後輩「先輩、私と付き合ってくれませんか?」 (12)

男「ーーーーえ?」

後輩「………」

男「何で?」

後輩「何でって、言わないと分かりませんか?」

後輩「私は先輩が好きなんです」

男(…あぁ、何となく分かってしまった)

男(無機質な何の感情もない台詞)

男(答えは決まっている、だけどーーー)

男「わかった、付き合おう」

後輩「……ありがとうございます」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1687706476

ーーー
ーー

図書室

後輩「お疲れ様です、先輩」

男「お疲れ様ー」

後輩「本の整理、もう始めてたんですね」

男「結構あるからね、早目に手を付けとこうと思って」

後輩「私も手伝います」

男「じゃあ、下の段をお願いしていい?」

後輩「わかりました」

男(あれから数日経ったけど、後輩との関係性に変化はなかった)

男(いつも通り過ぎて告白自体夢だったんじゃないかと思うくらい)

後輩「学校にもこんな本あるんですね」

男「ん?どんな本?」

後輩「カップルがやるべき事、ってタイトルです」

男「…珍しい本もあるもんだね」

後輩「………」ペラ

男(え、読むの?確かに内容は気になるけど)

後輩「先輩、まずは手を繋ぐのが良いみたいです」

男「へ、へぇ…そうなんだ」

後輩「手、出してもらえますか?」

男(繋ぐの?ここで?!)

男「………」スッ

後輩「………」サワ

男「っ…!」

後輩「先輩、手大きいですね」サワ

男「そうかな?あんまり比べた事ないからわかんないけど」

後輩「私からしたら大きいですよ」ニギ

男(後輩の手は小さくて冷たい、これが女の子の手なんだ)

後輩「恋人はこういう風に繋ぐんですよね?」ギュッ

男「これって恋人繋ぎじゃ…」

後輩「?別に問題ありませんよね」

男「それはそうだけど!」

男(やばい、めちゃくちゃドキドキしてる)

後輩「顔赤いですけど、大丈夫ですか?」

男「大丈夫大丈夫!」サッ

後輩「どうして目線をそらすんですか」ズィ

男「いや、それはっ…!」

男(ち、近い!!)

後輩「手を繋いだだけで、こんなに照れるなんて」ギュッ

後輩「可愛いらしいですね、先輩」

男「っ?!は、早く本の整理しよう!」バッ

後輩「…わかりました」

男(後輩は変わらないのに…情けないな)

ーーー
ーー

男「やっと終わった…」

後輩「もう遅い時間ですね」

男「家まで送って行くよ」

後輩「ありがとうございます、でも大丈夫です」

後輩「先輩も早くお家に帰って下さい」

男「そうだね…」

後輩「それでは、失礼します」スタスタ

男「気をつけて帰ってね」

男「はぁ、何か凄い疲れた」

男「………」スッ

男「後輩の手、冷たかったな」

男(手が冷たい人は心が温かいなんて言うけれど、後輩はどうなんだろう?)

男(いきなり手を繋いできたり、まだ全然後輩の事分からないんだよな)

男(そもそも彼女なんていたことないし…)

男「カップルってどんな風にすれば良いんだろう」

男「……あの本、今度借りてみようかな」

ーーー
ーー

図書室

後輩「先輩、この後なんですけど時間ありますか?」

男「あるけど、どうしたの?」

後輩「先輩の家に行きたいです」

男「ーーーーー」

男(人間、驚き過ぎると声が出なくなる事を知った)

後輩「駄目、ですか?」

男「いや、駄目ではないけど」

後輩「そうですか、それじゃ今日は一緒に帰りましょう」

男「あ、うん……」

ーーー
ーー

男宅

男(帰り道、何を話したか思い出せないくらい頭が真っ白になっている)

男(自分の部屋に後輩が…彼女がいる事に思考が追いついていなかった)

後輩「ここが、先輩のお部屋ですか」

後輩「私、男の子の部屋に入るの初めてなので不思議な気分です」

男「そうなんだ、何ていうか意外だな」

後輩「意外、ですか?」

男「後輩は学校でモテるからさ」

後輩「先輩は私が男なら誰でも部屋について行く女に見えているんですね」

男「ち、違う!!」

後輩「行くわけないじゃないですか」

後輩「声をかけてくる人は、みんな私の顔と身体が目当て何ですから」

男「………」

男(後輩は実際かなりモテていた)

男(周りの彼女に対する評価は確かに顔や身体ことばかり)

男(それは確かに嫌にもなるか)

後輩「その点、先輩は安心ですからね」

男「え?」

後輩「私は先輩を『信用』していますから」

男「……そう」

後輩「先輩もこの作者さん好きなんですね」

男「うん、個性的な登場人物がいて読んでいて面白いんだ」

後輩「私も好きです、シリーズ作品全部持ってるんですか」

男「持ってるよ、こっちの本棚に確か…」

男(共通の趣味や話題があるのは助かる)

男(特に本の話題は、本が好きだから語れる事もたくさんある)

男(この時間だけは気疲れしない)

後輩「先輩って本の話をする時は本当に楽しそうですよね」

男「まぁ、好きだからね」

後輩「私と一緒にいる時は楽しいですか?」

男「それは…」

後輩「…先輩は、私の事好きなんですか?」

男「………」

男(まずい、何か言わなきゃ…この空気を変えなきゃ)

男「俺はーーーんんっ?!」

後輩「ーーー、はぁ」

男「今…何して…?」

後輩「それはもう一回って意味ですか、先輩」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom