イレギュラーハンター達が鎮守府に着任しました。 (296)


アニメ2期と映画製作の発表があったので、それに合わせて書こうと思ったら先に出来てしまいました。





※これは前作『イレギュラーハンターが鎮守府に着任しました。』イレギュラーハンターが鎮守府に着任しました。 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427811405/)の続編になります。


※基本的な流れはゲーム『ロックマンX8』のボス等を艦娘と共に倒していくお話ですが、戦闘シーンの長さは各ボス様々です。ですが8ボス倒していく流れなので全体の話の長さは前より凄く長いです。


※アニメ鎮守府に出ていた子達を連れてボスと戦います。天龍と龍田は七話辺りで名前が出ていました。ちゃんと、名前は出ていました。


※VAVAも出て来ますが、岩本先生の漫画版とイレギュラーハンターX版、ロックマンX8版の性格が混ざったような性格になっています。


※深海棲艦の存在やダイナモ、アクセルの製作者等に独自解釈が含まれています。


※岩本先生の漫画版ロックマンXの要素が含まれています。


※みんなの口調などの細かい所はお見逃しいただけると嬉しいです。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450971123




21XX年、エックス達の活躍により重要拠点と言われるW島を奪還し、人間とレプリロイドは平和への第一歩を踏み出した。

しかしイレギュラーの増加と、深海棲艦の攻撃は休まることなく更に劇化していった。

イレギュラーの増加に対し、イレギュラーハンターに代わる組織『レッドアラート』によりその被害は抑えられていったが、深海棲艦が何故産まれてきたのか…それを知る術の無い人類とレプリロイドは防戦を強いられる事になる。



この状況を重く見た人間とレプリロイドは、改良されたレプリロイドの開発に取り組み始めた。


そして数ヵ月後、新世代型の代表と言われるレプリロイド『ルミネ』により、シグマボディーを基盤とした深海棲艦への攻撃を行うことが可能になったレプリロイドの量産が成功した。







だが、それにより新たな戦いが起こるのをエックス達は知らない。







第1話『始動 start』




《鎮守府・司令室》



エックス「新世代型…か。量産型が全員シグマと同じ形なのがちょっと……ね。」

ゼロ「レプリロイドのデータをコピーする事が出来るってのは便利だがな。」

アクセル「能力までコピー出来るから使いこなせば凄いんだよー。」

長門「…アクセルは私達にも変身出来るのか?」

アクセル「出来るんじゃない?やったこと無いけど。」

大淀「それなら夕張さんに解析してもらえば……あら?」ピピピッ!



ピピピッ!ピピピッ!



大淀「て、提督。レッドアラートのリーダー、レッドさんから緊急連絡です。」

エックス「レッドアラートの…?」

アクセル「レッドから?珍しい…て言うかエックス達に連絡って初めてじゃない?」

ゼロ「だな。」

エックス「分かった、繋げてくれ。」

大淀「了解、繋げます。」ピピッ!



ヴォォン



レッド『初めまして…でいいんだよな、エックスさん。』

エックス「あなたがレッドアラートのリーダー、レッドさん…なのか?」

レッド『呼び捨てでいい。その方が慣れてる。そっちに行ったアクセルなんて出会ってそうそう呼び捨てだったぞ?』


アクセル「レッド!」バッ!

レッド『おうアクセル、エックスさん達に迷惑かけてねえか?』

アクセル「へへーん、心配いらないって!そっちはどう?」

レッド『まあ、近況報告とするならイレギュラーの討伐で大忙しってとこか。』

エックス「…………」


レッド『…っと!別にエックスさん達に愚痴ってるわけじゃない。新世代型が出て来たとは言え、深海棲艦を倒せる数少ないレプリロイドなんだ…アンタ達はそっちで活躍してくれなくちゃ困る。』

アクセル「その中には僕も入ってるよね?」

レッド『じゃなきゃあそっちに見学したいって言ったお前を止めずに送るわけないだろ。』



ゼロ「……で、一体何の用だ。」

レッド『ああ、話がズレたな。……まあ単刀直入に言おう。』



レッド『新世代型レプリロイドの製作を担当しているレプリロイド、ルミネが拐われた。』


エックス「ルミネが…?」

ゼロ「アイツにはシグマボディーを所有するレプリロイドの護衛がいたんじゃないのか?」


レッド『まあ一般的なレプリロイドやイレギュラー、人間なら誘拐どころか会うことすら無理だろうな。』





レッド『…VAVA、この名前に覚えはあるか?』

エックス・ゼロ『!!?』


アクセル「VAVA?」

長門「提督、VAVAと言うのは…?」


エックス「元特A級ハンター…」

ゼロ「俺達の同僚であり……最悪なイレギュラーだ。」

レッド『コロニーを落とし人間とレプリロイドをここまで危機的状況に陥れた最低最悪なイレギュラー…お尋ね者って奴さ。』


アクセル「エックス達の同僚か。……もしかして!!」バッ!

レッド『もしかしなくてもその通りだ。VAVAが全て破壊してかっ拐って行きやがった。』


エックス「目的は一体…」

レッド『それは分からん…が、それに呼応してかイレギュラーが各地で暴れだしやがった。しかもイレギュラー化しないと言われている新型も含めてだ。』

レッド『こっちも全員駆り出しているが…残念ながら数が多すぎる。』

レッド『だから元イレギュラーハンターのお前達に頼みたい。各地で暴動、暴走を起こしてるイレギュラーを鎮圧してもらいたい。…なんならアクセルを馬車馬のように働かせてくれていい。』

アクセル「言われなくても働くよ。」フン!


エックス「…了解した。こちらもイレギュラーを放ってはおけない。」

レッド『感謝する。こっちで手に負えないイレギュラーの場所をそっちに送る。』

アクセル「りょーかい!レッドも頑張ってねー!」

レッド『お前に心配されるほど柔な鍛え方してねえよ。…じゃあな。』


プツッ!




エックス「…新型も含めたイレギュラー化、か。」

ゼロ「マップデータが送られ次第出撃するぞ、エックス。」

アクセル「久々のイレギュラーハンターか…腕がなる!」チャキキッ!

長門「で、ですが提督!こちらの鎮守府はどうするつもりですか!?また提督が不在と言うのは…」

エックス「なに、作戦によっては俺もみんなと一緒に出撃していたんだ。それが海か陸かの違いなだけだよ。」

長門「そ、それはそうですが……」



陸奥「……あ、もしかして提督が心配?」

長門「なッ!?ち、違うぞ!ただ海の戦いでは私達が提督をサポート出来たが、地上の戦いは私達が付いて行けず提督を一人にしてしまうから!!」アタフタ

ゼロ「俺達が二人一組で行けばいいんだが、深海棲艦の事を考えると…難しいか。」

アクセル「ま、僕は一人でも戦えるしね。」

エックス「大丈夫だ長門。心配するな。」

長門「ですが…!!」





ガチャ






夕張「なら一緒に行ったらどう?」




陸奥「夕張…?」

長門「…我々は地上で戦えるように出来ていない、それを知らないわけではないだろう。」


アクセル「……そうなの?」ボソボソ

大淀「私達艦娘には海以外で艦装を出しても砲撃が出来ないようにプロテクトが施されています。…鎮守府の敷地内では艦装展開は出来るので、ゼロさんはそこで艦娘の子達と模擬戦を行ったりしていると聞いています。」


夕張「それを知らないって言うと思う?」カチッ、パカッ

長門「それは…なんのチップだ?」




夕張「陸戦プロテクト解除チップ。これを付ければ陸での戦いは可能になるし、機動力も海上と全く変わる事はない。」

長門・陸奥・大淀『!!?』




エックス「…完成したのか。」

夕張「提督とゼロさんのおかげでね。」

長門「そんな…それは本当なのか!?」ガタッ!

陸奥「な、長門落ち着いて!」

夕張「鎮守府から離れてテストもしたし、不良は無い…完璧な物よ。ただ、海上を滑るんじゃなくて足で走らないといけないから足腰が強い子じゃないと不安かも。長い間秘書艦やっている人の事とは言わないけど。」ニヤッ


長門「……いいだろう、その挑発…買ってやる。」ピキピキッ

サッ、パシッ!


長門「提督!今回の出撃、この長門も出るぞ!!」バーン!

エックス「あ、ああ。分かった。」



夕張「…ここまで軽い挑発に乗られると逆に心配になるんだけど。」ポリポリ

陸奥「大丈夫。長門は陸でも戦ってみたいって思ってるだけだから。」ヒョコッ

夕張「陸奥。」

陸奥「ちなみにもう一枚あるそのチップも…」

夕張「出撃する子によっては私も一緒にって思ったけど…陸奥、お願いしていい?」

陸奥「フフッ、承りました。」ヒョイッ


ピピッ!


大淀「マップの転送を確認。ブースターズ・フォレストでイレギュラーの動きを確認したとの事。」


エックス「分かった。長門、陸奥……出撃する!!」ザッ!

長門・陸奥『了解!!』ザッ!!






『閑話 女神 Goddess』




アクセル「陸戦プロテクト解除チップ…か。よくそんな物作れたねー。」

夕張「前からずっと研究してたんだけどねー…いつの間にか住み着いてたこの子が協力してくれたお陰もあるかな。」ゴソゴソ

アクセル「この子?」




修理女神「…………」ヒョコッ

アクセル「うわっ!かっこい……かわいい?」

夕張「この子は応急修理女神って言って私達が沈んだら即座に修理と補給をこなしてくれる凄い子なのよ。それに…」

アクセル「それに?」


夕張「なんとこの子、出撃中にも強化改良や解体をその場で出来るんだって!…強化改良は資材が手元にあればだし、解体はやった瞬間にその子が海に沈んじゃうけど。」

修理女神「……」フンス!

アクセル「いや、その特技はたぶん活かされない…と思う。」

夕張「ついでにこの子がどこから来たのかみんなに聞いてるんだけど知ってる人がいなくて……」フゥー…


コンコン、ガチャッ


吹雪「吹雪!遠征から戻りました!!」

睦月「このメンバーで出るのは久し振りだったね!」

夕立「また行きたいっぽい!」

19「提督戻ったのー。」

8「…あれ?その子、ケイン博士の御気に入りだった子じゃ…」

58「まあ私達と一緒にいるよりは工房で何かしていた方が楽しいに決まってるね。」

19「ずっとケイン博士と一緒にいたみたいだしね。」クスッ

吹雪「わー!かわいい!!」

修理女神「!」ピョン!

睦月「わ!吹雪ちゃんの頭の上に…!」

夕立「いいなー、夕立も頭の上で飼いたいっぽいー。」

19「この子がなつくなんて珍しいの!」


ヤンヤヤンヤ!!キャッキャキャッキャ!!




アクセル「…見つかったね。」

夕張「…遠征に出てたんじゃ、見つかるわけないよね。」

アクセル「…回収するの?」

夕張「…吹雪ちゃんになついてるなら、暫く預かってもらおっか。…吹雪ちゃーん!その子は修理女神ちゃんは修理と補給だけじゃなくてなんと…」




アクセル「(…あ、ちゃんと説明もするんだ。)」






『閑話2 装備 equipment』





ゼロ「エックス、今回はアルティメットアーマーを使わないのか?」

エックス「アレは夕張に全部渡したよ。俺一人強くなるよりみんなが強くなってくれた方が断然いいからね。」


エックス「それに……あのカプセルの老人が言っていたんだ。『このアーマーは絶大な力を持つ代わりに、敵と共に己も死に導きかねない』って。」

ゼロ「カプセルの……あのじいさんか。」


夕張「もうアルティメットアーマーは使えなくなっちゃったけど、そのおかげで艦娘の陸戦プロテクト解除のチップが作れたしね。」

ゼロ「…なら、俺が渡した武器チップは必要なかったか。」

夕張「まさか!あれが無かったらこんなに早く作れなかったって。」


エックス「…ま、無駄にならずに済んだならそれでいい。」

ゼロ「だな。」



夕張「あ、でもこの武器チップだけは返しておくね。」ゴソゴソ…ヒュッ!

ゼロ「これは…『アースクラッシュ』のチップか。」パシッ

夕張「そ。他のは使っちゃったから残らなかったけど、その子だけは使わずになんとかなったから…いらなかった?」

ゼロ「まさか。感謝する。」フッ



エックス「じゃ、行ってくる。」カシャン!


夕張「はい、行ってらっしゃい。」ニコッ







『第2話 意思 mind』


《ブースターズ・フォレスト》



長門「…ここにイレギュラーが集まっているのか。」スタスタ

陸奥「とても綺麗な場所ね…」スタスタ

エックス「昔使われていた兵器を二度と使われないよう庭園を作ったと聞いているが……」スタスタ

長門「たしかに、この庭園が争いで壊されるのは御免だな。」

陸奥「…だけど、ここにイレギュラーが集まっているって事は……」

エックス「ああ。もしここにある兵器を無差別に使われたら大変なことになる…急ごう。」ザッ!

長門「ああ。」ザッ!

陸奥「……あら?」ピタッ


長門「どうした陸奥。」

陸奥「…提督。私達は今、先を急いでるんですよね?」

エックス「ああ、そうだが。」

陸奥「それなら放棄されているアレ、御借りしていきませんか?一台しかありませんが、提督が操作して私達が後ろに乗れば…」ユビサシ



エックス「あれは…」

長門「……ほぅ。」





ズガァァン!ズガァァァン!!

ゴォォォォォ!!!

ダダァァァン!!




陸奥「話には聞いたことありましたが…凄いですねこれ!!」キラキラキラ

エックス「ライドアーマー、放棄された兵器の中にこれもあるとは…」ガシャンガシャン!!

長門「陸奥、お前はこれに乗りたかっただけだろ。」

陸奥「そう言う長門も結構楽しんでるでしょ?」ニヤッ

長門「わ、私は別に…!!」アタフタ!

エックス「二人ともしっかり捕まっててくれ。一気に飛ばして行く…!!」ガチャン!!

陸奥「りょうかーい。……で、本当の所は?」ギュッ

長門「………まあ、悪くない。」ギュッ



ズォォォ…バシュゥゥゥゥン!!!




《エレベーター内・上昇中》



ゴゥン、ゴゥン、ゴゥン…




エックス「…このエレベーターの上が兵器システムの管理場所になっているはずだ。」


ゴゥン、ゴゥン、ゴゥン…


陸奥「上…ってことは屋上ですか?逃げ場の無い場所に管理場所を作るなんて……」


ゴゥン、ゴゥン、ゴゥン…


長門「…いや、逆なのかもしれん。」


ゴゥン、ゴゥン、ゴゥン…


陸奥「逆?」


ゴゥン、ゴゥン、ゴゥン……ズズーン




長門「侵入者を逃がさないため…そうは考えられないか?」






ダァァン!!


エックス「!?みんな降りろ!!」バッ!!

長門「クッ…!」バッ!!

陸奥「!!」バッ!!



ズドォォォン!!!

メラメラメラ…ゴゴォォゥ!!




長門「ライドアーマーが、一発で……」

陸奥「なんていう火力……」





「知ってる?戦艦は元々人間同士が争うために作られた物なんだよ。」



長門「!」バッ!

陸奥「!」バッ!

エックス「バンブー・パンデモニウム…!」


パンデモニウム「世界は、破壊に使われる物ばかりを作り出してきたんだ…」

パンデモニウム「艦娘とか…僕達、レプリロイドとかね…」

エックス「それはイレギュラーの考えだ!レプリロイドや艦娘の誰もが破壊を望みはしない!」

長門「少なくとも私達は違うな。」

陸奥「戦うために生まれたのは認めます…ですが、それが全て破壊を望んでいるわけではありません。」

パンデモニウム「…破壊を望んでいるのは、この世界だよ。」


パンデモニウム「深海棲艦も僕達も、その手伝いをするだけ…」シャキン!



長門「破壊兵器の管理者と聞いていたが…自ら破壊者になるとはな!!」ジャキン!

エックス「前衛は俺が行く!二人はサポートを!!」

陸奥「了解!」ジャキン!

パンデモニウム「させないよ。」グォッ!!


パンデモニウム「『バンブースピア』」ダダダァン!!


ザザッ!!ザザッ!!ザザッ!!


陸奥「この太い竹は…!?」ダァンダァン!!

長門「クッ、視界が…!!」ダダァァン!!

パンデモニウム「そんな火力じゃその竹は壊せないよ…僕ほどの怪力があれば別だけど。」シャキン!!

パンデモニウム「『葉断突』」キュィン!

ズガガガガァァァン!!!



陸奥「キャッ!!」グラッ

パンデモニウム「捕まえた。」ガシッ!

長門「陸奥!!」


陸奥「クッ…!!」ググッ…

パンデモニウム「悪いけど、邪魔をするなら破壊するって決めてるんだ。」ギュォッ!!



エックス「(頭を撃ち抜けば…ダメだ、高さがあって狙えない…!!)」ピタッ!

エックス「陸奥、少し我慢してくれ!」チャキッ!!

陸奥「!」


エックス「チャージショット!!」ズダァァァァン!!


ダァァァン!!

陸奥「キャッ!!」パッ!

パンデモニウム「おっと。」フラッ


長門「陸奥!」ガシッ!

陸奥「痛たたた…」アツツ…



パンデモニウム「…なるほど、僕の手首を撃ち抜いて振りほどかせたか。少し焦げちゃったよ。」ユラッ

エックス「装甲が硬そうな奴とは何度も戦っているからね…陸奥達も分かってくれているはずだ。」



長門「提督!もっと優しく出来ないのか!!」プンプン

陸奥「長門、私は大丈夫だから…」アタフタ

パンデモニウム「…そうでも無さそうだね。」

エックス「…………」




パンデモニウム「…エックス。何故僕を止めるんだい?イレギュラーが危険だから?」

パンデモニウム「でも、そうやって破壊に繋がる危険な物を産み出しながら世界はここまで来たんだ。」


エックス「…深海棲艦やイレギュラーも、そうだと言うのか?だが、それは……」

パンデモニウム「イレギュラーな考えとでも言うのかい?ここにある破壊兵器達を前にして…」



パンデモニウム「僕は世界が望むことしているだけ…イレギュラーなのは君達じゃないのかい?」





長門「ふざけるなッ!!!」


エックス「長門…」

長門「お前の行動は世界の意思ではない!思考の放棄だ!!」

長門「最も考える立場にいたお前が…管理者であったお前が!それを世界に押し付けるんじゃないッ!!」

長門「誰が何と言おうと貴様の行動はイレギュラーその物だッ!!」


陸奥「…提督、迷うことはありません。相手は世界の破壊を選んだ……イレギュラーです。」



エックス「…ああ、その通りだ。」スッ…




エックス「バンブー・パンデモニウム。お前を…破壊する。」ジャキン!





パンデモニウム「……ああ、そうか。僕は心のどこかで、自分をイレギュラーではないと思っていたんだ。」

パンデモニウム「ありがとう、エックス…そして長門、陸奥。」


パンデモニウム「ようやく僕は…心の底から、自分がイレギュラーだと認識出来たよ。」ギロッ


ジャキキキン!!


パンデモニウム「さあ…終わりにしよう。この愚かで意思を持たない僕と、正当な決意を持った君達の…最期の戦いを。」


長門「…提督、私に提案があります。」

エックス「長門…?」



パンデモニウム「君達を破壊して、この地球も滅びてもらうよ。」ググッ…

パンデモニウム「『バンブースピア』」ダダダァン!!


ザザッ!!ザザッ!!ザザッ!!


長門「このぉっ!!」ダダダァン!!


ズガガァァァン!!!


パンデモニウム「君達は学ばないね…何度やっても同じ。この竹を破壊するだけの力を持つ僕以外には破壊できない。」ググッ…

パンデモニウム「『葉断突』」キュィン!

ズガガガガァァァン!!!


長門「グゥッ!!」グラッ

パンデモニウム「ほら、また捕まえた…」ガシッ

長門「クソッ…!」ググッ…



パンデモニウム「……?エックス達はどこに…?」キョロキョロ







陸奥「竹によって相手が見えなくなるのは私達だけじゃなく、あなたも…そうでしょ?」



パンデモニウム「!?後ろに…!!」

陸奥「遅いッ!!」ズダダァン!!


ドドォォン!!


パンデモニウム「ぐぅ…足を……!!」グラッ…ズダァン!




エックス「その巨体なら足を撃たれれば膝を付く…そして頭が狙いやすい位置に下がる。」

パンデモニウム「!!」



エックス「意思なき行動、ここで止めさせてもらう!!!」チャキッ!!!



バシュゥゥゥゥゥッッ!!!

ズダァァァァン!!!!



パンデモニウム「」グラッ……ガシャン!


長門「おっと。ほどけたか。」パッ!スタッ



エックス「終わったな。」チャキッ

陸奥「ええ。…長門が囮になると言った時は冷や冷やしましたが……」


長門「聞こえてるぞ……まったく。」フー…






ゴゥン




パンデモニウム「マダダァァ!!」ガバッ!!!


エックス「なッ!?あの攻撃を受けて…!!」

陸奥「まだ動けるの!?」


パンデモニウム「アノ方ノタメ!!オ前達ヲ…貴様達ヲォォォォ!!!」ブォン!!!

長門「!!」

エックス「長門ぉぉッ!!」





《鎮守府・工房》



夕張「珍しいねー、アクセルがここに来るなんて。」

アクセル「僕はお留守番だってー。ちぇっ、先に僕が行ったってよかったのにー。」

夕張「ははは…」



アクセル「…そう言えば夕張って前は秘書官だったんでしょ?どうして長門に譲ったの?」

夕張「あー…まあ、秘書官って言うのは基本的に提督の傍らに立ってその身を守るための立場だからね。提督の身体に異変が起こった時には交代する事は考えてたよ。」

アクセル「あ、エックスのリカバリーカプセルを作るためだっけ?…でも何で長門に譲ったの?他にも提督のためにって子ならたくさんいそうじゃん。」

夕張「金剛も適役と言えば適役だけどねー…仕事は捗りそうにないけど。」



夕張「……アクセルは長門がどんな戦艦だったか知ってる?」

アクセル「いや全然。」


夕張「世界のビックセブン…これは最強の砲台を持った戦艦に付けられる肩書きみたいな物で、長門はそのビックセブンの一人なの。」

アクセル「世界最強……かっこいー!」キラキラキラ

夕張「その中でも耐久力に関しては物凄かったの。」

夕張「戦後、アメリカが核実験のため長門に機雷を巻き付けて核爆弾を叩き込んだんだけど……」



夕張「長門は4日間、沈まずその姿を海上に表していたそうよ。」






ガキィィィィン……



パンデモニウム「バ…バカナ……!爪ガ、貫カナイナンテ………」


長門「…フン、貴様の力は竹を砕く程度の物しか無いのか。」ガシッ!





長門「私を轟沈させたければ機雷付きの原爆を持って来い。」ガシャン!!


ズダダダダァァァァァンッッッ!!!




長門「それでも、沈む気はしないがな。」カシャン


パンデモニウム「」ガシャン…ドカァァァァン!!!




長門「任務完了。提督、帰ろう。」フッ…

エックス「長門……ああ。」フフッ

陸奥「よかった~…」ヘナッ…






《鎮守府・司令室》



夕張「長門が入渠?珍しいわね…」

エックス「耐えれるのとダメージが入るのとでは話は別だ。それに…最近働かせてばかりだったからな。」

夕張「で、ついでに陸奥も入渠させた…と。」

エックス「そういうわけだから夕張、またしばらくは秘書官に戻ってくれないか?」

夕張「了解…と言いたいけど、私はまだプロテクトチップの製造と提督の持って来た敵データの解析で忙しいからパスで。」

エックス「そうか…なら仕方ないな。」

夕張「ただ、長門と陸奥が入渠だと知った一人の戦艦が自己推薦でここに来るかも。」メソラシ

エックス「……え?」




ダダダダダダダダ!!!

バァァン!!!


金剛「テイトクー!!ここに秘書官候補の一人が登場ネー!!!」バーン!!

エックス「こ、金剛!?」

金剛「さっそくお仕事お仕事!!まずはスキンシップデース!!」ババッ!!

エックス「ちょっ、夕張!!?」

夕張「では提督、失礼しました。」ペコリ


ガチャン



テイトーク!!バーニングラァァァブ!!!

オ、オチツケコンゴウ!!マダシゴトガノコッテ…ユウバリー!!!




夕張「…ま、たまには提督も休んだ方がいいってことで。」クスッ





『閑話 黒幕 mastermind』



《鎮守府・司令室》



エックス「…………」


ゼロ「どうした、エックス。」


エックス「ゼロか。……いや、パンデモニウムが死ぬ間際に言っていた言葉が気になってな…」

ゼロ「言ってた言葉…?」




エックス「…“あの方のため”、確かにそう言っていた。」




ゼロ「つまり、裏で誰かが動いている…そういうことだな?」

エックス「意思なき者と自分で言いながら、最後にその言葉を言った以上……その可能性は高い。だが一体何のために…」

ゼロ「それは分からんが…何が来ようとも負けはしない。そうだろう?」ニヤッ

エックス「……ああ、そうだな。」フッ…





『第3話 役割 function』



《ピッチ・ブラック》



ゼロ「こちらゼロ。川内達と共に武器製造工場への侵入は成功した。」ガガッ!

エックス『了解。イレギュラーに乗っ取られ兵器製造が行われているとの情報だ。危険性があれば破壊も頼みたい。』ガガッ!

ゼロ「了解。」ガガッ!



川内「いやー、陸地で戦うって言うのは初めてだからワクワクするよ。」スタスタ

那珂「秘密裏に作ってるからこんなに薄暗いんだろうけど…もっと明るくならないかな。なんならいつも携帯してるこの“艦装一体型照明バッテリー”を全開にして……」ムムゥ…

神通「あ、明るくしたら見つかるから!」アタフタ!

川内「ま、みんな改二になったんだからはしゃぎたくもなるさ。」ケラケラ

神通「もう、川内姉さんまで……」


ゼロ「……このまま先に進む。慎重に行くぞ。」

川内・那珂・神通『了解。』スッ…





ゼロ「…エックスは今回の任務、お前達の同伴を強く押していたが……潜入任務の経験があるのか?」

川内「潜入…とは違うけど、暗い場所での戦いなら慣れてるって感じかな。むしろそっちがメインでありたい。」ムフー!

神通「私達川内型は夜戦を得意とした艦娘なので…」オドオド…

那珂「でもでも、那珂ちゃん的には目立つ所で戦いたいなー…って。」キラッ☆

ゼロ「…神通と那珂はともかく、川内は随分とやる気だな。」

川内「なんたってあの元第0特殊部隊の隊長さんと潜入任務だ、やる気にならない方がおかしい。」ニヤッ

ゼロ「……ほぅ。」ニヤッ



那珂「(…神通姉さん、第0特殊部隊って何?)」

神通「(…イレギュラーハンターが機能していた頃に存在していた18部隊の内の1つ。別名『忍び部隊』。隠密行動に長けたチームと言われているけど、その実務はほとんど謎とされている……)」


川内「実務は敵地潜入や裏で暗躍するイレギュラーの処分…でしょ?」

ゼロ「その情報は極秘のはずなんだが……エックスか。」

川内「さあ、どうでしょう?」ニヤニヤ

ゼロ「…まあいい。もう存在しない部隊の話だ。」フッ…



那珂「……なんか難しい話…!?」ピタッ!


神通「……警備用メカニロイドが数体…」

那珂「しかも監視用のサーチライトも……ここから先に進むのは難しいかも。」



川内「…で、元第0特殊部隊の隊長さんはこんな場合どうするの?」

ゼロ「サーチライトをかわし、応援を呼ばれる前にメカニロイドを破壊する。」

神通「そんな無茶な…!!」

ゼロ「来れる奴だけ付いて来い。」ヴォン!

川内「了解。」スラッ、チャキッ!

那珂「川内姉さん、その刀…いつの間に!?」

ゼロ「足を引っ張るなよ。」ダッ!

川内「心配するだけ無駄だ…よ!」ダッ!!



ヴォンヴォン!!ザシュシュッ!!

タタッ!ザシュシュッ!!

シュッ……バシュッ!!!




ゼロ「………」スタッ、ヴォン!

川内「………」スタッ、チャキン!




ドシャシャ……ガシャン


神通「警備を呼ばせる間もなく、一瞬で……」

那珂「ゼロも川内姉さんもすごーい!まさに肩を並べる強さって感じー!!」




ゼロ「…メカニロイドを、ああも簡単に斬るとはな。」

川内「名刀『紫苑』、レプリロイドを斬る事が出来る唯一の妖刀……ここまでの切れ味は予想してなかったけどね。」ブォン!チャキッ

ゼロ「それをどこで手に入れた?」

川内「今日の出撃前に提督が貸してくれたんだ。友達の形見らしいから始めは断ったんだけど、その友達が私を守ってくれるから…って。」

ゼロ「そうか……」




川内「うーん…こうなったらゼロを那珂ちゃん親衛隊兼ボディーガードに……」ブツブツ

神通「ハハハ……!」バッ!

神通「(二階のあの部屋…発電室って看板があったような……)」ジーッ…



ゼロ「他にイレギュラーの反応は…無さそうだな。先に進むぞ。」スタスタ

川内「こうも暗いと目が慣れても歩きにくいね。」スタスタ

那珂「ねえねえゼロー!那珂ちゃんファンクラブに入らないー?今なら特典で那珂ちゃんプロマイドカードとサンバイザーが…」

川内「ゼロ、聞き流していいよ。」

ゼロ「…ああ。」

那珂「ちょっと川内姉さーん!」

川内「プロマイドカードなんて栞にしかならないし、サンバイザーなんて私の腰にぶら下がるファッションにしかならないし…ねぇ。」チャラッ…

那珂「栞!?え、栞にしてるの!?」

ゼロ「帰ってからにしろ。」



神通「……………」





《武器保管室》



ゼロ「……ここが武器貯蔵庫に繋がる部屋か。」

那珂「わー……広い。」

神通「(奥に見える機械は…発電機?あの部屋と連動して……)」

川内「じゃ、さっさと奥に……」






「わーう、シヴいのが来たね。」


ゼロ・川内・神通・那珂『!?』バッ!!



ギラッ!

カマキール「あんた、ゼロさんだろ?そして近くにいるのは艦娘ってやつらかい?」


ゼロ「俺の事を知ってるなら、もっと恐がったらどうなんだ…イレギュラー。」

那珂「あれが新世代型レプリロイド…」

川内「待ち伏せか…」


カマキール「俺達新世代型レプリロイドはイレギュラー化しないように作られているって話だろ?」

ゼロ「あてにならんな。現に貴様はイレギュラーだ。」

神通「それならどうして兵器を作るような事を…?」

カマキール「…は、所詮はあんたも艦娘も古い世代の産物だね。何も分かっちゃいない。」シャキン!




ゼロ「援護を頼みたいが…この暗さは厄介だな。」ヴォン!

神通「……!ゼロさん、この暗さ…どうにかなるかもしれません。」

ゼロ「なに?」

神通「少し時間をください。」ダッ!

那珂「じ、神通姉さん!?」

川内「…ここは私が残る!那珂は神通を追って!!」

那珂「わ、分かった!」ダッ!



カマキール「話し合いは終わったかい?」ギラッ


ヒュッ!!

ゼロ「!」

ガキーン!!



カマキール「あらら、奇襲失敗。」スタッ

ゼロ「なめるなよ、イレギュラー!」ダッ!!


川内「(通って来た道ならイレギュラーはいないから大丈夫なはず。……だが、なんだ…?この胸騒ぎは………)」




カマキール「仲間が心配か?だが、不注意は命を落とすぜ?なぁ…ゼロさん。…『ブラックアロー』」バシュン!

ゼロ「!上だ川内ッ!!」


ヒュンヒュンヒュン!

川内「え…?」

ゼロ「クッ…!」ダッ!



キキキィン!


川内「ぜ、ゼロ…」

ゼロ「敵を目前にして余所見など…」ヴォン!




カマキール「ホント、その通りだね。」シャキン!

川内「ゼロ!!」

ゼロ「!!」


ザキュッ!!!





《同時刻・神通と那珂》



那珂「神通姉さん、まだ着かないの…?」タッタッタッタッ

神通「もう少し戻った場所の二階に…!」タッタッタッタッ







「お前達の存在は面白いな。」



神通・那珂『!!?』バッ!!




ヴォン……スタッ


VAVA「容姿は人と変わらないが、レプリロイドと同等の力を持つ。」



神通「肩に砲台を持つレプリロイド…まさか、あれが提督の言ってた……」

那珂「VAVA…!?」



VAVA「だが、純粋な戦いに容姿など関係無い。どちらが強いか…ただそれだけだ。」ガシャン



神通「………那珂、私が残るから先に行きなさい。場所は初めにゼロさんと川内姉さんが暴れた付近の二階にあるはず。」スッ

那珂「そんな!神通姉さん一人じゃ……!!」

神通「大丈夫、そっちの仕事が終わるまでなら…もたせてみせる。」キッ!

那珂「………分かった。」クルッ



タッタッタッ……ガシャン



神通「…………」ガシャン!

VAVA「そう身構えるな。お前達はヤツらのついでに過ぎん。」

神通「ついで…?」ピクッ

VAVA「新世代型のパーツが身体に馴染んでなくてな…慣らす相手を探していた所だ。」

神通「……つまり、私程度では慣らしにしかならないと?」

VAVA「嘗められていると怒るか?それはごもっともだ。」


VAVA「だが…」チャキッ…

神通「!」ババッ!


VAVA「それなりには期待させてもらおう!」ドォォン!!

神通「その侮り…後悔させてみせます!!」バッ!!!





《同時刻・ゼロと川内》




ポタタッ……



ゼロ「ぐお…ッ!!…目、が……」ガクン

川内「ゼロ!!」

カマキール「ほら、これで少しは余所見出来ないようになっただろ?」シャキキン!

ゼロ「クッ…!」

カマキール「あばよ!自分の甘さを呪うんだな!!」ガバッ!




