魔王「勇者がこの城に向かってる!?」側近「安価の力で乗り越えましょう!」 (100)

魔王「いい天気だなぁー...」ぼけーっ

魔王「親父が死んで、俺が魔王を継ぐことになったときは、どーなることかと不安だったが」

魔王「ようやく魔王の仕事にも慣れてきた...。こうして一息つけるまで5ヶ月、思ったよりテキパキ進んだぞ」

魔王「それもこれも側近のおかげだな。新米魔王の俺のために寝る間も惜しんで全力サポート...そんなに歳変わらないってのに感心する一方だよ」

魔王「今度、日頃の感謝を込めて美味いもんでも食わせてやるかな...?でもあいつ何が好物なんだろう?」

側近「魔王様!!」ガチャッ

魔王「おっいいとこに来たな、ちょっと聞きたいことが...」

側近「ご報告が!!!」

魔王「まぁそう慌てるなよ、お前も少し休憩したほうがいいんじゃないか?」

側近「勇者たちがこの城に向かってきています!!!!」

魔王「.........んっ?」

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魔王「勇者...勇者か...ついに勇者が来たか...」キリッ

魔王「...ごめん、勇者ってなんだっけ?」

側近「...そうですよね。我々魔物と人間の関係...そのあたりのことはこの5ヶ月ではまったく教えていませんから」

側近「分かりました、簡潔に説明します」

魔王「頼んだ!」

側近「勇者とは!我々魔物を打ち倒すべく人間たちの中から選ばれた戦士です」

魔王「...打ち倒す?俺たち魔物を?なんでそんなことを」

側近「貴方が魔王になってから...いえ、もっと前からですが、我々魔物と人間は相互に干渉をしてきませんでした」

側近「実はそれは、ある戦いが起因しているのです」

魔王「ある戦い??なんのことだ?」

側近「数十年前...貴方や私が生まれるよりもっと前のことです...」

側近「領土の拡大、金品あるいは食糧の略奪、そして単なる破壊衝動の発散...それらを目的とした魔物の襲撃により、人間たちは大きな被害を受けました」

側近「彼らは対抗手段として、各地に存在する戦闘のスペシャリストを集めて『勇者一行』を結成させ、逆に我々魔物の討伐に向かいます...」

魔王「...もしかして、そのとき戦ってたのが」

側近「そう、貴方の父である元魔王様!勝手な行動を起こした魔物たちに代わり、ひとりで勇者一行と戦うことになったのです」

側近「魔王様と勇者一行の激戦は三日三晩に渡って繰り広げられました。ところが優勢だった魔王様のほうが突然、停戦を申し出たとか...」

魔王「なんで??」

側近「魔王様は不眠不休の戦いのせいで、大好きなお酒を嗜む余裕がなくなってしまいました。それが耐えられなかったのです」

魔王「あのアル中め、死んだのもアルコールで肝臓やられたせいだし本当どうしようもねぇな...」

側近「魔王様は勇者一行にこう仰ったそうです」

元魔王『もうやめにしないか これ以上はどうせ耐えられぬ お前達も無闇な血を流したくあるまい、ここは痛み分けということにしよう』

魔王(これ以上は耐えられぬって酒が飲めないことに対してか??)

元魔王『我々魔物はこれより、決してお前達人間に関わらないと誓おう』

側近「そのとき勇者一行も『そちらが誓いを守るのならこちらからも関わることはない』と約束したそうです」

側近「これが魔物と人間の『相互不干渉の誓約』です、きちんと覚えてくださいよ」

魔王「なるほどな、ホントお前の説明は分かりやすくて助かるよ」

側近「いえ、それほどでも......ってそうじゃないんですよ!」

側近「いいですか!今こうして勇者一行が城に向かってきているということは、この誓約が破られるかもしれないということなのです」

側近「これはもうまったくマジで知らんぷりできない大問題ですよ、分かりますか!」

魔王「なんっ...で??なんでそーなった??俺なんもしてないよな??」

側近「ええ...貴方は魔王の座の引き継ぎで手一杯、どんな形であれ人間に関わる余裕などまったくなかったはずです」

魔王「そうだよな?お前のサポートの甲斐あって、ようやく一息つけるようになったところだよな??」

側近「...実は裏でコソコソ...してませんよね?」

魔王「してないしてない!そもそも人間のことなんてまっっったく興味ないって!」

側近「ふむ...私も責任ある立場として、魔王様が新しくなったこのタイミングで城の魔物たちが勝手な行動を取らないよう、常に監視していましたが」

魔王「すげぇお前、そんな大変なことしてたの??」

側近「しかし、魔物が人間に干渉するようなことは一切ありませんでした」

魔王「えぇ...じゃあなんだろ...あれかな、親父が死んで、俺が新しい魔王になったから、攻め込むチャンス!と思ったとか...?」

側近「干渉がないのですから人間のところに魔王様の情報が届くはずがありませんよ」

魔王「そうだよな...そりゃそうだ」

魔王「待てよ?干渉してないしてないって言うけど、そもそも報告ってのはいったい誰が...?」

側近「ああ、それを言い忘れていましたね。元魔王様は停戦後に、人間の村に幾人かの魔物を監視役として住まわせていて...」

魔王「スパイってことか?なんか親父セコいことするなぁ...」

魔王「っておいちょっ待て待て待て!不干渉はどこ行った!?そいつらが人間に手を出したりしたんじゃないか??」

側近「いえ、報告の内容は『突然、魔王討伐を掲げた勇者一行が村を出た』...そのスパイが何かしたというわけではなさそうですよ」

魔王「じゃあこっちに人間のスパイがいるんじゃないか!?それで魔王が新しくなったことを伝えて、やっぱり『チャンスだ!』って...」

側近「うーーん...どうでしょう、それは考えたことなかったなぁ」

魔王「なかったなぁじゃねーよオイ!!大丈夫なのかよ!?」

側近「そんなこと言われたって...私だっていろいろ大変なんです」グスッ

魔王「わ、分かったよ!泣くなよ!悪かったよ...!」

側近「まぁ泣くほどではありませんけど」ケロッ

魔王「お前変なところでお茶目だな」

魔王「はぁーーーー...」

魔王「で結局、どうすりゃいいわけ?」

側近「...報告のあった『勇者が出発した』という人間の村は、非っ常ぉーーに遠く離れています」

魔王「ここに来るまでどのくらいかかる?」

側近「どれだけ急いでも2週間は必要かと」

魔王「じゃあ、その間になんとかするしかない...ってことか」

側近「ええ。まずはどちらに原因があるのかはっきりさせなくてはなりません。こちらの魔物が不干渉を破ったのか、人間が破ったのか」

側近「前者なら極力穏やかに事を収めるしかないでしょう。魔王様が土下座すれば許してもらえるかもしれませんよ」

魔王「...まぁ土下座で済むならやってやるよ」

側近「しかし!もし後者なら...」

側近「徹底抗戦です!真正面から連中をぶち殺しましょう!!それしかありません!!!」

魔王「こ、怖ぇこと言うなぁ...」

側近「さて...それではこの2週間でやらなくてはならないことをまとめましょうか。優先度が高い順に言うと...」

側近「まず貴方が仰った、人間のスパイがいる可能性。正直ないとは言い切れませんので...一度、全魔物の身元を徹底的に洗う必要がありますね」

魔王「全魔物!?」

側近「そして、勇者たちとの戦闘になった場合のことを想定して、魔王様にもご準備が必要です。元魔王様がお使いになっていた武器や装備を用意しなければ...」

魔王「武器!?装備!?」

側近「この際ですし元魔王様配下の『四天王』の方々もこの城に呼び戻しましょう。新しい魔王様に挨拶もなしとはまったく不遜な輩ですが、事態が事態ですから必ず来るはずです」

魔王「四天王!?そんなのいるの!?」

側近「フ...フフ...忙しくなりそうですねぇ...!側近としての腕の見せ所です!まぁ任せてください、このくらいで音を上げていては元魔王様に合わせる顔がありませんから!」

魔王「なんでそんな嬉しそうなんだよぉ...」

側近「さぁ、魔王様もくつろいでいる暇はありません!シャキッとしてください!断言します、これが魔王としての初の大仕事ですよ!」

魔王「どうしてこんなことにぃい...」

やることは決まった!あとは安価を出すだけ!
ではまた次回...

