マミ「私は……守りし者にはなれない……」 牙狼—GARO—魔法少女篇 第三章 (805)


特撮ドラマ『牙狼〈GARO〉』と『魔法少女まどか☆マギカ』のクロスオーバーSSです。
まどか☆マギカ、牙狼ともに本編の設定に加え、外伝などからも取り入れていきたいと思います。

時系列としては、まどかは最初から。
牙狼は暗黒魔戒騎士篇(TV本編)→白夜の魔獣(OVA)→RED REQUIEM(劇場版)終了後から更に後、
使徒ホラーをすべて封印した直後くらいと考えています。

後の MAKAISENKI(TV第二期)、蒼哭ノ魔竜(劇場版第二弾) に無理なく繋がる範囲で、登場人物、用語が登場するかもしれません。
ネタバレにはご注意ください。

牙狼の映像作品はすべて目を通しましたが、設定資料集は未読。
どちらも設定と食い違う可能性があります。また、意図的に改変する場合もあります。
詳しい方はどんどん突っ込みを入れていただければと思います。
その際、軌道修正できるものは修正。できなければ独自設定ということで補完をお願い致します。

牙狼PS2ゲーム、パチンコ、まどか☆マギカ ポータブルはプレイしていません。
経験者の方、使えそうなネタがあれば是非教えていただければ幸いです。


前スレ
さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜

前々スレ
まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇


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 マミは雨の中を直走る。
 右手に折り畳み傘、左手に鞄。白い息を切らし、胸を弾ませて。

 進路相談は具体的な話を何ひとつできず、無駄に長い時間を浪費しただけだった。
 運が悪かったのは、他にも同じような生徒がいたらしく、
マミの番が終わり学校を出た時には、もう日も暮れかけて薄暗くなっていた。
 それから急いで約束の場所に向かう途中、雨に降られたのだ。

 たまたま折り畳み傘は持っていたものの、今のマミはほぼ全力疾走に近い。
小さな傘では、身体のすべてを覆いきれるはずがなかった。
 いよいよ本降りになると、はみ出した鞄や肩は濡れ、路面の水や泥がソックスに跳ねる。
 身体は熱いのに、手足の末端は冷たいのが不快感を煽る。それでも、マミは止まらなかった。
 
 数分後、約束のオープンカフェに到着した頃にはずぶ濡れ。
傘に収まらなかった部分からは水が滴っていた。
 しかも、ようやく着いたのに屋外に展開した席には待ち人はいなかった。
それどころか客も店員も、誰一人いない。

 マミは肩を落とし――ふと視線を移すと、客は全員が店内に入っていた。
 この雨である。考えてみれば当然だった。

 そんなことも忘れていたなんて。
 冷静さを欠いた自分を気恥かしく思いながら店内に入ると、
窓際の席に水色の髪の少女が座っていた。


 美樹さやか――マミの中学の後輩であり、魔法少女候補でもある少女。
 マミは急ぎ彼女に駆け寄り、

「ごめんなさい! 思ったより時間がかかって遅れちゃって……」 

 開口一番、深々と頭を下げる。
 自分が誘ったくせに、こんな時間まで待たせてしまった。責められても仕方ないと思う。
 しかし、さやかは怒るでも茶化すでも許すでもなかった。どれだけ待っても、返事がない。
 
「美樹さん……?」

 顔を上げると、さやかは確かにこちらを向いてはいるのだが、マミを見て呆然としている。
彼女を見つけた時も、魂が抜けたみたく、ぼんやり外を眺めていた。

「マミさん……」

「あの……美樹さん、何かあったの? あ、そういえば命さんはまだ来ていないのかしら」

 命――その名が出た瞬間、さやかはビクンと肩を震わせた。
 青ざめていく表情が証明しているのは、明らかな怯え。一目で何かあったのだと察する。
 つい昨日、こんな反応を見た覚えがある。あれは何の話をしている時だったか。



 記憶を掘り起こそうとするが、すぐには思い出せない。
 まずは、さやかが先だ。
とりあえず疑問は置いておいて、マミはそっとさやかの肩に手を乗せた。

「大丈夫よ、大丈夫。何があったのか話してくれる?」

 子供をあやすように目線を合わせ、優しく語りかける。
店員や周囲の客から好奇の視線を感じるが、気にしていられない。
 そこまでして、ようやくさやかは平静を取り戻した。

「あ、いえ、それが……何から話していいのか、て言うか、あたしも何が何だかわかんなくて……」
 
「落ち着いて。ゆっくりでいいから、ね」

 マミは向かいの席に腰掛け、じっと言葉を待つ。
 さやかが口を開いたのは、注文した紅茶が運ばれてからだった。
 ゆっくりと、最初からさやかは語り出す。この場所で、何が起こったのかを。
 
 赤い魔法少女。
 そして、さやかが感じた恐怖。
 その対象と、彼女に刻まれたトラウマの対象が重なったと聞かされ――。
 今度は反対に、マミが平常心を失っていくのだった。

とりあえず、ここまで
続きは週末を目標に
同じようなスレタイでもつまらないので、少し変えてみました
行き当たりばったりなところも多いので、食い違うかもしれませんが

新スレ乙
楽しみに待ってる

乙ですや
毎回楽しみ

新スレ乙です。
久しぶりのマミさん、雨ん中濡れて走ってるだけでも素敵です!



>>外伝などからも

将来的に、おりマギ勢や非公式だけどあすみの参戦も有り得ると!?oh…(遠い目)

スレタイが不吉だ・・・

破怒や夜射刃も出るかも・・・?でも翼は来ないんですよね・・・。

『知っているかい?恨みってのはいつ買うかわからない。たとえ君が正しい行いをしたとしてもだ。次回!魔弾。復讐の撃鉄は、引き起こされた・・。』

「人の台詞をパクって何をほざいているのかしらこの白色は」

新スレ乙
蒼哭の魔翌竜までもう後まもなく。牙狼熱も再燃してきたので楽しみにしてます。


何かマミさんが魔女化orホラー化に向けて進んでる様にしか見えん
「もう何も信じない」ってなっても、それでも今までやってきた「人を守る魔法少女」の誇りを胸に耐えると思ったが
スレタイ見る限りじゃ、それすらも砕け散りそうだな寄りかかれる人も信念も縋るべき物が何もない
仮に>>10の様な復讐の道を走ったらもう二度と「正義の味方」を名乗る資格はなく、今までやってきた事を捨てた事に他ならないワケで…
どうあがいても絶望しか見えない

まぁQBのミスリードだ。ネガるのはやめなさいな

さて、巷ではCR魔戒決戦牙王が稼働し、牙狼の盟友である絶狼・打無・破狼・狼怒やかつての宿敵・呀、呀の弟子・夜射刃、絶狼の兄弟子・破怒、謎の新騎士・戯牙たち総勢8人の魔戒騎士が頂点を競い戦っているわけだが・・

魔戒法師の最強決定戦がもし開催されたとしたら誰に声援を送りたいですか?

>>13
ふむ。
エントリーする選手は邪美、烈花、阿門、我雷、鈴、アカザ、シグト、レオ、シグマ、ミオ、鋼牙ママ、バラゴママ、エルダ、それに魔法少女勢が加わって方術最強を決定すると想定して、一番応援したいと思うのは………


若い頃イジメで苦労したに違いないラテスのおっちゃんに決まってる!
ガンバレおっちゃん、超ガンバレ!!生きてりゃいいことあるって☆

らwwwwwwてwwwwwwすwwwwww
その発想はなかったわww

しかし、邪美vsシグマを見て思ったことなんだが、法師同士の戦いは騎士同士よりもバリエーションに富み、見ごたえも決して劣らないということがよーくわかるよね

体術、法術、魔界竜の使役、号竜、剣術、魔導具

マギカ勢も加わるんならマミさんvs邪美様を見てみたい。
旗とリボン、体術、方術と銃って感じにファイトスタイルも似てるし。

(イメージ)マミさやか杏子が3人がかりで全力で烈花にぶつかって、100発に一発当たるかどうか。直後に烈花怒りの100倍返しが飛ぶ。

邪美には永遠にかすりもしない。


さやか「も~なんなのさ、あの半笑いのお姉さん!?1ミリも勝てる気しないんだけど!なんかズルい…」ゼェゼェ

杏子「あたしの幻術見るたび『ぷっww』て吹き出すのやめてくれよ…」グッタリ

マミ(邪美さん……////)ポワーン

烈花のスパルタ教育パねえwwあとマミさんかわいい。

まぁ邪烈は最強クラスだから仕方ない。
特に邪美は鋼牙ですら召還してやっと対等クラスのコダマと互角にわたり合ってたからね。

それでもシグトよりは強いと思うよ、マギカ達!頑張れ、君たちの若さの力を素直に発揮するんだ。

鋼牙は刻印の影響もあるんじゃないか?

志村ー、一期、一期ー。

まあ一期の鋼牙は成長途中だし、色々脆い面も多かったから。。
しかもコダマと戦った時は、精神状態も最悪に近かったし。

何より鋼牙と邪美は戦い方も全く違うし、一概にどっちが強いか決められんよ。
個人的には、純粋な実力は鋼牙の方が上、立ち回りや戦いの上手さは邪美の方が上なイメージ。一期時点ね。


2期に関する部分の話題だと思ったんだが
なぜ一期と突っ込まれたんだ?

邪烈のスパルタ教育と聞いて
「形から入る事が大事よ!」とマミさんの提案で邪烈のいつも着てるコスチュームを着た魔法少女ズを想像しちまった
俺は隠我が溜まってるらしい

コダマと鋼牙が闘ったのは鋼牙が破滅の刻印を刻まれる前のお話だから。

一期で成長し、白夜で最強の魔戒騎士として完成してしまった黄金騎士牙狼・冴島鋼牙。
強くなりすぎてしまったのでRRでは鎧を強奪され、二期では破滅の刻印で弱体化。
強すぎるヒーローもいろいろ大変なのです。


邪美はシグマには遅れをとったけど、このシグマはギャノンの力によるものが多いと思われるから
ギャノン抜きなら邪美にも勝機はあるかも。


≫22

なんというふともも祭り。

普通にコダマとシグマを読み違えていただけだという
恥ずい

>>22
キリカやあすみなら全然抵抗無く似合いそうだけどな。



マミ「さあ、鹿目さん暁美さん、貴女達も」シャキーン☆

まどほむ「無理無理無理!(泣)」

あんさや(マミさんエロい!)
シグト(やべえ//)
レオ(凶器だ//)
零(ふともも祭りと聞いてww)

≫25

烈花「シグト(怒)」
ミオ「・・・・。」
静香「ぎ・ん・が?(ゴゴゴゴ)」

杏子「あ・・・あたしも着るぜ、それ。よく見たらいつもの服と同じようなもんだし。」

邪美「しかし上手く作ってあるね。よく似合ってるよ、マミ。」

鋼牙「カオル・・・お前の仕業か」
カオル「ドヤっ☆」

>>21
コダマと戦ったのは一期。鋼牙が破滅の刻印を刻まれたのは二期だよって事かと。

自分は邪美→鋼牙と戦う間にコダマが成長したんじゃないかと思ってる。三神官が言ってたようにあいつの成長性は凄まじいらしいし。

>>27
いや、単に俺が>>24だっただけなんだ
場をかき乱してしまってスマン

スマン。こっちもちゃんとレスを見てなかった。

KODAMA SHIGUMA

大丈夫だ。最後の母音が同じで三文字だし。見間違えても不思議じゃない。

全然違う話をするがバラゴから分離した呀は序列的にどれくらいの強さだと思う?

>>30
生身の鋼牙でも凌ぎ切り、鎧着装したら一撃だった。

哀しい程の弱体化。

内が空である以上、心滅獣身とも呼べない。鎧が惰性で暴走しているだけ。並みのホラー程度と思われる。もっとも鋼牙が動員されるような「手のつけられないホラー」としては、だが。

>>30
零(レイ)がいるのにレオ出して、
シグトがいるのにシグマ出したのはさすがにどうなんだろうと思ったことがあるw

関係ない話だけど以前、2chの牙狼ネタバレスレで先行上映鑑賞者が23話の内容をまとめる際、
「ギャノンの股間からシグト」と誤記して、思わずその構図を想像して吹いてしまったw

≫31
やっぱ
鎧を装着した時は【英霊牙狼】という特殊形態だったことを計算にいれたとしても
生身鋼牙に凌がれたことは擁護できないよね。

クルスは生身鋼牙は圧倒してたし。
ホラー化クルス・カゲミツ・ライゾン・ハンプティ・ザジ・ベビルクラスに一歩及ばずといったところか。
魔戒騎士で言うなら狼怒以下並騎士以上。

ちなみに小説版妖赤の罠にも呀は復活するが、これは翼の弟子で零に憧れて一時的に零の弟子となった魔戒騎士・暁が
術をかけられたバラゴのライターから出現した呀に乗っ取られたもの。
相手が暁である上鎧の装着時間の関係で呀有利だったが、牙狼・絶狼・打無・夜射刃の四騎一閃に敗れ去った。

>>26

杏子にはこれを→エルダの衣装


>>27コダマは邪美を背後から不意打ちした。マトモに戦っても勝てないと判断したわけで、実力はギリギリ邪美>コダマと考えて良いのでは。

鋼牙はコダマに大苦戦したが、あれはカオルを拉致された動揺があったからで、もし冷静に戦っていたら結果はわからない。(動揺する所が未熟だが…)

はっきりしているのは鋼牙はバラゴと3回くらい戦って一度も勝てなかった。

そのバラゴをオヤツにしたメシア。

そのメシアに勝った鋼牙=翼人=カオルの御利益


ゴンザ「よって最強なのはカオル様にございます(笑)」
魔法少女ズ「お~」「結論でたね」パチパチパチ
鋼牙「…」←肯定を意味する沈黙
シグマ「いやその理屈はおかしい」

≫34
実際そうだから困るww
カオルの演者の肘井美佳さんは実はかなりハイスペックだし

マミ「翼人・・・鷹麟・・・竜陣・・・英霊・・・!何なのこの心を突き動かされるこみ上げてくるものはっ・・・///」
さやか「まずい、マミさんがスイッチオンしちゃったっす!」

カオル「試しに翼人マミちゃんを描いてみよう。(サラサラ(スケッチ開始」

打撃と音攻撃しかできないコダマは相手の攻撃を受け流したり跳ね返したり多彩な技を持ってる邪美姐さんと相性悪かったんだろうな
でも一期の時点で純粋な殴り合いでコダマに勝てるのはやっぱりバラゴか心滅獣身牙狼くらいだと思う

コダマは中の人が世界クラスだからな……動きが半端ないせいで余計強く見える

関係ないが豆知識

邪美は酒に弱い

ソースは小説版【古傷】。

すみません
明日には必ず
一挙もあり、映画公開まであと一週間を切りましたので、どうにか波に乗りたいところ


「あたしもここに来たのは少し遅れたんだけどさ……」

 さやかは目線を斜め下に落としたまま、最初の言葉を呟いた。

「あたしが来た時、あの人はもういたよ。それで笑って手を振って、あたしを呼んだの」

「あの人っていうのは……命さんのこと?」

 こくり、とさやかは緊張した面持ちで頷く。
 命の名前が出た瞬間、また彼女が身を硬くするのを、マミは見逃さなかった。
 
「それでお茶とケーキご馳走になって、それから楽譜をもらった」

 さやかは鞄から紙を取り出すと、マミに見せた。
 紙の上には音符や記号が踊っている。読み方は知らないが、何の変哲もない楽譜だ。

「これは……?」

「あの人の恋人が作りかけだった、オリジナルのヴァイオリンの曲だって。
その人が事故で弾けなくなって、たぶん……その、亡くなったから私に……」

「もしかして、入院してる美樹さんの幼馴染の男の子に?」

「マミさんも聞いていたんだ。そ、上条恭介って言うんだけど……。
あの人、あたしにこれを渡して、頑張ってる人の背中を押してあげたくなるって言ってた……」



 つい昨日会ったばかりの少女に、命がそんな大事な物を渡した理由。
 さやかを気遣って、花を持たせる為。その彼に夢への活力を取り戻させると同時に、恋人に叶えられなかった夢を託したくて。
 きっとそうだ。彼女は少々馴れ馴れしくて他人の事情に深入りするきらいがあるが、優しく包容力のある大人の女性だから。

 そんなふうに彼女の側から踏み込んで来てくれたからこそ、マミも打ち明けられた。
 関係ないのに、何故か自分のことのように誇らしくて、胸に喜びが溢れる。

 嗚呼――と、感嘆の息を吐きながら、口元を綻ばせながら、マミは言った。 
 
「そうだったの……」


 相槌に含まれた感動の色に気付いたのか、さやかは顔を上げ、マミを見返してきた。
 睨むような目つきは非難にも似ている。これは美談なんかじゃない、勘違いしてくれるな。
そう目が教えていた。

 「嬉しかった。凄く嬉しかった。きっと、あの人も同じ立場で、
あたしの気持ちをわかって応援してくれたんだって。でも!」

 さやかは膝に乗せた拳を固く握り締めた。

「一時間くらい話して、本当に楽しかった。優しくて、話し上手で、会えてよかったって思った。
でも暗くなってきて、伝言は任せて帰ったらって勧められた。
そして帰ろうとしたあたしに、あの人が笑って言ったの……」

 身体を小刻みに戦慄かせるさやか。
 しかし、今の彼女を支配しているのは恐怖ではない。
 憤怒だ。


「彼も私が背中を押してあげたんだから、って……!」

 押し殺してもなお怒りのこもった声で、絞り出すように、さやかは言った。
 マミも即座に言わんとするところを察する。しかし問い返すしかできない。
 頭に浮かんだ意味を信じたくなかった。
 
「それってどういう……」

「恭介は雨の夜、交通事故に遭った。恭介は誰かに突き飛ばされた気がするって言ってた。
はっきりとは覚えてないらしいけど」

「待って、美樹さん。それだけじゃ、命さんが犯人とは決められないわ。
何か別の意味で言ったのかも……」

 早口に捲し立てたさやかをマミが宥めようとした直後――バン! と、平手がテーブルを叩く。

「そんなはずない! 昨日あたしは交通事故としか言ってない。
なのに雨の夜ってことも、恭介がヴァイオリンを庇って左手を怪我したってことまで言い当てたんだよ!?
そんなの無関係なあの人がどうやってわかるのさ!?」

「それは……」

 さやかが腰を浮かせ、前のめりになる。
 その剣幕に気圧され、マミは黙るしかなかった。
 脳内では様々な可能性が浮かんでは消える。

 当事者でなければ身内か警察、病院や保険会社の関係者でもなければ知り得ない情報。
 彼女が、そのいずれかである可能性はゼロではない。
或いは、その誰かから聞いたのかもしれない。

 しかし、明かした理由も、笑った訳も、何より言葉の意味がまるでわからなかった。
 それでも。


「命さんはそんな酷い人じゃないわ……。
仮にそうだとしても、説明のつかないことが多過ぎるでしょう?」

 とにかく命を庇う論理を並べようとして、口から出たのは根拠のない擁護。
 それがどれだけ説得力に欠けるか自覚していながら。
 
「そりゃあ、あたしだって訳わかんないよ。今だって頭ん中ごちゃごちゃで……でもさ」

 一旦さやかは口を閉じ、マミを見る。もう非難がましい視線はなかった。
 ただ単純に、純粋に、不思議そうにマミに問いかける。


「言い切れるほど、マミさんはあの人を知ってるの?」


「えっ……」

――私は、命さんをどれくらい知っているんだろう……。

…………知らない。

何も、知らない。

美樹さんが知っているようなことでさえ――

「でも、私にはそうは思えない。だって、だって命さんは……命さんは……」

 表情が切なく歪んでいくのが自分でも理解できた。
 語尾はか細くなり、最後には消えていく。
 マミはとにかく何か言おうとして、結局は何も言えなかった。

目標まではいけませんでしたが、ここまで
続きは蒼哭ノ魔竜公開までには


名前を口にするのも嫌なんてかなり嫌ってるなぁ
さやかは返り血も浴びてないのに今のところホラーと接触する機会が多いな
牙狼のヒロインらしい


もう一週間切ったのか


「マミさん……」

 驚きを含んだ、意外そうな声。
 さやかの目は信じられないものを見るようでもあった。
 何故、彼女はそんな顔をしているのだろう。すぐに理由には思い至った。
 
――あぁ……それだけ今の私が酷い顔をしているのね……。

 狼狽えて、弱さを晒してしまった。後輩である彼女の前で。
 その事実が、落胆が、プライドを砕いていく。
先輩として、しっかりしないといけないのに。
 傷付く弱い自分を許容できずに、更に傷付く負のスパイラル。
 
 これまでの自分が上手くイメージできない。
まるで仮面の被り方を忘れてしまったかのよう。
 居た堪れなくなり、逃げ出したくなる。
 
「ごめん……マミさんに当たっても仕方ないよね」

 さやかは一言詫び、着席する。
 気遣われた。憐れまれた。
 それを惨めに感じ、そう思ってしまう自分に腹が立つ。
事実がどうあれ、心の弱さ以外の何物でもないから。

 暫し、気まずい無言の時が続いた。互いに切り出す機会を窺っていた。

 マミは目を閉じ、紅茶を啜る。
その味と香り、喉から身体に沁み渡る温もりが心地いい。
 いつもの自分を思い出させてくれる。



 マミは戦闘後に紅茶を飲む場合が多い。
 余裕を忘れない為。緊張を解し、心を落ち着ける為。精神を戦闘から切り替えるスイッチ。
 理由は様々だが、偏にマミにとって紅茶は習慣であり日常の象徴だった。
 そして今日も気分を落ち着け、頭の中を整理するのに一役買ってくれた。

「そうね……今、そのことについて言い争っても仕方ないわ。
最後は本人に確かめるしかない。それより、続きを話してくれる?」

 マミは唇からカップを離すと、おもむろに口を開いた。
 もう面子も何もないに等しいが、彼女の前では毅然としていたかった。

「あ……うん」

 どこか釈然としないようだったが、さやかは従って話を再開する。

「どこまで話したっけ……そこへ現れたのが、あの二人組だったの。
一人は二十歳くらいの男の人。もう一人は……あたしたちと同じ年頃の女の子。赤い髪の」

「赤い髪……」

 まさか――。
 脳裏に浮かんだのは、かつて親しい仲にあった一人の少女。
 マミは、固唾を呑んで続く言葉を待った。

「男の方があの人に、ちょっと付き合ってって言ってたけど、ナンパって感じじゃなかったな。
その二人もカップルとか兄妹には見えなかったけど。
あたしは女の方にいきなり引っ張られて、路地裏に連れ込まれた」

「連れ込まれた、ですって……!?」


「そいつは魔法少女だった。ソウルジェムから槍を出して、あたしに突きつけて言ったの。
あんたがホラーって化け物だろうって」

 カシャン――と、ティーカップが音を立てた。
マミが指からカップを取り落としたのだ。
転がったカップからは残った紅茶が流れ出し、テーブル上に広がる。

 にも拘らず、マミは愕然と目を見開いたまま。 

「って、マミさん、こぼれてるこぼれてる!」

 慌ててお絞りで拭くさやかに詰め寄った。

「それで、その娘は!? 美樹さんはどうしたの!?」

「え……あたしは違うって言ったよ。当たり前じゃん。
マミさんに助けてもらって、自分がまだ契約してない魔法少女候補だって言ったんだ。
そしたらさ、なんか話が違うとか言って、一言謝ったらダーッて走って行っちゃった」

 驚くマミと対照的に、さやかは妙に冷静だった。
 普通、暗がりに連れ込まれて槍を突きつけられれば、もっと怯えたり嫌そうに語って当然なのだが。
彼女にとって、それは大して恐れるには値しないのだろうか。
 命のことは名前を聞いただけで警戒し、口に出すのも忌避しているのに。

「帰ったら、もう誰もいなかった。
それで雨が降ったから、あたしはここでマミさんを待ってたの」

「そう……だったの」



 佐倉杏子。
 間違いない。十中八九、彼女しかいない。
 彼女が、この街に戻ってきたこと。さやかに接触したこと。ホラーを探していること。
すべてが驚きだった。

「ねぇ、マミさん。あの魔法少女、マミさんの知り合いなの?」

「ええ、昔のね……。
それでも、一般人を脅したり傷つけたりするような娘じゃなかったのに……」

 やはり、あの出来事が彼女を変えてしまったのだろうか。
 杏子を信じたい気持ちはある。だが、もしも命やさやかに手を出すなら、その時は――。
 マミは私情を殺して、考えられる可能性を口にする。

「その男の人が怪しいわね。二人で結託して、その娘が美樹さんを遠ざけてるうちに、
命さんを連れ去ったのかもしれない。
あの娘が何を企んでるのかわからないけれど、私に任せてちょうだい。心当たりを探ってみるわ」

「でも……」

「大丈夫。どんな事情があっても、怖い思いをさせた分、あなたにはちゃんと謝らせるから」

「違うよ、マミさん……。そりゃあ確かに怖かったけど……おかしいんだ。
顔の真横に槍が刺さったのに――」

 またしても、さやかの表情が曇る。全身が強張るのが見て取れる。
 段々わかってきた。彼女がこんなふうに怯えるのは、決まってホラーについて話す時だ。


「あたしは"あの人"に手を握られただけの方が、ずっとずっと恐ろしかった……!」

「え……?」

「だから変かもしれないけど、あの人から逃がしてくれて逆に感謝してるくらい。
少なくとも、握った手を解いた男の人からは悪い感じはしなかった」

 今度はマミが取り残される番だった。
 さやかとの温度差についていけない。何を言っているのか、理解はできても共感できずにいた。

「あの人の手、まるで死人……ううん、氷みたいに冷たくて凍えそうだった。
強く掴まれたんじゃない。ただ軽く触られただけなのに、怖くて声も出せなかった。
もしも、あの人にどこか連れて行かれそうになっても、あたし抵抗できなかったと思う。
そうなってたら、きっと今頃あたし生きてない……」

 思い出すだけで恐怖が蘇るのか、さやかの身体が震えだす。
 両腕で自分を抱き締めて、それでも彼女は止まらない。
勢いのまま吐露する。マミが、最も恐れる想像を。

「一昨日、あのモールの暗闇で会った不良と同じ雰囲気だった……。
あの魔法少女、誰かと間違ったみたいだったし、もしかしてあの人が――」




「いい加減にして!」


 マミは声を張り上げた。
 聞きたくない。考えたくない。あり得ない。
 そんな不安が膨らんで、思わず声を荒げていた。
さやか同様、自分の中の恐怖に押し潰されまいと、胸の想いを吐き出したのだ。


「いくら本人がいないからって、言っていいことと悪いことがあるわ……。
他人を証拠もないのに化け物呼ばわりするなんて、本気なら私も怒るわよ……!」


 カッとなって止まらなかった。
 さやかを睨みつけ、低く震える声で戒める。
 いや、抑えていても、それは恫喝と大差なかった。つい昨日も彼女にしてしまったように。

 射竦められたさやかは小さく、
 
「ごめん……」

 とだけ呟いて俯いてしまった。
 さやかの潤んだ瞳を目にした瞬間、マミはハッと我に返り、激しい自己嫌悪に襲われた。
 
――私は何をやっているの……!
美樹さんの気持ちを見誤って、それどころか怒鳴って、余計に怯えさせて。
彼女はただ怖かっただけなのに……。
こんなの最低じゃない……――

 マミは両手で額を覆い、言葉を失った。
 自分で自分が許せなかった。
 何か言わなければと思うのだが、胸の内の不安や恐怖を言葉で表せなかった。 


 マミは迷い、

「いえ、私の方こそごめんなさい。つい声を荒げちゃって……。
ともかく、今日はもう遅いから帰った方がいいわ」

 結局その程度しか言えなかった。
 これ以上、一緒にいてはいけない。もっと彼女を傷つけてしまう。
もっと醜い自分を晒してしまう。

「うん、そうする……」

 最悪の空気にさやかも堪えかねたのか、すぐに荷物を手に立ち上がった。

「私のせいで無駄足を踏ませて本当にごめんなさい。
お互い頭を冷やして、また改めて話しましょう?
でも、これだけは約束してほしいの。鹿目さんにも伝えておいて。
私の話を聴くまで、キュゥべえとは絶対に契約しないで。いい?」

 二人とも契約には慎重になれと言ってある。
下手に急いで真実を明かすより、今はこれだけ念を押しておけば充分だろう。

「わかった……でも、あたしからもひとつ」

 さやかは頷くと、はっきりと言った。

「もう絶対あの人と一緒は嫌だから」

「……ええ、私はもう少し待ってみるわね。気をつけて」

 足早に去っていくさやかを、マミは見送るしかなかった。


 独りになってようやく、瞳に熱いものが込み上げてくる。
 
「嫌われちゃったかな……」

 でも、これでいいのかもしれない。
 そう言い聞かせても、涙は止まってくれない。
 紅茶を何杯おかわりしても、気分は落ち着かなかった。

 それから数分、マミは何をするでもなく、寂しくなった向かいの席を眺めていた。
 命を探して街を駆け回るべきだろうか。しかし、どこを探せばいいのかもわからない。
 ここで待った方が会える確率はまだ高い。それに、さやかを疑うようで気が進まなかった。 

 その時だった。
 背後に気配と、誰かが着席する音。
 頭が一杯で、今の今まで入店に気付かなかった。

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」

 真後ろから、注文を取りにきたウェイトレスの声。
 そして――。

「季節のフルーツパフェと、イチゴのタルトと、クリーミーカスタードプリン。
それからコーヒーゼリーサンデーに、抹茶白玉アイス、ガトーショコラ。
桃のムース、洋梨のミルフィーユ、ブルーベリーパイ、NY風チーズケーキも。
あとは……とりあえず、それだけで」

 聞こえてきたのはマミでも胸焼けがするような大量の注文。
 それも、以前どこかで耳にした声だった。

ここまで
続きは来週中
言うまでもないことかもしれませんが、映画のネタバレはご遠慮くださいますようお願いします
私も明日には見に行くつもりですが、ここでネタバレすることはしませんので、ご安心ください

乙!
まさかのゼロの連投!銀牙騎士の辞書に休憩という文字は無かった!!ww


>>1
鋼牙はまだしばしお休みか…それとも蒼哭の魔翌竜の宣伝で忙しいのか。

緊張が零の大量甘味注文で一気に吹っ飛んだww

映画観てきたよー
監督インタビューやら何やらで事前に出ると分かっていたとはいえ、
「彼」(でも一応伏せとく)との対面が一番感動した。

皆も是非劇場へ!

多少でもネタバレはやめよう

心の底からどうでもいいネタバレ

レオに髭なんか生えてなかった
かわりに零に髭が生えてた

べつに話の本筋にふれてないしこれくらいならいいよね?
地味にみんな気になってたことだと思うし

バレの許容範囲は人によるだろうし話すスレは他にあるし>>1も禁止してるしやめとこうぜ

おおおおん!
映画見てえよおおお!

ttp://www.youtube.com/watch?v=xC7ensbFDoI

遂に3期の映像キタァァァァァァ!!!

公式サイトもリニューアルされたね。

牙狼〈GARO〉〜闇を照らす者〜 http://garo-project.jp/TV3/#/top/

放送は4月から。続投はザルバのみのようで。

マミ「魔戒銃・・・ですって?」

さやか「鋼牙さん・・・本当に引退しちゃったんだね・・・」
杏子「零・・・」
ほむら「レオ法師・・・。」
まどか「カオルさん・・・。」
QB『やはりマスコットは強しってことかな、魔導輪ザルバ。』
ザルバ『お前さんと同類みたいな言い回しはよしてくれ』

>>65
なんだろう、この『人造人間ハカイダー』の世界観に牙狼が召喚された感じは…ww

さて、とりあえず二つの謎が浮上する。

①なぜ冴島家の者でない者が牙狼の称号を継いでいる?
②なぜ牙狼の鎧の輝きが色あせている?

当面はこの二つの謎を追っていく形になりそうだな

道外は偽名で、何らかの禁忌を犯すなどして鎧が黒く、ザルバも喋らなくなった
それで冴島を追放されたか冴島の名を捨てた
みたいな予想をしてみる

道を外れたから道外

実は冴島流牙だった

あとは>>70...みたいな?!

さて、興味深いフレーズが出た。

▼魔戒騎士の禁忌▼

作中で明らかになっている禁忌は

①番犬所の管轄を超えること
②魔戒騎士同士の私闘
③番犬所の命令に背く
④その他守りし者の道に反すること

作中で実に鋼牙、零、翼、ワタル、バラゴ・・・と、名だたる騎士が皆少なくとも一つは破っている。
にもかかわらずさしたる咎めも無い様子だが(番犬所の越境に関しては東の番犬所が機能を成していなかったというのもあるが)

鎧の輝きを奪われ、魔導輪にも口を聞いてもらえないほどの禁忌って何だろうね

実は冴島流牙はガチであるんじゃないかなぁ、鋼牙→雷牙と二人だけだけど○牙の法則できてるし
あとは鋼牙の孫、よりもさらに遠いんじゃないかなぁ血縁なら
輝きが失われてるだけじゃなくて鎧の造形自体も鋼牙狼からあちこち変わってるし。
ほかに気になるのは剣だなぁ朱じゃないのはなぜなのか……

ところで騎士同士の私闘は寿命削られなかったっけ?

>>72
まあワタル暴走はシグマの手によるものだから本人に非は無いけど、
グレスから鋼牙へ直々に「最悪の場合は斬れ」と命令が出ていたね。

「魔戒騎士の相手は、魔戒騎士の務めだ」byバラゴ

>>73
剣が朱=冴島家みたいな認識だろうし冴島の名前を捨てたのなら鞘が白でも問題ない…というか一番に捨てなきゃいけないものだろうし
よく見ると紋章も三角形を封印もしくは蓋してるみたいになってる


映画見てきた
魔翌竜は鋼牙が戦ってきた中で最強の敵だった

ネタバレスレにかわる予感

ほんのちょっと前にネタバレ止めようぜって結論出たはずなのに、
もう禁忌破るヤツが出てきたか…。

じゃあ話題変えようか。

魔戒決戦牙王で判明したこと

破狼にも魔導馬が存在する。名前は未確認。

魔導馬の蹄の力は打無の白夜槍や呀の暗黒斬、夜射刃の紅蓮斬も巨大化する。

絶狼の奥義【流狼斬月(るろうざんげつ)】。流星群降り注ぐ月をバックに竜の形をした蒼き烈火炎装を放つ。

3期の話はまだ公開されてないし良いと思う
ただ劇場版は欠片も駄目

まだ見てないけど、券買ったら「魔獣ザルバ」のヴァンガードのカードもらった
ヴァンガード知らないけど雨宮チックでくそかっけえ

映画凄く良かったよ
まだ見てない人は是非

映画見てきました 
最後ら辺は色々とグッっとこみ上げてくるものがありましたわ(´;ω;`)

毎度のようで申し訳ありませんが、少し文章で詰まっています
ので、閃きを期待して明日は映画2回目を観に行こうと思います
早ければ明日、遅くとも明後日には一度投下するつもりです

舞ってる

俺も二回目行こうかな……

映画見てきた。前作のRRは個人的に正直微妙だった(DVDで見たので映画館で見ればまた違ったかもしれないけど)のと、公開前のビジュアルからコレジャナイ感を感じててあんまり期待してなかったんだけど、蓋を開けたらしっかり牙狼やってて安心した。
…これくらいならネタバレにならないかな?


 振り返ると、ちょうど目と目が合う。
 大量のデザートを注文したのは――声から察しが付いていたとはいえ――意外にも若い男だった。
それも、マミが見覚えのある。
 
――この人、確か……。

「やぁ、マミちゃん」

 やたら気さくに片手を上げたのは、一昨日の朝、マミに声を掛けてきた男だった。
 彼は謎めいた雰囲気を纏い、マミが魔法少女だと言い当てた。
 ただならぬ気配に危険を感じたマミは、絡んできた不良を零が締め上げている隙に逃げたのだった。

「涼邑零さん……でしたっけ」

 すると零は人懐っこい笑顔を浮かべて、

「嬉しいな、覚えててくれて。それより、まずは……はい」

 差し出したのは――袋に入ったままのお絞り。
 意図がわからずに困惑していると、零は苦笑して自身の目を指差した。

「顔、拭いたら?」

「あっ……」

 と、声を上げるマミ。
 今になってようやく、視界がぼやけているのに気付いた。
瞳には涙が滲み、触れると頬には乾きかけの涙の跡。



 こんな情けない顔を知らない男性に晒していたなんて。
 慌てて自前のハンカチで顔を拭う。
 拭いている最中も顔面は朱に染まり、火が出そうなくらい恥ずかしかった。

「それで、マミちゃんはどうしてここに?」

 どうして泣いていたかは訊かれない。彼なりに気を遣ってくれているのだろうか。
 その気配りをありがたくも恥ずかしく思いつつ、マミはぽつりと答える。

「どうしてって、人を待ってるんです」

「へぇ、誰を?」

 零が追及した直後、

「……そんなの、あなたに関係ありません」

 ツンと無愛想に、マミは顔を背けた。
 せっかく気遣いのできる人だと思ったのに、踏み込んでくるなんて。
 そんな落胆もあれば、待ち人が本当に来るのか不安からの苛立ちもあった。

「ごめん。怒らせたなら謝るからさ。機嫌直してよ」

「別に、もういいですから」 

 実際それほど怒っていなかった。怒るほど興味がなかった。
 目下、マミの関心は夕木命にしか向いていなかったからだ。
 にも関わらず、零は一人で話し続ける。


「けどマミちゃん。人を待つにしても、中学生が一人でいるには遅い時間だよ。
連絡してみるなり、日を改めるなりした方がいいんじゃない? 
最近このあたりも物騒だから。さっきも警察らしき人を見掛けたし」

 聞き流していたマミがピクリと反応した。

「それは……でも……」

 言い淀む。
 命とは連絡先の交換もしていない。今日を逃せば、次にいつ会えるかわからない。
いや、会えるかどうかさえも。

 ただでさえ不安定だった心は容易く揺さ振られ、零の発言に言及するのも忘れていた。
 目線や立ち振る舞い、身体つきから私服警官を見抜いた彼を訝る余裕もなく、
 彼が魔法少女の存在を知り言い当てたことも、頭の片隅から消え去っていた。

 もしも警官に見咎められ、帰れと言われれば帰らざるを得ないだろう。
店外のどこかで待とうにも、制服姿では目立つ。
二度目は学校や親戚へ連絡されるかもしれない。

 深々と溜息をつくマミ。
 いつだって、ままならないのだ。

 常識、世間、社会。
 如何に人が恐れる怪物を葬る力を手にしていても、
人の中で生きていくには、それらの枠組みを逸脱できない。

 この力は、どこまで行っても暴力。排斥されない為には、隠して生きていくしかない。
自分を取り囲む人の世界に対しては無力に等しい。
 彼女のように欲望に任せて力を振るうことも、こっそり小賢しく利用することも、
マミにはできそうになかった。



 進退窮まったところへ、零が奇妙な提案を持ちかけた。

「俺でよかったら保護者役、引き受けるけど?」

 マミは一瞬ハッとなり、

「何が目的ですか……?」
 
 即座に眉間にしわを寄せ、不信感を露わにした。
 明らかに胡散臭い。何か罠があると警戒するのは当然だった。
 
「別に。今日は俺も振られちゃったからさ。
俺が店にいる間、話し相手になってくれるだけでいいよ。もちろん、君のお相手が来るまで」

 しかし、渡りに船の申し出だったのも確か。
 まだ帰りたくない。帰れない。ただ、それだけしか頭になかった。
 だからこそ。



「それじゃあ、よろしくお願いします……」

  マミは長く逡巡した末に、その提案を受け入れた。
 零を信用した訳じゃない。
 軽薄な男の戯言に、いっとき付き合うだけで済むならよし。
 もしも零が何か良からぬ企みをしていても、対抗できる自信があった。

 魔法少女の力を人界で振るえるとしたら、それは不当な暴力に対してのみ。
 自分と誰かの身を守る為にだけ、人間への行使を許される。
 そう、マミは考えていた。

 単純に力で捩じ伏せていいなら、こんな簡単なことはない。
 彼が何者であろうと負ける気はない。
 魔法少女以外で自分に対抗できるとしたら、それは数少ない例外だけ。

 魔戒騎士、冴島鋼牙。
 またの名を黄金騎士、牙狼。
 彼のような例外中の例外が、そうそう現れるはずがないと、マミは高を括っていた。 

短いですが、ここまで
もう少しで一区切りなので、明日も短いでしょうが書きたいと思います
映画は冴島鋼牙、最後の戦いに相応しい内容でした
ラストシーンとEDは何度でも見たくなります


関心のある人間と無関心な人間との態度の差が激しすぎるなマミさんは
態度が軽薄とはいえ一応は助けて貰ったんだからさあ……

こっちの態度が素だろ
女ホラーの方への依存が異常なだけ

>>94
これが素って…普通に性格悪くね?

>>95
だからぼっちなんだろ、察してやれよ

これが素ってのはないでしょ
学校ではそつなくこなしてるんだし
思うに最初の零は怪しまれても仕方ないし、今は精神状態が良くないから
ホラーの場合は逆にそこにつけこんでうまくいった

>>97
人を寄せ付けなくて女ホラーに心を開いてた時に
彼女を知ってる人間からすれば珍しいって描写があった事を考えると
態度の違いはあれど学校でも似た様な接し方だったんじゃないかな?
周りの目を常に気にしているから学校で表に出さないだけで

≫女ホラー

モロクな。マミさん批判する前にキャラの名前くらい覚えようぜ

魔戒騎士、冴島鋼牙。
 またの名を黄金騎士、牙狼。

↑この文を見たときRRサントラの【奪還】が脳内再生されたのは言うまでもない。

>>1
モロクがマミと同じ女性だったからってのもあるだろう。零とはファーストインプレッションがアレだっただけにな…

>>100
初めての邂逅の時、魔法少女は皆、杏子と同じだと思って
マミに殺気をぶつけた事ぐらいしか零の落ち度はなくない?
寧ろあの時、肩を掴まなかったら危なかったのはマミさんの方だと思うが

何を今更キャラの性格であーだこーだ言ってるんだか
外伝含めて性格や行動に難があるのがまどマギワールドの魔法少女だろうに
このssでのほむらや杏子の行動とかも擁護できたもんじゃないし
まともな娘なんて、まどか、ゆま、かずみ、カオル(牙狼じゃない)ぐらいだろ
そもそも魔女になって貰うのが目的なんだから色々と問題がある娘ばかりがQBに選ばれる

それは言えてる

>>101
マミの性格とは別に、それが特大の地雷行為だろ
特別警戒の警官いきなり殴り倒して、あいつ工作員だったのに(証拠出さないけど)
何で俺が怒られるの、というようなもん
本編ほむらが信頼度ゼロなのと同じ

更新してた乙
零の件はファーストコンタクトが不味かったのと零以上に信頼の置ける人がマミさんに出来たというタイミングの悪さが合わさっての結果だと思う

>>102
何だかんだでほむマミあんは壊れる寸前まで行ってるからな
人間として何かが欠落していたり歪んでいてもしょうがないのかもな
しかし、これ本当に魔戒騎士の影響で変わって行くのかね?
何かもう手遅れ臭い所まで行ってる気がするけど

>>105
まあそこは今後の展開に期待しよう。あんまりその辺の突っ込んだ事言うと>>1も書きにくくなるし。

蒼哭と第三期決定で牙狼熱が再燃して、このSSももっと広まるといいな。まどマギはもう動きはないんだろうか…

まどマギ2期制作決定!!……という話を、夢の中で聞いたような?

