしますし。トップでもありますからタンヤオのみなどの

  安手で流しに来ると思っていいでしょう。

  ならば、私は高めを狙うか連荘を目指すべきですか)タンッ

優希「! ……のどちゃん、いくらなんでも私のことを舐めすぎだじぇ?」

和「? ゆーき?」

京太郎(小首を傾げる原村さん……あざといが可愛いじゃねえか)

優希「ロン! 北三暗刻トイトイドラ2で跳満!」



結果

京太郎 11.400
まこ  18,000
優希  62,200
和    8,400

 1回目:全ステータスと対局者の好感度が上がった
     原村和を飛ばしたため、さらに追加で好感度が上がった

 2回目:格上相手に3位で終了したため、全ステータスが少し上がった
     対局者の好感度がほんのり上がった
     自身より順位が下の原村和の好感度が追加で僅かに上がった


評価
原村和:須賀京太郎……誰ですか? →須賀君、良い人だと思います

片岡優希:須賀? 知らないじぇ →まあ、悪い奴じゃないと思うじぇ?

染谷まこ:誰じゃったかの、たぶん知らんぞ →後輩じゃな。男手として期待じゃ

「はあ、終わったー」


 初めてと言ってもいいリアルでの真剣勝負に、酷く疲労感を覚える。

 たったの一半荘でこれほど疲れるものだろうか?

 淡や桃子と打っていた頃は和了ることすらできずぼこぼこにされていたが、

 それよりもよっぽど疲れた気がする。


「お疲れ様です須賀君」


 そう声をかけてきたのは、桃髪爆乳美少女雀士こと原村和さんだ。

 ついつい目がその大きな部分に向きそうになってしまうのは俺だけではあるまい。

 その視線に気づいたか、さりげなく腕で隠すように動く原村さん。

 そういう所作がかえって色気を感じさせるのだが、言わぬが華だろう。

 せっかく声をかけてくれたのにこれではあまりに失礼だ。

 背後から桃子の突き刺すような視線も感じることだし、まずは軽く謝罪してから話し始める。


「あぁ、ごめんごめん。あんまりスタイルいいからついな。

 それにしても、原村さん全中王者って言うくらいだしやっぱり強いよ」

「えっと、いえ。ありがとうございます。でも今回は2回とも私の方が順位は下でしたよ。

 1回目なんて役満を直撃されて。初めてかもしれません、こんな大きいのをもらったのは」


 原村さんは俺の言葉をお世辞と思ったのか、ばつの悪そうな苦笑いだ。

 そんな表情でも可愛らしいのだから美少女は得だな、と思う。

 今度桃子に頼んで雑誌とやらを見せてもらおう。

「いや、あんなのラッキーパンチじゃん。

 ガチの公式戦じゃないんだから犬に噛まれたとでも思えばいいんじゃないかな。

 それに、2回目の対局は染谷先輩が集中して狙ってたみたいだからしょうがないって。

 俺が狙われてたらさっさと飛んでた」


 冗談めかして軽く笑う俺を見て、ようやく表情を明るくした原村さん。

 そうでしょうか、なんだかそんな気がしてきました、と呟く。

 どうにか気を取り直してくれたらしい。


「あ、そうだ。せっかくだし原村さんのこと和って呼んでもいいか?」

「えっ? でも、まだ今日会ったばかりですし……」

「いいじゃんいいじゃん、同じ1年で部活仲間。堅いこと言いっこなしだ」


 必殺の爽やかスマイルも添える。我ながら顔は良い方なのだ。

 これをすると淡や桃子もなんだかんだと矛を収めてくれるので重宝している。

 さて、原村さんには通用するだろうか。


「ふぇ!? あ、そ、そう……ですね。そういえば、須賀君は見学では?」


 一瞬狼狽えるように鳴いた原村さんだが、次の瞬間には何事もなかったように

 平静な表情になった。どうやら こうかは いまひとつの ようだ。


「とりあえずは見学のつもりだったけど、対局してみて結構楽しかったから」


 これは本音だ。桃子と一緒にやれる部活動で、咲のための下見。

 そんな目的が大半だったのだが思いのほか楽しかった。

 これなら俺自身も熱中できそうな気がする。入部しない手はないだろう。

 楽しかった。その単語を聞いた原村さん……いや、和は、優しげな笑顔を見せた。

 彼女は、麻雀が好きなのだろう。自分の好きなものを好意的に見てくれる人に

 悪感情を向ける人はなかなかいない。彼女なりの警戒線を緩めたのだろう。

「そうですか。麻雀ってやっぱり楽しいですよね。その、私も須賀君のこときょうた――」

「こぉんのエロ犬ゥー! のどちゃんに粉かけようとはふてぇ奴だじぇ!」


 和が恥ずかしげに何かを言いかけたタイミングで、割り込むように片岡さんが蹴りかかってきた。

 避けられなくはなさそうだが、それでは片岡さんや雀卓が危ない。

 なのでなるべくダメージを受けないようにしながらも蹴りを受け入れるという器用な真似をするはめになった。


「ぐぇっ!? っ痛ぅ……い、いきなり何すんだこのちびロリ娘が!」

「ほほぅ、この片岡優希様に口ごたえするか犬め!

 確かにのどちゃんのマシュマロおっぱいは素晴らしいものだが、

 ところ構わず発情するお前のようなのは犬で十分だじぇ! ワンと鳴いてみィ!」


 そうして二人で睨みあう。片岡さんはグルルと唸っているくらいだ。


「はいはい、二人とも落ち着きなさいな。せっかく部の仲間になったんだから

 喧嘩はまだ早いわよ」


 これから同じ部員なのだから喧嘩の機会はいくらでもある、ということらしい。

 片岡さんが矛を収めるなら俺も槍を突き付ける気はない。仲裁はありがたかった。


「それじゃ、みんなの大体の実力も分かったことだし……軽く練習でもして今日は終わりましょ」


 竹井先輩……いや、部長の音頭に従い、俺は先ほどの対局の検討を始めることにした。

 もっとも何をどうすればいいのかさっぱりなので桃子に頼るのだが。


「モモ、悪いけどちょっと教えてくれね?」

「いーっすよ。せっかく新鮮な牌譜があるんすから、検討でもするっす」


 いつの間にか牌譜を取っていたらしい桃子。毎朝のことといい、足を向けて寝られないな。

4月1週 行動2回目 4.誰かと練習(東横桃子)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=30  誰かと練習なので1段階易化  成功?  


「ここはこっちを切ったほうが待ちが広がって良かったっすね」

「良く見れば河に3枚出ちゃってたもんな。でもツモれるような気がしたんだよ」

「京ちゃん……そんなだからなかなか強くなれないっすよ?」

「うぐっ、はい……」


 役満を和了ったときは、妙な確信があって牌をツモっていった。

 その感覚が甘い毒になっていた、ということだろう。牌効率ガン無視だったらしい。

 桃子が言うには、初心者にありがちなことだからきちんと勉強すれば治るそうだが。

 ちなみに、なぜか俺は桃子に背中から抱きつかれて同じ牌譜を見ている。

 この牌譜、いつの間に取ったのかと思っていたがどうやら自動卓の拡張機能で出力したものらしい。

 もっとも俺の打牌で良くなかったところや、

 他の面々の光る打ち筋への注釈が赤ペンで記されているのは桃子の自筆だ。

 美人で気の利く幼馴染に愛されて幸せ者だ、と言ってみたがなぜか桃子に頭をぺしんと叩かれた。

 そしてぐしゃぐしゃと髪をかきまぜられる。

 じゃれあっているように見えたのか、部長たちから生暖かい視線を向けられたが。

 とにかく、なんとなく成果があったような気がしたのだった。

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                /::::::::::::iヾ!.|弋_;;ノ     {.r':::::} l::::/::/
            l::::::!::::::::lヽ | : : : :    ,  弋_;;ツ !::/::〈
             l::::::!::::::∧ |         : : : : : ∧::::::l
           ハ:::::!:::::::::∧ |     r‐‐-,     ∧::::::::!
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             l从:::!:',:!:::::iイ | `ー 、    .ト;:::::::::::::::l::::::l::::|
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        r': : : : :ヽ:`ヽ: :!: : : :ヽ   /.:.:.:.:!, V:.ヽ、::::リ从ル'
        !: : : :`ー: :\:ヽ:!: : : : :ヽ/ ヽ.:.:.!ヽV : :V:.ー- ,__
        !: : : : : : : ヽ:\ !:`'ー- ィヽ  !.:.:ヽ .!: : :V: : : : : : `ヽ
        !: : : : : : : : : : ヽ!: : :V: : : : \ !.:.:.:.:!.ト、:_:V: : : : : : : : !
        l: : : : : : : : : : : : :\: \: : : : : V.:.:.:.:.! ! : `ヽ : : : : : :.l

桃子の好感度がわずかに上がった
必然力が少し上がった

4月1週 行動3回目 4.誰かと練習(原村和)

 44       怪我    
 01~20     失敗    
 21~50     普通    
 51~80     成功    
 81~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功       

1d100=47  成功?


「そんなわけで、牌効率とやらをご教示願えないでしょうか和様」

「構いませんけど……様?」


 教えてくれと頼む以上、やはり相手を立てるべきなのではなかろうか。

 そう思った俺はとりあえず様付けで呼んでみたのだが、不評のようだ。


「その、なんか距離を置かれているような気がしてあんまり嬉しくないです」


 とのことで。大丈夫だろうか、この子。初対面の得体のしれない男に対して

 こんなことを言って、襲われるぞ。だが、今はそんな和の心根に甘えるとしよう。



和の好感度がわずかに上がった
必然力が上がった

「さて、そろそろ部活の切り上げ時だけど

 最後にもう一回東横さんの実力を見ておきたいのよ」


 そろそろ午後4時かというところで、竹井部長がそんなことを言いだした。


「どうにも掴みきれなくてね。強いってことは分かるのだけど……。

 だから東横さんを見失わない須賀君と一緒の卓に入ってもらうわ」


 そうなのだ。普通の人は桃子のことをかなりの高確率で見失う。

 桃子が痴女ばりの露出度を誇る

 NAGANO Styleブランドの服を着て町中を歩いても誰にも見咎められない。

 無論俺はしっかり見ているので、何度かお世話になったこともある。感謝。

 それはともかく、そういうことで本日ラストの対局となるようだ。

 実を言えば、桃子とだいぶ仲良くなった俺でも

 麻雀中に限れば見失うこともあるのだが……。

東横桃子(特殊) 
属性 :O     
技量 :D   
直感 :D   
必然力:B   
・スキル

【ユビキタスモモ】
 影の薄さが極まりついには異能の域にまで至った力。
 自らを希求する者と出逢いさらに強力になった。
 彼女はどこにでもいてどこにもいない。
 以下の条件を満たすとポイントが加算。
 ア)各局が終了した場合+1。
 イ)自身の和了を放棄した場合+2。
 ウ)リーチをかけられる場合にかけない場合+1。
 エ)放銃判定値で1位の場合+2。
 オ)場の必然力平均を自身が上回った場合、その差分の1割を毎局ごとに。
 カ)場風が変化するごとに+2。
 (他家の必然力平均/5)を、累積したポイントが上回れば発動する。
(効果A)
 自らよりも必然力の低い他家に放銃しない。
(効果B)
 聴牌・和了判定値を+20。
(効果C)
 和了形がロンのとき、和了判定値をさらに+20。


竹井久     
属性 :D   
技量 :B  
直感 :C   
必然力:E  
・スキル

【人生悪待ち】
 順当でない分の悪い賭けを好み、不思議とそれが功を奏しやすい宿運の持ち主。
(効果A)
 判定コンマが20~69の場合、反転コンマと比較し高い方を採用する。
(効果B)
 効果Aによって聴牌に成功した場合、和了判定値を+30。
(効果C)
 効果Bによって和了に至った場合、打点+4。満貫以上の場合は+2。



京太郎・まこ・桃子・久の順。

東一局  ドラ:四萬

京太郎(竹井部長、どういう風に打つんだろうか。

     起家だけど迂闊に攻めるとマズイ気がするぜ)

まこ(久は面倒な待ちをするからのう。かといって普通のデジタル打ちもするけぇ、

   絞り切れんからやりにくいわ)

桃子(さて、まずは聴牌できたっすけど……消えられるようになるまでは静かにいくっすよ)

久(ようやく、ようやく団体戦に出れるだけの人数が揃った。

  私と原村さんにまこはレギュラー確定として、

  ここで須賀君の伸びしろを見極めましょう)


 その後、京太郎は順調に向聴数を減らしていく。だが――


久「ツモ。タンヤオトイトイドラで2000・3900よ」パラリ

京太郎「うへぇ、親被りっすか」


京太郎 21100
まこ  23000
桃子  23000
久   32900

東二局  ドラ:七索

京太郎(うーん、前局で引いたせいか牌が全然来ないな。聴牌も無理そうだ)

まこ(ダメじゃ、完全に流れが久に行っとる。ここはオリじゃ)

桃子(部長さんやっぱり強いっす。どうして個人は出てないんすかね)

久「ふふ、みんなそんなに守りに必死でいいのかしら。まだ東二局よ?

  まっ、私はその分のびのび打たせてもらうけどね。リーチ!」


 久、浅い巡目ながらリーチ。これでまこと京太郎は完全に諦めベタオリ。

 だが、桃子はステルス状態でいることが多いこともありやや守りを軽視する癖があった。

 そして今回、その癖が見事に墓穴となる。


桃子(そろそろ海底も見えてきたっすね。そんなときにこのツモっすか)七索


 河には一枚も落ちていないドラ牌。当然自身が抱えているわけでもない。


桃子(部長さんは私の実力を把握したいって言ってたっす。

   京ちゃんが最初に対局してたとき、ワカメ先輩はおっぱいさんを狙い撃つ

   ために風牌の暗刻落としを誘うなんてこともしてたっすね……。

   なら私も誘われてるっすか? なーんか腹黒そうなんすよねぇ、この人)


 桃子が久の顔を窺い見る。素知らぬ顔でその唇は緩やかなカーブを描いている。


桃子(ここは字牌は避けるべきっすね。このドラもダメっす。となると……

   河に2枚出てる四萬にするのが無難? だったらこれで)タンッ


 桃子が四萬を捨てたその瞬間、久の薄紅色の唇がニィッと裂けるように広がる。


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::::::;;;;;;`、;;ノノ    `、       `ー--、......____,,,....,、、‐''     ,/::/:::::::/:/

二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
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:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
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                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙



久「待ってたわよ、それ。ロン! リーチ一盃口赤1の裏は無しで5200!」


  4m赤5m5m6m6m 1p1p1p 9p9p 3s3s3s  ロン:4m 


桃子「なっ、七萬はリーチ前に4枚出てたっすよ!?

   捨て牌からすれば四暗刻だって狙えたんじゃ……」

久「あはは、私って悪い待ちしたほうがイケる気がするのよね。

  そうやってびっくりした顔を見るのも好きだし」

桃子&まこ&京太郎((うわっ、性格悪ぅ))


京太郎 21100
まこ  23000
桃子  17800
久   38100

東三局  ドラ:二索

京太郎(とんでもない人だな、竹井部長。これまで俺が振り込んでないのは運が良いだけだ)ブルッ

まこ(まったく、久の悪い癖じゃ。やりづらぁてかなわん)

桃子(確かに結果を見れば部長さんの言う通り、和了はあれしかなかったっす。

   でも地獄待ちに好き好んで張り替えるなんて普通じゃない……。

   とんでもない酔狂さんっす。だからって、ここで引き下がるわけにはいかないっすよ。

   だって、京ちゃんが見てるんすから!)

久(ふっふふ、あはははは! これだから麻雀ってやめられないのよねえ!

  さてさて、東横さんはこの後どう打つのかしら? 失望させないでくれるといいけど)


 すっかり萎縮してしまった京太郎。当然打牌にもそれが現れ、聴牌はとてもできそうにないツモばかりである。

 そんな京太郎を見て桃子は黙っていられない。

 ここで引くようでは女が廃るとでも言わんばかりに、闘志を前面に出して打つ。


まこ(東横……すごい気迫じゃ。普段はほとんどいるか分からないくらいじゃというのに、

   こんなに熱い奴じゃとはのう。これは期待できそうじゃ)タンッ


桃子「それは見逃せないっす、ロン! 三暗刻トイトイで満貫の12000っす!」

まこ「おぉ、やるの!」チャラッ


京太郎 21100
まこ  11000
桃子  29800
久   38100

東三局一本場  ドラ:中

京太郎(くっ、ダメだまた牌が来ねぇ。どうすりゃいいんだ)

まこ(いい拾い物じゃ。こいつがいれば風越とも十分渡り合えるじゃろうな)

桃子(悪くない配牌っす。牌がこのまま進めと言ってくれてるっすか?)

久(良い調子。でもまこのほうが早く聴牌しそうかしら)

まこ「リーチじゃ」カチャ

桃子(先にやられたっすか。でも私も一向聴。ここで競り負けるほど甘くないっすよ)


 そして二巡後、中途半端な打牌で危険牌を切っていく京太郎。

 これ幸いと合わせ打ちする久。

 ついに聴牌した桃子。


桃子「リーチっす」

久(なかなか引かないわね、まこ。おそらく索子の三面待ち、染め手が好きなまこらしい待ちだわ。

   須賀君はどうにも半端だから読みづらいけど……だからこそもう出す頃合いのはず)タンッ


 無防備な打牌。それはまるで、誰かを忘れているかのような――瞬間、ぱらりと手牌が倒される音。


桃子「ロンっすよ! リーチピンフ一盃口赤1で11600の1本場は11900っす」

久「えっ? あら、リーチ……?」

久(やっぱりおかしい。リーチを見逃してた? 相手に認識されないということ?)


京太郎 21100
まこ  10000
桃子  42700
久   26200

東三局二本場  ドラ:發

京太郎(モモ……すげぇや。それに比べて俺はなんて情けない!

     前に出なきゃ始まんねーだろ俺! 初心者が守りに入ってどうするっての!)

京太郎「リーチ!」

まこ(須賀、気合が戻ったようじゃの。ならばワシもうかうかしてはおれんの。

   これでも先輩としての意地はある……。眼鏡は外させてもらうとしようか)

桃子(京ちゃん、私のことが見えづらくなってるって忘れてないっすか?

   ちゃぁんと私のこと見ててくれないとイヤっすよ)

桃子「リーチ」

久(須賀君もようやくマシな顔つきになったわね。最初から負ける気で打ってたら勝てるわけないもの。

  とはいえ東横さんの特異性……厄介だわ。

  だからって攻める気を無くしたりしないんだけどっ)

久「私も混ぜてもらおうかしら、リーチ。これでまこだけリーチしてないわね」

――――――――――――――――――――――――――――――――

まこ「で、結局誰もツモれず出さずじゃな」

久「まあ、よくあることよね」


京太郎 20100
まこ  10000
桃子  41700
久   25200

東三局三本場  ドラ:九萬

京太郎(っと、ダメか。これだけ波が激しいってのはまだまだ効率が悪いって証拠だな。ここは大人しくやり過ごそう)

まこ(海底牌までには聴牌できそうじゃが、それまでに和了られたらどうしようもないの)

桃子(早々に聴牌できたっすけど、引ける気がしないっすね。リーチはしないでおくっすよ)

久(うーん、やっぱり東横さんの手が想像すらできないのはきっついわね。

  攻めていいのか引いた方がいいのか……。ひとまず今回は配牌が悪いし引きましょ)

まこ&桃子「聴牌」

京太郎&久「ノーテン」


京太郎 18600
まこ  11500
桃子  43200
久   23700



東三局四本場  ドラ:三索

桃子(今回はうってかわってダメそうっすね)

全員「「「「ノーテン」」」」

桃子(親が流れたっすか。でもこれだけリードしてれば十分っすね)


京太郎 18600
まこ  11500
桃子  43200
久   23700



東四局流れ5本場  ドラ:九索

「「「「聴牌」」」」

久(警戒されてたわね。さすがに地獄待ちを繰り返したら無理か)

京太郎 18600
まこ  11500
桃子  43200
久   23700

東四局流れ6本場  ドラ:發

京太郎(悪くない。遠からず和了れる気はするんだが……モモ次第だな。

     俺もまだまだだ。あんなにいいおっぱいしてる奴を見失うなんて)

まこ(ふう、ひとまずは聴牌じゃ。久も聴牌気配じゃから油断はできんの)

久(よしよし。ドラを切っての両面張を捨てての字牌単騎待ち。これならかかるでしょ)

桃子(甘いっすね。甘々っすよ酔狂さん。

   最初からそうだと疑って河を見ればさすがに気付くっす。

   だから――)

まこ(これは通るじゃろ)タンッ

桃子「ロン! 東北チャンタで7700の6本場で9500!」

まこ「なっ、くぅ~なんでじゃ、全然警戒もしとらんかった!」


京太郎 18600
まこ   2000
桃子  55700
久   23700

南一局  ドラ:三萬

京太郎(まずい、染谷先輩の点数がもうほとんどないぞ。

    俺がなんとなく感じるかどうかって程度のモモの気配なんだ、

    先輩たちが気付けるはずがない。

    モモなら狙うか満貫以上のツモだってやれるはず。

    だからもっとだ、もっと早く! 速度を上げろ、前に進め!)

まこ(いかん、いかんいかん。東横がこれほどとは!

   これなら龍門渕が相手でもあるいは?

   しかしここで飛ばされるのは癪じゃ。

   配牌も二向聴。攻めるほかないじゃろ!)タンッ


京太郎「ポン!」 カシャン  三=―Σ東東東


桃子(京ちゃんが1飜確保したっすね。まだ諦めてない。あの時もそうだったっす。

   そんな京ちゃんだからこそ、私は好きになったんすよね――好き?)タンッ


京太郎「それポンだ、モモ!」 カシャッン 三=―Σ西西西


久(ポン? 東横さんの捨て牌が見えるの須賀君! そう、だったら分かるわ。

  須賀君の通り道を見れば簡単には振り込まない。

  だからここは譲ってあげるわ)タンッ


京太郎「ポン!」 カシャッ 三=―Σ四萬四萬四萬


京太郎(くっ、あと一歩だ、絶対に引いてやるぞ)タンッ

久(そう、それが安牌なわけね。たぶん東横さんは聴牌してるはずだから、これで)タンッ

桃子(? 部長さんが京ちゃんに合わせてっすか? 確かにそれなら私からはロンされないっすけど)

まこ(久は何を? 須賀の河を重点的に見て打っちょるが)

桃子(京ちゃんの鳴きで当たり牌がそれたっすかね。

   ワカメ先輩からも出ないっす。だったら和了るのは……)

京太郎「――ツモ! 東ドラで1300all!」


  4m4m4m 3m4m5m 9p 東東東 西西西  ツモ:9p


京太郎 22500
まこ    700
桃子  54400
久   22400

南一局一本場  ドラ:三萬

京太郎(これで2位! だけどここで止まっちゃダメだ。だって今はモモだって敵なんだから)

まこ(ちっ、いくら初心者でも甘く見過ぎたかの。ここは迂闊に前に出れん、オリじゃ)

桃子(やっぱり京ちゃんはこうでなきゃダメっすよね! 強引に引っ張ってくれる、覇気が戻ったみたいっす)

久(ふふふ、頑張ったわね須賀君。この子も鍛えられれば十分戦力になるわ。

  来年には頼りがいのある雀士になってるかも。でも今はまだ……不足)

久「ロン! 須賀君、そんなにぐいぐい来られたらお姉さん困っちゃう。

  リーチしてる人がいたらちゃんと警戒しないとね。

  リーチピンフタンヤオ一盃口赤1で満貫の1本場で8300よ」ニタリ


京太郎 14200
まこ    700
桃子  54400
久   30700

南二局  ドラ:三筒

京太郎(なんてこった……。よりによってこの局面で振り込んじまうなんて!

    でも、まだだ。配牌時点で一向聴だぞ。ここで攻めないでいつ攻めるってんだ)


  3m3m3m 3p3p3p 3s3s 6p7p 發發 西


まこ(さすが久じゃ。こいつのためにもワシももっと実力を付けねばならんの。

   リーチをかけたくともかけられんというのはなんとも情けなく侘しいもんじゃ)

桃子(京ちゃんはもう聴牌してそうっすね。私もそろそろ聴牌できそうっすけど、

   部長さんはちょうど聴牌したところみたいっす。京ちゃん……)

久(あの目……須賀君はまだ折れてないわね。まこは諦め気味。

  まったく、先輩なんだから後輩に気持ちで負けてどうするのよ。

  この和了りにはお説教の意味も込めましょうか)

京太郎(まだ、まだ引けないのか?)


  3m3m3m 3p3p3p 3s3s3s 7p  ポン:6p6p6p


久「須賀君。諦めないことは大事だわ。諦めなければいつか必ず喰いつける。だから――」チャッ


 久がツモる。盲牌、親指で上に大きく牌を弾き上げる。

             / | ○
         / . |         _ へ)
                > "´==フ/7

          二 /    ノ  ' _' イ
           / ツ   /  / "       , -―- 、
                  /  / /     /      ヽ
               /  /      / /  ィ   ヽヽ
.               /  /  '    ,' /  / {イハ  ', i
               /   '  /      |i { ./、  _ -ヽ } .}
             イ    {ヾュ_..    |{ |イ泛   泛ゝ! | リ
            ヽlil  リ }i \_    '从        リ 〃
               トイ、// /‐=ミ、ノ=ヘ ` ´ ィ=イ
              ¨匚/ / /  r'´ / 人}`´ !マ、ヽヽ
             l|{,,,,〃| ̄`ヽ  { イ イ  }` -‐/{ハ  ハノ≧
            i |  '||i  !| ||ヽ |ヾ从ゝ | ̄ 7 V从{ /ヾ
                ||! ||lii '"川へ-、∧ ヽ l  /   ,ィ/ i  ハ
                ||| !|¦     '{ \ ≧∨ zイ /_} / ', \
 r-―、          ||i ii||    __.!   `¨匸r<   ¨}、 } |   ヽ
 ! _|    ―  / il| 川   /  ハ __//     リ \ }   ヽ
     l  ア.   /  〉|| i |i /  ,_イ / ̄¨¨´      /   L_-=-
     '            { 从火 |   ̄´ j           |  /⌒ヽヽ
.   /二二二二二二从人从二二二二二二二二二二二二{ i| | | イリノ
. /            /-/jイ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ云ハ{¨´



 まこ以外の周囲の面々は唖然呆然といった感じで久の一挙手一投足を凝視する。

 そんな反応もおかまいなしで宙を飛ぶ牌を迎え入れるように、

 手牌を倒してからツモった牌を叩きつけるように卓上に落とす。
 

久「ツモ。チートイツモタンヤオで1600・3200。まこの飛びで終わりね」


 2m2m 4m4m 2p2p 4p4p 7p 2s2s 4s4s ツモ:7p


久「強くなりなさい、須賀京太郎君」


京太郎 12600
まこ   -2500
桃子  52800
久   37100

     格上相手に3位で終了したため、全ステータスが+1
     対局者の好感度がほんのり上がった
     自身より順位が下の染谷まこの好感度が追加で僅かに上がった

評価
東横桃子:京ちゃんは親友っすよ! →親友っすよ。す、好き……かも?

竹井久:須賀……誰? →須賀君……確か1年生だったかしら?

染谷まこ:後輩じゃな。男手として期待じゃ →まあ頑張っとるんじゃないか?

「さ、今日の部活はここまで! 片付けが終わり次第解散。鍵はこっちで閉めておくから気にしないでいいわよ」


 そう言って竹井部長は締めた。対局の余韻も感じさせずあっさりとだ。

 これくらいは日常茶飯事ということだろうか。

 俺は、悔しかった。初心者なのに上級者に負けて悔しがるなんておこがましい。

 頭ではそう分かっているのにどうしても割り切れなかったのだ。

 なにせ初めての感覚。淡や桃子にボコられても感じなかったもの。

 頑張れば、届くかもしれない。希望に毒された屈辱。

 ハンドボールのときとは違う諦められない差。

 ふと気が付いた時にはいつの間にか片付けも終わり、

 片岡さんはタコスの屋台がどうのと言って一足先に帰ってしまったらしいことを知る。

 なので俺は桃子と、和と一緒に下校することになった。

 桃子が隣で、あのツモは気合が入っていてかっこよかっただのと言ってくれている。

 確かにあの局は自分でも気持ちが違っていたような確信がある。

 俺が諦めた決勝でもぎ取った1点を奪った、あの全てが止まったようにのろまになった感覚。

 指先どころか毛の一本一本の先端まで神経が通ったような鋭敏な感触。

 あの境地と似た感覚がしていたのだ。

 そう、ちょうど目の前のこのボールのような大きさの――

 そう考えて凝視していると、桃子は呆れたように溜息を。和は恥ずかしげに身を捩ろうとする。

 それがいけなかったのか、和がバランスを崩して倒れそうになった。

 それを見た俺と桃子は咄嗟に助けようと手を伸ばし、結果巻き込まれて共倒れ。


「ふお……?」

「やんっ」「ひゃうっ」


 顔を覆うように押し付けられた弾力のある温かな柔肉。

 どうにか庇うように二人を抱きかかえて倒れたはずだが、やたらと心地の良いモノを掴んでいるらしい右腕。

 瞬時に状況を理解してしまう。そう、間違いなくおっぱいだ。バストだ。乳だ。胸だ。乳房だ。

京太郎(お、落ち着け須賀京太郎。KOOLになるんだ。まずは現状を確認しよう。

    まず、俺は倒れる二人を下敷きにしないように

    抱きかかえるように引き寄せながら倒れた。

    そして気が付いたら、顔には和の爆乳。

    柔らかさと匂い的におそらくノーブラ!

    また右手はモモの巨乳を鷲掴みにしている。

    思わずさわさわとフェザータッチしつつもむにゅむにゅと揉んでいる。

    マーベラス! スキンシップが激しいから分かってはいたが、

    とても素晴らしいおっぱいだぞモモ!)


 興奮のあまりふがふがと口元を動かしてしまう。まるで赤ん坊が乳を探すように。


「ぁっ! だ、ダメでしゅっ  ひゃあ!?」「きょ、京ちゃんっ そんなにしたらダメっす……!」


 どうやらピンポイントで乳首にアタックしてしまったらしい和は慌てて体を起こすが、

 バランスを崩して手を俺の体の上についた。

 というより屹立しつつあった息子をがっしりと掴むように。

 さすがにこれには驚いた。驚きのあまり右手の動きを止めるきっかけになってくれた。

 和もナニを触ってしまったのかに気付いたらしい。

 桃子のはふぅという甘い溜息を合図にあたふたと俺の上から降り、なぜか地面に正座した。

 桃子も熱に浮かされたような濁った瞳のままだが、それに倣う。


(ど、どうすりゃいい? そうだ、こんなときこそ日本男児の最終奥義ッ!)


  DO☆GE☆ZA


「すみませんでしたー!」


 起き上がり様再び地面にキスする勢いで頭を下げる俺。気まずい沈黙。


「えっと、須賀君もわざとじゃない……ですし。わ、私も!

 触ってしまったので(小声) おあいこです!!」

「もう、京ちゃん。そんなに触りたいなら私のならいつでもいいっすよ?」

「!!??」

 桃子のとんでもない発言に思わず下げていた頭をバッと上げてしまう。

 にへらっと蕩けたような笑みから目を逸らし、ついついその双丘に視線が吸い寄せられる。

 身動ぎした和の揺れる球体にも当然じぃっと食い入るように目が向く。

 和もなぜか隠そうとしない。俺の混乱は加速した。

 見てもいいってことなのか? むしろ見てくださいと?? 

 いや待てあわてるな。これは孔明の罠だ。


「とりあえず暗くなってきたし帰ろうか」


 数十秒か数分か、とにかくしばしの間を過ごしてからようやくそんな提案をする。

 妙な雰囲気の中、俺は脳内で混乱を叫びながら

 どうにか顔を赤らめる程度で表面を取り繕い、帰路に着いたのだった。



4月1週  行動4回目  上記の描写がイベント内容
 6.出かける
1d100=66  EXグッド。4月中ゾロなのでモモ確定。
          3の倍数なのでキャラ再選択。→和
1d100=16  失敗    桃子
1d100=92  大成功  和

        44       怪我     
        01~20     失敗     
        21~50     普通     
        51~80     成功     
        81~98    大成功     
        ゾロ目・77  超成功    

評価
東横桃子:親友っすよ。好き……かも? →この気持ちは、たぶん……っす

原村和:須賀君、良い人だと思います →さ、触らせてしまいました。せ、責任をとってくれるでしょうか……?

EXグッドにより以下のスキル獲得。
【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、その相手の判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、その相手の判定値を-5。
 ただし打点は+1。

4月1週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :G 5→G12
直感 :E25→E30
必然力:D35→D42
・スキル
【????】
 片鱗を覗かせる異形の力。
(効果A)
 聴牌判定値を+5。
(効果B)
 和了判定値を+5。
(効果C)
 1飜の場合、打点を+1。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

4月2週

「京ちゃん、麻雀部はどうだったの?」


 そう聞いてくるのは咲だ。特に興味はないけど幼馴染が上手くやってるか気になる。

 とでも言いたげなフリをして実は興味津々といった雰囲気だ。


「お、聞いてくれよ咲。なんと前年度全中王者から役満和了ったんだぜ」

「全中……インターミドル? そっか、なら強いのかな。

 でも京ちゃんに役満直撃されてるようじゃそんなでもないか」

「酷いっ!?」


 なんと失礼な奴だ。とはいえ楽しそうに笑っている咲を見てしまっては何も言えなくなってしまった。

 この調子で麻雀への興味を持ってくれればいいのだが。

行動1回目
 4.誰かと練習(久)

 44       怪我    
 01~20     失敗    
 21~50     普通    
 51~80     成功    
 81~98    大成功   
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=82 1段階易化 超成功 +スキルのコツ

コツを得るスキル判定 1d100=55 ユニークスキルのコツ

【一球入魂】
 球技の中でも指折りの激しさを持つハンドボールで鳴らした根性。
 まだ麻雀用に最適化できていない。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にする。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、打点を+1。

 放課後になり、さっそく部室へと赴いた。

 どうやら一番乗りのようで、室内には誰も見当たらない。

 しかし鍵がかかっていなかったのが気にかかる。不用心な。

 とはいえすぐに誰かが来るだろうと思い直し、それまで一人で練習に励むことにした。

 カバンから麻雀の教本を取りだし、さあ読もうというところで部室のドアが開く。


「あら、須賀君だけ?」


 竹井部長だ。やや疲れたような雰囲気だが、学生議会とはそんなに仕事が大変なのだろうか。

「お疲れ様です、部長。モモは掃除で遅れます。和と片岡さんは分かりません、すんません」

「ああ、いいのよ。ありがとう須賀君」


 せっかくなので備え付けの電気ポットを使い、お茶を淹れて竹井部長にお出しする。

 ここら辺は曲がりなりにも運動部で鍛えられた杵柄といったところだ。


「ふぅ。寝ようかと思ってたんだけど、お茶をもらったらそんな気分でも無くなっちゃったわね。

 ……そうね、せっかくだし須賀君のお勉強の面倒を見てあげましょうか」


 そう言った部長の目は、俺が出したままにしていた教本に向いている。

 変則的な待ちをすることもでき、一方で綺麗な打ち筋をも使いこなす技量を持つ竹井部長。

 基礎的な部分とはいえ師事するに十分な実力者。いや、むしろ適任とすら言えるかもしれない。


「是非お願いします!」

 俺は45度角で腰を折る最敬礼である。

 少々面食らったか、目をぱちくりとさせた竹井部長であるが、おかしそうに笑って


「任せなさい!」


 と請け負ってくれた。




 技量がぐーんと上がった
 竹井久の好感度がほんのり上がった
 超成功後にゾロ目が出たため、ユニークスキル(第一段階)を習得しました

行動2回目
 4.誰かと練習(久)

 44       怪我    
 01~20     失敗    
 21~50     普通    
 51~80     成功    
 81~98    大成功   
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=65 1段階易化 大成功


「さ、こういうときは何を切るのがいいかしら、須賀君?」


 どうやら他の部員はまだ来ないようで、引き続き竹井部長の個人レッスンを受けている。


「えーっと……これ……と言いたいところですけど部長ならこれ待ちですかね?」タンッ

「あら、正解。須賀君なかなか筋が良いわね。いいこいいこしてあげましょうか」


 妖しく笑う竹井部長である。なぜかこう、蠱惑的と言うか扇情的と言うか、

 この人はやたらと男の手綱を握り慣れている感じがするのは気のせいだろうか。

 遠目には分からなかったし、和や桃子のような超絶美少女が隣にいたから気付かなかったのだが、

 竹井部長も普通に美人だ。さぞモテるに違いない。


「部長って可愛いですよね。男慣れしてますし」


 思わずそんな言葉が口をついて出た。

 少し前からやけに集中が深くなる瞬間が訪れるようになったのだ。

 そのせいか、無意識に行動してしまう。あまりよろしくない。

 迂闊にも問題に集中していたときにそんな失言をしたのがいい例だ。

 竹井部長は最初きょとんとしていたが、意味をかみ砕いて理解したのかみるみる顔が赤くなっていく。

 そこに至って俺はようやく自分の失策に気付いた。今更言い訳しても間に合いそうにない。

 なにせ、この顔の赤みは羞恥というよりは怒りの成分が濃さそうだから。

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    lil::::::::::::::: ヽ         _,,          丿’:::::::::::::::,':::::::::::::::,':::::::亅
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     !ゝ::::::::::::::: \                 丨| :::::::::::│:::::::::::::::!::::

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         ゙‐.. ::::│  ' / ゙l`ー -‐''"      │:::::::::::/::::::::::::::::::/

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          /:::::::::::::::〈ン   1         / //:::::::::::丿
        /::::::::::::::::::::::1   ノ        ノ  / :::::::::::¦゙l゛ー 、




 技量が大きく上がった
 竹井久の好感度がほんのり上がった


行動3回目
 対局 (久・まこ・優希)

 そんな剣呑な雰囲気の中に折悪しくも他の部員が到着してしまった。


「いい度胸ね須賀君。まこ、片岡さん! さっさと卓につきなさい!」


 雰囲気を察した二人は、触らぬ神に祟りなしと大人しく迅速に従った。

 それを一瞥すらせず、竹井部長は俺を半眼で睨みながら、死刑宣告を下す。


「その根性叩き直してあげる」


 これぞ悪女と見紛う色香を振り撒く笑顔。逆らう術もなし。

 俺はあっけなく飛んだ。

行動4回目
 6.出かける

1d100=34  何もなし


「つ、疲れた……」


 自業自得とはいえ、最後の対局はとんでもなく疲れる対局だった。

 集中したところで、俺の感覚はまだハンドボール寄り。

 本気になった実力者を相手に打てるのは逃げの一手のみ。

 もっともそれは竹井部長自身が授けた付け焼刃なわけで。

 ことごとくを狙い撃ちにされた。

 事情を知らない面々には同情するような目で見られたが、

 知っていれば可哀想なものを見る目で蔑まれるのがオチだったろう。

 とにかく、どうも部長はピュアらしいことが分かったのは良かったのか悪かったのか。

 早く帰って休むことにした。

4月2週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :F20
直感 :E30
必然力:D42
・スキル
【????】
 片鱗を覗かせる異形の力。
(効果A)
 聴牌判定値を+5。
(効果B)
 和了判定値を+5。
(効果C)
 1飜の場合、打点を+1。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【一球入魂】
 球技の中でも指折りの激しさを持つハンドボールで鳴らした根性。
 まだ麻雀用に最適化できていない。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にする。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、打点を+1。

4月3週

 ぐったりと疲れ果てた様子の俺に、咲と桃子はかける言葉もないらしい。

 咲は心配そうな目で、事情を知っている桃子は呆れた目で見てくる。

 おっぱい揉んでいいなどと言っていた桃子はきっと幻だったのだ。

 そう自分を慰め、咲に麻雀部への悪印象を持たせるのは

 良くないと気合を入れなおしたのだった。


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     .': : :,: : /: :/: :|: : ||: :V: :V : |: :V:.
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    /: : : :|: |:_V {:/:从: :| 、{ \:l从|: : | : i
   ': :,ィ/: |: |: ,イ_)笊 \  イ_)斧ミ|/: ,.: :|
  {:イ/ ': : Vl { Vzソ      Vzソ / : イ : |
    l' |: ,: {`\ `¨´  '  `¨´〈:イ )}: : ,
     |∧乂ム  ''''        '''' ムイ|: /
     '  }:∧个 r 、_- -   イ : /|/
       '  ヽ: :/ / }-、_,.ィ : /: イ
          _,..{   ' ' ノ {-く
     r<........../\___}__,/........> 、

     「\..、...rく\___,/ /.........../..>、
    /⌒ `ー{  \__/,イ......../イ´  ∧
     {    /     V--:.:.´:/ V / |
    |   ,:      /==r- '   V  |
    | /        /__ノ      }
    | ´        //:.,.:.}     ,   {
    V        / ,:.:.:|:.:|      {   |
      {       イ  {:.:. |:.:|      |   |
     \_,/   |:.:.:.|:.:|      |   |
        |      ∨:j:./     |   |

行動1回目 疲労度1
 4.誰かと練習(久)

 44       怪我    
 01~20     失敗    
 21~50     普通    
 51~80     成功    
 81~98    大成功   
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=63 1段階易化 大成功


行動2回目 疲労度2
 4.誰かと練習(久)

 44       怪我    
 01~20     失敗    
 21~50     普通    
 51~80     成功    
 81~98    大成功   
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=67 1段階易化 大成功


「失礼しまーす……」


 おそるおそる部室に入ると、ベッドに竹井部長が寝ている。

 既にいる和や片岡さんはそれを見た俺と目を合わせ、苦笑している。

 桃子も脇から顔をのぞかせてそれを確認し、疲れているんだろうと同情気味だ。

 起こさないように静かに部活をしようと1年全員が心を同じくしたところで新たな影。

 染谷先輩だ。染谷先輩はごく普通に入室し、ごく普通にベッドに近付き、

 ごく普通に部長を叩き起こした。


「起きんかい久! おんしの獲物もおるぞ!」


 獲物? 疑問符を浮かべる俺に対し桃子たちは納得したような顔。

 片岡さんなどはしたり顔でうんうん頷いている。となればさすがに気付く、須賀だけに。

 部長は染谷先輩の言葉にビクリと肩を揺らすと、ゆっくりと起き上がった。

 そしてぎぎぎっと油を指していない蝶番のような動きでこちらに焦点を合わせにやっと笑う。


「さあ、須賀君。今日もお勉強しましょうか」


 これには引き攣った笑みを浮かべる以外にないだろう。

 助けを求めるように周囲を見やるが、片岡さんと桃子は目を逸らしている。

 和は申し訳なさそうにしつつも、てきぱきと雀卓の準備を整えていた。

 須賀京太郎に逃げ場無し。いつの間にか近づいていた竹井部長の顔がぬうっと眼前に浮かんだ。


 技量が大きく上がった×2
 竹井久の好感度がほんのり上がった×2

行動3回目
 5.対局 (久・まこ・優希)


東一局  ドラ:二筒

京太郎(つ、疲れた……。集中力が……)


 久の可愛がりからの流れで対局に雪崩れ込んだ京太郎である。

 まこと優希は久が遊んでいるうちに桃子、和と対局していたのだが

 たいした疲れも見せていない。

 公式戦であるインターハイ予選県大会は半荘二回戦なのだ、

 この程度で疲労するようでは本番で実力を発揮することなど夢のまた夢。

 以外に体力勝負な面があることは京太郎には新たな発見であった。


優希「ロン! トイトイ三色ドラ2で跳満!」


京太郎 13000
優希  37000
久   25000
まこ  25000

東二局  ドラ:西

京太郎(ま、まずいな。さすがにこれは不甲斐ないぞ。

    せっかく部長が指導してくれたんだ、活かさないと)

優希(うっし、これはいけそうだじょ。

   ……しかし須賀め、のどちゃんのおっぱいを鼻の下を伸ばして見てたから

   分かってはいたけど、いい度胸だじぇ。微乳の怒りをお見舞いしてやるじょ)

久(裏目ったのが逆にはまって聴牌できそうだわ。でもちょっと間に合いそうにないわね)

まこ(これはダメじゃな。しかし……須賀の視線が何かムカツクんじゃが。なぜじゃろうか)

優希「リーチ!」


 ここで優希がリーチを宣言。だが、気を張りなおした京太郎も負けてはいなかった。


京太郎「そう何度もやられてたまるかってんだ。

    ツモ! ツモピンフドラ2で1300・2600!」


京太郎 19200
優希  33400
久   23700
まこ  23700

東三局  ドラ:六筒

京太郎(よし、聴牌できそうだ。でもなんでだ? 背筋に寒気が……)

優希(ぐぬぬ、せっかくの親っ跳ねが流されてしまったじぇ。

   でもこの局も高めが狙えそうだからそれを直撃させてから許してやるじょ)

久(あら、また裏目からテンパったわね。今日は妙なツキがあるわねぇ)

まこ(須賀も調子を戻したようじゃし、早速眼鏡を外させてもらおうかの)


 楽観して歩を進める久だが、まこが眼鏡を外したことで一気に警戒する。


久(もう来たの、まこ? せめて振り込まないようにしなきゃね)

京太郎(染谷先輩が何かしてきそうだ。たまに俺を睨んでくるし……何かしたかな?)

まこ「ツモじゃァ! ツモ清一色ドラ2で倍満の4000・8000!」


京太郎 15200
優希  29400
久   15700
まこ  39700


東四局  ドラ:五索

京太郎(く~、痛い。最初に片岡さんに跳満直撃されたのも合わさって……)

優希(染谷先輩やるじぇ~。普段から上手いけど、眼鏡を外すと一気に来るなー)

久(くっ、この親ッ被りは痛いわね。だから返すわよ、まこ!)

まこ(さすがに倍満はできすぎじゃの。今回はダメそうじゃし。

   というかダメじゃったな。また久のアレが出る)


 まこの嘆息の向こうでは、久が例のツモをやっていた。


久「ツモ! チャンタ三色ピンフで跳満、3000・6000!」

京太郎 12200
優希  26400
久   27700
まこ  33700

南一局  ドラ:七萬

京太郎(ぐぅ、最初の跳満が刺さるぜ。あれのせいで一人沈みだ、くそっ)

優希(先輩も部長もすげーじぇ! 私も負けてられないな!)

久(ふふ、これで少しは返せたわよね)

まこ(久め、わざとツモを狙いおったな……? いいじゃろう、そっちがその気ならワシだって!)


 まこの唇が歪み、弧を描く。一方で他の三人のツモはまるで揮わない。

 まるで誰かに操られているように、不要な牌ばかりをツモる。


久(これは、綺麗に待っていてもダメだった。この局はまこに完全にもってかれたわ)

まこ「ツモ! 白混一色ピンフツモで跳満は3000・6000じゃ」

京太郎  6200
優希  23400
久   24700
まこ  45700

南二局  ドラ:五萬

京太郎(ちっ、このままじゃ飛ばされる!?)

優希(うぅ、やっぱり南場はダメだじぇ。牌も全然来ないし……)

久(まこめ……。ふふふ、でもいいわ。ちゃんと強くなってるもの)

まこ(はぁ。これだけやりゃ十分じゃろ。後は守っていけばええ)


 久の指導を受け、ようやく一端の雀士への一歩を踏み出した京太郎。

 ここでまた飛ばされるようでは久に申し訳ない。何より、悔しいではないか。

 そう思い、山へ目を向けた瞬間、周囲から音が消えた。深い集中。

 どうすれば和了れるか、その一点に向けて脳が全力で稼働する。


京太郎「カン」  三=―Σ五筒五筒赤五筒五筒


 王牌に手を伸ばし、ツモる。一種異様な気配を撒き散らし始めた男を見て、

 一瞬皆がそれで和了るのはではないかと錯覚した。


京太郎(これで聴牌)

優希(び、びびった。嶺上開花かと思ったじぇ)タンッ


 そう、完全に呑まれたのだ。気を散らされてしまえば迂闊な打牌をする。

 それは真剣勝負の場では致命的な隙。


京太郎「ロンだ、優希。中南赤1で5200」

優希「じぇっ!?」

京太郎 11400
優希  18200
久   24700
まこ  45700

南三局  ドラ:四筒

京太郎(まずは一発)

優希(ゆ、優希って、名前で呼ばれたじぇ? い、いきなりどうしてだじぇ!?

   もしや怒っているのか? 何か怒らせるようなことしたか?

   ラス引いたら言うこと聞くって約束でボコって、

   学食のタコスを10人前奢りでテイクアウトさせたのがマズかったか?)

久(これは……流れが完全に変わったわ。まこが引いていたとはいえ)

まこ(ほお。なかなかやりおるの、須賀も。優希、ここが正念場じゃぞ)

優希(ダメだじぇ、考えがまとまらないじぇ。タコスを思い浮かべたら食べたくなってきたじょ)タンッ


 流れが変わり、集中を切らしたことで隙を晒す雀士。

 それは卓上では自殺行為そのもの。故に――


京太郎「ロン。タンヤオドラ3赤1で満貫、8000」


 刺される。


京太郎 19400
優希  10200
久   24700
まこ  45700

南四局  ドラ:三筒

京太郎(まだ行ける。ツモじゃ倍満でも届かない。三倍満か、倍直でなきゃ)

優希(や、やられたじょ……。このツモじゃ聴牌も危ういし、犬に負ける……?)

まこ(南場の優希よりは力が上、ということかの。南場の優希はせいぜい中学生平均レベル。

   まだ本格的に麻雀を始めて半月じゃというのにそれより上とは。惜しいのう)

久(須賀君、頑張ったわね。本当に、あと3か月早く出逢えていればよかったのに)


 闘志を燃やす京太郎。牌もその意志に応えるかのようにどんどん手が進んで行く。


  2p 3p3p3p 赤5p5p5p 6p6p7p7p8p8p


 清一色一盃口ドラ4、二筒単騎待ちという逆転手。聴牌までこぎ着けた執念。

 だが――


久(ごめんなさいね)

久「ツモ。ツモのみで400・800。終わりよ」


 唖然呆然の京太郎。脱力して項垂れるのだった。



結果

京太郎 19000
優希   9800
久   26300
まこ  44900


     格上相手に3位で終了したため、全ステータスが少し上がった
     対局者の好感度がほんのり上がった
     自身より順位が下の片岡優希の好感度が追加で僅かに上がった


評価

片岡優希:まあ、悪い奴じゃないと思うじぇ? →しょうがない犬だじぇ

竹井久:須賀君……確か1年生だったかしら? →須賀君? 頑張ってるわね

染谷まこ:まあ頑張っとるんじゃないか?

行動4回目 

 6.出かける
1d100=87  3の倍数よりキャラ選択

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    +イベント


       1d100=88 憩     超成功  +イベント



 あの対局の後、俺はすっかり消沈していた。

 部長の最後の和了りについては説明も受けた。

 団体戦を意識するなら、傷を最小限に抑えるためorエースを流すための

 安手早和了りや2確3確和了りは当たり前になってくると。

 それを聞けば納得せざるを得ない。

 部長が、理由は分からないが団体戦に執着していることくらい1年全員が気付いている。

 そして、俺がレギュラー候補から外されていることも。

 それでも指導してくれるのは同情か憐れみか。

 純粋な優しさだと信じられない程度には荒んでいることを自覚した。

 優希が「犬、いや京太郎と呼んでやるじぇ。だから私のことはゆーき様とでも呼んでいいじぇ?」

 などと言ってきたのも慰めを兼ねているのだろう。

 こんな美少女を名前で呼べる上に連絡先までゲットできるなんてラッキーだじょ、とも言っていた。

 それに便乗する形で和も連絡先を送信してくれたし、染谷先輩も困ったら相談くらいは乗ってやると。

 さすがに部長は気まずかったか、学生議会から渡されているPHSで呼び出されたのを幸いとばかりに

 部活終了を言い渡して駆けて行った。

 その流れで連絡先交換をしたのだから気にしていないが。

 そんな状態で家に帰り、食事などを終えたがどうにも落ち着かない。

 だから気晴らしのために散歩することにしたのだ。

「おかしいわーぁ。確かこの辺のはずなんやけど」


 自然公園の隅のベンチでミルクココアを飲んでいると、生け垣の向こうから少女の困り声。

 いくら俺が女好きでも、へこんでいるときまでがっつくほどではない。

 訛りからして関西の人かな、と思った程度でそのまま聞き流した。

 そうしてから数分、何か揉めているような話し声が聞こえてきた。

 先ほどの少女の声と、2,3人の男の声。

 これは定番のあれか、絡まれる美少女を助けるパターン。

 男の声は酒か何かで焼けたようなガラガラ声で、正直あまり近寄りたい雰囲気ではない。

 もし件の声がか弱い少女なのであれば、怖いなんてものじゃないだろう。

 ここで見捨てるということも俺にはできる。聞かなかったことにすればいいだけだ。

 だが、そうしたら後悔しそうな気がした。いくら沈んだ気持ちだとはいえ、

 それを理由に縮こまっているのはもっと嫌だ。淡に顔向けできないだろう。


「だから、間に合ってますーぅ。ご親切はありがたいですけどーぉ」


 生け垣を回り込んで覗いてみると、なぜかナース服を着た少女とそれを囲むように立つボロを着ただけの男が3人。

 明らかに事案である。とりあえず携帯電話を取りだし、110番をプッシュ。

 一行に聞こえるかどうかの距離で警察に男たちの特徴を伝える。

 そうしてからようやく、俺は行動に移った。


「おっちゃんたち、早く逃げた方がいいと思うよ。今警察呼んだから。聞こえてたでしょ?」


 男たちは驚いてこちらを振り向いてきた。内容までは聞こえていなかったのだろうが、

 それでも誰かが電話している声だとは認識できていたのだろう。

 ところでこの長野清澄では、最近ホームレスへの風当たりが強い。

 市長がそういう方針を前面に打ち出しているのだ。

 施設に放り込んで無理矢理に近い形で職業訓練を施すのだとか。

 男たちは見た目からしてその対象だろう。

 悪態を吐きながらもそそくさと逃げるように去っていく。

 それを確認して、俺はちらっとナース服の少女へ視線を走らせる。

 衣服の乱れなどもないしどこかを庇っている様子もないから怪我も無さそうだ。

 我ながら格好の悪い助け方をしたように思う。なので早々に立ち去ることにする。

「ちょ、ちょーぉっと待ってんか!? せめてお礼くらいさせてくださいーぃ!」


 会釈して立ち去ろうとした俺を呼び止める少女。


「ウチは荒川憩言いますーぅ。助けてくれてほんまおおきに」


 名乗られてしまっては返さないのも失礼だろう。

 まだ話が続くようなら誘導して場所を変えればいい。


「ご丁寧にどうも。俺は須賀京太郎です。大事なくてなによりです」


 雰囲気的にこれではいさようなら、とはしてくれそうになかったので、

 必殺スマイルもおまけにつけておいた。

 目の前の少女はそれを見てややぽーっとしているように見える。

 あれか、これが噂のニコポってやつか。チョロインとやらなのだろうか。


「そちらこそご丁寧に。お兄さんこれから時間ありますーぅ?

 ここでお礼も何もせずに返したら女が廃るっちゅー話ですよーぅ」


 なぜだろう。おかしな部分は一つもないのにやたらとエロい想像をしてしまう言い回しだ。

 ニコニコ顔の上にナース服という清潔感のある真っ白な衣装とのギャップというかなんというか。


「あー、それなら近くにコンビニありますから、そこで何か奢ってもらえません?

 ここにいると警察来たら事情聴取で面倒くさいことになるかもしれませんから」

 荒川さんは俺の提案を快く受け入れてくれた。

 あ、ほんまに警察さん呼んどったんやね と呟いていたが。

 そうして俺は、荒川さんに奢ってもらったあんまんとお茶を堪能している。

 公園ではないがちょっとした休憩スペースがあり、そこに腰を落ち着けてだ。

 そこまで先導する際に、買ったものをもとうとしたが頑として荒川さんは譲らなかった。

 到着してからもペットボトルの封を切ってくれたりと甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。

 そうして話している間に荒川さんの事情なども少し聞いていた。

 なんでも、両親が経営する病院への融資と引き換えに龍門渕家に招聘されたのだとか。

 とある人物と麻雀を打って満足させれば、と。断ったら当然融資は無し。

 俺は知らなかったのだが、なんと荒川さんは前年度のインハイ個人2位だったんだとか。

 そんな人を呼びつけてまで打たせたがったなんて、どんな怪物を龍門渕は飼っているのか。

 満足させられたのかは当然気になった。だからそれを聞こうとしたところで、俺は猛烈な眠気に襲われた。

 あんまんを食べ終わっていたおかげで火傷の心配はないが、それでもお茶を取り落として溢してしまう。

 荒川さんがいやにゆっくりと近付き、テーブルに身体を投げ出した俺の頬をしっとりと撫でつけてくる。


「長野くんだりまで呼びつけられてなんやのと思とったけど、ウチはきっと君のために来たんやね」


 俺が初心者だけど上級者たちに負けて悔しがるのはおかしいのだろうか、と

 いう愚痴を聞いていたときとは違った優しげな表情でそう呟く声が遠く聞こえる。

 意識が急激に闇に呑まれていく。

 頬に熱い、吸い付くような感覚を受けたのを最後に、俺は意識を手放した。



ナースKによる改造イベント 3d100=21・99・92

 技量が少し上がった
 直感がぐーんと上がった
 必然力が大きく上がった
 荒川憩と出逢いました
 荒川憩の好感度がぐぐーんと上がった
 オカルト属性の所持スキルが1段階ランクアップした
 疲労が大きく回復した

評価

荒川憩: →これが運命なんやろか?

4月3週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :E28
直感 :D36
必然力:D46
・スキル
変化無しなので略

4月4週

 先日は気付いたら家の前の道路で眠り込んでいたらしい。

 俺が帰ってこないことを心配して探していた桃子がそれを見つけてくれたのだ。

 何があったかはよく覚えていないが、荒川さんと仲良くなったような記憶はある。

 まあ、何はともあれ良く寝たおかげかだいぶ気分も上向き、

 久しぶりに桃子と夜遅くまでゲームなどをして遊んだ。

 風呂上りの桃子は何かそわそわしていた気がするが何事もなく。

 翌日からしばらく拗ねた桃子を宥めるのに苦労したせいで咲を放置気味だ。

 そろそろゴールデンウィークだが、

 まだ友達らしい友達は開拓できていないらしいのが心配である。

行動1回目  疲労度0
 4.誰かと練習(桃子)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=55  超成功  スキル覚醒予約


「まだ誰も来てないっすね」


 とにかく部室に来てみたのだが、一緒に来た桃子以外は誰もいない。

 そうだなと応じ、何もしないで待つのも芸が無いと思った俺は軽く掃除をする。


「京ちゃんは麻雀、好きっすか?」

「当たり前だろ?」


 桃子が唐突に妙なことを訊ねてきたが俺は気負わず自然体でそう答えた。


「私は京ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌っすよ」


 今日の桃子は変だ。熱でもあるのか。それとも何かを言われたのか。

 牌を磨きながら、顔を上げて桃子を探す。声が聞こえた方向にはいなかったからだ。

 すると後ろから俺を抱きしめる桃子。肩に顔をうずめるように覆いかぶさってくる。


「それこそ、当たり前だろ? モモは寂しがり屋のくせに泣こうとしないんだから」


 牌を磨く手を止め、桃子の頭をあやすように撫でる。手元の八索が光った気がした。


                    ____
               . -‐:::::::::::::::::::::::::::`丶、
          ,.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

           /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.,
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       ,{::::::::/// :::/:::::/:::/}:::::::::::::::::::、::::::::::::::ノ}
        ; \/_:// :::/:::::/::://}:::::、 ::::::::::l::::::::::r'  ;
        |_」 __// __/:::::/:::// :::::::':::::___:::L:::::::::⌒::|
       |::l:::::l:」l_:::{::::::;::://  |:i::::::}├-::::'::::::::::::::::::|
      |八{:N_V{:::::i{:{ \ |:l:::::::}::| ::::::::|:::::::::::::::::,

.        |:::::::j:fi芯ヾ:八:{   _jノ'ト/}ノ ::::::::l_ :::::::::::::::i
.       | :::::圦Vリ    ィi芯'x `|::::::::::::| } ::::::::::::::|
       ;|::::::{:i} ,.,.,     V'り ヾ|::::::::::::l/:::::::::::::::::|,
       i|:::::::}八  '     ,.,.;{,., |::::::::::::|::::::::::::::;:::::|i
       i|:::::::i;::::::\ -_、   \|::::::::::::|::::::::::::/}:::八
        i|:::::::i| :::::::::::丶. __ ,.. '′|::::::::::::|_:::::::://:/  ;}
       ;八:::::i|\::::_」=‐ァ゙ }    |:::::::::::八\{/:/ /
     {  X广⌒”  / ∧   l:::::::/}′ } }”¨'' ー- ミ
        ′    厶イ:::ハ r'^{::::/   /         / `、
       i       {={ \{{_//∨\/ /     ,    ;
        l{   /   {={  [:::ア    /ヽ/     /     |
.      |`、 /,    {={ /:::}_ -‐'ヘ /      ,:      |
.       | У    、 V/ヽL - '′      {       ノ


 必然力がぐーんと上がった
 東横桃子の好感度がほんのり上がった

行動2回目  疲労度1
 4.誰かと練習 (まこ)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=88  超成功  スキルの特殊発動時にイベント発生確定





行動3回目  疲労度2
 4.誰かと練習 (まこ)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=04  失敗

「お、掃除しちょったんか。感心感心」


 染谷先輩がやってきた。部長とは違った理由で忙しいためにあまり部活への

 出席率は高くない先輩だが、その実力は身に染みている。

 特に眼鏡を外した後は先を読んでいるかのように場の流れを上手く掴んで卓上を泳ぐ。

 その秘訣があるならば、聞いてみたかったのだ。

 俺はまだ弱い。経験も圧倒的に足りない。みんなは慰めてくれたが、

 実際にはその権利すらないほどに。

 だから少しでもいいから道を切り拓きたいのだ。


「染谷先輩、よろしければ練習を見ていただきたいのですが」


 先輩は一瞬目を細め、ま、いいじゃろ、と了承してくれた。


「東横も入りんさい。あー、消えるのは無しでな。須賀の練習じゃけぇ」


 三麻形式での練習。四人で打つ時とはまるで違う。

 いつもと違う感覚に苦戦しつつもどうにか打っていく。


「そういえば、先輩は眼鏡を外した後は打ち筋がだいぶ変わりますけど、何か理由があるんですか?」

「おお、もちろんある。ワシの実家は雀荘を経営しとっての。

 小っちゃい頃から手伝うとったから、何千何万局と見てきたんじゃ。

 祖父さまの知り合いがメインの客層じゃったから、ある程度打てる人ばかりでの。

 だからこそ、時々の牌の偏りなども目にしてきたんじゃ。

 そして、ワシはそれを全部覚えておる。さすがに牌譜に書き起こせるほど鮮明ではないがの」


 経験。実戦ではないものの、だからこそ俯瞰的な視点で観察してきた圧倒的な場数。

 今の俺に最も欠けているものの一つ。やはりそれが強さにつながる。


「おんしには経験が圧倒的に足りておらんからワシの真似はできんだろうが。

 じゃけぇできるアドバイスは少ない。

 もったいぶらずに言えば、自分自身を信じることじゃ」

「自分……自身を……?」

「そうじゃ。ワシは祖父さまがくれた場数の記憶、それを見覚えた自分を信じておる。

 そしてその記憶がもたらす勘に逆らわず打つ。そうすれば牌が来てくれるんじゃ」


 逆らわず打つ。和に教えてもらったのは、見える情報から導き出す確率。

 染谷先輩は、さらに場全体を読んだ上での直感を信じ、見えない情報を読み取る。

 見えているものだけでは分からない何か。麻雀にはきっとそれがある。

 桃子の気配は彼女自身の持つ特異性だが、

 それを麻雀に利用した上で自身の特異性を信じて打っているのだろうか。


「おっと、それロンじゃ。須賀にはまだ難しかったかの」


 そう言ってかんらかんらと笑う染谷先輩。

 悩む俺を二人が優しげな眼をして見ている気がした。


 直感がぐーんと上がった
 染谷まこの好感度がわずかに上がった
 直感が下がった
 染谷まこの好感度がわずかに上がった

行動4回目  疲労度3
 6.出かける 
1d100=72  3・4の公倍数 キャラ遭遇&練習効率アップ

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    +イベント


1d100=28  南浦数絵  普通



 光明は見えたが掴み切れなかった俺は、先達の御言葉に頼ることにした。

 つまりはプロの執筆した教本を購入して読み込もう、ということだが。

 染谷先輩や竹井部長に頼れればそれが一番ではあるのだが、二人は忙しそうでとても頼めそうにない。

 特に団体戦で補欠になるだろう1年を鍛える時間があるなら、レギュラーや自身の強化を考えるほうがいい。

 そうそう、どうやらインターハイは男子部と女子部で分かれているわけではないらしいのだ。

 みんなあまりに普通に俺をメンバー候補に入れているものだから気にするのが遅れたのだが、

 軽く訊いた限りでは男子部と無差別部とで分かれているのだとか。

 ただ両部門に出場することは規定的にも物理的にもできず、

 女子には優希や桃子のような特殊な打ち方をする選手が例年散見されるがために

 そういった特殊な者が10年に1人いるかどうかの男子選手は

 無差別部門にエントリーすることはまずないらしい。

 無論、周りのほとんどが女子になるわけだから不埒な思惑で参加する勇者は

 全国を見れば何人かは毎年いるらしい。

 俺がレギュラー5人に食い込めるほど上手くなれば、そんな目で見られるのだろう。

 それでも実力さえあれば誤解は解けるはずだし、桃子と一緒に淡に会うためには最短なはず。

 そんなわけで、駅前の書店にやってきた。

 50年前はまだダーティなイメージで実際賭博も珍しくなかった麻雀。

 それも牌のお姉さんや、なにより小鍛治健夜のリオ東風準優勝を契機に一掃された。

 30年前くらいからじわじわと、20年前にはすっかり、10年前には爆発的に。

 今ではサッカーほどではないがテニスと同等くらいの人気スポーツにのし上がった麻雀。


「そういう歴史を経た競技だから、激動の最中を生き抜いたシニアやマスターズプロの教本が一番いいわよ」


 全てこの少女の受け売りであった。

    !: : : //::::::/: ::::::/:::::::::i::::::::::|ヽ::::::ヽ:::ヽ:.. 、ヽ
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       |:::::::::::!::::::::::|       |、ヽ    |:::::::::|
      ノ-‐'"´|::::::::|i|       | ヽ \ |:::::::::|


 艶やかな黒髪を後ろでまとめて流す、いわゆるポニーテール風な髪形。

 スタイルは和や桃子と比べてしまえば見劣りするが、それはあの二人が規格外なだけだ。

 この少女、名を南浦数絵という。俺と同じ1年だ。とはいえ清澄高校の生徒ではない。

 なんでも祖父が南浦聡というそこそこ名の知れたシニアプロで、

 教わった麻雀(とおそらくお祖父さん自身だろう)好きが高じて

 長野県内でも特に田舎の地域で同居しているらしい。

 俺が教本を探して棚を眺めているときに、

 嬉しそうな雰囲気で南浦プロの教本を撫でていたので声をかけたのだ。

 最近麻雀を始めたんだがオススメの教則本はないですか、と。


「お爺様の本の発売が嬉しくて不審者かどうかなんて考えもせずに答えてしまった」


 とは南浦さんの言葉だ。確かに不用意な声のかけ方だったかもしれない。

 だが、俺は確信を持って声をかけたのだ。

 この少女からは、桃子ほどではないが優希と似たくらいには異質な雰囲気がする。

 普段の染谷先輩と同じような、水面下で力が出番を待ってぐつぐつと沸き立っているような雰囲気。

 直感を信じてみたのだ。


「技術だけなら最近のデジタル雀士、それこそ瑞原プロの本が一番だと思うわ」


 そしてその直感は間違っていなかったと思う。


「瑞原プロの本は水着写真集と一緒に買うと割引だったりするから、男の子にはちょうどいいんじゃない?」

「最初に言ったように、俺が今学びたいのは単純な技術だけじゃないんだ。その部分は部活でもどうにかできるから」


 南浦さんはそう言った俺をじっと観察し、ふいっと目を逸らしてからだったらと南浦プロの本を薦める。


「私のお爺様の執筆した教本なのだけれど。

 まだメジャー競技として認められる前の、それこそ血でお金を洗うような暗い時代からお爺様は第一線で戦っていたの。

 イカサマも当たり前のように飛び交って。それは技術だけでは絶対に防げない。

 確かな技術と、研ぎ澄まされた勘。プロ級の雀士ならガン牌もできて当然だったらしいしね」


 つまり南浦聡プロはイカサマには手を染めず、それでいて鉄火場を生き延びたと言いたいようだ。

 そして、今の時代にお天道様の下を大手を振って歩ける暗黒時代からの雀士は

 イカサマをものともしない直感を備えていたと。

 まさに俺の求める道ではあるまいか。

「ありがとう、南浦さん。俺この本を買わせてもらうよ」

「礼を言われるようなことじゃないわ。初心者に助言するのは当たり前のことだもの。

 ……そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわ」

「最初に言ったはずだけど、やっぱり聞いてなかったのか。須賀京太郎。清澄高校1年の須賀京太郎だ」

「そう、須賀くん。今年のインハイまであと2か月無いけれど、あなたがどこまで行けるのか楽しみにさせてもらうわね。

 お爺様の教えをしっかり叩きこむように」


 それじゃあさよなら、と去っていく南浦さん。すまし顔で言っていたが、

 南浦プロのことを語るときのはしゃぐような表情を見た後では締まらないな、と思ってしまうのだった。



南浦数絵の好感度が上がった

評価

南浦数絵:どこまでできるのか、期待しないで見ておきましょうか




4月4週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :E28
直感 :D40
必然力:C51

5月1週  プチ合宿 練習効率+100%×3

「京ちゃん、起きるっすよー!」


 目を覚ますと、既に掛け布団を引っ剥がされた上に桃子が馬乗りになるようにしていた。

 平静を装っているようだが少し桃子の顔が赤い。熱でもあるのかと寝ぼけた頭で考えたが、

 理由にすぐに思い至る。朝である。最近は教本を読むことを優先して溜まっていた。

 そういうことである。しかもちょうど股間の上に乗っかるようにしているではないか。

 非常にマズイ。こんなことをして、襲われても文句を言えないのではなかろうか。

 俺は桃子の腰をがっしりと両腕で掴むとぐいっと押し当てるように固定する。


「まったく、起こしてくれるのはありがたいけど……そのうち襲うぞ?」


 桃子はその言葉を聞いているのかいないのか、あわあわと慌てて逃れようとしている。

 腰を捻ったりするせいで刺激されて気持ちよくなってきた。かなりマズイ。

 これ以上は本気でやばいことになりそうだし、目もだいぶ覚めてきたので手を離す。


「わきゃっ。――うぅ、痛いっす」


 急に手を離したせいか桃子はベッドから転げ落ちてしまったようだ。


「悪ぃ、だいじょ――」


                         -──-

                      ....:.´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
                     /二ニニ=-一.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                    ′.:.:.:./.:.:ト、:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.ハ

                    i .:.!.:.:.:{:.:__{, 」:__从}:.:.:.:.:.:.:.
                _  |:从:.、:.ヽ:ト、 ,ィfミ、.:.:.:!:.:.、∧

                   r{_ィ_ゝ、 ',:i:.:∧ィf:ハ   込}'V.:|.:.:.|:.:∧
                  ト、_>ゥ }∧/i:∧ゞ' ''''  ||/|:.:}:.:.:ト:.:}:.:.       __
               ヾx≪二ヽ:.:.|:.::介:ョ-r‘’´|V:.//=ミ '|ヾ|     x≦:.:.:.:.:.:.:.:7
                }o:.-‐:.ミ/{:从:.:.|二´'ー リ }/   ',     /.:r───-'
                {:.:.:.:.:.:.:.i:レ{ ヽ:.|  ヽ . ´ ̄  ヽト   /.:.:.:/
                |:.:.:.:.:.:.:/:!ハ  ヾ    Y        У}_ノ.:./
                l:.:.:.:.:.:.}}:.|{  ヽ     }     ∠へ}≦-‐:.ヽr‐‐==ヽ_
                 {:.:.:.:.:./:.:八 ゙ー \   ノ  . ' ´  .イ-‐:.´:\:.:.:', /{ニイ:::ハ
                V.:.:://イ.:.:.≫... _  >く >' ー‐=彡/.:.:.:.:.:.:.:.:.:',:.:.:}イ::::::::::::::}
              _. -‐.:.:´ィ'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}    ヽ    {.:.:.:.:.:.:.:.:._:.</.:::::::::::::::::/
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             ∠:.:.__/.:.:.:.:.:.:.:./ > ´ ̄ヽ_.ィ.:.:}.:./   /.:::::::::::{:i:::::::::::::::::: '´
              ⌒ヽ.:.:.:.:.:フ´       ヽ/.:.|/    {.::::::::::::::::.ヽ::::::::::/>
              _...-‐.´/            V/    、 ヾ:::::::::::::_八::::::ノ、
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 さすがに悪いと思った俺は桃子の方に顔を向け、起き上がるのを手伝おうと考えたのだが。

 俺の目に移ったのは総レース仕立ての真っ白。

 体勢が悪かったのか食い込みなどもばっちり見える。

「もう、京ちゃん酷いっすよぉ。ちゃんと二泊三日分の荷物を確認してから下に来るっすよ?」


 硬直した俺に向き直り、谷間を隠さずにそう言付けて部屋から出ていく桃子。

 そう、ゴールデンウィークを利用した麻雀部でのプチ合宿があるのだ。

 6月にある大会までにもう1回本格的な合宿をやる予定らしいが、今回は学校での泊まり込みだ。

 宿直室などを利用できるように部長が根回しを済ませていたらしい。

 当然、桃子をはじめとした麻雀部員皆での泊まり込みなわけで。

 俺は安全のために今しがた得られたオカズを使ってクールダウンすることにした。

行動1回目  疲労度0

 5.誰かと特訓(久)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=89  2段階易化  超成功 


行動2回目  疲労度2

 5.誰かと特訓(久)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=58  1段階易化  成功


行動3回目  疲労度4

 5.誰かと特訓(久)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=27  1段階易化  成功?

「さて、みんな集まったわね? それでは麻雀部プチ合宿を始めるわよ!」


 竹井部長の開始宣言を受け、わーわーパチパチとはやし立てる俺と桃子と優希。

 染谷先輩は苦笑しつつ、和はどうすればいいのかと戸惑っているようだ。


「今回のテーマは全体の底上げ。だから私は須賀君を重点的に見ることにするわね。

 まこは3人をよろしく。何回か対局して検討会を繰り返して弱点を明確にしておくように」


 そうして俺と部長はパソコンを前にした。


「この前はごめんなさいね須賀君」

「この前、ですか? 謝られるようなことは何もなかったと思いますけど」


 どうも、以前の対局での2確和了りのことを気に病んでいたらしい。

 確かに悔しかったが、その必要性なども教えられて理解も納得もしているのだ。

 そもそもいわゆる対戦系のゲームであれば相手の嫌がることを率先して行うのも戦術の一つだ。

 麻雀でもそれは変わらない。

 ハンドボールでだってファールを取られない瀬戸際で相手のプレーを妨害するなんて当たり前のことだ。

 だから部長が俺に謝る必要は本当に欠片もないのだ。

 そんなことを目を見て真剣に伝えると、少し驚いたように目を見開く部長。

 そして軽く頭を撫でてきた。


    ,..::::::::::::;::::::::::ハ;' \::;k;ヾxヘ⌒  ,,>、:ヽ;:::::::::::::::::::::::\

.    /::::::::::::/:::::::::イ  ヽ   ' 〆'  ,;;≠ヌミヾ;:!;::::::::::::::::::::::::::ヽ
   i:::::::::::/:::::::i::/i       /'   ;彳::::::::::::::ヽi! |::::::::::::::::::::::::::::ヽ
   |::::::::::i :::::::i::i:.|      "  斤ヾろ:::::::::c} |::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.   !::::::::i ::::::::i:i. |         '  ゙ゝ;:::::::ノ  |::::::::::::::::::::::::::::::::}

    !::::::i ::::::::::レ|"`              // |::::::::::::::::::::::::::::::::}、
    .!:::::i ::::::::/i | _`__ _              i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
.    !::|| ::::::':!| レシ;キ=ミ;            {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、_

     ゙:i|.::::::::::|, ;il゙ヘ;:::::::::::ヽ             ,  \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~ヽ,
      :iト::::::::::'l:;ゞ、 ゝう;:::゚ノ  ,      / l    `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.     !| ゙、::::::::|ミ\.          /  /     / `ヽ、::::::::::::::::::i~\:::::|
       :i|. \::::|;::::::\ i l !     ー-  '           ゙ミ::::::::::::::|  ):/
       'i!  \.{:::::::::::\               /       i:::::::::::ソ   '
       '!     ヾ; ::::::::::.ヽ.._____ , .イ"         ノ:::::/
.         \     \ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\         {:::::/
           ヽ    ゞミ,;;;:::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::/i\    , ヾ;:i|
                  ̄ ̄ ゙ ミ、::::::::::::Y ,イ  ヽ  ./ /j



「確かに須賀君の言う通りだけどね。それでも私も少しやり過ぎだったと思うの。

 焦りがあったのかもしれないわ。確かに団体戦に出られるだけの人数は集まったけれど、

 長野には風越っていう麻雀の名門校と、去年彗星の如く現れた強豪龍門渕がいる。

 私たちが全国を目指すなら、その二校とは必ずぶつかることになるわ」


 夢のために立ちはだかる厚く高い壁。

 それを理解しているからこそ、確信が持てない現状の戦力に不安があったのだと。

 部長は諭すように俺に語った。


「不安だからって足元を疎かにしたらもっと悪いことになるしね。

 今回の合宿は須賀君のための合宿と言っても過言ではないのよ?」


 ウィンクをきめながらそう告げる部長。感謝に絶えない思いだ。


「ありがとうございます、部長!」


 やる気が満ち満ちてくる。普段以上にしっかりと打ちこまないと申し訳が立たない。


「ま、美少女と一つ屋根の下だからっておイタはしちゃダメよ?」


 含み笑いとともにそう付け加えるのは素直じゃないということだろうか。

 だから俺はこう答える。


「大丈夫っすよ。今朝ちゃんと処理してきましたからね!」

「へっ!? あ、ああ、そうなの」

 目を逸らしてもじもじと恥ずかしそうにしている部長。

 普段のどこか悪巧みしていそうな勝気な表情とのギャップが素晴らしい可憐さだ。

 とはいえ今は気にしている場合じゃない。練習、やるぞ!




 技量がぐぐーんと上がった
 技量がぐーんと上がった
 技量が大きく上がった
 竹井久の好感度がわずかに上がった×3

行動4回目  疲労度3

 全体コミュ  5d100=67・84・66・37・96

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    

 全体なので2段階ダウン。ただし最低保障+1。


「短い間だったけど、みんなお疲れ様。最後はぱーっと飲みましょ」


 合宿の3日はあっという間に過ぎ去った。

 特にハプニングも起こらず、全員が集中して麻雀に打ちこんだと思う。

 そんなわけで、今は最後の打ち上げ真っ最中だ。

 学食を部員で占有して飲み食いしている。

 主に部長が俺を指導してくれていたが、他の皆も時間を見つけてはちょくちょく教えてくれた。

 感謝してもし足りないくらいだ。

 ということで俺はちょっとした手料理を振る舞うことにした。

 優希が前々からタコスタコスとうるさいので気になってしまい、たまに自作してみたりしていたのだ。

 そのため、優希は殊の外喜んでいた。タコスうまー! とぱくついている。

 プロの作ったものと比べたら1枚も2枚も味が落ちるだろうが、

 あれだけ美味しそうに食べてもらえると作って良かったと思える。

 和と竹井部長も好感触だ。部長は単純に俺が料理をできることに驚いていて、

 指導のお礼と共に渡したときに少し涙ぐんでいたように思う。

 喜んでくれたことが嬉しくて微笑むと、頬を染めてそっぽを向かれてしまったが。

 和は今度お弁当でも振る舞うと意気込んでいた。

 そんなたいそうなことでもないと遠慮したのだが、


「私がやりたくてやるんです。嫌ですか?」


 と心配そうに上目遣いで問われては断れるはずもない。

 合宿開始前に発散していなければ理性が飛んでいたかもしれないくらいの破壊力だった。

 一方で染谷先輩と桃子にはあまりウケがよくなかったらしい。


 染谷先輩はあまり辛いものが得意ではないらしく、タコスに入れたチリソースに難儀していた。

 味の好みをしっかり把握してからでないと行為の押し付けになってしまうと気付かされた。

 慌てて謝罪すると、困ったように笑って


「普段が薄味好みじゃからの。少し辛いが悪いもんでもないし気持ちはありがたいから気にしなさんな」


 とフォローされてしまった。

 桃子は、単純に手料理できるならもっと早くしてほしかったとご立腹だ。


「京ちゃんの初めてをもらえなかったっす」


 などと誤解を招きそうな言い方で挑発してくるのだ。これは宥めるのに時間がかかりそうである。

 なにはともあれ、こうして合宿は無事に終わった。そしてこれが俺にとって最後の平穏になる。

評価
東横桃子:この気持ちは、たぶん……っす

原村和:さ、触らせてしまいました。せ、責任をとってくれるでしょうか……?

片岡優希:しょうがない犬だじぇ →犬は良い奴だじぇ!

竹井久:須賀君? 頑張ってるわね →良い子よね。嫌いじゃないわよ?

染谷まこ:まあ頑張っとるんじゃないか? →なかなかやるようになったの





5月1週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :D48
直感 :D40
必然力:C51

これコミュ相手とか遭遇相手とかどうやって決めてるの?

月2週

「京ちゃん、最近麻雀部はどう?」


 そう訊いてくるのは咲だ。少しは興味が出てきたらしい。そろそろ頃合いかもしれない。


「楽しいぞ。この前なんて学校に泊まり込みで練習してな」

「学校に? なんか楽しそうだね」

「だから言ったろ、楽しいって。これでも少しは打てるようになってきたと思うぜ」

「そっか」


 あと一歩、といった感じだろうか。部員も悪い人はいないし、咲でも馴染めるはずだ。

>>91
元々テストプレイだったので自分の好みです
乱数で決めようかと思ったこともあったのですがさすがに煩雑になるので断念しました

行動1回目  疲労度1

 4.誰かと練習  まこ:直感の練習

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=49  1段階易化  成功

行動2回目  疲労度2

 4.誰かと練習  まこ:直感の練習

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功 

1d100=52  1段階易化  成功   


「さて須賀、ちぃとは自分の勘を信じられるようになったかの?」


 染谷先輩がそう訊いてくる。自信満々で応とは言えないが、それでもそこそこできていると思う。

 先輩からの指導と、南浦プロの教本のおかげだろう。

 今度南浦さんに会ったらお礼を言わなければ。


「そいじゃ試してみようかの」タンッ


 直感が上がった×2
 染谷まこの好感度がわずかに上がった×2

行動3回目  疲労度3

 5.対局  和・久・まこ

「久! 須賀の仕上がりを見るために卓入っとくれ」

「まこがそういうってことは、結構良さげなのね?

 だったら……和、あなたも入ってもらえる?」

「ずるいじぇ、私も打ちたいー!」

「ダメよ優希。今回は須賀君のこれまでの指導の確認なんだから、

 あなたと東横さんみたいなオカルトじみた打ち筋の子は入れられません」


           ┃┃┃
        .....::┃┃┃┃
  ...........::::_,ィ´ ̄┃┃┃┃::.........
 :::⌒>(_/. . . .:.::┃┃: : (⌒)<⌒:::
  :::/: : /: : : : : : : : : : : : : : :ヽ: :ヽ:::
  ::{: : /: : : : : : : : : : : : :.,ィ: }ノ: : リ:::
  ::ヽィ{: : : |: : : : :/: : : : :リ: :|ムィ:::
     ::ヽリレ====、:_:_:/゙}::リ:::::::::
     :://___//´ヽー.彡:′:::::

     ::/ ̄ ̄ ̄≧、_〉:::::::::
     ::}======〈´〉:::::::::::::::.......
    ::/ / / l\尤/三三二∋:::::::

      ̄ ̄ ̄ ̄::::::::::::::::::::::::::::::::



 こうして俺の力を見るための対局が始まった。



京太郎・和・まこ・久  の順。

東一局  ドラ:六筒

京太郎(この配牌は……)

和(良い配牌です。きょ……須賀君は私から見てもだいぶ上手くなっていると思いますし、楽しみですね)

まこ(須賀も4月から本格的に始めたとは信じられんほどに強ぉなっとるがの。

   それがどれほどのものか、見極めてやらんと)

久(これは……普通に待つよりも狭めた方がイケる気がするわ)

京太郎「リーチ!」


 張り切る京太郎、開幕ダブリー。これには3人も驚く。


和(こういうこともあります。現状では当たったとしても事故ですから、攻めましょう)

まこ(ふむ、まずは悪くなさそうじゃの。あと1ヶ月あるんじゃ、もしかしたらもしかするかものう)

久(あら、ダブリーなんて珍しい。でも……悪いわね須賀君。

  この局は私のほうが和了れる気がするのよね)


 久の予感通りとでもいうのか、京太郎は和了牌を掴めず足踏みをする。

 その間に久が地獄待ちで聴牌。そして確信を持ったリーチ宣言。


久「リーチ」

まこ(おっと、ここで久もリーチか。……しまった、安牌がないの。

   須賀に注目しすぎたか)タンッ

久「ロン! リーチ一発三暗刻ドラ2で跳満、12000よ」

まこ「あ痛たた……また悪待ちかい。久も好きじゃのう」


京太郎 24000
和   25000
まこ  13000
久   38000

東二局  ドラ:七萬

京太郎(やっぱ淡みたいにはいかないか。気を取り直して行こう)

和(部長……どうしてあんな非効率的な待ちを。普通のデジタル打ちもかなりの腕前なのにもったいないです)

まこ(須賀の見極めじゃからといってワシを見逃すってことにはならんよな。気を引き締めんと)

久(ふふふ、やっぱりこの和了り方は気持ちいいわねぇ。癖になっちゃう)

京太郎「リーチ」


 巡目もそこそこ経ち、中盤戦といったところで京太郎がリーチをかける。


久(……今回は間に合いそうにないわね。聴牌自体はできたんだけど)

 久はあわよくばと聴牌を維持して進むが、和とまこは素直にオリを選択。

京太郎「ツモ。リーチツモで800・1600」


京太郎 27200
和   23400
まこ  12200
久   37200


東三局  ドラ:一筒

京太郎(決していいリーチじゃなかった。けど和了れたってことはそういうことだろ。

    今回だって配牌は良くない。でも信じて前に出るんだ)

和(リーチに警戒しすぎましたか。ただ突っ張っても聴牌できたか怪しかったですし、

  間違った判断ではありませんでしたね)

まこ(期待値や効率を考えれば、須賀のリーチは最悪じゃったな。

   じゃが、麻雀はそんな確率だけで決まるもんじゃないけぇ)

久(やるじゃない。待ちを変えた分遅れた私よりも早かったってわけね)


 静かに進む卓上。流れは確実に京太郎に向きつつあった。

 京太郎以外は向聴数の落ちる速度がかなり遅く、それでは当然間に合うはずもなく。


京太郎「ツモ。平和ツモで500・1000」


京太郎 29200
和   22900
まこ  11200
久   36700

東四局  ドラ:四筒

京太郎(やれる、俺もようやく先輩たちと戦える!)

和(須賀君……綺麗な和了でした。お手本と言ってもいいくらいに)

まこ(須賀はもう大丈夫じゃな。じゃったらワシはこの点数をどうにかせんとの)

久(須賀君の1か月間の集大成って感じの和了ね。

  でも、安い。

  私達はまだ先にいるわよ)


 和は対局中には珍しく表情を少し崩し、微笑んだ。

 電脳天使と呼ばれることもあるのも納得できる、綺麗な笑顔であった。

 しかしこの局、久以外はどうにも揮わずノーテン気配。

 一方久も欲張りすぎては引けそうにないと悟る。

 流れに逆らわず、待つ。そして――


久「ロン! まこぉ、油断しすぎよ? トイトイのみで5800!」

まこ「今度は綺麗に両面張かい! やっぱあんたとはやりにくぅてかなわん」


京太郎 29200
和   22900
まこ   5400
久   42500

東四局一本場  ドラ:西

京太郎(さすが部長。次の課題は打点ってことですか)

和(どうにも確率が偏っていますね……。今回も聴牌できそうにないです)

まこ(久が乗っとるの。振込みだけは避けんと)

久(今回も良い感じ。このまま連荘いけるかしら)


 調子よく聴牌に進む久。しかしこの局先んじたのは京太郎であった。


京太郎「リーチ」


 打点を上げるならリーチ。防御を捨てることになるが、直感に逆らわず素直にリーチ棒を卓上に捧げる。


久(くっ、読めないわね。

  高めを誘った以上、素直な須賀君なら満貫以上になるようにリーチしたはず。

  ということはドラを絡めた手? ドラは彼にとって客風だから役にはならない。

  だったら残りの三面子で役を付けたか、雀頭に西を置いているか)タンッ


 まずは現物切りを選択する久。まこと和に倣う。

 直後京太郎、一発ツモならず。



 發 白  中 4m 8s 6s 赤5s 南 
 南 6m 7s 4s 4s 5s R5s 2s 


 和とまこはまたも現物切り。そして久の手番。


久(筒子が一切出てないから染め手……と決めつけるのもダメね。

  あからさまなまでのチャンタ気配。現物はもうない。

  赤ドラを捨ててまで目指す……和とまこの河にも西は出ていないし。

  チャンタドラ3、あるいはホンイツドラ2だと思いましょう。これで――)打:5m

京太郎「ロン!」


  赤5m5m 1p2p3p 1s1s 東東東 西西西 ロン:5m


京太郎「リーチ東ドラ4で跳満の12000です!」

和「須賀君、1本場ですから12300ですよ。公式戦では気を付けないと損しちゃいます」

京太郎「あっ、すみません! ……和、サンキュ」

久(しまった、場風も1枚しか出てなかったじゃない!

  くぉの、嬉しそうに笑ってくれちゃって……恋する乙女か原村和ぁ)


京太郎 41500
和   22900
まこ   5400
久   30200

南一局  ドラ:南

まこ(どうにか聴牌できたの。じゃが、おかしい。何か誘導されているような)タンッ

京太郎「ロン。チートイタンヤオドラ2で満貫、12000です」



結果

京太郎 53500
和   22900
まこ  -6600
久   30200



 技量が上がった
 直感が上がった
 必然力が上がった
 原村和の好感度が上がった
 竹井久の好感度が上がった
 染谷まこの好感度が上がった

「こりゃ、参った。頑張ったの、京太郎」


 終局とともに、数秒の間。そうしてから溜息を漏らすようにこぼれた賛辞。

 自分でも信じられない結果だ。

 中三の冬から、桃子や淡と遊びのような麻雀もどきをしていたとはいえ。

 本格的に始めて40日ほど。運に大きく左右される競技であるにしても、

 何年も研鑽してきた人に完勝できるなんて。

 染谷先輩が俺を須賀ではなく京太郎と呼んでくれている。

 俺はそれに応えるようにこう返事をした。


「はい、はい、まこ先輩!」

「まったく、練習で大勝したくらいで泣くんじゃないの」


              ,....::‐─:::-..,
          ,.ィ"::::::::::::..........:::::`.、

           〃::::::::::,ィ‐,=‐,::::::::::::::::ヽ
       //:::::::://  /リヽリ::::::::::::',
       / ./:::::' ⌒`   ‐‐-、.|:........  ,
       ! 〃:,ィ゙ ____     __  .!::::::::::::::|
.   nn  ,゙::/::!'" ̄`   x==、レ:::::::::::,'
  .Yi.| | |   { ::::::! ""  '   "" /:::::::::::/
  |.i.| | | /} ', ::八  t ‐__ァ  ./:::::::://

.  !  , !'./ ヽ::::|\.  rf^ト、_, {:::::: //
  {  /  !   /:ノ:::|:|:i' |.! .!〉'/:|/:::::}:{_
  〉___./ ,ィ/ィ{::::/ィリ. } ' . }/:::::::ソヽリ
. .{ー─‐‐レ"|::ト从/::|__/  /゙/:,/:.:.:.:.>、

 /ー──' Y∨ヽ,.:.:.:|-{  ,ィ゙、:{/:.:.:.:.// ヽ


 そういって笑う部長だが、目が潤んでいる。

 何か最終回な雰囲気だが、これはただの通過点に過ぎないのだ。

 涙を拭い、前を向いた。

 あのあと、少し時間は早いが部活終了の雰囲気になってしまった。

 次は検討会から、と言うことで解散と相成った。

 桃子や優希はそれぞれ用事があるらしく、別れの挨拶をして足早に帰宅。

 いつかも似たようなことがあった気がするが、別々に下校する理由もないため

 俺と和は並んで下校することにしたのだ。

 とはいえ、俺はにやけそうになる顔を抑えるのに必死で、

 和は和で何か思いつめたように押し黙っているため会話らしい会話はない。

 そろそろ俺と和の帰路が分かれるかというところで

 さすがに俺もこの状況の居た堪れなさを感じた。

 だから何か声だけでも出さないとと思って口を開きかけたちょうどそのとき、

 和から出た言葉に機先を制されてしまったのだろうか。


「あの、須賀君。ちょっと休憩していきませんか?」


 断る理由もない。別に近くにお城のようなホテルがあるわけでもないから誤解しようもない。

 田舎だからか土地だけはあるということか、この辺りには公園や空き地が少なくない。

 申し訳程度の雨露避けの屋根が付けられたベンチと

 品揃えのあまりよくない自動販売機が備え付けられた空き地のような場所。

 住宅街の路地裏にぽっかりと忘れられたように存在するそんな空間に、和は誘った。


「長野に越してきたばかりの頃、たまにここで時間を潰していたんです」


 ベンチに腰掛けた和が、そうぽつりとこぼす。

 注意していなければ聞き逃してしまったかもしれないほどの声量。

 和は俺に何を伝えたいのだろうか。

「私、昔……それこそ一桁の年齢の頃は身体が弱くて。よく入院してたんです。

 父も母も仕事が忙しい人で、お見舞いにくることも無く……友達もできませんでしたから、

 すごく寂しい入院生活だったんです。そんなとき、たまたまテレビで見たのが麻雀でした。

 牌のお姉さんの……子供向けの番組でしたけど。

 でもだからこそ一生懸命で、麻雀は楽しいんだって伝えようとしているのは分かったんです」


 牌のお姉さん、10年弱前ということは瑞原プロが新人だった頃だろう。

 その瑞原プロのテレビ番組を見て、麻雀という存在を知ったということだろうか。


「友達が欲しかったんです。誰でもいいから、人と一緒に居たかった。

 寂しさを紛らわせたかったんです。だから、これだ、と思いました。

 麻雀をできるようになれば、皆と一緒に遊べるんじゃないか。

 麻雀が楽しいものなら、きっと友達を作って一緒に……って」


 ぽつりぽつりと、告解するかのように呟く和。

 隣に座る俺は、どう反応すればいいか分からなかった。

 仕事が忙しいからと子供をほったらかしにするのは酷いと怒ればいいのか、

 そんな寂しい時期を過ごして可哀想と泣くべきか、

 今は優希や俺、部員の皆がいるじゃないかと笑えばいいのか。


 和は俯いていた顔を上げ、黙ったままの俺を真っ直ぐ見据えて更に言葉を続ける。


「私は、麻雀を利用したんです」

「須賀君は、強いすごいって褒めてくれますけど、今日私は何もできませんでした。

 須賀君が部長や染谷先輩に真っ直ぐ挑んでいるときに、ただ脇で見ているだけで。

 須賀君はすごく楽しそうに麻雀をしてます。瑞原プロの伝えたかった楽しい麻雀を。

 私は、私は確かに強くなりました。だって必死に勉強しましたから。

 誰も私を見てくれない間に、本を読んで、テレビを見て、

 父に、珍しくお見舞いに来てくれた父にも教えてくれと強請って!

 わた、私っわたしはっ!?」


            |:.:.:.:.:.:.:./ // _/_/〃 // _厶 /  / /  イ      |   ヽ:.:.:.\
            | :.:.:.:.:////  / / ̄厂ノ「 /  | / ム /| |  |   | ト、:.:.:.:.\
             人:.:.:.:〃 / イ ノ≧=≠=ミ、 {  | | | |\ | |  |   | |:.:/ ヽ:>
        /⌒ヽ_/_ノ| | | {〈 っ:てう::}∨  | | ! リ、j\.ノ  イ  | |/   
            |:.:.:.:.ノ lハ. |⊂つ-- 'っ.   ト ハj ≧=ミ、り\/ /   .イ !|   
             >/ V、_ト|ノシ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ゝ... ぃ:rう::\/ /  / j /:.|    
            Г   |ハ {{     :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.O\:‐':::ノj〉`  ノイ/:.:.:|    
  ,          j     |   {{       '  :.:.:.:.:.:.:.:.と^つ/ /〃人_/ゝ  
/|       ト__ ノ     ノ   し     、─- 、    :.:.:.j }:// ノ /∧:.:.:.:.:.: ̄|
  ヽ         /  / /    l\   ヽ _ ヽ      んノ∠- ' / 八:.:.:.:.:.:.__:.>
  /\   .人 /  / ./      .|  \        _ ひ /    / / ハ:_/| |
//./     ∨  / /      |\  ` ー─  フ´   /    /\' /   | | |
. / /.       |  |  |\      |ヽ       __/     /     /   } |    | | |
/ /        |  |  |\\    | ` ー─‐/     /   / / / | |    | ゝ ゝ



 俺は無言で和を抱きしめた。包み込むように、優しく、それでいてがっしりと。

 和は先ほどの対局で、気付いてしまったのだろう。

 自身の出発点は麻雀を楽しむことや好きだからではなかったと。

 俺の初心者らしく一喜一憂する姿を見て、いつしか忘れていた自分の過去と比べてしまったのだ。


「今は、好きなんだろ?」

「ひっく……あ、あたりまえですっ  すきじゃなきゃぐすっ つづけられませんっ

 わたしそんなつよくっ ないでしゅっ」


 いつからかは俺には分からない。

 でも寂しさを紛らわす手段・道具として始めたはずの麻雀を、

 本当に見てほしかった家族よりも優先してしまっていた。

 それだけ大事になっていたのだ。彼女、原村和にとっての麻雀は。

 ショックだったのだろう。部室で泣いてしまわなかったのが不思議なくらいだ。

 俺みたいなガキじゃちゃんとしたことは言えないだろう。

 だから、ただ真っ直ぐに。俺が麻雀を打つ時と同じように、真っ直ぐ正面から。


「好きならいいじゃないか。最初は打算だったかもしれない。

 それでも触れ合ううちに好きになったんなら、その想いは本物だ!」

 濡れて迷子の子供のような瞳をしている和の間近で覗き込むようにしながら、俺は心の底から声を打った。


「和のお父さんだって、本当に嫌ならそう言ったはずだ。

 教えてもらってるとき、ずっと嫌そうにしてたのか?

 和のことが大事なら大事なほど、頼られて嬉しかっただろうさ。

 だから、和は麻雀を好きでいていいんだ!」


 和は家族も麻雀も、どっちも好きなんだろう。

 でも麻雀は真摯な出逢いでなく、家族は蔑ろにしたと思い込んでいるだけだ。

 真実は違うかもしれない。だが、俺はそうだと思いこんだ。

 原村和は望んだ全てを手に入れていると。


「そう……なんでしょうか……? わたし、ほんとに……」


 自分で信じられないなら、背を押してやろう。

 たかが1ヶ月程度の付き合いで何が分かると言われれば否定できない。

 分かるはずがないのだ、人の心なんて。

 だからこそ手を伸ばす。だからこそ、想い合う。

「当たり前だ。俺が保証する」

 このとき初めて、俺は和の本当の笑顔を見た気がした。


          ,>─.:::.──- .ィ─-、._
    __┌.、/          \/:::::|
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    ヽ ! .{: :{:| | | 」|:.| :|: :ィ‐十ト|:|:} : : }:::::\
   / |/{ |.!.| {斤人|ヽj\| .レ゙リリル: :ノ::::ィレ′

   ヽ:::::.{',从|レィ==、   ィ==x .リ/:|」|

     ├┤| :沁 ::::::::    :::::::: ノ/: : !
     |:.:.|',| : :人    r─‐┐  ハ/  /:|
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     |:.:.|::|   .:|ィ‐=_,,} ー  {.__//゙ /_.| i|
     |...:|::| ! :リ.|::::{_   __.//゙ / ヽ!|
     |:.:.|:.| ! / /_,ヽ.∠ィ'/ /─=||
     |:.:.|:.| / /─'、,..ィ‐-、_,..|:|  |_    ||
     |:.:.|:.i!:../. :::      .:. . |:∨ ゙<  小.
     |:.:.|:.{ !      :∨:: . ヽ`>、 ∨ |. )
     |.:.:| | {     .:::      :} ! :!
     |:..:|∧ ',: : . .: : . : i.     ..ノ|: | リ
     |:../ ヾ.\__, : : :人: : : : :,.イ〃.ノ/
     ゝ |  `ーイ:: ::::/:|:::::::::/゙_.∠.ィ゙/
      |  ::\.|_ :::/ ::! ::,ィ゙    {"
      ∧  ::::\ } : ::::: ::/    ∧

行動4回目  疲労度4

 7.誰かと出かける(和)

1d100=62  成功


 原村和の好感度が大きく上がった
 一定以上の好感度の相手とイベントを起こしたため、絆を獲得しました
 絆を獲得したため、絆を結んだ相手の最も得意なステータスがぐーんと上がった

「今日はすみませんでした」


 あの後しばらくして、落ち着いた和を彼女の家まで送り届けた。

 さすがに一人で帰すのは不安だったのが半分、離れがたかったのが半分だ。


「いいって。和の本音を聞けたしな」


 道すがら、彼女は色々と語ってくれた。

 最初の頃は年輩の入院患者たちが麻雀を教えてくれたこと。

 父親は最初難色を示したが、たまに何かを思い出すように辛そうな表情をするものの

 優しげに笑いながら教えてくれたこと。その時に利き腕ではなく右手で打つよう指摘されたこと。

 退院してからは主にネット麻雀をするようになり、それなりの腕を得た頃に

 両親の転勤で訪れた奈良で友達が出来たこと。

 その後長野に移り、優希をはじめとした高遠原中学麻雀部の仲間ができたこと。

 その頃にはネット麻雀上ではほぼ負けなしの伝説と化していたこと。

 気付いたころには麻雀が欠かせないものになっていたこと。

 俺も負けずに話していたと思う。最も和ほど波乱万丈な人生ではないが。

 そうして家の前で会話しているのだ。もう行かなければならない。


「……それじゃ、また明日学校でな」

「はい。――あ、ちょっと待ってください」


 背を向けようとしていた俺を呼び止める和。呼び止められたために重心がズレる。


 チュッ


「ふふっ。また明日です、京太郎くん♪」


 俺の首に手を回して引き寄せ、背伸びしながら軽いキス。

 長い睫毛、整った顔、甘い香り。柔らかでいて張りのある唇の感触。

 硬直した俺に向け、ウィンクするように片目を瞑った後、

 彼女は軽やかにドアの向こうに消えていった。

評価

原村和:せ、責任をとってくれるでしょうか……?
    →好きです


5月2週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :C56
直感 :D47
必然力:C54

キリがいいので今日はここまで
読んでいただきありがとうございました

おつおつ
システムがよくわからんけど面白い

>>116
安価コンマ闘牌スレお馴染みの「高いコンマ出しゃええねん」システムではあるんですが、
ちょっとこねくり回して分かりづらいので適当に説明させていただきますー

まずはステータスの数値基準から

Z0:素人・未経験者
G2:小学生平均
F4:中学生平均
E6:高校麻雀部平均、中学生上位クラス
D8:麻雀部インハイ出場者平均、インターミドルトップクラス
C10:大学インカレ平均
B12:インハイエースクラス平均、インカレエースクラス、プロ二軍クラス
A14:高校生トップクラス平均、プロ一軍クラス
S16:プロ即戦力、トッププロ下位
S18:日本トップクラス
S20:世界上位クラス


原作の京ちゃんはG3くらいですね。実際のステータスとして記載しているのはこれを5倍した数値です

・聴牌
 ((同卓者の必然力の平均値)と(各人の必然力)の差分)を
 50から減算した数値よりも高いコンマを出すことで聴牌となる。

 ただし、最低でも10以上、最大でも90以上のコンマを出せば聴牌できるものとする。
 一部のオカルトスキルによる場合はこの限りではない。

 また、判定コンマがゾロ目の場合は聴牌とする。
 ゾロ目聴牌時、必要値未満の場合はリーチをかけないものとする。
 ただしスキル効果がある場合はその限りではない。


(例)
Z00とE25とB60とA75が同卓した場合、平均値は160/4=40となり、
Zは90以上のコンマを、Eは65以上の、Bは30以上、Aは15以上のコンマで聴牌。

(例2)
Z00・B60・A70・S90の場合、平均値55。
Z:50-(-55)=105>90 ∴必要コンマ90以上
B:50-5=45  A:50-15=35  S:50-35=15

(例3)
ZA00・ZB00・ZC00・S100の場合、平均値25。
S:50-75=-25<10 ∴必要コンマ10以上


つまりスキル以外では 絶対に聴牌できるorできない ということはありません
クリティカルやファンブルだと思っていただけると分かりやすいかも。クリやファンブルは日常での判定値でも採用してたりします

安価すれのような非安価スレってことだね、新鮮
描写も上手いし京ちゃんとの掛け合いもいいし女の子も可愛いしすばら

・和了
 (技量と直感の参照値の合計)/3 +(必然力)/5 
                  +コンマ +スキル補正=和了判定値

 この和了判定値がもっとも高い者が和了権を得る。
 このときのコンマが4の倍数&5の倍数でツモ(25+20-5=40%)、残りがロン。


・放銃
 (技量と直感の参照値の合計)/3 +(必然力)/5
                  +コンマ +スキル補正=放銃判定値

 このときのコンマは和了時のコンマの反転を利用することとする。


属性がデジタルかオカルトかで技量と直感の反映値が変わります
デジタルは技量が強く、オカルトは直感が強く反映されるようにしてます
なので直感が高く技量の低いデジタルとかはすごく弱いです

必然力は運みたいなものとお考え下さい

>>119
元々は安価スレとしてやろうかな、と思ってたんですが大変そうなのは他の安価スレを見ていて分かるので……へたれましたw


打点表
・下一桁の半分が翻数、下二桁目の半分が符数となる。
 0は10として扱い、小数点以下は切り捨て。
 ただし符数の場合は、1と2は流局、3は30符として扱う。

 子      親
1000     1500      32,62,63,72,73
(300・500)  (500all)
1300     2000      45(平和ツモ),82,83,92,93
(400・700)  (700all)
1600     2400      02,03,54(七対子)
(400・800)  (800all)
2000     2900      34,35,64,65,74,75
(500・1000)  (1000all)
2600     3900      46・47(平和ツモ),84,85,94,95
(700・1300)  (1300all)
3200     4800      04,05,56・57(七対子)
(800・1600)  (1600all)
3900     5800      36,37,67,76
(1000・2000) (2000all)
5200     7700      48・49(平和ツモ),86,87,96,97
(1300・2600) (2600all)
6400     9600      06,07,58・59(七対子)
(1600・3200) (3200all)
7700     11600      38,39,68,69.78.79
(2000・3900) (3900all)

8000     12000      30,40,50,60,70,80,89,90
                98,08,09,11

12000     18000      22,33,44

16000     24000      55,66,77

24000     36000      88

32000     48000      99,00

流局              01,10,12~21,23~29,31,
                41~43,51~53,61,71,81,91


公式戦では二半荘やるので高打点が出にくくなるようにしました
流局率が高い(30%もある)ですが、実際もそんなもんだと思うので。改良点ではあります

・リーチ

聴牌に成功したとき、
聴牌判定コンマとそのコンマ+5のいずれかがゾロ目の場合にリーチする。
100以上になった場合は和了に成功した場合のみリーチしたこととする。

リーチして和了に成功した場合は1翻上昇。
和了判定値2位と30以上の差がある場合さらに1翻上昇(一発がつく)。
またリーチ状態では放銃判定でのステータスによる加算は0として扱う。


リーチして和了した場合、和了者の素の和了判定コンマに
>>1の判定安価指定レスと同じコンマが含まれる数だけ裏ドラが乗る。

例:>>1が68の場合、下一桁6・8は1つ、
  60代と80代は2つ、66と88・68と86は3つ乗る。
  >>1がゾロ目の場合、同じゾロ目のときは4つ、同じ数字を含む場合は3つ。


・ドラ
萬子:下一桁1・4・7
索子:下一桁2・5・8
筒子:下一桁3・6・9
字牌:下一桁0・下二桁0
   東10,80,06 南20,90,07 西30,01,08 北40,02,09
   白50,03,00 發60,04,00 中70,05,00



索子が2・5・8なのは京ちゃんの最上位固有スキルの都合です
ゾロ目って綺麗やん?