魔王「えーっと...ここはいったい...?」

側近「見ての通りの倉庫ですよ」ガチャガチャ

魔王「入り口めっちゃでかくない???」

側近「でかいのは入り口だけではありません。中もものごっつ広いですよ」ポイッ

魔王「そうか...ものごっつ広いのか」

側近「この中には、元魔王様が使っていた数多の武器が保管されています」ガチャガチャ

側近「これでもない」ポイッ

魔王「なぁもしかしてその50本くらいある鍵を1つずつ試していってるのか???」

側近「最後にここを開けたのは、私が新しく側近になったばかりの頃なんですよ」ガチャガチャ

側近「あのときは前任の方がささっと鍵を選んで開けていたものですから、どの鍵がソレなのか覚える余裕なかったんです」ポイッ

魔王「そうか...そもそも似たような鍵多すぎだろ...なんでこんな紛らわしいことになってんだよ」

側近「おそらく他の魔物に開けられないようにするためではないでしょうか」ガチャガチャ

側近「もしこの中の武器を勝手に使われてしまったら、それはもう大変なことになってしまいますよ」ポイッ

魔王「なるほどね」

側近「まだあと30本以上ある...すみませんが魔王様、もうしばらく掛かりそうなのでお部屋でお待ちいただけますか」ガチャガチャ

魔王「おう。開いたら呼んでくれよ」

側近「ええ、なるべくすぐに開けてみせますから...ああもうっこれでもない!」ポイッ

魔王「が、頑張れー」

魔王「...武器かぁ。俺よく考えたら親父が戦ってるところなんて見たことねぇもんなぁ」

魔王「どんなのがあるんだろう??やっぱめちゃくちゃゴッツいの使うのかなぁ」

魔王「いや、見た目コンパクトで高性能ってのが今どきのトレンドかもしれないな」

魔王「しかしなーまさか俺が戦わなきゃならんかもしれないとは...考えたこともなかったぜ」

魔王「いったい勇者一行ってどんだけ強い奴らなんだ?そもそも一行って何人いるんだ?」

魔王「なんとなく10人もいないようなイメージだけど...まさか数千数万の大群引き連れて攻めてきたりしないよな?」

魔王「いざとなったらこの城の魔物総動員で...いやでもな、みんな戦えるとは限らないよなぁ」

魔王「あーなんか緊張してきた...胃がキリキリする...薬飲もう」

魔王「薬箱どこにあったっけ...この部屋もどこに何があるかまだ把握しきれてないからな...」ガサガサ

チャリーン

魔王「ん??なんか落ちた音したぞ今」

魔王「これか...」ヒョイ

魔王「ってこれ...おいまさか」

側近「あ、あと2本...まさかここまで外し続けるとは思いませんでしたよ」ガチャガチャ

側近「,,,くそっこれも違う!!!じゃあこれが最後の1本!ようやくゲームクリアってわけですね!」ポイッ

魔王「痛ーっ!?」サクッ

側近「はっ!?だ、大丈夫ですか魔王様!?」

魔王「か、鍵刺さった..」スポッ

側近「もっ申し訳ありません...しかもまだ開かないんですよ、これが最後なんですけど...」

魔王「いや、それなんだけどさ...」ゴソゴソ

魔王「鍵!部屋にあった」キラーン

側近「!?まっままままさかそれが本当の鍵とかそんな馬鹿げた話ありませんよね???」

魔王「......」ガチャガチャ

魔王「!」ガチャンッ

ギギギギギ...

側近「」

魔王「...開いちゃったよ」

側近「......私もう側近やめたほうがいいですかね...」ズーン

魔王「いや違うんだ、お前は悪くない!!」

魔王「実は俺も綺麗さっぱり忘れてたことなんだけどさ...」

親父(元魔王)が死ぬ三週間ほど前

親父『息子よ』

魔王『!なんだよ親父、じっとしてなくていいのかよ?』

親父『だって暇なんだもーん』

魔王『なんだもーん、じゃなくてさ』

親父『まぁ聞けよ、たぶんわしもうすぐ死ぬから、その前にやっとかなきゃいかんことがいろいろあるわけよ』

魔王『はぁ?演技でもないこと言うなよ』

親父『わしが死んだら遺品を整理することになるだろ?そういうのは全部側近に任せておくつもりなんだが』

親父『これをあいつに渡すのはまだ早い。ないとは思うが悪用されるわけにはいかんので、お前に預けることにした』キラーン

魔王『なにそれ??鍵???』

親父『そう、禁断の匣(パンドラボックス)を開ける鍵だ』

魔王『え、なにぱんどらぼっくすって...こわ』

親父『これが何の鍵かは...あえて言わないでおく、もしかしたら一生使わずに終わるかもしれんしー』

親父『まぁとにかく大事に取っといてくれ、頼んだぞ』

魔王『ええ...何の鍵なんだよ、気になるよ』

側近『あっ!魔王様また勝手に出歩いて...!ダメじゃないですか!』

親父『うっひょー見つかっちゃった!逃げろ逃げろーい!』ダッシュ

魔王『なんなんだあのアホは...子供か!』

魔王「てなことがあって、預かってたんだこの鍵を」

側近「......つまり私がやってたことはまったく徒労だったわけですね」

魔王「いや、その...なんだ、本当ぜんぜんお前に非はないから...そうだ、一旦深呼吸しよう深呼吸」

側近「いいですよもう、さっさと入りましょう」スタスタ

魔王「お、おう」


魔王「暗くてよくわかんないな」

側近「灯りをつけますよ」カチッ

パッ

魔王「うおっ」

キラキラキラキラ

魔王「す、すげぇなんかいろんなもんが飾ってあるぞ!」

側近「それらは元魔王様が集めていた財宝です、しかも比較的価値の低いもの」

側近「しかし今はそんなのどうでもいいので...こっちです」

魔王「?なにこの小さい扉」

側近「魔王様は大事なものをあえて小汚い場所に隠すようにしていました。派手な財宝をカモフラージュにして、まさかこんなところにあるはずがないと思わせるために」ガラッ

魔王「うわっ!かび臭っ」

側近「ここが武器庫です」

魔王「こ、この中から探すのか??めっちゃ埃かぶってて何がどうなってんだか全然わからないんだけど」

側近「安心してください、今の魔王様に必要な武器はすべてこの紙に書いておきました」

側近「いいですか?探すのはこの3つの武器です」

側近「まずひとつ、>>23

側近「そしてもうひとつ、>>26

側近「最後に...もっとも重要な>>29です」



【安価についての説明】

今回の安価は武器です
基本的にはすべておまかせします

架空の武器の名称だけを書いていただいてもかまいませんし、詳細な設定を書いていただいてもかまいません
「木の棒」とか「フライパン」とか武器になるのかならないのか曖昧なものでもかまいません

ただし、安価を取るのは一人一回でお願いします
同じ方が2つ以上の安価をとっていた場合、2つ目以降の安価はひとつ下を採用します

誠剣‐『銓』

聖剣ならぬ誠剣。
持ち主を守るときに真価を発揮する剣。
何も斬らずに、持ち主の心を斬る。

「正義と悪が戦うこと自体が間違い、本当に正しいのは戦い自体を起こさないこと」

という、武器としては異例のコンセプトで製作された。

からくり奇剣・神殺し

神話の時代、傲慢な神を切り裂いたとされる奇妙な剣。
そのまま使うには殺傷力に欠けるが、動力源として電撃魔法を使用すればたちまちあらゆるものをバラバラにする強力な武器と化す

終焉の炎

世界の全てを灰塵に帰す最終兵器

側近「いいですか?探すのはこの3つの武器です」

側近「まずひとつ、誠剣‐『銓』」

側近「そしてもうひとつ、『からくり奇剣・神殺し』」

側近「最後に...もっとも重要な『終焉の炎』です」


魔王「......ふーん」

側近「なんか反応薄くないです?」

魔王「いや...どんなのかまったく想像つかないから...」

魔王「でも『からくり奇剣』はなんとなく面白そうな響きだよな、後ろに続く神殺しってのは物騒だけど」

側近「面白いとかそんなことを言っている場合ではありませんよ、どれも超強力な武器ですからね」

魔王「んじゃあそれ探すか......写真とかあるの?」

側近「ないです」

魔王「......ないんだ?じゃあなんか外見上の特徴言ってくれ」

側近「知らないです」

魔王「......えっ?」

魔王「知らないっていうのは...?」

側近「私も、これらの武器がどんな形をしているのかは知らないのです」

魔王「し、知らないのにどうやって選んだのかなぁ...?」

側近「ここに保管されている武器がそれぞれどういった効果を持つものなのかは、文献で確認していました。そこから最適なものを選んだつもりです」

側近「しかし実物は見たことがありません」

魔王「あのさ...この武器の山、かなりの数だと思うんだけど...ここから手がかりなしで探すわけ?」

側近「手がかりですか?一つ目は『剣』、二つ目も『剣』、三つ目は『炎』ですよ」

魔王「大雑把すぎてなおさら厳しいわ!!!」

側近「まぁ大丈夫です、必ず見つかりますよ。さっきの私みたいに探してたものが他所になかったりしない限りは」

魔王「これたぶん1日じゃ終わらんぞ」

側近「あ!私は他にやることいっぱいあるのであとお願いしますね」

魔王「おまっ...マジで言ってんの!?」

側近「余裕が出来たら手伝いますからー」スタスタスタ

魔王(もうそのへんに転がってるテキトーな武器でいい気がしてきた)

