男｢ただいまー……つっても誰もいないけど｣

男｢洗面所洗面所｣ｽﾀｽﾀ

男｢あれ？頭に全くついてないぞ？｣

男｢確かにヘッドホンに素晴らしいほどど真ん中直撃してるが……｣

男｢考えてみればかなり低い確率だよな……フン当てられるだけならまだしも……｣

男｢……とりあえずきれいに拭いてやらなきゃな｣ﾌｷﾌｷ

夜

男｢あっ｣

男｢曲が方耳しか聴こえてこない……壊れたか｣

男｢昼間のフンは原因ではないよな……中に入るような場所には当たらなかったし｣

男｢それになにより長く使ってきたからなぁこれ……｣

男｢きれいに磨いて、捨てないでとっておくか｣

男｢よし、ピカピカだ｣

男｢出かける時、通学中、いつも世話になったな……｣

男｢ベッドの枕元にでもひっかけておくか｣ｶﾗﾝ

男｢なんか疲れたな……寝よう｣

翌日

男｢ん、んん……｣ﾓｿﾞﾓｿﾞ

男｢ふわぁあ……｣

男｢んー｣ｺﾞｼｺﾞｼ

ヘッドホン娘｢おはようございます！｣

男｢ん、おはよう｣

男｢…………｣

男｢えっ！？まて！誰だおまえ！？｣

ヘッドホン娘｢えっ？誰って……｣

男｢い、いや！わかるぞ！泥棒だな！｣

ヘッドホン娘｢えっ、ええ！？｣

男｢どうやって入ってきたのか知らんし女の子だけど容赦しないぞ！親がいない間この家を任せられてるんだ！｣ｶﾞﾀｶﾞﾀ

ヘッドホン娘｢ち、違いますよ！｣

男｢な、何が違うって言うんだ！｣ｶﾞﾀｶﾞﾀ

ヘッドホン娘｢泥棒なんかじゃありません！わたしはご主人様のヘッドホンですよ！｣

男｢ご主人様ってなんだ！ちょっとキュンときたけど騙されないぞ！それにヘッドホンって……あ！｣

ヘッドホン娘｢な、なんですか？｣

男｢俺のヘッドホンが無くなってる！さっそく盗んだんだな！返せよおまえ！｣ｶﾞﾀｶﾞﾀ

ヘッドホン娘｢いえ、ですからわたしが……｣

男｢もう昨日壊れちゃったけど俺にとっては大切なものなんだぞ！｣

ヘッドホン娘｢た、大切だなんて……///｣ﾎﾟｯ

男｢なんでおまえが照れてるんだよ！｣

ヘッドホンから声が聞こえてるわけじゃないのね

へっ（ryが人間になったのね？

ヘッドホン娘｢もう……落ち着いてください。以前にも泥棒に入られて敏感になるのはわかりますが……｣

男｢これが落ち着いてられ……え？｣

男｢なんで知ってるんだ……？前泥棒に入られたって……｣

ヘッドホン娘｢それは覚えてますよ。わたしも怖かったですから。夜中に入ってきた知らない人に連れ去られるんじゃないかと｣

男｢え、ええ？｣

ヘッドホン娘｢5年前の秋でしたよね？当時はわたしも買ってもらってこの家に来たばかりでしたから｣

男｢まさか……マジなのか？｣

>>11そう

ヘッドホン娘｢ですから最初からそう言ってるじゃないですか｣ﾌﾟｳｰ

男｢ええ？でも……｣

ヘッドホン娘｢ご主人様、基本的に曲をランダム再生せず、1つの曲をリピートして聞きますよね？｣

男｢！あ、ああ、そうだけど……｣

ヘッドホン娘｢最近は、はまってるアニメのop曲を気に入ってますよね？｣

男｢そ、そうだ……ってまてまて！なんで曲はまだしもアニメにはまってる事までわかるんだ？｣

ヘッドホン娘｢だってご主人様、アニメ見る時もわたしをテレビにつないで見るじゃないですか｣

男｢あ！た、たしかに！｣

ヘッドホン娘｢ここまで言えばわかってもらえますか？わたしはご主人様のヘッドホンだって｣

男｢まあ……そこまで言われるとな……｣

男(これで普通の人間だってほうが人知を越えたストーカーって事だからむしろ嫌だ……)