リーチと裏ドラのおかげでそこそこ満貫や跳満の確率は上がります
これを考えていたので流局率の高い打点表でもゴリ押した部分があったり

麻雀部分での設定はこんなところです
判定値5ごとに一巡差、みたいなフレーバーも無くはないですが

他に何か聞きたいことがあったらいつでも質問等お願いしますー

5月3週

「京ちゃん、私は今日用事があって部活出れないっすけど、ちゃんとするっすよ?」

「母親か! まったく、咲じゃあるまいしそんなヘマしないって」


 放課後、そう言って桃子は先に帰って行った。

 今日は先輩たちも用事があって少し遅れるらしく、桃子がいないことで3人になってしまった。

 2人だったらいっそ諦めてネトマや牌譜読みをしようと思えるのだが、

 3人となると別だ。あと1人で面子が揃うわけで、せっかくならちゃんと4人で対局したい。

 ということで、俺は絶賛ぼっちロード邁進中の宮永咲を連れて行くことにする。

 前々から部活の話をしていたし、最近では向こうからそれとなく訊いてくるのだ。

 咲の中で麻雀部への興味がかなり高まっているはず。

 誘えば嫌がるフリをしながらもついてくることだろう。

 体格差もあるのだから、いっそお姫様抱っこで連行してもいいのだし。


「ってことでカモ連れてきたぞー!」

「京ちゃん! 降ろして! さすがにこれは恥ずかしいよぅ!」


 部室まできたのだし、今更逃げ出すことはないだろうからその言葉に従う。

 肩に担いでいた咲を慎重に降ろし、部室にいた二人に顔を向ける。


「おー? この娘が京太郎の言ってた咲ちゃんか! 歓迎するじょ、盛大にな!」

「ゆーき……まずは自己紹介でしょうに。

 すみません宮永さん。私は原村和。こちらが片岡優希。同じ1年です」

「はわっ、み、宮永咲ですっ。経験人数は5に」バシッ


「言い方が卑猥だっつの。こいつ麻雀打てるは打てるんだけど、

 家族3人と俺とモモ以外とは打ったことなくてな」


 咲がテンパってどこぞのAVインタビューみたいなことを言い出したので

 すかさずツッコミをいれて止める。さすがに乙女に言わせるのは可哀想だ。

 和は若干頬を赤らめ、そうですか、と曖昧に笑っている。

 あれか、和も意外とむっつりスケベというやつなのかもしれない。

 優希は何がおかしかったのか分からなかったようで、首をかしげている。


「ま、とりあえず打とうぜ」


 そうして俺は対局を提案した。それが終わりの始まりだと気付かずに。

「ツモ。2000・4000です」

「あーっ、またのどちゃんに負けたじぇぇ」

「これでラス3回目だな優希」


 あれから何局か打ち、和がトップ2回俺と優希が1回ずつ。

 咲はずっと2位か3位だ。


「宮永さん、だっけ? あなた面白い打ち方するわね」

「おわっ、部長!? 来てたんですか」


 4回目の対局結果できゃっきゃしていた俺達は突然かけられた声に驚く。

 いつの間にか竹井部長が来ていたらしく、口ぶりからすると最後の対局は観察していたのだろうか。


「牌譜を覗かせてもらったんだけどね。あなた――4回とも±0ね」


 その言葉で、場が凍った気がした。言われてみればそうなのだ。

 咲は4回とも、いやもっと前から、±0でしか対局を終えていなかったような気がする。


「そーいえばそうだじぇ。すごい偶然もあるもんだな!」

「いえ、少なくとも4回目の対局は偶然じゃありません」


 無邪気に笑う優希を諌めるかのように、和が真剣な顔で断言する。


「部長は見ていたようですから分かると思いますけど……

 オーラス、きょ……須賀君の出した当たり牌を見逃ししてましたよね?」

「……えぇ、そうよ。国士聴牌してたのはともかくとして、須賀君の一筒を見逃ししてたわ」


 この一言で一気に緊張感が高まる。

 優希など今にも噛みつきそうなほどに唸っている。

 それも当然だ。舐めプされて自分はそれに気付けなかったなど、屈辱以外の何物でもない。

「ツモ。2000・4000です」

「あーっ、またのどちゃんに負けたじぇぇ」

「これでラス3回目だな優希」


 あれから何局か打ち、和がトップ2回俺と優希が1回ずつ。

 咲はずっと2位か3位だ。


「宮永さん、だっけ? あなた面白い打ち方するわね」

「おわっ、部長!? 来てたんですか」


 4回目の対局結果できゃっきゃしていた俺達は突然かけられた声に驚く。

 いつの間にか竹井部長が来ていたらしく、口ぶりからすると最後の対局は観察していたのだろうか。


「牌譜を覗かせてもらったんだけどね。あなた――4回とも±0ね」


 その言葉で、場が凍った気がした。言われてみればそうなのだ。

 咲は4回とも、いやもっと前から、±0でしか対局を終えていなかったような気がする。


「そーいえばそうだじぇ。すごい偶然もあるもんだな!」

「いえ、少なくとも4回目の対局は偶然じゃありません」


 無邪気に笑う優希を諌めるかのように、和が真剣な顔で断言する。


「部長は見ていたようですから分かると思いますけど……

 オーラス、きょ……須賀君の出した当たり牌を見逃ししてましたよね?」

「……えぇ、そうよ。国士聴牌してたのはともかくとして、須賀君の一筒を見逃ししてたわ」


 この一言で一気に緊張感が高まる。

 優希など今にも噛みつきそうなほどに唸っている。

 それも当然だ。舐めプされて自分はそれに気付けなかったなど、屈辱以外の何物でもない。

「咲……俺は初心者に毛が生えたようなもんだけどさ。

 それでも中三の頃と比べたら別人レベルに強くなったつもりだ。

 お前にとっちゃ歯牙にもかけない程度でしかないのかもしれないけど」


 咲は俯いて小さく震えている。だがここで引いてはダメだ。俺のためにも、咲のためにも。


「だから、もう一回、本気でやってくれねーか。頼む」


 張りつめて震えることもしない空気の中、それを破るように小さな声が答える。


「――分かった。1回だけなら」





宮永咲入部イベントにつき、イベント対局が発生します

須賀京太郎の補正値が規定値を上回っているため、自動敗北を回避しました





 優希・京太郎・咲・和  の順

宮永咲(初期) 
属性 :O   
技量 :B 
直感 :B  
必然力:B 
・スキル

【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【残酷な逃避行】黒
 勝利を許されず敗北も避けたいがために生み出した歪んだ打ち筋。
(効果A)
 聴牌判定値が3位以上の場合、判定値を+20。
(効果B)
 効果Aによって和了判定1位になる場合、その和了を任意の他家に譲渡できる。
(効果C)
 効果Bにより譲渡後の打点は相手に関わらず±4できる。
 ただし自身より必然力が高い相手には、素の判定値で上回っている必要がある。
(効果D)
 このスキルは自身の和了には使用できない。

【嶺上開花】
 高い山の頂上にすら咲き誇る、常軌を逸した妖しい花一輪。
(効果A)
 和了コンマがゾロ目かつ3位以上のとき、強制ツモ和了。
 ノーテン時は2位以上でなければならない。
(効果B)
 効果Aによる和了が決定かつ他家の素の放銃コンマが6の倍数である場合、
 責任払いでの出和了りとなる。
(効果C)
 このスキルで和了するとき、符数は半減せずそのままの数値を取る。

東一局  ドラ:西

京太郎(俺だって、みんなと戦えるくらいには強くなってるんだ。

    淡や咲のお姉さんとは次元が違うのは分かってる。

    咲だってもしかしたらあの二人と同じ場所にいるのかもしれねぇ。

    だからって、これじゃ咲の居場所が無いじゃねーかよ)

優希(むむむ、まさか舐めプされてるなんて思いもしなかったじょ。

   だったらその余裕を引っぺがしてパンツ一丁にしてやるじぇ!)

優希「リーチだじぇ!」

和(宮永咲さん、ですか。京太郎くんと違ってあまり楽しそうには打っていませんね。

  優希が東場でリーチをかけたということはかなり良い手のはず。

  私がサポートした優希と京太郎くんを相手にどこまでやれますか)

優希「ツモ! リーチツモ純チャン……裏が1枚で跳満、6000オール!」

咲(早いし高い。やっぱり片岡さん強いよ)


優希 43000
京太郎 19000
咲 19000
和 19000

東一局一本場  ドラ:中

咲(みんな怒らせちゃった。やっぱり、私は麻雀しちゃいけないのかも……)

「「「「ノーテン」」」」









東二局流れ二本場  ドラ:中

優希(ぐぬぬ、流れが悪くなったじぇ)

京太郎(咲、なんかくだらねーこと考えてやがるな……?

    だが今はそれも関係ない。ただ、目の前の牌を掴むだけだ!)

咲(これで聴牌だけど、京ちゃんほんとに強くなったんだ。

  それなら怒って当たり前だよ、私の馬鹿っ)

和(狙ってプラマイゼロなんて、そんなことが本当にあるなんて信じられません。

  自分で指摘しておいて変な話ですが)

京太郎「リーチ」


 京太郎のリーチ宣言。咲は何かを悟ったように安牌を切ることに専念する。


優希(まずいじぇ、もう安牌は無いしこの嫌な気配……通れ)タンッ

京太郎「優希、悪いがロンだ。リーチ中ホンイツドラ3で倍満、2本場は16600!」

優希「じぇっ!?」


優希 26400
京太郎 35600
咲 19000
和 19000

東二局三本場  ドラ:二索

優希(せっかく稼いだ点棒がほとんど持ってかれたじぇ!?

   これは負けパターンだじょ、どうにか食い止めないと)

京太郎(っし! 優希に親ッ跳ねツモられたときはどうなるかと思ったが、

    一気に流れが来てるぞ! ここは更に攻めろ、俺!)

京太郎「リーチ!」

咲(片岡さんと原村さんはこの局はダメそうだね。

  私と京ちゃんの一騎打ち……でも、ほんとに私は戦っていいのかな)

和(京太郎くんと卓を囲むときは稀にあることですが、確率がお仕事をしてませんね。

  でもここまで酷いのは滅多に……)

京太郎「ツモ! リーチピンフツモで3本場は1600オールだ」


優希 24800
京太郎 40400
咲 17400
和 17400

東二局四本場  ドラ:三元牌

優希(くっ、この局も無理だじぇ。ここはオリて次に賭けよう)

京太郎(……? どうしてだ、この局は全然和了れる気がしない)タンッ

咲「京ちゃん、それカン」


 咲が告げた槓の宣言。その瞬間、優希と京太郎は強烈な焦燥感に襲われた。

 まるで、そう、まるでこの嶺上ツモが咲の和了牌であると理解してしまったかのように。


咲「――ツモ。嶺上開花のみ。責任払いで1600は4本場で2800」

和(大明槓の責任払い……まさか狙って? そんなオカルトっ)


優希 24800
京太郎 37600
咲 20200
和 17400

東三局  ドラ:四萬

優希(ほえ~、責任払いなんて初めて見たかもだじぇ。

   狙ってやったんならとんでもないじょ。

   っと、そんなことはどうでもいいな。今回はイケそうだじぇ!)

京太郎(……狙われた? 

    咲が嶺上牌をツモるとき、あの次元が違う感覚がした。

    つまりはそういうことか? やっぱりお前も向こう側の打ち手なのか?)

和(何があろうと、私は私の麻雀を貫くだけです。

  京太郎くんが保証してくれたのですから)

優希「きたじぇ、ツモ! メンタンドラで1000・2000!」


優希 28800
京太郎 36600
咲 18200
和 16400


東四局  ドラ:七萬

優希&咲「「聴牌」」

京太郎&和「「ノーテン」」

優希 30300
京太郎 35100
咲 19700
和 14900

南一局流れ一本場  ドラ:九索

優希(じぇ~!? 九種九牌にすらならないイジメみたいな配牌!)

京太郎(持っていかれた感があるな。気を付けないと差されそうだ)

咲(ダメ、この局は槓もできないし聴牌にも届かないや)

和(焼き鳥で4位……和了れず振らずでこれは情けないです。

  せっかくの卓なのですから、良いところを見せないと)

 和の想いに応えたか、手は和の計算通りに真っ直ぐ伸びていく。そして――

和「ツモ。メンタンピンドラドラで満貫の1本場は2100・4100」


優希 26200
京太郎 33000
咲 17600
和 23200


南二局  ドラ:白

優希(さすがのどちゃん。綺麗な満貫手をすんなり和了ったじょ)

京太郎(淀みなく伸びた感じだな。俺にはこういう確率を極めるような打ち方は無理そうだけど)

咲(すごい澄んだ和了だ……。この人も麻雀を楽しんでる……どうすれば)

和(今回もいい配牌です。無駄ヅモが少なければ和了れるはず)

 和のそんな予測も空しく、確率の高い方を取るほどに裏目に出る。


京太郎「ロン。 發東で4800」


 裏目を引きながらも放銃は回避するのが底力とも言えるのだが。


優希 21400
京太郎 37800
咲 17600
和 23200

南二局一本場  ドラ:四索

京太郎(聴牌は出来た。安手だけど連荘狙いなら問題ないよな)タンッ

和(また好配牌……。和了れればいいのですが)


 和と京太郎が聴牌にこぎ着けた頃合いを見計らったかのようなタイミングで咲が動く。


咲「――カン」

京太郎(ここで暗槓!? でもさっきみたいな感覚はしない……何が目的だ?)


 訝しむ京太郎の直感通り、咲はこの嶺上ツモで和了せず。しかし止まらない。


咲「リーチ」

和(暗槓からのリーチですか。裏ドラ狙いでしょうか?

  あまり無理押しするのも良くないですね)


 和は一発を避けるように聴牌を一度崩しての現物切りを選択。

 京太郎も倣うかのように同じ選択をする。

 そしてその選択は正解でもあり間違いでもあった。


「「「聴牌」」」

優希「ノーテンだじぇ」


優希 18400
京太郎 38800
咲 17600
和 24200

南二局二本場  ドラ:五筒

優希(罰符3000は痛いじぇ……。でもようやく聴牌できたし、イケるかも)

京太郎(くそっ、カンとリーチは威嚇か! 警戒して下がった分和了が遅れて、

    その遅れが流局に繋がっちまった。……あんな打ち方もあるのか)

咲(ふぅ、上手くいって良かった。じゃあ――)

和(リーチを囮にした守り……非効率的ですがそれにはまった以上は何も言えませんね)タンッ

咲「カン。――ツモ。白トイトイ嶺上開花で満貫の2本場は8600」

(((また責任払い!?)))


                                              /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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                                     i     ∧  i.....∨⌒≫ミx:::::ト、::::i
                                     |.............i:::{⌒\トミ;_\仟 ㌦}〉}:|_)}::::|

                                     |:::::i:::::::::::::r仔ハ     ヾン 仏イ:::i:|            f^Y^ヽ へ
                                     |:::∧::::\圦ヾン   、   ""   /:::::刈                }∪ | | | l_j
                                     ∨ \:::个::ト '"     、   イ:::ハ|    __      r‐-- '゙  ∪J |
                                           ∨|\::ゝ  `ー  / V  -=ァ⌒ヾ  __   ` ー―r、_,.. -r'
                                           }/  V\{`¨マ ´  /---イ〃  У^>-  _/-\__{〉〉
                                                   _,. ィハ   /-- //∥  /         人------/
                                              _ r‐=ニ ---|/⌒/-/=/ {{  /          〈  >---ヘ
                                        /  |l\ -----|  //==/   }}          〉       〉
          r――- 、                         /⌒  Ⅵ  |>-=ミ|∠≠‐=彡   {{  /        く      /
.     jI斗-一'´辷ー\_                   x<      \Ⅵ/乂_=ミr匕x<      夊_厶r――-  .,_,>x__/
      ゙ーァ' ,二   ゝ  }ニ-<⌒'ー< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`'<           У    {⌒Y         /i {
      〈// , - 、 _У∥--}                 \        〈     T爪          i |
       V    Т/-〃--/                         ∧    / j}∧         i |
              V__〃_/      \                ___∧   / / ∧         i |
                    >―――< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       ∨ |   / ∧       i |
                                                |  |   / ∧        i |
                                                |  |    / ∧        i |
                               r‐┬ォ┌‐┬‐┬―┬―┬―┬―‐┬―‐┬―‐┬―‐┬―‐┬ ォ      r――┬ォ―┬―┬――rォ
                           ∟ I斗 ∟ .∟ .∟  L  L.  _|_____|_____|_____|_____|_____jI斗       L __j抖-------!_____抖



優希 18400
京太郎 38800
咲 27200
和 15600

南三局  ドラ:東

咲「リーチ」

京太郎(狙って嶺上をツモれる……んだろうな咲は。

    だからって臆してどうする。

    本気を出せと言ったのは俺なんだ、ここは引かない)

「「「「聴牌」」」」


優希 18400
京太郎 38800
咲 26200
和 15600


南三局一本場  ドラ:八索

優希(なんか南場なのに手が進むじぇ)

京太郎(引かずに打ってもツモれなきゃな)

咲(……片岡さんが調子良さそう。なら――)

咲「チー」

京太郎(ドラ絡めのチーか。チャンタで連荘狙いか?)タンッ  打:西

優希「! ロン! 西チャンタで6400の、1本場で6700!」


  1m2m3m 9m9m9m 9p9p 1s2s3s 西西  ロン:西


京太郎(そっちか!)

優希 26100
京太郎 32100
咲 26200
和 15600

南四局  ドラ:三元牌

優希(やったじぇ。これでトップも見えるじぇ~)

京太郎(ぐっ、だがまだトップだ。安手に仕上げて和了ってしまえばそれで勝ち!)

京太郎「リーチ」

咲(京ちゃん、ほんとに強くなった……。気を付けないと牌が見えなくなるくらい。

  だから――)

咲「ポン」

和(? 妙な鳴きですね。でもツモ順がずれたおかげで和了れそうです)


 役に直結しない中張牌のポン。一発消しですらない鳴き。

 咲の前局をなぞるかのような打牌に京太郎の警戒感はいや増す。

 それは咲自身と優希へ重きを置いた警戒。

 まさに――咲の術中。


和「ロン。東チャンタで7700」


  1m2m3m 9m9m9m 9p9p 1s2s3s 東東  ロン:東


京太郎「なっ!?」

京太郎(前局と同じ面子! 咲!?)


優希 26100
京太郎 23400
咲 26200
和 24300

南四局一本場  ドラ:一索

(((ここでリーチをかけてから他家が和了すれば、またプラマイゼロ!)))


 三人の視線が咲を突き刺すように向けられる。


咲(うっ、やっぱまずいよね。なら聴牌しないでおこう)

「「「「ノーテン」」」」


優希 26100
京太郎 23400
咲 26200
和 24300

「……なるほどねぇ。誰もプラマイゼロじゃないけど、全員原点未満ね。

 せっかくだから西入して決着つけちゃいなさい」


 竹井部長のその一言。それはきっと、俺に対する地獄への片道切符だったのだ。

 誰も異論を挟まず、続行される。









一旦終了します。また夜に

どっかで説明されてたとしたら見逃したんだろうけど、キャラクターのステータスにある 
属性 :O   
って何かなって思った。

オカルトのOでいいのかな

>>148
そういうことになります。Dはデジタルです
説明漏れすみませんでした

構想段階ではアナログ属性も考えてたんですけど、さすがに手が回らなさそうだったので断念しました

かわいいと言ってもらえてありがたいっす
……ほのぼのは置いてきた。この先の戦いにはついていけそうにない(キリッ

フォースに導かれるまでちょろっと透華ー

西一局流れ二本場  ドラ:九索

優希(ダメだじぇぇぇ 西場なんて私の集中力が保つはずないっ!!)


 優希は完全に脱落。置物状態である。

 東場専と言ってよい彼女に西場は酷であるから仕方のないことだが。


和(なかなか悪くない配牌です。ツモも良いです)


 和はマイペースながらもほとんど回り道無しで和了に向かう。

 しかしそれは咲と京太郎も同様である。配牌時の向聴数は同じ。


咲(どうすれば……。また京ちゃんを怒らせるのは嫌だよ……)


  1s2s3s 4s赤5s6s 7s8s9s 8s8s 9s9s


 まったく同時に聴牌に至った三人。しかし、咲の迷いは晴れない。

 そして幼馴染で、彼女を案じている京太郎がそれに気付かぬはずがない。


京太郎「咲。悔しいけど、お前はこの中の誰より強い。

    本気を出せって言っておきながらまるで歯が立たず……俺は情けないな」

咲「京ちゃん?」

京太郎「でも、だからこそ。せめてしっかり負かしてくれないか。

    みんなは、お前が強いからって責めたり怖がったりする人じゃない。

    お前はここに居ていいんだ、咲! だから!」ダンッ  打:八索


 京太郎が、真っ直ぐ咲の目を見つめて打った八索。

 咲の和了牌。運命を決める、想いを込めた一打。


咲「京……ちゃん……」


                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {                            /
          /  \                     /  イ
            /\_ \ _                   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄    |    │   l  :| :|    | | |
.        厶イ |  i    |   ト.    ト、 .:ト、 .| :|    | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、 │゚. :| ゚. | :|    │!
                 |  ト、圦乂| 乂| \| \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |

 咲が羽ばたくため、咲き誇るための第一歩。

 京太郎の打ち出した八索をじっと見る。自らの背中を押す、幼馴染の手。


京太郎「さあ、咲!」


                   -=ニ二ニ          ニ二二二二二二二
                 二二二二  二二        二二ニ  ニ二二二

                     ニ二二二   ニ二  ニ二二ニ           ニ二二
                 ̄    ____       ̄ニ二二ニ  ニニ       二二
             ニ二ニ   ニ二二二二二ニ     二二ニ ニニ      二二
              ニ二         ┐  ̄ニ二二二二ニ=  ニ二 二ニ     二二
                    /::::/       ̄ニ二二二ニ  ニ   ニ    ニ二二
               /  /::::::::/...-―≠ニア{    ̄ニ二ニ  ニ二ニ     ニ二
                   /{ /::::::::::::::::::::::::::::::::-=<.. 二ニ  二ニ ニニニ ニ   ニ二
             二{::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\二ニ ニ二  二二二二  二ニニ
               二二〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒    ニ   ニ二二ニ  二ニニ=
               二/:/:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::\二ニ ニ   二二ニ   ニニ=
               /:::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒丶ニ __二二二二ニ   ニ=
           ⌒i::|:::|:::::|::|:::::::::|:::|::::::::|::::::::: |::::::|乂__ /: :.:|二二ニニ   =
ニ             ニ二|::|:::|:::l:|::|::::l:l::|:::|::::::l:|::::l:::: |:l::l:| ̄/: : : : |二二ニニ     ニ
二.            二|::|:::|:::l:|::l::::l:l::|:::l\从:::l:::: |:l::l:l/: : : : : :/二二ニ  二二二
ニニ            二|从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./二二二二二ニ 二ニ=-
 ニニ.          二二)イ::圦     ,     ∧/----: : :__:_/二二二二二ニ  二二ニ=
   二ニ= =ニ二 ニ=  二}//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ    二二ニニ
=ニ二二ニ  二二二 ___∠{: : : : : :| ̄ _」::: : : : :./    l|     | |__     二二二ニ
  ニニニ   ニニニ //   ∧: : : : :.ー―.:: : : :/} ___ }   リ リ    =ニ二二二ニニ
   二ニ=  =ニニニ ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \ニニニ=
=ニ二二ニ 二二 { {      ̄ハニ、:_:_,:.//ニニ/   |ニニニニニニニニニニニ二\   \ニニニ
二ニ  ニ二 二=/\   ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \二
ニニ   二二ニ/   / ̄ ̄ 二八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
ニニ  二  ´   /二ニ  =ニ二二}    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄    =ニ二二ニ==   \
ニニ:/   /  二ニ ニニニニ|     \三三三ニ=- __    -=ニ二二二ニ
二/    /二ニ= =二 二二ニ _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ
. /   =ニニ二二  二二二ニニ/ {廴___/´  / ̄ ‘,     ___ .... . -――-
/ /ニニニ二二二二____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/ニニニ:/ ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /::::::


咲「――ろ、ロン! 清一色一通ドラ3で2本場は24600……!」


優希 26100
京太郎 -1200
咲 50800
和 24300

「京ちゃん……」

                 ~~    ~~
                   -―――-    ~
              ~ .....::::::::::::::::::::::::::::::::.::::::::::::`丶
            /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  }

            } .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. {
           { /::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
           .:::::::::::::::::::::::::::│::::::::::|\:::|\::::|:::::::::::::::::::::::. }
         } /::::::::::::::::::|::::: / | ::|:::::::ト- ::|--∨\ ::::::::::::::::| {
       { /::::::::::::::::::/|::::::|ノ|:八 ::::| _..斗-=ミ\| ::::::::::|::::|
      /::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\|  〃⌒゙ヾⅥ :::::::: |::::|  }    
        ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ     {{    }} }|/| ::::::|::::|  {
      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|

       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
            |:::: ヽ_| ///              __,ノ :::::|  }
.          { レヘ::八     _.. ‐~‐-、   イ ::::::::::::/  {
           }   ∨个 .._ (_,,.. ‐~~' イヘ:::/|/∨
                 \|  _≧=一ァ  〔/⌒T:iT7ス
                r=Ti:i:i:i:i:i:7____/i:i:i:i:i:i:i/ ∧  }
               {  ∧i:i:i:i:i:i:i:i:|   /i:i:i:i:i:i:i/   / ∧ {
                } / {\/⌒)_∠二二/|    / ∧
              /  ゙T{  二(__ `ヽ        _ヽ
            /   ∨ハ.  {_  /     \/  _〉
.            { /\ _ |  ノ   _) 人._     |_/|/ }
              } \_____,|/  /i:i\     ̄ ̄`ヽ  j  {
             ∨ /   /|i:i:i:i:i|\            |
              /     /´|i:i:i:i:i|  丶 ... ______丿
               〈         Ⅵ:i:i|       |    }
              、___/    Ⅵ:i|       |   {


 涙をこらえ、俺を見つめてくる咲。これで良かったんだよな……?


「バカ、こんなことで泣くなって! これから試合やるんならこんなの日常茶飯インシデントだぞ!」

「もう、ニンジャは私じゃなくてモモちゃんだよっ」


 頭をぽんぽんと撫でながらおどけて見せると、咲もそれにノッてくれる。

 そうだ、こんなことで俺達の関係が変わるなんてことはない。

 俺にとっては妹みたいな姉みたいな、手のかかる幼馴染。

 咲にとってはお節介で憎めないチャラ男な幼馴染。

 それでいい。


「これで決まり、ね」

 俺と咲のやりとりを見て、ため息を吐くようにそうこぼす部長。

 竹井部長にとって最後の大会が1ヶ月後に迫っている。

 メンバーを決定してポジションに合った戦術を叩きこむにはギリギリの期間。

 俺は確かに強くなったと思う。部長にだって簡単に負けないくらいに、強く。

 だが……それではダメなのだろう。

 いくらエントリーする部門に性別の制限がないとしても、

 ほとんどが女子高生という場に男が紛れていたら悪目立ちする。

 ただでさえ和の存在で注目を浴びることは確定しているのだ。

 口さがない噂で部のみんなが傷つくかもしれない。……それは嫌だ。


「レギュラーは私、まこ、和、優希……そして宮永さんでいくわ」



 俺と部長、いつの間にか来ていたまこ先輩以外の3人は驚きのあまり硬直する。

 もっとも優希和と咲とでは驚きのベクトルが違っているのだが。


「咲ぃ、入部届……書いといたからな!」


 嘘だ。部長に言って入部届自体はもらっているが、まだ提出していない。

 咲が馴染めそうになければ取りやめできるようにだ。

 だが今はそんな事実は邪魔なだけだろう。

 咲は追い詰められたほうが思い切りよく進めるタイプなのだ。


「きょ、京ちゃん! 謀ったね京ちゃん!?」

「ふはははは! そう、俺だ!」


 こうしてじゃれ合う俺と咲を、部長が沈痛な目で見ているのが分かる。

 そう、俺はこれから大会が終わるまでの間、

 部のサポートのために雑用などに追われてまともに練習することすらできないだろうからだ。




宮永咲が入部しイベント対局で敗北したため
須賀京太郎は団体戦メンバーに選ばれませんでした





6月1週終了までに

  1.このままリザーブとして清澄麻雀部に残る
  2.自分でチームメンバーを集めて大会に参加する

のいずれかを選択できます



             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
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        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /
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  |///∧////////l|///////////////|/////|
  |//// }////////l!///////////////}/////}

5月3週


行動1回目  疲労度2

 6.出かける

1d100=94  何もなし。 高コンマなので救済



「悪いんだけど、須賀君買出し頼めるかしら」


 あの後すぐに、俺はそう部長に言われて部室を後にした。

 部長が言うには備品などが切れかかっていたから、という話だが。

 俺の勝手な想像ではあるが、おそらく一人になれる時間をくれたのだろう。

 自分で選んだ結果だが、それでも悔しいことに変わりはないのだから。

 そうして心中で部長に感謝しながらも買出しを指示された物品を購入し終える。

 結構な荷物になる品々を一息に学校まで持ち帰るのも骨だと少し休憩することにした。

 するとどうだ、フードコートで一服していると南浦さんを見つけた。


1d100=94  大成功  数絵 

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    



「あら、確か……須賀くんだったかしら。こんにちわ」

「ああ、南浦さん。こんにちわ」


 向こうも俺に気付いたらしく、挨拶してくれた。

 そして俺の脇に鎮座する荷物をちらりと見て不思議そうに見てくる。

「この荷物は部の買出しでさ」

「買出し……。そう、やっぱり初心者じゃ団体戦のメンバーには選ばれなかったわけ」


 その通りなのだがぐさっとくる。

 俺が反論もできず黙っていると、一転南浦さんが慌てだす。


「え、あの、ごめんなさい。冗談のつもりだったのだけど」


 ここで俺が彼女に何か言っても八つ当たりにしかならないだろう。

 だから正直に状況を伝えた。

 幼馴染のフォローをしようとして、その結果自分はレギュラー候補からも外されたのだと。

 アイドルに匹敵する話題性を持つ原村和がいる状況で一人だけ男子であること、

 そして何より自分自身の実力不足が理由で。


「そう、だったの。

 ……私は、個人戦にしかエントリーしていないわ。インハイ出場登録締切は6月1週」


 急に何を言い出すのか。つまり、あれか?

 目の前の少女は、自分を誘って団体戦に出ればいい、と言っているのか?


「南浦さん。気持ちは嬉しいけど、学校も違うんじゃさすがに無理だろ」

「いったいどういう理解をしたのか分からないけど……。

 団体戦は学校単位での出場に限定されているわけじゃないのよ。

 同じ予選地区内の学生でのチームでないとダメなのだけどね。

 学校所属の麻雀部選抜なら事前審査が免除されるだけなのよ」

「事前審査?」


 なんでも、インハイ長野地区予選は団体戦は6月3週の土日、個人戦が4週の土日にあるのだとか。

 そして1週目が登録締切で、2週目の金曜日に登録メンバー全員が試合形式で審査されると。

 大会前週の週末、大抵のところでは合宿やらに活用したい日だろう。

 そして金曜日は平日、つまり授業を休む必要もある。

 麻雀部に所属している者で選抜メンバー落ちしている場合はまず学校が許可しない。

 仮病などで休めば、それが発覚次第審査で落とされる。

 さらに言えば別々の学校に所属していたりすればちゃんと集まれる保証もない。

 それでも団体戦の参加者数を嵩増ししたいのが大会主催者側らしく。

 数年前からねじ込まれた変則規定の一つなのだそうだ。

 そもそも、部長級などが学校側から渡される団体戦審査免除用登録用紙にしか記載されていない特例規定であるのだが。

 そんなマイナーで嫌がらせの如き知りづらさを持つルールを、南浦さんが知っているのはなぜなのか。


「マスターズのプロは地元の麻雀活性化こそがメインの仕事なのよ」


 とのことで。難しい理屈はともかくとして……。

 俺は麻雀部を辞めるか、校長などの責任者に審査日の欠席を認めてもらえれば団体戦に参加できるということだ。


「ありがとう、南浦さん。これからよろしく」


 俺は光明を与えてくれた南浦さんに礼を述べ、そしてチームメイトとしての挨拶をする。しかし。


「あら、勘違いしないでちょうだい。私はまだあなたと組んで団体戦に出るなんて言ってないわよ」

 と突き放すようなお言葉である。

 思わぬ返答に愕然とするが、冷静に考えてみればその通りだ。

 全部で5人、メンバーを集めなければならない。

 やはり結構な難題ではないだろうか。部活動の有利さはこんなところでも発揮される。

 部長は部長で5人集める苦労はあるだろうが。

 ……部長と言えば竹井先輩は、桃子もレギュラーとして指名していなかった。

 ということは桃子も引き抜ければあと3人か。

 いや、それでも桃子は女子だからリザーブとして登録される可能性は高い。

 それに桃子だって部のみんなとせっかく打ち解けたのだから、

 最悪退部しなければならないという状況には誘いづらい。


「……ちょっと、そこまで落ち込まないでよ。

 仕方ないわね、3人、あと3人集められたら連絡してちょうだい?

 そうしたら私も合流して参加するから」


 黙って悶々と考え事をし始めた俺を見て、南浦さんがそんなことを言い出す。

 なんだろう、これがいわゆるツンデレってやつか。

 そんな心中を抑え、南浦さんに色々とお礼をしてから俺は学校に戻るのだった。



南浦数絵からの情報により、メンバー探しを行えるようになりました
現在勧誘できるキャラクタは以下の通りです


 荒川憩・対木もこ・霜崎絃・百鬼藍子・モブ・鶴賀


 南浦数絵の好感度がぐーんと上がった

評価

南浦数絵:どこまでできるのか、期待しないで見ておきましょうか →失望させないでね?

行動2回目  疲労度1

 7.メンバーを探す

1d100=3  遭遇  霜崎絃

説得
1d100=64 成功  参加意思上昇。好感度が一定以上になれば加入。



 南浦さんとの会話以降、俺は雑用をこなるかたわらメンバー探しに奔走していた。

 桃子は親戚に不幸があったとのことで今週いっぱいは長野にいないから、

 勧誘するにしても今は無理だ。

 そんなこんなで、俺は今町中に佇んでいる。そして通りかかる高校生を観察しているのだ。

 南浦さんは、雰囲気からすると相当の実力者。

 だがそれだけではなく、何かしらの特異性を持っているはずだ。

 優希や桃子、なにより咲から感じたあの強者のオーラ。

 麻雀が強い者なら、きっと俺にもその異質さが感じ取れるはずだ。

 今にして思えば、荒川さんもそうだった。

 俺はその異質さに引き寄せられて妙な格好つけをしたのだろう。

 そうやってぼーっと観察しだして1時間ほど。そろそろ日も傾き始める頃合い。

 俺はついにそれを感じ取った。方向感覚が乱されるような、不思議な感覚。

 直感に従って視線を飛ばすと、そこにはチャイナドレスを纏った暗い妖艶さを醸し出す美少女。

 一歩の歩幅は普通の女性と変わらないはずなのに、

 大地が縮んでいるかのような錯覚をするほどの速さで移動する少女。

 ここで見失うと二度と会えない。そんな焦燥感に急き立てられ、俺は声をかける。


「あの、すみません。そこのチャイナドレスをきたあなた! ちょっとお話させてくれませんか?」

 俺が明らかに自分に話しかけているのだと理解した彼女は、驚愕に目を見開いたようにしてこちらを振り向く。


「あなた……どうやってわたしの遁甲術を……」


 何に驚いているのか俺には分からないが、こんな美人が目立たないはずがないだろうに。


「遁甲術ってのが何かは知りませんけど、あなたからは変わった雰囲気がしましたから」

「雰囲気? そう、術の道力を感知したの。面白いわ」


 相変わらずよく分からないが、それでもこんなナンパまがいで好感触。

 逃す手はない。


「面白い、ですか? だったらちょっとお話できません? なんなら一杯おごりますよ」

「……そうね。陣の張り直しには少し時間が必要だし、その間くらいならいいわ」


 やったぜ。ということで俺は近くにあった喫茶店にて向かい合っている。

 ちなみに俺はアイスティーを、目の前の彼女はアイスミルクティーとホットドッグを注文した。

 デザートを頼みそうな気配もするので……2500円には届かない程度か。

 正直に言えば痛い出費だ。だからこそ勧誘を成功させなければ。

「まずは自己紹介させていただきます。俺は須賀京太郎です。

 高一で、麻雀の県予選大会に出場するためにメンバーを集めているんです」

「須賀京太郎さん。わたしは霜崎絃、高三。つまりこれは勧誘ということ?」


 もぐもぐとホットドッグを食べながらそう返答してくる、

 波打つ黒髪でそこそこのスタイルな霜崎さん。


「どうしてわたしを勧誘しようと思ったのかしら。確かに千葉の高校生では最強を自負しているけど」


 千葉最強。となると長野の予選に登録するのは無理か……?

 俺は早くも暗礁に乗り上げたことを察したが、声をかけた以上失礼なことはできない。


「千葉……ということは長野での登録は無理ですか。

 えっと、どうして声をかけたかと言いますと――勘です」


 勘。その一言で霜崎さんは口角をぐいっと上げる。危うさを感じさせる笑顔。


「勘? そう、勘。いいわ、いいわね。あなたやっぱり面白い。くくっ」


 こぼれる笑いを抑えようとしてかカップに口を付ける。いつの間にかホットドッグは無くなっていた。

 何が良かったかなかなかに好感触が続く。

 これは親父に頼んで家を用意してもらってでも引き入れるべきかもしれない。


「――っ! へえ? まだ制御しきれていないようだけど……へえ」


 俺が気合を入れ、長野に転居してもらうにはどうすればいいかを考え始めると、

 何かを察したように霜崎さんは笑みを消して俺の瞳を覗くように見据えた。

 そしてテーブルの上に置いていた俺の手を取り、指を絡めるように握る。


「わたしの術を破る力。須賀京太郎さんの力、興味が湧いてきたわ。

 長野って面白いわ。化け物が生まれやすい土地なのかしら。

 なんにしろ、食べたらおいしそうだわ」


 俺の手を愛撫するように擦りながら、唇を妖しく舐める霜崎さん。

 そこまで特別なことをしているわけでもないのに、男の本能を刺激される。


「長野にはしばらくいる予定だから、また時間が合ったらお話しましょう」


 そう言って俺に連絡先を押し付けた彼女はテーブルを立つ。

 追いかけたいところだが、別のところが立ち上がっていたせいで立つに立てない。

 そのまま、俺は去っていく霜崎さんを見送ることしかできなかった。



 霜崎絃の好感度が大きく上がった


評価

霜崎絃:興味深いわ。あと一歩、ね

行動3回目  疲労度0

 7.メンバーを探す 憩
1d100=1  失敗   やんわり断られる



 霜崎さんと遭遇したのとはまた別の日。

 雑用も終わった俺は部室で練習をするわけにもいかず、町に繰り出していた。

 そこで見つける特徴的なファッション。ナース服姿の荒川憩。


「あ、荒川さん。お久しぶりです」

「須賀君、こんにちはーぁ。こんなところでどないしたん?」

「えっとですね、部でレギュラーになれませんで。いっそメンバー探してエントリーしようかなって」

「ふぅん? ウチを狙ってます、いう顔ですねーぇ。

 でもゴメンなぁ。団体戦はちょっと……。個人で大阪に登録してもうたし」


 轟沈である。しかし、乗り気でない人を誘うというのも難しいだろう。諦めるしかないか。


「そう、ですか。残念ですけどそれなら仕方ないですね。お時間取らせて申し訳ありませんでした」

「いいえーぇ。こっちこそせっかくのお誘いに乗れんでごめんなーぁ」


 こうしてあえなく荒川さんの勧誘は失敗したのだった。



 荒川憩の好感度がわずかに上がった

行動4回目  疲労度0

 7.メンバーを探す 
1d100=52   絃  成功  


 そしてまた別の日、俺は再び霜崎さんと遭遇していた。


「須賀京太郎さん。待ってたわ」

「こんばんわ霜崎さん。待ってた、ですか? そろそろ日が暮れますし、間に合って良かったです」


 どうにも、霜崎さん曰くあの日からたびたび術を敷いて俺が見つけるのを待っていた、らしい。


「長野にはちょうど、借りを返したい相手ができたところだったの。

 全国で、と思っていたのだけど……気の流れが不安定すぎるわ。

 もしかしたら、アイツらはこの長野で朽ちるかもしれない。だったら私の手で確実に……ね?」

「リベンジしたい相手が全国に確実に来るとは言えないからってことですか。霜崎さんを――」

「絃」


 俺の言葉が唐突に遮られる。少し驚いて思わずえっと声を上げる。


「絃って呼んで?」


 ……どうやら霜崎さんと呼んだのがダメだったらしい。

 距離感の掴みにくい、浮世離れした人だ。

 とはいえ機嫌を損ねたいわけでもなし、年上だからさん付けで呼ぶことにする。


「あ、はい。絃さんを倒す人ってことはかなり強いんですよね、その人。

 その人が全国に出れるか分からないって……」

「えぇ、そう。その原因があなたにあるかもしれない」


 じっと俺を見つめてくる絃さん。その瞳は深い闇のようで、引きずり込まれそう。


「だから、しっかり行きましょう。あなたの望む道を」


 いつの間にか俺の手は彼女に取られ、嫣然とした笑みを真正面から受ける。



 霜崎絃の好感度が大きく上がった
 霜崎絃の好感度が規定値を超えたため、チームメイトに内定しました


評価

霜崎絃:興味深いわ。あと一歩、ね →いいわ。あなたと共に歩みましょう


5月3週終了。

5月4週

 長野県外に居た桃子も今週になって帰ってきた。

 彼女は孤独だった分、妙なところで勘が鋭い。

 加えて遊ぶ時間を持てなかった分を勉強などに充てていたらしく、

 いずれ状況証拠から俺が部活では雑用しかしていないことに気付くだろう。

 中学の頃から仕込もうとしていた麻雀を俺がようやく楽しくやり出したと

 知っているのだ、現状を快く思う可能性は高くない。

 ようやく出来た新たな同性の友人を優先してくれればいいとさえ思うのだが、

 それはそれで寂しくもあるだろう。

 ともかく、俺は大丈夫だと分かってもらうためにも早めにメンバーを集めてしまわねば。

 そしてメンバーが集まれば部に留まることもすべきでないだろうし、

 その辺の根回し、と言っても部長に話を通して退部するだけだが、も考えなければ。

行動1回目  疲労度0

 7.メンバーを探す 憩
1d100=98  大成功

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    


「憩を勧誘して断られた? 憩もアイツには借りがあるわ。

 だから押し倒す勢いで迫ればイケるはず。繋ぎは付けておくから説得しなさいな」


 夜に霜崎さんと電話していたら、そんなことを言われてしまった。

 そういえば荒川さんは龍門渕家に借金のカタ(?)として長野に呼ばれたと言っていた気がする。

 となると、霜崎さんのリベンジ相手も龍門渕家なのだろうか。

 親父の読んでいる新聞や経済誌に名前が上がらない日はないというくらいに

 活発な大財閥、龍門渕。金に飽かせて色々酷いことをしているという噂もある。

 高校生一人の自由を金で買うくらいはわけがないのかもしれない。

 そしてこの長野インターハイ県予選で前年度優勝したのが、その龍門渕だ。

 チームメンバーは全国から金で集めた猛者だという。

 それでも国内限定だった故の壁なのだろうか、

 留学生のみで構成された臨海女子高校にインターハイで敗北したらしいが。

 もしや荒川さんは新たな龍門渕高校のメンバーなのかと思いもしたが、

 本人が個人は大阪で出ると言っていた以上、長野で団体戦登録はしていないはずだ。

 龍門渕……悪者になってもらえばそこが俺の突破口になるに違いない。

 大まかに説得プランを固めた俺は、荒川さんとの待ち合わせ場所に到着した。

「あ、須賀くん? こっちですよーぅ!」


 30分前に到着したのだが、既に来ていたらしい。

 荒川さんの姿はいつものナース服……ではなく、ブレザー型の制服を着ている。

 笑顔が魅力的な荒川さんだが、服装が変わるとだいぶ印象も変わる。

 とはいえ可愛らしい美少女であることは変わらない。

 プリーツスカートはタイトなナース服と違って風にひらめく。

 丈自体はともすればナース服よりも長いくらいなのだが、だからこそちらりと覗く足が綺麗だ。


「こちらからお誘いしたのにお待たせしてすみません」

「ええんですよーぅ。ウチも須賀くんに会いたい思ててん」


 そんな挨拶を交わし、場所を移す。カフェやファミレスにでも行こうかと思ったのだが、

 荒川さんの意向でカラオケになった。

 そしてそのまま二時間ほどが経過した。

 俺はどのタイミングで踏み込むべきかを計っていたのだが、

 笑顔に隠れた本音が恐ろしかったのかもしれない。

 それもそろそろ潮時だ。そろそろカラオケはお開きな雰囲気になってきているのだから。


「荒川さん」

「絃ちゃんを勧誘したんやってね」


 いきなり機先を制された。さすがに全国2位ともなると駆け引きも上手い。

「あ、須賀くん? こっちですよーぅ!」


 30分前に到着したのだが、既に来ていたらしい。

 荒川さんの姿はいつものナース服……ではなく、ブレザー型の制服を着ている。

 笑顔が魅力的な荒川さんだが、服装が変わるとだいぶ印象も変わる。

 とはいえ可愛らしい美少女であることは変わらない。

 プリーツスカートはタイトなナース服と違って風にひらめく。

 丈自体はともすればナース服よりも長いくらいなのだが、だからこそちらりと覗く足が綺麗だ。


「こちらからお誘いしたのにお待たせしてすみません」

「ええんですよーぅ。ウチも須賀くんに会いたい思ててん」


 そんな挨拶を交わし、場所を移す。カフェやファミレスにでも行こうかと思ったのだが、

 荒川さんの意向でカラオケになった。

 そしてそのまま二時間ほどが経過した。

 俺はどのタイミングで踏み込むべきかを計っていたのだが、

 笑顔に隠れた本音が恐ろしかったのかもしれない。

 それもそろそろ潮時だ。そろそろカラオケはお開きな雰囲気になってきているのだから。


「荒川さん」

「絃ちゃんを勧誘したんやってね」


 いきなり機先を制された。さすがに全国2位ともなると駆け引きも上手い。

「せやけど、ウチは……」

「荒川さん。お願いします。俺と、俺達と一緒に麻雀をしてもらえませんか。

 俺、ようやく麻雀が楽しくなってきたところだったんです。

 最初こそは友達のためにって思ってましたけど、今は違います。

 たとえ友達が相手でも、退きたくない。俺はまだ自分の限界を見てません。

 確かにあいつは、咲は次元が違う強さでしたけど、違うんです。

 ハンドの時は壁の先に道がないって確信できたんです。

 でも麻雀では、今は、こんなもんじゃないって思えます。

 俺はまだ、先に進める。進みたい。諦めたくないんです!」


 言葉を遮って思いのたけをぶつける。自分のことしか考えていない、エゴイスティックな言葉。

 そこには荒川さんのことも、組んでくれた絃さんのことも欠片も入っていない。

 俺は、俺がやりたいから諦められない。諦められるほど歩んでいない。


「絃さんは借りを返したい相手がいるって言ってました。

 そしてそれは荒川さんも同じはずだと。その相手がこの長野にいる。

 ……全国に来る前に潰える予感がするとも。

 俺には荒川さんがどう思っているかは分かりません。どうしたいかも。

 だからこそ、お願いします。俺に価値があるなら利用してくださって構いません。

 だから俺にもあなたを利用させてくれませんか。前に進むために!」


 真っ直ぐ目を見て、言葉を投げ込む。目をそらさず、気付けば荒川さんの手を掴んでいた。

「須賀くん……」


 迷うように揺れる瞳。以前は迷いらしい迷いすらなく、すげなく断られた。

 今は、どんな理由にせよ迷わせるくらいはできたということだ。

 なら、そうだ。絃さんにも言われたじゃないか。押し倒す勢いで。


「荒川さん……いや、憩さん! 俺はあなたが欲しい。

 後悔させないなんて言えません。でも全力は尽くします。だから、憩、お前を俺にくれ!」

「はぇっ!?」


 肩に手をかけ、体重をかける。たいした抵抗もなく、薄暗い室内の安物のソファに押し倒した。

 キスできるくらいに近付く顔。突然のことに混乱し、掴まれたままの腕を振りほどこうともしない荒川さん。


「わ、わかりましたーぁ! わかりましたからーぁ! か、勘忍してーぇ!」


 こうして俺は、荒川さんから承諾を勝ち取ったのだった。

 あの後、俺は嬉しさのあまり押し倒した体勢で荒川さんを抱きしめてしまった。

 弱弱しくも抱き返してくる荒川さんに危うく理性が飛びかけたが、

 終了時間確認の電話が入ったためになんとか踏みとどまったのだ。


「もう、びっくりしましたよーぅ。あんな強引な迫り方、どこで教わったん……?」


 絃さんに、とは言えなかった。言わずとも察しているような気もするが。


「ハァ。ま、ええよ。受けます言うたことには変わりませんしーぃ。

 ところで、あと何人集めればええんですーぅ?」

「あはは、ありがとうございます。あと1人です。1人は4人集まったら入るって言ってくれてるので」

「そうですかーぁ。んー、ウチにも心当たりが何人か居るけど……京ちんにも居るんやない?」


 京ちんとな? 今まで呼ばれたことのないニックネームだが、不思議と違和感はない。

 距離が縮まったということでいいのだろう。ならば俺も憩さんと呼ぶことにする。


「この前話してくれた幼馴染、宮永咲さんだけと違うかったよねーぇ。

 確か……東横さん、やったかな? 彼女なら受けてくれるん違う?」


 確かに桃子なら受けてくれるかもしれない。だが……。


「ま、あと1週間ありますしよーぉく考えてみるとええよ」


 そう言ってお姉さんらしく手を後ろに回したまま少し腰を曲げ、

 振り返るように微笑みかけた憩さんは別れの挨拶とともに帰って行った。


 荒川憩の好感度がぐーんと上がった
 勧誘に成功したため、チームメンバーに内定しました


評価

荒川憩:これが運命なんやろか →ウチが支えてあげますよーぅ

「……京ちゃん、酷いっすよ」

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             ',::ト!::::::::::::i:!ヽi _ ‐,.イト-!::::,′
            ィ: :ヽ!:';N;!ル!i:! iイハ l: : : :/:::メ
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        !: : : : ',: : : :ゝ-; : :ヽ ! ハ !: 、: : /: !
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        .!: ヽ: : : :!: : : : : : `ヽ ∧: :イ : : : i
          ',: : ヽ: : :!::.. : : : : : : : o<: : : : : イ
         !: : : \!、 : : : : : : : イ: ー:_, イ: 〉
            !: : : : : ト: : ー‐:'': : : : !: :/: : ィハ
          !: : : :ニヽ : : : : : : o:/: :i:/: :i: :!
         !: :ー‐: : ∧: `ー: : ! : : !: : イ: :!



 憩さんと別れて俺も家路に着きしばらく、突如耳元で聞きなれた声が囁かれた。


「うぇっ!? も、モモか。驚かせるなよ。……モモ?」


 俯く桃子の顔は杳として窺い知れない。いつも目を遮るように垂らした一筋の髪が今は不気味だ。


  1d100=28  失敗

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    |::::::::::::::ヘ:| i x==≠ミ、 ヽ:ト、j ヽ{  x=|≠ミ、 |::::::::::::::::::: |
    |:::::::::::/:::::| 〃て::::心         て::::心㍉|::::::::::::::::::: |
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   ,.':::::::/: : l. | とつ一'            ゛一とつ |:::::::::::::::: : |
   |::::::/:: : 八| /|i ////       //|i//  |:::::::::::::::: : |
   ,.'::::/::::::::::::::|  |       ′       |    |::::::::::::::::::: |
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   |:::::|:::::::::::::::::::ヽノ               |  ノ !:::::::::::::::::ハ
   |:::::|:::|::::::::::::::::::::::::..、   ´ ̄ ̄`   , < ::::::::l::::::::::::::::l::: |
   |:::::|:::|:::::::::::::::::::::::::::::>ュ..... __  .....イ::::::::::::::::::l:::::::::i::::::l:::::|
   |:::::|:::|:::::::::::::::::::::::ハ::::_|         |ゝ::::::::::::::l::::::::ハ:::::l:::::|
   |:::::|:::|::::∧:::::::::::::| |:/<,へ、 r‐一 '´\:::::::::::|i::::::ハ::::l:::::|
   ト::ハハ:::| |:::::::::::::/ゝ /、  V  \     \::::リ::/ |:::::l::: |


「一緒だって言ったじゃないっすか!」


 バッと顔を上げた桃子。その目には涙がこぼれるほどに溜まっていた。

 ついに決壊し、一条二条と流れる。

 俺はそれをみて、動けなかった。ショック、だったのだろうか。

 まさか泣くとは思っていなかった。言い訳はできるが、それは真摯ではない。

 そんな俺に痺れを切らしたか、飛び込むように胸に縋り付く。

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                 八:::::::::::: リ  ||xxxxx ____r-f>‐ 、_xxxx..|| ,′:::::::::::::::: |
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           |          /        \/ ′      |__       /        |
           |         ./            \  〉=--=ニ二二)     ./        :|


「嫌っすよ……私は京ちゃんと一緒じゃなきゃ、ダメなんすよ……!」


 そう、桃子はいつもそう言っていた。俺と一緒が良いと。

 俺は、自分勝手な思い込みを桃子に押し付けていたのだ。

 桃子には俺以外誰もいらないのかもしれない。

 しかしそれはあまりに不健全だと、常識や思いやりを言い訳にして、逃げていただけなのだ。


「――モモ、デートしようか」

「えっ?」

 腹を括ろう。桃子が自分から言い出すまでは、俺が桃子を満たしてやればいい。

 桃子を抱き返し、その髪に顔を沈める。

 落ち着いた頃合いに腕を緩めた。


「とりあえず、今日はもう帰ろう。デートは明日だ」

「は、はいっす」


 顔を赤くした桃子が目を白黒させている。泣き止んだのならそれでよしだ。


           ....-―…―-...
         /::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         /:::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::ヽ
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::::::::ハ

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       |::::::::::|:::|::::!:::ト、:::|::ト厂 ̄l/l:::/:::::::,
       |::::::::::ト、ト、ト、! ヽ  x=≠ミ!/:::::::::::,
       |:::::::::::',x=≠ミ    :.:.:.:|! |:::::::::::::::,
       |:|::::::∧|.:.:.:.:   ' __  |! .|::::::::::::l::::,
       |:|:::::'::込    v´   ) |! ,:::::::::::ハ:::,
       |::';::::/:::个:.,  ヽ-- ' |!イ:::/::::::/::/:::!
       ヽ:ヽ::::::::|:::::::>  --イ |/ィ::::/::/:::/
      __\ト、:ト|;イ: :| {     /厶イ{メ7彡'
     /: :ヽ: ヽヽ!/: : :! \  ノ   |: : :'; : :` : .、
    /: : : : :',: : /: : : :|  ハレ、  /: : : ',: : :l: : : :ヽ
    }: : : : : :ヽ: ヽ: : :.|/!: : :Yヽハ: : : /: : :!: /: : :}

    /: : : : : : :|: : :.〉': :.!ヽト=={//: : ヽく: : : :!': : : :,′
    ヽ: : : : : /: : 《: : : :', !: : :|/: : : : :/: : : :|: : :./

行動2回目  疲労度0

 EX.桃子と出かける

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    

1d100=71  成功


「さて、今日は部活でやらないといけない雑用もないし……

 放課後いっぱい使ってデートといこうか。どこか行きたいところあるか?」

「行きたいところっすか。……だったら私の家でいいっすか?」

「モモん家? 別にいいけど。でもいいのか? どっか出かけたりとか」

「いいっす。京ちゃんに話したいこと、あるっすから」


 デートと意気込んでいただけに、少し拍子抜けだ。

 特に何事もなく桃子の家に到着すると、鍵を開ける。


「あれ、おじさんはともかくおばさんも今日はいないのか」

「そうっすよ。遺産相続絡みでとんぼ返りしたっす」


 先週電話やらで聞いていたのだが、亡くなった親戚の件で色々あるようだ。

 葬式で幽霊と間違われた、などと憤慨しながら電話してきたのは桃子には悪いが笑ってしまったが。

 俺がそんなことを思い出していると、手早く飲み物や茶菓子を用意した桃子。


「んじゃ、私の部屋にいくっすよー」

「モモの部屋か。なんかだいぶ久しぶりな気がする」

「そうっすね。中二の夏休み以来っす」


 桃子は答えながら器用にドアを開け部屋に入り、俺もそれに続く。


「もうそんなになるのか。なんだっけ、6月あたりにすんげー際どい格好して

 町中にぽつんと立ってたんだっけな。あれにはビビッた」


 桃子の部屋はほとんど物が無い。衣装ダンスとベッド、勉強机くらいか。

 申し訳程度の化粧台もあるが、これは俺が以前来た時には無かったものだ。


「そうっすね。誰も私のことを見ようともしなくなって4年くらい経ってたっすから。

 痴女みたいな恰好してでも注目されようって意気込んでたっすけど」


 桃子は影が薄い。今でこそ緩和されたが、知り合ったばかりの頃は

 耳元で大声を上げるか直接相手に触って強い刺激を与えでもしないと

 その存在を俺以外には誰も認識しなかったらしい。実の親ですらも。


「そうしたらいきなりおっぱいを鷲掴みされたっすよね」

「仕方ないだろ? あんな乳首と乳輪さえ隠れてればいいや、って服」


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              八ト、:::八ヒヅヽ{ ´ ヒzヅヽト;::::::|i:::l_i/::l::::i::::|
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               |       {    i∧`丶   --‐{∧´ ̄  `ヽ
               |      ',i    ∨ハ        V∧i       .
               l         !  rv^i/「¨ヽ__  .::  }-∧     i
                     | __,}/ ̄ ̄ヽんヘ/∨/  `ヽ    |
                   ',        {ん'  ---   __ヽY´_ ---ヘ
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                   (_,       八:.        .::ノ::..    .:ノ   ',
                  ト--ヽ    /  ー―----一'"´ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ   i
                  ト-- '.                     __     `丶_
                `⌒ー ,          __ -―‐  ̄\      ヽヽ
                     '.   _  -‐  ̄ ̄` ー-----\{` 〉' / !ノ
                     `¨¨                    `¨(_/{_ノ


 触ってくれと言わんばかりだったのだ。『俺は悪くない』。

「私が口を押えて悲鳴を堪えてるからって揉み続けたのは忘れてないっすよ?」


 お、俺は悪くねぇ! 中学生男子の性欲なめんな!


「そのおかげであんなことはもうしなくなったっすけど」


 いざ自分を省みてさすがに痴女ルックはやりすぎだと思ったのだろう。


「そういえば次遇ったときは普通に制服だったよな。

 なんか逃げようとしてたから捕まえたけど」

「当たり前っす。痴漢と遭遇したら普通は逃げるっす」


 どうやら第一印象は最悪だったようだ。いや、当然なのだが。


「それから何度も逃げては見つかっての繰り返しだったっすね」


 そうなのだ。何回もそんなことがあって、ようやく逃げないようになったのが8月頃だったか。


「たぶん、その頃からっすね……」

                       _,,.. -ー―――- _
                    ,..-彡--‐::::::::::::::::::::::::::::::>ー 、
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                 l:::li:::〃::/ l::::/::::::::::::/l::l  |i::l:::::}::::|:::::::::::::::',
                    Y八:::i:l丁リi下::::::/ |:l _i::l:::::|::::l:l:::::::::::::::l
                  /:::リリ| f笊ハ/   ソ|丁リil:::/:::::';}:::::::::::::',
                    /::::::/::::| 弋ソ     ィ笊ハ|:/:::::::::',::::::::::::::',
                 /|:::::::l:/l::| :::::::|:::       弋ソ|:::::::::::::l:㍉::::::::::l
                  /::l:::::::リ::::|:_ゝ | ´   :::::::: |::|:::::::::::::|::::ヽ:::::::::l
               l::/|/ ̄   ,.\ `  '  _.イ|:l:|:::::::i::::ハ:::::',::::::::}
                |:l l|V ヘ  / / > --‐   | |:| l:::::::|:::l ',::::l::::::::|
               |::::|:ハ  ./  | /  |     ! リ リ:::::l::ノ l:',:::}:::::::l
                    \{  /    /         .l  ノ|::::l/\ノ |::ハ:::/
                  ,ノ゙| /    l   \      |   l/ノ  ヽリ |/
                 { ヽ." ̄ ̄ゝ  、   .゛  ̄ ̄/  /  _r‐ |
                  \ .\ト / |   Y´    /   |  /   }
             >‐'  ̄_|   イ.{ 。l    }    />_!  /   /
    -‐―-‐<     \  | \,!   !   / .ノ゛    /    }
   r´_        .l     .l‐  \  \__人  .ノ .,./     /    /
  ゝ__         /     ∥ ! .ヽ    \  ゙'.、川゙ ,i   /   .、 .i___
 γ___    __/     / | .} .゙l!、.  ヾl, .i^iリ/,i′ ./   /  ,!    `゙''! ̄''‐、



 場所もなく、ベッドに腰掛けていた俺の隣に桃子が隙間なく座る。

 そうしてから俺の腿に手をおき、それを軸にしてくいっと顔を覗き込むように体勢を変えた。

 眼前に広がった桃子の顔。近くで見ても肌はみずみずしく、

 ひとつひとつのパーツの造作も整っていて綺麗だ。

 特に名前に相応しい桃色の唇に目が惹きつけられた。

 思わず不安定な体勢の桃子の腰を抱くようにして引き付ける。

 あっと声を漏らし、桃子はすぐに身体を任せフリーになった両腕で首に縋り付く。

 桃子は俺の首元に顔を埋めて一息つくと、そのまま吸い付くように口付ける。

 そして俺にまたがるように、まるでいわゆる対面座位のような体勢になってから

 真っ直ぐ見つめて、言葉を紡ぐ。








「私、東横桃子は須賀京太郎が好きなんっすよ」






「そうか。目を逸らしてたけど、そうなんじゃないかって気付いてた、たぶん」


 きっと最初からそうだったんだ。桃子が友達と言ってくれたから、それに乗って逃げていた。

 一目惚れだったのかもしれない。儚くて触れたら消えてしまいそうで。

 だからこそ綺麗だと思ったんだ。俺だけのものにしたいと。


「俺も――」


 答えようとした刹那、桃子が俺に体重をかけてベッドに押し倒してきた。

 思わず息が詰まってセリフが止まる。それでもすぐに口を開こうとしたところに、

 追い打ちのようにキスで塞がれる。


「――ぷはっ。モモ、いきなり何をんんっ!?」


 唇に吸い付くようなキスの後は貪るように舐るキス。

 面食らって力が抜けたところに桃子の舌が差し込まれた。

 ぴちゃりじゅるりと水音が立ち、桃子の滑らかな両手が俺の顔を首を頭を愛おしげに撫でまわす。


「はぁっ、答えはまだいらないっす。

 知ってるっすよ? 綺麗な女の子にばっかり声をかけてること」


 それは誤解だ。あくまで麻雀の大会に出るためのものだ。

 だが、そんな言い訳も次の言葉には霧散する。


「原村さんとも、すごく仲がいいっすよね。彼女の目は完全に恋する乙女の目っす」


 脳裏に過ぎる和とのキスシーン。いくら引退して日が経つとはいえ運動部でならしたのだ。

 運動不足気味の少女の動きくらい、不意を衝かれても最低限の対処くらいはできる。

 だが俺は避けようとも抑えようともしなかった。それはつまり――

「でもそんなことはどうでもいいんっすよ。私が京ちゃんのこと好きなことに変わりないっすし」


 思考の海に溺れそうになったところでばっさり切り捨てるような桃子の宣言。


「たとえ京ちゃんが私のこと嫌いになっても、私が京ちゃんを好きなことは変わらないっす。

 何があっても、一緒にいるっすから。

 なんならハーレムでも作ればいいっすよ。私ならお金も稼ぎ放題っす」

「いやなんでそうなる? 堂々の生涯愛人宣言もツッコミどころ満載だが、今のはさらに上を行くぞ」


 ちなみに喋りながらも桃子は俺にキスの雨を降らすことをやめていない。

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        l |:::::::|小 |      '     ,,  ,小:|:::|::::|
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        l 八:::::|::|´ ̄      '  ー┴‐从i:::|::∧
        ´  ヾ:i八 ー‐ 、 , ‐一   / ノノ'く ノ
     /       ヽ                 /:.
    _,′                        .
   〈{:i    {                  /   ’
.    》\   )        `ヽ  /        {     }〉
   「\ \/         Y         ヽ  / }
    _〉  ヽ「\           |          イ  /{
    {\_,{   \         {          /  i _/ イ
    |: : : : :ト----≧=--、   {     ___ノ   _,j: : : :}
    |: :\从 : : : : : : : : : : \j_ -=≦--o-‐: : :从:_:イ
    i : : : : 込、 : : : : : : : :_:ノ:.、: : : : : : : : : : : /: : : /
    {/: :/: : : :`ー‐一: : : : : : :.`ー――=≦: : : /〉
   ∨: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : : :}`ニつ{

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      `ー ┬―――≠ニTT: : : : : \:./   、\ヽ
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       〈: : : : : : : : :/: : :.:i:.|: : : : : :\: :.∨: : :∧

       __ノ: : : : : : : : : : : :.:0|: : : : : : : : : : :}:_:./: :i
      ノ二二二フ: : : : : :./:/: : : : : : : : : : : : :}: : ::.
     〈: : : : : : : : : : : : : :/:/: :\: : : 二二二フヽ: : :.
     /: : : : : : : : : : : : : i:0}: : : : : : : : : : : : : : :ノ{: : :i
     ノ: : : : : : : : : : : : : :.i: :ト、:_:_: : : : : : : : : : : : :∨∧
    ,: : : : : : : : : : : : : : : i: :|:::ヽ \: : : : : : : : : : : :∨:}

    ,: :/: /: /: : :i: : : i: :.|: i:0|::  ∨∧: : : : :i: : |: : i: :}リ'
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    `ト--:_:_:_:_:!:_:_:.i: :.|: i:0|::..     i_:0|:_:i彡' |/i_〉
.      i            ̄ ̄フヽ               | {


 いつの間にか制服の胸元を緩めて下着も覗いている。



「京ちゃんは気付いてないみたいっすけど、たぶんそうなるっすよ」


 妖しく意味深な笑みを浮かべる桃子。正直理性がそろそろ限界だ。


「まあそれはまた追々話し合おう。とりあえずこの体勢をどうにかしないか?」

「そろそろ限界っすか? 京ちゃんならいいっすよ?

 約二年片思いしてたっすから、このまま最後までしてもいいっすよ。

 京ちゃんになら全部あげるっす♪」


 この一言で理性が完全に飛んだ。

 俺は桃子と強引に体勢を入れ替え組み敷く。可愛い悲鳴を上げていたが気にしない。

 そのまま準備万端だった桃子を美味しくいただいてしまったのだった。



                                     ....-――――-...
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                              //        '.:::;′,,,,       Vリ ,:::仏イ
                            //             \u.     ` ,,, ,小!
                          /             ‐-ミ.. マフ  .イ::|::|
                          /        u ノ       `丶--<::::l:::|::|
                     /            /{         !::`ア::::::::l:::|::|
                     /           /  u        ヽ::::i :::::::i:::i/.   . , ヘ、
                    /           . イ     \ ij        `l_.イ }:リ.     /v^Y´}
                    /          // U       ヽ         人 /    /  >' ,′
        \    /          / ,            ー-- r彡  \    /   '  /
          u \ /           /   /                |    i::ヽ  /   _/
               \         /    /                    |  u  、:::ア/    /
               \   .  ´     /                  人     イ/    /
                \´   _ .. =-‐'                  /    ーr彡''     /
      ij           ` く                      ∧       !'     /
                      ヽ                     / ヽ.    }     /
                                       /   >、       /
 /, -‐ 、                   |         ij           /   /   ヽ    /
/  /                   |          /    / /     ヽ イ
、 .イ、\               /         {     //            |
.   \\          :.  /                  /            |
      ーヘ、        : ::./                   /              ;
           \     :/                   /                / /
             \ー-  ___ _ ノ         .                  / /
              \ 〃.::U:::)ハく      .  ´                / /
              ヽj.:::::u::(j:::|、)  ,.  ´                  / /
             /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`丶く                       / /



 東横桃子の好感度が一定以上の状態でイベントを成功させたため、絆を獲得
 必然力がぐーんと上がった
 東横桃子の好感度がぐーんと上がった
 弾道が上がった




評価

東横桃子:この気持ちは、たぶん……っす→大好きっすよ♪

 あの後、血で汚れたシーツをどうするかとか避妊してないよやべぇよ、

 などといったあれこれがあったが桃子は朗らかに笑っていた。

 笑いごとではないと思うのだが……。


「出来てたらそのときはそのときっす!」


 と言い切られてしまっては流されてしまった身としては強く言えない。

 だがさすがに高校くらいは卒業しておかないとマズイと思うのだ。

 そう思いつつも、自宅に戻ってから忍び込んできたモモに


「第二ラウンドっすよ! 募った想いはまだまだ晴れてないっすからね♪」


 と押し切られて同じことを繰り返しているのだからとんだ大馬鹿野郎だ俺は。

 いつもより少し早い朝、俺は朝の生理現象中のモノを弄んでいる桃子に起こされた。

 さすがに学校前に爛れた行為をするわけにはいかないと諭して起きる。

 俺が着替えている間に桃子は何かの薬を飲んでいたようだ。

 確か緊急用の経口摂取避妊薬があると聞いたことはあるが……

 かなり重い副作用があるから軽々しく使うものではないとも一緒に記載されていたはずだ。

 桃子に辛い思いをさせるなんて。次からはちゃんと避妊具を使おう。

 と考えてすぐさま自分の性欲に塗れた思考に自己嫌悪に陥った。


「色々考えてるみたいっすけど、ほんとに大丈夫っすよ?

 昔はかなり副作用があったらしいっすけど、10年前には今の薬が認可を受けて

 だいぶポピュラーになったって話っすから。

 女の子ならいざってときのために携帯してる常備薬っすよ」


 と慰められてしまった。

 学校に着いてから俺も色々調べてみたのだが、どうやら桃子の言う通りらしい。

 だからといって自分の行動が不誠実なのは変わらないのだが。

 おっぱいなんかに負けない! と気を入れなおして放課後。

 部室に行くとそこには珍しく部長だけだった。

 俺はさっそく雑用を片付けてしまおうと腕をまくったのだが、何やら桃子が部長に向かって話を始める。


「部長! お話ししたいことがあるっす!」

「あら、東横さん。どうかしたの?」

「はいっす。京ちゃんが団体戦審査枠で出るためにチームメイト集めをしてるっすから、

 集まり次第退部させていただきたいっすよ」


 なんと。俺は桃子にそんなこと一言も言っていないはずだ。


「ステルスモモは進化してユビキタスな神出鬼没っすよ!

 京ちゃんがナンパしてメンバー確保してるのは見てたっすからね」


 ……いったいどこからどこまでを見られたのか。

 南浦さんや絃さんの勧誘には疚しいところはひとかけらもないのだが。

 いや、そんなことは今はどうでもいい。

 本来なら桃子のセリフは俺が部長に言わなければならなかったことなのだ。

 良妻すぎるのも考え物だ。


「モモ、さすがにそういうことは俺自身が言わないとマズイって。

 ……部長。そういうことですので、申し訳ないですがどうか」

「ハァ。締まらないわねぇ。んー、牌譜のまとめも今日あたりで終わるし……

 それが終わったらいいわよ」


 溜息を一つこぼし苦笑する部長。

 インハイ運営公式が公開している公式戦の牌譜を

 ダウンロードしてまとめるという雑用もあったのだがそれのことだろう。

 確かに今日集中してまとめれば最低限の体裁は整うはずだ。


「まあね、本当のことを言えば……こうなるだろうと思ってたわ。

 東横さんをレギュラーにしなかったのはそれが理由だもの」


 桃子は当然とばかりに頷いている。

 客観的に見れば桃子の俺への依存は分かりやすいだろうし当然か。


「須賀君は実力的には間に合いそうだけど、悪い意味で目立ちそうだから」


 そういって部長は申し訳なさそうに目を伏せる。

 それも予想通りなので、俺としては仕方のないことだと思っている。

 むしろ実力を問題視していなかったというのが知れて嬉しいくらいだ。


「咲が来なかったらそれでも須賀君を補欠か、もしかしたらレギュラーにしてたけれど」


 咲の実力は飛びぬけていて、部長・まこ先輩・和・優希と残り1枠だったところにジャストフィットだったのだ。

「咲のこと、よろしくお願いします」


 咲もだいぶ馴染んでいると思うが、改めて頭を下げる。


「当たり前でしょう? 私たち清澄麻雀部の仲間なんだから。

 ……あなたたちのことだって同じよ。たとえ道を違えても、仲間だった事実は変わらない」


 いつもどこか斜に構えている部長だが、このときばかりは真っ直ぐだった。

 こうして、桃子の強引なドリブルによって俺の円満退部が決まった。

 他の部員には後日部長から伝えてくれるらしい。

 明日からはひとまず敵同士なのだ。無様な姿を見せるわけにはいかない。

 俺の心に闘志がふつふつと湧きあがった。


                     /イ         /    V ヽ、    `
                  ,  ´/          |   \
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               /_, ィ   ∧ /_ |       / V ∧
                 / /  / ∧{tォミ、  ,  /   | '  、
                   / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                     | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                    ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                    {   、                 リ
                         ∧   `
                        、
                         ∧ `
                         |l∧      ̄         <
                          「´∧           ´
                        .:'//>--==≦ゞ
                      ////////\        /
                       /////// /   ∧
                        {/////〈/{   / |      //,
                       ∧//// ∨、  ,   }   ,://
                       {// ∧// ∨V{  |  「 ̄/´///
                     ///,'/ ∨/ ∨V〉 ' r/ |//////
                       /// {///∨/ ∨{  r,/ ///////
                     {///|////////V__/ ////////
                    rく///|//////r=ミ// イ////////
                     //////}//////  }}////////////
                     .'//////|/////乂__ノ'////////////
                    ////////}///// ////////////////
             //////////|////r=ミ、/////////////

行動3回目  疲労度0

 7.メンバーを探す 数絵
1d100=83  大成功


 翌日、俺は南浦さんに連絡を取った。俺含め4人、集めたぞと。

 指定された待ち合わせ場所に4人で集まり向かった。

 顔合わせも兼ねるつもるだからだ。


「こんにちは、須賀君。案外早かったわね」

「だな。紹介するよ、こちら勧誘を受けてくれた霜崎絃さん」

「よろしく」

「荒川憩さん」

「よろしくお願いしますーぅ」

「東横桃子」

「よろしくっす」

「こちらこそよろしくお願いします。私は南浦数絵です」


 憩さんと絃さんは高校女子麻雀に興味があれば知っているだろう有名人だ。

 さすがにこの二人には南浦さんも驚いたらしい。

 丁寧に自己紹介しあっている。絃さんはどこか超然としているが。


「ところで須賀君。これからはチームメイトなのだし、あなたのことは京太郎って呼ばせてもらうわ」

「ん? おお。だったら俺は数絵って呼ぶな」

「ええ。これだけの面子がいるのだもの。必ず勝ってみせなきゃね」



 南浦数絵がチームに加わりました
 南浦数絵の好感度がぐーんと上がった

「さて、自己紹介も終わったし……結成祝いってことでどこか行くか?」

「馬鹿ね、何はともあれお互いの実力把握までが自己紹介よ」


 チームとして考えれば至極真っ当な言である。一本取られた。


「とはいえこの辺で麻雀打てる場所あるのか? 普段こっちまでは来ないから分かんねー」

「安心して頂戴。お爺様に相談したら快く紹介してくださった場所があるの。

 現役時代の戦友が開いている雀荘だって聞いてるわ。

 個室もあってその一室をインハイまで貸し切ってくださるらしいのよ」

「そらまた豪勢な話ですねーぇ」

「インタビューなどで練習場所として使ったと宣伝しろという魂胆だわ。

 抜け目がない商売人、わたしは嫌いじゃないわ」


 なるほど。絃さんの言う通りなのだろう。数絵も苦笑して否定はしない。

 パソコンなどが必要ならタブレットを新規購入してもいいしな。

 個人の雀荘だとその辺の設備はあまり期待できないし、貯金を下ろすべきだろう。


「地獄の沙汰も、ってことです。それだけ期待されてると思えば気合も入ると思いません?」


 不敵に笑う数絵。憩さんも絃さんも、桃子までもが同じようにニヤリと笑う。

 今にも喉を鳴らして笑いそうな空気に少し怯む。

 俺はとんでもない女たちを仲間に選んだんじゃないだろうか。

 俺が現実逃避をしているうちに、件の雀荘にたどり着いた。

 駅からもほど近い好アクセス、ファミレスやコンビニも徒歩10分以内という利便性。

 だが、佇まいが渋すぎる。梁山泊なんて看板があっても驚かない程度には。

 実際は看板も何もない仄かに中華風な趣がある5階建てのビル。

 雑居ビルと言わなかったのは路地も含めて掃除が行き届き、不穏な気配がないからだ。

 ただし、それは3階までの話。

 1階ロビーで受付を済ませた俺達はそのままエレベーターで4階に昇った。

 防音性が高いのかしわぶき一つしない廊下。コツコツと革靴の立てる音が心地よい。

 が、俺にも伝わる刺さるような緊張感がある。

 それは俺達の借りた個室に至るまでに通り過ぎた部屋の中からのものだ。

 遊びではない真剣勝負が繰り広げられているという確信。

 場違いなのではと気圧されそうになったが、違う。

 俺達だってこれから真剣に切磋琢磨し、鉄火場に殴り込むのだ。

 ここで気圧されるわけにはいかない。

 そんな俺を観察していた数絵たち。視線に気付いてそちらを見ると、

 微笑ましげに頬を緩める。彼女たちはやはりそんな鉄火場を渡り抜いた経験があるのだろう。

 俺が苦笑を浮かべたタイミングで、ドアの前に着く。促され俺が開け、入る。思わず固まった。

 そんな俺に痺れを切らしたように脇から頭を出した桃子も固まる。

「立派な部屋でしょう?」


 どこか誇らしげな数絵の声。自慢げになるのも当然だ。

 二十畳ほどの部屋、中央には最新式の全自動雀卓。

 脇には牌譜出力用の端末や冷蔵庫。個別包装されたお菓子類が乗った机。

 簡単な調理ができそうなキッチンまである。

 さらには高そうな黒革張りのソファや大型のモニターも。

 ドアから直接見えない程度の位置には何やらまた別のドアがある。


「――インハイ標準の雀卓と牌やねーぇ。

 わざわざ最近になって据え換えたみたいやし。

 元はマイクロチップ入りデジタル牌とチップ読み込みの自動中継卓やろね」


 憩さんの言ってることはよくわからないが、本来はもっと最先端の設備だったということか。

 いつのまに入ったのだろうか。


「これ……私たちが宣伝なんてする必要ないんじゃないっすか?」

「あら、このドアの先は洗面所とシャワー室になってるの」


 桃子のもっともな疑問。絃さんは何気に好奇心旺盛らしい。

 というかシャワー室ってなんだ。


「お金の問題じゃないらしいのよ。詳しいことは教えてもらえなかったのだけれど……」

「まあ、いいじゃん。清澄よりもいい設備で練習できるんだ。

 違うのはベッドがないくらいだな」

「ありますよーぅ?」


 憩さんが絃さんが入ったドアとは別のドアから出てきてそう言った。

 少しもじもじしているようだが……漏れ出るムーディな照明を見る限りそういうベッドなのだろう。

 なんとも身分不相応な練習場を貸してもらったものだ。ならば――



「っし、早速打ちましょう!」


 期待には応えないと、な!

行動4回目を消費して半荘戦を2回。

荒川憩         
属性 :O      
技量 :A     
直感 :A    
必然力:A   
・スキル

【ラックトランスフュージョン】金
 失われた運気を回収し、自らに注入していく異能の力。
 他家が和了する度に発動。
(効果A)
 和了判定値を+5。
(効果B)
 打点を+1。
(効果C)
 親で連荘した場合、連荘するごとに上昇した分が2段階ずつ戻る。

【鎮静の笑顔】銀
 凄惨な現場でも冷静に、患者を安心させるための微笑みを忘れない。
 聴牌判定値が1位の場合、他家のスキル効果を受けない。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。

南浦数絵      
属性 :O      
技量 :B    
直感 :C    
必然力:C    
・スキル

【忍び寄る南風】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半に嵐を呼ぶ打法。
(効果A)
 場決めコンマに-40。
(効果B)
 南場の間、判定値を+30する。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+30し打点を+1する。
(効果C)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが1枚以上乗る。
(効果D)
 東場の間、判定を-10。



霜崎絃        
属性 :O      
技量 :B    
直感 :B   
必然力:B    
・スキル

【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【奇門遁甲:石兵八陣】
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 自身の素の判定コンマに1が含まれ、
 かつ他家の素の判定コンマに6が含まれる場合はその他家から直撃を取る。
(効果C)
 効果Bが発動するためには、聴牌成功かつ和了判定値が3位以上でなければならない。

【邪仙術:人頭桃】
 他家からロン和了するたびに判定が+5されていく。



 1半荘目  京太郎・桃子・絃・数絵


京太郎・桃子・絃・数絵 の順

東一局  ドラ:八索

京太郎(よし、聴牌。……それにしても、桃子は言わずもがな、数絵もなかなか。

    絃さんは普通くらいか。美少女に囲まれるってのは他意が無くても良いもんだ)

桃子(京ちゃんからの視線を感じるっす。お、思い出しちゃダメっすよ桃子!

   今は対局中っすから、そういうことは帰ってから……)

絃(この卓では私が一歩抜けているわ。とはいえ全員聴牌気配。不足なしだわ)

数絵(……なんだか京太郎から妙な視線が向けられているような?

   男は狼だってお爺様は仰っていたけど、こういうことかしら。

   なんにせよ南場に入るまで凌がないと)

京太郎(そろそろ海底牌……。途中で待ちを変えたのが裏目ったな。流局か)


「「「「聴牌」」」」


東一局一本場  ドラ:三索

京太郎(前局はミスった。今局は素直に行こう)

桃子(これはいい感じっす。リーチをかけたらそのままいけそうなくらいに……。

   でもまずは消えることが優先っすからね。ダマるっすよ)

絃(ダブリーがかけられる配牌。でもダメ。八陣を敷いても京太郎さんに生門が向いてしまう。

  親相手にオリたくはないのだけど、まだ焦るタイミングじゃないわ)

数絵(東場なのに珍しく良い配牌に良いツモ……。

   ドラでも鳴いて喰いタンドラ3に仕上げるべきかしらね)タンッ

京太郎「それロンだぜ! チートイドラで1本場は5100だ」


京太郎 30100
桃子  25000
絃   25000
数絵  19900


東一局二本場  ドラ:七萬

「「「「ノーテン」」」」

京太郎(こんなときもあるさ)

東二局流れ三本場  ドラ:八筒

京太郎(今回はどうにか聴牌できそうだ。モモもまだ見えてる。

    絃さんは……理牌してないわけじゃないみたいだけど独特な理牌だから読めないな。

    俺と同じくらいの向聴数だと思うんだけど)

桃子(妙っすね。いつもなら聴牌できそうなツモなんすけど……)

絃(布陣完了。さて、わたしの術中に落ちるのはどの子かしら……ククッ)

数絵(配牌二向聴。張り替えも無駄ヅモ無しで終わって満貫手。

   ここは欲張ってみようかしら)

数絵「通らばリー――」


 黙って満貫、リーチで跳満。裏が乗れば倍満も見える好手。

 東場は守りに徹する予定であった数絵だが、これには攻めを選択した。

 そしてそれを見て吊り上がるように口角を上げる女が一人。


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二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
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:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙



絃「ロン。タンヤオ七対子で3200の3本場は4100」

京太郎&数絵「!?」

京太郎(なんだ、数絵が振り込んだ瞬間の、脈打つような悍ましい気配ッ)


京太郎 30100
桃子  25000
絃   29100
数絵  15800




東三局  ドラ:一萬

京太郎(ここで絃さんの親。絃さんから感じる勢いが少し強まった気がする。

    だから、ここは早さを優先!)

絃(やっぱり若い子は美味しいわぁ)

数絵(くっ、狙われた? 前がかりになりすぎたということッ)

京太郎「ツモ! 發のみで400・700!」


京太郎 31600
桃子  24600
絃   28400
数絵  15400

東四局  ドラ:四萬

京太郎(親を流せた。まずは重畳。配牌も良いし今回も取るぞ)

桃子(京ちゃん、3巡目で和了って早すぎっす。もっと手を伸ばせたはずっすよ?)

絃(あらあら、京太郎さんにだいぶ警戒されてしまったようね。

  わたしの特性に何か気付いたのかしら。さすが、奇門遁甲を抜けるだけある)

「「「聴牌」」」

数絵「ノーテン」

数絵(聴牌できなかった……。でも次から南場、3000点で買ったと思いましょう)


京太郎 32600
桃子  25600
絃   29400
数絵  12400


南一局流れ一本場  ドラ:一筒

京太郎&絃「「ノーテン」」

桃子&数絵「「聴牌」」

数絵(ものの見事に当たり牌を止められてる……手強い)


京太郎 31100
桃子  27100
絃   27900
数絵  13900


南二局流れ二本場  ドラ:五索

京太郎(……? ――ッ! モモが消えたか。俺は気付けたが、二人はどうだ?)

桃子(京ちゃんはどことなく私に気付いてるっすね。

   やっぱり繋がりが深くなったからっすかね?)

数絵「聴牌」

「「「ノーテン」」」


南三局流れ三本場  ドラ:六筒

数絵(……。よく見たら前局、私は東横さんの当たり牌を見逃ししてる。

   他の二人が同巡に出してないからチョンボにならなかったのは不幸中の幸いかしら)

「「「「ノーテン」」」」


京太郎 30100
桃子  26100
絃   26900
数絵  16900

南四局流れ四本場  ドラ:四筒

京太郎(ダメだ、完全にモモを見失った。いるって分かってるのにまるで見えない)


 トップ目とはいえ2位とは3200点しか差が無い。

 50符1飜か七対子のみでも直撃されたら同点、それ以上なら完全に逆転される危うい差。

 この状況で暗殺者の如き動きを見せる桃子の存在は脅威以外の何物でもない。

 配牌も悪く、無駄ヅモはほとんどないとはいえ聴牌までまだ遠い。

 なにより役牌はおろか字牌すら手に入らないという状況は酷く分が悪い。

 そう、桃子の脅威を知っているが故に手が鈍る。

 そんな惑いが見逃されるほど、雀卓と言う戦場は甘くない。


「――ロンっす! タンヤオ一盃口で2000、4本場は3200……逆転1位っすよ!」


京太郎 26900
桃子  29300
絃   26900
数絵  16900


                 ... -――――- ...
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                 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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            〈∧{: : : : :l  / ̄〉|:i:i:|〈 ̄` ∨: : : : : : l/
           {: ∧.:: :./|   {_ア{ |:i:i:|〈_}   |∨: : : : :.!
           ∨:∧:./∧  人:.‘《:i:i:》:∧  /: :∨: /:|
                ∨:.∧: : :∨:.:.:}\:∨:/: 〈∨: : :/∨: : :|
               }:/: ∧: O\ノ: : :.Υ: : : :\O/: : :\: |
               〈: : : : :.\/: : : :O|: : : : : :∧: : : : : :.\
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               /、:\: : : : : : : __{: : : : : : /:_:_∧
             /: : : :\〉: : : : : : : :|: : : : : 〈/: : : ∧

「うぅ、やっぱモモのステルスはきっついわ」


 西入はさすがに無しということで、桃子が1位で終わった半荘戦。

 俺は最後の最後で桃子に差されてしまった。


「ステルス……私が和了牌を見逃したのはそれのせいか」


 数絵が悔しそうに唸る。絃さんは興味深げに桃子を眺めている。


「モモちゃんは強いんやねーぇ。京ちんと数絵ちゃんも相当やったけど、

 力を使いこなしている度合いで言ったら三人の中では一番やわ」

「伊達にぼっちやってないっすよ!」


 憩さんの総評に対し、鼻を膨らませドヤ顔の桃子。

 あの淡でも消えた桃子には刺されることがあるのだから当然ともいえるが。


「それじゃ、ウチも打たせてもらいますよーぅ」

「1位だった私が抜けるっす」


 全国2位である憩さん。インハイを目指すなら基準にすべき強さだ。




2半荘目  京太郎・憩・絃・数絵


京太郎・憩・絃・数絵 の順

東一局  ドラ:七筒

 にこにこと微笑んでいる憩。しかし卓を囲む他3人に笑顔はない。

 先ほどの卓では不敵な笑いを浮かべていた絃でさえ、その余裕はない。


京太郎(なん……だ? このプレッシャーっ、手が重い……)

憩(京ちんなかなかのなかなかやったなーぁ。

  ウチのお爺ちゃんが改造した甲斐があったってもんやね)

絃(憩が相手じゃ迂闊に動けないわ。まだ溜まってないけど、それでもこの支配力!)

数絵(これが、全国最強クラスの雰囲気!

   さっきは散々だった私が荒川憩を相手にして南場に持ち込めるの……?)

京太郎&憩「「聴牌」」

絃&数絵「「ノーテン」」


京太郎 26500
憩   26500
絃   23500
数絵  23500

東一局一本場  ドラ:九索

京太郎(さっきは聴牌こそしたけど、振り込まなかったのは運が良かっただけだ。

    でも、それは憩さんの雰囲気に呑まれたって部分も大きい。

    このくらいでビビッて楽しめなくなるなんて俺は認めないぞ!)タンッ

憩(和了れんかったかーぁ。これならみんな全国でも戦えるレベルかもしれへん)

絃(……やはり憩にはわたしの陣が効いてないわ。

  本気を出してない憩にこれでは先が思いやられる)

数絵(配牌は三向聴だったのに、どうして聴牌できないの!?

   まるでツモを奪われているみたいに裏目ばかり……。

   これが全国区ということ?)


 完全に気圧される数絵。それに引き摺られるようにツモはことごとくが裏目。

 数絵が牌に溺れるようにもがく一方、京太郎は持ち前の闘志と真っ直ぐさで愚直に進む。

 迷うことは悪ではないが、冷静さを失って惑うことは舞台において死と同義。


京太郎「ツモ! 純チャンのみで2000オールの1本場で2100オール!」

憩(ふむふむ、ええ気迫ですよーぅ)


京太郎 32800
憩   24400
絃   21400
数絵  21400

東一局二本場  ドラ:八索

京太郎(和了れた! 流れも良いぞ……配牌で聴牌……だったら――)

京太郎「リーチ!」

憩(勢いが来てるみたいやねーぇ。安手で連荘してくれるんが一番なんやけど)

絃(京太郎さん、憩を相手によくやる……)

数絵(ここでダブリー? さすがに他の役が複合してるとは思いたくないけど、

   どちらにしろここで攻めるのは私には無理ね。オリよ)

「「「聴牌」」」

数絵「ノーテン」


京太郎 32800
憩   25400
絃   22400
数絵  18400


東一局三本場  ドラ:白

京太郎(引けなかったか。淡のあれはやっぱすげーんだな)

京太郎&憩「「聴牌」」

絃&数絵「「ノーテン」」


京太郎 34300
憩   26900
絃   20900
数絵  16900

東一局四本場  ドラ:九萬

京太郎(……おかしい。聴牌まではいけても和了牌がまったく来ねぇ。

    憩さんが何かしてるのか?)

憩(京ちんも惜しいなーぁ。あと一歩やねんけど、ウチの運を上回れないようやね。

  そんならそろそろウチも動きましょうかねーぇ)

絃(――っくぅ! 憩の雰囲気が、相変わらず白衣の悪魔だわ!)

数絵(聴牌できたけれど……違和感があるわね。どうにも誘われているような。

   ここは攻めずに、ツモれたらラッキーくらいに構えておきましょう)

憩「京ちんに見所十分でウチは嬉しいですよーぅ」

京太郎「え?」


 突然の憩のトラッシュトーク。京太郎はその意図が読めず困惑する。

 しかし、本能的にうっすらと理解できることはあった。

 これは、死刑宣告だ。


憩「ツモ。小三元一盃口ツモで跳満の、4本場で3400・6400やね。

  京ちんの供託棒ももらいですよーぅ♪」


京太郎 27900
憩   41100
絃   17500
数絵  13500

東二局  ドラ:四索

京太郎(ぐっ、確かに8千点程度じゃセーフティリードじゃなかったけど、

    それでもツモ1回で捲られるとは。これが女子高生最強格……。

    でも、まだだ。まだ東場の親を落としただけ。勝負はこれからだ)

憩(勝負はこれから、って考えてそうな顔やねーぇ。

  お姉さんとしてこれは教育してあげなあかんね。せやから――)

憩「リーチですーぅ」

絃(!! まずい、このままじゃ当たり牌を掴まされるわ。ずらすべきよ)

絃「チー」


 浅い巡目での親リーチ。絃は憩から発される危険な雰囲気を受け、逃げを打つ。

 しかし、それは憩にとって分かりきっていた動き。

 河に撒いた迷彩を見破ってくるという絃の実力への信頼。

 危険牌を直感で悟るだろうという絃の勘への信頼。

 強者故の、退き際を見切る目を信じたがためのリーチ。だから――


憩「ロン! リーチ三暗刻ドラ3で親ッ跳は18000!

  裏は……見んときますよーぅ」


 裏が乗ると確信している憩の言。事実、雀頭の2枚が乗って倍満に届くものであった。

 それを誰しもが直感して悟ってしまう。

 憩の微笑みがニヤリと形を変えたことで。


京太郎(これが、全国2位……!)


京太郎 27900
憩   59100
絃   - 500
数絵  13500


 半荘戦で格上相手に2位だったため、全ステータスが少し上がった×2
 対局した相手の好感度が少し上がった×2
 霜崎絃・南浦数絵よりも順位が上だったためさらに好感度がわずかに上がった×2


評価

南浦数絵:失望させないでね? →やるじゃない。私も負けてられないわ

霜崎絃:いいわ。あなたと共に歩みましょう →美味しく育ててあげる

「やー、ナースさん強いっすねぇ」


 一人卓の外から冷静に観察していた桃子がそんな声を上げる。

 気の抜けるような軽さであるが、狙ってのことだと俺には分かった。

 おかげで程よく緊張感も抜けたのだから。


「もうちょっとやれるかなって思ってたんですけど、全然でした」

「あなたが全然なら私はどう表現すればいいのよ」


 頭を掻きながら苦笑した俺に数絵が恨めし気な目を向ける。

 実際、数絵は二半荘通して焼き鳥だ。

 二回目は4位でこそなかったが、それは憩さんが絃さんを狙い撃ちした結果。

 俺以上に忸怩たる思いを抱えても不思議はない。


「憩……狙ったわね?」

「もちのロンですよーぅ。絃ちゃんの実力は知ってますからねーぇ」


 恨み言を吐く絃さんだが、その声色にはほとんど重さが無い。

 応じる憩さんも当たり前、と気安い。それだけお互いを理解しているのだろう。


「数絵ちゃんは分かっとる思うけど、東場で調子が出ないからこないに早く

 勝負をする卓ではまだまだ力不足やねーぇ。その辺練習しよなーぁ?

 そいで京ちんやけど……悪くないですよーぅ。

 むしろ予想以上でほっこりやわ。せやけど個人戦ではこういうこともあるっちゅうんは覚えておかなね。

 絶対的な経験値不足、場数を踏んでへん故の駆け引き下手。

 しゃあないことやねんけど、これからみっちり打って少しでも直そうなーぁ?」


 数絵は後半に力を爆発させるタイプ、のようだ。優希と逆みたいなもんか?

 そして憩さんの言うこと、これは痛感させられた。

 経験不足は自覚しているつもりだったのだが、25000点ぽっちでは事故一つで飛びかねない。

 跳満ツモで捲られたときに「勝負はこれから」と考えたのは甘いということだろう。

 三倍満以上はまだしも、親倍くらいまでは強者の戦場では考慮して当然のものなのかもしれない。

 なんにしろ、その強者がチームメイトなのだ。頭を下げて教えを乞うのが当たり前。


「はい、憩さん。みんなもこれからご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」


 そんな俺の願いを、4人は快諾した。

 そう、俺はまだまだ弱い。運を味方にしきれていない。

 だが心強い仲間ができたのだ。これから桃子と二人きりではない。

 強くなろう。淡にだって負けないくらい、強く!


「ちゅーことで来週末はここで泊まり込みで合宿しますーぅ!」


 つ、強くなるんだ。

5月4週終了。


須賀京太郎
属性 :O
技量 :B60
直感 :C51
必然力:B63
スキルは変化が無いので省略。以降も同様の場合省略します

6月1週

「憩さんが顔を見せただけで審査パス、しちゃいましたね」


 数絵が苦笑しながらつぶやく。

 そうなのだ。本来は登録だけのはずだったのだが、そこは全国2位の荒川憩。

 個人戦の登録も大阪でのものはキャンセルして申し込み。

 その時点で受付スタッフは混乱していた。

 なんか偉そうな、高級スーツを纏った壮年の男性まで出てきたのだ。


「こんくらいの役得がないとマスコミがうざったいだけですからねーぇ」


 憩さんはそんな状況でもいつもの笑顔だ。

 結局、憩さんが正面に立って面接を受けたことで自由参加枠をシードという形でパスすることになった。

 近年の長野は魔境とも噂される状況なのだが、だからといって全体のレベルが

 東京や大阪ほどには高くない。東京や大阪は東西や南北に地区を分けるとはいえ

 二校が選出されるのに対し、それ以外の道府県はそれぞれで1枠のみ。

 数年前から名門で占められる全国出場枠をどうにかすべきという主張もあり、

 状況が変わらないようなら日程を伸ばすことになっても枠を各地区二つにすることも案としてはあるらしい。

 もっとも、一昨年からは中間案として主張されていた大会主催者特別推薦枠というものが採用されている。

 予選を考慮して選ばれた数校も出場権を得るという制度だ。

 だからといって長野の枠が原則1つであることは変わりない。

 特に例年、特別枠に選ばれやすいのは高校麻雀の更なる振興を狙った沖縄などの参加者が比較的少ない地区や、

 絶対的強者のいる東京地区――一昨年は東東京、昨年は東西ともに――の高校が選ばれる確率が高いのだ。

 特に今年は二連覇中の白糸台女子高校がいる西東京は確実視されているんだとか。

 留学生として大物を獲得した臨海女子高校の東東京も有力視されている。

 ……と4人が教えてくれた。

 特に憩さんなどは、


「インハイの特に団体戦優勝校を輩出した地区は次年度の予算が増えるらしいですよーぅ。

 だからウチが率いるチームなら是が非でも出てほしいっちゅうことやろね」


 と裏を読んでいる。数絵も隣で頷いているし、やはり世の中金なのだろう。


「欲を掻くのが人間だもの。あんまり美味しくないのだけど。

 だからそんなことよりも合宿のことを考えましょう?」

「そうっすね。大人の裏側を覗くのは子供の仕事じゃないっす。

 結局コーチとかは雇えなかったっすよね?」


 暗くなりそうだった生産性のない話題を絃さんがばっさり切り捨て軌道修正する。

 桃子もそれに乗る。一方数絵と憩さんの表情は晴れない。


「そうなんよ。知り合いのプロは大阪で仕事があるから長野までは無理って」

「お爺様は、せっかく谷に突き落としたんだから手を貸すわけないだろ、ですって」


 数絵のお爺ちゃんっ子っぶりにてっきりだだ甘な人なのかと思ったのだが、違うらしい。


「無理だったならしょうがないですよ。ってことでさっさと雀荘行きましょう!」

プチ合宿。

 練習効率+100%×3

行動1回目  疲労度0

 5.誰かと特訓(憩)

 01~05・44   怪我    
 06~10     失敗    
 12~40     普通    
 41~70     成功?   
 71~90     成功    
 91~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功    

1d100=67  1段階易化 成功


「おう、数絵ちゃん。大会に向けて泊まり込むんだったな?」

「はい小父様。お世話になります」


 雀荘に到着して1階のフロントで使用手続きをしていると、

 オーナーらしき貫禄のある禿頭の男が数絵に声をかけた。

 確かここのオーナーは数絵の祖父と現役時代の戦友だという話だったから、

 若くとも60歳くらいのはずなのだが……それにしては身体の厚みが凄い。

 この人が特殊なのか、それとも当時は身体を鍛えていないと生き抜けなかったのか。


「お世話ついでに大きなお世話も焼いてやる。

 おい、お前ら! 嬢ちゃんたちが来たぞ! 丁重におもてなししてやんな!」


 突然の大声に俺達が驚いて硬直していると、その声に応じたのだろう、

 エレベーターや階段、1階にあるドアなどから老年の男女がぞろぞろと出てくる。


「え、えっと、小父様……?」

「こいつらが数絵ちゃんたちに稽古つけてやるってことよ。

 どいつも隠居の身だが、ケツの青いガキプロどもよりは打てるぜ」


 ガキプロ……? つまりプロ歴の浅い若手には引けを取らないレベルということか。

 絃さんが辺りを見回しながら、何やらぶつぶつと人名を呟いている。

 どうやら引退してなお有名な元プロが混ざっているらしい。

 ならば絶好の機会。師事するに不足無し。

 俺が気合を入れていると、俺と憩さん以外の3人がいつの間にやら居なくなっている。


「さすがに俺らでも荒川憩は手に余るんでな。ガチの刺し合いなら負ける気はねぇが、

 指導できるほどの差は無い。ってぇことで、荒川の嬢ちゃんと坊主、

 お前さんたちは二人仲良く励めよ!」


 がっはっは、と親父臭い笑いを残し、奥に引っ込んでいくオーナー。


「……どうします、憩さん?」

「あはは、ま、やるっきゃないですよーぅ!」


 直感がぐーんと上がった
 荒川憩の好感度がわずかに上がった

行動2回目  疲労度2

 5.誰かと特訓(憩)

1d100=99  1段階易化 超成功 スキル習得


「さてさて……そろそろ京ちんもええ感じになってきましたねーぇ」


 あれから俺は、前回から借り切っている個室で憩さん相手にマンツーマンで指導を受けている。

 3人分を打つ憩さん相手に、直撃を受けずに和了るという課題だ。

 どうにか安手をツモることはできるのだが、高い手だったり出和了だったりはできていない。


「与太話として聞いてほしいんやけど……

 いわゆるオカルトを持つ雀士にはそれぞれ相性のいい牌や役、和了形があるんよ。

 ロンする場合に打点が高くなるとか、絶一門になるとか、九蓮宝燈を和了りやすいとか。

 ウチが見たとこ、京ちんにもそういうオカルト的な縁があるはずですーぅ」


 つまり、咲がやたらと槓したり優希が竜頭蛇尾だったり部長の悪待ちやら

 まこ先輩の眼鏡を外してからは先を読んだような打ち方やらのことだろうか。

 憩さんはどういうものなんだろう。その疑問を察したか、すぐに答えてくれた。


「ウチのことが気になりますーぅ? あはは、冗談ですよーぅ!