暗黒少女かるね☆バラゴ

家族と自分の運命を魔女によって狂わされた少女、龍崎かるね
そんな彼女は全ての魔女を自分の手で根絶やしにするべく、QB(まどか達のとは別個体)と契約して魔法少女に!
しかし、彼女の願いは魔女と魔法少女の真実を知るにつれ、徐々に歪んだ物へと変わっていく…

武器:剣、斧
能力:隠我吸囚
かるねが「全ての魔女を倒せる力が欲しい」という願いが反映された能力
魔女を文字通り「喰う」
喰った魔女のエネルギーを吸収し、その分強くなる。その際、その魔女の特性や魔法少女だった頃の能力を得る。喰った相手のかつての記憶もアバウトながら知ることができる。
また、この能力は魔法少女も対象に入る。




単なる自己満足で考えたバラゴinまどマギ
QBはガルムポジ「かるねを最強の魔法少女に育てて最終的にその全エネルギーを利用する」という目的の為に、かるねに全面協力

かるねは本編同様暗躍しまくる。まだ未熟だった頃はマミさんみたいな師匠がいた。
最終的には本編バラゴみたいな感じで消滅する


 そしてマミが零を対面の席に受け入れて数分。
 マミは沈黙し、ほとんど零が一方的に話していた。
 とはいえ当たり障りのない、深くは踏み込まない、うわべをなぞるような会話。

 彼は仕事のことを話したりもしたが、結局どんな仕事なのか掴めなかった。
 どうとでも取れる曖昧な口振り。
わかったのは、いつも独りで大変な仕事をしている、としか。
 
 コートの上からではわかり辛いが、見る限り零は均整の取れた体格である。
この尋常でない糖分とカロリーに釣り合う仕事なら、さぞかし辛い肉体労働なのだろう。
 その程度と気にも留めず、マミは時計ばかり気にしていた。

 こうしている間にも、刻々と時間は過ぎていく。
 焦りが募る。
 不安が心を覆い尽くす。
 そうしてマミは徐々に俯いていった。
 
「そんなに時間が気になる?」

 顔を上げると、零がスプーン片手にマミを見ていた。
 既に幾つかの皿は平らげられ、今も食べかけのゼリーが彼の前に置かれている。

「あんまり遅くなると家の人が心配するからかな」

 つい昨日、この場所で、彼女もそう言っていた。
 誰も同じだ。魔女退治の帰りにも、何度となく聞いた。
 中学生には帰るべき温かい家があって、親が迎えてくれるのが当然だと思っている。


「あなたも……同じことを言うんですね」

 昨夜と同じ言葉でも、マミの反応は昨夜とは違う。
 薄く儚く、それでいて呆れたような笑みを浮かべる。
 それは柔らかな拒絶。

「いいえ……なんでもありません。いいんです、どうせ帰ったって誰もいませんし。
私、一人暮らしで親もいませんから」

 マミは早口に捲し立ててから、少し後悔した。
 気付けば勝手に口が動いていたのだ。
 半端な同情なんて、されたくもないのに。

 だが、こう言ってしまえば、それ以上は訊かれないだろう。
 自ら一線を引いて、触れられたくない過去を守れるなら。
彼が口を噤んでくれるなら、この際どうでもよかった。

 しかし――。

「そっか。なら、俺と同じだ」

 と、零はこともなげに言い放つ。
 予想外の反応に、マミは続く言葉を失った。

ここまで
なるべく明日も
小刻みですが書いてしまった方が、いっそ迷わずに済むかと思ったので
一段落するまでは

たくさんのコメントありがとうございます
こうした議論は、自分でも気付かなかった発見もあって嬉しいです

3期は、よりハードなストーリーになるみたいで
鎧がフルCGでスーツがなくなるそうで、少々寂しくもあり、不安でもあり

≫108

まさか顔は京本さんのままとか言うんじゃなかろうな?
もしかしたらあなたの考えで字体を変えているという可能性もあるので無闇に指摘するのはやめておきます≫隠我吸囚

究極奥義は「大魔女陣(大量の魔女を召還し融合、強烈な一撃を浴びせる)」ですね。わかります。
最終的にはワルプルギスと融合しようとして・・・の前にワルプルにメシアと同等の知力があるのだろうかww

≫1

マミ零フラグが立ちそうな予感・・・ww鋼牙と違って零は市井の人間と仲良くしすぎるからいつもつらい思いをするけど
今回ばかりはそいつがいい方向に動きそうな予感

しまった隠我吸囚じゃなくて陰我吸囚でした。ありがとうございます

そして投下乙
零がマミさんと杏子を上手く引き合わせる事を信じてる

安価は>>

>>1
杏子だけじゃなくマミさんまで落とすか零。

>>108
むしろ かるね☆暗黒少女鎧伝になりそうなヨカーン

>> 108

消滅した後はもちろん小説版と同じく魔法少女に転生してめでたしめでたしですね。

その勢いで魔法少女シグマ☆マギカも妄想してもらおうか

>>1
どっちも家無き子だもんなぁ
空と二人の間にちょうど冷たい雨が降ってる



ガジャリ「ワレトケイヤクシテヤクソクノチヘイクノダ」

     「………ウム…」



     「ボクトテイヤクシテヤクソクノチヘイッテヨ!」(裏声)

     
     
     
     「…………ムウ…」(照)


二期と映画見て思ったけどガジャリとQBどっちが良心的だろうか

>>1
マミ零フラグ期待

>>117
QBよりガジャリの方が感情っぽいものがある気がする

>>108

魔法少女服は裸Yシャツの胸ボタン3つ目までオープンですねわかります。


>>117

行ったら死ぬかも知れない所に呼び出されて覚悟決めて出掛けてって、何の用かと思ったら激励してくれるんだぜガジャリさん!いいひとに決まってます。


そういや零も独りか

>>117
等価かはともかく願いと代償が1:1だしガジャリさんの方がwwwwww
キュウべぇの場合、願い1に対して代償が魔法少女として魔女と戦う、魂抜かれてソウルジェムにされて普通の人ではなくなる、最終的に魔女になると大きくいっても3だし


 零が、あまりにも平然と言ってのけたから面食らってしまった。
一瞬、ちゃんと理解しているのか不安になったほど。
 マミの場合、単に親元から離れての一人暮らしではない。
家族とは死別して、どうやっても会えないのだ。
 
 どうしよう。
 マミは内心うろたえてしまった。たぶん顔にも出てしまっているだろう。
 零が気まずくなって黙るのを期待していただけに、何を話していいのかわからない。

 だというのに、零は返事を待つ間も甘味を堪能している。
 とても真面目な話をする姿勢とは思えない。幸せそうな表情が憎らしかった。
 だが、だからこそマミは心の内を見つめる余裕ができた。

――そもそも、こんな話を続けて私はどうしたいの?
何を訊きたいっていうの?
さっきまでのように黙っていればいいのに。
私は、何を知りたいんだろう――

 拒んだ手前、問い詰めるのも気が引けたし、自分の事情を話す気にもなれなかった。
 何よりも、零の身の上を聞いて、それが自分よりも悲惨な境遇だったら。
 比べるのが、比べられるのが怖かった。

 だから訊くなら、たった一言。
 ただ、核心を。

「あなたは……独りぼっちでも寂しくないんですか?」


「そうだな……」

 零は食べる手を止め、考える。
 答えが返るまで、時間はかからなかった。

「耐えられなくはない、かな。
独りで辛くて、寂しくても、慣れれば我慢できないほどじゃない」

 彼は笑みを絶やさなかったが、その笑顔は少し変わっていた。
 気のせいかもしれない。注視しなければ気付かない、微細な変化。
さっきまでの軽さはなく、心なしか哀しそうでも、懐かしむようでもあった。

 マミは止めていた息をゆっくり吐く。全身の緊張が僅かに和らいだ。
 もし、平気だとか、痛くも痒くもない、なんて言われていたら。
 きっと、その時点でマミは彼を理解することも、理解を求めるのも諦めていた。

 そんな鋼のような精神を持った人間の考えなんて、きっと聞いても共感も理解もできない。
だからこそ鋼牙が高みの存在に思え、複雑な感情を抱いてしまう。


「家族も何もかも全部なくなったように思えても、
独りぼっちで生きてくのも、意外になんとかなるもんさ。
何か、ひとつでも残っていればね」

 そう、零はどこか遠い目をして語った。

 彼は平気だとは言わなかった。
 それを聞いて、少し安心した。自分だけじゃなかった。
 誰だって孤独が辛くないはずがない。怖くないはずがない。

 それでも、彼は耐えられると言った。
 鋼牙ほど歳は離れていないだろうに、背負った過去を窺わせる。
 擦り減って鈍くなったのか。鍛えられて強くなったのか。

 どちらであろうと、確かな事実がひとつ。
 自分が子供であり、彼が大人であるということ。

 あれは誰かの本で読んだのだったか。
 大人になるとは、鈍くなること。
 痛みや苦しみ、悲しさや寂しさ。喜びや快楽も含め、あらゆる刺激に慣れることだと。

 魔戒騎士じゃなくても同じ。
 世の大人たちは誰もが彼のように、大なり小なり折り合いをつけて生きているのかもしれない。
 だからキュゥべえは十代の少女を選んだのか。

「でも、私はあなたみたいに強くなれそうにない……」

ここまで
明日で区切りまで行けるかどうか
賛否あるでしょうが、3話は自分なりの零のイメージが強く出てる感じです

だんだん零の顔が蒼樹うめ画で脳内再生されるようになってきたぞ…?

鋼牙には有り得ない不思議。

>>125
今の所は魔法少女達と絡みが多いのは零だからな
鋼牙はそこまで絡んでもいないし

零は牙狼サイドで一番人間が出来ている。(ただし白夜以降の零の場合。)

基本的に市井の人間と交わりたがらない上近寄りがたい鋼牙
概ね鋼牙と同系統で頑固さはさらにその上をいく翼
初心で未熟なレオ
自分より弱い男や女を見下している烈花

零の包容力に匹敵できるのは教師をしているワタルか弱点が見当たらない邪美くらい。
正直翼より零のほうが導師向きかと思うレベ(チリーン☆

そのせいで妖赤では暁に押しかけられ
二期では侍にSTKされたわけだがww

まぁゴンザさんに勝てる人はいないけどな。

まどマギサイドで零レベルの包容力を持つ人物はまどかママくらいしか思いあたらない・・・

>>127
人間出来てるとは思うけど
個人的に包容力が高いイメージではないかなあ零は

包容力ではないな


零の一つってのはシルヴァかなと思ったけど、
一期の頃はあんまり気にかけてた印象がないから支えは復讐だったのかな

>>127
同じく包容力は怪しいし、教官は絶対向いてないと思う
魔戒騎士はスパルタ式だから教官は厳しく怖いくらいで、そのぶん真面目な人でないと
結果オーライとはいえ、自分の裁量で掟を破る鋼牙もどうかな

>>127
まど母は、まあ一般論ならいい親なんだろうけど、あくまでも日常の側にいて
その立場からの正論吐いてるだけの役回りだから、
非日常にどっぷり嵌まった魔法少女達には何もできない印象

人間が出来てるというより、フランクというかフレンドリーな感じかな?零の場合は。
確か白夜の魔獣の時か何かでも、鋼牙は必要な事以外話さないのに対して零は必要以上に喋りすぎるとかってつっこまれてた気が。

>>125だが。
零の脳内うめてんてー変換が余裕になっていく。カオルやゴンザは勿論、邪美もバラゴも、翼も阿門も、竹中さんや大友さんもだ!

どーしても変換無理なのが鋼牙、コダマ、ギャノン(池畑慎之介)。こいつらだけずっと実写ww
共通点なんだろ?

ギャノンは思いっ切りデフォルメすればいけない事もないが、残りの二人がどう考えても無理だ
共通点は「可愛さ」と言うものが二人共完全にゼロなんだと思う。多分

》133

CRのチビキャラを中継地点にして変換してみて。コダマは無理。
しかる後に鋼牙とマミさんが背中合わせに闘うシーンをだな。

》132

それ多分鈴に「魔戒騎士のくせに、笑ってるー!」って言われてるとこかも。



まぁ零本人が「俺は師匠なんて柄じゃない」って言ってたし。弟子も嫁も持たないからこその零だ。
女の子のほうから寄って来るタイプだな。

ママはもしママが法師だったら・・・の妄想の元にそう言った。
一般人にしておくのがもったいなさ過ぎるよあの女傑。

牙狼マギでポスター的なものを作るとすれば

マミ牙狼

杏絶狼&破怒

さや打無&破狼

ほむ狼怒&邪悪

まどカオ

ママ邪美&烈花

魔女呀

で見てみたいね。

ちょっと時間をいただきたいと思います
大事な場面なので
でも日曜には必ず

がんがれ

シグマがまどマギ世界に入ったらどうなるんだろとまた妄想
こちらも単なる自己満足です

性格としては号竜人とかイデアとか作ってるからオタク気質でヤンデレな中二病ちゃん
能力は「加工」とか
捕えた魔女や使い魔(その気になれば魔法少女や人間も可)を好き放題いじくって自分に忠実な魔兵士や武器を制作する事ができる

また、ある強大な力を持った魔女を捕えた際、その力の一部を右腕に宿した
この右腕の力は強大で、相手を死に至らしめる呪いや魔法少女の影を元に能力や姿を完璧にコピーするなど、多種多様な魔法を使える
(ただし、魔法少女の姿はあくまでも影なので色は黒く、相手が変身を解けばこちらも解除してしまう)

全ての魔女を消すべく、自身の最高傑作イデアの制作を行う
魔女を捕獲するという行為を続ける事で、比較的早めに魔女が魔法少女より生まれる事を知る
そのため魔女を「絶望に負けた弱い存在」として見ており、材料として扱う事にためらいは無い

過度な妄想はスレたててやってほし

すまん


 目を伏せ、蚊の鳴くような声で絞り出す。
 どうしてもイメージできなかった。
 今でさえ、こんなにも胸が苦しい。心がバラバラになりそうなくらい。

 孤独の痛みを抱えたまま、それに耐えて生きていくなんて、できる気がしなかった。
 まして自分は魔法少女。
既にまともな人間じゃなく、いつか怪物に変わるなんて事実、独りで抱えるには重過ぎる。

「そいつはどうかな」

「えっ……」

 独り言を拾われ、マミは戸惑う。
 しかも意図がわからない。
ただ、マミの苦悩故に漏れてしまった弱音を否定しているらしかった。

「それ、どういう意味ですか?」
 
 ややムッとして訊き返す。


 私のことは私が一番よく知っている。慰めなんか求めていない。
 もっとも肯定されても、それはそれで不愉快だったろうが。
 零が根拠のない気休めや無責任な精神論を振りかざすなら、すぐにでも席を立つつもりだった。

「自分より自分のことを知ってる人間はいない。
けど、自分のすべてを知ってると思ったら大間違いだぜ?」

「私でも、強くなれると……?」

「さぁ? 俺はマミちゃんのことを全然知らないから」

 意味が判然としない内に突き放された。零はマミの望む答えを返さなかった。
 そこが零の、命で大きく異なる部分。
零は優しいようでいて、彼もまた一線を引いている気がした。

 たった数時間でも、命は必ずマミの欲しい言葉をくれたのに。
 しかし、命がホラーだとしたら、それも罠だったのだろうか。
 否定したくても、疑心暗鬼を止められない。

 わからなくなる。いったい誰を信じ、誰を疑えばいいのか。

――でも、一番信じられないのは私……。
迷ってばかりの私自身。
私は、こんなにも弱い人間だったかしら。いつから、どうして、こうなってしまったのか。
私は、私がわからない――

ここまで
明日こそ何とかしたいです
筋はできてるんですが

風~旅立ちの詩~は早くCDで聴きたいです
いろいろ捗りそうなので

乙です

作者さん乙です
殺気立った展開が続いていただけにこういう穏やかなやり取りはホッとしますね
また杏子にやったみたいにケンカ吹っかけちゃうのかと若干不安でした、いやまあこっから急転直下の可能性もありますよね(笑
暗闇に慣れてしまった魔法少女には燦然と輝く太陽よりも月光の方が心地よいのかもしれませんね

自分は最近一気読みした身なんですが、ヒーローの出現で逆に混迷していく展開は予想できず、手に汗握りながら読んでました
現在メインの零は駆け引きの上手さやドライさが前面に出ていて好みの描き方です。杏子戦で見せた圧倒的強さといいまさに狼
あと度々議論が白熱してるネガティブマミさんは「自分もこういう考え方するなあ…」ってのが割とあって口の中が酸っぱくなったり(笑
そしてバトルのかっこよさ!杏子VS零は心臓バクバクさせながら読んでました
これからも期待してます。執筆頑張ってください

(笑 がイラつくがお前の愛はよく分かった

正直このマミさんが一周目や二週目でまどかとどういう関係を築いていたのか気になるな
幸せな家庭で育ち人の役に立つ事を心から望んでる
純真無垢なまどかなんて鋼牙同様に複雑な感情を抱きそうだが
まともな関係を築けていたとは到底思えん

これのまどかの場合、純粋に人の役に立ちたいというより、コンプレックスの解消が大きいかと
鋼牙の言うようにボランティアでもなんでもあるし、そもそも本編からして、なにかに本気で打ち込んだ結果諦めた感じじゃないし
楽して誇れる自分になりたい願望はあったと思う

>>148
確かにそういう一面がある事は否定できないけど
ほむらを庇ったりホラーの恐ろしさを見ていたにも関わらずさやかやマミのために魔法少女になろうとしたり
ザルバが鋼牙の魂を糧にしてる事に対して食い下がったり
誰かのために身を投げ出せる様な優しさや芯の強さはあるでしょ
おまけに魔法少女としての才能が凄まじいときている
ここまでの要素を持っていて、このマミさんが複雑な感情を抱かないのは不思議な気がするが

更に付け加えるんなら
昔からの友達のさやかならともかく
ほむらやマミさんなんて知り合って間もないのに

>>149
まどかの才能があそこまででかくなったのってほむらが繰り返したからだよね?最初は普通レベルだったんじゃね?

作者さん乙
牙狼や絶零達魔戒騎士の必殺技纏めたサイトってありそうでないな。ss書く参考に探してるんだけどさ

そろそろ分家で妄想・データベーススレ誰か立ててくれないかな

本筋に関係ない小話や考察とかをしたい人はいるだろうし。

ちなみにCR版の必殺技は過去ログを洗うと出てくる。

>>151
ワルプルギスと引き分けられるぐらいには才能はあったっぽい

拒絶状態からじわじわとコミュニケーションが成立していく感じが良いな(零の話術に取り込まれてるともいうが)
いつか杏マミ零で打算抜きのお茶会できるといいね。あの二人にならマミさんもケーキ作り甲斐あるだろう
…でも零はどんなに(鋼牙やカオルくらい)親しくなろうが一線引いて孤独に浸りたがるから難しいか

>>153
問題はどこにたてるか……この場所じゃ板違いだろうし

>>154
そうだったのか……ナチュラルにデカかったものがさらにデカくなったのか

昨日はすみませんでした
連日の夜更かしが祟って少々調子を崩していたもので
ここまできたら最後まで書き溜めたいので、もう少し

>>153
SSネタスレ、談義スレと考えればセーフじゃないかなあ。
読み手の議論やネタ投下もここの味とは思うけどね。


>>154
まどかの魔法少女の素質を決める因果はほぼゼロだと思う。まどかは如何なる不幸、試練、運命、野望も持たない平々凡々な普通の子。人の為になりたいというのも口だけで単に目標とやる気が無い事は当SSにて鋼牙に喝破された。鋼牙GJ。

因果の仕組みが知られていなかったため、因果の無いまどかに素質がある事の不自然さに、ほむらも気付かなかった。
当SSのほむらも、まだ気付いていないようだ。


なんての。

>>158
因果がゼロって事はないでしょ、だったら何でQBに選ばれたんだ?

上でも語ってる人が語ってる人がいたけど
まどかの人の力になりたいというのが全部が全部口だけというのはないでしょ
一周目でも絶望的な状況で勝ち目が殆どないのにほむらや町を守るためにワルプルギスに特攻したんだし

>>158
いや、1つのスレから派生の談義スレなんて速報じゃダメでしょ
立てるとしたらしたらばあたりか、でも立てる必要も需要も感じないな
別に荒らしでも投下の邪魔でもなし、たまに書き込むくらいなんだからスルーでいいじゃない
どっちにしても派生となれば大事なのは1の意向では

>>159
その理屈だと、曲がりなりにも見滝原で魔女狩り続けてワルプルとも戦ったマミも
まるっきり上っ面だけの偽善者ではない、ってことになるが
これ読んでそんな評価をしてる奴は一部のマミ信者だけだろ

そもそもまどマギで本当の意味で誰かのために戦ってる奴なんていないからな
結局は自分自身のエゴを押し付けてるだけだし

レズビアンなら全部許すのが豚と呼ぶのもブタに失礼な連中

とは言え、魔戒騎士が魔法少女とは違って真に誰かのために戦う
高潔な精神の持ち主、ってことかと言うとそう単純な話でもない
ある意味仕事みたいなもんだしちょっと意味合いが違う

>>161>>162
じゃあ何か少しでも自分のためだったらそれは見せ掛けだけの偽善者だっていうのか?
正義の味方は純粋に誰かのためだけに戦う聖人君子でなくてはならないって何年前の価値観だよ……
魔戒騎士達と比べ過ぎなんじゃないのか

なんか、議論に見せかけてマミさんアンチとまどかアンチが暴れてるな。

本質が偽善だろうが、命懸けで善やってるんだから、何もしてない非偽善者より遥かに良いだろ。
くだらん事ほざいてる暇があるなら、コンビニでも行って1円でも多く募金して来い。

>>158です。書き方悪かった…

英雄的な決断が出来る事と、因果(力と言ってもいい)の多寡は別、という意味だった。

まどかに目下の夢が無いというのは本来因果(=陰我)が少ない事を意味する。
ほむらの影響で後に因果が爆発的に増えてしまったが、まどかの最期の英雄的決断はどのループでも変わらなかった。

力さえあれば強くあり得るのか、力が無ければ英雄的に振る舞う事は出来ないのか?魔戒騎士にも当然言える事。
意見百出の問題だと思いますが。

偽善かどうか他人が決めるのは傲慢でしかない

偽善かどうか他人が決めるなんて傲慢でしかない

まぁこのスレストップぶりが全てを物語っているね。

で、小ネタ・考察・妄想スレはどうする?
作者さんに意見を仰いでからにしたほうがいいのは百も承知だが

確か前スレ辺りで、軽い雑談はOKって作者さんが言ってたと思うので、わざわざ別スレ立てる必要は無くね?
ただ、雑談OKなのをいい事に一部のファンがどんどんエスカレートして、誰得な妄想垂れ流すのが問題。

誰かに咎められたら暫くおとなしくなるけど、すぐにまた活性化するし…。
特に、>>67みたいなキャラに喋らすのは余りに痛すぎるので勘弁してほしい。

それは定期的に沸くキャラ叩きにも同じ事が言えるだろ
正直この10レス前後の流れは虫唾が走ったぞ

それに比べれば遥かにマシとか言うつもりは無いが痛すぎるというのは言いすぎだろ

あー、ごめん。言い方悪かった…。
勿論、キャラ叩きの奴らは論外よ。妄想の類いは、元々はキャラ叩きが暴れて悪くなった空気を何とかしようとしたのが始まりだし。

ただ、そういう下地があるので、今度は妄想の方がエスカレートしても、なかなか強く言えない。まあ、アンチの荒らしよりはマシか…って感じで。
でも、更新来てる!と思って覗いたら全部妄想談義だったりがザラなので、ちょっと自重してほしいってのは本音。

あと、座談会みたいなのは自分の黒歴史を掘り返されるみたいで、うわあああああああってなるのでホント勘弁して下さい(切実)


前スレにも書きましたが、
キャラクターに対しては荒れる原因にもなりますので、言葉を選んでいただければと思います
もちろん「俺の〇〇はこんなじゃない」「魅力が出せていない」「捉え方がおかしい」
といった形なら、つまりSSへの批評批判でしたら歓迎ですが

ネタ、妄想に関しては、(上記の件についてもですが)
気になるかもしれませんが、悪気あってではないでしょうし、あったならなおのことスルーでお願いできないでしょうか

小ネタを書く方は自由ですが、書き込む前に他の方が不快にならないかどうか御一考ください
それと技名等データについては私がお願いしたものなので、ご理解ください

以上の理由から分ける必要はないと考えます

ですが、このスレ、SSとまったく関係ないものとして立てるのでしたら止める権利はありません

遅くなりましたが、投下します


 だとしたら、零の指摘は正しい。
 おそらく彼は違う意味で言ったのだろうが。

「いえ、あなたの言う通りかもしれません。私は、私のことを知らない……。
でも、だからこそ、会わなくちゃいけないんです。でないと私……」

 目蓋が震える。
 マミは太股に落ちた拳をギュッと固く握った。気を抜くとまた泣いてしまいそうだった。
 ダメだ、まだ泣くなと、必死で己に言い聞かせる。
 
「生きる意味を見失ってしまう。何も残らなくなる……」

――キュゥべえに裏切られた私に残された……ううん、裏切ったのは私。
彼は私が友達だと思う限り友達だと言った。
彼は鏡のような存在で、大事なのは私の心ひとつ。
だからこそ、疑いと憎しみを抱いたら二度と友達とは見られなかった。

だからキュゥべえと決別した。
命さんは成り行きとはいえ私の正体を知り、受け入れてくれた。友達になってくれた。
命さんがいてくれれば、もう彼はいらないと思ったのかもしれない。

美樹さんは冴島さんに憧れている。それに今日のことで、きっと私にも幻滅したはず。
鹿目さんも美樹さんも、魔法少女の真実を知ってしまった以上、仲間には誘えない……。

一緒にいたら彼女たちはともかく、私は二人を求めてしまう。
二人は魔女とも、魔法少女とも……私とも関わりを持たない普通の生活に戻るべき。
私にはもう命さんしかいないのに、あの人を失ったら私は――


 マミは俯き、沈んだ。
 あれこれ独りで考えていると、どうしても悲観的になってしまう。
 そこへ頭上から軽い調子の声。

「生きる意味なんて考えてる人の方が珍しいよ。
かくいう俺も意味なんてよくわかんないしね」

 だから生きる意味なんてなくたって平気だとでも言うのか。
そんなふうに、気楽に生きられない人間だっているのに。
 最初からないのと、あったものを失うのとでは、大きな差異がある。 
世界が色褪せて、何もかもが無味乾燥に感じられるのだ。

 その気楽さへの呆れは怒りに変わり、ひとこと言ってやろうとマミが顔を上げると――。
 同時に黒い物体が鼻先に突き出された。

「それでも、美味いケーキとお茶があれば、ちょっとは生きてて良かったって思える」

 ふわりと鼻腔をくすぐる香しさ。
 この香りは――チョコレート。
 零が注文していたチョコレートケーキだった。
 
「ほら。マミちゃんも食べなよ」

 いりません、と突っぱねようとした瞬間。

 クゥ~、という音が。



「あ……」

 発生源はマミのお腹からだった。
 小さな音だったが、マミは露骨に表情に表してしまった。
当然、耳聡い零が聞き逃すはずがない。

 そういえば昨日の夕方から何も食べていないと、今になって思い出す。
 泣き疲れて眠り、惰性で登校し、授業中も昼休みも物思いに耽っていただけだった。
その間、食事のことなど忘れていたし、空腹も感じなかった。
 心に引き摺られて、身体までもが生きるのを拒んでいた。

 それがどうだ。
 チョコレートケーキの香りを嗅いだ瞬間、死んでいた全身の細胞が生き返ったかのよう。
 灰色だった世界が色付いていく。

 目に飛び込んできたのは、テーブルに所狭しと並べられたスイーツの数々。
 彩り鮮やかなデコレーションが眩しく、甘い香りは否応にも食欲を刺激する。
今の今まで目にも映らなかったのに、自分でも不思議だった。
 
 ごくり――と、無意識に唾液を嚥下する。
 今度は最初より大きく腹の虫が鳴いた。

「や、やだ……」
 
 マミは顔を真っ赤にして恥じらい、両手で腹を押さえながら縮こまった。
 零は、くつくつと苦笑しながら、マミの前に新しいフォークを添えて皿を置くと、
 
「さ、どうぞ召し上がれ」

 右手を差し出し、恭しげに促した。



 マミは悔しそうに零を見上げて数秒。
 観念したように息を吐いた。
 身体が求めている以上、虚勢を張っても仕方がない。言い訳の余地がない完敗だった。
 
 軽く会釈した後、フォークを手に取ると、まず全体を見回す。
 チョコを練り込んだ生地。
 層になったチョコクリーム。
 表面を白く覆う雪のような粉砂糖。

 シンプルで派手さはないが、他のケーキに微塵も見劣りしない。
見た目ほとんど黒と茶だけなのに、むしろ高貴ですらある。
 今まで見ていた、褪せた灰色の景色とは比べ物にならない美しさ。

 既に零に対する屈辱感は頭になく、マミの胸は期待に踊っていた。
 いつもお菓子を前にすると、日々の疲れや不安を束の間でも忘れ、幸せな気分に浸れた。
 流石に普段ほどではないが、無気力、無感動に錆ついていた心は確実に動き出していた。
 
 フォークで突き刺して、一部を口に運ぶ。
 甘さとほろ苦さが絶妙に組み合わさり、舌の上で解ける。
 一口にチョコレートの美味しさが凝縮されていた。

 食べ進めるごとに、忘れていた食欲が目覚めていく。
 もっと、もっと食べたいと欲している。
 生きる意味も見失い途方に暮れていたのに、身体は生きたいと渇望していた。


 大げさだが、今この瞬間だけは心の底から思う。
 生きていて良かった、と。

 


 たった一個のケーキに、こんなにも揺さ振られるなんて。
 こんなことが堪らなく嬉しい単純な自分が情けなかしかった。

 そして、悲しくて寂しかった。
 キュゥべえや杏子と、何度も一緒に談笑しながら食べた想い出が蘇って。
 まどかやさやかと食べることがもう叶わなくて。

 お菓子が美味しかった理由。お茶会が幸せだった理由。
それは単に味だけじゃない。大切な誰かと時間を共有できたから。
 もし一緒だったなら、どんなに楽しかったろう。きっと何倍も美味しかったはず。

 でも、ここにいてほしい人は誰もいない。
 それでも、ケーキはやっぱり美味しかった。

 喜怒哀楽。
 様々な感情が一気に押し寄せて、胸が詰まって言葉にならない。
 瞳の端から、ずっと堪えていた涙が溢れる。

 ポロポロ零れて止まらない涙。
 マミは拭うこともせず、一口一口を大事そうに噛み締めた。
 口内を満たすのは甘味と苦味。それと少しの塩味――。


  
 皿を綺麗に平らげたマミは、紅茶を含んで口を洗う。
鼻から息を吐くと、紅茶の香りと心地良い満足感だけが残った。
 不安から逃げる為、がぶ飲みしても得られなかった精神の安定。
それが僅かだが戻ってきた。
 
 何故だろう。それほど長く、激しく泣いた訳でもないのに、心が軽くなった。
独りの時は、何時間泣いても澱のように溜まっていく一方だったのに。
 零の前で泣いたことも後悔はしていない。彼のおかげで気持ちが楽になったのは紛れもない事実。
 
 ただ、ひとつ問題がないではなかった。

――は、恥ずかしい……。

 落ち着くと、猛烈な羞恥心が湧いてきた。
 そう思えるだけの余裕が戻ったのは喜ばしいのかもしれないが。
 マミは伏せた顔をなかなか上げられずにいた。

 泣きながらケーキにがっつく女を見て、彼はどう思っただろうと。
 また笑われるか。それとも、親身になって同情されるか。
 
 数十秒の後、そ~っと上目遣いで零を窺う。
 結果は、どちらでもなかった。
 零はこちらに見向きもせず、頬杖をついて窓の外を眺めていた。
食べている間、ずっとそうしていたのだろうか。
 
 今がチャンスと、急ぎ取り繕うマミ。
 顔と口元を拭いて、お絞りで頬の火照りを冷まし、深呼吸。
 ようやく人に晒せる表情になってから、もしかしたら、と思う。


――これも、この人なりの気遣いだったのかしら……。
それとも、本当に深入りする気がなかっただけ……?
どっちにしても、私にとって一番嬉しい対応だったけど――

 マミも零の視線を追ってみた。
 彼が見上げる空には、欠け始めた月が雲の切れ間から覗いていた。
 雨脚も弱まっている。

 それから長い間、マミと零は月を見上げていた。
 二人とも一言も発しなかったが、気まずい沈黙とは無縁だった。
 周囲の雑音も気にならない。何も語らなくてもいいのだと思えた。

 もしかしたら、もしかして。
 このまま、すべてがうまくいくんじゃないか。
 雨がいつか必ず上がり、黒雲が晴れ、夜明けが来るように。
 甘えた考えだとしても、期待せずにいられなかった。

 実際は何も変わっていない。気持ちがやや上を向いたに過ぎない。
 なのに、映る世界は違って感じられた。
 
「あの……せっかくですから、少しお話しませんか……?」

 切り出したのはマミから。
 一歩を踏み出せば、何かが変わるかもしれない。
そんな、何の根拠のない漠然としたプラス思考。
 その瞬間、マミは希望を垣間見ていた。



 共通の嗜好を持つ者同士だった為か、それなりに話は弾んだ。
 この街で美味しい店を教えたり、
逆にこれまで行った店で特に美味しかった店を聞いたり。

 零は自分が注文したスイーツを気前よくマミにも分けてくれた。
 マミも最初こそ遠慮したものの、最後には誘惑に抗えず、厚意を受け取った。

 彼は本当に命とは真逆だった。
 他人に深入りしないし、胡散臭い発言もある。
かと思えば、妙に紳士的だったりもする。
 温かいのか冷たいのかわからなくて、どうしていいか混乱してしまう。
 
――何て言ったらいいんだろう。本当に掴みどころのない人……。
でも、不思議と嫌いじゃない――

 命との会話がひたすら安らぎに満ちていたのに対し、零は気が抜けない。
良くも悪くも緊張感のある時間。少なくとも退屈はしなかった。
もし彼を詳しく知る機会があったなら、それが良い方に傾いただろうか。

 そう思う程度には、マミは零に心を開きつつあった。
 態度も軟化し、ぎこちない笑顔を浮かべもした。


 しかし――。




 閉店が近付くにつれ、マミは次第に無口になっていった。
 命はまだ来ない。
 零と話す前より強い焦燥に駆られる。

 笑顔が翳っていくのは止められなかった。
マミ自身にも、零にも、誰にも。

 そしてオーダーストップを経て、閉店。
 肩を落として店を出たマミに、零が言った。

「それで、マミちゃんはこれからどうする?」

「私も、帰ります」

 訊かれるだろうと、あらかじめ用意していた答えだった。
 零は真剣な顔つきで何か言いたげにしていたが、

「そっか。じゃ、気を付けて」

 と、背を向けて去っていく。
 その背中を、マミは一礼して見送った。

「ご馳走様でした。それと……ありがとうございました」

 暫く反対に歩いたマミは立ち止って振り返る。
 零が見えなくなったのを確認すると踵を返し、また店の前まで戻ってきた。


――涼邑さん……ひょっとして私の嘘に気付いてたかも。
最後まで読めない人だったな……――

 零との時間は楽しい。しかし、求めていたものではない。
 彼では命の代わりにはなり得ないし、代わりなんて零にも失礼だ。
もうキュゥべえの時のような自己嫌悪に苛まれるのは嫌だった。

 運良く通りから見えにくく、店の周囲を見張れる物陰に入る。
 自分の執着が異常だという自覚はある。でも、どうしても諦めきれなかった。
せめて、もう一度だけでも会って確認したかった。

 故にマミは、この場に残ることを選択した。
 零には悪いと思っているが、心配を掛けたくなかったのだ。

 もう春だが、まだ雨が降ると冷える。ずっと暖かい店内にいたせいか、外は余計に寒かった。
 一応ここは建物の陰ではあるが、雨を完全には凌げない。
冷たい雨が時間を掛けて全身を濡らし、体温を奪う。

 それでもマミは吐息で手を温めながら、命を待った。
 待って、待って、待ち続けて。

 いつの間にか日付が変わっていた。


 月は再び分厚い雲で覆い隠され、雨は勢いを増す。
 髪の毛や服から滴るほど、マミは全身くまなく濡れていた。

 最早、信じて待つのも限界だった。
 魔法が解けたかのように、今では悲観的な思考しか浮かばない。
 希望を抱いた分、失望も大きかった。
 暗がりで独り、ぬか喜びの代償を噛み締める。

 眺める街の明かりがひとつ、またひとつと消え、マミの瞳からも光が失われていく。
 灰よりもなお暗い色に変わっていく。
 やがて世界が漆黒に染まっても。
 遂に夕木命は現れなかった。

ここまでで一区切り
3話Aパートでしょうか
続きは少し後になるかもしれませんが、来週また経過報告は

基本的には、さやかまどかほむらを鋼牙担当というか主に絡む役割、マミ杏子を零が担当と考えています
2話3話はマミと杏子が中心だったので、必然的に零が目立ったと

>>130

私見ですが、零が本当の意味でシルヴァに感謝と愛情を抱くようになったのは、庇って壊れてからじゃないかな
と思っています
大人と子供で言えば、一期の途中までは子供っぽさがあり、それがミステリアスな雰囲気にも繋がっていた
「俺たちは魔戒騎士じゃないのか!」のあたりから変わったような気がします

口喧嘩で荒んだ心が癒されました。乙です。

料理漫画好きの俺から見てもおいしそうなケーキの描写と零の優しさの表現がすばらしい。
なんとか真実がバレる前に零と打ち解けないと・・・。

乙です。
ここで零が騎士だってマミさんが知ると思っていましたが持ち越しのようで。

今後両者がどうなるか何とも緊張感のある展開ですな。

良かったね、良かったねマミさん…て思った直後にこれだよ!ひどいよ作者!あと投下乙!

牙がぉーーーん!狼


Aパート終了乙!

マミは辛い事ばかりだが……>>1の手腕もあって、きっと挫けずに生き抜いてくれると信じられるよ。きっとね…
鋼牙ともまた絡んで欲しい。


ところで今回のマミさん、腹ぺこマミさん、がん食いマミさん、びしょ濡れマミさんと、上品にエロさが薫るのが>>1のクオリティですよ。

>>1
とりあえず零は爆発するといいよ。

地味にあの悪夢の日の後から零の時系列で一番古いのは
【果実】でミサオを交通事故から守ってケーキを御馳走してもらったシーン。
よく見るとシルヴァの位置がネックレスになっている。コートの下は二期の黒シャツだが。

実は零は東の管轄にちょっかいを出す以前、変化の薬で阿門法師に成り済ましたバラゴに鋼牙が静香や道寺を殺したといううその情報を吹き込まれたというバックストーリーがある。そこから一期初期のようなアブナイ奴みたいな振る舞いをするようになったものと思われる。

△速報!△ ←牙狼のアイキャッチ風に

なんと、七月に邪美烈花主役のスピンオフ映画。その名も

牙狼~桃幻の笛

が公開決定!シグトもいるよ!

このSSほどはまったSSが無い位このSSが優秀な件について

優秀だよ?このSSとこの>>1は。

魔翌竜...上演22:50~...俺未成年...死にたい...

ちょっと展開が煮詰まってないので、まだあまり書けていない状況です
その分、wikiの追加や手直しなどしようかと

いつも多くのコメントありがとうございます

>>193
スピンオフとは予想外で楽しみです
法師の派手な戦いが見られそうで期待

>>194,>>195
恐縮です。期待にこたえられるよう頑張ります

今思ったけど
こんな文章を書く才能があるのなら小説を書いてなんかの賞とかに応募すればいいと思った。
この世には狂気太郎というホラー小説を書いている人がいて、その人も最初はネット小説を書いてから小説を賞に投稿して見事賞を取ったっていう経歴がある。

更新が来たと思ったらこれだよ…
紛らわしいなsageろよ
後、応募しろだのなんだのは余計なお世話だろ
本人の趣味でやってる最初の方で言ってるんだし

というか>>1を貶める?下に見る?という訳ではないが二次創作でうまいからっても設定組みはして無いじゃん。
ある程度用意されてる材料を使ってるのであって応募とかその材料も1から用意しなきゃいけないんだから労力も変わってくるが
最初がネット小説っていっても二次と一次じゃ雲泥の差があると思うぞ。商業に応募するってことに関しては

一次は設定も世界観もキャラも全部考えないといけないしな
某サイトとか他作品の焼き増しとかテンプレばかりで散々なのばっかだし

遅れて申し訳ありません
続きは現在鋭意製作中です
今週末には投下したいと思います
また、明日にでもwikiに3話前半を載せる予定です

闇を照らす者が早いところでは今週から開始ですが、ここでのネタバレはご遠慮ください
今さらかもしれませんが念の為


wikiも更新されてたな
まとめがあると見返すのが楽でいい
3期ももうすぐだが、どうなるか……

乙です。Wikiもご苦労様です!

…Wiki見て初めてわかったんですけど、ここらで第3話のエンディングテーマが切なく流れてちょうど良くないですか!?分量的に。
勿論すべて>>1次第ですけど。
まだサブタイ消化してるとは言えないかな……



始まった~!!
【牙狼<GARO>~闇を照らす者~】
o(^-^)oイイネ!

今日はちょっと追い付きませんでした
明日には必ず

がんばれ

闇を照らすものを考察していくの楽しみ


 明朝、さやかは眠い目を擦りながら通学路を歩く。
 足取りは重く、表情は暗い。昨日の雨が嘘みたいに空は晴れているのに、憂鬱な気持ちでいっぱいだった。
 今日ほど学校に行きたくないと思う日もなかった。

 昨日の放課後は色々あって、まだ気だるさが残っている。
 何だか疲れてしまって、病院にも寄らず真っ直ぐ帰宅した。
 それでも一昨日やその前に比べれば、まだ軽いと言えなくもない。

 考えてみれば、鋼牙と出会った日から毎日、何かしら命の危険を感じている。
 あの日から、すべてが変わってしまった。  
 何事もなく一日を終えられることがどれほど幸運だったか、今では痛感している。

 さやかは深く溜息をつく。
 平穏無事に一日を終えられる日が来るのはいつになるのか。
それとも、そんな日は二度と来ないのか。

 そして非日常に片足を突っ込んだのみならず、日常までが崩壊を始めている。
 具体的には、幼馴染のまどかと親友の仁美との関係。
 仁美に魔法少女の秘密を隠し、そのせいで不信を抱かせた。彼女を除け者にして傷つけ、怒らせた。

 まどかとの方は、もっと深刻だった。
 始まりの夜――転校生、暁美ほむらと彼女が、走れないさやかをホラーの前に置き去りにして逃げた。
 真実は不明だ。ただ状況からは、そうとしか考えられなかった。

 駆けつけた鋼牙のお陰で事なきを得たものの、直後に助け起こそうとしてくれたまどかの手を払ってしまい、
今日まで尾を引いて仲をギクシャクさせている。

 
 本当は疑いたくなんかない。
 まどかを信じたい。
 でも、あの暗闇で植えつけられた絶望は、疑念は、心の奥底に根を張っていて、ふとしたきっかけで芽を出す。

 昨日も、まどかがほむらを疑わないという、ただそれだけで発作的に酷い言葉をぶつけてしまった。
 今は激しく後悔している。
 しかし、また暴言を吐かない自信はない。さやかの意思では、どうにもならなかった。

 どうやって接したらいいか、わからなくなっていた。マミにも、仁美にも、まどかにも。
 それでも足は、いつもの待ち合わせ場所に向かっている。
 自分だけが先に行って二人を待ちぼうけさせてしまったら、それこそ裏切りだからだ。

――でも……もし、誰もいなかったら……。

 二人に愛想を尽かされていたら。
 考えると足が竦む。手に汗がにじみ、動悸が激しくなる。
 
――あぁ……弱虫だなぁ、あたし。
疑っちゃいけないのに。それだけでも裏切りなのに。
どうしても抑えられない。たったそれだけが、こんなにも怖い……。
何で、こうなっちゃったんだろう――

 あの夜、心がぽっきり折れて以来、はっきりとは実感できないが、自分の内で何かが変わった。
 そのひとつとして、臆病になった。日常の温かさと脆さを思い知った分、失うことが堪らなく怖くなった。
非日常に踏み入るのも、周囲の人間との関係が変わるのも嫌だった。

 こんな時、頭に浮かぶのは、何度も自分を守ってくれた冴島鋼牙の白い背中と黄金の鎧。
不思議と顔よりも、後姿の方が脳裏に焼き付いている。



――恭介のこと考える時は、顔やヴァイオリンの演奏が真っ先に浮かぶのに、何で冴島さんは背中なのかな……。

 単純に顔よりも眺めていた時間が長かった。それもある。
 さやかが最も強い衝撃を受けたのが、死の間際で救ってくれた瞬間だったのもあるが、
それ以外にも彼が常に背を向けて弱者を守り、敵と戦っていたからだ。

 広くて、逞しくて、雄々しい背中。
 あの日から、不安や恐怖に囚われた時、いつも思い出す。
 目蓋を閉じれば、いつでも思い出せる。なけなしの勇気を奮い立たせてくれる。

 たった数日なのに、恭介とはまた違ったベクトルで自分を支えてくれる人。
 だが、それだけに弱く情けない己が浮き彫りになり、失望する。

――ひょっとしたら、マミさんもこんな気持ちだったのかな……。

 それでも思ってしまう。
 いつか、あの背中に追い付きたいと。

 あの背中に笑われない自分に、力では無理でも、同じくらい心の強さを持てたら。
 決意と呼ぶにはほど遠く、なれたらいいなという子供じみた憧れ。
叶わないとわかりきっている、薄っぺらな願望だったが。


 やがて待ち合わせの場所に着くと、歩道の端に二人の女生徒の姿が見えてくる。
 遠目からでもわかる。まどかと仁美だった。
 さやかは勇気を振り絞り、声を発した。

「その、おはよ、二人とも」

 ぎこちなく挨拶をするさやかに、彼女らも気付いて振り向く。
 二人を見て、さやかは一瞬ギョッと目を見張った後に察した。

 
「さやかさん、おはようございます」

「あ……おはよう、さやかちゃん」

 二人とも、昨日の出来事を忘れてはいない。それどころか、今も気に病んでいる。
 さやか同様、どこか無理をした陰のある笑顔。きっと、ここにいる理由も同じ。
 来たくはなかった。しかし、より状況が悪化すると思ったから、来ざるを得なかった。

「うん……お待たせ。じゃ、行こっか」

 一昨日もそうしたように、先頭に立って振り返らないさやか。
 内心で、見放されていなかったと安堵すると同時に、まだ許されていなかったとしょげている。
 自分で何も行動しない内から好転するなんて、ある訳がないのに。

 三人が三人とも仲直りしたいと思っていながら、きっかけが見つからない。
 互いに会話もなく、黙り込んだまま歩く。
 せめて三人だけなら他愛ない話題もあったかもしれないが、今日は彼も一緒にいる。

「(あんたもいたんだ)」

 さやかは言葉を頭に思い浮かべた。
 背後のまどかを、正確には彼女の肩に乗った白い小動物を一瞥して。

『おはよう、さやか』

 赤い目の小動物――キュゥべえは無表情で首を傾げ、口を開かずに言った。
 キュゥべえという異物が傍にいると、どうも調子が狂ってしまう。
さっきも危うく仁美に動揺を悟られるところだった。

 いや、所詮は言い訳に過ぎない。
 本当の問題は自身の心にあることも、さやかはわかっていた。 
 わかっていても、素直な謝罪の言葉は出てこなかった。

短いですが、ここまで
勘を取り戻すのに時間がかかっていますが、週末までにもう一度くらい
闇を照らす者は雰囲気は変わっていますが、これはこれで面白そうですね
遅れて生放送でもあるようで

>>204
バランスが悪いと感じてはいますが、まだサブタイトルも言ってませんし、
もう少し続けたいと思います


さやかちゃん上条君などより鋼牙様のほうが何倍も素敵だよ☆


≫闇を照らす者考察
また「投下来てると思ったら・・」とか言われて叩かれるのが関の山。やめとけ。この板からその自由は消えた。

乙乙。相変わらずキャラの崩し加減が絶妙。友情の行方がどうなりますか。


>>211
>>184~185のマミの哀しい姿に『and I'm home』とか合わせたら切ないなあと思ったまでです。

そこにスタッフロールが流れて…

まどかの部屋の隠し撮り映像に繋がるわけですww


>>212
sageとネタバレに注意すれば自由が無いなんてあるわけない!
……が、3期は2期と別物過ぎるので、それで盛り上がり過ぎるとスレ違いかもですね。

【牙狼<GARO>~闇を照らす者~】みんなで観ましょう!