キィィンッ!




カマキール「…受け流した?今のをか…?」スタッ



川内「ごめん、あたしのせいで両目を……」

ゼロ「川内…」

川内「……私のサンバイザー付けててくれるかな。持ってると壊しちゃうかもしれないから……」スッ…

ゼロ「川内…まさか、お前!」カチャ

カマキール「(両目…?手応え的には左目だけだったが……)」


川内「カマキール、だったっけ?悪いけど…選手交替させてもらうよ。」シャキン


カマキール「ほぅ…最近の艦娘は海の上以外でも戦えるのか。」

川内「兵器ばっかり集めていながらそんな事も知らないの?」

カマキール「ハハッ、そう言われちゃー面目ないな。折角だ、後学のため…お前をバラさせてもらおうか。」シャキン!

川内「それならもう1つ、教えといてあげる。」スラッ…



川内「闇の中はアンタだけの世界じゃないって事をね。」チャキッ!





《同時刻・那珂》



ガシャン!!


警備員「」ズルズル…ガシャン

那珂「もう!発電方法を聞くぐらいで時間を取らせないでよ!!」パンパン!


那珂「……主力電源は製造に回してるからこちら発電モーターに電気は供給されてない、か。」




那珂「……ま、仕方ないか。」フッ…

那珂「川内姉さんに合図を送って……よし。」ピピッ!



バキィン!!バチバチバチバチ!!

那珂「艦装に付いてる照明バッテリーを破壊して、その電気を私経由でモーターに流す……行くよッ!!」グイッ…ガシッッ!!

那珂「グ…ウゥゥゥ……!!!」バリバリバリバリバリ!!!


ガシッ!!


那珂「動けぇぇぇぇぇぇ!!!!」バリバリバリバリバリ!!!






…グォン……グォングォン………




《同時刻・川内》



キンキンキン!!シャッ……キィィン!!

スタタッ



カマキール「…やるじゃねえか、お前も。」ニヤッ


川内「ハァ……ハァ……」ユラッ…


カマキール「本当に大したもんだよ。後ろを守りながら俺の攻撃を掻い潜るたぁ…」


川内「ハァ………ハァ………」ググッ…



ゼロ「川内…」

川内「……大丈夫………神通も那珂も……今、頑張ってるから………」ハァ…ハァ…



カマキール「だが、そろそろ限界か?安心しろ、お前の身体はしっかり俺がバラしてやるからよ…」シャキシャキン!

川内「…………」ギリッ…!



ピリリリッ!

カマキール「何の音…」

川内「!ゼロ、構えて!!」

ゼロ「!」ヴォン!


カマキール「(あの様子は…何か手があるってことか?ならさっさと終わらせた方がいいな。)」ザザッ!


タン!タン!タン!!


川内「天井に…!!」

カマキール「真っ二つになりな!」ババッ!



カマキール「『デスイメージ』!」ヴォォン!!





ジジジ…ピカーーーーッ!!!


カマキール「ぐおっ!目が…!!」グラッ…




川内「…暗いところに慣れた目じゃあ、眩しく光る照明はキツいよね?」ニヤッ

カマキール「発電機…だと?まさかさっきの音…!!」

川内「想像に任せるよ。」ニヤッ

カマキール「ぐぅ…!」


カマキール「(マズい!俺までアイセンサーがやられるとは…)」ググッ

カマキール「(だが一番脅威であるゼロは両目を負傷している。このままアイセンサーの回復が終わるまで天井に張り付けばいい。小娘程度の攻撃なら何発か受けても……)」







ヒュンッ!ドスッッ!!!




カマキール「……なんだ…俺の、胸に……が、ぁ………」グラッ…



川内「あの距離をセイバー投げて一発か……さすが元第0特殊部隊隊長。」

ゼロ「フン…」ニヤッ


カマキール「ば……バカ、な……両目が見えないはず…じゃ………」


ゼロ「負傷したのは片目だけでね…しっかり見えてたよ。…川内、サンバイザー返す。」スッ…ヒュッ!

川内「私の言葉を信じてくれてありがとさん。」パシッ!




川内『ごめん、あたしのせいで両目を……』





カマキール「……ははっ、とんでもねえ演技だ………」ギギギッ…バチバチバチ…



ドカァァァァァァン!!!





《同時刻・神通》



タッタッタッタッ!!


那珂「神通姉さん!!?」バァン!




神通「…………」ハァ……ハァ……

VAVA「……ククククク。」


VAVA「まさか、艦娘にも鬼を飼ってる者がいるとはな…」

神通「……まだ、…戦えますよ………?」ハァ……ハァ……

VAVA「いや、やめておこう。命を賭けるにはこの場所は無粋すぎる。」フワッ

VAVA「また会うことがあれば、最後まで楽しませてもらうとしよう。」スッ…


シュィン!



神通「………なんとか、なったわね。」フラッ…

那珂「ちょ、大丈夫…って凄い傷!!」ガシッ

那珂「ゼロ!ゼロ!!神通姉さんが…!!」





《鎮守府・司令室》



長門「…神通は重傷であったが命に別状は無い。」

那珂「よ、よかったー。」ヘナッ…ストン

ゼロ「俺やエックスですら苦戦する相手に一人で立ち向かうとは…な。」

夕張「戦闘データを今復元してるから後でみんなで見るー?」

川内「妹の勇姿を見ないわけないだろ。」

那珂「見たい見たーい。」



エックス「武器工場は止められた……だが。」

ゼロ「ああ。一歩遅れをとったな。」

アクセル「遅れ?何かあったの?」

川内「……ゼロが神通の所に行った時、私がさらに奥の部屋…武器庫に行ったんだけど……既に空っぽだったんだ。」

ゼロ「これ以上の生産は止めれたが、その前にどれだけの武器が作られて運ばれたかが分からん。」

エックス「……急ぐぞ、みんな。」

ゼロ「ああ。」

アクセル「分かってるって。」

全員『了解です!』




『閑話 鬼 oni』




《鎮守府 司令室》



夕張「提督ー、神通の戦闘データ解析終わったー。」

エックス「思ったより早かったな。」

アクセル「ちょうどみんないるし、ここで上映会しない?」

ゼロ「司令室に映写機とスクリーンはあるのか?」

夕張「あるよー。この棚の奥にスイッチが…」ガサゴソ

長門「なんでそんな物があるんだ。」

川内「那珂ー、食堂から全員分のジュースとエネルギー缶持ってきてー。」

那珂「はーい。」タッタッタッ…

アクセル「神通に許可とったの?まだ入渠中でしょ。」

川内「恥ずかしいからダメだって。…じゃ、那珂が戻ったら始めようか。」

陸奥「…………」

那珂「お待たせー!見よ見よー!!」タッタッタッ!

長門「……見るか。」カチッ





《上映》



VAVA『砕け散れ。』バシュゥゥゥン!!

神通『……』ササッ!


ダダァァァン!


神通『…』ガシャン!

VAVA『!』


ダダァン!!ダダァン!!!



VAVA『…最小限の回避をしながら迎撃とは、思ったよりもやるじゃないか。俺に攻撃が効くかどうかは別だがな。』ニヤッ

神通『…………』


VAVA『だが、俺とお前の決定的な違いを教えてやる。』クルッ、ダダダダダダッッ!!!

神通『!』


パリパリパリィィィィン!!…ジジッ、フッ……



VAVA『非常灯すら破壊された闇の中でも同じように避けれるか?』ガシャン!

ズダダダダダ!!!


神通『クッ…』サッ!

ズガガガガガァァァン!!!

神通『キャッ!』ズダン!

VAVA『どうした?動きが緩いぞ?』ククク



神通『……』スクッ…

VAVA『立ち上がる根性はあるか。熱源で場所が分かる俺と全く相手が見えないお前では勝負にすらならんかもな。』クククッ…



神通『……なら、捕捉します。』バッ!

VAVA『何?』



ガシャン!!


VAVA『!探照灯だとッ!?』

神通『見付けましたよ。』ニヤッ

VAVA『…バカか?それを付ければ熱源センサー以上の精度で貴様に攻撃が飛び込んでくるぞ。』ガシャシャン!

神通『なら、その前に……』ザザッ!!

VAVA『!?』




神通『あなたを、破壊します。』ギラッ!



ダンダァン!ズダァァン!!

ズダダァァン!!ズガァァァン!!!



VAVA『…ククッ、なるほど。…訂正しよう。』バサッ!

VAVA『鬼を相手に手慣らしなど思うのは間違いだったなぁっ!!』ガシャコン!!

神通『……』ガシャコン!!



ダダダダダダダダァァァァン!!!

ズガガッズガガガガァァン!!!







エックス「…………」

ゼロ「…………」

アクセル「…………」

夕張「…………」

長門「…………」

陸奥「…………」

川内「あー……なるほど。」

那珂「あー…うん。」




エックス「…今度から陸戦の指導は神通に任せよう。」

ゼロ「賛成だ。」

アクセル「ぼ、僕は大丈夫だから!自分で訓練するから!」

長門「…神通に今度手合わせを願うか。あの戦い方には学ぶべき物がある。」

陸奥「(どちらの身を案じるべきかしら…)」

夕張「この戦闘データをどう活かすか…」ムゥ…


ワイワイガヤガヤ…ワイワイガヤガヤ…




川内「…あの映像を鎮守府に流したら那珂以上にファンが増えそうだな。」

那珂「!!?」ビクッ!!




『閑話 部品 Part』




《鎮守府・工房》



川内「夕張、ちょっといい?」

夕張「川内?あなたがここに来るなんて珍しいわね。」

川内「…ちょっと見てもらいたい物があるんだ。」ゴソゴソ…

夕張「なになにー?こっちもみんなの艦装整備が終わったから余裕ある……」クルッ


コトッ



夕張「…部品?……えっ!これって!?」ガバッ!

川内「…………」

夕張「ちょっと川内!なに艦装壊してるの!?部品まで持ち出して…!!」バッ!

川内「……夕張、これは…」

夕張「しかもこれ…大和さんのじゃない!謝ればきっと許してくれるから!!だから………あれ?でも私、さっき大和さんの艦装は整備して…」








川内「やっぱり、これは戦艦の部品なんだな。」





夕張「…ちょっと待って川内。私は今、始めに聞くべき事を忘れていたわ。」


夕張「この部品、どこから持ってきたの?」




川内「…武器製造工場。その最深部……何かが作られていた場所に。」




夕張「…敵は艦娘の……それも大和型の艦装を利用して何かを作ってた、ってこと?」

川内「おそらくは、ね。」


夕張「…分かった、この事は提督にも伝えておく。」

川内「私からも一応伝えるつもりだが…よろしく頼む。」



夕張「(だけど、一体何のために艦装を……)」







『第4話 武器 weapon』




《鎮守府・司令室》


エックス「ゼロ、連戦になるがすぐに出撃をしてもらっていいか?」

ゼロ「構わないが…神通は入渠したばかりだから連れて行けんぞ?」

エックス「分かってる。それに川内と那珂も遠征に出ているしね。」

ゼロ「まあ俺一人でも構わないが…」




タッタッタッタッ、ガチャッ



天龍「提督ー、遠征から戻ったぜー。あ、ゼロ!今日は稽古の日だよなー。」スタスタ

龍田「もう…天龍ちゃんったら帰る時からずっとその話だったんだから。」クスクス



ゼロ「……いい所に来たな。」ニヤッ

エックス「…なるほど。」クスッ

天龍「ん?」

龍田「?」





《プリム・ローズ》


天龍「陸地で戦うってのは初めてだな。」スタスタ

龍田「まあ、基本的には海の上でしか戦ったことないからねー。」スタスタ

ゼロ「稽古代わりの出撃だ。…今回お前達2人には砲台のみで戦ってもらう。」スタスタ

天龍「了解。…ってことは刀は使わねえか。」

龍田「私達の近距離武器も、艦装と同じで自由に取り出しが出来るのが楽でいいわー。」

天龍「まあ、元々俺達の主体武器はこっちだしな。」ガシャコン

龍田「…でも、そんな制限を付けても大丈夫なのかしら?仮にも敵の領域で…」

ゼロ「俺がいる…これ以上の保障はないだろ?」ニヤッ

天龍「…ヘッ、かっこいいなぁおい。」ニヤッ

龍田「…フフッ、そうですね。」ニコッ


ゼロ「…遅れず付いて来い。」ザッ!

天龍・龍田『了解!』ザッ!





《モニタールーム》


???「…レプリロイドが一匹、そして艦娘が二匹ですか。」

???「では、あなたたちの力がどの程度なのか…見極めさせてもらいますよ。」





ゼロ「(反重力研究所と聞いていたが、えらく複雑な作りになっているが……)」


天龍「お!おい龍田、ここになんかボタンがあるぞ。」

龍田「あら、これは不思議ですねー。」


ゼロ「おい天龍、あんまり無闇に触ったりするな。」

天龍「わ、分かってるって!なあ、龍田。」クルッ


龍田「え?」ポチッ




ガタン!グォォォン…


ゼロ「クッ!部屋が…!!」ダッ!

天龍「ま、回ったぁ!?」ガクン!

龍田「あ、あらあら~…」フワッ…



ヒュー…スタタタ!



天龍「…なるほど。さっきみたいなボタンに触れると部屋が180度に傾くのか。」

ゼロ「傾くってレベルじゃないがな。……龍田、気を付けろと言ったはずだが。」

龍田「す、すみません。陸地の…こういう施設に入るのは初めてで…///」キョロキョロ



龍田「…ゼロ。俺より龍田を注意しなきゃいけないかもな。」

ゼロ「…だな。」





《道中ダイジェスト》


ゼロ「いいか龍田、何か見つけても無闇矢鱈に触ったり…」

龍田「あ、さっきと色が違う!」ピッ

天龍「龍田人の話聞いてた?」


ガコン!


天龍「うぉぉ!今度は90度か!!」ヒュッ

龍田「きゃー♪」フワッ

ゼロ「クッ!」ダッ!




天龍「巨大ブロックが置いてあるが…これって部屋の反転で動くやつじゃ……」

ゼロ「可能性はあるな。龍田、くれぐれにも…」

龍田「押して確かめてみましょう。」ポチッ

天龍・ゼロ『龍田ぁ!!?』





《ダイジェスト終了》



天龍「ゼェ…ハァ……ゼェ…ハァ……」グッタリ

ゼロ「アグレッシブすぎだ、龍田。」

龍田「でも楽しかったです。」キラキラキラキラ

天龍「龍田……お前、後半は俺の逃げる姿で遊んでただろ……」ゼェ…ゼェ……





???「敵地で随分と余裕を出しますね。」

ゼロ・龍田『!』ババッ!

天龍「…?」ハァ……ハァ…





アントニオン「初めまして、元イレギュラーハンター・ゼロ。そして艦娘の方々さん。」


ゼロ「グラビテイト・アントニオン……優秀な科学者だったらしいが、イレギュラーになってしまっては…な。」

アントニオン「優秀?イレギュラー?そんなもの、何の意味があるんです?」

ゼロ「意味か…あいにくそんなに頭が良い方じゃなくてな。」

天龍「ま、てめえがこういう騒動を起こした。それを俺達が止める…それで十分だろ?」

アントニオン「ふふふ…正直な方だ。だが、愚かだ。」スッ…

龍田「!」ジャコン!

アントニオン「私の邪魔をすると言うのであれば排除しますよ。」ジャキン!





ゼロ「天龍!龍田!援護しろ!!」ダッ!!

天龍・龍田『了解!!』ガシャシャン!!

アントニオン「愚かですね…」ヴォォン!


アントニオン「『重力操作・結合』」ヴォン

天龍「!ゼロ頭上!!」ハッ!

ゼロ「!ブロックだと!!」キキッ!



ガシャン!!

龍田「…空中にブロックを作り出し、押し潰す。えげつない技ね。」

天龍「…!あの蟻はどこに……」

ゼロ「!!」バッ!




アントニオン「目前の敵を見失うとは…やはり愚かですね。」スッ…

ゼロ「!後ろか…!!」バッ!


アントニオン「『重波斬』」グオッ!!

ゼロ「クッ!!」サッ!


キィィィン!!!



ゼロ「(この…重さは……ッ!!)」ググッ…!!

アントニオン「お忘れですか?私は重力を操る…当然、この攻撃も重力を使っていますよ。」ググッ!


ガキィィン!……ドスッ!

ゼロ「クッ!」バッ!

天龍「ゼロのセイバーが弾かれた…?」

ゼロ「……」ダッ!

アントニオン「壁に刺さったセイバーを取りに行く…それを止めないとでも?」グォン


アントニオン「『重力変化』」ヴォン


グルッ!


天龍「うわぁっ!」フワッ

龍田「………」キュッ

ゼロ「天龍!龍田!」バッ!

ガシッ!スタッ!


…ガシャン!!



アントニオン「これはこれは。二人を抱え、落下するブロックをうまく避けましたね。…ま、おかげでセイバーは回収できず手の届かない位置に刺さっていますが。」パチパチ

ゼロ「………」

天龍「なめるなよ!こちとら武器が…」ガシャン!!

龍田「………」ガシャン!!



アントニオン「…それも把握済みです。」フッ…




アントニオン「『スクイーズボム』」ヴォォン!!



グワァァン…


龍田「黒い…球?あれは一体……」

天龍「構わねえ!ぶっ放す!!」ダダァァン!!

龍田「……」ダダァァン!!



ギュゥォォォ……


天龍「!?砲弾が吸い込まれて…」

アントニオン「『スクイーズボム』は砲弾などの飛び道具を吸収し無効化する代物。もはやあなた方に攻撃手段は無い。」ヴォォン!

ゼロ「!」


アントニオン「これで終わりです。…『キューブフォールズ』」ヴォォン!!!


シュィンシュィン!

龍田「空からブロックが無数に…!」

ゼロ「死ぬ気で避けろ!!」

天龍「クッソ…!」



ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!!ガシャン!!!







ゼロ「…二人とも、生きてるか。」スタッ

天龍「なんとか、な。」ハァ…ハァ…

龍田「…………」ハァ…ハァ…




アントニオン「あれを全て避けるとは…そのしぶとさは称賛に値しますよ。ですがあなた方の攻撃手段は皆無…虫籠の昆虫ですよ。」フフッ…

天龍「!!アイツ、今度は天井に…!」バッ!





ゼロ「……ククッ。」

アントニオン「…?何を笑っているのです。」



ゼロ「笑わせてくれるなよ、イレギュラー。俺達に攻撃手段がない…本当にそう思ってるのか?…なあ、天龍。龍田。」

天龍「……!…ああ、全くだ。」ニヤッ

龍田「……フフフ。」クスッ



アントニオン「…どういう意味です?」


ゼロ「それは…」ググッ…

ゼロ「その目で確かめな!!」ダッ!!

タンッタタンッ!!


アントニオン「三角蹴り…特A級ハンターの中でも限られたレプリロイドにしか使えない技……ですが、それはここに来る間に見ています。」


アントニオン「『重力操作』」ヴォン

龍田「!」ヒュッ!




グルン!


ゼロ「!」ガクン!

アントニオン「さあ、今度は素手でこの『重波斬』を防げ…」








天龍「誰が言ったよ?武器が無いって。」







ヒュッ……ザキンッ!!



カラン…カシャン



アントニオン「…わ、私の触角が…!!」ババッ!

天龍「…狙いが浅かったか。」シャキン!

アントニオン「バカな…そんなバカな!近接武器を使う艦娘などいるわけが……研究所に入った後もそんなそぶりは無かったはず…!!」

天龍「優秀な頭でも気付かなかったのか?」ブォン!

アントニオン「ヒィ!」ササッ!

アントニオン「(マズい…!このままでは……一度地面に潜って回避を…!!)」ズモモモ…



ゼロ「地中に潜るならコレも持って行け!」ババッ!


ゼロ「『アースクラッシュ』!!」ガガッ!!


ズガガガガァァァン!!!



アントニオン「ぐぉぁっ!!」ダァン!!



天龍「うわぁー…地中から一本釣り。」

アントニオン「そんな…こんな技も、施設内で使ってなかったはず……!!」ガバッ!

ゼロ「敵地に入って手の内を見せるほど愚かじゃないんでな。さあ、地上も地の下も危険領域だぞ?」

アントニオン「私が…私が負ける?こんな、こんな愚物なレプリロイドと艦娘ごときに……!?」


ゼロ「愚かだ愚物だとほざいてくれていたが…」

天龍「お前が一番の愚物だったと思うぜ?何せ…」



ゼロ・天龍『俺達に勝てると思ってたんだからな。』


アントニオン「愚者だと?この私が…この私がぁぁぁぁぁぁ!!!」ババッ!!





ヒュゥゥゥ……スパァァンッッ!!






龍田「………」スタッ


アントニオン「ァ……あァ…」ズルッ…


ズルルッ…ガシャン……ドカァァァァン!!!




ゼロ「…重力操作の時に、か。」

龍田「余裕が無かったとはいえ、私の場所ぐらい把握しておくべきでしょうに。」ヒュンヒュン、スチャッ

天龍「……あ、なるほど。ひっくり返る時に薙刀を壁に刺してぶら下がってたのか。」

ゼロ「データを回収し帰投する。」

天龍・龍田『了解!』




龍田「……ゼロ、ありがとう。」

ゼロ「何がだ?」

龍田「私達の練度を上げるため、わざと手を抜いたでしょ?」クスッ


ゼロ「…さて、どうだかな。お前こそ敵の油断を誘うため道中のスイッチを分かってて押してただろ。監視されているのを悟って…」フッ…

龍田「……さて、どうでしょう。」フフッ





《鎮守府・司令室》



エックス「反重力施設…設備は元に戻ったがアントニオンの反乱は謎のまま、か。」

ゼロ「だが奴からは明確な敵意があった……ただのイレギュラーだったとは思えん。カマキールの時もそうだ。」

エックス「パンデモニウムの時も、確かに今まで見てきたイレギュラーとは違っていた。」

陸奥「パンデモニウムが言っていた『あの方』、それが一体何者か……」

ゼロ「あの方とやらが裏で手を引いているなら…」



天龍「引きずり出してぶっ倒す、だろ?」


ゼロ「…ああ。」フッ…

天龍「て言うかゼロ、今日は俺と龍田の鍛練に付き合う約束だろうが。」

ゼロ「忘れちゃいないさ。今から行く所だ。」

天龍「ほら、龍田も待ってんだからよ…じゃ、提督。ゼロを借りてくぜー。」

エックス「ああ、分かった。」



ガチャッ、バタン



大淀「…嬉しそうですね、提督。」

エックス「ははっ、少し懐かしくてね。」

陸奥「懐かしい?」

エックス「俺とゼロも、昔はあんな風に…先輩と後輩の間柄だったんだよ。」

大淀「それは興味深い話ですね……ちょうど仕事もキリが付きましたし、休憩を入れませんか?」

エックス「ああ、それなら間宮の所にでも行こうか。今日は俺が奢ろう。」ガタッ

大淀「提督……ありがとうございます。」ニコッ

陸奥「当然、私もですよね?」ニコニコ

エックス「もちろんだよ、陸奥。……そう言えば長門は?」

陸奥「今日は非番だから道場で自分を鍛えるって……」





《訓練場前》



天龍「ゼロ、今日は水上の方か?」スタスタ

ゼロ「お前達の戦場は基本水上だからな。」スタスタ

天龍「ふーん…まあ、俺は陸でも海でもいいんだけどよ……今日は何するんだ?」

ゼロ「…今日は武器を替えて模擬戦だな。夕張が武器用の扇子とハンマーが完成したと聞いている。」

天龍「へえー、そりゃ面白そう……」



ダダダダ…ズダァァン!!!




長門「ククッ…軽巡にしておくには惜しいな、神通!!」グイッ!

神通「………」スチャッ




キィン!キキキキ…ガキィィン!!!


川内「薙刀がこれ程までに厄介とはな。」スチャッ

龍田「ゼロと肩を並べる実力って聞いたけど…肩甲骨が歪んでるのかしら?」ブォン!チャキッ

川内「…言ってくれる!」ダッ!!



キンキンキンキィン!!





天龍「……あー、そう言えば神通が入渠から復帰して肩慣らしするって聞いたような…」ポリポリ

ゼロ「…長門は今日は非番とか言ってたな。」




天龍「じゃ、残りもん同士…模擬戦と行こうか。御手柔らかに頼むぜ、センパイ。」シュッ!


ゼロ「残念ながら手を抜くのは性分じゃないんでな。」ヴォン!




ガキィィィン!!!





『閑話 強さ strength』




《鎮守府・司令室》


コンコン、ガチャ



吹雪「失礼します!夕張さんから司令官宛の物をお持ちしました。」


エックス「ああ、ありがとう。」

睦月「…………」


吹雪「あれ、睦月ちゃん?」

睦月「えへへ…」

吹雪「…司令官、何かあったんですか…?」

エックス「いや…まぁ、なんと言うか……」ポリポリ


ゼロ「改二の話だ。」


吹雪「ゼロさん!改二……あ!じゃあ睦月ちゃんも私と同じ改二に……」



睦月「……改二に、なれないんだ…」


吹雪「…え?」

エックス「資料を見る限り演習実績も十分、錬度も問題無し、深海棲艦との戦いも申し分無い。吹雪、君が改二になった時のデータも見てみたんだが……」パサッ

睦月「原因が分からないみたい…」ハハ…

ゼロ「そろそろ改二になっても不思議ではないんだがな…」



睦月「……いえ!きっと、まだ努力が足りないだけです!もっと頑張って……」

エックス「睦月……」



吹雪「睦月ちゃん…」

ゼロ「(…吹雪も改になる時に色々あったからな……思う所もあるか。)」



エックス「…もう少し様子を見よう。それでもダメなら夕張も交えて話をしよう。」

睦月「…よろしくお願いします。」


ゼロ「そう言えば吹雪、お前の持って来たソレは何だ?」

吹雪「神通さんの戦闘記録をデータ化した物らしいです。長門秘書官との演習戦も追加で入ってるから確認してほしいとの事です。」

エックス「分かった。…吹雪と睦月も見て行くといい。何かの参考になるかもしれない。」

吹雪・睦月『はい。』






《上映》



ダンダン!!ズガガガガ……ドドォォォン!!!



長門『…病み上がりにも関わらずこれだけ戦えるとはな。』スッ…

神通『……………』

長門『だがお前の改二の武装は整備中……勝敗に関しては既に決まっているようなものだろう。そろそろ演習の終わりに…』



神通『…御気遣いは結構です。私が海上に足を置き、立っていられる限り……私は決して諦めません。』


長門『……ますます気に入ったぞ!神通!!』ガシャシャン!!


ズドォォォォン!!ズダダダダダダ!!!




長門『…なにッ!?』


ゴォォォォォ!!

長門『バカな!!戦艦の砲撃の中を突っ込んで…!!』






神通『私は改二になったから強くなったんじゃありません!!私が強くなれたから改二の武装を授かったんです!!』


ダッッ!!



神通『強さは私の心の中にあります!!!』グォッ!!



ズガァァァァァン!!!





長門『……ククッ、そうこなくてはな!神通!!』ググッ…ガシャシャン!!

神通『……』ガシャシャン!!



ズダダダダダ……ズガガガガァァァァァン!!!ドカァァァァァァン!!!!





ゼロ「…あれはお前の受け売りか?」

エックス「…そうか。神通、俺の昔話を覚えて……」

吹雪「わぁー……神通さんかっこいいね、睦月ちゃ…」




睦月「……強さは心の中に…」ジーーン…

吹雪「睦月ちゃん?」


睦月「司令官!これから自習練習に行きますので失礼します!」ビシッ!


タッタッタッ!ガチャッ…バタン



吹雪「…睦月ちゃん、なんか改二の光が出てたような……」

エックス「この分なら、睦月の改二もすぐだな。」クスッ



ゼロ「…俺がいなくても、吹雪の説得は神通がしてくれたかもな。」フッ…

エックス「説得?」

ゼロ「いや、こっちの話だ。」




『第5話 飛行 fly』




《鎮守府・司令室》



エックス「ダイナスティでイレギュラーの暴走、か。」

アクセル「今回は僕に任せてよ!」シャキン!

エックス「ああ、だが今回の戦闘は空中が主体になる。夕張にライドチェイサーの改良をお願いしたからもう出来てるはずだ。」

アクセル「りょーかい!…あ、じゃあ今回は僕一人になるの?別にいいけど。」

長門「我々もさすがに空は飛べないからな。今回はアクセル一人で……」



タッタッタッタッ、バン!!


夕張「そんな事もあろうかと!先程飛行ユニットが完成しましたー!あ、ライドチェイサーの改良はもう終わったよ。」パンパカパーン!


長門「夕張!それは本当か!?」ガタッ!

陸奥「さすが夕張さん!!」キラキラキラ



アクセル「…二人とも凄い食い付き様だね。」

大淀「(ライドアーマーに乗ってから二人が飛行戦艦になりたいって独り言を呟いてたのは黙っていましょう。)」メガネクイッ



エックス「夕張、飛行ユニットと言うのは?」

夕張「ライドチェイサーの改良をしている途中にゼロさんが持って来た武器庫のデータと重力施設のデータを組み合わせた物をたまたま点検に来てた子達に組み込みまして…」ペラペラペラ

アクセル「(凄いマシンガントーク…)」


ゴォォォォ…


夕張「あ、今窓の外に飛んでるのがソレです。」


エックス「窓?」クルッ

アクセル「え?」クルッ

長門「ん?」クルッ

陸奥「へ?」クルッ

大淀「……」チラッ




連装砲A・B『……』ゴォォォォ!!

連装砲C『!』ゴォォォォ!!!






ダダダダダダダ!バァン!!!

島風「提督ー!連装砲ちゃんが飛んでるー!!!」キラキラキラキラ

夕張「連装砲・飛行形態です。」キュピーン!

エックス「艦装じゃないのか。」

夕張「初めは艦装に付けようと思ったんだけど、連装砲にピッタリはまって…」


島風「ねえねえ!あれに乗って空飛べるのー?」ワクワク

夕張「乗れるよう足の装備も改良したから試してきたら?」

島風「やったーー!!!」ダダダダダダダ!!!




長門「………夕張、私の足の装備も…」

夕張「無理。」

長門「…どうしても、か?」

夕張「連装砲が沈む。」

陸奥「…………」ギリィ…

大淀「(長門さん以上に悔しそうな顔をしているのは黙っておきましょう。)」






《ダイナスティ・上空》



ゴォォォォ…


アクセル「もうすぐイレギュラー反応があった場所に着くけど…島風は大丈夫ー?」ゴォォォォ…


ゴォォォォ!!


島風「へいきー!」ピョン!ピョン!

連装砲A『』ゴォッ!!

連装砲B『!』ゴゴォォゥ!

連装砲『…』ゴォォォォ…


アクセル「(試し乗りから数時間で乗りこなすどころか、三つの連装砲に上手く飛び移る芸当までやってのけるなんて…)」

島風「…!?アクセルあそこ!!」バッ!

アクセル「!!」



ジジジ…バリバリ…


アクセル「暴走したイレギュラー…ってやつだね。」

島風「撃ち落とせばいいの?」

アクセル「その通り!」バシュン!


ズガァン!


「!!」フヨフヨ…サァァァァ

島風「あ!逃げる!!」

アクセル「行くよ島風!!」

島風「島風の方が速いんだからね!!行くよ連装砲ちゃん!!」ググッ…

連装砲A・B・C『!!』ゴォォォォォゥ!!!


バビューン!!


アクセル「あ!ズルい!こうなったら僕だってフルスロットルで!!」ガォン!!

バシュゥゥゥゥン!!!




《ダイジェスト》


ズガガァン!!

アクセル「ちょ、島風それは町の看板!!」

島風「うぅ~…ちょこまかとぉー!!」ガシャン!


ズダァァン!ズダァァァン!!


アクセル「あーもう!こうなったら僕だって!!」ググッ!!


バシュシュシュン!!ズガガガァァァン!!!


島風「アクセルー!窓ガラスがー!!」

アクセル「あとでごめんなさいだよ!!」

島風「えー…」




島風「私の方が速いんだからねー!!」ピョン!ピョン!

連装砲A『!』ゴォォォォ!!

連装砲B・C『!!』ゴォォォォォゥ!!

アクセル「追い抜くより攻撃してー!!」




アクセル「もう!こうなったら…君、ハンドルよろしく!!」ガシッ!ドスン

連装砲A『!』ガシッ!

アクセル「喰らえー!」カチャッ!ズダダダダダダ!!!


ズダダダダダァァァン!!!


アクセル「よっし!」グッ!

連装砲A『…』キリッ!

島風「(連装砲ちゃんが乗りこなしてる…!!)」






《ダイジェスト終了》



「…………」フヨフヨ……

アクセル「スピードが遅くなった…?」

島風「アクセル!浮遊足場に向かってる!!」

アクセル「よーし!!」ガガッ!


ギュィィィィン!!


島風「あ!島風の方が速いんだからー!!」ググッ!

ギュィィィィィィン!!






《上空・浮遊足場》



アクセル「…よっと。」スタッ

島風「おぅ!」スタッ



フヨフヨ…フヨフヨ…ガシャシャン!



ドクラーゲン「…………」


アクセル「ドクラーゲンさん、どうしちゃったの?」

アクセル「今すぐ暴走を止めないと、メガロポリスが大変な事になっちゃうよ…」


ドクラーゲン「……………」


島風「…聞こえてるのかな?」

アクセル「ありゃりゃ…口も聞けないほどイレギュラー化しちゃってるんだ。」


ドクラーゲン「俺は、イレギュラーじゃないよ……あの方の考えは、正しいよ?」

アクセル「(あの方…?エックスが聞いたって言う黒幕の事か…?)」

島風「暴走してみんなを困らせる事が正しいの?それはちょっとおかしいよー。」

アクセル「…そんなのを正しいなんて思っちゃうから、イレギュラーなんだよ!」




アクセル「島風!一斉射撃!!」カチャチャッ!!

