勇者「僕は」剣士「皆が」武闘家「とっても」魔法使い「羨ましい」 (20)


勇者「そろそろ次の町だね、久々にゆっくり休めそうだよ」

剣士「そうだな、もう一週間以上野宿だったからなぁ、武器も防具も一度手入れしてもらうか」

武闘家「と言うかそろそろ買い換えた方がいいかもね、敵も強くなってきたしいい剣や鎧にしたら?」

魔法使い「私も魔力の回復アイテムが欲しいわ、そろそろ底を尽きそうなのよね、あと何か珍しい魔導書でもないかしら?」

勇者「じゃあ町に着いたら色々見て回ろうか」

剣士「そうだな、と言ってる内に見えてきたな」

武闘家「やっとかぁ長かったなぁ」

魔法使い「いいお店あるかしら?」

勇者「まぁゆっくり見てみよう」

勇者(僕でも使える剣とか魔法ってあるかな?もう少し強いやつ、もっと強くならないと器用貧乏だもんな今は、回復くらいだよ役に立ててるの)

剣士(確かにそろそろ買い換え時ではあるが、高くつくのがなぁ……もう少し軽装でも、拳や魔法ででも戦えればいいんだが)

武闘家(剣や魔法……皆新しい物を使えるのっていいなぁ、ボクはずっと拳だしなぁ……剣士と比べて打たれ弱いし魔法も使えないし)

魔法使い(魔力がなくなると皆の足を引っ張っちゃうし、魔法も種類を増やさないと……せめて直接戦える力があればそんな事ないのに……)

勇者(僕は)

剣士(皆が)

武闘家(とっても)

魔法使い(羨ましい)

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勇者(才能……誰しも何かの才能を持っている、剣の才能、拳の才能、魔法の才能……それを赤ん坊の時に魔法で調べる)

勇者(そして多くの人はそれを元に自分の将来を決める、剣の才能なら剣士を、拳の才能なら武闘家を、魔法の才能なら魔法使いを目指す)

勇者(勿論全員じゃない、才能がなくても魔法使いにはなれるし、体を鍛えれば強くなれる、昔の人はこう言ったらしい、天才とは1%の才能と99%の努力で出来ているって)

勇者(普通に考えれば才能が無くても努力で追いつける、逆に言えば天才でも努力が必要と言うことだ……でもこの言葉を考えると別の意味が見える)

勇者(才能を持たない者はどれだけ努力をしても最後の1%は越えられない、同じ努力をすれば必ず才能がある人間が勝つ……そうとも取れる)

勇者(僕の考えがひねくれてるのかもしれないけど、実際僕は剣では剣士にどうしても勝てないし、拳では武闘家の相手にもならない、魔法の威力や豊富も魔法使いと比べられもしない)

勇者(……僕の才能……いや、僕に与えられたモノは)


鑑定士「むぅ……これは?まさか!女神様?この子はスゴいぞ!勇者だ!女神様の祝福を受けた将来の勇者だ!」

勇者母「そんな!まさか家の子が?ああ女神様感謝します」


勇者(女神様の祝福、勇者という存在……それが僕だ、剣の才能も拳の才能も魔法の才能も持たない、祝福を受けた勇者……それだけ)

勇者(剣も魔法も中途半端、ろくに鍛えてない拳じゃ弱い魔物も倒せない、そんな僕が勇者として皆をまとめている)

勇者(……才能……僕も何か才能が欲しかったな……もっと強くなれるような才能が)


剣士(剣と鎧……それが俺の唯一の利点、そして欠点……剣の才能があったから俺は剣士を目指した、いやそれしかなかった)

剣士(拳の才能も魔法の才能もからっきしだった俺は剣を鍛えるしかなかった……アイツが勇者として魔王を倒すために旅に出るのは分かっていた、だからおいていかれたくなかった)

剣士(アイツに負けたくなくて剣を鍛えて、こうして旅に出れた……でも余計に気づかされる、剣がなければ俺はアイツにも武闘家にも勝てない、魔法なんて一つも使えない)