今回はここまで...次からは安価をもう少し近くに出しますね

誤字そんなにありました?なるべく気をつけているつもりなのですが...
もし話の理解に支障が出るレベルの誤字があったら、指摘してもらえると助かります

3時間後

魔王「だめだ!見つからない!」ガチャッ

側近「......」ビクッ

魔王「あっお前...なに呑気に菓子食ってんだよ!」

側近「ひょっひょひふぉふぃふぃふふぃふぁふぁっふぁふぁふぇふぇ」モグモグ

魔王「なに言ってんだ」

側近「ゴクン...すみません、ちょっと一息つきたかっただけです...すぐに次の仕事に取り掛かりますよ」

魔王「...『次の仕事』って、俺まだ武器探してる途中なんだけど」

側近「いえ、そうではなく」フキフキ

側近「たった今、『四天王』全員に召集をかけたところです」

魔王「!早いな...」

側近「ただ、本当に全員揃うかは分かりませんよ。いくら非常事態とはいえ、彼らにも用事があるでしょうし、なによりこの城にいつでも来られるほど近くにいるのはひとりだけですから」

魔王「ふーん...まぁまだ時間はあるしな」

側近「しかし武器は早いところ見つけた方がよろしいかと」

魔王「分かってるよ、でもあれだけいろいろあると、なんかもう全部それっぽいものに見えてきて...」

側近「まぁ、クッキーでも食べて落ち着いてくださいな」スッ

魔王「お、おう...」パクッ

側近「3時間で音を上げるとは思いませんでしたが...私も何も考えてないわけではありません、秘策を用意しました」

魔王「ひふぁふ(秘策)??」モグモグ

側近「えーと......どこにあったかな」ゴソゴソ

魔王「なに探してるんだよ」モグモグ

側近「...もうちょっと待っててください、たぶんこのへんに...」ガサガサ

魔王「コーヒーおかわりもらっていいか?」

側近「ええどうぞ。...うーんないな、こっちの箱かな...」ガシャンガシャン

魔王「...もしかしてお前収納ヘタ?...」ズズズ

側近「そっそんなことありえませんっけられども!?」

魔王「動揺しすぎだろ...だってさっきからガラクタばっか出てきてるし、使うのかよそんなの」

側近「いつか役に立つと思って取っておいてるんです」

魔王「それ片付けられないやつの典型的な言い訳だよ」

側近「あっ!!ありました!!!」

魔王「!」

側近「これです!これがあれば...」

魔王「なんだぁ...?曲がった針金??やっぱガラクタじゃん」

側近「失礼な...これは『Lロッド』と言って...」

側近「ダウジングに使うものなんですよ!」

魔王「ダウ…...秘策ってそれかよ!!!??」

側近「ダウジングとはもともと人間が水脈等を発見するために成立させた技術です」

魔王「へー技術なんだ?」

側近「まぁ私はオカルトだと思っていますが」

魔王「どっちだよ」

側近「私のダウジングは人間のそれとは少し違います。この棒に魔力を流すことで...」ブゥーン...

魔王「お、なんか震えてる」

側近「私が持つ『探したいもののイメージ』を波のようにして周囲に飛ばして、それに近い実物にぶつかると、その方向を示してくれるのです」

グンッ!

魔王「うお!すげー動いた!」

側近「このあたりですね!」サッ

側近「やったー!100マゴルト見つけた!」※1マゴルト=だいたい10円

魔王「金かよ」

側近「どうです?役に立つでしょう?」ドヤァ

魔王「いや今回の場合、探してる武器がどんな形なのか分からないから苦労してるんだろ...?具体的なイメージなしじゃ探せないんじゃないのか?」

側近「.........あー...」

側近「ちょっとトイレ行ってきます」

魔王「逃げんなコラ」ガシッ

倉庫

側近「まぁとにかく試してみましょうか」

魔王「おう......一応な、俺も3時間かけて、『剣状の武器』と『それ以外の武器』で分けておいたんだ。大雑把にだけど」

側近「それは助かりますね」

側近「具体的なイメージは分からずとも、何かヒントになる形状が一部でも分かれば、それで反応するかもしれません...」

魔王「んなこと言ってもな...どれも名前だけじゃよく分からんし」

側近「からくり奇剣はどうです?『からくり』という言葉から連想されるイメージは?」

魔王「からくりから連想されるイメージ...」

魔王「...『歯車』?」

側近「...なるほど。歯車が使われている剣なんて、そうそうないはずで...」グイーン

側近「うわーいきなり来たきたきた!すごい引きですよ!」

魔王「引きって釣り竿じゃないんだから...どれだ?」ガチャガチャ

側近「そのへんです!」グングングン

魔王「えーっと......!?」

魔王「あった!!これだろ!真ん中に歯車が埋め込まれてる!」シャキーン

側近「それです!...たぶん」

魔王「しかしずいぶん丸っこい剣だな。確かに歯車が使われてるみたいだけど、からくりって感じには見えん...」

側近「あ、よく見たら刃の部分がギザギザしてますね、これじゃ剣っていうよりノコギリじゃ…」

魔王「ほんとにこれなのかぁ?」

側近「そういえば文献には、動力源に電撃魔法が必要って書いてありましたが」

魔王「電気を通すとこの歯車が動き出すってことか?」

側近「おそらくはそういうことかと」

魔王「じゃあ、頼むわ」スッ

側近「えっ?私がやるんです?」

魔王「だって俺、魔法使えないし」

側近「へぇ、そうなんですか...」

側近「......」

側近「...えっ???」

魔王「なんだよその顔」

側近「つっ使えないんですか??魔法を???」

魔王「使えないし、生まれてこの方必要だと感じたこともなかった」

側近「えぇ...元魔王様は教えてくださらなかったんですか」

魔王「うーん?そういえば俺が小さい頃に教えてやろうって言ってきたことがあったような」

側近「なぜそのときに教わらなかったのです!?」

魔王「だってゲームやりたかったし」

側近「そんな理由で!!!」

魔王「まぁそう怒るなよ」

側近「いえ...怒ってはいません、ただただ驚愕しています」

魔王「だって魔法なんて何に使うんだよ?」

側近「勇者との戦闘においては魔法が絶対に必要になりますよ...!」

魔王「んな事言われても、人間との戦闘は本来起こるはずなかったことだろ!?それがいきなりこんな事態になって...なんだ?なんつーか...そら困るわ!」

側近「そうですけど...でも戦いに限らなくてもいろいろ便利ですよ、私のダウジングだって魔法の一種ですから」

魔王「うーん...別にダウジングやりたいとは思わないしなぁ」

側近「元魔王様の魔法なんて、それはもう凄まじいものでしたよ」

魔王「たとえば?」

側近「触れずに巨岩を浮かせたり、遠くにある物と物の位置を瞬時に入れ替えたり、天変地異を引き起こすこともできたそうです」

魔王「それになんの意味があるんだよ」

側近「...なんとなくすごいじゃないですか?」

魔王「俺は自分の強さや凄さを誇示するつもりなんてさらさらないんだよ」

側近「それじゃ困ります!王として相応しい強さを有していなければ、いずれその座を誰かに脅かされる日が来るかもしれませんよ!」

魔王「脅かされる?...魔王の座なんて俺にゃ必要ない。欲しいやつがいるならくれてやるさ」

側近「魔王様...本気で言っているのですか!」

魔王「いいか、俺は俺の意思で魔王になったわけじゃない...親父が死ぬ前に勝手に決めたことだ!」

魔王「それでも、今までどおりの平和な日々が続くってんなら多少忙しくても耐えるつもりだったよ」

魔王「だけどこんな...いきなり勇者が攻めてきてますーなんて言われて、やってられるかよ!」

側近「......」

側近「分かりました、では貴方はしばらくどこか遠くへ逃げていてください」

魔王「は??」

側近「勇者たちは...私がなんとかします、貴方が関わる必要はありません」

魔王「いや、お前だけじゃどうしようも...」

側近「いいんです、やる気のない魔王様の首根っこ掴んで無理やり戦わせたって、どうせ勝ち目はないですよ」

側近「だったら私がひとりで...うまく行けば勇者と刺し違えるくらいはできるかもしれませんし」

魔王「冗談言ってんじゃねーよ!」

側近「ええそうですよ!私に勇者と刺し違えるほどの実力なんてありません!冗談ですよ!」

魔王「いやそうじゃなくて...!」

側近「ですが私は貴方の側近。貴方の生命を守るのが私の使命」

側近「そう、まさかに『使命』なのです、命を賭して貴方を守らなくてはならない...その覚悟は常にできています」

側近「貴方が戦わなくても、私は命懸けで貴方のために戦う。できるできないじゃなく、私にはそうするしかないのです」

側近「大丈夫ですよ、私が死んでもまた新しい側近が必ず出てきますから」

魔王「バカ!なんでそういうこと言うんだ...」

側近「バカは貴方です!腰抜けゆとり魔王!!」

魔王「ゆと...!?」

側近「貴方が望んで魔王になったのではない...そんなことは分かっています。だけど貴方が逃げたって何も解決しないんです」

側近「勇者が攻めてきているのなら戦わなくてはならない...それが我ら魔物の宿命!選択肢など存在しません」

側近「貴方が前に立つか、後ろに逃げるかで、私達の未来が決定するのです!」

側近「逃げるのならそのことを理解した上で逃げてください。誰も止めはしませんから...ですが絶対に勘違いしないでほしいのは、これが貴方だけの問題ではないということ」

