男「!? 待ってくれ!」(拳銃g28……、.380acp弾……)
少女「! ……何?」
男「その距離で僕を殺すのは、無理だ。頭を狙うなら別だけど、その距離では僕の着ているボディアーマーを貫けない。ほら、着てるだろう?」
少女「なっ……! じゃあ、頭を……!」スッ
男「構えから見て、君は初心者だ。もしも外せば。人が集まるし、その前に僕が君を殺して逃げる事だってできる。この通り、銃も持ってるし。」
少女「……くっ、……だから、何! 何が言いたいの!?」
男「君は、僕が『人殺し』と言ったよね。訳を聞かせて欲しい。何なら、銃を向けたままでも構わない。でももし、人が来てしまえば。君にも、僕にも、メリットはない。場所を変えないか?」
少女「……良いわ。でも取り敢えず、あなたの銃をこっちに寄越して。」
男「それはちょっと不平等じゃないか? 君も、僕も、捨てるべきだ。」
少女「あなたが話したいって言うんだから、それぐらいのリスクは負うべきよね?」
男「……わかった。ほら。」
少女「お、おっと。……じゃあ、場所を変えましょう。」スッ
喫茶店――
男「それで? なんで僕が人殺し? あっ、コーヒーを……」
少女「……あなたは、私の母と父を殺した。あっ、牛、牛乳を……」
男「……ふむ、それは、いつ?」
少女「一昨日。」
男「政府軍と反乱軍で、戦争があった日か。」
少女「! そう、それ!! 私、……あなたが殺してるの見た。」
男「それは……、反乱軍側、だったよね? あっ、どうも……」
少女「そうよ! や、やっぱりあなたが!! あっ、はい、以上です……」
男「それは僕の兄だ。これ、僕の身分証。」スッ
少女「そんな嘘……! えっ、これ、あなたの写真……。政府軍中佐!?」
男「……信じてくれた?」
少女「……し、信じられない。」
男「まぁ、そうだよね。それで、これが兄の手配書。」スッ
少女「うわぁ……、そ、そっくりだっ!」
男「うん、双子なんだ。まぁ、驚くよね。顔隠してないと、よく間違って通報されるし。」
少女「……」
男「でも、一般市民の女の子に殺されかけたのは、初めてかな?」
少女「あわわわ……ごめんなさい……! 政府の人に失礼な事を……!」
男「あっ、き、気にしないで良いよ! 良くある事だから。」
少女「でも、……ごめんなさい。」
男「あぁ、謝らないで。君は悪くないよ。」
少女「……そうですか?」
男「うん。でも、銃を持ってる人の話には、もうちょっと気を付けた方が良いかな……」
少女「?」
男「僕、もう一個。銃、持ってるし……?」
少女「……」
男「……」
男「ナイフとかも一応、あるし……?」
少女「……」
男「……」
少女「……うっ、ひっく……うぐっ……」
男「あぁ! ご、ごめん、泣かないで! 怒ってるんじゃないよ!」
少女「……違う…ひっく…んです……、よく考えたら危なかったんだな、って思うと、うっ……怖くて……」
男「……そっか。まぁ、そうだよね。ほら、怖がらせちゃってごめんね? 泣かないで。」ヨシヨシ
少女「ぁ……、えへへ。中佐さんは、お兄ちゃんみたいです。」
男「お、お兄ちゃん? 君もお兄さんがいるの?」
少女「いえ、いませんよ。でも、話し方は優しいし、落ち着いてるし、みたいだな、って。」
男「そう? ありがとね。……ところで、君、今はどこで暮らしてるの?」
少女「……親戚の人とは連絡も取れないし、お母さんとお父さんのお金で宿を取って。」
男「……。他に親がいなくなった子とか、知らないかな?」
少女「えっと……、あっ、一人、友達の女の子が……」
男「わかった。君も、その子も、僕が保護するよ。他にも、また誰か思い出したら教えて。」
少女「ほ、本当ですか!?」
男「政府に支援出来るように話してみるけど。それが通るまでは、中佐の僕じゃなくて、ただの僕が保護するって形なんだけどね。」