テレ東系列映らん山奥に引っ越した身には
今回BSでやってくれるのはホント有難い

背中という表現は対照的でいいと思った
恭介は顔=見つめあいたい=恋愛
鋼牙は背中=追いかけたい=目標か
さやかの鋼牙のポジションは定まったのかな
本当は恭介こそ追いかけないといけないんだろうけど
原作でも振り向いてほしいと待つだけだったから

ところでもう公開から一月以上経ったんだが蒼哭の魔翌竜の話は相変らずNGなのか?
もしその理屈で行くなら三期の話題なんかできるわけないわな。

しかし先の無駄レス大粛清からというもの見事に書き込みが減ったな。いいのか悪いのかようわからんが

≫215
上条君はまどポ番外編でしかさやかちゃんに振り向きはしないのさ・・・・
鋼牙様を追いかけるさやかちゃんのほうが断然様になる。おなじ魔戒の剣士だし。

乙。
滅茶苦茶強いクールな剣士とその弟子(女の子)って様になるよね
鋼牙には相棒・仲間・友・師はいるけど弟子ポジションの人物っていなかったからなんか新鮮に感じる


>>216
さすがに蒼哭は映画公開が終わったらいいんじゃない?
3期に至ってはBSで全国放送な上にニコニコで公式配信してくれるし
次の話を放映したら全話の話はOK的な感じなら公式配信の後だし「ネタバレすんな!」って書き込みもないだろうし

後当然だがここは議論スレじゃないので>>1への乙および感想を忘れないこと

ああ、実は俺、≫212なんだよ。

そうか。なら遠慮なく。

妖赤の罠ネタであるサバックが最後の最後で活かされたのは嬉しかったね。
その内容が見れなかったのは残念だが
魔戒決戦牙王ではないが、その全容を納めたスピンオフも見てみたい。
そうすれば、牙王でも正体がわからなかった獣身騎士戯牙(ギガ)のこともわかるし。

鋼牙が赤ノ犬と化した牙狼剣に手を伸ばしたときの回想は卑怯すぎる。

幼少の修行、ハンプティ、呀、メシア、魔界樹、レギュレイス、カルマ、ジャアク、ザジ、ギャノン、そしてシグマ。
鋼牙の戦いの歴史は牙狼剣の歴史でもある。あんな三千体撃破の時の素体ホラーの映像しかなくても、いままでの
鋼牙の闘いの歴史を知る者にとっては胸アツなくしては見れないシーンだ。
また、蒼哭ノ魔翌竜が牙狼初体験の人にとっても、「鋼牙はいままでどんな闘いをしてきたのだろう」と俄然興味をそそられる素晴らしい演出だね。

是非さやかちゃんにも見せたい作品だ。

鋼牙の弟子か・・・一時的、ややもすると一瞬であるにせよ翼・烈花・レオがそれに近い状態にはなったね。
でもさやかちゃんが鋼牙の弟子になるならそれは最高のシナリオだと思うんだ
鋼牙のように剣を構えるさやかちゃんを想像しただけで赤酒五杯はいける

鋼牙→まどか、さやか、ほむら 零→マミさん、杏子
という構図だって作者さんもおっしゃってたけど、前者は家族がいて後者は家族を失ったという共通点がまたニクい。
黄金つながりでマミさんは鋼牙とかと思ってたけどこうして見ると零もいいと思えてしまいます。

あぁーすでに遅いが「もう時間たってるしいいだろ」はふつうの牙狼スレとかならともかくここじゃだめだと思うぞ
>>1にしか決定権無いんだから
魔翌竜はともかく三期については>>1の返答があるまで一切禁止にすべきかと

逆っしょ?
一度でも正式に公開されてる以上一般視聴者も正式に視聴できるわけだから、それでも控えてるのはあくまで善意の配慮であって規則でも不文律でもないよ
正式に視聴・購読できる以上どんなスレでもスレのルールやスレ主の意向がない限り基本自由なはず

というか魔翌竜って公開終了してたんだね。
初日に見に行ってもう一度行こう行こうと思ってたら終わってしまった

それより桃幻の笛について一切無関心なのはどういうこと?
三期よりこちらのほうがこのSSに近い(鋼牙編のキャラがいる)というのに

本編の内容には関係ないけど3期に関して質問が。
今回出演してる佐藤寛子って人は邪美をやってるさとうやすえと何か関係があるんだろうか。
顔がそっくりだから姉妹かとも思ったんだけど調べても情報が出て来ない。

>>1の意向で、MAKAISENKIの時にネタバレ避けてくれって言われてるじゃん…。

3期については分からんけど、2期がこうだった以上、
>>1の意向が分からないから自由!じゃなくて、
>>1の意向が分からないから自重!が普通の発想だと思うが。

次の更新でこの辺りの回答はしてくれると思うので、それくらい我慢しようぜ。

「ない限り基本自由」な
ネタバレを推奨してるんじゃなくて、明確な判断基準がない以上外野が過敏に反応したって仕方ないってこと
グレーゾーンの白黒決めようとしたら喧嘩になるし、自重強制したら自重じゃないし、雑談の種くらいでガミガミ言うこっちゃないよ

ああ、ザルバの名言があるんだ。とりあえず聞いて落ち着いてくれ

『闇には闇である理由がある。そいつを無理に照らそうとするから見たくないものまで見えてしまうのさ。』

≫222

他人の空似とはまさにこのことだよな。まぁ
ラテス法師と遊園地のおっさん
シオンとギギ
青年クルスと戸沼充
カカシとJURAN
猪狩重蔵と符礼法師

みたいなもんさ

というか根本的に三期については>>202で半ば答えがでてるんだが
解禁時期は不明だけど

うわ、マジだ。>>202に、3期もネタバレやめてくれって書いてある…。
ごめんなさい、>>1さん。完全に見落としてました。

このところ調子を崩しているので、もう少し時間をいただきたいと思います
こんなスローペースなのに、いつも感想や情報提供ありがとうございます
とても励みになります

ネタバレについて
3期に関してはニコ生もありますし、どうやっても見られない方はそうはいないでしょうし、
生放送後でしたら大丈夫かと思います
>>204の時点ではネット配信を知らなかったので

蒼哭に関しましては、上映館の都合で見られない方もいるかと思い、
遠慮していただくようお願いしていたのですが、そういう声がないようでしたら、これも特に構いません

雑談はご自由にしていただいて結構ですが、
ここは牙狼×まどか☆マギカのSSスレですので、なるべくそれに沿った話題でお願いします

具体的には、やはり単純に牙狼本編の感想や考察を言い合ったりするだけであれば、
特撮板のスレや他にもありますし、それらの場でやりにくい話――まどか☆マギカを絡めた話をしたい際に使うということで
ただ、絶対に単体の話をするなという訳ではなく、明確な線引はできませんので、脱線し過ぎないようにだけ留意していただければ

上から物を言うようで恐縮ですが、今後ともよろしくお願いいたします

不調というのが体調でないといいな。のんびり待ってます。


先日電車の吊り広告にいきなり『牙狼大使』『壇蜜』と書いてあって何事!?次のゲスト!?と思ったら、パチンコの話か、ナーンダ……

雨宮監督が製作に関わっている以上、CR版も立派な公式です。


・・・・まぁ壇蜜はどうでもいいのは確かだが

CRから本編に逆輸入されたのは「光矢流星」と「魔界竜」。
そのどちらも無視できないレベルに重要なものなのでCR版だからといって無視してはならない。
もちろん、打てと言うわけではないので悪しからず。

その他CR版で明確にされた要素

風雲騎士バドの雷を使う攻撃→CR版にて「闘破雷撃」「雷撃憑依」という技であると判明
作中でシグマが使用した号竜人→号竜人・隠 号竜人・漸 号竜人・劾 トラップ・ローザ トラップ・グリュン 鉄騎 という名前がついているということが判明。


 そして授業中、さやかは上の空で教師の話を聞き流していた。
 まどかと仁美とは、教室に着くまで一言も口を利かず、今に至る。
キュゥべえはというと、教室の後ろで丸くなっていた。

「(あの……さやかちゃん、いいかな?)」

 突然のまどかの声。しかもキュゥべえの仲介する念話だ。
 さやかは驚いて、ついていた頬杖から滑り落ちる。
まどかを見ると、申し訳なさそうに目配せしていた。

「(どうしたのよ、いきなり)」

「(昨日は、マミさん何の話だったの?)」

「(そんなの別に今じゃなくてもいいでしょ。ていうか授業中だし)」

「(ちょっと、気になっちゃって。ダメ……かな)」

 まどかにしては、やけに食い下がる。だが、それも当然だろう。
 一晩で見違えるほど憔悴したマミが、それでも話したいと望んでいた。
彼女がああなった原因も、おそらく関係している。魔法少女に関わる大事な話とやら。
 
 まどかにとっても他人事とは言えない。
 授業なんてまともに聞く気分じゃないし、応じてもよかったのだが。

「(いいよ。じゃ、昼休みにでも……)」

 少し考えて、さやかは答えた。
 今この場で話すのは気が進まなかった。


「(でも……それじゃダメだよ。また仁美ちゃんと一緒にお昼できなくなっちゃうもん)」

 言われて、はたと気付く。
 仁美を交えて昨日の話はできない。かと言って二人だけになれば、また仁美を除け者にしてしまう。
 故に、彼女のことを出されると断りにくかった。

「(……そうだね。でもさ、これってキュゥべえが中継してるんでしょ?)」

『そうなるね。僕にも聞かれたらまずいことかい?』

「(そうじゃないけど。他の魔法少女に聞かれてるんじゃないの?)」

「(どういう意味?)」

『暁美ほむらのことなら心配ないよ。僕から彼女に繋がない限り――』

「(それあるけど、そうじゃなくって、その……マミさんとか)」

 言葉を濁しながらも、さやかは本心を口にした。
 現在進行形で聞き耳を立てられているのかもしれないが、この先はマミに聞かれたくなかった。
 客観的に語ろうとしても、主観が混じるのは避けられない。マミが気分を害すると思った。

『それも問題ない。マミは今、校内にいないからね。どうやら欠席してるみたいだ』

 それだけに、キュゥべえから知らされた時は驚いた。

「(欠席……!? どうして……?)」

 まどかが代わりに驚きを口にしてもなお、さやかは何も言わなかった。

 
 言えなかった。聞かされた瞬間、頭が疑問で埋め尽くされたから。
 ほぼ間違いなく、昨夜のことが関係している。
 あれから命は現れなかったのだろうか、それとも。

 様々な可能性が浮かんでは消える。
 ただ、

――言い切れるほど、マミさんはあの人を知ってるの?

 あたしのせいかもしれない。

――もう絶対あの人と一緒は嫌だから。

 心ない言葉が、マミを傷つけたかもしれない。
 そう思ったら気が気でなかった。

 別れる時点で、既にマミは無理して余裕を取り繕っていた。
 店の窓ガラスが曇っていた為よくは見えなかったが、
去り際に外から見えたマミは――泣いてはいなかったか?

『さぁね。僕も、一昨日の夜からマミと会っていないから』

「(放課後、お見舞いに行ってみようか。ね、さやかちゃん)」

 そんなさやかの気持ちなど知らず、キュゥべえがつれなく言い放ち、
まどかに誘われてから、ようやくさやかは我に返った。
 
「(う、うん。そだね……)」

 何があったのか、マミ自身の口から聞けたなら、それが一番いい。
 しかし、またひとつ頭痛の種が増えたことに、さやかは嘆息を禁じ得なかった。


『それで、さやか、これで君の問題はクリアされたけど、どうするんだい?』

「うん……ま、いいよ。あたしは別に話しても)」

 そうして、さやかはまどかに昨夜の一連の出来事を語った。
 夕木命との再会、彼女の豹変、赤い魔法少女と黒い男、マミとの衝突。
 特にマミが心を許していた命が消えたことと、その後のマミとの会話は、
彼女の欠席とも関係していそうで口が重くなった。

 ただし、命がホラーかもしれない、とは言わなかった。
マミに釘を刺されたように、思い過ごしという可能性もないではない。
 ここで命を悪し様に語るのは、ばつが悪かった。

「(そうなんだ……。じゃあ、マミさんの話が何だったのかは……)」

「(そ、わかんないまんま)」

「(その、新しい魔法少女の娘のこと、キュゥべえは知ってるの?)」

『彼女のことならマミが詳しい。僕もマミの知ってる以上のことは知らないよ』

 マミの知り合いでも、現在の関係は円満とはいかないようだ。
 この街はマミの縄張りらしいが、これで魔法少女は3人に増えたことになる。
まだ自分たちに直接の関係はないとはいえ、心配には違いない。


 いずれにせよ、ここで気を揉んでも仕方がない。
 もっと重大な、自身の問題に直面しているのだから。
 さやかは深呼吸した後、

「(まどかは、さ……)」

「(え?)」

「(まどかは、あの後ちゃんと帰れたの?)」

 思い切って訊いてみる。
 ずっと気になっていたし、このことが仲直りのきっかけになれば、という期待もあった。

「(あぁ、うん……)」

 まどかは頷きかけて、

「(うぅん。やっぱり、さやかちゃんには話しておくべきなのかも……)」

 首を振り、そう続けた。
 その重々しい口調、神妙な顔つきから、何事かあったのだと、さやかも察した。

「(少し長くなるけど、付き合ってもらえる……?)」

ここまで
2週も休んでしまいましたが、
調子も戻ってきたのでもっと早く、最低でも週一は保持したいと思います

流牙は子供っぽさ、未熟さがありますが、2話以降、好感が持てるようになりました
雰囲気は変わりましたが、クオリティは落ちていないようでモチベーションも上がります


今更だが>>1は体調を崩しやすいのか?
そういう報告が多いけど


まあ気長に待っておく

流牙は確かに若くて荒削りなのが戦い方にも表れてる
流牙が見滝原に来たらどうなるかな
まだちょっと想像できないが


まぁ無理しない程度に頑張ってくれい。
今回の魔戒騎士では個人的に猛竜がお気に入りだな。
明らかにホラーだと分かる女にホイホイ騙されるアホの子っぷりがナイス。
未だに鎧召喚させてくれない不遇さとか。



新牙狼はどうにも朝特撮臭が漂うがちゃんとミッドナイトドラマできてるから今後に期待。
ただ流牙、いくら苦しいからといってFOG投げ捨てるのはどうかと・・・ww

旧牙狼のメンバーとは一人もキャラがかぶってないというのは面白い。

今回のは深夜向き、大人向けな特撮じゃないような気がする 見るけどさ
戦隊、ライダー風な別物として見ることにした

乙です。

みんな優秀でいい子達なのにチームワークが絶望的なのが、まどマギ勢に通じるな。
ガロ勢はブライ法師が司令塔になってくれるんだろうが、まどマギではQBがチームワークを攪乱すらな…


ふとQBが大友康平さんの声で強力にリーダーシップをとってくれる所を妄想した。


QB「…人知れず魔女を狩り、人類を守る。それが魔法少女となった……お前の使命どぁっっ!!」

そんなあなたにまどかマギカポータブルの番外編を送ろう。
ほむほむが間違った方向にチームワーク抜群にしてくれるから

>>244
良い子って……どのへんが?
まどか以外はみんな性格に問題があって良い子とはいえない様な子ばっかじゃないか
このssに限定してもまどかとさやか以外は基本皆やさぐれて歪んでる子ばっかでしょ

たまに沸くよなこういう手合い

否、物語を見つめ直す意味で貴重な発言だと思う。


どこが良い子かって?勿論、問題だらけで歪んでる所さ!
タケルもそうでしょう?ヤリチンであほの子で典型的DQN騎士。でも3話の彼は確実にイイ奴だった!普段ムカつくメガネを助けようとしたばっかりに、ホラーにさらわれるわ、ふんずけられるわ、メガネの作戦をわやにしてしまうわ(涙)……未だ見せ場無いけど、実に愛すべき男!

それを踏まえて、マミ達みんな愛すべき良い子です。(>>246は何故さやかを除外した?)

むしろ問題も歪みも無いのに人間をやめてしまい、ほむらにも理解できない世界へ行ってしまったまどかを>>1が今後どう描いていくのか、執筆は相当先の事だろうけど期待がやみません。

地味にネタバレすんな。それ多分三話の内容だろ。

ずっと一人で闘ってきてまどかがいっしょに闘ってくれると言って泣いて喜んだマミさんや
さやかのために命を捨てた杏子や
ただ一人の友達のために何度も気の遠くなる繰り返しをしたほむら

こういう熱い要素を度外視して揚げ足を取るような穿った事言ったのと
さんざん言われてるのに誰がどう見ても角の立つ言い方をしたのにカチンと来たんだよ。
冷めた目でストーリーを見るのがかっこいいとでも思ってるのか

>>248
さやかはこのssで特にこれといって何かしたわけでもないしな
ほむらやモロクの件に関しては怒って当然だし

>>249の様に都合のいい側面だけを取り上げて「良い子」呼ばわりされても違和感を拭えん
内心はどうあれ建前を取り繕って、ずっと続けてきたマミはともかく
ほむらや杏子はどう考えても「良い子」ではないだろ
ATM破壊や空き巣の犯罪行為、周囲の被害を顧みずにGSを掻き集めてる杏子
まどか以外は殆ど駒としてしか考えていないほむら
これらの事を無視して「良い子」は盲目的にもほどがありすぎる
外伝込みでマギカシリーズの魔法少は全員が間違っていて、正しくもある「灰色」だろ、と

>>249
このssのマミさんだとまどかが一緒に闘うと言っても
喜ぶだろうけどアニメの様に泣いたりするかなあ。何か複雑な感情を抱きそう

盲目的、ですか・・・めがよくみえるひとはすごいですね。

あんまり引っ張ると「投稿来てると思ったら・・・」が来るぞ

乗っといて何言ってんのこいつ

>>251
このSSったって、マミはずっと不安定だし、これからも二転三転するだろうし
魔法少女の秘密も知ってるしな
このマミがたまに話題に上るけど、やっぱりぶれっぱなしだから、こういう性格だと表すのは難しい気がする

「ほどがある」「こいつ」。
作品を細かく考察できるのか知りませんけど口の聞き方を知らない人間と話すのはもう嫌です。さようなら。

>>254
ずっと不安定って…。
何だよ、それじゃまるで鬱病か何かのメンヘラみたいじゃないか……。

>>256
まるでも何もそうだろ
人混みで発狂しかけて赤信号なのに交差点に突っ込んでいったり、会ってまもない殆ど知らない女性に依存するんだから
しかし、初登場時からそこまで酷い精神状態なのに、よくSGの濁りが早くならないな
精神が安定しなければ穢れを溜め込みやすいはずなんだが

>>256
そういう意味じゃなくてだな
SS内はあまり時間が経ってないでしょ
3日かそこらの間にショッキングなことが重なって揺れていると
悪く言えばメンヘラというのも、あながち間違いではないのかもしれんが
それだけダメージが大きいという意味では

追いついたけど、すげー面白いな

雨宮監督の作品はZOとハカイダー、それとミカヅキしか見たことなかったけど、今度の連休が牙狼で潰れてしまう予感しかしないほどこの>>1のセンスが素晴らしい作品だ
つまり何が言いたいのかというと、今から牙狼全巻借りて視聴します。
本当に面白かったです。

ミカヅキ見たいのに見つからない

>>260
牙狼を見終わったらぜひ『ゼイラム』を探して見てくれ♪


 *

 そしてまどかの記憶は、昨日の夕方まで遡る。
 まどかはほむらと保健室に入ったが、生憎と外出中のようで誰もいなかった。
仕方がないので、ほむらに促され、勝手にベッドに寝かせてもらった。

 ずっと頭が重かったが、ベッドに横たわって枕に預けてしまうと楽になった。
火照った頬に、ひんやりした枕の感触が気持ちいい。
 ちらと傍らに立っているほむらを見やると、ちょうど目が合う。

「私は先生が帰るまで待ってるわ。気にしないで」

 素っ気なく言うと、ほむらはまた目を逸らした。会話をする気はないようだ。 
 白い天井に目を移す。1,2分ほど何とはなしに見つめていたが、すぐに眠気が襲ってくる。
 抗わずに、まどかは目を閉じた。

 よほど疲れていたのか、次第に曖昧になっていく意識。
 するとどこからか、
 
「今は何も考えなくていいから。全部忘れて、ゆっくり休んで……まどか」

 と、声が聞こえた気がした。


 魔法少女のこと、マミのこと、仁美のこと、鋼牙のこと、さやかのこと――自分のこと。
 あれもこれも考えなければと悩み、それが余計に頭痛を激しくしていた。
今も頭の片隅に引っ掛かっていて、どこか気が抜けきれなかったのだが。
 
 しかし、この瞬間――まどろみの世界で届いた、優しく温かい声音は、
それらの重荷を取り払ってくれた。
 ふっと、まどかの全身から力が抜ける。意識が完全に闇に溶ける。

 声に背中を押されるように、まどかは安らかな眠りに落ちていく。
 果たして声の主が誰だったのか、思い至ることもできないままに。
 

 その後、頬の熱と目蓋越しに感じる光で、まどかは覚醒した。
 うっすら目を開いた途端、オレンジ色が眩しい。
窓に目を向けると、光はカーテンの隙間から射し込んでいた。

 どれくらい眠っていたのだろう。
 いつの間にか落ちかけている夕日に目を細め、
とろとろしながらも時間を掛けて意識を揺り起こす。

「目が覚めたみたいね。気分はどう?」

 と、横から声と共に体温計が差し出された。
 ほむらだった。
 長い黒髪が夕日に照らされてキラキラ艶めき、ある種の人形めいた美貌を見せている。
 そんな彼女は見惚れるくらい綺麗で、まどかは暫し言葉を忘れてしまった。
 
「もしかして、ほむらちゃんがずっと付いててくれたの?」

「ええ。先生に頼まれたし、特に予定もなかったから」



 相変わらず口調や表情には、一切の愛想が感じられない。
 しかし理由はどうあれ、今まで付いていてくれたことは素直に嬉しかった。
 体温計を脇に挿みつつ、まどかは額に手を当ててみる。

「うん……だいぶ良くなったかな。ありがとうね、ほむらちゃん」

 数分後、体温計を確認したが、ほぼ平熱まで下がっていた。
 ふと、無表情でこちらを見ているほむらに気付く。
 何か他の言葉を待っているのだと思い、
 
「昨日はちょっと、いろいろと考え事してたら疲れちゃったみたい。えへへ……」

「それは、美樹さやかのこと?」

 照れ臭そうに説明したまどかに、ほむらはあくまで真顔。
 ほむらの指摘に、まどかは俯いた。
 昨日、生活サイクルを崩した直接の原因は鋼牙だが、さやかの件も無関係ではない。
 
「あなたは、どうして何も言わないの?
美樹さやかに、私が嫌がるあなたを無理やり連れて逃げたって言えばいいのに」

 まどかは答えあぐねた。
 何故?
 理由は自分でも判然としない。それに一言で表せるものでもない。


「別に言ってもいいわよ。私が全部悪いんだって。そうすれば、彼女も余計な誤解を解くわ」

「じゃあ、ほむらちゃんは、どうしてさやかちゃんを助けてくれなかったの? どうして私だけ……」

「満足に歩くこともできない美樹さやかを担ぎ、同時にあなたの手を取って逃げるのは難しい。
もたもたしているとホラーに追い付かれる危険もあった」

 ならば、ほむらがさやかを担いで逃げ、自分が後を付いていく形ではダメだったのか。
 思わないでもなかったが、まどかは口に出さなかった。 
 まどかは未だ彼女の魔法のからくりを知らない。
 
 しかし、そうできたなら、そうしたはず。しなかったなら、相応の理由があったのだ。
 まどかはほむらを手放しに信用している訳ではないが、さやかのように敵視してもいなかった。

「冴島鋼牙が現れなければ、あなたたちは、いいえ、私も含め全員ホラーの餌食になっていてもおかしくなかった。
だから一人でも確実に助けられる方を選んだ。四人揃って死ぬよりはマシでしょう?」

 信じたのは、ほむらの冷静な判断力。ホラーという未知の怪物を相手にし、
マミの必殺の一撃も通じなかった危機的状況において、彼女は思考を止めなかった。
 少なくとも、まどかの目にはそう映り、自分には絶対できないと思い知らされた。
 
「私は判断を誤ったとは思っていないわ。あの時は、あれが最善だった。
罵りたければ構わない。軽蔑されてもいい。私は残酷な命の取捨選択をしたのだから。それでも――」

 私は間違っていない。
 滔々と捲し立てたほむらの眼は、言外に語っていた。
 まどかは彼女を責めなかった。責められるはずがなかった。

ここまで。GW中にもう一度くらい投下できたら

いつもコメントありがとうございます
大変励みになります
上のような議論は拙作を見直す上でとても為になります
自分としては、それほどねじくれてるように書いてる自覚はなかったりするので

>>239
と言っても寝不足や肩こりくらいですが、なかなか万全でないと手が進まないので
でも言い訳臭かったですね。もう言わないようにします

>>259-260
ありがとうございます
長いのに新たに見てくださって、とても嬉しく思います

映画はともかく3期はSSにもからまないんだからネタバレはやめてくれ
ID変わるから問題ないって思ってるんだろうけど文体同じだからすぐわかる


牙狼を見始めましたが、やっぱり面白かったです。
>>1は雨宮監督作品で牙狼の他に何が好きですか?

乙乙乙!
ほむらの登場いつぶりだろうか。マミを心配する読者の声はいつも高いが、俺はこのSSで最も心配なのはほむらなんだ…。



>>268
その通りだ。自粛するよ…。



ところで燕邦隊長のおっぱいがけしからない件
( ゚∀゚)o彡°

更新きていたか乙
ほむらにスポットがあたるのは当分先になりそうだ

>>1も言ってるけど>>251のマミさんが泣かないって根拠は何?
捻くれた見方をしてるのはそっちな気がするが



>>271
このマミさんが泣いてくれるのか不安に思ったのは
先輩としての対面やプライドに拘って本音や弱味を見せる事を極端に嫌っているからかなあ
さやかが心配しただけで惨めな気持ち苛まれる性格の人が
原作3話やTDSのマミさんみたいにまどかの前で涙ながらに悩みを打ち明けたりするかなあ?って
零の時みたいに同情なんてされたくもないし、後輩にそんな姿を見せる事を惨めと思いそう

仮にこのマミさんが原作3話の様になったとして
一緒に闘って人の力になりたいとまどかが言っても喜びはするだろうけど
その一方で無垢なまどかに複雑な気持ちを抱き
泣いたりせずに、いつもの後輩に向ける顔で喜ぶけどどこか距離があり
本編の様に悩みをまどかに告白しないで一線を引いたような感じになりそうなのが・・・
人の善性に半信半疑な部分を持つ冷めた一面を持ってるし、このマミさん

上でも言ったけど、マミの性格というか考え方は1、2、3話でそれぞれ変化してると思う
だから現状これがマミのキャラだと決めて話すことは困難であり、あまり意味がないと思う

ちょっとスランプ気味ですが、今週中には必ず

このSSも随分長いことやってるよな

無粋の輩も増えたけどな


「……もういいよ」

「私のことを怒ってないの?」

「さやかちゃんを見捨てたのは……やっぱり納得できない。でも、ほむらちゃんを憎むことはできないよ。
だって、ほむらちゃんは私の命を助けようとしてくれたんだから。
ほむらちゃんのお陰で私が助かったのは間違いないから」

 そして自分は間違ってないと言った彼女の表情。
 彼女の冷静さは冷徹や冷酷とも取れる。しかし、この時は違った。
 そこに見えたのは、微かな苦渋の色。それだけでも、彼女が心底から利己的な人間ではないと思えた。

「ほむらちゃんのせいにはできないもん。
さやかちゃんが辛くて一番いてほしい時に、傍にいられなかったのは事実だし」

 命の恩人を悪く言いたくはないが、それとは別に、まどか自身にも負い目があった。
 怒りとも悲しみともつかない感情。きっと、さやかの胸の内に渦巻いているのは、そんな思い。
 度々こちらを不安そうに見る目には、ほむらと同じ迷いがあった。

 一昨日、あの暗闇で伸ばした手を払った、さやかの目を思い出す。
 激情から一転、子供のように怯えを露わにした瞳。
 わからないのかもしれない。どうしたいのか、どうすればいいのか。

「理屈じゃないんだよ。さやかちゃんは考えるより感じるって言うか、
思ったら突っ走っちゃう娘だし」

「でも、あなたはそれでいいの? 真実を話さなければ、彼女は納得しない。
あなたへの怒りだって治まらないと思うけど」

「これまで私は、さやかちゃんに返し切れないくらい、たくさんのものをもらってるから。
やり切れない気持ちの捌け口にでもなれるなら、受け止めるのが友達……だと思うから」


 まどかは困ったふうに、小さく笑った。
 当然、さやかとすれ違ったままでいいとは思わない。

 それでも、まどかはこうも思っていた。
 自分とさやかの仲は、これしきで揺らぎはしない。これっきりで終わる訳がないと。
 絆を、友情を信じる。しかし、それは信じたい、積み重ねた時間に縋りたいという願望。
 不安の裏返し。

 この二日、積極的にさやかとの関係を修復しようとしてこなかったのには、もうひとつ理由がある。
 敢えて語らなかったのは、ほむらにも触れられたくなかったから。
 黒い陰を儚い微笑の裏に隠して、自分に言い聞かせるようにまどかは言う。

「大丈夫。さやかちゃんとも時間が経てば、仲直りできると思う。
本当は、すごく優しい娘だから。できれば、ほむらちゃんとも――」

「そう……あなたがそう言うのなら、この件については、もう何も言わないわ」

 言わんとするところを察したのか、ほむらが遮った。
 事実上の拒絶を受けて、まどかは続く言葉を紡ぐ気になれなかった。

「でも、もうひとつ、これだけは覚えておいて。冴島鋼牙――彼は確かに人を守りし者。
絶対の信頼を寄せていい相手かもしれない。あなたが人である限りは」

 唐突に話が変わり、戸惑うまどか。訳もわからず相槌を打つが、最後の一言が引っ掛かった。
 その意味を問う間もなく、ほむらは続ける。

「でも、全能じゃない。事実、彼があの場に現れたのはまったくの偶然。
助けてくれたのも、単なる幸運。二度目、三度目があるとは限らない。
もし私があなたを連れて逃げなければ、彼が来なければ。少しでも歯車がズレていれば、あなたは確実に死んでいた。
巴マミは斃れ、あなたと美樹さやかは手を握り合ったまま切り裂かれ、他にも大勢の人間が喰われたでしょうね」


 その口調は淡々としていながらも厳しく、疑問を差し挟むことを許さない。
 
「うん……わかってるよ。ほむらちゃんには感謝してる……」

「感謝も謝罪も必要ない。そんな言葉、何の意味もない。私は二度と危険に近付かないでほしいだけ」

 有無を言わせぬ眼力に射抜かれる。
 彼女の纏う雰囲気に、まどかは気圧されていた。
 いや、何も言えなかったのは、それだけが理由ではない。
まったくの正論で、反論の余地がなかったからだ。ぐうの音も出ないほど。

「あなたがあの場に行かなければ、美樹さやかも行かなかった。
結果だけ見れば、あなたは彼女を危険に巻き込んだとも言える」

「うん……」

 と、まどかは力なく答えるしかなかった。
 最初に改装区画に立ち入ったのは結果論で済むかもしれない。
 だが、ほむらは知らない。

 さやかが走れなかったのは何故か。
 誰を庇って両足に傷を負ったのか。
 この一点だけは、言い逃れのしようがないほど、まどかに原因があるのだ。
ほむらにも責任転嫁できない。

 理解していたはずなのに、改めて言葉にされると突き刺さった。


――私のせいで、さやかちゃんが死ぬかもしれなかった。
命こそ助かったけど、心に消えない傷を負ったかもしれない。
だから……さやかちゃんに拒絶されても仕方ないんだ……。
それでも離れたくないと思う私は……ずるいのかなぁ――

 ギュッと拳を握り、下唇を噛む。
 そうでもしないと涙がこぼれそうだった。
 まどかの様子を察したのかどうか、やや穏やかな声で、ほむらが言った。

「あなたを責めるつもりはないわ。
あなたの意志の強さや優しさは認める。それでも――」

「私、そんなに優しくも強くもないよ。ううん、むしろずるくて、弱虫で、何の役にも立てない」

 慰められるのが耐えられなかった。
 まどかは自罰的な衝動に任せ、恐ろしい想像を口にする。

「もし、ほむらちゃんも冴島さんもいなかったら私だって……」

 もし、鋼牙が来なかったら。
 ほむらに手を引かれていなかったら。
 自分は死ぬまで一緒にいられただろうか。最後まで、さやかの手を離さずにいられただろうか。

 何度となく胸に問いかけても、答えは出なかった。

 一歩一歩、近付くホラー。
 迫る死の恐怖。
 繋いだ手を振り解いて駆け出すことで、助かる可能性が僅かでも上がるなら。

――さやかちゃんを見捨てて逃げたかもしれないのに。

ここまで
なんやかんやで2週も開いてしまいましたが、
明日からはまた本気を出して書こうと思います

乙!
心情描写が上手くて引き込まれる
続き楽しみにしてる

乙です

来てた!乙


風~旅立ちの詩~のCDはまだだけど、ライブの動画はあった

三期は独特すぎたけど最新話は牙狼らしかった。


 口にはできなかった。
 あまりにも恐ろしくて。
 口にすれば、本当に認めてしまいそうで。

 まどかは長く沈黙していたが、いつまで経っても催促は聞こえない。  
チラリとほむらを窺うと、彼女は今まで見たこともない顔をしていた。
 目を丸くし、半開きの口。
 一言で表すなら、驚愕。
 
 変化は微細だったが、無表情が常の彼女だからこそ顕著だった。
 目が合ったと気付くなり、ほむらは逃げるように目蓋を閉じた。肩に掛かった髪を優雅に払って一息。
 目を開けた時、動揺はすっかり消えていた。
 
「どうかしら。それでも、あなたは、きっと――」

「きっと、なに?」

「……きっと、その前にアイツが契約を唆しにきたでしょうね。そしてあなたは魔法少女になった」

 まるで真意を鉄面皮の下に隠すよう。
 気にならないでもなかったが、追及はしなかった。彼女が隠すなら、どうせ聞いたところで答えは得られない。

「私にも力があれば……」

 誰にともなく呟く。
 ほむらの言う通り、そんな状況に追い込まれれば契約したに違いない。
 そうすればホラーにも対抗できた。代償として、たった一度の願いをよく考えずに使い切り、
終わらない死闘に身を投じる羽目になるが。


「あなたは、力が欲しいの?」

「うん……うぅん、どうなんだろ。わかんない」

 力は欲しい。でも、それは手段であって目的じゃない。
 では目的とは。
 弱い自分を変えたいが為。確固たる自信を持ち、輝ける自分になりたい。 
一方で、誰かを救いたい、誰かの役に立ちたいという気持ちもある。

「でも、私なんかじゃ力があっても変われないのかな」

 まだマミにもさやかにも明かしていない、秘めた想いを吐露したのは、たった一人にだけ。
 魔戒騎士、冴島鋼牙。
 昨日たまたま夜道で再会した鋼牙に、まどかは助言を求めた。
 
 自信に溢れ、堂々とした態度。それでいて驕らず、当然の如く他人の為に命を懸けられる正義感の持ち主。
 さやかに比べれば控えめでも、その様はまどかにとっても理想像だった。
しかし、結果は素気無くあしらわれてしまったのだが。

「冴島さんにも、そう言われたみたいで……」

「それは、どういうこと?」

 まどかは躊躇ったが、ほむらに打ち明けることにした。
 彼女ならどう答えるだろうか、知りたかった。 

 まどかは、昨夜の鋼牙とのやり取りを順を追って話していく。
 すべてを話し終えた時、ほむらは一言。


「……そうね、もっともだわ。あなたじゃ、彼のようにはなれない。巴マミにも」

「やっぱり、そう……なのかな」

 途切れ途切れにしか言葉が出なかった。
 密かにがっかりしている自分に気付く。
 ほむらなら肯定してくれるかもと、内心では期待していた。出会ってまだ、たったの数日なのに。

 鋼牙もそうだった。結局、彼に都合のいい幻想を抱いて、ショックを受けて。
 そして、また繰り返す。
 こんな甘えた自分が嫌で堪らなかった。

 それでも釈然としない。
 超人的な身体能力も、卓越した技も、まして黄金の剣と鎧が欲しい訳でもない。
 ただ強靭な意志と、鋼牙やマミがしてくれたみたいに、誰かの手を救い上げる力さえあればいい。
それだけで、自分で自分を誇れる。褒めてあげられる。

 なのに、それすらも叶わないのか。分不相応な高望みなのかと。
 キュゥべえは強い素質があると言っていたのに。

 まどかが納得しきれていないと察したのか、ほむらは静かに言い放つ。

「本当に……あなたは何もわかっていない。何も気付いていないのね」

 まどかは何も言い返せなかった。
 その声には、呆れにも似た落胆が含まれていたから。


 言葉を失うまどかに構わず、ほむらは窓の外を眺め、

「もう遅いわ。そろそろ帰りましょう」

 鞄を手に立ち上がる。
 外はいつしか薄暮に染まり、紫が増していた。
 すっかり話し込んでしまったらしい。それほど長く感じなかったのに、
この時間の空は、ほんの十数分で大きく色を変える。

「あ、うん……」

 続いてまどかも、いそいそと帰り支度を始める。 
 その間ずっと、ほむらの言ったことが頭の中をグルグル回っていた。

――私がわかってない……気付いてない?
ほむらちゃんも、冴島さんと同じことを……。
私は、何を間違えてるんだろう――


「それじゃあ、私は先生に報告してから行くから。あなたは先に帰っていて」

 考えながら廊下まで出ていたまどかはハッとなる。
 向き直ると、ほむらは既に一人で職員室の方に歩き出していた。
 
「あっ、ほむらちゃん――」

 思わず呼び止めたものの、言葉が見つからなかった。
 これ以上、何を話せばいいのか。伸ばしかけた手が、宛てもなく宙を彷徨う。
 ほむらは立ち止り、

「彼の言う通り、人の役に立ちたいならボランティアにでも勤しむのが賢明よ。
あなたには、それが似つかわしい」

 振り返らずに言うと、また歩き出した。
 遠ざかる後姿。まどかは、拳を固く握って見送るしかなかった。
 また重くなる頭が、ズキリと痛んだ。

短いですが、ここまで
こういうシーンは悩みますが、
次はもう少しサクサク進められると思います

英雄ってのはなろうとした時点で失格だってどこぞの悪徳弁護士も言ってたな

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誰だセディンベイルを逃がしたのは

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>>113>>84>>257>>279>>185>>291>>81>>112>>42>>220>>108>>179>>210>>145>>121>>5>>26>>96>>144>>184>>96
>>298>>24>>215>>143>>238>>232>>19>>9>>290>>132>>93>>247>>111>>277>>237>>191>>89>>278>>111>>197>>156
>>42>>277>>24>>67>>72>>167>>250>>168>>13>>247>>192>>228>>90>>130>>159>>109>>139>>149>>241>>231>>95
>>208>>31>>241>>297>>9>>52>>193>>164>>71>>235>>141>>95>>1>>213>>262>>251>>81>>274>>198>>272>>201
>>102>>60>>96>>240>>208>>36>>170>>2>>86>>77>>33>>27>>73>>41>>78>>266>>205>>149>>201>>45>>243>>202
>>204>>152>>38>>178>>50>>10>>79>>37>>111>>138>>133>>50>>46>>169>>219>>48>>255>>296>>80>>282>>69
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英雄、正義の味方は「なろう」とするものではない、「なっている」もの

そんな遥か昔から言われてたこと今書き込んでも仕方なかろう
「勉強しろ」とか「若いうちに苦労しておけ」みたいに自分で経験し実感しないと理解できない道は、誰もが通るわけだからそう言われ続けてるんだし

概念としての英雄や正義の味方ってのはあくまで偶像や理想像だけど、実際に自分を救ってくれた人間は漫画やテレビの中の架空の存在じゃなく、自分と同じ世界に存在する現実の人間で、少なくとも救われた側にとっては正真正銘のヒーローだろ
尊敬や憧れの念を抱いたり、同じ場所に立ちたいと思うこともある
まどかの場合それが魔法少女であるマミや守りし者である鋼牙だったわけで
どっちかというと、スポーツ苦手だった少年が実際にプロのプレイを間近で目の当たりにしたことで触発され、自分もプロになりたいと思うようなものだと思うよ

更新乙

そしてお前ら落ち着け
そもそもまどかは英雄になりたいなんて一言も口にしてない希ガス
ただ「自分は何もできず誇れるものもないから、せめて人の役に立つような人間になりたい」とモヤモヤしてるところに悪しき存在を討つことで人々を守る(ように見える)魔法少女や魔戒騎士の分かりやすいまでの姿を見て、しかも自分も魔法少女になれる素質があると言われたら、そりゃそういう方向に意識が捉われても仕方ないんじゃないか?

ちょっと中二に毒されすぎてるよみんな

面白いから話題や議論が生まれるわけであって、物語考察も作品の素直な楽しみ方だと思うよ
斜に構えて水を差す奴が一番中二なんじゃないかな

そういう分かりやすいヒーロー像に憧れて足元が見えてないのも年相応で不自然なことではないんだよな
酷い時は魔法少女は問題児ばっかりでまどかだけは天使とか言う馬鹿もいるけど、ぶっちゃけまどかだって他の魔法少女と一緒で不安定な中学生であることは変わらん

あまり伸ばすと「投稿来てると思ったら」が来るぞ

セディンベイルの陰我に侵されたか?

まぁ議論するならするで構わんが人様が見て不快にならない言葉遣いを心がけましょうね。

感想なんて人それぞれなのに何をケチ付けてるんだか
他人も自分と感じ方じゃないと気が済まないのか?
気に入らなきゃ無視すればいいだろううに……

感想なんて人それぞれなのに何をケチ付けてるんだか
他人も自分と同じ感じ方じゃないと気が済まないのか?
そのレスが気に入らなきゃ無視すればいいだろうに……

他人を不快にさせないように配慮するのは人間として常識だと思いますけどね

汚い言葉吐いといて無視しろはあまりにも身勝手。
まぁここまでざっと見て引っかかるところは無いとは思うけど過去に議論をヒートさせて

「信者」だの「痛い」だの板の空気を悪くする言葉が飛び交って結果荒れたケースが散見されるからナーバスにもなる。

議論の自由もいいけど板の雰囲気も大事にしてほしいってこと。

>>308
俺は>>305の貴方のレスに意見したのではなく
>>300からの流れの事を言ってるんだが?
あんな風に「あんたの感想は間違ってる」みたいな事を言うのも荒れる原因だと思うけど?
一言感想を言ったら、それで終わりでいいのに喰ってかかるから議論みたいな事になるんだろう

≫309

そうでしたか。申し訳ない。
勘違いで反論してしまいました。最初の二文くらいは忘れてください。

それと、あなたの意見には大いに賛成。我を張るなとは言わないが、配慮は本当に欲しい。

鋼牙の「無理だな」は魔法少女が怪しいからとか、
お前はお前だ、とかの意味もあるかもだけど、一番の理由は別にありそう
ほむらも契約を止めたいから便乗しただけじゃなくて、
「わかってない」は魔法少女の真実ではなく、自分自身のことかなぁ

>>311

>>289の文意を素直に取れば、『まどかは自分自身の尊さ、未来の可能性や価値を分かってない』という意味でしょうね。

魔戒騎士が魔法少女と敵対するかも知れないという恐ろしい可能性を危惧するほむらが、まどかに関して鋼牙とピッタリ意見が一致するという傍目には微笑ましい状況です。

蒸し返すつもりはないが、
>>300>>301の書き方は、言われた方はそう感じるのもわからなくはないけど、
配慮を求める側も書き方は配慮しようよ、お互いに
傍から見て思う

じゃあ関係ない話題を振ってみます。

鋼牙編ともいえる壮大なサーガが終了したわけですが

ぜひ一期と二期の同じ巻の話を交代交代に見てください。(絵本→陰我→時計→晩餐→(ここで二期にチェンジ)火花→街灯→車輪→(一期にチェンジ)月光・・・というぐあいに。)
新しい発見やニヤリとくるものがあると思います。

・・・それをしようとレンタル屋に言ったら見事に殆ど借りられていました。
嬉しいやら残念やらww

さすがに過敏すぎじゃね?
議題や叩き台があって「あれはこうだと思う」「それは~~という理由で間違ってると思う」「いや、自分はこう考えてる」ってやりとりするのはただの議論であって、別に喧嘩してるわけでも突っかかってるわけでも敵意持って否定してるわけでもないっしょ

配慮を欠いたレスってのは、明らかに相手を貶すための汚い言葉を使っていたり理由なく敵愾心を煽る発言であって、今回の内容見る限りは中二発言以外は汚い言葉使いもなく全部普通の考察だと思う

……それよりまどかが黄金の剣と鎧を装備した姿を想像して盛大に噴き出したわwwwwww

>>315
だからそれが余計なお世話なんだろ
なんで思った事を書いてるだけなのに、ああだこうだ言われなきゃいけないんだ?
議論なんてうっとおしい、それからssに関係ない牙狼単体の話題は余所でやれよ
前もその事について言われた気がするんだが?

はい喧嘩腰入りました

ある程度自分の考えを飲み込むことも覚えましょうね

>>317
それを言ったら>>315にだって同じ事が言えるでしょ?
>>308の様なレスをしておいて矛盾してませんか
それに過去にこのssと関係ない牙狼単体の話題は別な所でやれと言われたのは事実だと思いますけどね

何か知らんけど
1人の感想にいちいちケチつけんな

2別にケチをつけてる訳じゃなくて自分の意見をそれに上乗せして言ってるだけじゃないか?

3はあ?お前らの意見なんか知らんし知るかそんなの

4意見を相手に伝えたいならまずは言葉遣いに気を付けようね

5 3だって言葉遣いなってないじゃん

って感じの大まかな流れ?