魔王「うぐ...」

魔王「...なんだよ...俺にどうしろって言うんだよ...」

側近「......すみません、感情的になり過ぎました...」

側近「そもそもなぜ勇者たちが攻めてきたのか、その理由がわかっていない以上、こうやって準備していてもすべて徒労に終わる可能性もありますし...」

側近「...私にも分からないんです、本当どうしたらいいのか...」

魔王「.........」

??「簡単だよ」

魔王「!?誰だっ...?」

側近「...貴方は四天王の...>>51!」


【安価についての説明】

今回の安価は「一人目の四天王」です

名称や役職名(侍、死霊使い等)だけを決めていただきます

今後の安価すべてに共通するルールとして
・同一IDの2連以上のレス
・同一IDによる複数の安価取り
・IDを変えた上での複数の安価取り
は禁止とします
ただし「ksk」のみの連レスはOKです(そこまで遠くに安価を出さないようにはしますが...)

ターボネオン(建築家)

側近「貴方は四天王の...ターボネオン!」

魔王「四天王!?こいつが...!?」

ターボネオン(以下ターボ)「よろしく新魔王」

側近「いつからそこに...?」

ターボ「いつから?そうだなぁ...」

ターボ「側近のねーちゃん...アンタがダウジングやってたあたりかな」

側近「...ずいぶん早くに来ましたね?」

ターボ「今日はオフだったんでね...」

魔王「オフ?普段はなにをやってるんだ?」

ターボ「オイオイ...知らねぇのか?俺の一族は代々、この城を始めとする多くの建造物を手がけてきた建築家だ!そしてその中でも抜きん出た才能を持って生まれ、バリバリ現役活動中なのがこの俺、ターボネオン様よ!」

魔王「いや知らん」

ターボ「だろうな、アンタにゃ縁がねえ話だ」

ターボ「呼ばれた理由、一応聞いてはいるが、そうやって揉めてるってこたぁ勇者一行が攻めてきてるってのは冗談じゃないんだな? 」

側近「ええ...理由は分かっていませんが」

ターボ「じゃあやるしかねぇよな」

魔王「...そうだ、簡単だよ、って何が簡単なんだよ」

ターボ「アンタらの言う『どうしたらいいのかわからない』をどうにかする方法だよ」

魔王「どうにかって...」

ターボ「まどろっこしいのはナシだ、アンタがやらなきゃならねぇのはたったひとつ」

ターボ「魔法を極めろ」

魔王「!!!」

側近「なっ...!今から!?勇者が来るまで2週間程度しかないんですよ!?そんな悠長なこと言ってる場合じゃ...!!」

ターボ「うるせぇなぁ、分かってるよ...」

ターボ「俺の仕事もそうだ。建築ってのは速さが要!この俺が設計した美しい建物を、より速く完成させるために...」

ターボ「俺は電動の建築工具の扱いを極めた!」

魔王「電動...ってことはもしかして...!?」

ターボ「俺が近くにいてホントよかったなぁ魔王よ...俺のもっとも得意とする属性は『雷』、アンタには雷の魔法だけを直伝してやるぜ」

側近「なるほど...五大属性のうちの雷ひとつに絞れば、2週間でマスターできると?...それでもまだ無茶がありますよ!」

ターボ「2週間?2週間だと?」

ターボ「冗談じゃねぇ、かっ飛ばして1週間で終わらせる」

側近「はっ...!?」

ターボ「なんだったら残りの1週間でこの汚ぇ倉庫を改築してやってもいいぜ」

ターボ「さぁどうすんだ!魔王よぉ!!」

魔王「......」

魔王「五大属性ってなに???」

ターボ「......」

側近「......」

ターボ「よし、おねーちゃん」

側近「...はい」

ターボ「椅子を持ってきてくれ」

ターボ「まぁ座りな」

魔王「お、おう」

ターボ「さて......五大属性を知らんとなると...そうだな、アンタを建築で例えるなら、まだ基礎工事もできてねぇ状態だ」

魔王「建築で例えなくていいよ」

ターボ「まぁいい、ちゃちゃっと説明してやるぜ」

ターボ「...ほいっ」パシッ

魔王「?」

ターボ「この手の中には何が入ってると思う?」

魔王「何って...なんもない宙を掴んだように見えたけど。虫でもいたか?」

ターボ「そのとおり、この手の中にはなんにもねぇ、あるのは埃くらいだ」パッ

ターボ「だが、この部屋いっぱいに漂ってるのは埃だけじゃない。見えないし匂いもしないし温度もないが、この大気中には『魔元素』ってのが混ざってる」

魔王「まげんそ...」

ターボ「そして、その『魔元素』を吸収することができるのが俺たち魔物。人間との差はそれ以外にねぇ」

魔王「そうなのか...知らなかった」

ターボ「そして俺たちは吸収した魔元素を生命力やら魔力やらに変換することができ...」

ターボ「さらにその魔力をいろんな形で作用させるのが魔法だ」

魔王「へぇー...」

ターボ「ハハハ、へぇー...だってよ!こいつホントに魔王なのかよ!」

側近「もしかして魔王様、人間と同じ教育しか受けていなかったのでは?」

魔王「少なくとも魔力やらなんやらってのは教わらなかったな」

側近(もしかしたら元魔王様は本当に、この方には魔法なんて必要ないと考えていたのかもしれない...だから教えなかった?)

側近(そもそも元魔王様ほどの方が病気で亡くなられたというのもおかしい...)

側近(魔元素を生命力に変換していれば、もっと長く生きていられたはず...一体なんのために?)

ターボ「続けるぜ...そんでその魔法っちゅうのは五つの種類に分けられる」

ターボ「火・水・風・土…そして雷」

魔王「それが五大属性ってことか!」

ターボ「そうそう、それぞれの属性で何が出来るかってのは今教える必要がねぇし、まぁだいたい想像付くだろうから置いとくぜ。アンタが覚えるのは雷だけだからな」

魔王「いやちょっと待て」

ターボ「あん?」

魔王「側近はさっきのダウジングが魔法だって言ってたよな?あれはなに属性なんだ?想像できん」

側近「...空です」

魔王「空?」

側近「五大属性は古くからある魔法ですが、ここ数百年の間に生み出された、五大属性から外れた魔法があります」

側近「それらを一括して『空属性』と呼ぶのです」

魔王「じゃあ実際は六大魔法ってことじゃん」

ターボ「おい 聞いてたのか?アンタに必要なのは雷だけだ、あとの火水風土だの空だのはほっとけ」

魔王「分かったよ」

ターボ「それじゃさっそくやってみるか」

魔王「なにをやるんだ?」

ターボ「アンタの中の魔元素の量を測る」

ターボ「アンタは何にも知らねぇアホ魔王だが、仮にも魔物ならその体にはしっかり魔元素が染み付いてるはずだ」

ターボ「魔元素ってのがどこから生じてるものなのか?そういうのは偉い学者さんたちが日々議論してるが、とにかくこの大気に混ざってうようよしてる」

ターボ「そうして特に意識せんでも、自然と体に溜まってくもんなんだ」

ターボ「ちなみに大気中の魔元素が濃いスポットが各地に点在していて、そこに家を建てたいってやつが結構いるが、土地代がバカにならねぇんだぜ」

魔王「ふーん」

側近「あれ、それってもしかして...」

ターボ「そう、この魔王城は特別に魔元素が濃い地点に建てられてる」

ターボ「つまり魔王、一度も魔法を使ったことがないアンタはこれまで生きてきた中で、膨大な魔元素を内に溜め込んでるはずなんだ」

ターボ「そして魔元素が多いということは魔力が多いということ!そしてそれは使える魔法の多さにも直結する!」

魔王「おお、マジか!」

ターボ「アンタはクソボケ魔王だっつって側近のねーちゃんに貶されてたけどよ、これから魔法を使うとなりゃあこれ以上ない最高の状態なんだぜ」

側近「そこまでは言ってませんが...!?」

ターボ「いったいどんな量の魔元素が詰まってんだろうなぁ!えぇおい!!気になるだろ!!?」

側近(テンション高いなぁ...かくいう私も少しワクワクしてますけど)