島風「はーい!連装砲ちゃん、やっちゃってー!!」ビシッ!

連装砲A・B・C『!!』ガチャチャチャッ!!!


ズダダダダダァァン!!ドカァァァァン!!!


モクモクモク…


島風「砲弾の煙で全然見えなーい。」

アクセル「もうちょっと考えながら撃とうか。」


バリバリ…バチバチバチバチ!!

アクセル・島風『!?』バッ!


ドクラーゲン「『サンダーダンサー』」バチバチ…



ズガガガガガガガガァァァン!!!

アクセル「グガァァァァ!!!」バリバリバリバリ!!!

アクセル「グッ…」ガクン

ドクラーゲン「俺に、砲撃は効かないよ…電流で全て弾くから。」


アクセル「(ヤバい…モロに喰らった……)」ググッ…

島風「アクセル大丈夫ー?」ヒョコッ

アクセル「まあ…ね。」グッ!




アクセル「…島風、今の大丈夫だったの?」

島風「うん、だって…」ユビサシ


連装砲A『!』シャキーン!

連装砲B『!』ジャキーン!

連装砲C『!』シャキキーン!


島風「連装砲ちゃん達が肩車して避雷針になってくれたもん。」エッヘン!

アクセル「…え、それ連装砲達は大丈夫なの?」

島風「高電圧を動力に変える改造をしたって夕張が言ってたー。」

アクセル「…そっかー。」




アクセル「(かと言って、僕の身長じゃ連装砲三体の肩車より高くなるし…何より敵を倒す手段を考えないと……)」

島風「アクセルー、さっきクラゲさんは砲撃効かないって言ってたけど…空中で追ってた時は砲撃当ててよろけてたよね。どうして?」

アクセル「!!」バッ!!



ドクラーゲン「逃げるなら追わないよ?俺はここで暴れるのが役目なんだから…」バチバチ……バチバチバチ!!




アクセル「…島風、ちょっと協力して。」ニヤッ

島風「?分かったー。」





ドクラーゲン「もう、攻撃は来ない?別にいいけど……」


ガシャシャン!!

島風「連装砲ちゃん!一斉射撃!!」バッ!!


ダンダンダンダン!!!


ドクラーゲン「無駄だよ…おれの電気が通さないから……」ビリビリビリ


ドカカカカァァァァン!!!

モクモクモク……


ドクラーゲン「砲弾の煙…鬱陶しいな……」




ダダッ!

島風「無理無理ぃ!私いちぬーけた!!」ババッ!

連装砲A「!」ガシャン!


スタッ!バシューン!



ドクラーゲン「……逃げたのかな?いいよ、逃げても…」ビリビリッ!


ドクラーゲン「でも…下に残ってる友達は消えてもらうよ……」バリリッ!!



ドクラーゲン「『サンダーダンサー』」バリバリバリッ!!


ズガガガガガガァァァァァン!!!!




ドクラーゲン「あの方が望む世界に君達は必要ないんだ……」



サァァ……


ドクラーゲン「煙も晴れてき……」






島風「や…や……やっぱり連装砲ちゃん二人だけだとギリギリーー!!!」ビクビクビク

連装砲B「…」ガシッ!

連装砲C「…」シャキーン!



ドクラーゲン「!!?」




ヒュゥゥゥゥゥ…ガシャン!!


ドクラーゲン「うぅっ!?」グラッ!




島風「空から登場ー!背中…失礼するよ。」ニヤッ

ドクラーゲン「な、なんで……!」

島風「イレギュラー化しちゃうと初歩的な事まで忘れちゃうんだねー。」




ヴォォン


アクセル「新世代型はコピー能力を使えるんだよ。」

ドクラーゲン「そ、そんな……」

アクセル「そして島風が言ってた事から推測して……放電した後は攻撃を弾くほどの電気を蓄えれない。町を破壊しながら僕達の攻撃を防げないように。」


アクセル「だから頭にも乗れちゃうし……僕の攻撃もドクラーゲンさんに当たるよね。」チャキッ

ドクラーゲン「ひっ…!!」



アクセル「遊泳時間は終わりだよ!!」

ズダダダダダダダダダ…




ジジ……ドカァァァァァァン!!!





島風「……あ、至近距離で爆発したけど…大丈夫なのかな?」



ヒュゥゥゥゥゥ……



アクセル「あ、あぶなぁ!!」スタッ

島風「おぅ!」ビクッ!




アクセル「さ、これでダイナスティのエネルギーも安定するんじゃないかな。」スチャッ

島風「それじゃー帰るー?」

アクセル「そうだねー。」


島風「…!アクセルー!!」グイグイ

アクセル「どうし……わぁー。」




パァァァァァ……



アクセル「ダイナスティのエネルギーが元に戻って、光が……」

島風「きれー…」キラキラ






島風「………追い駆けっこした時に壊した看板って私達が弁償するの?」

アクセル「それは考えないようにしよう。」






『閑話 行方 disappear』




《鎮守府・司令室》



大淀「提督、例の海域ですが……」

エックス「ああ分かってる。もう既にアクセルが向かって…」


ピピピッ!ピピピッ!



大淀「通信?……提督!遠征から帰還した夕張さんから緊急連絡!!入渠準備を要請されています!!」バッ!!

エックス「夕張から…?遠征組が敵艦と遭遇したと言う話は聞いていないが…分かった、すぐに準備する。」

大淀「負傷者と状態を………え?」

エックス「どうした?」






大淀「…ダイナモさんと大鳳さんが、大破寸前だと……」サァ…


エックス「ダイナモが!?」ガタッ!





《数分前・夕張隊、遠征帰還途中》




夕張「こちら夕張隊、遠征から間もなく帰艦。港の受け入れ準備を…」



ザザァーン…ザザァーン…






夕張「!?球磨、電探!!」バッ!

球磨「り、了解クマッ!」ガシャン!


ピピーッ…ピピーッ…ピカカッ!


球磨「電探感有り!近くに空母とレプリロイド!!」

多摩「あれは……!?」





チャプッ……ザザァーン……




大鳳「…………」ググッ…

グラッ…バシャン!




夕張「大鳳さん!?」ザッ!!

球磨「しっかりするクマッ!!」ザザッ!!







ダイナモ「……よう、久しぶり…だな。嬢ちゃん………」ギシシッ…バチバチ…


夕張「ダイナモさん!?そのケガ…」

ダイナモ「俺はいい…それより前の契約……鎮守府の入渠を……大鳳を頼む……」ググッ…

夕張「ダイナモさん!?」



シュィン!



球磨「き、消えたクマッ!?」

夕張「こちら夕張!大淀さん!すぐに入渠の準備を!!大鳳さんが……!!」





《鎮守府・司令室》



エックス「……ダイナモも重傷を?」

夕張「信じられない事にね。」

ゼロ「アイツが重傷を負う相手か……厄介だな。」

長門「大鳳の様子は?」

夕張「命に別状はないけど……しばらくは入渠が必要になりそう。意識もまだ戻らないし……」

エックス「そうか……」

ゼロ「ダイナモ…どこに行ったんだ。」

夕張「大鳳を置いてワープしたから何とも……とりあえず大鳳が回復してから話を聞きましょう。」

エックス「…ああ、分かった。」





《樹海・研究所跡》



フォン……スタッ


ダイナモ「何とか……到着したか…」ジジッ……バチチッ!


タッ……タッ……



ダイナモ「…あったあった……俺のカプセル…」ポンポン


ガシャン!ウィィィン……


ダイナモ「あーあ……回復が終わったら…やる事が山積みだな……ったく…」



ウィィィン……ガシャン!



《--起動……コード認証………承認--》

《--識別……D.C N……一致--》

《--損傷箇所の修理を行います--》

《--リペアまで強制スリープを行います--》





ダイナモ「……じゃ、少し休憩しますか………」スゥ…





『第6話 責務 obligation』




《鎮守府・司令室》



エックス「環境試験センターの暴走か…」

大淀「この件は早急に対処した方がよろしいかと。」

エックス「分かってる。だが、寒冷地となるとお前達艦娘を連れて行くわけにはいかなくなるな。」

長門「わ、私なら…!」

陸奥「ダメよ長門、私達が行った所で寒さで動きがニブくなるどころか砲撃だってままならなくなるわよ。」

エックス「そういうことだ。だから今回は俺が1人で……」



ガチャッ






響「司令官、私なら問題ない。」




長門「響…?」

響「私は極寒の地、ロシアで半生を過ごした記憶がある。対策は万全だ。」

陸奥「確かに、響なら問題なさそうね。」

長門「その寒さへの対策、私にも出来るか…?」

響「それは無理。これは慣れが必要だから。」

長門「………」シュン…

陸奥「まあまあ、元気出して。」ポン


エックス「それじゃあ響、よろしく頼む。」

響「了解。」



タッタッタッタッ!バンッ!!

暁「提督!私も一緒に行くわ!!」ババーン!

エックス「暁?」

長門「だがお前も寒冷地では…」

暁「お願いしたので大丈夫です!」グッ!

陸奥「お願い?」


ガチャッ

夕張「暁ー、出来たよー。」スタスタ、パサッ…

暁「わーい、あったかーい。」モフモフ


長門「……なんだその白いコートは。」

夕張「前にアクセルが持って来た敵データを解析応用した電気コート。寒冷地の寒さでも動きを阻害しない作りで、周りの寒さに対応して暖かさを変化させる代物よ。」

暁「頼んだ私が言うのもアレだけど…よく作れたわね。」

長門「…!な、なら私がそれを着れば……!!」

陸奥「サイズが合わないでしょ。」

夕張「今から同じ物作るには時間がいるわよ?しかも長門さんのサイズに合わせるなら尚更。」

長門「むぅ…」

陸奥「ま、今回は駆逐の子達に譲ってあげましょ?」ポン


暁「と言うわけで…提督!私も同行します!!響も、一人で行こうとしないで私を頼ってよ。」ビシッ!

響「暁…スパシーバ。」

エックス「……分かった、行こう。」

響・暁『了解!』ビシッ!



夕張「…あ、その電気コートは外部から大きい電流を加えると暴走して高圧電流が流れるから気を付けてねー。…てかその時は提督に守ってもらいなさい。」

暁「こわっ!!」ビクッ!

エックス「ははは…分かったよ。」


響「(暁のコート…私の髪と同じ色………欲しいな。)」ジーッ…

夕張「欲しいなら後で作るわよ?」

響「!?夕張はエスパーでしたか…」

夕張「(そりゃ食い入るように見てればねぇ…)」



《南極・セントラルホワイト》



ゴォォォォォォ……


エックス「ライドチェイサーまで雪原用に変えてくれていたとは……さすが夕張だな。」

暁「司令官!レディーを後ろに乗せる事を光栄に思いなさい!」フンス!

響「この寒い風が心地いいね…」フゥ…

エックス「そう言えば響、君はどんな対策法を…」チラッ



キュポンッ


響「寒いところではこれに限ります。」グビグビ

エックス・暁『ウォッカー!!?』


エックス「ひ、響!任務中に酒は…!!」

響「ハラショー、こいつは力を感じる。」グビグビグビ

暁「補給じゃないから!それは補給じゃないから!!」



ノミスギー!ヒビキノミスギー!!

ハラショー…

トメテー!シレイカントメテー!!

ヨシアカツキ!ハンドルヲタノム!!

エ、チョ…イーヤァァァ!!!





《環境管理センター前》



エックス「なんとか着いたな。」

響「ここにイレギュラーが…」

暁「な、なんであれだけ飲んでピンピンしてるのよ……」ゼヒー…ゼヒー…



エックス「よし、行くぞ暁、響。」

暁「待ってください!」

響「暁?」キョトン

暁「ここはレディーである私が先に入るわ。レディーファーストって言葉もあるでしょ?」フフン!

響「暁、この先にはイレギュラーがいるのだからここは司令官に…」

暁「大丈夫!入った瞬間に猛スピードで駆け抜けるわ!!」ダダッ!

エックス「あ、暁!」


暁「駆逐の速さ、見せてあげる!!」バァン!!シュバッ!!




キャァァァァァァ……

…ボスン




響「…………」スタスタ…

エックス「………」スタスタ…



響「司令官。この部屋の作り…扉を開けると下に落ちるね。」

エックス「雪が積もってるのが救いだね。」



ヒュッ!ボスボスッ!


エックス「大丈夫か、暁。」

暁「つめたーい…」ウゥ…





ゴォォォォ!!……ズサッ!!


エックス・暁・響『!?』バッ!





イエティンガー「…我々の邪魔をしないでもらおう。」

エックス「アイスノー・イエティンガー!何を企んでいる!?」

イエティンガー「お前達旧世代には、もはや関係のない事だ。退がっていろ!」


響「その言い方は少し、腹が立つね。」

エックス「そうはいかない!ここのシステムが復旧しなければ世界の環境に大きな影響が出る…」

暁「人間どころか、生きてる生物全てに影響が出るって言うのにその言い草…許さないんだから。」

エックス「イエティンガー…お前は、イレギュラーだ!!」ガシャン!





イエティンガー「フン!」ガシャン!

エックス「俺が先行する!!響!暁!左右に散開!!」ダッ!!

響・暁『了解!!』ダッ!!

イエティンガー「図体のでかい私を鈍く、反応が遅いと思ったか?」ガコン!


イエティンガー「愚かなり!!」ズォォォォォ!!


バフォン!!


エックス「クッ!雪を散らして目眩ましか…!!」



サラサラサラ……


響「…!?いない…!?」

暁「どこに…!!」ババッ!



ズズッ…

エックス「…!下か!!」バッ!



イエティンガー「『氷龍昇』!!」ズサッ!!


ダァァァン!!!



エックス「ガァッ…!!」ドサッ

暁「司令官!!」

響「よくも…!」ガシャン!

イエティンガー「遅い!!」ガシャコン!


イエティンガー「『ドリフトダイアモンド』!!」ゴォォォォ!!

暁「突進!?響避けて!!」

響「!」バッ!



コォォゥ…ピキーン!


暁「!?響…手持ちの砲台が……!!」

響「凍って…」

イエティンガー「それで砲台は使えまい。」コォォォ…


響「(体当たりの時に舞っていた雪の粉…アレが原因か……)」ギリッ…

暁「この…ッ!!」ガシャン!!

イエティンガー「残るは貴様のみ。破壊させてもらお…」





バシュゥゥゥゥン!!!


イエティンガー「グオ…ッ!!」ガガン!!




エックス「…あの程度で倒れるほど、柔な鍛え方はしていない。」ググッ…

暁「司令官!」パァァ…



イエティンガー「…フン!生きていようが変わりない。その程度の力ならばな。」ムクッ

エックス「………」チャキッ

イエティンガー「私の身体は寒冷地対策された物。並のレプリロイドより強固に…この地を管理するため電子回路も精密な物が使われている。」


イエティンガー「つまり…周りの状況に対して行動判断能力は誰よりも勝るのだ!!」ガガガガシャン!!!

響「上を向いて何を…!」



イエティンガー「『スノーアイゼン』!!」ゴォォォォォォ!!!


パラパラパラ…

エックス「雪を降らせて何を…」

暁「クッ…また目眩まし!?」ググッ…

イエティンガー「雪を降らせた意味、それが分からぬならそのまま潰れ消えるがいい!!」ゴォォォォ!!


響「(今度は…ただの突進?これなら避けれ……!!)」グッ…


響「積雪で足がうまく…!」ググッ…

暁「響!!」




ガシャァァァン!!!



響「グッ……ァ……」ドサッ


エックス・暁『響!!!』

イエティンガー「これで一人…あとはお前達二人だけだ。」クルッ…


暁「響……よくも…よくもぉぉぉ!!!」ガシャシャン!!ダァン!ダァン!!

イエティンガー「フン!そんな豆鉄砲…私には効かん!」キィン!キィン!



エックス「(このままでは暁までも……)イエティンガー!俺が相手だ!!」ガシャン!!

イエティンガー「この積雪でも動けるか…いいだろう!!」ガシャシャン!!


バシュゥゥゥゥン!!!キキィン!!

ズゥォォォ…ズダァァァァン!!!





暁「…そんな……私は、役に立てないの…?……司令官……あんなに…頑張ってるのに………」ジワッ…




響「………まだ……出来る事は…あるはず……」


暁「響!!」ガバッ!

響「…何か……必ず……」ググッ…

暁「響!無理に話さないで!!」





エックス「(何か……何か打開策はないのか…!!)」バシュゥゥン!!

イエティンガー「無駄だ!行動判断能力も上がっている私に同じ技は効かん!!」ササッ!

エックス「!?この距離でバスターを避け…」

イエティンガー「『氷龍昇』!!」ブォッ!


ダァァァン!!



エックス「グゥ……!」ズサァァァ…


イエティンガー「ほぅ…踏ん張ったか。」

エックス「…こっちは行動“経験”能力に関しちゃ誰にも負けてないんでね。」ニッ!



エックス「(そうだ…経験に関しては誰にも負ける事はない……)」


エックス「!!」ハッ!

エックス「(待てよ……防御が固く、精密な電子回路………)」



エックス「試してみる価値はある。」ニヤッ


イエティンガー「…この絶望的な状況で臆する事もなく笑うとは……勝負を諦めたか!!エックス!!!」ガシャコン!!

イエティンガー「これで終わらせる!『ドリフトダイアモンド』!!」ゴォォォォ!!!




エックス「……武器チェンジ。」ヴォン

イエティンガー「!?」



エックス「『サンダーダンサー』!!!」バシュッ!!

イエティンガー「ガァァァァァァァ!!!」バチバチバチバチ!!




イエティンガー「な、なんだと…」ドサッ

エックス「精密回路は電流は弱い…これは命を賭けた友との戦いで学んだことだ。」

エックス「能力や性能で負けていようとも経験でその全てを凌駕する…それが俺の戦い方だ!!」

イエティンガー「クッ…!」ザザッ…

エックス「終わりだ、イエティンガー。」チャキッ


イエティンガー「……クククッ。勝ち誇るにはまだ早いぞ…エックス!!」バシュゥゥゥゥ!!!

エックス「グッ!?また目眩ましか!!」





ザァァァァ……ザザン!!


イエティンガー「『サンダーダンサー』…その能力は電流を相手に流し込む強力な技だが……それ故に弱点もある。」


イエティンガー「今の私がいる場所…遠距離の相手に対しては手も足も出ない……違うか?」ニヤッ

エックス「!?」

イエティンガー「私はこの距離を保ちながら戦わせてもらう…悪く思うな、エックス!!」

イエティンガー「『アイスガトリング』!!」ズガガガガガガガ!!!

エックス「クッ…!こんな遠距離攻撃も持っていたのか…!!」ガスガスッ!!



暁「ああ!司令官!!」

響「……!!」


響「暁……コートを、貸してもらえるだろうか…私に案がある…」ググッ…

暁「!!」



イエティンガー「このまま削り壊してくれる…!!」ガガガガガガ!!!



ダァン!ダァン!

イエティンガー「むっ!?」ダダァン!!


暁「判断能力が上がってる…?レディーな私を放っておきながら豪語するなんて恥ずかしいと思わない?」フフッ

イエティンガー「…脅威にならぬ者は後にしようと思ったが……いいだろう!望み通り地獄へと送ってやろう!!」

エックス「暁!ダメだ!!」

暁「あら、それなら…地獄に行く前にあなたの顔をよく見せてもらえないかしら?」クスッ…

イエティンガー「死に逝く者の最後の望みがそれで良いならば…叶えてやろう!! 」ガシャン!!

エックス「暁!!」



ゴォォォォォォ…ズダァン!!!

暁「クッ…!」ズサァァァ…



イエティンガー「さあ…何か遺言はあるか?」ガシャン、ガシャン、ヌッ…


暁「…行動判断能力は誰よりも優れている……あなたはそう言った。」

イエティンガー「む…?」




暁「でもね…見えない場所から来た場合は、判断も何も無いわよね?」





ザザッ!!!


響「背中、失礼します。」ガシッ!

イエティンガー「!?そのコートをかぶり雪に隠れていたのか!!いや、そもそもあの攻撃を受けて生きて……」


響「不死鳥の名は伊達じゃない。」バサッ!ギュギュッ!



エックス「響…?イエティンガーの背中にコートを巻き付け……そうか!!」チャキッ!


イエティンガー「なにを……」

響「『サンダーダンサー』は短距離攻撃ですが、もう1つの特性があります。」ガシャン!

イエティンガー「その凍り付いた砲台で何が出来る!!」


響「見てれば…分かる。」ググッ……ブォン!!!

イエティンガー「砲台を投げ…」



エックス「この距離ならいける!!伏せろ響!!!」

響「了解。」バッ!ボスン!

イエティンガー「!!」



エックス「『サンダーダンサー』!!!」バシュン!!

イエティンガー「この距離は届かないことを忘れたか!エックス!!」



ジジジ…バチバチバチバチ!!!


イエティンガー「!?投げた砲台に当たって…」

響「『サンダーダンサー』の特性は『距離があろうとも、中間距離に物があれば電流が繋がる』事。」

エックス「その中間に放り投げられた砲台に電流が当たれば……」




バチバチバチバチ…ピカッッッ!!!

イエティンガー「グガァァァァァァァァ!!!!」ビリビリビリビリ!!!



エックス・響『図体のでかい、お前(あなた)に当たる。』






イエティンガー「」グラッ…ボスン!



暁「司令官!暁!大丈夫!?」タタッ!

エックス「俺は大丈夫だ。響は…」


響「砲台が使えなくなったので夕張さんの説教が怖いね……」シュン…

エックス「大丈夫そうだな。」

暁「よかった……」





ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


エックス「!?システムの暴走が始まったか!!」バッ!

暁「そんな…!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!



エックス「マズい!早くプログラムを直さないと…!!」ダダッ!

暁「し、司令官待ってよー!」ダダッ!

響「………」タタタッ…











イエティンガー「」ピクッ…


イエティンガー「………」ムクッ…





《管理室》


ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!



エックス「クソッ…早く、早くしないと……!!」ピピピッ!カタカタカタ…

響「揺れが大きくなってる…?」

暁「そんな……このままじゃ…!!」





イエティンガー「そのプログラムは私でないと解除できないよ。」



エックス「!?」ババッ!

暁「なっ!?あんた生きて…」

響「………」



イエティンガー「私の右手が認証コードになっているんだ…どいてくれ、エックス君。」ガシャン、ガシャン、ガシャン

エックス「…イエティンガー?」



ピピッ!カタカタカタ……ピーー!



イエティンガー「…よし、これで大丈夫だ。」

エックス「イエティンガー、君は…」

イエティンガー「……すまない、エックス君。そして幼き子らよ。私のせいで君達を傷付け、あげくのはてに地球の環境を……」

暁「あなた、正気に戻ったの…?」

響「やはり、さっきの電流で……」


エックス「いや、あなたもこの施設も元に戻ったのなら問題無い。」

イエティンガー「……感謝する。」ペコッ


暁「私達もだけど、あなたも傷を負ってるんだから私達の所で直してもらいなさいよ。」

響「新型レプリロイド専属ではないが、腕のいいメカニックがいる。あの電気コートを作った人だ。」

エックス「イエティンガー、一緒に来てくれないか?」

イエティンガー「…敵対した私に対しても気遣ってくれるとは……ありがとう。」





イエティンガー「だが、私は行けそうに無い。」




ズドォォン!!!!


エックス「今のは…!?」バッ!

イエティンガー「……やはりか。プログラムを正常に戻した時、何かのプログラムも混ぜられていたのは分かっていたが…」

暁「一体誰が…!!」

イエティンガー「あの音からして恐らくここに敵が雪崩れ込んで来るだろう……君達は早く逃げなさい。」ガコン!

エックス「イエティンガー!まさか、一人で残るつもりなのか!?」

暁「あなたの身体もボロボロなのよ!?」

響「あなたも共に逃げればプログラムを改変されることはないはず…」

エックス「イエティンガー!!」


イエティンガー「…ああ、そうだったな。むしろ私がここで倒れた場合、プログラムを改変されるかもしれない…な。」ガシッ!



バキィィン!!!

響「!?自分の右腕を…!!!」

イエティンガー「エックス君、これを持っていってくれ。そうすれば何が起ころうとプログラムが改変される事はなくなる。」スッ…

エックス「バカな!そんな身体で……」ガシッ

イエティンガー「君達への贖罪と、ここの管理者としての責務を果たすだけだ…気にすることはない。」ニコッ

暁「そんな……」

イエティンガー「それに、その腕には我々新世代型のデータも入っている…この事件の黒幕の事も。」

エックス「黒幕…!?やはり、あなたも誰かに…」


ズガガァァァン!!ダダダ…


イエティンガー「…早く行くんだ!!」ババッ!!

エックス「………分かった。」ギュッ…

響「…行くよ、暁。」ガシッ!

暁「そんな!離してよ響!!…イエティンガーさん!!!」


タッタッタッタッ………






イエティンガー「……新世代型のみで作られた理想郷、それに飲まれたままイレギュラーになる所であった。」フッ…




イエティンガー「ありがとう、エックス君。そして幼くも強き子らよ。おかげで私はイレギュラーとしてでなく、この施設の管理者として死ぬことが出来る。」




ドカァァァァン!!ザッザッザッザッ!!





イエティンガー「さあ、共に死地へ逝く者から来るがいい!私はアイスノー・イエティンガー!!セントラルホワイトの管理者であり、永久凍土の番人である!!!」ガシャン!!!





ズガガガガガ…ダダァァァン!!!

ガシャシャン!ズダダダダダダダ………






《鎮守府・司令室》



大淀「…提督。セントラルホワイトの報告書です。」

エックス「…読んでくれ。」

大淀「はい……提督達が戻られた後、レッドアラートのメンバーが出撃しましたが…セントラルホワイトの中は破壊されたイレギュラーと共に氷漬けとなったイエティンガーのみだった、と。」

エックス「…イエティンガーは……」

大淀「コアを自ら破壊し機能を暴走させ、イレギュラーごと凍らせたらしく……彼は………」


エックス「…そうか……分かった。」

大淀「同行した暁と響ですが…」

エックス「彼女達なら大丈夫だ。必ず……自分で答えを出す。」





《鎮守府・寮》



暁「…………」

響「…………」




暁「…響。私ね、司令官や響と違って武器があったから…まだ戦えたの。」

響「暁……」


暁「でも…私、逃げちゃった。イレギュラーがたくさん来るって…私が加勢しても無理だと思って……逃げちゃったんだ。」ジワッ…

響「…それは違う。私が暁を引っ張って連れて行ったから……」

暁「変わらなかった。響に連れて行かれなくても…私はきっと、逃げてた。」ツゥー…

響「暁………」



暁「……私、強くなるから…!もっと、みんなを守れるくらい、強くなるから……!!」グイッ…

響「暁……私も、同じ気持ちだよ。」ニコッ





《訓練場》


キィン!キンキンキン!!



川内「へぇ…やるじゃん。」シュッ!スタッ

天龍「まだまだ本気を出してないんだろ?天龍様も甘く見られたもんだ。」トントン




ブン!キキキン!!


神通「……通りませんか。」チャキッ

龍田「侮った攻撃じゃ通りませんよ~?」ヒュンヒュンヒュン…パシッ!

那珂「川内姉さんも神通姉さんも頑張れー!!」オー!




タッタッタッタッ…バァン!!


暁「失礼します!!」ハァ…ハァ…

天龍「暁…?」



暁「…私に、稽古をつけてください!!」ビシッ!!


龍田「あらあら…」フフッ…

暁「私は…誰よりも強く、立派なレディになるんだから!!!」ニッ!


神通「…いい目をするようになりましたね。」フッ…

川内「……私達の鍛練に入るのは相当キツいと思うが…大丈夫か?」


暁「レディーに二言はありません!!」ドンッ!!





ヨシ、マズハカルクヤロウカ…

ハイ!

ソレジャアタツタノコウゲキヲゼンブヨケロヨー

アラアラ、テンリュウチャンッタラ……

…エ、チョ、イキナリジッセン!?

テカゲンシナイカラシナナイデネー

エ、エ……ウワァァァァァ!!!




那珂「(みんな遊んでるなー、あれ。)」

響「……私はコツコツ頑張ろう。」フンス!





『閑話 名前 name』




《鎮守府・工房》



夕張「………うーん…」ピピピッ!カタカタカタカタカタ…


アクセル「夕張いるー?」ヒョコッ

夕張「いるよー、どうかしたのー?」カタカタカタカタカタ…

アクセル「暇だから遊びに来たー。」スタッ

夕張「私は忙しいから付き合えないわよー。そこら辺の機材を見る程度にしといてー。」

アクセル「えー…」ブーブー


アクセル「…何してるの?」ヒョコッ

夕張「提督が持って来たデータの解析をやってるんだけど……ダメね。プロテクトが固すぎて全く歯が立たない。」ムー…

アクセル「へー、大変そうだねー。」

夕張「他人事だと思ってこのやろう。」



アクセル「そう言えば、エックス達のカプセルもここにあるんだよね?」

夕張「エネルギー補充と損傷修復の?あるわよ。」

アクセル「前に僕が二人に変身してカプセルに入ったら『D.R N』と『D.W N』って表示されたんだけど…あれって何?」

夕張「勝手に入ったらダメでしょうが。」


夕張「…あれはおそらくだけど、提督達を作った人の名前だと思う。」

アクセル「名前?」

夕張「カプセルを調整する時にデータ表示にそう書いてあったからたぶん間違いない…と思う。」

アクセル「曖昧だなー。」

夕張「仕方ないでしょ、こういうのは本業じゃないんだから。」

アクセル「(本業じゃないのに色々作ってるのは凄いと思う。)」


アクセル「あ、じゃあレッド達がカプセルを使ってた時に『D.C N』って表示されてたのは…」

夕張「『D'r Cain Number』…レプリロイドの親と言われるケイン博士の名前だと思う。…あれ?じゃあアクセルが変身しないでカプセルに入る時はなんて表示されるの?」

アクセル「僕の場合はそういうコードが表示されなかったから、そういう物なのかなー…って思ってたんだけど。」


アクセル「でもケイン博士かー…会ってみれば僕の事も何か分かるかな?」

夕張「アクセルはたしか生まれが分からないんだっけ?」

アクセル「分からないと言うか…レッドに拾われる前の記憶が無いんだよね。」ポリポリ

夕張「……会わせてあげたいけど、ケイン博士はもう…」

アクセル「………そっか。」

夕張「…何か気付いた事があれば知らせるわね。」

アクセル「…うん、ありがとう!」


夕張「じゃ、もう少しで手が空くから奥の発明品で遊ぶ?」

アクセル「え?何かあるの!?先に見に行ってるねー!!」ガバッ!


タタタタタタッ……




夕張「(…アクセルのデータは提督やゼロと違い全く解析出来ないわけじゃない。)」カタカタカタカタカタ…

夕張「(ただ、記憶に関しては完全に消されている…作られた時に手を加えられた?でも、なんのために……)」カタカタカタカタカタ…ピピッ!


夕張「……ホント、こっちは本業じゃないのにね。」フゥ…





『第7話 逆鱗 infuriate』




《鎮守府・司令室》



エックス「アクセル、火山内部の廃棄処理場…ドロップデッドに向かってもらうが…今回は一人希望者がいるんだ。」

アクセル「希望者?」



ガチャ


夕張「アクセルよろしくー!」ビシッ!

アクセル「夕張が?別にいいけど…陸の戦いは出来るの?」

夕張「いや、元々陸戦仕様にするチップを作ってOK出したの私だから。」

アクセル「そう言えばそうでした。」


夕張「じゃ、先に用意して待ってるから準備できたら呼んでねー。」

アクセル「はーい。」


タッタッタッ、ガチャッ…バタン




エックス「…アクセル。1つ忠告しておくがある。」

アクセル「なにさ?」




エックス「夕張を絶対に怒らすな。」


アクセル「?はーい。」





《ドロップデッド》



夕張「いやー、早く戦いを終わらせるのも大事だけど……データ解析に行き詰まってたから羽根を伸ばしたかったのよねー。」ノビー…

アクセル「え、そっちが本命?」

夕張「まさか。両方本命よ。」グッ!



夕張「でも今回のイレギュラー事件……新世代型のイレギュラー化は何か共通点があると思うの。」

アクセル「じゃ、この事件の首謀者のデータも解析すれば…」

夕張「事件の真相には近付くと思う…!」タタッ!

アクセル「じゃあさっさと先に……」





アクセル「…あれ?夕張はどこに……」キョロキョロ


夕張「…なるほど、火山熱を利用するためにこの回路を…」ブツブツ

アクセル「夕張ー!壁に埋まってる機械を調べてないで先に行くよー!!」





アクセル「(しかし…道中暇だな。何か話せること……あ!)」ピコーン!

アクセル「そうだ!前から聞きたかったんだけど、エックスが初めて会った艦娘が夕張だったんでしょ?どんな感じの出会いだったの?」

夕張「どんな感じ…と言われると、かなり特殊な出会いとしか言えないわね。」ポリポリ

アクセル「特殊?」


夕張「……私と提督が出会ったのは、提督が深海棲艦と交戦している時だったわ。」

アクセル「戦ってる時に…?」

夕張「私達艦娘は基本的に資材と妖精の力によって工房から生まれてくるんだけど…稀に私みたいに深海棲艦を倒した後に生まれてくる事もあるの。」

夕張「でも、あの時はホント…ビックリしたわ。」フッ…





《過去・とある海域》



ダダァァァン!!ダダダダダダ!!!

バシュゥゥゥゥン!!!



エックス『……こうも、数に限りがないと…キツいな………』ハァ……ハァ……


ガシャコン!!


エックス『しまっ…!!』バッ!





ズダダダダダダァァァァン!!!



『……大丈夫ですか、提督。』


エックス『……君は?』



夕張『兵装実験軽巡、夕張…到着いたしました。』ガシャン!