ヘッドホン娘｢信じてくれるんですか！？｣

男｢まあ……そうするしかないな｣

ヘッドホン娘｢えへへ♪よかった///｣

男(うわ、今まで混乱してたから気づかなかったけどすげーかわいいなこいつ……)

男(本当にヘッドホンなら……行くところもないはずだし……)

男(住むのか？俺と？二人で？)

男(理性持つかな……いや、俺は持ち主だし……いやでも……)ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ヘッドホン娘｢あのう……｣

男｢う、うわ！どうした？｣

ヘッドホン娘｢信じてもらえたところでその……お願いがあるのですが……///｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

男｢な、なんだ？｣

ヘッドホン娘｢その……さっき言ったようなアニメならかまわないのですが……｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

ヘッドホン娘｢えっちなdvdを見る時までわたしをテレビにつなぐのは……ちょっと……///｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

男｢｣

男｢ま、まて！それはちがっ……｣

ヘッドホン娘｢たしかにあんな声が近所の方たちに聞かれるのを防ぎたいのはわかるのですが……そのままご主人様が一人で……その……始められると……///｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

男｢ぐああああああ！！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ！

ヘッドホン娘｢わたしは最初から最後まで見てるわけですし……///｣

男｢ぎゃあああああ！！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ！

ヘッドホン娘｢それになにより……興奮しすぎてわたしがずり落ちてその……あ、アレに当たる事が多いのでもうちょっと落ち着いて欲しいというか……///｣

男｢やめてぇえぇえ！！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ！

男｢はあー、はあー｣ｾﾞｴｾﾞｴ

ヘッドホン娘｢あの、ご主人様？｣

男｢うん……もう二度としないからその話題はもう勘弁して……｣

ヘッドホン娘｢わ、わかりました｣

男｢ふうー……｣

ヘッドホン娘｢あ、ご主人様、このえっちなdvd返却が昨日まででしたよ｣

男｢やめろって言ってるだろぉおぉお！！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ！

男｢はあー、はあー……｣

男(そうか……どこに行く時もヘッドホンで音楽聴いてたもんな……)

男(レジでdvd借りる時はさすがに首にかけるかポケットの中だが……店員が返却期限言う声は聞こえるよな……)