魔王「んで、どうやって測るんだ?なんか専用の道具でもあんの?」

ターボ「魔元素は肉眼では分からねえが、密集すると色がつく性質を持つ。その色で判断すんのよ!アンタがいう道具ってのは俺くらいになりゃ必要ねぇ」

ターボ「こうやって、指で輪っかを作る。この小さい輪っかに魔力を流してレンズにすると...」

ターボ「......」くるっ

側近「!」

ターボ「ねーちゃんは青色、つまり下から2番目だな...」

側近「そのくらいでしょうね、私あんまり鍛えてませんし」

ターボ「ちなみに胸のサイズは...これもやっぱり小さいほうだな、何から何までしょぼい女だぜ」

側近「ちょっ...オイこの野郎!!そんなことまでは分かるわけないでしょうが!!」

魔王「??」

ターボ「...色は全部で5色。上から赤・黄・緑・青・紫だ。たまにあやふやなのもいるけどな」

ターボ「ちなみに俺は黄色。赤はめったにいねぇが、アンタはどうだろうな?」スッ

魔王「......」ドキドキ

ターボ「よし分かった...アンタは>>62色だ!」


【安価についての説明】

今回の安価は「魔元素の色」です

先ほどのルールを踏まえた上で、お願いします

申し訳ありませんが「火」は色ではないので再安価です
色は体内に溜められる魔元素の限界量を表すだいたいの目安であり、属性とは関係ありません

>>66

ターボ「よし分かった...アンタは赤色だ!」

魔王「!!マジで!!?」

側近「すごいですよ魔王様!」

ターボ「.........」

ターボ「確かに赤はスゲェ...俺ですら過去に数人しか見たことねぇよ。だが」

ターボ「これで分かるのはお前の魔元素の容量だ。いくら器がでかくたって、中のモンをうまく使えなきゃ意味がねぇんだ。それをよく覚えとけよ」

魔王「おう!でもなんか...急にやる気出てきたぜ!!」

ターボ「単純なやっちゃなー」

側近「ターボネオン、貴方も魔王様が赤だとわかったとき、一瞬イヤそうな顔しましたよね?魔王様に追い抜かれるかも...と思ったのではありませんか?」

ターボ「目ざといやつだな、黙ってろよ」

ターボ「だが...本当にアイツが俺らの上に立つと言うのなら、これくらいの条件は満たしてもらわねぇと困る」

ターボ「それに正直言うとだ...アイツがあの魔王の息子だってなら、黒かもしれねぇと思ったんだ」

側近「...黒?」

ターボ「知らねぇのか?俺たちと一緒に戦ってた全盛期の頃の魔王は、魔元素の色が黒だった」

側近「赤より上ってことですか?そんなのがあるなんて...」

ターボ「ま、短い期間だったけどな...間違いなくアイツは全魔物の頂点だった」

ターボ「だから正直、アイツが赤ってのはちょっとガックリ来たんだよ」

魔王「うおー!やったー!いけるぜ俺!!!」

ターボ「うるせぇ!」バチィッ

魔王「ぎゃああああああ」ビリビリ

ターボ「赤なら、少なくとも俺の持つ雷魔法は全部使えて、なおかつ新しい魔法を覚える余裕もあるってわけだ」

ターボ「魔法を理解するのに一番手っ取り早いのは実際に見ること...そして体感すること!さぁ、死なねぇ程度にビリビリやるぜぇ魔王!」

魔王「そ、側近...救けて...俺もう無理かも...」

側近(さっきあんなにはしゃいでたのに...大丈夫なんですかねぇ)

今回はここまで...

ターボネオンという名前はかっこよくて好きですが、別に今後登場する四天王が皆かっこよくしなきゃいけない、というわけではありません
もっとふざけたのでもいいんですよ

次回の更新日はまだ未定です
頻繁に更新したいのですが、安価を出す上で、なるべく人がいそうな時間帯を選んでいるので、なかなかタイミングが難しいのです...

『父さん...話ってなに?』

『いや別に大したことじゃない...俺が勇者と戦ったときの話をしてやろうと思ってな』

『ユウシャ?そんなことよりさ!お仕事終わったんなら久しぶりに一緒にゲームやろうよ』

『ん......そうだな、ゲームやるか!』


魔王「......」パチッ

ターボ「また気絶してやがったぜ」

魔王(今のは...ガキの頃の夢...?)


「電撃魔法」習得の訓練開始から6時間経過


ターボ「どうだ?そろそろ使えんじゃねぇか?」

魔王「...使えるかは分からないけど、全身に伝わった電撃が、じわじわ染み付いていく感じがする」

ターボ「そう、身体が覚え始めてんのさ電撃を!魔法を理屈で覚えるには相当に時間がかかるが、このやり方ならもっと早い」

ターボ「もちろん負担はバカにならんが...そこはまぁ俺も素人じゃねぇ、死なないギリギリでやってるから安心しな」

魔王「あ、安心できるかよ...超キツいぞこれ...」

ターボ「オラさっさと起きろ!次いくぜ次ィ」

魔王「ちょっと待て!...そういえばさ」

ターボ「あん?」

魔王「ターボは...四天王として、親父と一緒に勇者と戦ったんだよな」

ターボ「おう、戦ったぜぇ」

魔王「親父、すげぇ強いんだろ。なのに三日三晩戦ってたってことは...それだけ勇者も強かったのか?」

ターボ「あぁ?.........」

ターボ「アレは...いや、アイツら人間は...俺らのように魔法を使えんチンケな存在だと思っていたが...」

ターボ「実は魔法なんかよりももっと厄介なものを持っていやがった」

魔王「もっと厄介なもの?」

ターボ「突然襲ってきた魔物によって脅かされた人間は、恐れ、戦き、絶望した...」

ターボ「勇者はそれが許せなかった...そして傷ついた人間たちの代わりに一矢報いるために、魔王に向かっていった」

ターボ「そして、俺たちの攻撃を受けて、どれだけ傷を負おうが、血を流そうが、肉が爆ぜようが骨が砕けようが、敵意だけは決して損わず、戦い続けた」

ターボ「そんな戦いがしばらく続いたあと魔王は、俺たち四天王が手出しすることを許さず、サシで戦うことを望んだ」

魔王「サシで?なんでだ...力を合わせて倒しちまったらよかったじゃんか」

ターボ「アイツがなにを考えていたかは知らんが...だが俺たちの中には共通して『勇者はどうしたって倒れないのでは?』って不安があった」

魔王「んなこたーないだろ」

ターボ「ああ。んなこたぁねぇ。そんなことはあり得ねえが、その時は本当にそう思ってたんだよ。そのくらいに勇者は止まらなかった」

ターボ「だからこそアイツは一人で戦おうとしたのかもしれねぇな」

魔王「え?ん??...倒れる気がしないからひとりで戦う??どういうことだよ?」

ターボ「うるせぇなぁ、なんでもかんでも聞けば教えてもらえると思ってんじゃねぇぞクソガキが」

魔王「ひでぇ...」

ターボ「ただ、結果として魔王が選んだのは『痛み分け』だ。力でねじ伏せるのは無意味だと判断したんだろうよ」

魔王「どうしても酒が飲みたくなったってのは??」

ターボ「そりゃあ言い訳のひとつに過ぎねぇよ」

魔王「ふーん...そうなんだ」

ターボ「さぁのんびりしてる場合じゃねぇぞ!それとも話してる間に魔法の一つでも使えるようになったかよ!?」

魔王「いや、まだ!まだ使えねーよさすがに!」

ターボ「だったらもっと電撃浴びるしかねぇだろぉ!?」バリバリバリ

魔王「分かってるあああああああ!!」

同時刻

側近「さて...元魔王様と勇者との戦いのあと、双方が立てた誓約...つまり『相互不干渉』を徹底するために、二つを隔てるように設けられたのが『絶交の門』」

側近「そして絶交の門には不審な出入りがあってはならないため、24時間常に映像が記録されている...」

側近「そしてその管理を担当するのがここ『魔導監視所』...間違いありませんね?」

魔導監視所長(以下、魔監所長)「ええと...間違いはないっすけど...」

側近「けど?」

魔監所長「本気でやる気っすか?」

側近「もちろん本気ですとも...仮に我々魔物の中に人間と干渉した者がいるというなら、それは絶交の門を通らなければ不可能なはず...」

側近「よって魔王様直属の部下であるこの私が命令します、ここに記録された映像すべてを公開しなさい」

魔監所長「...確かにここで記録された映像は確認できるし、それを拒む権利は下っぱの(所長だけど)うちにはないっす」

魔監所長「だけど、一体何十時間、何百時間ぶんの映像を遡って確認するつもりなんすか!?」

側近「それは分かりません、ですがもし絶交の門を通って人間のもとを訪れた魔物がいるのなら、間違いなく記録されているはずです」

魔監所長「いくらなんでも片っ端から確認するなんて無理っすよ...しかも『もし』って、誰もあの門を通ってないかもしれないってことっすよね??そうしたらただの徒労で終わっちゃうっすよ」

