李衣菜「プロデューサーが風邪?」 (57)
李衣菜「あの病気にかかりそうにないプロデューサーが?」
ちひろ「そうなんですよ。今朝風邪で休ませてくれって連絡があって」
李衣菜「あのプロデューサーをダウンさせるなんて、かなりひどいんじゃ…」
ちひろ「ええ、電話口でも死にそうな声してて、流石に休養が必要だと判断したの」
李衣菜「心配ですね。それで、そのことを知ったみんなが今、言い争ってると」
ちひろ「そうなの。誰がお見舞いに行くかって話になったみたい」
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凛「あのプロデューサーが風邪だなんて、すぐにお見舞いに行かないと」
まゆ「いいえ、ここはまゆが行って特製の手料理を」
きらり「Pちゃん大丈夫かにぃ、きらりもお見舞い行こうかな」
杏「人間だれしも風邪くらい引くって、寝とけばよくなるよ、杏はパスね」
幸子「風邪なんてボクのカワイイ姿を見れば一発で治りますよ!だからボクが」
卯月「お見舞いって何を持っていけばいいんでしょうか?」
未央「飲み物とか果物とか、水分がとりやすいものかな」
美嘉「冷えピタも用意しといたほうがよくない?」
ありす「風邪にはネギが効くと聞いたことがあります」
早苗「昔からよく言うわよね。こうネギをブスリと!」
加蓮「いや、前に試したことあるけど、それあんまり効果ないよ?」
奈緒「え!?マジでやったことあるのかっ!?」
楓「ネギを値切る…ふふっ」
李衣菜「うわぁ…すごいカオスなことに…」
みく「あ、李衣菜ちゃん、やっときたのかにゃ」
李衣菜「みくちゃんもお見舞い行く気なの?」
みく「当たり前にゃ!李衣菜ちゃんも行くでしょ?」
李衣菜「いやー、流石にこんな大勢が押し掛けるのは、迷惑じゃないかな?」
みく「李衣菜ちゃんが至極まっとうな意見を…」
李衣菜「いやいや、普通に考えたら分かるでしょ」
美波「そうなんだけど、みんな冷静な判断ができないみたい」
アーニャ「心配ですけど、迷惑はダメですね」
李衣菜「ちゃんと冷静な人たちもいてよかった」
ちひろ「李衣菜ちゃんの言う通り、迷惑がかかるし、それでみんなにうつっちゃったらいけないですし」
みく「でもでも、Pちゃんが心配にゃ」
ちひろ「仕方ないから、この手を使いましょう」
ちひろ「はーい、みんなちゅうもーく!!」
「なんだなんだ?」
「鬼が何か言うみたいだぞ?」
「また集金かー?この悪魔め」
ちひろ「あ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ちひろ「……大勢で押し掛けるのは迷惑なので、お見舞いに行く代表者を一人決めてもらいます」
凛「それこそ私が」
まゆ「いやまゆが」
ちひろ「と、まあこんな風に自己主張が激しくて、代表者を話し合いで決めると埒が明かないと思うので、みんなでくじびきをして決めてください」
未央「くじびきかー」
美嘉「まあ、公平だね」
ちひろ「あたりを引いた人に、プロデューサーさんの家の合鍵を渡しますので、お見舞いに行ってきてください」
「プロデューサー宅の合鍵!?」
「これは全力で手に入れないと!」
「よっ!神!天使!ちひろ!!」
李衣菜「(なんで合鍵を持ってることに、みんな疑問を持たないんだろ)」
ちひろ「はーい!それじゃあ、早速一人づつこの中からくじを引いてくださいねー」
わいわいがやがや
美波「さ、アーニャちゃん、私たちも引きにいこっか」
アーニャ「ダー」
李衣菜「あれ?二人も引くの?」
美波「まあ折角だしね、プロデューサーさんのことは心配だから」
みく「ほらほら、李衣菜ちゃんも引きに行くにゃ」
李衣菜「まあ、私も心配だし、もし当たったら行ってもいいかな」
李衣菜「……ここがプロデューサーの家」
李衣菜「それにしても、みんな素直に身を引いたなぁ。もっとごねると思ったのに」
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ちひろ「というわけで、あたりを引いた李衣菜ちゃんに行ってもらいます」
凛「しょうがない、今回は譲るよ」
凛「(残念だけど、まゆじゃなくてよかった)」
まゆ「李衣菜ちゃん、今度どんな様子だったか聞かせて下さいね?」
まゆ「(凛ちゃんじゃないなら良しとしますか)」
凛・まゆ「「(李衣菜(ちゃん)なら、変なことも起きないだろうし)」」
「あーあ、残念。行きたかったなー」
「まあ、くじびきだし仕方ないよ」
「いやー、なかなか面白かったねー」
美波「李衣菜ちゃんなら安心ね」
みく「李衣菜ちゃん、Pちゃんのこと頼んだにゃ」
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李衣菜「まあ、イベントみたいな感じで参加してた人もいたしね」
李衣菜「それにしても、実際に家の前までくると、ちょっと緊張してきたかも」
李衣菜「プロデューサーとはいえ、男の人の家に行くのなんて初めてだし…」
李衣菜「なんか、心音が早くなってきた気も…」
李衣菜「ううん、これは単なるお見舞いだし」
李衣菜「寝てるかもしれないし、呼び鈴は鳴らさないほうがいいのかな?」
李衣菜「ちひろさんにもらった合鍵使って…っと」ガチャ
李衣菜「ほんとに開いたし…」
李衣菜「…お邪魔しまーす」
モバP「あーもう、なんだこれ…」
モバP「頭痛いし、目もかすむし…」
モバP「ゴホッ!ゴホッ!」
モバP「ふぅ…病気になったのなんていつ振りだろ」
モバP「休ませてもらったけど、健康管理が出来てないなんて、社会人としてあるまじき失態だよなぁ…はぁ」
モバP「復帰したら色々と埋め合わせしないといけないな…」
ガチャ
モバP「っ!?」
モバP「(今のは玄関の扉の音か?)」
モバP「(何故だ?俺が家にいるし、鍵はそこにある)」
モバP「(つまり…空き巣か強盗?)」
モバP「(くそっ…なんだってこんな時に…)」
モバP「(万全な状態なら強盗の一人や二人くらいならわけないが)」
モバP「(考えてても仕方ない…様子を見に行くか)」
李衣菜「うわー…ほんとにプロデューサーの家に来ちゃったんだ」
李衣菜「プロデューサーの部屋ってどこだろ?」
李衣菜「こっちかな?…って、こっちは台所か」
李衣菜「一応色々食べ物も買ってきたし、さきに冷蔵庫に入れるものいれとこ」
モバP「(廊下には姿は見えず…)」
モバP「(玄関にあるのは…スニーカーか?)」
モバP「(サイズ的には随分小さいな…小柄な男か女か…)」
モバP「(人数は一人か…一人なら持ってる凶器次第だが制圧できるか)」
モバP「(台所の扉が開いてる…静かに近づいて…)」
李衣菜「うわぁ…冷蔵庫の中からっぽ。多めに買ってきて正解だったかな」
李衣菜「プロデューサーって自炊しないのかな?」
李衣菜「一人暮らしの男の人だし、そうなのかも」
李衣菜「調味料とかはあるみたいだし、これなら何とかなりそう」
モバP「(くそっ…目がかすんでよく見えないが…背丈は小さいな)」
モバP「(髪もそんなに長くない…少年か?)」
モバP「(冷蔵庫を漁っている様子…残念だがうちにはまともな食糧は無い!)」
モバP「(胸張って言えることでもないな…)」
モバP「(手に凶器を持っているようには見えないな…)」
モバP「(気づかれる前に背後から制圧してやる)」
モバP「………ゴホッ」