ヘッドホン娘｢返しに行かないんですかご主人様？｣

男｢行くよ……延滞料金これ以上かけたくないし｣

ヘッドホン娘｢ではお供しますね♪｣

男｢え？｣

男｢な、なんで？｣

ヘッドホン娘｢外出する時はいつも一緒だったじゃないですか｣

男｢そ、それはそうだけど……｣

ヘッドホン娘｢では行きましょう！早く行きましょう！｣

男｢ま、まてまて、今のおまえは人間……｣

ヘッドホン娘｢わたしもやっぱり外のほうが楽しいですからね、ご主人様が外出時は必ずつけてくれる人でよかったです｣ﾆｺ

男｢……ま、いいか｣

ヘッドホン娘｢では行きましょう｣

男｢あーちょっと待って、鍵かけるから｣ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ

ヘッドホン娘｢はい｣ﾋﾟﾄ

男｢……なんで両手で俺の耳をふさぐ？｣

ヘッドホン娘｢え？ご主人様、いつもこのタイミングでわたしをつけますよね？｣

男｢え！？これがおまえをつけてるってことになるのか！？｣

ヘッドホン娘｢はい♪｣

男｢ということはまさかこのまま歩くとか……｣

ヘッドホン娘｢？いつもご主人様がやってる事ですよ？｣

男｢おまえがいつもと違うんだよ！｣

ヘッドホン娘｢えー！いやですいつもこうなんですから！｣ﾋﾟﾄｰ

男｢このまま歩けるはずないだろ！ちょっと特殊な趣味持ってるって近所に宣言するのと同じだぞ！｣

ヘッドホン娘｢ご主人様の趣味はちょっとどころじゃなく特殊だと……｣

男｢だからそれを言うなよぉおぉ！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ！

男｢だ、妥協案でこれか｣ﾁﾘﾝﾁﾘﾝ

ヘッドホン娘｢ふふーん♪｣ﾋﾟﾄｰ

男｢二人乗り、ほんとはダメだけどな……まあ一人はヘッドホンだし……｣

ヘッドホン娘｢♪｣ｼｬｰ

男｢なあ、ツッコミ忘れてたけど、それ母さんの服だよな？｣

ヘッドホン娘｢はい、この姿になってすぐは裸でしたので……失礼だとは思いつつ、貸していただきました｣

男｢ん、まあそれはしかたないと思うけど、服も買わなきゃな｣

ヘッドホン娘｢でしたらわたし、あそこに行きたいです｣

男｢あそこって？｣

ヘッドホン娘｢ご主人様、たまに一時間以上かけて自転車で大きいお店に行くじゃないですか？｣

男｢あー、たまに考え事したい時はわざと時間かけて買い物行くからな｣ｼｬｰ

男｢たしかにあそこなら服もたくさんあるかな……明日にでも行くか｣

ヘッドホン娘｢はい♪｣

男｢ただし電車な。あそこらへんは都会だからここらと違って二人乗りしてたら一発で見つかる｣

ヘッドホン娘｢う……｣

男｢当然ヘッドホンだなんて信じてくれないだろうしな｣ｼｬｰ

ヘッドホン娘｢うう……わかりました｣

ヘッドホン娘｢きゃっ！｣

男｢うわっと、なんだよ？｣

ヘッドホン娘｢あ、あれ……｣

男｢ん？｣

カラス｢カアーカアー｣

ヘッドホン娘｢昨日はひどい目にあわされました……｣ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

男｢あー……｣

ヘッドホン娘｢わたしは自分が音を出せなくなることがわかってましたから……｣

ヘッドホン娘｢最後に、長年わたしを大切に使ってくれたご主人様を守りたかったんです……｣

男｢…………｣

男(じゃあやっぱり昨日のは……こいつが守ってくれたのか)

ヘッドホン娘｢うう……後悔はしてませんけど……やっぱり苦手になっちゃいました｣ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

男｢昨日一応拭いたけど、大丈夫か？｣

ヘッドホン娘｢え？あ、はい、においとか跡が残ったわけじゃありませんよ｣

ヘッドホン娘｢ご主人様がしっかり拭いてくれましたし、その後わたしを労ってピカピカにしてくれましたから♪｣

男｢そうか……｣ﾎｰ

ヘッドホン娘｢ありがとうございます、ご主人様｣

男｢いや、俺のほうこそありがとう｣

ヘッドホン娘｢えへへ♪｣

男｢ほら、ついたぞ｣ｷｨ

ヘッドホン娘｢はい｣ｽｯ

男(店に入る時は当然はずしてたからな。離れてくれるはず)

ヘッドホン娘｢よいしょ｣ｷﾞｭ

男｢……なぜ後ろから俺の首に両腕をまわすようにする？｣

ヘッドホン娘｢え？ご主人様はいつも店に入るとポケットにいれるか首にかけるかでしたよね？｣

男｢まさかとは思うがおまえ……｣

ヘッドホン娘｢さすがにもうポケットには入りませんので……｣

男｢やっぱりかよぉお！！｣

男(これさっきよりヤバイだろ！特殊じゃなく普通のイチャつき方かもだけどそれゆえにヤバイ！)

ヘッドホン娘｢？どうかしましたか？｣

男｢どうかしてるわ！こんなん周りの視線がヤバイ事になるのわかりきってるだろ！｣

ヘッドホン娘｢え？ご主人様がいつもしていた事ですよ？｣

男｢だからおまえが今はいつもと違うんだよ！｣

ヘッドホン娘｢えー？どうしていけないんですか？｣

男｢どうせなら一般常識も身につけてから人間になってくれよ……｣

ヘッドホン娘｢わたしだってがんばってるんですよ？ご主人様の背が思ったよりわたしと差があるので首にかかるにはつま先立ちしなきゃいけませんし｣ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

男｢そこまでしてなんで問題ある行動にしかならないんだ……｣

ヘッドホン娘｢もうちょっと密着しないとこけちゃいそうです……よいしょ｣ﾓﾆｭﾓﾆｭ

男｢うわぁああ！？やめろぉ！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ！

男(やわらかいのが背中にあたってるから！パッと見わかんないけどけっこうでかいなこいつ！)

