穂乃果「・・・飛べるかな?」 (105)

前に落としてしまったSSです

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穂乃果「大丈夫だよ。きっと飛べるよ!」

みんなはにこりと私を見て大きく頷いてくれた。

思えば私達は大きな事を成し遂げた。

まず廃校を救ってラブライブで優勝もした。

色々、危機はあったけどみんながいたから成し遂げられた。

だから今こうやってみんなは私を信じ、私はみんなを信じている。

スクールアイドルをやって本当に良かった。

私は泣きそうになったけど、我慢した。


涙は悲しい時に流す。
嬉しい時には流さない。

だから今この場は笑って過ごそうよ。

集まる前にそう提案したのは私で言い出しっぺの私が一番に泣く訳には行かなかった。

今日はμ’sの解散ライブから数日が経ち。

絵里ちゃん達が大学へ進出してしまう前夜。

希ちゃんにこちゃん絵里ちゃん。
高校生じゃ無くなる三人の為に高校生として最後のパーティーを開いた。

メインの三人もまた目尻に涙を溜めていて、少し揺らしただけで零れちゃいそうだ。

穂乃果「じゃあ・・・乾杯しよっか!」

絵里「えぇ・・・」

みんなとの思い出を懐かしむようにグラスを持ち上げる絵里ちゃん。

希「そうやね・・・」

みんなを見守ってμ’sの名付け親となってくれた希ちゃんも続いてグラスを持ち上げた。

にこ「あ、あんた達も大きくなったわねぇ・・・」

にこちゃんは何時もの調子だけど、それは涙 泣きそうになるのを悟らせない為だと顔を見ればすぐに分かった。

穂乃果「じゃあ・・・乾杯!」

そう、私達は何処へでも飛べる。
自由に何処へでも・・・。

おわり。

穂乃果「違うなぁ」

最後の二行を消しゴムで消した。

そう、私達はいつだって一瞬だ。
世界中のどこへいても・・・。

穂乃果「最終回なんだからもっと心に残る言い回しにしなくちゃ」

また最後の二行を消しゴムで消す。

穂乃果「これ以上、何も思いつかない・・・」

Chapter.1
穂乃果【IF】

私は書いていた小説をパタンと閉じて、大きく伸びをした。
何処かの骨がポキポキと鳴った。

今書いていたのは、私やみんながもしアイドルだったら?と言うIF小説で。
ただアイドルになるだけじゃつまらないから、スクールアイドルと言う特集なアイドルを思い付いた。