?「ひゃんっ!?」
モバP「(…しまった!ここにきて咳が!気づかれた…なら速攻で…!)」
李衣菜「よし、こんなもんかな」
「………ゴホッ」
李衣菜「ひゃんっ!(今のは咳?プロデューサー起きてきちゃったのかな?)」
李衣菜「って、むぐぅ!?(何々!?いきなり口と両手が塞がれたんだけど!)」
モバP「声を上げるなよ…空き巣だとしたら、狙った家が悪かったな」
李衣菜「(プ、プロデューサーだ!私のことを空き巣だと勘違いしてる?)」
モバP「このままおとなしくしていろ。下手な抵抗すると、多少の痛い目は覚悟してもらうぞ?」
李衣菜「んー!むー!(プロデューサー気づいて!気づいて!)」
モバP「ちっ!暴れるな!(くそ…風邪のせいかうまく力が入らない)」
李衣菜「(口元の手が緩んだ?)…ぷはっ」
李衣菜「プロデューサー!私です!李衣菜ですよっ!」
モバP「……李衣菜?」
李衣菜「ちひろさんに合鍵貸してもらって、お見舞いに来たんです!」
モバP「お見舞い…?(なんで家の合鍵をちひろさんが…?)」
李衣菜「なので、そろそろ手を離してもらえないかなーと」
モバP「うわっ、とと、すまん!」
李衣菜「ふう」
モバP「本当にすまん!完全に空き巣かなにかだと勘違いしてしまっていた。熱のせいで冷静な判断が出来なかったのもあるが、悪かった!許してくれ!」
李衣菜「ちょ、そんなに謝らないでくださいよ」
李衣菜「呼び鈴鳴らさずに入ってきた私も悪いんですから」
モバP「いや、後姿で李衣菜だと気付けていればこんなことには…」
李衣菜「もういいですから…って、プロデューサー顔真っ赤じゃないですか!」
モバP「あー、なんか急に動いたから熱上がったかもしれん…」
モバP「空き巣じゃなくて李衣菜だと分かったら安心して……あっ」
李衣菜「わあっ!ちょ!?プロデューサーが倒れたー!!」
モバP「ゴホッ!…緊張の糸が切れたみたいだ…すまんが部屋まで肩かしてくれ」
李衣菜「わ、分かりました…うっ、プロデューサー、重いっ」
モバP「悪い、あんまり力入らなくて…そこの奥の部屋だ」
李衣菜「ふぅ…どうにかここまでこれた」
モバP「ありがとう、助かった」
李衣菜「どういたしまして」
モバP「それにしても、まさか李衣菜がお見舞いに来るとは…」
モバP「来るにしても、凛やまゆが率先してくるもんだと思ってたが…」
李衣菜「あはは、まあ、その二人を筆頭に事務所じゃみんな自分が行くって聞かなくて」
モバP「容易に場面が想像できてしまうな」
李衣菜「それで、ちひろさんがくじ引きにしてお見舞いに行く一人を決めたんです」
モバP「それで李衣菜に決まったと」
李衣菜「そうなります」
モバP「にしても、なんでちひろさんは家の鍵を持ってるのか」
李衣菜「さぁ?(プロデューサー本人もわからないんだ…)」
モバP「今度ちひろさんを問い詰めよう」
モバP「お見舞いに来てくれたのは嬉しいが、風邪をうつしてしまわないか心配だな」
李衣菜「その時はその時ですよ。ちょっと失礼しますね…」ぴとっ
モバP「ちべたっ!?」
李衣菜「熱っ!?」
李衣菜「プロデューサー、熱計りました?余裕で39度くらいあるんじゃないですか?」
モバP「あー、朝計った時は38度後半だったけど、上がったかな」
モバP「にしても、李衣菜の冷たい手が気持ちいい…」
李衣菜「もう、変なこと言わないでください!」
李衣菜「汗もかいてるみたいだし、冷えピタよりは濡れタオルのほうがいいかな」
李衣菜「用意してくるんで待ってて下さいね」
モバP「分かった」
モバP「…………」
モバP「……すぅ」
李衣菜「プロデューサー、用意してきましたよー……」
モバP「すぅ…すぅ…」
李衣菜「寝ちゃってる」