 ウチは……他家が和了れば和了るほどツモが良くなるんよ」


 そういえばこの前の対局で憩さんが絃さんを飛ばしたとき、

 俺はせいぜい満貫止まりだろうと直感していたのだが実際は跳満だった。

 俺の読みがまだまだ甘いというだけでなく、憩さんの超常的な特性のせいだったのかもしれない。


「ちゅうことで、京ちんもまずはそれを探すところからやってみるとええよ。

 無心でツモって、不意に感じるものがあったらそれかもしれんね」

 無心。極限まで集中したときのあれだろうか。そういえば、親番のときに

 そういう感覚に入りやすかった気がする。


 ツモ 三筒   違う

 ツモ 五萬   違う

 ツモ 八萬   こ……違う

 ツモ 七索   ……これか? いや、少し違う気がする

 ツモ 風牌 字牌    違う

 既に場には出ている気がするのだ。

 気がするだけなのだが、この感覚を信じることこそが重要だと思う。

 これまでのツモで一番近かったのは索子。次いで八の牌。

 単純に考えると八索ということになるのだが。


「微妙にずれてるいう顔やねーぇ。となるとドラや自風、場風が条件に絡むんかもしれへんね」カンッ


 憩さんが何気なく晒した新たな王牌。七索。

 その瞬間に、何かが繋がったような感覚。めくられたのは七索。


  槓ドラは――八索。


 八索? いつの間にか手に2枚ある。俺はいつツモった?

 上家の憩さんが八索を切る。ポン。これでドラ3。


 次巡。


 ツモ 八索。



 加槓。


 ドラ4確。


 そのまま王牌に手を伸ばす。

 確信があった。これからツモる嶺上牌は和了牌だ。

 真っ直ぐ伸ばした手が、場を切り裂くような錯覚。

 空調がしっかりと働いているはずなのに、それとは違う風が起こる。

 憩さんの髪が揺れ、目が驚愕に見開かれている。


「嶺上ツモ。嶺上開花ドラ4……満貫は2000・4000」

「見つかったみたいやね、京ちんの牌」


 俺は無言で笑った。

/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////


 直感がぐぐぐーんと上がった
 荒川憩の好感度がわずかに上がった
 固有スキルを習得


【朽ちた鋼の太刀】
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 ドラが八索の場合、満貫以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

行動3回目  疲労度4

 5.誰かと特訓(憩)

 44      大怪我    
 01~05     怪我    
 06~15     失敗    
 16~50     普通    
 51~80     成功?   
 81~95     成功    
 96~98    大成功    
 ゾロ目・77  超成功


1d100=46  1段階易化 疲労度により1段階難化 普通


「それロンですよーぅ」

「うぇっ、マジっすか」

「キー牌が分かった分、それを意識しすぎなんかなーぁ?

 大事な牌だからこそはったりとかにも使わなあかんよ。

 予選の段階でなら研究もされてへんやろうから大丈夫だと思いますけどーぉ」

「精進します」



 直感が少し上がった
 荒川憩の好感度がわずかに上がった

行動4回目  疲労度6

 合宿仕上げ対局。




 そして合宿最終日となった。さすがにシャワーどころかきちんとした風呂だったようで、

 対局相手には女性も多数いたために皆ボロボロということはないのだが。

 それでも麻雀漬けの2日間を過ごしたためにマメすらできる暇がない有様である。


「みんなお疲れさまーぁ。もう何十局打ったか覚えてへんくらいやけど……

 それでもその甲斐あってだいぶ仕上がってきましたねーぇ」


 音頭を取る憩さんもさすがに余裕のある微笑みとはいかず、疲れがにじんでいる。

 この中で一番疲れが出ていないのは、俺だろう。

 伊達に運動部で鍛えていなかったということか。


「今日の夕方には打ち上げやし、最後にみんなで打ち合ってしまいにしましょーぅ!」


 この2日間、確かな手応えがあった。今の俺でどこまでやれるか……楽しみだ。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :B60
直感 :B69
必然力:B63
補正値:28.0+12.6=40.6
・スキル
【????】
 芽吹き始めた異形の力。
(効果A)
 聴牌判定値を+10。
(効果B)
 和了判定値を+10。
(効果C)
 打点を+1。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【一球入魂】
 球技の中でも指折りの激しさを持つハンドボールで鳴らした根性。
 まだ麻雀用に最適化できていない。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にする。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、打点を+1。

【朽ちた鋼の太刀】
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 ドラが八索の場合、満貫以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 このスキルは一切の干渉を受けない。



1半荘目 京太郎・憩・桃子・絃

東一局  ドラ:六萬

京太郎(……これは無理そうだ。親とはいえ無理に攻めるときじゃない)

憩(京ちんは手が悪そうですねーぇ。ウチはいけそうやけど)

絃(この配牌、このツモ……)

桃子(憩さんといい絃さんといい、京ちゃんもちょっと前とはオーラが段違いっす。

   私の本領は奇襲。この卓で消えるのは時間がかかりそうっすけど、

   消えられなくても戦えないわけじゃないっすよ!)タンッ


 桃子が気負って牌を切る。瞬間、背筋を走る警報。思わずその感覚を視線が追う。

 そしてその視線の先には裂けるように広がった紅色。


絃「ロン。中ドラで2600」


京太郎 25000
憩   25000
絃   27600
桃子  22400


東二局  ドラ:一萬

京太郎(さすが絃さん。モモの晒した隙を一瞬で衝いた。

    こういう人食いがいる卓じゃ、無理押しはエサになるようなもん……。

    今回も守りに徹しよう)

憩(モモちゃんはちょーっと迂闊でしたねーぇ。とはいえウチも今回はダメそうや)

絃(くっくっく、桃は神果。美味しくてたまらないわ。

  おかげで良い手が。


    1m1m 3m4m5m 3p4p5p 3s4s5s 白白


  他は聴牌してそうにないから……)

絃「リーチ」

桃子(くっ、安いのがせめてもの救いっすけど、やられたっす。

   それに仙人さんの手……リーチしたことで満貫には届いてる気配。

   連続で振り込むわけにはいかないっす、オリっすよ)

絃「聴牌」

「「「ノーテン」」」


京太郎 24000
憩   24000
絃   29600
桃子  21400

東三局流れ一本場  ドラ:二索

桃子(危なかったっす。オリる決断をしてなかったらいつか振り込んでたっすよ。

   とはいえ今回も和了れるかは微妙な配牌っすね……)

絃(チッ、逃した。――今回は憩と京太郎さんも聴牌気配。

  私と同巡かやや先に聴牌したってところかしら?

  でも分かっていればやりようはあるわ)

絃「カン」  Σ二索二索二索二索  打:發

桃子(ぐっ、ドラカン! でもカンドラなら私が乗ったっすよ……。

   刺される前に和了ってしまえば!)

桃子「ポンっす!」  Σ發發發


 手牌にはドラが3つ、發で役も確定。安くとも7700が望める手。

 絃ほどの打ち手が無意味な槓をするはずがない。それを甘く見たのだ。

 河に聴牌への不要牌を捨てる。その瞬間に己の失敗を悟る。

 絃の笑みが浮かんでいたのだから。


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絃「ロン。三色同刻ドラ4で跳満。1本場は18300」


京太郎 24000
憩   24000
絃   48900
桃子   3100

東三局二本場  ドラ:四筒

桃子(なんて、迂闊っ)

憩(やっぱりモモちゃんはオカルトが強力な分、守りが疎かになってますねーぇ。

  とはいえ今は向かい合う敵手やから、容赦はせえへんよーぅ)

憩「ツモ! トイトイのみで700・1300の2本場は900・1500!」


京太郎 23100
憩   27300
絃   47400
桃子   2200

東四局  ドラ:三萬

憩(さて、まずは一和了。こっからは絃ちゃんを狙いつつ大きいのを狙――)ゾクッ


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           .i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
            :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',


京太郎「リーチ」


 ここまで目立ったところのない京太郎のおもむろなリーチ宣言。

 その動きに憩は本能的な危機感を覚えた。


憩(あかん、あれに振り込んだら即死……そんな気ぃがしますーぅ。

  せやけど早すぎて安牌があらへん。勘を信じて――)トン 打:八索


 河に落ちる彼の鍵牌。しかし京太郎はそれを一瞥し、見送る。

 窺っていた憩はその反応に安堵の息を吐きそうになるも、どうにか留まる。


絃(……? 憩が、怯えたというの? あのリーチにはそれだけのものがある。

  そう考えて対処しないと最悪は、死? 今の憩の持ち点では役満以外ありえない。

  さすがにそれを受けるのはマズイわ)タンッ 打:八索

 絃は憩に合わせることを選ぶ。当然、京太郎は動かない。

桃子(合わせ打ちっすか? でも、私は八索を持ってないっすよ……)トン 打:七萬

京太郎「悪いな、モモ。それでロンだ――」パラッ


  1m1m1m 3m3m3m 赤5m6m 8m8m8m 9m9m ロン:7m


京太郎「リーチ一発清一色三暗刻ドラ4……数えで32000だ」

京太郎 55100
憩   27300
絃   47400
桃子 -29800

「京ちゃん」


 そう言って、静かに泣き出した桃子。俺は慌てて宥めにかかる。


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「ちょ、モモ!? 泣くなって、そりゃ役満振ったらショックだろうけどさ!」

「違うっすよ。悔しくないわけじゃないっすけど、違うっす」


 ところどころしゃくり上げながら、桃子は言葉を発する。

 他の3人も心配そうだ。


「京ちゃんがこんなに強くなって、私よりも……。

 寂しいような嬉しいような、よくわかんないっす。頭がぐちゃぐちゃで」


 俺は絶句してしまった。

 桃子は、俺が麻雀を好きになるその一部始終を一番近くで見ていたのだ。

 最初は桃子と同じ時間を過ごすためだった。

 そのついでに咲の居場所作りだ。

 そのうちに、だんだんと麻雀を楽しく感じていった。

 淡に言われた、全国まで来ればいいと言う軽口を半ば本気で叶えたいとまで。

 楽しいと感じ、麻雀と向き合おうというタイミングで咲に完敗した。

 そうして俺は清澄麻雀部では淡に直接会いに行くことはできなくなり、

 何より麻雀を堂々とできないのが悔しかったのだ。

 桃子は、俺が挫折した瞬間に立ち会えなかった。

 心配したのだろう。俺の抜け殻だった時期を知っているから、殊更に。

 もどかしかったのだろう。戻って来た時には全て終わっていたのだから。

 そうして、今。桃子は俺の実力が桃子自身を越えつつあるのだと確信した。



 先達として、勝負師として、競技者としての悔しさ。

 友として、恋人として、幼馴染としての嬉しさ。

 他にも色々な感情が渦巻いているのだろう。

 俺には想像しかできないが、それでも激情が涙を流させたと理解した。


「モモ、今までありがとう。――これからもよろしくな」

「はいっす」


 抱きしめた桃子は小さくしかしはっきりと答えた。

 もう置いて行かない。追いかけるのでもない。これからは隣を歩くのだから。


「……ええ雰囲気んとこ悪いんやけどーぉ、次、始めよか。

 ラスのモモちゃんが抜けて数絵ちゃんが入ってなーぁ」


 憩さんが気まずげに流れを断ち切る。

 それもそうだ。俺たちはまだ始まったばかりで、今は合宿の仕上げ中なのだから。



2半荘目 京太郎・憩・絃・数絵


絃・憩・数絵・京太郎  の順

東一局  ドラ:西

絃(泣くほど嬉しかったこと……ないわ。桃子が少し羨ましい)

憩(一件落着で良かったですよーぅ。でも今回はよくないですねーぇ)

数絵(東場にしては良い調子だけど……)

京太郎「ツモ。タンヤオ赤1で700・1300」


絃   23700
憩   24300
数絵  24300
京太郎 27700


東二局  ドラ:三索

絃(ノッてるわ、京太郎さん。でもそういうツキを持った相手なんて全国にはざらにいる)

数絵(1000点未満の失点で絃さんの親が流れたのはありがたいわね)タンッ

絃「ロン。チートイドラ2で6400」


絃   30100
憩   24300
数絵  17900
京太郎 27700


東三局  ドラ:北

絃(くくく、やっぱり人を喰らうのは美味しくてやめられないわ。力が漲ってくる)

数絵(くっ、警戒を緩めてしまったというの? 

   いえ、あの形ではいずれ放銃させられたでしょうね。

   それが絃さんの力をいうわけでしょうから)

憩(うーん、ウチいいとこなしやねーぇ。でもそろそろ溜まってきたから……)

京太郎(絃さん、張ってるな? でも俺じゃまだ読めない。

    絃さんは他家からの出和了りを得意としてる。勘に従って……こっちで)タンッ

絃「ロンよ。タンピンドラドラ……7700。ぴったり2万点だわ、縁起が良さそう」


絃   37800
憩   24300
数絵  17900
京太郎 20000

東四局  ドラ:四索

絃(あぁっ、やっぱり京太郎さんのが一番美味しい……!

  これまで食べてきた力の中でも特に澄んでいて……

  口当たりは柔らかいのにコクものどごしも最高だわ)ンッ

憩(絃ちゃん、また悪い癖が出てますよーぅ。

  あないに18禁な表情、乙女がしたらあきません)

数絵(――はっ。いけないいけない。

   騒いでいるわけでもないからマナー的にも微妙にセーフよね。

   とはいえ卓外戦術も考えないと全国では厳しいのかしら。

   ともかく、あと一局で南場。……少し仕掛けてみようかしら)

数絵「リーチ」

京太郎(あっぶねー。背中に抱きついてるモモが身動ぎしなかったら呑まれてたぜ。

    って数絵がここでリーチ?

    東場で仕掛けるってことは安くとも満貫以上、下手すりゃ倍満?

    ……とでも思ってほしいんだろうな。でも俺の直感は違うと言ってる。

    だから、狙わせてもらうぜ?)


 再び絃の陣が敷かれ、それぞれの命運を握ろうと蠢く。

 そんな中で数絵のリーチは迂闊だったろうか。

 最大の脅威である憩はこの局聴牌に至っておらず、

 それを無意識にしろ読み取っての判断ならば悪いものではなかったろう。

 もっとも、そんな生ぬるい卓ではなかったのだが。


京太郎「ロン! 發ホンイツで満貫、12000! っと、リー棒ももらうぜ」


絃   37800
憩   24300
数絵   4900
京太郎 33000

東四局一本場  ドラ:五萬

絃(二巡……かしらね。先に行かれたわ)

憩(ふむふむ、これなら今回は行けそうやね)

憩「リーチ」

数絵(リーチを狙われた……わね。さすがに実力者相手には小細工なんて通じないか。

   憩さんのリーチはそんな生ぬるいものじゃない予感がするし……オリましょう)

京太郎(っし、和了れたか。とはいえその反動か牌が揃わないな)


憩「ツモ! リーチツモ純チャンの……裏2枚で跳満や。1本場で3100・6100!」


絃   34700
憩   36600
数絵   1800
京太郎 26900


南一局  ドラ:五萬

絃(さすが憩ね。きっちり大きな手を和了ってくる。ここは前に出たほうがいいかしら)

数絵(ようやくの南場だけど、これは取られすぎよ。まずは取り戻さないと)

京太郎(憩さん、さすがに強い……。まだまだ真正面からやり合うには俺が役者不足。

    でも、麻雀はサシのバトルじゃないから――)

京太郎「ロン! 白チャンタで5200ですよ絃さん!」

絃   29500
憩   36600
数絵   1800
京太郎 32100


南二局  ドラ:六索

絃(……少し血に酔いすぎたわ。冷静に進めましょう)

憩(それでええんですよーぅ、京ちん)

数絵(マズイ。聴牌できそうにないちぐはぐなツモばかり……)

京太郎(憩さんは聴牌してなさそうだな。だったら振り込まないように気を付けつつ聴牌維持だ)


絃   31000
憩   35100
数絵    300
京太郎 33600

南三局流れ一本場  ドラ:六索

 数絵は、焦っていた。南場に入っても調子が揮わず、それどころか既にリーチもかけられない。

 南場でなら絶対の自信があるのだ。

 合宿中でも、南場に入りさえすれば1位を捲ることは無理でも失点を取り戻すくらいはできていた。

 単なる運の偏りである、と客観的に見た者は言うだろう。

 しかし実際の卓についている数絵にはとてもそうは思えなかったのだ。

 千葉MVP霜崎絃には捨て牌を見透かされたように食い物にされ、

 全国2位荒川憩はそれをものともせず大役を和了ってみせる。

 あまつさえ、麻雀を本格的に始めて2か月程度の須賀京太郎。

 彼は放銃こそしているものの着実に和了を重ね、互角に打ち合っている。

 これでは自分が足手纏いのようではないか。

 そんなプライドが更に数絵の手を狂わしていく。

 常ならば重なるはずの牌はてんでばらばら。

 経験によって培った技術と勘を頼りにツモしても遠い。

 自然、防御を度外視した無理攻めとも言える体勢になっていた。


京太郎(分かるよ。300点じゃ1本場の今ならツモのみでも飛び。

    なんとしても和了らなければ即死しかねない。でもそんな視野狭窄じゃ――)

京太郎「ロン。清一色は跳満の1本場で12300だ!」


絃   31000
憩   35100
数絵  -12000
京太郎 45900

「チン……イツ……」


 俺の和了宣言を聞き、倒された牌を見て数絵は呆然としている。

 河を見ても明らかな染め気配。面前だったことを差っ引いても、

 素人でさえ振り込むことはまずない状態。

 その事実を認識し、自身の打牌のあまりの猪突ぶりに驚いているのだろう。

 数絵は、思うに常に格上とばかり対局していたのだろう。

 むしろ同年代の打ち手は見下してすらいたのかもしれない。

 だからこそ、素直すぎるほど素直な俺の手を無意識のうちに切り捨てたのだ。

 あんな見え見えの相手に振り込むはずがないと。

 そしてそのことすら忘れるほどに追い詰められていたのだ。

 格下の手に追い落とされたことで、数絵の脳裏にどんな思いが過ぎっているか。

 俺には察することもできない。だが、得るものは必ずあるはずだ。

 そしてモノにするだけの力が数絵にはある。彼女ならまだ前に進める。


「へこんでる暇があったら打つっすよ!」


 俺の後ろに抱きついていた桃子がいつの間にか数絵の隣に立ってそう言った。


「そういうことやね。ちゅうことでウチが抜けますねーぇ」

「……ええ、そうね。こんなところで止まっていられない。お爺様の名にかけて」


 パチンと自ら頬を張り、目を爛々と輝かせる数絵。

 そう、俺たちはまだ道半ば。いくらでも強くなれるはずなのだから。

3半荘目 京太郎・桃子・絃・数絵


(全略)


桃子   17600
京太郎 20900
絃   58100
数絵  -10000



 同格相手の対局で1位を取ったため、全ステータスがわずかに上がった×2
 対局した相手の好感度がわずかに上がった×3

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          |: : :>- =く___,.ィl:l:l:>'   l : : :l
          |: : : >'´ィ〉l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:/     }: : : !

          l : :∧l´ ,'l:l:l:l:l:l:l:l:l:l/.}       /-\::!
          ,': :/  l /l:l:l:l:l:l:l:l:l:/ |     /   ヽ
            /: /  .l/l:l:l:l:l:l:l:l:l/  !    /     `ヽ


「んあー」


 数絵が妙なうめき声を上げながら伸びている。

 さすがに意気込んだところで絃さんにぼこぼこにされればそうもなるだろう。


「数絵さんは素直なの。老獪さは年月を経て身に着くのだから、

 猿真似してもいいカモよ。……いえ、今回は焼き豚だったわ」


 と追撃。数絵もなかなかだが桃子のほうがジューs――殺気!?

 桃子の方から怖い視線が飛んできている気がするが全力で無視。

 なんとも締まらない形で、俺達の合宿は終わったのだった。



6月1週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :B62
直感 :A71
必然力:B65

6月2週

「あ゛~、つっかれたぁ」


 合宿を終えた俺だが、かなりの疲労が残っている。

 散歩でもしてゆっくりしよう。



 行動1回目  疲労度7
6.出かける
 1d100=97  何もなし。高コンマなので回復+1


 行動2回目  疲労度5
6.出かける
 1d100=9  遭遇 3の二乗なので特殊イベント。

 01~32   
 34~65   
 67~89   
 90~98   
 ソロ目   

 1d100=69   特殊遭遇



       |    , ィ'' ´       `゛ ‐!::::::::/          __
       | , イ   _          |:::: />、   _ ,, -‐< ̄::::::::::::

       |'   , '"     ___  |:::/   ,>'"::::__:::::::::::::::::::::::
       |.  /, '   ¨ ̄゛ ''¬-ミヽ! 辷‐イ:::::::::::: __二 、:::::::::::::::
       | , '/             `ヽ マ " ̄ ̄ \     `丶、:::
       |' /  /  /  /       \ V      \      \
       |/  / ¨フナメ‐-、./ /         ぃ       .',
       |  /! イ/ l,」  〃メ     /l    `.|       l

「んー! うー!」


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 |::::::::::::::::/ !  !  ! .i! ! ハ | ||   _// | /! ,イハ   |   i | !       ∨::::::::::::::/
 |:::::::::::::/  .|  |  |‐ハ‐i!‐|‐七「,リ   /7ー!'‐|‐/リト|  ,'  / ,! リ      ∨::::::::::/
 |::::::::::/|  .| ∧  !xァ乞テ卞 /  ,イ/'ア乞ぅ卞ュ_|  //,イ /|./       ∨::::::/
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 |:::::/ l  / i i!  ト.  込zz:ツ/ ´    込zz:ツ 'イ '/' |' i!          ∨
 |::/  i! ./ .! |  |ハ           i           イ   ハ  !
 |/  i /   ! |  |.人                   /.!   | |  |
    〃   | i!  !   > .       ^     . イ .i!   ! |  i!
   //   ! |  | /   rト . _ . ィ<  l !   l .|  .!
   //    | i!  !/   /^\_       _lノ \ ! |   | !  |
  .//      ! | ├ '´       r≧v≦く    ` !    ! | ∧
 //       ,| |  l        //⌒\\    |   iト、 l  ∧
.//    / ! ! .ト、    // __ \\   ,!   |! ヽ .∧
./    ∧ | |  トミ三彡'´  |: : : : : \ ヾ.三彡!   |!  ∧ ∧


 何か意地になって力を込めている、そんな唸り声が聞こえてきた。

 いつの間にか憩さんと最初に会った公園まで来ていたらしい。

 声の方に目を向けると、そこには小学生低学年くらいの金髪の幼女がいた。

 自動販売機のボタンを押そうと背を伸ばしたり、

 それでも届かずぴょんぴょんとうさぎのように飛び跳ねている。

 カチューシャ状のヘアアクセサリーがウサギの耳のようでより拍車をかける。


「子供じゃない、コロモだ!」


 子供が頑張っていて微笑ましい、と思っていると、

 コロモというらしい幼女がこちらをクワッと睨み叫んだ。

 というか、心を読まれたかのようなタイミングだ。


「ふふん。コロモは勘が良いんだ」


 子供らしい稚気に溢れた所作でそう自慢げに胸を張る幼女。

                             //////\/ハ
                              ///,/    \!
                 ,....-―-.、     ////

               , イ////////\   ////
            , イ/////,/ ^ーァ/ヽ≠//,.く
          ///////,/   ,ィ///////////\

         ////> '´    ///////////////,ハ
       /> '´          〃////////////////!
      ,..'/            从////////,γ⌒ヽ//,|
     /'                `i///////,乂__.ノ//,ハ
                    /////////////////ヽ

                   ////////////////////\
                  ///////////////////////,\
               , イ///////////////////////////ヽ
           ,.....イ/////////////////////////////////\
        ,...イ´///////////////////////////////////////>.、

      ,..イ///////////////////////////////////////////////,>.、
    .//>ァ//////////////////////////////////////////////////>、
  .///.///////////////////////////////////////////////////////.ヽ

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/// ///,イ///////////////////////////////////////////////ハ ヾ///ハ ヾ//ヽ
//   ///〃////////////////////////////////////////////////ハ ヾ///} Y//ハ
/  //// {//////////////////////////////////////////////////}  Y//! .|///!


 その雰囲気が唐突に変わり、表情も虫をいたぶるヤマネコのように鋭くなる。


「ふむ。九牛の一毛、行尸走肉かと思いきや――」

「ぐっ!?」


 直感がこいつはやばいと警鐘を鳴らしていた。

 その警告に従って気を張っていたおかげか、

 突如幼女から噴き出すように当てられた違和感に苦悶を漏らす程度で耐えることに成功する。

「やはり。滄海一滴ならぬ滄海遺珠であるか」


             ヽ:::::::::::l.      /:::::::::/
              ヽ::::::::l     /:::::::::/
               `、::::l.  /::::::;;/

                `、:!_/:,,ィ'_´

               ,,_rz====.、.` 、
              /"          ヽ
              ,.'              `,
           //./ /,ィ /l/:.| ! l! ト;l、 | l ',

           ,'l ll! | |l| |/l l lヽヽ、>.l .| . ',
          j/l l!、Tテ=zv、 l.!_,ィチ千、| .l.  ',
              ヽ{ ト/弋少   .廷彳l  |  ',
             j !l`,   丶      .|  |   ',                       ';:,
              j jl. ゝ  -=='゙  イ!  |   ',                      ;' ;:'',
            _,.ィ'⌒ヽ、_.>t -<彡.!  |-=-、..'、              ,;''       ,,;'   '';
          /´   |: : : : :.`Y¨:l": : : :.l  !   ヽ ヽ          ,,:';'      ;''"''    ;'
         ,'ノ    |: : : :=-:,癶!-: : : :l   .l    ヽ \        ;'' ';      ':     ,,'
        /      .l_:_:_:_:ノ/|: :ゝ;_:_:_:!  .!    L_.. \       ,; ;:,'      ';    ,'
       /ヽ_!__/__ / /: : : :l .!: : : : :ヽ|   |:.    /   ` 、  ,;'  ';     ,,,;''   ,'"
     /   /: :_:_: : :/ /イト、,イ l:_:,- T:=.!   ',ヘ_/--〈  \   `,,;''   ';,,  ,,..;'"    ;'
    / / .:フ¨  /Y .:|: : :.l./ .|     .!: :.l   '、_:_:_::_:」.   ` 、 ,;''     :''''"      ;'   ;;''
. / /  ,.'   ./ ! T¨ー--、`!. ̄ ̄`''ト,ハ    ヽ  |  ` 、  ;:  :;''"';          ;,,.. ;''";,,;,
./../    /    /   ー!    `、、    |  〉、    \.l    ,,:'''' ;'''  ;'            ;;::''
/    ./   /┌‐-く      `   .Lノ‐→、.     \  ,;''  ;'''  ,,:'           ,;'"
   //   / . j  /          ヽ   ` 、    \ ''''   ,,'          ,,::'"
  / /   , '  } ./             ヽ   /i ` 、  ,,''"";'' ,,''         ,,;''"\
/  /   /   l/              ヽ  { .!  .| ,,:'  ;''     ,,,, ''"´ ''" ,,;;:'''".\
イ   /   /  /:::ヽ            ,...'´:::::>  |  ;'''       ,,'''      ,;;" ;'    ヽ
.|  /---./   / ヽ:::::ヽ_       _,,ィ:':::::::::/ ヽ,,'''''`       ;,'      ,,''"  ;'ヽ    ヽ
.l /---./  ./   >'´: : :`:=-‐‐=: :´: :ヽ、:/   ,,'          ;',,  ,,...:::;''':  ,,''   ヽ    ヽ
.!./   | ./:ー-':イ: : ::.. : : : : : : : : :..:: : : :ヽ:`:ー--;''            ''''"     ,,'     ヽ    ヽ
Y    Y: : : : : :.j : : : :::: : : : :..:::::: : : : : : : :ヽ : : ;''                   ;;  ,,';    ヽ    、
..Ll_l_l ィ /: : : : : :/: : : : : :::::::::::::: : : : : : : : : : :.ヽ ;''                   ::''''",,,;;;::'''"   \   \

、l   /: : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ:                  ,,.:::'''"\ ヽ` 、   ヽ   .ヽ
. `   /: : : : : :j': : : : : : : : : : : : : : :_: -‐‐‐f---ノ'',,               ;,'''"|     ヽ ヽ   \  ヽ   `、
.   /: : : : : : l: : : : : : : : : : _; ィイ       |:/:_:_:_'';,,       ,,,;     ;,''l  .|      ヽl.    \  ヽ   、
   ` 、: : : :|=- t ‐‐‐'''´  l .|     ¨T": : : : :'',,   ,, ,,;;  '';;;,,,,,,::''' .j  j        )     \  ヽ   、



 化け物。俺の脳裏にそんな単語が浮かぶ。

 人智を超えたナニモノカ。目の前の幼女は人の形をした異形。

 妖しく、全てを見下すように寂しい笑みを浮かべるそれを横目に、

 俺は逃げるように自販機のボタンを押した。

 ガシャンとココアが取り出し口に落ちる。



「やはり。滄海一滴ならぬ滄海遺珠であるか」


             ヽ:::::::::::l.      /:::::::::/
              ヽ::::::::l     /:::::::::/
               `、::::l.  /::::::;;/

                `、:!_/:,,ィ'_´

               ,,_rz====.、.` 、
              /"          ヽ
              ,.'              `,
           //./ /,ィ /l/:.| ! l! ト;l、 | l ',

           ,'l ll! | |l| |/l l lヽヽ、>.l .| . ',
          j/l l!、Tテ=zv、 l.!_,ィチ千、| .l.  ',
              ヽ{ ト/弋少   .廷彳l  |  ',
             j !l`,   丶      .|  |   ',                       ';:,
              j jl. ゝ  -=='゙  イ!  |   ',                      ;' ;:'',
            _,.ィ'⌒ヽ、_.>t -<彡.!  |-=-、..'、              ,;''       ,,;'   '';
          /´   |: : : : :.`Y¨:l": : : :.l  !   ヽ ヽ          ,,:';'      ;''"''    ;'
         ,'ノ    |: : : :=-:,癶!-: : : :l   .l    ヽ \        ;'' ';      ':     ,,'
        /      .l_:_:_:_:ノ/|: :ゝ;_:_:_:!  .!    L_.. \       ,; ;:,'      ';    ,'
       /ヽ_!__/__ / /: : : :l .!: : : : :ヽ|   |:.    /   ` 、  ,;'  ';     ,,,;''   ,'"
     /   /: :_:_: : :/ /イト、,イ l:_:,- T:=.!   ',ヘ_/--〈  \   `,,;''   ';,,  ,,..;'"    ;'
    / / .:フ¨  /Y .:|: : :.l./ .|     .!: :.l   '、_:_:_::_:」.   ` 、 ,;''     :''''"      ;'   ;;''
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イ   /   /  /:::ヽ            ,...'´:::::>  |  ;'''       ,,'''      ,;;" ;'    ヽ
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.l /---./  ./   >'´: : :`:=-‐‐=: :´: :ヽ、:/   ,,'          ;',,  ,,...:::;''':  ,,''   ヽ    ヽ
.!./   | ./:ー-':イ: : ::.. : : : : : : : : :..:: : : :ヽ:`:ー--;''            ''''"     ,,'     ヽ    ヽ
Y    Y: : : : : :.j : : : :::: : : : :..:::::: : : : : : : :ヽ : : ;''                   ;;  ,,';    ヽ    、
..Ll_l_l ィ /: : : : : :/: : : : : :::::::::::::: : : : : : : : : : :.ヽ ;''                   ::''''",,,;;;::'''"   \   \

、l   /: : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ:                  ,,.:::'''"\ ヽ` 、   ヽ   .ヽ
. `   /: : : : : :j': : : : : : : : : : : : : : :_: -‐‐‐f---ノ'',,               ;,'''"|     ヽ ヽ   \  ヽ   `、
.   /: : : : : : l: : : : : : : : : : _; ィイ       |:/:_:_:_'';,,       ,,,;     ;,''l  .|      ヽl.    \  ヽ   、
   ` 、: : : :|=- t ‐‐‐'''´  l .|     ¨T": : : : :'',,   ,, ,,;;  '';;;,,,,,,::''' .j  j        )     \  ヽ   、



 化け物。俺の脳裏にそんな単語が浮かぶ。

 人智を超えたナニモノカ。目の前の幼女は人の形をした異形。

 妖しく、全てを見下すように寂しい笑みを浮かべるそれを横目に、

 俺は逃げるように自販機のボタンを押した。

 ガシャンとココアが取り出し口に落ちる。



「ぬ? おお! コロモが欲しかったやつだ!」


        ∨:::::::::| |::::::::/

           ∨::::::| |:::::/
          ∨::::| !::/
        ,.. ‐ ヘ::「!:/_ ̄`   、
     ,  ´ x≦―――≧x   \
   ./  ./ ,.イ   !  |  ヽ ヽ \

   // / / / / |   i!  ト   |  ハ.  ヽ
  ./イ / .' !,r―!i!  ハ´ ̄「|`ヽi!  i!  ハ
  {' i! |! | i! |_{ハ  | },衍示トv1  |   |
   Ⅵ! i! |i衍卞ヾ\{_ う::::::r} 》|  |   |
    从 i从.う::::リ    乂z少 .!  i!    !
     ヾ} ,! ゞ'´ '           !   !    !
     .//.|   マ ̄ ̄ }     !   !   |
    // i\  \_ノ   ,.r ´|   |   i!
   .//   |  > .._   _.. ´ |  |   |   ハ
   //  /| /'  |,r「´ __⊥ヽ!   !   i ∧
  .//  / .|'  //Y^\    }!  .|   |/ ∧


 向けられた咢から逃れた思いで大きく息を吐く。

 ようやく、背中にじっとりと汗が浮かんだ。

 そうしてからやっと頭が動き始める。目の前のナニカはコロモと自称している。

 確か、龍門渕高校の大将の名前は……天江衣ではなかったか。

 子供らしく喜び早速飲もうとしては缶の熱さとプルトップの堅さに手が出せず涙目になっている。

 見かねて開けてやってからハンカチで缶の側面を包んでやる。

 こぼれそうだった涙はすっかり鳴りを潜め、あちちと言いながら甘味にのどを潤す。

 これが、俺にとって初めての、非友好的な魔物との遭遇であった。



 天江衣の好感度が上がった


評価

天江衣:きょーたろーか。覚えてやらぬでもないぞ!


 行動3回目  疲労度4
6.出かける
 1d100=27 遭遇 対木もこ

 1d100=34


 あれからすぐ、互いに自己紹介をした。

 その結果やはり彼女は龍門渕の天江衣であることが判明した。

 そうして再び天江衣が牙を見せようとしたところに、

 桃子とは違ったベクトルで影の薄い、しかしかなりの美丈夫が現れた。

 幼女と美丈夫のやりとりを聞くに、どうも女主人と使用人といった風情である。


「後日改めてお返しします」


 そう言って美丈夫はこれまたいつの間にか現れたリムジンに乗せ、去って行った。

 ……気晴らしに散歩に出たはずが余計に疲れた気がする。

 溜息をこぼしながらも今度は自分用の飲み物を自販機で買い、腰を下ろして一服する。

 そうして休んでいると、公園にこれまた幼女……ではないが小柄な少女がやってきた。

            _     _
          : :´: : : : : : : : : :`丶、

.       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
.      / > 、 : : : : /: : : : : : : : : : : : :\
     人    >、/: : : : : :|: : : :|: : : ヽ: : :

     ': : : :> 、  l. r―-、 |: : : :|: : : : :l: : :i
    ’|: :: : : :|_ム≧|ト|   _`ト-r'´ ̄ ̄ }: : |
.    |/: :|: :: :l|/_」-_ | |   イ__K⌒ヽ /:l : |
.    ||∨| : : | 心 ヽ` L.. ィ´|: ::ト 、  /: : |: |
    | ∨|: : 代_ ノ   7 リ: :ハ `マ //l: |

      ’|\ト :::::::    l   レ' ∧  ∨l/ |/
.        ∨ハ      |   |  ∧  ∨
        ∨ゝ 、   |  ∧ /ィト 、 \
          〉ト` ト |  ┴く     ̄
          マ<L⊥、レイ √フ

       -‐ r‐┴ヽ、「 ∨7/∠、ニ ‐- 、
.    /     |    `l¬´-   |    \
   /       {    - ト┴- 、   }     ∧


片目を覆い隠すようにリボンを巻き、装いはいわゆるロリータファッション。

 きょろきょろと何かを探すように周囲を見、自販機のすぐそばまで来てから諦めたように首を振った。

 俺がその様子に注目していると、少女は視線に気づいたようでこちらを観察。

「……あなた は、  違う」


 途切れ途切れの言葉。あまり人としゃべるのに慣れていない様子だ。


「仕返し  しないと。   あの モン ス ター   」


 モンスター。その言葉につい先ほど遭遇した幼女が思い浮かぶ。


「君は天江衣にリベンジしたいのか」


 俺は感じるままにそう述べた。

 目の前の少女からは忌々しげな苛立つような気配が漏れていたからだ。

 怒りを堪えているような、内に秘めた力を感じたのだ。

 その少女は俺の言葉に目を見開き、なぜ知っているのかと目で問いかけてくる。


「さっきまでここに居たんだよ。確かにあれはモンスターだった。

 今思い出しても背筋が凍る」


 実際、俺は寒気を感じている。震えこそしていないが……。


「俺は須賀京太郎。

 俺もインハイ予選に出るけど、あれにリベンジしようっていうなら応援はするよ」


 とてもじゃないが、あの天江衣と卓を囲みたいとは思えていない。

 憩さんはよく無事だったなと思うくらいだ。

 そして目の前の少女にも。リベンジしようとはなんと強い心なのだろうと。


「……もこ。  対木  もこ   。鶴賀学園。   負けない  から」


 もう用はないとばかりにぐいっと背を向け、対木もこと名乗った少女は去って行った。


 対木もこの好感度が少し上がった



評価

対木もこ:  ライバル?

 行動4回目  疲労度3

7.誰かと出かける(憩)

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    

 1d100=64  成功   絆獲得



 そろそろ疲れも抜けてきた別の日。

 俺は憩さんからのお誘いで町に出ていた。


「待ちましたーぁ?」

「いえ、今来たところですよ」


 お約束の挨拶を交わし、二人でクスクスと笑い合う。

 やはり憩さんは笑顔が魅力的だ。


「さて、どうしましょうか。またカラオケでも行きます?」

「そやねぇ。それでもええんやけどーぉ、今日は行きたいとこがあるんよ。

 せやからついて来てなーぁ」


 デートのつもりで来たので少し気合を入れた服装の俺。

 憩さんも普段のナース服でも制服でもない、それなりに気を遣ったような私服。

 ある程度はプランを固めているのだろう。そう思えば逆らう意味もない。


「そういえば、オーダーってもう決めてるんですか?」

 移動する間の話題に選択したのは麻雀。デートには不向きかもしれないが、

 実際に知っておきたいことだったのでいいかと割り切る。


「次鋒に数絵ちゃん、中堅にモモちゃん、副将に絃ちゃんってとこまでは決めとりますよーぅ」


 ということは俺は先鋒か大将か。エース先鋒の法則からすれば俺は大将になりそうだが。


「――そか。京ちん、天江衣に遭ってしもたんやね」


 大将という単語で想像したのは天江衣。

 あの力を目にしてしまった以上、今の俺では力不足だと痛感させられた。

 そんな俺の顔色が変わったことから察したのだろうか。


「別に今すぐ決めなあかんっちゅうことはないんですよーぅ。

 試合の1時間前に提出するオーダー表で本決まりやからね」


 待ち合わせ場所から歩いてまだ数分しか経っていないはずなのに、

 人通りがどんどんと少なくなっていく。

 この先私有地という立て看板を超え、憩さんはさらに進む。


「ここは……?」


 憩さんが足を止めたのは、学校のグラウンドほどの広さを持つ敷地の中心。

 ぽつんと建てられた大き目の一軒家。


「ここが今のウチの家なんよ。龍門渕、天江衣と対局した報酬ですーぅ」

 言葉が出なかった。いくら長野とはいえ、この広さと建屋ならば一億円はする。

 そんなものを一夜の報酬として出せる、生きている世界が違うのではないか。


「ウチが龍門渕に呼ばれて来たっていうんは前に話したよねーぇ。

 もう少し詳しい話しよう思てなーぁ。京ちんを今日誘ったのはそれでなんよ」


 入ろか、と誘う憩さんに従い、俺は家の中に入る。

 中は存外すっきりとした、新築のモデルルームの風情。

 綺麗に掃除されていて、憩さんの几帳面さが窺えるようでなんだか可笑しかった。

 リビングルームのソファに腰を落ち着け、お茶を貰って一服。

 おかわりを注ぐ頃になって、正面に腰掛けた憩さんがいよいよ本題に入る。


「どこまで話したかなーぁ。とりあえずさらっと話そか。

 ウチがインハイ個人戦で2位になった後しばらくして、

 龍門渕がウチの病院の出資者になったんよ。

 それまで出資してくれてた人らぁはいつの間にか居らんくなっててなーぁ。

 怪しいとは思ててんけど、そこからしばらくはなんも問題あらへんで。

 むしろ予算が増えて最新機具を導入できたりでええ調子やったんよ。

 龍門渕のパイプで著名なお医者さんに手術医として来てもらえたりもして。

 でも、今年の4月に入ってからやねんけど。急に出資を止めるって。

 続けて欲しければ娘を龍門渕にしばらく預けろ、言われたらしいですーぅ。

 両親も悩んだみたいやけど、見かねたウチが自分から行きます言うてね」


 悲しそうな目をして語る憩さん。一旦言葉を止め、口を湿らせるように一杯。

 次に目を開くと、その表情は深い穴のように呑み込まれそうな雰囲気になる。

「そんで長野まで来て、油断ならない妙な執事さんに車で屋敷まで連れて行かれたんよ。

 着いたころにはもう夜で。あの夜は月がやけに大きかった気ぃがするわ。

 休む間もなく、屋敷の奥にある一室に案内されたん。衣様がお待ちです言うてな」



『荒川憩……よもや貴様が今日の贄とは。今宵は楽しめそうだ!』



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       / : :./:ゝ.、      '  __, /  '';,    :            . ;'
.     ,. ' ' . : : /: : : :;>. ._. ` ̄-‐ ´.'  ../;    :           . ;'
.    / . : : : /: : : : /: : : :/.>.--/ . .:/: : ',   :            ;;'
.   /  . : : : ./: : ,; -‐_‐_ v_/〉:.:/ . ,: :': : : / ';  :           ;'
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「今思い出してもさぶいぼが立つわーぁ。宮永照もヒトの域やあらへんけど、

 天江衣も大概や。どうにも気乗りせえへんかったのもあって、結局押し負けてしもた」


 憩さんは腕をさするようにして動かす。机に置かれたアイスティーの氷が音を鳴らす。


「全国目指すいうなら、またアレと戦わなあきません。

 自分で言うのもなんやけど、ウチは強い。京ちんもかなり強くなったけど、

 アレの相手をせえなんて酷いことはさすがに言えへん。せやから――」










   勇気をくれへんかな?






 それまでの沈み込みそうな表情から一転、今度は焼けつくような熱い視線。

 潤んだ瞳、熱い吐息。乾いたくちびるは怯え故か。

 桃子に悪い気もしたが、ここで拒絶できるほど、俺は大人ではなかった。

 ここで拒絶するほど、子供でもなかった。

 言葉の代わりに俺は乾いた口唇を癒すように口付けをした――――




 荒川憩の好感度が一定以上の状態で一緒に出かけるを選択したため、絆を獲得しました
 荒川憩の好感度が大きく上がった
 直感がぐーんと上がった


評価

荒川憩:ウチが支えてあげますよーぅ →もう一人やない。隣にいますよーぅ♪


                 /:/:: : : : : : : : : :/: : : : : : : : /: : : : : : : :\: : : : :\
              / : /: : : : : : /: ://: : :/: : : : :./:| : : : : : : |: : :゚: : : : : : :.
                / : /: : : : : : /:.:/ / : :./: : : : :./:.:Ⅳ: : : :.:.:.|: : : :゚: : : : : :.:.
             ′/: : : : : //:_/__,/:_: :/: : : : :./: :.:| ゚: : : : :.:.|: : : : :゚: : : : : ::.
.             |: /.|: : : :.:/7´/ _」: : / : : : :.:/┼:┼ ゚: : : : :.l: : : : : :|: : : : : :|
.             |//:l: : : /| |:./   : :∧: : : : : ,」:.:.:|  ゚:.\:.リ: : : : : :|: : : : : :|
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         /: : : :从{: : ::|ァ´ ̄ ̄`ヾ   \{ __-‘__, |//:/: : : /::/ : : : ::| :|
        / : : : : : : : : : : |            ´ ̄ ̄`ヾ/イ: : : / / : : : : ::| :|
     __彡: : : : : : : : :/ : : : :| 〃〃   ′           |: :/Χ : : : : : :| :|
    `ー------=彡ク: : : : : |     _      〃〃   |/´ ̄`∨: : : : :∨
           / : : : : :.人     |   ̄`ヽ.           /: : : : :l: : \
          /: : : : : :/ / \          /       、__彡イ: : : : : :ト、: : :.\
         /_:_:_:_::彡   //l: : :\   `ー‐        _. .:≦: :|: : :.从 : : : 八  --- `
               l/ : : : :./`ト . _   _  -‐   |:_:_:_:/|: : /  \: : : :\
                    八: :./  |:.∧ Τ        {_ノ∧ l/     ` : : : \
                 ∨  j/ /´ |   __ -‐    \          ̄ ̄
                      __/ /lノr‐              \
                 --‐   / /~⌒l           / \
                / {     / ∧   \         /    \

6月2週終了。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :B62
直感 :A76
必然力:B65



キリがいいので一旦休憩しますー
次からは闘牌一辺倒になります

6月3週  インターハイ長野県予選団体戦

「ついに、公式大会っすね」


 桃子が感慨深げにそう呟く。俺含め皆、その言葉に思い思いに頷く。

 俺達1年組は若干の緊張を隠せないでいるが、

 その様子をにこにこと見守るように眺めている憩さん。

 絃さんは透かし彫りの入った木製の扇で口元を隠しながら泰然としている。



「あれって荒川憩? どうして長野に」「2,3……3人しかいなくない?」
「男子がメンバーなの? ちょっとイケメンだけど」
「そういえば女子部じゃなくて無差別だったっけ」
「荒川憩にびっくりして見逃してたけど、あれって霜崎絃じゃない? 千葉MVPの」



 などなど、周囲がざわついている。


「東海王者の対木もこを見たって奴もいるらしいよ」
「うへぇ、龍門渕もいるのに、魔境かよ」
「お、噂をすればなんとやら。まずは風越のお出ましみたいだぞ」
「マジじゃん。福路美穂子だけはガチ」「いや何がだよ」


 対木さん、そういえば鶴賀学園とか言ってたっけ。

 鶴賀学園麻雀部に所属して出場する、ということなのだろう。

 会場ロビーにたむろしている人の波が割れ、マスコミの焚くストロボ光がまぶしい。

 その中を進むのは、長野の名門風越女子。

 片目を瞑った柔らかい微笑みを浮かべた金髪美人を筆頭に、

 雪辱に燃える気炎を吐く面々がシード校用の控室に向かって奥へと進んで行く。

「風越女子。長野で麻雀をするならまずここを目指せ、と言われる名門校よ。

 去年は彗星の如く現れた龍門渕高校に敗北したものの、

 エースの福路美穂子は全国個人で30位以内に入る実力者。

 大将を務める池田華菜は天江衣に手も足も出なかったけれど、

 セミプロ含むOG相手に一歩も引かない実力だとか。

 コーチにもみっちり可愛がりを受けているから今年こそはあるいは、

 なんて噂よ」


 ぼーっと見ていると、横から数絵がそんな情報をくれる。ありがたい。

 ……どうやらブロック違いのようで、当たるのは決勝。

 エースで大将でないなら、つまりは先鋒ということ。

 あの美人さんと戦うことになるのは俺だ。

 いくら猛者といえど、こちとら憩さんにしごかれた(意味深)のだ。

 負けてやる気は毛頭ない。


「――! 今度は龍門渕ッ!」「シード校は重役出勤だねェ」
「あれが、“魔物”、“牌に愛されし子”、天江衣か?」「いや、4人だけだ。天江はいないみたい」


「おーっほっほっほ! 目立ってますわァ!」「透華、恥ずかしいからやめてよ」
「いいじゃねェか。強者の義務みたいなもんだぜ?」「早く座りたい」


 金髪で髪の一部がアンテナのようにビンビングルグルと動いているように見える

 金持ちオーラを全身から発している少女が何やら高笑いをしている。

 それを宥めたりからかったりとチームの仲は良好そうなのが窺える。

 金で集められたというイメージとはだいぶ違うな。

「あれが龍門渕高校。目立ちたがりの派手金髪が龍門渕財閥の一人娘、龍門渕透華。

 目立つために妙な打ち筋をすることもあるけど、基本は堅実なデジタル派。

 全国では臨海女子に副将で他校飛ばしをされて敗退したけれど、

 それは前三人が実力不足だっただけで彼女自身は未知数よ。

 臨海副将のメガン・ダヴァンが龍門渕透華を脅威に感じて逃げた、とも言われているわ。

 そして背の高いのが井上純。先鋒。鳴きによって場の流れを操るなんて言われてる。

 実際は操るというよりも察知して干渉してると言うべき、とお爺様が。

 去年は全国の先鋒としては有名校と比べてやや力不足だったけれど、

 今年もそうだと思うのは楽観を通り越してただの馬鹿ね。京太郎にそんな驕りはないでしょうけど。

 長い黒髪の巨乳が沢村智紀。彼女はデータ重視の堅実派ね。

 だからといって攻めが弱いわけでもないし、油断なんてとてもできない相手。

 そして手に鎖を嵌めているのが国広一。

 確か……小学生大会でイカサマをして追放されたはずなのだけれど。

 龍門渕からすればその程度どうとでもなるってことね。

 イカサマせずとも普通に強い……らしいわ。

 去年の牌譜を見ても、どんな強豪を相手にしても絶対に焼き豚はおろか焼き鳥にもなっていない。

 私とはまたタイプの違う後半追い込み型みたい。

 今はここにいないけれど、天江衣。

 高校生とは思えない幼い容姿に金色の長髪はまるで妖精のようと例える人もいるとか。

 ただ、その打牌は傲慢にして強大。

 わずか2回の出番で去年度のインハイ最多得点を記録した正真正銘の怪物。

 正直言って、私も天江衣とは対局したくないわ」


 数絵の説明に礼を言い、何気なく周囲を見渡す。

 すると清澄のみんながいるのが目に入った。桃子も気付いているようだ。

 だが、彼女たちの前に出るのは今じゃない。決勝で必ず会うだろうから。

 準決勝


「そんなこんなでもう準決勝だな」


 そう、もう準決勝なのだ。3回戦までは思い出す必要も感じないほどに楽勝だった。


「そうっすねぇ。結局全員抑えめに打って緊張解してきましたけど」

「聞こえは悪いけど、飛ばさないようにするのが大変だったわ」


 桃子も数絵も拍子抜けと言った感覚のようで、俺含め1年3人は気が抜けてしまっている。


「まあまあ、こっからはそう簡単とも限りませんよーぅ」


 そう言って憩さんが宥める。とはいえ雰囲気的には同意のようだが。


「龍門渕と、清澄。あと風越以外は相手じゃないですよ」

「数絵ちゃん、さすがにそれは舐めすぎやで?」

「そうね。もこが鶴賀学園というところにいるようだわ」


 数絵はそれでも不満のようだ。あまりに手ごたえがなくてふわふわとしているのかもしれない。

 俺も地に足がついているかと言えば怪しいので強く言えない。


「鶴賀っすか。京ちゃんの家の近くに引っ越さなければ私が通ってただろう高校っす」

「桃子がこっちに来てくれてよかった、というところね。

 少ししか見てませんけど、警戒すべきは先鋒と大将くらいでは?」

「麻雀は運も大きいから、事故る可能性は普通にあるだろ。

 油断して大量失点とかしたら笑ってやるからな!」


 油断は大敵なのだ。あまり重苦しくしても良くないので、冗談めかして注意する程度に留めた。

 まだ地区予選に過ぎない。ここで躓くわけにはいかないのだから。

チーム須賀
オーダー
    先鋒  須賀京太郎

    次鋒  南浦数絵

    中堅  東横桃子

    副将  霜崎絃

    大将  荒川憩


  須賀 対 鶴賀 対 諏訪女子 対 白馬


加治木ゆみ     
属性 :D     
技量 :B     
直感 :B     
必然力:C   
・スキル

【センス○】
(効果A)
 能力上昇・獲得に必要なポイントが80%になる。
(効果B)
 判定を+15。

【横槍】
 勝利を確信した時こそが最大の隙である。

 自身の素の判定コンマがゾロ目かつ2位以上のとき、
 他家がスキルによる強制和了を成功させた場合に発動。
 その和了を無効にして自身がその他家からロン和了する。
 このときの打点は満貫未満となる。

水元枢       
属性 :D     
技量 :D

直感 :B
必然力:B
・スキル
【童子切安綱】虹
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 オカルト属性の対局者がいる場合、その特殊和了を無効にして代わって和了する。
(効果C)
 他家の判定を-10。(威圧感系統)
(効果D)
 自身の和了コンマがゾロ目の場合、満貫で強制和了。




犬吠埼清良    
属性 :D       
技量 :B

直感 :F
必然力:D
・スキル
【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【守備職人】
(効果A)
 放銃判定値を+25。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-2。
(効果C)
 他家が満貫以上をツモ和了する場合、打点を-1。

【鳴き○】
(効果A)
 聴牌・和了判定値を+10。
(効果B)
 自身の打点を-1。
(効果C)
 他家がリーチをかけて和了した場合、その打点を-1。

先鋒戦


「テレビの前の皆様こんにちは。全国高校生麻雀大会長野県予選大会、

 準決勝の様子をお伝えしていきます。

 実況は私、長野テレビアナウンサーの安曇 楓 が、

 解説は現在マスターズ麻雀でご活躍中の高津 カヨ シニアプロです。

 よろしくお願いします、高津プロ」

「はいよろしく」

「まずは各チームの紹介です。

 前年度長野予選ベスト8、白馬高校。

 全体的に防御が上手いメンバーをそろえていることが特徴です。

 続いて諏訪女子高校。創部3年目にして準決勝に進出しました。

 先鋒のエース、水元枢選手が引っ張る新進気鋭のチームです。

 次は鶴賀学園高校。こちらも創部から間もない若いチームですね。

 大会には初出場となります。

 先鋒の加治木ゆみ選手と大将の対木もこ選手を軸としたバランスの良いチームです。

 特に対木選手は前年度の東海王者でありますから、

 ダークホースとして龍門渕高校と風越女子高校を打倒するのではと期待されています。

 そして最後はチーム須賀。新制度である高校麻雀部無所属枠からの進出。

 このチームはそれだけでなく話題性抜群です。

 なんといっても、全国個人2位の荒川憩選手と千葉MVPの霜崎絃選手が所属しています。

 さらに、数年に一度見られるチャレンジャー、男子選手がオーダーされています」

「男子選手がこっちに出るなんざ珍しいから知らない子もいるだろうから説明するよ。

 インハイは男子と女子で分かれている……と思われがちだが麻雀に関しては違う。

 これは性差によるフィジカル差が関係ないことから導入された制度さ。

 とはいえ、子供の間は男は女より弱いってのが定説さね。

 だから馬鹿以外は男子部のほうに登録するんだが……。

 そうそう、差がないならなんで男子部が独立しているようにあるのかが疑問だろう。

 これは今言ったように年齢による実力差の問題と、競技人口の問題だ。

 完全に男女混合にしちまうと2日3日じゃさすがに終わらない。

 競技人口比率は男子65の女子35ってとこだ。

 かといって実力的には女子が男子を平均的に上回っているから、完全混合じゃ女子が優勝するのが目に見えてるのさ。

 だからまあ、言ってしまえば男子部は保護されてるってわけだ。

 実際大人になりゃ男共の実力も女に追いつく。結婚や出産をする女よりも安定性で言えば上になる。

 今弱いからって将来まで弱いままってことはないからね。だからこその、男子部と無差別部ってことになった。

 無差別って言葉の通り、こっちには男女関係なく登録できる。ま、恥をかきたくなきゃ素直に男子部で出るのが普通なんだがねぇ」

「高津プロ、ありがとうございます。

 解説の通り、実は男子も出場できるルールだった、ということです。

 ではそろそろ先鋒戦が始まります。

 提出されたオーダー表によれば、

 白馬は3年、犬吠埼清良選手」

「この子はまさに守備型だね。相手のエースをシャットアウトしてしまおうって魂胆さ。

 鳴きも上手いから聴牌も速いし和了率も高い。

 その代わりに打点が低くなりがちだが……エースを潰して後ろに稼ぎを任せるって戦略なら問題にならんね」

「諏訪女子は1年、水元枢選手」

「この子は――不思議な打ち筋を見せるね。

 誰かに牌が偏ったときに限って、それを狙い撃つような手牌になる傾向がある。

 エース級には妙なツキを持った子が少なくないからね、対エースとしても機能するいい打ち手さ。

 もちろん、この子の実力自体も全国で通用するレベル。1年だってのに楽しみな子だよ」

「鶴賀は3年、加治木ゆみ選手」

「この子は麻雀始めて2年だったかい?

 それにしちゃかなりのもんさ。筋が良い、いわゆる天才型だね。

 場の動きを冷静に判断して刺せる、厄介な打ち手だよ。惜しむらくはここが長野ってことだぁねぇ。

 天江衣がいる以上、生半な打ち手じゃ返り討ち。大将にならないなら地獄を知らずに済むから、インカレ辺りで期待したいね」

「最後に須賀は1年、須賀京太郎選手」

「噂の1年坊主さ。この子は……怖いね。男で超常打ちは――おっと失礼。

 まあ、なんだ。女目当ての痴れ者か自信過剰な思い上がりか。

 はたまた……。いずれにしろその目に焼き付けておくがいい」

「先鋒戦、いよいよスタートです!」





清良・枢・京太郎・ゆみ  の順

1半荘目

東一局  ドラ:七萬

清良「よろしく~」

枢「よろしくお願いいたします」

京太郎「よろしくお願いします」

ゆみ「よろしく」

清良(へっへっへ、良い感じ。開幕どかんといっちゃう?)


 ややチャラチャラした雰囲気の軽い清良。胸は小さい。

 配牌も良く軽快に向聴数を落としていく。だが彼女の勝負勘は警鐘を鳴らす。


清良(……? なーんかヤバげ。鳴いて流れを変えよっと)

清良「ポン」

「おっと、犬吠埼選手ここで唐突に鳴きましたね。あまり意味のある鳴きとは思えませんが」

「確かに意味は無さそうに見えるけどね。勘に従ったんだろうよ、ほうら――」

枢「ツモ。メンタンドラドラで2000・3900」

「あの鳴きがなきゃ満貫だったね。100点とはいえ、安くなったろ?」


清良   96100
枢   107900
京太郎  98000
ゆみ   98000

東二局  ドラ:九筒

清良(チッ。いきなり親ッ被りとかマジ最悪)

枢(上々の滑り出し。軟弱軽薄な男などに神聖な雀卓を汚させてなるものか)

京太郎(この枢って人、強いな。下手すれば絃さん並かも)

ゆみ(聴牌はできそうだが……役が付かないな)


 四者四様の思いを抱えながら打牌する面々。

 巡目も過ぎ、海底牌が見えてきたが誰も役がつかず和了できないでいた。


京太郎(くそッ、全然ダメじゃないか! 俺の麻雀はこんなんじゃないだろ……!

    泥臭くてもカッコ悪くてもいい、一歩でも前に行け!)

枢(むぅ、和了れないな……)タンッ

京太郎「ロン! 河底のみで1600!」


清良   96100
枢   106300
京太郎  99600
ゆみ   98000



東三局  ドラ:八筒

清良(安っ。やっぱ男子じゃこんなもん?)

枢(不覚! 安いからといって放銃して良いわけではないというのにッ)

京太郎(和了れたぞ。この勢いを逃さないように……)

京太郎「リーチ」

ゆみ(ダブリーとは、勢いがあるな。私もそう遠くないうちに聴牌できそうだが)


「ここで須賀選手がダブルリーチです。前局は河底ロンのみとはいえ和了していますし、

 これは流れを掴みましたかね?」

「いや……ダブリーとはいえ他の役は無い。こういうときは大抵やられるもんさ」


清良「おっと、それでロ~ン。タンヤオのみだけどぉ、男子にはこれで十分だよねぇ。1000点とリー棒ごち~」


清良   98100
枢   106300
京太郎  97600
ゆみ   98000

東四局  ドラ:西

京太郎(くっ、やられた……)

清良「ノーテン」

「「「聴牌」」」


清良   95100
枢   107300
京太郎  98600
ゆみ   99000


東四局一本場  ドラ:九索

清良(もぉ、最悪ぅ。罰符で3000点は痛いよ)

枢(どうにも上手く回らない。この局も流局だな)

ゆみ(他3人も聴牌はしてそうだが、危険な予感はしない。流れるか?)


 そうして再び海底牌が近づく。誰も和了れずついに。


京太郎「ツモ。海底撈月のみの1本場で500・800」


清良   94600
枢   106800
京太郎 100400
ゆみ   98200


南一局  ドラ:三萬

枢「ツモ。メンタンドラドラで2000・3900」

「これは、東一局と同じような展開でした」

「とんだ偶然さね。こういうのも面白いところだけどね」


清良   90700
枢   114700
京太郎  98400
ゆみ   96200


南二局  ドラ:七筒

枢「ツモのみ。500オール」


清良   90200
枢   116200
京太郎  97900
ゆみ   95700

南二局一本場  ドラ:九萬

京太郎「ロン。タンヤオのみの1本場で1600」


清良   90200
枢   114600
京太郎  99500
ゆみ   95700


南三局  ドラ:八萬

ゆみ「ロン。七対子のみで1600」


清良   88600
枢   114600
京太郎  99500
ゆみ   97300


南四局  ドラ:南

「全体的に場が安く仕上がっていますね」

「そういう流れってことだろう。こういうときに我慢するのも麻雀だ。

 高めを狙っても和了れなきゃ意味が無いからねぇ。素直に和了るのも大事さ」

清良(危ない気がしてドラを抱えてたのが良かったっぽ。っていいとこなしじゃんあたし!

   こんなで前半戦折り返しとか勘弁なんですけど!?)

枢(高めを狙った時に限って他家に先に行かれるな……。欲張るのはダメか)

京太郎(原点を割ってる……。このままでは終われない)

ゆみ(ふぅ、どうにか焼き鳥は避けられたな。

   荒川憩や霜崎絃が後ろにいることを考えれば、できれば今のうちに稼ぎたいんだが)

京太郎「ロン! 發トイトイで3900!」


清良   88600
枢   114600
京太郎 103400
ゆみ   93400

「準決勝先鋒戦の前半が終了いたしました。

 現在1位は諏訪女子高校、14600点を稼ぎました。

 続いて2位はチーム須賀。3400点を稼ぎ男子の意地を見せています。

 3位は鶴賀学園高校、6600点を失いました。

 4位は白馬高校。放銃は1回だけでしたが、ツモで削られ11400点失っています。

 前半戦を見ていかがですか、高津プロ」

「まだ1半荘目だからなんとも言い難いけどね、

 やはり水元選手は強いってことだ。7700を2回和了っているし、

 全局で聴牌に成功している。これを崩すのはなかなか骨だろうねェ」

「なるほど。では須賀選手はどうでしょうか? 珍しい男子選手ですが」

「面白い子だよ。途中河底と海底で和了っているけどね、

 あれは最後まであの子が諦めていなかったからさ。

 諦めた人間に麻雀の神様は残酷だ。無慈悲とも言える配剤をすることもある。

 だからこそ、倒れるときも前のめりって姿勢はいいね。応援したくなるじゃないか」

「そうですか。解説ありがとうございました。

 30分の休憩をはさみ、先鋒戦後半開始です。

 テレビの前の皆様も今のうちに御休憩を済ませてくださいね。

 できればチャンネルを変えずにCMもご覧ください」

2半荘目

東一局  ドラ:四筒

清良(こりゃダメだわ。無理はしなーい)

京太郎「リーチ」

枢(ふむ。早めのリーチ……一応警戒しておくか)

ゆみ(安牌がないな。無理はしたくないんだが……ん?

   諏訪の選手はリーチを警戒して安く仕上げる算段か?

   だったら差し込んで流すのもありか)トン

枢「ロン。平和のみで1000」

清良   88600
枢   116600
京太郎 102400
ゆみ   92400


東二局  ドラ:八萬

枢「リーチ」

京太郎(ダメだ、前局でリーチを流されたのを引き摺ってるのか牌が来ない)

ゆみ(まずいな、どんどん差が広がっていく。差し込みは正解じゃなかった)

枢「ツモ。リーチツモ中の……裏は無しで2600オール」


清良   86000
枢   124400
京太郎  99800
ゆみ   89800

東二局  ドラ:五筒

清良(ツモられちゃしゃーない。切り替え切り替え)

枢(裏が乗らなかったか。和了れたから良しだが、精進せねば)

京太郎(本当に強い。こういう人がいるから油断ならないんだよな。

    そしてこういう出会いが面白いんだ)

ゆみ(9万点を切ってしまったか。そろそろ攻めないとまずいか?)


「水元選手、配牌はなかなかの好手でしたがその後のツモが揮いません」

「こういうときにどう打つかでそいつの真価が問われるね。

 まあ、この子ならそう下手は打つまいよ」

京太郎(……加治木さんだったか、だいぶ無理に攻めてるな。これなら――)

ゆみ(あと一歩。満貫には届く手になる)タンッ

京太郎「ロン! タンヤオ平和一盃口赤2ドラ1で跳満、1本場は12300!」


清良   86000
枢   124400
京太郎 112100
ゆみ   77500

東三局  ドラ:中

清良(うはぁ、ありゃ痛そー。ま、あたしならあんなのに振り込まないけどー)

枢(ここにきて跳満。なかなかやるじゃないか。だが、そのまま進ませるわけにはいかない)

京太郎(おっと、やたらとこっちを見てるな……。

    でもいいのか? 麻雀は4人でやるゲームだぜ? ほら――)

ゆみ「ロン! 三暗刻トイトイ中ドラ3で倍満、16000だ!」


清良   86000
枢   108400
京太郎 112100
ゆみ   93500

東四局  ドラ:四萬

清良(ありゃりゃ。倍満とか痛いってもんじゃねー。

   つってもこれであたしが最下位だし、このまま帰ったら何言われるか)

枢(くっ、何たる、何たる不覚! 意識するあまり警戒が疎かに……!)

京太郎(索子が揃ってるな……。これならギリギリイケるか?)

京太郎「ポン」

ゆみ(よし、よし! このまま攻めていく)

京太郎「それチーです」

清良(染め手? ちょっとあからさますぎじゃない?)タンッ


「とでも考えてるんだろうねぇ。そうやって舐めているから――」


京太郎「ロン! ピンフドラ2で3900!」


「こうなるってわけさ。

 それでも九筒を避けてチャンタを乗せなかったのはさすがと言ったところだけどねェ」


清良   82100
枢   108400
京太郎 116000
ゆみ   93500

南一局  ドラ:五筒

京太郎(っし。このまま攻めるぞ)


「まあ、調子に乗るとダメなんだけど」


枢「ロンだ。トイトイのみで2600」


清良   82100
枢   111000
京太郎 113400
ゆみ   93500


南二局  ドラ:六萬

枢「リーチ」

京太郎(これは……!)トン

清良(マッズ! ってチャラ男ナイスぅ!)

清良「ポン!」

枢「見事。されど逃れられんよ。

  ツモ! リーチメンタンピンドラ、一発は付かずで満貫。4000オール!」


清良   78100
枢   123000
京太郎 109400
ゆみ   89500

南二局一本場  ドラ:五筒

枢「ロン! 安いがな。タンドラで2900の1本場で3200!」

清良   78100
枢   126200
京太郎 109400
ゆみ   86300



南二局二本場  ドラ:六索

清良(これ以上乗せたらまずいっての。あたしにも意地ってもんがあんだから!)

清良「ツモ! トイトイのみで2本場は900・1500!」


清良   81400
枢   124700
京太郎 108500
ゆみ   85400

南三局  ドラ:四萬


.            _,.. -- 、__, 、___
            .⌒>.::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ、
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            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
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            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_
               ヽ;:::::::::::::::::::::::::

                ,':::::::::::::::::::::::::::`:::::::::-、
               ,...:':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
           ,....::::'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i、
           .i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
            :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',



「水元選手が連荘で一気に稼ぎました。現在トップです」

「あー。こらまた……」

「ええ、見事な打ち回しでしたね。刀で切り捨てるような快刀乱麻っぷりでした」

「違う、そうじゃない。……そうかそうか。まだ孵化すらしてない卵か」

「……? 高津プロ、どうされたんです?」

「いやさ、卵ってのは孵ってみるまでどんな雛が入ってるか分からないものだろう?

 あたしゃ、てっきり虎か何かだと思ってたんだがねぇ」


清良(なんとか止めれたけど、なに、なんなのこの寒気っ)

枢(……。もう少し稼ぎたかったんだが仕方ない。そう甘い卓ではないのだから)

ゆみ(おかしい。どこにも変なところはないのに、ツモにも捨牌にも違和感がある)

京太郎「ツモ。トイトイ混老頭。4000オール」

清良   77400
枢   120700
京太郎 120500
ゆみ   81400

南三局一本場  ドラ:北

清良(うげぇ。また満貫? 放銃してないのに23000点も削られて。

   個人戦だったら飛び寸前だよ)

京太郎「リーチ」

枢(――ッ!? ダメだ、避けなくては)トン

京太郎「ロン。チャンタドラ3の1本場で12300」


清良   77400
枢   108400
京太郎 132800
ゆみ   81400


南三局二本場  ドラ:九索

京太郎「ノーテン」

「「「聴牌」」」


清良   78400
枢   109400
京太郎 129800
ゆみ   82400



南四局流れ三本場  ドラ:六筒

清良(と、止まった。あっぶねー。満貫止まりでも連荘されたら追いつけなくなるとこだった)

枢(なんてこと。これでは単純な力負けではないか……!)

京太郎(これで終わりだな)

京太郎「リーチ」

ゆみ(なっ、マズイ、もう安牌はないぞ……。一発を避けられただけで終わるのか!?)トン

京太郎「ロン。リーチ一盃口ドラ4で跳満、3本場は12900」


清良   78400
枢   109400
京太郎 142700
ゆみ   69500

「先鋒戦決着しました。なんとなんと、下馬評をものともせず。

 今大会唯一の男子選手須賀京太郎がトップです。

 前半で3400点、後半で39300点を稼いでの142700点。

 続いて2位は諏訪女子の水元枢選手。

 前半は14600点を稼いだものの後半に須賀選手の爆発で失速。

 5200点を失い合計で109400点となりました。

 3位、白馬の犬吠埼清良選手。

 大きな放銃は無かったもののツモで削られ、

 前半11400点、後半10200点の失点で78400点で先鋒戦を終えました。

 そして4位は鶴賀の加治木ゆみ選手。

 後半の東三局に水元選手から倍満を和了するなど気を吐きましたが、

 放銃も多く前半は6600点、後半は23900点を奪われ69500点となりました。

 高津プロ、先鋒戦を振り返ってどうでしたでしょうか」

「少年の底力の勝利、ってとこかねぇ。

 後半は結局サンコロ。前半は打点が伸びなかったが4回、

 後半は満貫2回の跳満2回を含む5回の和了。

 何回か放銃はしたが大きな手に振り込んだりはしていないし、

 この結果は妥当としか言えないね。

 他の3選手も決して弱くは無かった。特に水元選手は光るものを見せてくれたが……

 それを上回る実力を持っていたってことだろうねぇ。

 いやはや……老いぼれを楽しませてくれるじゃないか。かっかっかっか!」

「ありがとうございました。15分の休憩を挟みまして次鋒戦を迎えます。チャンネルはそのまま!」

チーム須賀控室

「お疲れ様ですよーぅ♪」

「お疲れ様っす」

「お疲れ様ね京太郎さん」

「お疲れ様」


 俺が控室に戻ると、準備を終えて静かに座っている数絵と、

 俺の対局を労う3人とが迎えてくれた。


「諏訪女子の水元さん……だったかな。思いのほか強かったから参った」

「そうですねーぇ。あの人なら全国でも普通にレギュラーを張れるレベルやね」

「強豪でなければエース扱いだわ」

「京ちゃん相手にプラス収支っすから、私が出てたらきつかったっすね」

「次は数絵の番だな。スロースターターだから少しはやりやすい土台を作れたかな?」

「ふふ、京太郎。私は0点だったとしても巻き返すつもりだから大丈夫よ」


 精神集中をしている数絵が俺の言葉に反応して柔らかく微笑む。

 緊張はしていなさそうだ。これなら何の問題もないだろう。


「おう、後は頼んだ」

「もちろん。じゃ、行ってきます」

次鋒戦

妹尾佳織       
属性 :O 
技量 :G

直感 :G
必然力:S
・スキル
【豪運】虹
(効果A)
 和了判定でゾロ目が出た場合、出たゾロ目の数字+3翻で強制和了。
(効果B)
 和了コンマが1位のとき、跳満以上の打点に放銃しない。
(効果C)
 ゾロ目大成功がゾロ目±1まで拡大する。
(効果D)
 日常判定で失敗した場合、1度まで再試行できる。
(効果E)
 このスキルは【豪運】もしくは同等以上の幸運系スキル以外では干渉できない。

【永遠の初心者】
 判定値を-20。




高嶺雛菊      
属性 :D 
技量 :F

直感 :E
必然力:D
・スキル
【百花繚乱】虹
(効果A)
 判定を+20。
(効果B)
 聴牌判定順位が自身より低い者がいる場合、和了判定値を+5×人数分する。
(効果C)
 打点が流局の場合、1,000点相当で強制和了。
(効果D)
 自身の判定コンマが100の場合、役満で強制和了。



速水直葉     
属性 :O 
技量 :B

直感 :B
必然力:D
・スキル
【チャンス○】
(効果A)
 リーチをかけたとき、和了判定を+10し打点も+1する。
(効果B)
 一人聴牌のとき、和了判定を+10し打点を+1する。効果Aと重複する。

【ノビ○】
 自身の和了形がツモの場合、判定を+10し打点を+1する。


1半荘目

雛菊「ツモ!」「ロン!」「ツモ!」


「おーっと、諏訪女子の高嶺選手怒涛の和了です」

「打点はやたらと低いが……流局しそうなところで上手く拾ってるね」

数絵(打点が低いから痛くもないんだけど、連荘されたら面倒ね。

   東場だからって手をこまねいていたら長引いてたまったもんじゃない。

   だから――)

数絵「ツモ。チャンタ三色で満貫、8000です」


「須賀の南浦選手、満貫和了で高嶺選手の連続和了を止めました」

「南浦のジジイんとこの秘蔵っ子だけある。

 聞いた話じゃ南場に力を発揮する追い上げ型らしいんだけどねぇ」


佳織「えっと、みっつずつ、みっつずつ……。

   あ、それです! ロン、でしたっけ? えっと……」


雛菊「ツモれば四暗刻の倍満手!? 親倍で24000点ってきっついよ!!」


「これは痛い失点です。稼いだ分がほとんど吹っ飛んでしまいました」


雛菊「でもまだ諦めないもんねっ。取られたら取り返すよっ。ツモ、2000・4000!」

直葉「まったく、ぴーぴー五月蠅いと思ったら大きいのまで。

   それロン。倍満は1本場で16300だ」

「白馬の速水選手、倍満を和了して前半戦終了です。

 トップは変わらず須賀、南浦数絵選手は7800点を稼いで150500点で折り返し。

 続いて2位は白馬、速水直葉選手が倍満和了を含む18300点を稼ぎ、

 96700点で後半戦へ。

 3位は諏訪女子、小和了りを重ねましたが倍満に放銃をしてしまい

 19100点を失い90300点で終了。

 そして4位は鶴賀、妹尾佳織選手。倍満や満貫を和了しましたが放銃も多く、

 7000点を失って62500点で後半戦に突入します」


「高嶺選手は和了率自体はいいんだが、放銃するときはやたらと高い手に当たるね。

 攻めに偏重していて防御が薄いというのも一因だけど、何より運が悪かったよ。

 速水選手はさすがの一言だねぇ。白馬は先鋒で凌いで次鋒で稼ぐ戦略だったんだろう。

 差が大きすぎて届くかは微妙なところだが、こればっかりは巡り合わせだ。

 南浦の嬢ちゃんは……満貫やチッチーを和了ってはいるんだが、周りが派手に動いているせいで目立たないねェ。

 安定してるってのはいいことだから褒めていいんだが。

 妹尾選手は……ありゃ完全に素人だ。ビギナーズラックがとんでもなくはまってるのは驚きだよ」

2半荘目


佳織「えっと、ロンです! タンヤオどらどらどらどらで……8000点?」

雛菊「ツモ! チートイタンドラで1600・3200っ」

直葉(チッ、やりたい放題やってくれちゃって……)

直葉「ロン。満貫は8000点だよ金髪さん」

雛菊「ロン! 1000点ですっ」

数絵(また小和了りを……。やられっ放しは性に合わないのよね)

数絵「ロン、南ドラ3で7700」

佳織「えっと、リーチです?」

直葉「悪いけど先にツモだ。満貫は2000・4000」


「流局もなくスピーディに局が進行していますね」

「全体的に欲しい牌が欲しいときに来てくれてる感じだからねェ。

 ほら、言ってるそばから」


佳織「ろ、ロン、です! 前と同じですから倍満……ですよね? 24000点ですか?」

直葉「ぐっ。親じゃないから今回は16000点だよっ。痛いなぁ」

雛菊「それじゃ締めはいただきますよ! ロン、1000点ですっ」

「これにて次鋒戦終了です。

 1位は相変わらずの須賀。南浦選手は3100点を積み上げ合計で10900点。

 チームは153600点です。

 2位は追い上げて諏訪女子。小さく和了りを重ね1300点を失うに留めました。

 合計はマイナス20400点でチームは89000点。

 3位は捲られ白馬。満貫を和了るものの倍満を放銃してしまい失点は8600点。

 前半と合わせて9700点の得点で88100点。

 4位は変わらず鶴賀。後半は放銃も少なく6800点を稼ぎ合計の失点を200点に抑えました。

 チームは69300点」


「次鋒戦は実力的には飛びぬけてる子はいなかったけどねぇ。

 ペースを崩さず打った南浦選手に軍配が上がったと言えるよ。

 高嶺選手は頑張っていたけど放銃を重ねちゃいくら和了ってもね。

 妹尾選手はペースこそ崩さず真っ直ぐだったけど、

 そもそも実力不足。麻雀は運も大事だけどそれだけじゃ勝てないゲームさ。

 速水選手は前半はさすがだったが、後半直撃を受け過ぎたね。

 これは運が悪かった。運だけじゃ勝てないが運がなきゃ負けるのさ」


「高津プロありがとうございました。

 さて次は中堅戦です。この試合の分水嶺とも言える点差になっています。お見逃しなく」

控室

「ただいま帰りました」

「お疲れ!」「お疲れっす」「お疲れ様ですよーぅ!」「お疲れ様」


 数絵が控室に戻ってきた。大負けするようなことはないと信じていたから、

 観戦するのも気楽だった。俺はもう出番が終わっているのだから。


「まったく、開幕満貫放銃したときはどうなることかとひやひやしたぜ」


 だからこそこんな軽口も出る。0点スタートでも勝つと言ったのだ、弄ってやらないと。


「~~っ」


 数絵もぐうの音も出ないようで恨めしそうに睨んでくる。


「なんだかんだ言って京ちゃんが稼いだ分余裕があったっすからね。

 気構えと実際の動きは別っすよ」


 見かねた桃子がフォローする。

 ステルス体質が無ければぽっちになんて絶対なりそうもないほど良い奴だ。

 不幸を喜ぶのは良くないが、その体質のおかげで出逢えたのだからなんともはや。


「モモちゃん、時間は大丈夫?」

「っと、もう行かなくちゃっすね。……暴れてくるっすよ!」

「ええ、行ってらっしゃい桃子」「いっそ飛ばしちまえ!」「後はよろしくね」「気張って来ぃや~!」


 桃子はかなり気合が入っているらしい。俺でも今見失いかけたくらいだ。

 初見の相手には絶対捉えられないだろう。……蹂躙になりそうだ。

中堅戦


津山睦月     
属性 :D    
技量 :D

直感 :D
必然力:D
・スキル
なし


浅葱扇奈       
属性 :D     
技量 :D

直感 :C
必然力:E
・スキル
【ピンチ×】赤
 放銃判定を-10し、放銃した場合にその打点を+1。


諏訪奈々      
属性 :O     
技量 :F

直感 :B
必然力:E
・スキル
【打牌○】
 放銃判定を+10。

「さていよいよ中堅戦。高津プロ曰く勝敗の分水嶺。

 高津プロ、特に注目の選手など居られますか?」


「諏訪女子と白馬の追い上げ……と言いたいがね。

 この卓で一番怖いのは東横桃子選手だろうさ。

 牌譜をちっと眺めてみたんだけど、大胆な切り方をしながらもここまで放銃ゼロ。

 同卓した子たちが東横選手の和了宣言にやたらと驚いたりもしている。

 カメラ越しじゃ分からない何かをしてるんだろうねェ」


「それはつまりカメラすら欺くイカサマということですか?」


「馬鹿言っちゃいけないよ。

 審判員には暗黒時代を生き抜いたサマの使い手だっている。

 そいつらの目と勘、映像記録、そして牌譜出力可能な全自動卓。

 これが揃ってできるサマなんざ存在しない。

 アタシの言い方も悪かったがね、証拠もないのに雀士をサマ師呼ばわりは大罪だよ。

 今すぐ土下座して謝るか二度と麻雀に関わらない生き方か、あるいは死か。




                  選  び  な                   」





「高津さん高津さん、その声はまずいですって。後で言い聞かせておきますから、

 どうかその辺で……ほら君も謝って!」


「す、すみませんでした」


「……チッ。小僧の顔に免じて今回だけは見逃してやるよ。まったく、嘆かわしい」

桃子「ありがとうございましたっす」


「「「――」」」


「ちゅ、中堅戦がただいま終了いたしました。しかし、これは……」

「惨い、とはこのことだねぇ。確かに分水嶺とは言ったが、これじゃ試合自体が決まっちまったよ」

「えー、失礼いたしました。

 中堅戦が終わり、1位はチーム須賀。東横桃子選手が前半に14000点、

 後半に、なんと139900点を稼ぎ開始時の倍にもなる307500点としました。

 東横選手は+153900点の荒稼ぎ。

 2位は鶴賀。津山睦月選手は前半を-3200点、後半を-26000点で終え

 前後半合計-29200点。チームは40100点。

 3位は諏訪女子。浅葱扇奈選手は前半-25100点、後半-31100点。

 残り点数を32800点としています。

 最後に4位は白馬。諏訪奈々選手は前半こそ14300点のプラス収支、

 しかし後半を-82800点。チームの残り点数は19600点です。

 高津プロ、解説をお願いします」


「解説っつったってねェ。

 なんだ、前半の半荘はまだ勝負になってたってのは収支を聞けば分かるだろう。

 浅葱選手が攻め急ぎ過ぎて放銃を重ねたのは良くない点だけど、

 点差を考えたら仕方ないさね。開始時点で既に6万点も差があったんだから。

 諏訪選手と東横選手がそれを上手く狙い撃っていた、ってとこだ。

 だが、後半はね。開幕の東一局で東横選手が子の役満を津山選手にぶち当て。

 その後東四局の親で一番安くて2600オール、高いので三倍満。そんな連荘をされたらこうもなるよ。

 諏訪選手は前半調子が良かっただけに意固地になったのが良くなかった。

 東横選手の術中で無理に攻めた結果、親ッ跳ねや親三倍を喰らったんだから。

 そんな中でも津山選手は役満放銃したおかげか、大人しくしていたからどうにか直撃を避け、途中途中で和了もしつつ凌いだね。

 役満を振り込むのは仕方が無かったとして、そこからムキにならず冷静に打ったのは褒めてやっていいんじゃないかね。

 恐ろしい1年が出てきたもんだよ、ほんと」

「ありがとうございました。引き続き副将戦を中継して参ります。

 女子高校生たちの奮闘を、どうか最後までご覧ください」

控室

「京ちゃ~ん、やったっすよ!」


                       _____
                        ..::´:::::::::::::::::::::::`::.
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                    ′|l:::l:|:l:::|::l:|::::::| l/ _}从::::リ:::::::.
                  /::::::|l:::l:|:lハ从:::::|/ィてハ`}/:: l:::::|
                    /::/:::八从{ィてハ\{  Vツ l|::::::l:::l:|
              /´/::::::::::|:::::l:l Vツ   ,  |'''小::::l:l:l:|:\
             /  /:::/:: :: |:::::込、'''' ー ´ |/ |:::::::}川:::::::\
            /   /:::/::l:::::::|:::::|:::::|≧=、-  |/ |:::::/: : /\::::::.
             {   /:::/:::|l:::::::|:::::l八l: : :∨\/ j/ :l:.//: : }:::::}
                {::/l:::::|l:::::::|:::::l: : : : l: :∨《:i:i》∨ : : ∨:/: :|:乂
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                    )′∨ |: :/: : : :|: : : Ⅵ:Ⅳ: : :|: : : ∨ ;
                    ∨ : : : _|: : : :‘∨: : : :|: : : : ∨
                    |: : : : : :\: : :0l : : /: : : : : |
                     八: : : : : : : \:.:l / : : : : : : 八
                     \: : : : : :.-\{: : : : : : :/: :.
                      }≧==┬‐┿‐┬=≦: |: :.∧

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                    /: : :|:.l: : : :.l : : l : : |: : : : :.|: : : :.∧


「お、おう。ナイスモモ」


 桃子は控室に戻ってくるなり、俺に飛びついて来た。

 先ほどの蹂躙劇を見せた者と同一人物だとはなかなか思えないだろう。

 愛らしいのはいいのだが、そろそろ引き剥がさなければ。

 桃子のたわわに実った二つの桃がぐにぐにと形を変えて、

 それを押しあてられている身としては場違いにも理性が限界を超えてしまいそうだ。

 すんすんと俺の胸元に押し当てた鼻を鳴らしているし、遠からず事故に発展しかねない。


「おーい、モモ。そろそろ離れようか」

「そやでー、モモちゃん。大活躍のご褒美は後でもらいましょうねーぇ?」


 いやいやと身体をくねらせていた桃子だが、憩さんの言葉にぴくりと動きを止める。

 気のせいか、憩さんから黒いオーラが立ち上っているような……。

「それにしても、宣言通りの大暴れだったわ」

「やー、役満と三倍満はできすぎっしたね。とはいえ偶然でもないっすよ。消えやすかったっすから」

「普段相手にする面子が強すぎるのよ」

「そうっすそうっす。おかげでちょっと加減を間違ってしまったっす」


 絃さんが珍しくフォローするように話題を戻し、桃子と数絵もそれに乗った。

 とはいえ二人が言うほど相手が弱かったとも思えないのだが……。


「そうか? 俺が戦った諏訪女子の人とか、憩さんほどじゃないにしても結構強かったぞ」

「あの子は別格ですよーぅ。しっかりした力をウチらも感じたもん」

「そうね。数絵が対局したラッキーガールにも力を感じたけど、

 あれは意識的に使おうとすれば逆に乱れて使い物にならないタイプだわ」


 妹尾選手だったか、彼女の幸運っぷりは何かの能力、ということらしい。

 逆に言えば水元選手と妹尾選手以外は語るほどの異質さもなく、

 実力的にも俺達より下なのだろう。実際点数を見てもそう言われて仕方のない状況だ。


「まあ、私は飛ばさないように適当に打ってくるわ。憩ともこが相見えるくらいはさせてあげないと可哀想。

 ということで、行ってくるわ」

「あ、はい。言ってらっしゃい絃さん」


 相変わらずの超然とした態度に上から目線。

 俺たちは悪意が無いことを知っているからいいが、端から見たらすごく嫌な人に映るのではなかろうか。

 歩くたびにチラリとチャイナドレスの裾から覗く真白い太股。

 男ならエロい美人だから許すかもしれない。俺もたぶん許すだろうし。

 そんなことを考えながら見送っていると、桃子と憩さんに抓られる。痛くて泣きそうだ。


                 .{    /               ;
                     人   /             ∧
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                    ̄ ̄ ̄` ー┬─‐:r'       ′   :,
                          |   |        :,     ′
                          |   |         ′    ′
                          |   |          :,     ‘,
                         ,:     !            ′   |‘,
                           /    ハ             i   | i
                         /   /  }             ‘、ー‐' |
                          /ー ´   /            \   |
                        (__ .  ´                `ー′

副将戦


蒲原智美       
属性 :D   
技量 :D

直感 :C
必然力:C
・スキル
【打たれ強さ○】
 放銃した次の局に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 連続で放銃した場合、その回数×10だけ判定をプラスする。


芦屋環奈    
属性 :O      
技量 :C

直感 :C
必然力:C
・スキル
【狐狗狸呼】銀
(効果A)
 聴牌に成功した場合、判定値を+20。
(効果B)
 聴牌に失敗した場合、判定値を-20。
(効果C)
 自身の和了判定値がゾロ目の場合、その局の打点が満貫に固定される。
 この効果は同卓者全員に及ぶ。


轟避々子     
属性 :O      
技量 :G

直感 :C
必然力:A
・スキル
【ブロック○】
 自身を対象に取ったロン系スキル発動時に発動。
 その効果を無効にする。

(中略)


「副将戦が終了いたしました。

 1位は変わらず須賀。霜崎絃選手は前半を+16200点、後半を-9000点。

 合計で+7200点としチームは314700点です。

 2位は白馬。轟避々子選手、前半を+17900点、後半を+10500点。

 健闘しチームの持ち点を48000点まで戻しました。

 3位は諏訪女子、芦屋環奈選手。前半は-16400点と揮いませんでしたが、

 後半は一転して+20500点と持ち直して36900点で踏みとどまりました。

 4位は鶴賀、蒲原智美選手。前後半を-17700・-22000と大失速。

 残り400点という厳しい状況で大将に繋ぎます。

 高津プロ、いかがでしたでしょうか」

「そうだねェ、まずは轟選手か。

 彼女は技術的にはかなり拙い感じだったね。

 それでも勘が鋭いんだろう、当たり牌を掴んだら抱えてオリていたし、

 逆に攻めの機は逃さずツッパって満貫や跳満を和了っている。技術を身に着けたらどうなるか、楽しみな選手だよ。

 次は芦屋選手。前半は良いとこなしの散々な運だったね。

 一時は持ち点を最初の半分まで減らしたけど、後半は割り切ったのか控室で何かあったのか、目の光が違ったよ。

 それがきっちり打牌に反映されて見事な麻雀だった。3年の意地を見せてもらった。

 そして蒲原選手。この子は……この子自身には悪いところも良い所も無かったかねェ。

 その分、気を吐いた二人に削られてずるずると落ちてしまったんだろう。

 焼き鳥ではないんだから実力だってないわけじゃない。ひたすら巡り合わせが悪かったと言えるよ。


 最後は霜崎選手だが……良くないね。

 前半は2回満貫を和了ったけど、後半は2000を一回だけ。

 ある程度稼いだから店じまいと判断して手を抜いていたよ。

 その気があれば鶴賀を飛ばして終わらせていたんじゃないかねェ?

 テレビ屋的には荒川憩を出してもらえてありがたいだろうけど、雀士としてはこの手抜きを褒めるわけにはいかないさ。

 この人を食ったような性格が大事な場面で悪い方向に働かないか心配だよ」

「ありがとうございました。

 いよいよ次は大将戦。残り1000点を切った鶴賀学園は生き残れるのか?

 果たしてどうなるか。注目の荒川憩がどんな麻雀を見せるのか、お楽しみに」

控室

「お疲れ様ですーぅ」「お疲れ様」「お疲れ様っす」「お疲れ様です」


 絃さんがぬるっと帰ってきた。危なげのない余裕の麻雀。

 対戦相手が必死だったことがより一層絃さんの凶悪さを引き立てていた。

 憩さんとは少し違う、貼り付けたような笑顔を保っていた蒲原選手も最後の方は泣きそうだった。

 チームメイトとしては絃さんを窘めるべきか労うべきか悩むところだ。


「京太郎さん。色々言いたいことがあるでしょうけど、こういうやり方も必要なの。

 わたし達が目指すのは全国、そしてその頂なのだから。

 食べるまでもない相手に全力を見せていては後々困るだけ。

 褒められた姿勢じゃないと思うでしょう。でもね?

 戦う相手が皆正々堂々とぶつかれる相手とは限らないの。

 勝負事の世界では、弱いことは罪なの。わたしも憩も、よく知っていることだわ」


 そういえば二人は天江衣に負けたから俺とチームを組んでくれたのだった。

 弱いこと自体はきっと悪いことじゃない。弱いままでいることがダメなんだ。

 二人ともそれを分かっている。

 だから以前よりも強くなった自分で天江衣と龍門渕を倒そうとしているのだろう。

 憩さんに視線をやる。すると困ったように笑いながら頷いた。


「ありがとうございます、絃さん」

「礼を言われるようなことはしていないわ」

「いえ。みんなもありがとう」


 絃さんと数絵は首をかしげているが、桃子と憩さんは優しく微笑んでいる。

 ここで俺が戦えるのはみんながいてくれたから。改めてその実感が湧いた。


「ふふふ、綺麗にまとまったとこでウチは行きますよーぅ♪」

「いってらっしゃい」「憩さんファイトっす!」「お任せします」「お願いします」


 見送る俺達にひらひらと手を振って、憩さんは軽快に歩いて行った。

大将戦

対木もこ     
属性 :O   
技量 :C

直感 :A
必然力:B
・スキル
【パワーヒッター】
(効果A)
 和了判定を+15。
(効果B)
 打点を+2。

【ロリータドール】銀
 可愛いモノには棘がある。
 自身がリーチをかけた場合に発動。
(効果A)
 和了判定値を+30。
(効果B)
 打点を+4。

【フォビドゥンラスター】金
 秘された渇望が牌を引き寄せる。
 1半荘で1度まで使用可能。
 跳満以上で強制ツモ和了。


赤井朱音      
属性 :D      
技量 :D

直感 :C
必然力:D
・スキル
【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。

【守備信頼感】
(効果A)
 放銃判定値を+15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-1。


音羽歩波     
属性 :D      
技量 :F    
直感 :B

必然力:A
・スキル
【スロースターター】赤
 東場の間、判定を-10。



朱音・憩・歩波・もこ  の順

1半荘目

東一局  ドラ:七萬

朱音「よろしくお願いします!」

憩「よろしくお願いしますーぅ」

歩波「よろしくー」

もこ「 よ  ろし   く」


「さあ泣いても笑っても最後、大将戦が始まりました。

 やはり注目は荒川憩選手でしょうか、高津プロ」

「そりゃそうだ。けどまあ、対木もこ選手からも目を離せないね。

 ……言ってる間に来たようだよ」


もこ(出し惜し  みは 、 でき ない !)

もこ「餓えは 望みを 引き 摺り 出す  ツモ 混老頭 東 北 自摸 で跳満。3000・6000」

朱音 30900
憩  311700
歩波 45000
もこ  12400



東二局  ドラ:四索

「対木選手、起死回生に跳満ツモ。生き残りに一歩前進しました」

「いや、確かにそうなんだが……これはまずいかもしれないねぇ」

憩「聴牌ですーぅ♪」

「「「ノーテン」」」

朱音 29900
憩  314700
歩波 44000
もこ  11400

東二局一本場  ドラ:四筒

もこ(憩 狙っ てた  躱し  て和了るた め には  どう 攻めた  ら )

歩波「リーチ!」

もこ(!? 憩  なにか  した  ?  なら 狙 いは  この 人  

   攻 めるなら  今!)タンッ  打:中


 上家のリーチに臆さず、むしろ好機と捉え攻めにかかるもこ。

 憩が何か干渉したことには気付いたが、鳴いたわけでもなく、

 場にうっすらと支配力を広げたことまでしか分からなかったのだ。

 だが、その動きを次への下準備であるともこは断じた。

 準備が整う前に安全圏へと入らなければ、死。

 足掻くもこ。

 そしてそれを見て悪魔のような笑みを浮かべる、荒川憩。


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二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
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::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙



憩「ロンですよーぅ」


 手牌が倒される。

 既に人形は手術台の上に置かれていたのだと言わんばかりに。


  1m2m3m 1m2m3m 


(一盃口  確定  でも  憩 なら  もっと  )


  3s4s5s 3s4s


(二盃口  ?  3飜  ならま だ――)


  赤5s 中 ロン:中

憩「二盃口ドラで11600の、1本場は11900ですーぅ」

朱音 29900
憩  327600
歩波 43000
もこ   -500

「け、決着!

 東二局一本場、荒川選手が対木選手から30符4飜を和了し、跳満で稼いだ分を丸々奪い飛ばしました。

 これによって、勝ち抜けは1位のチーム須賀。

 12900点を稼いだ荒川憩選手。

 チームの最終持ち点は327600点という未曽有の境地。

 2位は白馬高校。音羽歩波選手は5000点を失い、チームは43000点で終了。

 3位は諏訪女子高校。赤井朱音選手は跳満の親被りもあり-7000点。

 チームは29900点。

 そして4位は鶴賀学園高校。対木選手が開幕跳満和了で持ち直そうと奮闘しましたが、

 ノーテン罰符からの11900放銃で飛び終了。

 個人の失点は900点。最終点は-500点となりました。

 解説の高津プロ、これはどういうことなんでしょうか」

「まず最初。対木選手は望んで跳満を和了ったね。

 さすが400点じゃ軽いツモでも飛ばされかねない。

 できれば親番まで待ちたかったろうけど、その余裕もなかった。

 そして次、東二局。ここはかなりエグい局だったねェ。

 荒川憩が完全に場を支配していたよ。役牌鳴きの染め手気配を漂わせる捨て牌。

 威圧感も相まって赤井・音羽両名は早々にオリ。

 対木選手もさすがに役牌ホンイツには振りたくないと最終的にはオリた。

 だが、ここでオリさせて罰符を払わせることこそが荒川選手の狙いだったんだよ。

 ツモ和了はできそうにないと早々に見切って、

 ならばと狙おうにも対木選手も簡単に狙い撃てるほど甘い打ち手じゃない。

 だから次局への布石を置きつつ点を満貫圏内に落とす。

 そのための役牌晒し。罰符のほうが安いと思いこませることで引き出したのさ。

 そうしておいて、次局では七対子気配の二盃口。

 よりによって赤ドラを抱えておくという罠も噛ませていた。

 中は既に二枚切れていたし、実際その内の一枚は二巡前に切られたもの。

 おそらく、荒川選手には対木選手が自分の当たり牌を掴む確信があったんじゃないかねェ」

「これが全国2位の実力、ということでしょうか?」

「そうだね。その一端、というところだろうさ。

 恐ろしいのは局面局面で望む手を練り上げられるその運の強さ。

 麻雀が強い奴には割とよくあることだが、化け物じみた奴らだよ」

「ありがとうございました。

 なにはともあれ、チーム須賀が長野県決勝に駒を進めました。

 別室によれば、既に龍門渕高校と清澄高校が決勝進出を決めているとのこと。

 風越女子高校も現在大将戦前半を終えたところですが、2位と6万点差のトップ。

 決勝進出はほぼ間違いなさそうだとの情報です。

 決勝戦は15時00分からの開始が予定されています。


 皆様もどうかお楽しみに。それでは、実況は私、安曇 楓 と解説は」

「高津 カヨ」

「シニアプロでお送りしました」



 先鋒戦で1位だったため、全ステータスがわずかに上がった

控室

「ただいまですよーぅ」

「お帰りなさい」「お疲れ様でした」「お帰りなさいっす」「お疲れ様です」

「もこをピンポイントで狙ったのね」

「もこちゃんは打点が高いからなーぁ。さくっとやってもうたわ」


 戻ってきた憩さんと出迎える俺達。

 絃さんと憩さんで何か恐ろしい話をしている。

 全国区の相手を狙い撃つなんて、俺にはまだとてもじゃないができないだろう。

 桃子と数絵も同感なのか、複雑な表情をしている。


「まあまあ、みんなもそんな顔せんと喜んでええんやでーぇ?

 とりあえず、遅めのお昼御飯食べいきましょーぅ!」


 確かに決勝進出は喜ぶべきことだ。

 勝ったことを喜ばないのは負けた相手にも失礼だしな。

 こうして俺達は憩さんに促され、会場に併設された選手用食堂に向かった。

「お、犬発見だじぇ!」


 |       | ∨: : : :::|: : ::|: ://ィ´|/゙│: :/ }: : :: : }: : : : : : :: : : : : ',.
 {       |  ヽ::',: : !: :: :!/イ;=ヾ  !Ⅴ │: :: :/|: : :/: : : : : : : : ::', x ⌒ヽ、

 ∨      !  /:::::',: : ::.| ! ん::::::リ     |: : ィ´゙|: :/.|: ::|: : : : : : :::|: :トー 、_゙¨`'.,
.  ∨     .!  |:::::::ト\ { { 弋_.少     j/イ=∨./} /::.ノ::./: : : :}:人     ゙',: .}
   ∨     |  「¨丶\.\!:::::::::::       ん:::::リ |///::./}: : : :ノ: : :.',    ソ
   .∨    .!  |!  }::::::::>`=‐' rv 、   .辷.゙ソノ /: :: :.(丿 ィi゙: :::}',::}
    ∨   |  リ .j\::::::::::\  |   \ .::::::::::.  /).: : : : :\.ノ|:: : :|}::|
     .∨   |  .{ / ヽ\.ー─'. !    .y' :::::::  //: : : : : :/: :}: : ノ|/
      ∨  !  ./ i i!\\ヽ、 ヽ ,./    , イ:: : : : : : : : : : :!// .j
      ∨    /  .| 巛ヘ:::: ̄>= -‐ , ' "´. : : : : : : : ::/ヽ,: ::|‐'゙
     /.∨  ./  .| .}三=ヾ:::ヽ._,.、 /ミヘイ`゙イレイ|/  ヽ:j

    //  !  /     \三=\::!ィ^つ ¨` 、_   .′
    //   {  /       \三=.\儿 |::::::::::::::::::゙`丶、
   .//    ヘ/         .ゝ三三} |::::::::::::::::::::::::/ヽ、
  //     ノ            ヽ三| ./:::::::::::::::::://   .>.、
 .//     {              ∨丿∠三三三/   ./   ヽ、
../__二二二二ヽ             {二..}´ ̄ ̄ ̄´ |  /      `ヽ、
         ∧            .ハ        }/         \



 食堂についた俺の耳に、そんな懐かしくも腹立たしい声が聞こえた。


「誰が犬か! ……その様子なら無事決勝に進んだみたいだな、優希」

「おう、当たり前だじぇ! 咲ちゃんものどちゃんも強いからなー」

「お前だって普通に強いだろ。つか清澄は5人とも強いから決勝は当然か」


 お約束のツッコミを入れ、楽しそうな優希を見れば決勝に進出したのは分かった。

 考えてみれば当然か。あの5人で負けるとすればくじ運が悪く早めに龍門渕とぶつかるくらい。

 信じていないわけではなかったが、あまりに分かりきったことを言ってしまったものだ。


「あら、須賀君じゃない。そっちも決勝に来たみたいね」


           _
        , . : : : : : : : : . 、
      , : : : : :/:,ィ: 、: : : : 、
     , :/: : ://{:.ソヘ∨: : : .