夕張「…まさか出てきた瞬間に敵に囲まれてるなんて思ってもみなかったわよ。」フゥ…

アクセル「へぇー、じゃあそれでエックスは無事帰ることが出来たと。」


夕張「…いや、たしかその後は提督と一緒に敵を追撃してた気がする。」

アクセル「え、敵を殲滅してったの?」

夕張「着任した当初は被害を出さないためって飛び出す提督の援護中心だったんだから。出撃する度にヒヤヒヤした戦い方ばっかりで私がどれだけ苦労したか…しかも私と初めて会った時はまだ提督じゃなかった事を知った時は赤っ恥もいいとこだったわよ……」ブツブツ…

アクセル「ははは……」




夕張「……でも、私は提督の元に来れたのは幸せだと思ってるわ。」




エックス『1日でも早く、人間とレプリロイド…そして艦娘が平和に生きれる未来を創っていこう……夕張。』ニコッ



夕張「…私は提督以上に平和を願い、戦ってる人はこの世にいないと思ってる。」


アクセル「夕張……」


アクセル「夕張ってエックスのこと好きなの?」

夕張「好きよ、当たり前じゃない。」キッパリ

アクセル「へぇー…でもライバル多そう。」

夕張「ライバルは多いだろうけど…それだけ提督が魅力的だってことよ。」フフッ


夕張「…さ、もうすぐ最深部……気を引き締めて行くわよ。」

アクセル「りょーかい!」





《ドロップデッド・最下層》



アクセル「ここが最下層だね。」スタスタスタ

夕張「そろそろこの火山の核に到着するはず……」







ガンガンガンガンガンガン!!!


夕張「…何か聞こえるね。」

アクセル「何かを叩き壊そうとしている音だね。」




ピタッ!

ヒュゥゥゥゥゥ!!!


アクセル「…!?夕張上だ!!」

夕張「!」ババッ!




ブォォン!ギュォォォォ……




コケコッカー「…………」

アクセル「…最深部らしく、ボスのおでましかな。」



コケコッカー「おいお前。ここがどこだか知っているのか?」

アクセル「お前じゃなくてアクセル。で、ここは廃棄処理施設だろ?」

コケコッカー「お前達にイレギュラー呼ばわりされ無念のうちに棄てられたレプリロイド達の墓さ。」

アクセル「無念だから反乱を起こしてもいいなんて考えたの?それって、イレギュラーだよ。」

夕張「て言うかこの廃棄処理施設が暴走したらレプリロイドもイレギュラーも被害を受けますよね?」

コケコッカー「それがお前らの正義か?くだらん!!」

コケコッカー「そんなものこそ必要ないのだ…来るべき世界には、なあ!」ゴォゥ!


アクセル「ありゃりゃ…完璧なイレギュラーだね。」ジャキキッ!

夕張「会話が通じない相手ってのは厄介ですね。」ガシャコン!





アクセル「さっさと倒させてもらうよ!」ズダダダダダ!

夕張「色々試させてもらうわよ!」ダァン!ダァン!


コケコッカー「…ヘッ!」ニヤッ


ズガガガァァン!!!



アクセル「…ん?今の……」

夕張「当たりに行ったような……」



コケコッカー「ハーッハッハッハッハッ!!!」ゴォォォゥ!!!

アクセル「なっ、なんだぁ!?」

夕張「…エネルギー反応上昇……パワーアップしてる!?」ピピピッ!


コケコッカー「俺のボディーはダメージを炎エネルギーに変換しパワーアップする…この怒りと憎悪がさらにそれを助長させる……」ゴォォォォ!!!

コケコッカー「仲間の恨みを思い知れ!!『焔降脚』!!!」ズォォォォゥ!!

アクセル「チッ!」バッ!

夕張「!」ババッ!


ゴォォォゥ!!!


アクセル「クソッ!反撃するしか!」ジャキン!

夕張「だけど、そうしたらまたパワーアップして…」

アクセル「やらないよりやった方がいいに決まってる!」ズダダダダダ!!

夕張「あーっ!もうっ!敵も味方も話を聞かないんだからっ!!」




コケコッカー「!」ババッ!

ズガガガガガァァァン!!!



夕張「……?(今、両腕を背に隠した?)」



コケコッカー「ハーッハッハッハッハッ!!まるで学習能力が無いなぁ!!」ゴゴゴゴゴ!!!

アクセル「ダメージは通ってると信じたい!」ガシャシャン!!

夕張「………………」


コケコッカー「相方の方は攻撃してこないが、無駄だと分かったのか?賢明だな!だがそれで仲間の怒りが静まる事は無い!!!」ババッ!!

コケコッカー「『フレイムバーナー』!!」ゴォォォゥ!!

アクセル「夕張!」バッ!

夕張「しまっ…!」ハッ!


ゴォォォォォォォォ!!!



アクセル「ふー…間一髪。」

夕張「ご、ごめんなさい。」

アクセル「こういう時はありがとうの方が嬉しいかな。」ニヤッ

夕張「…フフッ、ありがとう。」ニコッ


コケコッカー「ケッ!悠長なもんだ!!今から二人仲良く死んでいくのにな!!」



アクセル「…何か掴んだ?」ボソボソッ

夕張「確信までは行かないけど、恐らく。」コクン


コケコッカー「こそこそと何を話そうが貴様達に勝ち目はない!!仲間を散々殺してきたお前達にはな!!」

夕張「アクセル、私が持って来た…」

コケコッカー「しかし貴様達を送り出した提督も憐れだな!こんな役立たずを俺の所に送るんだからな!!」






夕張「」ピクッ

アクセル「むっ…」ムカッ




コケコッカー「やはり貴様達はイレギュラーを処分する事しか考えないゴミばかりだ!!ここでイレギュラーの気持ちを知るがいい!!」ゴォォォゥ!!!


コケコッカー「『フレイムトルネード』!!!」ゴォォォォォォォ!!!



ズォォォォォォ!!!


アクセル「壁に炎の竜巻…!?」

コケコッカー「この熱風に囲まれながら死んでいけ!!仲間達の怨恨を子守唄にしてなぁ!!!」








夕張「イレギュラーの気持ち?バカじゃないの。」






コケコッカー「…なんだと?」ギロッ

夕張「あんたはさっきからイレギュラーの気持ちだの仲間の恨みなどと下らないこと言ってるけどさぁ…」




夕張「イレギュラーに殺された人間やレプリロイドの気持ちを考えた事はあるの?」


コケコッカー「…!!し、知るかッ!!だからと言って処分される謂れは……」

夕張「実害が出たから処分してるんでしょうが。……でも、何よりそんな事より…」







夕張「提督の事を…なんてほざいた?」






コケコッカー「!」ゾクッ!

アクセル「」ビクッ


夕張「憐れ…?ゴミ…?提督の事を何も知らないでズケズケと……」








夕張「ただで死ねると思うなよ、チキン野郎。」ギロッ!




コケコッカー「…な、何をぉぉぉぉ!!」ゴォォォゥ!!!

夕張「アクセル、さっき言った武器で手足を狙って。」

アクセル「あ、うん…分かった。」

コケコッカー「無駄だ!貴様達の攻撃など…」


アクセル「でぇりゃぁぁぁぁ!!!」ズガガガガガガ!!!




ピキィーーーーーーン!



コケコッカー「なっ…!?足と腕が……!!?」ピキピキピキ…キン!


夕張「『アイスガトリング』…提督が倒した新世代型のレプリロイドを解析して手に入れた特殊武器よ。」



夕張「さて…パワーアップはボディーに受ける衝撃を熱に還元し強化する仕組みになっているのは分かったわ。」スタスタスタ…

コケコッカー「!?」


夕張「それを回避する方法は三通り。1つは下半身や腕などのボディー以外を攻撃し熱に還元させないこと。」

夕張「もう1つは氷結系統の武器を使い熱を持たせないこと。」ガシャン!



グォッ…ガコォォン!!

コケコッカー「グモォッ!!?」グゴッ!

アクセル「うわっ、口の中に……」



コケコッカー「ゴモモッ…モォッ!!」モゴモゴ!

夕張「何を口に突っ込んだか?ただの失敗作の魚雷よ。」


夕張「火薬量を多くしすぎて発破力がとんでもなくなってしまった、ただの失敗作。」


コケコッカー「ゴモモッ!モモ……ッ!!」ブンブン!

夕張「ああ、最後の1つを言い忘れてたわね。」



夕張「そして最後の1つは……還元できない程の衝撃を持つ武器で攻撃すること。」ガシャン!

コケコッカー「モモモッ…モォォォォォ!!!」バタバタバタ!!





夕張「うるさい。」タン!



ズドォォォォォォォンッッッッ!!!!






アクセル「…………うわぁ。」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


アクセル「ゆ、ゆれてる!?」

夕張「おそらく管理していたコケコッカーが破壊されたから制御が利かなくなったんでしょ。」カチカチ…カンカンカン

アクセル「夕張は何やって…コケコッカーのボディを弄って?」

夕張「もうちょっと待ってねー。」ガガガ…カチカチ、ガコン!!


夕張「はい、このニワトリのコア。」ポイッ

アクセル「え、僕に渡してどうすんのさ?」パシッ

夕張「制御が利かないってことは火山のマグマが下から吹き出るって事だから、上に行かないといけない。だけど私とアクセルは飛べないし、来た道を引き返すにも時間がない。ならいっそのこと…」


アクセル「…あ、なるほど。」





《鎮守府・司令室》



エックス「…それで、コケコッカーに変身して夕張を抱え、火山口まで飛んできたと。」

アクセル「うん!」

夕張「今思うと結構大胆な事したなーって思ってる。」

エックス「…まあ、2人が無事なら良かった。」フゥ…


夕張「それじゃ、私は持ってきたデータの解析をしてくるから。」

エックス「了解…だが出撃した後なんだから少しは身体を休めて…」

夕張「今回の出撃が休息みたいなものよ。」フフッ



ガチャ…バタン






アクセル「………今回、1つ学んだよ?」

エックス「何を?」



アクセル「夕張を怒らせたらいけない。」




エックス「…大丈夫、この鎮守府には怒らせると夕張くらい怖い子ならまだいるし。」

アクセル「それ安心出来る話題じゃないよね?」





『第8話 姉妹 sister』




《メタルバレー》



ゼロ「…こちらゼロ、北側異常無し。」ガガッ!


妙高『こちら妙高及び羽黒、東側同じく異常無し。』ガガッ!


那智『こちら那智、南側異常無し。』ガガッ!


足柄『こちら足柄、西側異常無し。』ガガッ!


ゼロ「全域異常無し…か。周りに注意し捜索を開始してくれ。」


妙高型全員『了解!』ガガッ!



ゼロ「さて、敵はどこにいるか…だな。」スチャッ





《数時間前・鎮守府》



ゼロ「緊急出動?」

エックス「ああ。ゼロの出撃をサポートする子達をそっちに回さざるえなくてね…」

ゼロ「なら俺一人で行けばいいだけの話だ。」スクッ

エックス「いや、それに関しては代わりを呼んである。…入って来てくれ。」




「失礼します。」



カチャッ、スタスタスタ




妙高「妙高型一番艦、妙高。」ビシッ!

那智「妙高型二番艦、那智。」ビシッ!

足柄「妙高型三番艦、足柄。」ビシッ!

羽黒「み、妙高型四番艦、羽黒です!」ビシッ!



ゼロ「この四人はたしか教官をしていた…」

エックス「実力は俺が保証する。本気になった彼女達は戦艦クラスの力を発揮してくれるだろう。」

ゼロ「ほぅ…お前にしては随分高評価だな。」

エックス「今は教官として指導する立場にいてもらってるが、彼女達は夕張の次に来てくれた子達だ。何度も危機的状況を助けられている。」

妙高「御謙遜を…」

那智「回数で言えば私達の方が助けられています。」

足柄「戦場から離れ他艦の育成に力を入れたいと言った私達の希望を叶えてくださった事…今でも感謝しています。」

エックス「よしてくれ。君達の戦闘技術が他の子達に伝わるのなら、これ以上頼もしい物は無い。」

羽黒「提督……ありがとうございます。」



エックス「そう言うわけだ。」

ゼロ「分かった。…妙高、那智、足柄、羽黒。よろしく頼む。」

妙高・那智・足柄・羽黒『ハッ!!』ビシッ!!






《メタルバレー》



ゼロ「…この鉱山、敷地が広いから手分けして探してはいるが……」


ピピピッ!ピピピッ!!


足柄『こちら足柄!東側地帯に巨大メカニロイド発生!!イレギュラー化している模様!戦闘に入ります!!』ガガッ!

ゼロ「了解、すぐにそちらに向かう。那智はそのまま足柄と合流、妙高と羽黒は周りを警戒しつつこちらに来てくれ。」ガガッ!

那智『了解、すぐに向かいます。』ガガッ!

妙高『こちら妙高、了解しました。』ガガッ!


ゼロ「出来れば俺のいる場所で遭遇したかったが…戦艦レベルの腕前、見せてもらうぞ。」ダダッ!!!





《出撃前・鎮守府》



天龍『ゼロー!また出撃だってー?』

川内『いいなー、私も出撃予定が無かったら着いてったのにー。』ブーブー


ゼロ『…お前達もいつの間にか仲良くなってるな。』

天龍『一度刃を合わせりゃ』ガシッ!

川内『友となる!ってね。』ガシッ!

ゼロ『………』



天龍『で、今回は誰と出るんだ?』

川内『強い人と出るってのは聞いたけど。』

ゼロ『妙高型の四人だ。』


天龍『…元第一機動部隊か……』

川内『なら、もしかしたらゼロの出る幕はないかも……』

ゼロ『元第一機動部隊?どういうことだ?』

天龍『あ、ゼロは知らないのか。』


川内『元々、第一機動部隊は提督含めて夕張と妙高四姉妹だったんだ。』

天龍『まさに向かう所敵は無いって感じの無敵艦隊だったらしいんだけど……他の鎮守府との演習戦で問題を起こしちまったらしい。』

川内『戦闘が苛烈すぎて相手を再起不能一歩手前までに追い込んだとか…相手旗艦がトラウマになるくらい打ちのめしたとか……まあ噂なんだけどね。』

天龍『その後は妙高さん達が教官に志願して出撃する事はなくなったけど…俺達艦娘が少なかった時に前線で戦い続けてた歴戦の人達だからな。』ウンウン

川内『大本営からは《鬼神の住処》と言われる程だって聞いたし。』ウンウン



ゼロ『《鬼神》……か。』フッ…




《メタルバレー・東側》




ダダァァン!!ガシャンガシャン!!

ズドォォォォン!!!



足柄「ハッ!動きが甘いわよッッ!!」ズダダダダァァァァン!!!

那智「足柄ッ!」ダダッ!

足柄「ナイス那智姉!そこから敵の頭部に全弾お願い!!」

那智「分かった!!」ジャキキキンッ!!


ズダダダダァァァン!!

グラッ…


足柄「10門の主砲は伊達じゃないのよ?」ガシャシャシャン!!


ズガガガガガガガァァァァァン!!!!


グラッ……ドカァァァァンッ!!!



足柄「…よしっ!いっちょ上がりぃ!!」

那智「…昔から相変わらずだな、足柄。」スタッ





ゼロ「…なるほど、エックスが任せれるわけだ。」スタッ

足柄「あら遅いじゃない、ゼロ。」

那智「……いや、違うな。近くで見ていたんだろ?」フッ…

ゼロ「自分の目で見た物ほど確たる物は無いからな。」

足柄「えー、ゼロは私達の実力を信じてなかったわけ?」ブーブー




ゼロ「……カレー大会。」ボソッ

足柄「違うの…アレは何か違う意思が私の中に入ってきたの……」ガクガクブルブル…

那智「(…カレー大会は欠席しといて本当に良かった。)」

※艦これアニメ参照



ゼロ「…だが、ここがどうやら当たりらしいな。」

足柄「え、何が?」



ピシッ!ガラガラガラガラ!!!


那智「採掘場入口…!こんな所に……」

ゼロ「敵の大本はここにだろう…妙高達がこちらに合流次第突入する。」




ピピピッ!ピピピッ!!



妙高『…こちら妙高。そちらに向かおうとする巨大メカニロイドと遭遇。対処してからそちらに向かいます。』ガガッ!

ゼロ「!?巨大メカニロイドがまだいたのか…!!」

那智「妙高姉さん、採掘場の拠点地を発見した。おそらくはそれに勘づいて…」

妙高『…なるほど、道理で。』

足柄「妙高姉さん、私達が応援に行くから場所を…」

妙高『…いえ、ここで手間取り敵の親玉を逃がすのは得策ではありません。那智と足柄はゼロさんと共に先に行きなさい。』

足柄「そ、そんな!私達が行けば確実に…」

妙高『大丈夫、心配しないで。』フッ…

那智「妙高姉さん…」



ゼロ「任せていいんだな?」

妙高『問題ありません。』

那智「…ちなみに先程から羽黒の声が聞こえないんだが。」

妙高『私が通信している間の囮をお願いしていますので。ほら、声も…』スッ…


ミ、ミョウコウネエサン!タスケテクダサイー!!


妙高『…ね?』

ゼロ「早く加勢して来い。」ガガッ!



ゼロ「お前達の姉は……」

足柄「まあ…その、アハハ……」

那智「さ、先に行きましょう!話なら道中に!!」

ゼロ「あ、ああ……」




《採掘所・内部》



ダダダダァァン!!ズダァン!ズダァン!!

ガコン!ダダァァン!!!



足柄「…敵の数からして親玉さんはここで間違いなさそうね。…それにしても、全く歯応えがないわ。」ジャコン


ゼロ「…妙高型には鬼神がいると聞いたが、噂通りだな。」フッ…

足柄「ちょっとゼロ、女性にそれは失礼じゃない?」

ゼロ「…餓えた狼の由来はそこからか?」クルッ

那智「それにプラスして合コンの話にはすぐに食い付くからだろうな。」フッ…

足柄「ちょっと那智姉、心が傷付くからやめて。」



足柄「あーあ、鎮守府に来た当初は提督を狙ってたんだけどねー……」

ゼロ「エックスを?」

足柄「そ。だけど気付いたら競争率が凄いことになってるし、いつの間にか妙高姉さんも提督に恋してたし…」

那智「諦めたのは後半の理由だろ?」

足柄「…まあね。」

ゼロ「…姉想いなんだな。」

足柄「それもあるけど…そのー…」

那智「…!ゼロ!!」

ゼロ「!」ヴォン!



ヒュンヒュンヒュン



足柄「クリスタルが急に地面から生えて……」


パリンパリンパリン!!!





トリロビッチ「…メカニロイド達の反応が無くなったかと思ったら、まさか侵入者がいるとはな。」

ゼロ「貴様が反乱の首謀者か。」

那智「なるほど、こいつが新世代型というやつか…」

足柄「うそ…」





トリロビッチ「俺達がここで掘ってる鉱物は新型レプリロイドの開発に欠かせない物なんだぜ…」

トリロビッチ「って言っても、あんたには判らないだろう…ゼロ。」


那智「新型レプリロイド…?イレギュラー化している貴様達がその鉱物を何故必要とする……?」

ゼロ「どうであろうと、貴様達イレギュラーには過ぎた物だ。」

トリロビッチ「所詮はあんたも旧世代のポンコツってことなんだよね!」

足柄「き…きき……」プルプル

那智「足柄?」





足柄「キャァァァァ!!ゴキブリ型のレプリロイドなんて私無理よー!!」イヤァァァ!!

トリロビッチ「ゴキブリじゃなーい!三葉虫だー!!」



那智「(三葉虫だったのか…)」

ゼロ「(三葉虫だったのか…)」


足柄「キャーッ!イヤーッ!!」ガシャシャン!!


ダダダダダァァァァン!!!



ピキーン…

トリロビッチ「…ポンコツの癖に野蛮な奴らめ。」

那智「さっき出したクリスタルを盾に…だと!?」

ゼロ「チッ…生半可な砲撃は通らないって事か。」

トリロビッチ「これはただの盾じゃあないんだぜ?『クリスタルウォール』!」ババッ!



ヒュンヒュン


那智「前後にクリスタルの壁が…!」


グラグラグラッ!

ゼロ「!?避けろ!!」ババッ!

足柄「クッ…!」バッ!

那智「フッ!」バッ!


ガシャンガシャン!!


トリロビッチ「こんなんで終わらないよー!」ググッ…

足柄「この…ッ!!」ダダッ!!ガシャン!

那智「なめるなよ!貴様のクリスタルは前後からの攻撃は防ぎきれまい!!」ガシャン!!


ズダダダダァァン!!ドカァァァァン!!!





足柄「これで…!?」



トリロビッチ「その程度の火力じゃ、俺を倒せないよ!」キラン


那智「無傷、だと?」

トリロビッチ「俺の甲羅はクリスタルと同じ硬度だぜ?ポンコツなお前達の攻撃なんて無意味なんだよ!」ググッ…

トリロビッチ「潰れて消えな!『クリスタルウェーブ』!!」バババッ!!!



ヒュンヒュンヒュンヒュン!!


那智「なッ…!?」

トリロビッチ「ハッハッハッ!お前達に向かってクリスタルの壁がどんどん迫ってくる恐怖を味わいな!!」

ゼロ「那智!足柄!足を止めるなよ!!」ダダッ!

那智「分かってる!」ダダッ!

足柄「止めたら潰されるんだから当たり前でしょ!!」ダッダッ!

ゼロ「(だがこちらの攻撃が通らない限りジリ貧だな…どうすれば……)」

トリロビッチ「逃げることしか出来ないか?ポンコツのガラクタならしょうがないか!艦娘も古臭いタイプだもんな!!」ハハハハハ!!!



足柄「…古臭い?」ピタッ

ゼロ「足柄止まるな!!」

トリロビッチ「とうとう疲れが足に来たのか?ゴキブリ呼ばわりした奴に殺される気分はどうだ?おばさんよぉ!!」ギャハハハハハ!!






ガシャァァァァン!!!





トリロビッチ「…………へ?」


ゼロ「……素手で、クリスタルを砕いたのか…?」

那智「………」





足柄「おばさん……ですって?」ニッコリ

トリロビッチ「!」ゾクッ!!


足柄「随分と口が回る虫じゃない……ねえ?」スタ…スタ…


トリロビッチ「く…くくく……」

トリロビッチ「来るなぁぁぁ!!『クリスタルウェーブ』!!!」バババッ!!!


ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!


足柄「…鬱陶しいわね。」スッ…


ガシャァァァン!!ガシャァァァン!!ガシャァァァン!!ガシャァァァン!!




那智「……ゼロ、お前は言わないだろうから忠告してなかったが…一応言っておくな。」

ゼロ「…ああ。」






那智「足柄に年齢と婚期の話は御法度だ。」

ゼロ「だろうな。」



トリロビッチ「そんな…そんな馬鹿な……」バッ!バッ!バッ!


ガシャァァァン!!ガシャァァァン!!ガシャァァァン!!




足柄「さて…歯を喰い縛りなさい。」ググッ…

トリロビッチ「ヒッ…!!」


足柄「化石に喰い縛る歯があるならの話だけどねッッ!!!」ブォン!!



ズガァァァァァン!!!!




ゼロ「…終わったか。」


足柄「……しまった。」

那智「どうし…!」



ヒュゥゥゥゥ…

那智「穴だと?」

足柄「逃げられたわ。でもまだそんな遠くには…」




『ハン!わざわざお前達と正面から戦う義理なんか無いんだよ!!』


ゼロ「トリロビッチ!!」ババッ!

那智「どこに…!」ババッ!


『お前達の仲間が二人地上にいるのは知っているからな…まずはそっちを処分させてもらうよ!!』

ゼロ「二人…妙高と羽黒の事か!!」


『そして残りの巨大メカニロイド全て、ここを襲うように指令を出しておいた!もうお前達はおしまいだよ!!』


那智「残り…と言うことは2体以上はいるということか。」

ゼロ「妙高と羽黒が危険だ…すぐに地上に向かうぞ!」


足柄「あー……いや、大丈夫かも。」

ゼロ「…?どういう意味だ。」

那智「ゼロ、さっきの言動からするに足柄の事を“戦闘狂”と思っているだろうが…それは誤りだ。あの肩書きは………」





《採掘所・付近》



妙高「…ゼロさんが言っていた東側、ここら辺のはず……」

羽黒「あ!妙高姉さん!あそこに採掘場の扉が…」



モコモコ…ザザン!!


トリロビッチ「その古臭さ…あのポンコツの仲間だな。」ニヤァッ

妙高「地中から…!」

羽黒「て、敵…!?」

トリロビッチ「お前達を破壊してアイツらに叩き付けてやる!クリスタルウ…」


タァァァン……




《同時刻・鎮守府》



エックス「ありがとう吹雪。お陰で書類整理が早く終わったよ。」スタスタ

吹雪「えへへ…」スタスタ


ヒラッ…


吹雪「?提督、書類から何か落ちましたけど…写真?足柄さんに那智さん…四姉妹と提督……」スッ…

エックス「ああ、それは妙高達が戦線から退いて教官になった時に撮った写真だよ。」

吹雪「わぁ~!みんなすっごい笑顔ですね!」

エックス「ははは…確かに、歓迎されなかった初めの頃に比べると凄い変わり様かもね。」

吹雪「えっ!提督は歓迎されてなかったんですか!?」

エックス「夕張とここの鎮守府に着任して、すぐに所属したのが写真の真ん中にいる彼女なんだ。その彼女が『自分の領分を弁えてください。』って言ってね……」スッ…

吹雪「真ん中の………えッ!?」

エックス「俺を擁護してくれる夕張とも対立してたんだけど…出撃をこなしていくうちに何とか認められるようになっていってね。その後に姉妹艦の彼女達が着任してくれたのも大きいかな。」

吹雪「へぇ~…」


エックス「夕張が敵艦載機を撃ち落とし、俺と彼女が突撃、後の三人が俺達の援護…この布陣が最も強かったと今でも思うよ。」クスッ


吹雪「……私も、提督と並べるほど強くなれるでしょうか…」

エックス「…なれるさ、吹雪なら。」

吹雪「提督…」パァァァ



吹雪「でも、提督と肩を並べるほど…強いのですか?その……」







エックス「ああ。『鬼神』と言われるほど…妙高は強いよ。」





トリロビッチ「」グラッ…ドカァァァン!!


妙高「羽黒、覚えておきなさい。甲羅を持つ敵は甲羅と本体の狭間を狙い撃つ事。爆破で吹き飛ばさずとも簡単に倒せます。」カチャリ

羽黒「は、はい!」

妙高「…先程の言動からしてコレがイレギュラー化した新世代型レプリロイドみたいですが……ゴキブリ型とは趣味が悪い。」

羽黒「いえ、たぶん三葉虫ではないかと…」

妙高「あんな弾一発で壊れるなら虫以下です。」


妙高「……羽黒、下がりなさい。」ガチャリ

羽黒「妙高姉さん…?」



ズズーン!!ズズーン!!

ガシャン!ガシャン!ガシャン!



羽黒「巨大メカニロイドが2体…!!」

妙高「恐らく那智達を襲うための物でしょう。…羽黒、私が片付ける間にデータの回収を終わらせなさい。」ガチャチャッ!

羽黒「そんな…無理ですよ!」



羽黒「妙高姉さん、さっき同じ巨大メカニロイドを一人で何体倒したと思ってるんですか!?2体片付ける前にとか時間が足りませんよ!!」

妙高「倒すコツが分かれば敵の大小は関係無いんですよ。それより…」




妙高「羽黒、私は終わらせなさいと言ったのです。」ニコッ

羽黒「」ゾクッ!!



妙高「妙高、出ます。」タタッ

羽黒「み、妙高姉さん!!」





羽黒「(……鎮守府に帰りたい。)」ガサゴソ…グスン





《鎮守府・司令室》



エックス「鉱山のクリスタルで新世代型の部品を?」

ゼロ「ああ、聞いた話によるとな。」

エックス「だが、新世代型にそんなクリスタルが使われてるなんて聞いた事が…」




夕張「メタルバレーのクリスタルは…おそらく、繋ぎの部分ね。」ガチャ



エックス「夕張…繋ぎと言うのは?」

夕張「妙高達が持って来てくれたデータを解析した所、あそこのクリスタルは本来交じり合う事がない物を中和するエネルギーを持っているわ。」


夕張「例えば……艦娘の装備を深海棲艦が所持する、とか。」



エックス「…大和型の件と何か関係してるかもしれないな。」

夕張「そこら辺はまた調べとくから、結果が出せたらまた連絡に来るわ。」スッ

エックス「分かった。」


ガチャッ…バタン



ゼロ「…なかなか、厄介な事になりそうだな。」

エックス「ああ……早く真相を掴まないと。」グッ…





『閑話 鬼神 fierce god』

※漫画版『ロックマンX2』のアジールの様な表現が含まれています。




《鎮守府・廊下》



足柄「妙高姉さんの話?」

那智「どうした急に。」

吹雪「はい!私も妙高さんみたいに強くなりたくて…提督から聞いた『鬼神のような強さ』と言う由来を知りたいんです!」

足柄・那智『あー………』



足柄「…あれは私達が教官になる少し前の話で……私達が教官になる事を希望した大きな理由になった時の話になるわね。」

那智「今でこそ提督は海軍全体に認められているが、それまではレプリロイドが提督として仕事をする事に反対する提督も少なくなかったんだ。『自分の領分で働け』とな。」

吹雪「あ、それは妙高さんも言ってたって聞きました。」

足柄「妙高姉さんもここに来た当初は同じ事を言ってたらしいから、すっごい複雑な顔をしてたわ。夕張はキレる寸前なのを提督が抑えてたけど。」


那智「ある日、提督に不満を持つ他の鎮守府の提督が演習を申し込んで来たんだ。しかも提督も出撃するよう言ってな。」

吹雪「え、演習に司令官をですか!?」

那智「初めは断ったんだが、向こうは提督が本当に戦力となっているか知るためだと聞かなくてな……しかたなく、提督もそれを了承してしまったんだ。」


吹雪「け、結果は…?」

足柄「第一機動部隊で出撃しSランク勝利。非の打ち所無く終わらせ終了したわ。」




那智「だが、それでも納得のいかない向こうの提督は今度は提督を侮辱し始めたんだ。」

足柄「『こっちは二軍で来たのだから負けたのは当然だ!』だの、『艦娘を動かさず自分が出しゃばって戦果をかっさらい恥ずかしくないのか!』だの、『どうせお前の艦娘はお前が敵を倒すのだからろくに育ってないんだろ!』だの……思い出してもムカつくわね。矛盾も混じってるし。」ハァ…

那智「……まあ、それを目の当たりにしていた妙高姉さんと夕張がとうとうキレてしまい…」ムゥ…








足柄「その鎮守府の一軍にこちらから演習を申込み、夕張と二人で全員海に沈めたわ。」









吹雪「…え?それって、つまり…2対6で……」ポカーン

足柄「夕張は敵艦載機を撃ち落として援護してただけだから実質1対6。深海棲艦相手にもあそこまでしないだろう虐殺っぷりは鳥肌物だったわよ。」

那智「妙高姉さんが相手秘書艦っぽい駆逐艦…初風だったか?…その首を叩き折った時は変な汗が出てきたしな。」

吹雪「ひえっ…」ブルッ!


足柄「普段一緒にいる私達ですら悪寒が走るぐらいなんだから、他の子達が見たらヤバイなー…と思って教官への異動を希望したのよ。」



吹雪「そ、そんな事が……」

那智「当時の戦闘記録があれば、より分かりやすいんだろうが…機密資料なのでな、残念ながら見せることが……」



足柄「これがその映像データの一部なんだけど吹雪ちゃん見たい?」ヒョイッ

吹雪「見たいです!」

那智「ちょっと待て足柄何故それを持ってるんだ。」



ピピッ!




《上映》



ザザァァァン……


チャプン……




初風『……そんな…これは演習なんでしょ!?こんな…ここまでする事ないじゃないですか!!同じ敵を倒す艦娘同士…共闘することだってあるんですよ!!これじゃあ戦力を落とすだけ……』




ヒュッ…ゴキンッ!!!


初風『』グラッ…バシャン





妙高『「戦力」を名乗るなら初撃ぐらい避けなさい。』パンパン

妙高『まあ、しょせんは身の程を知らない「足手まとい」の艦隊でしたね。』フーッ…


夕張『一軍と呼ばれていた艦隊も今ので最後?』ザァァァ…

妙高『ええ。』


夕張『戦力を疑う人間に従う艦娘が戦力足り得るか…ね。……妙高、頬に返り血付いてる。』

妙高『合同で敵を倒すことになった場合、足手まといがいると困りますから。』クイッ



妙高『…まあ、一軍と名乗りながら私のウォーミングアップにもならない戦力ですから……足手まといと言うより「カス」ですね。』ペロッ

夕張「あなたレベルを求めるのは酷じゃない?……あと血を舐めとる表情は提督に見せない方がいいよ。」

妙高「御忠告どうも。」ニッコリ





吹雪「…………」ゾゾッ!


足柄「ちなみに、轟沈した彼女達は入渠してどうにかなったけど、この事で更に腹をたてた向こうの提督が海軍本部に直訴。」

吹雪「えっ!?それじゃあ提督は…」


那智「…ところが軽巡と重巡一人ずつに対し、六人がかりで戦ったにも関わらず全員轟沈させた提督の手腕の酷さを追求されてその提督が解任処分。そしてそんな二人を育てた私達の提督には表彰と報償が。」

足柄「そもそも提督は海軍本部が交渉の末に提督になったんだから、本部がソレを理由に解任するわけないって事に気付かなかった事も愚かよね。」

吹雪「提督……良かった。」ホッ…




那智「まあ、鬼神と言った提督の真相は今の話の事だろうし、妙高型に鬼神がいるって話は6対2の話を聞いた誰かの噂だろうな。」


吹雪「なるほどー……そういえばその妙高さんがいませんが…」

足柄「妙高姉さんなら……ほら、あそこに…」スッ…

吹雪「演習場ですか?」ヒョイ…




ミョウコウネエサン!コレイジョウハ…!!