李衣菜「起こさないように軽く汗ふいて…」
李衣菜「しぼったタオルをおでこに乗せてっと、よし」
李衣菜「冷蔵庫も空だったし、何かを食べたような形跡もなかった」
李衣菜「これじゃ治るものも治らないって」
李衣菜「寝てる間におかゆでも作っておこうかな」
李衣菜「よし、完成」
李衣菜「後はプロデューサーが起きたときに温めればOK」
李衣菜「…お鍋や包丁なんかの器具は一通りそろってたけど、普段から使ってる様子はないなぁ」
李衣菜「やっぱり忙しくて自炊する時間とかないんだろうし」
李衣菜「今回の風邪も忙しさからくる疲れとかが原因かなぁ?」
李衣菜「やっぱりプロデューサーは、いつも一人で頑張り過ぎだよね」
李衣菜「今日くらいはちゃんと休ませてあげなきゃ」
李衣菜「割と時間経ったし、濡れタオル替えてあげないと」
李衣菜「(うん、まだ寝てる)」
李衣菜「(けど、暑かったのか寝相が悪いのか、布団がはだけて)」
李衣菜「(さっきは慌ててたから気にしてなかったけど、今日のプロデューサー、スーツじゃないや)」
李衣菜「(海に行っても山に行ってもスーツだったのに、これってかなりレアな姿だよね)」
李衣菜「(よく見ると、手とかおっきい…)」
李衣菜「(捕まえられた時も、あんなに力も強くて…)」
李衣菜「(普段はそんなに意識しないけど、プロデューサーも、やっぱり男の人なんだなぁ…)」
李衣菜「って、何意識しちゃってんだろ、私」
モバP「…んー?李衣菜?」
李衣菜「ひゃうっ!?」
モバP「どうした?そんなに驚いて」
李衣菜「な、なんでもないです…。起こしちゃって、すいません」
モバP「いや、ずっと寝たまんまなのも体に悪いしな。それに、腹が減った」
モバP「うちの冷蔵庫なんもなかったろ?ちょっと買いに出るか」
李衣菜「あ、大丈夫です!一応食べ物は色々買ってきてますし、おかゆ作ってあるんでそれ食べて下さい」
モバP「ほんとか?それは助かるな。動くのもつらかったし」
李衣菜「今温めなおして持ってきますね」
李衣菜「お待たせしましたー」
モバP「おー、久しぶりにまともな飯だ」
李衣菜「………」
モバP「どうした?」
李衣菜「おかゆがまともな飯って、どんな食生活してるんですか?冷蔵庫にも調味料くらいしか入ってなかったですし」
モバP「ウィダーとかカロリーメイトとか」
李衣菜「そんな食生活してるから風邪なんて引くんですよ!」
モバP「まさしくその通りで耳が痛いです…」
李衣菜「まったくもう…はい、どうぞ」
モバP「おー、うまそうだ!いただきます…って、あれ?」
李衣菜「どうしたんですか?」
モバP「いや、なんか手が震えてスプーンがうまく持てなくてな」
李衣菜「ほんとどんだけ極限状態になってるんですか!…しかたないなぁ」
李衣菜「…はい、あーん」
モバP「ちょ!?それはさすがに恥ずかしいぞ」
李衣菜「私だって恥ずかしいんですから!」
李衣菜「それじゃプロデューサー、今の状態で自分で食べられるんですか?」
モバP「…食べられません」
李衣菜「だったら観念してください。はい、あーん」
モバP「あ、あーん…あちちっ」
モバP「…もぐもぐ、うん美味しい」
李衣菜「ならよかったです。ちゃんとよく噛んで食べてくださいよ?あーん」
モバP「あーん」
モバP「ごちそうさまでした」
李衣菜「お粗末様でした」
モバP「いやぁ、実に美味しかった」
李衣菜「後でまた食べられるように多めに作ってたのに、一度に全部平らげましたね」
モバP「それだけ美味しかったからな。おかげでかなり落ち着いたよ」
李衣菜「薬も飲んで、顔色もさっきよりよくなったみたいですしね」