かっかするのは良いけど誤爆はやめてね
それとお前も気に入らない意見スルーすれば良いんじゃね?
専ブラでコテ抽出すればラクラクだぞ

配慮とか、単体の話がどうとかよりも、SSと関係ないことでレス消費してること
スレが荒れてることのが、よほど問題なんじゃないかなぁ
正論だと思っても、悪い流れが続くようならどっかで断ち切る必要があるんじゃないの
一番大事ことは何か考えてみてほしい

少なくともきっかけとなった>>300前後の議論内容はちゃんとこのSSのストーリーに即してると思うぞ。
まどかが鋼牙と関わってどういう心情になったかについて考察してるんだろ?
SSに関係あることだし、牙狼単体の話ではないよな。

話し合いの内容じゃなくて話し合いそのものに突っかかってきたから荒れた訳で、それこそ余計なお世話だった可能性も

改めて見返すと、>>305が過剰反応で周りに噛み付いて、明らかに空気おかしくしてる気が…。

僕の最強の理論合戦

考察はネタ潰しにも繋がるしSSのスレなんだから投下後に乙っていうくらいでいいんだよ

>>323
ageんなよsageろ
無駄な考察()雑談でスレ消費すんなよな
こんな流れで自分語りしたい奴が多いから特オタはうざがられるんだよ…

↑一言多い。 それのことを言ってるんですよ

あと牙狼は特撮じゃなくてハイパーミッドナイトアクションドラマ。二度と間違えないでくださいね。

>>326
それ真面目に言ってるの?
牙狼のジャンルは特撮考えても特撮だろ。世間でもそういう認識な気がするが

>>326
それ真面目に言ってるの?
牙狼のジャンルはどう考えても特撮だろ。世間でもそういう認識な気がするが
ハイパーミッドナイトアクションドラマ()とか痛すぎるぞ…

信者装った荒らしやろ
とりあえず投下くるまで静かに待とうや

お客さん気取りと仕切りたがりが沸くのは
長く続いたスレの恒例行事

作品が面白いから考察にしろ雑談にしろ話題が広まるんであって、微笑ましい程度のものやんか
どいうところに興味を引かれたとか、どういう場面を疑問に感じたとか、それも立派な感想なんだし
そこにウザいとか中二とか()とか喧嘩腰で突っかかっても荒れるだけで仕方ない

ここの連中は頻繁にキャラdisにはいるから嫌い

他人の感想なんか気にするなよ
SSだけ読んだっていいんだから

末尾みてみ
荒らしてるのは一人だから

なんだこいつらやべえ

>>52>>360>>99>>85>>52>>191>>134>>132>>125>>318>>61>>229>>235>>56>>372>>58>>225>>347>>37>>2>>35>>206
>>122>>207>>72>>142>>258>>150>>374>>320>>202>>333>>19>>286>>385>>210>>20>>117>>334>>338>>177>>162
>>233>>133>>230>>57>>79>>267>>59>>113>>72>>387>>234>>278>>58>>376>>135>>208>>349>>55>>9>>282>>73
>>266>>282>>315>>382>>216>>253>>159>>377>>25>>391>>109>>254>>48>>188>>121>>107>>300>>192>>94>>134
>>152>>109>>205>>359>>58>>260>>368>>339>>332>>263>>204>>214>>177>>186>>29>>29>>345>>6>>54>>336>>114
>>383>>302>>28>>90>>201>>220>>183>>335>>290>>334>>44>>94>>293>>101>>354>>261>>39>>286>>123>>243>>99
>>29>>128>>329>>373>>133>>382>>309>>247>>289>>292>>148>>317>>381>>349>>136>>164>>283>>26>>97>>326
>>390>>26>>73>>250>>65>>358>>373>>307>>57>>272>>336>>184>>200>>309>>317>>182>>217>>163>>71>>108
>>387>>88>>259>>123>>252>>142>>148>>349>>67>>267>>338>>93>>340>>188>>158>>297>>160>>65>>353>>31
>>137>>231>>308>>53>>12>>124>>216>>82>>232>>126>>69>>319>>384>>192>>170>>126>>339>>119>>192>>206
>>285>>145>>243>>42>>42>>2>>107>>394>>33>>106>>131>>263>>14>>183>>275>>137>>398>>357>>368>>123>>26
>>107>>217>>57>>232>>156>>175>>24>>361>>231>>309>>106>>74>>351>>147>>75>>57>>141>>108>>163>>271
>>176>>53>>246>>313>>51>>202>>281>>174>>228>>167>>280>>44>>224>>112>>199>>399>>136>>160>>229>>45
>>302>>395>>11>>377>>52>>151>>85>>214>>22>>55>>389>>74>>300>>302>>124>>102>>182>>297>>329>>349>>177
>>172>>289>>171>>171>>25>>331>>399>>69>>195>>301>>63>>205>>278>>114>>356>>362>>328>>377>>17>>317
>>317>>218>>175>>19>>399>>72>>348>>347>>249>>320>>119>>137>>91>>289>>161>>21>>288>>229>>216>>189
>>20>>66>>6>>376>>28>>333>>352>>45>>250>>3>>362>>67>>177>>380>>66>>248>>327>>13>>96>>247>>132>>233
>>20>>393>>359>>308>>222>>174>>96>>113>>194>>162>>118>>169>>189>>51>>121>>234>>300>>123>>195>>367
>>174>>33>>147>>101>>45>>243>>348>>176>>75>>285>>196>>67>>244>>103>>288>>17>>198>>1>>210>>360>>119
>>148>>169>>99>>382>>69>>222>>176>>35>>121>>350>>67>>267>>50>>112>>109>>397>>288>>183>>282>>83>>250
>>186>>138>>141>>384>>138>>351>>343>>257>>329>>91>>25>>28>>72>>94>>249>>247>>128>>369>>196>>195
>>246>>307>>344>>243>>194>>127>>124>>277>>376>>249>>62>>114>>390>>45>>251>>340>>388>>107>>269>>78
>>296>>149>>225>>144>>395>>353>>113>>191>>148>>347>>36>>54>>291>>279>>248>>17>>3>>124>>393>>251
>>106>>240>>231>>357>>180>>218>>64>>49>>295>>196>>345>>43>>20>>89>>38>>373>>201>>229

>>389>>475>>564>>188>>481>>755>>682>>657>>352>>364>>579>>352>>48>>232>>727>>540>>106>>382>>698>>296
>>52>>147>>344>>13>>725>>509>>50>>407>>49>>695>>796>>523>>458>>183>>204>>412>>64>>60>>764>>428>>638
>>475>>70>>242>>214>>176>>624>>111>>471>>216>>163>>617>>559>>176>>542>>268>>226>>148>>316>>120>>144
>>578>>326>>242>>190>>390>>301>>154>>17>>139>>469>>491>>209>>711>>705>>384>>534>>16>>54>>749>>179
>>508>>354>>412>>776>>580>>560>>291>>699>>703>>329>>477>>229>>571>>666>>618>>72>>19>>635>>210>>488
>>419>>398>>230>>2>>131>>246>>55>>80>>424>>725>>587>>778>>337>>562>>557>>97>>53>>456>>799>>382>>132
>>152>>798>>45>>224>>17>>679>>434>>504>>204>>52>>101>>433>>53>>232>>678>>108>>311>>302>>33>>98>>279
>>660>>36>>466>>712>>491>>464>>294>>623>>691>>446>>620>>736>>669>>636>>614>>302>>339>>18>>353>>440
>>405>>671>>329>>513>>181>>630>>545>>279>>109>>114>>138>>144>>579>>50>>635>>243>>343>>457>>133>>789
>>69>>657>>112>>683>>159>>451>>700>>511>>91>>350>>116>>761>>679>>628>>142>>508>>372>>420>>617>>485
>>761>>263>>607>>595>>506>>150>>252>>639>>138>>528>>707>>795>>640>>589>>153>>291>>489>>664>>381>>38
>>342>>716>>606>>484>>424>>178>>104>>240>>663>>661>>200>>126>>468>>795>>631>>618>>246>>469>>756
>>375>>750>>614>>164>>103>>104>>652>>766>>485>>690>>744>>27>>606>>550>>510>>229>>728>>613>>469>>590
>>669>>715>>141>>664>>546>>758>>109>>214>>713>>83>>589>>663>>696>>752>>766>>800>>604>>731>>484>>493
>>510>>298>>425>>220>>527>>352>>32>>196>>141>>505>>64>>56>>646>>727>>601>>603>>36>>15>>516>>119
>>379>>14>>556>>344>>13>>359>>275>>497>>52>>149>>207>>350>>573>>427>>76>>124>>458>>272>>265>>163
>>321>>8>>262>>122>>611>>298>>136>>327>>416>>739>>706>>429>>494>>250>>442>>53>>524>>139>>104>>673
>>453>>446>>772>>529>>570>>430>>800>>34>>592>>335>>355>>600>>597>>476>>411>>94>>611>>738>>509>>550
>>138>>244>>92>>580>>296>>616>>719>>400>>489>>264>>52>>134>>236>>581>>703>>665>>581>>737>>457>>115
>>257>>711>>767>>667>>5>>578>>604>>513>>327>>447>>651>>571>>539>>430>>66>>354>>348>>465>>43>>612
>>176>>47>>298>>79>>712>>78>>16>>368>>193>>307>>624>>104>>273>>491>>108>>51>>294>>620>>378>>740
>>148>>479>>100>>214>>33>>448>>679>>75>>259>>396>>251>>305>>693>>329>>217>>771>>345>>584>>163>>651
>>266>>124>>98>>374>>174>>392>>193>>552>>332>>663>>699>>10>>763>>112>>42>>410>>790>>117>>668>>385
>>173>>277>>696>>389>>248>>240>>173>>410>>91>>581>>676>>215>>679>>249>>389>>271>>442>>140>>602>>305

>>178>>225>>62>>239>>87>>44>>158>>199>>339>>113>>337>>332>>103>>253>>231>>188>>246>>300>>100>>309
>>33>>296>>112>>157>>115>>176>>189>>38>>122>>218>>216>>6>>279>>114>>93>>323>>272>>291>>322>>44>>288
>>147>>200>>204>>334>>105>>164>>93>>74>>172>>126>>29>>283>>282>>144>>119>>131>>182>>240>>8>>58>>246
>>172>>338>>269>>103>>289>>250>>147>>236>>224>>293>>96>>87>>287>>201>>251>>40>>274>>82>>165>>303
>>107>>106>>143>>238>>288>>42>>245>>5>>288>>192>>176>>286>>120>>279>>234>>30>>85>>130>>253>>38>>226
>>325>>86>>250>>24>>20>>331>>189>>323>>15>>296>>88>>157>>193>>35>>199>>98>>40>>146>>289>>215>>92
>>153>>325>>99>>238>>115>>11>>275>>340>>10>>260>>86>>260>>283>>106>>251>>132>>88>>265>>87>>175>>82
>>210>>281>>38>>249>>87>>327>>124>>178>>55>>276>>162>>153>>174>>277>>164>>108>>277>>174>>27>>22>>93
>>127>>3>>101>>214>>268>>188>>49>>9>>128>>259>>289>>165>>168>>35>>151>>291>>212>>206>>227>>34>>19
>>311>>182>>168>>247>>15>>195>>269>>108>>165>>55>>110>>266>>269>>37>>113>>318>>46>>241>>237>>335
>>64>>30>>216>>15>>242>>81>>242>>276>>99>>301>>246>>281>>129>>152>>296>>323>>80>>63>>147>>135>>173
>>64>>209>>185>>42>>255>>85>>278>>250>>150>>2>>279>>25>>16>>180>>106>>257>>115>>204>>218>>20>>145
>>172>>100>>329>>252>>162>>136>>47>>334>>208>>110>>203>>52>>152>>118>>137>>89>>27>>286>>91>>305
>>106>>144>>76>>23>>259>>279>>241>>278>>84>>247>>110>>183>>236>>21>>4>>31>>67>>338>>238>>177>>200
>>329>>317>>87>>77>>3>>33>>168>>308>>3>>273>>111>>78>>296>>30>>17>>197>>307>>100>>104>>77>>282>>339
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>>374>>58>>154>>379>>170>>220>>339>>153>>210>>95>>101>>95>>244>>28>>69>>241>>133>>12>>365>>67>>88
>>372>>275>>216>>7>>390>>215>>161>>78>>80>>134>>136>>233>>113>>305>>53>>51>>57>>262>>145>>157>>357
>>185>>25>>229>>317>>37>>193>>383>>124>>284>>355>>398>>99>>361>>387>>313>>122>>65>>392>>255>>200
>>367>>105>>277>>17>>161>>139>>162>>318>>95>>150>>102>>120>>379>>18>>157>>172>>1>>280>>55>>356>>278
>>317>>265>>66>>38>>330>>58>>292>>130>>283>>258>>234>>160>>275>>394>>298>>37>>312>>392>>187>>13
>>166>>31>>268>>338>>32>>148>>393>>387>>26>>146>>303>>290>>212>>340>>220>>270>>231>>349>>152>>89
>>311>>364>>176>>209>>1>>87>>201>>188>>99>>312>>353>>130>>180>>291>>161>>327>>283>>147>>352>>29>>50
>>240>>389>>61>>109>>220>>10>>261>>308>>191>>172>>272>>366>>380>>273>>52>>180>>60>>151>>92>>12>>281
>>303>>42>>197>>185>>188>>149>>213>>237>>391>>53>>226>>52>>162>>45>>61>>23>>353>>252>>194>>225>>217
>>97>>269>>353>>156>>20>>44>>168>>300>>314>>70>>341>>111>>255>>129>>259>>68>>366>>250>>121>>192
>>282>>236>>363>>304>>189>>214>>98>>13>>31>>270>>109>>299>>222>>264>>319>>265>>32>>219>>179>>101
>>289>>356>>288>>148>>23>>254>>397>>143>>45>>299>>25>>280>>261>>328>>69>>75>>25>>81>>105>>295>>189
>>117>>53>>322>>382>>85>>140>>160>>185>>299>>48>>140>>186>>196>>163>>39>>193>>305>>84>>91>>329>>363
>>257>>31>>26>>282>>112>>130>>176>>301>>134>>293>>354>>55>>274>>38>>195>>34>>223>>93>>82>>362>>279
>>124>>318>>69>>29>>1>>159>>357>>364>>110>>214>>395>>135>>95>>106>>265>>271>>6>>398>>163>>360>>53
>>397>>247>>70>>219>>340>>151>>181>>218>>27>>305>>135>>96>>333>>136>>254>>290>>99>>364>>103>>93>>98
>>199>>363>>68>>205>>360>>231>>164>>13>>268>>160>>259>>338>>379>>198>>89>>159>>16>>116>>63>>150
>>396>>285>>64>>285>>384>>27>>388>>76>>125>>185>>274>>88>>253>>78>>48>>84>>242>>60>>351>>1>>319
>>379>>116>>376>>138>>131>>91>>201>>281>>302>>196>>166>>365>>81>>149>>392>>68>>225>>117>>253>>99
>>106>>177>>252>>189>>18>>312>>139>>19>>230>>27>>398>>345>>3>>135>>76>>93>>335>>356>>395>>131>>122
>>211>>270>>351>>278>>95>>68>>131>>193>>272>>236>>370>>123>>24>>387>>34>>163>>6>>263>>189>>3>>208

>>39>>319>>54>>53>>26>>400>>75>>244>>44>>231>>11>>20>>113>>260>>287>>120>>361>>77>>51>>393>>235
>>298>>251>>337>>80>>313>>212>>128>>182>>68>>166>>100>>121>>218>>126>>121>>293>>370>>164>>123>>381
>>236>>241>>71>>356>>201>>148>>6>>194>>382>>267>>92>>233>>203>>171>>146>>14>>298>>327>>82>>63>>27
>>281>>153>>322>>173>>122>>86>>296>>103>>270>>132>>343>>340>>88>>143>>87>>94>>337>>69>>360>>28>>301
>>198>>47>>176>>96>>373>>257>>159>>400>>58>>40>>152>>379>>212>>274>>65>>108>>376>>334>>240>>318
>>327>>61>>360>>20>>398>>29>>379>>25>>330>>140>>223>>376>>315>>319>>349>>172>>77>>348>>229>>116
>>208>>328>>373>>273>>36>>349>>206>>275>>267>>79>>201>>328>>39>>221>>325>>68>>199>>350>>397>>339
>>373>>254>>91>>322>>25>>168>>269>>253>>284>>369>>61>>211>>342>>333>>247>>290>>139>>121>>157>>218
>>84>>257>>142>>9>>324>>341>>359>>321>>279>>132>>293>>132>>222>>214>>156>>390>>83>>9>>273>>52>>70
>>393>>3>>330>>283>>141>>51>>40>>358>>372>>124>>214>>114>>132>>138>>54>>91>>58>>332>>222>>351>>63
>>165>>219>>33>>248>>228>>306>>299>>297>>390>>291>>300>>320>>174>>40>>370>>213>>398>>342>>336>>212
>>68>>350>>108>>158>>7>>40>>379>>358>>103>>22>>122>>321>>55>>369>>149>>360>>267>>45>>349>>158>>345
>>331>>384>>238>>144>>382>>179>>80>>194>>234>>147>>143>>341>>305>>149>>381>>284>>106>>83>>306>>228
>>360>>196>>152>>320>>62>>197>>269>>220>>141>>137>>151>>124>>374>>294>>106>>153>>374>>299>>386>>121
>>327>>25>>190>>307>>308>>296>>390>>213>>123>>393>>173>>319>>144>>92>>381>>340>>361>>200>>80>>97
>>204>>70>>244>>310>>222>>218>>208>>208>>338>>249>>135>>362>>39>>41>>270>>334>>31>>83>>57>>23>>255
>>166>>347>>355>>105>>307>>155>>185>>3>>105>>389>>73>>349>>298>>295>>166>>106>>102>>103>>354>>236
>>393>>277>>334>>327>>307>>16>>383>>329>>271>>358>>95>>217>>313>>200>>123>>67>>385>>126>>172>>373
>>120>>270>>92>>286>>376>>193>>388>>330>>29>>53>>322>>306>>386>>248>>213>>2>>231>>142>>272>>188
>>89>>101>>36>>212>>168>>20>>337>>339>>392>>134>>59>>262>>225>>344>>237>>18>>332>>166>>47>>384>>87
>>370>>335>>165>>371>>165>>307>>243>>353>>143>>331>>53>>178>>143>>220>>198>>79>>158>>189>>212>>216
>>37>>160>>288>>55>>91>>53>>102>>75>>140>>55>>44>>75>>220>>15>>239>>126>>258>>191>>268>>189>>243
>>331>>63>>243>>9>>221>>32>>221>>37>>82>>258>>196>>369>>313>>287>>22>>15>>361>>162>>69>>4>>236>>288
>>74>>13>>277>>265>>281>>65>>108>>327>>395>>170>>169>>4>>390>>201>>225>>26>>283>>83

「まどマギSSスレをゲートに出現するホラーか!?」

『鋼牙!数が多すぎるぞ』

黙ってNGに登録……できない。
あれ何で?

ちょっと半端なので今日は見送り
もう少し書き溜めて、明日には必ず

>>343
楽しみにしてます。

ではここで牙狼情報。

スピンオフ映画『牙狼外伝~桃幻の笛~』の公式サイトがリニューアル。 http://garo-project.jp/TOUGEN/
注目はキャスト。なんと翼の妹、山刀鈴役の子の名前が。

遅くなりました。
元はと言えば自分の発言のせいかもしれませんので、少しだけ。

>>318
牙狼にせよ、まどかにせよ、単独の話題は他に相応しい場所がある為、
そちらを優先してほしいのは確かですが、必ずしも止めてほしいという訳ではありません。
>>228で曖昧な書き方をしたのは窮屈になるのを避ける為であり、
何より注意などでレスが消費されることや、険悪な雰囲気になること、荒れることを避けたかったからです。
ですので、善意からとは思いますが、指摘していただく必要はありません。
言葉が足りずに、申し訳ありませんでした。

ここからは皆様に向けてですが、もし気遣っていただけるなら
SSについて◎ 牙狼とまどかについて〇 それぞれ単独について△ それ以外×
といった具合で、△はそこそこに、それ以外は何であれスルー推奨でお願いできればと思います。

雑談や議論や考察からはネタを拾ったり、誤りを訂正できたりするので、とても助かっています。
このSSは多くの方に支えられてできています。
いつもありがとうございます。今後もご協力いただければ幸いです。

以上、長文失礼しました。


 まどかが靴に履き替え、校舎を出る頃には、外はすっかり暗くなりかけていた。
 風は冷たく、夜の匂い。空は分厚い雲に覆われ、月が陰っている。早く帰らないと一雨くるかもしれない。
 もうじき最終下校時刻。夜と言っていい時間だ。こんな遅くまで学校に残るなんて、滅多にない経験だった。

 しかも前回までと違って、校内をぐるり見渡しても人の気配はない。
 ほとんどの生徒は既に下校しているのだろう。運動部も多くが部活動を終えていた。
 文化祭などの特別な行事での居残りは、なんだか胸が弾んだのを思い出す。

 いつも見る昼間の学校と同じ場所なのに、違う風景がここにある。
 しかし、今のまどかは、とてもじゃないが特別な気分に浸れる心境になかった。
 人のいない学校の物寂しさも相まって落ち込んでくる。

 ほむらの一言一句が残響のように、ずっと繰り返されている。
 何もわかっていない。何も気付いていない。
 会ってまだ二日なのに、まるで以前から知っていたかのような口振り。
 いくら記憶を辿っても面識はない。ただ、夢の中で言葉を交わした気がするだけ。

「ダメだぁ……やっぱりわかんないや」

 首を左右に振り、モヤモヤを振り払う。 
 あまり考えないようにしよう。でないと、また頭痛が再発しそうだった。
 たぶん今は頭を休ませる時なのだ。そう言い訳して、思考を放棄した。

 そう言えば、ほむらはどうしただろうか。自分の方が先に出たから、まだ校内にいるのだろうが――。
 
「どうしよう。待った方がいいのかな……」

 先に帰れ。その言葉を、どう解釈すべきか。
 勝手に帰宅していいのか。それとも、先に行って待っていてという意味か。
 普通に考えるなら前者だ。これまで一緒に帰ったこともない。ほむらの家も知らない。


 でも、自分の看病で居残ってくれたのだとしたら、さっさと帰るのは申し訳ない気がする。
 かと言って、今は一緒に帰るのも居心地が悪かった。
 あんなことの後で何を話したらいいのか、どんな顔をして隣を歩けばいいのか。
空気が重くなるのは間違いなかった。

 まどかは迷いに迷って、校門へと歩き出す。
 滅多にない機会だ。悩んでいても仕方ない。この空気を少し味わうのも悪くないと思った。
 ゆっくり向かいながら、ほむらが来れば誘ってみよう。出会わなければ先に帰ろう。
我ながら消極的だと思ったが、決断を保留して成り行きに任せることにした。

 足は高めに上げ、一歩を大きく、しかし緩やかに。
後ろ手に鞄を持ったまどかは、気分を切り替えてのんびり歩く。
 見滝原中学は、まるで美術の本に出てくる外国の建築物のように豪奢だ。
荘厳な校舎は、夜にはまた違った趣を感じさせた。

――ライトアップとかしたらキレイなんだろうなぁ……。

 などと見上げていた時だった。
 ニャー、と近くで鳴く声。
 見ると、校舎の陰から黒猫が顔を出していた。

「うわぁ~っ」

 歓声をあげたまどかは、満面の笑顔で瞳を輝かせた。
 その声に黒猫はビクッと身体を震わせたが、

「大丈夫、怖くないよ~。ほら、おいでおいで」

 まどかが屈んで手を差し伸べると、警戒しながら近寄ってくる。
そして恐る恐る指先に鼻をくっつけてヒクヒクさせる。鼻息がくすぐったい。


 一しきり匂いを嗅ぐと、やがて自分から身をすり寄せてきた。
 こうなると撫でても抵抗されなかった。

「ふふっ。ネコちゃんかわいい~。それにふわふわ」

 黒猫の体格は小さく、まだ幼いようだった。だから警戒心も薄いのかもしれない。
 少女らしく可愛いもの好きなまどかは、暫く猫を愛で続けた。
 黒猫も一分ほどは大人しく可愛がられていたのだが、不意に身を硬くすると、まどかの手をすり抜ける。

「あれ、嫌われちゃったのかな……」

 しかし、まどかを嫌ったのではなく、近くで何らかの気配を感じ取って、逃げた。
そんなふうな印象を受けた。
 黒猫はまどかから数メートル離れると、身を低く前足を突っ張る。
牙を剥き、唸る声からも警戒しているのは明らか。

「ねぇ、どうしたの? なんでそんなに――」

 黒猫の目線の先にあるのは、体育館の裏口。ちょうど、まどかの位置からは角になっていて見えなかった。
 立ち上がって近付いても、黒猫は反応しない。
 まどかは黒猫の背後から、角を覗き込み――。
 

「え……あ……」


 言葉を失った。


 それはあまりに自然に、何をするでもなく、そこにいた。
しかし、周囲の景色からは明らかに浮いた――たとえるなら、画用紙に落とされた一点の黒。
決して世界に溶け込むことのない異物。

 形も大きさも猫に近いものの、顔のあるべき位置には、ウニさながらの棘を生やした球体があるのみ。
目も鼻も口もない。描き殴ったような白い輪郭もいびつで、毛も皮も肉も内臓もないのか、内にはただ闇を内包している。
 この世の生物とは思えない、その異形が何なのか、まどかには一目でわかった。
 
「魔女の……使い魔……」

 呟くと同時に、ぞわっと総毛立つ。
 即座に伸ばした首を引っ込めて、身体を掻き抱く。全身の震えで見つかる気がして、腕に力が入る。

――なんで! 
どうして、使い魔がこんなところに!? 
どうしよう……どうすれば――


 理解した。足下の猫が警戒していたのは、あれだったのだと。
 視線が安定しないあたり、見えてはいないのかもしれない。
それでも良くないものが近くにいることを、本能で感じているのだろう。
猫に霊が見えるなんて嘘だと思っていたけれど、今は少し信じる気になった。

 マミから聞いた話では、使い魔も人を喰らう。
魔戒騎士や魔法少女にとっては雑魚でも、ただの人間には立派な脅威。見つかれば危険に変わりない。
 なのに今、ここにはマミも鋼牙もいなかった。


 頼れるとしたら、ただ一人。
 魔法少女である、暁美ほむら。
 まどかは助けを求めて周囲を見回すが、彼女の姿はない。
猫と戯れている間に帰ってしまったのだろうか。

 まさか大声を張り上げて呼べるはずもなく、全神経を緊張させたまま、まどかは立ち尽くしていた。
 それでも、ここ数日で少しは慣れたのだろうか。こんな状況でも、辛うじて思考を止めずにいられる。
 その時だった。
 ボールの跳ねる音が体育館から響いたのは。

「――っ!」

 声と一緒に心臓が飛び出そうになり、まどかは慌てて口を塞ぐ。
 体育館には煌々と明かり。小窓からそっと中を窺うと、
ジャージ姿の女子が一人、バスケットボールを抱えて運んでいた。
 おそらく部員が自主練に残り、そろそろ切り上げるところか。

――お願い! どうか見つからないで……!
"あの娘が"が狙われませんように――

 自分よりも、今は彼女が心配だった。彼女は何も知らない。危機に気付くことすらできないのだから。
 まどかは祈りながら、再び角から顔を覗かせる。
 だが、まどかの願いとは裏腹に、使い魔はのそのそと体育館に向かっていた。

――ダメ! 行かないで!

 不意に使い魔が足を止めた。が、まどかの願いが通じた訳ではない。


 使い魔は、館内から漏れた光で照らされている範囲に立ち入ろうとはしなかった。
おそらく光を嫌う性質を持っているのだろう。

 ホッと一息ついたが、危機は去っていない。
 体育館の電気が消されるか、彼女が明かりのない場所に移動するか。
彼女がやらなくても、他の誰かが消すとしたら同じことだ。必ず犠牲が出る。
 遅かれ早かれ、使い魔は動く。遅くても数分以内には、早ければ一分と待たず。
 
 もう一度、周囲を見回して、ほむらを探す。
 やはり彼女の姿はない。
 既に日は沈み、視界は狭くなっている。
ところどころに電灯はあるが、首を振っただけで見つけられるとは思えない。
 
 これから夜が更けるにつれ、闇も深まる。
あれが自由に行動できるようになるのは、もはや時間の問題だった。
 
 先刻、ほむらに言い返せなかった悔しさから握った拳。
 それを今は別の意味で、より固く、強く、握り締める。
 
 迅速かつ静かに、この場を離れ、ほむらを探す。
 それが考え得る限りで最善の手段。


 しかし、

――でも、そんなの絶対に間に合わない……。

私が……やらなきゃ!――

 心の中で声がした。
 声に従い、身体が動く。
 まどかは足下の小石を掴み――使い魔目掛けて投げた。

 何故そんなことをしたのか、まどか自身にも理解できなかった。
 ただ、勇気なんて呼べるほど崇高な感情じゃない。
 もっと脆く、あやふやな、得体の知れない衝動に駆られていた。

 小石は頼りない放物線を描いて、目標の手前でカツンと地に落ちる。
 使い魔は不気味に首を捻じ曲げ、まどかの方を向いた。
 その顔には、やはり目も鼻も存在しないが、まどかは直感で悟った。
自分が、獲物として捉えられたことを。 

ここまで
次も日曜に間に合えば
今回はわかりにくいかもしれません
見滝原中学は普通の中学校じゃないので
どう書いていいか、よくわからなかったり

>>233>>142>>6>>52>>330>>39>>62>>369>>391>>71>>231>>346>>340>>284>>310>>316>>247>>182>>58>>110>>92
>>347>>166>>216>>379>>254>>80>>96>>21>>65>>329>>162>>71>>381>>91>>110>>42>>60>>100>>113>>290>>46
>>174>>355>>368>>20>>137>>25>>129>>228>>317>>75>>394>>132>>53>>247>>211>>149>>268>>276>>77>>29>>347
>>120>>56>>99>>179>>156>>211>>69>>201>>263>>242>>155>>230>>262>>292>>255>>391>>119>>171>>66>>112
>>118>>359>>113>>267>>226>>388>>344>>254>>335>>1>>374>>390>>99>>153>>145>>310>>221>>345>>172>>63
>>2>>324>>391>>256>>314>>110>>26>>380>>222>>328>>97>>180>>40>>364>>5>>27>>307>>259>>361>>307>>232
>>6>>385>>96>>316>>205>>41>>88>>268>>140>>89>>191>>131>>344>>105>>240>>370>>84>>61>>297>>181>>241
>>144>>246>>363>>51>>104>>324>>357>>336>>275>>363>>320>>370>>278>>125>>11>>365>>392>>151>>54>>183
>>398>>288>>121>>367>>371>>182>>264>>152>>22>>200>>296>>267>>163>>346>>371>>86>>303>>306>>361>>265
>>331>>142>>350>>341>>107>>342>>91>>160>>124>>372>>157>>11>>92>>124>>382>>273>>387>>133>>295>>186
>>161>>348>>374>>131>>34>>277>>37>>395>>141>>263>>325>>283>>213>>265>>389>>154>>356>>149>>277>>327
>>288>>19>>29>>269>>292>>15>>2>>186>>201>>30>>347>>149>>4>>78>>182>>280>>114>>176>>21>>377>>101
>>189>>366>>292>>342>>321>>40>>219>>248>>345>>106>>266>>374>>374>>158>>389>>375>>343>>189>>5>>289
>>8>>366>>119>>287>>80>>295>>307>>56>>395>>210>>245>>360>>101>>186>>281>>141>>4>>129>>86>>110>>395
>>83>>152>>47>>58>>94>>236>>62>>382>>173>>70>>348>>292>>357>>28>>186>>263>>83>>181>>73>>327>>141
>>113>>21>>314>>117>>149>>399>>226>>144>>58>>309>>295>>105>>367>>388>>341>>29>>370>>113>>98>>318>>4
>>345>>190>>317>>28>>370>>389>>354>>110>>162>>67>>131>>76>>183>>280>>75>>9>>23>>132>>318>>317>>237
>>305>>177>>313>>275>>290>>11>>192>>294>>65>>136>>83>>381>>163>>53>>370>>117>>162>>132>>184>>293
>>367>>172>>281>>375>>195>>13>>293>>111>>249>>177>>16>>26>>89>>290>>316>>100>>82>>209>>164>>218
>>145>>381>>344>>114>>98>>106>>246>>281>>398>>52>>247>>169>>332>>221>>363>>345>>114>>74>>193>>290
>>219>>379>>380>>135>>78>>61>>343>>242>>279>>235>>386>>259>>178>>100>>356>>283>>345>>236>>280>>397
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>>54>>166>>380>>375>>214>>303>>255>>115>>165>>40>>138>>283>>123>>39>>7>>271>>113>>168>>114>>352
>>227>>288>>300>>33>>256>>56>>237>>157>>68>>314>>211>>234>>293>>185>>47>>196>>39>>162>>360>>79>>299
>>201>>338>>249>>71>>51>>17>>185>>2>>371>>11>>290>>271>>44>>145>>326>>280>>302>>394>>193>>112>>227
>>296>>274>>282>>335>>35>>241>>13>>333>>83>>214>>271>>332>>284>>321>>349>>68>>323>>319>>79>>212
>>122>>356>>115>>1>>258>>108>>194>>369>>334>>280>>264>>208>>161>>199>>242>>2>>212>>175>>85>>25>>45
>>308>>366>>365>>376>>288>>284>>54>>100>>73>>176>>55>>188>>177>>312>>295>>371>>281>>229>>250>>145
>>11>>343>>278>>12>>154>>52>>97>>179>>97>>113>>86>>62>>78>>62>>349>>361>>115>>48>>34>>290>>103>>221
>>15>>116>>37>>295>>345>>286>>39>>380>>297>>382>>258>>309>>136>>309>>5>>314>>6>>118>>400>>67>>195
>>16>>156>>176>>64>>189>>66>>167>>9>>132>>182>>125>>168>>76>>69>>54>>115>>49>>350>>97>>306>>258
>>215>>263>>146>>220>>380>>146>>287>>175>>206>>303>>330>>381>>366>>119>>47>>133>>128>>178>>314>>252
>>390>>320>>399>>105>>368>>349>>201>>274>>207>>33>>88>>69>>179>>308>>49>>324>>194>>223>>130>>97
>>111>>62>>270>>157>>195>>397>>335>>108>>249>>280>>98>>168>>279>>202>>136>>227>>3>>9>>33>>35>>97
>>214>>4>>150>>138>>198>>372>>267>>294>>124>>377>>356>>394>>133>>151>>391>>68>>258>>239>>347>>355
>>226>>157>>142>>52>>159>>151>>85>>194>>247>>186>>7>>251>>336>>144>>49>>307>>10>>343>>31>>387>>299

乙!
中学にオリジナルの使い魔。こういうオリジナルの展開は大歓迎です!


見滝原中はいろいろ特殊だから詳細に書くのは難しいだろうな

>>361
これオリジナルじゃなくて、暗闇の魔女の使い魔じゃないかな

>>362
ほんとだ!
ゲームやらないから知らなかった。

えっ、暗闇では無敵って……えっ!?

本編ではティロフィナの塵になる場面しか出番なかったうえに
魔女本体は未登場なくせして魔女図鑑のカタログスペックだけは強そうなズライカさんじゃないですか

投下は来週かな?

なんやかんやあって遅れています
うまくいけば明日にでも投下できると思うのですが
もうしわけありません


 小石を投げてすぐ、まどかは踵を返して駆け出した。一目散に。脱兎の如く。
 とにかく全力で走る。重くて邪魔な鞄はすぐに放り捨てた。
 振り向くと、使い魔もまた走り出していた。

 走りは見た目と同じくネコ科のそれに近いのだが、関節が存在しないのか、四肢は前後左右、自在に動いた。
かなり不気味だったが、鈍足のまどかよりも遅いのが、せめてもの救いだった。
 狙い通りに使い魔の注意はこちらに向き、狙い通りに追ってきている。
 
 館内の少女は何も知らずに片付けを続け、黒猫もどこかへ逃げた。
 人ひとりの命が救われた。これでよかったんだ。後悔はしていない。
 そう思おうとしたが――。

 無理だった。
 後悔ならしている。投げた瞬間に。
 そして今も。何故、あんな馬鹿なことを、と。

 だが、半分。もう半分は、これしかなかったという自己弁護。
 それに、まどかに後悔している暇はなかった。

 今は、これからどうするかが最優先事項だ。
 落ち着いて考えられる精神状態ではなかったが、それでも。
絶対に思考を放棄してはならない。考えなければ、待っているのは絶対の死。
 
 故に、走りながら必死に知恵を絞る。
 マミは今頃、約束の店に着いているだろうか。それとも、まだ向かっているだろうか。
アドレスを交換していないので、さやかを介して連絡がついたところで戻るまで数十分かかる。
 鋼牙に至っては、どこにいるのか見当もつかない。


 やはり、頼れるとしたら、ほむらしかいない。
 自ら進んで危機に陥っておきながら、都合良く頼る自分を、彼女は厳しく非難するだろう。
軽蔑されても、罵られても文句は言えない。本当に、心から申し訳ないと思う。

 それでも助けを求めれば無碍にはしないはず。
まどか自身にも、そんな卑怯な打算が胸の奥に潜んでいる可能性を否定しきれなかった。

――ごめんね、ほむらちゃん……。
でも、お願い。今だけは……――

 頭を振り、自責の念を振り切って、次の段階に進む。その間も、決して足は止めない。 
 では、ほむらに縋るにはどうすればいいか。
 思い返してみると、自分は校門への最短ルートからは外れていない。
黒猫との戯れにしたって、そんなには移動していないし、誰か後ろを通れば気付いたと思う。

 つまり、ほむらはまだ校門の外には出ていない。裏門などから出ていない限りは。
 なるべくルートを外れないように走りながら、ほむらを見つけられればよし。
もしかしたらもしかして、使い魔を撒けるかもしれない。
 
 確実どころか高いとも言えない可能性だが、まどかには賭けるより他になかった。
 職員室にでも逃げ込むという手もあるが、これは最後の手段。
使い魔が諦めなければ、無関係な他人が多く巻き込まれる。諦めたとしても、代わりに誰かが犠牲になる。 
それは絶対に避けたかった。

 まどかは真っ直ぐには走らず、蛇行したり、かと思えば真横に走ったりした。
使い魔から距離を取るには非効率だが、これには理由がある。
 ひとつは校舎内に入らない為。
明かりが消えていたり、施錠されている扉もある校内よりは、外の方がまだ走りやすい。


 そして、もうひとつ。
 僅かでも明るい場所を選んでいたからだった。
 月は陰っているとはいえ、まだ仄かな光は差しているし、ところどころ電灯も設置されている。
電灯の下を潜った時、疑惑は確信に変わった。

――あの使い魔……やっぱり光が嫌いなんだ。
光の近くでは動きが遅くなってる。
私なんかに追い付けないのも、月光や学校の光で鈍くなってるのかも――

 これからは暗くなる一方だ。
 すなわち、この月がまどかの生命線。
 月が完全に雲に隠れてしまわないよう、神に祈りたい気分だった。

 それから数分、校舎を三周はしただろうか。
 まどかの体力は限界に近づいていた。
最初のうちは足を溜め、呼吸を整える余裕もあったが、月は祈りを裏切るかのように、雲間に隠れてしまった。

 使い魔の動きが、にわかに機敏になる。
もはやなりふり構っていられず、全力疾走でやっと距離を保てる程度。

「はぁ……はぁ……」

 足が、胸が、脇腹が痛い。息が苦しい。マラソンでも、ここまで苦しくなかった。
 それでも走りを止められない。ペースを落とすことさえ、死に繋がる。
 霞みがかった視界。それが突然に揺れて地面が迫り、

「あぅっ!」

 まどかは転倒した。


 ただでさえ足下が暗いところに、前と上ばかりに注意がいって、ちょっとした段差に気付けなかった。
結果、つまずき、地面を滑った。
 
 終わった。もう逃げられない。自分はここで死ぬ。
 弱気な考えが脳裏を過ぎる。
 しかし――。

 次の瞬間には、まどかは豪然と身を起こしていた。
ついた両手を掻くように後ろに払い、同時に両足で地面を思いっきり蹴る。
 完全に立ち上がるのももどかしく、低い姿勢からクラウチングスタートに近い形で、再び走り出した。

 倒れていた時間は三秒にも満たなかっただろう。
 走りながら状態を確かめる。
 左足首に違和感がある。右の膝が擦りむけて痛い。手のひらには血が滲んでいた。

――でも……まだ行ける。走れる!

 にもかかわらず、目の輝きは未だ失われていない。
 一昨日のさやかの怪我に比べれば、全然軽い。この程度でへこたれていては、さやかに笑われる。
 そうやって精一杯、己を鼓舞する。

 これまでは、マミや鋼牙の背中に隠れていれば、彼らがなんとかしてくれた。
 今は違う。
 助けを求めるのは同じでも、そこまでは自らの力だけで生き残らなければ。
 
 生への渇望が、死の恐怖が、まどかを衝き動かしていた。
 倒れていた分の距離は詰められたが、走り出してからの差は縮まっていない。
変わらない速度を保てている証拠だ。


 既に残り少ない体力もほぼ使い果たし、気力で足を動かしている状態。
 それでも、まどかは希望を捨てていなかった。
自分が、自分で思うよりも強かったこと。少しだけ自信を持てる、勇気が湧いてくる気がした。
 
 もう少し走れば、また電灯の下に出られる。
 光と、僅かな安心。そして今度こそという希望を求めて、角を曲がった先。

 そこには、厚く高い壁が立ちはだかっていた。

「え……」

 サァッ――と、まどかの表情から血の気が引いていく。
 火照った身体と汗が一瞬にして冷える気がした。
 
「嘘……なんで……!?」

 右も左も、通り抜ける隙間などない完全な行き止まり。
 目で見たものが信じられず、ぺたぺた手で触れて確かめる。紛れもなく本物の壁だ。
 これは結界の中なのか。それとも使い魔の幻覚か。いや、そのどれでもない。

 導き出されるのは、ごく単純な結論。
 道を、間違えた。

 ありふれた、普段なら他愛のない失敗。
だが、絶え間なく判断を迫られ、ひとつひとつの選択が生死を分ける現状では致命的だ。最悪と言っていい。

 同じ場所でも、昼と夜では景色が異なる。
慣れ親しんだつもりでも、曲がる場所を一本間違えるくらいはある。
 加えて、転んだことの焦りと、体勢が変わったことにより、道を誤った。


 しまった、と振り向いた時には手遅れだった。
 暗闇でも輪郭はわかる、黒い何かが角を曲がったところで蠢いている。
引き返すのは不可能。

 まどかは、前に活路を求めるしかなかった。
打つ手がないと認めれば、それは死を受け入れるのと同じだから。

 見上げる先には、5メートルはある高い壁。向こう側は見えない。
 この向こうは、もう敷地外だったろうか。
都合良く通行人は期待できないし、だいいち誰に、どう言って助けを求めればいいのだろう。
普通の人間は使い魔に抗えない。視認すらできないのに。

 壁は特に出っ張りはなく、場所によっては指が掛かるかどうか。
運動力に優れた男子ならいざ知らず、体力の尽きかけた女子に登れる壁ではない。
 侵入者を防いでくれる壁が、今は逃亡を阻む絶望の檻に思えた。
 
――諦めちゃダメだ。考えるんだ……考えなきゃ……。

 その間にも、使い魔はじりじり距離を縮め、それだけで集中を乱される。
 まどかを完全に追い詰めているにもかかわらず、使い魔は一気に襲いかかりはしない。
 なぶっているつもりか。いや、おそらく違う。

 使い魔の姿が、はっきりと見える。
 雲の切れ間から再び顔を覗かせた月のせいだ。淡い月光が辺りを照らし始めている。
 しかし動きを鈍らせる程度で、止めるには至らない。 


 今さら出てきても、どうにもならないのに。
 現状を打破する妙案は、そう都合良く浮かんではくれなかった。
 せめて抵抗を試みようにも、石ころひとつ落ちていない。
まどかはただ、恨めしげに月を見上げるしかできなかった。

 使い魔は、どうやって人を喰うんだろう。
 丸呑みにされるのか。バリバリ齧られるのか。ドロドロに溶かされるのか。
 まどかが壁に手を着けたまま横に動くと、使い魔も合わせて動く。当然、何の意味もない。

 こんなことなら、マミに聞かされた話を、もっと噛み締めるべきだった。
 ほむらの忠告を肝に銘じるべきだった。
 後悔しても、もう遅い。偶然は二度も続かない。助けは来ない。
 キュゥべえすら来てくれない。今なら契約だって、一も二もなく頷いていただろうに。

「ほむらちゃん……マミさん……!」

 助けを求める祈りの声さえも、

「……仁美ちゃん、さやかちゃん、タツヤ、パパ、ママ……」

 やがて力を失い、目蓋に浮かぶ親しい人たちへの惜別に変わる。
 絶望が、心を蝕んでいく。
 涙が零れそうになる。
 これまで両足を支えてきた意志が、ついに消える寸前。

 後頭部を着けた背後の壁から、音が聴こえた。
 それが、誰かが壁を蹴ったのだと認識したと同時。
 月光を影が遮った。
 まだ丸い月を真っ二つに分かったのは確かに人間。


 見上げたまどかは、目を見張った。
 逆光で顔は窺えないが、その姿に見覚えがあった。

 夜風に翻る白のロングコート。
 左手に握られている赤い鞘。
 抜き放たれた刃は、月光に映えて金色に輝いていた。

 まどかは、その人物を知っていた。
 彼が剣を頭上に構えて落ちてくる。
 時間にすれば一秒にも満たなかったが、その姿は鮮烈な印象と共に、まどかに刻み込まれた。

――あぁ、……きっと、さやかちゃんもこうだったんだ……。

 そして、次の瞬間。
 まどかの眼に映ったのは、彼の広い背中。
風切り音――次いで、土を踏み締める音と断末魔。

 剣士の顔を、改めて確認する。
 魔戒騎士、冴島鋼牙。
 一昨日と昨日、さやかやマミを助け、まどかの命も守ってくれた恩人だった。

「怪我はないか?」

「冴島さん……どうして……」

 振り向く鋼牙にまどかが覚えたのは、感謝よりも安堵よりも、まず戸惑い。
 こんな嘘みたいな偶然――いや奇跡が起こり得たのが、何より不思議だった。
 鋼牙は答えない。沈黙を保ったまま、こちらを見ている。


「はぁ~っ……」

 足から力が抜けて、壁にもたれるようにして、へたり込む。
助かったという実感が遅れて湧き上がってきたのだ。
 ふと、鋼牙が微かに口元を緩めた気がしたが、
呼吸と心臓の鼓動を落ち着かせるのに、それどころではなかった。

「まどか!」

「ほむらちゃん……」

 そこへ、ほむらが駆けつけてきた。
 彼女は鋼牙を一瞥して何か察したように歩調を落としたが、
声はかけずに、まどかの前で膝をついた。

「どうして、ここに……」

「あなたの鞄、それと猫が……いや、それよりも」

 ほむらは言葉を切ると、まどかの瞳を鋭く見据えた。

「話して。何があったの?」

 声は落ち着いていても、眼には有無を言わせぬ迫力があった。
 まどかは言われるがまま、ほむらと鋼牙に事のあらましを話した。
ほむらの表情が徐々に険しく、渋くなっていくのを感じても。


 圧倒されたからじゃない。責任だと思った。
愚かさのつけを少しでも払うには、正直に二人に説明すべきだと。
 まどかが話し終えると、

「あなたって人は…………」

 ほむらは息を吐いた。長く、深く。
 呆れと驚きが半々か、やや呆れが勝っているような溜息。
その表情は硬く、感情は読めないが、どうやら怒っている。

「言ったでしょう。あなたは運が良かっただけ。二度目、三度目があるとは限らないと」

「うん……ごめん」

 しゅんと項垂れるまどか。
 全面的に自分が悪かったと認める。他に弁明のしようもない。
 それはそれで、謝るだけで逃げようとしているみたいで、居心地が悪かったが。

 ちらりと鋼牙を見遣る。彼は、ほむら以上に何を考えているのか謎だった。
 暫くして、ほむらの視線に気付く。鋼牙を見つめていたのが、ばれたようだ。
 また怒られるかと思いきや、ほむらが次に向いたのは、意外にも鋼牙だった。

「そう、普通ならあり得ない。でも、あなたは来た。なら……これは偶然じゃないのね?」

ここまで
もう少しと言って一週間になってしまいました
次はできるだけ早く


>だが、まどかは重ねて問いはしなかった。

コピペミス
以上の文が、>>374>>375の間に入ります

乙!