ダイジョウブ、ゴウチンシテモヒッパリダシテニュウキョサセテアゲルカラ。

ソ、ソンナァァァ…!!






足柄「羽黒が犠牲になってる。」

吹雪「わぁ……」


那智「…ちなみに足柄、明日はお前に稽古をつけるそうだ。」

足柄「……明日は合コンがあるから那智姉任せた!」ヒュゥン!!

那智「あ、こら!お前またかッ!!今回は逃がさんぞ!!」ダダダッッ!!



吹雪「(もしかして足柄さんがよく合コンに行ってるって噂の真相って………)」





『閑話2 逢瀬 date』




《鎮守府・司令室》



エックス「妙高の話を?」

吹雪「はい!足柄さん達から聞いてきました!」

エックス「ははは…俺としては穏便に済ませたかったけど、相手の言い掛かりが範疇を越えていたからね。」フー…

吹雪「(あ、やっぱり提督も暴言には頭にきてたんだ…)」


吹雪「それで、1つ気になったんですが……」

エックス「なんだい?」

吹雪「那智さん、足柄さん、羽黒さんは教官として立っている所を見たことあるんですが、妙高さんを教室で見たことないのは一体…」

エックス「ああ、それは俺も最近知ったんだが……」




ガチャッ

夕張「提督のリカバリーカプセルを探しに行ってたのよ。」スタスタ

妙高「御話中失礼します。」スタスタ




エックス「夕張、妙高。」

吹雪「リカバリーカプセル…あ、そうか。私が来た時提督の身体は……」

夕張「そ。下手に動くのも危うい状態だったからね…私達とは別ルートで色んな所へ単独出撃してたわ。探し物メインなら一人の方が動きやすいって言ってね。」

エックス「危険だから知っていたら絶対に止めていたんだけどね…」


妙高「提督に御心配かけたくなかったので…申し訳ありません。」

エックス「いや、こちらも身体の話を相談せず…すまなかった。」

妙高「そんな…提督は私達の心情を思って……」

夕張「はいはい、謝罪合戦は終わり。」パンパン


夕張「それに…知られないよう苦労した割には成果が無かったのは今思うと悲しいし。ねえ、妙高。」ハァ…

妙高「私は提督が無事でいてくださるなら如何様な苦労も気になりませんよ。」ニコッ


エックス「…ありがとう。お前達には世話をかけたな……何か礼が出来ればいいんだが。」

夕張「あ、それなら明日私と妙高の二人で買い物に行くんだけど提督も付き合ってよ。」

妙高「」ピクッ

エックス「明日か…たしかに出撃予定もないから空けれるが……この忙しい中、俺だけ休むのは……」

夕張「提督が休まないと周りの皆も休みにくくなるわよ?こういう時にこそ肩の荷を少しは下ろしなさい。提督はいつもそうやって休まず働くから私達は」クドクド

エックス「わ、分かった分かった!俺でよかったら明日は一日中付き合うから!」

夕張「はい、約束よ。」ピタッ

妙高「…提督、それでは私は先に……」ペコッ


スタスタ…カチャッ、バタン



エックス「妙高、様子が変だったが…やっぱり俺が行くのは」

夕張「午後から羽黒との演習を再開するって言ってたからソレでしょ?て言うか約束は守りなさい。」

エックス「…はい。」

吹雪「(あの演習を一日中やる妙高さんも凄いけど、それに耐えれる羽黒さんも実は凄いんじゃ………)」





《鎮守府・廊下》



妙高「……」スタスタスタ


ピピッ!


妙高「羽黒、聞こえる?午後の演習は中止。今から作戦会議を開くから那智と足柄を連れて甘味処間宮の個室まで来なさい、話は通しておくわ。支払いは全部私が負担すると言うことも伝えておきなさい。」ガガッ!



妙高「……落ち着け…落ち着くのよ、妙高。そう、ただの買い物よ…提督と、買い物………で、で、デートじゃないんだから……どうしよ、提督と買い物なんて…久し振りすぎてどうすれば……」オロオロ…

妙高「ま、まずは間宮さんに部屋を借りるために連絡を……でもその後に鳳翔さんにも相談を……」ウロウロ…




ジーッ……


羽黒「(近くにいるのに通信だなんてと思ったら……あの感じからして、明日の夕張さんとの買い物に提督も来られる感じでしょうか?)」コソコソ

那智「(おそらく、そうだろうな。あんな不審者丸出しの妙高姉さんを見る限り…だが。)」コソコソ

足柄「(…妙高姉さんの珍しい一面ね。青葉がいたら完全に記事にしてるわよ。)」コソコソ

那智「(無理だな。青葉だって命は惜しいだろ。)」コソコソ

羽黒「(妙高姉さん…デート、頑張ってください!)」グッ!





《鎮守府・司令室》



夕張「あ、そうそう。私達が来たのはこれを渡すためだったんだ。」バサッ

エックス「これは…夕張と妙高の戦闘記録か?」

夕張「提督がいなくなった時の記録を出すの忘れてたから…じゃ、目を通したら資料室にお願いね。」


スタスタ…カチャッ、バタン



エックス「…夕張も律儀だな、わざわざ持って来なくてもそのまま保管しといてくれればいいのに。」クスッ



ピピピッ!


エックス「こちらエックス…ゼロ?……ああ、分かった。すぐ行く。」


ピッ!


エックス「すまない吹雪、少し席を外す。また聞きたいことがあったらいつでも相談に来てくれ。」ガタッ

吹雪「は、はい!」


ガチャッ、バタン




吹雪「…妙高さんや夕張さんに負けないよう頑張らないと!」フンス!


ヒュゥゥゥゥ……パララッ


吹雪「あ…風で戦闘記録が。」ヒョイヒョイッ


吹雪「…これは妙高さんの……」パラッ…



【妙高:単独出撃記録】

『南西諸島海域Sランク攻略、カプセル発見デキズ』


『北方海域Sランク攻略、カプセル発見デキズ』


『西方海域Sランク攻略、カプセル発見デキズ』


『南方海域Sランク攻略、カプセル発見デキズ』







吹雪「………え?」





『第9話 笑顔 smile』




《ヘリオス・研究室》



所長「おーいサンフラワード。ちょっと面白いもん持って来たぞー。」スタスタスタ

サンフラワード「……………」

所長「どうした悩み事か?お前にしちゃ珍しい…まあいいか。」ゴソゴソ

サンフラワード「……………」


所長「倉庫探ってたらかなり古臭いデータが出てきてなー。えーっと…CUT?だっけかな。これを解析して訓練所の最後の部屋あたりにぶちこんでみようと思うんだけど…どう思う?」


サンフラワード「………所長。」

所長「おうなんだ。…あ、古臭いのは無しってか?でもこれはこれで面白そう……」

サンフラワード「そんな物はもう必要ありません。」

所長「お!何か考えが出来たか!それならソイツを……」


グシャッ!!




所長「」ドサッ


サンフラワード「これからは新世代型だけの時代が来るんですよ。」ポタタッ…





新世代型レプリロイド訓練施設「ヘリオス」。
管理者であるオプティック・サンフラワードがイレギュラー化し、そこに勤めていた職員全員を殺害。コントロールを乗っ取ったと言う情報を得たエックス達。
その場所には黒幕に関する情報があると分かり、エックスは施設に来た事のある雷と電を連れ訓練施設へと向かった。




《ヘリオス・内部》



エックス「ここが新世代型レプリロイドの訓練施設…」スタスタ

雷「あの時から変わってないわね…」スタスタ

電「……嘘なのです。サンフラワードさんが、みんなを殺したなんて…」スタスタ


エックス「…知り合いなのか?」

雷「私と電が遊びに来た時、私達も楽しめるようにってデータを全て海上アトラクションに改変してくれたのよ。」

電「……………」





《過去・ヘリオス内部》



サンフラワード『ようこそ艦娘さん!…いや、麗しきレディと言った御世辞の方が好みかな?』

所長『御世辞とか言うんじゃねえよ。』ゴチン!

サンフラワード『アウチ!』イタイ!

電『き、今日はよろしくお願いしますなのです!』

雷『はいはーい!この施設は新型レプリロイドの訓練所らしいんだけど私達もここでトレーニングできますかー?』

サンフラワード『んー、いい質問だ。これを見てください。』パチン!


ヴォォン!


電『はわわ!足元が海に!!』

雷『すごーい!』

サンフラワード『これなら君達もプログラム試験を受けれるでしょう。フッフッフ、この采配…私の高性能AIが成せる技でしょう、所長。』クルッ


所長『』ブクブクブク…


サンフラワード『…ああ、そう言えば所長は海の上に浮けないんでしたね。』

雷・電『所長さーーん!!?』ガビーン!


所員A『所長が溺れてるぞー!』ゲラゲラゲラ

所員B『サンフラワード!今度は空から落としてみようぜー!』

サンフラワード『やれやれ、ここの所員は悪ノリが酷いものです。』フゥー…
所長『お前に言われたくねえよ。』ザバァン!

サンフラワード『生きてるー!!』ガビーン!

所長『おう、お前あとで覚えておけよ。』

所員A『さ、艦娘の御二人は次に行きましょう。』

雷・電『はーい。』クスクス

サンフラワード『ほら所長!笑顔が咲きましたよ!ヒマワリの花言葉通りの働き…見事でしょう?』フフーン!

所長『…ヒマワリの花言葉、なんだっけ?』

所員B『少なくとも笑う、笑顔等の言葉ではありませんよ。』

サンフラワード『おかしいですね?私の中では《笑顔を咲かせる》と書いてあったはずですが…』ムムゥ…

所長『お前本当に高性能AI持ちなんだよな?』


ドッ!!アッハッハッハッハッ!!!






雷「…だから、サンフラワードがあの人達を殺したなんて……」

エックス「…なるほど、確かにその性格なら今回の騒動も疑わしいな。」

電「……絶対に、絶対…何かの間違いなのです。」ギュッ

雷「…私も、そう思う。」

エックス「……急ごう。」ダッ!




《プログラムルーム》



エックス「プログラムルーム…もしサンフラワードがいるならここに……」




ヴォォン!

スタッ


サンフラワード「…………」



雷「サンフラワード!」

電「サンフラワードさん!」

エックス「…お前が、サンフラワードなのか…?」






サンフラワード「…!イレギュラーハンター!?どうしてここに…!?」ビクッ!

サンフラワード「いや、そもそもここは何処?あなた達は誰?私は…?」キョロキョロ



雷「そんな……そんな、嘘よ……」

エックス「くっ、完全に暴走している…やむを得ない、処分する!」

電「そんな、待ってください!……サンフラワードさん!!私です!電なのです!!!」



サンフラワード「暴走…?違う。イレギュラーは正当ではないが『有効』なコードだ。」


サンフラワード「処分する権利など、誰にもありません。」ギラッ!




サンフラワード「さあ、あなた達も退場してもらいましょう。この世界に残るのは新世代型レプリロイドだけでいいのです。」ヴォン

サンフラワード「『レイガン』」バシュン!


エックス「クッ!」バッ!

雷「何するのよ!!」バッ!

電「サンフラワードさん!」バッ!


サンフラワード「…やはり人間のように簡単には死んでくれませんか。」ハァ…

エックス「人間……サンフラワード!ここの研究員達を殺したのはお前なのか!?」

サンフラワード「私以外にいないでしょう。古き者はそのまま消え逝く運命…ならば私が終わらせても問題ないはず。」




電「そんな……そんな、嘘です……」ヘナッ…


雷「電……サンフラワード。」ギリッ…

エックス「サンフラワード……お前を処分する!!」ジャキン!


電「…司令官!待ってください!!」スクッ…

エックス「電?」



電「……教えてください。あなたが一緒にいた人達を殺してまでも欲した新世代型レプリロイドの世界と言うのを……それを実現させるのに、所長さん達は死ななければならなかったのかを……」ギュッ!


サンフラワード「君達に話しても無駄だ。我々新世代型のレプリロイドが考える理想を理解できるわけがない。」

エックス「サンフラワード…!」



雷・電『…そんなこと、勝手に決めないでよ(ほしいのです)!!』


サンフラワード「艦娘…深海棲艦を討ち滅ぼすために生まれた者ですか。人を救うために生まれた君達と人を駆逐し新世代型レプリロイドのみの世界を築く私達では存在理由が根本から違う。」


雷「私達とあなたの存在が違うのは当然知ってるわよ。」

電「存在理由が違ったとしてもお互いに意見する事は出来ます……話し合うことだって出来ます!!」

サンフラワード「そのつもりは無いと言っているのです。」バシュン!

エックス「危ない!」バッ!

電「キャッ!!」

雷「電!!」


ズダァン!



雷「……話し合うことも、出来ないの…?」ギリッ…

エックス「ダメだ、こちらも反撃を……」チャキッ

電「ま、待ってください!」ガシッ!

エックス「い、電!?」グッ…



サンフラワード「仲違いしている暇なんてありませんよ!」ババッ!

電「サンフラワードさん!私は人間も、深海棲艦も、レプリロイドもイレギュラーも…みんなが傷付かない世界にしたいのです!!」



サンフラワード「」ピタッ




エックス「電……」

雷「…………」

サンフラワード「……ハハハ、味方だけでなく敵も救いたい?あなた達艦娘は深海棲艦を倒すために生まれたはず。その存在理由を否定するのですか?」

電「人を襲うなら私達も砲を向けます。ですが、出来るなら敵も助けてあげたい……その考えは間違っているのでしょうか?」

サンフラワード「ありえない!君の考えは笑えるほどの理想だ!!私でも理解出来ない!!イレギュラーなのは君の方じゃないのか!!?」



エックス「電…昔、俺も同じ事を夢に思った事がある。だけど、それは……」

電「夢のまた夢…遠い理想、そう言いたいのは分かってるのです。」




電「でも、サンフラワードさんが叶えようとしている理想も、私と変わりませんよね?」ニコッ





サンフラワード「!!?」


電「サンフラワードさんの理想は私達には理解出来ないと言いました。今話した私の理想もサンフラワードさんは理解出来ないと言いました。」




電「答えてください。あなたと私の理想の違いを。新世代型で頭のいい貴方なら分かるんですよね?」






サンフラワード「………フフフフフ。」


サンフラワード「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!!」


サンフラワード「馬鹿げているとしか言えないな!その議論は!!」ピピピッ!



ギュォォォォォ…


エックス「空から…?まさか!!」ガシッ!

電「はわわ!」カツガレ

雷「ちょ、ちょっと司令官!?」カツガレ


サンフラワード「照準を駆逐艦、電に固定!」

サンフラワード「『アースクラッシュ』!!」ピカッ!



バシュゥゥゥゥゥン!!!




エックス「クッ…ゼロとは違い、上から……!!」ザザァァ!

電「はわわ、空から…」

雷「あ、危なかった……」

サンフラワード「衛星からの攻撃を君達は避け続けれるかな!?」ババッ!


バシュゥゥゥゥゥン!!!

バシュゥゥゥゥゥン!!!




エックス「ぐぅ…このままじゃ……」ザザッ!ダッ!!

電「………」



雷「……電、まだ諦めてないんでしょ?」

電「…はい、なのです。」

雷「……分かったわ。」フッ


雷「司令官、ごめん!」バッ!

電「…」バッ!

エックス「雷、電!」


サンフラワード「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!!担がれていれば逃げ切れたものの!さあ、跡形もなく…」

雷「調子に…乗らないでよね!」バシュン!


パァァン!ピカーーーッ!!




サンフラワード「照明弾を当てた所で私に傷は……」




電「サンフラワードさん!!」

サンフラワード「……なるほど。今のを目眩ましにして背後に。」クルッ



エックス「電!!ダメだ、奴に近付くのは危険だ!!」

電「サンフラワードさん!私より頭がいいなら…高性能AIを持ってるって言うなら…私達にも分かるよう教えてください!!あなたの望む理想には、みんなが元気になる…笑顔になれる世界なのですか!!?」

サンフラワード「そんな物は…そんな物、新世代型の私達には必要ないのです!!」



雷「それは嘘ね。」

電「あなたが言ったヒマワリの花言葉、私達は覚えているのです!」





サンフラワード「」ピクッ




エックス「……攻撃が、止まった?」




サンフラワード「……花言葉?」

雷「あなたが自分で作った花言葉…」



雷・電『笑顔を咲かせる。』




サンフラワード「…笑顔を、咲かせる……」

雷「(戻って来てよ……サンフラワード…!!)」

電「…………」






所長『バカ野郎!そこはこれでいいんだよ!!』

サンフラワード『違います!そんなただの平凡な訓練場にするなら私など必要ないでしょう。』




所長『楽しい訓練所か…その発想は無かったな。』

サンフラワード『人もレプリロイドも生きている中に楽しさがあるからこそ成長できる…そう!我々は成長できるのです!』


所員A『サンフラワード、楽しい要素って言ったら…』

サンフラワード『だからもっとアトラクション要素を取り入れて…そうです!クリアタイム等で評価を取り入れて………』

所員A『だからそれを聞いてるんだろうが。』


所長『クハハハ!最高だなおい!!お前みたいな奴が来てくれたのはマジで幸運だ!!』

サンフラワード『そうです!その笑顔です!私はヒマワリ型のレプリロイド…誰もが笑顔になれる、大輪を咲かす花のレプリロイド!皆さんの顔にも笑顔という大輪を咲かせますよ!!』

所員B『うるせぇ二人とも仕事してください。』

所長・サンフラワード『え、私(俺)?』


アッハッハッハッハッ!!!






ジジジ……ヴォン




サンフラワード「…私は、何を……?」

電「サンフラワードさん…?」



サンフラワード「………おや、これは懐かしい顔ですね…雷さん、電さん。」


雷「……サンフラワード?」

エックス「正常に、戻ったのか…?」

電「サンフラワードさん!」パァァァ…

サンフラワード「正常…?いや、それより皆さん!その傷は一体!?すぐに治療班を呼びますので安静にしていてください!!」アワワ!

エックス「いや、こんな傷…」


サンフラワード「所長も所員の皆さんも一体な…に、を………」ピタッ






サンフラワード『新世代型以外の生命は必要ありません。当然、あなた達も…』

所員A『所長!所長!!』ユサユサ!

所員B『サンフラワード!目を覚ましてくれ!!』

サンフラワード『耳障りですよ。』ヒュッ!


ズシャッ!!


所員B『』ドサッ

所員A『サンフラワード!やめてくれ!!元に…元のお前に戻ってくれよ!!サンフラワード!!!』ガシッ!

サンフラワード『その口を閉じなさい。』ヒュッ!

グシャッ!


所員A『』ドサッ

サンフラワード『さて…では、他の生き残りの処分をしなければ……』カツカツ…






サンフラワード「………ぁ…」




エックス「……サンフラワード?」


サンフラワード「………ああ、そうか。私が……所長を……皆さんを………」


サンフラワード「クックックッ……」




サンフラワード「アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!」






エックス「……サンフラワード。お前のした事は許される事じゃない…だが!正常に戻ったお前なら、罪を償えるはずだ…!!」

サンフラワード「…フフフ、データで見た通り……あなたは優しい方だ。」フッ…





サンフラワード「だが…残念ながら、重ねた罪は贖罪の範疇を超えている。」ピピピッ!



エックス「サンフラワード!お前…!!」

サンフラワード「照準…オプティック・サンフラワードに固定。」


ギュォォォォォ…



サンフラワード「……エックス。君達が望むあの方の目的と居場所のデータはこの部屋の奥にあります。」


雷「サンフラワード!!」

電「サンフラワードさん!!」



サンフラワード「雷、そして電……頭のいい私から君達に最期の言葉を贈りましょう。」











サンフラワード「イレギュラーは『有害』なコードだ。処分することこそが彼らの…私達への救いになる。」クルッ









雷「サンフラワード!!!」

電「サンフラワードさん!!!」






サンフラワード「…所長、皆さん。次はどんなアトラクションを…作りましょうか………」




バシュゥゥゥゥゥン!!!

ジジジ……ドカァァァァァァン!!!!





電「…サンフラワード、さん……」ジワッ

雷「…バカよ……頭がいいくせに……バカ…バカ………」グスッ…


エックス「……サンフラワードは、最後にけじめを付けたんだ。イレギュラーとしてではなく、ただ一人のレプリロイドとして………」




電「……行きましょう、雷、司令官。」グイッ

エックス「電…」

雷「電…?」グスン



電「はやく、この戦いを終わらせましょう。」ジワッ…

雷「………うん。」グイッ



エックス「…ああ、その通りだ。」





《鎮守府・中庭》



雷「いなずまぁー、何植えてるのー?」

電「えへへ…ヒマワリを植えてるのです!」

暁「ヒマワリー?ヒマワリもいいけどもっと大人っぽい綺麗な花も植えたら?」フフン!

響「大人っぽい花って言うと、例えば何だい?」

暁「え?えーと………チューリップ?」


響「……………」

雷「……………」

電「それじゃあチューリップは隣の花壇に植えるのです!種あったかなぁ…」クスッ

暁「わ、私も手伝うわ!たしか種なら倉庫にあったはず!」スタタタタ

雷「ちょっと暁!私も行くわ!」スタタタタ

響「…しかし、何故急にヒマワリを?」

電「えへへ…」




電「みんなに元気で、笑顔になってほしいからです!」ニコッ!





『閑話 海軍 navy』




《大本営・軍令部》



ダイナモ「……以上が、依頼された情報だ。」

海軍大将「……そうか。」

ダイナモ「あと、あんたの部下…先遣隊が行方不明になったって言ってたが……桜紋の首輪、コレがそうじゃないのか?」コトッ

海軍大将「………ああ。」スッ…

ダイナモ「……悪いが、こうなる前に俺を頼ってほしかったと思うよ…大将。」

海軍大将「止めたんだがな……アイツも若すぎたんだよ。」

ダイナモ「艦娘相手に若すぎるなんざ言うのはアンタぐらいだよ。」ハッ


ダイナモ「……いやー、でも苦労しましたよ。そんな相手だ、俺もツレも轟沈寸前になるわけだ。」ヘラッ

海軍大将「それは御苦労だったな。…すぐに各鎮守府に伝達し、精鋭部隊を送り込む。」


ダイナモ「あー、ちょい待ち。それに関しては…おそらく必要ないと思う。」

海軍大将「…なに?」

ダイナモ「どうやらレッドアラートさんがエックス君達に今回のイレギュラー多発事件の依頼をしているらしくてね…これだけ時間があれば真相に辿り着いてるでしょ。」


海軍大将「…彼らが決着をつけると?」

ダイナモ「間違いなく、やる。」



海軍大将「…いいだろう。ならば連携をとるため彼らに言伝をお前に依頼しよう。」

ダイナモ「構わないが…それは別口の依頼と考えて構わないな?」ニヤッ

海軍大将「…抜け目ない奴だ。」フッ…



コンコン、ガチャッ



「失礼します。」

海軍大将「…ここまで運んでくれ。」

「はい。」


カラカラカラカラ…


「失礼します。」スッ…


ガチャッ、バタン


ダイナモ「…随分な美人さんが台車で持って来たソレ……報酬のアレか。」スッ…

海軍大将「何故コレを我々が保管していた事を知っているのか…何故コレを必要とするのか…それについては深入りする気は無い。」

ダイナモ「大丈夫ですって、ちゃーんと使い方には気を付けますから。」パシッ


海軍大将「当たり前だ。『ナイトメアソウル』…それが何百と融合を繰り返した危険物だぞ。」


ダイナモ「危険性は承知してますって。切り札として使うだけですから。」スッ…

ダイナモ「さて、じゃあ言付け依頼の交渉を…」


ヒュッ!


ダイナモ「っと。」パシッ!

ダイナモ「……缶?開封口の形からして飲料系の物……」

海軍大将「高速修復材…巷ではバケツと言われている物、それの原点となる物だ。」

ダイナモ「いやいや、高速修復材はたしか入渠中の風呂に混ぜて使う物だろ?なんでこの飲み物っぽい缶が…」

海軍大将「その缶は100年以上前にロボットの補給として使われていた高純度のエネルギー缶だ。だが製作コストが缶1つに対してありえないほど高額であり、サブタンクが開発された事で世間に出回ることがなくなった。」

ダイナモ「古き高級品…ねぇ。消費期限とか大丈夫なの?」

海軍大将「私の秘書艦と部隊のみに支給している物であり、とある場所で秘密裏に作らせている…その心配は無い。」

ダイナモ「すげぇ越権行為の臭いがしますね、コレ。」

海軍大将「いらんなら返せ。言伝は他の者に頼む。…考えてみればそれ1つで轟沈寸前の艦娘が完全復活する代物だからな、言伝程度の対価にしては高過ぎるか……」

ダイナモ「不肖このダイナモ、この依頼に全力でかからせてもらいまーす。」バッ!


タタタッガチャ、バタン







海軍大将「………武蔵。お前が沈む相手か。」






スタスタスタ…


ダイナモ「…しかし、こんな小さな物が高級品ねぇ……エネルギーのEの文字が書かれてるが…E缶ってか?まさかそんな安直な名前じゃ……」スタスタスタ



ダイナモ「…あ。」ピタッ





タタタッガチャ!


ダイナモ「で、エックス君に何を伝えればいいんで?」

海軍大将「……お前、交渉に向いてないぞ。」





『第10話 最後の戦い last battle』




《鎮守府・司令室》



夕張「持って来たデータの解析終わったよー。いやー…ヘリオスのデータが一番解析早かったわ。…はい。」ポイッ

大淀「わっと。」パシッ

エックス「御苦労だった、夕張。…大淀、始めてくれ。」

大淀「了解。敵の情報を確認…」カタカタカタカタ…

ピピピッ!


大淀「……元特A級イレギュラーハンター・シグマ。目的…新世代型レプリロイドのみで作られる理想郷……それによる人類、レプリロイド全ての排除。」



エックス「シグマ…!」ギリッ…

ゼロ「なんとなく予想はついていたが…ここまで来ると呆れるな。」

アクセル「シグマってエックス達が何度も戦ってきた黒幕のやつでしょ?諦めるって言葉を知らないのかな…」

長門「これほどの執念を別の所に使えば提督達以上の英雄になれたかもしれないな。」



陸奥「だけど新世代型のみの世界って…それって可能なのかしら?」

大淀「確かに…いくら何でも一人のレプリロイドが全新世代型を掌握するなんて……」









「出来るんだよなー、それが。」




全員『!!?』バッ!!




ダイナモ「どーも、御無沙汰。」スタッ

エックス「ダイナモ!無事だったのか!!」

ダイナモ「生きることに関しちゃ人一倍欲が強くてね……大鳳の治療、ありがとさん。」

大鳳「ありがとです。」ヒョコッ

長門「大鳳!?お前はまだ安静に…」

ダイナモ「海軍大将からいただいた高級高速修復材を使ったから心身共に大丈夫なはずよ。」ポンポン

大鳳「復活です!」フンス!



アクセル「ダイナモ…前にエックスが言ってた……」

ゼロ「大鳳の保護者兼、何でも屋だ。……だが、海軍大将からってのはどういう事だ?」

ダイナモ「まあ、全部話せばさっきの話と繋がるから…1から説明しようか。」

大鳳「します。」



ダイナモ「まず始まりは俺と大鳳に極秘調査の依頼が来た時の事だ。」




《夕張達に救助される少し前・とある島の近海》



ダイナモ「いやー、エックス君とゼロ君のおかげで仕事が入る入る。」ザァァァァァ…

大鳳「嬉しい限りです。」ザァァァァァ…

ダイナモ「エックス君の名前を出せば闇討ちの心配もいらないから安心して仕事もできるしねー。」

大鳳「提督が人外の鎮守府ではペットフードが出てくると思いました。」ムゥ…

ダイナモ「だったらエックス君の鎮守府はガソリン辺りが出て来ないとダメなんじゃない?」ケラケラ



ダイナモ「さ、雑談はここまでにしようか。」ピタッ

大鳳「ここから陸に上がると海域外になるので艦装及び艦載機の使用は不可となります。」

ダイナモ「…前から思ってたけど、お前が持ってる艦載機って……ボーガンだよね?」

大鳳「マガジンによってマシンガンにもなります。」フンス!

ダイナモ「………ま、それじゃあここで待っててくれ。」

大鳳「了解です。」コクン





《島内部・新世代型レプリロイド製造場》




ダイナモ「………なるほど、こりゃ…大将直属の依頼なわけだ。」





ガシャァァン!!パラパラパラ…

ガコーン…ガコーン……





ダイナモ「(新型レプリロイドのパーツに、深海棲艦の破片…ね。同族と認識させればイレギュラーとならずに済むってか?)」スタスタ…

ダイナモ「…!!あの桜紋の首輪は……」ピタッ





「今や人類は新型レプリロイドに頼らなければならなくなった、そうだろう?」


ダイナモ「!?」バッ!





VAVA「ネズミの気配を感じてみれば、大小含めて二匹…か。」スッ…

ダイナモ「…こりゃ、どうも……VAVAさん、だったかな。伝説を潰し損ねた憐れなイレギュラーってのは耳にしてるよ。」チャキッ

VAVA「殺し屋と言うのは皮肉も言えるのか。」ククッ…


VAVA「新型レプリロイドに深海棲艦の部品…これだけの情報があれば自ずと分かるだろう?これが何を意味するかなど。」




ダイナモ「……今、新型さんが人類に武器を向けたら…って話だろ?」



VAVA「普段はここに来るまでに始末をするのが俺の役目だが…エックスとゼロ、アイツらと戦った事があるんだろう?」

VAVA「少々味見をさせてもらおうか。」ガシャン


ダイナモ「…もしかしてだけど、シグマの旦那が裏にいたり……とか?」

VAVA「いないと思うか?」ククッ


ダイナモ「…ま、こちらも一度戦ってみたいと思ってたんでね。御相手をよろしくお願いします…よッ!」ブォン!!

VAVA「ハッ!」ズドンッ!!


ダァァァン!!


ダイナモ「もうちょい様子を見ようかね…!!」ヴォン!


ダイナモ「『アースゲイザー』!!!」ズドン!!

VAVA「面白い!『メテオレーザー』!!!」ダダァン!!



ダン!ダァァァァン!!!

ズダァァァァァン!!!





タタタタタッ!パシッ!!


ダイナモ「よし、桜紋の首輪は迷惑賃としていただくよ。悪いねVAVAさん、今日はこれで帰るわ!!」ダダッ!


タッタッタッタッタッタッ!!



VAVA「…逃げたか。だが……」ニヤッ





《島・上陸部》



ダイナモ「待たせた!さっさとズラかる…」ザザッ!

大鳳「ダイナモ!!周辺近海に…!!」バッ!




ダイナモ「……なるほど、VAVAさんが逃がすわけだ。」




ゾロゾロ…ガシャシャン!

ザバァァァァァン!!……ガコン!!




大鳳「姫級が3、鬼が2……フラグシップも…!!」ギリッ…





ダイナモ「こりゃ、まいったねぇ……」ハハッ…






《現在》



ダイナモ「……ま、エックス君の所まで逃げ切れたのが幸運だったね。」

夕張「それであの損傷を………」



エックス「……新世代型全てに、深海棲艦の…」

ダイナモ「アクセル君みたいなプロトタイプ以外は全て…って見た方がいいかもね。」

アクセル「そもそも僕はどこで生まれたかすら分かってないし。」


ゼロ「…シグマの企みは分かった。あとは奴の居場所だ。」

エックス「それも解析済みなんだろう?」

夕張「まあ、ね。ただ…なんと言うか、灯台もと暗しってやつ……かな。」ポリポリ

大淀「MAPデータ、映します。」カタカタカタカタ

ダイナモ「(…あ。海軍大将から伝言があるんだが……ま、後で話すか。)」



ヴォン



大淀「これは……ッ!!」

長門「なッ!?」

エックス「…なるほど、な。」

ゼロ「大胆にやってくれるじゃないか。」

大鳳「あそこってダイナモと行った場所ですよね。」

ダイナモ「そうだねー。」

アクセル「あれ?ここってエックス達が…」

陸奥「ええ、私達最大戦力を投じて攻略した場所……」






大淀・夕張『聖地・MI。』





夕張「攻略後は復旧させてたって話は聞いていたけど…まさか乗っ取られていたなんてね。」

ゼロ「職員全てを新世代型で固めて深海棲艦対策としていたらしいが…まさかそれが仇になったとはな。」



エックス「よし、じゃあ編成を組む。出撃するのは…」


大淀「提督、1つよろしいでしょうか。」


エックス「…なんだ?」

大淀「今回の出撃はヘリオスを攻略した後であり、敵も情報を拾得して来襲する事は予測されていると思われます。」


ゼロ「…何か案がある、そう言いたそうだな。」

大淀「はい。皆さんが出撃している間に来てくださったお客様の力を借りれば、ですが。」

アクセル「客?」



コンコン、ガチャッ



「海の戦いと言えば私、それを忘れたのかい?」



エックス「……久しぶり。」クスッ





《鎮守府・吹雪達の部屋》



吹雪「敵の黒幕の場所が分かったって事は…」

金剛「イエース!出撃の準備をしとくべきネー!」

大井「私達が出撃するか分かりませんけどねー。ま、私は北上さんと一緒ならどこへだって…」ホワホワ…

北上「また別々だったりねー。」

大井「あれほど長門さんに殺意が沸いた事はありませんでしたわ。」ゴォゥ!

瑞鶴「また弓矢が無くなっても持ってけるか分からないからねー。」

加賀「その言葉、そっくりそのまま御返しします。」

吹雪「(どうなるんだろう……いろんな意味で。)」



ビビッ…ガガーーッ……


『こちらエックス。これより全艦に伝達がある。』


吹雪「提督の声!」バッ!

金剛「とうとう来ましたネー。」フンス!



