真姫「……私は、サイキック・ファイア」 (3)



キーンコーンカーンコーン


凛「うみゅぅぅ……ふあぁぁ、やぁっと授業終わったー」

花陽「もう、凛ちゃんずっと寝てるから…。先生に怒られないかずっと心配だったよぉ…」

真姫「……」

凛「さーて、お弁当お弁当ー♪ 食べよ! かよちん、真姫ちゃん」

花陽「うん」

真姫「……」

花陽「真姫ちゃん…?」

凛「ちょっとちょっとー? 聞いてますかー?」

真姫「ふ、ふぇっ!?」

花陽「真姫ちゃんも居眠り?」

凛「立って目を開けたままなんて器用だにゃ」

真姫「ち、違うわよ……凛と一緒にしないで! で、何の用よ?」

凛「だーかーらー、お弁当。もうお昼休みだよ?」

真姫「あ、あぁ……そう、みたいね…」

花陽「ほんとに大丈夫? 気分悪いなら保健室行く?」

真姫「……平気よ」

真姫(…といっても食事なんか喉を通らないのだろうけど)

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私は、ただ普通に生きていたかっただけなの。


普通、というのが他の人にとってどの程度のものなのかは分かりかねるけれど。

友達と一緒に笑いながら学校生活を謳歌する。

それは私にとって、とても幸せなこと。

なんでもない一日が楽しかった。

くだらない話で笑えるのがうれしかった。


だからその至って普通の、高校生らしい日常が私は大好きだった。

私は普通に囲まれた世界のなかで幸せでいられた。


そう、“あの日”までは──。



凛「そういえばさぁ」

花陽「ん?」

凛「ほんと急だったよね。かよちんの後ろの席の子」

花陽「あ、うん……いきなり転校だなんて。昨日は全然そんな話してなかったのに…」

凛「何かあったのかなぁ?」

花陽「家庭の事情とか?」

真姫「……っ」

凛「ま、真姫ちゃん?」

花陽「そ、そんなに震えてどうしたの…? ねぇっ、大丈夫っ!?」

真姫「……だ、大丈夫……。大丈夫、だから…」

真姫(やば……また吐き気がっ……。無理もないわ……あんなことがあったのだから……)

真姫(凛と花陽が話していたクラスメイト……転校したなんてそんなのは大嘘だ)

真姫(彼女は……死んだ)

真姫(私が……私が、殺した)


昨日


帰宅して、夕食を食べて、お風呂にも入ってベッドの上で音楽を流しながらリラックスしていた時だった。


真姫「ふんふふんふふ~ん♪」


ピリリリリリッ


真姫「電話? 誰かしら…」

真姫(私はその着信画面を見て思わず驚愕してしまった)

真姫(まさか本当にこんな日がくるなんて……。信じていなかったわけじゃないけど、あれから1ヶ月今まで通りの日常が続いていたから……)


ピリリリリリッ…


真姫(着信は止まない……無視するわけにはいかない。もし無視しようものなら私は……)

真姫(震える手を伸ばし、私は通話ボタンを押した)


真姫「も、もしもし……」

『……』

真姫「もしもし……に、西木野です……西木野真姫です……」

『…おめでとう。初任務だ』

真姫「え……」

『お前の通う国立音ノ木坂学院から“レスク”を感知した』

真姫(“レスク”……それは能力を使用する時に生じる電波反応みたいなもの)

真姫(それを見付けたこの電話の主は私をその場所へと向かわせようと私に連絡を寄越してきた)

真姫(レスクが発生する場所には当然ながら能力の使用者がいる……ならばなぜ私にそれを伝えるのか……それは、)

真姫(至極簡単で単純で明快な話……私も能力者だからだ)


普通の人間には有り得ない力。能力。

それを持つもの、そう世間一般には超能力者。
その名称を聞いたことが無い人なんていないだろう。

そして、この人たちの間ではこう呼ばれているらしい。


“サイキック”


私……西木野真姫も“サイキック”だ。

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