     /: : : :7´  ヾ.-キ∨: : : ,    , 、_
    ,イ: :/:./{゙`   ,ィzュ、}: :i: : ,   {、ヽ\
    / {:.7: ヘ ィf心   ひサi: :|: : ,   ',ヘ ヽ ',
   ,'  ,: : {:.ヘ ゝ-'  ,  `¨ ,: リ: : }   ヘ `ヽ 、
      ヽ: : :ハ   vァ  .ノ:./: :ノ    }、  }、
      ヽ` 、: :.‐-. , イ j=´     λ;.;¨;.;.}、
         ¨{:゙:¨´} /: : ;j.;’,.、   ヽ`ー‐’}

        /: :∠__/: : :/;.;.;.;/ヽ   |    i
       /;.{:./  /{;/;.;.;.;/ /  ヘ  .i     .i
      Y.{{;.;.;/ /;.;.;.{!.;.;. /{ ,'    ヽ}     .i
       {ム;.;.{/;.;.;.;.;.;.;.,.イ  ',\      }    }
      i゙ー{ }-- '"     } ,イ\   〈     ,
      i!. }i;i{         / /.   \ ヘ    リ
      〈ヽ|i;i;|       ,' 7     ヽ    /
       } |;i;i|   /   { 7       ` -'
       i |;i;i;|  /       {


 そんな自分に内心苦笑していると、トレイを持った竹井先輩が声をかけてきた。

「竹井先輩。お久しぶりです。その節はお世話になりました」

「やーねー。先輩として当然のことをしたまでよ。

 そんな恩に感じてくれてるなら決勝で私たちに負けて頂戴な」


 俺に麻雀の楽しさを教えてくれた一人である竹井先輩。

 本当に感謝しているのだ。

 竹井先輩もおどけているが、感慨深いのか少し声が震えているように思える。


「アホ言うなや久。正々堂々、実力と運で勝った奴こそ全国に相応しいじゃろ」


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    !::::|;ハ:!f' r:::ヽ     _´__i::;:::::;:::::ヽ:::.:.:!
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    ヽ:::i:::>/ .i/ | ||`ー--‐'/ ̄::::/:/::/
      レVノ     |    イ:::,:;;;::/;人:i
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     ._|     /     トミ:、_
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<:.:゛、:.:.:.:/__:.:.`ヽ_/iー-、  -‐-i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ー-,、


「そうですね……。京太郎くん、負けませんよ」


               ____
         ,.' ´        `  、
      _,ィァ′        ヽ    \
       {少′  / ,i  l ト、  i   ,ィマ、
      Y /  /// | l| | ハ  辷='/|:..ヽ\
     イ ′ / | { | 从、|  } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
.     { | l |ィ爪 {(リ八「了 メ、 彡个rイト、

      リ、_! l リィチfト   '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
      l_,以 { ヒtリ    ヒztリ  |f リ| |:.:| |:.:|
      「 l 「ト'"   '     '""'  _,イ | |:.:| |:.:|
      } } ハ    tっ     ィ' ) ,j リ 刀 「
     / /,イ| |l>、    ,ィ |ノイイ / リ |
      / /リ |:! !仏ィ_〕¨     》,// / /| !
.    / / r廾 .|「{: |-、  __ / // ,ヘ〔 .j {
    〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
    } } /`Y'| {:.:.:.:.:.l    /: : 〈 〈:.:,イ´ /{,
    j/ }`ー冫j\:.:.:|  /: : : :___)ノ/i´r‐'='}
      ト ン′`ヾ >-r'< ̄ _彡冫=v'   人
.     }/:.:.   . :.:.[二]-:.―'´. : :.:.:.:.:V  / ∧
     i':.:.:.. . . .: : :∧Ⅵ:.:..  . . : :.:.:.:.:.:i // ,/ イ
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    _八     j:.:.!:..:|..  : : : :     ノ{    {
   { i   ヽ、._  |:.:.:.:.:|::         ,イ ヾ、_  |
   ∧ヽ  { >=-.¨|:.:.:.:.:|==-__--,イ}:{  丶、._〉
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 そんなところに、まこ先輩と和が続いた。

 軽口であったが今は部外者、ということだろう。

 周りに八百長を疑われても良くないということでまこ先輩は窘めたようだ。

 そして和。相変わらずの美少女ぶりだ。

 そういえば中間試験のテスト休みやら合宿やらもあり、

 学校で顔を合わせることがほとんどなかった気がする。

 和の目には闘志以外の何か、熱を持った想いが見え隠れしている気がした。

 そこまで考えてふと気づく。そういえば俺のチームメイトと清澄の面々は

 桃子以外は初対面だということに。挨拶くらいはしておいて問題ないだろう。


「こっちこそ。だよなみんな。ってそうだ、憩さん達は初対面だよな。

 紹介します。このちっこいのが片岡優希。清澄1年のタコス好き。

 んでこのピンク髪の美少女が原村和。同じく1年。

 そして緑髪で眼鏡をかけている人が染谷まこ先輩。憩さんと同じ2年です。

 赤髪の情に篤そうな人が竹井久先輩。絃さんと同じ3年です。

 こちらの黒髪ポニテが南浦数絵。南浦シニアプロの孫。1年。

 笑顔がチャーミングなナース服の人が荒川憩さん。全国2位の2年生。

 んでチャイナドレスの妖しいお姉さんが霜崎絃さん。元千葉の3年生。

 ……あれ。咲はいないのか?」


 俺が軽くお互いを紹介し、各々が軽い挨拶を交わす中。

 咲がいないことに今更気付いた。……迷子か?


「京……ちゃん……?」

 桃子とは違うその声に振り向く。すると、そこには驚き泣きそうな咲の姿が。


「お、咲。迷子になってるのかと思って焦ったぜ」

「きょ、京ちゃ~ん!」


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         |: : :{ \:、 r弋こソ    弋zソcl:.|、: :|

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 半泣きの咲が突っ込んでくる。直前で足を滑らせたのか、かなりの勢いだ。

 どうにか全身を使って受け止めることには成功した。


「ぐぉッ! さ、咲……」


 そんな俺を意に介さず、咲はごめんねと小さく言い続ける。

 そう、咲が入部したことで俺が麻雀部から追い出されたとでも思ってしまったのだろう。

 客観的に見ればそれも間違いとは言い切れないから仕方のないことだ。


「咲。何謝ってんだ。麻雀部を辞めたのは俺の都合だぞ?

 あの時お前にコテンパンにされたけど、そのおかげで今がある。

 俺、結構強くなったんだぜ? 一緒に戦ってくれる仲間もできた。

 ほら、全国トップクラスが2人もいる。俺だってほんとに強くなったんだ。

 今ならお前とやっても負けないかもな!」


 心配をかけた。迷惑をかけた。馴染めるように見ていたとはいえ、慣れない環境に放り込んだ。

 俺が咲にしたのは独りよがりで最低のことだろう。

 許してくれとは言えない。だから、少しでも明るく振る舞うべきだ。

 チームが別な以上、対局が始まれば敵同士なのだから。


「もう、京ちゃんったら」


 そう言って笑う咲。久しぶりに咲の笑顔を見た。懐かしさを覚える。

 どうにか咲のテンションも戻ったようで。これで真っ直ぐ戦える。

 後ろめたさも感謝も、卓に着いたら置いていけ。

 真っ直ぐ、貫くように打つ。それが俺にできることなのだから。

長野予選決勝 先鋒戦


「皆さんこんにちわ。こちらはインターハイ麻雀長野県予選大会会場より、決勝戦の模様をお送りします。

 実況は私、三科 健太 と、解説は佐久フェレッターズ所属の」

「藤田靖子だ。あ、かつ丼よろしく」

「えー、かつ丼大好き藤田プロでお送りします。藤田プロ、決勝に進出した四チーム――

 今回は部外枠によるチームがいるためチームと呼ばせていただきますが、それぞれの注目点をお教えいただけますか」


「んぐっ。ああ、いいだろう。

 まずは長野の名門、風越女子からだな。

 この学校は一昨年までは長野で6年連続全国出場を果たしていた、強豪だ。去年から3人メンバーが変わっている。

 その3人も去年のメンバーに劣るものではないし、据え置きの2人は確実に去年より実力を伸ばしている。

 風越の歴代でもかなり上位のチームに仕上がっているだろう。

 コーチの久保も去年の敗北を受けてそれまで以上に厳しく指導しているらしい。

 十分な実力を有した、強豪といって差支えない高校だな」


「なるほど。確実に強くなった堅実なチームということですね?

 続いては龍門渕高校はいかがでしょうか」


「もぐもぐ。……言うまでもなく強い。先鋒から中堅までは全国レベルだし、

 副将の龍門渕透華はドイツで収集・分析したデータを存分に活かした

 ハイレベルなデジタル打ちを得意としている。全国でも上位のレベルだ。

 さらに、大将の天江衣。去年の全国での結果を知っていれば語るまでもない。

 まさに怪物だよ。まあ、辛辣なところもあるが……そこはご愛嬌だな。ここも去年よりも当然実力は上げているだろう。

 あまり贔屓したくはないが、勝って当然とも言える。天江が出れば勝つ。前4人は天江に繋ぎさえすればそれで決まり。

 他校はどこまで足掻けるか、そこが見所だろう」

「藤田プロは親善大会で天江選手と会ったことがおありだとか。

 やはりプロと言えど面識のある選手の方が愛着もできるのでしょうね。

 次は……初出場の清澄高校をお願いします」


「私は確かに天江を気に入っているが、それだけで判断したりはしないさ。

 清澄だったな。……先におかわり頼んでいいか?」


「先に残りの2チームの解説をお願いします」


「ハァ、しょうがないか。……清澄は何と言っても原村和だろう。

 マスコミ的にもルックスが良くスタイル抜群な原村を追っているようだしな。

 無論、実力も本物だ。去年のインターミドル王者だし、

 その時点でもミスはあったがハイレベルなデジタル打ちだ。異常なほどの、な。

 相手の打ち筋を考慮しない、完全なデジタル。完成していたら手の打ちようがないかもしれん。

 とはいえさすがにそこまで仕上がってはいないだろう。5年もあれば可能性はあるがな。

 そうはいっても十分強い。並のプロよりも長期的に見れば強いかもしれないくらいだ。

 実際、ここまででも大将の宮永が出張るまでもなく終了させている。粗削りだが厄介なチームだよ」


「確かに原村選手はその容姿からマスコミ受けが良いですね。

 実力も裏打ちされていて、アイドル雀士的ポジションを確立しつつあると言っても過言ではないかもしれません。

 最後にチーム須賀についてお願いします」


「あー、ここはなんだろうな? 荒川憩と霜崎絃という大物を口説き落とした色男のハーレムチーム……に見えるが。

 準決勝の牌譜を見る限り先鋒から中堅に座る1年トリオもかなりの実力者だ。

 正直、男子でこのレベルの打ち手とか久方ぶりに見るよ。下手すれば初めてかもしれん。

 しかもこいつ、須賀京太郎と東横桃子か、清澄高校の出身じゃないか。

 部活で何かあったのかもな。まあ、あいつがヘマするとも思えんが……。

 ああ、すまん。とにかくこのチームは分からん。もしかしたらもしかするかもな」


「ありがとうございました。女子部と思われがちですが、実は男子も参加できる無差別級のようなルールだったんです。

 面白い対局が見れるかもしれない決勝戦、間もなくスタートです。お見逃しなく!」

須賀京太郎
属性 :O
技量 :B63
直感 :A77
必然力:B66
・スキル
【????】
 芽吹き始めた異形の力。
(効果A)
 聴牌判定値を+10。
(効果B)
 和了判定値を+10。
(効果C)
 打点を+1。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【一球入魂】
 球技の中でも指折りの激しさを持つハンドボールで鳴らした根性。
 まだ麻雀用に最適化できていない。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にする。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、打点を+1。

【朽ちた鋼の太刀】
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 ドラが八索の場合、満貫以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

片岡優希(合宿後)
属性 :O
技量 :E
直感 :C
必然力:C
・スキル
【TACO4S】銀 (初球○+チャンスメーカー+寸前×)
 名前にタコと付くものを取り込むことで自身の力を一時的に高めることができる。
 タコと名の付く物を食べた直後の対局時、東場の間のみ発動。
(効果A)
 場決めコンマに+30。
(効果B)
 聴牌判定値を+10し、和了判定値を+30する。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+30・打点を+1する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが1枚以上乗る。
(効果E)
 南入した場合、判定を-10。


福路美穂子    
属性 :D   
技量 :A

直感 :C
必然力:C
・スキル
【開眼】
 怪しくも美しい異色の双眸は卓上を遍く見通す。
 任意のタイミングで発動できる。
(効果A)
 判定値を+20。
(効果B)
 自身未満の技量の他家の判定値を±15できる。



井上純    
属性 :O
技量 :C
直感 :C
必然力:C
・スキル
【流し打ち】
(効果A)
 聴牌順位が2位以上のとき、和了判定値を+20。
(効果B)
 自身の聴牌or和了コンマが奇数のとき、他家の聴牌・和了判定を-15。
(効果C)
 自身の打点を-1。




京太郎・純・優希・美穂子  の順

 俺は今、決勝の対局室へと向かっている。

 一歩進むごとに、清澄麻雀部で過ごした二ヶ月と仲間と共に研鑽した三週間が思い起こされる。

 優希はあれでおっちょこちょいなところがあるから、タコスを買い忘れたなんてことがあるかもしれない。

 そんなときのために、最寄りのタコス売り場はチェックしてある。

 どうせ勝つなら全力の優希を相手にしなければ寝覚めが悪い。

 優希にしたって全力じゃなかったなんて言い訳ができる状況は、

 勝っても負けても気持ちよくないだろう。

 優希がきちんとタコスを持ってきていたら取り越し苦労なのだし。

 そう、この三ヶ月弱。その思い出が些細なことも含めて走馬灯のように過ぎる。

 歩みに重みが加わる。俺は孤独に立っているわけではない。

 俺を助けてくれた人、支えてくれた人、応援してくれる人。

 様々な人の想いを背負って進むのだから。


「びえーーーーーん! 私のタコスーーーー!!!」

                 _,.......-―--...、_
   ,..=ニ二二ヽ,. ‐-.、,....:.:':´ : : : : : : : : : : : : `ヽ、 _  ,..-:.ニニ:丶
     ,..-‐: ':´(  /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \ Y∠.-‐-.、 `ヽ
  /: : : : : ;: : >': : : : : : :i: : : |: : : : |: : : i: : : : : : : : :∨、: : : : : : :\
  /: :/ : : //  i   !  |  :ハi : : |i: : |i: : : :|: : i: : :ヽ \:、ヽ: 、: : ヽ
  /: /: : : :ィ/ i: / .i | !i: : :|: : | i!: : : :|.!: . .| i : : |: :.!: : i: }  ヽiヽ: :i: : : :i
  { /: /: / !| l.i! : !: :!: !:|―|、Τ`ト、: ::i`!: ̄!`!ー!-: :} : ::!:|   i:! ヽ: !: : :}
  !ハ: i: / リ 人j、: !: :i: N>ィ==ミ、 \{ ヽ;ィ=キ;ィ'|: ノ!/ ;ィノ   |:!  ヽ!: : !
  ハ从!  ./:/: : ヾーヽ!メ. r':::::; }       _,}::::: i゙ヽiイ:ノ ヽ:゙、  リ   |: :/
    ヽ! .i:/: : : i| : :ハ (.__)--u:::::::::::::::::::uー-(_.)/|': : : : :i、:i      }ノ
      仆: : ::|: i ト、_! . " " "  '   " " " i .,! i: :i: : |i }
       リ、: : i、 !:| :.丶            /' :|:ハ: ! : }リ    
        \{ `ー!、|、:`;..、⊂ニニニニ⊃.ノ:,:.:.リjイ;ノ;ノ     
            __`二ニー----‐πフj;丿'"__ '"       
            ,,ィ' i::!i:::::::::::::|~~^^^~~|:::::::::::::i.!::/)i、      
´         r' |! i::゛、::::::::::匸_)(二)::::::::::;;":/ .iハ    
       /′  i! i\\:::::::Vハ} /::::::;;:":;/i /  丶      
      rイ   \ \!、: \::ー=\/=='_;:イ! レ /   \.  
.    /\\    \ ゙| 丶、 :二ヽ◇フ'二∠_|! /   / 〉 

 対局室のドアを開けると途端に、悲痛な泣き声が響く。

 優希がぎゃんぎゃん泣き叫ぶ様子が目の前には広がっていた。

 隣に座った背の高いボーイッシュな女性――龍門渕の井上純だろう――が

 困ったように狼狽えている。その手には屋台のタコスの包み紙。

 察するに、優希が持ち込んでサイドテーブルに置いていたタコスを

 井上さんが食べてしまったのだろう。わざとだとしたら酷いことだ。

 わざとでなくても、龍門渕にはあの得体のしれない超人執事(?)がいるのだから

 買いに走らせればすぐに解決するだろうに。


「あらあら、どうしたのかしら。あんなに泣いてしまって」


.          /                           ヽ
         /             ′              :.
.        /   ′i i i     i      i           :.
        ′   ′ i i ii  i  i i      i   i   i  :.
.        i    i   i i_」iLi _i  i i       i   i   i   :
.        i    i i i ´i i i i`  i i  ii i  _i_!_ ,′   i } i
        八 i ii i ii i { i !{  ii i  ii i  从  /`ヽ   i ′i
.           ヽ从小「八八八从__i从__ハノ__//ハ//   ノ ノ/ i |
.           ′|{   ___      x''丐ミメ、ヽィイl/   |
            ′   i ゞ=≠''      し':::::::::ハV/^   i  |
           ′   i :::.:.:.           r辷'゚シ′/     i  |
          ′    i       ,       ̄^` /     i |
          ′    人            :::.:.:  ///    i   |
       ,′  / / へ、    ‐ -         イ//    i  |
       ,′   / /  // ト .         .イ //      ii  |
       ,′    /  // /  }  ー   ´{ |//      jj   |
       ,′  / /  // /..斗ノ      ト .」.'/ / /        |
.     {{{ { i{  {>'" r{       ノ〉 `ヽ/ /        |
     r‐くく { i{  |     |ー-、     ,′  { {     //从ノ
    /`ヽ \ヽハ i |     |________,′   ヽヽ从///ヘ、


 俺が憤って硬直していると、すぐ後ろから透き通った綺麗な声がした。

 そちらに目を向けると、肩までかかるかどうかのミディアムな金髪の、

 楚々とした母性を感じさせる片目を閉じた少女。どストライク。

 おそらく風越の福路美穂子さんだ。

「清澄の……片岡さん、だったかしら。どうかしたの? ほら、泣いていては分からないわよ?」

「うぅっ、っこっのノッポが! わた、私のタコスっグスを勝手にぃヒック」


 福路さんが優希を宥めている間に、俺は時計を確認する。

 まだ対局まで10分ある。……全力でダッシュすれば間に合う、はずだ。


「そんなにお腹が空いていたのね。……だったら私、お弁当を作ってきてあるの。良かったら食べる?」

「でも、私はタコスじゃないと……」

「優希、ちょっと待ってろ。すぐ買ってきてやるから。

 ――龍門渕の人。わざとかどうかは知らないが、最低だな。

 金は後で払ってもらうから、土下座でもして優希に謝っとけよ」


         /             /    /  / 〃                i{   | \
       /           /    /  / 〃         |         i{   |
      /              /    /  / i{          |         i{   l    ',
   __/      /     ′  〃 /{  ハ   {    |  |ヽ
 ⌒ ̄ ̄ ̄ ̄  ア        i{    l l  i{{ l i{   {    |  | }  i{       /
.          /  ィ'       i{    | l 从| l i{   {    |  | } 从   〃   ′    l
         {/ /       i{    |jI斗===ミ i{   {    |   厂}/}/ }/ }   /⌒ 、
            '         ∧  狄Ⅵ汞≧八  {\  | ィ'“ 汞笊ぅ/ / 厂^ l    ′
         /  /    { ', {   ∨こリ \l   、! /   Vこツ{/i /    从  ′
        /  /    人 ', ',{            }ノ          }/   / ハ/
       ∠  ∠   イ  l\ 、 V                       }   / /
                  八  !  Ⅵ ヽl          j               l=‐≦/
                   \〉   v 汯         {              爪 〃
                    }  ∧                        / //
                       \{ 込、    ___           /{ ィ/
                     _ -=\   に ̄ ̄_)       {从
                      〃    }N\            /   j_ノ_}Y
                       ri{      i{   、          /_ -=ニニニニ|
                       |ム      i{    ー―― r≦ニニニニニニニ=|
                       |ニ}    /{            |ニニニニニニニニ=‐ |


 俺は答えを聞かず、全力で走った。

 タコスを買う時間を考えたら会場直ぐ脇にある屋台まで3分で着かないとならない。

 インハイ予選とはいえ、長野だからか。人でごった返すほどではなく

 全力疾走しても人にぶつかることは辛うじてなかった。


「おう兄ちゃん。タコス、もうできてるぜ。あのちっこい嬢ちゃんに届けてやんな」


 久々の全力ダッシュに息が上がりそうになりながら屋台にたどり着くと、

 マッチョなスキンヘッドのおっさんがニヤリと笑ってタコスを出してきた。

 なぜそんなタイミングよく、と思って一瞬呆然としてしまう。

 そんな俺を見て、悪戯が成功した悪ガキのように笑いながら

 耳をトントンと叩く。


「――ラジオか! そっか、対局室の会話も中継されてるのか」

「そういうこった。ほら、走れ走れ! ヒーローが危機に遅刻しちゃかっこ悪いったらねェぞ!」

「ありがとうございます!」


 再びの全力疾走。昔取った杵柄というか、ようやく体が温まったというか。

 行きよりも帰りのほうが、タコスを抱えているにもかかわらず早かったかもしれない。

 行きではぶつかりそうだった場所も帰りはキレのあるステップでスムーズに曲がれた。

 やはり、俺は一人きりではない。桃子や数絵、憩さんに絃さん。

 それだけじゃない。優希や和、先輩方。そして咲。

 さらにはテレビやラジオで視ている人々。

 体に力が漲るようだ。体力は削れたが、心はむしろ踊っている。

「っし、優希、出前だ」

「さすが犬だじぇ! タコスうまー!」


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☆ | ゚   ∠.  / __」 /\ /.| ノ \ノ\_い o o \ i!・ 。


 どうにか、開始2分前に到着した。おっちゃんが先回りしてくれていなければ危なかった。


「誰が犬か! どうせなら狼になるわ!」


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、

////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\

//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧


「送り狼ってやつか?」

         / ,    _, -‐- 、`y´      \/´/ -ァ
         / /  , -‐´   , V /|  |  |   ゙、´<´_
       / ./ ., -´      /``゛"´|  | | |  | i ゙i´ ̄
     / / //     /     |  ./ | /|  | | , |
     / / /     //     ノ| / |イ/|.,イ ィ∧|
    /_, -‐ ´     , ‐´/----、     ソ,,==―∀Nr 、|
  _, -‐ ´     ,. < / __ ̄       ,,-―--、 l/ |
ー'-----―' 爪 |/゙、 て o:::::|゛        2;;;;;;ノ "/ .ノ
         | |∧. ゙、  """           | /
          ` \_|        、      |-i´
              |イ.゙、         ´     /i、|
             |ハ|〉 、  -----――'  ,イ/ `
            /" ゙、 l 、   r f Y\ ., イ/' `i
              / ._  ゙、! \.r!、\\ \|'   ゙、
             _// 〉  ト!   | ゙、 ゙、 ゙、 ゙、 ,ベ、__
  _, ---―― ´ ./// ゙、  |     | ゙、 ゙、 ゙、 .V\ ゙、    ̄ ̄`ー-、



「おくっ!?」


       ,,、=-ー'''''"""'''''ー-x、,,
     、イ                "''''
 . /

/           ',     ヾ .  \
     /  /  i  i l  、   キ   '
. /  /   /  /i   | '   ',   ',
/  /   /i  ,' .|   l i.  ',   i
レ  ,'   ,' ,l  いi  l ト、,  l   l
  ..i .  i. l ,ノ.i....l、  l l "アーx、,'
  l  ,ムーア~、 ノ レ、 ',ノ  ノ   ノテ
  ,イ~  !  ',   ’   z=zxxュ _ て
   い  '        "~ zーx、”ミx、
シ、i              レ^汁i猿 ヾ,
  l   _xx=≠         rノ皿取. レ
.i i l 〃~           ー-⊂⌒)

l l l ~ ///  ’    /// i
l l .l                  . ; l
 | .l       r- - 、     . ノ

 |  iヽ、     'ー---’      イ
 |  |  為 、          ,イ~
 |  |   i ~>x __ x<~ |  i
 |  |   |  | |     ::::::::::::::::::|  l
 |  |   |/2ノ           |.へ.l
 |  -ー ̄ .|      、─--- ソ ヽ
~"      |      ’    /
         |_ ---- 、_./
        |        /

          |       /
        . |      /



 優希からの相変わらずの犬呼び。

 まあ、確かに今回のは骨を投げられた犬みたいな疾走っぷりだったし、

 優希の照れ隠しも多分に含まれてるだろうからいいか。

 井上さんも茶化すようにツッコミを入れてくる。

 福路さんは何を想像したのか少し頬を染めているが……むっつりスケベなのか?

 とにかく、井上さんが普通の態度を取ろうというのなら俺もそれに乗るべきか。

 それでも謝罪は忘れない。あれは他校とはいえ先輩に対する態度ではなかった。


「相手は選びますけどね。あ、それとさっきは言いすぎました。すみません」

「いや、俺が悪かったんだ。1年に諭されるようじゃまだまだだわな。サンキュー」


 こうして無事和やかな雰囲気になり、いよいよ先鋒戦が開始される。

東一局  ドラ:八萬

「さあ、長野県予選決勝が開始されました。

 解説の藤田プロ。まずは先鋒戦の4人の解説をお願いできますか?」

「んぐ。まあそれが仕事だしな。……まずはそうだな、起家だし須賀京太郎からにしようか。

 見た通り、男子選手だ。常識的な話で言えば、大学生あたりまでは女子のほうが男子よりも強い。

 その理由は未だ不明、ということになっているがな。

 技術で言えば同年齢であれば大差はそうないはずだから、

 当然テクニックとは別の部分に理由があるだろうとは言われている。

 実際、女子には定石から大きく外れた手の進め方をしながらも

 並のデジタルより和了率や獲得素点が高いという選手は少なくない。

 一方男子ではそういう選手は10年に1人いればいい方というくらいに少ない。

 そして……概してそういう妙な打ち方をする奴の方が短期的には強い。

 プロでもプレーオフみたいな短期勝ち抜き戦ではそういう傾向があるからな。

 リーグ戦みたいな長期間にわたる形式だと話は変わってくるが。

 まあそんなわけで、インハイみたいな負けたら終わりの決戦が繰り返される形式の大会では、

 妙な打牌をしない男子が女子とやっても高確率で負ける。

 それを考慮して麻雀がインターハイ種目に選ばれて割と初期に、男子を女子から隔離したんだ。

 大人になれば大差なくなるんだから、と。

 ああ、それで須賀だったな。こいつは女子と同じ類だろう。

 テクニックだけでも同年代では上位に食い込むだろうが、こいつはそれ以外にも勘が良いところが見受けられる。

 次のツモが分かっているかのような、導かれるような打ち方を見せることがあるからな。

 準決勝でも4万点を稼いでいる。エンジンがかかるまで少し時間がかかるようだが、

 私もまくりの女王なんて呼ばれることがあるくらいだから大きな弱点とは言えない。

 何かきっかけがあれば一気に化けるだろう。

 現状でも力は十分。この先鋒戦でもまあ悪くない結果は残せるんじゃないか?」



優希(京太郎のおかげで、タコス力も補充できた。だったら――)

優希「東場は私のステージだじぇ! ツモ! 純チャン三色ツモで跳満、3000・6000!」


京太郎 94000
純    97000
優希  113000
美穂子 96000

東二局  ドラ:六筒

「次は調子のいい片岡優希にしよう。

 こいつはまあ、本人の宣言通り東場にやたら強い。

 東場の間は配牌もツモもやたらと良いから早い上に高い。

 とはいえ南場に入ると途端に失速して、集中力も切れるのかつまらないミスで

 放銃したりもするから……まさに竜頭蛇尾だ。

 あと1年か2年、地力を上げることに努めれば個人戦でも相当な実力者になるだろうな。

 現状でも東風のみなら全国レベル。もっとも、全国の中堅レベルだが」


優希「リーチだじぇ!」

京太郎(ふぅ。やっぱ全力疾走直後で頭が回らねェ……。

    優希は当然の如く東場は絶好調だし、どうにか放銃だけは避けないと)

純(このチビ、えらく調子が良いな。確か東場に滅法強いとか智紀と透華が言ってたっけか)タンッ

優希「ロォン! リーチ一発東三色で満貫、8000!」


京太郎 94000
純    89000
優希  121000
美穂子 96000

東三局  ドラ:九索

「さてお次は井上純。様子見から入ったのか、まだ得意なやり方を見せていないが。

 去年全国に出場したからあまり多くを語る必要もないだろう。

 こいつは場の流れを信じてそれを自分に引き寄せる打ち方を得意としている。

 客観的にみると意図不明の無駄鳴きを多用するんだが、

 結果を見ればその鳴きが無ければ危うかったということが多い。

 単純にツモ順を飛ばして調子を狂わせたりもする、攻撃的な鳴きでもある。

 実力に関しては、今放銃してしまったが全国レベルであることは間違いない。

 井上純を上回れるかどうか。全国を見据えるなら登竜門と言ってしまってもいいかもしれない選手だ。

 とはいえ火力が高いわけではないから上手く稼ぎ勝つこと自体は難しくないがな」


京太郎(あっぶねー。全然警戒してない筋だった。

    一発回避で安牌切ってなかったら振り込んでたのは俺だったかも)

美穂子「リーチ」

純(しくったぁ……。駄目だ、チビに完全に流れがいってやがる。

 どうにか変えねーと。ん?)

純「それポンだ」

優希(じぇ!? もう安牌はないじょ……。でも聴牌は崩したくないから――)トン

美穂子「ロン。リーチタンヤオドラで3900です」


京太郎 94000
純    89000
優希  117100
美穂子 99900

東四局  ドラ:二筒

「それじゃあ最後は福路美穂子だな。

 名門風越の主将で前年度インハイ個人戦最終日に残った30人の1人。

 これだけでも実力は十分分かるだろう。まあもう少し詳しく話すが。

 とにかくこいつは上手い。技量だけなら雑魚プロよりも上だろう。

 それに、可愛い顔して他家を利用する打ち方をするえげつなさも持ってる。

 強かな女、という表現が相応しいかもしれん。男好きする容姿に性格。

 原村和が全中で注目されるまでは長野の雀士で一番人気だったんじゃないか?」

「確かに、去年の高校麻雀連盟公式サイトでの非公式人気投票では長野1位ですね。

 ちなみに全選手1位は東京の宮永照……ではなく鹿児島の石戸霞でした」

「ああ、あのおっぱいお化け巫女な。チャンピオンは2位だったか確か。

 ……話が逸れたな。とにかく、全国でも上位の実力者ということだ」


京太郎&純「聴牌」

優希&美穂子「「ノーテン」」


京太郎 95500
純    90500
優希  115600
美穂子 98400




南一局流れ一本場  ドラ:八筒

「「「「ノーテン」」」」


京太郎 95500
純    90500
優希  115600
美穂子 98400

南二局流れ二本場  ドラ:九索

京太郎(くっ、ダメだダメだ。全然手が来ない!

    ……だからって、諦められるか。他3人もこの局は和了しそうにない。

    諦めずに真っ直ぐ、喰らいつけ――来た!)

京太郎「ツモ! 海底のみで300・500の2本場は500・700!」


京太郎 97200
純    89800
優希  115100
美穂子 97900


南三局  ドラ:東

京太郎(よ、ようやく和了れた。しかし……しょっぱいよなぁ)

京太郎「聴牌」

「「「ノーテン」」」


京太郎 100200
純    88800
優希  114100
美穂子 96900



             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧

        _,.{///////////|

     -=≦//////|////////≧=-- 、_
  r≦//////////////////////////////ヽ
  |//l///////////|///////////////////∧
  |/∧//////////l|///////////////|/////}
  |//∧/////////l|///////////////|/////|
  |///∧////////l|///////////////|/////|
  |//// }////////l!///////////////}/////}

南四局流れ一本場  ドラ:八索

京太郎(200点のプラス。

 ツモ:發  打:一萬

    優希が調子良くて跳満親被りをさせられたとはいえ、

 ツモ:八索  打:一索

    これは情けないにもほどがある。

 ツモ:六索  打:九索

    結局和了りは1飜のみ……。

 ツモ:六索  打:二萬

    こんなんじゃ、こんな程度じゃないだろ、俺!

 ツモ:二索  打:七筒

    優希にタコスを買ったのは全力でぶつかってなお勝つためだ!

 ツモ:四索  打:七筒

    ドラは俺の鍵牌。だったら、必ず来る。信じて手を伸ばせ!)スッ


                      ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、

                     /_,..-         ヽ  `  、
                    __../´     /    ∨   \
                      ,/ `i      / ,'     :    、 ヽ
.        Y ヽ        //   i   ., / /|  |  :.  | | |    ∨
        |  ‘,  .._/  i   i   . | |..|...|  |   _} | | | |  | :
        i   ∨    ̄ ̄.|   .i .{ ´| |\.{  |: , ´//}∧ |  | |
        ‘,   ∨     .|   .i , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
.        ∧  .‘,     .i   i . { 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
r <                  i   i.}从lム     ; \     ,ノ /  \
.', .\               _ .j   i  | ∧          ∧,イ
 ',   <    .∧         .i  Ⅵム   -  -  ...イ //
.  ヽ    ` ─ .´ヽ        ∨  ヽl\       //イ
.     >                ‘ ,  |.≧` .ー . ´.≦|
     >  ´     /          ̄ ̄ ̄ ̄)三三└x
 > ´     _             __  ≦i.iミ&三三三ニ≧ -   _  、
(_  <   ∧           ィマY三三三三i.i三三三三三三三三三三.iニ',

           〕 ─  ´ ´/ィ三ミi i三三三‘,○三三三三三三三三三三.i三i
           i三.ミ x\ //三ニ/三三三三.i三三三三三三三三三三三i三.i
           i三三三≧彳三ニ././三三三三i三三三三三三三三三三三i三.i
           ∨三三三三三,///ニ,’三三三.i三三三三三三三三三三ニ.i三ミi

.            ∨三三三三/.//ニ/三三三三三三三三三三三三三三三三.∧
             ∨三三三ニノ/ニ/三三三三ニ.Yヽ三三三三三三三三三三三ミi
              マ三三三 /ミ/三三三三三ニ`´三三三三三三三三三三三ニi

清澄控室


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     /   !  / ::::::/:::::::::::::::::|:| |::::::|:::|:::::..:.:i:::::::|:i:.:.:l
.    /............|........|..//.ハ.......:.ハ..:::| | !: : |:: |:::....:...|:::::::|::.:.:|
    /.:.:::;:イ::|!:::::::l//メ、|::::::::!'i:::::|::| i:::::|i:::|::i:::::::::|:::::::::.:.:i゙、
  /:.::/ .|::|:!:::://'´`ヽ!::::::| _、::|V-‐!::::|、::!|:::::::::|:::::::::.:.:|

  //    |/:::V::!|  <ヽヽ:::|  V'"´゛ヽ、!ヽi::::::::::ト、:::::./i|
        !::::::::|:r-、弋ノ  ヾ   f´:i  ヾ ゙、::::::/) }:ル'
       r‐|::::∧:ト、.\ ,     _ゞ',、  /  i:::/ ' /W
      人:|i:/:.:.::゙、 \ `ー-、    `i. ヽ  ,..N./:.:.:.:`ー-、
    ,イ ゙、゙、:.:.:.:.:.:\ ヽ   `ー--‐' /_.ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,,:.:-‐'´>、
    ! ゙、 ゙、゙、:.:.:.:.:.:.:ヽ         / /:.:.:.:.:.:,,:.:"_, -‐-´i::::|
.   /i ゙、. iヽ\:.:.:.:.:.:.\      ,ク´:.:.:.,,:.:"´イ´/     i::!
   i |  ヽi: :\\:.:.:.:.:.!ヽ  _, -‐'´i:.:/:./: / /     i| リ
.   i  | i ヽ: : :.\\:.:.>'´:.:.:.:,; -=i:./: :/ /    ハ |
   |   ゙、 ゙、 |\: : :\\i:.:.:/:.:.:.:.:.:..| : / /     i | ノ


「っ!?」

「? 宮永さん、どうかしましたか?」


 京太郎が山に手を伸ばし、牌を手に取る瞬間。

 咲は突如膨れ上がるように生まれた違和感に思わず手で口を押えた。


「ううん、何でもないよ原村さん」


 青ざめさせた顔で首を横に振る咲だが、明らかに何でもない雰囲気ではない。

 和がふと咲から視線を外し先輩二人を見やると、

 久とまこも咲ほどではないが様子がおかしい。


「部長たちも、どうかしましたか?」


 首をかしげる和。その瞬間、鋭くも太い、風切り音のようなものが聞こえた気がした。


. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、

: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!   ・・・・・・・・・
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      ⊿     .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、

: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\   ∧:::::::::::-.:_//'   !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ  ヽヽ::::::::::::|!`!    |: : !: : : : . | リ

川辺

「――ほお!」


                         マ二ニニニ|
                       マ二二二|

                           マニニニ|
                         マ二二|
                   ,へ        ヤ二ニ|
               <二二\      l、ニニ!
               <二二ニ, -‐ニ`ヽ   .ト、ニ./
          <二二二ニ/ー<ニニ\. __|二/__
      <二二ニ>‐… '      >、ニヽ|./   `
   <二>  ¨          /   >ニヒ二ミ、    ヽ
/> ¨                   /   /´ /     ヽ  、  :.
                    / /  ./ .| |   |   |  ヽ ::.     ト、
                    /  /   .l. |ハ .|  λ|/|、|  | ::.     .八 ヽ
.                /    ||  .l‐ト 、ト、 /j斗也、j     :::.     ヽ \
            / /   ヽ!、l、 ヤ作芯 ソ 代_リ'| |   ::::.       マ \
、 _      ____   /  /   ヾ ヽミゞ-'     '''' | |  ::::.       ヤ  ヽ
_ ̄ ̄ ̄ ̄____/  /    /  ハ`''' 、`_-ァ _イ!. ′   :::.      マ   ,
   ̄ ̄ ̄   /  . イ   / ./   ′ ` ァ‐r-  ´/ / ム、 _   ::::、     ヽ
.        イ 才´      / / γ⌒フ´`ヽ、><´,.-/ ./::/  ヽヽ   ヽ      j\. Y
 ̄ ̄ ̄__ /       厶'  / /  {::::::::::ヽYY::/ /::::〉    Y     \.    |  ヽ |
 ̄ ̄     / ー‐=ニ ̄   / 厶  .r':::::::___ノレ’  ./-、{⌒   、!  \   \.  |   マ
.        /    /  /   /.ノ___≦ヲ//  /‐ァベ__ヽ   〉   \   \.l.   ハ
      /   /  イ   ,イ,ベ:ー=ニ二´,イ /  //へ`ぅ/込_{       \   |    ',
.     /  /  ´/___∠/;イ入:::ヾ:/「`/ /  ./「 ‐くーァ`ヽ}/  \    \ !.    ト、
――‐- 、 ´ ィ千―ァ‐チi´ | Уx'_ィ、/ /  /::|ー┴¨´ ./ー'     \      l     | \
.       \  | /   j / `i   _/ /  lミx!、    / |, イ ̄|   \   .l     |   ヽ
      \   \ |. ′  .//   `丁千|.∧   ト、:! ` ー '_ノ    .|    \ ノ     |\   ,
____\.   `| ト、__ ′      ノ {. !′、  |/〉 ̄ ̄入彡  _/    /     /   \
   l  | 「¨l\  ヾ   `ー-ュ―‐ムイ .|!  ヽ ヾ  /   >、_}_  _rイ       /    ヽ |
   l  |.八. !  \ `  γ´      マ% ヽ   寸==-  x夕’    `ヽ、      /、.      ヤ
.  八 l  ヽト、   |\__>- _.  マ%     |::〉  x夕       ノ‐- 、_ イ   ヽ     |
....  ヽ|   | ヽ .|    _/  ̄ ̄ ̄アヽ. ___|/_ノー―――一 ´   /∧        〉、    |
.          ヤ|   「        /      |      |        ////∧     /  )  /
.            |.|ヽ   ヽ       /              |        ノ//////〉   / / /



 川にせり出すようにして組まれた足場の上でどこかつまらなさそうにしていた幼女。

 長い、身の丈ほどにもある金の髪に赤いウサギの耳のようなカチューシャが突然吹いた風に揺れる。


「まさに竜驤虎視に至れる気よ! ともすれば衣の虎搏となるやもしれぬ」


 幼い容姿に、内包されるは怪力乱神。その名は天江衣。

 衣はそれまでの退屈そうだった表情を一変、実に楽しそうに、

 虎が虫を、龍が人をいたぶるときに浮かべるような暴力的な笑みを浮かべる。


「ハギヨシ!」

「ここに」

             ,..-/:.:.:::.:/.::::..:!:..:.:..:.:\

              //.::.:::/:/:::::::::::::::::::::..::..:.ヽ
           〃//:/:/::/::i::|::::::::i::l:::|::::::::::::..:i
          〃/:/::i:::i::ィ:::/!.:!:::::::|::|:::|:::..i::..:. ..|
           〃/イ./::::|::i:/!::ハ::|::::::|:::!ハ::::|::::::::::|
           !| |i レ:::::::|i::!‐廾‐|:::!、::!:/---、|::リ::::::|
         | !ノi::::::i::!:|.ャ伝テ、:けメ、迂テァ∧|::::|

           |::!::|:::!ハ      iハj   iイ /|:::!:!
.              |ハ|::|:ト、!       ;      !ノ::|::ハ:!
           | !ハ!ハ丶    ′   /::::/レ' リ
             | ′ iヘ丶 `  ̄´ イ:/レ′
                 )|__\_/__K
               /:L_\ /_/\
           ,...-イ::::::∧  ̄7::!< ̄ /:i:::::\-、

    __,...-‐':´:::::::/::::::::i::::i  /:::||:::、 /::::i:::::::::丶::`ー-..、
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 その笑みを浮かべたまま、衣は何者かを呼ぶ。

 その声に応えて現れた影。否、黒い執事服に身を包んだ涼やかな男。

 知らぬものが見れば異様とも言える光景だが、衣にとっては手足と変わらない。


「すぐさま戦場へ向かうぞ」

「お言葉ですが衣様、ただいまからですと、到着する頃には先鋒戦は終わっているかと思われます」

「む、そうか……。だが衣は見たいのだ。本物であれば我が背としてもよいやもしれんおのこを」


 少し遠くに来すぎたか、と残念そうな衣。

 その憂いを払うは執事の務めとばかりに代案を告げるハギヨシと呼ばれた男。




「テレビでよろしければ後半の開始までにご用意できます。

 ただいまは南四局でございますので」

「ふむ、良きに計らえ」

「かしこまりました」


 恭しく一礼し、さっと男が消える。

 それを当然のことと流し、衣は幾分晴れ晴れとした表情で腕を組む。


「くくくッ。荒川憩といい、今日は良き日だ。

 過日は何とも気の抜けた様子であったが、あんなでは衣の勝ちとは認められぬ。

 全霊の魂を砕いてこそ、我が勝利よ!」


                ´    _\/}///_       \  ': : : : : : : : : : : : : : : : : : :|   |: ,
             , ´    ,ィ/////////////`ヽ、     ヽ|: : :  : : : : : : : r=、: : : :{   {: : ,
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      |   l    |  !∧ | {`} ト、{ ∨ { ' / / ' / / /_/ /: : :'  ', : |   |: :|   |:|   |イ  ': 、   ノ
      {   {    ! l|{ Ⅵイ示芹ミ、\∨/ イ / / イ / /: : : :|   |: :|   {: :|   |:|   |:{  |: : :、  |
      :. 八   |{ |ム { て:+刈    /イ} /イ / { | /  ': : : : :{   {: :|    ー'   }'    |/  }: : : 、 {
       \{\ { Ⅵ ∧  弋'zソ         ムイ '  ': : : : : : ,   ー'              |   ,: : : : :ヽ\_, イ
        ∨ /   ∧ ム           ,      {   /: : : : : : :∧                  /: : : : : : }  /
         / イ  /  乂:、        ____...ィ 〉  ,: : : : : : : : :∧                   , : : : : : : | /
       /   /     込、     ` ー― ´ {  l: : : : : : : : : : ,              /: : : : : : : }'
      /   /       /   > .      / |  l: : : : : : : : : : : :,                /: : : : : : : : '
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 ざわり川面が大きくうねった。

須賀控室

「!!」「なっ!」「京、太郎なの……これ?」「目覚めたようやねーぇ」


 京太郎のあげる気炎に応じるかのように、控室の面々が身動ぎする。

 以前からわずかに感じることのあった気配。

 魔でありながら魔を断つ鋭く力強い、それでいて熱い感覚。

 吹き荒ぶ風のようでもあり、沈み込む暗い水のような。

 あるいは身も心も焼き焦がす紅焔のようで、安息を約する草木の庵でもある。

 須賀京太郎の本質にして力の源泉。

 人を惹きつける異質な雰囲気。

 目で見るだけでは学年に一人いるかどうかの好青年であるが、

 雀士として磨かれた直感を通して見ればそれだけではない、近付き触れたくなる何か。


「これが京ちんですねーぇ」

「そうっすね。これが京ちゃんっす」


 桃子と憩は得たりと頷く。

 数絵はやや首を傾げ、絃は隠し切れぬほどに口角を釣り上げる。


「数ちゃん、大丈夫っすよ? 京ちゃんは怖くないっす」


 我知らず身を守るように自らを抱きすくめていた数絵に桃子がそう宥める。


「あの卓にいなくて良かったのか、わたしには分からないわ。羨ましくもある」


 どこか恍惚とした表情で熱のこもった溜息を吐く絃。たまらず襟を緩めた。


「試合はまだこれからやし、楽しめばええと思いますよーぅ」


                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                      /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
                . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
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                 ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
              |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
              |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

              |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
              |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
             /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
             /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >
           /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
        -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____
               /      \  /ー一ヘ   /     ハ
               ハ        \/     }/ ̄}    /
                 i  ヽ                }      }
                |   У                 } ∨   .|
                 ′ /                   }  }::..   {
.                 /   {                  }  }:::.
               |   |                  } ,.:::::  i
                i    ハ                 } '::::::::.  |

美穂子(――染め手かしら。ドラを見る目の熱は尋常ではなかったもの。

    八索を暗刻で抱えているのは確実と思いましょう。

    ならタンヤオ清一色ドラ3。タンヤオトイトイドラ3、あるいは四暗刻?

    いえ、索子のヤオチュー牌を捨てての染め手なら……もしかして!)

京太郎「ツモ」パタタタ


                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/



  2s2s2s 4s4s 6s6s 8s8s8s 發發發 ツモ:4s


京太郎「緑一色。8100・16100!」


京太郎 132500
純    80700
優希  106000
美穂子 80800


「や、役満! 須賀選手ここにきて役満ツモです!

 東場を突っ走った片岡選手が逃げ切りかと思われた前半オーラス、

 索子の清一色までわずかの配牌から最短の迂回で緑一色までたどり着きました。

 いやあ、見事な打ち筋でした。どうでしたか解説の藤田プロ」


「見事、だな。序盤で一索九索を切っているし、直前まで七筒の対子は残していた。

 河を見れば索子と中張牌は警戒されて出てこないだろうし、出和了りを狙うなら残すのも手だった。

 だがそれを切って緑一色ツモ。

 ここまでの流れを見ていれば、須賀京太郎にあまり運は向いていなかった。

 他家の不聴罰符でどうにか原点を保ちこそしたが、跳満親被りなどもあり。

 南二局の海底ツモ。あれを鑑みるに、この選手は諦めが悪いんだろう。

 意地は時に裏目になることもあるが、自分の想いを徹すというのは麻雀でも力になるものだ。

 ……長野に新たな若き才能が生まれたのは地元クラブのプロとして祝福するよ」


「ありがとうございました。

 前半はまさかの無名2チームが1位2位となっております。

 15分の休憩をはさみ後半戦もお見逃しなく!」

2半荘目

東一局  ドラ:四萬

「さて後半戦が始まりました。前半オーラスに役満を和了した須賀選手が起家です」

「インハイのルールでは前半と後半の間に休憩時間があるからな。

 この隙間時間で流れを失うものもいれば逆に掴むものもいる。

 若い奴らだからわずかなきっかけで大化けすることもある。

 それこそが醍醐味とも言えるがな。須賀がどうかは……まだ分からんが」


京太郎&純「「聴牌」」

優希&美穂子「「ノーテン」」


京太郎 134000
純    81200
優希  104500
美穂子 79300


東一局一本場  ドラ:北

京太郎「リーチ」

純(やっぱらしくもないリーチは駄目だ。これくらいじゃ流れを引き寄せられない。

  それにこの男の親番は蹴っておかないとまずい気がすんだよなァ)

純「ポン!」「それはチーだ」

純「っし、ツモ! 北のみで300・500は1本場で400・600」


京太郎 132400
純    84600
優希  104100
美穂子 78900

東二局  ドラ:南

京太郎(流された、か。

    だがそれがどうした。さすがに満ツモや3900直撃ならそうも言えない。

    でも今和了れたのは30符1飜のツモ。俺の勢いは――)


                       ___/ ̄ ̄\_
                   ,  ´        <⌒
                  ,:'            `ヽ、
                 ,                \_
                                \ } ̄´
                  '              ,  \
                / ,          |/} ∧ }`ー`
                 {∧          「ノ|/}/イ
                '  、       | /`/ } '
                   } ∧     /イ   /
                   |' ,} \__/イ__ /
                   |ニニニ=-〈
                 /7ニニニニニニ=- ,,_
                 /二|ニニニニニニニニニニ=-
              -ニニニ|ニニニニニニニニニ/ニニ|
              |∧ニニニ|二ニニニニニニニ/二ニニ∧
              |=∧|ニニ:|二二ニニニニ\ニ/二ニニニ∧
              |=二|ニニ:|二二二二ニニニ∨二二二二∧
             r''=二:|ニニ:|二ニニニニニニ',ニニニニニ/
.              ノニ二:∧ニニV二二ニニニニニ',ニニニニ∧
             /ニニニ∧ニニVニニニニニニニ',二ニニニニ|
         /ニニニ二∧ニニV二二二ニニニニ',ニニニニ|




京太郎「その程度じゃ止まれないな。ツモ」パラッ


  1m9m1p9p1s9s東南西北白發中 ツモ:發


京太郎「国士無双十三面張、8000・16000」

純「おいマジかよ……」


京太郎 164400
純    68600
優希   96100
美穂子 70900

東三局  ドラ:東

「須賀選手再びの役満! しかも純正国士無双、ライジングサン!」

「いやはや、さすがにこれは……。役満なんてそうほいほい出るもんじゃないはずなんだが」


優希(マ、マジか京太郎……! すげー、私も負けてられないじぇ!)

美穂子(これは……ちょっと予想外ね。出し惜しみしてる場合じゃない。目の色なんて気にせず、見ないと)


  !|   | |   |ト|、_ |i |i      | |   _,A-┼―‐!|
  |.|   |i |i    !、A    |V|     川.   -H  !  /|
  ゝ! _」┘ー‐┘  ̄ ̄   ̄ ̄ ̄`   ̄ ̄` `ニー┘L
-┬:!^´                     彡'=≠==ミ、、
 | !.|                         ´ /::::::::::::::::::ヽヽ
 | N     __,............、                 L:::i:::::::::i::::::i ヾi
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 | | :i. 7'")_!、__ノ_C′              !::..、;;;;;ノ..r┘
 | | |                       ゝ=====シ
 .!.| .!    ,, ,, ,, ,,                     ,, ,, ,, ,,
  |.ト、 !  ///////                   ///////
  | | ヽ!   " " " "        ′         " " " "


 さすがに役満二回目ともなると危機感を覚えた美穂子は、

 普段閉じている右目を開く。途端に開ける視野。

 広い視界がもたらすのは、河や仕草からくる超正確な手牌予測。

 自然、この状態の美穂子はまず放銃することもなく、あるいは他家を誘導してしまうことも不可能ではない。


純(くっそ、よりにもよって親被りだと!? やってくれるじゃねェか、金髪が!

  このまま黙っちゃいられねェよ――)

純「チー!」

美穂子(……これを切れば須賀さんは必ず私の手を当ててくる。

    だからこそ――)トン

純(……ん? 風越はなんでその牌を切った。流れからしておかしいだろ、その牌は)


 京太郎が、牌を切る。美穂子の予測通り、井上純の当たり牌を。


純「ロン! チャンタのみで2600だ!」


京太郎 161800
純    71200
優希   96100
美穂子 70900

東四局  ドラ:六萬

優希(まったく、蚊帳の外なんて……真っ平御免だじぇ!)

優希「東場は私のステージだと言ったはずだじぇ?

.     /7    _/フ   /7    _/フ
    / /  /二 /   ./ /  /二 /
.   / 二7  / /    / 二7  / /               _______
  /_/    /_/    /_/    /_/      +   __/: : : : :: : : : : : : : : : : :\
                      だじぇ☆  __, -(/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \  +
                         /: ::`y': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :(__)____

    _.     /⌒ヽ              /: :.::::::/: /: :/ :/ :// :/ : /: :.i : :i : :ハ : :ハ( ::): : :`ー 、
.    {  \  {    ヘ         +  /.::.:.:::::/i {  { { { { {  {  小 ハ.  ハ  ハ ̄ ヽ: ヽ : : :\
.     \  \ \  ヘ     _   |: : ::;イ::!|: :.l : :ト、l_:.l l: : l: : l: :{ |_ハ斗-‐} : : :} : : :.l\::ヽ : :ハ}
.      \´ \ \ ヘ.   /   }   ! .:.::| |!|ハ、::ヽ::{::::心LV レ _斗壬弌!! : ノ : : :i: : :.::|  ヽ.:.:.:.:} !
  ____  \  ` ー'   \_ /  .ノ   ヽ:::.:l |:|  〉、:トトY {ユ;;}`   |ユ;;j::}〉レイ:.:.:.:::i:.:.:.::::|   }.:.:.:ノ
 (___ ̄ ̄    /   ノ   /   _.i_  \!ト.! /::.::ヽハ 込リ,    込ジ  /: : .::ノ .:.:.:.::|   !/
     _二>.  /  ./     /     !     ./{: :.:.::::::{ ''''  rー-‐v、 ''' /:::::/:/:.:i:.::ノ|
 r'´ ̄          /    ∧-、.        ハ.::::i::八     V    } /:::/ ::/::::/ :::小   _.i._
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     __./ノノ゙} ヘ        ヽ:ヽ、.::>:. 、 ヽ、__.ノ彡イ::::/:/::/      !
           `┬-'ェイ,ィ≪::::/  ヘ、      _ィ⌒ヽ ̄ ̄ ̄ヘ ー '   :|∠ン//
                `|ヽ≪::::::/   ヘ\ー― ' ̄   \\≪:.:.:.:.\^Y^YY\
              \`ー '       \ \        ヽ \≪::::::::\《介》!::\
                    \          ノ ノ   ヽ\    ヾ {\≪:::::::\i!i!|:::::::》、
                    ` ー 、__           \   〉 \:\≪ ::::::ヽ|::::》:ノ}ヽ
                      ` ー 、___       _,ィ-´    \:\:≪:::::!:》:/ノハ \
                             ̄ ̄ ̄ |   i      `ー--ミ:Yシ'  |.  \
                                 |   i           |-\   }   \


   ツモ! トイトイ三色ドラで満貫、2000・4000!」


京太郎 159800
純    69200
優希  104100
美穂子 66900

南一局  ドラ:九索

「片岡選手が意地を見せる満貫和了です。

 南一局に入り、須賀選手と片岡選手が聴牌のままそろそろ流局しそうな巡目です」

優希(せっかく南場で聴牌できたし、リーチはかけずにダマのほうが……。

   それにせいぜいツモのみのゴミ手だじぇ。流局の罰符を狙った方が美味しそうだじょ)

京太郎(――とか思ってんだろうな優希。

    東場で集中力が切れるお前が消極的になるのは仕方ないかもしれない。

    だけどよ、それじゃ――)

京太郎「リーチ」

優希(ぬ、ラス1巡でリーチ? まさか海底なんてくるとも思えないけど、

   でも安牌もないし聴牌維持だじぇ。……これで)タンッ

京太郎「勝てないぜ優希。ロン! リーチ一発河底撈魚――裏2で満貫、12000!」


京太郎 171800
純    69200
優希   92100
美穂子 66900


南一局一本場  ドラ:八筒

純(くっ、ラスト一巡でリーチ一発? 衣じゃねーんだぞ、こいつは)

美穂子(すごい。あの河底ロンは確信を持ってやったのね。

    今回はさすがにそれはなさそうだけれど)

優希(じぇ~! つ、次も振り込んだりしたらマズイじょ。オリよう)

京太郎「ツモ! 面前海底撈月で1本場は1700オール」


京太郎 176900
純    67500
優希   90400
美穂子 65200

南一局二本場  ドラ:一筒

京太郎「リーチ」

優希(うっ、また……)

「須賀選手、大差のリードも手を緩めずに攻めますね」

「そりゃそうだろ。最上はこのままどこかを飛ばして勝つことだ。

 特に役満で二回も和了ってるくらい、今日のこいつにはツキがある。

 ツキがあるときにヘタレたらそのツキに逃げられる。

 かといって馬鹿みたいに攻めるだけじゃダメなのが麻雀の難しいところだが」

京太郎「ロン。リーチ一発中ホンイツで跳満、2本場は18600だ」


京太郎 195500
純    67500
優希   71800
美穂子 65200


南一局三本場  ドラ:南

優希「くっ……リーチ!」

美穂子(須賀さんは聴牌していないようだから確かにチャンスなのだけれど、

    でもその待ちじゃ……)

優希&美穂子「「聴牌」」

京太郎&純「「ノーテン」」


京太郎 194000
純    66000
優希   72300
美穂子 66700

南二局流れ四本場  ドラ:一索

純(須賀はまだ聴牌してねーはず……。ちっと失点しすぎたからここは)

純「リーチ」

美穂子(井上さんは稼ぐ気なのね。片岡さんは……あまりいい調子ではなさそうだわ。

    でも聴牌は近そうね。ならこれを)トン

優希「ポン!」

美穂子(一発消しもできて聴牌にもなる、浮き牌が安牌だったら当然そうするわよね。だから――)

美穂子「リーチ」

京太郎(聴牌が間に合うと思ったんだが、優希の鳴きで逃した気がするぜ。

    しゃーねーからオリだ、オリ)タンッ

優希(ぐぬぬ、東場でリードできなきゃ今の私はお荷物だじぇ……。

   なんとかしなきゃ)タンッ


    /:: :: /:: :: : : : : : :| : : :|: : :i : l: : :|: : : |: : :| : : ハ
.   i:: :: :l:: :: : l: : : : :| : : : |: : : | |  |  |.  |  |.ハ
   |   .|   |   | |   i|  .|  |  |  |i  |   | l
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    |:: ::| ::ヽ!\!  -‐  ̄     _,;;itiil||l"ヽ |: |:.  |
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    |:: :: |.| :: :|;;;;l;;;;;i;;;;;l`' -  __ イ .|ー‐,、i;;;| | |:.  i|
    |:: :: |:.| :: :|;;;l;;;;;l/i        |/ ~`| |i リー-,,!|
      |:: :: |:.| :: :| 〆´ /|      /    |/'|/;;i!",,,`>、
     リ:: ::.|:.;ヽ;.|'  /      /     /://''~    ヽ


美穂子「ロン。リーチタンヤオ平和一盃口ドラ……裏が乗って跳満。

    4本場は13200です」


京太郎 194000
純    65000
優希   59100
美穂子 81900

南三局  ドラ:六索

「清澄の片岡選手、ここで痛い跳満放銃!」

「片岡はかなり焦っているな。得意の東場を須賀に完全に制圧されたことで、

 だいぶ参っている感じだ。南場にも関わらず攻めようとして空回り。

 あまり良い状態とは言えないな。ここからさらに崩れる可能性もある、危険だ」


「「「聴牌」」」

純「チッ、ノーテンだ」

美穂子(もう一度と思ったのだけれど、やっぱりそう上手くはいかないわね。

    須賀さんのリーチで二人とも腰が引けてしまったもの)


京太郎 194000
純    62000
優希   60100
美穂子 81900

南三局一本場  ドラ:一索

京太郎「リーチ」

純(ダブリーだと?)

美穂子(ダブルリーチ……。さすがにこれは読めないわ)

純(やりたい放題じゃねーか……。舐めんじゃねーぞ、須賀ァ!)

純「リーチ!」


「須賀選手のダブルリーチに触発されたか、井上選手も数巡遅れてリーチです」

「卓についてると他家の手牌は見えないからな。観戦している人らはそこは分かってやってくれ。

 須賀の手を見透かしていたら、絶対リーチで手を塞ぐなんてしないからな」


.            _,.. -- 、__, 、___
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            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
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            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_
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               ,...:':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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 京太郎は、嗤った。自分でも同じようにしただろうと。

 強豪の先鋒という自負を背負った相手を憐れみ、

 しかしそれで手を緩めるはずもない。

 今目の前に座っている井上純に罪こそないが、憩や絃の生活を壊したのは紛れもなく龍門渕である。

 仲間を傷つけた相手に、容赦をする謂れなど今の京太郎にはないのだから。


京太郎「ツモ。プライドってのは厄介だよな」パラッ

  東東東 南南南 西西西 北北北 8s ツモ:8s

京太郎「大四喜。1本場で8100・16100!」


京太郎 229300
純    52900
優希   44000
美穂子 73800

南四局  ドラ:五萬

純(くそッ、ぽんぽん役満なんざ和了りやがってッ!

  だが、どうする。この手、リーチをかければ満貫まで届く。

  だが、ここでまた手を塞いでは……)

美穂子(そうよね。悩むはずだわ。でも、引けないはず。

    だから、これは通すわよね?)トン

純(! ――ダメだ、ここでロンしても雪辱にはならねェ。だから、いくぞ!)

純「リーチだ!」

優希(うぅ、役満親被りとかツいてないじょ……)トン

京太郎(優希、完全に萎れてるな。気持ちは分かるけどよ)タンッ

純「余所見たァいい御身分じゃねーか、ロン!


                                             ---、   ||_,!レ´ /'´ _// /
                                              , ヘ \/   \ ̄`、 、 _/,
                                             / / ̄|     |ハ .|人iヾ、
                                           / /   |'"|ハ 、|_,-トハノ`〈 、 ゙、
                                         / /    /   `y',イ、 フ   `r,ヽ |
         r‐'´`\___                          / /      /-ーヽ.......``´      }.|
     ,.. -‐-〔____  └-')                       彡'´     イ、< iア,:::::::::::::  , i     / |
    /    └--ヒ―‐' ´                           // _, -‐ ソハ|、. l    , -‐ ´/    |i´ |
   |    __, -‐' ´ |              _            |/     | \i  _/| _/     |.|  |
.   |   '´ ゙、 |   |          _, -‐ ´   ゙、                    ゙、 ` ̄       ゙、 |>!、
    >‐-、  |_|     ゙、         /      ノ                       \        ,<´  ゙、
   /    `ー- 、_    \     /      /                        >-ァi     |  |     >――――‐ァ、
  /   、_      て二),   \__/      /                         /   '´〉   _,ト  >、  /      /   \
  |    > 、____.ノ         /                           __/    / ` i ̄  /  へ!      /     ゙、
 / 、  '       i           /                      _, -‐ ´ ̄ / 人  イ   |  / /  l    /       ゙、
/  ` ー - 、 __  '         /                        /  |    |/ ∧ .|  // /                \
|          ̄>ー-、     ノ                   /`ー'        〈  | V / /       |li            \
\ __     ´---ァ'   , -´                  _ノ   \ ゙、 V     |_,...V..__/         |li    ゙、          \
 `、     ̄ ̄ ̄ ̄   ( ̄                 _, -‐ ´         /      /へ_ /            |li     ゙、
   \/       / \           , - 、, -‐´            /       〉'´ Y             \    ゙、
    \      /    \      _, <´   \__           /       /   |            |    \    ゙、
      i ー---         `ー-- <    \    .\   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |       |   |            |    | \   ゙、
      ` 、                \    ヾ、    ゙、         |       |     |            |    /   \ ゙、
        \                |   V     |     _, -‐ " ´|       /    |            |   /      ゙ 、



  リーチ西ホンイツで満貫、8000!」


京太郎 221300
純    60900
優希   44000
美穂子 73800

先鋒戦決着いたしました!

 1位はチーム須賀、須賀京太郎選手。役満3回を含む猛進劇で

 実に121300点のプラスです。

 2位は風越女子、福路美穂子選手。須賀選手の役満ツモなどもあり、

 マイナス26200点。

 3位は龍門渕、井上純選手。オーラスに意地を見せどうにかマイナス39100点で踏み止まりました。

 4位は清澄、片岡優希選手。前半の東場は稼ぎましたが、

 後半に入り放銃を重ね失速。56000点を失いました。

 解説の藤田プロ、どうでしたか」


「そうだな……カツ丼が美味かった――いや、そう怒るな。冗談だぞ?

 だがな、こんな冗談でも言わないとしょうがないじゃないか。

 須賀京太郎だったか、予想外の化け物だったな。

 前半オーラスまでは正直、諦めの悪いだけの打ち手に見えた。

 どうにかプラス収支ではあったが安手を1回和了っただけだったしな。

 だがどうだ。オーラスで緑一色をツモったと思えば、

 後半の東二局には国士十三面待ち、おまけに南三局には大四喜だ。

 それ以外にも跳満や満貫も和了っている。

 こんなのがいたら周りが凹むのは当たり前だな。

 先鋒の他三人は実力が無かったのではなく、運が悪かった。

 運も実力のうちではあるが……さすがにそれを言うのは酷だろう。

 放銃も2回と多くは無いし、この火力を見れば問題にもならんな。

 総評して、新たな魔物が生まれたといっていいだろう。

 日本の麻雀界の未来は明るいと言ってしまいたいくらいにな」

なんだと
一体京ちゃんに何が起こってるんだ

「次は誰にするか。まあ、順位順でいいか。

 ということで福路美穂子。

 こいつは放銃もないし他家を誘導するようにして危険を回避してもいた。

 だが和了も3900と跳満の2回だけと少ない。前半も後半も焼き鳥でこそないがな。

 ともあれ、打点も決して低くはないが和了回数は多くなく、

 同卓に馬鹿稼ぎ、それもツモ和了で、しまくった奴がいたから当然の結果と言える。

 そんなのを相手に2位につけたのだからさすがと言うべきだとは思うんだが、

 チーム力で龍門渕に劣る風越としては福路が稼げなかったことはかなり痛い。

 ここから先は厳しい戦いを強いられるだろう。

 お次は井上純だな。

 井上は、頑張っていたが及ばなかった、といったところだろう。実際須賀京太郎の放銃は共に井上が奪ったものだ。

 場の流れに固執し過ぎて片岡などに狙い撃たれた面もあるが、そこは必要経費だ。ただ……やはり打点が低いな。

 無駄鳴き――あえてそう言わせてもらう――が多い分、

 どうしても出和了りは読まれやすくなるしリーチをかけられないから裏も無い。

 リーチをかけて和了った後半オーラスは満貫まで届いたのを見れば一目瞭然。

 他家の流れを堰き止めるだけでなく、自身が流れに乗って高く上がれるようにならないと厳しいだろう。

 さて、最後は片岡優希か。

 点数だけを見ると酷い有様だが、役満ツモなどで削られたことを考えればな。

 とはいえ、課題は当然ある。東場に強いことは今回の推移を見ても自明だろう。

 前半はオーラス前までは2万点を稼いでいたからプラン通りではあったろう。

 しかし後半の南場はプラン通りであってもやられすぎだ。

 まあ、擁護できる余地はある。

 片岡は須賀に狙い撃ちされていたからこそここまで失点したわけだが、その須賀と片岡は出身高校が同じだ。

 おそらく大会エントリー直前までは須賀も麻雀部にいたんじゃないか?

 そうであれば練習も共にしていたろうし、癖を知られていたのだろう。

 その点を考慮するとチーム須賀の中堅も同様だし、この大差を覆すのは相当厳しいだろう。

 ……色々厳しいことを言ったが、この逆境を乗り越えてほしいとも思っている。3校の健闘を祈る」

「ありがとうございました。それでは15分後の次鋒戦でお会いしましょう」

ということで今日はここまでにしますー

>>368
2%のはずの役満をことごとく自分の和了時に持っていった奇跡
そらこんなんやられたら次鋒以降で調整が必要になろうと採用するしかないよ!
これまで対局にしろ日常にしろダイス調整とかしなかったんですけど、
風越が飛びまくるのでやむなく……。風越の中三人はどうにも強くできませんでした

鳴いても平和ついたっけ

>>375
つかないっす
気を付けてたんですけど見落としがありましたか……申し訳ない

面白いぶん鼻につくオリキャラ?の存在がもったいない
あと鳴いたのにピンフがついてるのも

>>376
あ、だよね。
ちなみに >>283でそうなってるよ

>>379
おぉぅ……すみませんです。ご指摘ありがとうございます
たぶんこれ以降はない……はず……。気を付けます
掲示板だとこういうミスを修正できないのがもどかしいっす

商業ですらミスは普通にあるんだからそんなに気にする必要ないよ
面白かったしね

>>377
オリキャラは基本即興なので完全に自分の腕不足です
御不快にさせてしまい申し訳ありませんでした

それとご指摘ありがとうです。
気を付けてはいきますがこういうミスはまたあるかもしれませんので、
その際はよければ指摘してやってください

自分は気にならなかったと言っておこう

あとどこか忘れたけど白ホンイツピンフとかもあった気がした。

あ、楽しく読ませていただいてます

乙!
読み応えあって面白かった

>>386
>>66ですね、確認しました
いやほんと、ごめんなさい

>>381>>383>>387
そう言っていただけると励みになります。ありがとうございます

須賀控室

「ただいま帰りましたー!」


 俺が勢いよく控室のドアを開けると、一瞬の間を置いて桃子と憩さんが飛びついて来た。

 数絵と絃さんはその様子を見て苦笑している。


「お帰りなさいっす、京ちゃん!」「お帰りですよーぅ♪」
「大暴れだったわね、ほんとに」「憩に繋ぐなら手を抜かないとダメだわ」

「いや、前半はもうダメかと思ったんですけどね」

「それで役満を和了るってのはさすがにどうなのよ?」


 数絵が頭を抑えて嘆く。

 確かにあまりの引きの良さに自分でも驚くところだ。


「まあまあ、数ちゃんいいじゃないっすか。

 これで全国進出はもらったも同然っすよ」

「そうだわ。憩次第だけれど」


 楽観的な桃子の言に同調するようで、微妙に嫌味を言う絃さん。

 発破をかけられた憩さんもそれを否定しない。


「まあ、いくら天江衣が相手でもこんだけの差ぁがあれば全然問題ないですよーぅ」

「むしろ私達のほうが問題よね。ここで揮わなかったらおんぶにだっこと揶揄されてしまう」


 にこやかに笑う憩さんの言葉を受け、数絵が気を引き締めてそう返す。

 数絵は優希とは逆で東場が弱い。

 俺が大きく失点していたらかなり厳しい打ち回しを強いられただろうことを思えば、

 10万点以上の大差をつけられたのは重畳だろう。


「それじゃ、そろそろ時間だから……行ってきます」


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清澄控室

「「「「「……」」」」」


 戻ってきてすぐ、優希は泣きながら謝った。しかしそれがよりいっそう、控室の空気を重くする。

 誰もこれほどの結果を予測などしていなかったからだ。

 久のプランとしては、優希は原点維持か悪くともマイナス2万点程度であった。

 たとえ龍門渕が相手だろうと戦えるだけの戦力を整えてきたという自負もある。

 事実、井上純との差は1万6千点ほど。2位の福路美穂子とは3万点弱の差。

 ここだけを見ればプランからかけ離れたというほどではなかったのだ。


「まさか京太郎くんがあそこまで強くなってるなんて」


 たまらず和が呟く。


「そうだね。優希ちゃんだって弱くないのに、まるで問題にしてなかったよ」

「これほどとはねぇ。須賀君を追い出したのは失敗だったかしら」


 咲の素朴な感想と、久の必死の軽口。さすがにこの雰囲気のまままこを送り出すのは看過できないのだ。


「役満を何回も和了られたら誰だってこうなったじゃろ。

 なあに、後はワシらが稼げばいいだけじゃ。先輩の意地ってもん、見せちゃるけんの」


 まこは呵々と笑い、鼓舞する。まだ終わったわけではないと。

 和はそれを見て、17万点差を返すのは厳しいという言葉を呑み込んだ。

 この理不尽を乗り越えてこそ、父に麻雀を認めさせることができるのだと思いなおして。


「んじゃ、行ってくるわ!」


 染谷まこの闘いが始まる――

                |ノ〈::::::;::::r―' 、___   "''''''|:::::::::|
                    /:::;ハ√二ミー、`  -―〈::::::::::゙、
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               / /l::{´λ__ー-' _./ | !ュ:::/|/〉::::::〈
               レ (::::::ー-   ̄__  ' ヾ二'.//::::::人|
                 ソ::::::::λ   ゙ 、_>  /:::::イ
                 ノノハ::|::|\      /:::::::N
              _____リコ   ー-┬ ':;::;::::::ノ
           _√V| ||     イ   _, ┴―==-、_
         ,-<〈. | .、`┬‐-、   .F--∠--┐_, -=ニ\
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. ,入 \.\   `∟_/                /
「  \ | 〉<コ√ ̄ Τ`ー-、_______/

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 / ̄`ー┐     /_, -‐'::::/::::::::|:::::|::::.\|   ̄ |
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風越控室

「申し訳ございませんでした」


 美穂子がそう言って真摯に頭を下げる。

 エースとしての役目を果たせず、あまつさえ大差の独走を許した。

 最悪でも僅差の2位を想定したプラン上、勝利の道はほぼ途絶えたと言っても良い。

 なにせ龍門渕だけでも去年苦杯を舐めさせられた難敵である。

 それを躱してさらに霜崎絃要する須賀との差を縮め、最終的には大将戦で天江衣と荒川憩を下さなければならないのだ。

 コーチである久保貴子もこの状況では何も言えない。それでも、言葉をかけるのが大人の役目。


「……福路ィ、鬼コーチとしてはここは怒鳴りつけるべきなんだろうがな。

 役満を3回も和了られたらどうしようもねェ。ロンされなかっただけマシとすら言える。

 だがお前はあまり稼げてもいなかった。そこは改善しなければ駄目だ。

 全国までにこれまで以上にしごいてやるから、覚悟しておくように」


 周囲を睥睨しながら告げた、まだ終わっていないという遠回しな激励。

 ぽかんとしている者もいれば、それに気付き俯く者もいる。

 美穂子は当然後者だ。コーチの厳しさを知っているが故に、貴子にそういった態度をさせた自身の無力さに哀しみが湧く。

 池田華菜が必死に慰めようとするも、あまり上手くいっていないようだ。


「吉留、防御は二の次でいい。せいぜい稼いで来い!」

「は、はいコーチ! ……行ってきます!」


                            i'|/    ┴‐---、
                          -==ァ           ` 、
                         /               \`ゝ
                      _,...-‐'    | ハ N、 丶、   丶   \
                         ̄`7  | /レ V  \ \\  ヽ  、 |
                             | / | |' ̄     ̄`゙ヽ || |  ヾ、
                        レi i > ,==、   -≡ミ、 V|人/  ト- ゝ
                         ソ 「|´{,:::| H  {,:::::|| |,r┐ !|
                              `ト _.ノ 丶 __.ノ   } /レ
                               i   ___    ,、__.ノ/
                                \ 丶-'  /|/|人|
                               `  ,..-‐   |
       r 、                    r‐r―' ̄/!    !`  、
 ____ 丶 \_              ,イ| ヽ   ト  --/    >‐-、
 ≧ニニr‐ 、_,...-、 \              / i∧ ゙、 |ー--/  ,, " _,イ-‐^i
 `ー--`ー-、__   \          /  | ヽ ゙、|  /,, " __/ /   ',
             \   \     /   | | \ |/ニ--≠= ヾ /      !
             \   \   /\     Y   o |       \ |     i
              \   \ |>、  \ |   |            !     i
                 \   \ \  \i     |         /_|_,.---―┤
                  \     ∠>、_∧    |        |  |_,.---┬┘
                   \__/      |    |          |   |   |


 ここで折れるほど柔な鍛え方はしていないと、

 貴子は教え子には絶対悟られぬよう心の奥深くで信頼する生徒を送り出した。

龍門渕控室

「悪ィ、やられちまった」


 純が頭を掻きながら申し訳なさそうに謝罪する。

 その先には豪奢な金髪に頭頂部にはアンテナのように立った毛を持つ、正真正銘の大富豪令嬢、龍門渕透華。

 しかし透華は純の言葉に反応しない。いや、わなわなと震えてはいるのだが。


「……透華?」


 その様子を訝しがった純や、腕に手錠をして顔にはフェイスペイントを施した少女、国広一が声をかける。


「……ぎですわ」


 ぽつりと聞き取れないほどの小さな声で言葉がこぼれる。そして――

   |        ∨三二少」′   ∨         /        ` == 、_ `ヽ \
   |        ∨彡>1 7     ∨   丶 _  /               \ 丶 \ \
   !           ∨´  | !       ∨ヾ 、   7─ _ ,ィ               ヽ  ヽ ∨ \
.  /          Y  | |      ∨ヘ  ̄ 7  __,∠ `ヽ        `ヾ  ヽ  ∨∨
 〈             i  | i         ∨ヘ.  /   /  ヾ j         ∨  ∨ ∨|
.  ∨          |  ∨i、       \ゝ./   /     Yヽ         ∨  ∨ ||!
   ∨           |   ∨ヘ           ∧ヘ. /      }} ∨         i i  .|  リ
   ∨           |、  ∨ヘ       / `7ヾ       //  ∨        | |  ト
    ∨          iヘ   ゝ_ゝ_ (  、/  /  `ヾ、  /    i            | !  | \
      ∨       |∧     ¬ ニヾユ _/       /     !          |j   l   丶
      ∨       ト ∧       ハ ヾi ´ヘ、    /∧ ∧ /            !′/
      }       | ∨ヘ===≡ー' ′ }}   ` ̄ ̄´ / レ′/ !         ' /
      |       ==|´ ∨ヘ    _-べ  !|        /      |            /\
      |       |   ∨∨-'¨´    ! リ                  i             ′ 丶
      |       ト、 イ´ヾ、     j                    | |           { \ヽ \
      |         i| ∧ヽ  `    /                   | |           |    \
      |         ||   \\ _ ,ノ′           -‐ュ  | |i        |
      |         ||    、` ̄´∧ ∧/      /´./    | ||        |
      |         || i    ヽ / ∨       / /     /| ||        |
      |         || |   ヽ∧           / /     / ! |ヾ         ゝ
      |         || |    ∨ 、        レ′    /  ∨、 、        \
      |         || ゞ    ∨ ゝ、              ィ、  ∧ヘ ヽ         `
      |         ||   \   ∨   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |∨ト / ∨i  ゝ
.      !       j|    \   ∨       ヽ     ∨ | ∨/   ∨i    7 ──-、
        |       ||      \  ∨       ∨   ∨|  んへ   ヾ   /      i


「 目 立 ち 過 ぎ で す わ ! ! ! ! 」

「あ、良かった。いつもの透華だ」


 一が安堵の溜息を吐く。純も、眼鏡をかけた黒髪の智紀も同様だ。


「なんっなんですの、あれは!? 前半オーラスでそれまで鳴かず飛ばずからの役満ツモ!

 後半に入っても国士十三面に大四喜! 目立ち過ぎですわ~~~~!!」


 お嬢様の数少ない欠点、と言ってもいいだろうか。

 重度の目立ちたがり。さすがにネット上に自身のヌードをアップロードするほどではないが。


「まあまあ。ここから捲ったらもっと目立つんじゃない?」

「――それですわ一! ……ということで智紀。ほどほどに打ってらっしゃいな」

「了解。霜崎絃のデータはまとめてあるから今のうちに」


 沢村智紀。自らの仕事をこなし、戦場に赴く。

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次鋒戦

南浦数絵
属性 :O
技量 :B
直感 :C
必然力:C
・スキル
【忍び寄る南風】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半に嵐を呼ぶ打法。
(効果A)
 場決めコンマに-40。
(効果B)
 南場の間、判定値を+30する。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+30し打点を+1する。
(効果C)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが1枚以上乗る。
(効果D)
 東場の間、判定を-10。


染谷まこ(県大会時)

属性 :O       
技量 :C    
直感 :C     
必然力:D     
・スキル

【卓上記憶】
 幼い頃より幾多の闘牌を見続けた少女の脳裏にはその記録が残っている。
 素の判定コンマがゾロ目の場合に発動。
(効果A)
 次局から自身の判定値を+30。
(効果B)
 打点+3。



吉留未春 
属性 :D  
技量 :D

直感 :D
必然力:
・スキル
なし


沢村智紀   
属性 :D 
技量 :B

直感 :D
必然力:C
・スキル
【アベレージヒッター】
(効果A)
 聴牌判定を+20。
(効果B)
 和了判定を+15。
(効果C)
 打点が流局である場合、一度だけ再判定する。
 ただしこのとき再判定された打点は満貫未満になる。




智紀・まこ・数絵・未春  の順

1半荘目

智紀「よろしく」
まこ「よろしゅう頼む」
数絵「よろしくお願いします」
未春「よろしくお願いします」


「間もなく次鋒戦が開始されます。

 藤田プロの解説を交えて選手紹介を行っていきたいと思います。

 まずはトップの須賀、南浦数絵選手」

「こいつは往年の麻雀ファンなら知ってるかもしれないな。

 南浦聡シニアプロのお孫さんだ。

 ここまでの牌譜を見るに、スロースターターの追い上げ型だな。

 南浦プロも終盤に強い通好みの打ち手だったが、

 孫も見事にそれを受け継いだ、というところか。

 経験不足故か東場がまだまだ不安定だが、プレイスタイルが私と似ているからな。

 頑張ってほしいと思ってしまうよ」

「南浦聡プロと言えば、麻雀をメジャー競技化する黎明期に活躍されたプロのお一人ですね。

 そのひりつくような打ち回しはギャンブルなどのダークなイメージをどこか残しながらも

 熱い試合を残す、名試合メーカーとして知られています。

 現在も長野のマスターズチームでご活躍中です。

 続いては2位の風越、吉留未春選手」

「名門風越の選手だけあって、堅実で堅い打ち方をする選手だ。

 特に癖もないし、高校生としては平均よりやや上、と言ったところか。

 全国に出るならこれくらいはないと困るという水準ちょうどの選手とも言える」

「なるほど。さすがの風越、十分全国で戦えるレベルの選手を育て上げているということですね。

 次は3位の龍門渕、沢村智紀選手」


「こいつは龍門渕透華が全国から見出した一人だな。井上と中堅の国広も同じくだ。

 沢村の特徴としては……高レベルのデジタル打ちというところか。

 対局者のデータを参考に打ち回すから正確に言えばアナログ打ちだが。

 とはいえ牌効率や期待値を重視した打ち方の比重が大きいから、アナログ交じりのデジタル、だな。

 全国でも十分通用する実力者だ。井上と同じく、こいつと戦えないようなら全国なんて夢のまた夢。

 それだけに他の3人がどう動くかに注目したい」


「昨年の県優勝校は伊達でないということでしょうか。

 最後は4位の清澄、染谷まこ選手」

「ああ、まこか。こいつの実家は雀荘をやっていてな。

 そこで出る出前のカツ丼は絶品だぞ。私も贔屓にしている。

 ……麻雀の話をしろって? 分かった分かった、だがカツ丼のおかわりを頼むぞ。

 コホン。あー、実力だったな。こいつは幼い頃から玄人の打ち筋を何千局と見ている。

 だからというわけではないが、局面局面での読みに長けている。

 デジタルとは全く異なる打ち方をするんだが、それ故にハマればかなり強い。

 逆に言えば想定外、未経験のことには弱いんだが……

 ここまで登ってくるような奴でこいつの想定外ってのはそうそうないからな。

 期待していいと思うぞ」

「ありがとうございました。これまた実力者が揃った対局となりそうです。

 それではいよいよ次鋒戦、開始です」

東一局  ドラ:四筒

数絵(さて、京太郎が大量リードをくれたし……気楽に行きましょう。

   配牌もツモも東場にしては良い。攻めてみるのもありかしら)

数絵「リーチ」

まこ(む、守らずに攻めるか。ワシらにしたらありがたいことじゃの)

智紀(南浦数絵は東場は弱い後半爆発型のはず。

   とすればこのリーチは見せ札であって本命ではない?

   余裕の表れ、挑発。なんにしろ……この程度でやらせるわけがない)

智紀「ロン。タンヤオ七対子で4800」


智紀   66700
まこ   44000
数絵 215500
未春  73800


東一局一本場  ドラ:五萬

数絵(さすがに龍門渕……。東場の私じゃ正面からぶつかるのは下策か)

まこ(おうおう、意識しちょるのう。じゃが、忘れてもらっちゃ困る。

   麻雀は四人でやるもんじゃ――)

まこ「ロン! 東ホンイツで7700の、1本場は8000じゃ!」


智紀   66700
まこ   52000
数絵 207500
未春  73800

東二局  ドラ:八萬

数絵(しまった、完全に警戒を怠っていたわね……。

   やはり無理せず南場まで待ちましょう)

まこ(うむ、まずは良し。この調子で差を縮めていければいいんじゃが)

智紀「リーチ」

未春(龍門渕は分かってたけど、清澄も速い……。私も前に出ないとダメかな)トン

智紀「ロン。リーチ北一盃口で5200」


智紀  71900
まこ  52000
数絵 207500
未春  68600


東三局  ドラ:五筒

智紀「聴牌」

「「「ノーテン」」」


智紀  74900
まこ  51000
数絵 206500
未春  67600


東四局流れ一本場  ドラ:四萬

智紀「聴牌」

「「「ノーテン」」」


智紀  77900
まこ  50000
数絵 205500
未春  66600

南一局流れ二本場  ドラ:東

まこ(さて、そろそろ眼鏡を外して行こうかの)


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 〉::::::::::::::〈 ̄二二、  彡/l::::::::::、`i::ノ1::/く ::\::_」 \

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|:/ |:::::|/:::::::、 2:::::d      ゝ,,,,゜/ '    /:// ̄ ̄\/ ̄/ ̄/
  ,>:>;:::::゙、 "ー'       ,,,    __//.,.-‐' ̄`ーイ _/|_/
  /:/ /:::::::゙、 ''    '    .    /:::::::|  _, -‐'"! √
  レ  |:::::i:::::゙、    _, -‐'フ    イ::/|:::|     ィ. 〉
    "\ハ::::::\   `ー‐ '  /  ト-、__|    /!ノ
      ノ |/フヽN二ニー-- '    λ r/    !/
        _, -/..:..::/〉       |/〈    ノ、


まこ「リーチ!」

智紀(……伊達眼鏡? いや、目を細めてるし違う。なら何か意味が。

   試してみよう)

智紀「リーチ」

未春(うっ、聴牌できなきゃ攻めるに攻められないよ。

   しかもこの局は二人もリーチ……。当たりたくないな)トン

まこ(おかしいの。そろそろ来てもいい頃なんじゃが)

智紀(ん、特に意味はなかった? だったらリー棒もったいなかったかも)トン


 智紀はまこを警戒するあまり、数絵のことを忘れていたのは油断である。

 だからこそ、風が吹いた。少女はその口元を歪める。


数絵「ロン。チートイドラ2の2本場で7000。南場は私のステージよ?」


智紀  69900
まこ  49000
数絵 214500
未春  66600

南二局  ドラ:四筒

智紀(迂闊。しかし南浦数絵はデータ通りか)トン

まこ(龍門渕のは気が多いのう。そんなでは刺されるぞ、こんな風に――)

まこ「ロンじゃあ! リーチ清一色で跳満、18000!」

智紀  51900
まこ  67000
数絵 214500
未春  66600


南二局一本場  ドラ:一筒

「「「聴牌」」」

智紀「ノーテン」

智紀  48900
まこ  68000
数絵 215500
未春  67600


南二局二本場  ドラ:七萬

「「「聴牌」」」

数絵「ノーテン」

智紀  49900
まこ  69000
数絵 212500
未春  68600


南二局三本場  ドラ:三萬

透華「ちょっと智紀は大丈夫ですの?」

一「ちょっと波に乗れてないよね。さすがに飛んだりはしないだろうけど」

純「俺が言えたことじゃねーけど、信じるしかねーだろ」


まこ「ロン! タンヤオのみの3本場で2900じゃ!」


智紀  49900
まこ  71900
数絵 212500
未春  65700

あれ、ミスってる
タンヤオのみじゃなくてドラをつけ足しでオナシャス

南二局四本場  ドラ:六索

「「「聴牌」」」

未春「ノーテン」


智紀  50900
まこ  72900
数絵 213500
未春  62700

南二局五本場  ドラ:二索

智紀(焦っちゃダメ。焦れば焦るほど泥沼……。やけにツモが重いけど、

   ここで前に出たら危うい)

まこ(なんじゃ……。これは、いかん。役満が出るときの雰囲気に似とる!)

数絵「カン」  ―=三Σ南南南南

未春(カンドラが増えた。おかげで2枚乗ったけどまだ一向聴。

   鳴いてでも和了りに行くべきなのかな)

数絵「リーチ」

智紀(マズイ気がする。安牌もないし、せめて一発は消そう)

智紀「チー」トン


 その瞬間、対局室を除く幾箇所で悲鳴が上がった。


数絵「ロン! リーチ南小三元チャンタドラ――」

 倍満に振り込んだのだから当然のことだ。だがそれで済むと誰が言ったのだろう。


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数絵「裏4で数え役満、5本場で33500」


智紀  17400
まこ  72900
数絵 247000
未春  62700

南三局  ドラ:三元牌

智紀(――――ハッ。いけない、予想外で酷い有様だけど、まだ、終わってない!)

智紀「リーチ!」

未春(うわ、ここで攻めるんだ。私だったら絶対萎縮しちゃうなぁ)


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智紀「ツモ! リーチメンタンピンドラドラで跳満、3000・6000!」


智紀  29400
まこ  69900
数絵 241000
未春  59700


南四局  ドラ:三筒

数絵「リーチ」

数絵(さすが。でも攻める以外にない局面よねだから――)

智紀(くっ、けどここで引いても変わらない……。通って)トン

数絵「ロン。リーチ純チャンドラで満貫、8000」


智紀  21400
まこ  69900
数絵 249000
未春  59700

「次鋒戦前半が終了いたしました。

 1位は変わらず須賀。役満を和了りプラス27700。

 2位は変わって清澄。安定した稼ぎでプラス25900。

 3位も変わり風越。和了りもなくマイナス14100。

 4位は波乱の龍門渕。役満を直撃されマイナス39500。

 藤田プロ、どうでしたか」

「この半荘で語るべきはあの役満放銃くらいか。あれは迂闊だった。

 流れとして、高くはないが安くもないそこそこの手で和了を重ね、

 調子に乗ったところで親ッ跳ねを直撃。

 挽回しようとするも裏目に出てノーテンや聴牌流局。

 焦れたところで前に出過ぎた。そこを南浦に撃たれたな。

 さすがに狙い撃ったわけではないだろうが……」

「絶体絶命の龍門渕! このまま終わってしまうのか!?

 注目の後半戦、間もなくスタートです!」

2半荘目

東一局  ドラ:七萬

未春「ツモです。タンヤオトイトイで1000・2000」


智紀  19400
まこ  68900
数絵 248000
未春  63700


東二局  ドラ:中

「風越のツモ和了でいよいよ龍門渕が2万点を切ってしまいました」

「今のはしょうがない。山が透けてるのでもなければ狙ってずらすなんてのは難しいからな」

智紀(このまま終わるようじゃ、透華に捨てられても文句が言えない。

   私はまだ、あそこに居たい。恩を返すまでは、せめて)

智紀「ツモ。チャンタツモで1000・2000」


智紀  23400
まこ  66900
数絵 247000
未春  62700


東三局  ドラ:三萬

智紀「リーチ」

数絵(やはり、強い。京太郎の作ったリードがなければこんな悠々と打てなかった)トン

智紀「ロン。リーチドラ2の……裏なしで3900」


智紀  27300
まこ  66900
数絵 243100
未春  62700


東四局  ドラ:一索

数絵「ロン。リーチ東で2600」


智紀  27300
まこ  66900
数絵 245700
未春  60100

南一局  ドラ:九筒

未春(マズった。これ以上失点できない)

智紀(まだ、イケる)タンッ

まこ「ロンじゃ。發チャンタで3200!」


智紀  24100
まこ  70100
数絵 245700
未春  60100


南二局  ドラ:五筒

数絵「ツモ。トイトイドラ4で跳満、3000・6000」


智紀  21100
まこ  64100
数絵 257700
未春  57100

南三局  ドラ:南

智紀(速い!)

未春(その上ダマで跳満……)

まこ(南場は確かにこいつのステージじゃのう。

   じゃからといって黙ってやられるワシじゃないが!)



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まこ「ツモじゃあ! 清一色ツモで跳満、3000・6000!」


智紀  18100
まこ  76100
数絵 251700
未春  54100

南四局  ドラ:四索

智紀(配牌二向聴。ツモも悪くない。せめて和了って終わろう)

未春(よしよし、良い感じ。リーチかけるか迷っちゃうな……。2,3巡経ってからにしよう)


 好調な二人。逸る気持ちがその打牌にも表れているようで、

 それまでと違いワンテンポ速い切り出しをしていく。

 それを見て、数絵はその口角が上がるのを堪え切れなかった。


数絵「ツモ。面前平和純チャンで満貫、2000・4000」


 だってもう手遅れだったのだから。


智紀  16100
まこ  74100
数絵 259700
未春  50100

「次鋒戦、終了いたしました。

 トップは須賀、南浦数絵選手。前半+27700、後半+10700の合計+38400で

 259700点としています。次鋒区間トップ収支。

 2位は清澄、染谷まこ選手。前半+25900、後半+4200の合計+30100で

 74100点としています。

 3位は風越、吉留未春選手。前半-14100、後半-9600の合計-23700で

 50100点としています。

 4位は龍門渕、沢村智紀選手。前半-39500、後半-5300の合計-44800で

 16100点としています。

 藤田プロ、次鋒戦は総評してどうでしたか」


「なんだ、前半の役満が全てに影響したな。

 あれさえなければ南浦は前半はマイナス収支、合計でも+6400で悪くない程度の結果だった。

 後半も打ちやすさが違ったろうしな。

 とはいえ勝負事でIFは厳禁。今回は南浦にツキがあり、沢村にはなかった。

 ここまでの大差になるともはや試合は決まったようなものだし、

 かえって個人個人の姿が映えるかもしれない、と思うしかないだろう。

 長野は去年といい、魔境だ」


「ありがとうございました。休憩を挟んで18時00分から中堅戦、開始です」

須賀控室

「ただいま帰りました」

「お帰り数絵」「お帰りですよーぅ」「おかえりなさいっす」「お帰りなさい」


 数絵が帰ってきた。何度か放銃こそしていたが、危なげない戦いぶり。

 さらに役満まで和了り、盤石だったといってもいいだろう。


「数絵も役満和了ったな」


 なので当然口も軽くなる。俺はからかうようににやつきながら言った。


「そうっすねぇ。これは自分も役満やらなきゃダメっすかね」

「そうそう出るもんやないんやけどねーぇ」

「2%だし、出るときは出るものだわ」


 そんな俺にのったのか、桃子たちも口々に数絵の健闘を労う。


「役満はできすぎだけど、それでも負けるつもりはさらさらなかったもの。

 とはいえ京太郎のおかげでだいぶ気楽に打てたのは確かよ」


 苦笑しつつも肩にかかった髪を払いながら、気取った風に言う数絵。

 俺も出来すぎなくらいだったし、成果が出るのは嬉しいものだ。


「ということで行ってくるっす」

「まだちょっと早くないか?」


 そんなこんなで雑談をしていると、桃子が少し早めに出発を宣言した。


「京ちゃん、女の子には色々あるっすよ」


 思わず呈した疑問に対する返答は、なんとも返しづらいものだ。

 男の俺には分からない色々はいくら親しいとはいえ触れるべきでもない。


「そ、そうか。ま、気楽にな」「いってらっしゃいですよーぅ」
「いってらっしゃい」「ガツンとやっちゃいなさい、モモ」


 なんとも間の抜けた激励を告げた俺を皮切りに皆も桃子を見送る。

 桃子なら問題ないだろうと、俺は安心してその背を見送った。

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        从: : i : : : : ヽ. :.|: : : : : : : : :/
       人:_j : : : : : : Ⅵ: : : : : : /
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清澄控室


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  ′ V:::::::::{:::::i::::::\__   \        /    \ ̄´   / /::://;:く<
     V:::::∧::ハ::::::::::::::::ハ    ` ー─ ´     丶  `丶、_ ィ'::::::::::l:::::〉、:ヽ
     〉:::ハ:〈 ヽ〉:ノ=‐7`                    /:::::::::::///  〉::〉
     ソ´  `  /: . :┤          ` ー──-       /:::::::::ノ 〃   ソ
       , .<´: . : . 〈    \             /:::::::V  ′
    , .<: . : . : . : . : . :\     丶       . .<:<_V∨

 ,. .<: . : . : . : . : . : . : . : . :\     ` ー <: . : . : . : . : .\

「ま、ざっとこんなもんじゃ」


                  -‐……‐-
           __ .  '"           ``ヽ、
           __(_,:'     . : : : : : : : i : : : .   \  __
      , -=ニ(__)′ . : : : : : :/: : : :¦: : : .    〃ヽ_)ニ=‐-

     /   . : /   . : : : : : /: : : : : | : : : : .     乂ノ  ``ヽ、
   //  . : ,′ . : : /: : :/:{: : : : :i:| i : : :i: : .    i:    \\
,    / . : : : ;  . : : 厶=-‐i:{: : : : :i:N‐-=|: : .    l:Y    `、
.    ;′ : /: : :i{ : : : :i{: :乂: |: |:{ : : |:¦: | :卞: : .   ;i | }: .    `、
   {  : i{: : 八 : : i{ { ,,ィ茨氷 : :l: ィ茨氷、}i: : }i | }: :

   乂_ : :{i : : i个ト:乂;《 {i _j゚} \j  {i _j゚},》}i: : 八:.|;゙: : /¦ }

      \{\ i|¦: : ::|  とつ'°    とつ'゚ 厶イ: :|:,厶イ  jノ
           〉|¦: : :i|ハ :':':'     '    :':':'  爪: : : | |
         |¦: : :ii込、          ;勹i : : | |

           八乂_: :乂: :>。.  ~~  ¨  イ: :八: :_人ノ
.                    r 〕=‐ :=夭=ァ
               _jI斗       :ト、__
             .斗=ニ  八__     _,/ ⌒ミトミ__
.            ∧\___________》竺吝竺-《____________,/>、
         / rく_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_/∧

           /  V_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-/ ∧
          ,′  ∨-_-_-_-_-_-_-_-_-____-_-_-_-__,′  :,
        ,′   }-_-_-_-_-_-_-_-_-_-__-_-_-_-_,′    ′
        {   (\-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-{       ;
        { /⌒  ヽ-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_j{______,  }


「せ、先輩ぃ~~!」


 優希が泣きながら、控室に戻ってきたまこに飛びつく。

 まこはそれを苦笑しながら受け止め、宥める。


「さすがは染谷先輩です」

「龍門渕があそこまでやられるのはともかく、想定内じゃったからの。

 とはいえトップとの差は広げられてしもうた」


 和が賞賛するも、まこは不満げな様子だ。

 確かにまこは3万点を稼いだが、数絵は4万点近く稼いでいる。

 全国進出が厳しい状況であることは変わらない、むしろより悪化していると言ってもいいのだ。

「十分な結果よ、まこ。さすがに役満を和了られたらしょうがないもの。

 ちょっと厳しいけど、私達3人で捲ればいいだけだしね」

「そうですよ。相手が誰だろうと負けていいことにはなりません」


 そんな自省的なまこを励ますように久と咲が言葉をかける。

 団体戦であれば、取り返しはつく。一人では与れない恩恵。


「ま、そういうことにしておくかの。久、和、咲。後は任せた」

「はい!」「もちろんです」「モチのロンよ」


 まこも2位で終わったのにうじうじとするのは良くないと切り替えたのか、

 役目を終えて後続の3人に荷を任せる。

 久、和、咲は否やを唱えるはずもなく。


「ってことでぇ、そろそろ行くわね」

「部長頑張って」「先輩なら安心です」「久がそうそう下手打つこともないじゃろ」


 いよいよ二年間待った戦場。久の気は否応なく昂る。

 それまでまこに抱きついていた優希が顔を上げ、涙交じりに言葉を紡いだ。


「――部長ぉ、次は、私も負けないじぇ」


 可愛い後輩の頼み。雪辱。勝利への一歩。

 これに応えねば女が廃ると、好戦的ににやりと笑う。


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    '     ヽ.  _r'`  `ヽヽ.   i   /ーl i      / ̄     / ./     l:|
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      ヽ        ヽ、    ,,‐=-、_/|./:::::::::|  l  _/ ̄       ./r───、|
       ヽ       ゝ,/::::::/ ̄<`ー─-、__/ ヽ.        / /
       \     i|:ヽ;::::::/    \    i          /  /
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            `、_/ー-‐" \,             \ ,  /    Y
                    ̄ ^ー -  _     /      |



「ええ。勝って、次をやりましょう」


 赤い髪を翻し、女は舞台へと上がる――

中堅戦

東横桃子(特殊)
属性 :O
技量 :D
直感 :D
必然力:B
・スキル
【ユビキタスモモ】
 影の薄さが極まりついには異能の域にまで至った力。
 自らを希求する者と出逢いさらに強力になった。
 彼女はどこにでもいてどこにもいない。
 以下の条件を満たすとポイントが加算。
 ア)各局が終了した場合+1。             イ)自身の和了を放棄した場合+2。
 ウ)リーチをかけられる場合にかけない場合+1。  エ)放銃判定値で1位の場合+2。
 オ)場の必然力平均を自身が上回った場合、その差分の1割を毎局ごとに。
 カ)場風が変化するごとに+2。
 (他家の必然力平均/5)を、累積したポイントが上回れば発動する。
(効果A)
 自らよりも必然力の低い他家に放銃しない。
(効果B)
 聴牌・和了判定値を+20。
(効果C)
 和了形がロンのとき、和了判定値をさらに+20。


竹井久(県大会時)  
属性 :D
技量 :B
直感 :C
必然力:D
・スキル
【人生悪待ち】
 順当でない分の悪い賭けを好み、不思議とそれが功を奏しやすい宿運の持ち主。
(効果A)
 判定コンマが20~69の場合、反転コンマと比較し高い方を採用する。
(効果B)
 効果Aによって聴牌に成功した場合、和了判定値を+30。
(効果C)
 効果Bによって和了に至った場合、打点+4。満貫以上の場合は+2。




文堂星夏
属性 :D
技量 :D
直感 :E
必然力:D
・スキル
なし



国広一 
属性 :D
技量 :B
直感 :C
必然力:C
・スキル
【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。

【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。



星夏・久・一・桃子  の順

「間もなく中堅戦が開始されます。解説の藤田プロに各チームの選手解説をお願いします」


「もぐもぐ、ごくんっ。うむ、任された。

 まずはやはりトップの東横桃子からにしようか。

 こいつは……そこそこの上手さにかなりの引きの良さが合わさって十分強いな。

 時折不可解な危険牌切り出しと、他家の見逃し、

 それに他家の完全無警戒な迂闊な放銃が重なることがある。

 カメラ越しでは分からない、卓上でしか感じられない何かがあるんだろう。


 さて、2位の竹井久だな。

 こいつは……酔狂な打ち方をする。それと調子に乗ったときにややマナーが悪い。

 トラッシュトークなどは別に大会規定で禁止されているわけでもないし、

 審判員に注意されない範囲でならエンターテイメントとして黙認されてすらいるがな。

 とはいえ、初出場の選手だからといって侮れる実力の選手ではない。

 風越の福路ほどではないが、名門でもレギュラーを張れるだけの実力者だろう。


 次は3位の文堂星夏か。風越で1年がレギュラーになることはあまり多くない。

 福路や池田華菜と近年は続いているが、それを鑑みるにこいつもかなりの実力が期待できるかもしれんな。

 打ち筋はオーソドックス。癖が無いのが吉と出るか凶と出るか……。


 最後は4位、国広一。

 こいつは諦めが悪いというか、一本芯のある打ち手だ。

 過去のスキャンダルもあってあまり好意的な見方はされない選手だが、

 あれもチームメイトの勝利のためだったと聞く。

 善悪の判断がついていない子供が"そういう技”を体得していたのだから起こるべくして起きたことだろうな。

 だからといって実力自体に疑問符が付くわけではない。

 全国でも通用はしていた。臨海がさらに上を行っていただけで、な。

 面白い対局になることを期待するよ」


「ありがとうございました。……それでは、中堅戦スタートです」

東一局  ドラ:七索

「「「「聴牌」」」」


星夏  50100
久   74100
一   16100
桃子 259700


東一局一本場  ドラ:四索

星夏(聴牌で親継続だけど、幸先が悪いな)


 細い目を更に細めて悔しがる星夏。

 そんな1年生を見て、久は堪え切れずにやりと笑みを浮かべる。

 星夏はその悪女じみた表情を見ていない。


久「リーチ」

星夏(安牌は……もうない。確か変わった待ちをするんだったっけ。

   なら、こっちで)タンッ


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            , : . イ: . : . : . : . :/: . : . : .ヽ: . : . ,
            彳: . : . : . : . :/:.:/ : . : . : . : .ヽ: . : .,
         //: . : . : . : .., ': . : ネ: . ;イ: . : . : . :ヽ: . :,
        〃 {: . /: . : . :/: ./ {: . 从ヽ: . :.ヘ: . : . : .,

        /   : ./: . : . :7/   ',: { ヽ \: .:V: . : . :.,
       ,'   レ': . : . :イ´     ヾ、    ヽ;}V: . : . :
           ',: . : . /.i!``ヽ      '" ´  ̄ ',: . : . :}
      ,     {: . : 7 {  -、       ィ'    }: .}: . .
      {     i: . :ハ,ア芸ミュx、    ,。s=オヽi!: i: . :|
      ',     ,: .:{: .ベ ) ::: リ`     乂.:: リ ノハノ: . :
            V: . : ヘ `ー'        ¨´ ノ: . : . 7
            ヽ: . : ヘ      '     , ': . : . :ノ
          _  _)={ >、     __    {: . : ./   >--┐
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  /-‐ァ´: . : . : イ  ̄/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム      i!. : . 7 :;:;:;:;:;:;:;:// ヽJ!
 .{  {: . : ./   ./マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム ___   {: . : .ヘ :;:;:;:;:; ///`ヘ
  ``ヽ!: . :{   , '`ヽ .マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ム     7、: . : . ヽ :;:;/    V
    ヽ: .',  / {  ヘ ヾ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム    7:;:;:;`ヽ. : .ヘ {     ',
      \、ノ  ',     \ :;:;:;:;:;:;:;:;ム   .7:;:;:;:;:;:;:;:;`ヽ.:}       ,
       /    ヘ    /  \ :;:;:;:;:;:ム   7:;:;:;:;:;:/  }ソ ', ヘ -ー- ヽ
    , ´ー 、    ヽ 7    \ :;:;:;ム 7:;:;: /   ノ   /   --、 〉
   〈 _   \    Y      \ :;:∨:;/        Y  /::::::,'`ヽ}
   ',  /::\  \   i!         {  }          }、 ./ ヽ:::   ',


久「ロン! リーチタンピンの――裏3で跳満、1本場は12300!」


星夏  37800
久   86400
一   16100
桃子 259700

東二局  ドラ:北

星夏(普通に綺麗な待ち……。でも気を抜かずに警戒しないと)


桃子(部長さんはまだ様子見っすかね? ならこっちなら通るっすよね)タンッ


                      __

                 . . : . : . : . : . : . : . : . .
               . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . .
             . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : ...