『我々は今回のイレギュラー事件の首謀者、及び居場所の特定に成功した。』


瑞鶴「へー…やっぱり噂通りね。」

加賀「さすが提督です。」フッ…




『場所は…我々の因縁の地、聖地・MI。』


吹雪「!?」

金剛「聖地・MI……」

北上「……確実に安全と言われた場所が敵の本拠地なんて、すんごい皮肉ー。」




『それに対し、我々は第五遊撃部隊を除く全艦隊を持って制圧しに向かう。』


瑞鶴「………え?全艦隊?」




『全艦隊の陣形を各旗艦に伝える。この放送が終わり次第各艦隊の旗艦は司令室に来る事。』


加賀「…前とは違い、そこに全戦力を投入するなんて……」

大井「しかも私達を抜いて…提督は何を考えて……」


『放送は以上。旗艦はただちに来るように。』



ガガーーッ…ブツッ!



吹雪「提督……」

金剛「ブッキー!早くゴー!!」ビシッ!

吹雪「こ、金剛さん?」

加賀「すぐに納得のいく言葉を聞いてきてください。」

瑞鶴「前の鎮守府奇襲をを考えての事だろうけど…そこら辺聞いといてくれない?」

北上「まー提督もちゃんとした考えはあると思うけどねー。ね、大井っち。」

大井「……ま、まあ。私が唯一認める人ですからね!…一応。」


吹雪「わ、分かりました!吹雪…行ってまいります!!」ビシッ!



ガチャッ、バタン!タッタッタッタッ…




瑞鶴「…加賀さん、ほんとは全く心配してないでしょ。」

加賀「当たり前です。私達の提督はそんじょそこらの提督とは違うんですから。」

大井「なんてったって姫相手にチャージショット二発で倒すんですもの。」

金剛「イエース!テイトクがいれば何があっても大丈夫デース!」フンス!



北上「(……だけど、提督の攻撃が通じないほどの敵が出た場合……私達が束になっても勝てるのだろうか………)」





《出撃当日・鎮守府前》


ザザァァァァン……ザザァァァァン……




エックス「ゼロ、後は頼んだ。」

ゼロ「任せておけ。お前も…死ぬなよ。」

エックス「ははは……」ポリポリ



エックス「それじゃ……全艦!出撃!!」



バシャシャシャシャン!!!!!


ザァァァァァァァァ!!!!






ゼロ「…盛観だな。」


金剛「ゼロー!hurry up!!」ブンブン!

ゼロ「ああ、分かってる。」ダッ!





《聖地MI・領海内》


ザァァァァァァァァァ……



長門「……妙だ、静かすぎる。」

陸奥「確かに…いくら敵の領海内ではないと言っても、ここまで近付けばさすがに何かしらのアクションは来るはず……」ハッ!



陸奥「提督、敵影を確認!!」バッ!!

エックス「場所は!!」




ザバァァァァァァァ!!!!


ザバッ!ザバッ!!ザバッ!!!



陸奥「前方、左舷右舷…囲まれています。しかもこの数……敵の総戦力かと。」

エックス「……分かった。」ニヤッ





エックス「全艦!昨日の作戦通りに展開!!各部隊の旗艦の指示に従い戦闘せよ!!」バッ!!


『了解!!』



長門「さ、我々は前方からの敵を対処するぞ。」

陸奥「こっからが重要なんだから…変身も含めて頑張ってよ、アクセル。」



エックス「分かってるって。」ニカッ





《海中・戦艦内》


ゴォォォォォォォォ………



エックス「…この船に乗るのも、随分と久しく感じるな。」

ゼロ「俺は初めてだな。」

吹雪「わ、私は初めてです!」

金剛「ワーオ…妹達にも見せてあげたかったデース。」

加賀「潜水艦の見る光景を私達が見ることになるとは……」

瑞鶴「わー…魚群がすごーい!」

北上「凄い綺麗だねー大井っち。」

大井「はい!でも北上さんの方が…」モジモジ




「まったく…緊張感がない艦隊ね。」


エックス「ハハ…だけど、君も含めて頼もしい仲間だよ……マーティ。」



マーティ「…仲間、ね。」フゥ…


エックス「…?」

金剛「(ハッ!今…テイトクへのラブリー電波を受信したネー!まさか……!!)」ガタッ!

金剛「ヘイ!私のテイトクとどんな関係ネ!!」ビシッ!



マーティ「…へぇー、私の……ねえ。」ニヤッ


ツカツカ…ガシッ!

マーティ「エックスー、この子借りてくわよー。」ズルズル

エックス「あ、ああ…分かった。」

金剛「What!?力強ッ…!?」ズルズル…



ウィーン…ガシャン




ゼロ「……大丈夫なのか?」

副長「姉御のことでさぁ、10分もしたら戻ってきやすって。」

エックス「副長さんも…久し振りだね。」

副長「だんなもまたぁ…随分と別嬪さんに囲まれて。」


瑞鶴「べ、べべべ…別嬪!?///」カァ…

加賀「…悪くはありませんね。」フッ…

北上「おっ、北上様の魅力が分かられちゃったかー。」ホーゥ…

大井「北上さんの魅力に気付くなんて…さすが海の男ですわね。」ニッコリ

吹雪「……別嬪さんってなんですか?」キョトン



副長「……面白い仲間ですねぇ。」

エックス「ハハハ…」




ウィーン…ガシャン


マーティ「さあ!聖地MI近海はもうすぐだよ!準備はいいかい!?」ビシッ!

金剛「イエース!敵は待ってくれマセーン!全力で行くネー!!」ビシッ!


副長・エックス「(凄い仲良くなってる…!!?)」


マーティ「……頼んだよ、金剛。」ボソッ

金剛「…No problem.」ボソッ





《数分前・戦艦内廊下》



マーティ「………」

金剛「(部屋の外に連れ出されマシタ…一体何を……)」プルプル…


マーティ「…あの中でエックスを最も慕っているあなたにお願いがあるの。」

金剛「……?」



マーティ「エックスを…助けてあげて。」スッ…


金剛「助けてあげて……って、頭を下げるのをやめるデース!」アタフタ!

マーティ「……エックスは誰かを助けるために自ら傷付く事を厭わないわ。回復カプセルが壊れた時もそうだったように……自分の傷を誰にも見せない。」

金剛「!」ピタッ


マーティ「私と初めて会った時もそうだった……自分の傷より他人の傷を嫌う甘ちゃんだと言われた事もある…でも、それがエックスの強さでもあるの。」スッ…


ガシッ


マーティ「……そのせいで、エックスはイレギュラーを倒すための鬼になった事もあった…」ギュッ…


金剛「(握られてる手が、震えてる……)」




マーティ「…私はエックスと共に深海棲艦を倒すことが出来ない……だから、お願い。エックスに……鬼を、背負わせないで………」ギュッ…




金剛「……任せるデース!!」バッ!!


金剛「英国で産まれた帰国子女の金剛…テイトクの前で傷など負いまセーン!!」ビシッ!



マーティ「……ふふっ。頼もしいね。」ニカッ

金剛「……フフッ。」ニッ!


マーティ「…よし!みんなの所に戻るよ!」

金剛「イエース!戦闘準備を…」




マーティ「もし無事戻ったらエックスのミニホログラム、1つアンタにあげるよ。」

金剛「その話は詳しく聞かせてほしいネ。」ヒシッ




『閑話 WILD FANG』




《海中・戦艦内》



マーティ「ライドチェイサーは載せてあるけど、一応水上フットパーツは付けてるんでしょうね。」

エックス「ああ、問題ない。」

ゼロ「…だが、ライドチェイサーの調整チェックはするべきか。」

マーティ「私の部下がやったんだから完璧よ…と言いたいけど乗るのはアンタ達だからね。案内するから付いてきなさい。」クルッ

エックス「分かった。みんなは少し待っててくれ。」ザッ

ゼロ「………」ザッ


ウィーン、バシュン




吹雪「…………」ブルッ…


加賀「……怖い?」

吹雪「加賀さん……はい、少しだけ…」



加賀「………吹雪さん。あなたの憧れている赤城さん、そして同じ一航戦である私。元は鎮守府の主力である第一機動艦隊に所属していた私達だけど、配属してからすぐに第一機動艦隊に所属したわけではないわ。」


加賀「…むしろ、鎮守府待機の方が多かった。」

吹雪「えっ!?赤城さんと、加賀さんが…?」ガタッ!

瑞鶴「…それは初耳なんだけど。」



加賀「…配属された当初、私達二人は主戦力で活躍出来る力を自覚していたし、その自信もあった。」



加賀「だけど、初の出撃…提督が私達の実力を見るために第一機動部隊に仮入隊した時に思い知らされた……提督の力を。そして、それに付き添っていた随伴艦の力を…」





《仮入隊出撃・敵交戦時》



エックス『赤城!加賀!俺が前進する間に制空権を頼む!!』ザザッ!!

加賀『(は、速い!)わ、分かりました!!』シュッ…ググッ

赤城『艦載機、発か…』グッ…



ダダダダァァァン!!!


夕張『制空権確保!妙高さん提督の援護を!!』ザザァァッ!!

妙高『助かります夕張さん。足柄…後方は任せるわ。』ザァッ…ヒュッ!!

足柄「さーて、那智姉と羽黒の分まで暴れるわよー。」ガシャシャン!

赤城『なっ!?砲撃で制空権を…』

夕張『御二人も!止まらず援護を!!』ザザッ!!

加賀『わ、分かりました!』バシュン!





加賀「……私達の予想を遥かに超えた存在が、そこにあった。」

吹雪「…………」


加賀「その後は部隊から外され、第一機動部隊に入れる実力を付けるまで演習と鍛練を命じられた。……正直、誇りや自尊心が完全に打ち砕かれたわ。」

北上「…提督は情に厚いと思ってたけど、そういう一面もあったんだー。なんか意外。」

大井「……ですが、それも1つの優しさかもしれません。激戦を強いられると言われてる第一機動部隊…安易な情で流され部隊に入り、沈まれるよりは余程……」





シーン…




大井「な、なんですの?」

北上「いや、普段の大井っちならてっきり提督に嫌味の1つや2つ言うかと。」

金剛「いつもの二人を見てる私達としては今のが意外デース。」

大井「なッ!別に北上さんは意外と言ったわけであって批判したわけじゃないですし正しい事は正しいと言うのは普通であって!」アタフタ



金剛「…これは……むぅ、判断に迷うネ。」

瑞鶴「なんの判断よ。」

金剛「提督に恋…いや、信用?信頼……取り合えず要注意デース。」

大井「私は北上さん一筋です!」ガーッ!





加賀「…そんな私達も演習と鍛練を積み、第一機動部隊に入隊する事が出来た。」

加賀「心を砕かれ、腐りそうになったりもした……だけど絶対に諦めず、それを試練として受け止めた。」

加賀「あなたが改になるのを諦めなかったのと同じように。」

吹雪「!!」



加賀「試練は乗り越えられない人に襲いかかりはしない……あなたは赤城さんや私と同じ爪を研ぎ続けて来た者。もっと自信を持ちなさい。」フッ…


吹雪「加賀さん……はい!!」





瑞鶴「加賀さんにそんな過去があったなんて……でも今なら夕張さんや妙高さんに勝てるんじゃない?」

加賀「無理ね。今の私でも妙高さんや夕張さんには勝てないわ。第一機動部隊に入れたのも実力より欠員の埋めだと私と赤城さんは今でも思っている。」サラリ

瑞鶴「…随分はっきり言うわね。」



加賀「…艦載機を発艦しようとも関係なく静かに近付き、的確に急所を撃ち続け轟沈させる重巡艦……射程範囲内であれば私達が発艦する矢が艦載機に変わる前に撃ち落とす軽巡艦……あなた、この二人を前にして勝てると思ってるの?」

瑞鶴「なにそれ化け物じゃん。」






『第11話 誇り dignity』




《聖地MI・近海》


ゴゴゴゴゴゴ……


ザバァァァァァン!!!!



マーティ「海上確認……ハッチ開放!射出!!」

副長「射出!!」



バシュシュシュシュシュシュシュシュン!!!



ヒュゥゥゥ…バシャシャシャン!!!


エックス「第五遊撃部隊、出撃!!」ザァァァァァ!!!

ゼロ「遅れるなよ!」ザァァァァァ!!!

吹雪・金剛・北上・大井・瑞鶴・加賀『了解!!』ザァァァァァ!!!




マーティ「…行ったね。」

副長「はい。」

マーティ「……敵の動きは?」

副長「高速潜水により気付かれずに来れやしたが、海上に出た事により敵がこちらに接近。数は100前後。だんなが土壇場で編成を変えた後に我々の護衛に付けてくれた子達は既に配置に着いてやす。」

マーティ「…分かった。」



ガガッ!


マーティ「こちら艦長、マーティ!敵は後方から100近く来ているわ!各部隊はこれを迎撃!補給と修理はこの艦に戻れば出来るから…間違っても沈むんじゃないわよ!!」





《前方・左陣》



天龍「りょーかい…っと。100か……厳しい戦いになりそうだな。」トントン

龍田「天龍ちゃんったら張り切っちゃって。」クスッ

天龍「…ま、提督達がケリを付けるまでの時間稼ぎだ。なんとかなるさ。」

龍田「あら?天龍ちゃんなら軽く殲滅するー…ぐらい言うかと思ったのに。」

天龍「そこまで身の程知らずじゃねえよ。それにヘタな指揮をしちまうと駆逐のコイツらが痛い目を見ちまうからな。」クイッ


暁「むぅ、バカにしないでよね!前よりパワーアップした暁の力、見せてあげるんだから!!」ガシャン!

響「不死鳥の羽ばたきを見せてあげる。」ガシャン!





《前方・右陣》



川内「みんな準備はいいね?生き残る事が大前提…中破近くになったら各自判断で退いて修理を…」

那珂「こうなったら戦闘面で神通姉さんを抜いてアピールを…」ブツブツ

神通「…那珂。川内姉さんの話…聞いてた。」ニッコリ

那珂「ひゃい!」ゾクッ!


川内「…そういうわけだから、お前達も生き残る事を考えろよ。」

雷「分かってるって!でも、倒すことも救いになると教わった…だから!!」ガシャン!

電「全力で戦うのです!!」ガシャン!






《前方・中央》



足柄「さーて…片っ端から倒すわよー。」ゴキゴキッ!

那智「そんな発言ばっかりするから鬼神と間違わられるんだぞ、足柄。」ハァ…

羽黒「ハハハ…でしたら足柄姉さんが妙高姉さんを超えれば……あ、もしくは赤城さんみたいに伝説を作れば…」

那智・足柄『後者はともかく前者は無理。』

島風「連装砲ちゃん!空から援護お願いねー!」ブンブン!


ゴォォォォォ…

連装砲's『……』フリフリ



足柄「…ま、島風を除いて元祖第一機動部隊のメンツが中央にいるんだから……抜けれるわけないってね。」ニヤッ

羽黒「妙高姉さんと夕張さん、前の方で何か話してますね……何話してるんだろう…」ザァァ……





《前方・中央最前衛》



チャプン……ザザァァ……


妙高「このメンバーでの出撃はいつ以来でしょうか…」

夕張「私と妙高さんがキレた時以来ね。……今でも実戦演習は姉妹だけなの?」

妙高「私の指導はスパルタらしいですから、他の子だとトラウマになるかもしれませんし。…秘密裏にやってましたが、もうバレてるかもしれませんね。」

夕張「(それに耐え続けてる羽黒達は何者よ…)」


夕張「まあ、秘密にしなくてもいいんじゃない?提督も現場に復帰したし、また元祖第一機動部隊を組むのも面白いかもよ?」


妙高「……そうですね。誰かさんが水鬼相手に青ざめていたと言う噂話も耳にしましたし…今回の活躍を見て提督に打診してみましょう。」クスッ

夕張「…ナンノコトデショウカ。」タラーッ…

妙高「……フフッ、分かってますよ。提督のカプセル修理…ゼロさんの水上フットパーツの製作……身体が鈍ってても仕方がありません。」

夕張「それに主力艦不在と睡眠不足も追加しといて。」




羽黒「(…二人とも、あの頃を思い出すと信じられないくらい仲良くなったなー……)」ジーッ…

足柄「(提督を批判する妙高姉さんと提督を信頼する夕張さんって図式だったから仕方がないわよねー。)」ジーッ…

那智「(仲良いことに越したことはない。)」ジーッ…

島風「(三人立ち止まって何してるんだろ…?)」



夕張「さて、今回は防衛戦だけど……妙高さんはどう動く?」

妙高「旗艦を倒して指揮系統を排除。撤退する者は追わず来る者だけ沈める…くらいですね。」フム…

夕張「りょーかい、じゃ…私は撃ち落とす方向で動くから…」


足柄「ちょっと妙高姉さん、作戦立ててるなら私達にも伝えてよー。」ザァァ…

妙高「聞き耳立ててたのだから大丈夫でしょ。」

那智「バレてたか…」

夕張「あれだけ視線浴びれば分かるわよ。」

羽黒「(敵数100は油断できない数だけど…どうにかならない数じゃない。ここで特訓の成果を生かせるよう頑張らなきゃ!)」フンス!

島風「ねーねー羽黒ー。」

羽黒「島風ちゃん、どうしたの?」

島風「赤城さんで思い出したんだけどー…」




島風「提督も伝説のレプリロイドなんだよね?あの二人って結婚するの?」


夕張・妙高『』ピクッ


那智・足柄・羽黒『』





羽黒「し、島風ちゃん!なんで急にそんな!!?」アタフタ

島風「だって提督の机の中を覗いたら結婚(仮)の紙が見えたもーん。」

那智「そ、それは本部から貰った物だろう!おそらくそうに違いない!!それに赤城と結婚するとは限らん…」

島風「でも受け取ったって事は結婚するんだよね?そうなると伝説の肩書きを持つ赤城さんと提督ってお似合いだよねー。」

足柄「島風、ストップ。」




妙高「……夕張さん。赤城さんの伝説は…」

夕張「…一艦隊で10の敵に完全勝利。」

妙高「…今さら10程度を潰しても噂にすらならないわね。」

夕張「…そうね。」







妙高・夕張『とりあえず100は沈めましょう。』ゴゴゴゴゴゴ…




羽黒「」ガタガタガタガタ

那智「ヤバい…キレた時より殺気立ってる気がする……」ダラダラダラ

足柄「右陣!左陣!巻き込まれないよう気を付けて!!駆逐の子達は気分が悪くなったらすぐに撤退しなさい!!!」ガガッ!

島風「おぅ……なんか凄そう!島風も負けないんだからね!」ビシッ!

羽黒「(アレを見た感想がソレ!?)」





《同時刻・エックス率いる第五遊撃部隊》



ザァァァァァァ!!



エックス「聖地MI目前…金剛、水上電探は?」

金剛「反応無し…敵は島内部に密集してるかもしれないネ。」ピピッ!

瑞鶴「全員陸戦プロテクト解除チップは入れてあるけど…これなら陸戦ももう少し積むべきだったかも。」

北上「…でも敵が一体もいないってのは違和感バリバリだね。」

大井「警戒網みたいな物も無し…敵は何を考えて……」





ヒュゥゥゥ………



加賀「…!!提督!ゼロ!飛び降りてください!!!」バッ!

エックス「!!」ババッ!!

ゼロ「!!」ババッ!!



ヒュンッ!ダダァァァァァァン!!!!


吹雪「ライドチェイサーが!!」

ゼロ「砲撃だと!?」バッ!

金剛「そんな…電探は反応してないのに……!!!」ババッ!!







「クックックックッ………電探は本来、視界の悪い場所で敵と仲間を見分けるためにある……そうだろう?」



エックス「!?この声は…」

ゼロ「懲りない奴だ…!」



ザバァァァァァン!!





シグマ「久しぶりだなぁ…エックス!ゼロ!!」



エックス・ゼロ『シグマ!!』




金剛「…!!そんな…電探に敵反応が急に…けど……そんなバカな……」

加賀「金剛…?」





金剛「あの男から……レプリロイド、艦娘の反応も出てるネ……」

全員『!!?』




シグマ「ここまで身体に馴染むとは…さすが、新型レプリロイドと深海棲艦……そして艦娘のパーツで造られた身体は違うな。」クククッ…

ゼロ「艦娘の…パーツだと?」

エックス「!?まさか、川内と夕張から報告のあった…あの武器製造工場で!!」

シグマ「ああ、そうとも。そして私の思想に共感し、この身体を造り上げたルミネには更に感謝をしなければなるまい。」クククッ…


エックス「ルミネが!?」

ゼロ「……変だとは思っていた。誘拐されたにも関わらずSOS信号を発していない理由が気になっていたが……」


北上「(存在をすっかり忘れてた事は黙ってよう。)」




エックス「シグマ!ルミネはどこにいる!!」

シグマ「会いたいか?この事件の元凶とも言える存在だ…会いたいよなぁ?」グッ…



ザバァァァァァ!!





吹雪「えっ!?」

瑞鶴「なっ!?」





ルミネ「」ジジジ…バチバチッ!!


エックス「ルミネ!?」

加賀「……あなたの協力者ではなかったのですか?」キッ!

シグマ「ああ…私の身体を造り、理想に共感してくれた者だった。……だが、そこに私を踏み台にする感情が見えていたのでね…」


シグマ「ボディーが完成した後は、海の底で夢が叶うのを見てもらうことにしたのだよ。」ポイッ


ガシャン!ズダァン!!


ドカァァァァァァァン!!!




バシャシャシャッ…


シグマ「安心しろ、粉々になったお前の上から…残り8つの遺体を送ってやる。」ニヤリ


エックス「シグマ……貴様ぁぁ!!」ジャキン!!





エックス「ゼロ!同時に行く!!」バッ!

ゼロ「ああ!!」ババッ!


エックス「『チャージショット』!!!」ガシッ!

バシュゥゥゥゥゥゥン!!!


ゼロ「『アースクラッシュ』!!!」ガガッ!

ズダダダダダァァァァァン!!!





シグマ「フン!」ヴォン!


ガキィィィィィン!!!

吹雪「!?提督とゼロさんの攻撃が…!!」

金剛「バリアー!?」


シグマ「お前達二人の戦闘データなど腐るほどある…当然、対処しないわけがないよなぁ?」ニヤリ





北上「見栄を張るのは勝手だけどさ…」バシュン!

大井「私達の事を忘れてません…か!」バシュン!

シグマ「魚雷か…これは怖いなぁ?」ニヤッ



ゴォォォォォ…………




北上「…えっ!?」

大井「二発同時に不発だなんて…!?」


シグマ「ルミネはお前達が倒した者のパーツを使ったと言っていたが…素晴らしい特性を持っていたようだ。」



シグマ「中間棲姫の性能と御対面する感想を聞かせてくれるか?」クククッ


北上「中間棲姫、たしか特性は……」

大井「雷撃、無効……」ギリッ…



加賀「(この空気、MIと同じ…)五航戦!!爆撃機を同時に!!!」ググッ…

瑞鶴「わ、分かってるわよ!!」ググッ…

加賀・瑞鶴『発艦!!』バシュン!!!


シグマ「…ククッ!」ガシャン!!


ダァァン!!ズガガガガァァァァン!!!




加賀「ッ!?」

瑞鶴「三式弾…ッ!?そんな、どうしてその弾を…!!?」





吹雪「北上さん!大井さん!魚雷が効かなくとも攻撃手段はあります!!」ジャキン!!

金剛「イエース!私達の本気を見せるネ!!」ガシャン!!

北上「…ッ!少し面食らったけど……」ガシャン!

大井「そう…私達にだって砲台はある!!」ジャキン!


ダァァン!!ダァァン!!ドカァァァン!!!


シグマ「フン!」スッ…


ズカァァァァァァン!!!!



吹雪「全弾命中!!」

金剛「MIの時と違い私達は改二、威力も前とは段違いに……!!?」バッ!!







シグマ「…お前達との戦いで最も必要な物……幾多の戦いにより答えが出た。」



シグマ「攻撃でもなく、速さでもない。全てを防ぎきる耐久力……だとな。」ニヤリ





北上「うそ……」

大井「無傷だなんて…ッ!!」




シグマ「中間棲姫の装甲に艦娘の装甲、そして新型レプリロイドのパーツ。全てを組み合わせたワシの身体に貴様達の攻撃は通らん!!」


金剛「ハッ!火力を捨てて装甲を強化したのなら、装甲を貫くまで撃ち続けるのみネ!!」ガシャン!!!

ズダァァァン!!!




シグマ「…ククッ。装甲を強化した…が、火力を下げたとは言ってないぞ?」ガシャン!

ズドドォォン!!!


ヒュン!ダァァァン!!



金剛「(砲弾を砲弾で撃ち落と……!?)」


ズダァァァァァァン!!!!



エックス「金剛!!」バッ!!

シグマ「二発撃ったのが見えなかったのかな?…いや、見えても避けれんか。」クククッ

吹雪「金剛さん!!」

瑞鶴「そんな…あんなの、ひとたまりもないじゃない……」ブルッ…






金剛「…Shit……テイトクに貰った、大切な装備が……」グラッ…グッ!


シグマ「…ほぅ、まだ沈まぬか。だが…もう一発で終わるか?さすがはワシの元まで攻めて来た艦娘よ。」ニヤッ

シグマ「褒美に、お前も沈んだらワシの身体の一部にしてやろう…この戦艦『武蔵』のように。」ククッ…


加賀「戦艦武蔵…対空と耐久力がトップレベルの艦娘…三式弾を撃ったのも……」ギリッ…

瑞鶴「中間棲姫に戦艦武蔵のハイブリッドなんて反則じゃない…!」

北上「それに加えて新型レプリロイドのパーツ…反則以前に同じ盤上で戦えるかも怪しいよね。」





シグマ「だが、こんな状態で貴様達を壊しても恨みが晴れそうにないなぁ……ワシを殺した鬼を殺さねば、な。」ガシャン!

エックス「!」


シグマ「まずは一人、沈んでもらうとしようか。」ズダァァン!!!



吹雪「…え?」

エックス「しまっ…吹雪ぃぃ!!!」

金剛「!!」










マーティ『お願い…エックスに、鬼を背負わせないで……』










金剛「グ…ぅ……!!」フラッ…ガキィン!



金剛「がぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」ガバッ!!


吹雪「金剛さん!?」



ヒュンッ!!ズダァァァァァァン!!!!





《同時刻・囮部隊》



ズダァァァァァァン!!!!



長門「なっ!前方で砲撃音だと!?」

アクセル「え!?エックス達が交戦してるの!?」

陸奥「あなたいつの間に変身を解いて…」


長門「(マズい…予想としては島内部での戦闘だと思っていたのに……こちらの戦況は問題無いが…)」


長門「…!アクセル!!」

アクセル「ん?なに?」ズダダダダダダダダ!!!

長門「すぐに提督の所に向かえ!こちらは我々でなんとかする!!」ガシャン!ズダァァァン!!!

アクセル「え、でも…」

陸奥「この作戦は提督が勝利することが大前提なの…あなたが行けば勝率は上がるし、なにより提督が見つかってる時点であなたの役割は完遂している。」ガシャン!!ダダァァァァン!!!

長門「行け!アクセル!!」

アクセル「……分かった!!」ダッ!!!


ザァァァァァァ!!!





長門「…さて、こちらのメンツが一人欠けたが。」

陸奥「問題ないでしょ…だって私達二人がいるんだから。」フフッ



ザバァァァン!!


ゾロゾロ……ゾロゾロ……




長門「ビックセブンの一人…長門型一番艦、長門。」ジャキン!

陸奥「同じくビックセブンの一人…長門型二番艦、陸奥。」ジャキン!



長門・陸奥『二人のビックセブンに勝てると思うな。』



ズッダァァァァァン!!!

ダァンダァン!!ドカァァァァァァァン!!!







エックス「金剛!!」


シグマ「仲間をかばって轟沈か…なかなか感動するシーンだな、エックス。」クックックッ…



エックス「…俺は、また……仲間を失うのか………俺のせいで、また………」ググッ…







金剛「…轟沈?…ハッ……ジョークは顔だけにしとくネ………」ハァ……ハァ……


吹雪「金剛さん!」

シグマ「…ほぅ、あれを直撃しながらも沈まんか。」

金剛「…テイトク直伝、忍法“我慢の術”……ネ。」ニッ



金剛「……テイトク。金剛は…私達は、この程度では沈みまセン。」




金剛「…もっと、私達を頼ってほしいデス。」ニコッ




エックス「金剛………ありがとう。」フッ…




ゼロ「…さて、問題は山積みで笑えん状況だが。」ヴォン!

エックス「ああ…でも、諦めるつもりはない!」チャキッ!

金剛「イエス!それでこそ…テイトクデース!!」バッ!

北上「…ま、内部にはしっかり効いてるかもしれないし……手を止める理由は無いよね。」グイッ!

大井「新世代型のパーツだろうと、艦娘のパーツだろうと…勝つまで撃ち続けるだけ!!」ガシャン!

瑞鶴「覚えておきなさい…諦めが悪いのが第五遊撃部隊の真骨頂なんだから!!」ニッ!

加賀「…こればかりは、瑞鶴に同意します。」フッ…

瑞鶴「!!加賀さん、今…名前で……」

加賀「…集中しなさい、瑞鶴。」

瑞鶴「…はい!!」バッ!!


吹雪「(私も…守られてばかりじゃない!たくさん頑張って改から改二になったんだから…!!)」グッ!


モゾモゾ…


吹雪「…?身体に何か……!!」

金剛「ブッキー、どうかしたデスカ?」

エックス「吹雪?」




吹雪「司令官、そしてみなさん。突破口が1つ…見つかりました。」






シグマ「貴様らの攻撃は通らんよ。例え束になってもなぁ!!ガァーハッハッハッハッハッ!!!」



エックス「……それは許可できない。いくらなんでも危険すぎる。」

ゼロ「一発で金剛が大破する相手にお前は……」

吹雪「でも、これは隊の中で一番速い私にしか出来ません。司令官……許可を。」

エックス「だが…!」



吹雪「……いつしか司令官は言ってくださいました。」

吹雪「私が火力の無い駆逐艦である事や、身体が小さいために第五遊撃部隊で一番体力の無い事を相談した時に……大切なのは『級』や『身体の大きさ』ではなく、自分を信じる『誇り』だと。」


吹雪「司令官!!私の『誇り』を信じてください!!!」バッ!!


エックス「吹雪……」




金剛「テイトク…行かせてあげるべきネ。」


エックス「金剛…」


北上「今の所、これ以上通用しそうな作戦が無い上に長期戦は私達には圧倒的に不利……」

大井「吹雪さんも間違った事を言ってません。」

瑞鶴「…提督、彼女はこの第五遊撃部隊のリーダーです。」

加賀「私達は信じています…ですので提督、あなたも信じてください。」



エックス「……吹雪。」

吹雪「はい。」



エックス「…すまない。提督である俺こそが、君を最も信じてあげるべきだったのに……」

吹雪「…第五遊撃部隊の絆は、凄く強いんですよ…司令官。」ニコッ



エックス「お前の『誇り』を信じる。絶対に生きて帰って来い。」

吹雪「はい!!」




シグマ「長い作戦会議は終わったか?いいぞ?いくらでも待ってやる…その分、何も出来ない絶望が深まるからな。」ニヤッ



北上「それじゃ…大井っち!合わせるよ!!」ジャコン!!

大井「任せてください!北上さん!!」ジャコン!!


バシュシュシュン!!



シグマ「ぬぅ?魚雷だと?そんな物が俺に効かぬと…」スッ…




北上「残念ながら、照準は…」フッ

大井「あなたの目の前ですわ。」ニッ



カカッ!ズドドドォォォォォン!!!


シグマ「ぐぬぅ!水飛沫で視界を…!!」



加賀「狙撃準備!瑞鶴!!合わせなさい!!」ギリリッ…

瑞鶴「はい!加賀さん!!」ギリリッ…


加賀・瑞鶴『発艦!!』バシュン!!



ヴォォォォ…ズダダダダダダ!!!


シグマ「フン!その程度…目眩ましにしかならんわ!!」キンキンキン!!




金剛「イエース…艦載機の攻撃が弾かれるのは分かってマース。ですが……」


金剛「戦艦の砲撃を…正面から受けるのはどうネ。」ガシャン!

シグマ「しゃらくさい!あと一撃喰らえば轟沈する貴様を先に…!!」ガシャコン!


エックス「させるかッ!」チャキッ!

エックス「『スクイーズボム』!!」バシュシュン!!


ズォォォォォ…


シグマ「グッ!砲口に何を…」



エックス「『スクイーズボム』は飛び道具…砲弾を吸収し無力化する。」

金剛「だから今は…私の砲撃を思う存分喰らうしかないネ!!」ダァァン!!



ズガァン!ズガガァァン!!



シグマ「フン……結局は正面からの砲撃しか出来んのか!!それで倒せると思っているのかぁっ!!?」

金剛「なら全砲門……尽きるまで喰らうネ!!」ガシャシャシャン!!!

エックス「お前を倒し、仲間を守る!!『チャージショット!!!』」バシュゥゥン!!

ゼロ「倒せるかどうかじゃない、倒すんだよ!!『アースクラッシュッッ!!!』」ガガッ!ズガガガガァァァァン!!!




ズダァン!ズダァン!ズダァン!!



シグマ「面白い!だがその弾が尽きた時が貴様らの最後と思え!!」グォッ!!







ザァァァァァ……





吹雪『まずは北上さんと大井さんの魚雷で視界を塞ぎます。』





ザァァァァァァァァ……





吹雪『その後に加賀さんと瑞鶴さんの二人で攻撃をしてください。それにより相手は攻撃するために視界を遮ったと認識するはずです。』






ザァァァァァァァァァァァ…





吹雪『そしてダメ押しに金剛さんと司令官達が正面から砲撃をしてください。着弾点をたまに手前にずらして水飛沫がかなり飛び散るくらい派手なのが理想的です。』





ザァァァァァァァァ!!!





吹雪『それにより相手の視界と思考は完全に前に向きます。つまり……』





ザァァァァ…バシャッッ!!!!




