セイバー「…………」
切嗣「(召喚は成功か。これがかの伝説のアーサー王という訳だ)」
セイバー「…………」
切嗣「…………」
アイリ「えっと、貴方はアーサー王、でいいのよね?」
セイバー「えぇ、その通りです」
アイリ「彼は切嗣、貴方のマスターよ。そして私は彼のセイバー「分かっています、アイリスフィール」
切嗣・アイリ「!?」
セイバー「聖杯戦争まで時間はあるのでしょう、私はそれまで城内で待機しているので、何かあれば指示を」スッ
アイリ「私、名前教えたかしら?」
切嗣「いや、アイリの名前は召喚してから一度も口にしていない。なのに奴はアイリの名前を口にした」
切嗣「セイバー……奴は一体何者なんだ」
アイリ「(あのサーヴァント、切嗣と同じように何かに疲れたかのような目をしていたわ)」
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ランサー「よくぞ来た、今まで街を歩いてきたが誘いにのセイバー「くどいっ!」ズバァン
ランサー「がはっ!? 不意打ちとは卑劣な!!」
セイバー「油断する方が悪いんですよ。騎士なら正々堂々と戦うとでも?」
ランサー「貴様らは、貴様らはそうまでして勝ちたいか!? 許さん! 断じて許さん!! 聖杯にセイバー「五月蠅い」ズバァン
シュウウウ……
アイリ「せ、セイバー?」
セイバー「まずは一騎、残る敵は5騎です」
アイリ「そ、そうね」
切嗣「(ほう、騎士道やらなにやらで正面から戦うかと思えば不意打ち上等か。手間が省けていい)」
舞弥『切嗣、高台にアサシンが』
切嗣『なるほど、やはりあのダンスは茶番だった訳か。今日は一人脱落させただけでも上出来だ。マスターを始末して帰るぞ』
舞弥「分かりました」
アイリ「見て、セイバー! 切嗣が私にくれたこのおもちゃ、私の一番のお気に入りなのよ!」ブォオオオオオン
セイバー「……数百メートル先にサーヴァントがいます、止まってください」
アイリ「え? え、えぇ」キキィ
スッ
ジル「お待ちしておりました、聖sセイバー「お前はここで果てろ」ズバァン
ジル「が……ジャン……ヌ…………?」シュウウウウ
アイリ「せ……セイバー?」
セイバー「残る敵は4騎、アーチャーとライダーとバーサーカーとアサシンです」
アイリ「そ、そうね(さっきのあれ、キャスターだったのかしら? どうしてキャスターと断言出来るのか不思議ね)」
時臣「ランサーが敗れたか、勝手に相手が消耗しあってくれるのであればこちらは力を温存出来る。順調だな」
綺礼「師よ、あのセイバーからは不思議な雰囲気を感じます。アサシンを仕向けて実力の程を確認しても?」
時臣「あぁ、頼むよ。ほとんど一瞬で終わってしまったから、セイバーの実力もほとんどわからずじまいだからね」
綺礼「(これで衛宮切嗣と接触が出来る)」
セイバー「カリバアァアアアアアアアアアアアアア!!」ズドォオオオン
時臣「」
綺礼「」
セイバー「ここまでは流れ作業ですね」
ギル「時臣を不意打ちで殺ったか。だが我に臣下としての礼を尽くす者に手を出した以上、どうなるかはわかっているな?」
セイバー「英雄王と正面から戦う訳がないでしょう、逃げますよ」ブオォオオン
ギル「なんだと!? おのれ、逃げるな雑種がぁあああああああ!!」
セイバー「残る敵はライダーとバーサーカーです、アサシンはマスターが死んだ為消滅したでしょうし、アーチャーも数日しない内に消えます」
切嗣「セイバー、その前に答えろ。お前は正体不明のサーヴァントをキャスターと断定した。その理由はなんだ?」
アイリ・舞弥「(切嗣がセイバーに話しかけた!?)」
セイバー「勘ですよ」
切嗣「勘で不確定要素を確定させたとでも言うつもりか? そのサーヴァントがライダーやバーサーカーの可能性は?」
セイバー「疑うのであれば、ほかの存命サーヴァントについてでも調べてみては?」
切嗣「……百歩譲ってお前が倒したサーヴァントがキャスターだったとしよう。遠坂の拠点はどう知った?」
セイバー「こちらで調べました」
切嗣「……なら」
セイバー「無駄な質問に付き合うつもりはありません。これからバーサーカーのマスターの拠点を叩きに行くので余計な事をせず、そこで待機していてください」
切嗣「待て! まだ話はセイバー「質問に付き合うつもりはないと言ったはずだ、二度言わせるな」
切嗣「……!!」
アイリ「待って、セイバー!」
セイバー「なんです、アイリスフィール?」