李衣菜「それじゃ食器片づけてきます。熱が下がったわけじゃないんですから、まだ安静にしといてくださいね」
モバP「こんな風に看病されるのは小学生以来かな…」
モバP「あんときは母さんが一日そばにいて看病してくれたっけ」
モバP「病気の時は誰かが一緒にいてくれると安心できるんだよな」
モバP「見舞いに来てくれたのが李衣菜でよかった」
モバP「なんというか、李衣菜なら任せてて安心できる気がする」
モバP「普段はあんなにロックロック言ってるのになぁ」
モバP「あー、風邪薬のせいかまた眠くなってきた…」
モバP「もう一眠りさせてもらおう……すぅ」
李衣菜「戻りましたよ…っと、また寝てる」
李衣菜「薬が効いてきたのかな?」
李衣菜「熱は…さっきよりは下がってるけど、まだあるなぁ」
李衣菜「明日には下がってるといいけど」
李衣菜「うーん、なんか私も眠くなってきた…」
李衣菜「終電まではまだまだ時間あるし、私も少しだけ……」
李衣菜「………すぅ」
モバP「んっ…んー、ふわぁ~…よく寝た」
モバP「外もめっきり暗くなってるし、今何時だ?」
モバP「もう24時回って日付変わってるじゃん」
モバP「なんか李衣菜が見舞いに来てくれてた気がするが…」
李衣菜「…んんぅ」
モバP「ああ、いるな。夢とかじゃなかったみたい…だ…?」
モバP「何故こんな時間なのにまだ家にいるんだ!?」
李衣菜「へぁ?…あ、プロデューサー、おはようございます…」
モバP「お、おはよう…」
李衣菜「んー…なんか、途中で寝ちゃったみたいです。今何時ですか?」
モバP「24時過ぎ」
李衣菜「……え?」
モバP「すでに日付が変わってる時間だよ」
李衣菜「えーっ!!わ、私、そんなに長い間眠ってたんですかっ!?」
李衣菜「うわっ!お母さんから電話入ってる!」
モバP「この時間だと終電は?」
李衣菜「もう終わってます」
モバP「俺は、さすがにまだ車が運転できる状態じゃないし…」
李衣菜「どうしよう…」
モバP「仕方ない…李衣菜、泊まっていけ」
李衣菜「ふえっ!?」
モバP「こんな時間に外に放り出すわけにもいかないしな。とりあえず親御さんに連絡は取っといてくれるか」
李衣菜「ひゃ、ひゃい!連絡してきましゅ」
李衣菜「あ、もしもし、お母さん?」
李衣菜「うん、連絡遅くなってごめんなさい」
李衣菜「ちょっと仕事で遅くなって、終電逃しちゃって」
李衣菜「今日はそのままみくちゃんのところに泊めてもらうから」
李衣菜「うん、心配しなくても大丈夫。明日にはちゃんと帰るから」
李衣菜「うん、うん、次からはちゃんと早めに連絡するようにする」
李衣菜「はい、それじゃおやすみなさい」
李衣菜「…ひゃー!ヤバイよ、コレ!」
李衣菜「なんか正直に言えなくて、つい嘘ついちゃった」
李衣菜「嘘ついて外泊なんて初めてだよ、しかもプロデューサーとはいえ男の人の家だし」
李衣菜「もしこれがばれちゃったら、お父さんに叱られるなぁ…」
李衣菜「でも、こうなっちゃったものはしょうがない…のかな」
李衣菜「あ、凛ちゃんやまゆちゃんにはこのこと絶対言えないや」
モバP「親御さんに連絡はついたか」
李衣菜「はい、一応大丈夫です」
モバP「まさかこんなことになるなんてな」
李衣菜「あはは…そうですね」
モバP「悪いな、つい安心しきって長く寝てしまった…」
李衣菜「私もプロデューサーの寝顔見てたら、つい眠くなって…」
モバP「…………………」
李衣菜「…………………」
モバP「と、とりあえず、布団の用意するな」
李衣菜「あ、プロデューサーは寝てて下さい。布団の場所教えてくれれば自分で敷きますから」
モバP「いやいや、これくらいなら俺が…」ふらっ
李衣菜「あっ、そんな急に立ち上がると…」ドシーン!