吹雪『背後はがら空きになります。』






吹雪「届けぇぇぇぇぇ!!!!」グォォォッッ!!!


シグマ「ヌッ!貴様いつの間に…!!」クルッ






バシッ!!!






シグマ「フン!」バキッ!

吹雪「キャッ!!」ズシャッ!




シグマ「…艦娘の分際で、ワシに殴りかかるとは面白いやつめ。」ニヤッ


金剛「ブッキー!!」

シグマ「だが、その威勢は気に入った。まずは貴様から海の藻屑にしてやろう。」ジャキン!!






エックス「……作戦、成功だな。」ニヤッ







…ガシャン……ガリ…ガリガリ……






シグマ「…?なんだ、この音は……」


吹雪「……新世代型パーツ、深海棲艦と艦娘の武器と装甲を取り入れた完全体と言いましたよね?」ググッ…

シグマ「なにィ?それがどう……」















吹雪「艦娘の武器や装甲を使って強化されているのなら…当然、『解体』も出来るって事ですよね?」ニヤリ





ガガガ…バキン!バキバキバキ!!


シグマ「グオォッ!き、貴様…さっき殴ったのは……」

吹雪「強化から解体まで出来る妖精さんを取り付けました。パーツを組み合わせた完全体…1つ抜くだけでどうなるんでしょう。」


ガシャシャシャン!バキィィン!!!


シグマ「か、身体が…ワシの身体が崩れていく!!ありえん!!こんな…こんな事でぇぇ……!!!」ギギギィ…バキィン!!



吹雪「『誇り』を…『知恵』と『勇気』を提督とみんなが信じてくれたのなら、私は『希望』を作り出す事だって出来るんです!!!」バッ!!


シグマ「小娘がぁ…小娘ごときがぁぁぁぁぁ!!!」グォォッ!!

金剛「ブッキー!!Hurry up!!!」

吹雪「…ッ!!?」ガクン!


吹雪「(しまった…はたかれた時、足の駆動部が……)」




シグマ「死ねぇぇい!!!」ブンッ!!

吹雪「(そんな…司令官との約束を……私は………)」ギュッ…

エックス「吹雪ぃぃぃぃ!!!」







バシャァァァン!!!





吹雪「……あれ?生きて、る?」


島風「きゅーしゅつせーいこうっ!!」ザァァァァァ!!


エックス「島風…!」

金剛「ナイスデース!ゼカマシー!!」グッ!

ゼロ「……いや、違うな。」フッ



島風「ありゃりゃ…ゼロにはバレてたか。」


シュン!


アクセル「スピードが欲しかったからね…間に合ってよかった。」

吹雪「あ、アクセルさん!?」


エックス「アクセルだったのか…」

ゼロ「お前は気付け、エックス。」

金剛「ワーオ、全く分かりませんデシタ。」

北上「(いや、片手で抱き抱えてるんだから一目で分かるでしょ。)」

大井「(まあ、金剛さんはそういう所抜けてますし…)」

瑞鶴「(そう考えると提督と金剛さんって相性いいかも。)」



加賀「全く見分けが付きませんでした…さすが、新世代型ですね。」フッ…

北上・大井・瑞鶴『!?』



アクセル「さーて…あとはボロボロになったイレギュラーが一体か。」

シグマ「貴様ァァ…エェックスゥ……ゼロォ……艦娘どもめェエェエェエェ!!!」




エックス「ゼロ、今までの因縁…」

ゼロ「ああ、ここで断ち切るとしようか。」

アクセル「じゃあそれに…僕も混ぜて、もらうよ。」




エックス「イレギュラーハンター、エックス。」チャキッ!

ゼロ「同じく…イレギュラーハンター、ゼロ。」ヴォン!

アクセル「レッドアラート所属、アクセル。」チャキキッ!




『任務を開始する!』





《同時刻・囮部隊》



ダダァァン!!ドカァァァァァン!!!!


長門「…今ので全部か。」ジャコン

陸奥「みたいね。」

長門「よし……各旗艦は点呼を取り仲間の安否を確認!大破、中破した者がいる場合は周りが支援しながら撤退!まだ動ける者はそのまま前進!提督の援護に向かう!!」


『了解!!!』



長門「夕張達は……いや、心配するだけ野暮か。」フッ…





《同時刻・戦艦付近》



妙高「…夕張さん、何体ヤりましたか?」ガシャン

夕張「40…いえ、42だったかしら。」ガシャン

島風「ちがーう。夕張が43で、妙高が45。そして私が5ー。」ブイッ!

妙高「……合わせて93。…足りませんね。」フゥ…

夕張「足りないわね…」ハァ…

島風「100までもう少しだったのにー。」ブーブー




羽黒「……なんで島風ちゃんはアレに混ざれるの……」ガタガタガタ

那智「…提督はあの三人を連れてった方が良かったんじゃないのか?」

足柄「後方の憂いを断つのならあの3人の方が絶大な安心感だけどね。」

那智「…左陣と右陣は……」キョロキョロ

足柄「…龍田と那珂が駆逐の目隠ししてるわね。」

那智「賢明な判断だな。……羽黒、しっかり。」

羽黒「ひゃいっ!!?」ビクーン!

那智「…さ、全員戦艦に戻り提督と連絡を取ろう。もし必要なら援軍に行く事も考えて。」

足柄「…まあ、敵はほとんど二人が片付けたから弾薬も燃料も体力も有り余ってるしね。」ハハッ

羽黒「妙高姉さーん!すぐに戦艦に戻りま…」





島風「…あ!さっき提督が海上で戦ってるって無線入ってたよね!」ピコーン!

妙高「…まあ、島での戦闘を予想していた分驚きましたが……入りましたね。」

夕張「第五遊撃部隊の人数分のプロテクト解除チップを間に合わせるのに必死だったのに…凄い徒労よ。」ハァ~…


島風「じゃあさ!じゃあさ!W島にはまだ敵がたくさんいるよね!?」ピョンピョン!


妙高・夕張『…………ほぅ。』





那智「おい、誰か島風黙らせろ。」

足柄「もう手遅れよ。」

羽黒「……延長戦、かぁ…」ヘナッ…





天龍・川内『……』←妙高達の強さに驚く半面、暴れ足りなく不満を表している人達


龍田・神通『……』←妙高達の強さに驚く半面、攻め方や動き方を学んで試したくなってる人達


那珂「……………」←妙高達の悪鬼すら逃げ出す殺戮っぷりに軽くトラウマになりかけているアイドル





《同時刻・聖地MI近海》



ズダダダダァァン!!ザシュッ!!!

バシュゥゥゥゥゥゥン……ドカァァァァァァァン!!!!!





シグマ「ク…グォ……」ガシャン…バチバチバチ……


エックス「終わりだ、シグマ!!」ジャキッ!

ゼロ「長い付き合いが終わると言うのに、全く名残惜しくならない相手はお前くらいだろうな。」ヴォン!

アクセル「生まれ変わったらゾンビが天職かもね。」ガチャチャッ!





シグマ「ク…クックックッ……終わらんよ………」

エックス「なに…?」



シグマ「深海棲艦と艦娘…この2つが何故地球に現れたか……それを知らないお前達では……何も変えられん……」


ゼロ「…シグマ、貴様……何が言いたい。」




シグマ「……人もレプリロイドも…艦娘も……死を前にした時、憎しみや悲しみが生まれる……」

シグマ「当然……『恐怖』も現れる…そうだろう、エックス……」ククッ…

エックス「…………」



シグマ「コロニーの落下で大量の人間とレプリロイドが滅んだ……その時に少なからずとも誰もが思ったはずだ………」


シグマ「『何故、俺が死ななければならない』……『どうして、アイツが生きてるんだ』……と…」


ゼロ「…………」




シグマ「その怨念……怨嗟…全ての負の感情が…シグマウィルスを取り込み………海の底に沈んだ………」


エックス「…!!まさか……」






シグマ「そうだエックス………深海棲艦の正体は…ワシのウィルスを媒介とした死者の負の感情その物だ…!!!」




アクセル「そんな…!」

シグマ「そして艦娘の小娘達………深海棲艦が負の感情で生まれたのなら………お前達がどうやって生まれたのか………」


加賀「…深海棲艦が負の感情なら、私達は正の感情……そう言いうのですか?」




シグマ「…生物の生存本能で生まれた艦娘………だが、深海棲艦に対して艦娘の数が…圧倒的に少ない時点で…結果は見えてるものよなぁ……」ククッ…


吹雪「正の感情より負の感情の方が多いってことですか…?」

北上「……まぁ、たしかに私がもし沈んだとしても…笑って死ねるとは思えないし。」

大井「わ、私は北上さんと一緒なら喜んで死にますわ!!」




シグマ「…クックックッ………何故、戦いが終わらないか……わざわざ説明してくれるとはな………」

瑞鶴「な、何の話よ!!」

エックス「……!!」ハッ!





シグマ「死者の感情……戦い死に逝く艦娘の感情も例外ではないぞ……」


全員『!!』





シグマ「お前達が深海棲艦と戦い……沈めば沈むほど……深海棲艦は生まれる……それも…海戦を得意とする……お前達の物がな……」


吹雪「そんな…そんな話!嘘にきまって……」


シグマ「…姫に、鬼……お前達に似ているとは…思わないかぁ……?」ニッタリ

吹雪「!!?」





シグマ「クククッ……死に逝く運命にお前達が絶望し…地球が滅びるのを楽しみにしているぞ………」バチバチバチ…バキン!!


シグマ「ガーッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」ゴォォォゥ!!!




ミシミシミシ……ドカァァァァァン!!!!






エックス「……………」

金剛「……テイトク…」


ゼロ「聖地MIに向かうぞ、エックス。」クルッ

瑞鶴「ちょ、ちょっとゼロ!今の話を聞いてなかったの!?私達の敵が…」

アクセル「そりゃそうだけど、まずは元を断つのが先なんじゃないの?」キョトン

瑞鶴「うっ!そりゃ、そうだけど…」タジッ…

加賀「…これだから瑞鶴は。」ハァー…

瑞鶴「……名指しで呼ばれる方がなんかムカつく!!」ビキビキッ!




エックス「……そうだな。…聖地MIの制圧に向かう!俺に続いてくれ!!」ガシャン!


全員『了解!!』ガシャン!!!



ザァァァァァァァ………






聖地MI攻略戦。


聖地MIの制圧は近海での戦いより軽い物であり、ものの数時間で完全制圧された。


そこにはエックス率いる第五遊撃部隊だけでなく、陸戦プロテクト解除チップを付けた数人の艦娘の姿も確認されたらしい。


しかしその現場は凄絶たる物であったため戦闘データは機密資料となり、何があったのか詳しく知るのは現場にいたエックス達と上層部の限られた者達だけであった。






『エピローグ 海色』




《鎮守府付近・高台》



ザザァーーン……

ザザァーーン……





吹雪「…………」



エックス「ここにいたのか、吹雪。」

夕張「ほら、もうすぐ祝賀会が始まるわよ。」

ゼロ「こんな所で何してたんだ?」



吹雪「………司令官。」

エックス「…どうした。」



吹雪「深海棲艦は死者の魂から作り出されていると言うのなら……」

吹雪「私達の戦いは…いつ、終わるのでしょうか。」



エックス「……昔、俺も吹雪と同じ疑問を持った事があるんだ。」

エックス「その時、対峙していた敵に言われたよ。『争いは決してなくならない』ってね。」

吹雪「!」

夕張「…………」

ゼロ「…………」







『人間が不完全である限り、人間に造られた俺達も不完全なのは当然だね…』



『その当然の結果を人間がイレギュラーとして否定し続け、貴様のようなエセ英雄が生まれる世の中である限り…』



『レプリロイドによる独立は叫ばれ続けるね…』




『俺達の一号機が発明された時から人間との関係は決まってたのさ…』




『俺達レプリロイドは……現世にいながら無限地獄をさまよう……機械仕掛けの…デク人形…さ………』







エックス「……吹雪。俺達が滅ぶのが運命だと言われようとも…それでも俺は、みんなが平和に暮らせる世界を望むよ。」

エックス「例えそれが、途方もない未来の先だとしても……」


吹雪「司令官……」



ゼロ「それにな…吹雪。もし俺達が滅ぶのが運命だったとしたならば、その運命ってやつと戦うのが俺達だ。」

ゼロ「それとも…これで終わりだと諦めるのがお前か?」


吹雪「ゼロさん……」



夕張「まだやれる事はたくさんあるのに…しけた面するんじゃないの。」ハァ…

吹雪「夕張さん……」

夕張「深海棲艦の発生が怨念、怨嗟が原因ならそれをどうにかすればいい。…私達は物事の改善を目指して今日まで生きてきた。そしてこれからも……そうでしょ?」ニコッ


エックス「…ああ、そうだな。」フッ…

夕張「だから吹雪、そんな不安そうな顔をしない。あなたの笑顔で救われる人もいるんだから。」ナデナデ

吹雪「……はい!」ニコッ!



エックス「さ、行くぞ…吹雪。」

吹雪「はい!!」







21XX年、深海棲艦に対抗するために生まれた新型レプリロイドの暴走事件。

全ての黒幕はイレギュラー化していたルミネにより復活したシグマであった。

その情報が確定した物と判断した政府はコピー能力を持つ新世代型レプリロイドの初期ロットを破棄し、製造を中止させた。

深海棲艦に対抗できるのは艦娘のみと改めて知った政府は、海軍に対して更なる予算や設備を投入することとなった。


しかし、エックスから報告された深海棲艦の正体は世間に混乱を招かないよう、海軍上層部と研究者以外知ってはならない極秘の物となった。






そして極秘裏に研究が進められ、とある科学者達の力により深海棲艦の問題を解決する糸口が見付かるのは…22XX年。


約100年後の話になる。







---ねえ、司令官…---




---たとえ私が海色に溶けたとしても---




---あなたの声は聞こえるでしょうか---





---…憧れ、未来、絶望、喪失、別離……---




---…煌き、青空、希望、敗北、水底、眠り……---




---いくつもの哀しみと涙を越えたあなたの声を、聞くことが出来るでしょうか……---





---その声さえ聞ければ、私は未来へと歩き出せます……---






---司令官、あなたと共に……---








吹雪「…司令官!」



エックス「どうした、吹雪。」







吹雪「これからも、よろしくお願いいたします!!」ニコッ!






本編はこれで終わりです。


続いてはエックス達が出撃している頃にダイナモと大鳳が鎮守府の防衛をする『裏話』です。





『裏話 紛い物 imitation』

※X7要素も含まれています。




《鎮守府・近海》



ザザァァァン……


ザザァァァン……




ダイナモ「……来ないねー。」

大鳳「…来ませんねー。」


ダイナモ「鎮守府の防衛…これで二度目か。」

大鳳「しかもノーギャラ…ダイナモの交渉能力の無さに呆れます。」





《作戦開始・少し前》



ダイナモ『じゃあ今回の鎮守府防衛に関しての交渉を…』

長門『ん?それは前に交渉しただろ?』



ダイナモ『…え?』

長門『ん?』



ゼロ『…前回の交渉を覚えてるか?』

ダイナモ『そりゃもちろん。』

ゼロ『お前の要求は大鳳の風呂と飯、そしてお前のエネルギー補給。こちらの要求は鎮守府の防衛…だったな。』

ダイナモ『そうだね。』



ゼロ『…お互いにいつまでとは言ってなかったよな?』ニヤリ

ダイナモ『あ。』

大鳳『あ。』



ダイナモ『いや、だが普通に考えてそのとき限りの雇用だと…』

長門『そもそも、その交渉を使って先日大鳳を入渠させたのはお前だろうが。』

ゼロ『期日に関しては何も言えないはずだが?』




ダイナモ『…やっちまったな。』ポリポリ

大鳳『…やっぱりダイナモは交渉がクソ下手クソですね。』

ダイナモ『わーお、身内も辛辣。』

エックス『ははは……』





ダイナモ「…まあ、あまりの不憫さにエックス君が臨時収入を出すって言ってくれたから良かったけどね。」

大鳳「伝説のレプリロイドと言われるだけあります。」ウンウン


大鳳「…むしろ、このまま敵襲も無ければ臨時収入だけもらって待ち惚けの仕事になりますね。」

ダイナモ「前みたいに鬼が一匹程度だったらなんとかなるんだけどねー。ま、静かなことに越したことは無い。」






「ピアノで、音を出さない静寂を音楽とした者がいるらしい。」






ダイナモ・大鳳『!』バッ!!



ヴォン……シュン





VAVA「だが、何も聞こえなければただの空白でしかない。音色も…そして悲鳴もな。」

ダイナモ「…こいつは、お久し振りで。」ヘッ…

大鳳「これが、VAVA……」



ダイナモ「…悪いけどVAVAさん、エックス君は出撃中でね……ここにはいないんだよ。」


VAVA「…シグマは何も分かっていない。俺よりヤツと対峙しながら、その真価を引き出せずにいる。」

VAVA「奴の奥底に眠る鬼…俺を二回も破壊した“鬼を殺す鬼”、それを殺してこそ俺の最強は証明される。」



大鳳「……難しい話は分かりません。」ボソボソ

ダイナモ「本気の相手を倒したいって事だろうよ。」ボソボソ



ダイナモ「…で、VAVAさんの目的は何なんです?……まあここに来たのだから、何となく予想は付きますがね。」


VAVA「…アイツが鬼になる時、それは怒りが振り切れた時だ。」


VAVA「はたして、帰る場所である鎮守府が破壊されて……ヤツは甘ちゃんでいられるかな?」ククッ…


大鳳「…とんでもない発想をしますね。」

ダイナモ「ホントにね。」




VAVA「さあ、まずは前奏から始めようか。」ガシャン!

VAVA「貴様らの断末魔を皮切りにし、素晴らしい音色を奏でさせてもらおう。」



ダイナモ「悪いけどVAVAさん…二対一で負けるほど俺達は弱くないですよ?」チャキッ

大鳳「そちらに合わせた言い方をするなら…トリオ、と言うべきでしょうか。」ガシャン!


VAVA「ほぅ……ならせっかくだ、三重奏より素晴らしい物にしてやろう。」パチン!



ザバッ!ザババッ!!

ゾロゾロ…ゾロゾロ……




VAVA「さあ、狂想曲を奏でようか。」



ダイナモ「こりゃまた凄いオーケストラだこと…」

大鳳「(前に見たのと同じ、姫と鬼の群れ……私だけじゃ、これは………)」グッ…

ダイナモ「………」スッ…





ポンポン

大鳳「!」

ダイナモ「リラーックスだ、リラーックス。」ナデナデ

大鳳「ダイナモ…」


ダイナモ「…大鳳、飯は?」

大鳳「た、食べました。」

ダイナモ「風呂は?」

大鳳「!…入りました!」

ダイナモ「昼寝は?」

大鳳「そこそこです!」




ダイナモ「…イケるか?」


大鳳「余裕です!」ブイッ!


ダイナモ「…じゃ、持ちこたえな。」フッ

大鳳「はい!」ジャキン!



ダダッ!ザザァァァァ!!





ダイナモ「……そういうわけだから、悪いねVAVAさん。オーケストラにソロシンガーをぶつけさせて貰うわ。」スチャッ

VAVA「安心しろ、閉幕のベルは平等に鳴り響く。」ガチャン


ダイナモ「なら、まずはアンタから退場させてやるよ!」ブォン!!


VAVA「お前に出来るとは思えんがな。」バシュン!!




ブォンブォン!ダンダンダンダン!!

ズダダ…ズダァァン!!!





ザァァァァァァ…ダダァン!

ドカァァァン!!!



大鳳「………」カシャン、バシュン!!

駆逐水鬼「……」ガシャシャン!!


ズダダダダダダダ!!!



大鳳「(大丈夫…今回は撤退じゃなく、抵抗戦……持ちこたえてみせます。)」バシュシュン!!




駆逐水鬼「…!」ザバァ!!!



大鳳「!…なるほど。空母には接近戦に持ち込めば楽に勝てる……そう判断しましたか。」カチャリ




ズダダダダダダダダダダダァァァァァァン!!!!!



駆逐水鬼「」グラッ……ズシャシャ!!






大鳳「マガジンの弾は…十分ある。……この際、徹底的に撃滅しましょう。」チャキッ





バシュゥゥゥゥゥン!!!ズダダダダダァァァァン!!!!


ヴォン!!ザザッ!!!バシュゥゥゥゥン!!!




VAVA「…お供が気になるか?逃げるなら構わんぞ。もしくはこちらが雇ってもいいがな。」スタッ!

ダイナモ「悪いけどこれも仕事なんでね、VAVAさん。それに…二重契約はしない主義なんだ。」スタッ!

VAVA「前に命惜しさにシグマに付いたのだろう?また寝返れば救われるかもしれんぞ?」クククッ…


ダイナモ「……VAVAさん、こう見えても俺は感謝してるんですよ?」

VAVA「…なに?」





ダイナモ「『ユーラシア事件』、全責任の請け負い…ありがとうございました。」ニヤリ

VAVA「………」


ダイナモ「仕事に支障が出そうだったからでっち上げの噂を流すのに苦労したんだが…VAVAさんが生きてる事を耳にしまして。名前を勝手に御借りしました。」ヘラッ

VAVA「…ほぅ、貴様だったか。だが感謝するのはこちらの方だ…コロニー落としと言う恐怖の代名詞を譲ってもらったんだからな。」ニヤリ


ダイナモ「ハハハ…電子回路に異常がある人は怖いってのを今更ながら痛感しますよ。」

VAVA「貴様みたいなレプリロイドを受け入れているエックス共も十分イカレてるだろう。」

ダイナモ「あの頃はユーラシア落下事件の首謀者はシグマの旦那で、俺は二人を邪魔する傭兵…で通っててね。真実はだーれも知らない。強いて言うなら今からエックス君達に破壊されるであろうシグマの旦那とVAVAさんだけだ。」


VAVA「なら丁度良い。貴様が死ねばコロニー落としは名実共に俺の手柄になるわけだ。さあ……」ジャコン!

ダイナモ「つまりVAVAさんが消えれば真実を知る者はいなくなるわけよ。だから……」チャキッ!







VAVA・ダイナモ『壊れて消えな、イレギュラー。』





ドォン!!ドォン!!……ズダダァァン!!!!


バシュッ……ズダダダダダダダァァァァァン!!!



大鳳「……この、程度………ビクともしない…わ………」ハァ…ハァ…


大鳳「(ちょっとキツいけど………どうする…こういう時、ダイナモなら……)」ハァ…ハァ…












ダイナモ『楽しそう?』

大鳳『ダイナモは何をするにも楽しそうに行動をしてますが…ネジでも外れてるんですか?』

ダイナモ『君は言葉にトゲが増えてきたよね。』


ダイナモ『…いつも気難しい顔をするより、ヘラヘラしているように見られようとも笑ってた方が楽しいと思わない?』

大鳳『……どうでしょう?』

ダイナモ『そこは賛同してほしかった。』



ダイナモ『…だが、戦ってる時に笑みを浮かべると罠があるって相手が勝手に勘違いするからな。』


ダイナモ『一回やってみな。』ニカッ











大鳳「……フフッ。」

鬼「!」ピタッ!

姫「!!」ピタッ!




大鳳「……笑顔も、捨てたものではありませんね…」クスッ





バシュシュッ………ドドドドドドッッ!!!!

ズガァァァァァァァァァァァン!!!!!





ダイナモ「………元特A級の実力は本物、かぁ……」ゼェ…ゼェ…

VAVA「景気の悪い面をしているな…寝ても構わないぞ?」スチャッ…



ダンダンダンダン!!


ダイナモ「クッ…!!」ササッ


ズダダダダダァァァァン!!!




VAVA「…命が惜しくて逃げるか?今なら見逃してやるぞ。」

ダイナモ「………」ハァ…ハァ…

VAVA「さっさと鎮守府を潰し、そしてエックス達を破壊する…伝説の破壊者はこの俺だ!!」





ダイナモ「……伝説、ね。」





ダイナモ「VAVAさん、こいつが何か…知ってるかな?」ゴソゴソ…


ヴォン…


VAVA「ナイトメアソウル、だと?」

ダイナモ「御名答。」ニヤッ

VAVA「…ほぅ、つまりそれがお前の切り札か?俺にぶつけ、ウィルスの侵食による暴走を狙う……」

VAVA「だが…残念だったな。新世代型のパーツで出来た俺のボディーにはそんな物は効かん。当てが外れたな。」クククッ…

ダイナモ「……悪いが、それは外れだ。」

VAVA「あぁん?」


ダイナモ「コイツはな…こうするんだよ!!」ガッ!!



バシュゥゥゥン!!!





VAVA「…気でも狂ったか?その高密度のナイトメアソウルを自分に吸収させるなぞ、イレギュラーでもやらんぞ。」

ダイナモ「…まあ、普通はそうだろうね。」



パァァァァ…バシュゥゥゥン!!



ダイナモ「…ん、よし。さ、第二ラウンドと行きましょうか。」チャキッ!

VAVA「ば…バカな!!貴様、何故アレを吸収して平気でいられる!!いや、それだけじゃない…何故パワーアップしている!!?」





ダイナモ「……20XX年、ロボット工学の歴史に名を刻んだ二人の博士が存在していた。」

ダイナモ「一人は平和のため、もう一人は我欲のため研究を進めていた。」

ダイナモ「そして最後に二人は、自分が最も優れたと思われるロボットを開発し…この世を去った。」


VAVA「昔話か?悪いが俺に興味はない!!」




ダイナモ「…だが、ロボット工学の天才は二人だけじゃなかった。もう一人いたんだよ。」

ダイナモ「二人が死んだ後、残された一人は二人の研究資料を元に1つのロボットを作り上げた。」



ダイナモ「ああ…自己紹介を忘れていたね、VAVAさん。」












ダイナモ「Dr.コサック、ラストナンバー…ダイナモ。」


ダイナモ「伝説の設計図で仕上がった、紛い物の伝説さ。」






VAVA「…き、貴様が伝説の紛い物だろうが関係ない!この場でスクラップになるような奴にはな!!」ガチャッ!


ダイナモ「……エックス君の鎮守府が全戦力を投入したこの戦い、何故俺達二人だけで防衛しているか…考えたりはしなかったんですか?VAVAさん。」

VAVA「…なに?」



ダイナモ「こう見えて色んな鎮守府に雇われて戦った身でしてね…自然とコネが出来るわけですよ。例えば…海軍大将とか。」






……ザァァァァァァ…





ダイナモ「それに加えて敵本陣に出撃しているエックス君達の鎮守府防衛だ……」






ザァァァァァァ!!









ダイナモ「援軍が来ないわけ無いだろ。」





ダンダンダァン!!

ズダァンズダァン…ドカァァァン!!!





「横須賀鎮守府、援軍に入る。」



「呉鎮守府……ダイナモ、借りを返しに来た。」



「この戦に勝利するため…佐世保鎮守府、援軍に参った!」



「舞鶴鎮守府…悪いが本気で殺らせてもらうぞ。」



「我らが救世主の鎮守府を狙うなど…大湊警備府、全力で御相手致す!」



「トラック泊地、リンガ泊地…共に援軍に参りました!」



「……ラバウル基地、大将の命により参陣した。」





ザァァァァァァ!!!



ダァァン!!ダァァン!!ドカァァァァァァァン!!!!!





ダイナモ「…あらら、なんかまだまだ援軍が来そうな雰囲気だねぇ。これもエックス君達のおかげかな?」

VAVA「貴様…これを予期して戦いを引き延ばしていたのか?」

ダイナモ「予期して?はは、それはVAVAさんも知ってるでしょ。」







ダイナモ「俺は自分の命が大事なんだよ。」ニヤッ





ズダダァァァァン!!ドカァァァァァァァン!!!!

ダダダダダダダダッ!!!!


大鳳「援軍が…!」チャッ

駆逐棲姫「!」チャキッ!


ズダァァン!!

大鳳「しまっ…」



ドカァァァァァァン!!!




大鳳「…く………ぅ…」グラッ…バシャン






大鳳『……あなたは、誰…?』

ダイナモ『…名前を聞く時はまず名乗るべきだと思わないかい?』

大鳳『私…ですか?私は………そう、私が大鳳。』

ダイナモ『…俺はダイナモ。』

大鳳『出迎え、ありがとうございます。提督、貴方と機動部隊に勝利を……』

ダイナモ『悪いが、俺は出迎えるためにお前の前に立っているわけじゃないし、提督でもない。当然機動部隊なんて物もない。』

大鳳『…提督では、ない……?では、貴方は………』


ダイナモ『金さえ積めばなんでもやる…何でも屋だ。』ニカッ





---これ……あぁ…初めて会った時……---




ダイナモ『…なんで着いて来るんだ?』スタスタ

大鳳『貴方が鎮守府を破壊したせいで私は所属のない艦娘になってしまいました。責任取ってください。』スタスタ

ダイナモ『いやいや、それに関しては契約を裏切ったそちらの提督さんの責任であって…』

大鳳『…じゃあ何でも屋に依頼します。私を連れていってください。』

ダイナモ『ほぅ…じゃあ契約料を払ってもらいましょうか。さっき生まれたばっかの君に払えるなら…だが。』ニヤッ



大鳳『貴方の元で働いて返します。』フンス!



ダイナモ『……ククッ…』

ダイナモ『アッハッハッハッハッハッ!!いいね!気に入った!!』パシンッ!


ダイナモ『いいぜ、来な。』クイッ

大鳳『!』パァァァ!







---…ああ……これが……走馬灯とかいう………---





---また……沈むのね……---


---でも…今度は暴れて見せたでしょ……?---


---いいわ……私は…満足………---








---……違う…---


---…いやだ……---





---…沈みたくない……---



---私……まだ…一緒にいたい……---






---………ダイナモ………---








バシャァァァン!!!




「あ、危ない所でした…」

「私達二人だけでも先行した甲斐がありましたね。」



大鳳「……ぁ………あなた……たち…は………」





飛鷹「呉鎮守府秘書艦…飛鷹。」

翔鶴「同じく、呉鎮守府旗艦…翔鶴。」


飛鷹・翔鶴『援軍に参りました。』




大鳳「…間に合ったんだ…ね………」

飛鷹「無理しないで…今、応急修理女神をお渡しします。」ガシャン

翔鶴「マリアナ沖海戦は一回で十分…そうでしょ?」ニコッ


大鳳「……はい。」クスッ





VAVA「……クックックックッ………」


VAVA「アッハッハッハッハッハッハッ!!!」



ダイナモ「?とうとうCPUが全部イレギュラーになっちゃいました?」

VAVA「クックックッ……お前、確か俺に言ったな?『援軍が来ないわけ無い』、と。」

ダイナモ「だから?」





VAVA「援軍が来ることなんざ想定済みなんだよ。」

ダイナモ「!?」バッ!



「!?提督!横須賀鎮守府海域に…し、新型レプリロイドが……」


「呉鎮守府にも敵影有り!!提督!!」


「佐世保鎮守府、海域に……!!」





VAVA「援軍に来た結果、帰る場所を無くすとは…かわいそうな連中だ。」ククッ

ダイナモ「………やってくれるね、VAVAさん。」ギリッ…

VAVA「鎮守府に最低限の防衛を配置していようが…今向かってるのはエックス達が苦戦したレプリロイドをコピーした新型だ。艦娘じゃ荷が重いだろうな。」

ダイナモ「…………」

VAVA「…後ろの連中が撤退してない所を見ると…諦めたか?そうだよなぁ、間に合うかどうか分からんだろうし…そもそも帰った所で勝てるかどうか。」ククッ

ダイナモ「…御忠告、どうも。」

VAVA「後方支援している提督も不憫だよなぁ。自分の鎮守府が勉強代になっちまったんだからよぉ。」クックックックッ


VAVA「それともそっちの鎮守府にも援軍が来る奇跡を祈るか?新型に敵う味方が来るように…ってな!」アッハッハッハッハッ!!






「ほぅ、なかなか鋭いじゃねえか。」






VAVA「……誰だ?」




スゥ……




レッド「お前のような奴を狩るのを仕事にしている者だよ。」スタッ

ダイナモ「……御会いできて光栄だね。『レッドアラート』のリーダーさん。」

VAVA「レッドアラートだと?何でここに…!?」

レッド「そこの何でも屋さんと同じように海軍大将さんから依頼が来てね…」




レッド「深海棲艦は専門外だが……イレギュラー狩りは俺達の得意分野よ。」ニヤッ





《横須賀鎮守府》



ズガァァァン!!



パンダ「」ガシャン…ドカァァン!!

ストンコング「コピーではなく経験を積んだ戦士であったならば…いい勝負も出来ただろうにな。」チャキッ


鳥海「これが、今のイレギュラーハンターに成り代わっている組織…『レッドアラート』……」

摩耶「戦士の名は伊達じゃねえ…ってことか。」

ストンコング「だが我々は深海棲艦に対しては無力だ。相手が深海棲艦だった場合は…よろしく頼む。」ビシッ!

鳥海・摩耶『り、了解!』ビシッ!








《呉鎮守府》



コケコッカー「バカな…!火力じゃ、火力じゃ負けてないはず……!!」


ヒュルルルル…ズドォォォン!!

ヒュルルルル…ズドォォォン!!

ヒュルルルル…ズドォォォン!!




コケコッカー「」ガシャン…ドカァァン!!



ハイエナード「輸送型超巨大メカニロイド…そして俺の分身2体……合わせて4対1。ま、物量の差だな。」スタッ


時津風「みてみてー!すっごくたかぁーい!!」

谷風「次は谷風が乗るんだからなっ!!」

雪風「雪風も乗りたいです!!」

浜風「浜風!乗ります!!」

浦風「ミサイル撃ちたのじゃ!!」

ハイエナード「おらおら、乗るならまとめて乗りな。お前達程度なら何人乗ろうが変わりやしねえよ。」

『わーーーい!!!』






《佐世保鎮守府》



アントニオン「」ガシャン…ドカァァン!!