            . : . : ../: . : . : . : . :,ィ: . : . : . :ヘ: . : ,

            ,: . : ../: . : . : . : . :/;.イ: .、: . : . : .ヘ: . }
            7: . : /: . : . : . ://: / .{: ..{ヘ: . : . : ..',: .!
           {: . :,': . : . : ./  {/{i  ヽ:.ヘ ∨: . : . }:.:}
           : . : . : . :./     ヾ  ``ヽ∨: . : . :.
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            V: ..,  乂ノ     ´ゝュノ   ノノ: ../
            ヽ: .,              /´:/
              >、     '      ノ="- ,_

         > '":;:;:;/. :}>   - -'   ィ.,:;{. : . ヽ:;:;:;:;}}ヽ
      >__´ヾ、:;:;:;:;:;:;:{. : .ヘ:;:ヘ`  __  イ   !:;:;ヘ. : . : ヽ:;:}}:;:}
    /´ /ヽ:;ヾ、:;:;:;:;ヘ. : . ヘ:;',      , ィi!:;:;:;:ヽ. : . : .\∧
   イ  /   \:;ヾ、:;:;:;ヽ. : .}:ヘ ̄ヽ  /  !:;:;:;:;:;:;: ̄`ヽ.:ヘ
 ̄´   ./   {  \:;ヾ、:;:;:;ヾ}:;:;ヘ___,,,ィi:;:;:;:;:;:;:;:;:;:〃7ヾ} V
 ̄`ー‐/ "⌒゙ ',   ヘ:;:ヾ、:;:;:;:;:;:;:;ヘ     i:;:;:;:;:;:;:;:;/ノ{ ノ V

    ,     ヘ   } \:;ヾ、:;:;:;:;:;:;ヘ    i:;:;:;:;:;:;:;: / /   V
   ,      ヽ  }  \:;:ヾ、:;:;:;:ヘ.    i:;:;:;:;:; /  く
      -- 、  ヘヽノ     > :;:;:;:ヘ   !:;:; /     ',
   ,/     ヽ /        > :;ヘ i!/        }  {
            }           \V/        } ノ  }
            ノ           {  }           ヽ
 {     \    {            iiiiiiiiii       {    ノ
        \               iiiiiiiiiii       ',   ./    \
 ',        ヽ }            iiiiiiiiiii          /      ``
            \          iiiiiiiiiii        ∨



久「ロン。チートイドラドラで9600。相変わらず防御が甘いわねぇ」


星夏  37800
久   96000
一   16100
桃子 250100

東二局一本場  ドラ:八索

桃子(しまった、今度は悪待ちっすか……。

   とはいえそろそろ消えれそうな気がしてきたっすから、

   そうなればステルスモモの独壇場っすよ)


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星夏「聴牌」

「「「ノーテン」」」


星夏  40800
久   95000
一   15100
桃子 249100


東三局流れ二本場  ドラ:七萬

久&桃子「「聴牌」」

星夏&一「「ノーテン」」

星夏  39300
久   96500
一   13600
桃子 250600




東四局流れ三本場  ドラ:一萬

一(ノーテン罰符が痛い……。そろそろ攻めないといよいよ飛びそうだ。

  ボクだって透華のために、負けられない――)

一「ツモ! ツモ純チャンドラで満貫の3本場は2300・4300!」


星夏  37000
久   94200
一   22500
桃子 246300

南一局  ドラ:三筒

桃子「ツモ。チャンタドラで700・1300っす」


星夏  35700
久   93500
一   21800
桃子 249000


南二局  ドラ:六筒

星夏(え? いつの間に鳴いてた?)

久(そして相変わらずの厄介さよね。見えない気付けない……。

  運が悪ければ狙い撃たれるってのは嫌ね)

一(……? 鳴きに気付かなかったなんて、おかしいな)

一「リーチ」

桃子(ふふふ、消えてしまえばこっちのもんっすよ)トン


「おっと、東横選手かなりの危険牌を躊躇なく切り出し」

「そして国広は見逃す、と。やはり少し前の局から様子がおかしいな」


「「「「聴牌」」」」


     / _, -‐_二>ー‐ァ-‐::'::: ̄:::`::ー.-、
     レ  /:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

      /::::;:::::::::/::::::::/  ̄ ̄\;;:::::::::::::_; --、、
     /:::://:::::/::::::::::::::〉   ー-、i'''iニ二、   〕、
    .|:::/ ./::::::/:::::/:::/「 ___コ__|ニ二__  .rイ:i゙、
    .レ' ./:::/|::::/::::/└<__,.-イ|:::::|:\__)/:::゙、:l |

      |::/  |:/::::/:::::/`|:ト/イ::/|:::/|:∧::::ト、::::::λ|リ
         |:::::/:::::イ.ァ===、レ、 |/ ィ≦|:ノ|:::::::/::::|

         〉:/:::::/イP::o:|/  ノ  5::::イ ル:::::::::::::|
          |::|:::::ィ  " ̄     └-‐' |}::::::::::::|
         |::|:::/トi       '   _,★/'|::::::::::::/
         /|ハ:|リ__`>r‐―‐-、‐- 「 |/ /::::::::::/
        /     r┴_`二ニ、 \|. トー/::イレ'゙、
     ┌┘   ,  | └┬‐- 、   | ̄.|/    |
      |  ,   |  〉  ーこ二    ,>、/|    \
     /\_ \ |  |__/Y \_,-<  \  r  ノ
    ,イ   `>-ノ   /   ハ  \○\ /\ー〈
   ./  \__/ |   /    / |   \ /q  /\「\
 /     イ / ∠イ ̄.V ∧ \√ ̄|∂/   \〈

「 _, -―‐┬┘ |_|/   /  \____∂|_      〉
.\    ̄ ̄\    | ̄ ̄ ̄       ∂ \    /
  \    └┐   〉           ∂  └--‐'
.    \   ./\ |            ∂
      \/  //            |


一(!? え、ボク見逃ししてた……? 変に気負いすぎて視野が狭くなってるのかな。

  でもその後に誰も当たり牌出してなくて良かった。公式大会決勝でチョンボは恥ずかしすぎるし)


星夏  35700
久   93500
一   20800
桃子 249000

南二局一本場  ドラ:六筒

久「リーチ」

桃子(む、これは先に行かれたっすね)

星夏(どういうことだ? 龍門渕の選手が初歩的すぎるミスをするなんて)トン


   /: . : . : . : . : . : . : . : . :イ     /:. イ: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : i

   . : . : . :/: . : . : . : . /         // ,': . : . : . イ: . : . : . : . ',: . : . : . : ,
  ,: . ィ: . /: . : . ://         ′  {: .ハ: . :./ {ハ: . : . : . : . }: . : . : . : .:
  /:.:/{:.: ,'. : . /`/ヽ、           ヾ{ V:.{ {! V: . : . : . : i: . : . : . : . !
 ,':.:/ i: . : .:../   {  \             ヾ{ ヘ ∨: . : . : ..i: . : . : . : . :

 {:.,' i: . : ..7 ーァs、 ヽ、 `、                 V: . : . : . : . : .}: . : ..:
 i:.{  !: . : {イ´云念s、 ヽ        _,, - -      ',: . : . : . : . : リ: . : ..|
 ヘ', .!: . :.i { r‐'’:::. か               `ヽ、  .}: . : . : . : . :7: . : ..,
  ヘ ,: . :,  V :::: ノ }        '''_ー--    \ ハ: . : ,'. : . :/: . : . ,
   ', }: . ,   ゝ-- '’         ,ィfチ不万心、   .ハ: ..:./: . : /: . : . :,
   .ヘ}: .,                 ,つ ::::. ゚リヘヽ /: . : /: . : ,'. : . : .,
    .ノ: ,                 v :::::. ノ } ハ:..:/: . : . : . : . :/
   ,': . :{         ’            `ー-'’ ´/:..:/: . : . : . : .., '
  ./: . : ヘ                      , ': . :/: . : . : . : . /
 , ': . : . : /ヘ                   , . : . : . : . :/: . : /

./: . : . : ./: . :ヘ    、             /: . : . : ..:./: . : ,
{: /}: . :./{: . : .:i:\     ー‐ ´       /: . : . : . :/: . : . : {


久「余所見なんていけずね。ロン! リーチ清一色で跳満、1本場は12300!」

星夏(今度は悪待ち!)


星夏  23400
久  106800
一   20800
桃子 249000

南二局二本場  ドラ:六筒

桃子「ツモ。チートイタンヤオツモの2本場は1800・3400っす」


星夏  21600
久  103400
一   19000
桃子 256000


南三局  ドラ:南

桃子「ツモ。白のみで400・800っす」


星夏  21200
久  103000
一   18200
桃子 257600

南四局  ドラ:西

星夏(気付いたら和了られている……。どうすれば……)

一(うーん、イカサマって感じじゃないし。衣みたいなオカルトだったりする?)

久(あら、これは……ふふっ、やっぱり私はこうでないと、ね!)ヒュンッ


            ,.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、                  // \
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   ._,{;:::l::::::l∧_ヾ!、 `-゚'    _ニヽ, .リ:l::::;;、ト、!                _/,,-‐‐ー─、
      、 ̄ ̄\::::(⌒ヽ`゙      /::y〉 /丿;;;イ;:|;;;l                   / '    ヽ、,_ノ
.     ー _\゙ニミ、 ^ 、  ' `゚"///ア::ノ/;リ                /       、__`ッ-、
       .   \)ヾ) `ー‐`  ゙/:::::::::::l" 彡"              /        / , i
.          ̄ ̄ ゙̄≠ー-、._,, イ;;;;:::::;;;:ノ  .、  }ヽ、             ./         ,/_/
.             /    \ {;::::≦ニ、_,,,/)/:::丿  _ _,,、-‐''"`            / ̄
          /     / ̄ ̄>-‐''" ̄  ̄  ̄  ̄                 /
  .\      /    ./   / "


 久が山に手を伸ばし、ツモする。そして引き戻す最中盲牌。

 瞬間、久はツモ牌を親指で天高く跳ねあげる。そして手牌を倒していく。


             / | ○
         / . |         _ へ)
                > "´==フ/7

          二 /    ノ  ' _' イ
           / ツ   /  / "       , -―- 、
                  /  / /     /      ヽ
               /  /      / /  ィ   ヽヽ
.               /  /  '    ,' /  / {イハ  ', i
               /   '  /      |i { ./、  _ -ヽ } .}
             イ    {ヾュ_..    |{ |イ泛   泛ゝ! | リ
            ヽlil  リ }i \_    '从        リ 〃
               トイ、// /‐=ミ、ノ=ヘ ` ´ ィ=イ
              ¨匚/ / /  r'´ / 人}`´ !マ、ヽヽ
             l|{,,,,〃| ̄`ヽ  { イ イ  }` -‐/{ハ  ハノ≧
            i |  '||i  !| ||ヽ |ヾ从ゝ | ̄ 7 V从{ /ヾ
                ||! ||lii '"川へ-、∧ ヽ l  /   ,ィ/ i  ハ
                ||| !|¦     '{ \ ≧∨ zイ /_} / ', \
 r-―、          ||i ii||    __.!   `¨匸r<   ¨}、 } |   ヽ
 ! _|    ―  / il| 川   /  ハ __//     リ \ }   ヽ
     l  ア.   /  〉|| i |i /  ,_イ / ̄¨¨´      /   L_-=-
     '            { 从火 |   ̄´ j           |  /⌒ヽヽ
.   /二二二二二二从人从二二二二二二二二二二二二{ i| | | イリノ
. /            /-/jイ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ云ハ{¨´




久「ツモ!」パシンッ


 落ちてきた牌を空中から卓に叩きつけるように叩き、宣言。


久「トイトイのみで700・1300よ!」

(((うわぁ、マナー悪ッ)))


星夏  20500
久  105700
一   17500
桃子 256300

「中堅前半戦終了! いや、オーラスの竹井選手のツモ……」


「何度も言ったんだがな、牌も卓も傷つくしマナー悪いからやめろと」


「派手ですからエンターテイメントとしては見物ですが、確かに酷いですね。

 ……何度も言った、ですか?」


「ん? ああ、あいつとは以前からちょっとした知り合いでな。

 柄の悪い高レート雀荘に入ろうとしてたのを見咎めた縁で、

 ちょくちょく目をかけてやってる」


「それは、藤田プロの弟子ということでしょうか」


  /::::::::::::::::::::::::::iハ:|ヽ| `              
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. i::::::::::::::::::::::::::: | ヾ  ,.ノ i            
. |::::::::::::::::  ........!   / イ! \         
 i..:::::::::::::::::::::::::::ヽ   ´   〈          
. )::::::::::::::::::/`ヽヾ     イ´\         
 i::::::::::::::::::::丶____   __.ノ  ̄| |>     
 |::::∧::::、>、;::i:;|_♭_ノノo\  || ト、    
../:ノ ヽ:::゙、 \ー--‐',.-.ヽヽ\ | |.ケユ_ 
     ヽi、  \二ー-、_ ゙、゙//ヽ__゙、/ !_ __m、            _
      | ヽ   \ー-ァ'./  ̄KTーテフノイュ==,=======ニニし'

       |   ゙、   ,.->イ 、 .ノ ゙、V    ̄,'´ ̄
        |    \ // |  \  ゙、 /\ /
      ゙、    ヾ' └┬-ヽ / <\ヽ〉

       ゙、      /ユ、/  `ー /

         ゙、____ノ/ 「 /       / ゙、
            |-'\ /.|   / ハ ゙、
            |i   \ i.| /i ./  ゙、 ゙、
            |゙、     ー'  |,イ   i  ゙、


「そんなんじゃないさ。ただ、自暴自棄な子供を諭してやるのも大人の役目だろ」


「何か複雑な事情がありそうですね。

 おっと、既に休憩時間が終了して後半戦、開始されます」

2半荘目

東一局  ドラ:中


美穂子『文堂さん、落ち着いて。私がもっと早く気付ければ良かったのだけれど……。

    うえn……いえ、竹井さんとは、私が中学生の頃に一度対局したことがあるのだけれど、

    そのときの経験でアドバイスするわね。

    彼女は牌譜からも分かるように、綺麗な手を作るときと地獄待ちをするような

    セオリー外の手を作るときの2パターンがあるわ。

    そして、悪い待ちを選ぶときは一瞬だけ表情が変わるの。

    儚いというか、消えてしまいそうな雰囲気で、嗤うのよ。

    だから竹井さんの表情には注意して。そうすれば簡単に狙い撃たれたりはしないわ』


星夏(キャプテンのアドバイス通り、一瞬だけすごく悪そうな笑い方……。

   でも、それが分かれば私にだって!)

久(くふふっ、やっぱり意表を衝いて和了るのってやめられないわぁ)タンッ


                        /:::::::::::::;:----、::\

                           /:::::::::::;:::::iヾ     \:ヽ
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r'`il|! r‐-il|!                |:::::::|`ヾ V       |:::::::丶
. ,.へ li  lli|||                    |::::::|  、__     , /, |、:::::::::丶
、:::::::::ヽli!.  |li|               i:::::ri  --ニ"   ' ̄ |/::::::::::::::ヽ
..ヽ::::::::::ゞ  |lil||                    i:::、ヽ     i   |:::::::::::::::::::::〉
  `ー<   |li  |lil|     __         ヾ\:i    ___  /;;;;;::::::::::::;ノ
|li  ヽ|li   |li  |lil|  / \`ー、,._,.-r――' ̄ヽ\ (_,ノ /-、_ ̄ ̄
. |li  ヽ|li  |li   |li!<_....._ ゙、 \_>ー 、     ゙、 ` ー-‐' 〉  `ー-、_
  |li    |li   `    \   ̄ i /   ノ 、     i  , -‐/    / ./ \
-、__)            \___/   / 、\\   i---―|     / ./i  |
        、  /        /、 丶.\\\   i   /  // /V  |
`ー-、      \/           / |  \  _ \\ i  / //  i     |


星夏「ロン! タンピンイーペーで5800!」


星夏  26300
久   99900
一   17500
桃子 256300

東一局一本場  ドラ:八索

星夏(やった! やりましたキャプテン!)

久(……やってくれるじゃない。でも、そこで喜んで気を抜くようじゃまだまだ――)

久「ロン。東チャンタドラで満貫、1本場は8300よ」


星夏  18000
久  108200
一   17500
桃子 256300


東二局  ドラ:南

星夏(くっ、油断した! こんなんじゃキャプテンに顔向けできない)

星夏&桃子「「ノーテン」」

久&一「「聴牌」」


星夏  16500
久  109700
一   19000
桃子 254800

東二局一本場  ドラ:九索

  「 ー っ 」

久(さて、良い感じ。また和了れそうね)タンッ

桃子「ロン! っす!」


      /: : : : : : : : : :/ : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : ミ; . :.゙':、
.     /: : : : : : : : : :/ : : /: ; : : : : : : : : : : :.; :.ッィ ; : : : : ハ
    /: : : : i: : : : : :i゙.:./: /.: : : : :._;. -‐=;彡'" /〃i:、: : : :゙i
.   /: : : : :.|: : : : : :レ゛:./.: : ;.,''"´  ,/'"  //:::/|:lヽ.:.\!
   i: : : : : :|: : : : : :.|/.: :-∠_     ,/     /' {::/ 从|,!.:`.:ミ、
  i゙: : : : : :|: : : : : : |: : :./_ ><,         ゙{ ' ヽ!: :ヽ:ヘ
.  |: : : : : : |.: : : : : :.|: :.//z=ミく;、、゙''ー-ッ        |: : :.l゙:;:i
  |: : : : : : :l: : : : : : :レ"{ i^_)::::::} ヾ,         ,=ー‐-、,l: : : :| i:|
. |: : : : : : :.|: : : : : :.:|  ゙ {:::::c /   `       ,z==;、 /!: : : l' |:!
. |: : : : : : : |: : : : : : |i,   ` "’         ,_)::ハ l}`/.:|: : :.| |l
. |: : : : : : :.:|: : : : : : i l J  、、、       {:::。;// /:.:.|: : :,! リ
. |: : : : : : : :|: : : : : :,i:.}               、 `"  /:.:.:.|: :./ ,/
  !、: : : : : : |: : : : :;/'リ               `゙ /:.:.:.:.l:.:/
  \: :ヽ: : ;!: :.:,/ハ、      , -,     /:.:.:.:.://

.   `Y===イ      、              /:.:.:.:.://
    i|: : : :.:Y       \       ,, ィl゙:.:.:.:.:.:.//
  __,|i:.: : : :`、         `,z-、‐.<.:.:.:.:/:.:.:.;.:'/
''"`:::::::..|i: : : : : :.\       ∧  `ミ;;:_::∠::_:;/
:::::::::::::..八: : : : : :.゙ 、\    /ヘ::\   「:: ̄::l|
、::::::::::..{:.{ \: : : : : :.\ヽ、 i  li:::::::\. |: : : :人

、\::::::.゙ミ;\ \: : : : : :.\ヽ. ,-|:::::::::::::.゙li、: : : : :.\


久「へ!?」


                 .   ´. :: : ̄: :`  .
              /. :: :: :: :: :: :: :: : :: : ::::.\
           . '. :: :: :: : :: :: :: : :: :: :::.ヽ: :ヽ::ヽ

              /. :: ::: /. ::::/. :: :: : :: :∧.ハ: ::::.: :: .
.            .' .::/::::/: :: ::!.:::::i:: ::::::/  ∨ハ:: ::i :: :: .
            ' . :i ::: l:::i. :: |:::|::l:::::|::l  _V:ハ : i: :: :::l
         l:: ::i :::::l.::{::::::|:::|::|:::l:|::| ´  }::i:|::::}:::.:::::|

         |:: ::l.:::: l:.ィ:i´「N人从:j   _ム.ル:i:: :: : |
         |:: ::|:!::l:|:l:!人j __  人ル爪rjr:!「 .|:: :: ::l
         |: :::|:!::l:|八 x爪rj「   乂_..斗  !::: ::::|
         |:: :从ル! .ィj斗'"´      """|! |:!:::::::|
         |:: :: ::.:人 "||""    '     |! .从 ::: |
         |:: ::: ::: ::.:\j    ._/ 〉_/ リイ. :ハ:: リ

         |:i ::! i.: !.:: : :〕ト .__ / /  /|:.:!:: ::: :/

           从ルl :从ノ.:从: :: ::/ /  ̄  ムノ. /::/
           X:jイ二X>-ァ / /__  / \/イ二>x
         x<二二 フ二ニ/ ´  }く    |ニ.ト,二二 \
          ∠二二二X 二二7  ´ ̄〉.\   !二∧二二 ハ
         .仁二二ニ〈 二二 7   「/片! \j二二〉二二二!


桃子「ロンっすよ、部長さん。リーチタンヤオ三暗刻トイトイ――裏2で倍満。

   1本場で16300っす!」


星夏  16500
久   93400
一   19000
桃子 271100

東三局  ドラ:中

久(しくじった! 分かっていたのに完全に……!)タンッ

一(倍満に振り込んだら動揺するよね。乱れてるよ清澄。だから――)

一「ロン! 七対子タンヤオで9600!」


星夏  16500
久   83800
一   28600
桃子 271100


東三局一本場  ドラ:九索

久(はぁ~。落ち着きましょう。焦ったらもっと失点を重ねるだけよ。

  とはいえ見えないのよねぇ、東横さん)

一(もっと稼がないとね)

文堂(危なかった、こんな状態じゃどうしようも……。

   ! ダメだ、これは切っちゃいけない気がする)トン

桃子(……。出ると思ったっすけど。ん、安いほうが来ちゃったっすね)

桃子「ツモっす! トイトイドラの1本場で1100・2100っすよ」


星夏  15400
久   82700
一   26500
桃子 275400


東四局  ドラ:九萬

久(配牌二向聴。ツモもドラ絡みで高めで聴牌できた。攻めずに稼ぐなんて、

  私には無理。東横さんに当てられても事故よ、事故!)

久「通らば――」

桃子「通さないっすよ。ロン! 小三元混一色で跳満、18000っす!」

星夏  15400
久   64700
一   26500
桃子 293400

東四局一本場  ドラ:四萬

一(うわっ、怖いなぁもう。オヤッパネとか当たったらご臨終だよ)

星夏(っ! ツモられていても危ないところだった。

   あと一歩だったから放銃していたのは私でもおかしくなかった)

久(いったい……。そうか、須賀君を引き止めなかったってことは

  悪待ちじゃなくて普通の広い待ちを選んだようなものだったのかも。

  私らしくない悪手を打ってしまったというわけ。

  だからって、すんなり退いてやるほど私の夢は安くない!)

久「リーチ!


                             ,从  , 从
           __            _, /圭7 /圭7 _ -‐' ニニ≧==ー――  ―  ー= ニ 三

        , '" 二ニ≧ー''  ,,。s≦壬圭7´ /圭7 /圭7" '"  ̄≫ '"´     __              ``
     <   / '" ̄ ,。s≦壬圭圭圭圭7  |圭7 〝〝 -- '´     , . : . : . : . : . : . : . : ..,
  /         イ圭圭≫'””¨´7圭圭7,' /'´             , . : . : . : . : . : . : . : . : . : ..\
./ク __,。、 ,ィニY'"Y ニ≫”´_, -‐7圭圭7,'              /: . :./: . : . : . : . : . : . : . : . : .\

/ /´ } .} ィ==t、./   イ ---7圭圭7              , : . : /: . : . : . .イ : . : . : . : . : . : . : ヘ

  ./ i i! , 「 ̄`i/ _,′  ーニ二7圭圭7` ー 二ニ=ー' "     , : . , ' : . : . : /: . : /: . : . : . : . : . : . : .,
  , .l ,' ,'.├‐ァイ  ̄´      7圭圭7__,>´         . : . /: . : . : , ' : . :./: . : . : . : . : . : . : . : . ト、
  { .V ./,ノ / 、_ __       7圭圭7 ̄             . : ../: . : . : /: . :., ' : . : . : . : . : ./}: . : . : . : .ヘ',
  i  {ソ  .ノ '´     ,。s≦壬圭≫”  ⌒` 、        7: .ノ: . : . :../: . :.//: . : . ; イ: .ノ .リ: . :}: . : ..i .i}
  ',    ノ    ィf壬圭圭≫'””´   _    \      7/: . : . : ., : . : /: . :>'"  '"´  ノ}: ./}: . : ..} .ii
  ヘ   〈ニ=-  >‐'””´ー ン´  , .':´. : . : . :`..‐-\__  _,ノ: . : . ノ: .ノ: . : . :./__`` 、     ノム !: . :.リ i!
.      、ー=‐ __,,> ´   /-‐ '' ‐- 、: . : . : . : . : . ヘヘ-‐'": . : . : .ノ{/ ィ芳㍉、     '"´  ノ: . :.,  ノ
   ∧   \ ̄ _ __     ノ'´     「 ̄>、ニニ : . : .ィノノ : . : .:_,/: .{ ‘ .乂,ュ;ノ`   ,ィf苅゙ア: . :./
    ∧       辷=―        i:;ii:;:;:;:;:;:;:;:;>‐- 、 \: . : . : . : 〈 i!     ´     ゞ-’イ: . ,
ヘ  ヘ ∧へ、   ニ=-` ‐- /二、 ‐- ヘ:ii:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\ ` ー '' } }         ,   /: ../
    ヽ. \ ` ̄   ― ‐‐    ヽ  ヽ  ̄ ⌒ ー≦、⌒ヽ‐-\   _,'ヘ   、_      ノ: . ,
  \   ヽ  、     ニ=―    :}   }       ヘ  マ:;:;:;:; ̄´:ムノ   \   ー ’  イ: .>
\.  \ ヽ   >  ,_        ::i   i!        ヘ  マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;ム    ` - <:.ヾr ´
\\  へ  、     >  ,_   ..:::i!   }     ',      マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム   / ̄: . : . /‐-、
   ヾ、    >、       ヽ ‐-::{  .リ      ヘ   ',  乂:;:;:;>--゙: . ‐:.'"´: ..:./:;:;:;;ii:}`ヽ
           ` =―'    ヘ    }  ノ   _  ヘ  }    /--''''アォ,ー--‐'";:;:;:;:;:;:;ii:}  Y
                      \_ノ_,ィ‐-、    ヽ ヽ ,'   /'´ \:;:;:;:;:;:;:ムー-7:;:;:;:;:;:;:;リ   }
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  ――――――ツモ! リーチ純チャンツモで満貫、1本場は2100・4100!」


星夏  13300
久   73000
一   24400
桃子 289300

南一局  ドラ:七萬

桃子「ツモ。南ドラドラで1000・2000っす」


星夏  11300
久   72000
一   23400
桃子 293300


南二局  ドラ:六筒

一(速い……。高くない手だからまだマシだけど、点差が離されるばっかりだ)トン

桃子「ロン! タンヤオ平和一盃口ドラ2で満貫、8000!」


星夏  11300
久   72000
一   15400
桃子 301300


南三局  ドラ:二筒

「「「「ノーテン」」」」


星夏  11300
久   72000
一   15400
桃子 301300

南四局  ドラ:東

星夏(どうにか、オーラスだ……。情けないけど、飛ばされずに繋げただけで喜びそうだ)

久(後半の失点で結局はマイナス……。20万点差なんてどうしろってのよ!)

桃子(こりゃ余裕っすね。京ちゃん褒めてくれるっすかね?

   さすがに控室であんなことやこんなことはできないっすけど……明日は朝から忍び込むっすよ! えへへ)トン


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    }::/ ./ヽノ\リ ./   { /ニノ}:/}::::::}.\::| {:::::::::ヽ
     ´  ./   、    >  .{.辷彡 ' / ノ_;ノ r=‐- 、::::::リ
      /    ヽ/ /    {ニ/ / ´ヽ  / ノ / /´ V
.     /    ./ /    {ニ/    ./   }< >-レ⌒}
     /    /   }.      レ    /   、 ノ {  /
.    /   ./     、    } O /    { }    ′
            .   ´  ̄ ̄ `   .



一(――見える? 諦めの悪いボクだから? ……蕩けた顔してくれちゃって。

  テレビに映って良い顔じゃないんじゃない? 痴女も真っ青かも。

  だからその笑顔、止めてやる!)


                 , /´___
       ,, -::───:::- /://:.:.:.:_二ミヽ

.     /.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : \∠´--  、`ヾ
    ./.:.:.:.:.: : : : : : : __ : : : : : : \ :ヽ: `丶、ヽ
  r´¨ '' -r┬=''-¨´ __ }:.:ヽ: : : : : ヽ:::',:.:.:. : \

  }  ̄,,`{ー_ヾ、- ,,  `}.:.:.:丶 : : : : ',:.:.l\.:.:.: :ヽ
  <r__´ノ´: :l: : : l丶、 `__>ヽ:.:.:.:l: : : : ::l.:.:.l.:.:.ヾ.:.:.:.l
  .l.:.:.:l:.:./l: :l: : : :lヽ.:.:\.:.\',: : l', : : : l.:.: l.:.:.:.:iヽ.:.l
  l.:.:.:l: :.{ l.:.:{: : : : i丶.:.:.ヽ.:.:.ヽ: :l::i: : :/.:.: :lヽ:.:.l i::l
 ll.:.:.:l小≠ヾヽ:::::::l ヽ州リヾ::l::::l:::l:.:.:.: : :/ } : :l リ

. il.:.:.:l.:. riヽ ヾ\ゝ.z≠≠ミ、リ:.:.:l: :lヽ:.:.:/ /}:::/
.l l.:.:.l.:.: { l:::ヽ   〃 { {:::::o} ヾ:.:l:.:.l }:/ //''
l .l.:.:l.:.: ハヽc:}      C:.:.:j j /l:.:l:.:.:lソ/
l l.:.l.:.: :.ハ ー      ー ´ l:.:l.:.:.:ll
l l.:.l.:.: : lハ"  ' _ _    ★ィ:.:.l.:.:.:l:l

  l:.l.:.: : l 丶、       ∠ リリ.:.:.lリ
  l.:l.:.: : jr -ー >,  .ィ ´  ノ 川リ
  ヾ 小ヽ:. :. :. :. /  Y´ /´  /. `丶、
    ノ:. r -─ ┴ヾAV´     /:. :. :. :. :.\


一「ロン! 三暗刻トイトイ東ドラ3で倍満、16000!」


星夏  11300
久   72000
一   31400
桃子 285300

「中堅戦終了いたしました。

 1位は須賀、東横桃子選手。285300点。

 前半は-3400、後半は+29000の合計+25600点です。

 2位は清澄、竹井久選手。72000点。

 前半は+31600、後半は-33700の合計-2100点です。

 3位は龍門渕、国広一選手。31400点。

 前半は+1400、後半は+13900の合計+15300点です。

 4位は風越、文堂星夏選手。11300点。

 前半は-29600、後半は-9200の合計-38800点です。

 藤田プロ、いかがでしたでしょうか」


「前半は竹井が頑張っていたんだが、な。

 わざと地獄単騎で待って和了るなんて酔狂な真似をして素直な文堂をハメていたし。

 しかし後半は東横に完全に捕まってしまった。

 倍満や親の跳満などを受けて前半分の稼ぎも吹っ飛んでしまったから、

 東横の術中だったと言えるのかもしれない。


 文堂は残念ながら実力不足だったな。


 そんな三人を相手にして国広だけは安定していたな。

 特に後半オーラスの倍満ロンは全国経験者の意地を見せたと言っていいだろう。

 東横が完全に気を抜いていたのもあるがな」

「あー、確かにすごい顔してましたね」


「彼氏のことでも考えてたんだろうさ。ここまでの大差だ、はっきり言って真面目にやるのも馬鹿らしいくらいの状態。

 金や命がかかってるわけでなし、当然気も抜ける。先鋒エース論の有用さを見せつける形になっているなァ」


「えー、ありがとうございました。副将戦、間もなく開始です」

須賀控室

「最後は完全に油断してたっすよ……」


 今俺の前では桃子が最後の倍満放銃をからかわれている。


「モモちゃんのステルスは強力ですけどーぉ、絶対見えないわけじゃあらへんからねーぇ」

「うぅっ、せっかく京ちゃんにご褒美をもらえると思ったのに……」

「モモの場合はもらうんじゃなく奪っていく気がするよ……」


 しょげる桃子の言葉に対する俺の本心だ。

 桃子を抱いたあの日以来、割と頻繁にベッドに潜り込まれている。

 さすがに大会を控えたここ数日は無かったのだが、その分桃子の欲求が溜まっているのかもしれない。

 どれだけ搾り取られるのだろうか……。


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.    ,. -‐ ´            = ニ ニ =      ``  .,
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 ただでさえ気付いたら咥えられていたりで、オナニーの回数はめっきり減ったのだ。

 もっとも、それでも体力が有り余っているのは高校生男子の特権かもしれないが。


「桃に喰われるなんて、京太郎さんったら」

「えっ、京太郎とモモはそういう関係なの?」

「数絵ちゃん気付いてへんかったん?」

「そ、そうなの。そっか、京太郎とモモは付き合ってるんだ……」

 絃さんの親父ギャグじみたぶっこみに数絵が反応してしまった。

 俺としては特に振る舞いを変えたつもりも無かったのだが、

 憩さんと絃さんにはバレバレだったらしい。心臓が痛い。



「付き合ってはないっすよ?」

「え、でもエッチしてるんでしょう? それなのに恋人じゃないって」


 違うんだ数絵、そんな軽蔑するような目で見ないでくれ……。

 俺は桃子に付き合おうって言ったんだ。

 快楽に流されて桃子のしたいようにさせているから自業自得ではあるのだが。


「数絵は堅いわ。今時、才能ある男に女が群がって鈴生りになるなんて普通だわ」

「今はドラッグストアでも経口避妊薬が売ってますからねーぇ。

 ウチは親が医者やからその伝手でいくらでも手に入りますしーぃ」

「えっと、絃さんと憩さんも京太郎と……?」


 数絵がおそるおそる尋ねると、絃さんは意味深に笑みを浮かべ、憩さんはあからさまにサッと顔を逸らす。

 いや待って、俺が心の中で言い訳を並べたりして現実逃避している間にマズイ状況になっていないか。

 少なくとも絃さんと致した記憶はないぞ。……憩さんとは求められればシているけど。

 そんな風に考えていると、数絵が油の切れた蝶番のように音を立てんばかりにゆっくりとこちらに顔を向ける。

 そして目が合うとバッと自らの体を庇うように抱いて距離を取られた。

 だがここで下手に弁解してはいけない。ましてや絃さんとはまだしてない、とか言ったら詰みだ。

「数ちゃん顔真っ赤っすよ?」

「うるさいわね!」

「興味があるならディスク貸すっすよ?」

「何の!?」

「そりゃ私と京ちゃんのアレっす!」

「「はあ!?」」


 俺と数絵の声が見事にシンクロした。


「え、いつの間に撮ってたんだよモモ!?」

「愛ゆえにっす!」

「答えになってねー!」

「女は怖いものよ、京太郎さん?」

「そうですよーぅ」


 絃さんと憩さんの追い打ちでついにノックアウトされた俺は、力なくソファに倒れ込んだ。

 さすがに数絵も気遣うような目を向けてくる。


「さて、冗談もほどほどにして……行ってくるわ」

「行ってらっしゃいっす」「行ってらっしゃいですよーぅ!」「えっと、いってらっしゃいませ?」


 散々引っ掻き回してくれた絃さんが、しゃなりと歩み、対局室へと向かった。


            / ./,;;;' ,; i'  ,/:::,/" ,'''t ,,,,__,,-r'",i ,' //
           r" /,,;'''' ,/ /   i ,/_,,|`'-,,__  /'k,i  /_,i'
         /'/,'',i'   / ,i" ::::,i'_,,-'' ';;;,ヾ-;;;ヽ"'_,/,i' :/`ヽ,,
        ,i"/';'"/   / /,i:::::::::i"::     :::: `フ':::::/: ,/ l, ;;. ヽ
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        /' /   /,::::/:::::i,:::::i,i,:.:::::: ヽ,、/ヽi /:: ,:/  * *ヽ,   ヽ,
        i7 ,i   /,i'::/:::::r~i:::::i'ヽ::::.... x"     i/:,i,/, * *  :::i    丶,
       ,i.i  i:::::/ i::/i:::::,i'  ヽi ヽ:::::;/::'ヽ   i/"/     ..:::,i :::     \
       'リ  i::::,i' i' i i::::/    `  'i i/::::..     " .//..  ....:::::/'丶、 ,;    ヽ
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           リ  ,r'    /:i':::::::::/:::ヽ:::    :::       ::/i   /      /
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          ,r'      ,∧i  i:::::i i::::i i::i/     .::/ ,;;;;;;i"   /
         /       / リ  i;:::i ヽ:i /....            'i,   /
        /     ,/      ヽi  /.:::::::::             ヽ  l
     /    ,/          r'"::::::::::::::             ヽ i
    ,i'    /         /::::::::::::::::::::::             ,ヽ.ノ
  /  :::/            /_::::::::::::::::::::::::          ,  ヽヽ
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iソ ,''''-,,/             i'::::::::::::              /::   ::::::/'i
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::::/ / i:::::i::i             V     ;     / /'"         i

清澄控室

「ごめんなさい、稼ぐどころか失点しちゃったわ……」

「おかえりなさい部長」「おかえり久」「おかえりだじぇ」「おかえりなさい」


 申し訳なさそうに戻ってきた久。それを見て普段通りに迎えることにした面々である。


「ま、東横が相手じゃしょうがないけんのう」


 これまで唯一プラス収支で帰ってきたまこのフォローに皆頷くことしかできない。

 そして空気を変えようと和が口を開く。


「さすがに点差が酷いですし、連盟推薦枠狙いに切り替えた方がいいかもしれませんね」

「のどちゃん、れんめーすいせんわくってなんだじぇ?」


 空気を変えると言ってもそこは原村和、極めて現実的な話になる。

 優希は知らないようで、詳しい説明をねだった。


「予選で飛びぬけた活躍をした高校のいる都道府県で2位だった高校を

 全国出場権をかけて後日対戦させるんです。

 その試合に割り振られた出場枠を連盟推薦枠と言うんですよ、ゆーき」

「要はワイルドカードだね」

「そうじゃな。ちなみに個人戦でも似たようなシステムがあるぞ」


 古くは小鍛治健夜に代表されるイレギュラーからの一般雀士保護を目指して作られた制度である。

 突出した選手の発掘は日本麻雀界の最優先事項であるが、

 それだけでなく裾野を広げ、ピラミッドの底部を大きくすることも重要事項だ。

 そのため、突出しすぎたチームに薙ぎ払われてしまった一般の実力者を掬い上げる意味で、

 突出チームの優勝した予選において2位だったチームにラストチャンスを与えるのだ。

 和は、この長野予選は確実にその対象になると判断した。

 咲もまこも異論はなさそうである。


「うーん、よくわからないけど、馬鹿ヅキチームがいたら2位でも全国に行けるってことか?」

「その後別のチームと試合をして勝てば、ですよゆーき」

「ま、何にしてもできれば1位、無理でも2位にならないといかんわけじゃ」

「つまりのどちゃんと咲ちゃんにかかってるってことだな!」


 後輩に重責を負わせる。副将と大将に二人を配置した時点で決めていたこと。

 しかしここまでの差はさすがの久も想定外だった。

 それ故に、本心から二人を心配している。言葉をかけられないくらいに。


「そういうことです。部長。後はお任せください。――行ってきます」

「ファイトだじぇー!」「頑張ってね、原村さん」「和、気張れよ」
「……後はよろしくね、和」


 各々の激励を受け、電子の妖精は笑みと共に進む。

 抱いたエトペンは、軽く感じられた。


            __  ‐ ''" ̄ ̄ `゙' ..、
.           | . / : : : : : : : : : : : : :.' ,
          ≠ / : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨゙\
          | _イ. /: : : :/ ハ: :、: 、: : 、: : r‐┴| く
         イ:/: /: /:/:Χ./ .}: 八:.|::!:.:.|: : !  :| .ノ
         {:::{: /:|/レ|ィ心≧ |/ .ィナ什ノ: : L...ノイ.、
.        //|',::::(,| .ヒ::リ゙. ′ 匕:::リレ∨: : |\冫

        //::ハ: : : : :', :::::::     `'-'゙ :: ハ:.: レイ
       / : ノ ∨: : : ヘ   __   :::::: ,≠ヽ',: : ::ト、
     ,./: : : :/._,.-∨: ::_丶  _ .  イ    ∨: :.!: \
.    , '>.-‐''二>''.´\ ,.二つ ̄ ̄ ̄二>.  ',: :',: : : :\
   く    く//__.ハ .i\.ヾ{_:_: : :_ : : :__ミ、__  マ: :ヾ、: : ::ゝ

.  ,' .\  .{|::|─、U (/゙ .二⊃|ヽ\  {:::::::|:|.、  マ:..'., ヽ: : : : :>ー - 、
     { .\_.>‐ "  ̄ ゙̄´!.: :: :.∨\\|:::::::|:}. ',.  ',: :..'.,   × : : : : : : : : :ヾ
     ∨: : ├──.!  /      マ::::::┐::://::k.}  マ: :...'.,       ̄ ヾ´
.     ∨: : \.  |.Y.        ヾ.__{_/彡Χ   ',: : : .'.,

.      マ: : : :ー┤| ,'         ∨゙|   \  ∨: : : :\
        \_ イ! | :          ∨、     \  ' ,: : : : .:\
            ∨.',          }::::ヽ      ∨ .\: : : : ヾ
.             ∨.' ,     / ,' ノ.::::::::.\   :ノ    \: : :::

副将戦

霜崎絃
属性 :O
技量 :B
直感 :B
必然力:B
・スキル
【キレ◎】
 自身の和了形がロンの場合、判定を+20し打点を+2する。

【奇門遁甲:石兵八陣】
(効果A)
 他家の判定コンマを-10。
(効果B)
 自身の素の判定コンマに1が含まれ、
 かつ他家の素の判定コンマに6が含まれる場合はその他家から直撃を取る。
(効果C)
 効果Bが発動するためには、聴牌成功かつ和了判定値が3位以上でなければならない

【邪仙術:人頭桃】
 他家からロン和了するたびに全ステータスが+5されていく。



原村和(特殊)    
属性 :D       
技量 :A     
直感 :F     
必然力:B

・スキル
【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【勝ち運】
 判定を+10。

【オーバーヒート】
 熱い想いが高い演算処理能力をフル稼働させる。
(効果A)
 判定値を+10。
(効果B)
 他家からの妨害を受けない限り、和了に成功した場合は流局しない。
(効果C)
 聴牌コンマで1位のとき、判定値を+20。

深堀純代
属性 :D
技量 :D
直感 :E
必然力:D
・スキル
【守備信頼感】
(効果A)
 放銃判定値を+15。
(効果B)
 自身が放銃するとき、打点を-1。



龍門渕透華
属性 :O
技量 :A
直感 :D
必然力:B
・スキル
【目立ってなんぼですわ!】銀(対エース○+チャンス○+闘志+安定感×+対オカルト×)
 富豪の家に生まれた一粒種であり、蝶よ花よと愛されてきた生粋のお嬢様。
(効果A)
 公式戦などの重要な局面でエース級の相手と対局する場合、判定を+20。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。
(効果C)
 リーチをかけた場合、
 聴牌コンマが奇数の場合は01、偶数の場合は120として
 和了判定値を計算する。
 この効果が発動して和了に成功した場合、打点を+4。
(効果D)
 一人聴牌のとき、和了判定を+20し打点を+2する。効果Cと重複する。
(効果E)
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を-20する。



純代・透華・和・絃  の順



    _____         / ̄ ̄ ̄\
   /:::::::::::::;;;;;;;;;;;〉      r/ 。       ゙、
.  /::::::::::::::i'  _ 〈        ト、          |
  |::::::::::::;;::|__,-r三|       | |  η , --ゥ   |
  ゙、::::::::!^ ゛ ヽ   〉      | |/' '" 三ヨ  /
   ゙、::::>t    -ζ      >'\ _,-‐'´ /つ  _____
   リ/__   _/      rイ \ 人_____/, -‐ ´  _   \
   /____ ̄イ、     / |  Y__,ノ    // // /」 \   \
   / /  三゛Y、.  ___/    /‐ァ'      レハイA,イ ||__H ̄フ|
.  |. |    ''''    ̄ '"^)   / /         | 7l、V, イ,, ハ|ー' ノ
  | |             /  /        l" ゛  レイ |  | /
  | `ー=、_____/`  /            丶___  /. |  |'
.  |  /  /  |::::ト―――‐'´            /|./  人 |
.  |    /  .|::::|                  / >'  /‐┤ |
  |      .  |:::|                  //   /_| |
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   |        Y|             /   / ,イ    ||  |
.   |           |             {    |/|,ハ    | |  |
   〈        ノ              ∧     /∨.  |_| |
   |_||二二||二二「|            | |\__ノ |   |/ ハ|

    /::::::::::::|::::/:::::::::7             | /| |     |   |レ'
   /::::::::::::::|:/::::::::::::|            / | .| |    〕   |
   |::::::::::::::::::::::::::::::::|            | ∧| /    |/  |
   |::::::::::::::::::::::::::::::::|            |/ |/ト----- |    /

「さて副将戦が開始されます。

 まずは、何と言っても注目の原村和選手。

 絶体絶命の状況での登板です。なにやらペンギン(?)のぬいぐるみを持参しています。

 インターミドルで優勝し、出身中学の高遠原中学から取って

 ヴァルハラの戦乙女とも異名される彼女ですが、得意とするのは徹底したデジタル打法。

 全中王者が全高大会でどれほど戦えるか、そのルックスも相まって大注目の選手です。


 続いては龍門渕透華選手。

 言わずと知れた龍門渕財閥の一人娘。

 非常に目立ちたがりであることも知られていますが、常々公言しているのが打倒のどっち。

 のどっちとはネット麻雀界での伝説的打ち手で、

 その安定しかつ思考時間ほぼゼロの打ち回しはプロをも唸らせたといいます。

 目立ちたがりな龍門渕選手、どこまで巻き返せるでしょうか。


 次は深堀純代選手。名門風越の2年生。

 風越レギュラーとして実力は保障されております。


 最後は霜崎絃選手。前年度千葉MVPを獲得した霜崎選手ですが、

 今年は荒川憩選手とともになぜか長野でのエントリーです。

 神算鬼謀とも言われる打ち筋は健在か、気になるところです」

 和が対局室に到着し、エトペンの検査を終えて卓に着いた頃。

 荒々しい、お嬢様に似つかわしくない音を立てて龍門渕透華が姿を現した。


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   \     へ                          /  |iミ V.彡} l   } ヽ
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        >、      ` ヽィュ_                    |i   ハ ゝ,  {| ヘ   \i
        /    \       \``ゝ,                }.   / ヾ、ヽ ヽゝ `,   ヽ
      /  |    , -‐       ` ヽ \           ノ. ∠`へ, '  ノ x弋 ヾミ 、 \
    〈  ',. |    }  }        \ }´`ゝ~ ュ _ . 〃  i'〈弋::リ`   ´{テ:::} 〉ヽハ   ,
    ヽ  }. |   ´  / ,,_       ゝ,,._      \ゝ 从 ,,    ,   ` ,,, / 从  /
     ′. ヽ ヘ.__, -‐ ト _ >、        ̄ ` ヽ   .\ ', ヘ  ャー― ,   . /ヘ ゙,ソ /j ゝ
      ゝ  ー,,ュ, -‐ ´ ー´,,   ` ー-  ,      }  ヘ   ` ヾ , ヽ  ノ , ´{| ゝ /ノ\ `ゝ、
        ̄            ゝー‐< ,,  _`` ‐- ´   }     ヽ ー < | f メ ⅳ \  \  `\
                       , -‐  `>ー- ェ   〉     \ /V ,ヘー- ュ  ゝ   ゝ、  ` ,,
                      /   /´´      \  \    .`  ひ二つ ∧   `ヽ  } ー 、  \
                  , -‐ ´    /  '      / ヘ            〉 \  |  、  ノ  ヘ  ヽ   }
                /       ノ ノ         〉、       /   i  \ ',  {   〉  \  \



「ここで会ったが百年目、ですわ!」

「……どこかでお会いしたことありましたか?」

「ないですわ! ですけれど、私が目立つための障害に変わりありませんのよ!」

「はあ、そうですか」


 突然の透華の理不尽な宣言に、気のない返事を返す以外にできない和。

 よほどうっぷんがたまっていたのか、

 透華がさらに言葉を続けようとしたが遮るように絃が言葉をかける。


「そのと――」

「原村和。あなた、恋をしているわ」

「え?」


ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「丁ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|-‐''/ / / .}: : /.|: :|: |:::/. }:|:|:. リ !.|. ト.、           ,. ──‐、

: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //.  /: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫         //´ ̄ ̄ヽ',
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′           U     } }
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂. ′   ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!                    , ,' '
:γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ       ゝ-.″ | }: : : :|                 //
',:{ :::`    ::::::::::::::     、  ::::::::::  レ′ : :!.  ◯  ◯  ◯     { !
..',\     ::::::::::              ノ:   ::::!                   U
: : :| `ー´\       ,. ,      / !:! !  !
: : :|.     ` 、          ./|: :. !:! !  ::!                ◯
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
: :: }     ィ‐┤.        ├ .、|::|: |:|: :|  {

 急展開に目を白黒させる他ない。和自身、自覚はある。

 原村和は須賀京太郎にはっきりとした恋慕の情を抱いている。

 それをほぼ初対面の相手に言い当てられ、見透かされているような不穏な感覚を得る。

 決勝前に会った彼。どこか清澄で話していた彼とは違うところがあったか。


「ククッ。でもお生憎様。彼はわたし達がいただいたもの。悔しいかしら? 悔しいわよねェ」


 訝しみ、思考の海に沈みそうになった和に追い打ちをかける絃。

 まるで何かを思い出すかのように陶酔した瞳を宙に向ける。

 その様子は初恋を覚えたばかりの少女を激発させるに十分であった。


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「――きょっ、彼に何をしたんですか!」

「あらあら。男と女でナニをしたかなんて……ねぇ?」

「っ! そ、そんなはずが――」

「あの子も男なのよ? 美人に迫られれば、心はともかく体は抗えない」


 否定したい。京太郎が目の前の女を抱いたなどと。

 自分は口付けしかしていないというのに、目の前のいけ好かない女は既に彼と情を通じているというのか。

 否定しなければ。恋する男を奪われたなど。

 少女の脳髄は高速で働き始める。否定しようと。

「乙女の綺麗な心も美味しいけれど、わたしは嫉妬に狂った心も好きだわ」


 可愛らしい抵抗をする少女を嫣然とした笑みで見下ろす絃。


「だから卓上で見せて見なさい。あなたの想い。あなたの力。

 あなたは彼に相応しいのかしら。番いが成り立たぬ時代に、甘やかな少女思考は邪魔だわ」


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レ'            |      ,  , /   \       〈!`l_
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 __v'´ _, '彡三三彡イ__   .___|ι-、,-、r-、r-、r-、___,._゙、 (//≦、`ト、
イ/  ///, --、___  `ト ニ!ニ!ニ!ニ!〉_〉=========、h‐n|〉/´,.\)´ |

7  //´/ \   ̄`.|      |彳Y ̄!二!ー!┬!-ト、)__|ニtケト'´!`i   |‐-、
__// /   `ー―‐|      ト'`´ ̄   ト| ||ζ     | |  |. 〉   ト-、ζ


「――いいでしょう。あなたの幻影など振り払ってみせます」


 原村和は少女である。

 まだ羽化を始めたばかりの、女である。


「……わ、私蚊帳の外ですわ!」

                         _
                      , ´    ヽ
                          /  γ ⌒i }
                          ,′   l    l l `i
                    _|   .ハ_  マヘ  ヽ ヽ
                   . -‐<     \ >.ヽヽ  ! }
               /       \    /   l } .、
               /        \ / ,.へ  .ヾ.、 \
            〈         /ヽヽ∨///∧     ヽ
           ∧        /``〉 7‐'='='≠!      ∧
           i !   ' / /   ' /        |      / i
           | ノ   / / '  ' ,′       |i    {  |
             /   / /ハ{  |i        |i    ヽ.ノ
.         //  / //ヽ. \八{       八       \
          / /  / /ァ=≧ミ ヽ \ (、ー-‐<ノ ヽ      ヽヽ
        〃 /   , //ヽ弋r'シ^ヽ  )  ァ=≧ミハ      ハ
.       〃 /   i //{   `          弋r'シノ ∧    ∧ !
       {{ '     i 人_  :::::.:.:::   ,     :::.:...   / } }     :. j
      ∨人   ヽ 从              /_,ノハ     l }
       // /ヽ    \ 个 ..    へ      .イ__ノ ノ  ノ ノノ
.      // /  /\    ヽ /{`  .    ._ r<´    ` < イ∧
     //__/_/___ヽ   ∨ \  ` /./|ヽ._,ノ、     `ヽ ハ
   /         }    }   ∧ ∧ ヽヽ`二フ  \     }\
  /  }          ノ  ノ  /ヽ∨,ノ\)ー―'^ ー-へ.. __ /  ヽ

1半荘目

東一局  ドラ:九索

透華「聴牌ですわ」

「「「ノーテン」」」


純代  10300
透華  34400
和   71000
絃  284300


東二局流れ一本場  ドラ:南

透華(罰符で3000点……。安い和了りよりはマシですわね。

   けど、それでは目立てませんわ!)

和(この配牌なら満貫で和了れるでしょう)

絃(――原村和が和了りそうかしら。でもツモか、あるいは直撃で削られたら

  憩が天江衣との再戦をできないわ。だから、悪いけれど……)

純代「! ロン。一盃口混一色ドラ2で跳満の1本場は12300」


純代  22600
透華  34400
和   71000
絃  272000

東三局  ドラ:三筒

「今のは差し込みでしょうか?」

「……おそらくな。トップのチームが差し込みなんて正気じゃないが。

 大将戦までやりたい、ということかもしれんが、あまり気持ちのいい行為じゃないな」


和(差し込み……?)


 京太郎と離れ離れになるまでは機械のような無感動さで打牌していた和。

 しかし今は少し違う。牌効率と期待値を最重視していることは変わらないが、

 以前とは違い対局中に他者の表情を窺うくらいはするようになった。

 対局前の会話。絃の挑発に不自然な放銃が重なり視線は嫌でも吸い寄せられる。

 腹に抱いたエトペンを支える手にかかる力が少し増した。


和(1位ならば飛ばせばいいでしょう。それなのに差し込み? 侮るのも大概にしてほしいですね――)

和「ロン。タンヤオ平和ドラで5800です」

絃「あら。ふふふ」


純代  22600
透華  34400
和   76800
絃  266200


東三局一本場  ドラ:九筒

絃「ツモ。面前純チャンドラで満貫、1本場は2100・4100」

 和了を宣言し、絃は和を一瞥。そして嗤った。


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::::::::::::::゙l::゙l:゙l                          i         : : : : : : : : :
:::::::::::::::゙l::゙|:゙l  `、                        イ         : : : : : : i
::::::::::::::::゙l:::l|:゙|   ヽ. ,,、                                 /
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ヽ::::::::::::::::|::||:ト     `、 `ヽ、                           /::::::

:::`、:::::::::::|::|ト:|       `、  `-、                        /::::::::
::::::`、:::::::::|::|:|:::`、      ヽ、    `ヽ、..._               ,,     爪::::::
:::::::::ヽ::::::|: /           ` 、_     ゙̄`'ー‐‐---------ゥ-‐''    /::/::::::;/,
::::::;;;;;;`、;;ノノ    `、       `ー--、......____,,,....,、、‐''     ,/::/:::::::/:/

二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
::::゙l::::|ト ハ       `、                      ,,,//::::::;":;;/ /
:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙



純代  20500
透華  32300
和   72700
絃  274500

東四局  ドラ:七萬

透華(ぐ、ぐぬぬぬぬぬぬぬ! 全っ然、目立っておりませんわ!!)

                     〉〉|.|         ヾ\人 ,、

          _     i、 ⌒ 、<<ノノ         ヾ    |/. |  / /
        /     ヾ\l | / 〕|//         \        '//
       /      ヾ    -‐'/         三    /ソ   ー___
      / _人,_, -‐' ̄   _, -‐'            彡,,  / /   ミ ̄ ̄Z_
___, -// ̄ ̄  , -‐―'〉/              / r / |_   \    ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ || /   〈 ̄    //__             //  ┴、
     |/   /〉〉      ̄ ̄//゙             |     /
     |  / 〈〈       _〉〉              |    /
    .| |  〉〉     // ̄       .i' ̄ ̄ ̄`ー-―ー┼、_

     |  | <<__    //  __, -‐ ‐-、_ `     /  〇 /    ̄`ー、
      \ \ ̄`へl | l// /     / ̄`!    ,〈' ̄ ̄ /        ノ__
       \  ̄    ー'  ィ  ̄, イ   イ!〈_  /_/   !   _/ ̄ ̄ ̄
          ̄二=‐'  , イ/////   /::::<== |r'     /__/ ̄
../ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄____, -‐( |// 〈   |::::::::::>/|/     /|「 ̄ ̄

  / ̄ ̄ ̄/   __, -z二//.| |:.....\  |::::::〈/ |      /  〕|_/ ̄ ̄ ̄ ̄
./  / ̄ ̄ _ // √`ーヘ:::::::::::::\|:/ ./      |_/_, -――――- 、_
  /   //   .イ        ̄ ̄`ー≪_几      /______
. /   / /  / ,|  _ ___   _, -'  |     /          \,
/   / / /|  /|   _`ー 、__  __\   /ー―---、__

|   .|// / / /|      |     `ー--、___/_ \__ー-、  \
|    \|__/// |     /      \   .\  .\\`ー、_\ \
>、_  \/ /   |     | |      |\┐ \/ ̄√`--、_
/  人   \|   |   /  |    ,イ   /  _r'//  ー--、i |
 /  )    )   | /    |  / |  ∠| 」(人 <ーァ-、_!ノ
(  /   /    |/     |/|_  \\| 〉/  \ノ
 \|   /     /|      (  ノ ,  \./

透華「リーチですの!」


「相変わらず絃さんの理牌って独特ですよね」

「そやねぇ。確か諸葛孔明の石兵八陣がどうとか言うとった思うけど、

 ウチには理屈まではちょーっと分かりませんでしたよーぅ」

「あ、また差し込む気っすよ。憩さんを出場させるために甲斐甲斐しいっす」

「絃さんは直撃狙いが上手いし、本来の打牌をすれば東二局でゲームセットだったわね」


透華「ロン! ですわ! リーチ一発チャンタの……裏2で跳満、12000ですの!」

純代  20500
透華  44300
和   72700
絃  262500


南一局  ドラ:七筒

透華(裏乗せで跳ね……。私今、目立っておりますわね!)タンッ

絃「ロン。純チャン一盃口ドラ2で跳満、12000」


              ,r'´ ̄ ̄ ヽ
       /丶  _//∧      l'⌒ヽ-、_
      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ

     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!

.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l

純代  20500
透華  32300
和   72700
絃  274500

南二局  ドラ:八索

透華(な、なんですのー!? くぅっ、霜崎絃ぉぉぉ!)

絃(箱入り娘の味もなかなかのなかなかだわ。この子が堕ちたらどんな味になるかしら……くふふ)

和「ツモ。メンタンピンドラで1300・2600です」


純代  19200
透華  29700
和   77900
絃  273200


南三局  ドラ:四索

絃(また風越が2万を割ったわ。雛にエサをやる親鳥の気分かしら……ククッ)

純代「ッロン! 白トイトイドラ2で満貫、8000」


純代  27200
透華  29700
和   77900
絃  265200

南四局  ドラ:二萬

和(また差し込み……。屈辱です。でも、私にだって意地があります。

  京太郎くんへの想いだって……。

  見ていてください、宮永さん、ゆーき、部長、先輩。

  京太郎くんも……、見てくれていますよね? 届いて!)


:::::::::::::::::::::...                            ____
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 / ゙、_,,,,,--―""",,,--〈  <___/ // /   /        \/.| \       ゙、   ゙、|\-―‐‐'´ \ ソ  /
φ   ,,,,--‐‐"" ̄     \_,,,,..// /   /|┐           |   \       ゙、.   |  ゙、       ̄ ̄
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.                     ゙、|   ゙、 \)_            l           (|   |
                           ゙、  \)_        人          _(/   /
                            \  \),.-、    /  ゙、      .,-、!/    /
                             `ー--_⌒ ー、 /   \,.-、 ,-、!/    /
                                  ̄ ̄゛゛        ̄`ー -  - ‐ ´


和「ツモ」パララッ


  1m2m3m 8s8s 白白白 發發發 中中 ツモ:中


和「大三元、8000・16000です!」


純代  19200
透華  20700
和  110900
絃  249200

「前半戦、原村選手の役満ツモで終了いたしました!

 いやぁ、綺麗な役満でしたね藤田プロ!」


「ああ、まあお手本のような和了り方だったな。

 配牌で三元牌が全て対子。一二三萬も配牌時点であった。

 七対子を狙っても良かったろうが、大三元の方が和了れると判断したんだろう」


「何か歯にモノが挟まったような言い方ですが……気になることでもおありでしょうか、藤田プロ」


「いや、な。霜崎の差し込みがなければ、深堀は飛んでいた。

 まさか見越していたわけでもあるまいが……結果的には3チームとも助けられた形だ。

 原村も大三元を聴牌してもツモ和了できずに流していただろう。

 選手の活躍が見れる分にはありがたいんだが……やはり霜崎のやり方はなぁ。

 龍門渕に跳満を放銃した直後に跳満を取り返しているし、やろうと思えばいつでも風越を飛ばせたのかもしれない。

 局的には原村の見せ場があって御の字だろうがね」


「えー、あ、あはははは。藤田プロありがとうございました。

 間もなく副将後半戦、開始です」

2半荘目

東一局  ドラ:二索

和(なんでしょうか。京太郎くんのことを考えると、とても温かく感じます……。


     |   \ /ー/ ̄ ̄ ̄`¬: : : : : : : : : : :\

    r'   ー--イ  ト‐‐‐、   /: : /: : : : : : : : : \
    |     ,,,,ト-∧_     /:/: : : : : : : : : : : : : :\
    ト-┬‐‐'' / T\     「/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ゙、

     /     |  \    | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :゙、
    ∠__    /    ヾ-イ: : : :/: : : :/|: : :i : : : : : : : : : ゙、
    Y : \  / ___    |: |: : : :/: : :/ / : /: : :| : : : : : i: i:゙、
    /: : : : : Y:::|_」:::::\_」:| : //: :/ ソ;,; /: : : / : : | : : :| :|: |
.   /: : : : : :/:/ :| : : :| : :| |: :/ | :/   /:/X; :/ /: :| : : :| :| :|
  /: : : : : :/: |:: :| : : : : : | ゙、/ .V _  '' /;;;;ノ  /: :/: : ::/:/: |
  /: : : : : :/ : |: : | : : :|: : |        ヾミ_〟   /: :/.: : :/レ レ'
.../: / : : : : :./:|: : : : : : | : |           イ  ̄/: :./

/: /: : : : : :/: :|: : :|: : : :|: :|    ////////  (  レ
: /: : : : : :/: : :|: : :| : : : | :|             >
/: : : : : :/: : : :|: : :|: : : : | |           ,/
: : : : : :./: : : : | : : | : : : : |         ,√|
: : : : : :| : : : :/゙; : : ゙; : : : :.\/⌒ヽ ____/ | |

: : : : :./: : : :/::::゙; : : ゙; : : : : :.\: : :|     | |_
: : : : :|: : : /===〉: : ゙; : : : : : : \ |     |_√\_
: : : : :|: : /;;;;;;;;;;;;;| : : : ゙; : : : : : : : \   r「/ /.|´ ト、
: : : : :|: /     |: : : :゙; : : : : : : : : :゙,  | | し | .| |


  今なら簡単に和了れそう――)

和「ツモ。トイトイドラ3で満貫、2000・4000」


純代  15200
透華  18700
和  118900
絃  247200

東二局  ドラ:二萬

和(やりましたっ。京太郎くん)ポッ

            , ' ´ ̄ ̄`ヽ、
           r-./ , / / ヽヽ . rヽ ,┐
           | //, '/| .|| .! | | .| .|::::Y:::::}
           ∨/| |┼从乂┼リイ.!_ィ'ヽ、}
         ハ!トiトl●    ● 从 |、 |
         ヽト|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ |
        /⌒ヽ__ ハ  ゝ._)  / _/⌒iヽ
      \ /:::/ />,、 __, イ! /::ヽ_/} ヘ

.        /:::/ / /ヾ:::|.=./:::::| {::::::::::/i }
       `ヽ{ / ノ( ヾ∨::/ ) ._ノ ! .|


絃(くふふ、熟れてきたわ……。そろそろ食べごろかしら)

絃「ロン。タンピンイーペーで3900」

            , ' ´ ̄ ̄`ヽ、
           r-./        rヽ ,┐
           | //, ' , / / ヽヽ  |::::Y:::::}
           ∨/| /| .|| .! | | .|.イ .!_ィ'ヽ、}   の
         ハ!トi..|/从乂\リイ  |、 |    ど
         ヽト|トl●    ● 从 |ノ |    か
            ./⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .ハ ヽ   │
          / ._/⌒l_ __, イ!   ハ  ヘ  ん
.         / /:::::::::/..=./:::::| / `ヽ }
           { /|   .l:::∨:/ ) ! .彡} |


純代  15200
透華  18700
和  115000
絃  251100


東三局  ドラ:八萬

和(はっ、いけません! 京太郎くんとのキ、キスを思い出してしまって気が逸れてしまいました……)トン

純代(前半の和了はおそらく差し込み……。自力で和了ってみせる)


               ‐…‐-   _
               '"            `ヽ
         〃 /    ; , ‐ミ     ,
.         /  ,     ノi {   }ハト ,  ′
         ,  /    /  ヾ       ', ,
          {: ,   /   tx、     ィッ il│
.          , { /                |リ
           'v=ミ{ ー'尨fヽ    尨i^ K
.          { し  xx             x|ソ
          イヽ`,,_         丶    |
.          | ; /人 J  c---っ   丿
        乂/ ト,}`         _ ´
        _, -| 人\  ≧―‐<:「`ヽ __
    -= ̄    ∨ |\}       |    ̄ニ=- _
 rく\       乂人. ‘,`ヽ    |        }Ti、
_ノ\\\       乂}\}――――|        //ノ ` 、
  /\\\      ノーヘ       |        ,///  │


純代「ロン。白東ドラで5200」


純代  20400
透華  18700
和  109800
絃  251100

東四局  ドラ:南

透華「リーチですわ!」

絃(あらあら、これは止めようがないわ。全国に出た経験も伊達ではないか)


              /ヽ/  //            //|      |
_  __,.. --‐ー--==ュ/ / `//、           //|       |
. `ヽ  _,.....--‐rr‐イ=ィ'´   //.....\         /  |     |
  //|-‐    ̄ |├,イ::::`ヾ=、、 丶:::::ヽ      __/-‐'  |       |
 /  _|_,.....--‐i┘っ!:::::::::|:.:.:iヾ、ヽ       ..:-‐/___ |     ゙、
_/‐ ´     r-!ヾ、 !..゙、;;oノ:.:/  ヾ        ,:イ'´::://ヾ  |      丶
    / ̄ ̄  ヾ `、:;,;,;,ノ          ´っ:::://  / / |       ゙、
   / i                        弋,;,ン ノ / |       |
  /   i                           / |  |        |
_ノ    ゙、                   、      / | |        |
       丶、       、           `     /i  |  | /      |
       \`ー 、    `ー- 、            //  |  |/|      |
          \`          ̄     , ' /   |   /     |
\             \           _, - '´l  i   |   |       |
  \             ト、      _,   ´l    |  |  |  |     |
 / \           ! ` 、_ , '´     ゙、  |  |    |   |      |
/     \       /  /   ハ      ゙、 ゙、 ゙、   |  |    /


透華「いらっしゃいまし! ツモ! リーチ一発ツモ、タンピン裏2で跳満、3000・6000ですわ!」


純代  17400
透華  30700
和  106800
絃  245100

南一局  ドラ:北

絃(さて、収穫しましょう……たわわな桃を)

絃「ロン。チートイタンヤオで3200」


純代  17400
透華  30700
和  103600
絃  248300


南二局  ドラ:發

絃「ロン。チートイドラ3で満貫、8000」


純代  17400
透華  30700
和   95600
絃  256300


南三局  ドラ:四萬

透華(くっ、最後の親番を……! このままでは引き下がれませんわ!)

透華「リーチですわ!」

絃「見え見えなのよ、あなたのリーチって。

  ロン。二盃口混一色ドラ2で跳満、12000」

透華「ってそっちですの!?」


純代  17400
透華  29700
和   83600
絃  269300

南一局  ドラ:北

絃(さて、収穫しましょう……たわわな桃を)

絃「ロン。チートイタンヤオで3200」


純代  17400
透華  30700
和  103600
絃  248300


南二局  ドラ:發

絃「ロン。チートイドラ3で満貫、8000」


純代  17400
透華  30700
和   95600
絃  256300


南三局  ドラ:四萬

透華(くっ、最後の親番を……! このままでは引き下がれませんわ!)

透華「リーチですわ!」

絃「見え見えなのよ、あなたのリーチって。

  ロン。二盃口混一色ドラ2で跳満、12000」

透華「ってそっちですの!?」


純代  17400
透華  29700
和   83600
絃  269300

南四局  ドラ:二萬


. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、

: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!   
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      ⊿     .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、

: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\   ∧:::::::::::-.:_//'   !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ  ヽヽ::::::::::::|!`!    |: : !: : : : . | リ


和(くぅっ、完全に狙い撃ちされていますね……)

絃(京太郎さんが目をかけるのも分かるわ。こんなに美味しいんですもの。

  後はこの水蜜桃を京太郎さんに差し出す時を決めるだけかしら……くふ)

和(これでは、まるでおもちゃにされているようです……。

  京太郎くん達が見ているのに! 黙って負けてなど、やりません!)


            ,. . . ---. . . .,

        _,,,,.  '.: : : : : : : : : : : : :`゙'. ,   _
       i/              ._,./::iヽ,
     i'"~::/ . .; .i: : ; : : : : : : : : : : : ィ´::::`v":::ィ
     i: :./: :.i : l: :l: : il: : : : i: : :.li: : ; i: ヽ::::;;:::i::i:::::|
    冫/:./i: : li: i: : i:.|: : : |: : :|: |: :|i: i: :冫:::::/iヽ,l
    !,::i: :i:.|: : |:| |: :.i|:.|: : :|i: :.|: :.|: |:|: |; iゝイ:::i;::::\
    ./|:.|i:.|: : |:i`'トム.;:.|: : ! l: | ,;:lィ ''l|´l ||: リ::;,!l__/
    く;;;|:|'|:.l: :.||'ャii;;;;;;;iィソ !'ィ'ヤi;;;;;;i;'ヤl|_,.! '´:|: :l: |
     l! l!,\l !:ヽ辷ソ    ヽ==ソ .! |: : :.|: :|: |

      /|: |: :|i ::::::::  、   :::::::::: .;ィ'| : : :|i: :i: |
       / |: |: :|:ゝ     _      /" | : :.|:|: :|:.|
.     / /| |: :|: ||`ヽ 、.´ `   , イヾ  |  : :|i |: :|:|
    / ./:|:l: : |: || |  _,`,iー "´ ィ冫、.|i  : |:| |: :.i';
    ;´ /:.i|i : :l_,..-‐'''´:/:イ   /:::::::::::|:| . i|.,| |: : ハ
   ; /: :i:|: : :|:::::::::::::::iニ-ー,/::::::::::::::::|:| . :.l|;´ヽ,: : ハ

    i /: :.l/|: : |::\::::::::|   /:::::::::::_,.‐'_;i ; : : l; /`il: :i: :',
   ,': : :/.l: : |i.\;;:`ヽl /;;;.:-::':;´‐''~/;': : //   :|i: :l: : i
.   iil: :.i .l: : i .'._ .゙''.‐.,y,._≠'' ´,,..‐//: : / i    |:l: :i :i: l
    l!i :i; lil! l  `゙''ー;-'‐;:-‐ ''´  //: : .;'`;.|.    |::|i:|: .i |
   ', / l:!l:l l     トーィ;"    ;'/i:.i .i   i|     |::||:l: | l!
    ;' li l:l i    / .i ,!    ;' l:li :l  ';  i   |::|: i:| !


和「ロン! 三暗刻トイトイドラ3で跳満、12000です!」


純代  17400
透華  29700
和   95600
絃  256300

「副将戦終了いたしました!

 1位は須賀、256300点。

 霜崎絃選手は前半-36100、後半+8100の合計で-28000点。

 2位は清澄、95600点。

 原村和選手は前半+38900、後半-15300の合計で+23600点。

 3位は龍門渕、29700点。

 龍門渕透華選手は前半-10700、後半+9000の合計で-1700点。

 4位は風越、17400点。

 深堀純代選手は前半+7900、後半-1800の合計で+6100点。

 以上の結果となりました。解説の藤田プロ、いかがでしたでしょうか」


「あー、まずは差し込みだな。霜崎は深堀に2万点を差し込んでいる。

 これを留意すると霜崎は-8000、深堀は-13900となるからこの2半荘は実質原村の一人勝ちだな。

 霜崎としては前半オーラスの役満親被りはさすがに想定外だったろう。

 後半の南場から三連続でザンク満貫跳満と4000点ずつ上げて原村から直撃を奪って帳尻を合わせたようなものだが。

 さすがに倍満に育てる前に原村が意地を見せた。

 オーラスの跳満ロンは普段の原村和らしからぬ和了だったが、気持ちの入った良い和了だ。

 確率を重視してそれをコントロールする打ち方は確かに最高効率だが、そんなのはコンピューターに任せておけばいい。

 世界チャンプだってそんな機械じみた打牌ではないしな。


 まあ、今回の対局に話を戻すか。

 霜崎絃のプラン通り、と言っていいだろうな。

 どこも飛ばさず、差はなるべく縮めず。

 対局前の小競り合いを見るに原村の力を計りたかったのだろうし、その力は十分に見れた。

 清澄の中堅も悪女めいた打ち筋だったが、霜崎は別格だな。

 場を完全にコントロールしてのけた。

 全国上位クラスの面目躍如。こういう曲者たちが犇めくのが全国個人最終日だ。

 霜崎を見てビビるようなら精進が足りていない。

 あれを相手に勝てるように、全国の中学生高校生雀士は頑張るといい」


「ありがとうございました。大将戦は20時50分からの開始です。

 長野の代表チームが決まるその瞬間をお見逃しなく!」

対局室

「クフフッ、まあ、合格かしら」


 項垂れそうになりながらも胸を張って対局室を出ていく純代。

 ハンカチを噛まんばかりに悔しがっている透華。

 そんな二人を無視して、悔しげに下を向いていた和に話しかける絃。


「力も十分。想いも……オーラスに見せてもらったわ」


 和の胸中には、どこまでも傲然な絃に怒りすら湧いていた。拳を握りしめ耐える。

 それでも言葉までは止められなかった。下に向いていた目を真っ直ぐ、絃へ向ける。


「あなたは彼の何なんですか。他人の想いにまで干渉する権利なんてありません」

「わたしは優しいだけだわ。彼に想いを寄せる女は多い。

 今の世で番いは一対一でなくてもよくなったけれど、独占したいのが人の心。人の心を貪るのがわたし。

 原村和の嫉妬も混乱も闘志も、実に美味」

「あなたはいったい何を言って……」


 応じた絃の答えは和を混乱させるばかりであった。気勢も削がれ、言葉から力が失われていく。


「惚れた男を欲するもまた人の情。であるならばできることはしっかりなさい?

 せっかく彼の好みの器なのだから。清純ぶって気を惹こうなど虫唾が走るわ」


 それまではどこか優しげですらあった絃の和への視線。

 しかしそれが一変し、心底軽蔑するようなものになった。

 やはり和には分からない。何が言いたいのか。何を伝えようと言うのか。


「まあ、何でもいいわ。あなたが手に入れる彼は私の貪った後の彼。それを忘れないことね」 


 捨て台詞と共に去っていく絃。

 和は、ただこの女に女として負けるわけにはいかないと感じた。

 麻雀で試合に勝って勝負に負けた心持であったが、ここで立ち止まっては取り返しがつかないのだと。

須賀控室

「ただいま」

「おかえりなさい絃さん」「おかえりですよーぅ」「おかえりなさいっす」「おかえりなさい」

「原村さんのことかなり挑発してたっすねぇ」


 戻ってきた絃に、桃子がすぐにそう話しかけた。

 なぜあんなことをしたのかと、純粋に首を傾げている。


「わたし、ああいうかまととぶった女って嫌いだわ。

 でも京太郎さんはそうじゃなさそうだし、チャンスをあげるだけ有情でしょう?」

「あはは……」


 桃子の疑問に答える絃は彼女にしては珍しく、直截的な物言いだ。

 桃子も乾いた笑いを変えるのが精いっぱいである。

 とはいえ結局は和自身と、俺への思いやりが窺える。

 悪人ぶっているが根は優しい人なのだと思う。


「ま、なんにせよいよいよ憩さんのリベンジマッチですね」

「リベンジってほどやないけどねーぇ。でも、目に物見せたらなあきません」

「わたしの分までお願いするわ、憩」

「お任せされましたーぁ!」


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         /: : : :从{: : ::|ァ´ ̄ ̄`ヾ   \{ __-‘__, |//:/: : : /::/ : : : ::| :|
        / : : : : : : : : : : |            ´ ̄ ̄`ヾ/イ: : : / / : : : : ::| :|
     __彡: : : : : : : : :/ : : : :| 〃〃   ′           |: :/Χ : : : : : :| :|
    `ー------=彡ク: : : : : |     _      〃〃   |/´ ̄`∨: : : : :∨
           / : : : : :.人     |   ̄`ヽ.           /: : : : :l: : \
          /: : : : : :/ / \          /       、__彡イ: : : : : :ト、: : :.\
         /_:_:_:_::彡   //l: : :\   `ー‐        _. .:≦: :|: : :.从 : : : 八  --- `
               l/ : : : :./`ト . _   _  -‐   |:_:_:_:/|: : /  \: : : :\
                    八: :./  |:.∧ Τ        {_ノ∧ l/     ` : : : \
                 ∨  j/ /´ |   __ -‐    \          ̄ ̄
                      __/ /lノr‐              \
                 --‐   / /~⌒l           / \
                / {     / ∧   \         /    \

清澄控室

            , ' ´ ̄ ̄`ヽ、
           r-./        rヽ ,┐
           | //, ' , / / ヽヽ  |::::Y:::::}
           ∨/| /| .|| .! | | .|.イ .!_ィ'ヽ、}   
         ハ!トi..|/从乂\リイ  |、 |   
         ヽト|トl●    ● 从 |ノ |   
            ./⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .ハ ヽ  
          / ._/⌒l_ __, イ!   ハ  ヘ  
.         / /:::::::::/..=./:::::| / `ヽ }
           { /|   .l:::∨:/ ) ! .彡} |


「ただいま戻りました」

「おかえり原村さん」「おかえりだじぇ、のどちゃん」「おかえり和」「おかえりじゃ」

「霜崎さんといったい何があったんだのどちゃん?」


 ぐったりと戻ってきた和に、優希が全員の代弁をする。

 とはいえ問われたところで当の和もよく分かっていないのだから答えようがないのだが。


「私にも何が何だか。稼げはしましたが最後に狙い撃たれて負けた気分です」

「それでも16万点差まで詰めれたし、3位とも6万点以上の差があるわ」

「咲がヘマしなきゃ2位は確実じゃの」


 そう、和は安定して稼ぎ確実に差を縮め、差を作った。

 次善の道は順調と言える。そんな雰囲気は気弱な咲には重圧である。


「ぷ、プレッシャーかけないでくださいよ部長、先輩っ」

「咲ちゃんならだいじょぶだじぇ! 相手が天江衣だろうとがつんとやっちまえー!」

「優希ちゃん」

「宮永さん、平常心ですよ。あなたなら勝てます」

「原村さん」


 弱気の虫を発揮した咲を激励する優希と和。

 1ヶ月とはいえ、決して空虚な時間などではなかった。

 仲間と胸を張って言えるくらいには仲良くなった。

 咲は孤独ではない。そんな温かな想いを胸に、少女は戦場へ赴く。


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 彡 '´ リ i:.:.ヽ:.::.:.:゙、 ヽ___       ;==─-ソ::::::/ /:::!
      ヽ|:.:.ヾ:.、::ヽ≠'´ ̄`     ;;;;;;;;;;;; ノノ:ノ /;イノ

         ソ:.:.:::/::ヾー-;;;;;;;;;  ,     """ /ノ.;:‐'::/
       i.;イ:::;ハ、::゙、 """    ___      /:::::/
       ソ レ  ` ヾヽ    ヽ´  ノ   ィ´::/リ
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                 _"_〕ー--‐'    |__
                /:.::/:|       |:/\


「――うん、行ってくるよ!」

龍門渕控室

「透華、元気だしなって」

「そうだぜ。お前が萎びてちゃ調子狂うっつーかな?」


                         _
                      , ´    ヽ
                          /  γ ⌒i }
                          ,′   l    l l `i
                    _|   .ハ_  マヘ  ヽ ヽ
                   . -‐<     \ >.ヽヽ  ! }
               /       \    /   l } .、
               /        \ / ,.へ  .ヾ.、 \

 龍門渕高校の控室では、今透華を必死に慰めようと奮闘していた。

 後半こそプラスだったものの、結局収支はマイナス。

 ライバルと見た原村和がのどっちである確証も得られず、最後の狙い撃たれがなければ実に5万点近い差があったことになる。

 さらには点数を見れば、1位はともかく2位とも6万5千点もの差を付けられている。

 いくら衣とはいえ、いや衣だからこそ、この状態でバトンを渡すのは合わせる顔がない思いだ。


「……そろそろ時間」


 大将戦開始まであと数分もない。結局衣は控室に来なかったのだ。


「透華お嬢様。衣様は既に対局室までお送りしております」


 さらにどんよりと暗くなりそうだった控室の空気を颯爽と掃う男の声。


「ハギヨシ、ご苦労様でしたわ。……まったく、帰ってきたら衣に謝りませんと」

「僭越ですがお嬢様。衣様はお気にされておられないかと。

 このくらいの縛りがなければ面白くない、と実に楽し気でございました」

「そう、ですか。それでも何もしないなど龍門渕透華としてありえませんわ。

 ……そうですわね、ハギヨシ! ディナーはお子様ランチにいたしましょう。

 エビフライとタルタルソースはたっぷりと、ですわよ?」

「かしこまりました」


 打てば響く主従。純たち三人はその様子に安堵の息を漏らす。

 そして自らの主が気を取り直したことを喜び、家族の戦いを見守ることにしたのだった。

大将戦

荒川憩
属性 :O
技量 :A
直感 :A
必然力:A
・スキル
【ラックトランスフュージョン】金
 失われた運気を回収し、自らに注入していく異能の力。
 他家が和了する度に発動。
(効果A)
 和了判定値を+5。
(効果B)
 打点を+1。
(効果C)
 親で連荘した場合、連荘するごとに上昇した分が2段階ずつ戻る。

【鎮静の笑顔】銀
 凄惨な現場でも冷静に、患者を安心させるための微笑みを忘れない。
 聴牌判定値が1位の場合、他家のスキル効果を受けない。

【闘志】
(効果A)
 公式戦などの重要な局面で判定を+10。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。
【威圧感】
(効果A)
 他家の判定を-10。
(効果B)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。
【逆境○】
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。
【尻上がり】
 南場の間、判定を+10。



宮永咲(特殊) 
属性 :O  
技量 :B 
直感 :B 
必然力:A   
・スキル

【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【威圧感(特殊)】
(効果A)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果B)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【日和見主義者】
 勝利を許されず敗北も避けたいがために生み出した歪んだ打ち筋。
(効果A)
 聴牌判定値が3位以上の場合、判定値を+30。
(効果B)
 効果Aによって和了判定1位になる場合、その和了を任意の他家に譲渡できる。
(効果C)
 効果Bにより譲渡後の打点は相手に関わらず±4できる。
 ただし自身より必然力が高い相手には、素の判定値で上回っている必要がある。
(効果D)
 このスキルは自身の収支がプラスのときの自身の和了には使用できない。

【嶺上開花】
 高い山の頂上にすら咲き誇る、常軌を逸した妖しい花一輪。
(効果A)
 和了コンマor判定値がゾロ目のとき、強制ツモ和了。
 ノーテン時は2位以上でなければならない。
(効果B)
 効果Aによる和了が決定かつ他家の素の放銃コンマが6の倍数である場合、
 責任払いでの出和了りとなる。
(効果C)
 このスキルで和了するとき、符数は半減せずそのままの数値を取る。
(効果D)
 聴牌判定で2位以上のとき、他家の妨害効果を無視できる。

池田華菜 
属性 :D
技量 :C
直感 :B
必然力:B
・スキル
【安定感×】赤
 判定コンマを30以下の場合は01、80以上の場合は100として計算する。

【窮猫咆哮】銀 (逆境○+闘志+意外性)
 追い詰められた末に雀士としての誇りをもって吼える。
 劣勢時に素の聴牌コンマで1位になるor1翻直撃でトビかねない状態で発動。
(効果A)
 最低打点が満貫になる。後者の条件での発動時は役満を聴牌する。
(効果B)
 判定値を+20。
(効果C)
 他家からのデバフ効果を無効化する。

【華菜ちゃんは図々しいからっ】
 絶望的な状況でも諦めない、銑鉄から鋼へと鍛えられた精神力。
 【窮猫咆哮】が発動した場合に発動。
(効果A)
 聴牌が確定する。
(効果B)
 素の聴牌コンマが1位のとき、他家のスキルバフ効果を半減する。



天江衣  
属性 :O
技量 :B
直感 :S
必然力:S
・スキル
【水底の幽月】虹
 強すぎる力は不幸を呼ぶ。愛する両親を喪い、自身と対等な存在を諦めた水底の龍。
 月齢により効果が増減する。新月の時は南中している昼間以外は発動不可。 
 満月時は150%、満月前後は100%、半月時は75%、三日月時は50%。
 満月時以外は日没していないと発動不可。
(効果A)
 他家の聴牌コンマを-50。
(効果B)
 効果Aにより自身以外がノーテンの場合、強制和了。
 立直一発河底撈魚の最低3翻役or立直一発自摸海底撈月の4翻役が確定する。
(効果C)
 聴牌コンマが1位の場合、打点を+3。
(効果D)
 自身の放銃判定コンマが60以上の場合、放銃しない。

【パワーヒッター】
(効果A)
 和了判定を+15。
(効果B)
 打点を+2。



衣・咲・華菜・憩  の順

「皆さまこんばんは。いよいよ長野インハイ予選の勝者が決まる大将戦です。

 注目の天江衣選手と荒川憩選手が出場いたします!

 解説の藤田プロ、見所はどんなところでしょうか」


「自分で言ってると思うがね。

 天江衣と荒川憩の死合、これに尽きる。

 去年の天江衣は団体戦にしか出場しなかったから実らなかったマッチアップだ。

 過去最高の得点をした魔物と、女子高生で2番目に強い怪物。

 この戦いがどうなるのか、これが楽しみでない高校麻雀ファンはいないだろう。

 かく言う私も楽しみでならん。惜しむらくは龍門渕の点数が風前の灯火なことか。

 とはいえこれも運の結果と言える。

 チームメイトが奮闘した。または蹂躙された。団体戦はこれがあるからこそだ。

 今年は個人戦も登録しているようだから、天江衣の本領がどこまで見れるかこうご期待だ」


「ありがとうございました。それでは……大将戦、開始です」

対局室


             ,...::'"´  ,.ゝ、::ト┤::/、._   `丶、
          ,..:'      / _,..>:V∠._  `ヽ   丶
        ,.:'     /,.: ,'―'´ ̄`ーヽ   ゙、   ゛、
        ,:'     / .:/.:::/::::::/::::::i:::::::、:::.. 、 i     丶
      ,:'       / /  i  | !:  :|:ハ:i i::: i |     ゙、
      ,'      | i::l. :::::|大ト|、:::::iリ_|;!::A:|:: !: |       ',
       !         |、!、!:.、!rf≠ミヽ、ト!,:≠=、!:ノ:: |       i
     i       ヾiヽ::::|!<;;;ン   <;;;ンノイ::::: !.        l
      |          / :::Y:、""   '  "" /:i::|::::|         |
     i          //:::/:i::`:..、 _⌒_ ,...イ::::|::!:::::!        !
.      ',      ///ヽ-イ´ヽ、__ノ`ー|:::::! |、::::、      ;!
        ',     /// i r‐┴-<r‐f=¬|::::: | ヽ: ゙、    ,:'
        ':,    //::i   ! ゝ:.:.:.:.:'´トイー-:.:|:|:::i | ノ i:.. ゙、   ,.'
          ':.,/ノ:::/  | i|:.:./´/::! ト、ヽ:.| i:::| |  .!::.. 丶,.:'
.        //.:::(   V└フ´:::| .|:.:`ーr!::l:::!.|  ヽ:::.. \
     //..::::::/:::Y---|   |-イ´ !_:::::| ヽ:i::i:゙、 .ハ:::...\\
    / ./..:::::::::/.::::::!__ノ  !:.:.:|_∧_|`Y  ゙、!:i:..∀:::: \::... \\
  ///.::::::::::/ .:::/::::| └┬'^ヽ:|   レ'"ー-、|゙、:::. \::::::..\:.. \\


「待っていたぞ荒川憩!」

「こちらこそ、このときを待ってましたよーぅ」


 ハギヨシに送られ、対局室に一番乗りしていた衣。

 そのためかいつもある幼さはどこかに置いたように飛ばしている。


「過日の仕合は本気を出していなかったであろう? あれでは衣の勝ちなどと認められんわ!」

「せやかて、ウチにも都合いうもんがありますーぅ。それに今日は満月じゃあらへんけど、ええんですかーぁ?」

「ふん。点差も含めてちょうどよいと衣は思うぞ」


 以前の龍門渕での対局。

 そこで憩は衣に負けている。そのときは満月で、深夜0時頃であった。

 そして憩自身も乗り気とは言えず全力を出せたとは言い難い。

 だが今回は状況も違う。月齢が若く衣こそ全力を出しきれない。

 超常的な力が発露しないほど若くもないとはいえ。さらにチームとしての点差も激しい。

 憩はチームとして勝てばいいと考えている。ここに立っている自分は一人ではないのだからと。


「そうですか。一人ではどこまで行っても満たされることはない思いますよーぅ」

「これは異なことを言うな荒川憩。ケイほどの打ち手ならば強者の孤独は分かるであろうに」

「ふふっ。ウチは一人なんかやあらへん。

 あの子はもうウチらのステージに手をかけてますからねーぇ」

「……キョータローか。確かに今日のあの気には魂が震えた。いずれ我が背としてくれよう」


 おもむろな婿取り宣言である。さすがに憩もこの発言は看過できない。


「そんなちんちくりんで何言うてはるん? 京ちんはおっきいのが好きなんですよーぅ?」


 必然、挑発的な物言いとなった。


「む。衣とてまだ大きくなれる!」

「無理やと思いますけどねーぇ。」


 もはやおぼこではないと女の余裕を垣間見せる。

 衣はそのことに気付かず、しかしクリティカルなひと言でもって反撃する。


「ケイこそ平坦ではないか!」

「ぐっ、痛いところを突きますねーぇ」


 そう。須賀京太郎は巨乳好きである。実はチームメンバーも憩を除けば普通以上のサイズがあるのだ。

 いや、桃子と数絵は十分に大きいと言える。憩とて無いわけではない。やや控えめではあるが。

 思わず口をつぐんだところで、いつの間にか来ていた宮永咲が口を挟む。


「……えっと、そろそろ時間ですよ?」

「痴話げんかは他所でやってほしいし」


 池田華菜も呆れたように呟く。リベンジの気勢が殺がれてはたまらないと。

          / ::::::::::::::::::::::::::::;::::-------::::::::::::::::ヽ
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 _, -‐::´::::::::::::::!'ノ ./ // ̄二フ'"´   .!/ノ !::ノiハ::_:::::| i:::゙、
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      レ |::::::i   /::;イr‐、_丶、__        \_  |:| !:| //::::|
        |/|::゙、  /:/ | `"` ー-‐ー    _    ソ |:| ゙、! i:::::::|
         !wi  !/  i⊂⊃         ヾニ、_.、/  |:!  /:i、:::|
         /    /        ,  ⊂⊃´  |:!/| |::! ゙、|
      /     /ノ\  ,..__       ノ    ノ i:::::| |ノ  `
  _,..--/     .,イ'   、 \`ー-`⊃ _,....イ   <  ゙、:::|/
ノ\>'´      / ゙、  i  `>ーr<'"´|;ハ    ヽ |/
../        /ヽ   i、_    / |  ` ー-ヽ    ヽ
        /      i ヽ   、__/       \     \

1半荘目

東一局  ドラ:三萬

                             //////\/ハ
                              ///,/    \!
                 ,....-―-.、     ////

               , イ////////\   ////
            , イ/////,/ ^ーァ/ヽ≠//,.く
          ///////,/   ,ィ///////////\

         ////> '´    ///////////////,ハ
       /> '´          〃////////////////!
      ,..'/            从////////,γ⌒ヽ//,|
     /'                `i///////,乂__.ノ//,ハ
                    /////////////////ヽ

                   ////////////////////\
                  ///////////////////////,\
               , イ///////////////////////////ヽ
           ,.....イ/////////////////////////////////\
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衣「衣の親番だ~! さいっころっ回れ~!」


「天江選手の親番からスタートしました。打点が高い天江選手ですから親番は脅威でしょう」

「そうだな。……それに、衣はいつもなら遊ぶんだが、今日は最初から全力のようだ」


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      人:|i:/:.:.::゙、 \ `ー-、    `i. ヽ  ,..N./:.:.:.:`ー-、
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   i |  ヽi: :\\:.:.:.:.:.!ヽ  _, -‐'´i:.:/:./: / /     i| リ
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咲(うぷっ。……あの時のお姉ちゃんより酷いっ!)

憩(っく! 来ましたねーぇ。海の底に引きずり込まれるような、暗く寒い感覚)

華菜(なんなんだし! 一向聴から全然進まないしッ)


衣「リーチ」

 三人の手が一向聴から進まない中、ついにラスト一巡。

 衣が酷薄な笑みを浮かべリーチを宣言した。


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              V ヽ://`i::::::/` Cー|-'      ̄ー'/::ハ::::::::|::::!
          _,..-‐'7/ |::::/、⊂⊃|       ` ⊂⊃/ i:::リハ::|
      ,..-‐'´     !|  |:::i  \u  ≠=-~   / |:i.ト、V  リ
     r≪          |::i    ` ー, 、_.,..-― ´  i:| |∧
      |>、゛、        Vヽ    ´ _,..┤      //./ |
     /  \゛、、         ヾー-、 /_,..-|    // /イ |
.     i`ー‐-、\゛、、       ゙、 ̄ ̄   |   ,, " //  |
    |     i`ー-、゛、、       ヽ     |  /' //   |


 華菜は去年の光景を思い出し、肌を粟立てる。


 |i;  l|l'",;il|li;,"'゙'l|l| ゙'||l;il||l|'",;il|l|l||||/  / ,;i|||||||'" -――,,;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,
 |l!:..   ill||'"  |||  iill|||  ,;il|l|/  /  ,;i|||||''" ,,,;iiiiiiillll|||||||||||||||||||||人_
 |llii:..   |||l'   '|l     ,;il'''/     ,,;il||l'".:illl|||||l||l'"ー-、"""'''iiill||ノ    (
 .||li:. i  |l'  .,,,, |'  __  ;i''/   ,,;;iill||||i''"""'''l|liii;,`ー-、. `ー-、  .)  ツ  (
 `||l i|li..,,ll..,,/.''i| ,イ'ー) "/  / /   ,  ,   、\`ー、 \   \)    (
. i |'l| i||l/ /|__ilト/  フ  ./ /./ /  ,  /   |  |  \ \ \   ). モ .(
 |ll'' .|. |  |  ̄   |    /./ / /   |  |  .|   ゙、  .\ \  \ .)    .(
 ||  .i| .|  |  ,,;;i'' |   .|./ /  |  i |  | |   |  |  \  \  \   )  ! ! (
| .|i ,;il'li;| 、| ""  "r-、 |,| /|  |   | || .| | 、 ゙、 ゙、   \  \  \ )    (
.| .|,;il" `ー' >、___(_ノN |川.  |   | ||| .| |  \\ \  \  \   ̄`Y´ ̄
. ,;il||! 。 / ,  ・  , /リト、|  \/,ャ卅ォ "''lli;;,, \`ー、\  `ー-`ー-、 ̄ ̄
..i|l"l| .・.|lili;,;i;;ii;;,,,;i;il||li||"ト、,≧‐--\ケェダ    "'li;,、_  ̄ ̄`ー-、__   ̄ ̄
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.   |五|          =≡ / ̄       ̄`iー-、\    \/   /
.   |筒|          ≡レ           | ̄ ̄ ̄    /   /


衣「ツモ。立直一発ツモ一盃口平和海底撈月――跳満で6000オール!」


衣   47700
咲   89600
華菜  11400
憩  251300

東一局一本場  ドラ:七萬

衣(くくく、満月でなくともこの程度造作もない。さあ、このまま蹴散らしてしまおうか!)

憩(――とか考えはるんやろなーぁ。せやけどそない甘い卓やありません。

  なんせウチが聴牌しとるし)

憩「リーチですーぅ」


 憩は勢いを逃してなるものかと即座にリーチ宣言。

 しかしその直後、自身の失策を悟った。


憩(っ! しくったわ。宮永さんも来たんやね)


                                         /.....               \
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        n |.l 〈     _, -<             И:::::::::::圦V::リ 刈 レ 禾テ≪j:::::::::/:::::::::::/
      〈 ぃV `ーァ7/-/                    И/И、、      V:::い }〉:::::/}::::::/}/
.      \     {-{{-.{          _j払址=ミ          圦   ゙   、、、 ∠:::イノ:/
          r`-__∨-∧___,>'゙⌒´          ゙'<      |_i{\ `  -    个::::/
             ̄ ̄                      丶   l从- 丶 _,,.  < 乂入
                                  \ 玳乂---,√ヽ   /- ニ=-

                                     圦-\-j}ト  _/------- ニ=-
                                        {=∧  Ⅵ、__´/--------------\
                                     \=\ヽ| /______ 二=- ⌒ヾ
                                       | \_∨/ -----=====彡' /    ∨
                                       ∨{⌒7⌒'ー--===≪ 〃
                                          | 片{         ∨      |
                                          ∨ j八           \    |   〉
                                          | 八 \           ト   |    |
                                          |  {\           i ∧ /   八
                                          |  乂ハ  \       i { /    ∧
  ┌‐rォ‐┬‐┬‐┬ォ   ____
  L. 抖-- --|_jI斗   ――-ミ


咲「カン」


 いきなりのオヤッパネを受け、いよいよ咲の目の色も変わった。

 今の咲に怯えなどない。まとわりつく海水もなんのその。

 大和は海底より出でし海を越えるもの。

 そしてその山の頂上に咲くのが、彼女だ。


咲「――嶺上ツモ。面前嶺上開花で1200・2300は1本場で1300・2400」


衣   45300
咲   95600
華菜  10100
憩  249000

東二局  ドラ:九索

「なんと、天江選手と荒川選手をものともせずに宮永選手が嶺上開花だ!」

「早くも衣の支配を打ち破っているな。荒川は分かっていたことだが、

 宮永もその域に来た……いや、戻ってきたのか」


衣(む、ケイだけでなく清澄のまで……?

  あやつの手はほんの一巡前までは聴牌でもなかったはず。

  衣の力の及ばぬ王牌を掠め取る……厄介な!)

華菜(ぐ、ぐぬぬぬ~。なんで二人は聴牌できたんだ!?