ｳｲｰﾝ

店員｢いらっしゃいま……せ……｣

男(無の境地……無の境地だ……周りの視線を気にするな……)ｽﾀｽﾀ

ヘッドホン娘｢ご、ご主人様、ちょっと歩くの早いです……転んじゃいます……｣ｷﾞｭ

ﾓﾆｭﾓﾆｭﾝ

男(返却ボックスに入れるだけ！そしたらすぐ出ていくんだ！)

男｢やっと終わった……｣

ヘッドホン娘｢ご主人様、今日はマンガが発売してるかどうかチェックしないんですか？いつもしてるのに……｣

男｢あの状態であれ以上公共の場にいたくない……｣

ヘッドホン娘｢？｣

男｢ただいまー……｣ｶﾞﾁｬ

ヘッドホン娘｢ただいまです｣

ipod娘｢あ！帰ってきた！｣

男｢へ？｣

ヘッドホン娘｢あ｣

ipod娘｢ちょ、ちょっとアンタ！どうして今回はアタシを持っていかなかったのよ！？｣

男｢ええ！？なんの事だよ！？誰だおまえ！？｣

ipod娘｢だ、誰！？アンタアタシの事忘れたっていうの！？｣

男｢知らねえよ！会った事もねえよ！｣

ipod娘｢ひ、ひどいじゃない！たしかにヘッドホン娘ちゃんよりは付き合い短いけど、それでも３年も一緒にいるじゃない！｣

ﾄﾀﾄﾀ

充電器娘｢し、しかたないよ、ipod娘ちゃん！男さんもいきなりじゃ混乱するって｣

男｢うわ！？また増えた！｣

ヘッドホン娘｢あ、やっぱりipod娘ちゃんと充電器娘ちゃんだね｣

男｢え！？こいつらが！？ipodとその充電器！？｣

ヘッドホン娘｢はい、間違いないですよ。二人ともよく知ってます｣

男｢まさか……！｣ﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

ｶﾞｻｶﾞｻ ｺﾞｿｺﾞｿ

男｢ない……ipodも充電器も……｣

男｢よし、じゃあ確認するぞ｣

充電器娘｢はい｣

ipod娘｢な、なによもう。疑り深いわね｣

男｢まずえーっと、ipod娘｣

ipod娘｢なによ？｣

男｢俺のipodに入ってる曲を全部言ってみろ｣

ipod娘｢だからアタシがそのipodなんだってば……まあいいわ、まずは……｣

男｢うん……あってる｣

男(正直言われなきゃいれてたことすら忘れてた曲まであたってる……)

ipod娘｢でしょ？当然じゃない｣ﾌﾌﾝ

男｢けどな、ヘッドホンがあんな状態なんだからipod持ち歩けないのは当然だろ？それで怒られても……｣

ipod娘｢なっ！か、勘違いしないでよ！外の景色見るのが好きなだけなんだから！別にアンタといつも一緒にいれるのが嬉しいとかじゃないんだから！｣

男｢わ、わかったよ、あんまり大声だすな｣

男｢じゃあ次、えーっと、充電器娘｣

充電器娘｢はい｣ｷﾁﾝ

男｢あー、わざわざ正座とかかしこまらなくていいんだぞ？｣

男(すげー似合ってるけど。年は同じくらいの外見なのに旅館の女将さんみたいだ)

充電器娘｢いえ、私も長い間丁寧に使っていただきましたから｣

男｢ん、まあいいや。じゃあ確認な｣

充電器娘｢はい、なんなりと｣

男｢俺がipod……今は人間になってipod娘だけど、を充電する周期は？｣

充電器娘｢だいたい5日に一度くらいでしょうか。私がipod娘ちゃんに繋がれる時は、彼女はだいたい電池残量10%以下になっています｣

男｢……正解だ｣

充電器娘｢男さんはだいたい夜寝る間にipod娘ちゃんを充電なさいますよね。そして朝起きると充電が済んでいますので、ipod娘ちゃんから私をはずして、ベッドに縛りつけていました｣