剣士(しかもその装備を整えるのに誰よりもお金がかかってしまう、皆は気にしてないのかもしれないが、皆で戦ったり人助けをして手に入れたお金だ当然皆で分け合うべきだ、武闘家みたいに少しの装備でも強ければ、魔法使いみたいに魔法で戦えれば)

剣士(もう少しアイツの負担を減らせたのかもしれないな……皆のように戦えれば……)


武闘家(強そうな剣、カッコいい鎧、まとめて敵を倒せる攻撃魔法、傷を治せる回復魔法……どれもボクには関係ない……この買い物の時間はとても暇だ)

武闘家(たまにボクでも使えそうな丈夫な服を探すくらいで、特に変化はない……というよりもやることがない……皆はああやって色んな物を使って強くなれるのに、ボクはただ自分を鍛えるしかない)

武闘家(強力な武器を使った剣士の攻撃はスゴいし敵の攻撃も鎧で弾いちゃう、魔法使いの魔法は近づかなくても敵を倒せる、勇者なんてどっちも使える……本当に皆スゴいよ……ボクと違って)

武闘家(ボクはこの拳以外に何もない、ただ近付いて敵を攻撃するしか出来ない、離れた所から叩く事は出来ないし、まとめて倒す事も出来ない……ボクには剣や魔法の才能がなかったから……それでも皆のようになりたかったから拳を鍛え続けた)

武闘家(でも結局皆みたいにはなれなかった……ボク1人おいてかれてる様な……もっと色々出来る才能が……皆の役に立てる力があれば良かったのに……そうしたら……ボクも……)


魔法使い(私は力が弱い、剣や鎧は重すぎて持てない、拳の才能もない、だから魔法の才能を伸ばすしかなかった、私は勇者の様にも剣士の様にも武闘家の様にもなれなかったから)

魔法使い(幸い魔法の才能は人よりも優れていた……でもそれはあくまで魔法の才能、魔法を使いながら旅をしていれば魔力はすぐに底を尽くし、新しい魔法を覚えなければ使える魔法だって限られてしまう)

魔法使い(だから普段は魔法を使うのを控えなければいけない、強いモンスターや硬いモンスター、もしくは敵の数が多い時、使いどころを絞らないと魔力が尽きたら何も出来なくなるから)

魔法使い(それに回復魔法もそれほど得意じゃない、初歩的な物が多少使える程度だ、魔法使いなのにその辺も勇者に頼りきりになっている)

魔法使い(皆みたいとは言わない、せめて私にも直接戦えるだけの腕力とかがあれば……回復魔法も使えれば、もっと……もっと……)


勇者「こんなものかな?」

剣士「そうだな、そろそろ宿に行くか」

武闘家「皆お疲れ様、宿はあっちらしいよ」

魔法使い「ありがとう武闘家、待たせちゃって悪いわね」

勇者(やっぱり剣士や魔法使いと比べて見劣りするなぁ剣も魔法も)

剣士(結局一番高いのを買うことになってしまった、また頑張って稼がないと)

武闘家(皆いいなぁ新しい剣や魔法、ボクもそのうち何か欲しいなぁ)

魔法使い(色々見てて遅くなっちゃったわね、皆の買い物はすぐに終わるのに、武闘家なんて暇だったわよね……それでもコレがないと戦えないし)

勇者「後で酒場にでも行こうか、情報収集の為に」

剣士「それがいいな」

武闘家「先にご飯食べようよー、お腹空いちゃったよ」

魔法使い「このあたりは確か美味しいお肉で有名だったかしら?」

勇者(多分僕が)

剣士(きっと俺が)

武闘家(この中でボクが)

魔法使い(やっぱり私が)

勇・剣・武・魔((((一番足手まといなんだろうな))))

一旦これで、時間が取れれば夜にでもまた来ます

一旦生存報告

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