剣士「――いくぞ! どりゃあ!」ビュオッ
女剣士「ふふっ」フワッ…
剣士「な!?」
女剣士「……」ストンッ
剣士(なんて身軽さだ……俺の剣をかわして、そのうえ剣の上に乗るなんて!)
剣士(しかも細長い剣の上に乗ってるのに、体勢は安定している!)
剣士(なんというバランス感覚!)
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剣士(とにかく、剣の上に乗られたままじゃまずい)
剣士(剣を引っ込めて、二撃目を――)グッ…
女剣士「!」グラッ
女剣士「ちょっとぉ! 揺らさないでよ!」
剣士「え!?」
女剣士「やっとのことでバランス保ってるってのに、剣を動かされたら」
女剣士「こけちゃって、上手く着地できないかもしれないじゃない!」
剣士「あの……剣の上に乗ったのってわざとやったんじゃないのか?」
女剣士「こんな器用なマネ、わざとできるわけないでしょ!」
女剣士「あんたの攻撃をジャンプして避けたら、こうなっちゃったのよ!」
剣士(なんてこった)
剣士「だったら早く飛び降りろよ」
女剣士「だから、バランス保つのでせいいっぱいっていってんでしょ!」
女剣士「この状態から飛んだり跳ねたりする余裕なんかないわ!」
剣士「じゃあどうすりゃいいんだよ!」
女剣士「私を揺らさないように、そっと剣を下ろして! お願い!」
剣士「しょうがないな……分かったよ!」
剣士「……」グッ…
剣士「しっかし、重いな……お前、体重いくつなんだ?」
女剣士「女に重いとかいわないでしょ! 装備の重量もあるんだし! このバカ!」
剣士「わ、悪い」
剣士「じゃあ、そっと下ろすぞ……」プルプル…
剣士(そーっと、そーっと……)プルプル…
剣士(これマジでキツイ! なにせ剣の先端に、人が一人乗ってるんだからな!)
剣士(だが……なんとしてもこの女を無事に地上に下ろしてみせる!)
剣士(――それが俺の剣士としての、男としての、プライド!!!)ソーッ…
剣士「う、くっ……!」スッ…
剣士「よし、やっと下ろせた……」フゥ…
女剣士「……」スタッ
剣士(しっかし、おかげで両腕がシビれちまった……)プルプル…
剣士(これじゃ、今日一日は剣は振れない――)
女剣士「クスッ、バカねあんた。これでもう剣は振るえないでしょ」
剣士(――しまった! 全て策略だったのか!)
剣士(や、やられる……ッ!)
女剣士「どれ、両腕見せて」
剣士「え……」
女剣士「とりあえず湿布貼っておくわね」ペタペタッ
剣士「ど、どうも……」
女剣士「剣の上に乗った私のバランスを崩してれば、あんたの勝ちだったのに……バカね」
女剣士「でも……ありがとう」
剣士「あ、いや……」
女剣士「ねえ、勝負は引き分けってことにして、これから私の家に来ない?」
剣士「いいのか?」
女剣士「もちろんよ、剣について色々と語り合いたいしね」
剣士「もしかして、俺に惚れちゃったか?」ニヤッ
女剣士「調子に乗らない!」ペシッ
剣士「いたたたっ! 今、腕を叩くのはやめてくれ!」
剣の上に乗られて始まる恋もある――
おわり
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