男｢誤解が起きるような言い方をするな｣

男(たしかに寝る時にも音楽聴くからいつでも使えるように充電器のコードをベッドの枕元に縛ってはいたが)

男｢やっぱりおまえたちも服は借りたんだな｣

ipod娘｢し、しかたないじゃない、裸でいるわけにもいかないんだから｣

男｢しかし姉ちゃんが残していた制服を着るとは｣

ipod娘｢これが一番ピッタリだったのよ｣

充電器娘｢申し訳ありません、お母様のものをお借りしました｣ﾍﾟｺ

男｢母さんの地味めの和服か。ますます女将っぽいな｣

男｢あ、そういえばヘッドホン娘｣

ヘッドホン娘｢はい、なんですか？｣

男｢ipodも人間になったなら、ひょっとして接続とかできるのか？｣

ヘッドホン娘｢はい、できますよ……あ、でもわたしは片方しか音を出せなくなってしまいましたが……まあこの場合は関係ないですね｣

男｢？とにかくやってみてくれ、片方だけでも聴いてみたい｣

ipod娘｢えっ！？｣ﾄﾞｷｯ！

ヘッドホン娘｢わかりました、では後ろを向いていてください。いいと言うまでこっちを見ちゃダメですよ？｣

男｢え？なんで？｣

充電器娘｢いいですから、男さん、失礼します｣ｸﾙ

男｢？まあいいけど｣

ヘッドホン娘｢じゃあいくよ？ipod娘ちゃん｣

ipod娘｢う、うん……｣

ヘッドホン娘｢よいしょ｣ﾁｭﾌﾟﾌﾟ

ipod娘｢ひっ、ひあんっ！｣ﾋﾞｸﾝ！

男｢は……？なんだ今の声｣

充電器娘｢もうよろしいですよ、男さん｣ｸﾙ

男｢！？｣

ipod娘｢ん、んんっ……｣ﾋﾟｸﾝﾋﾟｸﾝ

ヘッドホン娘｢接続完了です。あとはわたしが手をご主人様の耳にあてれば音楽が聴けますよ｣

男｢いやちょっとまて！｣

ヘッドホン娘｢なんですか？｣

男｢どこに接続場所があるんだ！？そのスカートの中につっこんだ手は関係ないんだよな！？｣

ヘッドホン娘｢え？ご主人様が音楽聴きたいから接続しろって言ったんですよ？｣ｸﾁｭ

ipod娘｢ひゃん！う、動かないで……｣ﾊｱﾊｱ

男｢い、いや……なあ、嘘だろ……？｣

ヘッドホン娘｢そう言われましても、いくらご主人様でも見て確認してもらうわけにはいきませんし……｣

ipod娘｢！？へ、変態！！｣ﾊﾞｯ！

男｢わざわざスカート押さえなくてもそんな気もないわ！｣

ipod娘｢は、早くなに聴きたいのか言いなさいよ……｣ﾋﾟｸﾝﾋﾟｸﾝ

男｢あ、ああじゃあ○○○○で｣

ipod娘｢ん、わかった……｣

ヘッドホン娘｢どうぞ、ご主人様｣ｽｯ

男｢ああ｣

ipod娘｢ど、どう？聞こえるでしょ｣

男｢んー、なんか音がかすれて聞こえる｣

男｢こういうのってヘッドホンが奥までささってないから……あ｣

ヘッドホン娘｢ですね、えい｣ｸﾞﾁｭﾁｭ

ipod娘｢ひああっ！？｣ﾋﾞｸﾝ！

男｢ま、まった！聞こえた！聞こえたから！｣

ipod娘｢んんうっ……ふー、ふー……｣ｷﾞﾛｯ

男｢うっ……｣

ヘッドホン娘｢もういいんですか？ご主人様｣

男｢あ、ああ｣

ヘッドホン娘｢わかりました｣ﾁｭﾌﾟﾝ

ipod娘｢んあっ！はあ、はあ｣ﾋﾟｸﾋﾟｸ

男(ヘッドホン娘の指根本までテカテカだ……やっぱり……)

ipod娘｢ばっ！な、なに見てるのよ！｣ﾊﾞｯ！

男｢あ！す、すまん！｣

ipod娘｢うううー……！｣ｷﾞﾛｯ