アイリ「貴方は、一体何を抱えているの? 私には、貴方がとても重い何かを抱えている気がして……」
セイバー「……アイリスフィール、動くのも辛い現状で無理をしてはいけない。それでは、行ってきます」
アイリ「セイバー……」フラッ
切嗣「アイリ!!」
臓硯「な、なんじゃお主は!?」
セイバー「諸悪の根源は今ここで蟲一つ残さず消えろ」ズバァン
臓硯「ばかな、儂の野望が……」ドサッ
セイバー「…………」ヒュッ
ズバァン
蟲「ひぎぃ」
セイバー「貴様の本体等、既に見破っている。周囲の蟲もろとも滅びろ」ズバァンズバァン
蟲「」
雁夜「な、なんだこれ……家が燃えてる」
セイバー「……」スッ
雁夜「お前が、やったのか。桜ちゃんを放せ!! あいつを殺せ、バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■!!」ブォンッ
セイバー「ちっ、面倒な」キィンキィン
雁夜「殺せ、ころ……がはっ」ボタボタ
セイバー「間桐の魔術に浸食されて一か月も持たない身で無駄に苦しむだけ辛いだろう、貴様の心臓に巣食う悪魔毎叩き斬って、今楽にしてやる」ズバァン
雁夜「ごふっ……」ドサッ
バーサーカー「■■■■■!!」
セイバー「ランスロット、お前と正面からぶつかるだけ無駄だ。貴様は魔力切れで自滅でもしておく事だな」ブォオオオン
バーサーカー「■■■■■■■!!」
ウェイバー「どうなってんだよ!? もうサーヴァントがほとんど残っていないじゃないか!!」
ライダー「うむ、天晴だ!! 実に愉快だ!! たった一騎で4騎ものサーヴァントを葬るとはな」
ウェイバー「笑っている場合かよ!? もう残っているのは僕とマスターのいないアーチャー、そしてあのセイバーしかいないんだぞ!?」
ライダー「結構ではないか。ならば余の征服をもってして迎え撃つのみ! そしてあのセイバーを臣下に加えたいものだ」
ウェイバー「何を言っていやがりますか、この馬鹿は!!」
ピンポーン
ライダー「む、来客か?」
ウェイバー「あれ、二人共帰りはまだのはずだけど……」ガチャ
セイバー「……」
ウェイバー「せ、せせせせせセイバアアアアアアアア!?」ドタッガタッバタンッ
ライダー「落ち着け坊主。で、貴様がセイバーか」
セイバー「話がある、あがっても構わないか?」
ウェイバー「は、話って? それに抱えている子供は一体……」
ライダー「うぅむ、何やら訳アリのようだな。よかろう、ならば盛大にもてなしをしようではないか」
ウェイバー「おい!!」
セイバー「という訳だ」
ウェイバー「はぁああ!? 突然やって来たと思ったら敵マスターに孤児を引き取れ!? お前、何を言っているのかわかっているのか!?」
セイバー「無論、承知の上だ。私のマスターにこの子を引き渡しても不幸しか生まん」
ウェイバー「だからって、見ず知らずのマスターに預ける方がどうかと思うぞ」
セイバー「貴殿なら問題ない、そう判断したまでだ」
ウェイバー「初めて会ったサーヴァントにそこまで褒められるのは悪い気はしないけど、何か企んでいるんじゃないのか?」
セイバー「企み等ないさ、これは私の個人的なお願いなのだからな」
ウェイバー「ちなみに、断ったらどうなる?」
セイバー「この子は路頭に迷う事になるだろう」
ウェイバー「ふざけんな! 拾ったなら最後まで責任を持ちやがれ!!」
セイバー「私はベストな判断をしているに過ぎん」
ライダー「ふむ、ならばセイバーよ……盃を交わし、語ろうではないか。それで見えて来るものもあろう」
ウェイバー「何を言っていやがりますかこの馬鹿は!?」
ライダー「馬鹿とは心外だな、酒を持って言葉を交わす。これもまた立派な征服だ」
セイバー「いいだろう」
ウェイバー「もうやだこのサーヴァント達」
切嗣「……」
アイリ「どうやら、私もここまでみたい」
切嗣「アイリ……僕は」
アイリ「泣かないで、切嗣。私は、貴方にたくさんの幸せをもらったわ」
アイリ「それだけでも、十分に私は幸せ。もし私が知らない幸せがあったら……それは、イリヤに与えてあげて」
切嗣「アイリ……!!」
アイリ「アヴァロンも、使う事こそなかったけど……そろそろ返さないといけないわね」スゥ
アイリ「受け取って、切嗣。きっとここからは、貴方にこそ必要になると思うから」
切嗣「僕は……」
アイリ「それとね、切嗣。私、分かった気がするの」
アイリ「セイバーは、貴方と似ているのよ」
アイリ「止まりたくても、止まれなくて、それで自分を苦しめてる。今の切嗣と同じ」