少女「良かった……。私、心細かったんです。じゃあ早速、迎えに行きましょう!」
男「うん。そうだね。よいしょっ、と。」
住宅地――
男「だから今は、政府軍と反乱軍、それに次いで大きくなりつつあるのが、革命軍。」
少女「革命軍? 聞いたことないですけど……」
男「反乱軍は政府への不満で行動しているけど。革命軍は新しいもの作りたがってる。いや、古いものを直したがっている、かな。」
少女「新しい? 直す?」
男「奴隷制度を復活させようとしている。まぁ、他にも何かあるんだろうけど。」
少女「奴隷制度……ですか……?」
男「うん。繁華街のリーダーが革命軍として旗をあげてね。繁華街で人身の取引があると耳にしたから政府軍で潰しに向かったんだけど……」
少女「逆にやられた……」
男「外の国から武器や装備を入手してるみたいでね。舐めていた政府軍が見事に惨敗。僕も結構危なかった。」
少女「政府の人も、色々、大変なんですね……」
男「そういう職業だからね。仕方ないよ。」
男「反乱軍も、革命軍も、手を組まないのだけが救いなんだ。こっちは防衛戦。あっちは守るものが少ない分、有利だし。」
男「それを数で上回られたら。……それに一般市民への援助活動とかもあるから、政府も人手が足りないんだ。」
少女「……そ、そうなんですか。って言うか! お仕事大丈夫なんですか?」
男「市民を見て見ぬ振りをする程に、大事な仕事、僕にはないよ。それに僕の兄の所為でもあるからね。」
少女「……ぅ……ありがとうございます……!」
男「いえいえ。あっ、この辺りだと、もうそろそだよね。」
少女「はい。そうです!」
男「そう。どこにいるのかな……? っ!」
少女「? いましたか、ってあわわ! 何で抱きついて!?」
男「こっちは見ちゃ、駄目だ。探す場所を変えよう。」
少女「は、はい! 分かりましたから、は、離してください? 恥ずかしいです……」
男「……あ、あぁ、ごめんね。」
男「……」
男「……」スッ
少女「? じゅ、銃なんか構えてどうしたんですか? もしかして、やっぱり何かあったんですか?」
男「敵がいるかもしれないんだ。帰ろう。」
少女「!? で、でも――」
バァンッ!
男「……危なかった。」(後ろから微かに足音がしたから隠れたけど、やっぱり敵か。)
少女「……何なんですか!」
男「反乱軍の奴らだとは思うけど。それにしても……」(それにしても、どうするか。この子を守りながら逃げ切らないと。せめて、この子だけでも。)
男「こっち。」ギュッ
少女「あ……手……」
男「……」(銃声からしてアサルトライフルの類ではない。けど、所持してる可能性も十分にある。)
反乱兵「いたぞぉ!」
男「くっ……」(h&k p2000、背中に背負っているのはak47……敵の数は最低三……)
少女「あわわわ……!」
男「逃げるぞ!」
反乱兵「! 逃げられたか! 追うぞ!」
男「くそっ、見回りの政府兵がなぜいない……」(それに、市民もさっきから見当たらない。殺された? いや、でもここは、一昨日に戦争があったばかり。復興支援や守りを固めていたはず。)
少女「はぁ……はぁ……」
男「大丈夫か? 辛くなったら言っていいからな?」(くそ……! 兵舎も制圧されているだろうし……)
少女「うん……」
反乱兵「!」サッ
男「!」スッ
バンッ! バンッ!
ドサッ…
反乱兵「ぎゃぁあああ! 手がぁあああ!」
少女「……」ガタガタ
男「……悪いな。よし、行くよ。」(ak47って事はさっきの兵士か? いや、違う可能性もあるか。ak47は一応、貰っておこう。)
少女「……」ガタガタ
男「……ごめんね。」
区切りが良くないけど(ちょっと?)離れる。
需要がないかもだけど、帰ったら頑張ろうとおもゆ。
ではでは。
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