モバP「いててて…すまん、バランス崩した」
李衣菜「(うわわわ!プロデューサーの顔が近い近い近い!!)」
モバP「どっか怪我とかしてないか?」
李衣菜「だ、だだだ、大丈夫ですから、その、早くどいてもらえると…」
モバP「おっと、すまん。やっぱ、一日寝てたら体が鈍るな」
李衣菜「だから私がやるって言ったじゃないですか!」
李衣菜「(何かすごく顔が熱い!プロデューサーのほう見れない!)」
モバP「とりあえず、布団はそこの押入れに入ってる」
李衣菜「は、はい!出しときます。プロデューサー、かなり汗かいてるみたいなんで、着替えて来たらどうですか?」
モバP「あー、言われてみるとそうだな。一日これ来てたし、別の奴着てくるよ」
李衣菜「(あーあー、なんでプロデューサー相手にこんなにドキドキしてるんだろ)」
李衣菜「(いつもはこんなことないのに…)」
李衣菜「(なんかいつもと違う姿を見てるからか、今日はプロデューサーを男の人として意識しちゃうし…)」
李衣菜「(さっきもあんなに顔が近くに…)」
李衣菜「あーもう!さっさと布団敷いちゃお」
モバP「(着替えて帰ってきたら、普通にベッドの隣に布団が敷かれていた)」
李衣菜「(なんで私、そのままここに敷いたんだろ)」
モバP「じゃ、じゃあ俺は向こうの部屋で寝るよ!」
李衣菜「い、いえいえ、お構いなく」
モバP「(何故か遠慮されてしまった)」
李衣菜「(何故か遠慮してしまった)」
モバP「あー…李衣菜は一緒の部屋でいいのか?」
李衣菜「べ、別に構いませんよ。プロデューサーに何かあった時すぐに対応できますし」
李衣菜「それに、一緒の部屋で寝るってなんかロックじゃないですか!」
モバP・李衣菜「「(何がロックなんだろう?)」」
李衣菜「だ、だから大丈夫です。プロデューサーのこと信じてますし…」
モバP「了解した。断じて変な事はしないと誓う」
李衣菜「(それはそれでなんか悔しいかも…)」
李衣菜「悔しいって何!?」
モバP「やっぱやめとくか!?」
李衣菜「いえ、なんでもないです!大丈夫です!気にしないでください」
モバP「そ、そうか。じゃあ、電気消すぞ。暗かったらそのうち眠るだろうし」
李衣菜「は、はい。そうですね」
カチカチカチカチ
モバP「……………」
李衣菜「……………」
李衣菜「(ね、眠れない…)」
李衣菜「(真っ暗だから視覚以外が過敏になって、時計の音とか、プロデューサーの呼吸音とか聞こえてきて…)」
李衣菜「(…………ドキドキ)」
モバP「李衣菜、もう寝たか?」
李衣菜「い、いえ、まだ寝つけなくて…」
モバP「まあ、長い間寝てたしな」
モバP「…今日は、来てくれてありがとな」
李衣菜「私が来たのはくじびきで…」
モバP「それでも李衣菜が看病してくれたのは事実だろ」
モバP「この年になってもさ。病気になると一人じゃ不安になるんだよ」
モバP「でも、李衣菜が来てくれて、色々と世話焼いてくれてさ」
モバP「正直嬉しかった」
李衣菜「………」
モバP「だから、何かお礼がしたい。何か一つ、お願いを聞くよ。俺にできることならなんでもいい」
李衣菜「…お願い」
モバP「別にすぐに決めなくていいよ。思いついたときでいいからさ」
李衣菜「考えておきます」
モバP「ああ。それじゃおやすみ」
李衣菜「…おやすみなさい」
李衣菜「(お願いかぁ…)」
李衣菜「(これと言って思いつかないなぁ…)」
李衣菜「(ほんとにくじびきで私になっただけだし、そんな大層なこともしてないし…)」
李衣菜「(でも、折角の提案だし、何か考えないと…)」
李衣菜「(何にしようかな…)」
李衣菜「(………すぅ)」
モバP「んー」
モバP「熱は無いし、体も軽い。快調快調、完全復活!」
モバP「それもこれも李衣菜のおかげかな」
モバP「…あれ?李衣菜のやつもういない。布団も出てないし」
モバP「ここまできてさすがに夢なんてことはないだろうけど」
モバP「とりあえず、起きるか」
李衣菜「あ、プロデューサー、おはようございます」
モバP「あ、ちゃんとまだいた。おはよう、李衣菜」
モバP「何してるんだ?」
李衣菜「見て分かりませんか?朝食作ってるんですけど」
モバP「李衣菜って、おかゆ以外にも料理作れるのか!?」
李衣菜「失礼な!これでも人並み以上にはできますよ!」
李衣菜「ていうか、なんでおかゆしか作れないと思ってるんですか」