側近「徒労で終わるかどうかはやってみなくては分かりません」キッパリ

魔監所長「うぅ...」

側近「映像は早送りできますよね?確認は目視ですからあまり早くしすぎても困りますが、それでも3倍速なら、1日の映像は8時間で確認できます」ペラペラ

側近「さらにあなたたち所員の方々が協力してくだされば、数日分の映像を8時間ですべて確認できることになります。仮に私含めて10人で確認するのなら、8時間で10日分、16時間で20日分...」

側近「...もちろんタダでやれとは言いません、この件が済みましたら相応の恩賞を魔王様が与えてくださりますよ」

魔監所長「わ、分かったっす!分かったっすから!!どーせ断ったって先輩一人でやる気でしょ!」

側近「...さすがはかわいい後輩。私のことよく分かっているじゃないですか」

魔監所長「そんな無茶したら頭がおかしくなってしまうし、先輩がそんなことになったと知れたらうちが魔王様に怒られちゃうっすよ!」

側近「前言撤回します...あなた私のことをわかっていませんね」

魔監所長「!?」

側近「私はそんな簡単に壊れませんよ...特に頭を使うことに関しては、魔王様にも四天王の誰にも負ける気はありません」

側近「伊達に側近やってませんから」

魔監所長「先輩すました顔して相変わらず頑固っすよねぇ...」タジタジ

側近「あなたもゴリ押しに弱いところは学生のころから変わりませんね...じゃ、お願いします」ニコー

2日後...

側近「.........」

魔監所長(先輩がここの映像全部見せろとか言い出してもう3日目...)

側近「.........」

魔監所長(まさか本当に食事と睡眠のとき以外はずーっとモニターに張り付いてるとは...)

側近「.........」

魔監所長(...一応うちら所員総動員で頑張ってるっすけど、それでもやっと2週間分...映像にはほとんど動きがないし、ちょっと気が狂いそうっす...)

側近「.........」

魔監所長(そもそもうちだって、普段なにもやることのないここだから運良く所長になれただけで...先輩と違って頭は一般レベルっす。こんなの耐えられないっすよ...)

側近「.........」

側近「...zzz」

魔監所長「えっ...?」

魔監所長「ちょっ...先輩!?映像流しっぱなしで寝ちゃダメっす!止めないとなんかあっても見逃しちゃうっすよ!?」

側近「zzz...ふふへへぇ魔王様...私いま超がんばってますからねぇ...」ムニャムニャ

魔監所長「なに寝ぼけてるっすかー!つかいつから寝てたっすか!?しっかりしてくださいっすー!」ユサユサ

魔監所員「あっ!所長!」

魔監所長「!?...どうしたっすか所員くん!」クルッ

魔監所員「いま門が開いて...何かが出ていきました!巻き戻してみます!」キュルルルルル

魔監所員「ここ、ここです!」ピッ

魔監所長「...ああ、それただの郵便屋さんじゃないっすか?」

魔監所員「っぽい感じですが...郵便所で人間宛の手紙を取り扱うことはないのでは?」

魔監所長「それが...ここだけの話...人間のところに潜入してるスパイの魔物は、定期的にこっちの本とか送ってもらってるんすよ!結構、娯楽に飢えてるらしいっすからね」

魔監所員「へぇー所長詳しいんですね」

魔監所長「えへ...実は先輩に教えてもらったっすよ。ね、先輩...」

魔監所長「ってそうだ!寝ちゃダメっすー!!」ブンブン

側近「......郵便?」パチッ

側近(郵便...郵便...なにか引っかかる...なんだ?...確かに向こうのスパイの元には、月に1回だけ書物を送っている...だけど違う、それじゃない)

側近「...ええと...なんだっけ...」ボソボソ

魔監所長「まだ寝ぼけてるっすか!」ムニムニ

側近「うう...やめて...やめ...やめろぉ!!」

魔監所長「ひゃあああごめんなさいっす先輩!怒らないで!」プルプル

側近「......」

プルプル...プルプル...

側近「そうだ...思い出してきた...」


あれは魔王様が亡くなる3週間ほど前...

魔王『.........』プルプル...プルプル...

側近『なにしてるんですか魔王様』ヒョコ

魔王『うおーびっくりした!』ガシャアン!!

魔王『あああーー!!割れたぁ!!!!』

側近『...?あ、その瓶...もしかして私のせいで割れちゃったんですか...?』

魔王『ボトルシップ作ってたんだ...だがわしにこういう細かいのは無理かも...緊張して手が震えちゃってなぁ』

側近『ボトルシップですか...なんでまたそんなものを』

魔王『ただ瓶に詰めて流すよりそっちのほうが操作しやすいからな』

側近『流す?操作??なにをです?』

魔王『手紙だよ』

側近『手紙?普通に出せばいいじゃないですか?それともボトルメールになにがこだわりが?』

魔王『まぁお前が気にすることじゃないさ』

側近『...むむ...』

魔王『瓶ならまだまだあるし、またやりなおすかな...でも魔法で作るのはナシ、わし流ルールだ』

側近『!!...お酒はとりあげたはずです!なんでこんなに空の酒瓶が!?』

魔王『!...あ、いや、これはだね...』

側近『まさか隠れてこそこそ飲んでたんじゃ...!?信じられません、こうなったらもう全身雁字搦めにして動けないようにするしか...!』

魔王『分かった、わしが悪かったから!!怒んないで!!あああああ!』

側近(そう、手紙...魔王様は私に何かを隠していた...)

側近(あのとき魔王様がわざわざボトルメールで手紙を出そうとしていたのは)

側近(正規の方法で出せない手紙だったからでは...?)

側近(そして、正規の方法で出せない手紙というのは)


人間への手紙?


側近(人間への手紙は郵便で通すことはできない...実際に試した者がいるかは分からないけど、当然そういう決まりになってる)

側近(でもボトルメールなら......私がいない隙に事情を知らない者に渡して、流してもらえる...)

側近(そして『操作』というのは、海へ放った手紙入りボトルシップを遠隔で誘導するということ...あの『模型』は、他人の手から海に出た手紙を、魔法で操るための受信機代わりだったのでは...?)

側近(そして手紙は確実に、人間のもとにたどり着いた...)

側近(いや...さすがに考えすぎかも…?だいたい、根拠になるようなことは何一つとしてないし...)

魔監所長(うわぁ先輩すごい難しそうな顔してる...面倒なことを言い出す前触れっすね...ここは逃げとくべきっす!)

魔監所長「ま、まぁ先輩もぱっちり目が覚めたみたいですし、うちはちょっと休憩してくるっす!では!」スタスタ

ガチャ

魔監所長「ふぎゃ!」ゴンッ

???「ごめんください」ぬっ

魔監所員「だ、誰ですかあなたは...ここは関係者以外は無断で入れな...」

側近「!あーいや...その方は関係者ですよ。というか私が呼んだのです」

魔監所長「へぇえ?」

側近「やっとあなたで二人目ですよ...四天王の>>83さん!」

【安価についての説明】

今回の安価は「二人目の四天王」です

名称や役職名(侍、死霊使い等)に加え、今回は性別も決めていただきます



短いですが、今日の更新はここまでにします
次回は月曜日になる予定です

専業主婦

専業主婦!
いいですねーこういうの待ってましたよ!