暗闇の魔女など黄金騎士にはベリーイージーモード……と言いたい所だが…!?

乙です

来週か

一度ペースが落ちると取り戻すのが大変
もう少しかかりそうです

この調子で本当に終わるの?
このペースで3話終わるまでどれくらいかかるんだ
細かい所にまで描写をさきすぎなんじゃない?
もう少し減らして話の展開を早くした方がいいんじゃね

>>383は妥当な意見。

でも>>1はこのままでイイ!
ここに来る迄、このスタイルで徹底して来たから。

自分のペースで頑張って。

話にちっとも進展が見られないのがなあ。
>>1も言っていたけど紅蓮の森も舞台にするんだよね?
そこに行くまで後何年かかるのよ。このペースで。

2年くらいやってるのに未だに魔戒騎士達が「まどか☆マギカ」に与える影響が見えてこないのがなあ…

別に>>1の思うが侭やれば良い、ここは>>1のスレなんだし


つまり、>>1がんばれってことだ

SSは書きたいこと書くためにあるんだし、読みたいから読むもんだ
感想はともかく、書き方やペースについて言及すんのは分を過ぎてるっしょ
急かさず気長に待ってるのが吉

同意。要は未完にさえならなければ良い。後、定期的に生存報告をしてくれれば。(個人的な意見だけど)

ふと気になったんだが、魔戒法師兼魔法少女達もやはり悲しい末路を辿ったんだろうか・・・。
魔戒法師として幼い頃からの修行はしているだろうから、並の魔法少女より精神力は比較的強いほうだと思うが・・。
(実際、QB曰くみんな優秀で強力な魔法少女だったらしいし。まあ、ホラーに対抗する術も身につけているから当然といえ
 ば当然だが。)

>>389
精神的には強いかもしれないけど普通の魔法少女以上に人間の「黒い」ところを目にする機会が多そうだからなぁ……

明日こそ投下したいところ
大した量ではありませんが

ペースについては、まったく面目ありません
話の途中からだと多少バランスが悪いかもですが、大事な場面を除いてなるべく軽く流すようにします

と言いつつ前にもこんなことを書いているのですが、どうも私の悪い癖のようで
なんとかしたいとは思っているので、探り探りやってみます

ゆっくりやるからここを使うんだろうし
気にせず描きたいように描いてくれたら嬉しい

いつでも待ってる

好きなように書けばいいさ


「そうだ。校門で待っていたが、妙な気配と物音を感じたんでな」

『まさか学校から出もしないうちに使い魔に遭うとは想定外だったぜ。まったく、無茶なお嬢ちゃんだ』

 鋼牙とザルバ、二人とも責めはしなかったが、まどかはしゅんとして黙った。
 何故、彼が自分を待っていたのか。それすらも、訊き返せなかった。
ただでさえ怖いのに、昨夜の件もあって、彼の前では萎縮してしまうのだ。

「だが、とりあえずは必要なくなったようだ」

 そう言うやいなや、立ち去ろうとする鋼牙。

「待って!」

 そこへ、ほむらが追い縋った。
 コートの袖を摘まむが、歩みを阻むには至らない。
それでも、鋼牙は意図を察したのか足を止めた。

「まだ話は終わっていないわ。それだけじゃ答えになってない」

 鋼牙が振り向き、視線が交錯する。
 張り詰めた空気が流れるが、

「――――」

 鋼牙が何か囁くと、ほむらの手はするりと離れた。
 囁くと言っても、耳元で声を潜めたのではない。ただ、まどかに聴こえないように抑えたのは間違いなかった。
 そして、ほむらは目を伏せたまま立ち尽くし、鋼牙は振り返らずに歩き去った。

 
 まどかはというと、相変わらず、へたり込んでいた。
 鋼牙が校門の前にいた理由。気掛かりだったが、とても詰問はできなかった。
彼が話す必要がないと考えたなら、その判断は誤りではないのだろう。

 それに頼んだところで、きっと鋼牙は決定を変えない。
彼に何かを強制できるとも、影響を与えられるとも思えなかった。

 それくらい、彼と自分との間には隔たりがある。
 言い知れぬ無力感が胸に押し寄せ、まどかは暫く立ち上がることができずにいた。



「(それでそれで? それからどうしたの!?)」

「(それからは……ほむらちゃんが家の近くまで送ってくれて、それで終わり)」

 声に出さんばかりの勢いで続きを促すさやかに、まどかは戸惑いながら答えた。
 呆気ない顛末に、さやかは少々拍子抜けした様子。
 
「(そっか……けどまぁ、まどかが無事で良かったよ)」

「(うん……ありがと、さやかちゃん)」

 さやかが、最初にそう言ってくれたことが嬉しかった。涙が出そうなくらいに。
 日常に戻ってこれたのだと、改めて実感する。昨夜、家に帰り着いて家族に迎えられた時もそうだった。
 これまでで最も強烈に死を身近に感じ、一度は覚悟しただけに、喜びもひとしおだった。


 と、まどかは安堵したが、さやかは結果オーライと解放してはくれない。

「(で、も! いくら何でも無茶し過ぎ! 冴島さんがいてくれたからよかったものの……)」

『そうだよ、まどか。たとえ使い魔だって、力を持たない君には立派な脅威なんだ。
立ち向かえる相手じゃないよ』

 二人からのお説教。昨夜と同様に、まどかは縮こまる。もとより反論などできるはずもなかったが。

「(それは……わかってはいたんだけど、つい……)」

「(ついじゃないよ、もー。
まどかってば、誰かの為となると見境ないよね。ショッピングモールの時だって)」

「(あっ……)」

――あなたがあの場に行かなければ、美樹さやかも行かなかった。
結果だけ見れば、あなたは彼女を危険に巻き込んだとも言える――

 ほむらの言葉が蘇る。
 無茶は自分だけの責任じゃない。誰かを巻き込んだ挙句、死なせるかもしれない。
 それは、家族か友人か。まったくの他人でも、そんな重みには耐えられそうにない。

「(ごめんなさい……。ほんとに、本当に反省してるから。冴島さんにも、ほむらちゃんにも迷惑かけちゃって……)」

 心から思う。助けてくれた鋼牙はもちろん、心配して駆けつけてくれたほむらにも。
 でも、また同じ状況になったら、絶対やらないと断言できるだろうか?
 申し訳ないが、自信はなかった。


 思いのほか消沈しているまどかを気遣ってか、さやかは明るい声で言う。

「(ま、冴島さんなら使い魔くらい楽勝だろうし、そこまで深刻にならなくたっていいんじゃない?
そんなに怒ってないと思うけど)」

 彼らの力量なら、使い魔など一撃で葬り去れる程度の雑魚に過ぎないのかもしれない。
だが、それでいいのだろうか。救われる立場に、あぐらをかいたままで。
 言ったところで仕方ないのはわかっている。その雑魚にすら手も足も出ないのが、まどかなのだ。
 
「(それに転校生はほら、あいつだって魔法少女なんだし、魔女や使い魔を倒すのが役目なんだから。
いいじゃん、人助けなんだし。気にすることなんてないよ)」

 やはり、ほむらに対する悪感情に変化はないらしい。
ほむらの迷惑など気にするなと言うさやかに、どう返していいかわからず、まどかは沈黙で答えた。

「(結果的にでも、その居残りしてた娘の命をまどかは助けたんだから。
助けたいって想いだけは間違ってないと、あたしは思うよ)」

 そう言ってくれて、少し報われた気がした。
 保健室での、ほむらとの会話。
その前半――ほむらが無理に自分を連れて逃げたことを、まどかはさやかに伏せた。
やはり上手く説明できる気がしなかったからだ。
 
 それでも、こうして親身に接してくれる。
 だからこそ、三日前の夜のことに触れるのが怖かった。
ぎこちない関係が、今度こそ決裂に繋がるのではないかと。

 さやかの口から、ショッピングモールの話が出た時は内心で怯えていた。
彼女のことだから、深く考えずに口にしたのだろうが。 


 まどかは、真実を隠すことに若干の後ろめたさを感じつつ、一言だけ。

「(さやかちゃん、私ね……わかった気がする。さやかちゃんの気持ち)」

「(え? あたしの気持ちって何が?)」

「(う~ん……ごめん、やっぱりうまく言えないや)」

 いや、実はわかっている。
 あの夜、さやかが抱いた鋼牙への憧れだ。

――昨夜、月光に照らされた冴島さんを見た瞬間、私にも理解できた。
さやかちゃんに強く共感した――

 あの夜のことは口にしたくない。ただ、単純に言葉にできないのも本当だった。
少なくとも、さやかの純粋な憧れとは別物だろう。
 
――けど、同時にマミさんの気持ちにも。


 どんなに助けたいと願っても、力がなければ無意味。
 それが悔しくて、もどかしくて、辛かった。
 キュゥべえと契約することで力が得られるなら、手を伸ばしてしまいそうなほどに。

 何もしてないまどかでさえ歯痒い。
いわんや人を救う為に戦い続け、努力を重ねてきたマミなら、彼の眩しさに揺れないはずがない。

 死力を尽くしてホラーと戦っても守りたい人を守れず、
本来の敵である魔女との戦いでも部外者の鋼牙に助けられた。
 これまでの自分が否定されたと感じても不思議はない。

 マミの鋼牙に対する複雑な感情の一端には、そんな背景もあるのかもしれなかった。
 更に、そこに追い討ちをかける何かがあれば、マミが酷く憔悴していたのも頷ける。
 もっとも、すべては勝手な想像に過ぎないのだが。
 
 仮に想像通りだとしても、自分がマミに何をしてやれるのか。
 答えを求めるように、まどかは天井を仰いだ。
 

ここまで
昨夜は推敲しながら寝落ちしてしまいました
次はそんなややこしい心理描写もないので早めに

↓ドゴン! プシュー↑

M A D O

乙でした。鋼牙が校門の前にいた理由が気になりますね・・・。

>>390
なるほど。そういう見方もあるか・・。それでソウルジェムが黒く染まってしまって・・・という可能性も十分にあるな。しかし、仮にそうだとするとある意味、普通の魔法少女より悲惨な気がするなあ。(契約する前から「守りし者」としての使命を与えられている分、余計に)

>>402
ひょっとして3期の牙狼が元ネタ? 乙です。

>>1乙ー

>>403
「少女」だとねぇ。
たしかに普通よりも絶望しそうな……
「守りし者」からその正反対の存在になっちゃうんだし……

どっかの豆腐メンタルじゃあるまいし
それで絶望するなら最初から魔戒法師としてやっていけないだろ

確かに、ホラーと戦う以上は人間の黒い部分を目にするのは避けられないから、その辺は覚悟していると思うな。
もっともまだまだ「少女」だから、邪美や烈花のような成熟した魔戒法師に比べたら脆いだろうけど。
(莉杏と比べてどうかは分からんが・・・。ギリギリ彼女の方が強いような気がするけど)
まあ、そもそも彼女達がどういう思いや意図があってQBと契約したのかも謎だけどね。
(契約したこと、周りの人間には内緒にしてたのかなあ?)

おっとバラゴさんの悪口はそれまでだ

絶望云々以前に
魔法少女と魔戒法師の二足のわらじってすげえ大変そう

謎といえば元々、見滝原を担当していた魔戒騎士が誰に消されたのかというのも十分、謎な気がする・・。
大した意味はないかもしれんが。(今の所は魔女かホラーしか該当者いない・・・かな?)

あるとしたら、おりキリとか仮面の魔戒法師とか

>>406
もし魔戒法師の修行中の少女からQBと契約した者が出て、魔法少女の実態や魔女との関係が番犬所に知れたら……魔物として騎士の討伐対象になってしまうのでは。「血に染まりし者」への対応から見ても容赦は無い。

本作でほむらの発言の通り、正義の味方は魔法少女の味方になってくれるとは限らないかも……




いや、やっぱ阿門法師やレオのような人が魔法少女の救済策を発明してくれちゃうかな!?
しかる後、契約でラクして魔翌力を得ようとした不届きな娘は我雷法師のお説教部屋行きである!

>>409
ほむらが今まで繰り返し見てきた世界でホラーを目にしたことがないとすると、その魔戒騎士がちゃんとゲートを封じていたからなのかなあ・・・。彼も(大部分の)魔法少女達と同様に、いずれは報われない末路を辿ることに・・・ていうのはちと考えすぎか。

遅れていますが、もう少し

>>412
「今までの世界」に魔戒騎士やホラーが存在したかどうかも確定じゃ無い気も、なんて

>>412
難しく考えなくても、>>414で言われている通り、「この世界」においては、魔戒騎士やホラーというのが存在するという解釈でいいんじゃない?
「より更に絶望を加速させる存在」と「より大きな希望をもたらす存在」が同時期に生じたということで。
(つまり、場合によってはホラーと魔戒騎士のどちらかしか存在しない世界もありえた。)

いつもの事だけどさあ。。
>>1が一言だけど今後の予定投下してるのに、ガン無視して雑談は正直どうなの?

あ、>>1さん、気長にお待ちしてますので。

何度も同じ事を言われても同じことを繰り返す
厨坊や消坊みたいな奴らが多いんだな

>>1さん
ペースに関してはお気になさらず、ご自分のペースで頑張ってください。
雑談に関しては自重します。申し訳ない。

悪かった。いくら何でも限度があったな。自粛するよ。

前に夏は調子が悪いみたいなことを書いてたっけ

まずは生存報告のみ
なかなか時間が取れずにいます

私としては雑談は別に構いませんのでお気遣いなく
一言程度でレスをいただいても、却って申し訳ないので

>>420
昨年からエアコンのない環境にPCが移ったので
あまり暑いと、自分はともかくそっちが心配なので

ついに劇場版BD発売したね
魔翌竜のBDは9/4だっけ
楽しみだ

あまり間が開き過ぎるのもアレなので、
2.3日中には投下したいところ
RRも蒼哭も地元で上映したのに、桃幻はしてくれませんでした……


 放課後、まどかとさやかは二人でマミの自宅に向かっていた。それぞれ手には買い物袋を提げている。
 昨日、マミは夜になってからも店で命を待っていたはず。

 もし欠席の理由が雨に濡れたことでの体調不良なら、独り暮らしのマミが心配だ。
迷惑かもしれないが、お見舞いくらいはしたかった。それに用なら他にもある。

 道中、当たり障りのない会話がほとんどだったが、ひとつだけ深刻にならざるを得ない話題があった。

「仁美ちゃん、また寂しそうにしてたね……」

「うん……今日は仁美も習い事があるって言ってたし、昨日みたいに怒ったりはしなかったけどさ」

 一緒に帰れないのは、今日で三日連続。
 昨日一昨日と違って、今日は理由を話せたが、仁美からすれば疎外感は変わらないだろう。
欠席した知り合いの見舞いだから不満を表さなかっただけ。

「私たち、これでいいのかな……」

 まどかが言った。
 まどかは明言を避けたが、言わんとするところは、さやかにも伝わっていた。
 これから周囲で何が起こるのか。そもそも自分がどうしたいのか。
 何もわからないから、何ひとつ決められない。

 仁美との間に溝はできるし、日々の勉強や生活もなかなか手につかない。
 未来どころか、明日さえ暗闇に覆われて見えない。
 そんな漠然とした不安。


「大丈夫。そのうち落ち着くって。きっと、もう少しの辛抱」

「もう少しって、どれくらい?」

「う~ん……わかんないよ、そんなこと。わかんないけどさ……たぶん一ヶ月もあれば」

 自分に言い聞かせるように呟く。
 この街で、大きな何かが起きようとしているのは確かだ。或いは、もう起きているのか。
 だが、ホラーも魔女も自分の手には余る。あれらは鋼牙やマミのような超人の領分だ。

 ただ、キュゥべえが何でもひとつだけ叶えると言う願い事。
これには心惹かれる理由があったが、それだって急ぎ結論を出す必要はないとマミは言った。
口に出した期間には、何の根拠もなかった。
 
 結局、中途半端なのだ。
 マミのように完全に非日常の側に立つでもなく、魔法少女という選択肢を切り捨てて日常に戻るでもなく。
日常と非日常に片足ずつ踏み入れたまま、あっちこっちに揺れながら歩いているよう。
 だから迷う。だから不安になる。こればかりは鋼牙にも頼れない。

 時間の解決に任せるというのは、その実、選択と思考と努力を放棄しているに等しい。
しかし、さやかは他に方法がわからなかった。今はただ、なるようになれ、と。
息を潜めて、嵐が通り過ぎるのを待つように。
 
「え~っと、あそこで合ってたっけ。マミさんのマンション」

 ちょうど会話も途切れた頃、目的地に到着。
さやかは道に自信がなかったが、まどかが覚えていたので助かった。
 階段を上がり、呼び鈴を鳴らす。


「反応ないなぁ……」

「家にいないのか……ひょっとしたら寝てるのかも」

 念の為、もう一度。
 それから数十秒ほど待っていると、ゆっくりドアが開いた。

「鹿目さん、それに美樹さんも……どうして?」

 顔を覗かせたのは、パジャマ姿のマミ。
来訪者の姿は中から窺っていたのだろう。彼女は驚きと共に二人を迎えた。

「あの……キュゥべえがマミさん欠席してるって言ったから……。
迷惑かと思ったんですけど、マミさん一人暮らしだから心配で」

「なんで、お見舞いに来ました。でも、その格好、やっぱり昨日の雨で? 大丈夫なの、マミさん」

 マミは面食らっていたが、すぐに微笑みで返した。

「ううん。大したことないのよ。ただ、ちょっと疲れが溜まってたから大事を取っただけ。
とりあえず、ここで立ち話もなんだし、上がってくれる?」

「はい。お邪魔します」

 マミに促され、部屋に上がる。
 リビングは相変わらず物寂しかったが、畳まれていない衣服や、教科書やノートなどが散らばっており、
一昨日に比べると僅かながら雑然としていた。
 体調が悪かったのだろうが、にしてもらしくない。まるでマミの心が乱れているみたいだ。ふと、さやかは思った。


「あ……ごめんなさい。片付けが行き届いてなくって。今、お茶入れるから待っててちょうだい」

「いえ、そんなお構いなく」

「いいってば、お茶なんて。マミさん病人なんだから寝てなきゃ」

 お見舞いに来たのに、歓待されては立場がない。
 二人に揃って止められ、マミは渋々と腰を下ろした。 

「もう、大げさね。本当に大したことないのよ。ちょっと調子が悪かっただけ」

「それなんだけどさ、魔法少女でも病気になるの?」

 マミが欠席したと聞かされた時から気になっていた。
あんな過酷な戦闘にも耐える魔法少女の肉体も、病に屈することがあるのだろうか。
 さやかの質問に、マミは思案顔で視線を彷徨わせる。

「私は魔法少女になってから大病した経験はないけど……おそらく、ないとは言えないわ。
無理をすれば翌日に疲れを残し、時には不調も来す。もちろん、普通の人より耐性はあるでしょうけど」

「でも、回復の魔法ってあるんですよね? 結果的にはないと同じじゃないんですか?」

「あれも誰でも使えるものではないし、何でも治せるものでもないから。
外傷はともかく、病気や障害となるとどうかしら……。
私も、今はグリーフシードの手持ちがないから控えてるの。
もともと、戦い以外で魔法に頼るのは好きではないし」

 まどかに対するマミの答えに、さやかは内心がっかりしていた。
マミに責任はないし、まどかの質問で話が逸れてしまっただけなのだが、それでも――。


 幼馴染の上条恭介の手を、魔法で治療してもらえる望みは薄い。
少なくとも、マミには自信がないようだ。
 期待していた訳でもないのに、落胆を抑えられなかった。
 
「それもそっか。魔法少女だって人間だもんね」

 だから、動揺を隠すように努めて明るく、さやかは言った。
 何気ない一言だった。
 しかし、

「えっ……」

 と、突然マミが肩を震わせ、絶句した。
 
「え、ええ。そうね……」

 言葉に詰まりつつ目を伏せた、その表情は青ざめている。
 見るからに尋常ではない。にも関わらず、さやかは見逃してしまった。
いや、見ながら深く気に留めなかった。

 マミが孤独に抱えている悩みのサインも。
彼女が立ち直るまでの十数秒、まどかが怪訝そうにそれを見つめていたことも。
 この時はただ、自分の心の整理しか頭になかった。
 
 それから何となく会話が止まり、さやかは重くなった空気を変えようと話題を変えた。

「あ、そうそう。マミさん、さっきグリーフシードがないって言ったよね」

「ええ、言ったけど?」

 頷くマミに、さやかは鞄から黒い宝石のような物体を取り出す。


「これ、一昨日の魔女が落としたグリーフシード。
冴島さんに渡されてずっと預かってたんだけど、昨日は渡しそびれちゃったから」

「でも、これは……」

 自分の手柄じゃない、と。
 一昨日もマミは受け取りを渋った。プライド――と言うよりも、意地だろうか。
彼女の鋼牙に対する複雑な心情は、さやかには窺い知れないが、それはこの際あまり重要ではなかった。

「あたしが持ってても何の役にも立たないしさ。
それに、こいつから魔女が孵化するって聞いたらおっかなくって。ね、お願い」

「……わかったわ。それじゃ、ありがたくもらっておくわね」

 両手を合わせて頼みこむと、マミは根負けといった態度で受け取った。
 それでいいと思う。これは彼女に絶対必要なもので、彼女が持ってこそ相応しい。
 もちろん、口に出した言葉も嘘ではないが。

「よかった。あ、それとこれも」

 さやかが目配せすると、まどかが買い物袋を広げた。
 中からは、みかんや桃などの果肉入りのゼリー。そして数種類のレトルトお粥。

「あの、お見舞いに何か持って行こうと思ったんですけど、迷っちゃって。だから、いろいろ買ってきました。
休んだ理由がわからなかったから余計なお世話かもって不安でしたけど、良かったみたいです」

「これ……私に?」

「いやぁ、お手軽なものばっかだけど、独り暮らしなら案外こういうのの方がいいのかなーって。
果物とかだと剥くの面倒臭いかもしれないし、これなら好きな時に食べれるでしょ」


「もう、さやかちゃんってば。それ言ったの私だよ」

「あははは。そうだったっけ――って、マミさん!?」

 さやかが驚きの声を上げる。見ると、マミは両目から大粒の涙を零していた。
 その綺麗な瞳は開かれたまま、声も出さず、表情も歪んでいないのに。
 
「ど、どうしたんですか!?」

「ひょっとして、どっか苦しいとかじゃ……!」

 二人でオロオロと慌てふためいていると、やっとマミは自分が泣いていることに気付いたらしい。
 涙を拭い、濡れた手を不思議そうに見つめた後、はにかんだ。

「うぅん、違うの。ごめんなさい、嬉しいなって思ったら勝手に涙が溢れちゃって」

「いや、そんな……財布の小銭で買える程度で大したもんじゃないっすよ」

「そうかもしれない。でも、鹿目さんと美樹さんの気持ちは確かに伝わったもの。
ありがとう……これも大切に頂くわね」

 まだ涙を流しながら微笑むマミに、さやかは照れ臭そうに頬を掻いて、まどかと顔を見合わせる。
どうやら、まどかも同じだったのか、お互い同時に口元を綻ばせた。

 戦闘中の凛々しい立ち姿とは異なり、目の前の先輩がか弱く映る。
ある意味、身も心も鉄でできていそうな鋼牙とは真逆。
 出会った初日は、遥か高みに見上げる存在だと思ったが、
そのイメージは二日目、三日目を経て徐々に変わっていた。


 そして今日、彼女は歴戦の戦士であっても、その心は自分たちとひとつしか変わらない少女なのだと気付く。
ここ数日はそれに苛立つこともあったが、今は不思議と嬉しく、愛おしく感じられた。

 それから暫し、マミは感涙にむせび泣いていた。
さやかとまどかは温かくも気恥かしい思いで見守っていたが、やがて泣き止んだ彼女は言った。

「いけない、もうこんな時間……。鹿目さん、美樹さん、そろそろ帰らないと家に着く頃には真っ暗よ」

 時計を確認してハッとなる。
 まだ訪ねて十分かそこらしか経っていないと思っていたが、
あれこれ買い物に悩んで費やした時間が長かったのか。

「でも、マミさん大丈夫ですか? お邪魔してる私たちが訊くのも変ですけど……」

「大丈夫よ。本当に少し調子が悪かっただけで、大したことないんだから」

 まどかはまだ心配そうにしていたが、マミに急かされて席を立つ。さやかも従って玄関に移動した。

「じゃあ、そろそろお暇しますね。早く元気になってください」

「二人とも、今日はありがとう。せっかく来てくれたのに、おもてなしもできなくてごめんなさい」

「お大事に、マミさん。また明日」

 挨拶をして、ドアを閉める。

「ええ、また明日……」

 去り際の一瞬、ドアの隙間から見えたマミは儚く、とても哀しげだった。


 * 

 それから、さやかはまどかと別れ、家に帰り、晩ご飯を食べて、お風呂に入り、眠りに就く。
 この日は珍しく危険に巻き込まれず、周囲で妖しい気配が蠢きもせず、平穏無事に一日が終わった。
 もっとも、今宵も街のどこかで誰かが魔女の虜となり、ホラーの餌食となったのかもしれないが。
そんなことをベッドの中で考えてしまい、怖くなって目が冴える。

「大丈夫だよね、きっと……。冴島さんだっているんだから」

 光り輝く黄金の鎧を思い浮かべ、少し安堵する。
 こうやってすぐ忘れられるのは、まだ心のどこかで危険が遠いものと感じているからだろう。
他ならぬ自分自身が危機に晒されたというのに。
 もっと明確に、近しい人間に犠牲が出れば考えも変わるだろうか――。

 さやかは頭を強く振り、今度こそ忘れることにした。
 次に思い出すのは、別れ際のマミの様子。
 あの時、「また明日」と言って別れた。

 「また明日」と言って次の日も無事に会えることが、どれほど幸運なことか。
 こんな自分でも、今は知っているつもりだ。
 だから、ささやかな祈りを込めて、その言葉を口にした。
 また明日、マミに会えますようにと。

 しかし、その翌日もマミが学校に来ることはなかった。

ここまで
かなり遅くなってしまいました
もう少しでクライマックスの予定

>>1
今思うとマミさんは魔法少女サイドで唯一鋼牙にも零にも面識があるんだっけか。
さやかも零に会ってはいるけど名前まではまだ知らないし。このことは後々なにか効いてくるのかな・・・?と勝手な推測をしてみる。

乙でした。3話がどういう結末を迎えるのかが楽しみです。

乙です
果たしてマミがマミってしまうのかどうか
さやかの鋼牙観はやはり過剰で、いつか180度反転しそう
登場人物中では、まどかくらいが一番鋼牙を正しく捉えてそうな気もする

まあ一番の理解者はザルバさんですけれどね

それは当然でしょ
ここで言ってるのはクロスした側のキャラでという意味

ザルバは鋼牙がコミュ障時代から面倒見てるもんな
そりゃ人間出来るわ、ホラーだけど

このところ毎度で申し訳ありませんが
猛暑でPC共々へたっています
早朝に少しずつ進めていますが、もう少し涼しくなってくれれば

少しは涼しくなったかな?待ってます。

PCが水没したとか言うオチは勘弁

まだかな
そういやSS-wikiのページが随分前から消えてるけど
以前は見れたよな

ご無沙汰してます
闇を照す者もいよいよクライマックス
蒼哭、桃幻も発売
新作もあるらしい?
という頃にスムーズに投下できないのは悔しいです
ですが上手くいけば近日中には

>>444
全角スペースを含むタイトルが自動で半角に変換される仕様になって、そのせいでページにアクセスできない状況のようです(たぶん)
対応は管理人氏が検討中
消えたわけではないようなので、新しく作り直すのも良くないかと思い様子見です

>>445
楽しみにしてます。

ではここで牙狼情報。
銀牙騎士ゼロこと涼邑零のスピンオフ決定→ http://garo-project.jp/ZERO/

3期ひとまず終わりましたね。
もうこの先何見ても驚かないぞと思っていたのに、弓がヌンチャクになったのを見て鼻水噴きました。

あれはぜひメガほむにマネして頭ぶつけて欲しい。


ヒュンヒュン ゴチン 「ほむっ!?//」


 *

 緑に茂った並木道を歩く。木立の隙間から入ってくる光が眩しくて心地良い。
 少女はぐるりと見渡すと、広場中央にある樹の四方を囲んだベンチに腰掛ける。

手に提げたビニール袋を脇に置くと、周囲を観察する余裕ができた。 
 
 平日の昼間とはいえ、大きな公園内には人も多い。

 散歩する老人。大学生か何かだろうか、談笑する若者。外回りらしきサラリーマンの姿もある。
 みんな立場は違っても、どこかから来て、どこかに帰るのだろう。ここはその途中、休憩に立ち寄っただけ。

 自分とは違う――そう、杏子は思った。
 行き場所も帰る家もなく、目的もなく暇を持て余している自分とは。
 グリーフシードと、食糧ないしは金が足りている限り、するべきことは特になかった。
必要になったらその都度、奪うなり盗むなりする。

 寂しいと嘆いたことはない。昔は感傷もあったが、もう感じなくなって久しい。
 それは今も変わらない。
 ただ、楽しそうに、或いは懸命に日々を過ごしている人々を見ていると、以前はなかった感情が疼いた。

 虚しい、と。
 
「くそっ……なんだって、こんな気持ちになりやがる……!」

 胸の虚無感を埋めるかのように、杏子は袋からリンゴを掴んでかじった。
 魔法少女の力を利用すれば、とりあえず食うには困らない。
しかし、毎日のように腹を空かせていた頃の方が、まだ美味いものを食べていた気がする。

 不意に、じんわりと懐かしさが胸を切なく締めつける。これも久し振りのことだった。
 杏子はリンゴを乱暴に咀嚼することで、込み上げる郷愁を噛み砕く。




 別に、今だって毎日三食を腹一杯に食べられる訳じゃない。
現に昨日から何も食べておらず、腹の中は空っぽだ。
 こうして食べるリンゴの味は昔と変わらない。充分に美味いと感じられる。

 だが、たとえ胃袋が満たされたとしても、真に空腹が埋まることはないだろう。そんな気がした。
 心にぽっかり開いた穴は今も広がり続けている。
 
――ったく……それもこれも、あいつのせいだ。

 杏子は心の中で一人の男を思い浮かべた。

 涼邑零。
 もともと杏子は、彼を追いかけて見滝原まで来た。
発端は子どもじみた対抗心だったが、彼を超えよう、倒そうと躍起になる間は、
過去も未来も、余計なすべてを忘れられた。

 零を追って強くなっていく実感は悪くなかったし、目標を持つと日々に張りが生まれるのだと初めて知った。
 それは希望と呼べるほど輝くものでもなかったが、何かに一生懸命になったのは随分となかったことだ。

 しかし、それも一昨日まで。
 ホラーの術中にはまり、幻影を見せられ、すべてを思い出した。いや、記憶は片時も忘れてはいなかった。
ただ、鮮明な光景として掘り起こされ、再び刻みつけられた。あの時の感情まで、まざまざと蘇ってきた。

 無意識に目を背けてきた過去を再び直視させられた瞬間、すべてが虚しくなった。どうでもよくなった。
あの日の雨に掻き消されたみたいに、心は湿気て燃え立たなくなった。
 こんな自分が強くなってどうするのか。零を倒したとして、何を望んでいるのか。そもそも望む資格があるのかと。


 そう、零に非はない。八つ当たりは自覚している。
 だが熱くならず関心を抱きもしなければ、無味乾燥な毎日を送っていれば、
少なくともこんな気持ちにはならなかった。いきなり梯子を外されたようなものだ。

 そして今、杏子は迷っていた。
 この街に留まるべきか、元の縄張りに帰るべきか。
 迷っているということは、諦めきれていないということ。
しかし何に執着しているのか、わからずにモヤモヤした感情を持て余していると、

「よっ、あんこちゃん」

 頭上から声が掛かった。
 顔を上げるまでもない。腰から下を見るだけで、声を聞くだけで誰だかわかる。
 溢れる陽気にそぐわない、見ているだけで暑苦しい格好の男は、
自分をあんこちゃんなどと呼ぶ男は、もっと言えば杏子に親しげに話しかける男は一人しかいない。

「またあんたか……何しに来たのさ」

 鬱陶しそうに溜息をつくと、零は許可も取らず杏子の隣に腰掛ける。
隣と言っても、杏子から斜め後ろ――直角に向いているので、
顔を合わせもしなければ、傍からは連れにも見えないだろう。
拒否すら面倒だったので放っておいた。

「手厳しいな、あんこちゃんは。ただの偶然だぜ。ひと仕事して休憩しようと思ったら、あんこちゃんがいただけ」

「どうだか」

「これでも暇じゃないんでね」


 皮肉のつもりか。一瞬ムッとなるが、ここで怒れば図星を指されたと思われる。それはそれで癪だ。
 だから杏子も努めて平静に、皮肉で返してやる。

「そりゃあ、商売繁盛で結構なことで」

「喜ばしいことじゃないよ。そんだけホラーに人が喰われるってことだし。
こんなに忙しい街も珍しい。それに魔女だっている。
あんこちゃんが、さっさと魔女を狩ってくれたら俺も助かるんだけどな」

「ま、そのうちね……」

 気のない声で答える。
 当面、グリーフシードには不自由していないし、とり急ぎ魔女を狩る必要はないのだ。
そんな気分にもなれなかった。

「あんこちゃんは昼飯? 美味そうなもん食ってるじゃん」

  曖昧にかわされても零は構わず、杏子の袋を勝手に物色している。
 しかし袋に入っているのは、リンゴがもう一個の他はコンビニのサンドイッチやおにぎり、あとは菓子ばかり。
大して美味くはない。
 
 そもそも人喰いの話から即昼飯の話に切り替えられるあたり、この男もどこかおかしい。
 慣れきっているのだ。日常のひとつなのだ。
 命懸けで戦うこと、人が喰われるのを見ること。それらが飯を食い、寝るのと同じくらい常態化している。
 
――気に入らない。

「欲しけりゃやるよ。好きに取りなよ」


 すると、さも珍しいと言わんばかりに、零は目を僅かに丸くした。
してやった、と内心で拳を握りつつ杏子は言葉を継ぐ。

「ただし、盗んだ金で買ったもんだけどね。食ったらあんたも同罪さ」

 ニタリと口の端をつり上げ、悪意たっぷりに言い放つ。
 零を試す意図もないではないが、ただ単に意地悪をしたかっただけかもしれない。
返事次第では彼を嘲笑うなり糾弾するなりして、苛立ちを紛らわすつもりだった。

 そして零は考えるまでもなく、

「そっか。そういうことなら遠慮しとく」

 手を引いた。
 あらかじめ用意していた答えを嘲弄と共に返す。

「ハッ、だろうね。どうせ正義の味方様はそんなことできないってんだろ」

「だって俺が食ったら、あんこちゃんの分が減る。そうなったら、どっかの誰かに悪いだろ」

 零の答えに、杏子は一瞬だが面食らった。
 彼は杏子の行為を否定しなかった。自由を阻害しなかった。
だが盗むこと自体を咎めはしなかったが、杏子の行動によって誰かが迷惑を被ると暗に伝えている。
自分の面子を気にしている様子はない。

 返事に迷っていると、零はからかい混じりの笑みを浮かべ、

「――みたいな答えが、正義の味方としては正解かな?」


「……遠回しな説教のつもりかい。らしくもない」

 杏子はそっぽ向いて、そう言うのが精一杯だった。
 零は杏子の思考も動揺も見抜いたかのように苦笑する。

「確かに、俺の柄じゃない。あんこちゃんが何をしようが関係ないし、知ったことじゃない。
正義の味方のつもりもないしね。けど自罰的って言うのかな、
今日のあんこちゃんは責めてほしいように見えたからさ。
あんこちゃんがお望みなら説教してもいいけど?」 

「ふんっ、誰が……」

 などと言いながらも、杏子の内では零の言葉が反響していた。
 自罰的――当たっているかもしれない。
 少なくとも迷いは生じ始めている。このままでいいのかと。一度は振っ切ったはずだったのに。

 自分は何故戦っているのか。決まっている、生きる為だ。では、何の為に罪を犯してまで生きているのか。
 家族も何もかも失って、それでも生きている理由。
 異なる立場で異なる怪物と戦っている人間を知ってからというもの、少しずつ考えるようになった。
もし彼の意見を聞けたならヒントになるだろうか。

「そんなことよりさ、あんたは何で戦ってるんだ? だって正義の味方じゃないんだろ?
いくらもらってんのか知らないけど、化物相手に戦うなんて単なる仕事じゃなかなかできない」

 抵抗はあったが、話題を逸らすついでに杏子は思い切って訊いてみた。
この流れを逃せば、いつ機会があるかわからない。純粋に興味もあった。

「へぇ、あんこちゃんも魔戒騎士に興味なんてあるんだ。
何でって言っても、魔戒騎士ってのは多くが世襲で代々の家業なんだけど」


「他がどうとかじゃなく、あんたはどうなんだよ」

 今の口振りでは例外もあるということ。そして、零は何となく一般の騎士に比べ型破りな気がした。
もっとも他の魔戒騎士も知らなければ、彼の身の上も聞いていないから勘でしかないのだが。

「戦う理由ねぇ……昔は色々あったけどな」

 チラリと横目で窺った零は、どこか遠い目をしていた。
 杏子の知る由もない昔を思い出しているのだろうか。
杏子にあるように、零にも壮絶な過去や変遷があったのかもしれない。

「今は強いて挙げるなら……そうだな。
ひとつは"これ"が一番得意で自信がある。なにせガキの頃から剣ばかり振ってきたから。
これしかできないくらいに。
それともうひとつ、他人と比べて――魔戒騎士の中でも、ちょっとばかり上手くできる。
だから、誰かがやらなきゃいけないなら俺がやればいいって、そんなとこかな」

 言い切った零に、今度は杏子が目を見開いた。
 
「……ほんとに、それだけの理由で……?」

 それが得意だから。
 他人より優れているから。
 必要とされているから。

 並べてしまえばありふれた、一般の職業選択の理由と何ら変わりない。
最後だけはらしいと言えなくもないが、それだって前ふたつがあって成り立つような口振り。
 怪物を狩るという、極めて特殊な使命に臨む戦士の言葉としては意外に感じられた。


 しかし、仮にその胸に正義感や使命感が宿っていたとしても、
彼の性格からして大っぴらに口にはしないだろう。
短い付き合いの杏子でも、それくらいはわかる。

「じゃあ、俺からもひとつ。あんこちゃんはさ、何の為に生きてるんだ?」

「え……」

 戦う理由でなく、生きる理由。
 いきなり問われて言葉に詰まった。
それこそが、今最も杏子を悩ませている疑問だったから。

「当ててみようか。何となく、死にたくないから――ってとこ?」

「っ……だったら悪いのかよ……!」

 つい語気を荒げてしまった。
 彼の指摘が正しいのかはわからない。ただ、いくら考えても理由なんて出てこない。
気の利いた返しも思いつかない。なら、たぶん彼が正しいのだろう。

「いや、人間なんて大抵そんなもんだよ。俺だってそうだし」

「あんたも……?」

「さっきはああ言ったけど、実のところ俺だって戦う理由なんてほとんど意識しちゃいない。
俺にとっては、生きることも戦うことも同じようなものだから。
もし大それた理由がなくたって、あんこちゃんが生きる為に戦ってるなら、それはごく自然だと思うけどね」

「なら、あんたは……」


 しかし、仮にその胸に正義感や使命感が宿っていたとしても、
彼の性格からして大っぴらに口にはしないだろう。
短い付き合いの杏子でも、それくらいはわかる。

「じゃあ、俺からもひとつ。あんこちゃんはさ、何の為に生きてるんだ?」

「え……」

 戦う理由でなく、生きる理由。
 いきなり問われて言葉に詰まった。
それこそが、今最も杏子を悩ませている疑問だったから。

「当ててみようか。何となく、死にたくないから――ってとこ?」

「っ……だったら悪いのかよ……!」

 つい語気を荒げてしまった。
 彼の指摘が正しいのかはわからない。ただ、いくら考えても理由なんて出てこない。
気の利いた返しも思いつかない。なら、たぶん彼が正しいのだろう。

「いや、人間なんて大抵そんなもんだよ。俺だってそうだし」

「あんたも……?」

「さっきはああ言ったけど、実のところ俺だって戦う理由なんてほとんど意識しちゃいない。
俺にとっては、生きることも戦うことも同じようなものだから。
もし大それた理由がなくたって、あんこちゃんが生きる為に戦ってるなら、それはごく自然だと思うけどね」

「なら、あんたは……」


 何の為に生きているのか。
 そう問おうとしたのだろうが、うまく言葉が出なかった。
軽々しく尋ねるのに抵抗があったのか、それとも比較して空虚な自分を意識するのが怖かったのか。
杏子自身にもわからなかったが、それでも零は意図を汲み取ってくれたようだ。

「あとは、そう……戦いの中でも、たまには心からやってて良かったと思える瞬間がある。だからかもな」

「それは――」

「秘密。前に言ったろ、ひとつ教えるならこっちも、って。
欲しいなら対価を払うか、それとも盗むか奪うかな。いつもあんこちゃんがやってるみたいにさ」

 杏子は勢い込んで追及しようとしたが、あっさりかわされる。
 ここまで言っておいて勿体ぶる零に底意地の悪さを感じながらも、力尽くで聞き出そうという気にはなれなかった。
 挑発されて腹は立つが、かと言って力で聞き出して何になる。それで自分は満足できるだろうか。

 それなら、もうひとつの手段を選ぶより仕方ない。
またぞろ面倒な質疑応答を始めるのかと杏子が構えていると、

「さてと、そろそろ行くかな」

 予想に反して零は立ち上がり、歩き出そうとする。
 当然、質問されると思っていた杏子は慌てた。

「お、おい。どこに……」

「俺も飯にするよ。それから夜に備えて休憩。またね、あんこちゃん」


 ヒラヒラ手を振って去っていく零。
 質問はない、ということなのか。
 ひとつ答えたらひとつ質問できるという交換条件に則れば、零が訊かなければ杏子からも問えない。
その気がないなら教えてくれてもよさそうだが、あくまでタダで教える気はないらしい。

 引き止めることもできず、杏子は零を見送った。
 暫し呆然とした後、
 
「くそっ……何なんだよ、あの野郎は!」

 やり場のない憤りをベンチに叩きつけた。周囲にいた数人の視線が刺さる。

 零が隠した内容は?
 何故隠したのか?
 まるでわからない。今は考えるのも面倒だ。

 食欲も失せた。ここにいて目立つのも嫌だったので、袋を纏めて立ち上がる。
 自分もどこかで横になろうかと足を踏み出した矢先。
 その目が公園の外の雑踏に留まった。魔法少女の優れた視力が捉えたもの、それは――。

 艶めいて柔らかそうな金の巻き髪。
 白を基調とした制服、胸元の赤いリボン。
 その髪を、服を、横顔を覚えている。家族を除けば最も親しい仲だった少女。

 


「巴マミ……」


 そして今は最も逢いたくなかった少女。
 突然の邂逅に杏子は戸惑った。彼女が見滝原にいるのは当然ではあるのだが。
 そうこうしている間に、彼女の姿は見えなくなった。杏子には、まったく気付かないままで。
 一瞬、追うべきか迷い――。

「いや、まさかな……」

 首を横に振った。
 考えてみればおかしい。
 あの真面目腐った彼女が平日の真昼間に、しかも制服姿で街中をぶらついているはずがない。
 しかも、あんな見覚えのない、壊れかけのような虚ろな表情で。

 遠目で数秒のこと。見間違いだろう、そう思うことにした。
 気安く肩を叩ける仲でもなし、そうであってほしい。
 
「あたしは……これからどうするかな……」
 
 ぽつり、と誰にともなく呟いてから、遠ざかるように杏子は逆方向に歩き出した。

 この時もしも追っていたなら、二人の運命はまるで異なる道筋を辿っていただろう。
 しかし杏子がそれを知ることはなかった。


前回から相当遅れてしまいました
一度鈍ると書けなくなるのに加え、書き直したり手間取っていました

今回は疑問を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、
自分なりに想像したところ、こんな感じかなと

改めて零は掴みにくいところがあると思ったので、スピンオフに期待
あと、闇を照らす者の続編も

乙です。マミさんに何やら、不穏な空気が・・・。大丈夫かな?

ヤミテラの続編も確かに楽しみですよね。黄金の輝きを取り戻した新牙狼の活躍に期待

来てた―――!!!

杏子は相変わらず零を名前で呼ばないな。もう意地か。

相変わらず面白い!
ただ更新速度を…………

>>1
なにやらマミさんがまたひと悶着ありそうな・・・今度は鋼牙じゃなくて零参戦か?
↑更新速度については自分たちが口出しすることでもないだろう。推敲とかもしなきゃならんのだから急かすのはよくない。

>>464
そんな事、言ったって
このペースじゃいつまでたっても終わらなよ
一年に1話が終わるペースじゃなあ…

毎度だけど締め切りがあるわけじゃなし急ぐ必要はないように思うけどね

むしろこの作品にはぜひ牛歩を極める!、という方向で行って頂きたい。

ほら、まどマギに激似のお話を20代から書き始めて80いくつで死ぬ寸前で完結した書き手さんもいたでしょ?