普通なアイドルは事務所に入りアイドルとして活動するけど、スクールアイドルはそうじゃない。

普通の高校生が友達を集めてアイドルをやるのがスクールアイドル。

芸能人ではない。
通ってる高校のアイドルなんだ。

それだけじゃつまらないから、廃校寸前の学校を私達が有名になって生徒を集めて廃校を救う。
そういうお話だ。

でも現実は私達は高校生でもないアイドルなんてともでもない。

ただの精神病棟に閉じ込められている。
飛べない鳥だ。

部屋は壁は真っ白、床は緑色。
六畳程の広さであるのはベットと机とあと病院で許されている小物がいくつか。

机に面して窓があるが、内開きの窓の為、換気しようとしても少ししか開かない。

更に、飛び降り防止の為か鉄格子があり、これを見ると私は人間だと思わず主張したくなる。

勿論、この部屋に入る扉もオートロック式だ。
許可が出ないと病院内を歩き回れない。

ノートをペラペラとめくる。
このノートの中の私はμ’sと言うアイドルの一員だ。

穂乃果「はぁ・・・」

このノートの中の私はとても幸せそうで、書いてると、涙がでる。

私もこんな日々を送りたいなぁとか学校に行きたいなぁとかそういう事を思うとやっぱり涙は抑えられない。
でも行ったって私みたいな人間は馴染めない事はよく分かってる。

勿論、私とみんなはこんなに仲良しじゃないからお話しも余りしない。

でも、実在してる人達ばっかりで。
ここの病棟の一員でもある。

勝手にみんなを出しているから誰にも読ませる事は出来ないし、完全に一人だけの楽しみだ。

あ、でもこの前、ツバサ先生に見せたら穂乃果はお話し書く才能があるねって褒められた。

ことり「ちゅんちゅん」

穂乃果「あ、ことりさんこんにちは」

ことり「ちゅん」

部屋に入る扉には看護師が様子を見れるように部屋全体が見渡せる小窓があり。
そこからことりさんは私を見ていた。

小説ではことりちゃんなんて言ってるけど、ここではことりさんとは仲がいい方だけどちゅんしか話さないからちゃん付けはちょっと出来ない。
だからことりさんって呼んでる。
他のみんなもそうだ。

ことり「ちゅんちゅん」

ことりさんは小さく手を振ると、行ってしまった。

その後、部屋のキーが開きツバサ先生が顔を出した。

ツバサ「おはよう穂乃果」

穂乃果「おお、おはようございます」

ツバサ「朝ご飯よ。あ、ことり待って!穂乃果もすぐに来てね!」

穂乃果「はぃ」

μ’sの物語が書いてある小説を閉じて、ベットの下へ隠す。

スリッパを履いて私はデイルームへと向かった。

今日はここで終わりです
不定期更新になりますが、ラストまで必ず書きます
前のスレタイは
穂乃果「garden」です

Chapter.2
凛【innocence】

凛「きたにゃ!きたにゃ!穂乃果ちゃんおはよー!」

待ちに待った朝ご飯。
もうテーブルには穂乃果ちゃん以外の人は座っていて。
穂乃果ちゃんが座ればいただきますして朝食だ。

希「穂乃果ちゃん遅やん!」

穂乃果「ご、ごめんなさい・・・」

凛「いいよーいいよー。隣座る?」

穂乃果「あ、はい・・・。そこしか空いて無いので・・・」

凛にはここでの友達が三人いる。
穂乃果ちゃん希ちゃん花陽ちゃんことりちゃんだ。
みんないい人で大好きだ。
他の人も話し掛けてもあまり返事がないけどきっといい人!

ツバサ「それじゃあ。いただきます」

みんないただきますして。
ハムエッグとバタートーストを食べ始める。

凛「うん!美味しいにゃー!」

希「美味しいなぁ~」

私と顔を見合わせてニコニコ笑ってくれたのは希ちゃん。
私みたいに無邪気で、胸は大きいけど子供みたいな人。
よく話す!

花陽「今日もご飯ないんですか?」

ツバサ「うん。ごめんね。花陽」

花陽「はぁ。あの、私こんな栄養のない食事だったら死んじゃいます。ほら、みてくださいこの手の痣」

ツバサ「それはあなたが腕を圧迫し続けたせいよ」

花陽「・・・」

やたらご飯にこだわるかよちん!
沢山病気を抱えていて、可哀想な人。
でも、凛とよくお喋りしてくれるしいい人!


海未「ごちそうさまです」

誰よりも朝食を早く食べ終わったのは海未ちゃん。
凛にはそうは見えないんだけどみんな怖がってる。
凛が話し掛けても無視するけど、優しそうな人。

穂乃果「お醤油とってくれませんか?」

凛「うん!」

お醤油を受け取ったのは穂乃果ちゃん。
最初の頃は暴れていて大声で叫んでいて中々隔離室から出られ無かったけど話してみると凄くいい人。

にこ「・・・・・・」

黙々とご飯を食べているのはにこちゃん。
時々、にこちゃんの部屋からは奇声が聞こえるけど、ちっちゃくてかわいいしきっといい人だと思う。

真姫「・・・・・・」

同じく黙々と食べている真姫ちゃん。
この人もにこちゃんと一緒で話さないけど、部屋で奇声を出したりはしない。
よく髪をくるくるしてる。
育ちが良さそうだからいい人かも!