この先どのくらい活躍があるか分かりませんが(もう出ないかも)
せっかくなので、今回登場した『魔監所長(仮)』の名前も、決めてしまいましょう

>>88

クランツ

魔監所長「なっ...」

魔監所長「なんなんっすか!?この背の高い女性はー!?」

???「ウフフ♡」

側近「そう驚かないでくださいよ...彼女は四天王のひとり...『史上最凶の専業主婦』ことヤマグチ・ナンシー・フサエ」

魔監所長「専業主婦...!?ヤマグチ・ナンシー・フサエ...!?」

側近「あるいはカワダ・マリーヌ・カズコ...あるいはオオイズミ・ジェーン・ミユキ...あるいは...」

魔監所長「ちょちょっ...!!あるいはあるいはって名前いくつあるんっすか!?」

側近「100にもおよぶこれらはすべて偽名です。なぜなら彼女の正体は...」

側近「どこにでもいそうな主婦を装って、油断したターゲットを鮮やかに始末する、超一流の暗殺者『WIFE』なのですから...!」

魔監所長「わ、わいふ...!!」

ワイフ「...ぷっ」

ワイフ「アハハハハ!もぉー信じちゃってるじゃないこの子!」

側近「ちょっと素直すぎるんですよ彼女」

魔監所長「え??嘘っすか?え???」

ワイフ「あたしはワイフ、本名は訳あって言えないけど、そんなに怖い人じゃないから安心して♡」

魔監所長「あ、はぁ...」

ワイフ「ところであなたお名前はなんていうの?」

魔監所長「うちっすか?うちはクランツ・クラン・クランベリー!この魔導監視所の所長っす!」

ワイフ「???...なんかくらんくらんしちゃう名前ねぇ...なんちゃってオホホホホ♡」

魔監所長「クランツだけでいいっす...」

ワイフ「そんな若いのに所長さんなんてすごいわねぇ♡えらいわぁ♡アメちゃんあげる♡」スッ

魔監所長「ありがとうっす!」パクッ

魔監所長「うっ...あれれ...?」フラー

魔監所長「zzz...」スヤァ

側近「アメではなく睡眠薬でしたか...相変わらず相手を油断させるのがうまいですね...」

ワイフ「まぁ♡褒めてもなにも出ないわよ?」

ワイフ「...それで、本当なの?勇者が攻めてきているって...」

側近「......最初の報告からもうすぐ四日経ちます。もしかしたらそろそろ次の報告が入る頃かもしれません」

ワイフ「場合によっては...」

ワイフ「ここに来る前に始末しちゃってもいいかもねぇ...」くすっ

側近「......!」

側近(...この表情、やはり暗殺者としての恐ろしいまでの冷酷さは今でも残っている)

側近「...まぁ、とにかく掛けてください...よく来てくださいました」

その頃

魔王「出た!!」

ターボ「なにぃ???」

魔王「出たって!電撃!見てろよ!!」スッ

パチッ

魔王「な!な!?」

ターボ「おめぇ2日以上やってこれだけってセンスなさすぎんじゃねぇのか?」

魔王「こ、これだけって...!パチッって言ったの聞こえなかったのかよ!」

ターボ「それだけだろーがボケ!んなもん静電気と変わらねぇよ!やる気あんのか!!!」

魔王「なっ!やっと前進できたのにその言い方はないだろ!!」

ターボ「俺はアンタに期待してた...が、ちょっと期待しすぎてたのかもしれねぇな。はっきり言うが才能ねぇわ」

魔王「こっ...この...さっきから...」

魔王「言わせておけば!!」ガシッ

ターボ「......」ビリ...ビリビリ...

魔王「!」

ターボ「掴みかかったその手...確かに帯電しているぜ」

魔王「本当だ...さっきより、来てる...」ビリビリ

ターボ「少しはマシになったか」

魔王「まさか俺の本当の力を引き出させるためにわざと煽ったのか!?すげぇ!」

ターボ「いやさっきのは全部本心だ」

魔王「んだとコラァ!!」

ターボ「いいか、まだ最初のステップが終わったところだ...あとはひたすら雷の出力を上げるための反復練習!そのビリビリをバチバチに昇華させ、最終的にはバリバリズドーン!」

魔王「破壊力を高めるってことか?」

ターボ「そうだ、必要なのは戦いにおける実用性だ。器用である必要ねえ、ただただ暴力的であればいいんだ!分かるか!?」

魔王「おお、やってやるよ!」

魔王「......ん?あれ?もともとはからくり奇剣を起動させるために始めたんだよな...?」

ターボ「うるせぇ、そんなもんなくても戦えるようになりやがれ!!」

魔導監視所...の隣の部屋

ワイフ「...ボトルメール?」

側近「ええ、元魔王様が人間宛てに出していた可能性があります」

ワイフ「なんでそんなことする必要があるのよぉ?」

側近「それは...まだ分かりませんが...とにかくその手紙が引き金となって、勇者が攻めてきているのかもしれません」

ワイフ「ふぅん...魔王ちゃんなら何やっても不思議ではないけど...だけど一体、どんな手紙を出せば勇者が攻めてくるようなことになるのかしらねぇ」

側近「......なんでしょうね。物凄く汚い言葉をひたすら連ねたとか...」

ワイフ「っていうかぁそもそもぉ」

ワイフ「勇者ちゃんって今も現役なのぉ?」

側近「......」

側近「...勇者...『ちゃん』??」

ワイフ「あら?知らなかった?私たちが戦った勇者って女の子だったのよぉ」

側近「は、初耳なんですけど...」

ワイフ「だけどただの女の子とは違って、それはもうすっごく強かったわ!ガッツがあったの!あれからもう30年以上経つし、きっと立派な主婦になってるに違いないわねぇ♡」

側近「そうか...私たち魔物と違って、人間の衰えは早い...ということは」

側近「勇者も新しくなっている...?」

ワイフ「さぁ?どうかしら...でも何もおかしいことはないわよねぇ♡」

ワイフ「あらやだもう夕方じゃない!そろろお夕飯の支度しなきゃだわ!」

側近「ちょっと...今そんなこと言ってる場合です?そういうのはこの城の給仕にやらせますから...」

ワイフ「ってことはあなたはお料理しないのね?それともできないのかしら」

側近「でっできますよ!できるに決まってるじゃないですか!」

ワイフ「本当にぃ???前に会ったときはロクに野菜も切れなかったじゃなぁい?」

側近「あ、あの頃はまだ子供だったから...」

ワイフ「じゃあ今はもう余裕なのね??」

側近「も、ももももちろんですよ!?魔王様の側近である私が実は料理ができないなんて、そんなことあるわけ...!」

ワイフ「そんなことが知れ渡ったら大変よねぇ??」

側近「か...勘弁してください...!今までなんとか誤魔化してきたのに...!」

ワイフ「ウフフ、ウフフフフ♡」

魔監所員「大変です!」バァン!!

側近「!」

ワイフ「フフフ...何事ぉ?」

魔監所員「絶交の門の映像に魔物が...!」

側近「いつの映像ですか!?」

魔監所員「今です!LIVEの映像です!」

側近「なっ...!?」

絶交の門

チンピラ魔物A「へへ...あとはこの門を超えるだけだな」

チンピラ魔物B「どうやって超えるんだ?」

チンピラ魔物C「んなもん、ぶっ壊しちゃえばいいだけよ!」

『コラー!あなたたち!』

チンピラ魔物A「あん?」

チンピラ魔物B「誰だぁ?」

チンピラ魔物C「誰もいねぇぞ」キョロキョロ

クランツ『ここ!ここ!こっちっすー!』

チンピラ魔物A「チッ、大事な門だからきっちり監視してるわけか...」

チンピラ魔物B「わざわざスピーカーまでついてやがるぜ」

クランツ『そこから先は立ち入り禁止っす!もしその門を超えたら、超おっかない罰があなたたちを待ってるっすよ!!』

チンピラ魔物C「けっ、ほっとけほっとけ」

クランツ『むかーっ!!無視とは何事っすか!?先輩!なんか言ってやってくださいっす!!』

チンピラ魔物ズ(先輩...???)