   華菜ちゃんなんてまた一向聴止まりだし!)タンッ

衣「チッ。ロン! 純チャンドラドラで満貫、8000」


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 /: : : : : ...::/: : :: .::{: : : ,: : : ヽ: :ヽ: : : .\
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  ::::: :::/ ̄ ̄:/             ´  ヽ:: : :V
::::::::::::::/ :: : : :,ヘ              `、::.  ::`、
::::::::::::/─--,/ \           ハ:::::::::::::ヽ

:::::::::::i ̄ ̄7    \        /  V:::::::::::::}
:::::::::::!:::::::::/ `ヽ、  ヽ、, ,  -‐.ニ-‐  ハ::::::::::::!
:::::::,イ::::::::/  ー‐-`ニゞ、 ´  ,∠ -‐‐ {::::ヽ:::::::::l
::::::V:::::::/   _           _  |:::::::ヽ::::::|
:::::::i::::::/  ( _ )      ヽ   ( _ ) l:::::::::∧:::l
:::::::l:::∧‐、     ,へ __ , -、 __,    ノ:::!、::,::丶l
∧::!:::ハ::::::7- 、  └´‐──‐─┘  /::::ノ V `' リ
__.ヽ!/一'´ \ ヽ           , イ´ヽ∨
ヾ、_リ       \ ` ,:┬ -‐ '´ !l | _ }_
   `ヾ、     ヽ   _/-、    |l (/二_ `ヽ
‐‐   `ヾ、   〉'´ / ̄7-、  il |ト、 `  `,
  丶    `ヾ、 /   ′ /  ノヽ !|∧ `    }


衣   53300
咲   95600
華菜   2100
憩  249000

東三局  ドラ:東

衣(ぬぅ、一驚を喫するあまり風越から出和了りしてしまった……。

  削りすぎて迂闊にツモれない。雁字搦めだ)タンッ


 衣の無造作な切り出し。ままならぬ卓の状況が少女の気を削いだか。

 憩はその様を嗤った。一人で戦おうなどと孤独に逃げるからそうなるのだと。


憩「ロンですよーぅ! 東ドラ3で満貫の8000ですーぅ!」


    /:::::::::::/             > 、:::::::::::::∧- .._/:::::::::::::::::::::::> ´

   ./:::/::/             ´    \::::::::::∧  /:::::::::::::::> ´
   /:::/ ´               /        >.、:::ハ_/::::::> ^ヽ
  ./:::/               , '  ./     x≦>――‐<≧x.  \
 /:::/               /   /   /  ´          `ヾ.   ヽ
.//              /   /   //  /
´              .′  /  .//  /  // |    |         i
                  i   i   | i!  |  //! ハ .|  |  !  |     !
                  |  .!   |Tト ._ハ  | | | /.//  ,イ ,イ !  !     !
                  |/  |   ハ{\ {`≧ト{/'_/イ ,イ_i斗リ丁 /  |  | |
                 /  .|   | ./ア圷.ヾ  ///'衍圷ミx,イ  / ,イ/
             /   |   | {' ら:::::リ   ´   ら:::リ }'./ ,ィ //'
               /    .|   |  弋zン      弋ン  7´'イ |
           /     |   |   `¨´       `¨´  ハ   ! |
             /       |    ト、          '     / ∨| ∧
          /         |    | r\     r:::ッ    .イ  Ⅵ.  ∧
            /       i!   .レ ( > .    . <  i!   ∧.  ∧
        /     __|   i!  `ー-ァ__7≦ヽr―‐ 、!   ∧.  ∧
          /    /   .|   .i「 ̄ ̄\_У ̄ ̄ ̄ ̄}ヽ   ∧.  ∧
       /    /       |    i!: : : : : : :}: : }: : : : : : : : /  \  ∧.  ∧
        /     /  /   .!    |: : : :こ≧!: ノ≦ニ: : : : :{     ∨ ∧.  ∧
     /    /::/      |    |: : : : : /「ト、: : : : : : : /  \ ∨  \ ∧
    ./    /^´      |    |: : : /: :.| |: :\: : : : //    \}.    \∧
    /  /             |    |=イ: : : :|!: : : |`ー' /        \    \\


衣   45300
咲   95600
華菜   2100
憩  257000

東四局  ドラ:白

「荒川選手、天江選手から見事な満貫奪取!」

「さすがに大幅リードされている状態で他校が飛びそうなのはきついってことだ。

 衣も風越を気にして隙が出来た。そしてそこを衝かれ、今も――」


衣(さすがは荒川憩、衣の勘をすり抜けるか)タンッ

咲(荒川さんに取られたばかりだからそっちを気にするのは分かるよ。

  でもね、この卓には2人だけじゃないんだよ――)

咲「カン」  ―=三Σ白白白白

華菜(ドラカン! 満貫確定だし!)


 だがそこで止まる咲ではない。彼女もまた牌に愛されているのだから。


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:,;.:;.;.;;.:,;.:;,::,:::.;,:..;:,;.,:.;    |Λ:〔ト、'.ニニヽ|-ニニノイノ .ノ    }. 斗'        ::;:;,.
:;,.:,;:,:.:.;.:.;:;,:;.:,;:;.:,:,:.;:  ノ)   `}:入       /ン     ´           ;:,.;:;
:.;,:.;:,:.,::.:,:.;,:;.:,;:;.:;:    `    }Λ{:.>r--- ´l<_                   ,:,;.:;
:,;:.;..;,:;.:,;:::.;,:;.:;:   ___   r--y''"´ |   ノ    ̄二二ヽ  .  -‐'フ    .,:.;:,
:,;.:;.:,::.:,;.::,;...:;  ./    )  .|     ‘. ̄´ /   .ィ⌒ 、 ヽ'く   /    '',,::
:,;:.;.;,:;.:;,:;,:;:,;:..   l 厂 ̄   Λ     ‘. ./  .イl7    、  ` ァ        ;:.,:;.
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咲「嶺上ツモ。白發小三元ドラ4嶺上開花で倍満、責任払いで16000です」


衣   29300
咲  111600
華菜   2100
憩  257000

南一局  ドラ:七索

「ば、倍満! 大明槓の包、責任払いで天江衣直撃~!」

「そういえば今回のインハイは大明槓の責任払いがあったな。

 いやはや、清澄の宮永は槓での有効牌ツモ率が異常なほど高い。

 こいつのためのルールと言ってもいいくらいにハマってるよ」


衣(やってくれる……衣の支配下から抜けるだけに飽き足らず、倍満直撃とは)

憩(これが宮永咲さんですかーぁ。厄介やね)

華菜(ぐぅ、化け物ばかりじゃないか……)

咲「カン」


「おっと、ここで宮永選手再びの槓。しかし嶺上ならずですね」


憩(宮永さんの能力はカン絡みやろね。せやったら、今のカンも何か意味があるはずや)

華菜(……ん? え、聴牌できたし!?)

衣(! ツモ順をずらして衣の支配から風越を抜けさせたというのか!)

咲(あんまり点数は減らしたくないけど……)トン

華菜「! ロンだし! タンヤオドラ2で3900!」


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  |::|:::f 元==ミ、   イP:::::} ム::::::::::::::::ヽ
  |::|:::l:::{{ f::::::::}     ..ヘ;;;;丿'"ム:::::ハ;jヘ{
  |::|::l::::::l ヽ-'゙       ""/:::::::ト

  j::j::l:l::::ヘ""    ‘_,   /ヽハj
  ノハj`ヘ:/ ` 、   ` ´ /lニzyヘ、
ィト` - 、   / j` ー '  ___/   ̄ ̄\

-‐\ヘ  `一'  l‐‐-、  '" /     //\
   \      ヽ     /     //  ヘ


衣   29300
咲  107700
華菜   6000
憩  257000

南二局  ドラ:六索

衣(清澄……小癪なと言いたいがツモれるようになった)

咲(3900なら誤差みたいなものだよね。

  原村さんたちは2位狙いでいいって言ってたけど、それでも稼いでおいたほうがいいだろうから)

憩(差し込みですかーぁ。天江衣はツモ和了を見送っていたようやし、

  でもウチにはあんまり関係ありませんねーぇ)

衣「リーチ」

憩(早速海底ツモ狙いですかーぁ。せやけど、そう何度も上手くいかせへんよ)

憩「ツモ。七対子ツモで800・1600ですーぅ」


衣   27500
咲  106100
華菜   5200
憩  261200


南三局  ドラ:東

咲(このプレッシャー……マズイよ、荒川さんが大きいのを和了っちゃう)

咲「カン」

衣(むぅ、悔しいがここは流すしかない)

衣「ポン」

憩「聴牌ですーぅ」

「「「ノーテン」」」


衣   26500
咲  105100
華菜   4200
憩  264200

南四局流れ一本場  ドラ:九筒

咲(はぁ、なんとか避けれたよ。荒川さん跳満聴牌してたんだもん)

華菜(ぐぬぬ、生かさず殺さずな感じだし……!)

憩(警戒されてるわーぁ。せやけど問題あらへんし、このまま行きましょう)

衣「リーチ――ツモ。


           /::::'ノ/:!     !::ヽ、:::`ヽ
          〈::::::::::|/::/     ゙、:::::V::::::::)
         ゙、::::::::::〈       )::::::::::::/
          ゙、:::::::::゙、      /:::::::::::::l
          /::::::::::::|       !::::::::::::::ヽ
       , -‐'´::::::::::::::ノ`ー---‐' ヽ、:::::::::::::`ー、
   .  /::::::::::::::::::::/           \::::::::::::::::\
   /:::::::::::::::::::/             _ 、::::::::::::::::\
 、-、:::::ァフ__/   _>つ-、   __!ヽ、|),、、)|ノ! :::::::::__/\
.  !/ ,コ ∠.   「`,.,‐'ツ`´  `┐「>,.<フ,、<_   | レ, フ| .|
  !/|__フム.i_!.L_   //i !>`'ソ   / /,ニノ!ニ/フ   ノ.|( _>i .|
 |_./-ァ.ク;ク !ー' ノ/ ノ'ヒ'ノ\∧. ´_!.| フ///    | /'´iヽ! !
ヽ:::::::::、 ̄ヽノ` ゛´ `!=ニ⊃`ー' `'" ̄ヾ/     ´  `ヽノ
 \::::::\          ヽ.V./           /:::::/
   、:::::::\          ,..-V-、         /:::/
   . \:::::::\      / '´ `. ゙、       /:::/
     `ー-、::`ー-、   !、|wli!wii ゙、.    /:::/
        `ー-、::\/人ゝーィ| ! ゙、_,..-‐´-‐'

             >,イ´ )´艾`)、゙、´>、
       _,.. -‐,.´ィー-イフノ,、ヾ ト、`、<_ー-、__
      彡,..-‐/////_,.-/´ `V、_゙、゙、゙、` ー-、ミ

         // /// 人ノ    ヽイ i ゙、゙、゙、


 立直一発ツモ純チャン三色海底撈月は倍満、1本場で4100・8100!」


衣   42800
咲  101000
華菜    100
憩  256100

「大将戦前半、終了いたしました。

 順位は変わらず。

 荒川憩選手が-1200点、

 宮永咲選手が+5400点、

 天江衣選手が+13100点、

 池田華菜選手が-17300点。

 泣いても笑っても最後の半荘、間もなく開始です」








でっかいミスにたった今気付いたのでちょっと修正してきます……。
戻ってこなかったら今日は終了です、すみません

>>485
ここのことかな 乙

>>496
そこは小三元を役牌数えずの2飜役として咲さんがカウントしての宣言なのでミスではないっす
池田ァ! 面倒くさいスキル持ちやがってッ!!

計算し直したらシナリオ変わりかねないミスだった……
その辺手直しも必要なので今日は無理っす
お読みいただきありがとうございました


池田ァ!(泣き)

2半荘目

東一局  ドラ:七萬

衣(ここで稼がないと衣の勝ちの目がだいぶ薄くなる)

華菜(ま、まだ100点あるし! 絶対泣かないし……違う、華菜ちゃんは図々しいから……勝ちを諦めないし!!)


              i  | -=-、

  .      :.     /  ||
  :.      i     /   《 -==‐
  i|       | i   /
  'il|.   :.  | |i.  \      +ヤ
  i|!   ii. ii|i ||i i . i. i      ヽ
  .i||!   ||i:i|||i|ll||lii.i|i||:|     ||
  i'   |||i||!.:::::::::.:::::::::!      ||
  |i   .ii.|i:::::::::_:::::::'''/      》
  !|l  i|l|::::://;'''  \     ヾ,
  .i!! ii|.:::::/ V; '       Y    ||
 .!| |i.i!::::;'  '\     /
  .ii!!,::::::;、_       ̄ ヽ   ||| |||
 :i!i' /:::::;' `ヾ、       _  ||| ||| /:
 :' ,':;'::/        ==―ヽ ο.ο/:::
  ,'/i/!   >- ' 、_,    丶   /:::::
  !'  i::..  i     `' i     ヽ /::::::/
. i:. i :i.: V \ 、   ノ    , <i /:::::::/
  .  _.i.  丶`_,,  ィ   ̄ レ' ヾ/

 .i.l! ,'|| !:ヽ -ッ|    i_,、-、.,.  _.i .,i_
 i! , ||.     /1     y  !゛!' !'〃/
 . /i. ||    /   , -‐/     〃/
/i ' ||.   i - 、  , '     ,〃, '
 / i',ヾ   !   , '     〃/


華菜「うにゃああああ~~~!!」

咲「ひゃっ」ビクッ

華菜(もう吹っ切れたし! 絶望的だけど、こっから稼いで稼いで稼ぎまくれば

   2位くらいなら狙えるし! あたしの意地を見せてやる!!)

華菜「――ツモ! 国士無双で8000・16000だし!」


                  ,..:::-----:.. 、
                /::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
              /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
             /::::::/:::::::::::::::::\:::::::::::\::::::::::ヽ

             /::::/::::::/::/{\ヽ\:::::::::::\::::::::ヽ
            /:::/\/ /    ヾヽ \:::::::::::ヽ:::::::',
            /:::/:::::/ /        _.\:::::::::',:::::::l
           /::/\/ _\    /´_ ヽ::::::l::::::::l
           /::/:::/Y´し牟ト、   イ´侔`ヾ'::::::l::::::::l  そろそろまぜろよ
          /::/::/ { ヒ{::爿    .ヒ{:::爿 / }:::::l:::::::::l

         ./:::/:/::ヽ', `ー´  ,   `ー´ /ヽ:::l::::::::::l
         /::/'l:/::::::::ハ      _     /ノ:::l::l::::小ヾ
        /"  {小::::{:::l丶、  ` ー´  .∠小::::l::|:リ
             ヽ小l::::::r `i> 、 _. ィ´{ミヽリリ州/
          z ''"´ ̄ ̄ {´|     ! 7 `丶、

        /´¨\       ヽ      /     ` 丶、 _
       /    \/´ ̄_ ̄_丶、__ _ /       / ヽ
    ,, "    , '"´  _ `丶、 `ー-´ /      / ./  ヽ
 /"    ,, ''"     \`丶、`ヽ、  ./     /  ./    ',
{ ̄ '7ヽ/       \\\ `ー-` /  ,,≠"´= /     ヽ、



衣   26800
咲   93000
華菜  32100
憩  248100

東二局  ドラ:西

華菜(まずは一歩!)


               , -――― - 、

                /: : : : : : : : : : : : `::.、
              /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                /: :  ::::::::::::::::/.::::;ィ:::ノ}.:.:.::.ヽ
.            /: ::::::::::::::::::::/ .//イ ノ::::イ::.ハ
         /: : ::::::::::::::::::::/ニニ,へ、   ノシ' リi:: }      i
.         /: : :::::::::::,--、:::/:=/,=ァュ\     } |      人
 ━━━━/; : .::::::::::::{ :.:ヽy :/ {´ i::kリ`   -‐'イ::::| ━━<   >━━━━━━━━━━━━─── ─ ─
.        /' {::..::::::::::::ハ  /::/  ..... 辺'     /;カ/:::::|     `Y´
          !::;イ::::i::::::::Y:/   ::::      、{シ/|::::::|         !
        V !ヽハ::イ/:ハ             ::ハ|:i::::|         リーチせずにはいられないな
            V レ' ソ      ´’ /! .リ|:::|

             ___/     ヽ.__, . イ:イノ / |:::!
         __, -‐ '´ \    /ー--- 、__  |::!
     ,ィ≪´     : : : ヘ-  - }: :     }}`7リ
      {/>ミ_ ≪.      ヘ ――l    〃./ i \
     |' ハ\ `ヽミ_≪.    ヘ.   l   〃 / リ`  `ー 、
     /:   \ i  ヽミ_≪ ヘ  |  〃/ /    /^>
    ./:.    : :ヽi =====ヽミ_ヘ. |彡´'  V: : . . / /  `ヽ、                          ||
   /:.     : .i//:        `Vo    i: : : :./ /:       ` ー---――――――――-----―-- 、___||__
  ./::      :|:i:           i       }、: :/: :/:`>、                    __      ,r'=ー、-┬-'
 _/ー⌒ ー、   :|: :    . .      i  . . : . :| \: {:/   `ヽ、    _, ..  -‐ ´ ̄ ̄    \_    ヽ_〉ハ } .||
 `<ニi⌒ヽミー ∧:   . : : : .     i  : : : : .!   `´       ` ̄                 `ー 、乂 レ'
.     |    |=' !: . : : :      i  : : : : |


華菜「リーチせずにはいられないな!」

衣(有象無象と思っていれば調子に乗って!)

華菜「ツモ! リーチ一発メンタンピンの……裏無しで2000・4000!」


衣   24800
咲   89000
華菜  40100
憩  246100

東三局  ドラ:一索

衣(目障りな猫だ、鬱陶しい!)

衣「ロン! 二盃口清一色で16000!」

華菜「に゛ゃっ!!」


              ヘヘ      ヾヘヘ

            丶            ,: : :ヽ
            l :´ : : :::: : : : : : : : : : : :´: : : :  ヽ
          l X::: / ///卜从从从ィゞィ |ヘ ヽ::: ヽ
        ! ;;;;/ \ ヽ.||||乂   ヽ\:\ゞ:: ヽ
        !;;;; X:::  ヽ/||||レ   ヽ \: w :::ヽ
       レ \ ヽ. /イャzz,,||    ,,ィzzrゝ\::: y::: ヽ
       /::::,,/  ヽ/ ,,zzzィ゙ゝ |   ゞ゙ィzzz,,, |\::::\ヽ
   .   /::::,,/ ゙::: ィ r´ ィ==ァ       ィ==ァ `ャメ ::: :::ヽ
     . /::,,,/ ゙ ::::i b《 (乂_ノオ      kィ_乂) 》d i::: :: :::ヽ
     /::,,,,,バ ::: ヽ|| ネ _シ       ム_ ヌ   |ノ ::: :::  :::丶
    /:ィイリ l liハ :::: |||      .        | ::: :::  :: :::\
     イイ !  |l∥lゝ::::! ∪             ,ヌ ミ :レレト ソ ヘ k ゝ
    !|    i ` ^ゝ入\    ∠二ヽ     / シ レ  レ ヘ   |
      | |     ヽ ゞヘ.       ../  |       ||
 |   | |   |   ,,  」  ¬ |イ_   |  |  _||
 |   rヾゞ〃ヽー‐--ノ レ   ||ム \ャ-ー゙ヽ´〃イ ゙゙゙\
 |  ,/ ゞ 〃       | ー ヽ  イ ー |       〃イヾ    ゙\
 | イ √ `! 〃      |  ,,,_,,,   |      〃 ノ  ´\,,
 / /    ゝ〃      |゙ ̄ ´´⌒ ̄|    〃 /      \


衣   40800
咲   89000
華菜  24100
憩  246100


東四局  ドラ:七索

衣(まだだ、山河は血に染まりきっていない!)

憩(くっ、しもた。気ぃ抜いたらまた水に捕まってまいましたーぁ)トン


          ,. '"  ,,. -‐ ''___`‐- .,,   ;ヽ;';,''          '';'';,,  ,, ,,
        /   /-‐''¨. . . . . . . ̄ ,,   ;;  ヽ  ..:::.  .: :. . .   ''  ''";'"
        ,.'    . . : : : : : : : : : : :.l: :,;'' :;,;''.       :  :  :  . .:  .      ;,
      /  . : . : : : : : :/://: : :;,: :l: :;''      .''::. :  .: .  . :   .     ;'
      ,' . . : : : : : : : :./:/!{: : :/:|: :l: ;'       : :. :  . .  . .  :.    ;''
       l ̄ 7 ̄/ ̄ ̄/l/! ll--{::::!: l! j'',,        : : .:  : .  :.:  :. . .  ;
       !_ ../..-‐.:7:`''lッl/,,l_|ヽ: l:::l:./:/;,: ';..       : .: :  : :  :::  :.' :  ;'
      ', : l: : :.l!:ト、ヽ|,,===ミ、`、!.j///,' '';;     .'  :.;   ...:  ::   :::  : ';,
      '、:ト、: :l:、!:.〉 {{ l:::():::!l::::::::::::::'丿.イ'';..   :  ::   ''  '     : ;'
.       ``/>‐:`ヘ:',.``ー‐''     '" / '',,    :               :::;'
       / : :./:ゝ.、      '  __, /  '';,    :            . ;'
.     ,. ' ' . : : /: : : :;>. ._. ` ̄-‐ ´.'  ../;    :           . ;'
.    / . : : : /: : : : /: : : :/.>.--/ . .:/: : ',   :            ;;'
.   /  . : : : ./: : ,; -‐_‐_ v_/〉:.:/ . ,: :': : : / ';  :           ;'
../  . : : ; ':/l¨¨'´ ̄ ...../: :._/. : '': : : :; ''  / ;             ;'
´ . : : ; ' /: :l:!   ..::;  ''": : : : : :;, '}::}   /  ',            ;''\
. .: : ; ',/: : : 人,, ィ'.". : : : : : :, ''"  )::l   },ィ''"l ';          ;'\  \
: : ;'/: : : : ://: : : : : : : : /\ .   /:/. -==/::|, ┴ '''       ;; '' \:\  \


衣「ロン! 純チャン三色、8000だ!」


衣   48800
咲   89000
華菜  24100
憩  238100

南一局  ドラ:三筒

華菜「まだだし! 華菜ちゃんの麻雀はこんなとこで終わらないし!!」

咲「ひゃっ」ビクッ

華菜(凹むのは去年で十分やった! 土に塗れた私に失うものなんてないから!)


  /:.:.:.:.::\:::::::::/  ヽ:|       |;ノ     \:::::::::::::::::::.:
  /\:.::::.::::::\/                 ,..-‐、:.
 /  \..:::::::/  \_           ,..-‐'´     \:.:::::::::
. i ......:..:::\/ _、   \、      -‐'-  _,,::=--< ヾx:::::
..i:.:.:.:::::::::::::∧rf' `fー-、_`        _,,::f'`i:::::::::ヽ//、i:::::
.i.:.:.::::::::::::/::::i |!  |  i::::ヾ、       ´/ |\\:://   ハ::
i.:.:.::::::::::/::::::::i`   i-'::::::.::i`          i::::::>  <:}   / ヽ
|:.:.::::::::/::::::::::::i   i...::::o:ノ            ゙、 /:\\ '
|.:.:::::::/:::::::::::::: i   `ニ´         / ー=ー' \\
|.:.:::::/:::::::::::::::::::i ⊂ニ⊃   ,          ⊂ニ⊃ \
|.:::::/::::::::::::::::::::::゙、                     \



華菜「ロン! チャンタドラドラで8000!」

衣   48800
咲   89000
華菜  32100
憩  230100

南二局  ドラ:南

憩(ひゃ~、風越の猫っぽい子、いきなり叫んだ思たらテンパってましたかーぁ。

  天江衣を意識しすぎて無警戒やったわ。反省せななーぁ)

衣(去年蹂躙したうちの一匹だったはずだ。衣の最後の親番をよくも!)ダンッ

華菜「それロンだし! 去年の雪辱には足りないけど、少しは思い知ったか!?


       /. :/ : : : |    \ : : : : : : : : : : : .ヽ: : : : : : : : : : : : .\丶
      /. : :/.: : :∧l     \ / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ: : : : : : : : : : : : : .\丶
  , =≦_;_;_;_;l: : : :l       , ヘ ─────ヽ: : : : : : : : : : : : : : .\丶
  ヽ     l\:|/|      /∠、ヽ : : : : : : : : : .ヽ: : : : : : : : : : : : : : : .\
    \  l\リ     /,イ∧ \ ヽ: : : : : : : : : .ヽ/⌒丶 : : : : : : : : : .
     \ |\|     / 〃|し:|  |ト  ヽ : : : : : : : : ヽ⌒ヽ ヽ: : : : : : : : :
        |\|       ´ |: :」  |l    丶 : : : : : : : .ヽ     〉 : : : : : : :
        | /厂≧、     Ⅵ|   ′     ヽ.: : : : : : : .ヽ   /: : : : : : : : :
        |/.:ハ/ |ノト     ¨´           ヽ: : : : : : : .ヽノ : : : : .丶: : :
        │: :八 Ⅵ         ⊂ ⊃      ヽ : : : : : : .ヽ: : : : : : : .\
        | : : ∧ⅱ                     へ : : : : : : ヽ : : : .\ : .
        │ : : : ハ  ′    ,               ヽ: : : : : : .ヽ.: : : : .lヽ
        |: : : : l l  __rー‐'                 ヽ: : : : : : ヽ: : : :|
       l: : : : l  ',               ,          ヽ : : : : : ヽ\l
         l: : : :|  \            /           ヽ: : : : : .ヽ 厂
          l: : ::|    |丶、      ,∠ 、            ヽ : : : : /
          l : :|    |: :/ `ヽ  イ: : : : .\            ヽ: : /
           l: :|    |:/     │: : : : : : .ヽ              ヽ′


   W南ドラ3で満貫は8000!」


衣   40800
咲   89000
華菜  40100
憩  230100

南三局  ドラ:三萬


                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {         ニニ二三三二ニニ       /
          /  \     ニ二二三三三二二ニ    /  イ
            /\_ \ ___   ニニ二三三二ニニ   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄三三|:ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |
.        厶イ |  i  二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ=  | !
                 |  ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |


咲「カン」


華菜(キャプテン、みんな、コーチ! やってやったし!

   華菜ちゃん一矢報いてやった! ……でもまだまだ行ってやるし。

   ここから連荘しまくって一気に――)タンッ 


                   -=ニ二ニ          ニ二二二二二二二
                 二二二二  二二        二二ニ  ニ二二二

                     ニ二二二   ニ二  ニ二二ニ           ニ二二
                 ̄    ____       ̄ニ二二ニ  ニニ       二二
             ニ二ニ   ニ二二二二二ニ     二二ニ ニニ      二二
              ニ二         ┐  ̄ニ二二二二ニ=  ニ二 二ニ     二二
                    /::::/       ̄ニ二二二ニ  ニ   ニ    ニ二二
               /  /::::::::/...-―≠ニア{    ̄ニ二ニ  ニ二ニ     ニ二
                   /{ /::::::::::::::::::::::::::::::::-=<.. 二ニ  二ニ ニニニ ニ   ニ二
             二{::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\二ニ ニ二  二二二二  二ニニ
               二二〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒    ニ   ニ二二ニ  二ニニ=
               二/:/:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::\二ニ ニ   二二ニ   ニニ=
               /:::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒丶ニ __二二二二ニ   ニ=
           ⌒i::|:::|:::::|::|:::::::::|:::|::::::::|::::::::: |::::::|乂__ /: :.:|二二ニニ   =
ニ             ニ二|::|:::|:::l:|::|::::l:l::|:::|::::::l:|::::l:::: |:l::l:| ̄/: : : : |二二ニニ     ニ
二.            二|::|:::|:::l:|::l::::l:l::|:::l\从:::l:::: |:l::l:l/: : : : : :/二二ニ  二二二
ニニ            二|从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./二二二二二ニ 二ニ=-
 ニニ.          二二)イ::圦     ,     ∧/----: : :__:_/二二二二二ニ  二二ニ=
   二ニ= =ニ二 ニ=  二}//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ    二二ニニ
=ニ二二ニ  二二二 ___∠{: : : : : :| ̄ _」::: : : : :./    l|     | |__     二二二ニ
  ニニニ   ニニニ //   ∧: : : : :.ー―.:: : : :/} ___ }   リ リ    =ニ二二二ニニ
   二ニ=  =ニニニ ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \ニニニ=
=ニ二二ニ 二二 { {      ̄ハニ、:_:_,:.//ニニ/   |ニニニニニニニニニニニ二\   \ニニニ
二ニ  ニ二 二=/\   ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \二
ニニ   二二ニ/   / ̄ ̄ 二八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
ニニ  二  ´   /二ニ  =ニ二二}    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄    =ニ二二ニ==   \
ニニ:/   /  二ニ ニニニニ|     \三三三ニ=- __    -=ニ二二二ニ
二/    /二ニ= =二 二二ニ _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ
. /   =ニニ二二  二二二ニニ/ {廴___/´  / ̄ ‘,     ___ .... . -――-
/ /ニニニ二二二二____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/ニニニ:/ ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /::::::


咲「それカン。もいっこ、カン」

華菜「あっ」

咲「――嶺上ツモ。

                    /: : : : : : :/: : :/: : : : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
                      ̄ ̄ ̄¨ア : : : /: : ://: : /: : // : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
  ノ⌒ ー--‐ '⌒^ ー-     -‐…・・/ : : : /: : ://: : /: : /// : : : : , :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::}
f《: . :   . :/      . : . : . : . : ./ : : : ; : : /{/ヘ/: : /// : : : : / : : |: : :.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.}

V》       (      \. : . : . : . :/ : : : :j{: :.rf嶺峠い/イ: : : : : :/: :イ:.i|: : :.:i.:::::::::::::::::::::::.:.:,
 ¨⌒ー '"~¨`ヽ \    \: . : . // : : :イリ.:.从 _)開ハ刈i |: : : :/ |i: :|: ||: : :.:|.::::ノ⌒ヽ:.:.:.:.:′ ,,ル'⌒

          ^\  : .   // : ィ仁|i.:/  Vし℃仆|i | : : :  |i: :|: r冖れノ^  ノ⌒廴__ノ^⌒¨´
.               丶  : .  j/{ニニ|iイ    'ー '゙  八| : : |ー─-fソ:. :.  辷?い: :.:.:. ′
                \ : . : ; {ニ二い   :.:.:  ::::::::::八: : |j埖fソ^;. :. :.fら ). : :.:.:.:/
.                   \ : .l {ニニ八       , ::::::ヽ| ヒ^爻_廴 ノノ^. . : :.:./ニニ},
                    ヽ| {ニニニニニ:、   、         ー'⌒)ソ)メ . . : :.:.:/ニニニ}}
                    | k二ニニニ/\     ー    :.:.:   才イ. : /}/ニニニニ}}
                    | |ik.ニニニ{〉  \__        イニニノ/ニニニニニニニ圦
                    | |ikikニニ{入____    ̄¨アニたニニニニニニニニニニニニニハニニ\
                  /|人kikik.ニ{    >-=ニニニニニニニニニニニニニニ=-  ∧ニニニ〉

                    《    :. トミメ{   -=ニニニニニニニニニ=-     . : . / :〉 ̄
                      j}   :.   ≫→ァニニニニニ=-ァア       . : . : . : ., :/:∧⌒L_
                  リ}     :. /ikikikヽ\ikikikikikik/      . : . : . : . : . : . : . : . : /〉

  清一色トイトイ三槓子ドラ3嶺上開花。32000です」

  1m1m1m1m 3m3m 4m4m4m4m 7m7m 9m9m9m9m  嶺上ツモ:3m
 
衣   40800
咲  121000
華菜   8100
憩  230100

南四局  ドラ:七萬

「ついにオーラス突入です。親はトップの荒川選手ですので、優勝は確定しています。

 既に高校麻雀連盟長野支部は推薦枠候補予選会として申請を検討しているとのこと。

 2位は清澄高校、宮永選手。3位は龍門渕高校、天江選手。

 この二者の点差は80200点。天江選手が宮永選手に役満を直撃させても順位は変動しません。

 既にゲームセットと言ってよい状況ですが……どうでしょうか藤田プロ」


「いくら衣が怪物でも、やはり一人では戦えないということだ。

 荒川憩は聴牌せずに流せばそれでいい。もっともそれで済ますかは別の話だ。

 とはいえそういう話は後にしよう。せめて、オーラスくらいは静かに見守ろうじゃないか」


衣(衣は何か悪いことしたのか……?

  清澄がまさか役満とは。衣でもカンでの和了までは防げない。

  いくら大物手が来ても、負ける……?)ウルッ

  1m1m1m 9m9m9m 1p1p1p 9p9p9p 1s

咲(後は放銃せずに、安くても和了ればいいかな?)ホッ

華菜(う、うぅ……グスッ ま、まだだし……! 華菜ちゃんは諦めが悪いから……!

   1000点ずつでも点棒を流局で86局集めてから、役満!

   ツモなら78局、清澄に直撃できれば54局で済む。やってやるし!)ゴッ


 衣が負けを認められず、咲が安堵し、華菜が悲愴で錯乱した決意を固めた瞬間。

 卓上に突如、いやあるいは最初からだったのか。

 強烈な怖気を誘う気配が立ち上った。


憩「楽しい……対局やったねーぇ? リーチ」


                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                      /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
                . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
                    /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.
                 ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
              |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
              |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

              |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
              |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
             /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
             /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >
           /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
        -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____
               /      \  /ー一ヘ   /     ハ



 にっこりと、荒川憩が温かな笑みを浮かべていた。

     ;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::、::::::、::::::::::::::::::::::ヽ
    ´,::::::::::::::::::::;/; ':::::::::::::::; '!::! ヾ、:::ヽ::::::::::::::::::::::ミ、
   -=::::::::::::::::/; '::::::::::; '/〃 リ   ヾ、::ヽ:::::::::::::::: =-
    './  ̄ :::::∧:::::::; '〃 '  ,    ヾ:::;-‐'' ̄ ヽ
   //   i ::,;、:\/〃    U    ヾ:i.  |   丶 .゛
   /     !.  ;:\' '       u   ,';i.   |     ', ゛.
  ,' /     i  ;::::/___  ,  、 __ =/.   |     ', ゛
  /     .! i:∧    ̄ ̄ ̄    /.    |  , - = ミ!
  / __  | !i. ',             /      |//  ヽ
 /イ _  ヽ..! .i!.  ',         /     |イ     ',
./,イ  ̄   ̄iヽ.i !.  ',          /      ヽ.!     ',
 / !     !I-'     ',        /     / イ
./  !    i !        ',     /  , -―'./)i
   ヽ    ',!ヾ       ',   /   ノ / ̄ Y i
    ヽ   i  ` ミ   ',.  / / /    .!/
‐- 、  ヽ   !    ` ミ ',.// ´      iI

 ぽたりと、どこからか水の落ちる音。

 我知らず噴き出していた冷や汗が、華菜の顎から落ちた音だった。

 いやに大きく響いたような音だがそれを気にするものは無く。

 ただ3人は荒川憩から目を離せない。


  /           ∠  -───-ヽ \
  /     /     ´              ヽ
. /      /      /          \  \   、
/      /      /   /     l     \ヽ、\  ハ
     .′   | /  / ,イ   |   }  } ハ  ヽ  !
     l     | {  ハ/ |   ,!   ノ Xハl | l } |
      ′    { 「¨丁≧ト、/|   イ小 } | } イ ′
    /       `ト ァ=テ≠ミ、7}  .;ィ≦ア// /レ }/
    /      /《  ん.:cl  // !:cjレイ / /
   ,/       ∨    ヒ'tツ    ┴'イ/ィ′
   ハ      l   : :::::: :    ' :::::八 |
  〃イ      ; ト 、 u    __ _  イ   !
  l| |     l |  丶、  ´    <「|  |
\|| |     | |>  、 7lー≦}|-─‐'、  |
  || |     | |__/`Yヽ、 }}」- ─┐∧
  || |     | l─ >r─r≦─── | ヽ'.
  || |     | |  -‐}  j二ヽ、    /   ハ 、
  || |     l∧/ _ノハーf ̄   \ イ   l: | \


 衣は驚愕に目を見開き、咲は吐き気をこらえて口を押える。


憩「7回分。みなさんの和了がウチの糧になりましたからーぁ」


 憩が山に手を伸ばす。他家が和了る度に、力を増す。

 他者の幸福を糧とし、自らをたすく。それが笑顔の悪魔、荒川憩。


憩「ツモ。リーチ一発ツモ、ドラドラドラドラ……裏3枚で倍満、8000オール。

  アガリ止めしますよーぅ♪」


衣   32800
咲  113000
華菜    100
憩  254100

「け、決着ゥー! オーラスは荒川選手の倍満ツモで大差の幕切れ!

 1位、優勝はチーム須賀で254100点です。

 荒川憩選手は前半は-1200点、後半は-2000点の合計-3200点。

 2位は清澄高校、113000点です。

 宮永咲選手は前半は+5400点、後半は+12000点の合計+17400点。

 3位は龍門渕高校、32800点です。

 天江衣選手は前半は+13100点、後半は-10000点の合計+3100点。

 4位は風越女子高校、100点です。

 池田華菜選手は前半は-17300点、後半はプラスマイナス0点の合計-17300点。

 解説の藤田プロ、まずは大将戦の所感をお願いします」


「そうだな……荒川は終始攻め切らせなかった、というところだ。

 全員から狙われていながら放銃回数を抑え、自身も和了して失点を最小限にした。

 リードを守る大将としては理想的な運びだったとも言える。

 後半オーラスの倍満がなければ少し大きく失点したことになったが……

 確信を持って和了に至ったようだし、さすがは個人2位だ。


 次は衣。元々打点が高いだけあって満貫未満の和了は無かった。

 とはいえ他校の点数を気にしながらというハードルが厳しすぎたな。

 直撃狙いはそうそう上手くいかず、得意なツモ和了も制限された。

 結果調子を掴み切れずに倍満放銃などで万事休す。

 惜しむらくはチーム力が及んでいれば……いや、無粋だな」

「そして宮永咲だが……やはり攻めきれなかったな。

 途中で風越に3900の差し込みをしているが、

 結果を見てみればその分以上の点数を回収しているから正解だったんだろう。

 カンからの責任払いなどの飛び道具を上手く使って警戒をすり抜ける、なかなかトリッキーな打ち方だった。

 点数が平らな平場での勝負ならどうなったか分からなかっただけに惜しい。


 最後は池田。去年を考えれば、十分頑張ったんじゃないか?

 後半には意地を見せて満貫を3回と役満も和了っている。しかも満貫は衣と荒川の両方から直取りすらした。

 チームとしては残念な結果だが、個人としては手応えの残る対局だったろう。まだ2年生だし、翌年の飛躍を期待したい」


「ありがとうございました。続いて決勝戦全体を通しての所感をお願いします」


「あー、まあ、言うまでもないが……須賀チームがツキすぎていた。

 実力は十二分だったろうが、さすがに役満和了が何度もあったのは豪運。

 それがなくとも20万点を超えるのだからチーム全体の実力で上回っていたのだろう。

 さらに戦略もドンピシャだった。先鋒が稼いで次鋒で突き放し、中堅でトドメ。

 はっきり言って中堅戦の時点で優勝は決まってしまっていた。

 断言してもいいが、優勝は十中八九このチームになるだろう」


「え、それはインハイの優勝が、ということですか?」


「そうだ。他校によほどの逸材が居なければだがな。

 全国でどこまでの快進撃を見せてくれるか、長野のプロとして楽しみにさせてもらう」

「須賀チームだけでは時間が余るか。

 では次は清澄。清澄は先鋒での点差が最後まで響いてしまったな。

 中堅こそわずかなマイナスだが、他はプラス収支。

 清澄以上に須賀が稼いだが、先鋒の差がもっと小さければ競っていたかもしれない。

 特に次鋒の染谷と副将の原村は気を吐いていた。

 上手さだけでなく強さも見せる闘牌で実によい雀士だと知らせてくれた。

 大将の宮永も実力十分。中堅は狙い撃たれてしまったが……。長野以外であれば予選会優勝は十分可能な戦力。

 私からも推薦署名をしておくことにするよ。ここで消えるのはもったいない。


 さて、龍門渕だな。

 今回の龍門渕は完全に運に見放されていたよ。

 先鋒から役満に泣かされてしまった。次鋒で放銃がなくとも10万点は遠い。

 稼いだ分が丸々他校の役満で持って行かれたような感じだな。

 和了回数自体は別に少なくない。打点だって低いわけではなかった。

 それでこの結果なのだから、須賀と清澄が上手だったのだろう。

 去年は準決勝止まりだった長野だが……それを上回る結果が期待できる。


 最後は風越。

 ここは実力不足だったな。先鋒は役満を和了りまくる他家がいたから

 収支がマイナスなのは仕方ない。放銃もなかった。

 だが他は完全に他校に力負けだ。副将は悪くないように見えたが、

 あれは霜崎が遊んでいたおかげだ。何度か不自然な切り出しがあった。

 大将は頑張っていたし相手が魔物だらけだというのは考慮してやりたいが……

 結局全国で戦うならそう言った怪物を相手にする可能性は低くない。

 酷なようだが運の良い悪いに留まらない差を見せつけられてしまったな。

 風越が名門であるためには個人戦の結果が重要になってくるかもな」


「ありがとうございました。

 これにて全国高校生麻雀大会長野予選が終了となりました。

 全国出場の切符は在野のチーム、須賀チームが獲得いたしました。

 長野代表の健闘を祈って、中継を終了いたします。ご覧いただきありがとうございました。

 実況は三科健太、解説は藤田靖子プロでお送りしました」

対局室

「今回はウチの勝ちでしたねーぇ」


 憩が衣に向けて告げる。自分の勝ちだと。

 しかし衣はそれを認められない。収支で言えば憩はマイナス。衣はプラスなのだから。

 チームメイトがもっと喰らいつけていれば分からなかった、という幻想が負けと認めることを邪魔する。

 しかしそれを口に出してしまえば負け犬の遠吠えであることを理解できないような子供ではない。

 しかし吐き出せないからこそ、自身の孤独感はいや増していく。

 自分と肩を並べられるものはいないと。

 敵としてであれば、目の前の荒川憩と、この2半荘で自身に収支で勝る宮永咲がいる。

 しかし、衣は対等な味方が欲しいのだ。

 家族を失い閉じ込められた経験は、衣の心を海底の檻に縛り付ける。

 暗く重苦しい空気に耐えかねたのか、華菜が弾けるように立ち上がった。


「にゃ~負けたし! でも今年は直撃取ってやったからな! 役満だってツモった!

 来年は勝つし。池田華菜を覚えておけよ、天江衣!」


 ビシっと指を付きつけ、フシャーと猫が威嚇するような雰囲気から一転して駆け出し、対局室から出て行った。

 その目には薄らと光るものが散っていた。

 さらに重くなる空気。不機嫌な衣、挙動不審な咲、憐れむように笑む憩。


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「憩さん、お疲れ様です……ってすんごい空気重い。なにこれ」

 澱んだ空気を切り裂くように登場したのは須賀京太郎。

 そしてそのチームメイト達。優勝を祝い、憩を労うために駆け付けたのだ。


「きょーたろー」「京ちん」


 京太郎を呼ぶ声が被った衣と憩がそれまでとは違った意味で睨みあう。


「……おい咲、何があったんだ」

「へ、私!?」

「お前意外に誰がいるんだよ。中継はもう終わってるから対局室内は密室だぞ」

「えっと……かくかくしかじか」

「まるまるうまうまっと。 あー、俺達が暴れすぎたから結果と感覚の差がデカいってわけか」

「衣は負けてなぞいないぞキョータロー!」

「何言うてはるん? 負けて3位やないですかーぁ」

「わたしが風越を狩っていたら戦うことすらできなかったわ」

「それならやはり衣は負けていないではないか!」

「そういう状況になった時点で負けやいうことですーぅ」


「……来週個人戦だし、そこで決着つければいいじゃないですか」


「「「それだ!」」」


 混沌としていく状況の中、数絵がずどんとぶち込んだ一言。

 納得いかないなら個人戦で決着を。

 ここまでこじれているともうそれしかない。

 すっきりしたのか、衣は何度か頷くと身を翻して悠々と去っていく。


「ということでキョータローとも勝負だからな! 衣の強さを見せつけてやるぞ!」


            /                      \      \ ヽ
          /           /        i  ヽ   ヽ  ヘ    ヽ ゙:,
       /   /  /  / ,′    リ  ! _」⊥..,,_   ',     ゙:, ':,
       ,′  ,′ ,′ ,' i   i    ト、 i´ ii | ' `i   |     ::, ::,
.      ′  ,′ ''  i i i -‐ i   i \i -i |  ', i }│      ::, ::、
.       { i   !  |  /i i _j八   :、 \ ノ _」 ノノノ从       ::, ::、
.      { i   !   |   iハ{\|  \  ヽ   .ィ==ミッ  |       l  ::、
       i, i,  ', ', 、  ト、ヽ _..   `''ー-  '゙         |      |   、
       八  ヽ\\N  ッ==ミ         :.:::::::.: リ  '   |    、
.         \ト、\`ー 〃                /  '    |  \ \
               リハ :.:::::::.:        ノ    / /    |   \ \
                /  j      ー--‐ ''"     / /       人    \ \
.               / ノ八             //¨ ̄ ̄ ̄¨''く  \    丶 \
          /   /  `i‐-   ..__    / ̄ ̄ ー---      \  \     丶 \
          /  ' /    i   │   ̄仄                ヽ   \         \
.         /  /  ,     i   |   /: : :\                  ',   \         \
        /  /   '     _」  -‐''"⌒\ : :/\ \           |      ヽ       ヽ
.       /  /   ム -‐''(            ∨: 〇: 〉   ヽ             |      ヽ

 そんなこんなでひと悶着があったが、どうにか対局室は落ち着いた。

 それを見計らったかのように運営委員がマスコミを引き連れて入室してくる。

 手には優勝を示す盾。

 状況を察した憩さんに促され、俺達は横一列に整列する。

 ちなみに咲はいつの間にかやってきていた竹井先輩に回収され脇に除けられている。


「全国出場おめでとう。長野代表として健闘してくれることを願っている」


 高そうなスーツを着た偉そうなおっさんがそんな言葉と共に盾を渡してくる。

 憩さんはそれを当然といった風に気負う様子も無く受け取り、頭の上に掲げた。

 そんな憩さんを中心に、俺達をフラッシュの洪水が包む。

 本格的な授与式は個人戦とまとめて行われるためあくまで略式である。

 だからこそマスコミがここまで近くにいるのだが。

 ようやく優勝したのだという実感が少し湧いてきた。

 しかし、この後マスコミからのインタビューなどでどれだけ拘束されるのかと考えると憂鬱にもなってきた。

 とにかく次は個人戦だ。手を抜くなんてことはできないし、俺は全力で打つだけだ。





収支TOPでインハイ出場決定したため、
 1d100=82
以降初対面のキャラに好感度ボーナス。

先鋒戦で1位だったため、全てのステータスわずかに上がった

スキル強制和了発動かつそのときの打点が役満だったのでスキル成長。



【朽ちた鋼の太刀】
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 ドラが八索の場合、満貫以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

  ↓
【百鬼の太刀】
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。



須賀京太郎
属性 :O
技量 :B64
直感 :A78
必然力:B67



6月3週終了。

ということで今日はほんとに終わりですー
お騒がせして申し訳ない。ミス前の状態だとラストの憩ちゃんの親倍ツモで池田が飛んでました
衣の点数ももうちょっと高く、+1万点くらいだったのですが……華菜ちゃんマジぱねぇっす

お読みいただきありがとうございましたー

そういう仕様とはいえ4月辺りまでほぼド素人だったやつがインハイ予選段階ですでにプロレベル、それも並大抵のプロなら蹴散らせるレベルになってるってえぐいよな

そういえばスキルにたまに付いてる銀とか金とかはなんだろう
スキルレベルみたいなもの?

>>538
パワプロなどを参考にしているので、青得能や赤得能、金得能みたいな感じです
銀はユニーク、金はユニークもしくは青の上位スキル、虹はユニーク兼上位、黒は赤件ユニークスキルになります

>>529
ゾロ目が全部悪いんや……。でもテストプレイ名目だったので上昇率は本番用にエラッタしたデータが存在します
スキルなどもコツを得たスキルを合宿などで練習して初めて習得できる予定だったんです、青ランクのみですが

6月4週   個人戦県大会

 結局マスコミインタビューは大半を憩さんと絃さんが捌いてくれた。

 複数人への質問の場合は二人が仕切り、個別質問でもアイコンタクトなどで失言をしないよう制してくれたり。

 おかげで色々失礼な質問もされたが言質は取られなかったように思う。

 とはいえ火のないところに煙を立てるのがマスコミだ。

 俺のことをハーレムの主だとか清澄退部は女遊びが原因だとか、それはもう色々書かれた。

 たかが長野という一地方県のマスコミだけでこれなのだ、

 もし全国で活躍したらどうなるか……今から少し気後れしてしまいそうだ。

 結局団体戦当日は試合疲れに気疲れも重なって早々に帰宅。優勝記念パーティは後日と相成った。



 桃子や憩さんに寝こみを襲われたりはしたが平穏に時は流れ、週末。

 6月4週の土日が個人戦だ。土曜に東風戦での予選、

 日曜は予選突破したもので半荘戦を、共に朝9時から夜の19時までぶっ続けで行う。

 ちなみに3万点返し2万5千点スタートでウマ無しオカ有りだ。

 とにかく稼いで1位を取った回数が多いほど成績が良くなる仕組み。


 まあ、実は今日は日曜で俺達は皆予選を突破済みなのだが。

 土曜の東風戦は優希が大暴れで、+450で記録を作っていた。

 そのことで東風の神やらと騒がれているらしい。

 やけに自信満々な優希だったが、日曜の本選が半荘だってことを忘れてないだろうな……?

 そんな心配もしつつ、俺は会場入りした。




個人戦は京太郎が5半荘を打ち、その結果で順位や全国出場者を決定します

1試合目  京太郎(北)・星夏(東)・佳織(南)・もこ(西)

東一局  ドラ:四索

「よろしくお願いします」「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」「よ ろ  し く」


星夏(予選は突破できたけど、よりによって本選1回目に須賀京太郎と対木もこが相手だなんて)

佳織(頑張るよ!)

京太郎「ツモ! 三色純チャンで満貫、2000・4000!」


星夏  21000
佳織  23000
もこ  23000
京太郎 33000


東二局  ドラ:七索

京太郎(っし、幸先よく満ツモだ)

星夏(早い上に高い……。キャプテンが止められなかった人を私がどうにかできるか?)

もこ(さ すが  しかし   浮つ いてる――)

もこ「ロン  タンヤオ 平和 二盃口 ドラ  12000」


星夏  21000
佳織  23000
もこ  35000
京太郎 21000


東三局  ドラ:六索

京太郎(うわ、マジか。全然読めなかったぞ。

    だからって立ち止まったら一瞬で狩られる――)

京太郎「ツモ! タンヤオチートイで800・1600!」


星夏  20200
佳織  22200
もこ  33400
京太郎 24200


東四局  ドラ:北

星夏(跳直後でも止まらないか。私も攻めてみようかな)タンッ

もこ「ロン  タンヤオ 平和  2000」


星夏  18200
佳織  22200
もこ  35400
京太郎 24200

南一局  ドラ:九萬

星夏(チッ、狙われてた。……また狙ってる? でも安牌はどれか読めない)トン

もこ「ロン  南チャンタ  5200」


星夏  13000
佳織  22200
もこ  40600
京太郎 24200


南二局  ドラ:發

 薄らと嗤うもこ。三連続で出和了りに成功すればそうもなろうものか。

 団体戦では憩にしてやられたが、憩や天江衣でなければどうとでもなる。

 自身の力への傲慢なまでの信頼。

 そんなもこを見て、京太郎が発奮しないわけがなかった。


京太郎「ロン! 舐めてもらっちゃ困るぜ。

    清一色ドラ2で倍満、16000!」

星夏  13000
佳織  22200
もこ  24600
京太郎 40200


南三局  ドラ:

もこ( そうで な くて  はライバ ルに  相応し く  ない 

   本気  で  や  る  !)


            _     _
          : :´: : : : : : : : : :`丶、

.       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
.      / > 、 : : : : /: : : : : : : : : : : : :\
     人    >、/: : : : : :|: : : :|: : : ヽ: : :

     ': : : :> 、  l. r―-、 |: : : :|: : : : :l: : :i
    ’|: :: : : :|_ム≧|ト|   _`ト-r'´ ̄ ̄ }: : |
.    |/: :|: :: :l|/_」-_ | |   イ__K⌒ヽ /:l : |
.    ||∨| : : | 心 ヽ` L.. ィ´|: ::ト 、  /: : |: |
    | ∨|: : 代_ ノ   7 リ: :ハ `マ //l: |

      ’|\ト :::::::    l   レ' ∧  ∨l/ |/
.        ∨ハ      |   |  ∧  ∨
        ∨ゝ 、   |  ∧ /ィト 、 \
          〉ト` ト |  ┴く     ̄
          マ<L⊥、レイ √フ

       -‐ r‐┴ヽ、「 ∨7/∠、ニ ‐- 、
.    /     |    `l¬´-   |    \
   /       {    - ト┴- 、   }     ∧



もこ「ツモ   リーチ 一発 ツ モ  純チャン  6000オール」

星夏   7000
佳織  16200
もこ  42600
京太郎 34200

南三局一本場  ドラ:五筒

京太郎(これが、憩さんの言ってた対木さんの力か!)トン

佳織(ふたつずつ……ふたつずつ……あっ)

佳織「それ、ロン? です。えっと」

京太郎「対子七揃いで七対子……あとドラ2個なんで6400、1本場で6700っすね」

星夏   7000
佳織  22900
もこ  42600
京太郎 27500


南四局  ドラ:八萬

京太郎(まっずい……。妹尾さんの和了は完全に虚を衝かれた。

    2位転落の上に配給原点も割った。このまま終われるか、親なんだ、稼げ!)

佳織(やったよ智美ちゃん! えへへ)トン

京太郎「ロン! 純チャンドラで11600! 当然続行だ!」


星夏   7000
佳織  11300
もこ  42600
京太郎 39100


南四局一本場  ドラ:七筒

 トップと2位の差は3500点。しかしこのまま終了すればポイント差は24にもなる。

 このままでは終われない。京太郎の諦めの悪さに牌が応える。

 もこも、その異様な雰囲気を察知した。冷や汗が背を伝う。

 しかし止めようがない。焦りは牌の乱れにつながり、一飜手すらできあがらない。


京太郎「ツモ。一気通貫一盃口平和混一色ツモドラ2で倍満、1本場は8100オール」


星夏  -1100     (-31)
佳織   3200     (-27)
もこ   34500     (+5)
京太郎 63400+2万 (+53)

あ、ホンイツとは複合しない
平和ぬいて赤1ってことで脳内変換おなしゃす!

2試合目  京太郎(南)・桃子(北)・優希(西)・華菜(東)

東一局  ドラ:五索

 |       | ∨: : : :::|: : ::|: ://ィ´|/゙│: :/ }: : :: : }: : : : : : :: : : : : ',.
 {       |  ヽ::',: : !: :: :!/イ;=ヾ  !Ⅴ │: :: :/|: : :/: : : : : : : : ::', x ⌒ヽ、

 ∨      !  /:::::',: : ::.| ! ん::::::リ     |: : ィ´゙|: :/.|: ::|: : : : : : :::|: :トー 、_゙¨`'.,
.  ∨     .!  |:::::::ト\ { { 弋_.少     j/イ=∨./} /::.ノ::./: : : :}:人     ゙',: .}
   ∨     |  「¨丶\.\!:::::::::::       ん:::::リ |///::./}: : : :ノ: : :.',    ソ
   .∨    .!  |!  }::::::::>`=‐' rv 、   .辷.゙ソノ /: :: :.(丿 ィi゙: :::}',::}
    ∨   |  リ .j\::::::::::\  |   \ .::::::::::.  /).: : : : :\.ノ|:: : :|}::|
     .∨   |  .{ / ヽ\.ー─'. !    .y' :::::::  //: : : : : :/: :}: : ノ|/
      ∨  !  ./ i i!\\ヽ、 ヽ ,./    , イ:: : : : : : : : : : :!// .j
      ∨    /  .| 巛ヘ:::: ̄>= -‐ , ' "´. : : : : : : : ::/ヽ,: ::|‐'゙
     /.∨  ./  .| .}三=ヾ:::ヽ._,.、 /ミヘイ`゙イレイ|/  ヽ:j

    //  !  /     \三=\::!ィ^つ ¨` 、_   .′
    //   {  /       \三=.\儿 |::::::::::::::::::゙`丶、
   .//    ヘ/         .ゝ三三} |::::::::::::::::::::::::/ヽ、
  //     ノ            ヽ三| ./:::::::::::::::::://   .>.、
 .//     {              ∨丿∠三三三/   ./   ヽ、
../__二二二二ヽ             {二..}´ ̄ ̄ ̄´ |  /      `ヽ、
         ∧            .ハ        }/         \

「ここで会ったが百年目だじぇ、京太郎!」

「優希に、モモか。また楽にはいきそうにない卓だな」

      ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,i::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
      .′ i::::::::::::::::::::::::::::::: / |:::::::i::::::::::::::::::::::::::
    .′:i:| :::::: i :::::::::::::::::: | |:::::::l::: i::::::::::::::::::::i
    i ::: l:| :::::: | ::: i:::::::::::: | ⊥::_:j_:::|::::::::::::::::::::l
    |::::::l:| ::::: iL:i-ト、 ::: i: | |/}イl::/ト、:::::::::::::::::l
    |:::::从'千.|l/|/ ヽ:::|`| ィr=|lミx|ィ ::::::::::::::: |
    |:::::::: Y .x|l示ミ  `|.   ら|lハ`!!::::::::::::::::: |
    |::::::: Λ《.|l:r刈      ゞ:|l-゚ .| :::: i:::::::::::|
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    |: :::|:::::::::八    r ァ  |l イ::::: l:l:|:::i:::::::|
    |i :::|::::::/::::::>        . |l:::::::::::川:::':::::::′
    |l :::|::::::i::/:::::::r-〕_ー ´ _.リ、:::: /:::::/ ::::/
    |l :::|::::::|:::::::_/i   ≧≦ / }::://<:::::/
    |ト、|、:: |⌒/::::::| /i:i:i:i:入 /イ/::i:::::)イ ̄  、

   .r 1 :: |::ヽ|:::/ ::::: |'´  .}ー:{.  `7::::::::|::/:::::::::::::::::/:ヽ
   .|::::l ::::::::::::: L__/|  /i:i:i:|.  /:、__|:::::::::::::::::::/::::::::、
   .|:::::l::::::;:::::::::/:::: l ./:l:l:l:l:| /::::::\:::::::::::::::::::::i:::::::::::::\

「そう簡単には負けないっすよ、京ちゃん」


                  ,..:::-----:.. 、
                /::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
              /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
             /::::::/:::::::::::::::::\:::::::::::\::::::::::ヽ

             /::::/::::::/::/{\ヽ\:::::::::::\::::::::ヽ
            /:::/\/ /    ヾヽ \:::::::::::ヽ:::::::',
            /:::/:::::/ /        _.\:::::::::',:::::::l
           /::/\/ _\    /´_ ヽ::::::l::::::::l
           /::/:::/Y´し牟ト、   イ´侔`ヾ'::::::l::::::::l  
          /::/::/ { ヒ{::爿    .ヒ{:::爿 / }:::::l:::::::::l

         ./:::/:/::ヽ', `ー´  ,   `ー´ /ヽ:::l::::::::::l
         /::/'l:/::::::::ハ      _     /ノ:::l::l::::小ヾ
        /"  {小::::{:::l丶、  ` ー´  .∠小::::l::|:リ
             ヽ小l::::::r `i> 、 _. ィ´{ミヽリリ州/
          z ''"´ ̄ ̄ {´|     ! 7 `丶、

        /´¨\       ヽ      /     ` 丶、 _
       /    \/´ ̄_ ̄_丶、__ _ /       / ヽ
    ,, "    , '"´  _ `丶、 `ー-´ /      / ./  ヽ
 /"    ,, ''"     \`丶、`ヽ、  ./     /  ./    ',
{ ̄ '7ヽ/       \\\ `ー-` /  ,,≠"´= /     ヽ、


「勘弁してほしいし……。でもうちの後輩をイジメてくれた分はやり返してやる」




優希(むー、起家引けなかったじぇ)トン

京太郎「ロンだぜ優希。タンヤオ平和一盃口ドラドラで満貫、8000!」


華菜  25000
京太郎 33000
優希  17000
桃子  25000

東二局  ドラ:五萬

華菜(うへ、いきなり満貫とか怖すぎだし。

   でも華菜ちゃんだって今回は聴牌だ、上級生を舐めたら痛い目みるぞ!)

桃子(うーん、京ちゃんを敵に回すととんでもないっすね。

   聴牌はできたっすけど、なんかやばい気配っすよ……)

優希(完全に読まれてるのか……? う~、私は牌譜研究とか苦手なんだじぇ。

   そもそも京太郎の牌譜とか見てもいなかったし、部長も用意してなかったじょ)トン

京太郎「クックック、ロンだ! 清一色のみで跳満、18000!」

優希「じぇじぇっ!?」


         _/r了  /  /         ヾト、__
      '´  {__7 {   r¬ァri r‐i r‐!r-―-―‐' Ⅵ `ヽ
    〃/   ` 7  i └ァ/}7! ¬└介ー‐¬‐- 、i `ヾ.ヽ
..    / ′ ;  i  | ,仏厶イv'/ } }^iト、 }    '. ヽ Ⅵ
.    ′;   i l 人 T´{」Ljく レ' ノノ _}L Ⅵレ!  i }  '. '.
    { /{   |ハ.!   ト、Ⅳ≠ヾ、    ,ィ≠ヾく }! ル':  i ′
     ′ヽ. { 从    i((o:.:c))   ((o:.:.c))ルハ| /レ′
        `Ⅵ i   |⊆= '"    ` =⊇ {   | レ'
          N、  从 ' '  v‐―‐‐- 、 ' ' 人iハ{
            `ヾトN>x(__ . -―- 、_)..イ ノ}ノ
                  _ノ  ̄ 下、r、_
              ,イア´ ‐-  -‐ }  ト、



華菜  25000     (-5)
京太郎 51000+2万 (+41)  (53+41=94)
優希  -1000     (-31)
桃子  25000     (-5)

3試合目  京太郎(西)・久(南)・ゆみ(東)・透華(北)

{   `                                         /,ヽ
ヽ    \                                   _, -‐ ´ ∟_
  \     ヽ                              / \ /λ ヾ 、
   \     へ                          /  |iミ V.彡} l   } ヽ
       、     ー 、                     j   |l  ノ  j| |   ゝ 〉
        >、      ` ヽィュ_                    |i   ハ ゝ,  {| ヘ   \i
        /    \       \``ゝ,                }.   / ヾ、ヽ ヽゝ `,   ヽ
      /  |    , -‐       ` ヽ \           ノ. ∠`へ, '  ノ x弋 ヾミ 、 \
    〈  ',. |    }  }        \ }´`ゝ~ ュ _ . 〃  i'〈弋::リ`   ´{テ:::} 〉ヽハ   ,
    ヽ  }. |   ´  / ,,_       ゝ,,._      \ゝ 从 ,,    ,   ` ,,, / 从  /
     ′. ヽ ヘ.__, -‐ ト _ >、        ̄ ` ヽ   .\ ', ヘ  ャー― ,   . /ヘ ゙,ソ /j ゝ
      ゝ  ー,,ュ, -‐ ´ ー´,,   ` ー-  ,      }  ヘ   ` ヾ , ヽ  ノ , ´{| ゝ /ノ\ `ゝ、
        ̄            ゝー‐< ,,  _`` ‐- ´   }     ヽ ー < | f メ ⅳ \  \  `\
                       , -‐  `>ー- ェ   〉     \ /V ,ヘー- ュ  ゝ   ゝ、  ` ,,
                      /   /´´      \  \    .`  ひ二つ ∧   `ヽ  } ー 、  \
                  , -‐ ´    /  '      / ヘ            〉 \  |  、  ノ  ヘ  ヽ   }
                /       ノ ノ         〉、       /   i  \ ',  {   〉  \  \

透華「須賀京太郎! 団体戦では負けましたが、個人戦ではそうはいきませんわよ!

   勝って目立つのは私ですわ!」
                      __

                 . . : . : . : . : . : . : . : . .
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           {: . :,': . : . : ./  {/{i  ヽ:.ヘ ∨: . : . }:.:}
           : . : . : . :./     ヾ  ``ヽ∨: . : . :.
           : . : . :.∠,,_         _ ,: . : . :,

           ,: . : / _ ``     ‐ '"´_``}V: . :.,
            .: ..,'!{ ら心、      ,ィf升} }、! }: . :,
            V: ..,  乂ノ     ´ゝュノ   ノノ: ../
            ヽ: .,              /´:/
              >、     '      ノ="- ,_

         > '":;:;:;/. :}>   - -'   ィ.,:;{. : . ヽ:;:;:;:;}}ヽ
      >__´ヾ、:;:;:;:;:;:;:{. : .ヘ:;:ヘ`  __  イ   !:;:;ヘ. : . : ヽ:;:}}:;:}
    /´ /ヽ:;ヾ、:;:;:;:;ヘ. : . ヘ:;',      , ィi!:;:;:;:ヽ. : . : .\∧
   イ  /   \:;ヾ、:;:;:;ヽ. : .}:ヘ ̄ヽ  /  !:;:;:;:;:;:;: ̄`ヽ.:ヘ

久「優希をずいぶん可愛がってくれたらしいわね、須賀君。ここは先輩としてきちんとお礼をさせてもらおうかしら」

ゆみ「やあ、準決勝では世話になった。今回はリベンジとさせてもらう」

           .   ̄ ヽ `丶、
         /   / \  /`ヽ
        / / / /   , 、V,、   ',
        l  /   ム..Vム    ′
       | _j/  //     '、   '、
       |`フ  /‐-、   , -‐\  \
    -=彡_,.イァ圻ミ、   ァ圻ミ j〕lト __ーァ

     / ,小}从  ー′     ー' 〃从
.    /   l 丶.ヾ     '    //ハ
   / /  l  { \   っ  .イ イ  \
    イ  ハ, ‘くヽ> ._. ィ〔   |  lト、
   从 {,x个ー=ミ:、⌒7マ'く⌒'ト l,_ ハ

    ,x:\(  、〕、\ ∧ \l\  ∨ノ
.   〈_   =- 」_\ \ } | /   l〈

 それぞれが京太郎に思うところのある三人が相手である。

 かといってすんなり負けてやるわけにもいかない。


東一局  ドラ:中

ゆみ(後手に回ってもジリ貧……先に仕掛けさせてもらう)

ゆみ「リーチ」

京太郎「リーチ」

ゆみ(追っかけか。めくり合い勝負……)

透華(ぐぬぬ、上手く牌が重なりませんわね)トン

京太郎「ロン。リーチ一発チートイで6400です」


ゆみ  24000
久  25000
京太郎 32400
透華  18600

東二局  ドラ:七索

透華(きぃ~~っ! やってくれましたわね……!)

久(先制で4飜か。さすがね京太郎君)

ゆみ(そろそろ海底だが……また須賀君はギリギリまで攻めるのか?)

京太郎「ロン。東河底撈魚で2600」


ゆみ  24000
久  22400
京太郎 36600
透華  17000


東三局  ドラ:六筒

京太郎(ん……? 配牌もイマイチだったがツモも良くない……。これは)


 京太郎が思わず久を見る。案の定、彼女は唇を吊り上げていた。

 そして山から手にした牌を指でなぞり、弾き上げる。


             / | ○
         / . |         _ へ)
                > "´==フ/7

          二 /    ノ  ' _' イ
           / ツ   /  / "       , -―- 、
                  /  / /     /      ヽ
               /  /      / /  ィ   ヽヽ
.               /  /  '    ,' /  / {イハ  ', i
               /   '  /      |i { ./、  _ -ヽ } .}
             イ    {ヾュ_..    |{ |イ泛   泛ゝ! | リ
            ヽlil  リ }i \_    '从        リ 〃
               トイ、// /‐=ミ、ノ=ヘ ` ´ ィ=イ
              ¨匚/ / /  r'´ / 人}`´ !マ、ヽヽ
             l|{,,,,〃| ̄`ヽ  { イ イ  }` -‐/{ハ  ハノ≧
            i |  '||i  !| ||ヽ |ヾ从ゝ | ̄ 7 V从{ /ヾ
                ||! ||lii '"川へ-、∧ ヽ l  /   ,ィ/ i  ハ
                ||| !|¦     '{ \ ≧∨ zイ /_} / ', \
 r-―、          ||i ii||    __.!   `¨匸r<   ¨}、 } |   ヽ
 ! _|    ―  / il| 川   /  ハ __//     リ \ }   ヽ
     l  ア.   /  〉|| i |i /  ,_イ / ̄¨¨´      /   L_-=-
     '            { 从火 |   ̄´ j           |  /⌒ヽヽ
.   /二二二二二二从人从二二二二二二二二二二二二{ i| | | イリノ
. /            /-/jイ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ-イ云ハ{¨´



久「ツモ! ――トイトイチャンタドラドラドラ……3000・6000よ」


ゆみ  21000
久  34400
京太郎 30600
透華  14000

東四局  ドラ:三萬

透華(――目立ち過ぎですわああああ~~!

   なんなんですのあのツモ! 点数も一気に減っていますし……!)

久(くふっ、ふふふふふ! 悪待ちしてこその竹井久ってね!)

ゆみ(決勝でもしていたが、逆に感心するくらいの酷さだな)

京太郎(竹井先輩……強い。俺も負けてられねー!)

京太郎「ツモ! 發混一色ドラ2で満貫、2000・4000!」


ゆみ  19000
久  32400
京太郎 38600
透華  10000


南一局  ドラ:五筒

「「「聴牌」」」

久「ノーテン」


ゆみ  20000
久  29400
京太郎 39600
透華  11000


南一局一本場  ドラ:七萬

久(チッ、欲張ってミスったわね。張れなきゃ悪待ちも何もないじゃない)

京太郎「ロン。チートイのみで1600です」

透華「はい……ですわ……!」


ゆみ  20000
久  29400
京太郎 41200
透華   9400

南二局  ドラ:五索

久(今回は綺麗に張れたわね……。京太郎君がかなりリードしてるし、攻めましょっか)

久「リーチ」

京太郎(先輩がリーチ……。でも俺の勘だとあれには当たりそうにないな)

京太郎「っと、ロンですよ竹井先輩。W南ドラで6400」


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          .″::::::::::::; ::::::::::::::::::::::::::::_::;::: ‐ ''"`ノ,:::;::::::゙,
.         |::::::::::::::/:::::::::──-ニ之_,    彡从i:::::::::i
       |:::::::::::::i :::::::::::;/,,_/'ー 、    、 " ノレ i :ト.

         |:::::::::::::l:::::::::;イ/テ=ミ;_      , -`ミー i:: |::}:l
       |::::::::::::::{::::::/ハ {:。:::::c'ヽ     ,=ミ;, /:: i ;l:|
.       |:::::i::::::::::i| /:::i、 ゙`ー-'       /。::c!} /:::://.||
.        |:::::|:::::::::゙l゙;l:::::::i  ' ' '      ` -'゙ '/::::// .i|'
.       i::::::|::::::::::从 ::::!         `  ' ' / :::;ツ  i!
.      ヽ::::{:::::::::i::::)人     ‐ -    /;:.イ  /

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    _ , - ' ~ナT爪く    ゙ -,r、<;:::y':::/

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    \. ./:イ::::::八   \  ∧\ |::::::::|
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       i:| .|:::::::::::::::::\  \ーヘ八::::::::::\

        ヾ  \::::::::::::::::::ヽ   \ヽ \:::::::::::ヽ


ゆみ  20000
久  22000
京太郎 48600
透華   9400

南三局  ドラ:三索

久(やってくれるわね……! でも情けない所は見せられない、見せたくないのよ――)

               _  ---                                               / /  ̄ ̄ ̄  、_
           . : :. :. :. :. \:. :. :. :. :. :. `                                    //   -----、 __)
         ,, :. :. :. :. :. :. :. :. :.\:. :. :. :. :. :. :.\                                /   /
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      |:. :|:. :. : : ____|へ/' /:/       /   ヽ :. :. :.                      /     }      \\ \ \
      |,,):|:. :. :.(__  /-/'---        ,ィf示㍉ |: :. :. :.                       /     {        / ー ' ー'
     :. |:. :. :. :. :. :i7,ィf斧芋ミ       r'し(  | :. :. :. :.                    /       ;         '
     V:. :. :. :. :. : |:《 fィ⌒(        乂 ソ  |:. :. :. :. :.                   ,        }      /
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      人:. :. :. :.\:. :. :. :. :.   < ::::::::::∨  /:. :. :./:. :./             /             /
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            '/  ―――― :)//\( ̄ ̄ V/ ハ:. :. :. :i//   ヽ '            '
         //    \ ____〕///\    V//i:. :. 从''〕,,  ''             /
          //|          __ Y// \_〕__ へ__>'"
.        /イ''|               ̄//////                 '
        i/i |                 //////                 /
        |/l |           //////
        |/l 人          |  /'//'///                 /
        |/|   、      |   i//i///i                 , ' \
        |/|   \        l//|///|                   /    \


久「ツモ! 純チャン三色ドラドラで跳満、3000・6000!」


ゆみ  17000
久  34000
京太郎 42600
透華   6400

南四局  ドラ:九索

ゆみ(まったく良い所なしじゃないか……。

   だが、オーラスで二向聴の好配牌。あまりツモはよくなかったが、ここは攻める)

ゆみ「リーチだ!」


 ゆみのリーチ。果敢に点棒を求め手を塞ぐリーチ。

 それを見た京太郎は思わず皮肉な笑みを浮かべた。


       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////


京太郎(そう、そうだよな。加治木さん……。俺だって同じ立場ならそうする。

    倍直か三倍ツモでないと逆転は無理。

    そして勝負を諦めていないなら、当然それを狙う。

    8飜や11飜を狙うならリーチからの裏ドラ期待ってところか。

    裏期待で早めに手を終えた。それでも大物を練るには時間がかかる。

    だから……追いつかれる。そして――)

京太郎「ロン。清一色一盃口ドラで16000です」


ゆみ       0     (-30)
久    34000     (+4)
京太郎 59600+2万 (+50)  (94+50=144)
透華    6400    (-24)

4試合目  京太郎(南)・和(東)・美穂子(西)・数絵(北)

「京太郎、調子がいいようだけど……負けないわよ」

「数絵か。それはこっちのセリフだ。南入前に飛ばしてやるよ!」


 自信を感じさせる笑みを浮かべた数絵と軽口の応酬を楽しむ。

 既に午後の3時を過ぎ、疲れがのしかかってくる頃合いである。

 こんな軽いやりとりでも随分と気が楽になるのはお互い様だろう。


「京太郎くん」


 お互い忍び笑いを漏らしていると、後ろから和が声をかけてきた。

 どうやら今回同卓らしい。手強い卓になる。


「和。こりゃ厳し――」


 厳しい卓になりそうだ、と言おうとしたのだがそれは叶わなかった。

 おもむろに近づいた和がすっと俺の手を取り、両の手で包むように握ったからだ。

 その行動の意図が読めず、俺は思わず固まった。

 なにせ握った手を胸元に引き寄せるのだから動揺はいや増す。

 だが、不思議と不埒な想いは湧いてこなかった。


     |   \ /ー/ ̄ ̄ ̄`¬: : : : : : : : : : :\

    r'   ー--イ  ト‐‐‐、   /: : /: : : : : : : : : \
    |     ,,,,ト-∧_     /:/: : : : : : : : : : : : : :\
    ト-┬‐‐'' / T\     「/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ゙、

     /     |  \    | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :゙、
    ∠__    /    ヾ-イ: : : :/: : : :/|: : :i : : : : : : : : : ゙、
    Y : \  / ___    |: |: : : :/: : :/ / : /: : :| : : : : : i: i:゙、
    /: : : : : Y:::|_」:::::\_」:| : //: :/ ソ;,; /: : : / : : | : : :| :|: |
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/: /: : : : : :/: :|: : :|: : : :|: :|            (  レ
: /: : : : : :/: : :|: : :| : : : | :|             >
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: : : : :./: : : :/::::゙; : : ゙; : : : : :.\: : :|     | |_
: : : : :|: : : /===〉: : ゙; : : : : : : \ |     |_√\_
: : : : :|: : /;;;;;;;;;;;;;| : : : ゙; : : : : : : : \   r「/ /.|´ ト、
: : : : :|: /     |: : : :゙; : : : : : : : : :゙,  | | し | .| |


 目の前の和が、不安げな幼子に見えたからかもしれない。

 寂しさと不安で今にも泣きだしてしまいそうな。


「大丈夫、和は強い」

「私は、強くなんて」


 抱き寄せて軽く背中を撫でてやりながら、和にかけた一言。

 しかし和は小さくそれを否定する。どうしてこんなに不安がっているのか。


「だったら俺のことを見てろ。火ィ点けてやるからさ、な?」


 少し体を離し、そう言って笑いかけてやる。するとようやく、僅かだが微笑んでくれた。


「あの、そろそろ時間ですから……始めましょう?」


 困ったように福路さんがそう告げた。

 そう、ここは戦いの場。でも好きな女を勇気づけるくらいは許されるはず、そうに違いない。

東一局  ドラ:二筒

「「「「よろしくお願いします」」」」



京太郎(……どうにか七対子を聴牌できたが、福路さんにはバレてるだろうな。

    俺は綺麗に理牌するほうだから切り出し位置で見抜かれてるはずだ。

    でも幸い俺の河にはヤオチュー牌が多いから、他の二人に対してはタンヤオ系だと誤魔化せてる……かも)

美穂子(これで私は聴牌……。須賀さんも、おそらくしてるでしょう。

    団体戦の牌譜やビデオを何度も見たけれど、驚くほど素直で真っ直ぐだったもの。

    だからこそ、分かっていても止められなかったのだけれど)

京太郎「リーチ」



数絵(京太郎がリーチ……。そろそろ流局が見えてくる場面、高めかしら。だったらこっちは避けてっと)トン

京太郎「ロン。リーチ七対子で3200だ」


和   25000
京太郎 28200
美穂子 25000
数絵  21800

東二局  ドラ:七筒

京太郎(ちょっと強引なリーチだったな。今回は聴牌はおろか三向聴にすら届かないかも)

美穂子(誰でも聴牌できていない……かしら。原村さんは後何巡か後にあるいは)

和(負けたくないです。負けたら、京太郎くんや宮永さん達と一緒にいられない……。だから――)

数絵(京太郎、やってくれるわ)タンッ


           ,∠、  /            ヽ
            /   |: :/                  \へ
     / ̄¨ヽイ     |:/ / / /||:! ! | !         .|
     !:   〈〈:     /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l  ,ィ: ! l    ,!
     ∨   ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l:     i〉
      ¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l   リ
.     /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
     レイ ト、_|: : : :l ヽ  弋:zソ       !::::}l }イノイヽ
     |.: : :|: : : : .: |     ::::::::      ,  辷リ !:. :. :.:ト、 \
     |.: : :|: : : : .: ト、            :::::: |: : : : | ⌒
     / : : :|: : .: .:  lミ、Y       ‐ -    ノ: : :. :.|
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   //   : :|: : : :  :ハ  |   `  . _ x<: : |: :!: : :|:. :!
.  //  . :/!: : : :   ∧. !       |  |: : : :.|: :!: :. :.、|
  //   . ::/∧: : .:   ∧`ヽ.      l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. //  . ::/厶 ヘ.:     ∧  \   `ヽ.  ヽl : l : : : : | ヽ
//   , <   \      \  \    ∨  `|: :. :. :.|   \


和「ロン。タンヤオのみ、1000」


和   26000
京太郎 28200
美穂子 25000
数絵  20800



東三局  ドラ:六筒

京太郎&美穂子「「聴牌」」

和&数絵「「ノーテン」」

和   24500
京太郎 29700
美穂子 26500
数絵  19300

東三局一本場  ドラ:五筒

京太郎(完全に福路さんに俺の和了牌が抱え込まれてた。

    やっぱり全国で戦うなら迷彩をしっかりできるようにならないとダメか?)タンッ

美穂子「ロンよ。七対子のみで2400です」


和   24500
京太郎 27000
美穂子 29200
数絵  19300


東三局二本場  ドラ:白


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 //小、   /  / ̄     ̄¨ '' ゙…‐-


美穂子「ツモ。面前ツモタンヤオ一盃口ドラ2の2本場は2200・4200です」


和   20300
京太郎 22800
美穂子 41800
数絵  15100

東三局三本場  ドラ:三萬

京太郎(くっ、やはり福路さんは強い……!

    今回も俺より3,4巡先に聴牌してるはず。

    数絵も和も聴牌はできていない……。

    ここで俺がやらないと最後まで持ってかれる! だから勝負――)


         /             /    /  / 〃                i{   | \
       /           /    /  / 〃         |         i{   |
      /              /    /  / i{          |         i{   l    ',
   __/      /     ′  〃 /{  ハ   {    |  |ヽ
 ⌒ ̄ ̄ ̄ ̄  ア        i{    l l  i{{ l i{   {    |  | }  i{       /
.          /  ィ'       i{    | l 从| l i{   {    |  | } 从   〃   ′    l
         {/ /       i{    |jI斗===ミ i{   {    |   厂}/}/ }/ }   /⌒ 、
            '         ∧  狄Ⅵ汞≧八  {\  | ィ'“ 汞笊ぅ/ / 厂^ l    ′
         /  /    { ', {   ∨こリ \l   、! /   Vこツ{/i /    从  ′
        /  /    人 ', ',{            }ノ          }/   / ハ/
       ∠  ∠   イ  l\ 、 V                       }   / /
                  八  !  Ⅵ ヽl          j               l=‐≦/
                   \〉   v 汯         {              爪 〃
                    }  ∧                        / //
                       \{ 込、    ___           /{ ィ/
                     _ -=\   に ̄ ̄_)       {从
                      〃    }N\            /   j_ノ_}Y
                       ri{      i{   、          /_ -=ニニニニ|
                       |ム      i{    ー―― r≦ニニニニニニニ=|
                       |ニ}    /{            |ニニニニニニニニ=‐ |


京太郎「リーチだ!」

美穂子(須賀さんがリーチ……。河の様子からして染め手?

    ダメだわ、どんどん危険牌が集まって……溢れてしまうっ)

京太郎「ロン! リーチ發混一色で満貫、3本場は8900!」


和   20300
京太郎 31700
美穂子 32900
数絵  15100

>>560
点数計算がまちがってるの?それとも美穂子の点数報告の方をまちがってるの?

東四局  ドラ:中

美穂子(聴牌を崩すのを躊躇ったのは良くなかったわ。

    須賀さんは全国レベルの打ち手……。中途半端はダメよ美穂子)

和(京太郎くん……)トン


     , ´   /  .' / .'  '        | l  | l |  |
   /    / '   |  | | l|  |    l | ,  } l |  |
 _/    イ /   l|  |_,∧_{  :.   ,-|-}-/、 ,  |  { 
  ̄ ´   / /    {  |、{ l∧  {、   | }/イ/},イ /  l_、
      {〃   r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l|  l、

      /    /{ 从{、 Vzリ  \Ⅵ/ Vzり /イ } / 
       /   //从 l∧\       ,\        | /イ/  
     /  イ'  {/l∧ ∧      、        ,イ/j'  
    ̄ ̄        ー∧         _,     从   
               ヽ 、    ` ¨  ̄   ィ }/   
                 ∧ \       / |/>  
                  {(从_|     --  ´ 「/// | 
                  |/ ̄}}          |////|_ 
            _,.:<|///||          l/////` |
     _,.. -=<///// \//}         ,r-/////// |
  <//////////////////∧-- 、    {///////l{



京太郎「ロンだ。白ドラドラで6400。和、集中力切れてるぞ。優希でもまだ保つぜ?」


和   13900
京太郎 38100
美穂子 32900
数絵  15100


南一局  ドラ:五索

和&数絵「「聴牌」」

京太郎&美穂子「「ノーテン」」


和   15400
京太郎 36600
美穂子 31400
数絵  16600


南一局一本場  ドラ:七萬

京太郎「リーチ」

美穂子(……見た感じだとリーチのみかしら? それならさほど警戒しなくても)トン

京太郎「ロン! リーチ發……裏3で満貫、1本場は8300です」

           /: : .  . : . :i: : : : : : : : : :ヽ
        ∧: : :/ : / //|: iハ: : :V : :V: ハ
         : :i: : :': : ハ i :i |: |ハ: : i:i: : }: : i
          |: |: i | : i:l:|:| :L!i:| i|:i: i:l: i:」:| :|
          |: |: l | : l从「:{ リノ リノj从フ7ィ :|
        |: |: : | : |  ヽ     r笊ミ小:|
       |: |: : | : |cぅ≠ミ    {トッハ刈 |
          i:小: :!ハ:Y ;:;:;:   '  ;:;:;: ハ:i: |
          |: |: i |: リ:ト .    っ  .イ: j:i: |


和   15400
京太郎 44900
美穂子 23100
数絵  16600

>>564
ぬおぉ、ご指摘ありがとうございます
美穂子の親番だったので4200オールです
点数自体は合ってるので申告部分のミスです
重ね重ね、ご指摘感謝です。今日ミス多いなぁ

南二局  ドラ:一萬

数絵(配牌が最悪。最短でツモれても届くとは……)

京太郎(うげっ、今度はダメすぎる……。九種九牌なら良かったのに)

美穂子「リーチ」

京太郎(それに加えて福路さんが早い巡目からリーチ……。

    なんとかまだ放銃はしてないが、もう安牌はおろか筋牌もない。これは?)トン


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美穂子「ロン。リーチ三色――裏が3枚で12000です」


和   15400
京太郎 32900
美穂子 35100
数絵  16600

南三局  ドラ:三筒

京太郎(こ、ここにきて捲られた)

美穂子「ツモです。純チャンのみ、2600オール」


和   12800
京太郎 30300
美穂子 42900
数絵  14000


南三局一本場  ドラ:四索

数絵(さすが腐っても風越……)トン

美穂子「ロン。タンヤオ平和で1本場は2300です」


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
////////\///    、   .  ´
//////////\{    /`¨¨ 、

////////////>、  {、     〉
/////////////(_)}   ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\

//////_,. --- 、//|    |///\////>--、
/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧


和   12800
京太郎 30300
美穂子 45200
数絵  11700

南三局二本場  ドラ:三筒

京太郎(まずい、ほんとにこのまま持ってかれるぞ!?

    和は……ダメか、いつものらしさが全然感じられない。悪いが)

京太郎「ロン。トイトイのみで2600の2本場は3200だ」

和    9600
京太郎 33500
美穂子 45200
数絵  11700


南四局  ドラ:二筒


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ト、 ̄´: ',:.: : : : : : : :/ : :/: : |  !   ;
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和「リーチ」

京太郎(和は1位になるには三倍直か役満ツモ……。

    リーチってことは役満ではなさそうだな。諦めて2位3位狙いか?)

和&数絵「「聴牌」」

京太郎&美穂子「「ノーテン」」

数絵「……続行よ」


和   10100
京太郎 32000
美穂子 43700
数絵  13200

南四局一本場  ドラ:二筒

京太郎(俺が勝つには5200以上の直撃か跳満以上のツモがいる。

    和の出したリー棒と積み棒分がなければ6400が必要だった……。

    まさかそれでか? 俺が5200を直撃できると思って……?

    和、それでいいのか。俺の好きな和はそんな麻雀をする奴じゃなかったぞ!)タンッ


 京太郎が和を睨むように見る。その目を、和は真っ直ぐ見つめ返す。

 表面上は普段の平静な和。だが京太郎は確かにその奥底に隠された諦めを見つけた。

 だから、京太郎は見せなければならないと決めた。執念は、通ずると。


                     /イ         /    V ヽ、    `
                  ,  ´/          |   \
                    _/  '   '    ,:      |    \
                  ̄ ̄/  /   //     }       |
                     /    /    〃     /   |    |
               /      {   /.'       ∧  }    |
               /_, ィ   ∧ /_ |       / V ∧
                 / /  / ∧{tォミ、  ,  /   | '  、
                   / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                     | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                    ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                    {   、                 リ
                         ∧   `
                        、
                         ∧ `
                         |l∧      ̄         <
                          「´∧           ´
                        .:'//>--==≦ゞ
                      ////////\        /
                       /////// /   ∧
                        {/////〈/{   / |      //,
                       ∧//// ∨、  ,   }   ,://



京太郎「リーチ……!」


 千点棒がふわりと投じられ、かちゃんと音を立て、嵌る。

 美穂子を真っ直ぐに見つめ、挑みかかる。


美穂子(……? なぜリーチを……。どう見ても、須賀さんの手は役牌のみ。

    リーチをかけても50符2飜では3200点。たとえ私が放銃しても8000点しか差が縮まらないのよ?

    それとも2確狙い? そんな麻雀をする人とは思えないのだけれど……)


 美穂子は困惑する。須賀京太郎のリーチは、明らかに何かのメッセージが込められていた。

 そして彼は諦めがすこぶる悪い。それは団体決勝で身に沁みている。

 ならば何か勝算がある?

 手足に蔦が絡まるように、ツモはどんどんと危険牌を掴ませて来る。

 京太郎のリーチも空しく、ついに海底牌が見えてきた。

美穂子(……まさか、河底撈魚がつくことを狙っているというの?

    確かに、あと2巡で私が海底牌を掴み、それで和了れなければ河底牌を出すわ。

    今局の須賀さんは理牌をあえてしていない。1飜役だと気付けたのは河に迷彩がなかったから。

    でも、本当にそうだったの? ドラはもう4枚とも見えている。役牌も發以外は2枚以上出ているわ。

    それなのに、このままでは放銃するという確信がある。なら、河底撈魚を避けるためにあえてここで――)トン


    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__

      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |
      从Ⅵ              /.: ノ  |
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从
         、           イj   / /
            :.          < |'  /}/
            、__   ´    } イ从/
               |        |/
              「 ̄|     「 ̄ ̄ ̄ ̄}
              |//l|     |//////// 、
        ,. <// ∧      |//////////> 、


京太郎「それです……それを待っていました、福路さん。ロン。

    あなたほどの雀士なら、俺と対局したあなたなら。

    必ず手を読み切って差し込んでくると、信じていました。

    リーチ發――裏1で、6400。1本場で6700……!」


和   10100 (-20)
京太郎 39700+2万 (+30)  (144+30=174)
美穂子 37000 (+7)
数絵  13200 (-17)

「5200でもいいのに、わざわざ他の役を捨てて50符に乗せたというの……?」


 数絵が、驚き呆れたように呟く。

 その通りだ。俺には、いや和にはそれが必要だった。

 だが、ここで細かく開陳しても野暮だろう。だからこう言うんだ。


          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
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     / _,/:.:..|  ::| \ !           j/        ′/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
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「燃えたろ?」


 誰かを見るでもなく、中途半端な位置に視線を置き、だが気持ちは込めて。


            |:.:.:.:.:.:.:./ // _/_/〃 // _厶 /  / /  イ      |   ヽ:.:.:.\
            | :.:.:.:.:////  / / ̄厂ノ「 /  | / ム /| |  |   | ト、:.:.:.:.\
             人:.:.:.:〃 / イ ノ≧=≠=ミ、 {  | | | |\ | |  |   | |:.:/ ヽ:>
          ⌒ヽ_/_ノ| | | {〈 っ:てう::}∨  | | ! リ、j\.ノ  イ  | |/ 
            |:.:.:.:.ノ lハ. |⊂つ-- 'っ.   ト ハj ≧=ミ、り\/ /   .イ !| 
              / V、_ト|ノシ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ゝ... ぃ:rう::\/ /  / j /:.| 
             Г   |ハ {{     :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.O\:‐':::ノj〉`  ノイ/:.:.:| 
             j     |   {{       '  :.:.:.:.:.:.:.:.と^つ/ /〃人_/ゝ
                 ノ   し     、─- 、    :.:.:.j }:// ノ /∧:.:.:.:.:.: ̄|
         /   /  / /    l\   ヽ _ ヽ      んノ∠- ' / 八:.:.:.:.:.:.__:.>
  /\  _.人 /  / ./      .|  \        _ ひ /    / / ハ:_/| |
//./  ̄   ∨  / /      |\  ` ー─  フ´   /    /\' /   | | |
. / /.       |  |  |\      |ヽ       __/     /     /   } |    | | |
/ /        |  |  |\\    | ` ー─‐/     /   / / / | |    | ゝ ゝ


 雰囲気で分かる。和は静かに泣いていた。小さく、はい、という声が聞こえた。

5試合目  京太郎(南)・咲(東)・衣(西)・憩(北)

              /  /   /'´           `\ \.   ∧
               /  /                ヽ    ヽ   ∧
                /  i     /  /  i!      |     |    |   ∧
            /   .|    i  /   |     |     |    |     ハ
             /    !    { i!  ,.イ|     |     |    |     | |
          /     ',  i ∧{i>く 从!    | i!   !i!   i!ハ   i!ト、
            /     ∧ i!.|r芹ぅ.ミ\i!   } !|.|  ,リ!   }! i!   ハ|. \
         /       / ∧.从 {:{fj:}:}ヾ |   . イ从| .//|   ./i! |  / i!   \
       /      / /  \{ .乂zク :::::|./:::::'/'///'/ ./ /,イ ./ /'     \
      /        / /   |ハ      ´     ´  厶イ  ////           \
    ./         / /   .!.∧             / i! /' /'.\          \
  /         / /     |'  \   `   ´   /  |      \          \
./          / /     ハ   `i::....    ....イ   .l       \          \
           / /     / i!  /^\. `¨´ /^\   |   __   \
          _/     /f ̄ ̄ ̄ ̄:\></ ̄ ̄ ̄:`:Y´    > 、 \
        /´ ./     / {: : : : : : :こニ=「 ̄i=ニこ: : : : : : : }        \ \
       ./  /     /  Y´: : : : : : : :ィーiく: : : : : : : : : `Y             Y. \
      /  /     / !   }: : : : : :/:/| |: ヾ`ヽ: : : : : : :{  i        ∧   \
       /  /     / |   {: : : :/: :/.::| |: :∧: : :\: : : :リ  |       /:::∧     \

「ふっふっふ、ついにこの時が来たぞキョータロー、ケイ、そしてサキ!」


                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                      /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
                . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
                    /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.
                 ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
              |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
              |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

              |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
              |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
             /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
             /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >
           /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
        -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____

「せやねぇ。どっちが上か分からせたげますーぅ」


 天江衣と荒川憩。高校二年生最強の二人がバチバチと視線で火花を散らしている。

 それに巻き込まれる一年の咲と京太郎はたまったものではない。

 しかし、高校二年に限定せずとも間違いなくインハイ最強格の二人の真剣勝負。

 咲も京太郎も内心では自分がどこまでやれるのか、楽しみにしていた。


「おう、咲。あの二人とは別だが、俺だってお前にはリベンジするって決めてんだ。

 本気で頼む、あの時の敗北を糧に、俺は強くなったからな」


     /::.:.:.:.:!:.:.:.|.:.:.:.:.:|: : ::| : : : :|: : | | .i: : | | i:. :.:.:.:.i:.:.:.:.|
.    / : : : :i: : : |: : : | ! : ::| i: : :.:|::|::::::i i::::|::|::|::::::::::::i:::::::|
   / : : : : |: : : :!:.:.:.:ト、ヽ:.;!、i: :.:.:|::|、゙、'i´|:フiナi:|::::::::::::|:::::::|

   / : .:.:.:i:.:|:.:.:.:.:ヾ、:.'i´ヾ.::|!ヾ、:::゙、ヽハハヽハノ |ハ::::::::::|:::::::|
.  /.:.:.:.;ィ'|:.:.:i:.:.:.:.::i ヽ:|  ヽ!  ヽ::ゝ  `'  リ |::::::i:ノヽ:::|
 彡 '´ リ i:.:.ヽ:.::.:.:゙、 ヽ___       ;==─-ソ::::::/ /:::!
      ヽ|:.:.ヾ:.、::ヽ≠'´ ̄`     ;;;;;;;;;;;; ノノ:ノ /;イノ

         ソ:.:.:::/::ヾー-;;;;;;;;;  ,     """ /ノ.;:‐'::/
       i.;イ:::;ハ、::゙、 """    ___      /:::::/
       ソ レ  ` ヾヽ    ヽ´  ノ   ィ´::/リ
              ` 、__    ̄  , ' |!;/
                 _"_〕ー--‐'    |__
                /:.::/:|       |:/\

「京ちゃん……。大丈夫、衣ちゃんや荒川さんがいる卓で手なんて抜けないよ。

 そんなことしたら吹き飛ばされちゃう」


                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }

             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}


「……天江さんといつの間に仲良くなったんだ? あのボッチの咲が!」

「なっ、そういうこと言う!? 私だって友達くらいいるもん!」

「部と龍門渕以外では?」

「そっれは……うぅ~!」

 京太郎は密かに満足した。清澄麻雀部は、しっかりと咲の居場所になったようだから。

 しかしそれも今は関係ない。ここは戦場、気を抜けば刺される場所だから。


「っし! よろしくお願いします!」

東一局  ドラ:九萬

                             //////\/ハ
                              ///,/    \!
                 ,....-―-.、     ////

               , イ////////\   ////
            , イ/////,/ ^ーァ/ヽ≠//,.く
          ///////,/   ,ィ///////////\

         ////> '´    ///////////////,ハ
       /> '´          〃////////////////!
      ,..'/            从////////,γ⌒ヽ//,|
     /'                `i///////,乂__.ノ//,ハ
                    /////////////////ヽ

                   ////////////////////\
                  ///////////////////////,\
               , イ///////////////////////////ヽ
           ,.....イ/////////////////////////////////\
        ,...イ´///////////////////////////////////////>.、

      ,..イ///////////////////////////////////////////////,>.、
    .//>ァ//////////////////////////////////////////////////>、
  .///.///////////////////////////////////////////////////////.ヽ

. ///.////////////////////////////////////////////////,ヾ.、/////ト、/\
/// ///,イ///////////////////////////////////////////////ハ ヾ///ハ ヾ//ヽ
//   ///〃////////////////////////////////////////////////ハ ヾ///} Y//ハ
/  //// {//////////////////////////////////////////////////}  Y//! .|///!

衣「衣の前に座った者は皆三軍暴骨。お前たちが熊虎之士たるは既に明らか。足掻いて見せろ!」

咲(うっ、満月じゃないのに相変わらずすごい力)


 衣の啖呵とともに、三人を襲うのはみるみる嵩を増す満ち潮の海のイメージ。

 海底深くへ引きずり込まれ、ツモも呑まれ一向聴から先に進まない。


衣「リーチ」

京(ダメだ、このままじゃ海底撈月になる。……足掻いてやるさ!)

京「ポン!」タンッ

衣「クククッ、甘いぞキョータロー! ロン! 立直二盃口河底撈魚で8000!」
 

咲 25000
京 17000
衣 33000
憩 25000

>>549の久のあがりが点数変わらんけどトイトイチャンタってホンローじゃ・・・

東二局  ドラ:八索

衣「ははは、どうしたキョータロー! その程度では衣に及ば――」ゾクッ


 呵々と笑いながら京太郎を叱咤激励する衣。しかしその言葉は不意に途中で止まる。


.            _,.. -- 、__, 、___
            .⌒>.::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ、
.        _,....::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
           ̄7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.
            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
.         ̄´ {∧ . :::::O:::::::::::::::::::::::::::::::ト\
            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_
               ヽ;:::::::::::::::::::::::::

                ,':::::::::::::::::::::::::::`:::::::::-、
               ,...:':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
           ,....::::'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i、
           .i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
            :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
          .ノ.::::::::::::::::::○::::::::::::::::::::::::::ィ-、::::::::::::.ヘ
          |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.  ヽ::::::::::::::::..


 京太郎がドラを示す牌を裏返した。現れたのは――七索。ドラは八索。

咲(ぐぅっ!? これは、この前の!)

憩(っ! ……相変わらずやねーぇ。でも癖になってまう。

  京ちんに斬られるいうんは……囲われとるとなおさら)

衣「そうだ、この力だキョータロー! こうでなくてはな!」

京「ツモ。純チャン三色一盃口ツモで6000オール」


咲 19000
京 35000
衣 27000
憩 19000

>>577
うぅ、ミス多くてすんません……でも今日は個人戦終わりまで頑張ります

東二局一本場  ドラ:五筒

咲(近くで見ると少し分かる……。京ちゃんの力は魔を断つ神剣)

衣(それだけではない。女を囲い我がものとする草木の結界。


  /           ∠  -───-ヽ \
  /     /     ´              ヽ
. /      /      /          \  \   、
/      /      /   /     l     \ヽ、\  ハ
     .′   | /  / ,イ   |   }  } ハ  ヽ  !
     l     | {  ハ/ |   ,!   ノ Xハl | l } |
      ′    { 「¨丁≧ト、/|   イ小 } | } イ ′
    /       `ト ァ=テ≠ミ、7}  .;ィ≦ア// /レ }/
    /      /《  ん.:cl  // !:cjレイ / /
   ,/       ∨    ヒ'tツ    ┴'イ/ィ′
   ハ      l   : :::::: :    ' :::::八 |
  〃イ      ; ト 、 u    __ _  イ   !
  l| |     l |  丶、  ´    <「|  |
\|| |     | |>  、 7lー≦}|-─‐'、  |
  || |     | |__/`Yヽ、 }}」- ─┐∧
  || |     | l─ >r─r≦─── | ヽ'.
  || |     | |  -‐}  j二ヽ、    /   ハ 、
  || |     l∧/ _ノハーf ̄   \ イ   l: | \


  先ほどからちらちらと衣たちの胸に視線をやるのは品定めか?)

咲(京ちゃんは大きいおっぱいが好きだから……なんかムカムカするね!

  ハンドボールをやってた頃はもっと爽やかでカッコ良かったんだけど)

憩(京ちんの諦めの悪さはゴール際の争いから来てるんやろか?)


京太郎憩「「聴牌」」

咲衣「「ノーテン」」


咲 17500
京 36500
衣 25500
憩 20500

東二局二本場  ドラ:北

衣(キョータローがいくら足掻こうと、その上を行き沈めるのみ)


 衣はそう断じ、卓上に支配を広げる。


咲(ま、また来た……! これは越えられないかも)

憩(くっ、満月やないのに強すぎませんかーぁ?)


 咲と憩ですら呑まれる高潮。一向聴地獄は衣の強力な支配力の一端でしかない。

 それでも魔物と恐れられる荒川憩を封殺するだけの力。簡単に突破されるはずがないのだ、普通ならば。


京「リーチ」


 ノっている時の京太郎は既に普通の範疇から外れていたのだが。


衣(む、抜けてくるか! ……またオヤッパネか? 衣も聴牌しているが間に合わない。跳満くらいならくれてやろうぞ)


 先に和了れぬとなれば諦め、譲る。牌に愛された怪物故の傲慢。

 それは神ならぬ人の身にとっては致命的な隙。

 京太郎は魔物ではない。牌に愛されているというほどでもない。

 しかし怪物を倒すのは常に人間である。


 刃が届くのならば、殺せる。


 リーチ直後の京太郎のツモ番。瞬間目を閉じ、深呼吸。そして山に手を伸ばす。

 その瞬間、咲だけが感じた……怖気。

 ツモ牌を盲牌すらせずすぐに晒し、自らの前に放り投げながら手牌を倒す。

 そしてスナップさせた手首を戻し、裏ドラをめくった。

                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/


京「ツモ。リーチ一発ツモ北ドラ3――裏1で倍満の2本場は4200・8200」


咲  9300
京 61100
衣 17300
憩 12300

東二局三本場  ドラ:西

衣(倍満……裏までは衣には見えなかった。王牌は水面よりも高い)

京(これで東一局の満貫分は返しましたよ、天江さん)

憩(あっちゃぁ、京ちん絶好調やね。溜まるまでは追いつけないかもしれへん)

咲(ここで止められないとマズイかも。だから狙わせてもらうよ、京ちゃん)

咲「カン――もいっこカン。

                                         //::::/:::::::  ..::/:::i:::..       \
                                        //:::::::/:::::::/ ..:::/::::::i::::::.        ヽ
                                       / (:::::::::/:::::::/ :::::/:::::::::!::::!:::.   :. :.  :.
                                     /  /    /  / ///   !::::!:::i::.  ::::. ::::.. :::.
                                       / ../....::::::::i:::::i:」::::{::::!....:::::::::!::::!:::i:::!..:|:::::|::::::i::::i
                                   /.:::::/::i::::::i::::i:::「i::::`ハ::i::::::::::::::!::::!::ハ!:::l::::ノ:::...l::..|

          ,. - ――‐ 、                       ̄/ ̄i::::::i::::i ァ≠ミ八!:::::::::l:::|::::|::厂iメイ::::::::::::::|
        /     ノ ___>'⌒   .                       i::::::i::::〈 r':::::::}ヾ\:::::|八八テメ、/リ::::::::|:::::i
.      /こフ ,.ーr< _)          `ヽ                   i::::从:ハ 弋シ′   ヽ{   r':::::::ハi/:::::::从:::′
       ゝ.. ノ/ヽ._____,,. -‐く     |      __           |イ八:i:{ ,,,        弋,シ /::::/::::ハ′
    , -― < /      //        「ハ ≦´  `ヽ、       ___ 八       '       ,,,  /:/:::::::/
.    {     ,\   ∠∠..       /   Vハ Vハ      ̄ ̄`ヽ彡'⌒ヾヽ::::\    ー        イ:::ノハ,′
    ` ー-〈   ヽイ ⌒ヽ `ヽー<     Vハ Vハ         V´ ̄  \\:::\       . .イ:/
.         ヽ._ノ人               }::::} }::::::}ヽ              }ト、\:::` ー‐= 7く´j/
           \  ̄`丶        /::://:::::/⌒ヽ               リ \\i    /i:::::ヽ_
            \    \     /::://:::::/             〉     /    iヽ \_____!:::::::::::`ヽ_
               ` ¬´ ̄` ー―ァ':::://:::::/             ,′   ,′   |::::::\\ j:::::::::::::::::i ト、
                    | : : : : : : /::::://:::::/                       、:::::::\ヽ.:::::::::::://l ヽ
                   \: : : ∠:::::/.::::/         /  / /      \:::::::\ヽ:::::/// jト、|
                       ̄ ̄ ̄` '<         ∠..、 / /         \::::::≧彡'イ ノ⌒ヽ
                         ` ー―┬‐<     \.イ            丁丁 r‐ュ.{    i、
                             └───-=ミV| : : .           フ:i:{    |    \
                                        Ⅵ : : : .          /.:::|:|     |     \


 ツモ。嶺上開花のみ。3本場の責任払いは3500です」


咲 12800
京 57600
衣 17300
憩 12300

東三局  ドラ:一筒

京(チッ、咲に喰われたか、牌が全然来ない)

衣(サキ……さすがは嶺上使い。衣の予想の外から来る)トン


                                  /  . : . :  . : : : : : : : :.:\
                                /: : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.゙,

                                 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
                                   {:.:.:.:.:.:.:,:.:.;.:.、:.:.:i:.:.:.:ト、:.:ミ;、;.:.:.:.:.:.:.:.:|
                                 イ:.:i:.:.:.、{ヘ{_ハヾ;.ト;{リ ィテト リ;.:ト;.:.:.:.:}
                               ノイハ:.:.:.:トイサト  `’ ヾヅ ム;! }:.:.:.:!