アリクイック「もし君が本物だったのならば、私は君と知恵比べをしてみたかった……非常に残念だ。」

アリクイック「もっとも、原始的な食物連鎖を基準にするならば…君は私に永遠に勝てないだろうがね。」


明石「……あの兵器、一体どうやって…」

アリクイック「これは君達が艦装を出すメカニズムとほぼ一緒だよ。」

明石「!と言うことは私達もそれと同じ兵器を出す事が…!?」

アリクイック「興味があるならこの鎮守府で一講義しようかの。」

明石「!!?ぜ、是非お願いします!!」

アリクイック「だが、今は仕事を終わらすのが先決だろう?君達の提督を無事に帰還させれるよう鎮守府を防衛する…それが私達の仕事だ。」

明石「提督ー!はやく帰ってきてー!!」








《舞鶴鎮守府》


トリロビッチ「」ガシャン…ドカァァン!!

イノブスキー「ゴキブリ野郎が…たかが鉱石の壁で俺の走りを止めれるかよ!!」ブォォォン!!


天津風「へぇー…なかなか速いじゃん!」

イノブスキー「あったりめえだろうが!俺の走りはリーダーの御墨付きよ。」

天津風「ふーん…じゃあ私とどっちが速いか勝負しない?」

イノブスキー「ほぅ…この総長である俺と走りで勝負だぁ?面白ぇ!かかってきな!!」

天津風「それじゃー…よーいどーん!!」バビューン!

イノブスキー「なッ!テメェ汚ねぇぞ!!」ブォォン!!!




香取「(…競争は提督が帰ってからにしてくれないかなぁ………)」





《大湊警備府》



サンフラワード「」グラッ…ドカァァン!!


デボニオン「ふっふっふーっ…おいらのギャグが面白過ぎて爆発したんダスな。」

デボニオン「だけどおいらはまだまだヒヨッコ…もっと自分を磨くダス。」


デボニオン「あ、磨きすぎて皮が剥けちゃた!ビロローン!!」カワビローン



扶桑「……こんなタマネギに鎮守府を守られたなんて、凄く不幸だわ。」

山城「扶桑姉さん、本人の前で言うのはよくないです。…事実ですが。」

デボニオン「あらら?面白くなかったダスか!?ガーン…」ステーン


デボニオン「おら、悲しくて涙が出るダス……剥いちゃったせいダスけどね!」カワビローン



扶桑・山城『………不幸だわ。』








《トラック泊地》


カマキール「」グラッ…ドカァァン!!


ウオフライ「ハッ!鎌の扱い方から三流だな。芝刈りジイさんの方がまだ上手いぜ?」ヒュンヒュン!パシッ



曙「あ、あんたなかなかやるじゃない!」

ウオフライ「そりゃどうも。影に隠れて震える仕事も大変だな。」

曙「なッ…!そんな事してないわよ!!勝手に変なイメージで話さないでよこの秋刀魚ロボ!!」

ウオフライ「なッ!誰が秋刀魚だ!口と頭だけじゃなく目も悪いのか?このガキ!」

曙「が、が、ガキ!?その発言は取り消しなさい!!」

ウオフライ「やーだねバーカ。あばよっ!」ザブーン!

曙「あ、ちょっ!海の中は卑怯じゃない!!」



朧「…遊ばれてるなー。」ポリポリ





《リンガ泊地》



ドクラーゲン「」グラッ…ドカァァン!!

カラスティング「下に対しての攻撃はたいしたもんだったが…次生まれたら空の戦い方を覚えてくるんだな。」バサバサッ

カラスティング「(アクセルが苦戦した相手と聞いていたが…アイツ、腕が鈍ったか?)」スタッ


不知火「空中戦…と言うには一方的過ぎる戦いでしたね。」

カラスティング「空を制する者は戦場を制する。…機会があれば空中の敵に対する攻撃を教えてやろう。」

不知火「!!よ、よろしくお願いします!!」








《ラバウル基地》



イエティンガー「」ガシャン…ドカァァン!!

ガンガルン「はん!身体がでかいだけのやつなんかに負けないよ~だ!」ヘヘーン!

鳳翔「フフッ…さすがですね。」

ガンガルン「分かっただろ?僕はもう一人前の大人なんだい!そうだろう?」フンス!

鳳翔「ええ、とても立派です。…あ、食事の準備が出来ましたがお取りになられますか?」

ガンガルン「ごはん!?食べるぅー!」ピョーン!

鳳翔「フフッ…」ニコニコ




龍驤「……手馴れとるなぁ…」シミジミ





レッド「…その他の鎮守府にも俺の部下が援軍に行ってるんでね。16幹部は伊達じゃあない。」

VAVA「ふざけたことを抜かすな!それなら貴様達をさっさと殺せばいいだけの話だッ!!」ガシャン!

ダイナモ「!」


ズダァァン!!!




レッド「…グッ、ウゥ……!!」ガクン!

VAVA「ハッ!レッドアラートのリーダーも大した事なかったな!!」

VAVA「次はダイナモ、貴様を…」ガシャン!

ダイナモ「あー…興奮してる所で悪いけど、VAVAさん。」ポリポリ





ダイナモ「背後に気を付けた方がいいですよ?」






ザキンッ!!


VAVA「!?お、俺のランチャーが…!!」ガシャン…


レッド「戦場でここまで隙を見せる相手は初めてだな。…本当に元特A級のイレギュラーハンターか?」スッ…

VAVA「バカな…貴様はさっき……!!」

ダイナモ「ステルスで現れた時点でこの攻撃は予見するべきだったのに……な!!」ダダッ!!

VAVA「!!」




ガツッ!!


VAVA「貴様…!何を……!!」ガガッ!

ダイナモ「俺がVAVAさんの身体に手を当ててる理由が知りたいって?なに、ちょっとした実験さ。」ギギッ…




ダイナモ「初めて会った時に見せた『アースゲイザー』、それをVAVAさんの身体に直接叩き込んだらどうなるかなって…ね。」

VAVA「!!?」


ガシッ!!


ダイナモ「さあ、大地に生やす虎の牙を味わいなッ!!!」ズォォォォォッッ!!!

VAVA「貴様…貴様ぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!?」






ズドォォォォォォォォンッッ!!!





レッド「…新型もバラバラに弾け飛ぶ、か。怖いこったぁ。」

ダイナモ「……ま、こっちもガス欠ですけどね。」ガクンッ!

レッド「おっと。」ガシッ!

レッド「まだ倒れるなよ。帰るまでが仕事だ。」

ダイナモ「…ははっ、遠足か何かですかね?」


レッド「それにお前には聞きたい事が出来たしな……伝説の話や、コロニー落下の事とかな。」

ダイナモ「…盗み聞きとは趣味悪いですねー。」

レッド「別に悪いようにはしねえさ。今の現状があって俺達は活躍できてるんだ。」

ダイナモ「…じゃあ何が目的で?」


レッド「最近、どこぞの艦娘を連れた殺し屋兼何でも屋が俺達の事を嗅ぎ回ってるって聞いてね。痛くもねえ腹でも探られるのは気に入らねえって話だ。」

ダイナモ「…りょーかい。これからは御互い干渉は無しって事で。」


レッド「…ちなみに、今回の騒動でイレギュラーがより一層現れて手が回らない状況なんだが……どこかに手を貸してくれるコロニー落下事件の真犯人はいないものかねえ。」

ダイナモ「…引き受けたいのは山々ですが、なにぶん艦娘を抱えた状況なので陸戦は御遠慮したいなー……と。」


レッド「ほら。」ヒュッ!

ダイナモ「?」パシッ!



レッド「艦娘の 陸戦プロテクト解除チップ だ。入手経路は……御互い干渉は無しだ。」ニヤッ

ダイナモ「……ははっ、参りましたよ。」フッ…





サァァァァァ………




ダイナモ「敵が退いていきますね……」

レッド「大方、エックスさんが親玉を倒したって所だろ。」

ダイナモ「それなら……安心…だな………」ガクン

レッド「うぉっと!……急に気絶するなよ。」







レッド「…さて、新しい仲間の歓迎会でもするか。」フッ…





以上で『裏話』は終わりです。


ちなみにレッドアラート16幹部の内残り6幹部は漫画版ロックマンX~X3で生き残っていたボスキャラで、この鎮守府防衛戦の後にレッドアラートを離脱してエックス達の力になる…そういう外伝を書こうと思ってました。

ですが長くなりすぎる上に全く艦娘が出て来ないのでカットしました。

少し詳しく説明すると、


ナウマンダー:ドロップデッドの管理人

ヘチマール:エックス達と合流

バファーリオ:セントラルホワイトの新管理人

マサイダー:メタルバレーの発掘工事の責任者

ナマズロス:ダイナスティのエネルギー供給役

ホーネック:エックス達と合流

タイガード:エックス達と合流

ビートブード:プリムローズの管理者


といった感じです。






続いては『外伝』です。




『外伝 X'mas クリスマス』




《鎮守府・司令室》



ダダダダダッ!バァン!!



那珂「提督ー!クリスマスアイドル、那珂ちゃんサンタの登場だよー!!」シャキーン!





エックス「………ハハ。」ヒクッ

那珂「そこ、苦笑いしない。」

ゼロ「……罰ゲームか。」フム…

那珂「そこ、真顔にならない。」

夕張「その衣装は神通?東●ハンズ?」

那珂「なんで那珂ちゃんの手作りって選択肢がないのかな?」




那珂「もー、みんなヒドい!!」プンプン!

エックス「ごめんごめん、よく似合うよ…那珂。」クスッ

那珂「ホントに?やっぱり?まぁ那珂ちゃんは艦隊のアイドルだし、サンタにだってなれちゃうし!」テレテレ///

那珂「そんなわけで那珂ちゃん、みんなに夢を配って来まーす!!」キュピーン!!


ダダダダダッ!バタァン!!



ゼロ「まるで嵐のようなやつだな。」

エックス「退屈はしないだろ?」

ゼロ「…たしかに。」フッ…





エックス「……クリスマス、か。」

夕張「…感慨深い感じで言ってるけど、クリスマスに何かあったの?」


エックス「あったと言うか…」ポリポリ…

ゼロ「…………」







『メぇぇぇ~~リぃぃぃぃクリっスマぁぁーーースぅ!!ひゃーーはっはっはっはっはぁーーーっ!!!』







エックス「…まあ、過ぎた話だよ。」

ゼロ「だな。」

夕張「?」



夕張「それはそうと、みんなのプレゼントは用意してあるの?」

エックス「ああ、ちゃんと用意してあるさ。今回も夕張や妙高達も手伝ってくれるんだろう?」

夕張「当たり前でしょ?」

ゼロ「(毎年やってるのか…)」


夕張「そして例年通り…よいしょ。」ドサッ!

ゼロ「紙の束?」

エックス「欲しい物を書いてくれって言ってるんだが、一部の子以外は物より俺への要望が来ててね…」

夕張「正確に言うと駆逐の子達以外の要望になるわね。サンタへの願いではなく、もはや提督への願いになってるけど。」

ゼロ「ほぅ…夕張もか?」

夕張「私は欲しい物が無いから書いてないわ。」

エックス「夕張は何度聞いても遠慮するから、食事を奢るくらいしか出来ないんだけどね。」

ゼロ「(それが目的なんじゃ……)」


夕張「ま、そういうわけだからプレゼント配りくらいは手伝わなきゃ…ってね。」

ゼロ「なるほどな……俺の手も貸そうか?」

エックス「それは助かる。じゃあゼロには………」

ゼロ「ああ、それなら………」

夕張「……………」クスッ






ねえ、提督。


本当はね、私も1つだけ欲しい物……願い事があるの。


でもそれは提督に言えば貰えるって物じゃないし…初詣や七夕で毎年祈ってるから言わないだけ。




提督が前に語った、未来への夢……それこそが私の願い。



私…夕張は、あなたと共に同じ夢を願います。








---- 懐かしい未来に、みんなで行けますように。 ----







『外伝2 科学者 D'r』

※ロックマンX3、X6要素が含まれています。




《レッドアラート・本拠地》



アクセル「レッドただいまー。」スタッ

レッド「おう、どうだった。」

アクセル「収穫無し。僕の素性に繋がるものがぜーんぜん見つかんなーい。」ブーブー

レッド「ほぅ…なら諦めるか?」

アクセル「まっさかー!まだまだこれからこれから!!」ヒッヒーン!

アクセル「てなわけで、また暫く留守にするよー!」ダダッ!



タッタッタッ、シュン!!




レッド「…やれやれ、イレギュラーハンターとレッドアラートの肩書きを兼用出来るのはお前ぐらいだよ。」フゥ…




レッド「……生まれた理由…か。」


レッド「(悪いな、アクセル。俺はお前に1つだけ…嘘を吐き通している。)」


レッド「(お前を作った奴と、その理由を……)」




《数年前・廃墟研究所》



ガシャン!ギィィィ……


レッド「こんな夜中に俺を呼んだにしては出迎えも無ぇとはな。」



?「ああ、それに関してはすまなかった。」

??「我々にも事情があるんでね。」


レッド「(暗くてよく見えんが…二人いるな。)」


?「今、我々はイレギュラーと深海棲艦により窮地に立たされている。」

??「深海棲艦に関しては艦娘が存在する限り今暫くは大丈夫だろう。」


?「だが、イレギュラーに関しては話は別だ。」


??「イレギュラーハンターが力を失った今、君達のような自警団が必要になるだろう。」


レッド「……で、用件はなんだ?」



?「…そうだな、手短に言おう。」


??「我々はシグマウィルスに感染しない、究極のレプリロイドの開発に成功した。」


レッド「…ほぅ、つまりあんたらは科学者って事か。」



?「エックス…それにゼロ。その二人のレプリロイドのデータを参考にして作られたレプリロイド……新世代型と言うものじゃろうな。」

??「研究データの半分程度をレプリロイドの開発局に送ったから、もうしばらくすれば新世代型レプリロイドが世に出回るだろう。」


レッド「…つまり、あんたらが造ったレプリロイドがプロトタイプってわけか?」




?「ククク…その通り。エックスのデータはワシが……」

??「ゼロのデータは俺が持っていたからな。」



?「じゃが…コイツは生まれながらの未完成でね。」


レッド「なに…?」


??「絶え間なく成長するレプリロイド…それをコンセプトにして開発したからな……言動と行動が子供っぽくなってしまった。」


?「そこでレッドアラートのリーダー、君に頼みがある。」



レッド「…その子守りを任せる、か?生憎だが俺はベビーシッターじゃなくてね。」



?「伝説のレプリロイド、エックス。そしてその伝説に比肩する力を持つゼロ。……その二人と同等以上の力が秘められたレプリロイドに興味はわかないのかね?」


レッド「」ピクッ



??「初めはエックスに頼ろうかと思ったが…俺達が彼に接触すると彼の地位が脅かされる可能性が出て来る。鎮守府の中にはレプリロイドが提督をやっている事に嫌悪を抱いている者もいるみたいだしな。」


レッド「…なんでお前達が会うことでエックスの地位が脅かされるんだ?」








?&??『我々は犯罪者だからだよ。』




レッド「…犯罪者?その犯罪者の言うことを俺が聞くとでも?」



?「君なら聞くだろう?犯罪者ですら仲間にしている君ならば。」



レッド「……頭の回る野郎だ。」フッ…

レッド「いいぜ、その新世代型レプリロイドってのには興味がある。子守りはしたこと無いが…戦い方ぐらいなら教えてやれんこともない。」



?「ククク…やはり思った通り。君なら引き受けてくれると思ったよ。」


??「ああ、そしてもう1つお願いがあるんだ。」


レッド「お願い?」



?「新世代型レプリロイドの開発のために我々は様々な実験をした…この身体でな。」

??「おかげでシグマウィルスが完全に身体を侵食している。…もはやイレギュラー化するのも時間の問題だ。」



レッド「……つまり、俺に二人を殺せと?」



?「ああ…また意思を奪われる前に、頼みたい。」

??「これが我々の贖罪だ……頼む。」




レッド「……分かった。」チャキッ



?「プロトタイプの彼の記憶は全て消してある。」

??「我々犯罪者に造られた記憶など無い方がいい。」



レッド「…なら、せめて二人の名前を俺に教えてくれないか?科学者として一人でも知っている奴がいた方がいいだろ。」


?「…フフ、イレギュラーとしてではなく……科学者として、か。」

??「フッ…嬉しいことを言ってくれる。」



サァァァ……


レッド「(月光が照らして……!!)」

レッド「あ、あんた達は…!」







ドップラー「D'r ドップラー。」


ゲイト「D'r ゲイトだ。」









レッド「………世界を征服しようとした二人の科学者の遺産、か。」フッ…







『外伝3 兄弟 brothers』

※シグマとの海戦から100年後、『ロックマンX コマンドミッション』の世界観になります。

※『ロックマンX コマンドミッション』をプレイ済の人のために書いた物なので、プレイしてない人は読み飛ばしても大丈夫です。




《ティアナ海底収容所》



ダイナモ「さーて、社員旅行としてここの前まで来ましたが…大鳳ちゃん、感想をどうぞ。」

大鳳「スパイダーは見つけ次第一発殴ります。」

ダイナモ「わーお、過激な発言。仮にも何度か三人で仕事した仲でしょう。」

大鳳「ようやくリディプス事件が終わってエックスさん達が帰って来て、鎮守府の留守番も終わったから休みに入れると思ったら生息不明のスパイダー捜索と言う名前の社員旅行でこんな遠くまで……」ブツブツ


大鳳「……ダイナモ、スパイダーを見付けたら二発殴った後にこの人工島『ギガンティス』の旅行案内人にしましょう。」ピコーン!

ダイナモ「見付けれたらだが、それで気が済むなら構わんよ。…その1発に帰還早々めちゃくちゃ荒れてたゼロ君の分も足しといて。」

大鳳「任せてください。」シュッ!シュッ!




ダイナモ「…さてと、じゃあ受付にいる管理人さんに案内をしてもらいますか。」タタタッ!


大鳳「……来るの分かってたのなら先にアポ取っておけばいいのに。」





《収容所・移動中》



管理人「ええ!御二人はエックスさんのお知り合いなんですか!?」

ダイナモ「まぁね。」

大鳳「…有名なんですか?」

管理人「そりゃもちろんですよ!なんてったって世界の救世主ですよ!?」

ダイナモ「あー、言われてみればそうだね。」

大鳳「エックスさん、いつものように飛び出してますからね。」


管理人「あ、御二人は何故こちらに?」

ダイナモ「ちょっと調べ事でね…確認したいだけよ。」

大鳳「ちなみに管理人さんはスパイダーさんを御存知ですか?」


管理人「スパイダーさん……ですか。ええ…知ってますよ。」

ダイナモ「まぁ、そりゃ知ってるか。」

管理人「彼には処刑されそうになった時に助けられた恩があります……ですが、それも全部演技で…リディプスの思惑通りだったなんて……」ギリッ…




ダイナモ「…え?」

大鳳「え?」

管理人「……?」


大鳳「そうなんですか、ダイナモ。私はエックスさん達を助けるために自爆して生息不明と聞いていましたが。」

ダイナモ「あー…まぁ、たしかにリディプスがスパイダーだったって話は出ているが……それはありえないんだよ。」

管理人「!?」

大鳳「…ありえないと言うのは?」





ダイナモ「アイツはリディプスの試作機として造られたレプリロイドだからだ。」

管理人・大鳳『!?』





大鳳「それも初耳です…」

ダイナモ「スパイダーとは仕事で何度か組んだ事があるだろ。その時に調べた情報だ、間違いない。」


ダイナモ「スパイダーはリディプスの試作機として造られ、処分されそうになる所を脱走。それから賞金稼ぎで生活をしていたらしい。試作機ってのはスパイダーの名前を英語で表記して逆さから読むとリディプスになるのが最もたる証拠だな。」

大鳳「『spider』…『redips』……なるほど。」

管理人「で、ですがエックスさん達はリディプスがスパイダーさんに変身した所を見たと…」

ダイナモ「…スパイダーとリディプスは兄弟みたいなもんだ、コアデータを持っていても不思議じゃない。」

大鳳「性格がまるで違う兄弟ですね。」


管理人「…じゃあ、スパイダーさんはエックスさん達を助ける時に…本当に犠牲になって……」

ダイナモ「それもかなり疑わしい。」

大鳳「……その根拠は?」



ダイナモ「アイツは俺並みに自分の命を優先する男だ。」

大鳳「…ああ、確かに。」



係員「…それじゃあ、スパイダーさんはまだ生きて……!!」

ダイナモ「……それを確かめるためにここに来たんだがな…っと!」ピタッ!



ダイナモ「さ、そんなわけで着いたわけですが。」

大鳳「鍵をお願いしていいですか?」

係員「は、はい!」ピッピッピッ!



ガシャン!ヴィィィィン…





大鳳「ここが勇者マッシモの囚われていた収容所……見事に誰もいませんね。」

ダイナモ「…まあ、観光がてらに怪しい所をしらみ潰しに探していこうと思っただけだしね。」

大鳳「…では、スパイダーさんは誰かに捕まっていると思ってここに?」

ダイナモ「ああ、さっきまではそう思ってたが…そんな簡単に捕まる奴じゃねえよな。」













ダイナモ「そうだろ、スパイダー。」クルッ


管理人「………」





管理人「…え、私ですか!?」ギョッ!

大鳳「…ダイナモ、この人は管理人ですよ?」

ダイナモ「新世代型のレプリロイドの性能をなめていたわけじゃないが…やっぱり変身されると全く分からないもんだな。」

管理人「へ、変身?一体何の話を…」



ダイナモ「リディプスがスパイダーに変身した話、あれは内部だけの…一部の者にしか知らされてない話だ。知っているのは俺とエックス君達、そして宇宙に行ったメンバーだけだ。大鳳ですら知らない情報をアンタは知っていた。」


ダイナモ「自分の存在を隠すために引きこもるのは得策だったかもしれないが…表の情報も知っておくべきだと思うぜ?」






管理人「……全く、お前と会うと毎回碌な事がない。」フッ…



スゥ…ヴォン!





スパイダー「ここで隠居生活をしようと思っていたんだがな…」フゥ…




大鳳「スパイダー…!!」タタタッ!


ヒュッ…ドスッ!!

スパイダー「ゴハァッ!?」ドサッ




大鳳「あと一発はもっと力を入れて…」コォォォォ…

スパイダー「…ちょっと待って状況が理解出来ん……」プルプル…

ダイナモ「黙って受け止めろ。」



ドスッ!!ガハァッ!!!







ダイナモ「…で、なに隠居しようとしてんの?」

スパイダー「世界を救うために命かけて仕事したんだ、儲けも十分だし…しばらく休んでも問題無いだろ。」

ダイナモ「エックス君達が何回世界を救っていると思ってんの?今の言葉エックス君達に伝えていい?」

スパイダー「…………」

大鳳「と言うか、あの雑な情報収拾だけでよく乗り切れると思いましたね。頭の中もギャンブル精神ですか?」

スパイダー「え、大鳳ちゃんってこんなに毒舌だったっけ?」



ダイナモ「…て言うか、自爆した後は何してたか気になるんだけど。」

スパイダー「…傷を回復させてから合流しようと療養してたらその間にエックス達が宇宙に行っちまってよ…なんとか追い付いたと思ったらリディプスが動揺を誘うためかゼロに見せ付けるように俺に変身中。こりゃ出て行っても力になれそうにないと思ったから中の敵を蹴散らしながら地上に戻って………まぁ、今に到る感じよ。」

大鳳「簡単に言うとタイミングを失ったバカ野郎ですね。」

スパイダー「…ダイナモ、お前どういう教育してんだ?」

ダイナモ「誉めるな誉めるな。」ケラケラケラ

スパイダー「てめぇ…」





ダイナモ「…さ、スパイダーも見付けたし…観光始めるか。島の中全部知ってるガイドさんもいるし。」

スパイダー「俺がガイドかよ。確かに黙っていたのは悪かったが…」ポリポリ

大鳳「もう5発追加しましょう。」シュッ!シュッ!

スパイダー「分かった!分かりました!」



スパイダー「…でも今さら戻るのは気が引けるんだがなぁ……」

ダイナモ「じゃあ俺達がリディプスに監禁されてたお前を救い出したってのはどうよ?お前は堂々と帰れる、俺は手柄になる…まさに両得。」





スパイダー「………それ良いな。よし、それで行こう。」


大鳳「(前から思ってましたけど似た者同士ですね。)」





以上で『外伝』は終わりです。







そして最後に『もう1つのエピローグ』です。

『ロックマンX コマンドミッション』のキャラ達が送る、前作で救われなかったもう1つの存在の話です。





『エピローグ2 吹雪』









……ごめんね、お姉ちゃん……



…ゼロ……倒せなかった……



……仇、取れなかった………




……私も、そっちに行くから………




……また、一緒に遊ぼうね………







《セントラルタワー・研究室》



ガウディル「うーむ…計算だともう目を覚ますはずなんだが……」

マッシモ「そもそも立会人に俺がいるのか?今の所全員成功してるんだから大丈夫なんだろ?」

シナモン「いえいえ、もしかしたらがありますしー…」

ガウディル「突然暴れだしたらワシはひとたまりもないからのう。」

マッシモ「(それを含めてシナモン一人で大丈夫なんだと思うんだが……)」




《---スリープ解除、カプセルを開放します---》


ガシャン!!プシュゥゥゥゥ!!





??「……うぅ…」


ガウディル「ふむ……どうやら、大丈夫みたいじゃ。」

シナモン「よかった~。」



???「……ここは…?」

ガウディル「まずは名前を聞かせてもらってもいいかの?」


???「私……私は……」








北方棲姫「北方棲姫って呼ばれてた…気がする。」





ガウディル「君達深海棲艦は人間やレプリロイド、艦娘や深海棲艦等が死ぬ時に発せられる負の感情がシグマウィルスと混ざり合い生まれてくる。」

ガウディル「その負の感情を取り除く事は出来ないか…それを我々は研究してきた。」

ガウディル「そして宇宙から飛来してきた鉱石…フォースメタルに含まれるエネルギーを変化させるフォースメタルジェネレーターを利用し深海棲艦に根付く負の感情…マイナスエネルギーと言うべきか…それを抑制浄化させ……」




北方棲姫「………?」

シナモン「えーっと…簡単に言えば前までは人や艦娘に対する憎しみが強かったけど、新しい技術のおかげでその恨みが薄まってみんな仲良くなれますよーって話です。」

マッシモ「前みたいにまだ理由なく人間や艦娘を憎いって思ってるか?」


北方棲姫「……人間や艦娘に対して憎しみは、それほど無いと思う。だけど…」





北方棲姫「ゼロ……ゼロを、置いていけ…」ギリッ…




マッシモ「(…おい、めちゃ恨んでるぞ。しかもゼロって……)」ヒソヒソ

シナモン「(あれ~…おかしいですねー。あ!もしかしたらゼロ戦が欲しいだけなんじゃ…)」ヒソヒソ

マッシモ「(いや、それは無いだろ。何やったんだ、ゼロ……)」ヒソヒソ


マッシモ「あー…まあ、なんだ。お前を待ってるヤツが別の所にいるんだ。とりあえず会ってやれ。」

北方棲姫「…?」





《セントラルタワー・休憩広場》



ピピッ!バシュン!



マッシモ「おーい、連れて来たぞー………」







港湾棲姫「…フルハウス。」パラッ

スパイダー「悪いな、エースのフォーカードだ。」パラッ

マリノ「あら、変ね。私の手札はストレートフラッシュなんだけど。」パラッ

離島棲鬼「あら、本当におかしな話ね。…ロイヤルストレートフラッシュ。」パラッ

中間棲姫「(ブタ…)」ズーン…


マリノ「トランプに細工してるなんてひっどーい。」クスクス

離島棲鬼「あなたそれでも紳士なのかしら?」クスクス

港湾棲姫「(…あ、さっき二人が手元をゴソゴソしてたのって……)」ピコーン!

スパイダー「…君達いい度胸してるねー。」ピキピキッ

中間棲姫「(ブタ……)」ズーン…

マッシモ「なにやってんだお前達は。」




北方棲姫「……港湾、お姉ちゃん?」ポカーン

港湾棲姫「あ、ほっぽちゃん起きた?」

離島棲鬼「随分夜更かししたのね…どれだけ私達が待ってたことか……」フゥ…

中間棲姫「(ブタ…)」ズーン…

マリノ「あなたはいつまで落ち込んでるのよ。」




北方棲姫「お姉ちゃん……お姉ちゃん!!」ダダッ!!


ギュッ!


港湾棲姫「……ごめんね、ほっぽ。」ギュッ…

離島棲鬼「私達が、もっとしっかりしていれば……」

中間棲姫「…私が、あなた達を呼ばなければ……」

北方棲姫「…いいよ。だって…また会えたんだもん。」グスッ…



シナモン「感動の対面ですね…」ウルウル…

マッシモ「いいものだ…」ウンウン…





ガウディル「いいかね諸君!深海棲艦はどんなに倒しても時が経てば甦る…これは夕張博士の調査報告に載っておる。」


マッシモ「…夕張博士?」

マリノ「たしかエックスの鎮守府にいる艦娘だね。」


ガウディル「そして深海棲艦が蘇生される時、黒い玉…ワシらは『コア』と呼んでいるが、それが現れて深海棲艦へと形成されていく。」

ガウディル「その段階で我々は負のエネルギーを浄化出来るかを考察していた。そこに!宇宙から落ちてきた隕石…フォースメタルが我々の考察を現実に変えるための……」




マリノ「スパイダー。話はだいたい聞いたけど…なんであんなに身体検査を拒んでたんだい?」

スパイダー「リディプスの製造技術は一般には極秘事項でな…俺は処分されそうになった所を逃げ出したんだ。身体検査なんかしたら一瞬でバレて即処分されちまうだろうが。」

シナモン「そんなことしませんよー。」

スパイダー「お前達にその気がなくてもデータに残るのが問題なんだよ。意図しない所で漏洩するのが一番怖い。」

マッシモ「だったらそれを言ってくれれば良かっただろう。」

スパイダー「…ゼロと対面した辺りで話そうとは思ったが、その機会を無くしちまったんだよ。」

マリノ「タイミングが悪いねぇ、アンタ。」

スパイダー「仕事仲間にも言われたよ。…ま、そういうわけだから俺の整備は別口のカプセルでお願いしたい。」ハハッ…

シナモン「わかりました~。」



ガウディル「…君達聞く気は無いのね。」

マッシモ「(突然喋り出して凄ぇ言い草。)」






アル長官「だが、スパイダー君…君も無事で良かった。」スタスタ…


シナモン「アル長官!」

マリノ「もう動いても大丈夫なのかい?凄いケガだったんだろ?」

アル長官「ああ。シナモン君のおかげでなんとかね…」

スパイダー「……あんたも俺も、エールに嫌われてるらしいな。」フッ…

アル長官「…かも、しれないな。」クスッ


マッシモ「…エール?」

マリノ「スパイダーの元相棒で、アル長官の元片腕。リベリオンの事件で命をエックスに託して……って、私より古株のアンタが何で知らないのよ?」

マッシモ「情報収集は苦手なんだよ。」ボリボリ





港湾棲姫「…さ、ほっぽも集まった所で。」

離島棲鬼「私達はこれからどうなるのかしら?ねえ…長官さん。」ニッコリ

アル長官「君達四人は深海棲艦から艦娘へと変わった初めての例であり、成功例だ。手荒な真似はしない。」


マリノ「…そうなのかい?」

ガウディル「夕張博士が作った、我々でも装備できる高性能電探の反応は四人を艦娘と判断している。間違いは無い。」


アル長官「出来れば我々と共にイレギュラーや深海棲艦と戦ってもらいたいが…君達も元同族を倒すことに抵抗があるだろう。だから……」



離島棲鬼「そういう事なら問題無いわ。」フフッ


アル長官「…ほぅ。」

離島棲鬼「今の私達にとって深海棲艦は……そうね、あなた達がイレギュラーを見ているのと同じ感覚だと言えば分かりやすいかしら?」

港湾棲姫「それに…イレギュラーを破壊するのと違い、何年かかるか分からないけど……あなた達が生き返らせてくれる。」

中間棲姫「彼女達に伝えたい…荒れる嵐みたいな恨みだけに囚われず、優しい海で生きる喜びを。」ニコッ

北方棲姫「私も!私も…手伝う!」ピョン!ピョン!



アル長官「…分かった。ではエックス君と連絡を取ろう。深海棲艦と戦うならここより向いているはずだ。」

ガウディル「この事は海軍本部にも伝えるべきだと思うんだが…」

アル長官「ああ、そうだな。では……」








---…ずっと、想ってた---






マリノ「エックスとゼロに沈められたんだって?だったらその恨み、ポーカーで毟り取ってやりな!」ニヤッ

離島棲鬼「フフフ…もちろんですわ。」ニッコリ









---…ずっと、願ってた…---






港湾棲姫「うーん…あの二人に恨みはなくはないけど、あまり荒立てたくは……」

シナモン「あ!それなら資材を大量に食べ尽くせばエックスさんも頭抱えますよきっと!」

スパイダー「…武器に比例して性格もえげつなくなってないか?」








---…みんなと、懐かしい明日に還れるように…---






中間棲姫「空から攻撃された場合、どうやって避けますか?」

マッシモ「あー……俺は受けてから反撃ぐらいしか出来ん。お前の装甲ならだいたい受け切れるだろ。」

中間棲姫「…あれは受け切れなかったなぁ……」









---……強く、想ってた……---






---……強く、願ってた……---












北方棲姫「………お姉ちゃん!……ただいま!!」ニコッ!








港湾・離島・中間『おかえり。』ニコッ












---私の想い、届いたよ---












以上で終わりです。

長い時間お付き合い、ありがとうございました!




>>1氏、ターキーと鶏肉を間違える

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

こんな可愛い信者が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450628050/)

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