ココア「寿司処ラビットハウス」 (19)

ココア「ただいまー」

チノ「休憩中にどこに行ってたんですか」

ココア「ちょっと甘兎庵まで……あらら? もしかしてチノちゃん寂しかった?」

チノ「そんなことありません。リゼさんもいますし」

リゼ「ってココア。その台車は何だ? そのでかい箱に何が入ってるんだ?」

ココア「気になる? 気になるでしょー?」

チノ「変なもの拾ってこないで下さいよ」

ココア「変なものじゃないよ! マグロだよ!」

リゼ「十分変なものだろ!」

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チノ「なぜにマグロ……」

ココア「この前、千夜ちゃんと遊んだ時にパンの作り方を教えたお礼だって」

リゼ「そんなすごいパンの作り方を教えたのか……?」

ココア「ううん、今度お店でパンを出してみるから、そっちは和のテイストのものを出してみたら? って勧められて」

ココア「和といえばお寿司かな、って」

リゼ「極端すぎるだろ!」

チノ「勝手にお店のメニューを決めないでください」

ココア「お寿司って言ったら、ちょうど千夜ちゃんがマグロがあるわよーってなって」

ココア「あ、近所の人に貰ったんだって。4匹分を」

リゼ「この町のどこにマグロがとれるような場所があるんだ」

チノ「そういうのってものすごくお高いと思うんですけど……ただでもらって大丈夫なんですか?」

ココア「うん。千夜ちゃんは、もう4匹目は食べきれないって言ってたし」

リゼ「3匹食べたのか!?」

ココア「というわけで、お寿司をメニューに乗せようと思います」

リゼ「そもそもココア。お寿司握ったことはあるのか?」

ココア「ないよ!」

リゼ「ないのかよ!」

ココア「気合で何とかなるよ!」

チノ「シャリもないのにどうやって握るんですか」

リゼ(えっ、チノって意外とそういうのに詳しいのか?)

チノ「今はおしょうゆも切らしてますし」

リゼ(なんだ、食べたいだけか)

ココア「そういうのはお父さんが詳しいんじゃないかな」

リゼ「おいおい、一応ここは喫茶店だぞ? 魚を捌いたりはさすがにできないだろ」

チノ「捌けますよ」

リゼ「えっ」

チノ「マグロの解体ショーもできます」

リゼ「一体何者なんだ……」





ココア「では、マグロも捌いてもらったことだし、まずシャリを作るよ!」

チノ「頑張りましょう」

リゼ「まさか本当に握ることになるとは……」

ココア「とりあえず……お酢を入れてみよう」ドバァ

リゼ「えっ」

チノ「混ぜてみましょうか」グイグイ

リゼ「ええっ」

ココア「はい、リゼちゃん。食べてみて?」

リゼ「えええっ」

ココア「はい、お皿」

リゼ「……」パクッ

リゼ「……それっぽい?」

ココア「よーし! 次はワサビだー!」

リゼ(絶対に良くない)

ココア「ワサビは粉わさびから作ります」

リゼ(なんでそっちは本格的なんだ)

ココア「水で溶かして混ぜます」グルグル

チノ「その間に私たちは握る練習でもしておきましょう」

リゼ「あ、ああ」

チノ「……」キュッ

リゼ(チノのこういうところ、意外と子供っぽいよなぁ)

ココア「ギャアアアアアアア!!」

チノ「!?」

リゼ「何だ今の野太い声は!? ……ココアか」

ココア「目があああ」ツーン

チノ「わっ、こっちに向けないでくださ……ああああ!」ツーン

リゼ「何やってるんだよ……」






ココア「ひどい目にあったよ……」

チノ「まったくです」

リゼ「粉わさびって目に効くんだな」

ココア「そう言うと体によさそうだけど……痛いだけだよ」

リゼ「まあ、ワサビはできたってことでいいんじゃないか?」

ココア「じゃあ握ろう!」

リゼ「握り方はわかるのか?」

ココア「シャリを握って、マグロを乗せるんだと思うよ」

リゼ「なんだか適当っぽく聞こえるけど、そんなものか」

ココア「こうかな? へいらっしゃい!」

リゼ「形から入るのか」

ココア「……できた!」

リゼ「おっ、早いな」

ココア「あ、倒れちゃった」

チノ「私もできました」

リゼ「おお、チノもか」

チノ「……なんだか不格好ですね」

リゼ「よし、私もできたぞ」

ココア「あ、お寿司って感じがするよ!」

リゼ「本当か?」

チノ「はい。私たちのものより断然きれいです」

リゼ「そ、そこまで褒めなくても」

シャロ「ココアー、どこー?」

チノ「あれ? シャロさんの声がしますよ?」

ココア「あ、そうそう。千夜ちゃんに食べてもらうサプライズのために、シャロちゃんにも協力してもらうことにしたんだ」

リゼ「そんな話聞いてないぞ?」

ココア「まあまあ。シャロちゃーん、キッチンの方だよー!」

チノ「シャロさんはお寿司を握れるんでしょうか」

リゼ「どうだろう」

シャロ「ココア。要件も言わずに遊びに来いってメールされても困るんだけど」

ココア「ごめーん」

シャロ「って、これはいったい……」

チノ「お寿司を握っているんです」

シャロ「……お寿司」

リゼ「ああ。やってみるか?」

シャロ「これが……お寿司?」

ココア「えっ」

シャロ「こんなものは……お寿司とは呼べないわ!」

チノ「そんなっ……!」

シャロ「まずシャリがボロボロじゃない!」

ココア「すみません!」

シャロ「そっちのはシャリをこぼしすぎ!」

チノ「か、片付けます!」

シャロ「それはネタの向きがバラバラ!」

リゼ「ごっ、ごめんなさい!」

シャロ「こんなにいい赤身を使ってるのに……私がお手本を見せるわ!」

ココア「た、大将!」

リゼ「しゃ、シャロはお寿司を作った経験があるのか?」

シャロ「バイトで少々……」

リゼ(少々ってレベルじゃなさそうな気が……)



数日後



ココア「ラビットハウスおすすめのマグロの赤身ですよー」

チノ「中トロも大トロもあります」

ココア「食後のコーヒーもいかがですかー」

千夜「仕入れは任せて!」

リゼ(喫茶店……?)



おわり

シャロとシャリって似てるなって思っただけのネタ

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