モバP「なんか李衣菜って料理できるイメージないし」
李衣菜「だったら見てて下さいよ。もう少しで出来上がりますから」
モバP「おぉ…」
モバP「家の食卓に、ごはん・味噌汁・焼き魚・卵焼き・漬物が並んでる…」
李衣菜「このくらいの朝食なら朝飯前ですよ!」
モバP「確かに、朝食の調理は朝飯前にしかできないわな」
李衣菜「まあそんなことはいいんです。さっそく食べてみてくださいよ」
モバP「それでは、いただきます」
モバP「パクパクもぐもぐ」
李衣菜「どうですか?」
モバP「う、美味い…昨日のおかゆもうまかったけど、それより格段に美味い」
李衣菜「これでも料理のレパートリーは豊富なんですよ?」
李衣菜「機会があればプロデューサーにもごちそうしてあげます」
モバP「是非お願いしたい」
モバP「つーか、この味噌汁毎日飲みたい」
李衣菜「……それ、古典的なプロポーズですか?」
モバP「そういわれるとそんなセリフあったな。いや、しかし素でそう思えるくらい美味しいんだ」
モバP「こう、お世辞じゃなく、いいお嫁さんになれると思う、うん」
李衣菜「えへへ、褒められて悪い気はしませんね」
李衣菜「それじゃ私も食べようっと」
モバP「ご馳走でした」
李衣菜「お粗末様でした」
李衣菜「それじゃ、私はそろそろ帰りますね」
モバP「車で送って行こうか?」
李衣菜「いやいや、大丈夫です。帰りにちょっと寄るところがあるんで」
モバP「そうか?」
モバP「いやぁ、それにしても助かったよ。昨日からほんとありがとな」
李衣菜「別に大したことしてませんから」
李衣菜「あ、そういえば、お願いの件なんですけど」
モバP「お、もう決めたのか?別にそんなにすぐに決めなくていいんだぞ?」
李衣菜「いえ、もう決めました」
モバP「どんなお願いだ?」
李衣菜「もし私が病気になったら、プロデューサーが看病してください」
モバP「お?」
李衣菜「今回私が看病したので、そのお返しならこれがいいかなって」
モバP「まあ、李衣菜がいいならそれでいいけど」
李衣菜「じゃあ、約束ですよ?」
モバP「ああ、約束だ」
李衣菜「それじゃお邪魔しました」
モバP「おう、気をつけて帰るんだぞ」
李衣菜「分かってますって」
李衣菜「いいお嫁さんになる…か、えへへ」
李衣菜「さーて、帰りに本屋でレシピ本買って帰ろ」
李衣菜「もう少し、レパートリー増やしといても損はないしね」
~5年後~
李衣菜「とまあ、これが主人を最初に意識し始めたきっかけですよ」
モバP「なんというか恥ずかしい出来事でもあるが、今ではいい思い出だな」
マスコミ「ここから紆余曲折あって、今に至ると」
マスコミ「この件に関して、別のアイドルはこうコメントしています」
凛『まさか、李衣菜に持って行かれるなんて、思わなかったよ』
まゆ『あの時、あたりを引けなかった時点で勝敗は決したのかもしれませんね』
李衣菜「ほんとにそうだったかもしれません」
李衣菜「あの時あたりを引いてなかったら、主人を男性だと意識することはなかったと思いますから」
モバP「俺もあんな風に看病されなかったら、意識しなかっただろうなぁ。あの後、完璧に胃袋掴まれたし」
マスコミ「さまざまな偶然が絡んだ結果でもあるわけですね」
マスコミ「そういえば、李衣菜さんがしたお願い、病気になった際の看病という約束はどうなったんですか?」
李衣菜「ああ、あの約束だったら今看病してもらってます」
マスコミ「今、といいますと?」
李衣菜「こういうのは恥ずかしいんですけど、私が恋の病にかかったみたいなんで」
モバP「死ぬまで一緒にいて看病することにしました」
マスコミ「惚気てくれますねぇ。しかし、仲睦まじくていいことです」
マスコミ「今回は取材協力ありがとうございました」
マスコミ「お二人の将来、どうか末永くお幸せに」
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。
これにて終了です。
とりあえずベタで甘くてくさいやつを書きたかった結果こうなりました。
やっぱこういうのは難しいですね。
あー、李衣菜みたいなお嫁さん欲しいなぁ。
HTML化依頼出してきます。
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