側近『あー...あなた達、なぜそんなところにいるのです?その先は人間の領域...絶対に踏み込んではならないのは知っているはずでしょう』

チンピラ魔物A「その声...あんた確か魔王様の側近だな!」

側近『そうです、そしてその門を通ることは、魔王様に反逆することになります』

チンピラ魔物B「反逆だぁ?知ったことじゃねぇな!俺たちはただ俺たちの身を守りてえだけだ!」

側近『...?身を守る??なんの話です?』

チンピラ魔物B「勇者にむざむざやられるわけにはいかねえからな!」

側近『!!』

チンピラ魔物C「俺たちが先にぶちのめしてやるぜ!」

チンピラ魔物A「おっと、これは極秘のルートから得た情報...もしかしたらあんたらは知らなかったか!」

側近(勇者のことは、世間に広まって混乱を招かぬように限られた者にしか話していなかったのですが...どこかで漏れていたようですね)

側近『知らないわけないでしょう...それに関しては現在我々が情報を集め対策をしているところですので、あなた達がわざわざ動く必要はありません』

チンピラ魔物A「んな悠長なこと言ってられっかよぉ!」

チンピラ魔物B「ぼさぼさしてっと攻め込まれちまうぞ!」

チンピラ魔物C「安心しな、俺ら鍛えてっから楽勝だぜ!!」

側近『......チッ』

クランツ「あいつらー!先輩の話を聞かないとは、なんと無礼なやつらっすか!」プンスカ

ワイフ「どうするのよぉ?」

側近「ここから絶交の門までは結構距離がある...直接行って止めるのは難しいでしょうね...」

側近「門兵に連絡するしかない...だけど常駐してるのはひとり...頼りにしていいものか...」

クランツ「あっ、もう一人出てきたっすよ!」

チンピラ魔物A『あぁん?なんだおめぇ??』

門兵『私はここの門兵だ、君たち何のつもりか知らないがここで騒ぐのは迷惑だ、すぐにやめなさい!』

チンピラ魔物B『うるせぇよ、おっさん!』バキッ

門兵『ぐわっ!な、なにをする!』

チンピラ魔物C『オラッオラッ!』ボコスカ

門兵『やっやめっ...うぐっ...』

チンピラ魔物C『そんな弱っちぃんじゃどうせ勇者止められねぇよ!かわりに俺らがやってやるっつーの!』

門兵『うっうぐぐ...』ボロボロ

ワイフ「あーらら...門兵さん、やられちゃったわねぇ...」

クランツ「本当にひどいやつらっす...!」

側近「はぁーどうしてこうなってしまうのか...」

ワイフ「...ねーえ♡逆にあの子たちを利用してみたらぁ?」

側近「はい?」

ワイフ「あの子たちに勇者について探らせるのよぉ♡」

クランツ「名案っすおばさん!」

ワイフ「おばさんじゃなくて奥さん、それかお♡ね♡え♡さ♡ん♡」メキメキ

クランツ「アアアアアアア痛い痛い痛い!!」

側近「確かに...そろそろこちらから情報を集めに行くべきではないかと感じてはいました。ただ待っていてもキリがありませんから」

側近「やってみる価値はあるかもしれません」

側近「......」カチッ(マイクON)

側近『...それではあなた達3人に、魔王様からの極秘指令を言い渡します』

チンピラ魔物ズ「極秘指令???」

側近『これより特別に、その門を超えることを許可します。そして勇者の動向を探り、我々に報告してください』

側近『ただし勇者たちへの攻撃行為は禁止します。また、万が一勇者たちに発見され攻撃を受けた場合も、決して反撃はせず、逃走するよう心掛けてください』

チンピラ魔物A「おいおいふざけんじゃねぇよ!」

チンピラ魔物B「んなまどろっこしいことしなくても俺らが倒してやるっつーんだよ!」

チンピラ魔物C「安心しな、俺ら鍛えてっから楽勝だぜ!!(2回目)」

側近『......もし勇者たちの情報を持って帰還することができれば』

側近『魔王様が莫大な報酬を与えてくださるでしょう』

チンピラ魔物A「バッカお前、それを先に言えよ!」

チンピラ魔物B「勇者に手を出さねぇで観察だけすりゃいいんだろ!?」

チンピラ魔物C「それで報酬が貰えるってんなら安いもんだぜ!!」

側近『くれぐれも!向こうに発見されないようお願いします。そして迅速に!』

チンピラ魔物ズ「任せとけ!!」

側近「......」カチッ(マイクOFF)


側近「ふー、単純な奴らでよかったー...」

ワイフ「魔王様からの極秘指令なんて嘘ばっかり♡」

側近「嘘も方便と言うじゃないですか、我々は少しでも早く少しでも多く、勇者の情報を集めなくてはならないのですから」

クランツ「だけど、うまくいくっすかねぇ?」

ワイフ「もし失敗したら、こっちの情報を流されちゃうかもしれないわよぉ?」

側近「......やっぱりもう少し慎重に行くべきでしたかね...」

クランツ「でも、よかったっすねここの映像を確認してみて!うちも少しは役に立てたっすかね?」ドヤッ

側近「...あんまり」

クランツ「ええっ!?」ガーン

側近「冗談ですよ...ところであなたもしかして、ここの所員以外の誰かに勇者についての話とかしました?」

クランツ「うーん...?そういえば昨日の朝、食堂で知り合いに話したかもしれないっす...なんせ寝ぼけてたからどんな話したかよく覚えて...」

側近「よし手ぇ出せ、指全部折る」

クランツ「ええええええええ」

ワイフ「情報漏れてたのはこの子のせいみたいねぇ♡」

数時間後、真夜中


チンピラ魔物A「なんかよぉ人間ってもっとそこら中にいるのかと思ってたけどよぉ、ぜんぜんいねぇんだな」

チンピラ魔物B「バーカ、人間にも絶交の門に近いエリアでうろうろしねぇ決まりがあるんだろ?」

チンピラ魔物C「ってことは俺らみてぇな勇敢な奴らならいるかもしれねぇってわけだな!」

チンピラ魔物A「ハハハ」

チンピラ魔物B「!」ピクッ

チンピラ魔物C「ん?どうした?」

チンピラ魔物B「おい二人とも隠れろ!」

ガサッ

チンピラ魔物A「なんだよ!」

チンピラ魔物B「静かにしろ!見ろよアレ!」

チンピラ魔物C「あん?...なんだ...?」

チンピラ魔物A「明かり...?人か!」

チンピラ魔物B「こんな時間にこっちに歩いてくるって...あれが勇者なんじゃねーのか!」

チンピラ魔物C「いや...違うみたいだぜ...『これ』で見てみろ」


???「......」コソコソ

チンピラ魔物A「おい!お前、魔物だろ!」

チンピラ魔物B「魔元素が確認できたし間違いねぇな!」

チンピラ魔物C「持ってきててよかったぜ、『魔元素測定機』!」

???「な、なんだお前たち!?」ビクッ

チンピラ魔物A「質問するのはこっちだぜ、てめぇ何者だぁ?」

チンピラ魔物B「俺たち以外の魔物がいるはずねぇんだからな」

チンピラ魔物C「説明しないとぶん殴るぞコラ!」

???「ま、待ってくれぇ!お、おいらぁ怪しいもんじゃねぇ!魔王様の御命令で、人間のところで監視役やってるもんだ!」

チンピラ魔物A「監視役...?スパイか!」

チンピラ魔物B「本当にいるのかそんなのが...ただの噂だと思ってたぜ」

チンピラ魔物C「なんだぁ?じゃあスパイがいるのに俺たちにも潜入させたのかぁ?魔王様もずいぶん慎重なんだな」

スパイ魔物「お前たちも魔王様に言われてここに来たのか?」

チンピラ魔物A「おおよ」

スパイ魔物「おいらぁここで暮らし始めてもう20年以上になる!今まで何事もなく過ごしてきたが、ここ数日になって人間の妙な動きが目立ち始めたんだ」

チンピラ魔物B「聞いてるぜ、勇者だろ」

スパイ魔物「ああ、どうやらおいらたち魔物を倒すつもりらしいんだ!」

チンピラ魔物C「で?こんな時間になにコソコソしてたんだよ?」

スパイ魔物「魔王様に報告しなきゃなんねぇことがあって、この手紙を届けにいくとこだったんだ!」

チンピラ魔物A「手紙なんて出せんのか?」

スパイ魔物「あの門の付近からこの伝書鳩を飛ばすんだ おいらはずっとそのやり方で報告をしてきた」

伝書鳩「クークー」

スパイ魔物「こいつは魔王城から送られてきて、こっから離せば帰巣本能で向こうに飛んでいける...でも向こうに着いたらもうこっちには帰ってこねぇようになってるんだ」

スパイ魔物「これで何羽目だろうな、寂しくなるなぁピジョ助...先に向こうへ行ったピジョ左衛門たちと仲良くな」

伝書鳩「クー...」

チンピラ魔物B「名前までつけてるのかよ」

チンピラ魔物C「で、報告ってのは?なんだったら鳩の代わりに俺たちが伝えといてやるよ」

スパイ魔物「勇者一行の数が分かったんだ!」

チンピラ魔物A「何人いるんだ?」

スパイ魔物「ああ、それが...おいらの見立てではおそらく...最低>>100人!」



【安価についての説明】

今回の安価は、勇者一行の人数です
100人ではありません。>>100で指定した数、ということです

あまりに多すぎる場合は再安価するかもしれません...
よろしくお願いします

そして今日の更新はここまでです
次回はいよいよ謎多き勇者一行に迫る!かも?
チンピラ3人組にも名前をつけようか悩みましたが、とりあえずこのままにします

2.5

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