100スレまでいって見事完結した暁には、>>1に黄金のソウルメタル製の魔戒牛【焔焔(ほむほむ)】が贈られます(最高時速1㎞)

>>466
だったら更新が遅くてもいいから
せめて話の展開だけはもう少し早く進めて欲しいなあ
ちっとも話に進展がないのが………。

相変わらずだなぁ

前回から一月以上経ってしまいました
時間もそうでしたが、展開に悩んだりもしていたので
遅くなりましたが、推敲して明日か明後日には投下したいと思います

楽しみにしてます。ついこの間、「叛逆の物語」を見てきたばかりなので非常に嬉しいです。


 *

 マミは当て所なく街を彷徨っていた。
 制服姿で平日の街を歩いていても、気にする様子はない。 
それどころか、その目は何も映していないかのように暗く、虚ろ。
 かつての仲間が、近くで自分を見ていたことになど気付きもしなかった。

 どうせ道行く誰も気にしていないだろう。その証拠に、マミに視線を投げかける人間はほとんどいなかった。
 マミにとってそうであるように、
他者にとってのマミもまた顔のない存在でしかないのだろう。興味も関心も、ありはしない。

 こんなはずじゃなかった。
 少なくとも、今朝の時点では確かな決意と目的を持っていた。 
自分の気持ちに決着をつけて、新たな一歩を踏み出そうと思っていた。
 
――なのに、どうしてこんなことに……。

 歩きながら、マミは記憶を遡る。



 
 朝、マミはいつものように家を出た。ただし、目的地は見滝原中学ではない。
 普段の通学路を外れ、向かった先は市内のとある会社。
 昨夜、夕木命の手掛かりがないかと考え、彼女の着ていた服を思い出した。
調べてみたところ、ここの制服とほぼ一致していた気がする。

 訪ねてみて違ったなら、その時はその時。
 いざ入ってみると、女性社員の制服は命のものと同じ。しかし、命の姿はない。
 もっとも、まだ勤務開始時間には早かったらしく、オフィス内では数人が始業の準備などしているだけだった。

 恐縮しながらも、手近な女性を捕まえて訊いてみる。
 こちらに夕木命さんという方はいらっしゃいますか、と。
 命と同じ年頃の女性社員は、怪訝な顔をしてマミを見た。
 
 こんな時間に中学生が訪ねてきたから不審がられていると思ったが、それだけではなかった。
 彼女の次の言葉に、マミは愕然とする。

 夕木命は確かに在籍していたが、3ヶ月も前に退職している――。

 口を開けたまま暫し硬直するマミ。
 だとしたら、制服を着ていた命は何だと言うのか。
 だが、そんなショックも序の口に過ぎないと、すぐに思い知る。



 マミは命について、今どこにいるのか、住所を教えてほしいと頼み込んだ。
 親戚だ従妹だと出まかせを並べもしたが、断られた。
マミが肩を落として帰ろうとすると、外に出たところで呼び止められる。

 追ってきたのは、応対してくれた女性だった。
 彼女は話していいものか迷っている様子だったが、話の続きを聞かせてくれた。
 人前では話せなかったが、あまり熱心なので教えないのも可哀想に思ったとのこと。
自分の嘘を信じてくれたのだとわかり後ろ暗く感じたが、素直に好意に甘えることにした。

 そして元同僚の口から語られる真実。
 命には付き合っている恋人がいたが、彼が事故に遭って以来、命は塞ぎがちになったという。
かつての朗らかさは消え、ある日を境に人が変わったようになったそうだ。

 原因は、事故でヴァイオリンを弾けなくなった恋人が自殺したこと。
 決定的に精神の均衡を崩した命は、ほどなくして自ら社を去っていった。
 彼女は何もしてやれなかったと悔やんでいるらしい。
 
 ここから彼女は、さらに口ごもる。
 その後の命とは連絡も途絶えてしまったが、街中で命らしき人物を見かけた同僚はいた。
黒衣に落ち窪んだ目、痩せこけた頬――にも関わらず、近寄りがたい異様な迫力を放っていたそうだ。

 その後、警察が職場に命について訊きに来たりもした。
詳細は知り得なかったが、何らかの事件に関与した疑いが持たれている。
 と、他にも彼女は訊いてもいない情報まで話してくれた。一部、噂や憶測も含まれていたが。


 すべてを訊き終えたマミの表情からは血の気が失われていた。
 想像だにしていなかった重い真実に対する困惑。
自分の中にあった夕木命のイメージとあまりにかけ離れていて、本当に同一人物か疑わしくなってきた。
むしろ、同姓同名の別人であってほしい。
 
 しかし彼女は丁寧にも住所を伝える際、履歴書を持ってきたので、嫌が応にも写真が目に入る。
写真に写っていた『夕木命』は間違いなくマミの知る命だった。 
 住所のメモを受け取ると、マミは女性社員に礼を言って会社を後にした。

 メモを固く握り締め、書かれた住所に向かうマミ。その足取りは鉛のように重い。
 胸中は、さっきまでとはまた違った不安でいっぱいだった。
 
――思えば……私は命さんに勝手な理想を求めていたのかもしれない……。

 今になってマミは気付き始めていた。でも、本当は最初からどこかで歪な想いであると自覚してもいた。
 だからこそ今日だって命に慰めてもらおう、受け入れてもらおうなんて端から考えていなかった。

 ただ会いたかった。ともかく、一目でも会えばはっきりすると思った。
そこで自分の気持ちを確かめて、どんな結果でも心の区切りにしようと。

 学校をさぼってまで来たのは居ても立っても居られなかった、というのもあったが、
さっさと決着をつけて、今度こそ先輩として毅然と彼女たちに真実と別れを告げようと。
 ただ、それだけだったのに。
 


 煩悶としながら歩くうち、いつの間にか命のマンションに着いていた。
 命は部屋にいるだろうか。階段を一歩上がるごとに心臓が跳ねる。
 確かめるのが怖い。いっそ留守ならいいのにとすら考えてしまう。
予想を超える衝撃の連続に決意は萎えかけていた。
 
マンションが自宅同様オートロックでなかったのは幸か不幸か。
ドアの前に立ち、表札を確かめて呼び鈴を押す。
 
 誰か出てくる様子はない。十秒ほど待ってもう一度。
 やはり返事はない。空しく響くチャイムを除いて物音ひとつすら。

――……誰もいないの?

 留守なのだろうか。
 もやもや気持ちが燻ると同時に安堵してもいた。
 本当に命が不在ならば、これ以上現実とのギャップに傷つけられることもない。 
でも、それは逃げだ。それじゃ、いつまで経ってもケリなんて付かない。

 胸の前でぎゅっと拳を握り、なけなしの勇気を振り絞ると、マミはドアノブに手を掛けた。

「……鍵掛かってない」

 駄目元のつもりだったが、開いてしまって困惑する。
 そっと覗き込むと、まず目に入ったのは――闇だった。


 と言っても、何のことはない。分厚いカーテンが閉め切られ、日光がほぼ完全に遮断されているだけ。
 なのだが、何故か嫌な感じがする。はっきり何かがいるとかではなく、とにかく良くない空気が肌を刺すのだ。
 
「すみません、どなたかいらっしゃいませんかー」

 やや声を張って呼んでみるも、答えはなかった。暗闇は変わらずマミに向けて口を開いている。
 半ば誘われるように、マミは靴を脱いで上がり込んだ。
こんなことおかしいと、わかっていても止められなかった。
 
 リビングは薄暗かったが、カーテンを開いたり電気をつけようとはしなかった。
不法侵入の負い目もあったし、視力は優れている。しばらくすれば目が慣れると思い、実際すぐ慣れた。
 室内は見事に整然としていた。それどころか無機的で、一切の生活の匂いが感じられない。

 あらゆる物が片付いているのに埃は溜まっていたり、
漂う陰鬱な雰囲気は綺麗好きと言うより、真新しい廃屋のようで気味が悪い。
 ふと、テーブルの上に目が留まる。綺麗過ぎる部屋で唯一そこだけ生活感が残っていた。
 
 大きなブルーのクリスタルの灰皿。中にはタバコの吸い殻と灰がこんもり積もっている。
 彼女がタバコを吸うとは意外だったが、これが手掛かりになるはずもないか。
 そう思い、何とはなしに覗き込んだマミだったが――。


「――っ!?」

 息を呑み、素早く跳び退る。
 わからない。わからないが、咄嗟に体が動いていた。
 灰皿には灰しか残っていないのに。
 他の何かが、そこに遺っている。
 
 気付けたのは、魔法少女の霊感とでも言うべきか。
 きっとソウルジェムは反応を示さないだろうが、培った直感が危険信号を発していた。

 薄暗い室内でなお暗く、黒い何か。形もなく、ただ僅かに残留している。
しかし、マミはその残り滓から意志も思念も感じられなかった。
或いは、鋼牙やザルバなら感じ取れたのかもしれないが。
 
 結局マミは灰皿に手を触れず、部屋を出た。
 あれを自分に、どうこうできるかどうか。いや、それ以前に必要もないだろう。
 そもそも人を直接に害する力があるとも思えなかった。
 
 マンションを出たマミは、とぼとぼあてもなく街を歩いた。
 もう命とは会えない。根拠はないが、そんな気がした。
 命は生きているのか、死んでいるのか。探せば、まだ手掛かりはあるかもしれないけれど。


 でも、もういい。 
 あれほど強かった命への執着が急速に失われていくのを感じていた。
この感情をどう表していいのかわからなかったが、やはり失望と呼ぶのが適当だろう。
 


――私、なんて馬鹿で身勝手だったんだろう……。
 たった一日話しただけの、何も知らない人に期待していたなんて。
彼女の真実なんて何ひとつ見えていなかった。見ようともしてなかった――

 価値も誇りも無くした自分がやっと助けられた人は、一時でも信頼を寄せた人は。
 こんな理不尽で、不確かな形で消えた。別れの言葉も決別の儀式もなく。

 マミの瞳から涙が溢れる。
 キュゥべえも、命も、望まない形だったにせよ、自分から別れを決めた。
そのことに後悔は多々あるけど、どうしようもなかった。
 もう盲目的に信じられるほど、強い自分を保てなかったから。

 ただ、今度こそ本当に独りになったのだと思ったら泣けてきたのだ。
 子供みたいに泣きじゃくりながら、それでも足は止めなかった。
立ち止ってうずくまったら、二度と立ち上がれない気がした。
 
 どれくらい歩いただろうか。
 ひとしきり泣いて泣き疲れたマミはソウルジェムを手に取る。
 黄色く、美しい輝きを放っていたソウルジェムは――マミの魂は、半分以上が黒く濁っていた。

――ここで、これを砕いてしまえば終わりにできる……。

 マミは虚ろな眼でソウルジェムを掌中に押し包む。そして、きつく強く力を込めた。


――これを……砕いてしまえば何もかも……。

 だが、できなかった。  
 ソウルジェムが硬かったのか、無意識に力が緩んでしまったのか。
 どうしても砕くことができなかった。
 マミは諦めて握り締めた手を開くと、再びソウルジェムを見つめる。

――馬鹿みたい。砕くなら、もっと手っ取り早い方法がいくらでもあるのに。
もう私の中は空っぽ……何も残っていない……。
自害を選ぶ誇りも、勇気も。魂すら、こうして外にあるのだから――

 そうして自嘲していると、不意にソウルジェムが輝きを増す。
 
「これは……」

 身体を回して方向を確かめると、すぐにそれは見つかった。
 病院の裏手の壁に突き刺さったグリーフシード。しかも穢れを吸い、今にも孵化する寸前。 
 こんな近付くまで気付かなかったなんて。注意力が致命的なまでに落ちている証拠だった。

 発見するのとほぼ同時、周囲の景色が歪む。
 逃げるなら、まだ辛うじて間に合う。しかしマミは一歩も退かず、そこに留まった。
 そして生まれた結界に、逆に足を踏み入れていく。魔女に魅かれるかのような、緩慢な足取りで。

 意味などなかった。グリーフシードの確保も、他人を守ることも、もうどうでもよかった。

 その行動に強いて理由があったとするなら――死に場所を求めて。

ここまで
続きは11月中には完成させたいと思います
遅れた割に地味な展開ですが次回こそは

叛逆は設定など盛り込むのは難しいですが、
キャラや戦闘描写は大いに参考になりました
黄金歌集も買って、絶狼やゴウライガンもあるので今後も頑張れそうです

乙乙乙!
遂にシャル戦だーーーー!!!


なんか早くしてくれとか贅沢言う奴がたまにいるけど、完結さえしてくれればいくら時間かかってもいいわ
永遠に続きが読めないのがいくつあるんだか

>>1
逃れられない宿命が、輝きを闇へと誘う。やめろマミ!絶望に身を任せるな!
次回 心滅! 猛り狂う、魔女の咆哮!

・・・こんな展開になってしまうのか、はたまた鋼牙or零がなんとかするのか、次回も楽しみにしてまっす。

乙なのだが
最初から学校を休むつもりなら
なぜ制服で出歩いたりしたんだ?私服とかの方が色々動きやすいのに……

さっさと片付けて~
あたりから察するに途中からでも学校に行くつもりだったんじゃない?
ちょっと強引にでも昼間にしたのはまどさやほむを自然に排除できるからとか

人間ってぎりぎりのときほど染み付いた習慣をなぞってしまうもんだ
普段魔女探しとかで出歩くときに制服だった習慣が出ちゃったんだろう

乙でした
いくらでも待たせていただきますので、お身体と私生活の方を大事になさって下さい

ガラケーから失礼します。やっと追いつきました、>>1さんお疲れ様です。これからはますます冷え込んでくる季節ですので、体調管理にだけはどうか気をつけてくださいね?
ここのSSは今、就職活動に敗れた私にとっての密かな楽しみであり、癒やしです。

ゴウライガンと言えばOP聞いてたら何となくまどマギが浮かぶのは俺だけかな
人数もちょうど5人だし
数十日後に来る強敵に対抗する為に仲間を集める、ここまでは同じなのに空気は違いすぎるが

ほむらも決闘で仲間にできたら楽だったろうな
マミ・杏子・さやか→舎弟決定
まどか→愛人決定
そんなSSも見てみたい

このスレ見て牙狼見たんだが、1期の13話くらいに出てきたゲームを持ちかけてくるホラー戦で鋼牙が「美学はどうした!?」っていうとこにそれどころじゃないだろ!ってツッコミ入れてしまったww

>>492
ssと関係ない話もほどほどにしろよ

まどマギの話は良くて牙狼の話はダメなのか
豚きめえ

>>494
特撮好きは態度がでかくて香ばしい痛い奴等が多いよなホントに

何レスも続く訳じゃないならスルーしよう
>>345にもそこそこ、スルー推奨って書いてるんだし
注意で伸びたり荒れる方が馬鹿らしい

やっと叛逆を見て来たんだが、このSSの序盤(ナイフのホラー戦)でマミにやらせていたリボンを使った高速移動アクションが叛逆で実現したミラクル。
頭に焼き付けて1スレ目を読み返してみよう。

たびたび書き込んでおります牙狼情報。
今回は本当に色々あるので詳しくは以下参照。


怒涛の新作ラッシュ。

>>498
牙狼のスレでやれよ……

牙狼アニメ化とかマジかよ…

また牙狼SSのスレで牙狼の話するなとまど豚が喚いてんのか

>>501
ssと関係ない話なのに何をほざいてんの?

牙狼とまどかのスレだろう?

伸びてると思ったら……
なんでこのスレは毎度SS以外のつまんないことで荒れるのかね
スルー推奨と何度も言われてるのに

11月中と言っておいて申し訳ありませんが
もう少し時間をいただきたいと思います

零あん×モロク戦から一年。シャル戦は来年か。
年内にもう一回くらい消息が聞けたら嬉しいなって。

お願い風催促やめろよ
いい子だから大人しく待ちましょうね

今年中に投下したかったのですが間に合いませんでした
12月は時間的精神的にあまり書き進められず……
正月中に頑張ります

あけおめー
のんびり待ってますー

一ヶ月近く音沙汰ないけど、具合でも悪いのかな?

言い訳になりますが、風邪と流行りのノロウィルスのコンボで半月ほど手につきませんでした
皆様も身体には気を付けてください
近日中に予定の半分程度ですが投下したいと思います
まずは生存報告まで

ホラーに憑依されたわけではないようなのでひとまず安心

そりゃ執筆どころか生存報告も厳しかっただろうに

無理せずご養生ください

復旧したしそろそろ来るといいが


 そこは異様としか形容できなかった。
 まず、そこらじゅうに大きなアイスクリームやドーナツが転がっていたり、ケーキが景色に溶け込んでいた。
本物かは定かでないが、触りたくもないし、まして口に入れるなんて絶対に御免だった。

 漂う甘ったるい臭い。
 甘いもの好きとしては食欲をそそられそうだが、とんでもない。
 チョコレートもフルーツも焼き菓子も何もかも一緒くたな上に、全体に暗く淀んだ色調の空間では気分が悪いだけ。
 しかもメスやハサミなどの医療器具も、それらと混ざり合っているのだ。見ていると逆に食欲が失せる。

 魔女の結界は、それぞれ主である魔女の特徴が顕著に表れている。
それは元となった魔法少女の心象風景――希望、祈り、執着、そして絶望の形なのだろう。
 これまでなら然して気に留めなかったが、先日の魔女結界では感傷を抱き、同情もした。申し訳なくさえ思った。

 しかし今、マミからそんな余裕は消え失せていた。 
 あるのは恐怖と怯懦。
 こんなに結界の内が怖いと思ったのは、魔法少女になって最初の戦い以来だった。
 
 自棄になって死んでもいいと踏み入れた結界だが、その場で使い魔に身を投げ出す気にはなれなかった。
 たぶん、やるだけやったと言いたいのだ。他の誰でもなく、自分自身に言い訳がしたいのだと。
 おそらく最奥に待つ魔女に勝てはしないだろう。魔力も心許なく、体調も万全とは言い難い。そして精神はガタガタ。

 そのはずなのに。
 引き摺るような遅々とした足取りでも、マミは止まらず進み続ける。
おっかなびっくり、些細な物音にも過敏に反応しつつではあったが。
 道中の使い魔は、すべて一撃の下に葬り去る。一切の反撃を許さず、時には発見されるよりも早く。
微塵の油断もなければ余裕もない。



 そんな戦い方は心身共に消耗を早めてはいたが、どの道、生きて帰れるなんて思っていない。
 誰かを守る必要もない。誰も傍にいないだけでなく、今のマミは誰かを守りたいという考え自体が頭にない。
自身を含め、守るべきものが存在しない。気負いというものが消えていた。

 結界に入る前の弛みように反し、いざ敵とまみえた時、身体は戦いを覚えていた。
とても戦える精神状態とは思えなくとも。
 むしろ、こと戦闘に限ればいつになく冴えている。絶好調と言っていいかもしれない。

 今、あらゆる軛から解き放たれたマミは自由だった。
 しかしマミ自身、不思議でならなかった。

――せめて形だけでも魔法少女として……でも、本当にそれだけなの?

 何もかもを失くして、恐れていた孤独に行き着いて。
 それでも絶望はしていない。限界まで追い詰められているが、
宙に張られた、か細いロープの上に立つように、不安定でも最後の一線を保っている。
 だが、いったい何がその歩を進めているのか。何が引き金を引いているのかは曖昧だった。

 迷いながらでも、身体は慣れ親しんだ動きをなぞる。
 眼に映るすべては敵。無差別に殺戮を撒き散らしながら、マミは結界を行く。
 心と身体の乖離は、次第に現実感を奪い去っていく。奥へ奥へと進むうちに、ますます自分がわからなくなる。

 思考は飛び、記憶は巻き戻る。
 脳裏をかすめるのは楽しかった思い出ばかり。
 最後の記憶は一昨日の夜。零との食事だった。

 あの日もテーブルには色取り取りのスイーツが並び、落ち込んでいた心が弾んだ。
 灰色だった世界が鮮やかに色付いた。
 何故だろう、ここはまるで違うのに。もしかすると、甘い臭いに中てられたのだろうか。


 そんなどうでもいいことを考えている間も、指は引き金を引き、もう一方の手は次の銃を握っている。
 自動化された精密機械の如く、感情の介在しない正確無比な射撃。

 バラバラに散らばる思考の片隅で、ふと気付けば考えている。自分のソウルジェムはどうなっているだろうと。
 後先考えずに魔力を消費しているのだから、きっともう大半が黒く染まっているに違いない。
 
――あぁ……。でも、それも悪くないかもしれないわね……。

 口元に薄ら笑いを浮かべながらも、マミの動作には寸分の狂いも生じない。
 それすらも彼女の内で些事と化しつつあったから。
 しかし――無意識なのか、時折空いた手がポケットを上から撫でる。 
その手のひらに伝わる硬い感触が、ふわふわと今にも遊離しそうなマミの精神を、風船の糸のように繋ぎ止めていた。

 無数の薬瓶が並ぶ空間を抜け、暫く歩くと明るく開けた空間に出た。
 おそらく、ここが魔女の待つ結界の最奥。
 あちこちに極端に脚の長いテーブルとイスが、いくつも置かれている。

 群がってくる使い魔を同様に蹴散らすと、その中央のイスに、
女の子を模したような――小さなぬいぐるみに似た物体がふわりと着地した。

 マミは即座に直感した。あれが魔女だと。
 他の使い魔とは造形が異なり、見た目は可愛らしいが、その可愛らしさが逆に不自然極まりない。
 マミはゆっくり魔女の座るイスに接近するが、魔女は微動だにしない。

 このまま撃てば倒せそうなくらい無防備だったが、それで片が付くと思うほど楽観的でもなかった。
取り分け、警戒心と猜疑心の塊のような今のマミは。
 襲いかかってくれば相応の反撃ができるのだが、まったく動かないのでは却ってやり辛い。
と言って攻めなければ、いつまで経っても決着はつかない。


 それを理解していながら、マミは攻撃しなかった。できなかった。
 この戦いで自分は死ぬかもしれない。いや、確実に死ぬ。
 こちらから戦いの火蓋を切れば、これまでのように受け身ではない。
能動的に死に向かって一歩を踏み出すことを意味する。
 
――私は……何を今さら躊躇っているんだろう。結界に足を踏み入れた時点でわかっていたはず……。

 マスケットをきつく握り締める手は小刻みに震えていた。
 そして数秒、マミは銃をひっくり返し、銃身を握った。

――何でもいい……始めなければ終わりもしない。私は終わりを望んでいるんだから……。

 迷いは晴れない。覚悟は定まらない。全身に絡みついたまま、マミを苛み続ける。
 だから結論を待たず、銃把でイスの脚をへし折った。
 思考を放棄し、状況の流れに身を任せた。
ひとたび戦いを始めてしまえば、余計なことを考える余裕は消える。
 
 脚を折られ崩れるイスから投げ出された魔女は、抵抗もなく落ちてくる。
 バットのように銃を振り被ったマミは、魔女を殴り飛ばし、空中で連射を浴びせた。
 避ける暇もない連続射撃。胴を貫かれた魔女は壁で跳ね返り、床に落ちた。

 その頭に銃口を押し当て、撃つ。
 撃ち込んだ銃痕からは糸が伸び魔女を拘束、空中に固定した。
 ここまでの動作に一切の無駄はなく、また同情が混じりもしなかった。
 
 あとは大威力の砲撃――ティロ・フィナーレで終わらせる。
 普段のマミでも、おそらく同じ戦法を取っただろう。マミの戦法としては基本中の基本だが、
それ故に最も確実で、最も信頼が置ける。
 しかし、やはり反撃はない。反撃の隙を与えなかったとはいえ、その素振りすらないのはおかしい。


――おかしい。いくらなんでも、うまく行き過ぎてる……。

 あまりの手応えのなさに拍子抜けしそうになる。
 半面、じわじわと不安に侵食されるような感覚もある。
 もしかしたら、魔女は何かを隠しているのか?

 警戒心に背中を押されるように、マミは壁に開いた無数の銃痕から一本のリボンを伸ばし、手に取った。
拭いきれない違和感に迷い、数秒ほど動きを止める。

 それでも、始めてしまった以上は止まれない。毅然と顔を上げ、マミはマスケットに魔力を注ぐ。
 これしかない、たとえ罠が待っているとしても。
 奥の手は、ここぞという時まで隠しておくもの。ここぞとは、往々にして自分か相手が追い詰められた瞬間。

 魔女が尻尾を出すとしたら、おそらく後者。ならば小競り合いは消耗を招くだけ。
それは現状の分析と、過去の経験からの類推。
だが最大の根拠は、こんなに落ちぶれた今でもマミの内側で燻り続けている魔法少女の――戦士の勘。

――分の悪い賭けだわ……。絶対の不利を知りながら攻めなければならないのだから。
先に手の内を晒した方が不利になる。特に魔法少女の戦いは、そうした側面を持っている。

それも今回は、私の能力、状態、魔女の性質、相性――あらゆる条件がマイナスに働いている気さえする――  
 
 マミの持つ銃が光を放ち、巨大化する。

 台座に固定した大砲の狙いを定め、

「ティロ……フィナーレ!」

 マミは運命の引き金を引いた。

 耳をつんざく轟音。
 それと共に撃ち放たれた光弾は、狙い違わず魔女に届いた。
 届いたが――。


 弾は魔女を容易く貫いたが、魔女そのものを滅していないのは一目瞭然だった。
 魔女の口から押し出されるように、ぬるりと何かが飛び出した。
 小さな身体のどこに収まっていたのか、魔女を遥かに上回る巨体だった。

 手も足もない黒蛇のような身体。先端の顔は魔女同様に可愛らしい。
大きく開かれた口に、鋭く尖った牙が生え揃っていなければ、だが。 

 魔女相手に物理法則など通用しないとわかってはいたが、改めて度肝を抜かれる。
 これが、この魔女の正体?
 それとも、もうひとつの姿と言うべきか?
 どちらにせよ、これこそが魔女の隠し玉だったのだ。

 迫る牙を、マミは呆然と見ていた。
 思考は加速するのに、身体は動かない。行動に移せない。
ティロ・フィナーレの反動が身体を包んで、まだ消えない。
それ以上に、あの顎に頭を噛み砕かれる数秒後の未来のイメージに竦んでいる。支配されてしまっている。

――そんな……私は……ここで終わってしまうの?
こんな場所で、死んだことすら誰にも知られずに?――

 最初に浮かんだのは、そんな疑問。
 覚悟していたはずだった。終わらせる為に、死ぬ為に来たはずなのに。
 一秒にも満たない時間で、過去の出来事や人の顔が脳裏に現れては消える。
走馬灯の中には、出会ったばかりの鋼牙や零の顔もあった。


――嫌……。

 それは思考ではなかった。

――嫌……!

 心の底から込み上げる声。

 叫びだった。

――死ぬのは嫌!!

 瞬間、マミの最も奥の部分で何かが弾けた。
 一瞬でマミのすべてを塗り潰す魂の絶叫。
 強い衝動が、感情の昂りが思考を凌駕した時、マミは悟った。

 それは生物としての本能以上に、己の本心であり、本質だったのだと。
 
 気付いた時には、魔女は目と鼻の先にまで接近していた。
白い牙と、口内の果てのない虚無の如き闇が視界を覆い尽くす。
 今からでは、たとえ身体が動いたとしても回避は不可能。

 それでもマミは死を恐れ、拒絶し続けた。
 ただひたすら死にたくないと強く念じ、そして――。
 


 *

 ガチン――と、歯が噛み鳴らされる音が結界に響く。
 魔女の牙は隙間なく閉じられ、何も挟まっていない。
 目を白黒させている魔女の横を、すり抜けるように影が過ぎった。

 マミだった。
 本人も頭と胴が繋がっていることが不思議そうに、魔女を横目で見ている。
 一歩も動いていないはずなのに何故。両者が同じことを考えていただろう。

 魔女がマミの頭を咥える寸前、誰かが横合いからマミの手を引いたのだ。
 身体ごと浮き上がるほど乱暴で強い力だったが、お陰で命は助かった。
 しかし、いったい誰が?

 微かな期待を胸に、今も引かれている自らの手に視線を移す。
 救いの主を確認したマミは、大きく目を見開いた。

 一瞬で理解して、自嘲気味に、しかし悲しそうに口元を歪めた。

 それは鋼牙でもほむらでもない。まして零や命であるはずがなく。

 手を引いていたのは、ただ一本のリボン。

 すっかり存在を忘れていたが、マミが手に巻きつけていたリボンだった。
壁の弾痕から伸びたそれが、マミの身体を引き寄せていたのだ。 



 *

 何故このリボンを手に握っていたのか。
 問われたとしても答えられない。特に理由などなかった。
あるとすれば尖りきった警戒心が、奥底にある臆病さが保険を掛けさせた。
結局は忘れていたのだが、それでも生きたいという強い想いが、この土壇場で無意識に魔法を発動させたのだろう。
 
――冴島さんが二度も都合良く現れるはずがない。暁美さんも同じ、そんなことはあり得ない。
まして、あの娘が来るだなんて……そんなこと一瞬でも思うなんて、ほんと……馬鹿みたい――

 この瞬間、マミを救ったのは紛れもなくマミ自身だった。

――最後の最後に頼れるのは自分だけ。
そんな簡単な真理も忘れるくらいに、たった数日で私は腑抜けてしまっていた。  
この身体は戦い方を覚えていて、自棄になった愚かな私を生かしてくれたのに――

 まだ他人に何かを期待し、甘え、縋ろうとしていた自分。
 生き抜く力を持っていながら、それを捨てようとしていた自分。
 表面上は諦めながら、本心では浅ましくても生きたいと願う自分。

 すべてが情けなくて、しかし言い訳しようもなく事実で。
 ありのまま受け入れるしかなかった。
 
 孤独も、いつか必ず訪れる末路も、アイデンティティの喪失も、自分を絶望させるには至らなかったと。

 いや、そんな見下げ果てた自分に絶望してはいるが、どうやらまだ魔女にはならないらしい。
 零の言葉を借りるなら、すごく痛くて、辛くて、寂しくて、苦しいけれど、耐えられないほどではない。


 むしろ曖昧だった意識も、もやが晴れて、すっきりクリアになっている。
 それどころか、視覚、聴覚、嗅覚――あらゆる感覚が覚醒して、世界が新鮮に感じられた。
 たとえるならそう、たった今この世に生まれ落ちたばかりのような。

 それは、あながち錯覚でもなかったのかもしれない。
 あの日、あの事故で、人間としてのマミは死んだ。そして新たに魔法少女として生まれ変わった。
 この瞬間、マミの精神状態は、あの日とそっくり同じだったから。

 死の淵に立たされていたマミは強く、強く願った。

 死にたくない、生きていたい。
 純粋な生の渇望。
 それが、マミの望み叶えた願い。

 魔法少女としての原点。同時に、ある意味で汚点。
 きっと、友も仲間も誇りも、すべてを失った今だから気付けた。思い出せた。
 鋼牙と出会ったあの日からの出来事で、何かひとつでも違っていれば、こうはならなかっただろう。
 
 否定しようとも否定しきれず、すべての虚飾を取り払った後に残された唯一。
 どれほど穢れていても、それが真実。
 願いは、同時に呪縛でもあったと気付く。


――私は願いを裏切れなかった……。
たとえ、どんなに願いに裏切られても――


 考えていた時間は、長いようで一秒にも満たなかった。
 眼前には急速に迫る壁。マミはリボンを放し、壁を蹴って反転する。
 魔女は顔をぷんぷん怒らせて追ってきていた。

 これも予想通り。マミには魔女を含む戦場のすべてが把握できていた。
 すかさず横っ跳びで魔女の牙から逃れながら、別方向からのリボンを伸ばす。
使い魔を掃討する際に撃ちまくっていたので、仕掛けには事欠かなかった。
 
 逃げれば逃げるほど、魔女の動きは単調になっていく。
そうでなくとも元々あまり賢いタイプではないようで、逃げるのは難しくなかった。
障害物に身を隠し、鋼線のように細く頑丈に作り変えたリボンで罠を張り、使い魔を身代わりにして。
 結界内を縦横無尽に飛び回る。

 ホラーとの戦いで偶然編み出した、リボンの性質を利用して自分の身体を素早く移動させる方法。 
 件のホラーとの相性は悪かったが、この魔女相手なら存分に効果を発揮できる。
 
 魔女が熱くなればなるほど、反対にマミは冷めていく。
 もちろん恐怖は変わらずある。生を渇望するからこそ。
だが、その恐怖に思考を乱されることなく飼い馴らしつつあった。

 より強い存在を頭に描くことで勇気を奮い立たせ、具体的な対処の糸口とする。
 イメージするのは、知る限りで最強の戦士――黄金騎士、牙狼の姿。
 
 "かつて"彼に対しては複雑な感情を抱いていた。
 無様な姿を晒した。後輩の前で意地を張ったりもした。
 それもこれも、今にして思えば羨望の裏返しだったのかもしれない。


 彼のようになりたかった。
 彼のようでありたかった。
 でも、届かなかった。
 
 だから嫉妬した。
 その頃が遠い過去のように感じられる。

――諦めた? うぅん、似ているけれど少し違う。
関心が薄れた。
私と彼は、まったく別種の存在だと思い知った。
私は……守りし者にはなれない……。そして、そんなつもりも……――

 ほんの少しの間に自分は変わったと、改めてマミは自覚する。
 鋼牙の戦闘力には感嘆する。尊敬も、あのように強くなれたらとも思う。その気持ちは変わらない。だが、所詮そこまで。

 過去、理念、信念、矜持――おそらく彼を黄金騎士たらしめているもの。彼の力と両足を支えているであろうすべて。
それらに対する興味は消え失せていた。思い巡らせても無意味だと。

――決して彼の力に執着していたんじゃない。
 その眼差しに、揺るぎない心の強さに憧れた……。
いくら勝算があったとはいえ、美樹さんを庇う為に槍の束を全身で受け止めた。一瞬の躊躇いもなく。
 堅固な鎧よりも、無双の剣よりも、その魂は金色に輝いて見えた。

 同じ人を守りし者として、並び立てる私でいたい。
そう思うから、ままならないことに反発もした……。
  
 けれど根源の理由が消え、憧れも捨てた今、嘘のように妬心は消えている――


 今はただ、この状況を彼ならどう切り抜けるか。その体捌きと、冷静な思考をなぞる為だけに鋼牙のことを考える。
 それ以外の一切が、マミにはどうでもよかった。

 その後もマミは逃げ回りながら知恵を巡らせるが、反撃には移れないでいた。
 生き残る意志は取り戻した。
 戦う為の技は、最初からこの身にあると思い出した。

 足りないものはひとつ。
 魔力。

 ソウルジェムを手に取って見ると、9割近くが黒く染まっていた。
 マミは動揺するが、予想はしていたのでショックは少なくて済んだ。
 それよりも、この残り少ない魔力でどう生き残るかに思考を切り替える。

 結界の外まで逃げ切るのは無理だ。入り組んだ道もある結界を戻ることになる。
 単純な速さでは魔女が上を行く。隠れる場所もない一本道で襲われれば逃げようがない。
しかも怒り狂っている敵は執念深く追ってくるだろう。牽制しようが、多少のダメージや障害は物ともしないはず。
 ここは敵の巣の中だ。まだ知らない罠や仕掛けもあり得るのに、追われながら逃げるのは不安が残る。

 かといって、この場に留まって戦うのも難しい。何発か撃ってみてわかったが、小技はほとんど通用しない。
倒すには充分な攻撃力が必要になるが、仮にティロ・フィナーレが撃てたとしても、それで魔力が尽きては意味がない。

 技術、策略、精神力では補えない不足。ガソリンがなくては車は動かないように。
このままでは、いずれ魔力が切れたところを仕留められる。 

――まだ……こんなところで終われない……。
あれさえあれば……どんな状況でも、相手が誰でも、絶対に抗ってみせるのに――


 生きたいという願いに従うマミは、なおも諦めず足掻こうとする。
 強い意志に衝き動かされ、彷徨う手は自然とポケットに伸びていた。
 手のひらから伝わる硬い感触。探ってみると、
 
「これは……」

 そこには求めていたものがあった。
 グリーフシード。
 ソウルジェムの穢れを吸い、魔力を回復させる黒い石。

 何故これが懐にあったのかと考え、

「あっ……」

 と声を上げた直後、マミは頭を抱えたくなった。
 元は三日前に戦った魔女のもので、昨日さやかから渡されたのだった。
そういえば朝、家を出る際に持って出たのをすっかり失念していた。

 言い訳をするなら、あの魔女を倒したのは実質的には鋼牙で、
グリーフシードも彼が得るべきだと気が引けていたのもある。
だからマミは受け取りを拒否して、仕方なく鋼牙もさやかに託したのだが。

 それでも朝の自分は、半ば習慣となった用心を忘れなかったのに。
それに比べて、いろいろあったとはいえ今の今まで忘れていたなんて。


「なんてこと……」

 つくづく勘が鈍っていたらしい。
 誰に求めるまでもなく、必要なすべては最初から手元にあった。
 マミは再び呆れ顔で自嘲気味に微笑んだ。

 ともあれ、これさえあれば、まだ戦える。
 勝機はある。
 生き残ることができる。

 あらゆる感覚が研ぎ澄まされる。
 四肢の先端にまで芯が通ったかのよう。
 全身に闘志が滾っているのがわかる。
  
 飛びかかる魔女に怯みもせず、マミはマスケットを構え、正面から片目を撃ち抜いた。
 涙目になって悶える魔女から距離を取り、掌中のグリーフシードに視線を落とす。
 その瞳は穏やかで優しく、どこか哀しげな色を湛えている。

 戦闘中にも関わらず、マミの胸中には奇妙な想いが渦巻いていた。
 最後に補給した日とは違い、魔女とグリーフシードの正体を知ってしまっている。
正直、使うのが恐ろしくて堪らない。
 だからこそ、マミは自身の心を見つめ直そうとしていた。


――私は、この魔女を倒した。冴島さんの助けを借りた勝利だとしても、止めを刺したのは私。
ただ、それは手柄じゃなく、敢えて言葉にするなら業……とでも言えばいいのか。
ともかく私に責任があるのは間違いない。
確信はなくても、魔法少女かもしれないと疑っていながら彼女を倒したのだから――


 魔法少女も魔女も同じ。どちらにせよ、巡り巡って最後には、ちっぽけな石ころ。
 魔法少女はグリーフシードになり、そこから魔女は生まれ、倒されればまた戻る。
そして魔法少女に使い捨てられ、キュゥべえに回収された後はどこに行くのやら。

 ソウルジェムを砕かれた魔法少女。グリーフシードを落とさなかった魔女。
彼女らはどうだろう。キュゥべえに回収された魂とは別の場所に行くのか。

 それは、死者の魂はどうなるのかという、人間の普遍的な問いに似ている。
土地や宗教によって何種類もの答えがありながら、たぶん誰も真実を知らない。

 魂の存在は疑いようがない。この手の中に確かに在るのだから。
だが、これを砕いたとして、魂だけでも両親や他の人間と同じになれるのか。それすらマミにはわからなかった。

 キュゥべえか、或いは鋼牙かザルバなら、その答えを知っているかもしれない。
 だとしてもキュゥべえはもちろん、きっと鋼牙にも本当の意味では理解できないだろう。
 魔法少女が――真実を知った自分が、魔女に抱く感情は。

――私とあなたたちは同じもの。互いに喰い合って、敗者は勝者の糧になる。
そして勝ったとしても、その先に待つのは生きている限り終わらない戦い。
それが私たちの運命。
だから……だとしても……――


 マミは軽く首を振った。
 まずグリーフシードに、次に魔女に視線を移すと、マミは宣言するように、

「私は……負けない」

 自分に言い聞かせるように呟く。

 勝つか負けるか。
 生きるか死ぬか。
 喰うか喰われるか。

 残酷な二択。
 しかし、どちらかしかないのだとしたら。

 選ぶべきは――。

 きつく食い縛った歯の隙間から荒い吐息が漏れる。
 ギラギラと生気に満ちた獰猛な輝きが、決意と共に瞳に宿る。

 そしてマミは、その手で倒した魔女のグリーフシードに。
 元は同じ魔法少女だった魂の成れの果てに。
 自らの魂――ソウルジェムの穢れを押し付けた。


「あなたを喰らって、私は生きる」

ここまで
時間的な都合もですが、重要な分岐点なので迷ったり書き直したりで遅くなりました
次はそう時間はかからない、はず

乙ですよ
さてこれは対立フラグとも見れるが…

ZERO今日からだっけ



>>533
魔戒騎士との対立はたぶんないだろう
別種だと割り切ってしまったんだし、信頼とは別に必要とあれば協力する(主にホラー)とかギブアンドテイクな感じかと
寧ろ守りし者になるつもりがないって事は以前のように使い魔を狩ったりせず放置して
自分の利益を追求する杏子みたいな魔法少女になる可能性が高い
だから魔法少女になって、人を守ると志したさやかと対立しそう

乙乙乙乙乙~!!
遂に来た!ここまでの長い道のりは今回の投下の為にあったと言っても過言じゃない。Credens justitiam「正義を信じる者」が大音量で轟くぜ!!
大復活のマミさん!自力でカッコ良くなっちゃえば良かったんですよ。燃え上がれ~~~っ!!(感涙)














あっ、べべ……

>>535
「守りし者」である事をやめたこのマミに「Credens justitiam-正義を信じる者-」は似合わないだろ
今回の描写を見てると正義の味方である事をやめてしまった様に見えるし
見方がズレ過ぎてないか?

このマミをあえて歌に例えるならSAVIOR IN THE DARKの2番か闇を駆けるキバの2番なイメージ

>>537
後者だと完全に闇堕ちor敵対フラグだな
個人的に「闇を駆けるキバ」はほむらのイメージだな
叛逆見てると本質的にほむらが一番バラゴに近いと思う


SS速報が無くなるまでには書き終えてくれ


原作どおりなら次の日には上条の八つ当たり&さやか契約だけど
仮に契約しちゃったら、真実伝えるの先延ばしにした件についてまたマミは悩むのかな

>>540
「もう何も信じない」ってタイトルに繋がるなら
真実伝えて後は知ったこっちゃないって感じなんじゃない?
寧ろ使い魔を狩るさやかと敵対しそう

とはいえ覚悟完了したマミさんは最強故

今日絶狼見に行ってきたが初日なのに人少ないな。
蒼哭ノ魔翌竜見に行ったときは人多かったが牙狼メインじゃないと
これくらいなのか。いいところで切られるから早く続きが見たい。

>>543
前も言われただろ?
ssと関係ない牙狼単体の話題は他所でやれよ
何回同じ流れを繰り返すんだよお前らは……

細かいことでも受け止める
それが男ってもんさ

細かいことでも受け止める
それが男ってもんさ

二重投稿しちまった すまない 大変申し訳ない

>>545>>547
>>1>>345で牙狼なりまどかなり単体で話すのに相応しい場所があるだろ呼びかけてるだろ
しかも、こんな臭い台詞吐いてかっこいいとか思ってんのか?

注意でレスが消費されたり険悪になるのが嫌だからスルーしてとも書いてるんですがそれは
いちいち自治すると無駄に荒れる元だよ

ある程度は自重して頂きもんですけどね
それがネチケットってもんだと思うんだけどな
まあこれ以上は俺もマナー違反なんで打ち切りにするけど

SSの話という名のネタ潰しも大概だと思うんですけど

>>536
そんな事ないよ!
守りし者をやめると言うのは、まどマギ本編でもどこか類型的な正義の味方を気取ってたマミさんが、鋼牙に嫉妬に近い程の憧れを抱いていたマミさんが、自分は自分が信じる自分でしか有り得ないと悟ったと言う事。
これこそ金色の戦士マミさんにふさわしい!魔戒騎士に列せられてもおかしくない最強のマミさんだよ!

>>537
SAVIOR IN THE DARKは最高の曲だけど、マミさんのテーマは1番だよ!
2番はほむらのテーマソングだよ!

>>552
とりあえず見てる物が違うとしか言いようがない
今までのマミの内面描写の何をみていたのか
このマミは以前から「守りし者」を嫌々やっていたでしょ。じゃあ何で今までやってきたのか?
それは物語冒頭でも言っていた「キュゥべえの恩返し」、人を守る魔法少女というアイデンティティがあったから

それが無くなり自分の内にある本当の願いである「生きたい」という願いに気付いた今
もう以前の様に誰かを守るために戦うとは思えない
よって「守りし者」ではなく、自分が生きるためだけに戦う者になった
そうする義理もないしな、守るべき人々に関心や興味や感慨もなく
野菜や家畜と同じ様にしか見えていないのだから本当は周りなんてどうでもよかった

>>553
とりあえず1行目だけは心底同意しとくわ
理解の仕方が根本的に違ってる時点で話がそもそも成立しないのに
なんでムダな主張をして話を続けようとするのかが意味不明だけど

原点に立ち返ってマミさんが覚醒したな胸熱
魔法少女というより戦士の有り様になってきた

自分自身の決して綺麗とは言い難い欲求と向き直って
開き直るんじゃなくて受け入れた上で再び守りし者に覚醒ルートもあるな

TDSと違って自殺しなかったのは
段階的に真実に気付き、心の準備ができていた
命がホラーであると知らないままだった
さやかやまどかを魔法少女に引き込んでおらず、さやかも杏子も死んでない
特に最後のが大きいか
限界を超えない程度に追い込むことで解放されたと言うか

「絶狼 ZERO BLACK BLOOD 白ノ章」見た。やはり鎧は実写に限る。若い新キャラに挟まれた零は大人気ないというか(笑)、このSSの零の方が渋い位だな。そしてエラい事フトモモ祭りであった!金田監督GJ。
というわけでもっとマミさんのフトモモ頂戴。

マミさんは安定した油断のない精神状態だと最強だと叛逆で証明されたしね
正直前半が危ういかと思ったが覚醒してよかった…のかな

■ HTML化依頼スレッド Part17
■ HTML化依頼スレッド Part17 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396957268/)

依頼出しとけよ

終わったのか

終わってないし
他のスレにもいたし荒らしだろう

ちょっとずつですが書き進めてます
来月頭くらいには

鎧着装して待機。

と、まあ99.9秒どころか8日たっちゃったわけだが>>564はとっくに鎧に食われたか?

とりあえず俺のほうは気長に待たせてもらうとしよう。

ゆるゆるまってますー

GWにあまり書き進められなかったもので
進捗70%くらいです……

みんな四期見てるから気にしなくて大丈夫じゃね

心滅獣身で正座待機。
投下があったら全裸になります。

569 いや全裸はマズイでしょ全裸は(笑)。
更新楽しみにしてまーす

>>569 ・・・・・・

中キチ[ピーーー]

もうい~くつね~る~と~、ろ~くが~つ~♪

mLGqWpn00糞くだらねえ書き込みでスレ挙げんてんじゃねえガキ

JRk7TxDv0誰がガキじゃワレ

JRk7TxDv0 P.s. くだらないのはすんません、以後気ィつけますんで(あと言っとっけど俺ガキじゃないからねww。バカバカしいからって“ガキ”って決めつけんのはどうかしてるからねww。大体荒らすつもりで書き込んだわけじゃないし、そういう暴力的な言葉で言ってくるのは人としてどうかしてんじゃないかな? まぁ俺もさっき暴力的な言葉使っちゃったけど。大体そこまでストレートに言われると精神的に傷つくし、それに腹立つから。だからお互いに言葉使い気を付けようや、な? お互い顔見えんし、どっちが年上か年下か分からんからな。そういうとこで)。これ以上はアレなので失礼しま~す。

 このままマミさん堕ちるのかな? 『あなたを喰らって』とか言ってたし。

>>576
…プッ( ´_ゝ`)
何、自分が悪い癖に開き直ってんだ?このカスwwww
そんな頭の悪るさが透けて見える論調で何をほざいても説得力ねえよクズ
そういう精神年齢の低さが垣間見えるからガキなんだよww糞 ガ キ
わかったらママのスネをかじって一生ROMってろ

それからsageろよ。それすらもわからんバカなのか?