アイリ「だから、お願い。この戦争に勝利して、セイバーの苦しみを解放してあげて」
アイリ「そして、切嗣……あの子を、イリヤをよろしくね」
切嗣「…………あぁ、約束する。必ずイリヤを君の分まで幸せにしてみせる」
アイリ「ふふ……安心、した」
アーチャー「待っていたぞ、セイバー! 貴様のセイバー「エクス……」キィイイイン
アーチャー「おい、待て! 貴様人の話を最後まで聞「カリバァアアアアアア!!」カッ
アーチャー「セイバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」ズガァアアアン
ライダー「なんというか、あっさりした幕引きじゃのう」
セイバー「そうですね、ですがこれで完全に邪魔者はいなくなりました」
ライダー「となると、やる事は一つか」
セイバー「えぇ、決着を付けましょう」
ライダー「望む所よ! 貴様が抱えるものもろとも、この征服王が征服してくれるわ!!」
ライダー「あぁ、此度の遠征も……また、面白いものであった」シュウウウウ
セイバー「……さて、後は大聖杯を破壊するだけ」スッ
切嗣「……」
セイバー「もう目が覚めたのですか、切嗣」
切嗣「答えろ、セイバー」
セイバー「なんですか? 言っておきますが、私はこれから聖杯を破壊しに行きます。文句は受け付けません」
切嗣「その前に質問に答えろ」
セイバー「……」
切嗣「セイバー、お前は何故召喚に応じた? 目的はなんだ?」
セイバー「……ブリテンの救済」
切嗣「……」
セイバー「それが、以前の私の目的でした」
切嗣「……どういう事だ?」
セイバー「この際なので種明かしをしましょうか。私は、繰り返しているんですよ……この聖杯戦争を」
切嗣「なに!?」
セイバー「最初の内は、死にもの狂いで戦っていました。最後まで残って、貴方に聖杯の破壊を命じられた事もあった」
セイバー「アイリスフィールを見殺しにした事もありましたし、助け出した結果国が滅んだ事もあった」
セイバー「聖杯は、汚染されている。その汚染された聖杯の元を絶たない限り、何も解決はしない」
セイバー「だから私は、この聖杯戦争の大本を断ち切り、再起不能にする」
切嗣「それじゃあ僕の願いはどうなる!? 恒久的世界平和は!?」
セイバー「切嗣、汚染された聖杯に願っても貴方の願いは決して叶わない」
切嗣「そう言い切れる根拠は!?」
セイバー「見たからですよ。貴方がそれを願った結果、滅びた世界を」
切嗣「お前の言っている事が事実だという証拠は!?」
セイバー「シャーレイ、ナタリア……今はもういない、貴方の大切な人の名です」
セイバー「貴方が抱えている過去も、全て知っている。ここまで言ってまだ納得しませんか?」
切嗣「…………っ!!」
セイバー「私も、疲れたのです。この戦争を繰り返す事に」
セイバー「だから、大本を絶つ。それだけの話です。そうすれば、この世界への被害も最小限にとどまるはずです」
切嗣「その保証はセイバー「ありませんね、可能性の話です」
セイバー「それこそ、蜘蛛の糸を掴むかのような話でしょう。例をあげるならば、平行世界の自分を殺せば、守護者としての使命から解放されるかのような位の確率論だ」
セイバー「ですが、それでも試すだけの価値はある。それでこの戦争から解放されるのであれば、それでいい」
セイバー「貴方が、汚染された聖杯に何かを願おうというのであれば、容赦なく叩き斬ります」
セイバー「貴方にも、娘がいるでしょう。彼女を迎えに行きなさい」
切嗣「……セイバー」
セイバー「では、行ってきます」
こうして、聖杯戦争は幕を閉じた。
大聖杯は破壊され、二度と冬木で聖杯戦争が行われる事はないだろう。
噂では、どこかの老夫婦の家では養子となった娘に少しずつ笑顔が戻っているらしい。
一緒に遊んだイリヤが、その娘の事を楽しそうに話していた。
公園で知り合った士郎という子供とも、仲良く遊んでいるそうだ。
セイバー……君は、運命から解放されたのだろうか?
また再び、同じ聖杯戦争を繰り返して絶望しているのか、運命から解放されたのかは僕にはわからない。
ただ、一つだけわかる事があるとすれば……
イリヤ「切嗣、どうしたの?」
切嗣「いや、少し考え事をね」
イリヤ「変な切嗣」
切嗣「はは……」
僕は、ある意味君に救われたのかもしれない。
~FIN~
思い付きで書いた 反省はしている。HTML化依頼しておきます
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