比企谷八幡「肉ベッキー?」 (20)
ある日、奉仕部にて……、
雪ノ下雪乃「突然なのだけれども、本日より奉仕部では校内生徒以外の人の相談も受け付けようと思うの」
由比ヶ浜結衣「え、それってこの学校以外の人の相談も聞くって事だよね。どうしてまた?」
比企谷八幡「えらい急だな。どういう風の吹き回しだよ……」
雪乃「パソンコの方に届いたメールを返信しているうちに、この部の需要が意外な事にも多いという事に気が付いたのよ。あくまで試験的にだけれども、パソンコのメールの方で総武高校以外の人達から何通かメールを受け付けて、それを私達が解決しようという事よ。もちろん、平塚先生からの許可も得ているわ」
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結衣「そっかぁーー!私達、地道に頑張ってきた甲斐があったんだね。まさか世の中から必要とされるだなんて……うぅぅ」ガハマウルウル
八幡「何泣いてんだよ。俺は面倒なのはごめんだぜ。この学校の中でさえまともな依頼は少ねえのによ………」ヘッ
雪乃「そうね……仮にもこの奉仕部がアウトサイダー相手に進出するというのだから、捻くれ谷を外に出してこの部や総武高全体のイメージの低下につながる事は部長としては避けたいところね」
八幡「いや、メールでやり取りするんだから俺そこまで言われる筋合いねえよ」
ピロロン♪
結衣「あ、さっそくパソコンに相談のメールが届いたみたいだよ!」
雪乃「そのようね。ええっと………関東在住の30代女性で匿名希望の方のようね」
八幡「んで、どんな内容なんだ?」
雪乃「ええっと………
『奉仕部の皆様はじめまして。メールで相談を受け付けてくれるとの事で今回このようにメッセージを送りました。
相談というのは、実はお恥ずかしいことですが、私は不倫をしてしまいました。私自身は独身なのですが、相手の男性には奥さんがいます。相手の奥さんの事には大変申し訳ないと思いつつも、彼を好きな気持ちに嘘を付けず交際を続けていたのですが、最近何者かの手によって私とその男性がメッセージアプリを使って会話をしたやり取りの内容のスクショが流出し、騒動となってしまいました。私のブログやツイッターにバッシングが殺到し、辛いです。
一体、どうすれば良いですか。』
八幡「………いやいやいや、いきなり重すぎんだろ!?」
結衣「うわぁ……これって普通に泥沼じゃん。てか、こんな重たい相談なら奉仕部に送ってくんなしって思うよね」
雪乃「まさかいきなりこのような相談が来るとは思わなかったわ……。さすがに私達だけでは荷が重そうね、ここは顧問である平塚先生の手も借りるべきかしら」
八幡「おい! この手の話をあの人にするなよ!! 」
結衣「てゆうかさ、こんな重たい相談なら奉仕部じゃなくて弁護士に頼めって感じじゃない!? 私達まだ高校生なんだし、さすがにこれは無理でしょ」
八幡「確かに、俺達がここで中途半端な忠告をしてこの人の人生をよりめちゃくちゃにすんのも面倒だしな……放っておこうぜこんなの」
雪乃「待ちなさい二人とも。確かにあなた達の言うことは最もなのだけれども、ここは敢えてこの人の相談に乗っても良いのではないかしら?」
結衣「えッ、ゆきのんこの人の相談受けつけんのッ!?」
八幡「なんでまたそんな面倒な事を?」
雪乃「あくまで私達は奉仕部よ。この人はきっと弁護士による迅速な対応より一般素人の高校生に過ぎない私達を頼ったのに理由があるはずよ。ここでこのビッチ臭い負け組女の悩みをズバリと解決するば、私達が将来社会へ飛び立つ為のよいステップアップとなると思うのよ」
結衣「うわ、ゆきのんなんだか気合い入ってるね!」
八幡「いや、俺にはムカつくクズ女を散々ボコボコにしといて踏み台にしてやろうって感じに聞こえるけど………まあ、俺もそんな感じだけど」
雪乃「コホン……、とにかく二人とも特に反対ではないようなら、この肉便器さんのメールにさっそく返事をしましょう」
八幡「肉便器って言っちまったよこの人!まあ、不倫するようならだいたいそうだろうけどよ」