すみませんね、まだ慣れてなくて。
ある程度バカなのは認めます。
あと家両親居ないんで、かじるもなにもかじれないんで

相変わらず特オタはキッツイ奴がいるな

選りすぐりのキチガイだ
滅多に見れないぞ

>>580

キチガイ・・・ね

駄目だこいつ早く魔戒騎士に狩られないと

真面目な話、作者さん大丈夫か? GW書き進められなかったって言ってたけど、あれから結構時間経ってるぞ?
また体調崩してたりしてんのならお大事に。

俺も作者に触発されて自分でSSを身内用にちょっとずつ書いてるんだが、息詰まると本気で辛い。

楽な仕事割り当てられたときとか、働きながら物語の展開考えつつ本当に少しずつ進めてるんだけども、どうにも書きたい場面ばかりが先行して肝心なつなぎの部分がおろそかになってて、いざ書いてみると支離滅裂になってて後で読み直すと萎えるんだよなぁ・・・俺自身の文才がないのも相まってひどい出来だよほんとorz

体調崩してるのか俺みたいに行詰まってるにしろ、ゆっくりやろうぜ。せっかくここまで来たんだからさ。応援してるぜ!

>>584
臭えなこいつ

>>585
上に同じく。

夏の気配がしてきたが、>>1の部屋に空調設備は入ったのだろうか。

盛夏の頃に書かれた過去スレを読み返すと行間から暑さが滲み出る。
今年こそ買おうよ。無理は体に毒だよ?

ただ粛々と待て

そろそろ更新されてるかと思って久々に来てみてつっこみたいところ
・››574あたりから››578あたりの連中がバカなケンカおっぱじめててクッソワロタww
ガキでバカでクソでカスで頭の悪さ透けて見えるのは一々付き合ってるアンタ(n/l/f/8f0)もだろww放っておけよww
・さっきと同じで››575のIDの奴のバカさ加減にある意味拍手ww
・結果それだけで約十件の無駄なスレが挙がってるはっきり言って無駄だろ。
・他にもどうでもいいこと書いてる奴居るけど、››558絶狼観たから何? そんなもんここじゃなくてTwitterにでも呟いてろボケが。一々そんなもん書かなくても観た奴等『確かに面白かったねー』の一言で終わんだよ。まだ余裕あるからってスレの残量くらい考えろアホ共。
・作者の体調? ときどき近況報告してんだから気にする事でもねーだろ。››588と同じみたいに待ってろ、向こうには向こうの都合ってもんがあんだよ。元気な時は元気なの。

以上、長々と書いて失礼。

失礼ってつければ痛い長文書いても許されると思ってんじゃねーぞ

だから、要は一々つっかかってくんなっていってんの。バカは放っておきゃいいんだよ、分からねー奴だな。

バカのフリして叩かれ役買って出るID:jLj+C21q0さんカッケーっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

これで満足か?ならとっとと魔界に還れ

満足も何も俺は俺個人としての意見を言ってんだよ

ホント呑み込み悪いなお前ら

人の意見(>>558とか)には聞いてない黙ってろ死ねで
自分の意見はお願い聞いてよーか

[ピーーー]とは一言も言ってない勝手な事ほざいてんじゃねえよ

吐き違ってるお前の頭の方が既に死んでんじゃねーのか?

http://imgur.com/9V4wTmb.jpg

>>597
ワロタww

ことあるごとに特撮に噛みついてくる...
まどか厨ってクズだな


 グリーフシードを触れさせると、ソウルジェムから黒い濁りが浮き上がり、グリーフシードに吸収される。
 もう幾度となく繰り返してきた、手慣れた作業。
 これまでは単なる掃除であり補給でしかなかったが、今は違う。
まさかこれが魔女に――元魔法少女の魂に穢れを肩代わりさせる行為だなんて。
 
 息が詰まる。プレッシャーが痛みさえ伴って圧し掛かる。
 が、耐えられないほどではない。自らの残酷さに向き合って――開き直って、戦う決意を固めた。
その罪を背負ってでも生きると決めたから。

 あなたを喰らって私は生きる。
 その言葉に嘘偽りはない。まったく躊躇いがないと言えば嘘になるが。

 グリーフシードを懐へ、ソウルジェムを髪飾りに戻すと、マミは再び銃を構えた。
 魔女も涙目になりながら態勢を立て直し、マミと対峙する。
魔女は違うだろうが、マミは彼女に対して理解と共感と尊敬の念を持って相対していた。

 しかし、互いに相手を見据える目は同じ、獲物を狙う狩人の眼。
 たとえ元は同じだとしても、同情は戦意を鈍らせる。それはそれ、これはこれ。
さもなくば自分が殺される。それが魔法少女の戦い。それは今までも、これからも変わりはしない。


 右手に銃を提げ、腰を落としながら魔女の一挙一動に注意を払うマミ。
 いくら相手が単純でも、そう何度も同じ手は食わない。
 魔女との戦いは互いを知らないまま、初撃が決定打となることも多い。
この魔女の場合は、特にその傾向が強い。

 マミも危うくティロ・フィナーレをかわされ、隠された牙に引き裂かれるところだった。
 だが、こうして手の内を見せ合ったからには、ここからは単純に必殺の一撃を先に加えた方が勝者となる。
 もう、流れに任せっきりではいられない。持てるすべての力を振り絞るしかない。生き残る為に。

 
 先に動いたのは魔女。
 睨みあって相手の動きを読むなんて知恵、彼女には到底ないのだ。また、その必要も。
 頑強な肉体と自慢の牙で、あらゆる障害を突破し、噛み砕けばいい。
 
 マミは突進をかわしながら、ひたすらチャンスを窺う。
 追いつかれれば一巻の終わり。腕でも足でも、たったひと噛みで戦闘力の大半を奪われ、勝敗は決する。
 魔女に比べれば、多少の強化はされていようが、人の身体のなんと脆弱なことか。
これまで幾体もの魔女と戦ってきたが、今日ほど強く実感した日はない。

 牙狼――鋼牙もそう。まして彼の場合は魔法による強化もなしに、鍛えた身体だけで魔獣と戦ってきた。
人間を守る使命に全身全霊を捧げてきた。おそらくマミよりも、ずっとずっと長い間。


――きっと私には、そんな生き方はできない……。 

 人間に仇為す敵は、倒すべき魔女は、元は人間を守ってきた魔法少女の成れの果て。
そして、いつかは自分も魔女に変わってしまう。逃れ得る手段は唯一、死のみ。
 信じてきた正義が崩れ去り、キュゥべえとも袂を分かった。
もう何を信じればいいのかもわからず、途方に暮れている。

 ホラーも元は人間。ホラーが人の邪心に憑くのなら、鋼牙は人の醜い側面も数多く見てきたはず。
 たとえば鋼牙や零と出会ったあの日――始まりの日の朝、絡んできた下衆な男もそうだろう。
彼がいつから憑依されていたのか知らないが、風貌や口調からして誠実な人間ではなさそうだった。
成り済ますなら、少なくとも表面上は変わらないだろうから。

 鋼牙に迷いはなかったのだろうか。守る価値と意味に一度でも苦悩しなかったのか。
 わからない。けれども、彼は戦い続けてきた。
 その辿ってきた道程を想像すると、こう思ってしまうのだ。
 どうしても。

――やはり私は……守りし者にはなれない……。


 自分は、死にたくないという内なる声に縋り、従っているだけ。
 でも、それでも構わない。今さらショックを受けたりなんかしない。
 今はただ生きる為に戦う。
 彼女を殺してでも。


 その後、マミと魔女の戦闘は膠着した。
 魔女は焦れて単調な突進と噛みつきを、マミは逃げながらそれを迎撃する。その繰り返し。
 図体の大きい魔女を撃つのは簡単だった。しかし、どれだけ身体に銃弾を撃ち込んでも手応えがない。

 こうなったら生半可な攻撃は無意味と結論するしかない。
 こうしている間にも、魔力は刻々と消費されているのに。
 焦れているのはマミも同じ。いや、マミの方が焦りは募っているかもしれなかった。
発砲の際も一秒だって止まらず、絶えず移動しているせいで疲労の色も表れ始めている。

 この魔女を倒すには、敵の急所――人間で言えば脳や心臓を捉えなければならない。
しかしマミには、その部位も術も掴めずにいた。

 

 そして数分が経つ頃、マミのこめかみには汗が伝い、息を切らすまでになっていた。
 完全に攻めあぐねていた。

 なかなか攻勢に出られない。窮地を救ってくれた"生きたい"という願いが、今は枷になっていた。
死にたくないと意識したことで、慎重を通り越して臆病になっている。
 一度破られた故に、拘束から砲撃の定番のパターンに自信が持てなくなっているのもあった。

――勝つ為に時には思い切った攻撃も必要。そんなことわかってる。わかっているけど……。

 攻める瞬間こそ最も隙が生じやすい。だが、攻めなくては絶対に勝ちは得られない。
不器用な自分が恨めしかった。
  
 何度目かの攻防の後、大きく息を吐くと、ふと腹部に違和感を覚えた。
 久し振りな気さえする、この感覚。
 なんと空腹感だった。


――なんで私、こんな時に……。

 今日は一日、お茶くらいしか口にしていない。
まだ今朝はあまり食欲が戻っておらず、昨夜のお粥が最後の食事。
昼以降は打ちのめされて、すっかりそれどころではなくなっていた。
 
 そういえば、つい先日も同じことがあった。
 一昨日の夜、命と待ち合わせた喫茶店で、涼邑零とした食事だ。

 あの時も悲嘆に暮れて、丸一日食欲を忘れていた。生きる気力を失いかけていた。
 取り戻させたのは、たった一個のケーキ。
 灰色の世界が鮮やかに色彩を取り戻した。

――「それでも、美味いケーキとお茶があれば、ちょっとは生きてて良かったって思える」
 
 零がケーキと共に差し出した言葉。
 その言葉通り、あの瞬間マミは生きてて良かったと心から実感した。
 空腹も食べる喜びも、身体が生きたがっているという証拠。
今日もまた絶望しかけていたが、再び生を渇望をしたから蘇ったのだろう。


 一般に、アドレナリンの分泌によって食欲は抑制されると聞く。
激しい運動に加え、こんなにも興奮、緊張しているというのに。

――こんなお菓子だらけの景色に中てられたのかしら。
それとも実は私は、この状況をさほど脅威に感じていない……?――

 もしかしたら、なまじ魂と身体を切り離されたせいなのかもしれない。
思考と心理の不一致。特に、ここ数日で幾度となく経験した感覚。
 自分の求めるものが――自分自身がわからない。
 だからこそ、原始的な欲求だけが唯一の道標になっているのだ。

 或いは、今のマミにとって最も大切な生きる意味だからか。

――甘いものが食べたいだなんて、こんなもの希望とも呼べない、ささやかな未練。
あまりにもちっぽけで、取るに足らない拠り所……――

 しかしマミには、その程度しかなかった。他には何ひとつ残されていなかった。


 ともあれ、空腹感はマミの生への執着をより強く喚起した。
 そして同時に、か細い勝算に気付かせる。
 いや、厳密には気付いていたが、最後の手段と考えていた。危険が大きかったから。
 それが今、怯えを覆す勇気を得て踏ん切りがついた気がする。

 クスッと、ひとり小さく笑みを漏らすマミ。

――まさか、お腹が空いたのが切っ掛けで思い出すなんて。

 しかも、そこからヒントを得られるなんて、奇妙なこともあるものだ。
 自分以外の人間の思考をトレースすれば、窮地を切り抜ける方策が見つかるはず。
そう思い、鋼牙の戦い方をなぞろうと思っていたが。
  
 忘れていた。
 鋼牙の他にもひとりだけ、その戦いを間近で見たことのある人物がいる。
自分とはまるで違う戦い方だが、実力は控えめに見積もっても同等。
 鋼牙より付き合いは長い。その動きは、この眼に焼き付いている。その性格も、よく知っている。
 何度も共に戦った。戦い以外の時間も共に過ごした。そして紆余曲折の末に決裂し、マミが敗北を喫した人物――。


 *

 マミは突進してきた魔女をかわすと、残ったイスの上に飛び乗った。
 すぐにマスケットを周囲に展開、斉射。しかし下から迫る魔女は、肉を穿つ銃弾をもろともせず向かってくる。

 両者の距離は一秒と経たずにゼロになり激突――するより先に、マミの体勢が大きく崩れた。
魔女の乱暴な突撃に接触したイスの脚がへし折られたのだ。
 イスの破片と共に空中に放り出されるマミの身体。
散々焦らされてきた魔女が、絶好のチャンスを逃すはずがなかった。
 
 上空で巨体をうねらせ、急降下。
ヒラヒラと木の葉のように舞い落ちるだけのマミを、魔女は猛禽を思わせる俊敏さで狙う。
 あと数メートルで待望の獲物に喰い付けると、大きく口を開き、ひと呑みにしようとした寸前。
またしてもマミは落下の軌道を変えた。その手には黄色いリボンが握られている。

 鼻先をかすめて横に逃げたマミを睨みつける魔女は、豊かな表情を怒り一色に染めた。
 どこかコミカルで緊張感に欠ける怒り顔とは裏腹に、追い縋る速さは凄まじい。
 
 魔女の飛翔はリボンがマミを引き寄せる勢いを上回り、遂に牙が届くかと思いきや。
マミは壁際でリボンを握る手を放して、再び重力に従って落下。またまた牙をかわす。
 その瞬間――マミは、これ見よがしに口元を歪めていた。


 リボンは壁の弾痕から伸びていた。魔女は引き寄せられていたマミに追いつきかけていた。
魔女の部屋は広いが、巨体が高速で飛び回るに充分とは言い難い。

 以上の条件が揃った時、何が起こるかは明白。 
 
 轟音と激しい衝撃が空間を震わせた。

 魔女が顔面を強かに壁にぶつけたのだ。
 結界が壊れるかと思うほどの震動。魔女と言えど無傷ではいられないとわかる。
 
 にも拘らず、魔女は悶えもせず、落下するマミを追う。
 今やマミは右手にマスケットを一丁握るのみ。
周囲にはリボンも張り巡らせておらず、新たに仕掛けるには時間が足りない。

 魔女が一瞬でそこまで考えたかは定かでないが、好機であることは一目瞭然。
それに何より、ほくそ笑んだ敵にからかわれたと気付いたのだろう。
 
 絶対に仕留めるという執念を感じさせるほどに、魔女は加速する。
 マミは空中で仰向けになり、右手のマスケットを突き出している。
 回避を諦め、反撃を試みる気だ。それしか術はないだろう。
このままでは着地するより早く牙は届き、その身を引き裂く。

 
 だが、今さら豆鉄砲ひとつで何になる。まずはその右腕から喰い千切ってやる。
 そんな嘲りの意思を表すように、魔女はマミの右腕を開いた口に入れた。
 あとは口さえ閉じれば、サメのような、ノコギリのような牙が肉に食い込み、骨を砕く。
 女の細腕など容易く千切れる。

 そして魔女が上下の歯でマミの腕を挟むと――。


 ガチィィィィ……――と硬い音が響いた。

 柔らかい肉の感触はない。
 いくら力を入れようと、牙はそれを刺すことも砕くことも叶わず、ガリガリ火花を散らしている。
 
 最初、何が起こったのか理解できなかった。
 魔女は自らの口に視線を落とし、ようやく咥えている物を認識する。
 それは金属の筒――正確には巨大な銃。その先端が、すっぽり口の中に収まっていたのだ。

 大きな眼が一際見開かれると、魔女は全身をぶるりと震わせた。
 かつて人間であった頃の感情の残滓か。それとも生物としての本能か。
 ただひとつ確かなのは、突きつけていたはずの死が、ひっくり返ったことだけ。


 魔女は眼球だけを動かし、視線は舐めるように砲身をなぞると、マミの瞳で留まった。 
 直後、その鋭い眼光に釘づけにされる。

 闘志と殺気を極限まで凝縮させた、それだけで射殺せそうなほどの気迫を込めた眼差し。
 侮りや嘲りの欠片もない。敵が、この一発逆転にすべてを賭けていたのだと知る。
 己が身を捨ててでも、勝利をもぎ取る為に。
 
 しかし、気付いたところで砲口は完全にはまっており、抜け出すのは困難。
 加えて、マミの決死の瞳が魔女を縛った。魔女の眼はマミの眼に吸い寄せられ、離れない。
一秒にも満たなかったが、その瞬間、魔女はさながら猟犬に睨まれた小動物と化していた。

 そして、引き金が引かれると同時に、マミの殺意の視線から、大砲の形をしたその具現から。
 必死に逃れようとする魔女の口内で巨大な銃が火を噴き、閃光が爆ぜた――。

 *

 ティロ・フィナーレ。
 マミの必殺技である。
 威力は高いが、魔力の消耗も激しい。
また防がれるかもしれない正面から撃つのは避け、確実に当たる状況を作るには。


 魔女に心臓や脳はないようだが、もし核に近いものがあるとしたら、
そうでなくても脆い部分があるとしたら一ヶ所しか考えられない。
外側が硬い敵を倒すには、最早お決まりのパターンと言える。
 では、そこに必殺の一撃を叩き込むには。
 
 それらを短時間で考えた答えが、これだった。
 自分を囮にしてギリギリまで敵を引き付ける、博打的な捨て身の戦法。
 これしかないと決めたら躊躇いはなかった。最悪、腕の一本も奪われても構わないとさえ。

 マミの見立てでは、この魔女は賢くないと踏んでいたが、用心は必要。
 僅かでもフェイントかもしれないと疑心を抱かせてはいけない。
 さりとて念入りに考える時間もなかった。
 
 だから敢えて考えなかった。正確には動く寸前に考えた。
 最初のジャンプ以外はすべてアドリブでこなした。焦っていたのも真実なら、リボンを放したのも咄嗟の判断。
 笑ったのも意図した挑発でなく、緊張と紙一重で牙を逃れた安堵から引きつっただけ。
 
 流れに任せきりではいられないと誓った矢先だったが、同じようでもまるで違う。
 戦い始めは何も選ばずに投げやりになっていた。思考自体を放棄していた。
 次は迷いに支配されて、型通りの必勝パターンに頼っていた。


 今度は考えた結果、深く考えないのが最良と選択し、決断した。
 迷う余裕もなかったので惑うこともなかった。
 己の直感と閃きだけに従い、死中に活を見出した。

――きっと、あの娘ならこうすると思ったから。

 そして零距離から必殺の一撃を見舞ったマミは反動で大きく吹っ飛び、そのまま床に叩きつけられた。

「――かはっ……!」

受け身を取っていたので意識を失いはしなかったが、痛みと衝撃で肺の空気が絞り出されて息が止まる。
 それでもマミは即座に飛び起きると、落下地点から全速力で逃げた。
 
 何故なら、その頭上から巨大な物体が降ってきていたから。
 間一髪、マミの退避が完了したところで、魔女の巨体が轟音と地響きと共に墜落した。
その際、周囲の残骸やお菓子のオブジェを粉砕しながら落下した為に、破片や塵が大量に舞う。
 
 苦しそうに息を荒げながらも、マミは魔女を隠す粉塵の煙幕を睨みつける。
戦闘態勢を維持したまま、どうにか魔女を見つけようと目を凝らす。
 数秒して煙が晴れ、魔女の姿が露わになる。


 魔女は白目をむき、半開きの口から煙を吐きながら横たわっていた。
 ある意味では予想通り。理想を言えば口から一直線に全身を貫きたかったが、
魔女が辛うじて身体を捻った為に、狙いが逸れたのだろう。人間で言うなら首の辺りに抜けたようだ。

 一発で倒せなかったのは残念だったが、効果は上々。
これが無傷だったりしたら絶望していたかもしれない。二度目を狙うのは限りなく不可能に近いからだ。
 だがマミにとって、それは二番目に恐れていた結果でもあった。
 
 気付くと手足が震えている。
 震えている理由すら、最初は理解できなかった。
 魔女が元は魔法少女で、それでも生きるには殺さなければならない。だから魔女を殺してでも自分は生きる。
そう心に決めて、すべて受け入れた――つもりだった。

 それが今、瀕死の魔女を眺めるマミの心中に、突如として恐れが生じた。
 ティロ・フィナーレを撃った時は微塵の迷いもなかったはずなのに。
 その理由は、すぐに思い至った。

――これはきっと覚悟と重みの違い……。

 例えるなら、ガンマンの決闘でも、侍の真剣勝負でも、何なら格闘家でもいい。
 体格、武器や技術の差、果ては当日の体調や精神状態まで。どうしたって強弱はあり、完全な公平はあり得ない。


 だが、そんなことは問題ではないのだ。
 互いに力と戦う意志を携え、対峙する。その合意こそが肝要。
 その意味で、マミと魔女は対等だった。

 マミは魔女への恨み辛みで戦っていなかった。
真実を知る前は人を喰らう魔女を憎みもしたが、今はもう憎めなかった。
 同情もしたし、共感もした。

 それでも戦うには、そういった必ずしも恨みや憎しみとは限らない、
むしろ敬意や誇りを持って行いさえする、
人間同士の命の遣り取り――戦いにおける美学とでも言うのか、そんなものを拠り所にしていた面もあったと気付く。
 
 戦いは熾烈だったが、遠慮も気負いもせずに済んだ。殺さなければ殺されるから。
余計な一切を考えずにいられた。

 せめて、その空気に酔ったままなら手を下すのは楽だった。
 一瞬でも我に返ってはいけなかった。
 しかし、マミは正気を取り戻した。結果、戦いの熱と興奮が一気に冷めてしまった。
 
 戦いは終わらない。
 たとえ手足を撃ち抜いても、切断しても、へし折っても、相手の息の根を完全に止めるまでは。
 それが揺るぎない現実であり、殺し合いの真実。


――人間ならまだしも、魔女と魔法少女の戦いに降参はあり得ない。
戦闘不能になったからって勝敗が決することもない。そんなこと、わかってた。
瀕死の魔女に止めを刺すのも、もう何回もやってきた。なのに――

 殺される覚悟はあっても、殺す覚悟はまだ不十分だった。
 人間なら再起不能の傷を負わせれば、少なくともその場は収まる。
だが魔女は、あと数十秒もすれば、また立ち向かってくる。

 迷っている時間は、ない。
 マミは拳をきつく握り締め、どうにか震えを抑えた。
 
――胸が痛い……。
私は彼女を救えない。彼女の為にできることは、もう何もない。
わかっていても、こんなにも辛い。でも結局、私はまた切り捨てるしかできない――


 そうしなければ心が耐えられそうにないから。
 感情が枷になるなら、いっそ捨ててしまおう。切り離して、戦いだけを考えられるように。
 自分を殺して、冷たく硬く心を凍らせよう。鍵を掛けて封印し、深く深く胸に沈めるように。
 目蓋を閉じ、一心に念じる。


「私は……もう何も信じない。私自身でさえも……」


 目を開いた時、マミの顔から表情は消え失せ、昏い瞳には強い決意が秘められていた。
 今度こそ終わりにする。抵抗できなくても、一方的な虐殺だとしても。
 ここからは決闘ではない。

 魔女の処刑だ。

まだあるのですが続きは明日にでも
人物が一人しかいないとセリフが少ないので一レスを短くしました

乙乙乙乙乙ゥゥゥゥゥ!
遂に更新キタ――!
マミさんの新たな決意……これからの物語にどう関わってくるのか……。
明日も楽しみにしてます!


同情したって魔女になっちゃったものはもうどうしようもないからな
知人がゾンビになったけど感情移入しちゃうのと同じくらいにはナンセンス
もっともそれを知ってるのと知らないのとでは気持ち的に雲泥の差があるだろうけど

更新乙です。
まどかも牙狼もこのSSも、息の長いコンテンツになってきましたな。

すみません
大きめのミスがあったので、今日は延期します
明日は必ず

座して待ちます


 *

 マミは手始めに、魔女に銃口を向けた。
 身体はまだ不完全らしく、魔女は身を激しく波打たせるだけだったが、
ティロ・フィナーレによるショックからは立ち直ったのか、恨めしげにマミを睨め上げている。

 口に狙いを向けると、牙を噛み合わせて頑なに閉ざす。
 弱点を晒している自覚があるのだろう。体内を狙われないよう防御している。
 そこが脆いと自ら認めているも同然だ。しかも閉ざしている間は攻撃もできないから、
身体が万全に回復するまでの時間稼ぎ。

 つまり、回復するまでに致命傷を与えられればマミの勝利だ。
 戦うだけのマシンの如く、冷静に、冷徹に、マミは状況を分析する。
感情を排してみれば、驚くほど多くの選択肢が見えてくる。おそらく感情が無意識に避けていたものも含めて。

 そのうちのひとつ。
 導き出した最適解の前段階として、マミはまず手からリボンを伸ばした。
 狙いはやはり口。閉じられていても、砲撃のダメージで歯の何本かは欠けるか折れるかしている。
リボンが入る余地は充分にあった。


 蛇のように地を這いながら口の中に侵入するリボンを魔女は噛み切ろうと試みるが、噛み切ったところで裂けて隙間から入るだけ。
細くなってもコントロールは切れず、その機能も失われない。
 
 もがく魔女を、床の弾痕から伸びた別のリボンが拘束する。本気で暴れられれば手がつけられなくても、
横になった状態でのたうち回るだけなら、取り押さえるのは容易だ。
 どれだけ暴れようと無意味。その様は、傷付き立てない獣に凶暴なアリが群がっているようでもあった。

 そちらに気を取られている隙に、口内のリボンは既に配置を完了していた。
 直後、四方八方に広がったリボンの先端にマスケットが出現。魔女の口が歪に膨らむ。
 距離が開いていても、リボンがマミの支配下にある限り、そこを介して銃を生み出し操ることは難しくない。
そもそも銃もリボンを変化させて作っているのだから。

「まずは、その食いしん坊な口から先に塞いであげるわ」

 その言葉を引き金に、立て続けに銃声が響く。魔女の口のあちこちから弾丸が飛び出す。
 これだけなら大したダメージにはならない。だが、弾丸はリボンの尾を引いている。


 マミは弾丸が貫いた瞬間、突き出した手のひらをグッと握る。
 すると、弾丸はほどけて元のリボンに戻り、それぞれ独自に動き始めた。
 ひとつは他の弾が出た穴に入り、また他の穴から出る。ひとつは他のリボンを跨いだり、下をくぐったり。
規則性もなく複雑に蠢くリボンだが、最後には互いに繋がり、結び目を作る。

 すべてのリボンが動きを止めた時、そこには口を舌ごと縫い合わされた魔女が転がっていた。
 マミは魔女の口で裁縫をしたのだ。
 しかし、リボンは無茶苦茶に絡み合い、出来はあまりに乱雑。マミ本人にも、どこがどう繋がっているのかわからない。
どうせほどく気もないから、でたらめに結んでやった。

 しかもマスケットも消えずに中で引っ掛かっている為、外れる心配はない。
強引に戒めを引き千切るのは、如何に魔女でも手こずるだろう。

 魔女はまだ力を隠しているかもしれないと、マミは警戒していた。
根拠こそなかったが、最初が最初である。また体内から何かが出てこないとも限らない。
 だから真っ先に封じたかった。
魔女はこじ開けられると思って食い縛ったのだろうが、逆にそれが仇となった。
 
 閉じようとする口をこじ開けるのは困難だが、開かないように閉じる方はまだやりやすい。
 では、口を閉じてしまった今、どうやって魔女を倒すのかが問題だが――。
 マミは一瞬の逡巡の後、考えていたそれを実行に移した。

 
――心を凍てつかせても、なお足が竦む。その惨さに躊躇してしまう。
だけど、それでも私は――

 この空間は、天井に床、あらゆる場所に弾痕が残っている。使い魔も含めた激戦の名残だ。
 弾痕からは自在にリボンを伸ばせる。つまり、この空間に限っては、今やマミの結界と言い換えても過言ではない。
  地を這うリボンに拘束された魔女の尻尾を、天井から降りたリボンが引き寄せ、逆さに吊るす。
 代わりに床から伸びたリボンは、魔女の首に巻き付いた。

 本来、繋ぎ止める願いから生まれたリボンは、特に引き留める力が強い。
これをマミは主に拘束に、他にも移動など様々な用途に使ってきたが、直接攻撃にも使えるはず。

 魔力の加減にもよるが、魔法のリボンは見た目に反して驚くほど耐久力に優れている。
薔薇の魔女相手には細い糸状でも、全身をくるむだけで短時間の拘束には充分な効果を発揮した。 
しかし、ホラーにはあっけなく切断されている。

 ただの刃物ならいざ知らず、ホラーの身体の一部だ。
魔力か何か特殊な力を帯びた刃の前では、ただのリボンに等しいのかもしれない。
つまり魔戒騎士のソウルメタルの剣でも、場合によっては魔法少女の武器でも。


――だから考えた。どうすれば、より強く、より有効に、この力を使えるかを。
 
 上下から魔女を縛るリボンは、どちらも薔薇の魔女との戦い同様に極細。気付かれないように伸ばす為だった。
 今はまだ数十本の糸が個別に動いているだけ。あのホラーの刃なら、ただの糸をナイフで切るほど容易い。
この魔女の力なら引き千切れるかもしれない。

 ならば、と数をさらに増やす。上下すべての穴から伸びる何百何千もの金糸が、魔女を縛るリボンに合流する。
 それは壮観な光景だった。無数の金糸が空間を埋め尽くしていた。
 大地に根を広げ、空に葉を茂らす樹のよう。天地からの養分で幹を太らせる金色の大樹。

 鋼牙とホラーに出会った日、暗闇の中で見た人生で最初の、かつ最後と覚悟した、最高に美しい光。
 黄金騎士・牙狼が放つ光にも、どこか似ていた。

――綺麗……。でも、そんな立派なものじゃない。これを美しいと感じてはいけない。
だって、これは魔女の死刑台なのだから――

「まだ足りない。単に束ねただけじゃ、まだ……」

 マミが力を込めると、すべての糸が回転を始めた。
 それぞれ周囲の糸と絡み、撚り合わさっているのだ。
最初は数本の組み合わせだったそれは、撚り合わされた糸同士が、さらに重なって太さを増していく。
 次第に糸は紐となり、紐は縄となる。

 
 最終的に、大量のリボンの束は一本の極太のロープと化した。
捻じれて空間を縦に貫く様は、まるで童話で読んだ巨大な豆の木のようだった。
 
 残酷だが、これしかない。他に考えつかなかった。
 リボンで可能な切断は、あくまで補助であり、どうしても剣や槍には劣る。
魔女の身体を両断できるとは思えない。
これが今の、ティロ・フィナーレに自信が持てないマミの精一杯の切り札。

 流石に何をされるか、魔女も気付いたのだろう。だが、いくら暴れようとビクともしない。
薔薇の魔女とは、足止めの拘束とは訳が違う。"そのものを武器とする"のが目的なのだから。

 単純に魔力によって強度を高めるにも限界がある。
それよりも数を増やし、一本に撚り合わせる方が頑丈になる。
 これなら、どんな刃物でも易々とは切らせない自信がある。
 
 そして、引き寄せる力もまた単独で動かすよりも強くなる。
では、相反する方向から全力で引いたなら、対象はどうなるか。


 マミはおもむろに右手を上げ、

「――なさい……」

 一言呟くと、素早く振り下ろした。刑吏に執行を合図するかのように。
 その行為に必然的な理由はなかった。強いて理由があるとすれば、何か切っ掛けが欲しかったのかもしれない。
 決して言うまいと密かに誓ったはずの言葉が、口をついて小さく零れ落ちた。

 ミシッ――と、ロープが軋む。いや、軋んだのはロープだけではなかった。
 魔女の全身が上下に引き絞られ、ギシギシと音を立てている気がした。
魔女の大きな瞳はカッと見開かれ、身体が激しく左右に振られる。

 縫い止められた口から叫びが漏れることはない。
 魔女に痛覚はあるのだろうか。恐怖する心はあるだろうか。
本当のところは知る由もない。だが、彼女も人間だった頃は戦いの運命に怯え、痛みに涙していたのかもしれない。
 そんなことを考えながらも、マミは一言も発することなく、処刑の行方を静かに見つめていた。
 


――そういえば、こんな光景に見覚えがあるような……。
あれは確か……新しい魔法や、その名前を練ろうと図書館で本を読み漁っていた時だったかしら……。

 まだ二年も経っていないのに、遥か遠い昔に思える。
 物の本で読んだ中世の処刑法。
 罪人の四肢――或いは両手を固定した両足――を別方向に牛馬に引かせ、
苦痛を与えながら引き千切り、死に至らしめるという刑罰。

 あれは何と言ったか――そう、主に"八つ裂き"と呼ばれる酷刑だった。

――こんな時に、こんなこと思い出すなんて……。

 なんてことはない。これも他の魔法と同じ過程を経て編み出されたのだ。
 
――他の誰でもない、私のイメージから生まれた、私の一面。
ある意味、これも私らしい魔法なのかもしれないわね……。今は名前を考える気には、とてもなれないけれど――

 などと内心で自嘲する。
 こんな残酷な魔法を思いつく自分は変貌したのか。それとも最初から変わっていなかったのか。
 マミ自身にも、わからなくなっていた。


 暫くの間、場は静寂に支配された。
 魔女は声もなく暴れ狂い、マミは静観していた。
聞こえてくるのは、ロープの摩擦音だけ。それとて広い空間ではないも同然だ。
 
 もう五分は過ぎただろうか。いや、実際はまだ一分かそこらだろう。
 この静けさが、マミには居た堪れなかった。

 空気が重苦しくて、痛々しくて、ひたすら辛い。死刑の場に立ち会うというのは、こんな気分なのだろうか。
自分の身まで裂かれる想いだった――もっとも、
本当に裂かれている魔女とは比ぶべくもないとわかってはいたが。

 待つこと数秒。遂に、その時が訪れる。
 ギシギシと軋む音に、微かに混じるブツッという音。
 マミの背筋にゾッと戦慄が走る。限界を超え肉体が断裂する音だと、すぐに察した。
 マミは固唾を呑んで、しかし目を逸らさず見届ける。

 八つ裂きと言っても、そう簡単に裂けはしない。
人間でさえ、あらかじめ骨を砕き、肉に"切れ目"を入れておくらしい。
でなければ上手く千切れないのだとか。


 魔女の身体は人間より遥かに頑強だが、"切れ目"ならある。
 ティロ・フィナーレが貫いた傷は、まだ塞がっていない。
 蟻の一穴の例えもあるように、僅かなひび割れであっても、そこから必ず崩れる。

 ブツッ……ブツン……と、肉が裂けるにつれ連鎖的に耐久力を失っていく。
 心臓は大きく脈打ち、うるさいくらい鼓動が聞こえるのに、その音だけは耳にこびりついて離れない。
 怖かった。できるなら耳を塞いで、うずくまってしまいたかった。

 だが、逃げたい気持ちを捩じ伏せて、マミは駄目押しに最後の魔力を込める。
 ロープが一際強く引かれると――魔女の身体は完全に二つに裂かれた。
 ひとたび崩壊が始まってしまえば時間は掛からなかった。

 もげた首の中身は、ドロリと濁った黒が覗いている。
果たして肉が詰まっているのか、いないのか。その中身は、やはり虚無のような印象を受けた。
 マミは軽く見遣ったが、じっと観察する趣味も時間もない。

 残った胴を、すぐに上下からロープが呑み込む。まだ魔女が死んだとは限らないからだ。
必要なら再び拘束し、圧砕するつもりだ。殺すなら徹底的に。ここまでしておいて、躊躇う理由も資格もありはしない。
 虚空を見つめたままの首にも注意を払いつつ、身構えること数秒。  
 首は黒い霞となり、やがて透けていき、最後には消滅した。それと同時に、包んだ胴の手応えも消えた。


「……終わったの?」

 独り言に答える者はいない。しかし、床に転がっていたグリーフシードの存在が、マミの言葉を肯定していた。
 拾い上げたグリーフシードに視線を落として、マミの動きが止まる。

 胸中に渦巻く、この不快な感覚は何だろう。命を拾った安心感も、グリーフシードを得た達成感もない。

――これは誰に対しての怒り? 
自分自身に、キュゥべえに……魔法少女の運命に。
熱と痛みと、言いようのない苛立ち。黒い炎に焼かれているみたいな――

 激しい破壊衝動が湧き上がるが、発散させる術もなく持て余す。
 可能なら手当たり次第に八つ当たりしたい気分。しないのは、子供の癇癪と同じだと自覚しているから。
 マミは戦闘態勢を解かず、無意識に気を張り巡らせていた。

 結果的に、その憤懣が自身を救った。



 マミは誰もいないにも関わらず、周囲に敵意を発していた。
感覚は研ぎ澄まされ、背後から奇声を上げて飛び掛かる襲撃者にも反応できた。
 まさか本当に敵が現れるとは予想もしていなかったが。
 
 思考とは無関係に、身体は動いていた。
不安定な感情や思考を切り離し、身を守る為に反射で攻撃する。その機能は、今日一日で特に磨かれた。
 加えて今は、とびきり機嫌が悪い。

 マミは振り向くより早くマスケットを右手に握り、銃口を上にして肩に担ぐ。
 空気の流れと音、声、臭い、気配。それらが示す敵の位置は後方、斜め上。
 それでも襲撃者が僅かに早くマミに届く――かに思われたが、寸前で急ブレーキが掛かる。
 
 さらに上から伸びたリボンが襲撃者の首に巻き付き、宙吊りにした。
 半開きになった襲撃者の口に、マスケットの銃口を突き入れる。
額でも顎でも、とりあえず首から上ならどこでもよかった。
 低く唸る声は人間のそれではなかった。殺さないよう配慮する必要もない。

 振り返るのを待たずマミは引き金を引き、破壊衝動を解き放った。
 銃弾が襲撃者の後頭部を砕いた直後、マミもようやく襲撃者の正体を確かめる。


「――っ……!!」

 瞬間、マミは息を呑んだ。驚きのあまり声も出せず硬直する。心臓が止まるかと思った。
何せ目の前で怪物が牙を剥いていたのだから。

 醜悪でおどろおどろしい顔。墨を流したような漆黒の肌。背中に広がった奇怪な翼。
鬼や悪魔にも似た、とにかく魔女の使い魔とは異なる異形のモンスター。
 
 強力な弾丸により一撃で後頭部を破壊された怪物は、どす黒くヘドロ状の体液を撒き散らした。
当然だが、マミの頭上で。

 その刹那、マミの思考は完全に停止していた。
攻撃ともつかない飛沫に対し、身体は咄嗟に手で顔を守るだけだった。

 取り返しのつかない痛恨のミス。
 後にして思えば、跳び退くべきだったのだ。得体の知れない怪物の体液なんて、絶対に触れてはいけなかった。
それが何を意味するか理解していないマミには無理もなかったのだが。

 マミは数瞬で思考を立て直し、判断を誤ったと悟るが、まだ大丈夫だろうと油断もしていた。
 この時は、まだ。
 その些細な選択を心底から後悔して、愚かだったと己を呪うのは、もう少し先のこと。


 そして襲撃者の返り血は、マミの帽子と服に、金髪に、肌に降り注ぐ。 

 量にすれば僅か。ティーカップの底に薄く溜まる程度だが、確実にマミの肉体に付着した。

 怪物だけに高温や強酸の体液かと覚悟したが、意外に痛みもなければ熱もない。
 よって退かなかった分、すぐさま追撃に移れた。防御に使った左手はそのままに、右手で新たなマスケットを構える。
 発砲。
 弾丸は難なく怪物の鼻から上を吹き飛ばした。

 頭のなくなった怪物の身体は力を失い、だらりとリボンに垂れ下がる。今度はマミも返り血をかわした。
 しかし表情は一向に晴れず、立ち尽くしている。

――これは何なの……? 魔女の使い魔じゃない。でも、前に見た気もする。どこか姿形に共通点がある。
ほんの数日前……暗闇の中で……まさか、これは――

 人を喰い、鋼牙ら魔戒騎士が狩る魔物。
 マミを瀕死に追い込み、さやかの心に深い傷を残した忌むべき存在。
 魔獣、ホラー。

 マミは知らなかったが、それは素体ホラーと呼ばれる、ホラーが陰我と融合する前の共通した姿だった。


――何故、ホラーがここに? ううん、その前に本当にこれはホラーなの……?
 
 マミは不安と迷いの直中にいた。
 身体の傷は癒えても、心の傷は簡単には癒えない。
さやかに比べれば目立たないが、ホラーはマミの心にも傷を刻んでいた。
 が、それを差し引いても恐れるには充分な状況。

――おかしい。あまりに呆気なさすぎる……。だって冴島さんは言っていた。
ホラーは殺せない。魔戒騎士でないと封印もできないと。
じゃあ、このホラーも……――

 周囲の景色が歪み始めた。そう言えば、まだ魔女の撃破から三十秒と経っていない。
 そろそろ主を失った結界が消滅する頃だ。
 しかしマミは消滅を待たず、ホラーに背中を向けて走り出した。

――早く……早く逃げないと!

 ホラーは消滅する気配を見せなかった。つまり、あのホラーはまだ生きている。
いずれ復活して襲ってくる。
 そもそも殺せない敵を相手に、どうやって戦えばいいのか。勝てるはずがない。


 だから逃げる。少しでも距離を離しておく。
ホラーを原形を留めなくなるまで潰せば時間は稼げるかもしれないが、
何が起こるかわからないし、人目を引けば却って危険だ。

――でもいいの? ホラーを放って私ひとり逃げ出しても……。

 一瞬だけ踏み留まったが、振り切って再び走り出す。
 怖気づいているのは素直に認めるが、手の打ちようがないのも事実。
鋼牙と連絡の取りようがない以上、身を守ることを最優先にする。そう、胸の中で言い訳しながら。
 
 やがて完全に結界は崩壊。元の世界に戻っても、マミは足を止めなかった。
 いつの間にか太陽は沈み、空は薄紫に染まっていた。病院の裏側は近寄る者もなく、付近に人の気配はない。
 普段なら好都合なのだが、何故だか心細くて堪らない。成長と共に忘れていた暗闇への恐怖が蘇る。
無性に人恋しくなって、通りに駆け出した。

 そこに待っていたのは、闇を照らす街灯や電飾の光。
店先から漏れるCMや流行りの曲、行き交う車の音。何より多くの人の姿と声。
 都市の中心部に比べれば地味だったが、やっと人間の世界に戻ってこれたと実感するには充分過ぎた。

 マミは暫く喜びを噛み締めていたが、やがて妙なことに気付いた。
 街行く人々のうち、少なくない人数の視線が自分に集中していたのだ。
 通路の真ん中で、膝を押さえて息を切らせているからか。もう夜だというのに制服姿だからか。


「あっ……」

 そこで、はたと思い出した。
 自分が、ホラーの返り血を浴びていたことに。

「やだっ、きたな――」
 
 マミは慌てて手の甲で頬を拭い、言葉と血の気を失った。
 左手のひらにべったりと、覆いきれずに頬にも少し。
 ホラーの返り血が飛んだ、はずだったのに。
 血が、跡形もなく消えていた。黒い染みなんて残っていなかった。手のひらにも、甲にも、どこにも。

――……ホラーと遭遇した日、ショッピングエリアに戻った美樹さんは泣きじゃくっていた。
光の中に、人の世界に戻ってこれた安心から涙を溢れさせていた。
あぁ、今ならよくわかる……。

そんなのは気休め。
もっと言えば嘘、偽り。
美樹さんは……彼女だけじゃない、誰もが気付いていないだけ。信じたいだけ。
本当は何も変わらないのに。

平和な場所なんてどこにもない。ここも、魔女の結界も、危険と安全は割合の問題でしかない。
人工の光は闇のすべてを覆い隠せない。魔物はどこにでも潜んでいる。ほら、そこにも……――


 周囲を警戒するマミの視界に、建物の隙間の暗がりで動く"何か"が映った。
それはネズミだったかもしれないし、風に吹かれたゴミだったかもしれない。

 だが直後、マミの緊張は限界を超え、恐怖に駆られて走り出す。
人目もはばからず雑踏を掻き分け、全力疾走で。
その間、絶えず視線を感じていた。人間の奇異の視線だけとは思えない。

 たとえば物陰で。光でも塗り潰せない、夜と共に広がっていく闇のそこかしこで何者かが蠢いている。
そのすべてが自分を狙っている。眼を光らせ、爪牙を研ぎながら。

 これは本当に錯覚なのだろうか?
 強迫観念に囚われたマミは自宅に帰り着くまで足を止めるどころか、振り向くことすらできなかった。


 *

 マミは、いくつかの誤解をしていた。
 彼女はこう思っていた。
ほんの数日前に比べ、孤独になった自分は見る影もなく弱くなったと。

 確かに最初は精神のバランスを崩したものの、逆に孤独は彼女を強くしていた。
 結果的にではあるが、孤独になって初めて自らの本心と願いに向き合うことができた。
そして死に直面したマミは虚飾を取り払い、自己を解放した。
 
 背負いきれない重荷に潰される前に荷物を放り投げたに等しいが、
だからこそ死をはね退け、苦痛の生を選ぶことができた。
 その強さは何も背負わない、命の他に失うものがない故の強さ。

 だが、マミは犠牲を糧に成長したのではない。
 本心を受け入れたことは成長と呼べるかもしれないが、
 それが可能だったのは彼女が本当は失っていないから。

 何もかも失ったと思い込んでいるだけだから真実にも耐えられた。


 もしも自分の責任で、誰かの命が失われていたなら。
 まどかやさやかを戻れない道に引き摺り込んでいたなら。
 きっと、その重みに耐え切れなかっただろう。
 絶望して魔女と化したか、その前に自らの手でソウルジェムを砕いていた。
 
 マミは気付いていなかった。

 まどかとさやかは未だ彼女を先輩と慕い、佐倉杏子は同じ見滝原の街のどこかで彼女を心に留めている。
 キュゥべえと夕木命に関しては、想い続ける自由まで奪われても失ってもいない。
望んだ形ではなかったが、彼女の意思で幻滅という別れを選んだ。

 そして本人は誇りを見失ったとしても、まだ誇りに見放されてはいない。
暗黒騎士のように道を外れない限り、いつでも胸に抱く資格は残っている。

 とどのつまり、両親を亡くし魔法少女になった日から今日まで、マミはまだ本当の意味では何ひとつ失っていない。
 捨てたもの以外は、大切なすべてに取り戻せる可能性が残っている。

 しかしそれと引き換えるように、マミは最も大事なものを、これから百日を掛けて失っていく。
 それこそが彼女に突きつけられた真の喪失。可能性の対価。
 皮肉にも人生で最も生を渇望したその日――待ち受ける確実な死に向けて、マミの時間はカウントダウンを始めた。

長い上に遅くなりましたが4話に続きます
次回予告などは追々
今回は想像を基にした描写が多く、設定面等で否定意見もあるかもしれませんが


まさか、返り血を浴びるのがマミとは…まどかやさやか辺りだと思っていたが
ホラーはマミを襲撃したのは殺そうとしたんじゃなく、取り憑こうしたのか?
もし、そうならやばそうなのが魔法少女で数人いるが

>>645
ホモも魔法少女になれるのか…

>>646
はっ?