                                   ゙{:.:.;ハヾツ      // リ イ:.:,!リ            rv-、_ r-、
                                       ゙!:i从 //        /:.:,!リ             |!_} i } }l_}
                                    };!ヘヘ、  r_ラ  /:;イ           r‐- '′ ``' ,!
                                       ` .. ___ / |'´,..-‐ァ- 、      ̄´f`ヽ、_ ,ム
                                        _}    」イ:.;イ /  〉‐イ`ー-- ァヘ、.:.:.:.:.:.:,ム
                                   r-‐.' ¨´.:.:/  __/:.:// イ  イ/   /〈  ` ーイ }
                                _rベ´\:.:.:.:.:.:.:.fイ´/:.:/ /   ! /  /   ト、     ,!
                              ,. ィ‘ \ `、 |\;.:.:.:.| // ,イ'"¨ |   /    /       /
    r -─ 、                   ,. ィ´       \ YL_ヾ、!イ-‐ '’      } ,イ__    \     /
  ,ィチ二`r_`‐-、r.r -イ二-ィ´ ̄`ー-イ´` <´           \/   {二 }         У:|  ,》 ̄ ¨` ー`ー-、ノ
  ‘ ´才ァ __ `ヽ }:|.:.:.:.|\ `ヽ、        \          {    |.:l.:゙!       / | |=ニ彳
   ‘ イ/ ヽ、__リ.:|.:.:.:.| `’    ` ヽ 、     `        ゙,    |.:| :.|         / l |
         V_;|.:.:.:,|                    _ _ ,. -‐ ヘ   ,! |  |           l |
            ̄ヽ-─ ‐== --─ "¨  ̄ ̄           |ヽ ,! {  |         l |
                                      |  {  |   i         l |
                                     |  !  |    }.        l !
                _ ___ _... ,... .-- r--‐ r─‐ r─‐ r‐= f¨¨¨¨ ! ̄ ̄ ! ̄ ̄ f¨¨¨¨¨ !
             「 「 .| |  |  |  |   |   |.   |   !    !   . |     |    . !     |


咲「ロン。チャンタ一盃口ドラ2で8000です」


咲 20800
京 57600
衣  9300
憩 12300

東四局  ドラ:五索

憩(まだ、まだ足りひんなーぁ)

咲(衣ちゃん、本気だ……。だったらまた――)

咲「カン――もい」


                                         ,r==ミ

        __                               〃////〃⌒\
       〃/_ノ  __         ト.、                 {{//人〃///∧ハ〃⌒i!_
     f⌒〈/,'|| ///__ノ      ∨ハ                `¨" {{//,'ノ///,{{//〃//}}
  ,r='ヘ/∧/¨´///             ∨∧                   `Y´/////`¨´{{//〃
  /∧'∧ハ__ノ///〃            廴:\              ___/ノ////////込ン1!
 〃/∧'∧/////{{___             `ト|            ({ ̄ ̄ ̄`////////////
 ||///∧_ノ////// ̄ ̄ ̄}) / ̄ ̄>.、   |:|             ゙ー==ミ_、///////,/
 ||//////////>== ´´<___/  `ヾ、  i!                   }!/////〃
 ||////////if´                >⊥ュ、                    }}////,〃
 .ii////////||              ./ i!i!i i!i! ヽ                〃///,'〃
  ii////////!!      ,.ィニニニ/{iニ={!,{ル広 勾| ||               〃////〃
  .∨//////||     // / iル'::::从≦ゝ圦 r=ヲ,/,リ|\             〃////〃
   ∨/////{{     {{_⊥zz{:::::::::::::} /r‐≧r/ /.⊥_ ヽ           /'//////'
   .∨////∧    /.ィ´  .ゝ‐rr≦ ,ィ.,{rzイ/ { {.  Y ハ           /////,'/
    ∨////∧   {' / /__廴!{ /,∠__/ |{  | ト、_r'/\}、_        ////,/
     ヾ.////∧__! ///>{ { |' /ャ--'^ー}ハ.八! ト、.\ \>:.、___///,/

       \///////∧{/  Ⅵ  r/   /' /\\} ハ Yハ__ヽ\/////,/
        `込ZZ> ´     ヾ,rr' `ー―八≦≧iヽ | } {r‐‐}  `¨¨¨´
                   i´ {:{   /  /:7 く  |//,、  〉


衣「その牌ツモる必要なし。ロンだぞサキ。純チャン三色槍槓で12000!」

               __,. : : : ¨¨¨¨: : : . 、
             ,. :´: : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
           /: ,: : : : : : : : : : /: : : : : : : : :\

            .': : :/: : :,: : /: :/: /: : : : : :.|: : 、: : :ヽ
          /: : :/: : :/: : ': : :': :i: : : |: ! : |: : : ,: : : : :.
         .': : : ': : :.:|:{: :|: : :|: :{: : : |、|:_/: :|: :|: |: : : ::.

         |: : : |: : :|:|_l,.ムイ}:/从: { }/ }`ヽ: : ,: \: :.
         |: : : {: : :^{从ィ笊ミ、 ∨ ,ィ笊ミ/}: /: : | \}
         |: : :∧: : | { ん::刈     ん:刈ムイ : : |
         |: : :{ \:、 r弋こソ    弋zソcl:.|、: :|

            从: : 、 '  乂ノ:.:.:.    '   :.:.: |/ \:}
          Ⅵ、: ー: .、    ___     人  `
            乢: : :|  . (__,.---- 、_) イ
             从 :|  >  __.  ´
                  Ⅵ      |、
             /::::::\     ,::::\
            /:::::::::::::::::\___{::::::::::\

咲  8800
京 57600
衣 21300
憩 12300

南一局  ドラ:三筒

咲衣「「聴牌」」

京太郎憩「「ノーテン」」

咲 10300
京 56100
衣 22800
憩 10800


南一局一本場  ドラ:東

咲(うぅ、狙われた……? 私のカンを読んで。衣ちゃんならやりかねない。

  ……どうしよう、カンできないならこの牌は持っていても)トン

衣「ロン! 白混一色ドラは1本場で8300!」


             ,  ´ \::∨:/     \ |:| {: {      }: : :{
            /  ∠二二二二≧x   |:| }: }    ri  }: : :}
         ./                |:|/: {f^i  l l ,fハ: : {

         /        //   .| |       }: :,ィ:}l l  l  l.{ l!: :ハ  {ヘ
        ./        /,i {  ハ ! | | | |  ノ:/ }'! l l .!  !l  l: : ヘ ,r:}: ハ
        i  / / i___,/! |リ| .{ } .| | | ! i! ノ: /l l l l l  l l  l!:ト、:ヾ: : : }
        |  .'  | i!ト、/>くヘ i/ /// / i!|ノ: / l .l l l l  l l  lイ i、: : :./
        ∨ |  i!从. Y7」!ヾヽ{/イ/},/.r'{/: /  l l l l l  リ  l.l  l ヽ: {  ,/
        .Ⅵ\{ヘ{ハ. マYノ    ∠/: : :/   l l_ノ `´       }  ヽ! /{
         ヽ/  ∧ヘ     ,  〈: : /     l               /   Y:/
        /  /  `,ゝ.  ー==='' /}:〈    l          /    }!
       /   〃  〃 .>ト ... /〈: ::}    l          /    ./
     /   //, -―― ァ‐fー./   \\   ',        ,'    /
    /   / r―――‐f: :{/    ./\\  ',      ,'   ./
  /   /   {: : : : : :こ{/  _...イ  ./ \ヽ          /\
./  ,.イ    ∧/ ̄ ̄´,...<: : : : :/   {/: :\        /    \
  .//  / ̄ ,/  //: : :\: :/  /: :/ ̄{ヽ.____ _ノ´  \    \
. //   /  .// / /: : : : :|`´   {: :,イ   ∧__ . イ       \    \
.'/  /,.イ /: //  ∠≠ァヽ:}    ヾ: :l  , '       !       `ヾ.、   \
   / /:/ /__>// /!   /: : }'      \!./          八         \\   \
  ./ /:/!∧ァ‐{ { ./  |  /:/        〈       /  \        \\
  {  {/ |{ 〈/_∧{イ  |  {'i  ____   |ヘ      /    .\         ヽ \
  ハ | |!  ア{‐' .}.  └‐‐|/´      /`ヽ.| ハ ___/       \     ∧
   ∧{  ./  ー/    /'           {―‐ '/ ̄ ̄ ̄ ̄i       ヽ     ∧
  ./   ./    .′                 }__/        |       ∧    ∧


咲  2000
京 56100
衣 31100
憩 10800

>>582
申告点数が子になってますが、京太郎は親では?

南二局  ドラ:三筒

咲(点棒が……。ダメ、ここで飛んだら全国行きがまず無理になっちゃう。

  だから絶対に――)

咲「ロンだよ京ちゃん。 混一色のみ、3900」


咲  5900
京 52200
衣 31100
憩 10800


南三局  ドラ:九萬

衣(衣の最後の親……。攻めて高めを和了る)

憩(させへんよ)

憩「リーチですーぅ」

衣(む、衣の勘ではこのまま聴牌を維持すると振り込む……。

  ならば迂回するしかあるまい。キョータローもまだと見えるし)

咲(ここで親連荘されたらマズイもの。悪いけど)

咲「ポン」   咲「チー」   咲「ポン」



咲憩「「聴牌」」

京太郎衣「「ノーテン」」

衣(くっ、結局ノーテンにさせられたまま流局とは、不甲斐ない!)


咲  7400
京 50700
衣 29600
憩 11300

>>587
美穂子の時と同じミス……すみません
点数自体は間違ってない、というかシートのを写してるので問題ないようです
たびたびご迷惑おかけして申し訳ないです

南四局  ドラ:三元牌

京(――ん?)


 配牌が終わり、全員が打ち筋の見当をつけるために一瞬他家から気を離す瞬間。

 京太郎は格上ばかりの卓で泳いだこれまでの疲労からかワンテンポ遅れた。

:::::::::::゙l::゙l:゙l                     : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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::::::::::::::゙l::゙l:゙l                          i         : : : : : : : : :
:::::::::::::::゙l::゙|:゙l  `、                        イ         : : : : : : i
::::::::::::::::゙l:::l|:゙|   ヽ. ,,、                                 /
::::::::::::::::::゙l::lll:゙l    `、ヽ、                              /:::
ヽ::::::::::::::::|::||:ト     `、 `ヽ、                           /::::::

:::`、:::::::::::|::|ト:|       `、  `-、                        /::::::::
::::::`、:::::::::|::|:|:::`、      ヽ、    `ヽ、..._               ,,     爪::::::
:::::::::ヽ::::::|: /           ` 、_     ゙̄`'ー‐‐---------ゥ-‐''    /::/::::::;/,
::::::;;;;;;`、;;ノノ    `、       `ー--、......____,,,....,、、‐''     ,/::/:::::::/:/

二,,,、、_z      `、                           ,,,/:::::ク::::://
::::゙l::::|ト ハ       `、                      ,,,//::::::;":;;/ /
:::人::ハ::::::`、        ヽ                ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/
::::::::Y::::\:::`、        `ヽ、,,,,,,,,         ,,,,,,/:::::::/::::ハ::::::::/
                    ゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙


 そのために、俯きほんの一瞬だけ口角を吊り上げた憩に気付くことができた。

 そこから芋づる式に理解する、薄く、しかし確実に緻密に繊細に張り巡らされた糸のような支配力。

 その糸は全てがただ一人のために紡がれていることが分かる。

 白衣の悪魔、嗤う死神、牌に愛されし魔物、荒川憩のために。

 気付いてしまえば死の恐怖、いくら衣の怒涛の支配が覆おうとも分かってしまう。

 咲のカンですら例外ではない。そしてついに、牙を剥く。


憩「リーチですーぅ」

衣(キョータローとの差は21100点。子である以上は倍満ツモでも届かない。三倍ツモか、跳直でなければ。

  ケイが不穏だが、サキもキョータローも動けぬ今攻めずしていつ攻めるか!)

衣「リーチ!」タンッ

憩「ロン! この瞬間を待っとりましたーぁ。

  リーチ小三元ドラ5で倍満の24000ですよーぅ♪」

.     /::::::::::::::::::,>イ" /     ヽ  ヾト、ヽ、ヽ \.\ \\}
    , ':::::::::::::>'"  /          ぃ  ト|‐r+ い l  ト, .|
    /:::::::::::::/     {     .| | ハ,ィ |l ト、 .|ヽ__」! !::|: ハ: | V
.   /::::::::::::::,'     |   |  | |,イ || ! j リ V チ:::ヽ`メ| ハ/ヽ
  /:::::::::::::, '     .!   ! . Xヽ.」イ!キ    C:::d,、 レ'、 |\ \    
. /:::::::::::/       ',  ヽ'  トメj:::::ヽ     ,`"¨′ い  \-‐
/::::::::/         ',  ぃ  .イo:::::::ソ          } .',   \
:::::/           V  ぃ、  くう´    ,  '" ̄}   ,イ .ヽ   \
/             V lヽ V  \   〈_, ‐'" イい   ヽ    \

 この時、衣は初めて敗北を予感した。


咲  7400
京 50700
衣  4600
憩 37300

南四局一本場  ドラ:西

京(天江さんも気付いてなかったか。力を悟らせずに張り巡らせる……。

  勘の鋭い相手を刺すには絶対に必要な技だ。近くで感じられた俺なら、いつかモノにしてみせるさ。

  ひとまず今回は聴牌できそうにない……。振り込まないようにだけ気を付けよう)

衣(衣が、負ける……?

  なぜだ、麻雀など所詮は肩を並べる魚を探すための手段であったはず。

  それがどうしてこんなに胸を焦がすのだ!?)

憩(あはっ、ひひひっははっはっはっはっはっ!

  やってやりましたよーぅ! おとーちゃんおかーちゃん、ウチが仇取ったりましたよーぅ!

  見てーな、天江衣のあの顔! 悔しそうに歪んではりますーぅ♪

  京ちんもすっかり及び腰やし、せやったらこのままウチが1位もろてきま――)ゾクッ

                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {                            /
          /  \                     /  イ
            /\_ \ _                   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄    |    │   l  :| :|    | | |
.        厶イ |  i    |   ト.    ト、 .:ト、 .| :|    | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、 │゚. :| ゚. | :|    │!
                 |  ト、圦乂| 乂| \| \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |


咲「麻雀って、楽しいよね」

京「……咲?」


 憩が有頂天の最中、唐突に感じた背筋を走る寒気。

 それと同時に語り掛ける咲。全員がそちらを注視する。


咲「麻雀は一人じゃできない。勝ったら嬉しくて、負けたら悔しい。

  でも、だからこそ楽しいんだ。みんなで一緒に楽しもうよ!」

衣「サ……キ……?」トン


 麻雀は楽しい。そんな当たり前のことを、衣はこれまで意識してすらいなかった。

 孤独ではあった。親を亡くし、親戚には疎まれ恐れられ閉じ込められ。

 考えてみれば、従妹の透華がもたらした麻雀。

 麻雀をしている間だけは、孤独ではなかった気がする。



 では、自分は楽しかったのか。ただ自身の身の内の囁きに従っていただけではないか。

 今だって、その囁きに従って牌を切り出した。

 だが、今だからこそ分かる。初めての一局目は楽しんでいたではないか。囁きだけに任せず打っていたあの時は。

 いつからか、惰性になってしまっていたのは。

 切り出した牌は、一筒。衣の勘では危険ではない牌。

 しかし分かる。宮永咲はこの牌を待っていたと。


咲「それカン! もいっこカン、更にカン!」ゴッ

                  /        /              \
                 /   /    /  /   |   |       ヽ
               /   /    /-/=/.,,_ /  /   :|  ',      ヽ
\                 /   /   //  / / / /|ヾ/|    ||  l       ∧
  \            /    l   //| /|/ / / / / /   /:| _|  :|  ヽ  ヘ
    \       /イ   |  // |.z===/ // /   / |⌒ト、、| :|  |   ',
      \     | |/ ィ|  :ト|彡'´彡三ミヾ  /   /  | /|  :ト、!  |    l
        ̄⌒>ーァ | |/ /!  | ||  ,;fう⌒ヾ}}       // /_| /|   /     |
\   \  \/  / // {  |  |:   l     ノ /_/ ''≧三 /// / /ト、   :|
  \   ヽ  l  / /./  V  \|   ヾ_ イ'´ ̄    fう⌒ヾ;ヾ.// /./ ! \  :l
   \  ヽ  {  | |l   \_{ ヽ..:::::::....         !    } }}/. / |    ヽ :|
    ヽ  \}  | |l     |八           ,  弋_,イ〃//  l      ヽ
     ヽ  {  | |l            r─- ._     .::::::..   -‐ '´   j
      \ ヾ  l | !        ヽ     |     })         /ノ从  /
        \ `ミ, ', ヾ 、      :| ヽ   ヽ.__ /      人   |ハ/
         \`、|ヽヾ 、    :|   \          _,. < /\
           V |  \     ト    >  -‐ ' ´   彡'  {


 一筒を槓。王牌に手を伸ばす咲の目には、確かに気炎が燃え盛っていた。

 伸ばされた手が卓上の何もかもを吹き散らしていく。


                    /: : : : : : :/: : :/: : : : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
                      ̄ ̄ ̄¨ア : : : /: : ://: : /: : // : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
  ノ⌒ ー--‐ '⌒^ ー-     -‐…・・/ : : : /: : ://: : /: : /// : : : : , :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::}
f《: . :   . :/      . : . : . : . : ./ : : : ; : : /{/ヘ/: : /// : : : : / : : |: : :.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.}

V》       (      \. : . : . : . :/ : : : :j{: :.rf嶺峠い/イ: : : : : :/: :イ:.i|: : :.:i.:::::::::::::::::::::::.:.:,
 ¨⌒ー '"~¨`ヽ \    \: . : . // : : :イリ.:.从 _)開ハ刈i |: : : :/ |i: :|: ||: : :.:|.::::ノ⌒ヽ:.:.:.:.:′ ,,ル'⌒

          ^\  : .   // : ィ仁|i.:/  Vし℃仆|i | : : :  |i: :|: r冖れノ^  ノ⌒廴__ノ^⌒¨´
.               丶  : .  j/{ニニ|iイ    'ー '゙  八| : : |ー─-fソ:. :.  辷?い: :.:.:. ′
                \ : . : ; {ニ二い   :.:.:  ::::::::::八: : |j埖fソ^;. :. :.fら ). : :.:.:.:/
.                   \ : .l {ニニ八       , ::::::ヽ| ヒ^爻_廴 ノノ^. . : :.:./ニニ},
                    ヽ| {ニニニニニ:、   、         ー'⌒)ソ)メ . . : :.:.:/ニニニ}}
                    | k二ニニニ/\     ー    :.:.:   才イ. : /}/ニニニニ}}
                    | |ik.ニニニ{〉  \__        イニニノ/ニニニニニニニ圦
                    | |ikikニニ{入____    ̄¨アニたニニニニニニニニニニニニニハニニ\
                  /|人kikik.ニ{    >-=ニニニニニニニニニニニニニニ=-  ∧ニニニ〉

                    《    :. トミメ{   -=ニニニニニニニニニ=-     . : . / :〉 ̄
                      j}   :.   ≫→ァニニニニニ=-ァア       . : . : . : ., :/:∧⌒L_
                  リ}     :. /ikikikヽ\ikikikikikik/      . : . : . : . : . : . : . : . : /〉


咲「――嶺上ツモ。中トイトイ三色三槓子混老頭嶺上開花で1本場は24300!」


 天井から降り注ぐスポットライトの光が舞い散る花弁を思わせた。


咲 31700 (+2)
京 50700+2万 (+41)  (174+41=215)
衣 -19700 (-50)
憩 37300 (+7)

「衣の負け、か」

  |            | o  マ`ー '  7´         " .::⌒ヾト/ // |   /     /
  |            |  とつ_`ー― '           /::::::::::ハ ヘYイ /  /    /
  |            |  〃   `¨            {o{:::::::爿 || |,/  /    /
  |            |  ||                     ∨廴ノ(_).,リ /  /   /
  |            |  ||                  '   \z_ノ /'|/  , イ ./
  |            |  ||                       `とつ./ ///!
  |            |  ||                       /イ/イ  |
  |            |  ||             , ― 、           /   !  .!
  /!            i!  ii           ̄`’        /   |   |
. / i!         i!  ii                    /    i!   !
/  |            ト、  ii                  .イ     |   i!
  ,!        i  | \!i                   . <  i!    .i!   |
  /!       |  |   じゝ.          . <   \i!    |   !
. / i!       |  |      > ,. _ . <   \   |      !   |
/  |       |  |        /      \   ヽ   !      |   |

 感慨深げにこぼす天江さん。何か憑き物が落ちたような風情だ。


「やっぱ負けると悔しいか?」

「ああ、悔しいともさ。でも……」


 憩さんや絃さん、対木さんからの話を聞くに天江さんは負けたことが無かったのかもしれない。

 それが初めて心から負けたと認められる敗北を喫した。

 最近こそ調子が良いが、ほんの1か月前まで負け続けだった俺には分からない境地だ。

 だが、やはり悔しかったらしい。勝ち負けが揺れうる麻雀。勝ち続けるというのはやはり何かが歪んでしまうのだろう。


「楽しかった。麻雀はこんなに楽しかったのだな」

  /:::::::::::::::/       / \∨/      ∨:::::::::::::::::::}
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|::::::::/      i! | .| |  |__|__ハ   | |.斗-ト、 |  |r、.∨::::::::::!
|::::::/         | i! | |  | !|| .!`|   | ト、 Ⅵ i!  | ,ハ ∨::::::!|
|:::::i           Ⅵ Ⅵ |从N ,从  N Ⅵ.ヽリ!  ! ,リ ∨::::リ
∨:|        {∧ Ⅶ从=ミx \! z≠=‐|  |,イ  .!:::/

 Ⅵ          \乂」    ,         !  ! |   }∧
  ヾ              |  人   、 _,   ,.|  | i!  / ∧
                | /  ,> ._    ...:::´::!   ! |    / ∧
                | !  /    `¨i´    |  |⊥._ / / ∧
                | ! r―rア'´ ̄ ̄!    !   |    ̄`ヽ ∧
                | ! |  .||  `ー.、   r―|   |      |/ ∧

 そしてその歪みが一気に弾けた。

 天江さんは晴れ晴れとした表情で、楽しさに気付いたと言う。

 それは素晴らしいことなのだが、俺自身はほとんど関与していない。

 どうにも、どんな表情をすればいいのか迷ってしまう。


「勝ったのに浮かぬ顔だな、キョータロー」

「いやあ、なんか最後の方蚊帳の外だったじゃないですか」

「そんなことないよ京ちゃん。京ちゃんのおかげで三倍満まで届いたんだよ?」

「俺のおかげ?」

「うん。京ちゃんがちらちら胸を見ては憐れむように視線を逸らすから、怒りでこう、ね?」

 俺と天江さんの会話を見守るようにしていた咲が見かねたように割り込んできた。

 うん、仕方ないじゃないか。夏だから少し透けてるんだよ。とはいえ見ていたことは事実。ここは土下座する勢いで謝る。


「……すんませんっした!」


 勢いよく頭を下げた俺を見て、天江さんは何やらぶつぶつと呟いている。

 とはいえ小さすぎて聞こえなかったのだが。整理がついたのか、呟きを止めて含み笑いに移行した。


「ふふふ。楽しかったなぁ。でもそれももう終わりかぁ」

「また打ちたいよね」

「だな」

「せやったらまた打てばええんやない?」


 団体にしろ個人にしろ、全国に出場できる人数は限られている。

 つまり、この夏に打つことはもうないかもしれない。三人で感傷的な空気を醸し出す。

 そこに憩さんの発言だ。思わず三人が視線を向けたのは仕方がないだろう。


「だって今年の長野は個人枠5個やし、その上でワイルドカードで10位くらいまでは全国行きの可能性ありますよーぅ?」

「え、そうでしたっけ憩さん」


 視線に臆さず、何センチになっとるん、とばかりに平然と告げられた言葉。

 目から鱗が落ちるというか、そもそも個人戦全国行きの人数を確認していなかった気がする。


「せやでーぇ。京ちん忘れとったん?」


 忘れていたというか、知らなかったというか……。

 え、上位3人じゃないの? まあ5人というのはまだしも、ワイルドカード?

 察するに団体戦の連盟推薦枠みたいな感じか?


「ま、そないな訳やから……今日はウチが勝ちましたけどーぉ、次も負けへんよ」

「――今度は衣が勝つ!」


 俺の疑問を置き去りにして、なんだか爽やかな空気で俺の個人戦は幕を下ろしたのだった。

対局した15人の好感度が上がった
優勝したことで評価が少し上がった
格下1位4回、格上2人相手に快勝1回。
対格下3回は補正値差10以上だったので全ステータスが上がった
優勝したためさらに全ステータスが少し上がった


対衣で憩とともに勝利した&対衣でスキルを発動させ勝利した
以上より、スキル覚醒イベント&衣イベント予約
さらに衣の好感度が大きく上がった

個人戦結果
 1位 須賀京太郎 +430
 2位 荒川 憩   +425
 3位 福路美穂子 +420
 4位 原村 和   +394
 5位 宮永 咲   +388
 
 5位までが出場確定
 
 6位 天江 衣   +385
 7位 霜崎 絃   +375
 8位 竹井 久   +366
 9位 龍門渕透華 +351
10位 南浦 数絵 +342
11位 東横 桃子 +339
 
 11位までがワイルドカード出場。7月2週に確定
 
12位 池田 華菜 +324
13位 加治木ゆみ +318
(以下略)






須賀京太郎
属性 :O
技量 :B64→B69
直感 :A78→S83
必然力:B67→A72
補正値:33.4+14.4=47.8





6月4週終了。

ということで今日はここまででー

今回はミスばっかりですみませんでした

個人の枠については……全国でモブばっかりになるよりは、ということで増設しました
阿知賀メンツが個人に出ないのが痛すぎで。ちゃちゃのんややえさんなども設定はしてますがさすがに人数不足
それならいっそねじ込んでしまえ、ということになりました

ここまでお読みいただきありがとうございました

まだ全国編に至ってないのにこの能力・・・
対局でまだまだ伸びるのはほぼ確定だろうし全国編個人戦決勝の頃にはオールカンストしてすこやんと殴り合えそう。

>>600
小鍛治健夜        →小鍛治健夜(プロリーグ時)

属性  :O          属性 :O
技量  :S150       技量 :S96
直感  :S150       直感 :S100
必然力:S150      必然力:S100

補正値:92.5        補正値:61.3
・スキル
【狂神夜吼】虹? (???+???+???+???+???)
(効果A)
 判定を+70。
(効果B)
 打点が満貫以上になる。
(効果C)
 金以下のスキル効果を受けない。
(効果D)
 自身の放銃判定コンマが10以上の場合、放銃しない。
(効果E)
 満貫以上の打点を放銃した場合、それ以降自身に直撃させた相手から出和了りできる。

【国内無敗】
(効果A)
 他家の判定を-20。
(効果B)
 満貫以上の和了を行うごとに他家の判定を-5。
(効果C)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。



これに勝てるかな?
上のスキルだけじゃなく、学生相手だと本気プロはスタイルによる青得能がつきます
咏ちゃんならパワーヒッターや広角打法などなどが……

7月1週  疲労度10

 団体・個人共に上位総舐めと言える大健闘をした俺達と清澄高校。

 当然地元テレビなどでも取り上げられ、周囲がやや騒がしいことになっている。

 ややで済んでいるのはちょうど定期試験なので学校側が取材の受付を突っぱねているからだ。

 公立高校でありながらなかなか骨のある対応で、

 中高生の親を持つ世代などにはかえって評判が良くなるという好循環である。

 まあ、そのおかげもあって俺達はごく普通に優勝祝いの打ち上げをあの雀荘のフロアを貸し切って行えた。

 ベッドなども完備なので、結局泊まり込みになりその間に桃子と憩さんとはまあ色々とあったが。

 竹井先輩達清澄麻雀部や、龍門渕のメンバーも何故かパーティに参加してくれた。

 天江さん……いや、衣さんも特大エビフライにご満悦だった。

 未成年である学生たちはアルコール無しだったが、集まった特訓をつけてくれたお歴々はそうもいかない。

 ロマネコンティだとか森伊蔵だとか俺でも聞いたことがあるような高級酒がパカパカと空けられていく様は圧巻だった。

 いったいいくらの金が注ぎ込まれたのか想像したくないパーティだった……。


「京ちん京ちん、全国決まったから改めて聞くんやけど、東京での宿はどうしますーぅ?」


 憩さんに聞かれてようやく思い至った問題もある。そう、宿だ。

 インハイの時期には麻雀だけでなく色々な学生スポーツ大会が重なっている。

 野球こそ兵庫は甲子園球場だが、サッカーは国立競技場だし、空手や柔道などの格闘技は武道館、囲碁将棋なども会場は都内だ。

 つまり、常連校やその応援団が番狂わせで予選落ちしない限りは手ごろな宿に空きが出ないのだ。

「あらお困りですか、須賀さん」

「ええ。全国行けるのはいいんですけど、宿の予約とかしてなかったんですよ」

「麻雀部じゃないから全高連の公共宿泊施設は使えないものね」


 俺が頭を悩ませているとパーティに相応しくない表情を見咎めたのか、龍門渕さんと竹井先輩が話しかけてきた。

 そして俺の悩みの訳を知ると、龍門渕さんはぽんと手を打って自信満々に告げる。


                   l´    ,'::\ヽ∨//_ ヘ:l:.   ',

                   l     !| ̄  ̄/' ´     ',ト::    ',
.                    ,'   Ⅵ    /'        l!∨   ',
                  /   :,'_!|__.{(   _≦千‐<へヽ

.                 //レ//「 ',l -- ´ \   ‐‐ /  ',iヽヘ`ト、
                 //ノヘ // -ヽ_‐   |  , ====ミ  !|:: :: `\
               //  :::i! ! '´ ̄ ̄`  /      ` jレi::: :::.  ', \
.              ///   :::|ヘ.',        '        /!´ !::::   ∧ `',
              // {    ::::|  ト     ー-....‐:::丶l    ,'  }:::   ノ  i!
.             l ! ヽ   :::\.ヘ    ',::::::::::::::::,'     -'/:::  /ヘ. j!
              ヾ / \   ::ヽ人    ヽ:::::; -'-‐っ /「/:::  :::   ∧
.              ∨  ::\  ∨!>   . /, ィ≦ イ  /:  ∧::    ヘ
              /   ::/ ヽ :∨::_レ ´ ヽ _.,ィl }┤ ::|:::  / ∨    \
.             /    /   !_ |/  \  ヽ'‐ヘ」つ、:!:: :{  ::\    :::\
              /  --‐‐ フ::::::ヽ       /´__   l  ├──-ヽ _  ::\
.           / / \ イ::::::::::::::::::::ト  r‐‐   {/ /   ヽ::: \     |  `.i \ ト、
.           /  !  イ⌒ヽ:::::::::::::::::∧ヽ    __ 、イト 、   / \ ヽ   l      \ \
        / /` 彡'      ∨:::::::::::::::∧ク ̄ // .!', `ヾ /、    Y: i   !   |、   \ \
.     / /イ           ∨:::::::::::::イ.  /イ  | ヘ   `i }   ノj/ i  ,'   ,┐、    ヽ
  ___./_/´            ∨::/ ヾ//i !.  !|ヽ\ /,'   / :::i /   ' ::| \   ∧ 、ヽ


「ふむ。そういうことでしたら我が龍門渕家にお任せですわ! 私達の定宿にしているGotAD帝都ホテルのお部屋をご用意しますわ」

「え、GotADホテルって言ったら一泊5万円からとか言われてる超高級ホテルじゃ」


 Gate of the Abyss Dragonホテル――文字通り龍門渕財閥の有する高級ホテルだ。

 特に帝都ホテルは帝国ホテルに勝るとも劣らないと評判の一等宿である。

 無論、金持ち御用達でべらぼうに宿泊費が高い。


「それはシングルルームですわね。スイートなら30万円ほどでしたかしら」

「スイートルームが28万円、ロイヤルスイートルームが50万円でございますお嬢様」

「……さすがにそれは」


 いつの間にか現れていた執事のハギヨシさんがさりげなく訂正している。

 とはいえ俺にはなんの慰めにもならない情報だ。

 いくらなんでも5万円を……個人戦分も考えれば最短でも15日分。

 自分の分だけならともかくチームメイト全員分までは払えない。

 375万円にもなるのだから。

「お金でしたらご心配なく。衣のお友達からそんな端金を取るつもりはありませんわ」

「それはそれで申し訳ないといいますか」


 約四百万円を端金扱い……。龍門渕さんの箱入りっぷりが改めて感じられる。

 待てよ、筋金入りの箱入り娘なら龍門渕さんならシングルルームじゃなくスイートで計算してないか?

 そうなれば約二千万円……? さ、さすがにそれはないよな……?


「謙虚ですわね。ますます我が龍門渕でお世話させていただきたくなりましたわ!」


 俺がやんわりと断ろうとしたことを謙虚だなどと評価されてしまった。

 勘違いによる高評価に戸惑い、助けを求めるようにハギヨシさんに目を向ける。


「――お諦めください」ニッコリ

「」


 ハギヨシさんからの無情な言葉がトドメとなり、俺はがっくりと項垂れるのだった。

 定期試験  1d100=86 成功

 01~32   失敗
 34~65   普通
 67~89   成功
 90~98   大成功
 ゾロ目   満点


 学生の本分は勉学である。だから当然、テストは疎かにしてはならないわけで。

 咲たちは7月2週に推薦枠決定戦が控えているらしいのだが、赤点で補習となると問答無用で挑戦権は失われる。

 麻雀部にそんな勉強が苦手な奴が――


「じぇ~~~~!!!」


 いた。片岡優希である。小学生レベルの算数ですら集中力が切れたら危ういヤツだ。

 そんなわけで俺達清澄一年組は、和の家にお邪魔している。二階建てのシックな一軒家。

 家具は質実剛健というか、華美さよりも機能性を重視していることが見て取れる家だ。

 そして和の部屋だが……暖色系のカーペットにダブルサイズのベッドと勉強机、衣装箪笥や化粧台などの一通りの女性らしい家具。

 棚には和の好きなエトペングッズなどが堂々と飾ってあったりする。

 部活の買出し時に見つけてプレゼントした小物などもさりげなく飾られているのが心にくい。

 そんな中に異質な全自動雀卓。近くにパソコンもあるから、検討などに使っているのだろう。

 案の定、優希は雀卓に視線をちらちらと向けて落ち着きがない。

 俺も和の私服から覗く胸――ノーブラで先端が見えそう――に集中力が削がれる。

                  _ - ─-ュ..
                   ̄  ̄"`、ヽ、
               ___    ヽ `、                       __

             _, '": : : : : : : ``  、  ヾ'、 _____..--─'''` 、          _, - '": : : : : :``: : 、
             // ̄``ヽ: : : : :_, `--─'''''      __ヽ,,_ ~~'ゝ、     _, ': : : : : : : : : : : : : : : `ヽ_
         __, -――一‐-ァl‐'"´ ̄`゙゙゙''─-.._  ___yr一゙゙゙ヘ、_ ニ___ュヘ_  ., '゙´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ``ヽ
   _, -'乃フ       >'´  _,r゙ニニ=-、   `゙.ァ''"⌒゙`ー--..、_ヽヽj///, ''´: :: : : : : : : : : {:/: /: //: : : : : : : : : ',
  <´  | /    .j'フ'´    '´ -=ニ二勹ヽy-┘: : : : : : : : : :  ̄`¨゙'゙´ : : : : : : : : : : : : ,ィソへ 〃/イ: : : : : : : : :ト、     _ ャ.、
   ヽ、 '、     ヘl            ..l厂゙゙゙`ー'゙`h : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ``ヲュ,へ〃.}: :} ./: : : : :j: : ',   ..√r‐゙ !ャ'`ヽ
    ヽ       卜           ¦   , -'" ̄`` .ュ、: : : : : : : : : : : : : : : : : ノ : }ヾ゚τト.}.ノ`ノノ / / : : : : : : ',  ./  ヾ`゙ ゙゙Zニ}
     ヽ、       `            _,,..‐'_, -'"´ ̄´`''ー..、: : : : : : : : : : _ィ'´: : :,'::::``'゙.〃 //: :/ /: : : : : : : :,'  .〉     _..┘
       `ヽ、             _., ‐' ン'''"⌒ ー-、>   ..=== 、: : : _..rー''.7: : : : :/:::::    〃///: : : : : :/   /   .y‐'´
         `` ,.、_        , '7  /        ´`  , '"/ヾ¨´   /: : ,. '´         '"イ//: /:/: /  /    /
          _,': : : `  、___..,.'゙ |  亅           ,'/   ! ___,': .,'゙   ヾゝ. ´::ヽ、 才/_,/:/: :トヽ  /    /
       __. --─==''''''゙゙゙゙: : : : : l   |   .|           _〃  ,rニ二ニ___: :ノv=‐-_    :::_}i-=‐ヾ__/ : : iリ   /    /
    _,_-'": : : __, --ァ'゙ ̄ ̄ ̄: : '''、 l  |          /      ``.ヽ ̄    ` `ヾ: : : : : : : : : : : :<レ゙  厂"ヽ、_./
  , '" : : : 广フ : /: : : : : : : : : : : ヘ、│  |   ___     /       ___ヽ    _   ">へ、: : : : : : : `:‐v'"     ゙ヽ___
  l厂フ: : / ,'゙: /: : : : : : ; -‐'´: : : : `┤ ..|'': ̄´      ,′  _.. ‐''~~`    `゙'ヾ二_.., - '´  __/"=-v'`i'゙iヘヾニ二ゝ、   .〉--: : : :
   ゙厂ゞ / : : : : : : : /: : : : : : : : : : /l   |:.:.:.:.   __..........ト一."´  __, - ‐'''⌒`ヽ_____..-‐゙゙      `{ j .|     卜   {: : : : : : :
      ./ : : /: ;.ァ'゙: : : : : : : : : : 厂,へ_r一'' ̄ ̄  .  ____.., 一'         l             .゙j |        t'、: : ヽヽ: :
      {: }¨7: 厂ノ: : : : : √ ̄`ヾ`¨`'ヾ=-、__..=‐"~~ ̄ ̄ _ _,,           ,.゙               --──<二ノ  ̄ヽヽヽ-
      ∥ .レ゙ /: : : : :./     )'‐'ー、_  ̄' -__    ̄,rァ _ノ'´       , ゙____                          | .レ゙

 優希を除く全員がそれに気付いていて、咲からの視線は刺々しい。

 桃子は余裕の笑みを浮かべ、和はわざとらしいくらいに隙のある動作。

 俺と優希にとっては地獄のような時間を過ごしたが、どうにか勉強自体は終えた。







 ちなみに俺は5科目平均86点で学年上位30名入り。

 和は当然の如く100点……とはいかず95点。それでも学年3位である。

 咲は78点。理数系がやや足を引っ張ったらしい。

 桃子は……86点。京ちゃんと同じなんて運命的っすね、と言っていたが……

 こいつ本当はもっと取れただろう。好かれているのは嬉しいけど。

 優希は40点で、ギリギリ赤点はなかった。

 ただし英語のヒヤリング部分は満点。ライティング部分でも9割。

 いつか本場のタコスを食べ尽すためにメキシコに行く、というのは本気なのかもしれない。

 でもメキシコは英語じゃなくてスペイン語だった気がするのだが……。

 なんにしろ、清澄麻雀部は無事試合に臨めそうである。

行動1回目 疲労度10

6.出かける 1d100=66 特殊遭遇、神代小蒔

 01~32   失敗?
 34~65   普通
 67~89   成功
 90~98   大成功
 ゾロ目   超成功

1d100=93  大成功  


「あ~、やっぱ体鈍ってるな」


 テストも終わり試験休み。俺はリフレッシュを兼ねて散歩をしていた。

 そこで偶然見つけた神社の参道を上っているのだ。

 勝負事では神頼みを無意識にしてしまうものだし、インハイ予選でのツキは神懸っていたように思う。

 だからそのお礼参りでも、と思ったのだ。


「思ったより長かった……。かなり山深くまで来てるんじゃないのかこれ。……ん?」


 1時間以上歩きようやく本堂と思しきお堂のある場所へとたどり着いた。途中からは意地になっていたくらいだ。

 なぜか置いてあった自販機がなければ挫けていたかもしれないが。

 そんな俺の目に飛び込んできたのは、雑草の生い茂る境内と大きな御神木。

 だがそのイメージに反してやたらと清廉な雰囲気。

 しげしげと眺め、足を踏み出そうとした瞬間に御神木の根元に目を向けざるをえなかった。

 何やら呻き声……というには可愛らしい声が聞こえたからだ。恐る恐る歩み寄り、覗き込む。するとそこには――


「むにゃ……」

                                  -='''':::::::::::::::>..、
                             ,イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                           ,イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>.、
                          /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::ム`ヽ
                             ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::',ヽ::::、:::::::::::',::::::ム  ヽ
                            ,':::::::::::::l:::::::{::::::::::::::::::ム::'ハヽ,::::::::',:::::::ム   )
                           ,'イ::::::::::::l::::::{',::::::::::ハ:::ハ ',} } ハ::::::}::::::}',}
                        l,' {::::::::::::lV:::⌒从:::', }ハ 从   ノ}:イヽ:::} '}
                        |!. ',:::::::::::ハヾ    `゙   ィzz=-  〉/::::,' ノ
                         ゝ. ゝ::::::爻 ィzzァ'           ,イ:::,イ
                                ヘ::≧ゝゝ‐'  '     /=彳≧ミ
                               ゞ、:::ヘ    -‐  ,イ/\ ヾ::::ヽ`ヽ
                         , -──ァ'':::ヾー>-., .._ イ//  !¨''',::::ハ- ',
                       / ,,,ィ''"::::::彡イ  _ -イ ',∨/   / |  }:::} }!  `ヽ
                       { /:::ア'" ̄  ,.ィ  /   .V  ,イノ  ', .リ::从.}   ∨
                       /´ア´    / 、 ,'  ヘ /  /    ノイ  }    \
                        { i!     ,イ   ヘ /   /  / __,,, イ'"  ヽ {     ./
                           ゞ  / ',.  У   /  / "       ヾ!  イニ .ア‐、
                             _〉  ‘, '   /  /           V" イ‐≧、/
                         ,'....,イ- 、 V   ,   ,'            }'   }  ∨
                          , イ7   `ヽ{   ,   ,'            ハ.   ,'   ∨
                      ノ ./      }',  {   {           / ハ  /
                     ,         〉゚ゝ、 ',  ',  、___. イ  {  ∨      ヽ
                     /   /       {   {ヽヽ、、≦ニニニニニミzイ   }       ‘, 、

 巫女服に身を包んだ黒髪のあどけない少女が眠りこけていた。

 和服には似合わないほどに胸元を押し上げる膨らみ。間違いなく巨乳である。

 状況の異常さも忘れ、漂白された意識のままに思わずその少女に手を伸ばす。

 すると眠っているとは思えないほどの反応速度で腕が絡めとられ、あろうことか抱きつかれた。

 少女の高い体温、草場にいたとは思えぬほどの芳醇な甘い香り。

 胸だけでなく全身余すところなく柔らかな、女を感じさせる感触。

 本能はこのまま自分のモノにしてしまえと囁く。しかしどうにか、どうにか漂白されたままの理性を総動員して留まる。

 気が狂いそうな感覚に耐えていると、不意に少女の目がぱっちりと開く。


「……おはようございます?」

「え、ああ、おはようございます。とりあえず離していただけると……」

「ふぇ? っ!? あ、も、申し訳ございません!」


 離れていく少女。ほっとする思いと名残惜しさとが同時に去来する。気まずげな沈黙が場を包む。たまらず口を開いた。


「俺、須賀京太郎っていいます。この前運良く全国大会に出場を決められたので、お礼参りに来たんですよ」


 俺の自己紹介に慌てたような雰囲気ながら楚々とした嫋やかさで礼をする神代さん。


「これはご丁寧に。私は神代小蒔と申します。先程はお目汚しをいたしました……。

 しかしお礼参りですか。――このお社は? 何か懐かしい感覚……」

「えっと、神代さんはこのお堂の管理をなさっているのでは……?」

「いえ、違います。私がお仕えしているのは瓊瓊杵尊ですから。

 ここは……大国主命でしょうか。それにしては龍殺しの荒ぶる気を感じます」

「まあ、とにかく神様にお礼が言いたかっただけなんですよ俺は。それで美人さんと出会えたんだから感謝も一入っす」


 本音だ。神代さんは和や桃子とはまた違ったタイプの巨乳美少女。

 たまには神様に感謝を示すのも悪くないと思わされる。ビバ信仰心……だろうか。

 その後も和気藹々と談笑した。神代さんは鹿児島は霧島に住んでいるとのこと。

 それがどうして長野の山の中にいたのか……。秘密ですとはぐらかされてしまった。

 とはいえ神代さんは実に楽し気だし、俺も眼福なのだ。文句を言うものでもない。これからもツキが続くといいのだが……。



神代小蒔の好感度が大きく上がった

行動2回目 疲労度9

6.出かける 1d100=5 グッドイベント

キャラ選択:美穂子 1d100=66  

追加判定 1d100=87 3の倍数 キャラ追加 久
     1d100=76 4の倍数 ノーマルイベント

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功   
        ゾロ目・77  超成功   

     1d100=83 大成功


「あら、須賀さん。こんにちは」


 またもや散歩していると、風越の主将、福路さんと出会った。

 制服姿ではなく、淡く花柄の入った白いワンピースに帽子である。

 ショールを肩から掛けているが、それがなければ下着が透けているだろう。

 なんにしろ可憐だ。好みドンピシャである。彼女の心を射止める男が今から妬ましい。


「福路さん? こんにちは。風越からは少し離れてますけど、どうしてここに」


 そんなことを考えているとはおくびにも出さず、無難な挨拶。福路さんもごく普通に応対する。


「ふふふ、上埜さんからお誘いがあって。そんなことより、優勝おめでとう」

「あ、はい。ありがとうございます。福路さんも個人で全国出場じゃないですか」


 そう、俺は長野の団体個人を制覇したのだった。少し天狗になっている自覚がある。

 だからといって意識して傲慢に振る舞うなどとてもできそうにない小市民である。


「それはそうなんだけど、1位と3位ではね。上埜さんも悔しがっていたわ」

「はあ。……ところで上埜さんっていったい?」


 少し胸がズキリと痛む。自分には桃子や憩さんがいるというのに、独占欲か。

 福路さんという理想の体現者が見知らぬ誰かを親し気に呼ぶ様が苦しい。

 思わずやや声のトーンが下がった。不審に思われなければいいが。


「……? ああ! それは――」


 首をかしげてちょっと考える福路さん。仕草の一つ一つがあざとい可愛らしさだ。

 しかしそれは無意識でやっているのだろう、不自然さが欠片も無い。男受けは凄まじく良いだろうが、同時に女受けは悪そうだ。

 役満を和了ったときの驚いた表情、あのときに見開いていた両目は色が違っていた気がする。

 女受けが悪い上にそういう特異な身体的特徴があっては、小さい頃は苦労しただろう。それでいてこの無垢さ、素晴らしい。

 そんな福路さんが答えようとした瞬間、物陰から赤い人影。

               _
           , . : . : . : . : `: .、

          , . : .イ : . : . : . :_; . \
         イ:´: . : . : >_'" 从;ハ: . :,
       / .i: . : . :./__  `  ‐-、}: . }
      ./  : . : . :代ちリ`  ァ=ォ、!: .:
     .,'   ,: {: . {  ー'   ゞシ’.}: /
         V{: . :   __ '   .イ〃

          }:ヘ: .:ヽ  ‘ー’  ィ':./
         ノ: . 入:} `ーォ ': . /

       _,,/: ./{ソ'"ヽ   {、}: .}
     /  }/从/  `` ^¨´ヘ/ヽ
    /  { ムマ `  ー  ''" マム } ヽ
   く   ヘムマ  \ ー '"   .マム  } ヘ
   \7ヽ  {ニ{          .マム /  >
    i   ヽ{ニi          }ニ}ノ. イ
.    ,  ./{ニi          }ニi '" ',
    ,  , iニi             iニi {  ,
   ,   i!ニ!          iニi .,

   /.   , ムマ',          {マム ,   V

「私よ」

「お前だったのか」

「暇を持て余した」

「雀士たちの」

「「遊び」」

「って竹井先輩じゃないですか」


 思わずノってしまったが、人影は竹井先輩だった。いや、上埜さん……か?

 男でなかったことにほっとしている自分に少し嫌悪感を抱く。


「あら京太郎君。プライベートでは久って呼んでって言ったでしょう?」

「初耳ですよ!」

「ふふっ、仲が良いんですね」


 自己嫌悪している俺の内心に気付いているのかいないのか、

 からかうように竹井先輩はウィンクしてくる。

 そんな俺達を見て、福路さんは仲が良いと評した。

 確かに悪いつもりもないが……。




「まあねー。安心しなさいな京太郎君。ちょっとした相談をしていただけだから。

 とはいえ少し長話が過ぎたわね。ここから風越までだと寮の門限まで余裕がないわ」

「え? あっ、もうこんな時間! お買い物はできそうにないわね……」

「ま、そんなわけだから駅まで送ってあげなさいな」


 時刻はそろそろ午後4時。門限がいつまでかは分からないが確かに余裕はなさそうだ。

 何がそんなわけなのかさっぱりだが、女性の一人歩きをさせるのは心苦しい時間。


「はあ、分かりました。先輩はどうします? 駅まで行ったあとでよければ送りますよ」

「あら、送り狼になる気? 京太郎君のことは嫌いじゃないけど、それはちょっと早いと思うの」


 なにげなく言った俺の言葉を弄び、からかいに繋げる竹井先輩。

 襲って良いなら喜んで襲うが、許可なく襲うほど落ちぶれてはいないつもりなのだが。

 げんなりした顔をしていると――


「ほら、さっさと行った行ったっと!」ドン


 おもむろに突き飛ばされた。

 完全に気が抜けていたせいか、それとも竹井先輩の力が思っていたより強かったのか。

 バランスを崩し倒れ込むように体勢が流れる。

 思わず目の前のものへと手を伸ばして掴んでしまった。

 そのまま福路さんの方へと――






「痛ってて……。大丈夫ですか福z」カチンッ

 とにかく福路さんを怪我させないように無理に動いたせいで受け身がろくに取れなかった。

 しかしその甲斐あって自分を下敷きにさせる形になったはずだ。……以前にもこんなことがあったような。

 そんなことを思ったのは、目の前には胸を押し付けるようにして俺の上半身に乗っかった福路さんがいるからだ。

 顔がキス寸前のような距離。いや、もしかしたら口と口ではないにしても倒れた勢いで触れた後かもしれない。

 下半身にも生暖かい重みがある。近くにあった、いや、いたのは竹井先輩だけだった。

 つまりは竹井先輩が馬乗りか何かになっているのか……?


「んっ……はぁ」ムニュ  「いったぁい……」グリ


 固まらざるを得なかった、二重の意味で。

 良い匂いはするし柔らかいし。もぞもぞと動かれて刺激されるし。俺は悪くねェ!


「へ? ひゃっ、あ、あわわわわ」  「これが男性の香り……」クンクン


 人通りが無くて良かった。俺の状態に気付いた竹井先輩が慌てふためき、福路さんはなぜか匂いを嗅ぎだす。

 凄まじくカオスな状態。俺から動き出すわけにもいかないという……。

 なにせ片方の腕は諸々あって福路さんの尻を掴むようにしているのだから。

 ……いや、福路さんにしては肉付きがやや薄い気がする。ということは竹井先輩のだろうか。



 現実逃避をしつつも堪能したのは何分くらいだったろうか。あるいは十数分か数十秒か。

 ようやく皆が気を取り直し立ち上がっていた。いや、二人は完全に気を取り直してはいないか。


「そ、それじゃあ京太郎君は美穂子を送ってね。また学校でー!」

「え、えっと……不束者ですがよろしくお願いします」


 真っ赤な顔で慌てて駆けていく竹井先輩。いや、久先輩と呼ぶべきか?

 なぜか嫁入りのようなことを言い出す福路さん。気分転換にはなった……のか。




福路美穂子の好感度がぐぐーんと上がった
竹井久の好感度が上がった



評価

竹井久:良い子よね。嫌いじゃないわよ? →眩しいわね。……好きよ

福路美穂子:なぜかしら、胸が苦しいの

行動3回目 疲労度8

6.出かける 1d100=80 まこ家でバイト

 キャラ三人選択:一・透華・衣

 01~32   失敗?
 34~65   普通
 67~89   成功
 90~98   大成功
 ゾロ目   超成功

 判定 3d100=79・51・77  成功・普通・超成功


『おう、京太郎。悪いんじゃがちと手伝ってくれんか』


 そう電話があったのは今朝方のことだった。

 なんでも優勝こそ逃したもののその健闘ぶりを見た人や取材やらで知名度が上がったんだとか。

 学校側へのアプローチが断たれている現状、唯一といっていい清澄のオープンスペース。

 それが染谷先輩の実家であるメイド雀荘roof-topだ。

 幸いしつこい週刊誌系の記者などが来るほどの注目度ではないらしく、マスコミとしてはだいぶ穏やかな記者がほとんど。

 新規の客もたまにバイトで入る和(あとはロリコン受けのいい優希)目当てでリピーター率もそれなりらしい。

 が、それはつまり客自体が増えたということであり……打ち子が足りないのだ。

 軽食などは出前に振ってしまえばいいからさしたる問題にはならないとはいえ。

 猫の手も借りたいほどではないができれば人の手は借りたい程度には忙しいのだ。

 そうして俺にまで話が来たというわけで。

 咲たちは来週に試合を控えている。余裕のある俺や桃子が代わりに働いてやるくらいはセーフだろう。


「京太郎、あそこの客の相手が終わったら今日はもう上がりでええぞ」

「はい、先輩。えーっと……」ピキッ


 最後の客ということでそちらに目を向けると、そこには――


「む、きょーたろーが打ち子か!」

「あらまあ、悪くないですわね」

「さすがにハギヨシさんを見慣れてるから高評価はあげられないよね」

「天江さん、龍門渕さんに国広さん?」

「水臭いぞきょーたろー。衣のことは衣と呼ぶことを許す」


 そう、龍門渕の方々であった。こいつぁヘヴィーな卓になりそうだぜ……。


     /       |  | __/_」ト.   i! ハ_   .! i! |  |   ',
      i   !   || |/「 /  Ⅶ   Ⅳ´ヽ  ̄`トハ i!   !   |
      |  | |  ||ヘ. Ⅳ  ヽ ヘ  !  ´ }  /!| | |  !|   i!
      |  | |  ||  x≠≡ミ  \ { x≠≡ミxリ }!|  リ / |
      |  | |  |i! 〃ん::::::ハ   `\ん::::::ハヾ. ,リ / i!  i!
     Ⅵ i!ト、 从《 う:::::::oリ     う:::::::oリ 》//   |   |
       Ⅶハ`ト、ヘ. マZン      マZZン /イ   .!  i!
         }从八 `トヽ xxx        xxx   /    |   ∧
      /   iト、{      r:::7 ̄ ̄ !    /{     |   ∧
       /    |! 人      ∨   ノ    ,イ |    |   ∧
      ./    i!/  > .   ` ー ´  _ イ | |    |    ∧
     /       |!  /  _`rト __..   ´ ,ト、! ! !    ∧    ∧
  ./        i! ./   | \     / ^ { !∧    ∧._    \
. /    /´ ̄\_ .. イ   ゝv<    ゝ、 ∧    ∧ \     \



染谷まこの好感度がわずかに上がった
天江衣の好感度がぐーんと上がった
龍門渕透華の好感度が少し上がった
国広一の好感度が上がった

評価

染谷まこ:なかなかやるようになったの →敵わんの

天江衣:きょーたろーか。覚えてやらぬでもないぞ! →きょーたろーか。我が背に相応しい覇気よ!

龍門渕透華:ふむ、悪くないですわね

国広一:おっぱい好きなのは玉に瑕かな

行動4回目 疲労度6

7.誰かと出かける 淡 遠方なので電話したということで
 1d100=69 成功


――trrrrr  trrrrr ピッ

「はいもしもし」

『おっそい! 淡ちゃん様からの電話はコール1回で出なきゃダメでしょ!』

「いや、いきなりなんだよ……。何度もメール送ったりライン送ったのに全然返事なかったじゃないか」

『うっ、それはその、ゴメン。なんかウチの寮厳しいんだよ!

 実家以外には連絡禁止とか頭おかしい!』

「マジか。ん? じゃなんで今電話できてんだよ淡」

『そりゃちょちょいと抜け出して……』

「馬鹿か! もう22時過ぎてんだぞ? 淡は可愛いんだから危ないだろうが!」

『へっ!? かか、カワイイ? ま、まあ淡ちゃんが可愛いのはしゅーちの事実だけど!

 なにいきなり言ってくれちゃってるわけ!?』

「客観的事実だろうが。無論主観でもあるぞ。……そういえばなんでまた急に電話してきたんだ?」

『それは、その……察してよ』

「おー、そうか、愛しのマイハニーはダーリンの甘い声を聞きたくて仕方なかったか」

『っ! べ、べつにそんなわけじゃないし』

「ははは、冗談だ、冗談。そうだ、聞いてくれよ淡。……俺、全国出るぜ」

『冗談って……もう。――そっか、来るんだね、東京』

「おう。淡も冗談のつもりだったろうけど、来いって言ってたろ?」

『キョータローなら来るって信じてたよ、私』

「え? そ、そうか。なんかくすぐったいな」

『東京の代表が決まるのは来週だけど、私は負けないからね』

「おーおー、言ってろ言ってろ。ボコられてた頃のダサい俺じゃないからな!」

『へへへ。前からキョータローのことダサいなんて思ってなかったよ。

 ……むしろカッコイイって思ってた。それじゃね、東京でまた!』ピッ

「え、おい、淡!? ……切れてら」



大星淡の好感度が大きく上がった


評価

大星淡:キョータロー? 好きだよ

7月1週終了。


須賀京太郎
属性 :O
技量 :B69→A70
直感 :S83→S84
必然力:A72→A73

7月2週

「咲ちゃんたちは今頃大阪っすかねぇ」


 そう、今週が連盟推薦枠決定の週だ。

 そのための試合は大阪で行われる。東京から2校出るからなのか、それとも別の理由があるのか。

 俺にはその辺の事情は分からないが、なんにせよ咲や和たちが実力を発揮できれば負けるはずがない。

 そう信じてはいるが、それでも自分だけ遊びほうける気にはなれそうもない。

 今週いっぱいはあまり部屋から出ずに過ごすか……?

 ちょうどネット麻雀の高校生向け特設サイトがオープンするはずだし、ネトマ漬けもいいかもしれない。

7月2週

「咲ちゃんたちは今頃大阪っすかねぇ」


 そう、今週が連盟推薦枠決定の週だ。

 そのための試合は大阪で行われる。東京から2校出るからなのか、それとも別の理由があるのか。

 俺にはその辺の事情は分からないが、なんにせよ咲や和たちが実力を発揮できれば負けるはずがない。

 そう信じてはいるが、それでも自分だけ遊びほうける気にはなれそうもない。

 今週いっぱいはあまり部屋から出ずに過ごすか……?

 ちょうどネット麻雀の高校生向け特設サイトがオープンするはずだし、ネトマ漬けもいいかもしれない。

行動1回目 疲労度4

7.インターネット ネット麻雀 1d100=7 一人選択

 宥 2d100=73・74  48+73:40+74 で勝利
 実際に会った場合に好感度やや増


「さて、登録名は……きょー、と。開いてる部屋は――あった。

 HOT PEPPERさんとdefaさんとultさんか。よろしくお願いします、っと」

~数十分後~

「ツモった。……ぎりっぎりで勝ちだ!」

『良い勝負でしたね。また機会があったら卓を囲みましょう』

「こちらこそ是非またお手合わせお願いします、っと。

 しかし、HOT PEPPERさん強かったな。まだまだこんな強い人が高校生にいるのか」



行動2回目 疲労度5

7.インターネット ネット麻雀 1d100=25 一人選択

 竜華 2d100=7・70  負け ただし反転一致なのでボーナス
    1d100=58    50以上なので成功。 
 実際に会った場合に好感度やや増


「うっし、まだまだネトマだ!

 過保護さんとdefさんとaultさん。よろしくお願いします!」

~5分後~

『ロン。国士無双、32000』

「」チーン

『あはは、ご愁傷さまや。きょーさん、私の当たり牌ことごとく掴んどったなあ』

「で、ですよね……。今回は配牌もツモも完全に裏目ってました」

『麻雀やもん、そんなこともあるって。せっかくやからまた機会があればやろな!』

「はい、ありがとうございました。

 ……俺って実は弱いのか? ネトマってこんなに難しいのか!?」

イベの人物決めもコンマ想定?それとも>>1の趣味?

行動3回目 疲労度6

7.インターネット ネット麻雀 1d100=94 一人選択

 憧 2d100=22・66  お互いゾロなので特殊イベント。
   1d100=60   成功? 
 実際に会った場合に好感度増&イベント


「いや、次こそ、次こそはちゃんと打てるはず! 空いてる卓は……ここだ。

 AKOさんとdetさんとfaulさん。よろしくお願いします」


~数十分後~


『ロン。7700。 やたっ、あたしの勝ちね!』

「また負けた!」

『お互いがお互いの当たり牌を掴みあってたけど、速さで負ける気はないのよ』

「結局最後までお互いが刺しつ刺されつでしたね。案外相性がいいのかも」

『あ、相性!? いいきなり何を言い出すのよ! きょ、今日はこれでおしまい!』フキュッ

「え、あ? ……退室しちゃったか。なんでだろう、なんかまた会う気がする」

>>631
人数をコンマの高低で決定する感じです
誰を選ぶかはこの辺からは完全に趣味でした。非安価で投稿することを決めた辺りなので

行動4回目 疲労度7

7.誰かと出かける 久 

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功    

     1d100=78 成功   イベント


 ――やってしまった。


                       /: : -=ミ: : : : \: : : :\: : :.:\

                        ': : : : ̄ : : \: : : : \: : : :`、: : : :\
                         /: : : /: : : :./: : :\: : : :.`、: : : :`、: : : : \
                     /: : : /: : : : j|:\: : : \: : : `、: : : :`、: : : : :ヽ
                        ': : : /: : : : :从{ >=ミ:.ヽ: : :.i: : : : : ヽ: : : : :i
                     i: : : ': : : : /::// んハ 》\: : :|: : : : /: :i: : : : '
                     |: : :.i: : : : |:/   乂ソ   : : :|: : : /: : :|: : : /
                     |: : :.|: : : : i=ミ  ./:./:./: |: : |: /: :/: |: : /
                     |: : :.l: : : :爪心 /:./:./:. u |: : |: : : :/: -<
                         j|: : :.|: : : : :ヽゞ`     ⌒人:.:|: : : /
                       八: : : : : : : : : \  ゝ /  Ⅵ=》      ',
                     `、: :`、: : : : : :个  ___/: : :i       ',
                      `、: :`、: : : : : :r,- ――/ : : : 从
                    ___ \ヘ: : : : /:.:.ノ ⌒7: : : :/  、
                 -= : : : : : : : :Y_:彡イ      : : : : i   \      ',
               ⌒¨¨¨>――  > '"i      i: : : : |    `、    ',
                      r.:.'"     、      人: : :.:|             ',
                      ,:.ノ       `¨      \:.|     }       ',
                        i               ヽ    ∧
                        人 /                ,        ', 
                      /                /   ',    
                      ,'                        
                     ,'                '      
                  ,, '"ノ             、/    
             ,,   '   ,   ,'             {  
     /  ̄ ̄ ̄       /  /                 }
    ノノ /     _,, -‐…'               ,,  '"              
   〈/'" --   /    /            ,,                   
    乂( ノ ---        /           /                  





 俺の下で荒い息を落ち着けようと深呼吸を繰り返す女を見て、

 冷静になった頭でどうしようかを高速で考え始める。

 どうしてこんなことをしてしまったのか。潤んだ瞳で俺を見てキスをねだる彼女を見ながら、

 ことの起こりを思い出しにかかる。


「もしもし、須賀です。竹井先輩、出場確定おめでとうございます」

『あら、わざわざ祝電ありがと。咲や和が終わってすぐ連絡してたみたいだけど』

「ははは、遅くなってすみません。長野に戻って落ち着いてからのほうがいいかと思いまして」

『……ま、そういうことにしておいてあげるわ。そうだ、せっかくだから出場祝いにご飯でも奢りなさいよ』

「へ? ああ、別にいいですけど」

『冗談、ってえ、ほんとにいいの?』

「元々竹井先輩にはお世話になりましたから、ご恩返しはしたいと思ってましたから」

『そんな恩を感じてもらえるほどのことはしてないはずなんだけど……』

「俺が勝手に思ってるだけですから」

『……だったらたんまり奢ってもらおうかしらね。どこに連れて行ってもらおうかしら』

「デートですからね。奮発させてもらいますよ、久さん」

『――え? ちょっ、まっ』

「それじゃ明日、日曜の12時に駅で待ち合わせましょう。楽しみにしてますからね!」

『きょうt』プツッ


 こうして祝賀の電話から流れで強引にデートの約束を取り付けたんだった。

 久は普通に綺麗だし、なにより雰囲気が挑発的な色気を発している。

 麻雀部に入部した理由の一つに久の存在がなかったかと言えばうそになる。

 しかし、あのときの俺はどうかしていた。

 ネトマで負けがこんでいたからか、やたらと暴力的だった気がする。

――翌日――

「お待たせ」

「俺も今来たところですから」

    ,..::::::::::::;::::::::::ハ;' \::;k;ヾxヘ⌒  ,,>、:ヽ;:::::::::::::::::::::::\

.    /::::::::::::/:::::::::イ  ヽ   ' 〆'  ,;;≠ヌミヾ;:!;::::::::::::::::::::::::::ヽ
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    !::::::i ::::::::::レ|"`              // |::::::::::::::::::::::::::::::::}、
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.     !| ゙、::::::::|ミ\.          /  /     / `ヽ、::::::::::::::::::i~\:::::|
       :i|. \::::|;::::::\ i l !     ー-  '           ゙ミ::::::::::::::|  ):/
       'i!  \.{:::::::::::\               /       i:::::::::::ソ   '
       '!     ヾ; ::::::::::.ヽ.._____ , .イ"         ノ:::::/
.         \     \ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\         {:::::/
           ヽ    ゞミ,;;;:::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::/i\    , ヾ;:i|
                  ̄ ̄ ゙ ミ、::::::::::::Y ,イ  ヽ  ./ /j

 定番のやり取り。俺も竹井先輩もにやけそうな顔を必死で取り繕おうとして失敗している。

 そんな竹井先輩は、淡いブルーのノースリーブのドレスシャツに白いフレアスカートといった夏らしい装い。

 靴は紅茶色のミュール、バッグは髪色に合わせたのか薄い紅色。

 腕にはシルバーの可愛らしい腕時計。マニキュアやペディキュアはしていない。

 しかし良く見れば薄く化粧をしているのか、唇は光をキラリと反射するように艶やかだ。

 一方俺は焦げ茶のパンツ。上は濃いめの緑。あまりに飾り気がないのも寂しいとベルトはバックルが少し派手めのもの。

 靴はスニーカーだが学校に履いて行っているものとは違う。


「髪が綺麗に映えて、良く似合ってますね」

「ふふっ、ありがと。須賀君は結構ラフな格好ね」


 実際竹井先輩の紅い髪が強調されて綺麗なのだ。

 先輩も満更ではないのか、照れたようにはにかみ笑い。

 そんな自分を見られたくないのか、俺の服装に話を流してきた。

 自分で言うのもなんだが、あまりお洒落といった格好ではないだろう。

 それでも品自体はかなりしっかりした物なので安くはない。

 体には自信もあるし、ラフなくらいでちょうどいいと思っている。


「男子高校生なんてこんなもんですよ。夏ですし」

「そうかしら。でもまあ、そうね。(それに体のラインが出てるから筋肉が分かるというか)」

「何か言いました?」

「いいえ、なんでもないわ。それでどこに連れて行ってくれるのかしら?」


 俺が素っ気ないほどにすらっと返すと、納得はしたのか軽くうなずき、

 ちらちらと視線を体に寄越しながら小声でつぶやいている。

 さすがに呟き声を聞き取れる距離や状況でもないので聞き返したがはぐらかされてしまった。

 とはいえこの後の予定を尋ねられたのだから好都合でもある。

 既に昼時。予定している場所までは1時間弱かかる。早めに移動する分には悪いことはないだろう。


「二駅離れたところに石窯焼きのピザが美味しいリストランテがあるらしいんです。

 今から向かえばちょうどランチタイムのピークが過ぎたくらいで並ばずに食べれるはずなので、そこに」


 桃子に以前教えてもらった店だ。深夜ラジオのDJがオススメしていたのだとか。

 さすがに一人で行くわけにもいかず、いつか機会があればと思っていたのだ。


「そ。じゃ、エスコートよろしくね、京太郎くん?」

「お任せください久さん」


 俺のプランを確認した竹井先輩は、ウィンクしながら右手を差し出してくる。

 それに応え、恭しくその手を取り、笑顔を向けてエスコートするのだった。

      , ': : : : : : :〃: : :イ:/7:.∧{ヾ: : : : : : : : : : : : : :.∧

      /: : :/: : :〃: イ /:/ .{:/ `  ヽヘ: : : : : : : : : : : : :.,
     ,: : : /: : : : :7:./  〃  {!  __  .∨: : : : : : : : : : : :,
    . : : :,': : : : : :./   {! ,.ィ '"´   `` ∨: : : : : :ヘ: : : : :
    . : : : : : : : : :/              ∨: : : : : :.}: : : : ,
   7: /: : : : : : 7'"       '"´  _,,..ニュ、 ',: :.! : : :.i: : : : :.
   {:./: : : :,ィ': :,'         ,ィ巧 .::::. 心`ヽ}: :|: : : : : : : : : .
   {/: : : : : : :7=ニュ、       乂. ::: _少  リ: :|: : : : : : : : : ,
   ソ: : :{: : : : { イち::心          `¨´   ,ノ!: :! : /: : : :i: : : }
   {{、: : i: : :.:.ヘ 乂;:ツ           / }: :!ノ: : : : :.!: : :.

   i!. \: : : : : :ヘ   ´  ,              リ/: : : : : /: : :.,
   ヽ  ヽ: : : : :.ヘ         ,     , ': : :/: :./: : : /
      `   .∨: ヽ: : .、     ー '"      人__: : : :イ: : : : :/
        \: :ヽ: : `. .        , ィ _,,{ニニミュ、: : : >"┐
            、: : : :ヽ: :¨: . ァ - ',<: : : : : : :)’ー';.;.;.;.;.;{
             ‐- r===イ ,ィ/ : : : : : :__;.ノ__;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.∨

                /: ̄/´};.;./: : ; ィ'", ‐'' ̄  ` <;.;.;.;.;..∨
                /: : 〃:.i/7: /;.;/  --     ` <;.∨

~昼食後~

                      __
                 , . : . : . : . : . : . : . : . : . ,
               /: . : . : . : . : . : . : . : . : . : .:\
              . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . .,
             ,: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .

             . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . ‐-ヽ: . : . :.
             . : . : . : ./: . : . : . : . : ./: . :.ヘ: . . : .ヘ: . : . .,
            7: . : . : /: . : . : ./:./{: .ハ: . : ヘ: . : . :}: . : . :.
             . : . : .:./: . : . ///   ヾ \: . ヘヽ: . !: . : . .,
           i: . : . :,' . : . :/ 〃       `ーゝ ヽi: . : . : .

           : . : .〃: . :.:/_/          __ !: . : . :}

           : . :〃: . :, ' _ {``     -‐'"´_   !: . : . :
           : .〃: . : {イ笄示㍉      ,ィ升刑ヾ 川: . : i
           i〃{: . : ハ‘ V::ij:: リ`      ち::ij::リ.ノ ハ: . : .,
           〃: .i: . : .ハ  `ー'’        `ー'’ ノ: . : . : リ 、
        >'"{{、: .ヘ: . : .ヘ       ,      , ': . : . : . ノニニ>s、
       /ニニニ||ム: . ヽ: . :ヘ     、  ,    ゝ: . : . イ ニニニ≫"=ヽ
       ,'ニニニiiニニ\: . : . : .>     ̄    イニヽ: . : .ヽニ/ニニニニム
       ニニニ=i!ニヽニ}: . : . : . } i`   __   ´ /ニニニヽ: . : }ニニニニニニニム
      ニニニニニニニニヘノ: . : . /^ヽ       //¨\ノ: /ニニニニニニニニ}

      ムニニ≫、ニニニニ{ハ: . :./ニニ7ニ7      {ニマニニニ'"}ニニニニニニニ≫"}
      マニニニニ≫、ニニヘニヽ:{ニニ7o7      」o',ニニ/´ニニニニニ≫"ニニ
     ノニニニニニニニ≫、ニ} ̄`iニ7ニ7` ー― '"::マニ',ニヘノ/≫"ニニニニ_7

     {ニニ≫==≪ニニヘ{__/ニ7ニ7:::::::::::::::::::>-} o',ニ{ニニニニ--= ̄
    ノニニニニニニニニニニニニ7ニニニ7o7::::> '" ´    `` ー、ニニニニニニニニニ
    }ニニニニニニニニニニニニ7ニニ> '" ´             〉ニニ/ニニニニ7
    ノニニニニニニニニ> '" ´          _, ⌒` ー-ァ ィ }>'"⌒`ヽ、ニ7
   {ニニニニニニ>'"            ,ィ-‐  ―― ¨ ̄ ̄ ⌒``ヽ  ヾ
. ̄ ̄〉ニ>"/           ,..ィ::                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   {/;;{            , ィ::::_                     ,'
   \;;;i         , ィ::}}     ̄  --     _       _/
___≧',    , ィ:::::::::::::〃_____________ ̄__________

       ー '"   `  ̄

「なかなか美味しかったわね」

「ですね。ピザはもちろんジェラートも良かった」

「そうね。クリームチーズのジェラート、最初はどうかと思ったけど美味しくてびっくり。それで次はどうするの?」

「ここからちょっと行ったところに夏スキーができるスキー場があるんですよ。

 腹ごなしに歩いていきましょう。ホテルが併設されてますから温水プールもあるみたいです」


 竹井先輩はなかなか好感触だったようで、楽しそうにしている。

 少し先を歩く先輩の腕と腕がわずかにぶつかりそうだ。

 手を伸ばせば繋ぐこともできる距離。ときおり手をぷらぷらとさせているから、きっとそれを望んでいる。

 俺が歩調を合わせ、手を伸ばそうとしたとき、唐突に先輩が語り掛けてきた。


「ありがとうね、須賀君」

「何がですか?」


 感謝されるようなことに心当たりが全くなかった。むしろ俺は迷惑をかけるばかりだった。


「麻雀部に入ってくれて、よ。

 もう退部したって言うでしょうけれど、それでも私にとっては大事な後輩の一人よ」


 だからこそ、この言葉には驚いた。勝手に入部して、勝手に辞めた。

 軽蔑されこそすれど感謝される謂れは全くない。だから言い訳めいた言葉が口を突いて出る。


「そんな、俺は逃げたみたいなもんじゃないですか。礼を言われるようなことは……」


 しかし竹井先輩はそんな俺の言葉を首を振って止め、なお言葉を続ける。


    /: . : . : . : . : . : . : . : . : ..7: . : . : . : . : . : ヘ

     . : . : . : . : . : . : . : . : . : .7: . : . : . : . : . : . : .
    . : . : . : . : . : . : . : . : . : .:{: . : . : . : .:/: . :.}: .}
   . : . : . : . : . : . : . : . : . : . :i: . : . : ../: . : . /!: .i

   i: . : . : . : . : . : . : . : . : . : i/:.:./: . : .:./:7: .,
   i: . : . ヘ: . : . : . : . : . : . : . i:.:/: . : .:/'. :./: 〃

   {ヘ: . : .:ヘ: . : . : . : .',: . : . : ',: . >'"  {. :. //
   {:.:ヘ: . : .:ヘ: . : . : . : .、: . : . :く       i/ ,'
   :. : .ヘ: . : . ヘ: . : . : . : . : . : . .}       ヽ
    ,: . ヽ: . : . ヘ: . : . : .}: . : . :,'       /
    \: . ヽ: . : ..ヘ: . : . :i: . : .ノ   ``/
      >、{ヽ: . : . \: . i: . ノ    /
     .}:;:;:;:;:;`>s。、‐-==={ `` ー'

     /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:>{: . : \
    ,':;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヘ. : . :.:\

    7:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;__:;:;:;:;:ヽ. : . : .:\
   ,:;:;:;:;:;:;>'"     `ヽ:;:ヽ. : . : . ヘ
   ,:;:;:;:;:;:/           ヘ\',. : . : .:}
  ,:;:;:;:;:;/    ィ = ュ、  ヘ ヘ. : . :リ、
  ,:;:;:;:;7  /       \ ヽ ヘ. : }:;:V
  ,:;:;:;:;:;{  /             \  };ソヘ:;:V

「ううん。あなたが退部を申し出たとき、私はほっとしてしまった。咲を連れてきてくれた時点で5人揃ってしまっていた。

 東横さんはあなたを蔑ろにすることを許さなかったでしょうから、東横さんと私達だと結束した5人にはなれなかったと思うの。

 私は団体戦に出場して、全国に行きたかった。

 そのために、和のようなマスコミ受けする目立つ子がいるチームで男子の須賀君を近くに置いておくことを迷っていたわ。

 どっちつかずで、雑用を任せてしまった。自分の夢のために、あなたを犠牲にして切り捨てようとしたのよ」


 俺も、薄々気づいていたことではあるのだ。団体戦会場で冗談めかして言ってもいた。

 それは集団を運営する立場なら考慮して当然のリスクで、だから先輩に含むところは何もないのだ。

 むしろ俺の我儘を通してもらえてこちらが感謝することなのだ。


「だから、あなたと東横さんが出ていくと言ったとき、心の底から安堵してしまった。

 そしてそんな自分に気付いて、恐怖したわ。それを謝りたかったの、ずっと――」


 竹井先輩の懺悔。それを遮るようにぽつりと雨粒が落ちてきた。

 俺と先輩がそれに気付き、同時に空を見上げる。

 すると瞬く間に泣きだしたような雨模様。

「っ、あそこです!」


 残念ながら雨具など持っていない俺達。どうにか雨宿りできそうな場所を探し周囲を見渡すと、

 なんとも都合のいいことに手入れのされた小屋を発見した。慌ててそこに走る。


「ふぅ、鍵がかかってなくて良かったわ」


 先輩が安堵の溜息を吐く。しかし俺はそれに答えられなかった。

 なぜなら、雨で濡れてしまい見事に透けた下着に視線と気を向けていたからだ。

 当然竹井先輩もそう時を置かずに気付く。しかし先輩はあえて隠さずに振る舞う。


「ふふっ、このままじゃ風邪引いちゃうかもね。ちょうど干す場所もあるみたいだし……」


 そう言ってプチプチと俺の方を見ながらシャツのボタンを外していく。

 透けて見えていた下着がどんどんと露わになる。あろうことかスカートのホックにまで手を伸ばすではないか。

 思わず生唾を飲み込んだ。

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「どうしたの須賀君? そのままじゃ……あら、もしかして私に脱がして欲しいのかしら」



 くすくすと挑発的に笑いながら近寄ってくる。半脱ぎのシャツが揺れてブラジャーがはっきりと見える。

 水が滴り、普段はタイツに隠された素足が艶めかしい。

 ついに先輩が俺の服に手をかけ、潜り込ませて腹筋を撫でるように手を滑らせる。

 にやりと笑う先輩に、どうにかその余裕を削ぎ落してやりたいという嗜虐的な欲望が顔を覗かせた。


「――えっ?」


 俺は服を脱がしにかかっていた先輩の肩をがっしりと掴み、片腕を頬に添えて少し上を向かせる。

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「ん!? んっ むちゅっ  ハァッ ま、んんっ  すがくっ んぁ――」


 唇を貪り、口内を犯していく。肩を掴んでいた腕を先輩の腰に回して体に押し付ける。

 抵抗らしい抵抗もない。むしろ慣れないキスに必死で応えようと健気な様子がますます興奮を誘う。

 表情を窺えば、既に目が潤み霞がかっている。


「んチュっ  ぷぁ はぁ、はぁぁ」


 唾液の糸が引かれ、俺たちは荒く息を吐く。竹井先輩は今にも腰を抜かしそうだ。

 そのままベッドに運び、服と下着を剥ぎ取っていく。

「か、カーテン……閉めて……?」


 弱弱しくそう懇願してくる先輩。だが、俺は無視してシャツの脱ぎ捨てベルトを外す。

 そしてそのまま胸に吸い付く。


「あっ ゃぁんっ」


 乳首を舌で転がしながら、レモン色のショーツの中に手を滑り込ませる。

 さすがにまだ準備はできていないようで、滑りは少ない。

 いったん下半身に手を伸ばすのを止め、胸を揉みながらディープキス。



「ちゅっ んちゅぅ  ぷぁっ   キス、すごいわ」

「好きですか、キス?」

「初めてだけどンムッこんなにチュッ良いものだったのねっピチャ」


 そのまま何分経ったろうか、体のあちこちを撫でさすりながら解していく。


「そろそろいいわよ、京太郎君。その、初めてなんだから優しくしてね……?」

「エロい久さんを見せられて、そんな余裕ないです、よ!」

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          \        \:. :. :.\:. :. :. :. :. :./:./:. :. :. / /       /             //////////
            \      \:. :. :.\:. :. :イ:.:./:. :. :/ /      /               //////////i

「んぁっ!? ~~~ッ! ――――ハァッ! いったぁい~」

「俺と繋がった証拠ってことで、覚えててください」


 その後、久が流した涙を掬い取ったり、キスであやしたりして結局3回くらいはシたはずだ。

 なんだかんだいってもそこまで激しくしたわけではなく、最後の方はきちんと感じてくれていたと思う。

 ……いや、そういう問題ではない。途中から和姦のように見えるが、明らかに強姦だ。

 優しい先輩になんてことをしてしまったのか。

 今も久さんは俺のキスを受けながら甘えるようにきゅっきゅっと締め付けてくる。

 いつの間にか雨も止んでいたようで、今は西日が室内を赤く染めている。

 いい加減止めて帰り支度をしなければ、と考えていると――


                    {//////////////>//>< _r __

                         ∨////////////'"  ニニ \_{ Y )
                        ∨//////>/::::|    __ \_ つノ |/_
       . . : : : ̄ ̄ ー       ∨////  ,:::::::>-=≦/// ト(_/_{_ノ///>
     /: : : : : :/: : : ィi: : : :\     \//   |////////////////////////`丶、
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      r―_ ⌒ヽ\_  7//////,/       ∧            |////////      /\
     ( ――、////>ノ////// \   ,/ / ∧             |//////八  , ⌒ヽi///
     (_ へ////////////,/ \          / / ',               |/////// 人 (r ソ v///
          \///////,/      ― 、 \i     ',              |////////// ̄乂こ)///
          `¨¨¨¨´             \ | |                |/////////////ゝイ///
                           ` ^\            ノ///////////////////
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                                     ――i///////////////////////


「京太郎君、好きよ」


 と俺の目をじっと見つめて言った。ここで俺もだ、と答えるのは容易い。

 しかしそれはあまりに不誠実ではなかろうか。返答に詰まる。


「ふふっ、いいのよ。京太郎君に抱かれていると不安を忘れられるわ。

 他の女の子だって京太郎君にはいるでしょうけど、それでもいいって思ってしまうの」


 何故かしらね、そう言いながら愛おし気に触れるだけのキスをしてくる。


「都合のいい女でいい。だから……京太郎君はわたしをすてないで?」


 言葉は無粋だ。だから俺はただ、しっかりと頷いた。

 久さんはそれを見て、幼気な笑みを満開にする。

 この時ばかりは、年上の女性ではなく守るべき女に見えた。





 それからしばらく、抱きしめ合ってから生乾きの服を着こみ、外に出た。

 デート始めの時とは違う、しっかりと指を絡めて握り合う。


「美穂子が私のことを上埜さんって言ってたじゃない。

 あれはね、親が離婚する前の苗字なのよ。

 どうして話したかって? ふふっ、簡単なことよ?

 あなたにもっと私のこと、知ってほしいから……ね」

                      _......._

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          〃 |:::::::iク,,=ミ、     ̄ ̄\|::::::::::|:::::::/:::::|

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          !  |::/:::| .!_ソ     ー==-、 | /:::::/::::::/
             |:i:::::| ''' ,     , , ,   /::::: /::::::;/
               ∨:八            /::::::::::イ::::::::|
             \ \  ▽ ̄ノ   {::::::::::::::::|:::::::::|
               |\.\ ヽ-   イ:::::::::::::::|:::::::::::\
                  |::/:::::::::ー─、   ∨:|:::::::::|\::::::ヾヽ、
                r/:::::::::::::/lノ∧   ∨::::::::::|  \::::|:リ
              / |:::::::::/  .ト、 ,__/:::::/|/   ∨\
                /  \/    |-──|.:::/        /∠\
            /   |\\. .|.  /∨       / /  \|
             /     ハ. \\|. /      / /      |
           /   \{ \ \|/──── "_/\       |


竹井久の好感度が大きく上がった
竹井久の好感度が一定以上でイベントを起こしたため、絆を獲得
直感が大きく上がった



評価

竹井久:眩しいわね。……好きよ →愛してるわ。捨てないでね?

7月2週終了。




須賀京太郎
属性 :O
技量 :A70→A75
直感 :S84→S84
必然力:A73→A73




筆が乗って書いたけど、ここまでやって良かったのだろうか……?

7月3週  夏休み開始


行動1回目 疲労度5

7.誰かと出かける  数絵 

        44       怪我
        01~20     失敗
        21~50     普通
        51~80     成功
        81~98    大成功
        ゾロ目・77  超成功

  1d100=65 成功


『京太郎? ちょっとお願いがあるんだけど、明日は空いてる?』


 そんな電話があったのは夏休み開始直前。

 俺は終業式を終え、待ち合わせ場所に指定された長野駅に向かう。

 そして艶やかな黒髪をポニーテールにして流している美少女――南浦数絵と合流した。


「わざわざ来てくれて悪いわね。それじゃついてきて、私の家に行くから」

「数絵の家?」

「そ、私の家。……先に謝っておくわ。ごめんなさい」


 唐突な謝罪。この時は意味が分からなかったが、すぐに理由を思い知ることになった。





南浦家

「てめェが数絵の言ってた須賀京太郎だな」

「ったく大人げねェ爺さんだぜ。勘弁してくれな坊主」

「ククク、裏じゃ鉄血と恐れられた男がこれだ。孫は可愛いとみえる」


 数絵に連れられ、家に入り少しドキドキしながら居間に通されたと思えば、

 そこには渋いオーラを漂わせた男が3人。

 いずれもただものではないことが肌で分かる。


「卓につけや、坊主。俺ァ不器用だからよ、口を動かすよりも牌で語れ。

 俺を倒せないような腑抜けには数絵はやれんからなァ!」


 こうして古強者の鉄火場に、俺は落とされたのだった。

須賀京太郎
属性 :O
技量 :A75
直感 :S84
必然力:A73
・スキル
【????】
 芽吹き始めた異形の力。
(効果A)
 聴牌判定値を+10。
(効果B)
 和了判定値を+10。
(効果C)
 打点を+1。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【一球入魂】
 球技の中でも指折りの激しさを持つハンドボールで鳴らした根性。
 まだ麻雀用に最適化できていない。
(効果A)
 判定を+5。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にする。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、打点を+1。

【百鬼の太刀】なきりのたち
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。

南浦聡
属性 :D
技量 :S
直感 :S
必然力:C
・スキル
【百戦錬磨】金
(効果A)
 自身の判定値を+10し、他家の判定を-5。
(効果B)
 聴牌コンマが1位の場合、聴牌が確定して打点が満貫になる。
(効果C)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。

【鉄雨】銀
 南三局以降発動。
(効果A)
 放銃判定値を+30。
(効果B)
 他家の特殊和了の対象にならない。
(効果C)
 2位未満の場合、聴牌が確定して和了判定値を+20。



モブシニアプロ1
属性 :D
技量 :A
直感 :S
必然力:C
・スキル
【老練】銀
(効果A)
 自身の判定値を+10し、他家の判定を-5。
(効果B)
 聴牌コンマが1位の場合、流局しない。
(効果C)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。




モブシニアプロ2
属性 :D
技量 :S
直感 :C
必然力:A
・スキル
【老練】銀
(効果A)
 自身の判定値を+10し、他家の判定を-5。
(効果B)
 聴牌コンマが1位の場合、流局しない。
(効果C)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。



聡・京太郎・SP1・SP2 の順

東一局  ドラ:一筒

京「よろしくお願いします」

1「おう、よろしゅう」

2「……よろしく」

聡「さァ、見極めてやる」

京(ぷ、プレッシャーがやべぇ。配牌も最悪だし……萎縮してるってのか)

2「おっと、悪いな。ツモっちまった。ツモのみ、300・500だ」


聡 24500
京 24700
壱 24700
弐 26100


東二局  ドラ:二索

京(ドラは索子、さらに親。……ここは攻めるか!)

2「お前は確かドラが索子のときは調子がいいんだったな?」

京「え?」タンッ

2「ククッ、ロンだ。チャンタ三色ドラで8000」


聡 24500
京 16700
壱 24700
弐 34100

東三局  ドラ:三筒

聡「チッ。調子いいじゃねェかカイジ」

2「坊主は真っ直ぐだからな。牌譜からでもそれくらいは分からァな」

1「おめェはこの坊主のこと買ってたもんな。ようやくまともな男が出てきたってよォ」

京(くそっ、研究されてるってのか!

  でも、長野1位になっちまったから全国ではこれが当たり前……。

  この程度乗り越えられなくて優勝なんて夢のまた夢!)

京「ツモ! メンタンピンで700・1300!」


聡 23800
京 19400
壱 23400
弐 33400


東四局  ドラ:西

聡「ロン。三色のみで2600」

1「うげ、俺かよお?」

聡「ったりめェだろが。今日のカイジはやべェからなァ、取れるとこから取るだけよ」


聡 26400
京 19400
壱 20800
弐 33400

南一局  ドラ:七萬

2「取れるところから、か。ククク、なら俺もそれに倣うかね。

  おう、ロンだ。タンピンイーペードラドラで8000」

1「うぉい!? 坊主の見極めじゃなかったのかよ!」

聡「何ボケてんだジジイ。俺らは俺らで飲み代賭けだろうが」

1「聞いてねェ!」


聡 26400
京 19400
壱 12800
弐 41400


南二局  ドラ:七筒

京(カイジさん、上手くて早くて高い……。今の俺じゃ狙い撃つのは無理。

  だったら、ツモるだけだろ!)

     _ / ,  / //|     , | ,:  |  V  :.
     ` ̄ /  ' | |∧ |  / },l --|   |   |
       /,イ  { |-- 从 / /,ィrtォ、 , |   |
       /  ∧ |,ィtォ、∨ '  Vり {,イ /-、  }
      / イ{从{ Vり }/       |イ l) } 从
      ̄    Vr:l    '           //
          l叭    _      r ' /

             、  `ー`    イ  {
             \      /  |∧」
                ` r‐ ´「 ̄ ̄ ̄}
              「 } |    |///// ∧
               |/|_,ノ   /////////≧=-
           _//∧   「/////////////////≧=- 、
       -=≦/////〈 ∧_///////////////////////∧

     /////////////V∧/////////////////////////∧

      ///////////////\{///////////////////////// ∧
     ,'/////////////////|o//////////////////////////{
     {/////////////////{/////////////////|//////////|

京「ツモ! トイトイ三色ドラで満貫、4000オール!」


聡 22400
京 31400
壱  8800
弐 37400


南二局一本場  ドラ:四筒

2「いい気迫だ。だが――チー」カシャン

1「坊主狙いか?」タンッ

2「ククッ、それだよ。ロン。三色ドラドラの1本場で8000」


聡 22400
京 31400
壱   800
弐 45400

南三局  ドラ:四索

京(喰い取られた……?)

2「ハコったら次も奢りでなイチ」ククク

1「ぐぬ、言ってろ!」

2「……リーチ」

京(リーチ? それだけ良い手ってことか? ……違う。ここだ、こここそが勝負時。

  慢心、余裕、手抜き、何にしたって……塞いだことを後悔させてみせる――)

京「追っかけますよ、リーチ!」

2「クククッ、いいぞ。そうでなくちゃ面白くねェ」タンッ

京「ロン! リーチ發……裏無しで2600。くそ、こんなんじゃ全然足りねぇ」


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
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'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、



聡 22400
京 35000
壱   800
弐 41800

南四局  ドラ:一萬

京(トップとの差は6800。捲るにはザンク直撃か4500以上のツモが要る)

2「諦めてねェって面してるな。それでいい。諦めずに突っ走る坊主の麻雀。

  それに惹かれる奴も少なからずいるだろうからなァ。

  だが――ロン。今回は勝ち逃げさせてもらう、ククッ」

1「って俺かよ! しかもタンヤオのみとか! それでも俺ハコじゃねーか!!」


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


聡 22400
京 35000
壱  -700
弐 43300


「――ありがとう、ございました!」


 対局が終わり、俺は一瞬目を瞑ってから頭を下げた。

 直取りこそできたが、2600止まり。満貫を取られている以上完全な負け。

 ネトマなどでも感じたが、俺は完全に天狗になっていたんだろう。

 個人団体共に制覇したが、それはあくまでも長野県内に限った話。

 衣さんや憩さんといった屈指の強者がいたとはいえ、全国にはまだ上がいる。

 高校生だけで言ってもそうなのだ。プロなど上を見ればキリがない。

 それを思い知らせてくれた。叱ってくれる人は大事にしろと言うが、身に沁みる。


「おう、まあいいってことよ。つーか、俺に華持たせろやカイジ」


 苦笑いしながら南浦プロはカイジさんを睨んでいる。

 確かに数絵のお爺さんへのご挨拶、という状況で横から掻っ攫われたわけで。

 それでもカイジさんはくつくつと笑うのみでまるで気にしていないが。


「さて、数絵が貰われるんだ……今日は飲むぞ!」

「あの数絵ちゃんがついになァ。ま、坊主なら大丈夫だろうよ」

「坊主、いや京坊。また天狗になったら鼻っ柱ブチ折ってやるから安心して突っ走れ。

 それと……ガキには酒は早いからな。どうせ聡はすぐ潰れる。

 2,3時間外で時間潰してな。祝儀には少ないから小遣いと思って持ってけ」


 南浦プロがおもむろに一升瓶を取り出し、イチさんがごそごそと乾き物を並べる。

 そんな二人と目を白黒させる数絵を尻目に、カイジさんが俺ににやりと笑いかけて

 手にぽち袋を握らせてくる。突き返すのも失礼だし、ありがたく受け取っておく。


「ありがとうございます。……数絵、ちょっと外出ようぜ」

「え? ええ、うん」


 そうして俺達はカイジさんの助言に従って外にでた。

 2,3時間の時間潰しとなると……数絵に何か心当たりがないかを聞けば、

 近くに映画館があるのだとか。話題の大作が公開されている時期でもないし、

 時間もまだ昼の15時。人もほとんどいないだろうからおそらく貸し切りみたいなもの。

 二人きりで話すのにもちょうどいいと飲み物やら軽くつまめるものやらをコンビニで仕入れて向かった。

 選んだのは、一昔前に人気を博した恋愛映画。

 プロスポーツ選手を目指す大学生と元プロを親に持つ女学生とのラブコメディ。

 物語中盤でヒロインの親に実力を認められて婚約、晴れてプロ入りして……というストーリー。

 少し今の俺達に被るところがある。別にプロを目指しているわけでもないし婚約もしていないが。


「今日はほんと、ごめんね京太郎」

「何謝ってるんだよ。むしろ俺が感謝したいくらいなんだ。

 正直、俺は個人で1位になって浮かれてた。これなら優勝も簡単じゃないかって」


 俺の言葉の背景で、数絵と俺しかいない客席にプロスカウトに目を付けられた主人公の活躍が流れる。


「それが、あのザマだ。数絵のお祖父さんやイチさんやカイジさんを見くびってたつもりはなかったけどさ。

 満直もらって俺はリーチかけてようやくの2飜。手も全然読めなくて、戦ってるレベルが違う、そう思った」

「それでも、京太郎は格好良かったわよ」

「そうかな」

「ええ」


 いつの間にかスクリーンはエンドロール。暗闇を白い文字だけが登っていく。

 どちらからともなく俺と数絵は手を握っている。そしてお互いがお互いだけを見ていた。


「京太郎」「数絵」


 吸い寄せられるように近付き、唇を重ねる。柔らかな感触、ほのかな温かさ、爽やかな香り。

 全てが数絵を感じさせた。

 そうして唇を離した瞬間、館内に再び光が灯る。

 少し顔が赤い数絵の顔が視界を塞いだ。その顔が恥ずかしそうだが幸せそうに笑む。

 腕の中には数絵の体温が残されたまま。

 もう一本くらい見ていっても、時間は大丈夫だろう――



南浦数絵の好感度が大きく上がった
南浦数絵の好感度が一定以上時にイベントを発生させたため、絆を獲得
直感がわずかに上がった

7.誰かと出かける  小蒔

        44       怪我
        01~20     失敗
        21~50     普通
        51~80     成功
        81~98    大成功
        ゾロ目・77  超成功

  1d100=49  普通 7の倍数によりグッドイベント判定

  1d100=57  3の倍数によりキャラ遭遇 遭遇:霞

  1d100=65  5の倍数によりマイナスイベント判定もグッドイベントで相殺

        01~32   
        34~65   
        67~89   
        90~98   
        ゾロ目


  1d100=16  失敗


「あ、須賀さん!」

               .  -‐──‐- .
.             /.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 、
            .:.:.:.:.:.:../.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
           /.:.:.:.: . /.:.:./.:.:.:.:.:.:.:: |i.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.,
.          /.:.:./.:. /.:..λ.:.:.:.:.:.:.:.. |i.:.:.:.:..i|.:.:.′’
.         ..:.: /.:. /i|.: .| Ⅴ.:.:...:.:.. j.:ト、.:.:.i|.:.:.:.|.:.::,

.          ,.:.:.:.i|.:.λ从i:| Ⅴ. : /|/,/ |/|/j {|.:.|.:.:.′
         ′.八.:.|      Ⅴ/     |   |.:.}.:.: |
         |.:.:.:.:从ゝ ,.二     ,二..._  /./ . .:.|
         |.:..:.:.:.| l.〃⌒^      ^⌒~ヾ .イ.:. .:.:.|
        八.:.: ∧ム      '      /ノ.:.:.:. /
          \.:.:.:込    v:::ァ     ′.:.:.:/
           \.: 、>        イ /. /

            /./  ノ`  ‐‐ <\:≦
.           ,.:.:.:./ / i|    l} \. ′\
          /7.:.;≦  八.    /   ヽム.:.:′
        ,.  ´;.:.:.′    \/′  /  ′.|≧ 、
.       ハ   |.:.:|  ∧    /.   /   |.:: |  λ
       / i| 八.:.|  ∧.  . ′  ′.   |.: ′/ Ⅴ
.      /.  i|   、{   ∧. ′.  /.    八 /   Ⅴ

 数絵との逢瀬とはまた別の日、ぶらついているとこちらを呼ぶ声がした。

 その鈴を転がしたような軽やかな声は、先日会った神代小蒔さん。

 調べてみたら鹿児島の県代表。なんで長野にいるのかますます謎が深まった。

「神代さん。こんにちは、奇遇ですね」

「えへへ、実はここに来ればまた会えるかな、と思いまして」


 神代さんがにっこりと笑う。相変わらず可愛らしい。

 爛れた自分の生活を思い返すと浄化されそうな気すらする。

 とにかく再会を言祝ぎ、すぐそばにあった段差に腰掛ける。

 神代さんの座る場所にはハンカチを広げておいた。


「ありがとうございます。……それは何でしょうか?」


 お淑やかに座った神代さんが、俺が手に持っていた飲みかけのMAXコーヒーを見て首をかしげる。

 甘いものを飲みたい気分だったので買ったのだが、まさか興味を示すとは。


「缶コーヒーです。飲んでみます?」

「よろしいんですか? でしたら一口……」


 手渡して気付いたが、いわゆる間接キスになるのではなかろうか。

 両手で缶を持ち、コクリと喉を鳴らして飲む神代さんは非常に可愛らしい。


「……甘いです、すごく」


 それはそうだろう。MAXコーヒーと言えばその暴力的な甘さで有名だ。

 薬品臭さがあるわけでもなくただひたすらに甘いだけなので、

 癖のある清涼飲料としてはマシな部類だろうか。

 微笑ましい感想に笑みをこぼしながら、缶飲料を飲み慣れていないためか

 口の周りが少し汚れていたのでポケットティッシュで拭ってやる。

 そうすると汚れていたことに気付いたのかとても恥ずかしそうだ。

 子供っぽいところのある神代さんだから普段から似たような扱いなのかもしれないが。

 それでも笑っていてくれるから嫌がられてはいないと思える。

「小蒔ちゃーん? あ、ようやく見つけたわよ、小蒔ちゃん!」

「へ、霞ちゃん?」

                ...-―――-...
               /:::::::::::::::::::::::::::::::::\
             /::::/:::::::::::::::::::::::::ト:::\::\
           /::/::/:l::::l::::|l::l::::::::::::i‘:::::::ヽ::::ト、

           .:::::l::::l:l:l::::l::::リ:ハ:::::::::リ-‘:::|::|l:::|i|
            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|

             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  Ⅳ:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ
        i     -==ミヽ /_  /      }'         ‘.
        |  〃    / ̄ `丶       i         i
       〈  {i   〈 ,ィ  、   \  ノ        ノ
        |\八   ∨⌒ト、 〉 ! ! i/        /{
        |  \\   ヽ  }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦  |

 神代さんを探すような声が聞こえ、俺と神代さんはほぼ同時に声のする方に顔を向けた。

 しかし俺は言葉が出なかった。というか開いた口が塞がらなかった。

 なぜならそこにいたのは和や神代さんを上回る爆乳のおっぱいお化けとでも言うべき女性だったからだ。

 思わずその胸を凝視してしまったのは仕方ないことのはずだ。

 男女問わず見てしまうに違いない。俺は悪くないはず……だ。

 しかし霞というらしい女性はそうは思ってくれなかったようで――


「何者ですか! この方が神代の姫巫女と知っての狼藉か、痴れ者め!」

「か、霞ちゃん!?」

「姫様、このような穢れた者の傍に居てはなりません。一刻も早く神境に戻りましょう」

「あ、ちょっと霞ちゃん!? す、須賀さん、また――」


 突然怒鳴りつけられて驚いているうちに、

 その体躯からは考えられないほどの素早さと力強さで神代さんを連れて山奥へと去っていってしまった。

 そういえば、コーヒー返してもらってなかったな。




神代小蒔の好感度が上がった
石戸霞の好感度がわずかに上がった

行動3回目 疲労度3

8.インターネット ネット麻雀
 1d100=45 15の倍数 小蒔&霞+1人(怜)

 4d100=31・85・2・14  49+31=80/26+85=111/46+2=48/23+14=37

 1位小蒔(40200)2位京太郎(29000)3位霞(17400)4位怜(13400)


 気を取り直してネトマでもしよう、そう思って俺はさっそく家に帰り、PCを立ち上げた。

 ちなみに今は桃子が夕飯の準備のために俺の母さんと一緒に料理中だ。

 もしかしたら今夜は泊まっていくつもりなのかもしれない……。


「ま、それはそれでいいとしてっと。……空き部屋はないか。

 それじゃ自分で卓を作って……」


 部屋を作成し、募集をかけるとすぐに一人入室してきた。HNはplus ultraさん。

 挨拶を交わす前に二人、さらに入ってきた。待ち時間がないのはありがたい。

 ちなみにHNは……こまきさんとkasuminさん。何やら聞き覚えのある名前。

 とはいえ俺の思う通りなら強敵である。いい練習になるに違いない。さあ、やろう。


――霧島――

「あ、霞ちゃん、きっと須賀さんですよこの方!」

「小蒔ちゃん、急に走り出したと思ったらすぐにぱそこんを触って……」

「むぅ、麻雀の練習になるからいいじゃないですか」

「まあ、それはそうだけれど。この卓でいいのね?」

「もちろんです。

                        /.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::\

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             / ̄ ̄⌒>=弍犲ハ 斧ミメ乂: 彡イ ./::/.:.:.:.:/.:/
              /      /   ` ̄`} `''’    f斧ミメ::イ/./:}
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                 / /  / . 个   ー     <r<  /
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              r'⌒   |  //  |  ヾ  〃_彡リ |  ヽ
      / ̄` ー--rヘ {    乂〃.   ヽ/ ̄/ ̄ ̄`7 /   ∧
     /       /⌒ヽ __/        У /   /Y   ./
    /       /     У /      ./ /      ト、 /   〉
.   /    r'  ̄    / /  {      / /       } V    厂ヽ
  厶斗- '  __彡  /  乂   / /        /  ト---<ソ⌒
 ./               /      }ト、/ /         /   〉
こ{              /        }三ニ=--   --=≦    /     }

 全力で――行きます」スゥ  ゴッッ

(調整なしで降ろしたというの? それもかなり上位の神を。

 ……祓方がいないときは穢れや過ぎた聖さは私が被るのだけど。大丈夫かしら)

~数十分後~

1位 こまき  40200点
2位 きょー  29000点
3位 kasumin 17400点
4位 plus ultra 13400点


「いやあ、こまきさん半端ない強さだった」

『私頑張りました!』

『頑張ったからいうてどうにかなるもんと違うと思うんやけど(白目)』

『少しは……いえ、なんでもないです』


 kasuminさん、こまきさんが神代さんだとしたら霞さん? だよなたぶん。

 なんか調子悪そうだったけど大丈夫だろうか……。


――霧島――

「やりましたよ霞ちゃん!」

「え、ええ、そうね」


 小躍りしそうな勢いで喜んでいる小蒔をよそに、霞の頭は疑問でいっぱいだった。

 今までも何度かネット麻雀をしている小蒔を見ていたし、他の側付きのものからの報告にも

 小蒔がネット麻雀で神降ろしをしていたことなどなかったのだ。

 だからさすがの神も電脳世界は管轄外なのかと思っていた。そう、思っていた、だ。

 しかも小蒔自身に何をしたかという記憶こそないものの、眠っている間の出来事をしっかり自分がやったことだと自覚している。

 紛れも無く、一歩先へ踏み出したのだと確信した。

 そしてそれを引き出したであろう、さらにそれと対等に戦って見せた、須賀京太郎。

 自らの胸を凝視していたために不審者と思ってしまったが、あるいは……。


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3人選択時に2位だったため、対局者全員の好感度が少し上がった

行動4回目 疲労度3

8.インターネット ネット麻雀
 1d100=36 一人選択 白望
 2d100=73・45  勝利


 神代さん、やっぱり強いんだなぁ。このままうかうかしてたら全国でも同じ結果になるかもしれない。

 ということでまだまだネトマをすることにする。部屋は……空いてるな。


「えっと、lazyさんとデフさんとオールトさんか。よろしくお願いします、っと」



小瀬川白望の好感度が上がった





7月3週終了。


合同合宿前にスキルを一つ覚醒判定 1d100=65


須賀京太郎
属性 :O
技量 :A75→A75
直感 :S84→S85
必然力:A73→A73

7月4週  合同合宿 1d100=96 大成功 スキル合成確定

 プロを招聘。一人は藤田靖子で確定。もう一人選択=瑞原はやり

 2d100=02・83  靖子 失敗  はやり 大成功


『そういうことだからよろしくね』


 どういうことなの……。7月もとうとう最後の週。インハイまであと2週間。

 どうしたものかと思っていたところに電話がかかってきたのだ、久さんから。

 久さんが言うには、今の自分たちではまだ全国で戦い抜くには不安がある。

 それを解決するには特訓が一番。なので指導者を呼んで合宿をしようと相成った。

 県外の代表選手とはインハイまで対局制限があるのだが、県内であればそれはない。

 ならば県内のハイレベルな選手を集めてしまえばwin-winであろう。

 ということで決勝に残っていた4チームと、俺達が準決勝で破った鶴賀に合同合宿を打診したのだとか。

 そこで問題になるのが俺、須賀京太郎という男子の存在なのだが……。

 風越のコーチに、久さんが伝手のあるプロ雀士、大人はこの二人だけ。

 これでは風紀の面で問題がある。……はずなのだが。

 一応龍門渕が参加すればあのイケメン完璧執事さんもいるから龍門渕は問題視せず。

 鶴賀はどうも、やたらと運の良い人がいるとのことで――おそらく妹尾さんだろう――

 佳織がいれば悪いことは起こらないだろうという謎の自信をもって了承。

 清澄は久さんが「いざとなったら私が責任を持って発散させてみせようかしら」などと。

 和が「だったら私が!」とも言ったらしく……確かに狙うなら原村だろうという意見と、福路さんの意見もあり風越も了承された。

 どういうことなの……ほんとに。いや、仲間外れにされないのは嬉しいのだ。

 だが、一切信用されていないのは……自らのこれまでを省みれば当然か。

 そんな事実に呆然としている間に、いつの間にか現れた桃子がさっさと俺の荷物をまとめてしまった。

 そしてどこからともなく現れた数絵に引っ張られ、身支度を整えると車に引っ張り込まれた。

「おう、お前も苦労するな」

「南浦プロ? えっと、お疲れ様です……?」

「狭くて悪いが、まあ2時間ほどのドライブだから我慢してくれや」


 豪快に笑った南浦プロがそう言って車を発進させた。

 助手席には数絵、俺の両脇には憩さんと絃さん。桃子はちゃっかり俺の膝の上だ。


「……ああ、なるほど。南浦プロがいらっしゃれば大人の頭数もマシになるってことですか」

「あん? 俺は合宿所には泊まらねェ」

「え」

「ま、大奥気分でも味わっとけや。若い頃しか無理はできねェからな。

 俺だって若い頃は女を賭けて麻雀したもんだぜ」

「――お祖父様?」

「おっといけねェ。今のは無し。無しな」


 数絵の冷たい視線を笑って誤魔化した南浦プロ。

 さりげなく憩さんが俺の手を握っている。

 それに気付いた絃さんが俺にもたれかかる。

 酒池肉林に見えるが実はクトゥルーの腹の中、そんな気分のまま合宿所に到着したのだった。


「やー、ついたっすね! ここはなんと温泉も併設されてるらしいっすよ」

                        __
                   .  ´        `  :、
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        ///.:.:.:.:.:.|.:l: 〉{ んハ     ん ハ Y}-、l.:.:.: | |.:.:.:.:.:.:.|
        〃 { .:.:.:.:.:.|.:| ハ 弋rソ    弋_rソ :|:|ん} .:.: | |.:.:.:.:.:.:.!
        {{  ヽ.:.:.:.:.|人 } .:.:.  '    .:.:.:.  }:}, イ.:.:.:.:| | .:.:.:. /
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              |.:.:.:/ .:..:/.:.:.:.:.ハ ‘┴─/ /`ヽ .:|.:.:.:. |人:.{
            ノ .:/ 厂二ニ=┘}  }.........{  {   }‐く二二「}\、
            /: / .:辷ニ=7 人__丿......人__廴ノ { てYV〉 \ 、_, イ
    ー==彡'  /:/ {_,7 /........................ , ┘  {__)....ヽ   `ー一'′
          /:〈...../    \.....Y....../     `ヽフ........〉

「いらっしゃーい☆」

「ようやく来たか……。お前たちで最後だぞ。――ああ、南浦シニアプロ。ご無沙汰しております」

「藤田の嬢ちゃんに……瑞原のか。確かプロは俺と嬢ちゃんだけのはずじゃァ?」

「はやりも歳が歳ですし、そろそろ後継者を探そうかなって思いまして。

 長野には原村和ちゃんや福路美穂子ちゃんがいますから。

 靖子ちゃんに指導の予定があると聞いてついてきちゃいました☆」

「瑞原はやりって言やァこの時期はライブや非公式大会巡業で忙しいんじゃねェか」

「はやりの本業はあくまで麻雀ですから☆」


                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }

             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}


「――なんで瑞原プロが!?」

「おいおい坊主、驚いたからって年上の話を聞き逃すのは感心しねェぞ。

 第一まずは指導してくれる嬢ちゃんたちに挨拶するのが筋ってもんだ、なァ?」

「荒川憩ですぅ、よろしくお願いしますーぅ!」
「霜崎絃。ご指導よろしくお願いしますわ」
「南浦数絵です。今回は御教授をお請けいただき感謝いたします」
「東横桃子っす。お二方のご活躍はいつも拝見しておりますっす。よろしくお願いします」


「え、ちょ、なんでみんなそんな自然に適応してんの!?」

「京ちゃん、まずは挨拶っすよ、人付き合いの基本っす」

「ぼっちだったモモに言われた!」

「京ちゃん京ちゃん、普段お世話になってるはやりんを前にして緊張するのは分かるっすけど、落ち着いて深呼吸っすよ」

「はやや、えっちなのはダメだと思うよ☆」

「ちょ、違います! いや、確かにそっちでもお世話になりましたけどって違う、そうじゃない。

 教本っす! 瑞原プロの初心者教本には4月に大変お世話になったんですよ!