絵里「希、ケチャップついてるわよ」

希「えへへ。えりちさんきゅーな」

この人は絵里ちゃん。
希ちゃんと大の仲良しで、私もちょくちょく話す事もある。
希ちゃんに対してあんだけ優しいからいい人!

ことり「ちゅん」

凛「ん?ハム欲しいの?」

ことり「ちゅん!」

凛「いいよーあげるにゃー」

ことりちゃんは鳥の真似してる人!
いい人!

凛「ことりちゃんにハムあげたら無くなっちゃった。ごちそうさま!」

そして私は凛。
ウィリアムズ症候群って言う病気でここに入院してる。
家族や友達のみんなは私の事を天使みたいだって良く言ってくれる。

穂乃果【Magic】

朝食を食べ終わり。
デイルームには凛さんと希さんとことりさん以外はみんな自分の部屋にもどって行った。

凛ちゃんと希ちゃんはアニメを見ていて。
ことりさんは私の横にちょこんと座っている。

ことり「ちゅん?」

穂乃果「あの。えーと」

ことりさんはちゅんしか話さないから何を言っているのか分からなく。
かと言ってそれを言う勇気を持っていない私はしどろもどろに返事をしていた。

けど、何故か上手いことに話しが噛み合っている?・・・ようで、ことりちゃんはキラキラした笑顔で楽しそうに鳴いている。

ことり「ちゅんちゅん。ちゅん?ちゅん!」

穂乃果「あ、その。うーん」

ことり「ちゅん!ちゅんちゅん」

穂乃果「は、はい。そ、そうですね」

ことり「ちゅん!」

ことりさんの笑顔は本当に無垢で屈託がなく。
見ている私を安心させてくれる。

希「なにしてるん?」

穂乃果「ひゃっ!」

ことり「ちゅん!」

後ろから急に話しかけられてびっくりし、ことりさんは私の声にびっくりしていた。

希「なになに?何かの遊びなん?うちもまぜてー!」

穂乃果「あ、あの。話してました」

希「何の話しなん?」

ことり「ちゅん!」

希「ちゅん!」

希さんはことりさんの真似をして、二人共おかしかったのかケラケラと笑った。

希「絵本読む?」

穂乃果「絵本ですか?」

ことり「ちゅん!」

ことりさんは絵本を読みたそうで、私もどうせこの後は特にやることも無いし付き合う事にした。

希さんは嬉しいそうに頷いて、自分の病室に戻り絵本を持ってきた。

希「これー!」

絵本のタイトルはマジック。
表紙はタキシード姿の男性と花嫁姿の女性が向かい合っており。

背景は見たことがないからよく分からないが、結婚式場だろう。

希「じゃあ読むで!」

ことり「ちゅん!」

穂乃果「は、はい!」

希「昔、昔あるところにーーー」

私はしばらく希さんの朗読に耳を傾け、お話に集中した。

希「二人は幸せに暮らしましたとさ・・・おしまいおしまい」

絵本を読み終えた希さんは満足したようで、微笑みながら交互に私達を見た。

希「どうやった?どうやった?」

穂乃果「最後が素敵でした!」

ことり「ちゅん!」

希「そうやろ~?うちこの絵本一番好きやねん!」

絵本をパタンと閉じて立ち上がり、ぴょんぴょん跳ねる希さんは見た目に反して凄く子供っぽくて可愛いかった。

希「ウチの部屋にまだいっぱい絵本あるで!読む人~?」

ことりさんは迷わず手を上げた。
ここで断ると希さん悲しむだろうなと思った私も手を上げる。

希「やったらうちのへや来たらええやん!好きなの読んでええよっ!」

希さんは私とことりさんの手を引いて部屋へと案内してくれた。

希【TIME LOST】

春。

まだ着こなしていない袖がぶかぶかのセーラー服。
少し大きめのスカート。

うちの横を通り過ぎてく上級生達のスカートは短めで。
あんなに短くして大丈夫なのかなぁ~と戸惑って。
かわいいなって憧れる。

うちは今日から中学生。

パパとママの手を繋いで歩いているのは私だけ。