2話3話はマミに厳しい回だった……ここからが本当の地獄なんだろうが
シャル戦あたりはいろいろ原作と反対を行ってるのかな
魔女の正体を知らない→知ってる
仲間ができてハイテンション→ぼっちになってしょんぼり
首を取られた→首を取った

乙っす!
ホラーの返り血を浴びた辺り…もしかしてメインヒロインはマミさんなのかな?
…というより、今更ですが、ySV3bQLdI.さんの文章力にはホント憧れます~。
次回更新、楽しみにしてますね!

乙。ホラー全般に言えることだけど、倒しても殺せないのが後味悪いな

浄化すればいいと言っても殺せって掟があるってことはホイホイ浄化していいもんでもないんだろうな
実が希少だとか考えようによっちゃ明日をも知れない上に魔女になる魔法少女に使うのはもったいないし
零が浄化するとしたら鋼牙のような愛でなくとも強い思い入れが必要になるか

実はグラウ竜を倒すか認めてもらわないと手に入らないわけだし
それだけ考えても毎回使えるようなもんでもないだろう
魔法少女は魂がソウルジェムに分離してるから
ホラーに憑かれても普通の人間とは過程とかがちょっと違うかもしれないな

…むしろモロクの時みたいな展開になりそうな予感

>>652
森本レオの時みたいに不適合を起こして自我を持ってるパターンか
叛逆みた後だと、力を得るために故意に憑かれそうなのが一人いるな

>>653
あるいはマミさんを助けるのは無理でそのまま討たれてその後、みたいなね
どっちでも絶望的だな

ザルバとQBって真逆だよな
文字通り一心同体となって戦う相棒と、隙あらば絶望させようと狙ってくる宇宙人じゃ比べるのも失礼か

そもそも片や宇宙の存続、片や人間とホラーの共存と
全然仕事が違うし

>>646
理論上は男だろうがBBAだろうがおっさんだろうが可能だったはず

思春期の少女の願いじゃないとエントロピー凌駕できないってのも本当かどうかわからないけどな
編集長のべらぼうに強い隠我とかでもいけそうではある

html化依頼出しとけよ

>>659
分かってると思うが乗せられるな

パ~ パラパ~ッパ~♪ パ~ パラパ~ッパ~♪
グルグルグルグルグルグルグルグル……

マ・ミーン!!  M A M I


>>661
意味がわからん上にキモい

まどかが「命を食べるなんてひどい!」ってザルバを罵倒してたけど、鋼牙からすれば余計なお世話なんだよな
ぶっちゃけホラーよりもQBの方が酷い

やめろよ
ウルトラクロスみたいにQB善悪論や魔法少女不要論みたいな作品disりに繋がりかねない議論をするつもりか?

マミさん血のドルチェになってしまうん…

>>664
でも事実じゃん、ワルプルギスやクリームヒルトみたいに世界を滅ぼしかねない魔女が生まれかねないんだし
しかも魔女から人を救ってる魔法少女なんて極少数で、大半は杏子みたいに人を餌にしたり魔法で好き勝手する様なのが大半なのが現実
どっちも人に仇をなしかねないのだから、人間にとっては魔戒騎士やホラーの関係よりも危険でしょ

どっちも世界規模の災厄になり得るなら多少の上下を決める事に意味はない
>>664が問題にしている事を理解してない
>>663は表現が誇張されてて誤解を招きかねないので故意じゃないなら見返すのをおススメしたい

同族の血を浴びた人間を躊躇なく食うって、共食いじゃないのか?

ホラーは共食いを忌避する本能がないとか
その上で人間界で同族と接触することが基本ないから同族の臭いを懐かしく感じる
故郷の匂いで更に飯が美味いみたいな
いや本当はどうか知らないけど

そもそもホラーを既存の生物の概念というか考えでみるのが間違いな気が
同族食いの忌避感って種の本能=子孫を残すに逆行するからな気がするが、ホラーって子を残すような形で増えないはずよな?

同族の血を浴びた人間を食うってのは
どっちかというと人間の死体を肥料に育った作物を食えるかって言う方が近い気がするが

人間の死体を食ったシャコはうまいらしい
本当かどうかは知らん

Garrrrr!ヒュンヒュン


\スイッチオーン!/

(゚∀゚)<イェス!

ズン! ズズズズズ ズン!

(゚∀゚)<get サンセーイ

(´д`)<オゥ イェーイ

>>673
>>661と同じ奴なんだろうけど
意味もない痛い文書くなら自分のブログでやれよ。レスの無駄だ

スポンサー様のCMも知らんのか

>>675
>>674じゃないが、意味もない痛い文だろ
というかサムイ、だだスベリ


次回予告(まどか☆マギカver)



杏子「あたしはあんたが眩しかったのか、あんたが疎ましかったのか。
あたしはどこで、いつから間違ってたんだろうね……」



第4話

「もう一度、この場所で」


次回予告(牙狼ver)



 人の夢と書いて儚いなんて誰が言い出したんだ?
 そこに秘めた狂気は、時としてホラーをも虜にするんだぜ

次回『夢幻』
 
 破れ果ててなお、夢は燦然と光を放つ

遅くなりましたが、とりあえず予告だけ
これまでの予告があまり内容と合っていないように感じたので
今回は合わせようと
となるとプロットもちゃんと考えなくてはならず

次回は零マミ杏子の話はそこそこに鋼牙とさやか、まどか、ほむらの話をたぶん中心に
少しずつですが書き進めています

ごくろうさま!
いつも楽しみにしてます

>>676
パチのだけどあのCMはわりと癖になる、一応GAROも関わりあるわけだし

>>681
メーカーが同じなだけだろ
このssと関係ないし、滑ってて見ていて痛々しいだけ

一発ネタを長々主張したがる方もスルースキルのない方もどっちも迷惑

>>678
予告乙
狂気を秘めそうなほど懸命だった夢をなくして陰我のありそうな人がいるが……
だとしたら少女には酷なことになるな

昨日ブルースクリーンの後からPCが起動せず、まだどうなるかわかりませんが
遅い更新がさらに遅れると思われますので、ひとまず生存報告しておきます

あかん節子、それゲートになりかけとる

座して待つのみ

よほど遅れるなら一旦このスレは閉じて立て直してはどう?
幸い何年ぶりかのキリの良さ(笑)
第4話は4スレ目の冒頭から気持ちよく再開しては。

>>687
その意見良いかも
確かにキリいいからね(笑)
ほぼ同じ理由だけど4スレ目から気持ちよくリスタートしても悪くないと思う

少しずつ書いてくって言ってるんだから別にいいだろ
続きが気になるのは分かるが、ニートじゃあるまいし一個人が仕事や生活の合間縫って書いてる作品のペースににいちいち口出したってやる気削ぐだけだ
クオリティ保って打ち切らずに書いてくれてるんだから、気長に待って更新されてたらラッキーってくらいのゆとりを持ったほうがいいぞ

別に4スレ目から始めた方がキリがいいんじゃないの?って言ってるだけで
更新速度にケチをつけてるわけじゃないだろ

これから先もどういう状況になるかわからないのに
いちいち仕切り直しとか言われても

座して待つのみ

a

やっとPCが復帰しました、手痛い出費になりましたが
これ以上遅くなるようなら一旦落とそうかとも考えましたが、これからまた書いていこうと思います
よろしくお願いします

>>1の復活の刻(とき)は……近い!

待つ!

GAROのアニメ化・・・そして>>1の復活・・・
色々と楽しみ過ぎる

振り返らず走れ

遅れてすみませんが、ひとまず生存報告のみとさせてください

おつおつ

ゆっくり待ちますよ~。
お忙しいでしょうから、無理なさらずに。

急いで急いで!
鋼牙にお孫が生まれちゃう!ww

最後の更新6月か
もうね

気長に待てばいい。エタるより遥かにマシ

白夜からRRまでは4年待った
それに比べればなんてことはない
金狼感謝祭で来年以降もシリーズ展開は盛り沢山だとわかったしね

流牙の映画
流牙の映画後日談のテレビシリーズ
雷牙のテレビシリーズ
媚空スピンオフ
牙狼歌劇団

これだけあればサンセイはあと10年戦えるのかしら

来年も牙狼づくしなんでまぁ気長に

3年やって未だに序盤とか幾ら何でもなあ
牙狼だって1期はちゃんと区切りをつけたというのに

仕事でやってるわけじゃないし、富樫みたいなもんと割り切ろうジャマイカ

然り然り
これで金貰ってるなら急かされて当然だけど、趣味なら何人たりとも急かせないよ

そうそ……待って、冨樫は仕事やろ

更新がある、という初夢をみる。みよう……


ヘルマンかっちょいいぜヘルマン!

『もうあまり時間が無いぞ、>>1!』

だから言ったんだよ
取捨選択してでもいいから一部省略して早く話を進めた方がいいって…


うっかりしていました
近日中に一度投下したいと思いますが
3月までちょっと色々ありそうなので短くなるかと思います

近日とは何だったのか

1スレ目から読み返して>>1の復活を祈願しよう。


 朝、さやかは学校への道を進んでいた。
 ここ二日ほどは変わったこともなく、平穏無事な生活を送っている。
我ながら単純なもので、魔法少女の選択の問題や、ホラーや魔女ら人外への恐怖も薄れ始めていた。

 目下、最大の懸念は友人――まどかや仁美とのぎこちない関係の修復。
これに関しては自分から何ひとつ動けてはいなかったが、
まどかとは共にマミのお見舞いに行ったおかげもあってか、少しずつ溝が埋まっている気がする。
 もっとも、あくまで表面上のことで、本質的な解決には至っていないのだが。

 そしてもう一方の仁美と言えば――。
 
「あの……まどかさん、それにさやかさん。突然ですけど週末はお暇ですか?」

 登校中、ほぼ無言だった仁美が意を決したように口を開いた。
 さやかは面食らいつつも、

「えっ……と、あたしは特に予定はないけど。まどかは?」

「うん、私も何もないよ」

「でしたら、我が家にいらっしゃいませんか? その……色々とお話したいこともありますし」

 畳みかけるように、吐き出すように、仁美は言った。
 突然の誘い。お話しというのが何なのか、どこか不穏な気配を感じなくもなかったが、

「いいよ」

 と、言葉が自然にさやかの口をついて出た。まどかに視線を送ると、彼女も仁美に向けて頷く。


 どうせ断る理由もない。ならば当然の如く、考えるまでもなく了承する。それは友達だから。
 このところ仁美との関係は微妙になっていたが、こうして無意識に答えられるうちは、まだ友達でいられる。

 そして仁美も、同じことを思ってくれているからこそ誘っている。このままでいいはずがないと思っているから。
 切り出すまでの長い逡巡。歯切れの悪い口調。相当の勇気を要したに違いない。
 それでも彼女は言った。

――やっぱ敵わないなぁ、仁美には……。

 ほっと安堵した仁美は、花が咲いたような満面の笑みを浮かべている。その笑顔を見ていると、
ふと感心のような、諦めのような、羨望のような、よくわからない感情が胸に去来する。

 ここぞというときは言いたいことを言える仁美。おっとりして、お嬢様育ちなのに。いや、だからなのだろうか。
 時折そんな彼女の秘めた強さに圧倒されている自分に気付く。友達でも、ずっと一緒にいるから比べてしまう。

「(さやかちゃん……どうかしたの?)」

 まどかの不安げな声が脳裏に響く。そういえば、今日もまどかはキュゥべえを連れていた。

「(ううん、なんでもないよ。なんでも)」
 
 そして、さやかはいつもの空元気で答え、胸を刺すチクリとした痛みを苦笑で隠した。
 まどかに心配をかけたくない。でも、それ以上にこんな気持ち誰にも知られたくなかった。


 *

まどか「黄金の……狼……」

第4話

もう一度この場所で

 *


 同じ頃、冴島鋼牙もまた朝の街路を歩いていた。
 その瞳は揺るぎなく、足取りはいつもの如く速く力強い。しかし、その心には微かな淀みが生じていた。

 旅の途中で立ち寄ったこの街で何が起こっているのか。起きんとしているのか。未だ見当もつかない。
 だが、魔女に己の剣が届くことは既に実証済みだ。どのような怪異であれ、人に仇為す存在なら斬るのみ。
その点において、鋼牙に一切の迷いはなく、単純明快な行動原理。
 
 しかし、それだけでいいのか。
 ふと、心に芽生えた小さな迷い。 
 この街に来て初日、ホラーに襲われる数人の少女を救った。魔法少女とその候補の少女だ。
 そのことに後悔はない。ホラーを狩り、人を守るのが魔戒騎士の使命。
とはいえ、その後も見過ごしておけずに彼女らと縁を持ってしまったのは、果たして正しかったのかどうか。
 
 どうやら、彼女たちを取り巻く闇は暗く深い。ただ剣を振るうだけでは、敵を切り裂くだけでは解決できそうにない。
 どうすれば、その闇を払えるのだろう。その術もまた、闇の中にある。
 いや、そもそも介入して良いものか。自分は遠からず街を去らねばならない。
中途半端に引っかき回しておいて去るのは最も恥ずべき行為だろう。

 踏み込むべきか否か。前者なら、どこまで踏み込むか。  
 今こそが分水嶺。
 決断のときは迫っていた。


 *


牙狼―GARO― 魔法少女篇

第四話

夢幻


 *


 午前の授業を終えた昼休み、巴マミは一年の教室を訪ねた。
 目的の人物がいないか入口から教室内を見渡していると、マミに気付いた二人の女生徒が駆け寄ってくる。

「マミさん、今日は学校に来られたんですね!」

「二日も続けて休んでるから心配しちゃった。あたしらが押し掛けて却って迷惑だったんじゃないかって。
マミさん、もう身体の方は大丈夫なの?」

 美樹さやかと鹿目まどか。
 魔法少女候補で可愛い後輩。
そして孤独を癒してくれる仲間になってくれるかもしれない存在――だった、昨日までは。
 
「心配掛けてしまってごめんなさい。ねぇ、悪いんだけど暁美ほむらさん、呼んでもらえる?」

「え……ほむらちゃん、ですか?」

「お昼を一緒にどうかと思って」

「え~、それって二人だけってこと?」

「私も二人と話したいけど、また今度ね。それと少しの間、放課後は忙しくなるから見学もなしにしましょう」

「私たちもマミさんとお話したいこと、いっぱいあるんですけど……」

 さやかが口を尖らせ、まどかも控えめながら不満を口にするが、最後には納得してほむらを呼びに教室に戻っていく。
 残されたさやかは、なおも釈然としない様子だった。
自分たちの心配が軽く流されたのもそうだが、警戒していたはずの転校生に用事というのが気に入らないのは明らかだった。
無理もない。なにせ彼女は一度ほむらに銃口を向けられただけでなく、ホラーの前で見捨てられてもいる。


 やがて、ほむらを伴ってまどかが戻ってきた。相変わらず不機嫌そうな仏頂面だったが、
それが彼女の常態なのかもしれない。
 ほむらは忌々しげに睨むさやかに目もくれず、真っ向からマミを見据える。

「……何?」

「大事な話があるの。付き合ってもらえるかしら」

 マミもまた、真剣な眼差しで彼女に応える。
 見つめ合っていた時間は数秒ほど。どちらも一言も喋らなかった。
しかし、互いの視線には多くの声なき言葉が込められていた。口にするまでもなく、念話すら必要ない。

 ほむらの目がスッと伏せられ、微かに頷いたように見えた。
マミは了承と受け取ると同時に、意図が通じたことを悟った。

「行きましょう。それじゃあね、鹿目さん。美樹さん」

 言って、マミとほむらは揃って歩き去る。
取り残されたまどかとさやかは、遠ざかる二人の背中をただ見送るしかなかった。


 二人は暫く歩いた後、屋外のベンチに腰掛ける。周囲には他にベンチなどもなく、人もまばら。
別に誰に聞かれても構いはしないのだが。
 マミがコンビニで買った菓子パンと水筒を傍らに置くと、ほむらも人ひとり分のスペースを空けて横に座った。
その手には何も持っていない。

「それで話って何かしら?」

 先に口を開いたのは、ほむら。
 マミは水筒からコップに紅茶を注ぐと、湯気を立てるそれを軽く啜る。
一口飲んで、ほっと息を吐いてから本題に入った。 


「単刀直入に言うわね。私はキュゥべえから真実を聞いた。あなたもそうなんでしょう?」

 ほむらは答えなかった。マミを見向きもせず、斜め下に視線を固定している。
 その反応を予想していたマミは返事を待たずに続ける。

「私はこれを鹿目さんと美樹さんに話すわ。反対しないわよね?」

 悪意を抱いているか、利用できると考えているなら話は別だが、そうでないなら反対するメリットはない。
 そして、これは推測に過ぎないが、ほむらは両者のどちらでもない。

「これで思い留まってくれればグリーフシードを取り合うライバルが減る。そして……未来の敵もね」

 横目でチラと表情を窺う。ほむらは眉ひとつ動かしていなかった。魔法少女が敵――すなわち魔女になると示唆しても。
 疑惑が確信に変わった。やはり彼女はすべてを知っていると。
 マミが無言で返答を促すと、暫く待って彼女はようやく沈黙を破った。

「何故、私に相談を?」

「私はあなたを敵だとは思っていない。敵に回したくもない。少なくとも今のうちは。だからよ」

 マミが横を向くと目と目が合う。ほむらが初めてマミを直視していた。
彼女はマミの真意を測りかねているようだった。
 いつも底を見せない彼女がふと見せた戸惑いが何やらおかしくて、マミは軽く微笑んだ。

「私は、あなたの目的も何となく察しはついているつもり。
それで、あなたの不可解な行動も辻褄が合う。理由まではわからないし、敢えて訊きはしないけど。
一言、話を通しておくのが筋だと思ったの。それで敵意がないことの証明にならない?」

「なら、私からも質問。あなたは、これから彼女たちをどうする気?」


 ほむらは警戒を解かないどころか、逆にマミに問う。
 唐突な問いにマミは目をパチクリとしばたかせ、

「どうする……か。こんなんじゃ魔法少女に誘うなんてできる訳ないし……」

 考え込む。
 日中こうして平穏に過ごしていると、つい弛みそうになる。
 魔法少女にはならなくても、ただの先輩後輩としてならいいのではないか。
一緒に食事したり、休日は遊んだり、普通の友達同士みたいに過ごすだけなら――と、甘い囁きになびきそうになる。

 幾度となく繰り返した自問自答。そしてその都度、甘えを振り払うのだ。
 もうマミの中で答えは出ていた。
だからさっきも彼女たちの心遣いを軽く流した。これ以上、情を抱きたくないし、抱かせたくなかった。

「そうね……真実を伝えたら、きっぱり距離を置くわ。
近くにいたらあの娘たちに余計な夢を見させてしまうかもしれないし。
それに何より私が求めてしまう。仲間になって、支えてほしいと思ってしまう。私はそんなに強くないから……」

 だが近くにいなければ、二人が魔女やホラーに襲われても助けられないということ。
 もとより四六時中いられるはずもないが、関係そのものを断ってしまえば救助が間に合う確率はぐんと落ちる。
傍にいれば気付く些細な予兆も素通りしてしまう。

「だから、お願い。もし危険に巻き込まれたときあなたが近くにいたなら、あなたが救ってあげて。
できれば一人だけじゃなく二人ともを」

 ほむらの瞳を強く見つめ、マミは懇願した。
 対するほむらの答えは簡潔だった。

 
「勝手な話ね」

「だから強制はしないし、できない。全部わかってる。臆病で、この上なく卑怯な頼みだって。
だけど、少しの間でもいいの……」

 守りし者になんてなれないと悟ったくせに。他人なんてどうでもいいと気付いたくせに。
情を掛けた少女たちだけは守りたいなんて。
 それも優しさに溺れることが、弱くなることが怖いから、
自分がやりたくないから他人にやってもらおうだなんて身勝手にもほどがある。

 一年後か三年後か、運良く生きていたとしても離れる日は必ず来る。
関係を続けていたとしても、近くで守れる時間は長くない。平均的な人生の長さから考えれば、あまりに短いだろう。
 それにホラーや魔女でなくても不幸や災厄は突然降りかかる。人は呆気なく死ぬ。マミ自身が痛いくらい知っている。

 こんな願いにも意味はないのかもしれない。けれど、彼女たちの為に何かしてあげたい。
それすらも自己満足なら、せめて開き直れるまでの時間が欲しい。
 人の生き死になんて所詮は運命――天の意志なのだと割り切れるまで。
 この胸の想いが薄れて消えて、誰かの死に完全に何も感じなくなる日まで。

「……約束はできないわ。話すかどうかはあなたの好きにすればいい。それじゃ」

 言ってほむらはベンチを立つと、歩き去ろうとする。
 その手をマミの手が捕らえた。

「――待って!」



 口を衝いて出たのは寂しさを込めた、半ば叫びのような声。
 マミ自身も無意識に発した言葉に驚き、すぐに手を放すと取り繕うように続けた。

「よかったら、もう少しだけ付き合ってくれない? 話を聴いてくれるだけでいいから。ね?」

 俯くのは恥ずかしかったのもあるが、一番は戸惑い。
その理由を考え、やがて気付く。
ほむらともっと話したい。話を聴いてもらいたいと思いつつある自分に。

 答えはなく、ほむらはただ黙って隣に座り直した。一言も喋らないが、それだけでも嬉しかった。
マミは小さく微笑んで、ぽつりぽつりと話し出す。 

「私ね……自分が倒してきた魔女が元は魔法少女で、自分もいつか魔女になるなんて聞かされて、
すごく怖かった――うぅん、今だって震えるくらい怖いのに……」

 組み合わせた両の手が小刻みに震える。
 考えるだけで感情が波立つのを抑えられない。

「それより怖かったのは独りになったこと。私ね、家族を事故で失ってるの。
友達はできても、魔法少女のことも全部を曝け出して話せるのはキュゥべえだけだった。
だけど、キュゥべえが私を利用していただけだと知った。もっとも、あのコに言わせれば自分は鏡で、
人が見たいと思ったものを映すそうだけど。
やっとできるかもと思った仲間も失って、そうしたら何もかもが色褪せて見えて、今じゃ本当に独りぼっち……」

 抑揚のない声が、淡々と喉から送り出される。今さら悲嘆も悔恨も存在しない。あるのは諦めだけ。
 ほむらの鉄面皮に、僅かだが苦渋の色と翳りが覗いた気がした。
同情にも取れたが、まさか彼女がそんな表情を浮かべるとは思えず、マミは儚げに微笑んだ。


「そんな嫌そうな顔しなくていいわ……。別に、あなたを代わりにしようなんてつもりないから」

 半分は本当で半分は嘘。
 求める気持ちは確かに存在する。しかし、ほむらでないといけない理由はない。
寂しい心を紛らわす為に、誰かに傍に居てほしいだけなのだろう。それが傷を舐め合える同類ならなおいい。
 それをほむらも漠然と感じ取ったから、困惑――いや、迷惑した。

 これ以上の余計な何かを背負いたくないのは、たぶん彼女も同じ。

「でも不思議ね……今は何だか肩が軽いの。ふわふわ漂ってるみたい。
頼りなくて不安で縋りつきたくて……でも同時に解放されたって気もする。
これが自由ってことなのかしら……」

 深く息を吐いて天を仰ぐマミ。遠い目は流れる雲でも空の青でもなく、ただ届かない彼方を見つめる。
まるで糸の切れた凧のようだと、マミは思った。風に乗って流れるだけの凧。
だが糸の切れた凧は大抵の場合、漂った果てにどこか遠くに落ちて、誰にも顧みられることなくゴミになる。
 ならば真の自由とは、孤独と同義でしかないのだろうか。

 もう背負わなくていい。私の中は空っぽで何もなくなった。
もう何にも縛られず、面倒を見るのは自分自身だけでいい。
 喜びと寂しさが一緒くたになって込み上げる。
お前は永遠に独りきりで、それを望んでいるのだと思い知らされるようで。
 
「昨日、魔女と戦ったとき、私は死んでもよかった。いっそ死にたいとさえ思ったわ。
でも魔女に喰われる瞬間、私の身体は動いた。
まだ戦えると知って、心の底から闘志が湧いて、生きたいと強く願った。
すべて終わったとき知った。私は自分が誰より大切で、生きる為なら他人を犠牲にできる人間なんだって」



――だから今日まで生きてこられた。だから両親の無事より自分の救命を真っ先に願った……。

 それでも生きたいと願うなら開き直るしかなった。
 空を見上げるマミの瞳は澄んでいたが、それは命以外の何もかもを諦めたが故の迷いのなさだった。

 しかし使命を捨てても、まだ宿命は残っている。
生きる為にはグリーフシードが必要で、魔女との戦いは途中で降りられない。 
 独りであることが強さの理由なら、そうでないと生きられないなら、他に選択肢はない。

 と、そこでマミは思い出したように顔を引き締め、ほむらに向ける。

「だからって、さっきも言ったようにあなたと進んで戦う気はないわ。手の内がわからない間は特に。
この街は私の縄張りだから排除する、なんて言わないから安心してちょうだい。
あなたもグリーフシードを独占しようとは思っていないようだし、できるなら争いたくないわね。
むしろ――」

 言いかけたところで、昼休みの終了を告げるチャイムが響く。何時の間にか、そんなにも時間が経っていたのか。
 無言で立ち上がるほむらに、

「下らない自分語りに付き合わせちゃったわね。ごめんなさい、それと……聞いてくれてありがとう。
でも、もう少しだけ――これからの話をしましょう。あなたにも損はさせない。
放課後、時間いい? 夜になっても構わないから。いつまでも待っているから」

 マミの言葉に答えることなく、彼女は背を向ける。
 ただ去り際、見せた横顔がほんの少し頷いた気がした。
 
 ほむらは一言も語らなかったが、マミの言葉が僅かでも心に波紋を起こしたのだろうか。
彼女もまた、何かに迷っているのかもしれない。
 ほむらの背中を見送りながら、マミは根拠もなく、そんな感想を抱いた。 

ここまで
あまり短いので自省の意味でもひとまずsage
新生活やらなんやかんやでまたしても遅くなり申し訳ありません
続きもそこそこ書き溜めているので今回ほどかからないと思います


>>723で一年の教室って書いてるけど
まどかとさやかって二年生じゃなかったっけ?

頼もしい奴が来たぜえええ!
乙ゥ!!

>>732
ご指摘の通り一年→二年ですね……単純なミスです
Wikiに載せる際は修正します
ありがとうございました

>>733
乙ありがとうございます

乙!待ってました

 投稿お疲れ様です。ずっと楽しみにしてました。

保守

申し訳ありませんが取り急ぎ生存報告のみ
書き溜めは徐々にですが進めています

楽しみにしています

ほむらの里……だと!?

このスレに注目
P『アイドルと入れ替わる人生』part11【安価】
P『アイドルと入れ替わる人生』part11【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434553574/)

まだ続いてたんだ

あと3日、たのむぜ作者!

金色になれ!!

英霊よ!!!

ご無沙汰してすみません
落ち着いてきたので近日中には投下の目処が立つと思います

『危ない所だったわね、ゼロ』

「管轄の書き手が怠けてるのさ」フゥ

近日って言って4日以上も掛かるなら最初から言わない方がよかったと思うが
後、最後にss書いたのが4ヶ月ってのは流石にどうかなと
理想郷あたりに移った方がいいんでないの?

そんなこというと叩かれるぞ
2回前の投下が1年以上前ってのもどうかと思うけどな

半年で一回に投下するかしないかで話も全く進まないssスレってのも早々ないけどな
冨樫とか例に出して擁護してるけど、作者と読者の馴れ合いも度が過ぎるのは考え物かと

金払ってるならまだしも別によくね
たかがSSだぞ

>>751
たかがssだろうが掲示板でやってんだぜ?
本来なら2ヶ月以上も投下なしならhtmlされるのがルールなんだしさ
一応共同で使ってるわけなんだし

そりゃ作者のレスが2ヶ月無い場合だろ?
だいたい共同で使ってるというが別に俺たちが管理してるわけじゃないしなんの害もないだろ
まぁこれ以上は自重するわスマンナ

こんな屁理屈並べて擁護するから馴れ合いって言われるんだよ
調べてみたら、これ4年近くもやっていて未だに序盤とか幾ら何でもないわ
しかも更新は殆どなしとか、本当に話を進ませる気があるのかよ?必要な話を取捨選択して無駄な所を省いて話を動かすのも腕だぞ?
それに長期に渡って完結する目処が立たず更新もままならないなら、掲示板ではないss投稿サイトの方が合ってるんじゃねえの?
実際それでハーメルンあたりに移動した、>>1を知ってる

毎度ご苦労さん

>>755
はあ?

>>748
前回の「近日中」は2ヶ月後だから真に受けるなよ
716 : ◆ySV3bQLdI.:2015/01/22(木) 03:15:09.62 ID:XPEFBArfo
うっかりしていました
近日中に一度投下したいと思いますが

ここの住人は一年に2回ぐらいの更新の頻度の状態に何か思えよ
どこに2ヶ月経っても投下せずに延々と>>1のコメントで何回も繰り返して引き延ばしてるスレがあるんだよ

円環の理を拒絶した世界で まどかマギカss
円環の理を拒絶した世界で まどかマギカss - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314812124/)

>>758
割とそこらじゅうにあるだろ(白目)

全員が全員暇人だと思うなよ?
>>1にだって「生活」っちゅーモンがあるの。
一日に書ける時間がどのくらいかは知らないけど、それでもチマチマ書いてくれてることは確かなんだから。
証拠に、半年くらい空いても続きが投下されることはあったんだ。
時間はかかってもちゃんと投下はされるんだ。
更新頻度が遅いとかでウダウダ言ってないで、黙って待ってりゃイイの。
別に金払って読んでるわけでもねえんだし、そこまで突っかかるようなことでもないだろ?

9ヶ月掛けて本文11レスか
もう飽きたのかな

>>761
丁度2ヶ月おきの生存報告は多忙の>>1には辛すぎるから
他所の小説サイトに行けばいいってこと?

>>762
一度や二度はともかく何回もそれが続いてる現状なあ
時間がかかってもいいから腰を据えてゆっくり書きたいならここ(速報)は不向きだろ

(ここの速報ってそういう意味じゃないんだけどなぁ)

ぶっちゃけた話、本文より生存報告の方が大変そう
スレ落ちの日時とか気にしすぎて禿げそう

みんな元気そうで何よりだな

流石に一ヶ月経ってるのは近日とは言わないよ
書けないなら何か報告くらいすべきじゃないの?

ハーメルンとか行った方がいいってのも一理あるかもなぁ。
なんかずっとギスギスしてるし。

ゆけ かぜのごとく

ふりかえらず は し れ

かわしたやくそく わすれないよ

ねがいはきっとかなうと おしえるおとぎばなしを しんじた

失せろAO
生存報告まで待てよ

まだ きたい してるの

さあ たちむかえ

近日中と言っておいて本当に申し訳ないです
他で書くことも考えますが、期限がなかったり、まとまった量で一区切りとなると続くかどうか
ですが色々見て検討してみようと思います
ご意見ありがとうございます


 面会時間も終わるかという頃、病室の扉が遠慮がちに叩かれる。
 どうぞと許可すると、扉を開いて入ってきたのは予想通りの顔。
 
「いらっしゃい、さやか」

 上条恭介は訪問者――さやかを微笑みで迎える。

「いやぁ、ごめんね。今日も遅くなっちゃって」

 はにかむように笑いながら、さやかはベッド脇のイスに腰掛ける。
 最近、彼女は夜になって滑り込みでやってくることが多い。

「別にいいよ。無理に来なくてもいいのに」

 そう言うと、彼女は笑顔を少し曇らせた。言ってから邪険に聞こえただろうかと気付く。
 が、それも一瞬。しぼんだ花が咲くように笑顔を取り戻して、

「ううん、全然。無理なんかしてないよ。ほら、どうせ暇な身ですから」

 おどけて見せた。
 何故に笑顔を曇らせたのかわからなかったが、そうやってころころ表情が変わるところも面白い。
 そういえば数日前にもこんなやり取りをしたな、と思い出す。あの時も夜だった。
 
「さやか、ここ何日か遅い時間に来るけど、何かあったの?」

「えっ……と、別に何もないけど?」

「そうかい? ひょっとしたら忙しいのかなと思って」

「さっきも言ったけど暇と体力だけはあるからね。学校も順調順調」



 何かありげだったが、敢えて追及しなかった。そこまで立ち入ったことを訊くのも悪い。
ただ会話のフックにはなった。

「そうなんだ。学校やクラスのみんなも特に変わったことはなし?」

「うん、学校はね……この前話した時から特に。そうそう数日で何か変わっちゃったりしないって」

 またも何か隠した、しかし聞いてほしそうな素振り。
鈍感な恭介ですら、おや? と勘付くほどわかりやすい反応だったが、彼はさして気に留めず流した。
 元から女子の事情に関心が薄いというのもあったが、今日は特に気分じゃない。
聞いたところで気の利いたことは言えないし、力になれるとも思えなかった。
 
 さやかの方からひとつふたつ、試験が近いだとか、担任の早乙女先生はまた振られたのか、
などの無難な話題が振られて退屈な時間が過ぎていく。
 ただ上滑りする会話。適当に相槌を打ちながらも、愛想笑いがぎこちなくなるのを止められなかった。
 普段ならそんな会話も楽しめたかもしれないが、

――僕はこんなところで何をやっているんだろう……。こんな無駄な時間を過ごしてる場合じゃないのに。
本当なら、こんな……――。

 焦燥感に駆られた恭介は、そう思わずにいられなかった。
 さやかの笑顔には何度か救われたこともあったが、今は何故か疎ましくさえある。
きっと彼女にも辛いことが色々とあるのだろうが、それを慮ってやる余裕は恭介にはなかった。
 
 やがて耐え切れなくなり、何気ない振りして時計をチラと見遣った。

「っと……さやか、もう時間も遅いし、そろそろ帰った方がいいんじゃないかな」

「あ、うん、そうだね。じゃあ、そろそろ帰ろっかな。でも、その前に……」


 さやかが鞄から取り出した一枚の紙切れ。恭介がそれを見間違えるはずがなかった。
離れていても一瞬でわかる――楽譜だ。
 
「学校では変わったことはなかったんだけどさ。
この前ちょっと知り合った人の……恋人がヴァイオリンをやってて――説明が難しいんだけど、
とにかく自作の曲らしいんだけど途中で終わってて、恭介のこと話したらくれたんだ。
自分が持ってても仕方がないから、何かの助けになればって」

「ヴァイオリンの楽譜を……?」

「うん。ちょっと見てみてよ」

 渡された楽譜にに目を通す。その瞬間から、恭介の意識は楽譜だけに向いていた。
 音符を目で追うだけで旋律が脳内で再生される。
 最初は穏やかに、徐々に激しくなる曲調。

 いつしか、さやかの存在も忘れて恭介は楽譜の世界に没頭していく。
 技術的にはそれほど難曲ではないが、不思議と心が揺さ振られた。
 喜怒哀楽、愛と憎悪、そして希望と絶望。人の持てる感情のすべてが譜面に凝縮されている気さえする。

 だが当然そこに文字などなく、あるのはただの音符と記号の連なり。
或いは、それは一時の錯覚で、見る者によっては何てことない曲かもしれない。
 しかし、恭介は確かに感じた。この曲に、作曲者に、強烈なシンパシーを抱いた。 
 理屈を超えた何か。混じり融け合うような、呑み込まれるような奇妙な感覚を。

「――恭介……? 恭介!!」

 さやかの叫びと共に身体を揺さ振られて、恭介はハッと我に返った。
 顔を上げると、さやかの心配そうな顔が間近にあった。


「大丈夫? 凄い汗だよ……それに息も荒いし」

「え……?」

 言われて初めて気付く。全身を支配する熱と、早鐘を打つ心臓。
 とても懐かしい、久しくなかった感覚。
 初めてヴァイオリンの音に魅せられた日の興奮。初めてステージに立って演奏を終えた瞬間の熱狂が蘇っていた。
 
「看護師さん呼んだ方がいい?」

「いや……大丈夫だよ。本当に。聴いたことない感じの曲だったから驚いたのかも」

 どうにか答えたが、さやかは不安げな様子のまま顔を離さない。
 恭介も年頃の男子だ。幼馴染とはいえ、吐息まで感じられる距離に少女の顔があるというのに。
その憂い顔は充分に可愛いとさえ思えるのに。

 そんなものは比較にならないほどの衝撃が、なおも身体の最奥から衝き上げるのを自覚する。
 今の恭介にとって、さやかは感動と昂揚を妨げる邪魔者でしかない。
素晴らしい演奏の余韻に浸っている最中、子供が傍で騒いでいるようなものだった。

「大丈夫だけど、少し休ませて。だから今日はもうひとりにしてくれないかな……」

「う、うん……それじゃあ、またね」

 さやかは足早に病室を出ていく。
困惑の表情は、楽譜を持ってきて良かったのか悪かったのか、判断つきかねているようだった。
 独りになった恭介は大きく深呼吸して、ベッドに身を横たえた。

  
 
 病室はすっかり沈黙を取り戻していた。いまだ冷めやらぬ熱が身体の中を駆け巡っている。

火照りを冷ますように、長く長く息を吐く。その呼吸音だけが虚しい。
 独り熱を持て余す恭介は、我知らず拳を握り締める。右手は、彼の無意識が唯一感情を表せる場所だった。
故にきつく固く、ギリッ――と、血を止めて白くなるどころか、食い込んだ爪によって赤く滲むほどに強く。

 左手の指が動いたなら、同じようにしていただろう。
しかし、左手はどれだけ力を入れようとしてもピクリとも動かない。
 
――違う。この手さえ動いたなら、僕はこんなところにいやしないのに。どうして僕がこんな……。

 意のままにならないこの手がもどかしくて、憎らしくて堪らない。
 恭介は左手を高く振り上げ――振り上げたまま静止した。

 感情に任せて叩きつけて、いっそへし折ってしまったら少しは気が晴れるだろうか?
 いや、一瞬は晴れたとしても、またぶり返すだけ。何より手を傷めては演奏ができない。
この手が治ったら、すぐにでも練習を再開しないといけないのだから。この手が治ることがあったなら――。

 ヴァイオリニストとしての理性が暴挙を押し止める。
 激情が治まった訳ではない。
叫んで暴れて、周りの何もかもめちゃくちゃに破壊したい衝動は恭介の内に溜まっている。
必死に抑え込んでいるだけ。

「ダメだ、こんなんじゃ……」

 自由になる右手で顔を覆う。
 動悸が激しくなり、胸が締め付けられる。
 その姿勢のまま、黒々と吹き荒れる憎悪の暴風が過ぎ去るまで恭介は苦しみに呻いていた。
 


 数分後、ようやく呼吸も落ち着いて息をつく余裕も生まれる。
 それでも気を抜くと、また思い出してしまいそうだった。

――そうだ、何か違うことを……

 どうにか鬱々した気分を振り払おうと、思考を切り替える。
と言っても、ここ最近は楽しい出来事なんて何ひとつなかった。印象に残ることも。ただただ、すべてが虚ろだった。
テレビを見ても、本を読んでも、見舞いに来た親との会話も。
 例外があるとすれば、さやかが持ってきたクラシックのCDを聴く時くらいのもので――。
 
「そういえば……」

 さやかの見舞いで思い出した数日前の会話。あの日も一緒にいたさやかが問い掛けてきた。
 もしたったひとつ願いが叶うなら。
 答えは最初から決まっている。
 この手を動かせるようになりたい。もう一度、ヴァイオリンが弾けるように。

 けれど手は動かない。動かせる予感もしない。
 明日の検査結果も駄目だったら、それは事実上の死刑宣告となるらしい。
 もう随分とヴァイオリンを弾いていない。一日休めば、それだけ腕が鈍るというのに。
こんなにも長く時間が開くのは初めてだった。

 恭介は、これでもヴァイオリンの腕には自信があった。
 いくつもの輝かしい受賞歴もさることながら、それ以上に彼を支える確かなもの。
 それは時間。経験と言い換えてもいい。たった十数年の人生でも、半分以上を共に過ごしてきた。
来る日も来る日も練習を欠かしたことはない。

 だから本来なら神頼みは必要ない。世界を股に掛けてソリストとして名を馳せたいだとか、
有名な楽団に所属したいだとか、意味のない神頼みなんて絶対にしない。



 いつか大勢の人々を魅了する、自分だけの最高の音を奏でたい。
 それは夢だけど、自分なら不可能ではないと確信している夢。誰の手も借りずに、この手で叶えると誓った夢。
 たとえ若さ故の慢心だとしても、何度も折られた鼻と自信は、その度に強く鍛えられてきた。
最初に世界のレベルを肌で感じた日も、落ち込む暇などないと寝食を忘れて練習に没頭したほどに。

 それはひとえに恭介がヴァイオリンを、演奏を愛していたから。
 だから全身全霊を懸けた。
時間を、情熱を、人生を、自己を構成するありとあらゆるものを対価にしてヴァイオリンに賭けた。
だというのに――。

――嫌だ……!
だって、こんなのは僕のせいじゃない。
こんな、僕の意思とも責任とも無関係の災厄で唐突に奪われるなんて我慢ならない。
ヴァイオリンを弾けなくなった僕はきっと……何者でもない――。

 すべてをヴァイオリンに費やした。失ったら何も残らない。
残るとすれば、辛うじて息をしているだけの肉の塊。何の価値もない夢の抜け殻。とても生きてるとは言えない。
 
 惨めな己の姿を想像した瞬間――、再びの衝動が恭介を襲った。
 全身を掻き毟りたくなる拒絶感。いてもたってもいられない焦燥感。そこまでは同じ。
 ただ、衝き動かすのは先ほどまでの憎悪とは似て非なる感情。

 喪失への恐怖。そして絶望。
 
 暗澹たる未来を受け入れることも、拒むこともできずに身悶えるしかできない。
 数分、発作的な苦しみに喘いだ恭介は、助けを求めるように虚空を仰いだ。
 
 現実に打ちのめされ、憎しみも恐れも悲しみもかなぐり捨てた先の、それは純粋な祈り。
 無力な弱者が最後に縋りつく希望。
 恭介は涙が滲む目蓋を固く閉じて唱える。


「どうか神様……いや神様でなくてもいい……」

 もしも、この左手が偶然という神の手による業なら、神など期待できない。
 その時、恭介の脳裏に浮かんだのは、悪魔と取引して超絶な技巧を得たと噂されたヴァイオリニストの逸話だった。

 同時に、奇しくも"たったひとつの願い"についてさやかと話した日、恭介自身が語った言葉。
極限の精神状態の中で、奇跡を、人ならざる者を垣間見たという芸術家や音楽家たちは幾人もいると。
  
「誰でもいい。この手が動くなら僕は何だってする。
もう一度、ヴァイオリンが弾けたなら、他の何を引き換えにしたって構わないんだ……!
たとえ……」

『たとえ……?』

 普通なら無意味な独り言にしかなり得ない神頼み。
 しかし、恭介は確かに声を聴いた。
 それが何者なのか、応える者がいたことが幸運だったのかどうか、考える余裕もなく、
どこからともなく聞き返す声に促され――ついに恭介はたったひとつの願いを口にした。

「――たとえ悪魔に魂を売ったっていい!!」

 その願いを聞き届けたかのように、握り締めた楽譜――その五線譜上の音符がぞわりと蠢いた気がした。
 恭介は違和感に気付き、楽譜を注視してみる。
書き殴られたような曲の後半は、そこまでと微妙にインクの色が異なっていた。

 赤黒く滲んだ音符。
 それが血で記されたのだと気付くまでに時間は掛からなかった。

まずはここまで
続きは合間が抜けている部分もあるので
なるべく早く、とは軽く言えませんがキャラの関係も動かすものになると思います

おつ

Misterioso!!♪♪

ホラーってある意味QB以上に狡猾だわ

>>788
しかしカウンターとして魔戒騎士という抑止力が存在するからまだマシ
法やルールもなく野放しになってるのと比べたら

QBよりもホラーは強暴で、>>788の言うとおり狡猾かもね

ひとまず保守とさせていただきます
年内中に一度はまとまった量を投下したいところ

待ってる

焦らずに書いてくださいねー

保守

今さらだけど、絶狼のテレビやるって知ったからすげえ楽しみでありまする。

大晦日にも間に合わずすみません……
進捗率70%くらい

出来るだけ早めの投下を祈りつつ、気長に待ちまする。

保守。

ご無沙汰して申し訳ありません
実は先週、またしてもPCが動かなくなりました
流石に7~8年騙し騙し使っていたのでそろそろダメかと思うのですが、
まだ何の目処も立っていないのが現状です
ただ今回は落ち着くまでに時間も掛かる可能性が高いので、
残念ですがスレはひとまず落とそうと思います

作品自体の継続の意思はありますが、ここか他所かはまったくの未定です
まとめwikiが生きていればそちらで告知しますので、
読んで下さる方がいらっしゃったならまたよろしくお願いします
依頼は数日中に出そうと思っております
長い間ありがとうございました

牙狼は新滅を克服したけど、魔法少女は魔女を強い想いとかで克服できないんかね

書きためは無事だったんでしょうか?

>>1が不都合でなければ、またここで再会できると信じたい
まとめWikiもずっとチェックしてます。諦めないで待ってますよ!

遅ればせながら依頼を出してきました
本当に長い間ありがとうございました

>>802
USBメモリに保存していたので大体は無事でした
たまにwikiをチェックしていただければ幸いです


残念だがいつかスレ立て直して復活することを祈る

いつか戻ってきてね。
待ってるから。

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