 今の俺があるのは清澄と瑞原プロのおかげといっても過言ではないくらいで!」

「初心者教本……ああ、お爺様の本を薦めたときの。結局買ったのね、あれ。結構際どいグラビアとかもあったと思うけど」

「数絵さん、勘弁してください……」

        ( ̄ \ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ ___  ★
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人 .:.:.:.‘ 爪    V.:.:个..  V ノ  イ.:.:.:.:.:.:.:.:|    |.:.:.:.:.:/   ∧_
  ヽ.:.:.' 〔::{ \   /7¨ヽ:.:.:≧-≦- 、:.:.:./ ̄ ̄ >-、 .:.:.:/  <:.:.:.:.<
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    从_::::::{_/      }\       ` ̄\ :::: |_/.  \
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  ..:: 八::::::::::::::::::::::::::::::...      ...::::从/ .:/  ノ 、     /

「ふふふ☆ ファンがいてくれる場所でのはやりは無敵だからね☆

 みっちり指導してあげるから覚悟するんだよ★

 具体的には対局4回くらいしか記憶に残らないくらいみっちりと★」

「……まあ、男子高校生となればこんなものか。久もこんなののどこが気に入ったんだか」

                _,、-=<:ヽ
           , '´_  `ヽヽ::゙、

             〈.:..`´     ノ:::::i
            ヽ `ヽ  __ヽ::::::!
           ノ!   ニー--'::::;::゙、
         ,..-‐iニニヽ/ノノレ'´!ノ ̄/`ヽ
      __/,イi'´,.._O'/   ト-、  /    i
    rr‐' /./.レ'// __〉 ヽ'     |
    /入/ー┴ ┴/-<´      |     !
  /イ| {   i   . /  />     |   /
.  | 7i.| |   ゙、  / .//--―--、 |   /
  Y V    / /'´ | /  / \!  /

対局4回分を描写し、その後全体コミュを行います


1回目  京太郎・靖子・衣・透華(冷やし)


藤田靖子
属性 :O
技量 :S
直感 :S
必然力:S
・スキル
【まくりの女王】金(逆境○+勝ち運+スロースターター)
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に1位でないときに効果発動。
(効果A)
 発動条件を満たすまで、判定を-5。
(効果B)
 判定を+50。
(効果C)
 オーラス時1位でない場合、逆転に最低限必要な役を聴牌する。

【対オカルト○】
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を+10する。



龍門渕透華
属性 :O
技量 :A
直感 :C(S)
必然力:B(S)
・スキル
【目立ってなんぼですわ!】銀(対エース○+チャンス○+闘志+安定感×+対オカルト×)
 富豪の家に生まれた一粒種であり、蝶よ花よと愛されてきた生粋のお嬢様。
(効果A)
 公式戦などの重要な局面でエース級の相手と対局する場合、判定を+20。
(効果B)
 【威圧感】の効果を受けない。
(効果C)
 リーチをかけた場合、
 そのコンマが奇数の場合は01、偶数の場合は120として計算する。
 この効果が発動して和了に成功した場合、打点を+4。
 ただし満貫以上の場合は+2。
(効果D)
 一人聴牌のとき、和了判定を+20し打点を+2する。効果Cと重複する。
(効果E)
 オカルト属性の相手と対局するとき、判定を-20する。

【治水】
 激流や大波という水龍の化身を調伏するために編み出された強大な力。
 ア)同卓者に必然力A以上の者がいる状態で、
   他家のスキル効果により判定値で3位以下になる
 イ)同卓者に必然力B以上の者が居りかつ自身が敗色濃厚になる
 上記のいずれかの条件を満たした場合に発動する。
(効果A)
 このスキル以外のスキル効果を全て無効にする。
(効果B)
 和了判定値を+30する。
(効果C)
 自身より必然力が20以上高い者には効果を発揮しない。

東一局  ドラ:二索

              //    ト、ヾ、 /// !      ゙、
              i |      ト、ヽ.V///i     |
                |  i    |゛゛゛゛/""´//     ゙、
                  |   !    丶   |   |.ハ     ゙、
             | /    i   \.!   || !_, -‐   ヽ
              !.//i  /    ヾ、 ーニ、´、 _   ヽ
           , .,ノ  !  /     i ハ ,::t==ァノ'´、    、\
        , -‐ ´'´/  / /.      /ノ::::i:..... ̄ 、、iヾヽ   、 、\
      /   // ./ /     //::;::ノ::::::   /) }| `   ゙、 丶ヽ
      i   ./.  //      //_  __   /_ノ| |     }  ヾi
       _ ‐'/ /´.    //、 `  ´  / l | //    ∧.   |
..----― '-‐.´ /     /,.イ | .!`:..、_,...::' |、| | |./    /、 `ー-ノ、_
フ ´  ̄    /     / / /,ィ'´ `ー- 、,、‐'´ .\./    /   \..ノ   ̄`ー-、__
      , -‐´i     i  l ̄\   ,イ、_|,_>、  /  / 丶   丶、       `ー
  _, -‐ ´    >、     \|   \//ハヾ、>' .//ヽ   \r-、  `ー-、_

透華「――――」

京(な、んだ……このプレッシャー!)

衣(む、そうか。透華もきょーたろーを制すべき魔と認めたか。

  しかし透華よ、きょーたろーは衣と違い龍を殺す者。龍を制する治水の力では……)

靖子(これが龍門渕の治水、か。直系の子のみに受け継がれる当主の資質だと。

   しかしこうなると地力のみで山河を切り拓かなければならない。技術で負ける気はないが)


 卓上を異様な圧が覆っている。河はその圧で強制的に凪がれ、手は皆平らかに。

 だが透華だけはその圧を受けず、手を伸ばす……はずだった。


京(手が重い。いつもある勘が塞がれているような、押さえつけられているような。

  でも、手が、重い。いやこれは……使えっていうのか?

  この程度は切り裂いてみせろと、そう言うんだな? だったら――)

京「――ツモ! メンタンピンイーペードラで満貫、4000オール!」


京  37000
靖子 21000
透華 21000
衣  21000

東一局一本場  ドラ:四索

衣(きょーたろー、やはり)

靖子「ああ、そういえば言い忘れていたが、練習試合だから飛び無し続行にする。八連荘は役満扱いで輪荘だ」


「「「「聴牌」」」」


京  37000
靖子 21000
透華 21000
衣  21000


東一局二本場  ドラ:七萬

透華「ツモ。三色のみ、2本場で900・1500」


京  35500
靖子 20100
透華 24300
衣  20100


東二局  ドラ:四萬

透華「リーチ――

                     〉〉|.|         ヾ\人 ,、

          _     i、 ⌒ 、<<ノノ         ヾ    |/. |  / /
        /     ヾ\l | / 〕|//         \        '//
       /      ヾ    -‐'/         三    /ソ   ー___
      / _人,_, -‐' ̄   _, -‐'            彡,,  / /   ミ ̄ ̄Z_
___, -// ̄ ̄  , -‐―'〉/              / r / |_   \    ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ || /   〈 ̄    //__             //  ┴、
     |/   /〉〉      ̄ ̄//゙             |     /
     |  / 〈〈       _〉〉              |    /
    .| |  〉〉     // ̄       .i' ̄ ̄ ̄`ー-―ー┼、_

     |  | <<__    //  __, -‐ ‐-、_ `     /  〇 /    ̄`ー、
      \ \ ̄`へl | l// /     / ̄`!    ,〈' ̄ ̄ /        ノ__
       \  ̄    ー'  ィ  ̄, イ   イ!〈_  /_/   !   _/ ̄ ̄ ̄
          ̄二=‐'  , イ/////   /::::<== |r'     /__/ ̄
../ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄____, -‐( |// 〈   |::::::::::>/|/     /|「 ̄ ̄

  / ̄ ̄ ̄/   __, -z二//.| |:.....\  |::::::〈/ |      /  〕|_/ ̄ ̄ ̄ ̄
./  / ̄ ̄ _ // √`ーヘ:::::::::::::\|:/ ./      |_/_, -――――- 、_
  /   //   .イ        ̄ ̄`ー≪_几      /______
. /   / /  / ,|  _ ___   _, -'  |     /          \,
/   / / /|  /|   _`ー 、__  __\   /ー―---、__

|   .|// / / /|      |     `ー--、___/_ \__ー-、  \
|    \|__/// |     /      \   .\  .\\`ー、_\ \
>、_  \/ /   |     | |      |\┐ \/ ̄√`--、_
/  人   \|   |   /  |    ,イ   /  _r'//  ー--、i |
 /  )    )   | /    |  / |  ∠| 」(人 <ーァ-、_!ノ
(  /   /    |/     |/|_  \\| 〉/  \ノ
 \|   /     /|      (  ノ ,  \./

 一発ツモ。立直一発ツモタンヤオ平和で2000・4000」


京  33500
靖子 16100
透華 32300
衣  18100

東三局  ドラ:五萬

京(と、止まらねぇ……! 俺だってほとんど無駄ヅモなしだったぞ!?)

衣「ククッ、さすがは我が従妹。龍を制する家系よ!

  だが、衣とてその末席。素直に負けてなどやらぬぞ。


                /    \ | { /__      \
                    ィ彡-――`      \
                 ’    //    \ \    ヽヽ
                i  |        /   ヽヽ  ヽ  ヽ .ト.',           ィ _二ニ=====‐-
                |  |  i.   /l l l   .トト、  |   .||リ          '/
                |  |  |   ||jl ト  |j l斗从|. .|人        ィ /
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                |  l',  ヘ,ィ"T芯` j/ '弋リ レ  \ \ ` ー- _z≦二二二ニ‐-< ̄`
                |  | ',  {ト 弋_リ   ,   ""!ヽ、  \ ` ー- _ ――ァ…  ̄ ̄ ̄ ` ヽ、
             八 . |  ,.  ヽ""  __  ィ  ,イ   >―-、`ヽ    ,≦=- 、         \
               /  .ノ  ト、 込、   ` ー ´ く| V´   -、>- __`=‐- 、` ー≧`x _
            /  /.  .l ', ∧冫==‐ チ、_八 ヽヘ       ヽ ` ̄ ―――- 、 `
.           /  / / ̄`ー∨ |≧―く人r´  .ヽ ` ー- _ -┴…=ニニ=‐ 、  ヽ |`\   __ _
           /  / /   .__ ノ  ノ   ==}_.}_  \ _____        `ヽ、 . ソ  Уγ‐ァ'一`
.           /  厶-‐  ̄   イ、   ノ/ハヽ`、二 ̄ヽ /  `ィマ  ̄ ̄ `マ ヽ    /‐―ァ 二ニュ
           厶 ´  _ -‐一 ´ .| .}γ_ ィ/  ヘ \  ≧ュ{ ヽ/  ヽ     | ヽ |_ -‐ァ' 〈´¨ __` ‐-、
       /  _ イ / 、      ∨ ̄ .ん=、  .}  \/人  Y\   γ` …ー-‐ ア   {  ノ ノ   ̄
     ,イ/ / / \ >-‐≦、  ヽ 厶-、 `=ヘ.      \ } ̄`ー 、       八    >"
    /.{/ /  ./   `|O|_   ヽ/ λ |  ̄丁',       ン≧―マ  _. -┬t 丁Ti ´
.    / /| 〈  ./ __l `ヽア  `ヽ ハ/ ヽノ   | ヽ、  ィ´   |  `     .| .| | リ
   / /λ ト` /_/ r‐|_λ_ \_   ムノ/  /    ._|.  `´  .|_ ィ_.ム.         | .l .ノ
.  / / .ハ | //ノ ノ ー    `ー‐ァ' x≦_ -‐ ¨     / ト、  |         ′′
 / / /  ヽ, j ,ヒ_   , 、_ィく フ¨´/  r'  __   /  ノ \ |     /
./ /      .ノ7  ` K__ ノ λ    _j        ̄    /    \  ノ/
. /  i    「´    | \  /{  /_ /                   ヽ/´
. l   |     |     |  i` ´  〉  ./                  ハ
. l. 八    |     |  ヽ   ヽ ./                     j


  ――ツモ! 純チャンツモで2000・3900だ!」


京  31500
靖子 14100
透華 28400
衣  26000



東四局  ドラ:一萬

透華「リーチ」

京(くっ、調子最悪……。聴牌できる気がしねぇ)


京&靖子「「ノーテン」」

衣&透華「「聴牌」」


京  30000
靖子 12600
透華 28900
衣  27500

東四局一本場  ドラ:五索

透華「リーチ」

衣「衣も乗っかるぞ。リーチ」

京(やべ、オリないと当たる気がする)


京「ノーテン」

「「「聴牌」」」


京  27000
靖子 13600
透華 28900
衣  27500



東四局二本場  ドラ:四萬

京(ついに3位転落……。藤田プロは後半追い上げ型だから実質4位みたいなもん。

  このままじゃダメだ。せめて攻める姿勢だけは崩しちゃあ)

京「リーチ!」

靖子「ふむ。しかし私もそろそろプロらしいところを見せないとな――ツモ。

   面清タンヤオ一盃口ドラで2本場は2200・4100だ。供託棒も4本もらうぞ」


         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/


京  23800
靖子 26100
透華 26700
衣  23400

南一局  ドラ:八索

衣(藤田の癖にやるじゃないか。ドラは――八索!)バッ


 衣はドラを確認した瞬間、京太郎に顔を向けた。


爻   _,,-‐t‐''⌒ハ、       _,,, -‐''三]
k;;:、 (,, メ μ ,,´`, -―一''''""~ _,, -‐/::::\        /
、,\;;:: 人人キ,,  / --一'''"~ ̄  ,/:::::['i']::::\へ、  /
ニヾ \ⅲⅲ Y,/         /ii[]:::[_,!_]::[];、\ Yy,,..

-‐''`  `.、:,:/         /ii;[ i ]~~[_!_]~[l];:ヽ \_
_,,、_,,,,/         ,/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ > ̄ヽ
ハハ从 /-―====r-===三'' 、-―――――――‐< 木ホYyy
(⌒)イト爻------( tイ-‐'´::::::::,\__,,,....、___,,,_____`」¥ Y
 T,::爻Ooト[iiii]<,,. 、 キ[]  i::::::::::::::::[]::::::::::::::[]=======|爻爻三三
ー-  ''ー^ 二,, ー---┴, -‐へ-O-ー-~~-―へ`~~    ]、
         ━
 〓           ━〓   ー ---- 、---―

 そして腹の底から湧き上がるような、清々しい平原にぽつりと建てられた庵に囲われたような、幻想を見た。


透華「――っ!?」


 透華もまた、自身を支配しようとする異質な気にその体を震わせた。

 周囲を大事にしていても人の上に立つ者として育てられた女である。

 そんな支配など通常ならば嫌悪感を覚え、怒りすら感じるだろう気。

 しかし透華にはどうしてもそういった負の感情を抱けなかった。

 むしろ進んで頭を垂れたくなる、まさに英雄の相。

 透華に巫の素養があれば気付けただろう、素戔嗚命と大国主命の気配。

 嵐の英雄と女を籠絡する美貌の神。その系譜に。

                            , 、。s≦ニニム
                       ====ノ /ニニニニニニ}───
                    _,  ´ ̄\__ .イニニニニ/
                    > ´ イ⌒',   `ヽニニニ{
              _ - ´       |    ハニニム
                 _>   ' ,/  、 } , : | ハニニニニニ=--
                  /⌒/ | | _/| ∨ / l|  |}ニニニニニニニニニ=-
                /   { |゙ト、| / /}ィリ|n  |ニニニニニニニニニニニニニニ=-zzzzzx
                   ̄ィ , 从沁∨'/炒 } リ ハ!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≫
                   { /从  ,     ム从ニニニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニヽ
                     /\ -‐ イ「ニニニニニニニニニニニア¨¨¨¨ ̄⌒寸ニニニニニニニニ\
                       `ヾ. ≧≦ /ニニニニニニニニニニニ,'        寸ニニニニニニ,=ミニヽ
                     {_ヽ /ニニニニニニニニニニニ,'            ヾニニイ/`Yニニム
                   _      `寸ニニニニニニニニニニア            lア゙ { 〈〉'〈ニニニ}
                  `寸≧s。    ィニニニニニニニニニニ{           _-" ::::',:::`¨´ー‐=ニ}
                      /ニニニニ=-,=ニニニニニニニニニニニニ{        __, イ ヽ:::::::ヽ:::::::ゝ┐ }!
                  マニイ´ヾニニニニニニニニニニニニニニニ〉         乂___.イ‐ヽ=-⌒ヽ:::::::{´. /
                 //////}ニニニニニニニニニニニニニニム                    ‘,:::ゝ' ',
                 _,,ィ///////>ニニニア//-==ニニニニニニム                 〈::::/ /
              /////////////ア///////////.寸ニニニ{                   /]ゝィ
              ,イ/////////////ア///////////////寸ニi〉                {__/

「ツモ。清一色ツモで6000オール」


京  41800
靖子 20100
透華 20700
衣  17400

南一局一本場  ドラ:六索

衣(きょーたろー、見事。これは必ず婚がねば。きょーたろーなら衣を対等に愛してくれる。

  とはいえそれも後の話。今は……きょーたろーの手を潰さねばな)トン



衣「ノーテン」

「「「聴牌」」」


京  42800
靖子 21100
透華 21700
衣  14400



南一局二本場  ドラ:三索

京「リーチ」

透華「っ!」


 京太郎のリーチ宣言。それに合わせ透華が背筋を震わせる。

 そして当たり牌を完全に読み切ったのか、ことごとくを手に集めてオリた。



透華「ノーテン」

「「「聴牌」」」



京  42800
靖子 22100
透華 18700
衣  15400

南一局三本場  ドラ:一索

靖子(千日手だな。……しかし南場であれば私のツモもだいぶ良くなる。

   だから――退いてもらう)

靖子「リーチ」

京(……あの目。俺を狙い撃つ気だ。杞憂かもしれないけど、オリるか)タンッ


京「ノーテン」

「「「聴牌」」」


京  39800
靖子 22100
透華 19700
衣  16400



南二局流れ四本場  ドラ:四筒

靖子(退き際も良い。雀士としては評価せざるを得んな)

靖子「リーチ」タンッ

衣(藤田!)

/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////

京「ロン! チートイドラ2の4本場で7600」


京  50400
靖子 13500
透華 19700
衣  16400

南三局  ドラ:四萬

衣(油断するからそうなる……。とはいえそろそろ攻めなければ)

衣「リーチ――ッ!?」

     ./         /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:\   \
    / .:::::::...../   .´ ̄ ̄ ̄ ̄ ` ヽ   ヽ
    /    :/  ...::::::/::::::::::::::|:::::.. ';::.. ',   ',
    ! .........:::/   ::/ :::::::/!::::l:::::::: :|::::: l:.    l
   | ::::::::::::/ :::::::::;::| ::::/::/!  |::::::::l l::l:|:::::|:: |   |
   .l :::::::::::::l ::::::::|`l:ヽ、':/ /:....!:l  .| l | l .l l  .l
   | ::::::::::::| l:::::::::ll::|l:::/:`>、:/_!;:::::l_:L-:|'´|:::|:::: l
  l .:::::::::::::l :|::::::::| z==,==;< /:::::/_,,,,, ;!:::/:::l:|::::./

  / .:::::::::::::| :l::::::::l ! l;:!||r/ /;/ /lllr! 〉/::://:::/
. / .:::::::::::::::l :::|::::::|  ゙‐'-'     L!シ /;:/|//
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 .:::::::::::::::::::::l :::|:::::|、J  ,.. 、_ ,   ノ:|::::::: |
.:::::::::::::::::::::;;::| :::l:::::l > 、    ,. <::::|l::::  l

` ー‐ ' ´! .l :::|:::::| ヽ、 `/ ' ´-r― - 、::::  |

   ヽ \>| ::::l::::l- < `'\,.. '- ―‐- ,\:  l
     i .l ` .l::::::|::::|' `!´ |´  ̄ ̄  | ヽ. |
   ,  | |  |::::::l:::l, へ|_./´ ヽ、   ./   | l

 衣のリーチ宣言。しかし、リーチ棒を放った瞬間に衣は後悔した。

 今回は絶対に和了れない、脳に刺さった直感がそれを知らせたからだ。

 常ならぬ感覚に冷や汗が流れる。紛れもなく、衣は恐怖していた。


衣(これが……。だが、良いぞ。こうでなくては仕合とは呼べぬ。殺し殺されるのが戦場よ――南無三!)トン


 衣が捨てた牌を一瞥し、京太郎は視線を前に戻す。そしてツモ切り、おもむろに千点棒を放る。


京「リーチ」

靖子(衣? 震えているのか。確かにこの威圧感、プロリーグでもそうは感じないもの。

   だが私とて伊達に鉄火場を潜ってきたわけではない、ここで崩して勝利はない!)タンッ

.            _,.. -- 、__, 、___
            .⌒>.::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ、
.        _,....::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
           ̄7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.
            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
.         ̄´ {∧ . :::::O:::::::::::::::::::::::::::::::ト\
            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_
               ヽ;:::::::::::::::::::::::::

                ,':::::::::::::::::::::::::::`:::::::::-、
               ,...:':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
           ,....::::'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i、
           .i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
            :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
          .ノ.::::::::::::::::::○::::::::::::::::::::::::::ィ-、::::::::::::.ヘ
          |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.  ヽ::::::::::::::::..
         ,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/    〉:::::::::::::::ヘ

京「ロン。リーチ一発二盃口清一色ドラ2で数え役満、32000」


京  83400
靖子 -18500
透華 19700
衣  15400

南四局  ドラ:東

京「飛びは無しでしたっけ。続けましょう」

靖子「くっ」


 冷淡に告げられる残酷な一言。靖子は呻く事しかできない。

 自身が言ったことであるし、なにより役満を献上したのだ。

 これで悪態を吐くなど無様を通り越して滑稽ですらある。

 雀士としての矜持が、それを許さなかった。

 だからといって、乱れた心は打ち筋を狂わす。結果――


透華「ロン。リーチ東ドラ4で12000」


 当然の如くトドメを刺された。


京  83400
靖子 -30500
透華 31700
衣  15400

京ちゃんのスキルは木と金ですので、水の透華には相性最悪というか、相生の関係でした
そういう裏設定も汲んでくれるダイス神……改めてすごいと思いました

2回目 京太郎・はやり(スキル手加減)・和(ステ覚醒)・モモ(覚醒)


瑞原はやり
属性 :D
技量 :S
直感 :S
必然力:S
・スキル
【ワールウィンド】虹(アベレージヒッター+ノビ○+クイック○)
(効果A)
 聴牌・和了判定を+20。
(効果B)
 自身の和了形がツモかつ打点が満貫未満の場合、和了判定をさらに+15。
(効果C)
 他家がスキル効果による強制和了をする場合、
 和了者のコンマを20以上上回っていれば自身はその和了の対象にならない。

【牌のお姉さん】金 (人気者+逆境○+チャンス◎)
 日本における女性雀士の顔とも言えるアイドルとしての矜持。声援を力に。
(効果A)
 ファンの目に晒されるような対局時に、他家から受けるデバフ効果を無効化する。
(効果B)
 リーチをかけたとき、和了判定を+10し打点も+1する。
(効果C)
 一人聴牌のとき、和了判定を+10し打点を+1する。効果Bと重複する。
(効果D)
 東風の場合は東四局、半荘の場合は南三局以降に効果発動。
 1位でない限り判定を+10。

【安定感○】
 判定コンマを20以下の場合は20、80以上の場合は80として計算する。




東横桃子
属性 :O
技量 :B
直感 :A
必然力:A
・スキル
【神出鬼没】
 影の薄さを極め、帰る場所を見つけたことで覚醒した異能の力。
 異能に身を委ねても必ず見つけてもらえる愛の力。
 彼女は常にどこにでもいてどこにもいない。
(効果A)
 自らよりも必然力の低い他家に放銃しない。
(効果B)
 聴牌・和了判定値を+30。
(効果C)
 和了形がロンのとき、和了判定値をさらに+20。
(効果D)
 和了を放棄することで、次の局に満貫以上の和了が確定する。
 この際の和了における和了形・出先を自由に決定できる。
(効果E)
 和了連続放棄の回数が増える度に確定和了の打点が+1されていく。
(効果F)
 聴牌に成功した場合、聴牌コンマを反転した数値分を和了判定値に加算する。



原村和     
属性 :D      
技量 :A     
直感 :E     
必然力:A       
・スキル

【安定感◎】
 判定コンマを35以下の場合は35、75以上の場合は85として計算する。

【勝ち運】
 判定を+10。

【オーバーヒート】
 熱い想いが高い演算処理能力をフル稼働させる。
(効果A)
 判定値を+10。
(効果B)
 他家からの妨害を受けない限り、和了に成功した場合は流局しない。
(効果C)
 聴牌コンマで1位のとき、判定値を+20。


「京ちゃん、勝負っすよ!」

「モモに……和と、瑞原プロ」

「本気ではやらないから安心してね☆」

「京太郎くん、私に振り向かせてみせますから」

「むっ、おっぱいさんに独り占めはさせないっすよ?」

「あはは、モテモテだね★」

(3人ともおっぱいさんじゃねーかな……。というか瑞原プロからなんか黒いオーラが)



東一局  ドラ:四索

はやり(さて、聴牌っと。和ちゃんのお手並み拝見かな♪

    桃子ちゃんもなかなかのなかなか。長野は見所のある子がいっぱいだ)

桃(はやりんとおっぱいさんはもう聴牌っすね。私もっすけど)

和「リーチです」

京(うげ、もしかして聴牌してないの俺だけか?

  てか配牌もツモもちぐはぐで裏目りまくり……オリだ、オリ!)

         ___ -= : : ̄ ̄ =- .    _
         /:::/  . : : :       \ /::::人
      r‐:::::ヘ/   : : : :      r─=ミ/::::〈
     ノー─/                  |:::::::::::::》-=ミ}___
    〉:::::/   /: :/ : : | . : :. : :|   i \::::::::::|\:::::::::::::>
     |::::/ . : : : :| : i: :| : : :| i : | : i :i  {::::::::ノj:::::\厂ヽ: : : : :ニ=-
     |_/  i: :|: : :| : i: i| : : :| i : | : i__i  i⌒´| |:::::::/\  \: : : : : : : : : :=-
.      |   i: :| :i ]「 :ト八: : :|:T:Τ八八 Y^i: ,| ⌒j゙\: :\  \=- : : : : : : :
    八  i: :| :iァテ外 \:| ァテ笊芥ハ:i ル' |: : 八: \: :\  \  =-
.   /::::::\{八从 V(ソ  \  V (ソ ム/  八: : . \ : : : : \ニ=- _
   '⌒¨¨|: : i :∧ ::::::  、   ::::::: /{ミx   \: : . \ : : : : : : : : : : .  ̄
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        ,  i | :|ニニニニト、 ヽ _/二ニニニニニ\\: : . \: : \ : : :
.      /   ∧八二ニニニ|=‐----/ニニニニニニニ=-ヘ, \: : . \: : \
     /  / ∨ \ニニニ|    /ニニニニニニ=- /⌒i   \: : . \: : :
.    /   /   ∨\\,ニ|   /ニニニニ=-.:/ /    \  \: : : : : :

和「ツモ。タンヤオ平和一盃口ツモドラで2000・4000です」


は 21000
桃 23000
和 33000
京 23000

東二局  ドラ:

桃(まったく、おっぱいをむにゅむにゅさせて……。京ちゃんが血走った眼で見てるっすよ?

  ……むしろ見せつけてるっすね? だったら私が先にやらせてもらうっす――)

            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
          /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::|::::::::::::::,
        i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::!:::::ハ::::::::!:::::!
        |:::::::::::::/::::::::::::::::/::/l/|:::/|!ヽ::::|:::::|
        |:::::::::::/::_::::L:::::/::/ イん心 |::::|:::::|
        |:::::::::::|::::::/ヽ::/::/    ゞ゚|!' j!:::!:::::!
          ';:::::::::|::イん心!/    '' |! |:::|:::::|
           }:::::八|:!:トゞ゚''   、   |! /|:::|:::::|
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桃「ロン! トイトイ三色で12000っす!」


は 21000
桃 35000
和 21000
京 23000



東二局一本場  ドラ:八筒

は(トイトイ……いつの間にか鳴いてた? 靖子ちゃんや貴子ちゃんが言ってたステルスはこれのことかな)

和(東横さん……清澄に居た頃は麻雀をしている間ははっきりといるのが分かりましたけど、

  今は卓についていてもたまに目が滑りますね。ミスリード、でしょうか?)


京「せっかくの美人揃いで蚊帳の外は寂しいぜ。だから――ツモだ! 清一色ツモの1本場で3100・6100!」


は 17900
桃 28900
和 17900
京 35300

東三局  ドラ:五筒

は(はやっ、和ちゃんと桃子ちゃんに意識が行ってて和了られちゃった。

  美人って言ってくれたし……ちょっとはかっこいいとこ見せたげる☆)

            /              __
        /            .  ´        `  :、
      __∧__    (⌒ヽ .:'    ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ̄ ̄)
      `i,.、i´    ゝ /  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: f⌒ヽ  /
               /廴/ .:.:.:.∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.: ト、_,ノ ⌒ヽ
              / .:{ / .:.:.:.:/⌒  :.:.\.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.\  ト-イ.:\
          / イ人{.:.|.:.:.: |   \:.:.:.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|`¨´ У.:.::.:.:.
            /// .:.:ハ`|人≫=ミ、  `¨≫=ミ、 .:!.:.: |.:.:.:.| i.:.:.:.:.:.:.|
        ///.:.:.:.:.:.|.:l: 〉{ んハ     ん ハ Y}-、l.:.:.: | |.:.:.:.:.:.:.|
        〃 { .:.:.:.:.:.|.:| ハ 弋rソ    弋_rソ :|:|ん} .:.: | |.:.:.:.:.:.:.!
        {{  ヽ.:.:.:.:.|人 } .:.:.  '    .:.:.:.  }:}, イ.:.:.:.:| | .:.:.:. /
         ヾ.  } .:.:.:| .:.:.込、   ( ̄ )    イ/:|.:.|.:.:.:. | |.:.:.: /         /
              | .:.:.:|.:.:.:.:./.:.:`> . __   イ‐/、:|.:.|.:.:.:. | |.:.:./     ∧_/
              |.:.:.:/ .:..:/.:.:.:.:.ハ ‘┴─/ /`ヽ .:|.:.:.:. |人:.{   <  〈
            ノ .:/ 厂二ニ=┘}  }.........{  {   }‐く二二「}\、    {/ ̄
            /: / .:辷ニ=7 人__丿......人__廴ノ { てYV〉 \ 、_, イ
    ー==彡'  /:/ {_,7 /........................ , ┘  {__)....ヽ   `ー一'′
          /:〈...../    \.....Y....../     `ヽフ........〉

はやり「ロン! 桃子ちゃんはもうちょっと慎重にしないとダメだぞ☆

     小三元トイトイ混老頭で16000だよっ!」


は 33900
桃 12900
和 17900
京 35300


東四局  ドラ:六萬

桃(やっぱりプロ相手じゃ通じないときも多いっすね……!?

  今こっちを見たような。迂闊に攻めれない、ここはオリっすよ)

「「「聴牌」」」

桃「ノーテンっす」


は 34900
桃  9900
和 17900
京 36300

東四局一本場  ドラ:三筒

和(行けると思ったのですが、ダメでしたか。今回は聴牌も危ういですね)



「「「聴牌」」」

和「ノーテン」


は 35900
桃 10900
和 14900
京 37300



東四局二本場  ドラ:二索

京(流れが悪い……聴牌維持だけで精一杯になってるぞ。無理攻め、してみるか。親だから安くても――)トン


はやり「ローン☆ 焦っちゃダメだぞ☆ 純チャンイーペードラドラの2本場で12600♪」


は 49500
桃 10900
和 14900
京 24700

南一局  ドラ:二索

京(まずった……。そうだ、苦しいからって楽な方に逃げたら撃たれる。

  今俺の目の前にいるのは女子プロなんだ。それも技巧派。情けない!)

桃(京ちゃん……仇は取るっすからね――)

はやり(ふふん、若いから仕方ないけど。分かりやすい欠点があると教えやすくて燃えるなー)トン


桃「迂闊っすよ、ロン! 三暗刻トイトイで8000!」


は 41500
桃 18900
和 14900
京 24700



南二局  ドラ:一萬

はやり(う~、分かっててもちょっとした隙を縫ってやられちゃう)トン


桃「ロン。タンヤオのみで1500っす」


はやり「はわっ!?」


は 40000
桃 20400
和 14900
京 24700

南二局一本場  ドラ:一萬

桃(親だから1飜のみでも和了ったっすけど、やっぱダメっすね。今回も伸びて2900……次に賭けっす)


和「ロン。純チャンのみで5200です」


は 40000
桃 20400
和 20400
京 19200



南三局  ドラ:

京(モモに意識を割きすぎて見逃しちまった。いよいよマズいぞ……)

和(東横さんばかり見て……京太郎くん……!)

. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、

: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!   
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      _     .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/      7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、

: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\   ∧:::::::::::-.:_//'   !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ  ヽヽ::::::::::::|!`!    |: : !: : : : . | リ

桃「ロン! タンピンイーペー三色で8000っすよ」

はやり「はやっ!?」


は 32000
桃 28400
和 20400
京 19200

南四局  ドラ:七萬

はやり(うーん、やっぱり集中的に狙ってきてる。やりづらいなぁ。これだけやりづらいのは良子ちゃん以来かも)

桃子(……!? 妙な感覚っす。これは――京ちゃん?)

和(なんでしょうか、とても気分が良い、温かさです。これは……京太郎くんでしょうか)


 はやりを除く二人、京太郎に恋する二人が気付いた感覚。

 卓上を覆うように、京太郎が発している気配。


京(このまま為すすべなく、ってのは……かっこ悪いもんな!)

京「カン!」カシャンッ


 王牌が一つ晒され、槓ドラが増えた。そして更に京太郎は突き進む。


京「もう一つ、カンだ! ――嶺上ツモ! 發混一色ドラ4嶺上開花で8000オール!」


                     /イ         /    V ヽ、    `
                  ,  ´/          |   \
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               /_, ィ   ∧ /_ |       / V ∧
                 / /  / ∧{tォミ、  ,  /   | '  、
                   / イ  / /| 弐_ V | /   __}/   _ヽ
                     | / , :  ー':, ∨/   イ乎(_ ヽV |
                    ∨ {/ '   / /      Vzソ   V}
                    {   、                 リ
                         ∧   `
                        、
                         ∧ `
                         |l∧      ̄         <
                          「´∧           ´
                        .:'//>--==≦ゞ
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                        {/////〈/{   / |      //,
                       ∧//// ∨、  ,   }   ,://
                       {// ∧// ∨V{  |  「 ̄/´///
                     ///,'/ ∨/ ∨V〉 ' r/ |//////
                       /// {///∨/ ∨{  r,/ ///////
                     {///|////////V__/ ////////
                    rく///|//////r=ミ// イ////////
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                     .'//////|/////乂__ノ'////////////
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は 24000
桃 20400
和 12400
京 43200

「っしゃ、勝った!」

「嶺上狙いだなんて、無謀すぎるよ……」

「宮永さんじゃあるまいし、京太郎くんは無茶するんですから……。

 それも格好良く思えてしまうのは惚れた弱みでしょうね」

「京ちゃんは諦めが悪いっすからねぇ。どっちにしろこの局は持ってかれてたっすよ」


 喜ぶ京太郎を優し気に見つめる桃子と和。軽く頬を染めているようにすら見える。

 一方はやりは、牌のお姉さんとしてあまりに非効率的な打牌を褒めることはできない。

 それでも、今はまだいいか、と最後には微笑むのだった。

3回目 京太郎・はやり(スキル手加減)・靖子・咲(ステ半覚醒)


宮永咲
属性 :O
技量 :A
直感 :A
必然力:A
・スキル
【四牌】赤
(効果A)
 自身の判定を-5。放銃判定をさらに-10。
(効果B)
 自身がリーチをかけた場合、和了判定を-10。
(効果C)
 ただし“槓が関係するスキル”を所持している場合、効果ABが反転する。

【威圧感(特殊)】
(効果A)
 スキル効果による特殊和了を行うごとにさらに他家の判定を-5。
(効果B)
 跳満以上を和了した次の局、他家の判定を-10。

【嶺上からの睥睨】
 勝利を許されず敗北も避けたいがために生み出した歪んだ打ち筋。
(効果A)
 聴牌判定値が3位以上の場合、判定値を+40。
(効果B)
 効果Aによって和了判定1位になる場合、その和了を任意の他家に譲渡できる。
(効果C)
 効果Bにより譲渡後の打点は相手に関わらず±4できる。
 ただし自身より必然力が高い相手には、素の判定値で上回っている必要がある。
(効果D)
 このスキルは自身の和了には使用できない。

【嶺上開花】
 高い山の頂上にすら咲き誇る、常軌を逸した妖しい花一輪。
(効果A)
 和了コンマor判定値がゾロ目のとき、強制ツモ和了。
 ノーテン時は2位以上でなければならない。
(効果B)
 効果Aによる和了かつ本来ロンのコンマである場合、責任払いでの出和了りとなる。
(効果C)
 このスキルで和了するとき、符数は半減せずそのままの数値を取る。
(効果D)
 他家の妨害効果を無視できる。


「さあ京ちゃん、やろっか!」

「咲。それにプロのお二人とか。また辛い卓だなぁ」


          /: : : : : : : : : : : : : : : `ヽ

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         |.:.:.:.:i:.:.:.:.i:.:.i!:.:.i|:.i:..:!:ハ:.:.:ノ_|:.. | .i  i
        !:.:.:.λ:.:、:i、:.i、::レレレ レ |ハ`ヽ:.:|..  i
        リ;.:.{^\:ヽ:i⌒ヾ    _  レ:!.:.ォ、:.:..!
        ヽ:丶._ \ヾ "     -‐、 /:.:レ:.| ヽ:!
      _,...:::‐i:,:.;.へ   r-、  ' " "/:.:.:.:.ハ:|
   ィr'"´:::::::::::::W    、  、_)フ  /iV|:.:/ リ
  /ハ:゛、:::::::::::::::::i      >、_ ,......ィく   V
  !L \:\::::::::::::i_    / |::::::::::::/::ハ
 i:| ̄ヾ、i\:\:::::::|`---‐ヲ::::::// /|

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「楽しい卓、の間違いでしょ?」


 咲はにこにこと笑っている。本当に心底楽しんでいるのだ。

 京太郎とて、楽しくないわけではない。たださすがに連日対局と検討漬けで精神的に疲れてきているだけだ。


「はぁ。ま、そうだな。せっかくプロとヤれるんだし楽しまなきゃ損だ!」

東一局  ドラ:一萬

咲(うん、ツモも配牌も良い感じ。……でも今回は京ちゃんが早いかな?)

はやり(調子はいいんだけど、一歩足らないかも)

靖子「リーチ」

靖子(これで引いてくれれば御の字なんだがな)

京「――リーチ」


 靖子のリーチから動きも無く、ついに海底牌が見えてきた最後の一巡。

 京太郎がおもむろにリーチを宣言した。そして同時に、卓を囲む三人も確信した。


京「ツモ。リーチ一発ツモ海底撈月……裏1で2000・4000!」


靖子 20000
咲  23000
京  34000
はや 23000

東二局  ドラ:三元牌

咲(それこそ京ちゃんだよ。私も負けてられないや……!)

靖子(チッ。団体戦でもやってたな、海底ツモは。衣の海底は遊びや威圧だが、こいつのは違うな。

   単純に諦めず、最後にツモれる確信があるのか)

はやり(ほぇー、今のはちょっとかっこよかったかも☆)

靖子(とはいえさすがにいつでもできるわけではあるまい。

   今回は手が止まっているようだし、こまねいていては喰われる。ならば、攻めの一手だ)タンッ

咲「それカンです」カシャンッ

京「――げっ、マジかよ」

はやり「?」
                                              _ ,,, _
                                        , ' ~: : : : : : : : : :` 、
                                            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : \
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                                 / . .,:/: :! l: :l: :/l .l. . . . l. :li: : i: : !l: : : : : : :.l

                                 //´i: : !: :li li ハ!‐! l: : : l: l l /l ノ l: :!: : : l: : |
                                   i: : :ヽイ';/;;;;ゝ iiヽ:lヽ!,i/,,!/,_!/l: : : ノ: :リ
                                   l: :i: :l lゝ!:::::ノ` ` 丶 '´i;;;;;;;!ヽノ: : :/: :./
                                   |/i/iヽl "゙''゙゙      !ヒ;;;;ノノ´、/: :./
          ,ノ⌒ヽ-‐´~~\、_/⌒` ー- 、..-‐ 、     ヽ!    ´      ` /ノ: :/

      _,. -‐"    /      ヽ 、~"ヘ    `  ヽ<"⌒ ̄-人、   _ ,,_     /: :/
     /     __,,/    ,     ヽ   ヽ      ヽ ~゙" \ヽ ヽ、      ,彡/
    /    ,∠/    /"       i    iヽ、   ハ    lヽヽ ヽゝ,ー < ´,
    /   / /   /     ノ,     l    l  ヽ    i   / ヽヽ  \ ハ ヽ、_
   /   ノ /   ∠-‐--〆´     i   /       ノ   !  |ヽヽ  iニ,,_i   `''ァ、
  /フ /_/フ  イ'´           イ   /      /  >,  ! \ヽ  'i l    /./ヽ
 ,(二_ノ'ヘニ..ノ',Y´/"";_,,,__     //   /     Z_ー~冫   ヽ ヽヽ  l .l  / /i、i
(__,,,ノ\_,,..-‐''´ ヽ-ー"´    ̄",ヘ´,/ _/      _/ ̄ヽ/i     ヽ \ヽ !l /,//i ミヽ、
                  `ー""´`~ ̄""ー''´


咲「もいっこ、カン。さらにカン!」

靖子(な、まさか!)

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                      ̄ ̄ ̄¨ア : : : /: : ://: : /: : // : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
  ノ⌒ ー--‐ '⌒^ ー-     -‐…・・/ : : : /: : ://: : /: : /// : : : : , :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::}
f《: . :   . :/      . : . : . : . : ./ : : : ; : : /{/ヘ/: : /// : : : : / : : |: : :.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.}

V》       (      \. : . : . : . :/ : : : :j{: :.rf嶺峠い/イ: : : : : :/: :イ:.i|: : :.:i.:::::::::::::::::::::::.:.:,
 ¨⌒ー '"~¨`ヽ \    \: . : . // : : :イリ.:.从 _)開ハ刈i |: : : :/ |i: :|: ||: : :.:|.::::ノ⌒ヽ:.:.:.:.:′ ,,ル'⌒

          ^\  : .   // : ィ仁|i.:/  Vし℃仆|i | : : :  |i: :|: r冖れノ^  ノ⌒廴__ノ^⌒¨´
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                    | |ik.ニニニ{〉  \__        イニニノ/ニニニニニニニ圦
                    | |ikikニニ{入____    ̄¨アニたニニニニニニニニニニニニニハニニ\
                  /|人kikik.ニ{    >-=ニニニニニニニニニニニニニニ=-  ∧ニニニ〉

                    《    :. トミメ{   -=ニニニニニニニニニ=-     . : . / :〉 ̄
                      j}   :.   ≫→ァニニニニニ=-ァア       . : . : . : ., :/:∧⌒L_
                  リ}     :. /ikikikヽ\ikikikikikik/      . : . : . : . : . : . : . : . : /〉

咲「嶺上ツモ。――三槓子トイトイ小三元ドラ3の責任払いで36000です」


靖子 -16000
咲  59000
京  34000
はや 23000

「えーと……」


 咲の三倍満が炸裂し、藤田プロが爆砕された。

 愛用のキセルも取り落として口から出ているのが煙なのか魂なのか分からない有様だ。

 これには張本人の咲も、先輩だろう瑞原プロも言葉をかけられずにいる。

 事故みたいなものだとはいえ、責任払いからの親三倍など泣けてくるだろう。

 ……幸いあまりに早く終わったせいで時間はある。


「あの、せっかくですし仕切り直してやり直ししません?」

         /: : : : : : : : : : : : : `丶、       ---- 、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : \           \
       . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .  /       や
      . : : : : : : : : : : : : .: : : .: .:: :. : : : : : : :. ′   し    り
.     /: : : : : : : :i: ,:i: : : :ト、:,」L{i_:ハ:i: : : : : ::i     ま    な
    厶イ: : : : : .:|i:八: : :.|.:ハ:i: :l|ノ州: : : : : .:|     せ   お
      |.:: : : : :才Zノ\:|( 斗笊ミメ|: _: : -=j     ん    し
      | i: : : : ;抖笊ミ     Vーり l/ }: :/:八    ?
      l人: : : :::.乂_り       ̄  .ノ.://   、
       乂: {:八 、、   '__  ``.刈乂      ー-----‐
         ヾ(      ヽ ノ  イリ
              >r‐   乂}ト。.
                Y^}     _./      、
     ___    /     |`` '"´ /       __:.
.   / 、Vn   ∧     :|  ̄ ̄ /      _/.  ;ミメ、
  〈 ュ`Yノ ノ  ′ト、    :|   /    ..:::イ :!′ } Ⅵ \
.   }⌒;´イ  {:!.!:.\  ;    ′ ....::::::/ ; |  / ∨\ ハ
   ハ   人  八 ;、:::.:\l   厶イ.:.::/---マ:!.:// . }  ヾ|
   [__フ_彡ヘ/  |  ー‐ミ以r‐… ´      |// {:八
   { 【  ハト、 !      )___{           j/  ≧=- 、
   ∨\  } ⅵ    /:.:.:.ハ        〈    \ }

3回目 仕切り直し

東一局  ドラ:二筒

咲「あ、京ちゃんそれカン」

京「うぇっ、マジか。やられたなぁ」

咲「嶺上ツモ。白タンヤオドラドラ嶺上開花で8000だよ」


靖子 25000
咲  33000
京  17000
はや 25000


東二局  ドラ:八萬

京「咲にまた負けるってのもな。ツモ。トイトイのみで700・1300です」


靖子 24300
咲  31700
京  19700
はや 24300


東三局  ドラ:八筒

京「リーチ」

はやり(はやり知ってるよ、これヤバイやつだよ)オリー

靖子(……悪寒がするな。ここはオリだ)

咲(ふふふ、京ちゃんと一緒に遊べるようになって嬉しいな。チームは別れちゃったけど、全国でもまた戦えるし)トン

                  ___,-、 _, ---- 、

               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`

            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八    _ _   人
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|

京「ロン。リーチ一発清一色ドラ――裏2で三倍、36000」


靖子 24300
咲  -4300
京  55700
はや 24300

ってやらかした、タンヤオなしでドラ追加でおなしゃす!


. /:::::/::::::::/  |:::{   \ヽ::::!. /   /:::/  \::::::::
/:::::/::::::::/   ヽゝ   ヽヾ! /  //   / `ヽ
::/ -―-、                    /  一
/ な だ ',  ̄二二 ‐-      -‐ 二二|   局
l  い け |‐┬─┬-、       ,-┬─┤  伸
|  か じ |  廴_ノ_            廴,ノ|  び
l.    ゃ レ                  人  た
ヽ       / 〃        i       〃 ` ー ´

「一局伸びただけじゃないか」フゥー

                  _........----......._
              ,. : ´: : : : : : : : : : : : :`: : 、

             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
              :': : :,: : : : : : : : : : : : :、: : : : : : : : ヽ
            /: : :/: : : :/: : : : : : : : : |: |: : : : : : : ∧
             .': : : ' : : : / : /: :,: : イ: : :|: }: : |: : :|: : :∧
            , : : : |: : : / : /l: /: / }: : ,:.イ : /: }: :}: :!: : :.
             | : : : |: : /:{:_/_}ム/ / : /、_|:_/: /: /: :|: : : :.
             {: / : | : ィ´}//イ /}: / / }/`ヽ:イ: : ': : : : :
          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、
          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.

「ふぇぇ、京ちゃんに奪われちゃった……」ヨヨヨ


「人聞きの悪い。お前だって藤田プロに似たようなことしてたじゃねーか」


「あ、あはは。まあ、須賀くんも咲ちゃんも強いってことは良く分かったよ☆」

4回目 京太郎・憩・数絵(覚醒)・美穂子



南浦数絵(イベント後)
属性 :O
技量 :B
直感 :C
必然力:B
・スキル
【南風の神】銀
 スロースターターな運気を溜めることで後半の場を制す打法。
(効果A)
 場決めコンマに-50。
(効果B)
 南場の間、判定値を+40。
(効果C)
 聴牌順位1位の場合は和了判定値を+20し打点を+2する。
(効果D)
 リーチをかけて和了した場合、裏ドラが2枚以上乗る。
(効果E)
 東場の間、判定を-5。

東一局  ドラ:六筒

数(長野のトップ3揃い踏み、か。京太郎に先んじられてるのは癪だけど)

京(福路さんは最初から目を開いてるのか。やっぱり両目を開いてる方が強いのかな)


        ,..-..-..‐..‐..‐..‐..‐..‐..‐..-..、
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   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\

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|.:|:.:.:|:人/. b^V^|       b:::::::::| V:.:.:|:.:.:.:.::|
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/  N.V     |  `    ´ /         \
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美「聴牌です」

「「「ノーテン」」」


美 28000
憩 24000
京 24000
数 24000


東一局一本場  ドラ:三筒

美(うん、上手く制御できたわね。須賀君と荒川さんに通じるなら自信が持てるわ)

京(……福路さんに誘導されてる感じだ。憩さんも気付いてる。数絵は……微妙か?

  なんにしろ、簡単に操られてやるわけにもいかないだろ)ニヤリ


京「よっし来た、ツモ! 發混一色ツモドラの1本場で3100・6100!」


美 21900
憩 20900
京 36300
数 20900

東二局  ドラ:西

美(南浦さんはまだね。荒川さんと須賀君は手がいいみたいだけれど、それは私も同じ。

  ……ならここで攻めてみましょう)

美「リーチです」


京「ツモ。中のみで400・700」


美 20500
憩 20200
京 38800
数 20500


東三局  ドラ:八萬

憩(んー……あっ、しくった! これじゃ聴牌できひんわーぁ)

美(……須賀君、さすがね。簡単には抑えられない。今回も須賀君だけ一歩前にいる)

京「リーチ!」

数(京太郎のリーチで憩さんと福路さんはオリ気味。私もだけど……。

  おかげで誰も放銃していないしもう海底ね。なんとか凌げたか)トン


京「ロン! 数絵ぇ、俺の諦めの悪さを忘れたか? 純チャン三色一盃口で18000だ!」


美 20500
憩 20200
京 56800
数  2500

東三局一本場  ドラ:九筒

数(なんてこと! 忘れていたわけじゃないけど、まさかあのタイミングでっ。

  ……ふぅ、落ち着きましょう数絵。幸い今回は配牌もいい。安く和了ってでも南場に――)ゾクッ

.            _,.. -- 、__, 、___
            .⌒>.::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ、
.        _,....::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
           ̄7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.
            /イ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.{
          _/_:::::::::::::::::::::::::::::O:::::::::::::::::::|!
.         ̄´ {∧ . :::::O:::::::::::::::::::::::::::::::ト\
            {从.ハ::::::::::::::::::::::::::::::::ミ`
              ' ;.v   ァ::::::::::::マ_
               ヽ;:::::::::::::::::::::::::

                ,':::::::::::::::::::::::::::`:::::::::-、
               ,...:':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
           ,....::::'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i、
           .i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
            :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
          .ノ.::::::::::::::::::○::::::::::::::::::::::::::ィ-、::::::::::::.ヘ
          |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.  ヽ::::::::::::::::..
         ,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/    〉:::::::::::::::ヘ

 立て直しを図る数絵の背筋をとてつもない悪寒が襲った。

 この感覚は何度も受けた覚えがある。だから数絵は悪寒の発生源にそろりと視線を向けた。


憩(あちゃぁ、数絵ちゃんが危ないなーぁ。良い配牌ですし、ここらで攻め――)ビクン


 攻めを企図した憩を襲う感覚。同時に下腹部が熱くなる。

 既に自分は須賀京太郎の女なのだと、嫌でも実感させられる瞬間。

 京太郎に抱かれるまでは、京太郎のオカルトが発動してもこんなことはなかったのだ。

 せいぜいが異常に膨れ上がった巨大な圧力を感じる程度だった。

 しかしもう、違う。愛する男の雄姿を悦べと身体の奥底からせっつかれているようだ。

 卓上でなければその声に身を委ねてしまうのもアリかとすら思うのだが……。


憩(この対局は持ってかれてまいましたねーぇ。悔しくはあっても嫌ではないんやけど)



美(っ!? うぅ、胸が、苦しい……。どうして? 今の須賀君を見ると、鼓動が抑えられない。

  私はどうなってしまったの……?)


 美穂子はまだ京太郎への想いを自覚していない。

 それが故に京太郎のオカルトが囃し立てているのかもしれない、早くものにしてしまえと。


京太郎「ツモ。国士無双、16100オール!」


美   4400
憩   4100
京 105100
数 -13600

「はあ~、やられたわーぁ。役満ツモられたらどうしようもあらへん」

「京太郎のソレ、体に響くから怖いのよ……」

「身体に響く……」

「いや、そんなこと言われても。イケるときにヤってるだけなんだけどなぁ」

「数絵ちゃん、怖いのはまだ受け入れてへんから違う?」


 数絵の文句に俺が返答に窮していると、憩さんがお腹を撫でながらそんなことをいう。

 憩さんが言わんとしていることに気付いたのか、真っ赤になって数絵が狼狽している。


「け、憩さん!? それって、つ、つまり……?」

「あはは、そやねーぇ。京ちんは優しいからそない怖くあらへんよ?」

「……え? えっと、須賀君は荒川さんとそういう関係なの?」

「福路さんも興味あるん? ……まあウチは別に彼女さんっちゅーわけやあらへんよ。

 モモちゃんが独り占めせえへんからウチもおこぼれに与れたようなもんやし」

       ,,、=-ー'''''"""'''''ー-x、,,
     、イ                "''''
 . /

/           ',     ヾ .  \
     /  /  i  i l  、   キ   '
. /  /   /  /i   | '   ',   ',
/  /   /i  ,' .|   l i.  ',   i
レ  ,'   ,' ,l  いi  l ト、,  l   l
  ..i .  i. l ,ノ.i....l、  l l "アーx、,'
  l  ,ムーア~、 ノ レ、 ',ノ  ノ   ノテ
  ,イ~  !  ',   ’   z=zxxュ _ て
   い  '        "~ zーx、”ミx、
シ、i              レ^汁i猿 ヾ,
  l   _xx=≠         rノ皿取. レ
.i i l 〃~           ー-⊂⌒)

l l l ~ ///  ’    /// i
l l .l                  . ; l
 | .l       r- - 、     . ノ

 |  iヽ、     'ー---’      イ
 |  |  為 、          ,イ~
 |  |   i ~>x __ x<~ |  i
 |  |   |  | |     ::::::::::::::::::|  l
 |  |   |/2ノ           |.へ.l
 |  -ー ̄ .|      、─--- ソ ヽ
~"      |      ’    /
         |_ ---- 、_./
        |        /

          |       /
        . |      /

 福路さんが顔を真っ赤にして俺をちらちらと見てくる。いや、俺にどうしろってんだこの空気……。


「ぞ、続行しましょう! 確か今回はハコ無しでしたよね!?」


 そんなテンパった数絵の叫びでどうにかその場は流れた。

 その後は憩さんが跳満を和了ったり満貫を和了ったり、福路さんが憩さんに一矢報いたり、

 最後は俺が憩さんに三倍満を放銃したりで終わった。やっぱ憩さん強いわ。


あんまりにもあんまりな感じだったので特別にもう一回対局が組まれます


5回目 京太郎・憩・咲(ステ半覚醒)・衣(満月)


         /::'ノ/:!     !::ヽ、:::`ヽ
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  、:::::::\          ,..-V-、            /:::/
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    `ー-、::`ー-、   !、|wli!wii ゙、.     /:::/
       `ー-、::\/人ゝーィ| ! ゙、,.-=´-‐'
            >,イ´ )´艾`)、゙、´>、
      _,.. -‐,.´ィー-イフノ,、ヾ ト、`、<_ー-、__
     彡,..-‐ ////_,.-/´ `V、_゙、゙、゙、` ー-、ミ
         // /// 人ノ     ヽイ i .゙、゙、゙、


「今宵の月は綺麗だな、きょーたろー」

「そうですね……。落ちてきそうなくらいの満月、衣さんに良く似合います」

  |::::::::::::::::::::::/   /    \::∧ ./:::/  ` 、     ∨::::::::::::::::∧
  |::::::::::::::::/    /        _\:∨::/_       \    ∨:::::::::::::::∧
  |:::::::::::::/    /  /  ,_≦-―`^´―-≧x    ヽ   ∨:::::::::::::::::|
  |::::::::::/    /  /    ´ ./     ヽ    `     ヽ   \::::::::::::::!
  |:::::::/    '  .'    /  /  ! i!    |  | .!  ',   ヽ.   \!:::::::|
  |::::/    .′ .'   /i! _ハ― |-|!   | |r―ト、!   ! ',  iハ    ∨:::!
  |:/       !   !   i/ | ', i!リ|  .i! i!|  ハ |\ |  |  | |      Ⅵ
  {'       |   |   |从z|zzⅥ/ |  /| ル}z/x从! , |  |  | }       V
        |   |   |〃ん¨ハ` .// /' ん¨ハヾ/./ !  i! /}'
        |   |   |《 う::::::::} ´    う:::::::} 》イ / /'}'
        |   |   |  乂__ソ       乂__ソ './イ, イ
        |  .ハ  .i!           '      ハ/' |
        |  / .!   ト、              / i!  !
       / .//|   |ヽ\     ‘ ’   . イ  i!  !
      ,/  /  |   |/〃>  .__. -ァ´〉、|!/ ̄`ヾ.、
     〃 /  .|   |ニニ≧ヽr―‐ ' // Y      ヾ
    .// .{     !   !: : : : : :/:7=ニニニ.ヽ}      iヘ
    // ∧   .|   |: : : : こ{_{こ: : : : : : : :}         ト.ヘ
   ./   / ∧  ./  /: : : : : :仆: : : : : : : : ;イ        / \ヽ

「う、うむ、あ、ありがと」

「いちゃついてるとこ悪いけど、ラストの対局始めよ?」

「合宿最終日が満月で、しかもラストの対局が天江さんとやなんてツイてないわーぁ」


天江衣(満月時)
属性 :O     
技量 :B
直感 :S
必然力:S
・スキル
【月は無慈悲な夜の女王】虹
 強すぎる力は不幸を呼ぶ。愛する両親を喪い、自身と対等な存在を諦めた水底の龍。
 狂気に身を任せた暴虐の女王。
(効果A)
 他家の聴牌コンマを-70。
(効果B)
 他家の和了コンマを-35。
(効果C)
 効果Aにより自身以外がノーテンの場合、強制和了。
 立直一発ツモ海底撈月or河底撈魚の最低4翻役が確定する。
(効果D)
 打点を+3。
(効果E)
 聴牌コンマが1位の場合、打点を+3。
(効果F)
 自身の放銃判定コンマが40以上の場合、放銃しない。
(効果G)
 このスキルは自身未満の必然力の相手の無効化スキルを無効化する。

【パワーヒッター】
(効果A)
 和了判定を+15。
(効果B)
 打点を+2。

東一局  ドラ:六萬

                             //////\/ハ
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           ,.....イ/////////////////////////////////\
        ,...イ´///////////////////////////////////////>.、

      ,..イ///////////////////////////////////////////////,>.、
    .//>ァ//////////////////////////////////////////////////>、
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衣「さて――今日の衣は撫子にあらず益荒男だ。心してかかってこい!」


 起家の衣がサイコロを回し、そう堂々と宣言する。

 その衣の長い金髪は風に煽られているかのように舞い上がっている。

 体の周囲に薄らとオーラのような光る膜さえ幻視できるようだ。

 そして3人を足先から徐々に、ではなく一気に津波のような海水が囚える。


咲(うっぅぅっ、これが、衣ちゃんの本気……!? ダメ、強すぎる……)ポロッ

衣「臆したかサキ! ロン! リーチ一発純チャン河底撈魚で18000!」


衣 43000
憩 25000
京 25000
咲  7000

東一局一本場  ドラ:四索

憩(これや、ウチが生贄に捧げられた悪魔は、この天江衣や。

  京ちんたちと打ってから毒気が抜けてたから油断しとった。

  天江衣の奥底にある悪魔は変わっていない……いや、むしろ強くなっとる)トン

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  .:::::::::::::::::::::::/    /,イ  /  / / / ,イ    !  |  !  ! .| |::::::;イ      l
  .:::::::::::::::::::/      !{ |  i / | | ,! ! !   |   ハ |  |  ! !:::/ |       l
 .:::::::::::::::/        i! .!   !i   N /{ | !   i!  | ! .! i! .! ∨ |     l
 |:::::::::/        { ∨ | !  |`i ト!从   |!.,斗‐!十./ト |    l       |
 |:::/           ∨iハ !|r芹ぅミ`\  |\ ! !ハ/ i! /`   i!      |
 {/              Ⅵヘ从{う::::| ゛  \{芹笊芯ヾ}/|     !        !
                    /  ハ. ゞ=’     う:::::::リ 》 !    .!      i!
               /  /∧""   ,    `¨¨´   l    |      ∧
                 /  // ,个 .        ""  _l    ./       .∧
              /  //_/__!_  > . `  ̄  . <./   /ヽ       ∧
                /  /    r ≧f壬 ` ┬  ´ _>'|    |ス > ´ ̄ ̄`ヽ. \
            /  /    /: : : : : : :\r‐v</ ̄|    | {           \ \

衣「ロン! ケイ、あの夜の憩はもっと強かったぞ。リーチ一発河底撈魚タンヤオ平和一盃口の1本場で18300!」


衣 61300
憩  6700
京 25000
咲  7000

東一局二本場  ドラ:四筒

京(ダメだ、憩さんと咲は完全に呑まれてる。……正直俺だって体が震えそうだ。

  公園で初めて遭ったときの衣さん、あれは満月の日だったのかもしれない)


 顔を青くしている咲と憩をちらりと見やる京太郎。そして自分の手牌と、ドラに目をやる。


京(ドラは筒子。ちょっと小さいけど……ここで俺がやらなきゃ、ダメだろ!?)

京「ポン!」カシャッ

京「それもポン!」カシャッ

衣(きょーたろーは気を吐いているか、いいぞ! ますます惚れさせてくれるじゃないか)タンッ

            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
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/> ´   --、 ∨ム  //////////////}
     ´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
        - \///{/イ//r- 、///////∧

京「ロン! トイトイドラの2本場で4500!」


衣 56800
憩  6700
京 29500
咲  7000

東二局  ドラ:八筒

咲(京ちゃんが止めてくれたっ! ……でも、ダメだ。衣ちゃんの支配力が強すぎて牌が見えないよ)

憩(京ちんはいい仕事してくれはる。けどウチはまだ続けへん……)トン


衣「ロン! タンヤオ三色で5200!」


衣 62000
憩  1500
京 29500
咲  7000



東三局  ドラ:白


京(親のここで攻めないと、押し負けるッ)タンッ


衣「ククッ、逸りすぎだぞきょーたろー! ロンだ! 清一色のみで12000!」

                  \::::::∧   /::::::/
                   \:::∧ /:::/
                   >、:マ:/_ ̄ ` 、
                 / ∠>―`ヽ 、  \
                /    ! | ! i! |ハ  ∧

                  //   |.! | ! i! ト.ル1.リ,} Y∧
               〃{  」」__从 込'ィ乞ト}/   !.∧
               {!i∧ { i笊ハ `¨ マzリ '|  |/ ∧
                 Y\{ マリ ,       |  | / ∧
                   / .∧   ー '  ,./  |__./ ∧
                /  /  >:....._..:≦/  ,リ  ヽ ∧
               /  /У⌒ヽr:/: :/  /    } ‘,
               /  /  }: : : :/ーi:У  ,.仁ミx  {.  \
               // r'r―.、 .廴.∠ /  ∠._  iリ_/\   \
      ,.ィ´ ̄ ̄ /  У¨>' ´ ,/   /   ` i´     .\   \
    /     /   /´     〃   /__ .イ     \\   \
   /,ィ´ ̄ ̄     /   _ ィ≦{|   八┬-.、| i!    .   \\   \
  / ´/ ,ィ´  /   `¨ ´|ィ´  .八    \ / i!    \   \\   \
   / //  ィ   /    У     \     ニ=‐< ̄`i  ヽ   ヽ \   ヽ
  i / ./ //  /  r'¨¨´/       ` ー=ニ二__   \{   ハ   ハ i}\  !|
  {' .{ / /  ,イ   |   /             /^:ト、 ̄`\\   ト、   i! リ   ヽリ
    ∨ i{  / |  {,..ィ             /::/ ` く>'\ヽ .| ∧ ,リ/    }
      八  i!八,./\\        /::/     }.、  i`\}'  }//'
       \{//   >^ー―――'^ <     /: : :\}ヾi/  /'

衣 74000
憩  1500
京 17500
咲  7000

東四局  ドラ:三元牌

衣「ククッ、リーチ!」

憩(あかん、ウチはまだ追いつけへん。宮永さんもやし京ちんは――)ビビクン

憩「ふくっ」ビクビクン

咲(見えた、見えたけど……私じゃ和了れないし他の二人も――え?)ゾクリ

衣「来たか、きょーたろー!」

京「カン!」カシャンッ


 京太郎が發を四枚、手牌から倒す。その瞬間卓上を清々しい風が通った。

 その風の通り道に沿って京太郎は手を伸ばす。


/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
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/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////


京「嶺上ツモ! 發嶺上開花ドラ4で3000・6000!」


衣 70000
憩 -1500
京 30500
咲  1000



「見事! これで終わるのは惜しい……。当然、続行するぞ!」

「そやねーぇ。このまま終わりじゃウチも納得できひんもん」ニヤリ

「どうする、京ちゃん?」

「やるさ。こんなに楽しい卓を終わらせるのは、まだ早いだろ?」ニコリ

南一局  ドラ:八萬

憩「せっかくチャンスをもろたんやし、やらなあきませんよねーぇ。リーチ!」


 不敵な笑みを浮かべる憩。そう、彼女も南場に入りギアがかかったのだ。

 これまで和了もなく、積もった運もそれなりにある。ならば――


                 /:/:: : : : : : : : : :/: : : : : : : : /: : : : : : : :\: : : : :\
              / : /: : : : : : /: ://: : :/: : : : :./:| : : : : : : |: : :゚: : : : : : :.
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             ′/: : : : : //:_/__,/:_: :/: : : : :./: :.:| ゚: : : : :.:.|: : : : :゚: : : : : ::.
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     __彡: : : : : : : : :/ : : : :| 〃〃   ′           |: :/Χ : : : : : :| :|
    `ー------=彡ク: : : : : |     _      〃〃   |/´ ̄`∨: : : : :∨
           / : : : : :.人     |   ̄`ヽ.           /: : : : :l: : \
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         /_:_:_:_::彡   //l: : :\   `ー‐        _. .:≦: :|: : :.从 : : : 八  --- `
               l/ : : : :./`ト . _   _  -‐   |:_:_:_:/|: : /  \: : : :\
                    八: :./  |:.∧ Τ        {_ノ∧ l/     ` : : : \
                 ∨  j/ /´ |   __ -‐    \          ̄ ̄
                      __/ /lノr‐              \
                 --‐   / /~⌒l           / \
                / {     / ∧   \         /    \

憩「ツモ! リーチ一発ツモタンヤオ平和二盃口で4000・8000ですーぅ!」


衣 62000
憩 14500
京 26500
咲 -3000

南二局  ドラ:白

咲「だったら私だって負けてられないよ。カン! ――ツモ。混老頭嶺上開花で2000・4000!」


                                              /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                                        /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                                      /             .......ヽ::::::::.
                                        /       |     i ∧...:::::::::::::::i:::::::::
                                     i     ∧  i.....∨⌒≫ミx:::::ト、::::i
                                     |.............i:::{⌒\トミ;_\仟 ㌦}〉}:|_)}::::|

                                     |:::::i:::::::::::::r仔ハ     ヾン 仏イ:::i:|            f^Y^ヽ へ
                                     |:::∧::::\圦ヾン   、   ""   /:::::刈                }∪ | | | l_j
                                     ∨ \:::个::ト '"     、   イ:::ハ|    __      r‐-- '゙  ∪J |
                                           ∨|\::ゝ  `ー  / V  -=ァ⌒ヾ  __   ` ー―r、_,.. -r'
                                           }/  V\{`¨マ ´  /---イ〃  У^>-  _/-\__{〉〉
                                                   _,. ィハ   /-- //∥  /         人------/
                                              _ r‐=ニ ---|/⌒/-/=/ {{  /          〈  >---ヘ
                                        /  |l\ -----|  //==/   }}          〉       〉
          r――- 、                         /⌒  Ⅵ  |>-=ミ|∠≠‐=彡   {{  /        く      /
.     jI斗-一'´辷ー\_                   x<      \Ⅵ/乂_=ミr匕x<      夊_厶r――-  .,_,>x__/
      ゙ーァ' ,二   ゝ  }ニ-<⌒'ー< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`'<           У    {⌒Y         /i {
      〈// , - 、 _У∥--}                 \        〈     T爪          i |
       V    Т/-〃--/                         ∧    / j}∧         i |
              V__〃_/      \                ___∧   / / ∧         i |
                    >―――< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       ∨ |   / ∧       i |
                                                |  |   / ∧        i |
                                                |  |    / ∧        i |
                               r‐┬ォ┌‐┬‐┬―┬―┬―┬―‐┬―‐┬―‐┬―‐┬―‐┬ ォ      r――┬ォ―┬―┬――rォ
                           ∟ I斗 ∟ .∟ .∟  L  L.  _|_____|_____|_____|_____|_____jI斗       L __j抖-------!_____抖

衣 60000
憩 10500
京 24500
咲  5000


南三局  ドラ:八筒

京(二人ともさすがだ。よし、俺も続くぞ。ドラも筒子でしかも八だ。一気に加速する!)

京「ポン!」タンッ


              _,. : ―: . . _
          ,. : :´: : : : : : : : : `: : .、
        /: : : : : : ,: : : : : : : : : : :ヽ

        / : /: :/:/: : : : : : : : 、: : : : :.
      /: : : /: :/:': /:{: : : {: : : : : : V : : : l
     ': :_:,: :|: /-|:/:从: : _V: l: :|: : :| : : : {

    / イ|:|: :V:ィ雫ミ{  \_:|`ヽ:|: : ,: : : : ,\
        |:|: :从 Vリ    イ雫ミ}/}: /、: : : { ` }
        /イ:彡'{   ,    Vり /イl) } : 从
      ' |/ 人   _     , -</イ_____
           ` . ヽ`   イ ∨'⌒\ ̄\\
           { {|`..¨´}ヽ   /...................__>>
           | |V{.......| 、 r/..........//⌒\

           | {∧、....|__.,'.......//} l    `¨ヽ
             ,: 乂:、、..|  /...//:.:.イ {       \
             {  {\..∨./イ:./--、乂         、
          「  人 ヽV-'ー'        `  _  ----   \
          ,:    ,\/ーrく        ヽ\ ー,_,.ノ   }
         ,:     / ,:.:.:.:|:.:.:\        〉' 〉 }__/  ,


咲「させないよ、カン――嶺上ツモ。白嶺上開花で5200」


衣 60000
憩 10500
京 19300
咲 10200

南四局  ドラ:南

憩「ふふっ、カンされなかったら喰い清一色で満貫やったのにねーぇ?

  さ、他の卓もぼちぼち終わっとるようやしウチらも店仕舞いしましょーぅ♪

  ツモ! 南ドラ7で倍満は4000・8000や♪」

                      . .-――-. .
                   . . ´: : : : : : : : : : : : .`: .

                      /: : : : : : : : :::::::::::::::::::::: : : : :ヽ
                . . : : : :/:::::/::::::::::::::::l:::::::ヽ::::: :ヽ: :.
                    /: :/: : :/::::/ l:::l:::::::::::::l:::::::::::::::::::: : : ::.
                 ′ . . . ′/  |:ハ::::::::::::ト、::::::::::ヘ::::: :i: : :l
              |. :|: :::::: 1:|   .|{ ‘.::::::::::ヽ\_::::;::::::|: : :|
              |: :|: ::::::| |:|-―.lハ{\::::::::fヾ\`::i:::: l: : |l

              |: :|: ::::::| |:|   |{ ヽ \::{ \ \:::::|: :八
              |: :|: ::::::| レ _ 、     `r==ミx }::∧:: : :
              .: :八:ヽ::| r㌃⌒`            ムイ }:::: : :ヽ
             /: : ::::\ヾ  ,,,,,,,,    ,   ''''''''  | ノ:::: : : : :\
             /: ::::::::八 ハ         ....  、    「::::::::::::::::::ヽ: : >
           /: : ::/:::::::::>-、    (    ノ   イ:::::l::::l:::::::::ヾ:\
        -=≦: : ::/::::::::::::::::::::::ゝ      ー '  <::::l::::∧::|` ー---`
            ∠::::  イ::∧:::::::ト、:::≧=r--  1:::::::::/レ' .V
                   /  \:{ ヾr‐ァ'     トヘ/
                  ___/  \ __ /   \_____
               /      \  /ー一ヘ   /     ハ
               ハ        \/     }/ ̄}    /
                 i  ヽ                }      }
                |   У                 } ∨   .|
                 ′ /                   }  }::..   {
.                 /   {                  }  }:::.
               |   |                  } ,.:::::  i
                i    ハ                 } '::::::::.  |


衣 56000
憩 26500
京 15300
咲  2200


           //  x≦三三三≧x. \  ヽ

          /ィ´          `ヾx ヽ  ∧
         ./イ/    /           ハ  .∧
         /// /   |  /   i!        ',  ハ
         i | ,イ  イ i「 ̄i「   「ハ`ト 、|   ト,  |
         | Ⅶ  ハ トハ ハト.  !' }ハ  i!ヽ !∧ .!
         | |ヘ 小{、.__V_ {ヘ |   }/|  i i!/ハ |
         // | Y i! ` ̄¨´  , `ヾミ==z }/}'l//,'Ⅵ
         〃 |  ハ           イ )i! ∨ ∧!
        /'  !  圦   f:::::::::ァ    /イ,'∧  ∨ ∧
       ./  /.|  |//i>  `¨ ´   イ//i!,/∧  ∨ ∧
      /  / |  |//|厂`ヽ`¨壬‐i/,'|//,i!//,∧  ∨ ∧
     ./ / ̄ ̄r≧=――'.r―iニニ=ミ、__|__'∧  ∨ ∧
     / /    {: : : : : :.‐=|:_:_|=ミ: : : : :.〉    Yハ   ∨ ∧
    ./ /     i ヽ: : : : :_ノ ;仆、: : : : : : :/     |' ∧  ∨ ∧
   /  ,!     i! Y´: : :/:/ |:ヘ: : : : : / /    |//∧  ∨ ∧
  ./  /ノ /    〉 {_:/.: :/  !: :.\: :/ / \_ Y//∧  ∨ ,ハ
    /<      { /≦三/   トミx:.Y /      ∨/,∧  ∨/ハ
  . / ,へ___.//:/      `ヽ`ミ| |       ノ //∧  ∨/ハ
  / /   |:|: : : : :{': : /   ∧   /ヽ}├――-r ´/'////∧  ∨'ハ
  / / /L!__i!: : {    / i  ./: :ノ !: : : : : :i!////////∧  ∨}
   / ./{///|   ト、: |__/  i //   |`  ̄「´//////////∧  ハ

「ふふ、ふはははは! 楽しかったぞ、ケイ、サキ、きょーたろー!」

「お楽しみいただけたようでなによりっす……」ゲッソリ

「京ちゃんは南場全然だったねー」

「そやねぇ。東四局の京ちんは疼くくらいにかっこよかったのになーぁ?」ニッコリ

「うむ、あの風は衣の火照りを慰める良い風だった」

「あはは。まあ、これが京ちゃんだよね。母性本能を擽られるというか」

「京ちゃんにハマるとやめられないっすよ」

「まあ、ね。男を見せてくれる時もあるし……」

「いわゆるギャップ萌え、でしょうか。……アリですね」

「あら、京太郎君の話? ちょっと強引なところがいいわよね。女の子は強引に来られたら弱いものだ、って身をもって知ったわ」



「え、久……? もしかして荒川さんや東横さんだけでなく久まで?」

      / : :/: : |: ::|゙: : |:.:.:| |: VM、_|:.: | }: ト、_,.::|: : :ヾ: ',
     ./  /  .! :i! : :N:.:| い: : : !/≧二]/"|´:.:|:. : |: !. !
    /   | |  |: ::|',/ ヽ| \: : |ィ/,ゞ..、\,!: :/: : :i! | :|
    ,' /: : |::{: .: :!:/| 〉|-.     \!" {_::rj::::', :リ/}:.:. ノ|/゙.:|
.   i ィ: : :.∨\"| /,ィうヽ      ィ゙:`::::ソ i} |/: ': : :|

.   |:/.!: : |: : : : |ヽ  {_,ィrj:::',       .`ー‐゙  ./: : : : : : !
    ! |: : |∨: : :ヽ{i ヾ,::::::ツ ::::::::::::::::: :::::::::  |: : : : : : |
     ヽ:.| \: : : \, `" ::::::::::::::::::::::_,,._ ::::::::: |: : : : : : {

.      'j  |: : ̄、 ̄ :::::::::::::: _,,. - "__\   {: : :  :'.,
         !: : : :.ハ.       { ./      〉 ./!: : : : \
        .|: : :リ`ヘ.       V     ./ ,ィ=、|: : : : ト、::ヽ
.        |: :  : : :`..、,    `ー  " ./ |/ \: : : . :| i: :}
.        リ: ,': : : : :/: : :/  ー, --‐'    /   ヽ: : ::ヽ ̄ `ヽ
.        /: /: : : : /: : :/: : :/ {/〉,    /     〉,: : : :\   \
       /: /: : : : /: : : _,.ィ={ :|/. !.    /    /| \: : : ::\   }
      /:/ : : ::/_,,.-/ / :| :|: :.   /    / :| | .\: : :  \/
     /:/} : : :/   / / .:| :|_.    /   /  .! !  .\: : :  ヽ,
.  /:/_,/゙:   ::/   / /  :| :|. ` ./  ./   .| | /  \: : : :`、

「――部長に先を越されました……!?」

「竹井先輩は色気があるっすからねぇ」


 熱戦の後に繰り広げられるガールズトーク。

 俺の為すすべなく進んで行く女子の交流。

 いいんだ、こんな美少女たちに好かれているのだから文句など言ったら罰が当たる。

 ……だからってSAN値が削れるのは変わりないのだが。

 今の対局で合宿は終わりみたいなものだ。後はレクリエーションを残すのみ。

 ひとまず俺は温泉で癒されよう……。ハギヨシさんがいれば愚痴でも聞いてくれるだろうか。

 たまに視線が怪しいけど、ハギヨシさんは頼りになるいい兄貴分だ。

 この合宿中も疲れただろうとマッサージをしてくれたほどなのだ。

 やたら筋肉を褒められたが、それは自覚していることなので気にならない。

 色々得るものの多い、実りある合宿になったと思う。だからこそ、まずはゆっくり疲れを癒そう――――


プロ相手にトップ3回、同格相手にトップ1回、格上には敗北

技量がかなり上がった
直感がわずかに上がった
必然力がかなり上がった
対局で勝利した相手の好感度がわずかに上がった




満月ころたんはすこやん咏ちゃんに次ぐ強さなので、当然っちゃ当然の結果になりました
強制和了スキルはワンチャン性能すごいな、というところですね

全体コミュ 1d100=46  普通

        44       怪我    
        01~20     失敗    
        21~50     普通    
        51~80     成功    
        81~98    大成功    
        ゾロ目・77  超成功



              -‐……‐-ミ______

                     \///\ /{___
         /                〉////}‐-ミ ,/
           /      /\    〈////∧   丶
.          /    ! |  /  ゜。 i|   }/////|      .
          ′ | _j」⊥L._    」 ⊥L _| ̄| ̄|     :
       i i| :| |i || |     }/ i| i|  |  |     i
       |八 _| |i| _,...」_   /_,...,」_ ,’ __ :|      |
          \Ν'"⌒゙┌‐┐゙⌒`ソ ,〈T ) |.    |
            ∨ `¨¨¨´ ' `¨¨¨´ ノ マ /      |
            / 八   r ‐─┐   ,゙  V |     |
.           / /  \     丿 /ノ^:〉 〉 |     |
          / /     丶 __  イ    / / . :    |
.          {  { _,..-‐r|      t‐-ミ/ /   |     |
        ,. \ \  |t|       /ニ/ {  {`丶 |     |
.       /   ) )  |t|__  __,/ニ/  \ \ . |     |
     /  / /   .|t|  ^´/ニ/     _) ) |     |

「わ、当たりました!」

「妹尾先輩、運良すぎです……。くぅ、瑞原プロの直筆サイン入りカード、欲しかった」

「あ、また当たりました!」

                        /::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
                       /::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
                   /:::::::::, -‐ ´| | | | | | ヽ,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    ヽ川川川川 /       '::::/::::::::'| | | | | | | |    ヽ:::::{',::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     ミ       彡     ./::: :::::l | | | | | | | | | |    ヽ:} ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::
    .ミ        彡     {:::|:::::::ハ | | | | | | | _     ハ  \:/__` ,:::::::::::
   ミ  |    ま  彡   ゝ:',:::i::::ゝ、 , -‐ ´  `         {  〉 }::::::::
  ミ   |    た  彡      ヽ ミゝ ヽ    _,.,,          \´ , l::::::::
  三  |    で  三         ヽヽ    /  ̄          // }:::::::::
  三  |    す  三         r┤. ´""           /´ /:::::::::::
  三  |    か  三.          y〃       υ        ,   ´:::::::::::
  三  |        三        /〃              / ヽ:::::::::::::::
  三  !!?      三            ̄ヾ     __            ,::::::::::::
   彡        ミ.             ヽ_,. ._'"___`ヽ         ヽ:::::ヘ
   ノ川川川川川ヽ                 } - ー‐‐ - ゙   /     ヽ´
                          \       ,         ソ
                             ヽ,    ィ´        /
                             ー    ',      /


「ワハハ、最新式全自動雀卓セットをゲットだなー」

「うむ、後輩にいい土産を残してやれた」


 などなど、ビンゴ大会では鶴賀の妹尾さん無双が繰り広げられた。

 とはいえさすがに総なめというわけでもなく、皆に良い感じで賞品が行き渡った。

 そういう俺はというと、なんとGotADTH(龍門渕帝都ホテル)のスイート宿泊券が当たった。

 どうやら龍門渕さんが押し込んでいたらしいのだが、それをピンポイントで引き当てるのはどうなのか……。

 龍門渕さんは驚きの顔を浮かべ、すぐに満面の笑み。その後高笑いをして咽ていた。

 ほんと、得るものの多い合宿だった……。



合宿に参加した人物全員の好感度が上がった

 スキル練習 1d100=92


 合宿中の対局や検討で、いくつか気付いたことがある。それをどうにか形にしようと俺は頭を悩ませていた。

         f: : V::./::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ/: :)   /
       >:〉: / )::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:fヽ: く  ☆
     //人; У../::/{::.::.::.::.::.::.::ヽ:|/:r-::\
.   //::.:|::/7:|::.::|::十ヘ::\::.::.一:|::.Y:ヽ::.ヽ\

   / ./::.::.:: レ ::.:|::.::Ⅳ|__ \{\::.::.|::.:|::.:| V::.:. \
.  /  ::.::.::.::.| .::. |::/|7んハr   んハリ|::i::. | |::.::.::..
  i{  |::.::.::.:: .::.::.:|∧i Vツ   Vツ ,::.|::.:|ノ::.::.::.:}  |
    ::.::.::.:: ,::.::.: |{::.人 ''   '   ''人リ:: ||::.::.::.:;  |
    |::.::./ /::.::.ヘ::.::.::.::>... ` ´.. イ::j/:|::.:||::.::.:::′
☆  |::./ /::.::く\ \/: : :}: . . /:/⌒i::.::.|:: ||::.:::′

   /:/ //::.::{  V^f:_:_/: : : :|: {  トr――v
_ ノ:/ //|::./: 〉_ソ 7: :ヽ: : 人: : ..ノ/  ̄ハ i

―   j/.|:|/   ー、|:__n_ノ / てヽ_j: V|
    /  .|/       j/ U   {{  )ノ: : :|::\
      /       /       v ´: : : :.人\::...___,
             ′       |: : : : /::/   ー-―
     八               .: ̄ 7j/
       l ーr- ⌒ 、      ノ | ̄ |

「あれ、何を悩んでるのかな? そういうときはお姉さんにお任せだぞ☆」


 そんな俺に瑞原プロが救いの手を差し伸べたのだ。


「えっと、ネトマとかやって気付いたんですけど、実際の対局だと少しだけツモや配牌が良かったんですよ。

 それに筒子がドラの場合も上手く鳴けたりで打点と速度が維持出来たりして。それをどうにか組み合わせられないかなって」

「うーん、オカルト的なアレかぁ。はやりはあんまりそういうの得意じゃないんだけど……。

 でもそうだね、須賀君のスタイルは怯まず、諦めず、真っ直ぐ突き抜けることでしょ?

 だったらその気持ちを一打一打に意識してみたらどうかな☆」

「一打一打に……。なるほど、参考になりました。ありがとうございます!」

「あはは、微妙なアドバイスでごめんね? でもお姉さんにできることなら何でもしてあげるからどんどん頼ってね☆」

「ん? 今なんでもするって」

「言ったけどエッチなことはめっだよ☆」

「そんなー(´・ω・`)」


 【????】→【出雲八雲】に覚醒。事前予約の通りに一牌入魂と合成。


【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる

               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´     |

「あ~、生き返る~」


 成長の実感をしつつ、俺は最後の温泉を堪能していた。

 さすがに混浴ではないので一人寂しく、ではあるが。酒ではないにしても何か飲み物を一献やりたいような風情だ。


「はい、どうぞ」

「お、気が利くなぁ和――って和!?」

                ,..- : ': ´ ̄ ̄ :`:ヽ
              /:.:.:. : : : : : : : 、、: : : :.、ヽ

                /: : .:.:.:. : : : : : : : : 、ヽ:.:.:  ゙、ヽ
               /: : : : :: : : : : : : .:.:.:.:.:.゙、゙、:...:.:. i:.:.丶
           /: : : /: : : : .::i:.:.:.:.:i:.:.:i:. i .i!:.:.:.:.:|:.:. :.、

              i: : : :i.:.:.:.:. :.i:.:|:.|:.:.:.|:.:.:|:. :.|!:i!:.:.:.:.:|;.:.:. :、
           i i: :.:.|:.:.:.:.i: :|:.:|:.| :.:i:|:.:.:|.._;i!:|:!:.:.:.:.|i!:.:. 丶
           !i!.:.:.:|:.:.:.i:.|:.:.!:.:|:.! :.|;!-‐|´:.ハi!|:.:.:.i:.i、:.:.:. 丶
            |{! i |  .| .! .:!..:i:|::イハ:.:,!け´ハ|:.:.:.|:.|iト、:.:. 、
            |ハ !....i..i:.:i:_!;.-!:.:i乂ハ:j,.イfr';ノ!:.:.:|:.:!|、 \:.:丶
           {! i:|:.:.:i:.i:イ:|:.:.:.i、:j乂 リ  ´´イ:.i:.:|:.|:|、\ \:.\
               ト|、:.:.i、从:.ト;|._Yゥk       |:.|:.:|:.|、{ 丶}:.:、\.:ヽ
  _,......---― ''''"""" 人:_{ハハ!:.:"ー'^´  ' _,ノ !:|:.:|:.:! \ー゙:.:.:.`/ `丶
. f'     \        |i:.| |:.:.:.|:.i\...____|:|:.:|:.:|   ̄).:.:{     ヽ
 \     \       ||.:| |:.:.:.|:.|       `!:!:.i!:.:|/  / \::、     i
   \     Yー--r―r|!:.|―!:.:.:|:ハ }       |:|:.:|:.:|    i   \、    !
    \    \ |:.:.:i:|.|:.:|:.:.:|:.:.:.l|:.:i ,     }ハ:ノ:i:.|   |    \  .|
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         \     ヽハ:.!ノ;.'      /':./:.:/   !:|  !        i |!
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「えへへ、来ちゃいました」


 俺の心を読んだかのように見事なタイミングで差し出されたサイダー。

 いやそれはどうでもいい。それを差し出したのが誰あろうあの原村和であることが問題だ。

 来ちゃいました、とはにかみ笑う和は湯で温まったのかほのかにピンク色に染まった肌が艶めかしい。

 正直に言えばこの混乱した状態だというのに前かがみにならざるを得ないほどに。


「いや、え? 待って、タオルとか巻いてないよねそれ。濁り湯じゃないから丸見えだぞ!?」

「だって……私だって京太郎くんを好きなんですよ? なのに部長とその、え、エッチしたんですよね……?」

「あー、うー、……はい、すみません」


 和の体は丸見え。当然俺の体も和には丸見えだ。

 少し恥ずかしそうにしてはいるが、切なげに俺を見る和にはある種の覚悟が見える。

 久さんと致したことを責められても素直に謝る他ない……。


「だからその、私もまごついてられないと思ったんです」


 いや和に俺を責める気などないのだろう。謝罪など右から左に受け流し、俺に身体を寄せる。

 そうなれば当然、その豊満な体が触れるわけで……。俺をとてつもない柔らかさが襲う。

 背を向けていたために、俺の背中に和の胸が押し付けられているのだ。

 適度な張りがあるために押しつぶされて形が変わっていることがはっきりと分かる。

 和はそれで止まらず、手を回して俺に縋り付くように抱きついてくる。

 耳元に和の熱い吐息がかかる。どこまで理性が保つか、自信はない。

 和の穢れを知らない白い指が俺の胸元を蠢く。


「京太郎くん、和を召し上がれ……♪」
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 ここまでされては、黙っていては男じゃない。

 俺は和の手を取り、振り返る。満天の星と大きな満月が雲に隠れた。

 闇の中で俺と和の全てが重なった――――


「今日のお昼御飯が終わったら解散っすね」

「そうだな」

「……? 京ちゃんだいぶお疲れっすねぇ」

「そうみたいやねーぇ。来週はしっかり骨休めしてインハイ本番はファイトですよーぅ!」


 桃子と憩さんがそう言って気合を入れている。

 さすがに疲れた。清澄の皆の方を見ると、和はやたらとツヤツヤしているように見える。

 女は強い。改めて思い知らされた気分だ。

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     |:..:|∧ ',: : . .: : . : i.     ..ノ|: | リ
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     ゝ |  `ーイ:: ::::/:|:::::::::/゙_.∠.ィ゙/
      |  ::\.|_ :::/ ::! ::,ィ゙    {"
      ∧  ::::\ } : ::::: ::/    ∧

 俺の視線に気づいたのか、和がこちらを見てにっこりと笑う。

 ほんと、色々なことがあった合宿だった……。

7月4週終了。


須賀京太郎
属性 :O
技量 :A75→A79
直感 :S85→S86
必然力:A73→A77
・スキル
【焼牌入魂炉】 (出雲八雲+一牌入魂)
 その打牌は一打ごとに魂を焼き入れする如く。燃え盛る炉を彷彿とさせる打ち筋。
(効果A)
 判定を+30。
(効果B)
 【威圧感】系統のスキル効果を受けない。
(効果C)
 打点を+3。
(効果D)
 判定値1位で和了に成功した場合、流局を無効にして1翻として和了する。
 ただし符数は半減せずに判定する。
 また符が足りずに流局の場合は30符として計算し翻数は通常の判定で計算する。
(効果D)
 ドラが筒子の場合、判定と打点をその筒子の数字の半分の段階だけ上昇させる。

【野獣の眼光】
 惹かれるは男の性。
(効果A)
 対局者が巨乳の場合、判定値を-10。
(効果B)
 対局者が貧乳の場合、判定値を-5。
 ただし打点は+1。

【百鬼の太刀】なきりのたち
 呼び起された新たな力。未だ完全ではない。
 い)ドラが索子
 ろ)聴牌・和了判定が共に2位以上だった局の次局
 は)親番
  以上のいずれかの条件を満たした場合に発動。
(効果A)
 判定を+10。
(効果B)
 ドラが八索の場合、跳満以上を強制ツモ和了。
(効果C)
 聴牌・和了判定のいずれかで82・85・88が出た場合、
 満貫以上を強制ツモ和了。
(効果D)
 このスキルは一切の干渉を受けない。


ということで県内編はこれにて終了です

というか書き溜めがここで尽きました。2月1日に書き終えたのです……

全国編はまたしばらくお待ちください。質問や感想などいただければ>>1が泣いて喜びます

それではお読みいただきありがとうございました!

乙!
全国編も期待して待ってるぜ!

モモの余裕は正妻故の余裕かな?

乙~と>>1に最大級のありがとうを

スッゴい面白かった!安価でやってなかったから見ててだれることがなくテンション高いまま読みきれました。

また楽しみにしてます。

>>750
団体戦で絃さんが軽く触れていましたが、この世界では若くして芽を見せる男性は少数派です

ですので有望な青年には女性が集まりやすく、地位のある女性などに押されて内縁の妻の法的権利が大きく改善されている、という設定です

フランスや、後はイギリスのシングルマザー手当などが導入された感じだとイメージしていただければ

なのでモモは京ちゃんの性格も相まって経済的理由さえクリアできればなんだかんだ受け入れられる、と高をくくっているのです


>>751
お楽しみいただけたようでうれしいです。自分も書いてて楽しかったので少しでも伝わっていれば重畳でござい

スキルの百鬼の太刀見ると百鬼さん出てこないことに若干の違和感が

全国編では出番ありますかね?

>>754
出てはくるのですが、おそらく個人戦のみの登場となります
藤原利仙も同じくです。やえさんやちゃちゃのんも……。ちゃちゃのんは鹿老渡として出せなくもないのですが

(菜切りの太刀、野菜ズバズバーを格好良く変換しただけなのは秘密)

オートで進む安価スレってどうしてこう、こう、なんだろうなぞわぞわする。

何が言いたいかっていうと俺も参加させてくれなんだけど。

もしよかったら今度は読者も参加できる安価スレとして立ててくれるとうれしい

>>775
最初はそのつもりだったんですけどね……
揺杏とか選ばれると書ける自信がなかった、というのも非安価にした理由の一つです
有珠山などは全国編からなのでそんなに選ばれる可能性は高くないですけど、
執事スレとか他にも、割と人気校っぽいので

ストーリーは練るというか……対局なんかは完全にダイス神のお導きです
さすがに全国に入ると次鋒で飛び、とかは完全無調整でも起こらないので
(有珠山は後ろ二人を強くする関係でちょっと怪しいですけど)
システムを評価してもらえてうれしいっす。流用なんかはどんどんやってくださって結構なので

そういえばなんですが、皆さんにお聞きしたいことが二点ほどできました

1.チーム須賀以外の対局は描写すべきか

2.5位決定戦はやるか。やるとして描写するか

以上の2点です
お答えいただけると幸いです。一応5位決定戦以外の対局は県内編を書き始める前に済んでるんですけどね

1 ストーリー上必要なところだけダイジェストで

2 京ちゃんチームがなったらやる程度でいいと思う

このスレはやっぱり非安価で進めた方がいいと思う。安価でやると絶対に荒れると思うからその隙を与えない非安価があってる

皆さまご協力ありがとうございました
ダイジェストで、清澄や阿知賀のような主役級高校のみフォーカスします
そして5位決定戦なんて無かった(白目)

>>794
荒れますかね。まあ安価スレなんて荒れてなんぼな気もするくらいですものねぇ

今更ながら、>>682で藤田プロの
面前清一タンヤオ一盃口ドラで2本場は2200・4100だ。供託棒も4本もらうぞ」

これは倍満じゃあないのか?

>>796
ご指摘の通りで……。点数の方が正しいので申告部分のミスです。元はチッチーっす
なのになんで清一色とか入ってるんだ。いやほんと申し訳ない
ご指摘ありがとうございました

ところで続編いつごろになりますか

>>798
3月頭には準決勝前までで出せたらいいな……、ってとこです
京ちゃん視点以外を書く必要がないので割とスムーズに進むはず……?

展開に苦慮したため照のスキルに調整を入れた関係でやや遅れるやもしれませぬ
調整前の照は憩とどっこいか相性的に連続和了型ではやや不利ってくらいだったんですが……

学園都市リスペクトから原作寄りにしたら1000点スタートじゃなくなって火力がパないことになりました……

お待ちくださっている皆様には申し訳ございませんが、なにとぞご容赦のほどお願いいたします

>>28
リャンペーコーで一通って無理だろ


次スレですー

京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」全国編
京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」全国編 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457264550/)



>>803
遅れましたがご指摘ありがとうございます
掲示板なので訂正が効かないのが心苦しいです
またミスがあるやもしれませんがその際も指摘してやってくれるとありがたいです

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