お引越しが多いから友達なんていないし、この中学生もすぐに去ってしまうと思う。

でも、いい友達出来たらいいな。

寂しくなったら電話すればいいし。

いい友達出来るのかな。

不安でパパとママの手を握りしめる。

パパはうちの頭を撫でて。

ママはセーラー服凄くかわいいねって言ってくれた。

ことり【Afterglow】

穂乃果「今日は夕日が綺麗ですね」

デイルームで私と穂乃果ちゃんの二人。

穂乃果ちゃんら窓から見える赤に見惚れていた。

ことり「ちゅん」

穂乃果「こう言うゆったりした時間、私好きです。凄く心地良く思いませんか?」

ことり「ちゅん」

穂乃果ちゃんは笑顔でこっちを見ていたけれど、夕日の赤が穂乃果ちゃんの顔を照らして、どこか悲しそうだった。

ことり「・・・ちゅん」

その笑顔から悲しみを消すにはどうしたらいいのか私はしばらく考えた。






穂乃果「ん・・・どうしました?私の顔に何かついてます?」

ことり「ちゅ・・・ちゅん!」

無意識にじっと顔を見つめていたようで、慌てて顔を逸らす。

穂乃果ちゃんは不思議だ。

初めて見た時はまさかこうして並んでお話するような仲になるとは思わなかった程だ。

痩せていて、目には光が無く、部屋ではよく発狂し有りもしない物が見えていたのか何かから逃げていた。

でも一年二年と一緒にいて、穂乃果ちゃんは落ち着いて来て。
今はまるで太陽のようだ。

私は太陽の光の下で飛んでみたくなった。

穂乃果ちゃんと一緒に色々してみたいなって思うようになった。




私の名前は南ことり。

両親は挫折したジャズシンガーでその両親が尊敬しているジャズシンガーの名称がバード。

だから挫折したジャズシンガーの夢を子に託す為に私はことりと名付けられた。

私はこの名前が嫌いだった。
忌々しいとさえ感じていた。

だけど、穂乃果ちゃんと初めてお話した時、最初に自己紹介する時に。

穂乃果ちゃんはかわいい名前だねって褒めてくれた。

私の名前は南ことり。

両親の夢の為に付けられた名前なんかじゃなく、有名なジャズシンガーの名称でもなく。

この名前は穂乃果ちゃんがかわいいと言ってくれた。
笑顔で褒めてくれた。
その太陽のような笑顔の下で羽を伸ばして飛んでいたいから私はことり。

穂乃果ちゃんを見るとまだ夕日を見ていた。

私も一緒に夕日を見る。

柔らかい赤色に私は胸を焦がす。


そんな私の事なんて彼女は無視するかのように私の机にランチボックスを広げた。

中にはぎっしりとサンドウィッチが詰められていた。

あんじゅ「これ、新しく買ったの。私はランチボックスを手に入れて準備万端だった。知ってる?」

絵里「し、知ってるって?」

あんじゅ「ううん。別にいいの」

彼女はサンドウィッチをお構いなく食べ始める。

私の机で断りもなく、ただパクパクと・・・。

絵里「ね、ねぇ・・・」

あんじゅ「あげないわよ?」

絵里「違うわそうじゃなくて・・・。何でここで食べてるの?」

あんじゅ「知ってる?ご飯って言うのは一人より二人で食べた方が美味しいのよ。あともう一人増えるとうざくなるけどね」

絵里「それはそうだけど・・・」

あんじゅ「この美味しいサンドウィッチとあなたのお弁当を共有しない?って言ってるの。ほら、ツイッターやフェイスブックみたいに、嫌だった?」

絵里「嫌・・・じゃないけど」

あんじゅ「じゃあこれからここでお昼ご飯食べるわね」

それから私と彼女は少しの談笑をしながらお昼休みを過ごした。
共有しようと言ったサンドウィッチは結局私にはくれなかったけど・・・。

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