結衣「まあ不倫は普通に駄目なことだしね。てゆうか、ヒッキー私のこといっつもビッチビッチ言うけど、本当のビッチはこのメールの人みたいな人だからねッ!!」プンプン
八幡「なッ、別に今お前の事をビッチ呼ばわりしてねえだろ。てゆうか、お前もこのメールの肉便器女に苛立ってるだけだろ」
結衣「そりゃそうだよ!! 不倫だと知っといてこんな身勝手なメールするなんて、まず相手の奥さん超可哀想じゃん!!マジありえないし」
雪乃「その通りね。まずはこのメールから推測出来る、この肉便器の素性を推測しましょう」
八幡「推測って?」
雪乃「パソンコに届いた相談のメール、これには『スクショが流出し、騒動となってしまいました。』とあるわ。一般人が不倫をしてこうしたスクショが出回る事ももちろん問題なのだけれども、そこまで騒動にならないはずよ」
結衣「ってことはつまり、この肉ベッキーって芸能人ッ!?」
八幡「いや待て、その前に"肉ベッキー"って何だよ?」
結衣「え? いやなんかさ、何時までも肉便器って言い続けんのもなんか嫌じゃん? だから便器をベッキーって言い換えてみたんだよ!」ドヤッ
八幡「女子力高い感じに言い換えましたよって顔しての……このビッチ!」
結衣「ハァッ!? ビッチ言うなし、ヒッキーのバカ、キモい、マジありえないーーーッ!!」ガハマプンプン
結衣(もう、ヒッキーのバカッ!! 私はヒッキー一筋だし/// だからまだ処女なのに………///)
雪乃「肉ベッキー………、ベッキーという名の外国人女性からすれば迷惑極まりないネーミングだけど、ここは分かりやすくそう呼ぶ事にしましょう」
結衣「あ、採用されたっ!」
八幡「いいのかよ…」
雪乃「というわけで、さっそく肉ベッキーに返信を出そうと思うのだけれど、どうしようかしらね?」
八幡「どうって言われても、こんなの擁護しようがねえだろ。肉ベッキーが悪いわけだし、そりゃ騒動にもなるわ」
結衣「そうだよね。それにその相手の男も最低だよ。奥さんいるのに不倫とか、マジ許せないしね!!」
雪乃「ここは肉ベッキーの相談に乗るというよりも、戒めてやるべきなのかしらね」
カタカタカタ
『肉ベッキーさん、はじめまして。
こちらは総武高校の奉仕部です。
まず言いたいのは、あなたは被害者と
いうよりも加害者ではないのかしら? 相手の奥さんが気の毒でなりません。辛いのはあなたではなく、裏切られた奥さんのはずですが。
それと、騒動になっているとありますが、肉ベッキーさんはタレントさんか何かで? タレントがこのようにイメージを損ねる最低な行いをしてしまえば、当然あなた自信やあなたの周囲の人にとってはマイナスでかないはず。
それから_____』
結衣「うわぁ……ゆきのん、超ボロクソに書いてるね」
雪乃「不思議なことに、この手の相手だと指が止まらないわ。幾らでも批判が書けるわよ」
八幡「後半部分はほとんど批判じゃなくてただの馬事雑言のパレードになってるけど………まあ正論しか書いてないから止める理由もないが」
雪乃「そう、私が述べているのはただの正論よ。まあ、本当はもっと言ってやりたいことがあるのだけれども、簡単な相談用の返信の為のメールに長文を書くのもなんだし、この辺りで止めて送信しましょうか」
カタカタッ…ポチ
結衣「いや、それでもコレかなりの長文じゃないかな!?」
八幡「これを読んだ肉ベッキーの反応、気になるところだな」
そして数日後…、
結衣「あれから数日経つけど、肉ベッキーから返事来ないね。あの後どうなったのかな?」
雪乃「そうね。パソンコの方は小まめにチェックをしているのだけれど、あれから肉ベッキーとは音沙汰無しね」
八幡「雪ノ下がメールでボロクソ書いたから、ショックで倒れちまったんじゃねえのか?……………あ、そういえばお前ら知ってるか?俺もさっき知ったんだけどよ」
結衣「え、なになに?」
雪乃「一体何かしら比企谷君?」
八幡「平塚先生、学校辞めるってよ」
結衣・雪乃「………………えっ!?」
END
なぜパソンコ
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